(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029650
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】導電粒子の分散方法及び静電吸着装置
(51)【国際特許分類】
B05C 19/00 20060101AFI20240228BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B05C19/00
B01J19/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132021
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 将平
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】杉本 俊之
(72)【発明者】
【氏名】山中 智貴
【テーマコード(参考)】
4F042
4G075
【Fターム(参考)】
4F042AA02
4F042AB06
4F042BA03
4F042BA08
4F042BA21
4F042CC09
4F042CC30
4G075AA27
4G075AA30
4G075BB08
4G075CA14
4G075DA02
4G075DA18
4G075EC21
4G075FA05
4G075FC11
(57)【要約】
【課題】 基材上に導電粒子を離間させて二次元的に配置することができ、しかも導電粒子の分散配置の効率を高めることができる導電粒子の分散方法を提供すること。
【解決手段】 導電粒子の分散方法は、粒子を配置する静電気拡散性又は導電性を有する配置部2を有する第一の電極4と、配置部2と対向する吸着部5を有する第二の電極7との間に電界を形成することにより、配置部2に配置された、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子Pを、配置部2と吸着部5との間で往復運動させて導電粒子を吸着部5に吸着させる工程、を備え、配置部2が吸着部5側に開口する凹部30を有し、凹部30は、吸着部5側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面S
1を有し、凹部30に配合粒子Pが配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気拡散性又は導電性を有する配置部を有する第一の電極と、前記配置部と対向する吸着部を有する第二の電極との間に電界を形成することにより、前記配置部に配置された、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を、前記配置部と前記吸着部との間で往復運動させて前記導電粒子を前記吸着部に吸着させる工程、を備え、
前記配置部が前記吸着部側に開口する凹部を有し、
前記凹部は、前記吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有し、
前記凹部に前記配合粒子が配置される、導電粒子の分散方法。
【請求項2】
前記媒介粒子の粒径が、前記導電粒子の粒径の10~100倍である、請求項1に記載の導電粒子の分散方法。
【請求項3】
前記導電粒子の粒径が、2~50μmである、請求項1又は2に記載の導電粒子の分散方法。
【請求項4】
前記吸着部が、前記配置部側に開口する開口パターンを有している、請求項1又は2に記載の導電粒子の分散方法。
【請求項5】
静電気拡散性又は導電性を有する配置部、を有する第一の電極と、
吸着部を有する第二の電極と、を備え、
前記配置部と前記吸着部とが対向することができ、
前記配置部が前記吸着部側に開口する凹部を有し、
前記凹部は、前記吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有する、静電吸着装置。
【請求項6】
前記吸着部が、前記配置部側に開口する開口パターンを有している、請求項5に記載の静電吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電粒子の分散方法及び静電吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上に粒子を二次元的に配列する方法として、球状粒子を分散した分散液に基板を浸漬させ、その基板を引き上げた後、分散媒を乾燥して除去するディップコート法や、移流集積法などが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。これらの方法は、粒子の自己集積現象を利用しており、粒子を最密充填配置するときや粒子膜を形成するときに好適な技術である。
【0003】
一方、本発明者らは、これまでに基材上に導電粒子を離間させて二次元的に配置する技術の開発を進めてきており、特定の吸着部を有する静電吸着装置と、媒介粒子に導電粒子を付着させた配合粒子とを用いて、吸着部に導電粒子を分散配置させる技術を提案している(例えば、下記特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-223154号公報
【特許文献2】特開2021-074707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載の導電粒子の分散方法は、導電粒子同士に静電斥力を働かせ、ドライプロセスで導電粒子を分散させており、導電粒子へのダメージが小さいことや分散溶媒が不要であることなどの利点を有している。この方法は、導電粒子の分散配置の効率が向上すれば、更に有用な技術になり得る。
【0006】
そこで、本発明は、基材上に導電粒子を離間させて二次元的に配置することができ、しかも導電粒子の分散配置の効率を高めることができる導電粒子の分散方法及び当該方法に用いることができる静電吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、静電気拡散性又は導電性を有する配置部を有する第一の電極と、配置部と対向する吸着部を有する第二の電極との間に電界を形成することにより、配置部に配置された、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を、配置部と吸着部との間で往復運動させて導電粒子を吸着部に吸着させる工程、を備え、配置部が吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有し、凹部に配合粒子が配置される、導電粒子の分散方法を提供する。
【0008】
上記の方法によれば、基材上に導電粒子を離間させて二次元的に配置することができ、しかも導電粒子の分散配置の効率を高めることができる。
【0009】
媒介粒子の粒径は、導電粒子の粒径の10~100倍であってもよい。この場合、配合粒子の凝集を抑制しつつ配合粒子を移動させやすくなる。
【0010】
導電粒子の粒径は2~50μmであってもよい。
【0011】
吸着部は、配置部側に開口する開口パターンを有してもよい。
【0012】
本発明の他の一側面は、静電気拡散性又は導電性を有する配置部、を有する第一の電極と、吸着部を有する第二の電極と、を備え、配置部と吸着部とが対向することができ、配置部が吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有する、静電吸着装置を提供する。
【0013】
このような静電吸着装置は、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を用いることにより、導電粒子の分散装置として用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基材上に導電粒子を離間させて二次元的に配置することができ、しかも導電粒子の分散配置の効率を高めることができる導電粒子の分散方法及び当該方法に用いることができる静電吸着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る導電粒子の分散方法で用いられる静電吸着装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2の(a-1)~(d-1)は配置部の例を模式的に示す平面図であり、
図2の(a-2)~(d-2)はそれぞれ
図2の(a-1)~(d-1)のI-I線~IV-IV線における断面図であり、
図2の(a-3)~(d-3)は配置部の他の断面形状を示す断面図である。
【
図3】
図3の(e-1)~(f-1)は配置部の例を模式的に示す平面図であり、
図3の(e-2)~(f-2)はそれぞれ
図3の(e-1)~(f-1)のV-V線~VI-VI線における断面図であり、
図3の(e-3)~(f-3)は配置部の他の断面形状を示す断面図である。
【
図4】
図4の(g-1)~(j-1)は配置部の例を模式的に示す平面図であり、
図4の(g-2)~(j-2)はそれぞれ
図4の(g-1)~(j-1)のVII-VII線~X-X線における断面図であり、
図4の(g-3)~(j-3)は配置部の他の断面形状を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る導電粒子の分散方法で用いられる配合粒子を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る導電粒子の分散方法を説明するための模式図である。
【
図7】静電吸着装置の一例を説明するための模式図である。
【
図8】実施例及び参考例における導電粒子の分散方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
なお、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、本明細書では、便宜上、複数の導電粒子の集合も「導電粒子」と称する。媒介粒子や配合粒子についても同様である。
【0018】
[導電粒子の分散方法]
本実施形態の導電粒子の分散方法は、静電気拡散性又は導電性を有する配置部を有する第一の電極と、配置部と対向する吸着部を有する第二の電極との間に電界を形成することにより、配置部に配置された、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を、配置部と吸着部との間で往復運動させて導電粒子を吸着部に吸着させる工程、を備える。この工程において、配置部は、吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有し、凹部に配合粒子が配置される。
【0019】
上記の方法によれば、吸着部が静電気拡散性又は導電性を有する場合、配合粒子の往復運動、すなわち配合粒子が第二の電極と逆極性に帯電することで生じる静電引力による第二の電極への移動と、吸着部に接触した配合粒子が第二の電極と同極性に帯電することで生じる静電斥力による第一の電極への移動との繰り返しによって、粒径の大きい媒介粒子の表面に付着している粒径の小さい導電粒子を吸着部に吸着させることができる。また、上記の方法によれば、配置部が上記の凹部を有することにより、吸着部に吸着させた導電粒子の付着密度を高くすることができ、導電粒子の分散配置の効率を高めることができる。なお、導電粒子の付着密度が高くなる理由について、本発明者らは以下のとおり推察する。第一の電極における配置部が上記の内壁面を有する凹部を有していることにより、等電位面が凹部付近で凹型に曲がった等電位分布となり、静電気力が凹部の中央に集まりやすくなると考えられる。これにより、配合粒子が上下運動中に凹部の外に飛散することが抑制され、単位時間及び単位面積当たりに往復させることができる配合粒子の数が増大することで上記の効果が得られたと考えられる。
【0020】
また、吸着部が絶縁性を有する場合、吸着部が配置部よりも重力方向の上方側に配置されることで、配合粒子の往復運動、すなわち配合粒子が第二の電極と逆極性に帯電することで生じる静電引力による第二の電極への移動と、吸着部に接触した配合粒子が導電粒子を離すことで帯電がなくなり、自重による第一の電極への移動との繰り返しによって、粒径の大きい媒介粒子の表面に付着している粒径の小さい導電粒子を吸着部に吸着させることができる。
【0021】
上記方法は、静電気拡散性又は導電性を有する配置部を有する第一の電極と、吸着部を有する第二の電極と、を備え、配置部と吸着部とが対向することができ、配置部が吸着部側に開口する上述した凹部を有する静電吸着装置を用意し、配置部の凹部に、媒介粒子に媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を配置する工程(以下、第1工程ともいう)と、第一の電極と第二の電極との間に電界を形成して、配置部と吸着部との間で配合粒子を往復運動させて導電粒子を吸着部に吸着させる工程(以下、第2工程ともいう)とを備えることができる。
【0022】
静電気拡散性の配置部及び静電気拡散性の吸着部はそれぞれ、表面抵抗率が1×1013Ω以下であってもよく、1×106Ω以上であってもよい。導電性の配置部及び導電性の吸着部はそれぞれ、表面抵抗率が1×106Ω以下であってもよく、1×10-3Ω以上であってもよい。
【0023】
図1は、本実施形態に係る導電粒子の分散方法で用いられる静電吸着装置の概略構成を示す図である。静電吸着装置1は、粒子を配置する配置部2を有する下部電極(第一の電極)4と、配置部2よりも重力方向の上方側に配置され、配置部2と対向する吸着部5を有する上部電極(第二の電極)7と、下部電極4及び上部電極7に接続された電源8と、電源8に接続された制御部9とを備える。
【0024】
静電吸着装置1においては、下部電極4が電極本体3と配置部2とから構成されており、上部電極7が電極本体6と吸着部5とから構成されている。下部電極は電極本体と配置部とが一体となっていてもよく、吸着部が静電気拡散性又は導電性を有する場合、上部電極は電極本体と吸着部とが一体となっていてもよい。これらの場合、下部電極の上部電極と対向する側の表面を配置部とすることができ、上部電極の下部電極と対向する側の表面を吸着部とすることができる。
【0025】
下部電極4を構成する電極本体3の材質としては、静電気拡散性又は導電性を有するものを用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を用いることができ、具体的には、金属、ガラス等が挙げられる。電極本体3の形状としては、特に限定されないが、例えば、平板状、ロール状などであってもよい。
【0026】
配置部2の材質としては、静電気拡散性又は導電性を有するものを用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を用いることができ、具体的には、金属、ガラス、及び、導電性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の導電性樹脂などが挙げられる。配置部2の形状としては、粒子を配置できるものであれば特に限定されず、電極本体3の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよい。
【0027】
配置部2は、吸着部5側に開口する凹部30が設けられている。凹部30は、吸着部5に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面S
1を有する。
図1に示される配置部は、平面部S
0と、半球面状の凹部30とを有しており、凹部30に配合粒子Pを配置することができる。凹部は、他の形状であってもよく、複数設けられていてもよく、所定のパターンで設けられていてもよい。
【0028】
凹部の形状は、例えば、半球面状、逆円錐状、逆円錐台形状、逆三角錐状及び逆四角推状等の逆多角推状、逆四角推台形状等の逆多角推台形状、横断面がV字、U字又は逆台形等の谷状などであってもよい。なお、凹部が谷状である場合、凹部の開口幅とは谷の幅を意味する。
【0029】
凹部の内壁面は、凹部の底部から吸着部に向かって開口面積が増大するようにテーパがつけられていてもよい。
【0030】
テーパがつけられている内壁面は、凹部の内壁の一部であってもよく、全部であってもよい。凹部は、開口幅が増大しない壁面を有していてもよい。
【0031】
テーパがつけられている内壁面は、階段状であってもよく、粗さを有していてもよい。
【0032】
図2~
図4は、凹部が設けられた配置部の例を示す図である。
図2の(a-1)~(a-3)に示される配置部2aは、半球面状の凹部30aが設けられている。
図2の(a-3)に示されるように、配置部2aの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
図2の(b-1)~(b-3)に示される配置部2bは、平坦な底面S
2を有する逆円錐台形状の凹部30bが設けられている。
図2の(b-3)に示されるように、配置部2bの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
図2の(c-1)~(c-3)に示される配置部2cは、逆四角錐状の凹部30cが設けられている。
図2の(c-3)に示されるように、配置部2cの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
図2の(d-1)~(d-3)に示される配置部2dは、平坦な底面S
2を有する逆四角錐台形状の凹部30dが設けられている。
図2の(d-3)に示されるように、配置部2dの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
【0033】
図3の(e-1)~(e-3)に示される配置部2eは、一方向に延びるU字谷状の凹部30eが設けられている。
図3の(e-3)に示されるように、配置部2eの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
図3の(f-1)~(f-3)に示される配置部2fは、一方向に延びるV字谷状の凹部30fが設けられている。
図3の(f-3)に示されるように、配置部2fの凹部が設けられている側とは反対側面は平坦であってもよい。
【0034】
図4の(g-1)~(g-2)に示される配置部2gは、複数の逆四角推状の凹部30gが格子のパターンで設けられている。配置部2gは、凹部30g間に平坦部を有している。
図4の(h-1)~(h-2)に示される配置部2hは、複数のU字谷状の凹部30hが並べて設けられている。配置部2hは、凹部30h間に平坦部を有している。
図4の(i-1)~(i-2)に示される配置部2iは、複数の逆四角推状の凹部30iが所定のパターンで設けられている。
図4の(j-1)~(j-2)に示される配置部2jは、複数のU字谷状の凹部30jが並べて設けられている。
【0035】
凹部のサイズ(幅、開口面積、容積、内壁面のテーパ角度及び深さ等)は、配置する配合粒子の量に応じて適宜設定すればよい。例えば、凹部が半球面状、逆円錐状、又は逆円錐台形状である場合、開口の最大径が2~200mmであってもよく、最大深さが0.1~100mmであってもよく、最大径/最大深さが0.02~2000であってもよい。凹部が逆多角推状又は逆多角推台形状である場合、開口の最大幅が2~200mmであってもよく、最大深さが0.1~100mmであってもよく、最大幅/最大深さが0.02~2000であってもよい。凹部が谷状である場合、谷の最大幅が2~200mmであってもよく、最大深さが0.1~100mmであってもよく、最大幅/最大深さが0.02~2000であってもよい。
【0036】
電極本体と配置部とが一体である下部電極としては、例えば、金属、ガラス等の表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料から構成されるものを用いることができる。
【0037】
上部電極7を構成する電極本体6としては、静電気拡散性又は導電性を有するものを用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を用いることができ、具体的には、金属、ガラス等が挙げられる。電極本体6の形状としては、特に限定されないが、例えば、平板状、ロール状などであってもよい。なお、電極本体3及び電極本体6の一方がロール状であり、他方が平板状である場合、ロールの回転軸と平板の主面とが平行関係にあり、回転軸と主面とを最短で結ぶ線上において吸着部と配置部とが所定の距離を隔てて対向できるように、電極4及び電極7を構成してもよい。また、電極本体3及び電極本体6の両方がロール状である場合、両方のロールの回転軸が平行関係にあり、回転軸同士を最短で結ぶ線上において吸着部と配置部とが所定の距離を隔てて対向できるように、電極4及び電極7を構成してもよい。
【0038】
吸着部5の材質としては、静電気拡散性又は導電性を有するものを用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を用いることができ、具体的には、金属、ガラス、及び、導電性PTFE等の導電性樹脂などが挙げられる。吸着部5の形状としては、特に限定されず、電極本体6の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよい。
【0039】
電極本体と吸着部とが一体である上部電極としては、例えば、金属、ガラス等の表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料から構成されるものを用いることができる。
【0040】
吸着部5の材質としては、絶縁性を有するものを用いることもできる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω超の材料を用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂などが挙げられる。吸着部5の形状としては、特に限定されず、電極本体6の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよく、電極本体とは分離可能なフィルムであってもよい。
【0041】
吸着部5は、配置部側に開口する開口パターン(複数の開口部(例えば凹部))が設けられていてもよい。このような吸着部5の形状としては、電極本体6の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよく、電極本体6とは分離可能なフィルムであってもよい。
【0042】
開口部は、開口部の底部側から配置部側に向けて開口面積が拡大するテーパ状に形成されていることが好ましい。開口部のサイズ(幅、容積、テーパ角度及び深さ等)は、収容する導電粒子のサイズに応じて設定すればよい。
【0043】
例えば、開口の幅は、導電粒子の粒径に対して、1.0~1.5倍とすることができ、1.05~1.45倍とすることができる。また、媒介粒子の粒径は、開口の幅に対して、2.0~110倍とすることができ、2.5~100倍とすることができる。
【0044】
開口部の形状は、開口の形状が円形であってもよく、楕円形、三角形、四角形、多角形等であってよい。底部については、平面以外の形状であってもよく、例えば、山型、谷型、微細な突起の集合体等であってよい。
【0045】
静電気拡散性又は導電性を有する吸着部5を構成する材料としては、例えば、シリコン、各種セラミックス、ガラス、ステンレススチール等の金属等の無機材料、並びに、各種樹脂等の有機材料を使用することができる。吸着部の開口部は、フォトリソグラフ法、ナノインプリント等の公知の方法によって形成することができる。また、吸着部5は、単層であってもよく、基体層と開口部が設けられた開口部層との積層体のように複数の層から構成されていてもよい。吸着部5が積層体である場合、例えば、PET等の基体層上に、光硬化性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフ法、ナノインプリント等の方法によって形成された開口部層を備えるフィルムであってもよい。吸着部の静電気拡散性又は導電性は、構成する材料の種類や表面処理等によって調節することができる。
【0046】
絶縁性を有する吸着部5を構成する材料としては、例えば、シリコン、各種セラミックス等の無機材料、並びに、各種樹脂等の有機材料を使用することができる。また、絶縁性を有する吸着部5を構成する材料としては、例えば、静電気拡散性又は導電性を有する材料に、シリコン、各種セラミックス等の無機材料、並びに、各種樹脂等の有機材料を積層又は被覆した材料を使用することもできる。吸着部の開口部は、フォトリソグラフ法、ナノインプリント等の公知の方法によって形成することができる。また、吸着部5は、単層であってもよく、基体層と開口部が設けられた開口部層との積層体のように複数の層から構成されていてもよい。吸着部5が積層体である場合、例えば、PET等の基体層上に、光硬化性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフ法、ナノインプリント等の方法によって形成された開口部層を備えるフィルムであってもよい。
【0047】
開口パターンは、目的とする配置で導電粒子を分散できるよう、適宜設定することができる。例えば、丸孔の開口部が直列で格子状に設けられていてもよく、60°千鳥であってもよい。また、開口パターンは、開口部が整列して設けられていてもよく、ランダムに設けられているものであってもよい。
【0048】
静電吸着装置1において、下部電極4と上部電極7とは所定の間隔を設けて配置されており、その電極間距離は0.5~100mmとすることができ、1~20mmであってもよく、2~15mmであってもよい。
【0049】
静電吸着装置1において下部電極4は移動可能であってもよく、この場合、配合粒子を連続的に供給することが容易となる。例えば、ベルト又は円柱状のローラーの表面に下部電極を設けることができる。
【0050】
静電吸着装置1において上部電極7は移動可能であってもよく、この場合、導電粒子を吸着させる吸着部を連続的に供給することが容易となる。例えば、ベルト又は円柱状のローラーの表面に上部電極を設けることができる。
【0051】
電源8は、下部電極及び上部電極の間に電界を形成できるものであればよく、例えば、公知の高圧電源を用いることができる。高圧電源は、直流電源であってもよく、交流電源であってもよい。
【0052】
制御部9は、例えば、印加する電圧の調整、印加時間等の機能を有することができる。
【0053】
<第1工程>
第1工程では、上述した静電吸着装置1の配置部2の凹部30に、媒介粒子に媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を配置する(収容する)。
図5は、配合粒子を示す模式図である。
図5に示すように、配合粒子Pは、媒介粒子10と、媒介粒子の表面に付着した導電粒子12とから構成される。
【0054】
媒介粒子10としては、静電気拡散性又は導電性を有している粒子であればよく、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を含む粒子を用いることができる。例えば、カーボン粒子、はんだ等の金属粒子、ガラス粒子、静電気拡散性を有する無機粒子を用いることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
媒介粒子10は、球状又は略球状であってもよく、表面に凹部、凸部、又は凹部及び凸部が設けられていてもよい。
【0056】
媒介粒子10の粒径は、配合粒子の凝集を抑制しつつ配合粒子を移動させやすくする観点から、30~500μmであってもよく、40~400μmであってもよく、50~300μmであってもよい。
【0057】
本実施形態においては、平均粒径が上記範囲である媒介粒子を用いてもよい。なお、本明細書において粒子の平均粒径は、粒子100個について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、それらの平均値を取ることにより得られる。なお、粒子が突起を有するなどの球形ではない場合、粒子の粒径は、SEMの画像における粒子に外接する円の直径とする。
【0058】
また、媒介粒子10は、第2工程が行われる静電吸着装置の配置部に配置して、後述する所定の条件で電界を印加したときに、下部電極(第一の電極)及び上部電極(第二の電極)の間で往復運動することを確認する方法により選定してもよい。
【0059】
導電粒子12としては、導電性の材料を含み、導電材料として機能するものであればよく、例えば、金、銀、ニッケル、銅、ハンダ等の金属粒子、カーボン粒子、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性粒子を金属等の導電物質で被覆した導電被覆粒子などが挙げられる。非導電性粒子を被覆する金属としては、金、銀、ニッケル、銅、ハンダ等が挙げられ、多層構造を有していてもよい。また、導電粒子は、導電粒子の外表面の少なくとも一部に絶縁性被覆(例えば、絶縁性微粒子など)が存在していてもよい。
【0060】
導電粒子は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
導電粒子12は、球状又は略球状であってもよく、導電粒子と導電粒子の外表面の少なくとも一部に設けられた複数の絶縁性微粒子とを備える複合粒子であってもよい。
【0062】
導電粒子12の粒径は、1~50μmであってもよく、2~50μmであってもよく、1~40μmであってもよく、1.5~30μmであってもよく、2~20μmであってもよい。
【0063】
本実施形態においては、平均粒径が上記範囲である導電粒子を用いてもよい。
【0064】
配合粒子Pを構成する媒介粒子の粒径は、導電粒子を効率よく吸着部に吸着させる観点から、導電粒子の粒径の5~200倍であってもよく、10~150倍であってもよく、10~100倍であってもよい。
【0065】
配合粒子Pは、媒介粒子と導電粒子とを混合することにより調製することができる。混合方法は特に限定されないが、例えば、撹拌機等の公知の混合手段を用いてもよく、媒介粒子及び導電粒子を入れた容器を振とうしてもよい。混合は、粒子が損傷しない範囲で行うことが好ましい。
【0066】
媒介粒子と導電粒子との配合割合は、媒介粒子の表面に導電粒子を充分に付着させるように適宜設定することができる。なお、導電粒子の配合量が多すぎると導電粒子の凝集が生じやすいため、導電粒子の凝集を抑制できる範囲で配合割合を設定することが好ましい。
【0067】
<第2工程>
第2工程では、第一の電極及び第二の電極の間に電界を形成して、配置部と吸着部との間で配合粒子を往復運動させて、導電粒子を吸着部に吸着させる。
【0068】
図6は、第2工程を説明するための図であり、
図6の(a)は、下部電極(第一の電極)及び上部電極(第二の電極)の間に電界を印加したときの配合粒子の往復運動(上下運動)を示す。配置部で上部電極と逆極性に帯電している配合粒子は静電引力によって上昇する。上昇した配合粒子は吸着部に接触する。このとき、粒径の大きい媒介粒子の表面に付着している粒径の小さい導電粒子が吸着部に吸着する。吸着部が静電気拡散性又は導電性を有する場合、吸着部に接触した配合粒子は、上部電極と同極性に帯電し、静電斥力と、本実施形態においては重力によって下降する。また、吸着部が絶縁性を有する場合、吸着部に接触した配合粒子は、導電粒子が吸着部に移動することで帯電がなくなり、本実施形態においては重力によって下降する。下降した配合粒子は配置部で上部電極と逆極性に帯電し、静電引力によって上昇する。これらの繰り返しによって、吸着部に導電粒子が吸着していく。また、導電粒子を媒介粒子の表面に付着させていることにより、導電粒子同士が凝集することを抑制でき、吸着部に吸着した導電粒子は粒子同士が離間して配置される。また、本実施形態においては、配置部が上記の凹部を有することにより、吸着部に吸着させた導電粒子の付着密度を高くすることができ、導電粒子の分散配置の効率を高めることができる。こうして、
図6の(b)に示すように、吸着部5に導電粒子12が吸着した上部電極7、すなわち導電粒子付き電極20が得られる。
【0069】
印加する電界強度としては、0.1~30kV/cmとすることができ、0.5~30kV/cmであってもよく、1~20kV/cmであってもよい。
【0070】
電界の印加は、連続的であってもよく、断続的であってもよい。
【0071】
電界の印加時間としては、吸着部に吸着させる導電粒子の量に応じて適宜設定することができる。
【0072】
第2工程を経て得られる導電粒子付き電極20は、そのまま導電粒子が離間して二次元的に配置された基材として用いてもよく、所定の基材上に導電粒子を移すために用いてもよい。
【0073】
また、吸着部5が開口パターンを有する場合、上記と同様に第2工程を行うことにより、吸着部5の開口部に導電粒子12が収容された上部電極7、すなわち導電粒子付き電極20が得られる。
【0074】
吸着部5が開口パターンを有する場合の本実施形態に係る分散方法は、吸着部に付着している、開口部に収容されている導電粒子以外の粒子(余剰粒子)を除去するための工程(以下、余剰粒子除去工程ともいう)を更に備えていてもよい。余剰粒子除去工程は、開口部に収容されている導電粒子を、所定の粘着性基材上に転写する前に行うことができる。この場合、吸着部から除去された粒子を回収してリサイクルしてもよく、余剰粒子のうちの少なくとも導電粒子を回収してリサイクルすることが好ましい。
【0075】
余剰粒子を除去する方法としては、エアブロー、ブラシ、スキージ等の物理的に除去する手段、イオナイザー等の静電的に除去する手段が挙げられる。
【0076】
本実施形態の導電粒子の分散方法においては、吸着部に吸着した導電粒子を、吸着部と対向するように配置された絶縁性を有する第2の吸着部に静電吸着させる工程(以下、第3工程ともいう)を更に備えることができる。
【0077】
<第3工程>
第3工程で用いられる静電吸着装置は、上述した静電吸着装置1における下部電極4に代えて第2工程を経て得られる導電粒子付き電極20を用い、上部電極7に代えて、導電粒子付き電極20の吸着部5と対向するように配置された絶縁性の第2の吸着部を備える第三の電極を用いること以外は静電吸着装置1と同様の構成を有することができる。
【0078】
第三の電極は、電極本体と第2の吸着部とから構成することができる。
【0079】
第三の電極を構成する電極本体としては、静電気拡散性又は導電性を有するものを用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω以下の材料を用いることができ、具体的には、金属、ガラス等が挙げられる。電極本体の形状としては、特に限定されないが、例えば、平板状、ロール状などであってもよい。
【0080】
第2の吸着部の材質としては、絶縁性材料を用いることができる。例えば、表面抵抗率が1×1013Ω超の材料を用いることができ、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂などが挙げられる。第2の吸着部の形状としては、特に限定されず、電極本体の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよく、電極本体とは分離可能なフィルムであってもよい。
【0081】
上述した静電吸着装置において、導電粒子付き電極と第三の電極との間に電界を形成することにより、導電粒子付き電極の導電粒子は第三の電極の極性とは反対の極性に帯電した状態となり、静電引用によって上昇し、第2の吸着部に吸着する。これにより、導電粒子が吸着した吸着部が得られる。
【0082】
第3工程が設けられていることにより、粒子密度を調整すること、導電粒子同士の間隔をより揃えることが容易となる。
【0083】
また、絶縁性の第2の吸着部に導電粒子が吸着することによる電界の減少作用によって、第2の吸着部に所定量の導電粒子が吸着した時点で導電粒子の静電吸着を止めることもでき、上記の効果が得られやすくなる。すなわち、導電粒子付き電極及び第三の電極の電極間の電界の強さは第2の吸着部に導電粒子が付着すればするほど小さくなることから、導電粒子付き電極の表面に導電粒子がなくなること以外に、電極間の電界を十分に小さくすることで導電粒子の飛翔を止めることもできる。この現象を利用し、例えば、導電粒子付き電極を移動可能にすることで十分な量の導電粒子を供給できるようにすれば、電界が十分弱くなるまで導電粒子を第三の電極の吸着部に吸着させることができる。このとき、導電粒子はすべて同じ極性に帯電していると考えられ、既に吸着している導電粒子と同じ場所に導電粒子が飛翔しても、静電反発力によって衝突をさけるように導電粒子が移動し、導電粒子が吸着していないところに吸着させることができる。よって、第3工程を設けることにより、特には、十分な数の導電粒子を吸着部に付着させつつ、粒子と粒子との間隔を略等間隔にすること、すなわち導電粒子密度と均一分散とを高水準で両立させることが期待できる。
【0084】
第2の吸着部は、配置部側に開口する開口パターン(複数の開口部)が設けられていてもよい。このような吸着部の形状としては、電極本体の表面に形成された膜若しくはフィルムであってもよく、電極本体とは分離可能なフィルムであってもよい。
【0085】
開口パターンを有する第2の吸着部は、絶縁性であることを除いて、上述した開口パターンを有する吸着部5と同様に設計することができる。
【0086】
また、上述した余剰粒子除去工程を行うことができる。
【0087】
第3工程で用いられる静電吸着装置において第三の電極は移動可能であってもよく、この場合、導電粒子を吸着させる吸着部を連続的に供給することが容易となる。例えば、ベルト又は円柱状のローラーの表面に第三の電極を設けることができる。また、第2の吸着部が連続的に供給されるフィルムであってもよい。
【0088】
上述した静電吸着装置では、第一の電極と第二の電極、及び導電粒子付き電極と第三の電極がそれぞれ重力方向に対して下側及び上側に配置されているが、本実施形態の導電粒子の分散方法においては、配合粒子又は導電粒子の移動方向が、水平であってもよく、重力方向に対して傾斜していてもよい。これらの場合においても、第一の電極、第二の電極及び第三の電極は上記と同様の構成とすることができる。更に、第1の工程、第2の工程及び第3の工程が連続的に実施されてもよい。
【0089】
本実施形態の導電粒子の分散方法によれば、導電粒子を離間させて二次元的に配置することができるため、導電性材料等の各種電子材料への適用が可能である。
【0090】
[静電吸着装置]
本実施形態の静電吸着装置は、静電気拡散性又は導電性を有する配置部、を有する第一の電極と、吸着部を有する第二の電極と、を備え、配置部と吸着部とが対向することができ、配置部が吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有する。吸着部は、静電気拡散性又は導電性を有するものであってもよく、絶縁性を有するものであってもよい。
【0091】
本実施形態の静電吸着装置は、上述した導電粒子の分散方法に用いられる静電吸着装置と同様の構成を有することができ、導電粒子の分散装置として機能することができる。
【0092】
図7は、静電吸着装置の一例を示す図である。この静電吸着装置は、第一の電極として、
図4の(g-1)及び(g-2)に示される複数の逆四角推状の凹部30gが格子のパターンで設けられている配置部2gを有し、第二の電極として、円柱状のローラー40の側面に設けられた吸着部5aを有し、配置部2gは矢印Bの方向(又はその他の方向)に水平移動することができ、吸着部5aは矢印Aの方向(又はその反対方向)に回転することができる。また、配置部2gが固定されており、吸着部5aが回転及び水平移動をしてもよい。
【0093】
本開示はまた、下記の[1]~[6]の発明を提供することができる。
[1] 静電気拡散性又は導電性を有する配置部を有する第一の電極と、配置部と対向する吸着部を有する第二の電極との間に電界を形成することにより、配置部に配置された、媒介粒子に該媒介粒子よりも粒径が小さい導電粒子を付着させた配合粒子を、配置部と吸着部との間で往復運動させて導電粒子を吸着部に吸着させる工程、を備え、配置部が吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有し、凹部に配合粒子が配置される、導電粒子の分散方法。
[2] 媒介粒子の粒径が、導電粒子の粒径の10~100倍である、上記[1]に記載の導電粒子の分散方法。
[3] 導電粒子の粒径が、2~50μmである、上記[1]又は[2]に記載の導電粒子の分散方法。
[4] 吸着部が、配置部側に開口する開口パターンを有している、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の導電粒子の分散方法。
[5] 静電気拡散性又は導電性を有する配置部、を有する第一の電極と、吸着部を有する第二の電極と、を備え、配置部と吸着部とが対向することができ、配置部が吸着部側に開口する凹部を有し、凹部は、吸着部側に向かって開口幅が増大するようにテーパがつけられている内壁面を有する、静電吸着装置。
[6] 吸着部が、配置部側に開口する開口パターンを有している、上記[5]に記載の静電吸着装置。
【実施例0094】
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0095】
[配合粒子の調製]
(調製例1)
ガラス製の容器に、媒介粒子として直径が120~150μmであるカーボン粒子(日本カーボン(株)製、製品名「NICA beads ICB-15020」)1200質量部、及び導電粒子として直径2.5μmのプラスチックのコア粒子の表面にNiめっきを施した平均粒径3μmの導電被覆粒子1質量部を入れ、容器を振って混ぜ合わせることにより配合粒子Pを得た。なお、得られた配合粒子Pを走査型電子顕微鏡により観察して、媒介粒子の表面に導電粒子が付着していることを確認した。
【0096】
[導電粒子の分散配置]
(実施例1)
上述した実施形態に係る静電吸着装置1と同様の構成を有する装置を用意した。この装置では、
図8の(a)に示されるように、下部電極4として、直径D
1が6mm、最大深さが0.5mmの半球面状の凹部30aが中央に設けられた銅板(奥行10cm×幅10cm×厚み0.5mm)を用い、上部電極7としてステンレス平板(奥行10cm×幅15cm×厚み1mm)を用い、電極間距離d
1を3mmに設定した。
【0097】
銅板(下部電極)の凹部に調製例1で得られた配合粒子Pを10~11mg配置し、電極間に0.7kVの電圧を印加して、配合粒子を上下運動させた。これにより、ステンレス平板の表面に導電粒子が離間して吸着した導電粒子付きステンレス平板を得た。
【0098】
(参考例1)
配置部に凹部が設けられていないこと以外は上述した実施形態に係る静電吸着装置1と同様の構成を有する装置を用意した。この装置では、
図8の(b)に示されるように、下部電極4として銅板(奥行10cm×幅10cm×厚み0.5mm)を用い、上部電極7としてステンレス平板(奥行10cm×幅15cm×厚み1mm)を用い、電極間距離d
2を3mmに設定した。
【0099】
銅板(下部電極)の6mm四方の領域に調製例1で得られた配合粒子Pを10~11mg配置し、電極間に0.8kVの電圧を印加して、配合粒子を上下運動させた。これにより、ステンレス平板の表面に導電粒子が離間して吸着した導電粒子付きステンレス平板を得た。
【0100】
[導電粒子の付着密度の評価]
導電粒子付きステンレス平板について、配合粒子を配置した領域の中心部の直上の部分を中心点とし、中心点から左右3mmの範囲(
図8の(a)におけるS
11、
図8の(b)におけるS
12)の導電粒子の付着密度を以下の手順で測定した。先ず、導電粒子付きステンレス平板の上記範囲が含まれる領域にセロハンテープを貼り付けて、セロハンテープに導電粒子を移した。次に、このセロハンテープを、マイクロスコープを用いて400倍に拡大して観測し、導電粒子数をカウントすることにより、1mm
2あたりの導電粒子数を粒子密度として算出した。
【0101】
実施例1で得られた導電粒子付きステンレス平板は、中心点から左右3mmの範囲において、2200個/mm2~3050個/mm2の粒子密度を有していることが確認された。一方、参考例1で得られた導電粒子付きステンレス平板は、中心点から左右3mmの範囲において、1100個/mm2~1250個/mm2の粒子密度を有していた。
1…静電吸着装置、2…配置部、3…電極本体、4…下部電極(第一の電極)、5…吸着部、6…電極本体、7…上部電極(第二の電極)、8…電源、9…制御部、10…媒介粒子、12…導電粒子、20…導電粒子付き電極、30…凹部、P…配合粒子。