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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029826
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20240229BHJP
   H04N 19/85 20140101ALI20240229BHJP
   H04N 19/33 20140101ALI20240229BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/85
H04N19/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132223
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】井口 和久
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159KK54
5C159LA02
5C159LB11
5C159MA04
5C159MA05
5C159MA17
5C159MA32
5C159PP04
5C159RC11
5C159SS05
5C159SS08
5C159TA68
5C159TB10
5C159UA02
5C159UA05
(57)【要約】
【課題】伝送路に適した複数の品質の画像(映像)配信を実現しつつ、さらに高品質な画像(映像)を提供できるようにすることのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置が、高解像化成分抽出部と、合成部とを備える。高解像化成分抽出部は、第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する。合成部は、任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する高解像化成分抽出部と、
任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する合成部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された符号化映像信号をデコードすることによって得られた画像である、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、
第3解像度の第5画像をアップコンバートして第4解像度の第6画像を生成する第1アップコンバート部と、
前記第4画像をアップコンバートすることによって前記第4解像度の第7画像を生成する第2アップコンバート部と、
前記第6画像と前記第7画像に基づく画像とを加算して、前記第4解像度の第8画像を生成する加算部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項4】
前記第2解像度と前記第3解像度とは同一の解像度であり、
前記第3画像と前記第5画像とは同一の画像である、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部、
をさらに備え、
前記加算部は、前記第6画像と前記第9画像とを加算することによって、前記第8画像を生成する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第6画像のエッジを強調する処理を行うことによって第10画像を生成する第2画像処理部と、
前記第6画像と前記第10画像との差を表す第11画像を生成する第2差分抽出部と、
前記第11画像に基づいて前記第7画像に基づく画像の調整を行うことによって、第12画像を生成する調整部と、
をさらに備え、
前記加算部は、前記第6画像と前記第12画像とを加算することによって、前記第8画像を生成する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部、
をさらに備え、
前記調整部は、前記第11画像に基づいて前記第9画像の調整を行うことによって、前記第12画像を生成する、
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、
前記第4画像に基づく画像と、前記第2解像度の第5画像と、を加算して前記第2解像度の第6画像を生成する加算部と、
前記第6画像をアップコンバートすることによって第3解像度の第7画像を生成するアップコンバート部と、
を具備する画像処理装置。
【請求項9】
前記第4画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第2解像度の第8画像を生成する第1画像処理部、
をさらに備え、
前記加算部は、前記第8画像に基づく画像と前記第5画像とを加算することによって、前記第6画像を生成する、
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第5画像のエッジを強調する処理を行うことによって第9画像を生成する第2画像処理部と、
前記第5画像と前記第9画像との差を表す第10画像を生成する第2差分抽出部と、
前記第10画像に基づいて前記第4画像に基づく画像の調整を行うことによって、第11画像を生成する調整部と、
をさらに備え、
前記加算部は、前記第5画像と前記第11画像とを加算することによって、前記第6画像を生成する、
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1画像と前記第3画像と前記第5画像とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された符号化映像信号をデコードすることによって得られた画像である、
請求項3または8に記載の画像処理装置。
【請求項12】
請求項3または8に記載の画像処理装置を備える第3アップコンバート部が、前記第1画像をアップコンバートして前記第2画像を生成する、
請求項3または8に記載の画像処理装置。
【請求項13】
第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する高解像化成分抽出部と、
任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する合成部と、
を備える画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラム。
【請求項14】
第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、
第3解像度の第5画像をアップコンバートして第4解像度の第6画像を生成する第1アップコンバート部と、
前記第4画像をアップコンバートすることによって前記第4解像度の第7画像を生成する第2アップコンバート部と、
前記第6画像と前記第7画像に基づく画像とを加算して、前記第4解像度の第8画像を生成する加算部と、
を具備する画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラム。
【請求項15】
第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、
前記第4画像に基づく画像と、前記第2解像度の第5画像と、を加算して前記第2解像度の第6画像を生成する加算部と、
前記第6画像をアップコンバートすることによって第3解像度の第7画像を生成するアップコンバート部と、
を具備する画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信を用いて映像を配信するシステムでは、通信回線の品質の動的な変化に応じた受信側からの要求に基づいて、適切な品質の映像信号を配信することが行われている。このようなシステムでは、サービス品質を動的に変えるためのスケーラブル符号化が用いられている。このようなシステムでは、通信回線における品質が低下した場合には、優先的に伝送されるべき映像データのみが配信される。つまり、そのような場合には、伝送すべき情報量の少ない映像、即ち低画素数あるいは低フレームレートの映像が配信され、受信機側で受像される。そして、通信品質が向上するにつれて伝送すべき情報量のより多い映像、即ち高品質な映像を構成するデータが配信される。つまり、このようなシステムでは、通信回線の状況に適した情報量を持つ映像がサービスされる。
【0003】
スケーラブル符号化には品質の変動に応じたサービスを提供する機能のみではなく、画素数の異なるサービスの同時実現という点で有効な符号化方法である。しかし、これまでの放送では伝送品質が保証されており、ある程度高品質な映像伝送が実現されていること、また、複数の画素数の異なるサービスが行われていないことから、システムの複雑度が上がるスケーラブル符号化は導入されていない。
【0004】
しかしながら、放送のデジタル化以降、新たな映像フォーマットとして2つの異なる画素数の映像フォーマット(4K映像(画素数は、横3840×縦2160)、8K映像(画素数は、横7680×縦4320))がUHDTV(Ultra High-Definition Television,超高精細画質テレビ)として国際的に標準化され、4K映像や8K映像の受像機が一般に普及し始めている。即ち、最も一般的であったHD(High-Definition。画素数は、横1920×縦1080。)の画素数の受像機に加え、表示画素数の多い4K受像機や8K受像機が市場で普及し始めている。
【0005】
上記のような環境の中で放送においても、多種多様な表示能力を持つ受像機向けに、複数品質による映像配信サービスが求められている。即ち、放送サービスにおけるスケーラブル符号化の導入の必要性が高まっている。
【0006】
現在の放送サービスでは符号化効率上はスケーラブル符号化に劣るものの、それぞれの解像度サービスが独立して伝送されているが同様なサービスを実現されている。例えば、現在の地上デジタル放送では、移動体向け放送として行われているワンセグサービス(320×240画素)と固定受信向けにフルセグサービス(1920×1080画素)で同時に放送が行われている。
【0007】
例えば特許文献1の請求項1には、スケーラブル符号化画像を送信する送信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-005901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、複数品質の映像の伝送を実現するためには複数品質の映像をそれぞれ符号化して複数の符号化データを伝送する方法と、スケーラブル符号化を用いて同じ映像を複数の品質で一つの符号化データとして伝送する方法が考えられる。それぞれ符号化する場合、例えば4K映像のみを単独で符号化した結果得られる符号化データと、2K映像を符号化したデータとを同時に用意する必要があり、単一の品質の映像を伝送する場合に比べて高い伝送容量の回線(無線・有線を含む)を必要とする。また、スケーラブル符号化を行った場合、4Kと2Kの映像間の信号の類似度に伴う信号の冗長性を圧縮できることから、それぞれ符号化した場合と比べ少ない伝送容量の回線での伝送が可能であるが、2Kおよび4K向けのサービスを実現できる分、単独の回線、例えば4K伝送のために必要となる回線よりも高い能力を有する伝送路が要求される。
【0010】
このように、複数の品質の映像を伝送することによって、最終的には想定している伝送路の容量を超える符号化データになる可能性がある。即ち、サービスを実現できない可能性がある。スケーラブル符号化を用いた伝送を行う場合には複数の品質の映像の効率的な伝送を実現できるが、スケーラブル符号化を用いる場合においてもなお伝送容量が足りない場合には、それらの品質(解像度)の映像信号のすべてを伝送できない場合がある。
【0011】
つまり、スケーラブル符号化を行う場合にも行わない場合にも、複数の品質(解像度)の映像を配信する場合には伝送容量の問題が生じる可能性もある。
【0012】
従来技術による放送においても、例えばハイビジョン放送を実現することができないほど伝送路のビットレートが少ない場合には、本来の映像が有する横1920×縦1080の画素数を、伝送時に横1440×縦1080の画素数まで減らす方法が取られる場合がある。このような映像を受信した受像機側では、フィルター処理(アップコンバートあるいはアップサンプリング)をすることによって横1920×縦1080の画素数に戻してから表示している。あるいは近年ではより高解像度の受像機能が一般的に商品化されており、表示能力が4K画素数を超える場合があり、ハイビジョン放送(1920×1080画素)を受像する4K受像機においては受像機内部において表示画素数までフィルター処理によって4K画素数まで画素数を増やしてから表示している。
【0013】
近年では、上記のフィルター処理に加え、高度な画像処理を併用した超解像技術によるアップコンバートも用いられている。しかしながら、フィルター処理あるいは高度な処理を併用したアップコンバート技術のいずれであっても、単一の低品質な映像から高品質な映像を再構成する際には精細感の再現が困難である。また、処理の誤適用によって不自然な映像が再構成されてしまうなどといった問題も生じ得る。
【0014】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、伝送路に適した複数の品質の画像(映像)配信を実現しつつ、さらに高品質な画像(映像)を提供できるようにすることのできる画像処理装置、およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による画像処理装置は、第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する高解像化成分抽出部と、任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する合成部と、を備える。
【0016】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]の画像処理装置において、前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された符号化映像信号をデコードすることによって得られた画像である、というものである。
【0017】
なお、上記[1]の画像処理装置において、前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化されているか否かに関わらず、複数の解像度の異なる映像を符号化したものであってよい。
【0018】
[3]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による画像処理装置は、第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、第3解像度の第5画像をアップコンバートして第4解像度の第6画像を生成する第1アップコンバート部と、前記第4画像をアップコンバートすることによって前記第4解像度の第7画像を生成する第2アップコンバート部と、前記第6画像と前記第7画像に基づく画像とを加算して、前記第4解像度の第8画像を生成する加算部と、を具備するものである。
【0019】
[4]また、本発明の一態様は、上記[3]の画像処理装置において、前記第2解像度と前記第3解像度とは同一の解像度であり、前記第3画像と前記第5画像とは同一の画像である、というものである。
【0020】
[5]また、本発明の一態様は、上記[3]または[4]の画像処理装置において、前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部、をさらに備え、前記加算部は、前記第6画像と前記第9画像とを加算することによって、前記第8画像を生成する、というものである。
【0021】
[6]また、本発明の一態様は、上記[3]から[5]までのいずれかの画像処理装置において、前記第6画像のエッジを強調する処理を行うことによって第10画像を生成する第2画像処理部と、前記第6画像と前記第10画像との差を表す第11画像を生成する第2差分抽出部と、前記第11画像に基づいて前記第7画像に基づく画像の調整を行うことによって、第12画像を生成する調整部と、をさらに備え、前記加算部は、前記第6画像と前記第12画像とを加算することによって、前記第8画像を生成する、というものである。
【0022】
[7]また、本発明の一態様は、上記[6]の画像処理装置において、前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部、をさらに備え、前記調整部は、前記第11画像に基づいて前記第9画像の調整を行うことによって、前記第12画像を生成する、というものである。
【0023】
[8]また、本発明の一態様による画像処理装置は、第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、前記第4画像に基づく画像と、前記第2解像度の第5画像と、を加算して前記第2解像度の第6画像を生成する加算部と、前記第6画像をアップコンバートすることによって第3解像度の第7画像を生成するアップコンバート部と、を具備するものである。
【0024】
[9]また、本発明の一態様は、上記[8]の画像処理装置において、前記第4画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第2解像度の第8画像を生成する第1画像処理部、をさらに備え、前記加算部は、前記第8画像に基づく画像と前記第5画像とを加算することによって、前記第6画像を生成する、というものである。
【0025】
[10]また、本発明の一態様は、上記[8]または[9]の画像処理装置において、前記第5画像のエッジを強調する処理を行うことによって第9画像を生成する第2画像処理部と、前記第5画像と前記第9画像との差を表す第10画像を生成する第2差分抽出部と、前記第10画像に基づいて前記第4画像に基づく画像の調整を行うことによって、第11画像を生成する調整部と、をさらに備え、前記加算部は、前記第5画像と前記第11画像とを加算することによって、前記第6画像を生成する、というものである。
【0026】
[11]また、本発明の一態様は、上記[3]から[10]までのいずれかの画像処理装置において、前記第1画像と前記第3画像と前記第5画像とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された符号化映像信号をデコードすることによって得られた画像である、というものである。
【0027】
[12]また、本発明の一態様は、上記[3]から[10]までのいずれかの画像処理装置において、上の[3]から[10]までのいずれかの構成の画像処理装置を備える第3アップコンバート部が、前記第1画像をアップコンバートして前記第2画像を生成する処理を行うものである。本態様は、再帰的な構成である。つまり、[3]から[10]までのいずれかの画像処理装置は、第3アップコンバート部内における画像処理を行う。
【0028】
[13]また、本発明の一態様は、第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する高解像化成分抽出部と、任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する合成部と、を備える画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラムである。
【0029】
[14]また、本発明の一態様は、第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、第3解像度の第5画像をアップコンバートして第4解像度の第6画像を生成する第1アップコンバート部と、前記第4画像をアップコンバートすることによって前記第4解像度の第7画像を生成する第2アップコンバート部と、前記第6画像と前記第7画像に基づく画像とを加算して、前記第4解像度の第8画像を生成する加算部と、を具備する画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラムである。
【0030】
[15]また、本発明の一態様は、第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部と、前記第4画像に基づく画像と、前記第2解像度の第5画像と、を加算して前記第2解像度の第6画像を生成する加算部と、前記第6画像をアップコンバートすることによって第3解像度の第7画像を生成するアップコンバート部と、を具備する画像処理装置、としてコンピューターを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、高解像化成分抽出部は、第1解像度の第1画像と、前記第1解像度よりも高い解像度である第2解像度の第2画像とを取得し、前記第1画像と前記第2画像とを基に、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である高解像化成分を抽出する。合成部は、任意の解像度である第3解像度の第3画像について、アップコンバート処理をするとともに、前記高解像化成分抽出部が抽出した前記高解像化成分を適用することによって、前記第3画像を高解像化して第4画像として出力する。これにより、画像処理装置は、入力される画像の高解像化(超高解像化)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の各実施形態の画像処理装置に共通する基本的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第2実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第3実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第4実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第5実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第6実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第7実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第8実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。
図10】第1実施形態から第8実施形態までのいずれかの画像処理装置を含んだコンテンツ配信システムの概略機能構成を示すブロック図である。
図11】第1実施形態から第8実施形態までのそれぞれにおける各装置の内部構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。下で説明する実施形態では、伝送路に適した複数の品質による映像の配信を実現しつつ、さらに高品質な映像サービスを提供することができるようになる。スケーラブル符号化の方式では、エンコーダーが、高品質かつオリジナルの画素数を有する入力画像を基に、サービスすべき画素数の映像のデータを生成する。サービスすべき画素数がオリジナルの画素数よりも少ない場合(相対的に低解像の場合)にはダウンコンバート技術が用いられる。サービスすべき画素数がオリジナルの画素数よりも多い場合(相対的に高解像の場合)にはアップコンバート技術が用いられる。
【0034】
一般的に、ダウンコンバートは情報量を減らす処理であるため、その処理方法によって品質差は生じ得るものの、適切に制御されていれば十分な精細感を維持した映像が得られる。アップコンバートが必要となる場合には従来技術のアップコンバート技術を適用する。
【0035】
スケーラブルエンコーダーは、オリジナルの画素数の映像に加えてオリジナルとは異なる画素数の映像を複数生成し、それらの中の最も低画素数の映像を第1に符号化する。エンコーダーは、所定の符号化単位(符号化単位の例は、一般的にはフレーム(スライスやピクチャを含む)や符号化ブロック)の符号化が完了した時点でデコード処理を行い、次に高画素数の映像の画素数までアップコンバートした映像を参照フレームメモリに格納する。そして、エンコーダーは、次に行う高画素数の映像の符号化において上で格納した映像も予測参照画像として利用する。この第2の符号化においては、エンコーダーは、高画素数の入力信号および既符号化済み且つ復号済み映像で構成される予測参照画像に加え、アップコンバートした予測参照画像を用いて符号化処理を行う。このように、エンコーダーは、第1の符号化処理によって得られた領域に対応する、アップコンバートされた復号映像も信号予測として用いることによって、単体で符号化するよりも効率的な符号化を実現する。
【0036】
また、エンコーダーは、所定の符号化単位(イントラ予測の場合には符号化ブロック単位、インター予測の場合にはフレーム単位)の符号化が完了した時点で、即時符号化ストリームのデコード処理を行い、映像を参照メモリーに格納する。さらに高画素数の映像のレイヤーの符号化を行う場合には、エンコーダーは、同時に高画素数の映像画素数までアップコンバートした映像を、高画素数の映像符号化用の予測参照メモリーにも格納する。このようにして、低画素数の復号映像のアップコンバート映像で効率的な予測が実現できる場合において、スケーラブル符号化が大いに性能を発揮する。
【0037】
一方で、アップコンバートの拡大処理の方法の多く(例えば、バイキュービック法や線形補間法など)は、拡大によってボケた映像を生成するため、ディテールの再現が難しい場合が多い。つまり、本来精緻な高画素数映像の信号予測が適切に予測できない場合も多く、符号化効率の向上が実現できない場合もある。そういった場合には、アップコンバートによる予測参照信号を予測に用いずに復号済みの既符号化領域の高画素数映像のみを用いて信号予測および差分信号の符号化を行う。このような、アップコンバート映像を予測に用いたか用いなかったかを表す情報は、符号化情報の一部として伝送される。受信機側のデコーダーは、その情報に基づいて処理種別を識別しながら適切に復号していく。受信機側では、復号により、受信機の性能で許容される範囲で複数の低画素数の復号映像と高画素数の復号映像が得られる。受信機側では、高画素数の復号処理において、予測処理の選択情報を用いる。この選択情報とは、低画素数映像のアップコンバート映像を参照するか否かを表す情報である。これによって、受信機側では、当該部分画像がアップコンバートによって相対的に再現性良く拡大可能な領域であるか否かを疑似的に判断することができる。
【0038】
つまり、例えば低画素数の映像を用いて予測が行われている領域であれば、同様のアップコンバート処理を用いてさらに拡大処理が有効であると判断できる。逆にそうでない領域であれば、拡大処理の後処理が重要であると判断できる。この両者の違いは、アップコンバートによってボケるエッジ部やテクスチャーを多く含む領域かどうかが大きな要因である。つまり、アップコンバート処理によるエッジ部やテクスチャーの保存が重要である。つまり、低画素数の映像を用いて予測が行われている領域は、さらにアップコンバートによって画素数を増やしても自然な映像を生成できる可能性が高い領域である。そうでない領域は、アップコンバートでは再現できない映像の特徴を持った領域である。
【0039】
そこで、下の複数の実施形態では、(1)低解像度復号画像と、(2)そのアップコンバート画像と、(3)高解像度復号画像とを組み合わせることによって、より高解像度画像を生成する。
【0040】
[基本構成]
図1は、下記の各々の実施形態における画像処理装置に共通する基本的な構成を示すブロック図である。ここで、各実施形態による画像処理装置を代表するものが、画像処理装置301である。画像処理装置301は、デコーダー11と、高解像化成分抽出部312と、合成部317とを含むように構成される。この構成のうち、高解像化成分抽出部312の機能と合成部317の機能とを合わせて、アップコンバート部308と呼んでもよい。各部の機能は、次の通りである。
【0041】
デコーダー11は、画像処理装置301が外部から取得した符号をデコードし、画像を出力する。図示する構成においては、デコーダー11は、第1画像(第1解像度)と、第2画像(第2解像度)と、第3画像(第3解像度)とを、それぞれデコードし、出力する。解像度は、画像における単位長さ当たりの画素数などの数値で表わされ得る。ここで、第1解像度は、相対的に低い解像度である。第2解像度は、第1解像度よりも高い解像度である。第3解像度は、任意の解像度である。なお、第1画像と第2画像と第3画像とは、解像度が互いに異なり得るものの、同じ内容(絵)を表す画像である。なお、デコーダー11は、映像(それぞれの解像度の画像の系列)をデコードして出力するものであってもよい。
【0042】
デコーダー11は、一例として、スケーラブル符号化された複数の画像(映像)をデコードするものであってよい。つまり、第1画像(低解像度)と第2画像(高解像度)と第3画像(任意の解像度)とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された符号化映像信号を基に、デコーダー11がデコードすることによって得られる画像である。
【0043】
デコーダー11は、第1画像と第2画像とを高解像化成分抽出部312に渡す。また、デコーダー11は、第3画像を合成部317に渡す。
【0044】
なお、第2画像と第3画像とが同一の画像(同一の解像度)であってもよい。即ち、第3画像は、第2画像であってもよい。この場合には、デコーダー11は、第2画像と同一の画像(同一の解像度)である第3画像を、合成部317に渡す。
【0045】
高解像化成分抽出部312は、デコーダー11から渡される第1画像および第2画像を基に、高解像化成分を抽出する。高解像化成分抽出部312は、抽出された高解像化成分を合成部317に渡す。ここで、高解像化成分とは、相対的に低解像度の画像を高解像化するための画像成分である。言い換えれば、相対的に低解像度である第1画像を単純にアップコンバート(例えば、線形補間処理等)しただけでは得られない画像成分が高解像化成分である。相対的に低解像度である画像を単純にアップコンバートするとともに、高解像成分をその画像に適用することによって、画像を高解像化することができる。なお、ここで高解像化成分を適用することによって高解像化する処理は、真に高解像化するための処理であってもよく、また擬似的に高解像化する(つまり、ナチュラルに高解像らしく見えるようにする)ための処理であってもよい。
【0046】
合成部317は、デコーダー11から渡される第3画像を高解像化して第4画像を生成し、出力する。合成部317は、具体的には次の2つの処理を行うことによって第3画像の高解像化を行う。第1の処理は、アップコンバート処理である。アップコンバート処理は、既存技術による手法(例えば、線形補間等。ただしその他の手法であってもよい。)によって実現可能である。第2の処理は、上記の高解像化成分抽出部312が抽出した高解像化成分を、第3画像に適用する処理である。高解像化成分を適用する処理とは、例えば、高解像化成分を単純に重畳する処理である。
【0047】
合成部317は、上記の第1の処理および第2の処理を、任意の順序で行ってよい。つまり、合成部317は、まず上記第1の処理を行ってからその結果に対して上記第2の処理を行ってもよい。また、逆に、合成部317は、まず上記第2の処理を行ってからその結果に対して上記第1の処理を行ってもよい。
【0048】
このようにして、画像処理装置301は、第3画像の高解像化を行うことができる。具体的な処理のバリエーションについては、下の各実施形態で説明する。
【0049】
[第1実施形態]
図2は、本発明の第1実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置1は、デコーダー11と、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16と、加算部17とを含んで構成される。なお、画像処理装置1が持つ構成のうち、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16と、加算部17とを含んで成る部分を、アップコンバート部8と呼ぶ。アップコンバート部8が持つ構成および機能については、後で説明する別の実施形態においても参照する。
【0050】
画像処理装置1が持つそれぞれの機能部を、例えば、コンピューターと、プログラムとで実現することが可能である。また、各機能部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリーである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。また、各機能部の少なくとも一部の機能を、コンピューターとプログラムで実現する代わりに専用の電子回路として実現してもよい。
【0051】
本実施形態の画像処理装置1は、相対的に高解像度の画像と相対的に低解像度の画像とを入力し、それらそれぞれの画像の符号化および復号を行った後に、より高解像度の超高解像度画像を生成して出力するものである。これらの高解像度の画像および低解像度の画像は、同一のコンテンツの、互いに解像度の異なる画像のデータである。言い換えれば、これらの画像は、スケーラブル符号化された画像である。なお、画像処理装置1は、所定のフレームレートで入力されるフレーム画像の系列(映像)を処理の対象としてよい。
【0052】
なお、低解像度の画像の一例は2K画像(画素数が、横1920画素×縦1080画素)であり、高解像度の画像の一例は4K画像(画素数が、横3840画素×縦2160画素)であり、超高解像度の画像の一例は8K画像(画素数が、横7680画素×縦4320画素)である。ただし、それぞれの解像度の画像の画素数は、ここに例示したものに限られず、他の数値の画素数であってもよい。また、アップコンバートの処理における拡大倍率は、2倍であってもよいし、他の数値であってもよい。
【0053】
以下の説明において、2つの画像の加算あるいは減算(差分抽出)を行う場合がある。この場合、その処理を行う各部は、第1の画像内のある画素の画素値と、前記画素に対応する第2の画像内の画素の画素値とを加算あるいは減算する。それらの加算あるいは減算の結果の画素値を有する画素からなる画像が、それぞれ、加算結果の画像あるいは減算(差分抽出)結果の画像である。なお、映像信号の減算処理においては負値となる場合があるため、処理系によっては信号処理における信号のダイナミックレンジの中央値(例えば、8bit信号の場合には128、10bit信号の場合には512)をオフセットとして加算した映像信号を用い、正値によって処理を行う場合もある。
【0054】
デコーダー11は、画像処理装置1が外部から取得した映像符号化信号をデコードし、画像を出力する。外部からの符号は、例えば、放送信号から抽出されるものである。
【0055】
つまり、デコーダー11は、画像処理装置1に入力される高解像度の画像および低解像度の画像の符号化信号を復号して出力する。デコーダー11は、復号した低解像度の画像を、アップコンバート部12に渡す。また、デコーダー11は、復号した高解像度の画像を、差分抽出部13とアップコンバート部16とにそれぞれ渡す。なお、デコーダー11が持つ復号の処理の機能が、画像処理装置1の外部に存在していてもよい。
【0056】
低解像度画像(後述する第1画像)と高解像度画像(後述する第3画像および第5画像)とのうちの少なくとも2つの画像は、スケーラブル符号化された映像符号化信号をデコードすることによって得られた画像であってもよい。つまり、デコーダー11は、スケーラブル符号化された映像符号化信号をデコードすることにより、これらの低解像度画像および高解像度画像を得る。なお変形例として、ここで、デコーダー11から差分抽出部13に渡される画像の解像度と、デコーダー11からアップコンバート部16に渡される画像の解像度とが、異なっていてもよい。
【0057】
アップコンバート部12は、デコーダー11から渡される低解像度の画像をアップコンバートする処理を行うことによって、高解像度の画像の画素数に合わせる。なお、アップコンバート部12によるアップコンバートの倍率は、横方向および縦方向それぞれの解像度の倍率である。アップコンバートの倍率を、例えば2.0や1.5や4/3(約1.333)等としてよいが、その他の数値としてもよい。
【0058】
アップコンバート部12によるアップコンバートの処理自体は、既存技術を用いて実現可能である。アップコンバートの処理により、画像の解像度が上がる。アップコンバートする際に新たに生成される画素の画素値は、例えば補間処理によって定まる。また、アップコンバートする際に、学習用データ(画像)を用いて機械学習済みのモデルを用いて画素値を算出するようにしてもよい。なお、以下で説明するアップコンバート部12以外のアップコンバート部においても同様である。
【0059】
差分抽出部13は、アップコンバート部12から渡される画像(アップコンバートしたことによって得られた高解像度画像)と、デコーダー11から渡される高解像度画像とに基づく減算処理を行う。つまり、差分抽出部13は、これら両者の画像内の対応する画素の画素値同士の減算を行う。ただし、処理系によっては減算された画素値に信号のダイナミックレンジの中央値をオフセットとして加算した信号によって処理を行う場合もある。言い換えれば、差分抽出部13は、アップコンバート部12から渡される画像と、デコーダー11から渡される高解像度画像との、差分の画像を求める。この差分の画像は、高解像度画像に含まれる情報のうち、低解像度画像からのアップコンバート処理では再現できない成分の情報を表す画像である。差分抽出部13は、求められた差分の画像を、アップコンバート部14に渡す。
【0060】
差分抽出部13は、画素値の差分を算出する代わりに、デコーダー11から渡される高解像度の信号からエッジ抽出処理を直接実施してもよい。ここでエッジを抽出する処理としては、Sobel(ソーベル)フィルター、Laplacian(ラプラシアン)フィルター、Canny(キャニー)フィルター、あるいはHough(ハフ)変換などといった手法を利用することができる。ここでは、入力される画像の特徴を強調する処理を行う。
【0061】
アップコンバート部14は、差分抽出部13から出力される画像(前記の差分の画像)についてのアップコンバートの処理を行う。差分抽出部13から出力される画像は、前述の通り、高解像度画像に含まれる情報のうち低解像度画像からのアップコンバート処理では再現できない成分の情報を持つものであったが、アップコンバート部14は、その情報の解像度を超高解像度のレベルまで向上させる。言い換えれば、アップコンバート部14が出力する画像は、高解像度画像からアップコンバートすることによって得られる超高解像度画像(後述するアップコンバート部16からの出力)では再現できない、本来の超高解像度画像が持つはずの成分のみの情報を模擬的に持つものである。さらに言い換えれば、アップコンバート部14が出力する画像は、高解像度画像からアップコンバートすることによって得られる超高解像度画像(後述するアップコンバート部16からの出力)と、想定される本来の超高解像度画像との差分を模擬する(あるいは推定する)情報である。アップコンバート部14が出力する画像の信号を、高解像度画像からアップコンバートすることによって得られる超高解像度画像(後述するアップコンバート部16からの出力)を補強するための補強信号と呼んでもよい。アップコンバート部14は、この処理結果の画像を画像処理部15に渡す。
【0062】
画像処理部15は、アップコンバート部14から出力される画像のデータについて所定の画像処理を行う。差分抽出部13から出力される信号は、アップコンバート部14でのアップコンバートの処理によってボケた補強信号となる。そこで、画像処理部15は、例えばアップコンバートの拡大率に応じた強調処理を、入力される画像に対して実施する。ここで画像処理部15が行う処理は、例えば、Laplacian(ラプラシアン)フィルター(ラプラシアンオペレーターを用いたエッジ強調)やアンシャープマスクなどといった鮮鋭化フィルター処理であってよい。
【0063】
なお、本実施形態の画像処理装置1は画像処理部15を含んで構成されるが、変形例として、画像処理装置1が画像処理部15を持たないようにしてもよい。その場合には、アップコンバート部14から出力される画像のデータが、直接、加算部17に渡される。つまり、この場合には、前記の補強信号を強調する処理(鮮鋭化フィルターの処理)が行われない。そのような場合にも、アップコンバート部14から出力される画像のデータは、補強信号として、加算部17に渡される。
【0064】
アップコンバート部16は、上記の処理の一方で、デコーダー11から渡される高解像度画像の、さらなる高解像度の画像(超高解像度画像)へのアップコンバートの処理を行う。アップコンバート部16は、その処理の結果の画像を、加算部17に渡す。
【0065】
加算部17は、アップコンバート部16から渡される画像(超高解像度にアップコンバートされた画像)と、画像処理部15から渡される画像(超高解像度に相当する補強信号)とを加算する。つまり、加算部17は、上記の両方の画像の対応する画素同士の画素値を加算して、出力する画像における画素値とする。補強信号の情報が加算部17によって反映されているため、加算部17が出力する超高解像度の画像は、アップコンバート部16によるアップコンバートの処理だけでは得られない精細度の画像である。加算部17は、加算の結果として得られる超高解像度の画像を、外部に出力する。
【0066】
以上説明したように、アップコンバート部8は、同一のコンテンツを表す2種類の画像(図2に示した例では、低解像度画像と高解像度画像)を基に、超高解像度画像を生成して出力する。
【0067】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、前実施形態において既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0068】
図3は、第2実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置2は、デコーダー11と、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16と、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23と、加算部27と、を含んで構成される。なお、画像処理装置2が持つ構成のうち、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16と、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23と、加算部27とを含んで成る部分を、アップコンバート部9と呼ぶ。アップコンバート部9が持つ構成および機能については、後で説明する別の実施形態においても参照する。
【0069】
画像処理装置2を構成する各機能部も、既に説明した実施形態と同様に、コンピューターとプログラムとを用いて実現可能である。また、画像処理装置2を構成する各機能部の少なくとも一部を、専用の電子回路を用いて実現してもよい。
【0070】
本実施形態は、第1実施形態の画像処理装置の処理をより高度にしたものである。具体的には次に説明する通りである。
【0071】
本実施形態の特徴は、画像処理装置2が、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23とを持っている点である。そして、加算部27は、比較部23から出力される画像と、アップコンバート部16から出力される画像とを加算する。本実施形態において、デコーダー11と、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16とは、それぞれ、第1実施形態で説明した機能と同様の機能を持つ。ただし、アップコンバート部16は、本実施形態において、出力する画像(高解像度画像をアップコンバートした結果の画像)を、画像処理部21と、差分抽出部22と、加算部27とに渡す。
【0072】
アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15とは、デコーダー11から出力される低解像度画像および高解像度画像に基づいて、第1実施形態と同様の処理を行う。また、アップコンバート部16は、デコーダー11から出力される高解像度画像に基づいて、第1実施形態と同様の処理を行う。
【0073】
画像処理部21は、アップコンバート部16が出力する画像(高解像度画像をアップコンバートした結果の画像)を受け取り、その画像に対する所定の処理を行う。画像処理部21が行う処理は、例えば、アップコンバート部16における拡大率に応じた強調処理(エッジ強調処理)である。画像処理部21は、具体的には、例えば、Laplacian(ラプラシアン)フィルター(ラプラシアンオペレーターを用いたエッジ強調)やアンシャープマスクなどといった鮮鋭化フィルター処理を行う。言い換えれば、画像処理部21は、入力される画像の特徴を強調する。画像処理部21は、処理結果の画像を差分抽出部22に渡す。
【0074】
差分抽出部22は、アップコンバート部16が出力した画像と、上記の画像処理部21が出力した画像との、差分の画像を求める。差分抽出部22は、これら2つの画像の相互に対応する画素の画素値の差を取る(減算する)ことにより、差分の画像を求める。差分の画像は、画像処理部21によって強調されたエッジ成分を表す情報である。ただし、処理系によっては減算された画素値に信号のダイナミックレンジの中央値をオフセットとして加算した正値の信号によって処理を行う場合もある。
【0075】
差分抽出部22は、画素値の差分を算出する代わりに、アップコンバート部16から渡されるアップコンバート信号(アップコンバート後の超高解像度の信号)からエッジ抽出処理を直接実施してもよい。ここでエッジを抽出する処理としては、Sobel(ソーベル)フィルター、Laplacian(ラプラシアン)フィルター、Canny(キャニー)フィルター、あるいはHough(ハフ)変換などといった手法を利用することができる。ここでは、入力される画像の特徴を強調する処理を行う。
【0076】
比較部23は、画像処理部15(画像処理部15を持たない構成の場合にはアップコンバート部14)から渡される画像と、差分抽出部22(上記の差分抽出に代わる手段である場合を含む)から渡されるエッジ情報の画像とを比較する。なお、比較部23を、「調整部」と呼ぶ場合がある。比較部23は、この比較結果に基づいて、画像内の画素ごとあるいは領域ごとに、画像処理部15側から渡される画素の信号と差分抽出部22側から渡される画素の信号の、どちらをエッジ強調信号として用いるかを決定する。
【0077】
なお、比較部23による処理方法を、画像処理部15(画像処理部15を持たない構成の場合にはアップコンバート部14)から渡される画素信号と、差分抽出部22(上記の差分抽出に代わる手段である場合を含む)から渡されるエッジ情報の画素信号を重みづけ平均してもよい。比較部23は、画像処理部15(ただし、画像処理部15がない場合には、アップコンバート部14)側から得られる画像の各画素の画素値に基づいて、各画素の重み付け係数Wと差分抽出部22(上記の差分抽出に代わる手段である場合を含む)から渡されるエッジ情報の画素信号の重みづけ係数(1-W)を決定する。一例として、各画素の画素値Pの値に応じて、その画素の重み付け係数Wを次のように閾値処理によって決定してもよい。
min≦P<Pの場合に、W=-1とし、
≦P≦Pの場合に、W=0とし、
<P≦Pmaxの場合に、W=1とする。
ただし、ここで、Pminは画素値の最小値であり、Pmaxは画素値の最大値である。また、PおよびPは、それぞれ適宜定められる閾値である。なお、Pmin<P≦P<Pmaxである。つまり、この例では、画素値Pの値の範囲と、その画素の重み付け係数Wとを対応付けている。ただし、上記の対応関係はあくまでも一例であり、画素値Pの値と重み付け係数Wの値との関係を他の形態で定めてもよい。
【0078】
比較部23は、上記のいずれかの処理の結果として得られる画像を、補強信号として出力する。比較部23は、この補強信号の画像を、加算部27に渡す。
【0079】
加算部27は、アップコンバート部16から渡される画像(超高解像度にアップコンバートされた画像)と、比較部23から渡される補強信号の画像とを加算することにより、出力用の超高解像度画像を生成する。具体的には、加算部27は、上記2種類の画像の相互に対応する画素の画素値同士を加算し、出力用の画像内の画素の画素値とする。加算部27は、このように生成した超高解像度の画像を、外部に出力する。
【0080】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0081】
図4は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置3は、デコーダー31と、アップコンバート部8と、差分抽出部33と、アップコンバート部34と、画像処理部35と、アップコンバート部36と、加算部37と、を含んで構成される。
【0082】
画像処理装置3を構成する各機能部も、既に説明した実施形態と同様に、コンピューターとプログラムとを用いて実現可能である。また、画像処理装置3を構成する各機能部の少なくとも一部を、専用の電子回路を用いて実現してもよい。
【0083】
なお、本実施形態において、低解像度の画像の一例はHD画像(画素数が、横1280画素×縦720画素)であり、中解像度の画像の一例は2K画像(画素数が、横1920画素×縦1080画素)であり、高解像度の画像の一例は4K画像(画素数が、横3840画素×縦2160画素)であり、超高解像度の画像の一例は8K画像(画素数が、横7680画素×縦4320画素)である。ただし、それぞれの解像度の画像の画素数は、ここに例示したものに限られず、他の数値の画素数であってもよい。また、アップコンバートの処理における拡大倍率は、2倍であってもよいし、他の数値であってもよい。なお、上に例示したHD画像から2K画像へのアップコンバートを行う際の拡大倍率は、1.5倍である。
【0084】
デコーダー31は、画像処理装置3が外部から取得する映像符号化信号をデコードし、画像を出力する。
【0085】
つまり、デコーダー31は、画像処理装置3に入力される高解像度、中解像度、および低解像度の画像の符号を復号して出力する。デコーダー31は、復号した低解像度および中解像度の画像を、アップコンバート部8に渡す。また、デコーダー31は、復号した高解像度の画像を、差分抽出部33とアップコンバート部36とにそれぞれ渡す。なお、デコーダー31が持つ復号の処理の機能が、画像処理装置3の外部に存在していてもよい。
【0086】
アップコンバート部8は、第1実施形態において説明したアップコンバート部8である。つまり、アップコンバート部8は、図2に示したように、内部に、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16とを備える。つまり、アップコンバート部8は、デコーダー31から渡されるデコード出力、同一コンテンツを表す2種類の解像度の画像(図4では、低解像度画像と中解像度画像)を基に、高解像度画像を生成する。アップコンバート部8は、生成した高解像度画像を、差分抽出部33に渡す。また、アップコンバート部8が生成した高解像度画像を外部の装置等で利用できるようにするために、画像処理装置3の外部にも出力するようにしてもよい。
【0087】
差分抽出部33は、アップコンバート部8から出力される高解像度画像とデコーダー31から渡される高解像度画像とを基に、これら両画像の差分の画像を求める。画像処理装置3における差分抽出部33の役割は、図2に示した画像処理装置1における差分抽出部13の役割と同様のものである。つまり、差分抽出部33は、外部から入力される高解像度画像に相当する情報をデコーダー31から受け取り、アップコンバートされた結果である(推定された結果であると捉えてよい)高解像度画像との差分を求める。言い換えれば、差分抽出部33は、本来の高解像度画像に含まれる情報のうち、低解像度画像および中解像度画像からアップコンバート処理によって生成(推定)された高解像度画像では再現できない成分の情報を表す画像を生成する。
【0088】
アップコンバート部34は、差分抽出部33から渡される高解像度画像のアップコンバート処理を行い、超高解像度画像を出力する。画像処理装置3におけるアップコンバート部34の役割は、図2に示した画像処理装置1におけるアップコンバート部14の役割と同様のものである。つまり、アップコンバート部34は、差分抽出部33が出力する情報(画像)の解像度を超高解像度のレベルまで向上させる。
【0089】
画像処理部35は、アップコンバート部34が出力する画像に対して所定の処理を実施する。画像処理部35は、例えば、アップコンバート部34から渡される画像の特徴を強調するための処理(第1実施形態で説明したものと同様の処理)を行う。画像処理装置3における画像処理部35の役割は、図2に示した画像処理装置1における画像処理部15の役割と同様のものである。つまり、画像処理部35は、アップコンバート部34から渡される補強信号を鮮鋭化して出力する。
【0090】
なお、図2を参照しながら説明した変形例と同様に、本実施形態の画像処理装置3が画像処理部35を持たない構成としてもよい。
【0091】
アップコンバート部36は、デコーダー31から渡される高解像度画像に対してアップコンバート処理を実施する。その結果として、超高解像度の画像が生成される。画像処理装置3におけるアップコンバート部36の役割は、図2に示した画像処理装置1におけるアップコンバート部16の役割と同様のものである。
【0092】
加算部37は、画像処理部35側から渡される画像とアップコンバート部36から渡される画像とを加算する処理を行う。これら両方の画像はいずれも超高解像度に相当する画像である。加算部37は、加算した結果の画像(超高解像度画像)を、外部に出力する。画像処理装置3における加算部37の役割は、図2に示した画像処理装置1における加算部17の役割と同様のものである。
【0093】
以上説明したように、画像処理装置3は、低解像度画像、中解像度画像、および高解像度画像を基に、超高解像度画像を生成し、出力する。
【0094】
第1実施形態(図2)と第3実施形態(図4)との関係は、次の通りである。即ち、第3実施形態の画像処理装置3が持つアップコンバート部8は、第1実施形態の画像処理装置1が持つアップコンバート部8と同等の機能を持つものである。つまり、アップコンバート部8は、2個の解像度(品質)の画像を基に、第3の解像度(品質)の画像を生成する。このようなアップコンバート部8を用いて、画像処理装置3は、3個の解像度(品質)の画像を基に、第4の解像度(品質)の画像を生成することができる。
【0095】
上記の第1実施形態と第3実施形態との関係を、さらに再帰的に多段階化するようにしてもよい。つまり、その段階数を一般化すれば、画像処理装置は、同一のコンテンツを表すn個(n≧2)の解像度(品質)の画像を基に、第(n+1)番目の解像度(品質)の画像を生成することができる。ここでのアップコンバート処理を行う機能を「第3アップコンバート部」と呼ぶ。このような画像処理装置がコンテンツ配信システムにおけるコンテンツを受信する側の受信装置内に設けられる場合には、その受信装置は、コンテンツの送信側(配信装置)からn個の解像度(品質)の画像を受信して、それらの画像を基に、第(n+1)番目の解像度(品質)の画像を生成することができる。受信装置は、これら(n+1)個の解像度(品質)の画像のうち適宜選択された画像を、外部に出力(ディスプレイ等に表示する場合を含む)することができる。
【0096】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0097】
図5は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置4は、デコーダー31と、アップコンバート部9と、差分抽出部43と、アップコンバート部44と、画像処理部45と、アップコンバート部46と、画像処理部51と、差分抽出部52と、比較部53と、加算部57と、を含んで構成される。
【0098】
画像処理装置4を構成する各機能部も、既に説明した実施形態と同様に、コンピューターとプログラムとを用いて実現可能である。また、画像処理装置4を構成する各機能部の少なくとも一部を、専用の電子回路を用いて実現してもよい。
【0099】
本実施形態においても、低解像度の画像の一例はHD画像であり、中解像度の画像の一例は2K画像であり、高解像度の画像の一例は4K画像であり、超高解像度の画像の一例は8K画像である。ただし、各解像度の画像の画素数は、ここに例示したものに限られず、他の数値のものであってもよい。アップコンバートの処理における拡大倍率は、2倍であってもよいし、他の数値であってもよい。
【0100】
デコーダー31は、第3実施形態の場合と同様に、画像処理装置4に入力される高解像度、中解像度、および低解像度の映像符号化信号を復号して出力する。デコーダー31は、復号した低解像度および中解像度の画像を、アップコンバート部9に渡す。また、デコーダー31は、復号した高解像度の画像を、差分抽出部43とアップコンバート部46とにそれぞれ渡す。なお、デコーダー31が持つ復号の処理の機能が、画像処理装置4の外部に存在していてもよい。
【0101】
アップコンバート部9は、第2実施形態において説明したアップコンバート部9である。つまり、アップコンバート部9は、図3に示したように、内部に、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、アップコンバート部16と、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23と、加算部27とを備える。つまり、アップコンバート部9は、デコーダー31から渡される、同一コンテンツを表す2種類の解像度の画像(図5では、低解像度画像と中解像度画像)を基に、高解像度画像を生成する。アップコンバート部9は、生成した高解像度画像を、差分抽出部43に渡す。また、アップコンバート部9が生成した高解像度画像を外部の装置等で利用できるようにするために、画像処理装置4の外部にも出力するようにしてもよい。
【0102】
差分抽出部43は、アップコンバート部9から出力される高解像度画像とデコーダー31から渡される高解像度画像とを基に、これら両画像の差分の画像を求める。画像処理装置4における差分抽出部43の役割は、図3に示した画像処理装置2における差分抽出部13の役割と同様のものである。つまり、差分抽出部43は、外部から入力される高解像度画像に相当する情報をデコーダー31から受け取り、アップコンバートされた結果である(推定された結果であると捉えてよい)高解像度画像との差分を求める。言い換えれば、差分抽出部43は、本来の高解像度画像に含まれる情報のうち、低解像度画像および中解像度画像からアップコンバート処理によって生成(推定)された高解像度画像では再現できない成分の情報を表す画像を生成する。
【0103】
アップコンバート部44は、差分抽出部43から渡される高解像度画像のアップコンバート処理を行い、超高解像度画像を出力する。画像処理装置4におけるアップコンバート部44の役割は、図3に示した画像処理装置2におけるアップコンバート部14の役割と同様のものである。つまり、アップコンバート部44は、差分抽出部43が出力する情報(画像)の解像度を超高解像度のレベルまで向上させる。
【0104】
画像処理部45は、アップコンバート部44が出力する画像に対して所定の処理を実施する。画像処理部45は、例えば、アップコンバート部44から渡される画像の特徴を強調するための処理(第2実施形態で説明したものと同様の処理)を行う。画像処理装置4における画像処理部45の役割は、図3に示した画像処理装置2における画像処理部15の役割と同様のものである。つまり、画像処理部45は、アップコンバート部34から渡される補強信号を鮮鋭化して出力する。
【0105】
なお、図3を参照しながら説明した変形例と同様に、本実施形態の画像処理装置4が画像処理部45を持たない構成としてもよい。
【0106】
アップコンバート部46は、デコーダー31から渡される高解像度画像に対してアップコンバート処理を実施する。その結果として、超高解像度の画像が生成される。画像処理装置4におけるアップコンバート部46の役割は、図3に示した画像処理装置2におけるアップコンバート部16の役割と同様のものである。アップコンバート部46は、アップコンバートした結果として得られる超高解像度の画像を、画像処理部51と、差分抽出部52と、加算部57とに渡す。
【0107】
画像処理部51は、アップコンバート部46が出力する画像(超高解像度画像)を受け取り、その画像に対する所定の処理を行う。画像処理部51が行う処理は、第2実施形態において画像処理部21について説明した処理と同様である。つまり、画像処理部51は、アップコンバート部46から渡される画像の特徴を強調する。画像処理部51は、処理結果の画像を差分抽出部52に渡す。
【0108】
差分抽出部52は、アップコンバート部46が出力した画像と画像処理部51が出力した画像との差分の画像を求める。差分抽出部52は、これらの画像の差分を算出する代わりに、アップコンバート部46から渡されるアップコンバート信号(アップコンバート後の超高解像度の信号)を基にエッジを抽出する処理を直接実施してもよい。画像処理装置4における差分抽出部52の役割は、図3に示した画像処理装置2における差分抽出部22の役割と同様のものである。つまり、差分抽出部52は、画像処理部51によって強調された成分の画像を出力する。差分抽出部52は、このようにして得られた情報を、比較部53に渡す。
【0109】
比較部53は、画像処理部45(画像処理部45を持たない構成の場合にはアップコンバート部44)から渡される画像と、差分抽出部52(差分抽出に代わる手段である場合を含む)から渡されるエッジ情報の画像とを比較する。なお、比較部53を、「調整部」と呼ぶ場合がある。画像処理装置4における比較部53の役割は、図3に示した画像処理装置2における比較部23の役割と同様のものである。比較部53は、この比較結果に基づいて、画像内の画素ごとあるいは領域ごとに、画像処理部45側から渡される画素の信号と差分抽出部52側から渡される画素の信号の、どちらをエッジ強調信号として用いるかを決定する。比較部53は、この処理によって得られた画像(エッジ強調信号)を、補強信号として、加算部57に渡す。
【0110】
加算部57は、アップコンバート部46から渡される画像(超高解像度にアップコンバートされた画像)と、比較部53から渡される補強信号の画像とを加算することにより、出力用の超高解像度画像を生成する。加算部27は、このように生成した超高解像度の画像を、外部に出力する。
【0111】
以上説明したように、画像処理装置4は、低解像度画像、中解像度画像、および高解像度画像を基に、超高解像度画像を生成し、出力する。
【0112】
第2実施形態(図3)と第4実施形態(図5)との関係は、次の通りである。即ち、第4実施形態の画像処理装置4が持つアップコンバート部9は、第2実施形態の画像処理装置2が持つアップコンバート部9と同等の機能を持つものである。つまり、アップコンバート部9は、2個の解像度(品質)の画像を基に、第3の解像度(品質)の画像を生成する。このようなアップコンバート部9を用いて、画像処理装置4は、3個の解像度(品質)の画像を基に、第4の解像度(品質)の画像を生成することができる。
【0113】
上記の第2実施形態と第4実施形態との関係を、さらに再帰的に多段階化するようにしてもよい。つまり、その段階数を一般化すれば、画像処理装置は、同一のコンテンツを表すn個(n≧2)の解像度(品質)の画像を基に、第(n+1)番目の解像度(品質)の画像を生成することができる。このような画像処理装置がコンテンツ配信システムにおけるコンテンツを受信する側の受信装置内に設けられる場合には、その受信装置は、コンテンツの送信側(配信装置)からn個の解像度(品質)の画像を受信して、それらの画像を基に、第(n+1)番目の解像度(品質)の画像を生成することができる。受信装置は、これら(n+1)個の解像度(品質)の画像のうち適宜選択された画像を、外部に出力(ディスプレイ等に表示する場合を含む)することができる。
【0114】
下の第5実施形態から第8実施形態までは、それぞれ、第1実施形態から第4実施形態までの構成を一部変更したものである。これらの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0115】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0116】
図6は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置61は、デコーダー11と、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、加算部17と、アップコンバート部71とを含むように構成される。なお、これらの機能のうち、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、アップコンバート部14と、画像処理部15と、加算部17と、アップコンバート部71とを含む構成をアップコンバート部98と呼んでもよい。
【0117】
第1実施形態の画像処理装置1においては、アップコンバート部14およびアップコンバート部16が、それぞれ、高解像度画像のアップコンバート処理を行っていた。これに対して、本実施形態の画像処理装置61においては、加算部17が画像同士の加算を行った後で、アップコンバート部71が高解像度画像のアップコンバート処理を行う。このように、本実施形態では、処理の簡単化および計算量の削減を図ることができる。このようにアップコンバートの処理を行う順序が異なる点を除いては、本実施形態の画像処理装置61を構成する各部が有する機能は、第1実施形態におけるそれらと同様である。
【0118】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0119】
図7は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置62は、デコーダー11と、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、画像処理部15と、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23と、加算部27と、アップコンバート部72とを含むように構成される。なお、これらの機能のうち、アップコンバート部12と、差分抽出部13と、画像処理部15と、画像処理部21と、差分抽出部22と、比較部23と、加算部27と、アップコンバート部72とを含む構成をアップコンバート部99と呼んでもよい。
【0120】
第2実施形態の画像処理装置2においては、アップコンバート部14およびアップコンバート部16が、それぞれ、高解像度画像のアップコンバート処理を行っていた。これに対して、本実施形態の画像処理装置62においては、加算部27が画像同士の加算を行った後で、アップコンバート部72が高解像度画像のアップコンバート処理を行う。このように、本実施形態では、処理の簡単化および計算量の削減を図ることができる。このようにアップコンバートの処理を行う順序が異なる点を除いては、本実施形態の画像処理装置62を構成する各部が有する機能は、第2実施形態におけるそれらと同様である。
【0121】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0122】
図8は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置63は、デコーダー31と、アップコンバート部98と、差分抽出部33と、画像処理部35と、加算部37と、アップコンバート部73とを含むように構成される。なお、上記のアップコンバート部98は、図6(第5実施形態)を参照しながら説明した機能である。
【0123】
第3実施形態の画像処理装置3においては、アップコンバート部34およびアップコンバート部36が、それぞれ、高解像度画像のアップコンバート処理を行っていた。これに対して、本実施形態の画像処理装置63においては、加算部37が画像同士の加算を行った後で、アップコンバート部73が高解像度画像のアップコンバート処理を行う。このように、本実施形態では、処理の簡単化および計算量の削減を図ることができる。このようにアップコンバートの処理を行う順序が異なる点を除いては、本実施形態の画像処理装置63を構成する各部が有する機能は、第3実施形態におけるそれらと同様である。
【0124】
[第8実施形態]
次に、第8実施形態について説明する。なお、前実施形態までにおいて既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
【0125】
図9は、本実施形態による画像処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置64は、デコーダー31と、アップコンバート部99と、差分抽出部43と、画像処理部45と、画像処理部51と、差分抽出部52と、比較部53と、加算部57と、アップコンバート部74とを含むように構成される。なお、上記のアップコンバート部99は、図7(第6実施形態)を参照しながら説明した機能である。
【0126】
第4実施形態の画像処理装置4においては、アップコンバート部44およびアップコンバート部46が、それぞれ、高解像度画像のアップコンバート処理を行っていた。これに対して、本実施形態の画像処理装置64においては、加算部57が画像同士の加算を行った後で、アップコンバート部74が高解像度画像のアップコンバート処理を行う。このように、本実施形態では、処理の簡単化および計算量の削減を図ることができる。このようにアップコンバートの処理を行う順序が異なる点を除いては、本実施形態の画像処理装置64を構成する各部が有する機能は、第4実施形態におけるそれらと同様である。
【0127】
第1実施形態から第8実施形態までのそれぞれの機能構成と、図1において説明した機能構成との対応関係は、次の通りである。
【0128】
図2(第1実施形態)におけるアップコンバート部12、差分抽出部13、アップコンバート部14、および画像処理部15は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図2におけるアップコンバート部16および加算部17は、図1における合成部317に相当する。
【0129】
図3(第2実施形態)におけるアップコンバート部12、差分抽出部13、アップコンバート部14、画像処理部15、画像処理部21、差分抽出部22、および比較部23は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図3におけるアップコンバート部16および加算部27は、図1における合成部317に相当する。
【0130】
図4(第3実施形態)におけるアップコンバート部8、差分抽出部33、アップコンバート部34、および画像処理部35は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図4におけるアップコンバート部36および加算部37は、図1における合成部317に相当する。
【0131】
図5(第4実施形態)におけるアップコンバート部9、差分抽出部43、アップコンバート部44、画像処理部45、画像処理部45、画像処理部51、差分抽出部52、および比較部53は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図5におけるアップコンバート部46および加算部57は、図1における合成部317に相当する。
【0132】
図6(第5実施形態)におけるアップコンバート部12、差分抽出部13、および画像処理部15は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図6における加算部17、およびアップコンバート部71は、図1における合成部317に相当する。
【0133】
図7(第6実施形態)におけるアップコンバート部12、差分抽出部13、画像処理部15、画像処理部21、差分抽出部22、および比較部23は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図7における加算部27およびアップコンバート部72は、図1における合成部317に相当する。
【0134】
図8(第7実施形態)におけるアップコンバート部98、差分抽出部33、および画像処理部35は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図8における加算部37およびアップコンバート部73は、図1における合成部317に相当する。
【0135】
図9(第8実施形態)におけるアップコンバート部99、差分抽出部43、画像処理部45、画像処理部45、画像処理部51、差分抽出部52、および比較部53は、図1における高解像化成分抽出部312に相当する。また、図9における加算部57およびアップコンバート部74は、図1における合成部317に相当する。
【0136】
第1実施形態から第8実施形態までにおいて符号化映像信号およびデコーダーは1つの符号化映像信号から複数解像度の映像を復号可能なスケーラブル符号化の場合を例として用いて示した。しかし、これらの実施形態の画像処理装置においてデコーダーは複数解像度の復号映像を出力することができればよい。つまり、画像処理装置は、デコーダーとして、1デコーダーでなければならないわけではなく複数のデコーダーを備え、複数解像度の映像を出力するものであってもよい。例えば現在の地上デジタル放送の受信装置では移動体向け放送サービス(ワンセグ)用デコーダーとハイビジョン放送サービス用デコーダーを備えており、通常どちらか一方の信号のみをデコードし、表示しているが、両デコーダーを用いて低解像度画像と、高解像度画像を復号し、それらを処理してもよい。つまり、各実施形態におけるデコーダーは、スケーラブル符号化された符号化映像信号をデコードすることによって複数(少なくとも2つ)の画像を得るものであってもよいし、別々に符号化された符号化映像信号をデコードすることによって複数の画像を得るものであってもよい。
【0137】
[コンテンツ配信システム]
次に、第1実施形態から第8実施形態までのいずれかの画像処理装置を含んだコンテンツ配信システムについて説明する。
【0138】
図10は、コンテンツ配信システムの概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、コンテンツ配信システム100は、受信装置101と、配信装置102と、記憶装置103と、伝送路109とを含んで構成される。この図においては、受信装置101と、配信装置102と、記憶装置103とをそれぞれ1台ずつ示しているが、コンテンツ配信システム100が含むそれぞれの装置の台数は任意である。例えば、少数の配信装置102が、多数の受信装置101に対してコンテンツのデータを配信する構成としてもよい。
【0139】
受信装置101は、配信装置102から配信されるコンテンツのデータを受信し、そのコンテンツをユーザーに提示する。コンテンツは、例えば映像を用いたコンテンツである。映像は、画像の系列として構成される。受信装置101は、例えば、テレビ受像機である。あるいは、受信装置101は、パーソナルコンピューター(PC)やスマートフォンと、それらの装置上で稼働するコンテンツプレーヤープログラムとを用いて構成されるものであってもよい。受信装置101の内部の機能構成については、後述する。
【0140】
配信装置102は、受信装置101に対してコンテンツを配信する。配信装置102は、記憶装置103に記憶されているコンテンツのデータを適宜選択して、読み出して受信装置101に対して送信する。なお、コンテンツは、必ずしも記憶装置103に記憶されているものではなくてもよい。コンテンツは、例えば、ライブ配信コンテンツであってもよい。
【0141】
記憶装置103は、コンテンツのデータを記憶する。記憶装置103は、ある1つのコンテンツについて、スケーラブル符号化データあるいは複数の品質の符号化データを記憶している。ここで品質とは、画像の解像度や、コンテンツを符号化する際の情報圧縮の度合い等である。
【0142】
伝送路109は、放送信号の伝送路、あるいはインターネット等の通信ネットワークである。伝送路109を介して、配信装置102から受信装置101へのデータの送信を行える。具体的には、配信装置102は、伝送路109を介して、コンテンツのデータを送信することができる。
【0143】
上記の受信装置101は、図示するように、受信部111と、画像処理装置112と、提示部113とを含んで構成される。
【0144】
受信部111は、低解像度符号化データ及び対応する高解像度符号化データを含む伝送信号を受信し、受信した信号を画像処理装置112に渡す。
【0145】
受信部111は、例えば、放送信号を選局するための選局手段と、メディア検出手段とを有する。選局手段は、例えばユーザーからのリモコン等の操作に基づいて、取得するべきサービス・ストリームを選択(選局)し、選択結果を示すIDを制御情報としてメディア検出手段に出力する。メディア検出手段は、選局手段が出力する制御情報が示すIDに基づいて、対応する解像度以下の映像符号化データを多重信号から取得(抽出)し、画像処理装置112に出力する。
【0146】
画像処理装置112は、低解像度画像(映像)と高解像度画像(映像)とを得る。画像処理装置112は、これらの映像を基に既に説明した高解像化の処理を行い、超高解像度画像(映像)を出力(提示)する。
【0147】
例えば、画像処理装置112内のデコーダー(11,31)は、低解像度画像と、高解像度画像の復号手段とを有する。低解像度画像復号手段は、低解像度映像符号化データから低解像度番組映像を復号する。高解像度映像符号化データから、あるいはスケーラブル符号化の場合、低解像度映像符号化データも用いて高解像度番組映像のデータを復号する。
【0148】
画像処理装置112は、第1実施形態から第8実施形態まで(変形例を含む)において説明した画像処理装置(1,2,3,4,61,62,63,または64)のいずれかである。画像処理装置112は、受信部111が受信した品質(解像度)の異なるn個のコンテンツデータを基に、第(n+1)番目の品質(解像度)のコンテンツデータを生成する。その方法は、既に第1実施形態から第4実施形態までにおいて説明した通りである。画像処理装置112は、受信したコンテンツデータおよび生成したコンテンツデータを、提示部113に渡す。
【0149】
提示部113は、コンテンツデータを画像処理装置112から受け取り、そのコンテンツをユーザー等に対して提示する。コンテンツは、例えば、映像と音声とを含むコンテンツである。コンテンツデータは、配信装置102側から受信した品質のコンテンツデータのいずれか、あるいは上記の通り画像処理装置112が生成した品質のコンテンツデータである。提示部113は、画像(映像)をディスプレイ装置(不図示)に表示したり、音声をスピーカー等(不図示)から出力したりする。
【0150】
配信装置102が、通信回線(インターネット等)を介して受信装置101に対してコンテンツデータを伝送する場合には、IPパケットによる伝送を行うことができる。この場合、IPパケットのヘッダーに、優先度を設定するようにしてよい。配信装置102は、例えば、低解像度映像符号化データを伝送するためのIPパケットにはより高い優先度を設定し、高解像度映像符号化データを伝送するためのIPパケットにはより低い優先度を設定する。また、配信装置102は、3段階以上の解像度の符号化データを送信するようにしてもよい。受信装置101は、相対的に低解像度の画像(映像)を基に、画像処理装置112の機能によって相対的に高解像度の画像(映像)を生成することができる。言い換えれば、受信装置101は、受信することのできなかった解像度の符号化映像に相当する解像度の画像(映像)を受信できた低解像度映像の符号化データから生成してユーザーに対して提示することができる。
【0151】
図11は、上述した各実施形態(変形例を含む)における装置の内部構成の例を示すブロック図である。各装置(画像処理装置1,2,3,4、受信装置101、配信装置102のそれぞれ)は、コンピューターを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0152】
なお、上述した実施形態(変形例を含む)における各装置の少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0153】
上の「課題を解決するための手段」の欄で記載した構成と、各実施形態における構成との対応関係は、次の通りである。
【0154】
[3]として記載した構成における、「第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部」は、第1実施形態の差分抽出部13、第2実施形態の差分抽出部13、第3実施形態の差分抽出部33、および第4実施形態の差分抽出部43に対応する。
また、「第3解像度の第5画像をアップコンバートして第4解像度の第6画像を生成する第1アップコンバート部」は、第1実施形態のアップコンバート部16、第2実施形態のアップコンバート部16、第3実施形態のアップコンバート部36、および第4実施形態のアップコンバート部46に対応する。
また、「前記第4画像をアップコンバートすることによって前記第4解像度の第7画像を生成する第2アップコンバート部」は、第1実施形態のアップコンバート部14、第2実施形態のアップコンバート部14、第3実施形態のアップコンバート部34、および第4実施形態のアップコンバート部44に対応する。
また、「前記第6画像と前記第7画像に基づく画像とを加算して、前記第4解像度の第8画像を生成する加算部」は、第1実施形態の加算部17、第2実施形態の加算部27、第3実施形態の加算部37、および第4実施形態の加算部57に対応する。
【0155】
なお、第1実施形態から第4実施形態までのそれぞれにおいては、[2]として記載した通り、第2解像度と第3解像度とは同一の解像度であり、且つ、第3画像と第5画像とは同一の画像である。
【0156】
[5]として記載した構成における、「前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部」は、第1実施形態の画像処理部15、第2実施形態の画像処理部15、第3実施形態の画像処理部35、および第4実施形態の画像処理部45に対応する。
【0157】
[6]として記載した構成における、「前記第6画像のエッジを強調する処理を行うことによって第10画像を生成する第2画像処理部」は、第2実施形態の画像処理部21、および第4実施形態の画像処理部51に対応する。
また、「前記第6画像と前記第10画像との差を表す第11画像を生成する第2差分抽出部」は、第2実施形態の差分抽出部22、および第4実施形態の差分抽出部52に対応する。
また、「前記第11画像に基づいて前記第7画像に基づく画像の調整を行うことによって、第12画像を生成する調整部」は、第2実施形態の比較部23、および第4実施形態の比較部53に対応する。
【0158】
[7]として記載した構成における、「前記第7画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第4解像度の第9画像を生成する第1画像処理部」は、第2実施形態の画像処理部15、および第4実施形態の画像処理部45に対応する。
【0159】
[8]として記載した構成における、「第1解像度の第1画像をアップコンバートして生成した第2解像度の第2画像と、第2解像度の第3画像との差を表す第4画像を生成する第1差分抽出部」は、第5実施形態の差分抽出部13、第6実施形態の差分抽出部13、第7実施形態の差分抽出部33、および第8実施形態の差分抽出部43に対応する。
また、「前記第4画像に基づく画像と、前記第2解像度の第5画像と、を加算して前記第2解像度の第6画像を生成する加算部」は、第5実施形態の加算部17、第6実施形態の加算部27、第7実施形態の加算部37、および第8実施形態の加算部57に対応する。
また、「前記第6画像をアップコンバートすることによって第3解像度の第7画像を生成するアップコンバート部」は、第5実施形態のアップコンバート部71、第6実施形態のアップコンバート部72、第7実施形態のアップコンバート部73、および第8実施形態のアップコンバート部74に対応する。
【0160】
[9]として記載した構成における、「前記第4画像の特徴を強調する処理を行うことによって前記第2解像度の第8画像を生成する第1画像処理部」は、第5実施形態の画像処理部15、第6実施形態の画像処理部15、第7実施形態の画像処理部35、および第8実施形態の画像処理部45に対応する。
【0161】
[10]として記載した構成における、「前記第5画像のエッジを強調する処理を行うことによって第9画像を生成する第2画像処理部」は、第6実施形態における画像処理部21、および第8実施形態における画像処理部51に対応する。
また、「前記第5画像と前記第9画像との差を表す第10画像を生成する第2差分抽出部」は、第6実施形態における差分抽出部22、および第8実施形態における差分抽出部52に対応する。
また、「前記第10画像に基づいて前記第4画像に基づく画像の調整を行うことによって、第11画像を生成する調整部」は、第6実施形態の比較部23、および第8実施形態の比較部53に対応する。
【0162】
以上説明した第1実施形態から第8実施形態までのいずれかによれば、画像処理装置は、n個(n≧2)の品質の異なる画像に基づいて、第(n+1)番目の品質の画像を生成することができる。言い換えれば、画像処理装置は上記n個の画像のうちのどの画像の品質よりも高品質の画像である第(n+1)番目の画像を模擬的に生成することができる。第1実施形態および第2実施形態の各々は、nが2の場合の形態である。第3実施形態および第4実施形態の各々においては、nを3以上とすることができる。第3実施形態あるいは第4実施形態を再帰的に適用することによって一般にn≧3とできることは、既に説明した通りである。
【0163】
[さらなる変形例(1)]
さらに、次のような変形例としてもよい。上記の第3実施形態においては、アップコンバート部8(第1実施形態に含まれる構成)を用いて画像のアップコンバートを行った。第3実施形態において、アップコンバート部8の代わりにアップコンバート部9(第2実施形態に含まれる構成)を用いてもよい。上記の第4実施形態においては、アップコンバート部9(第2実施形態に含まれる構成)を用いて画像のアップコンバートを行った。第4実施形態において、アップコンバート部9の代わりにアップコンバート部8(第1実施形態に含まれる構成)を用いてもよい。
【0164】
[さらなる変形例(2)]
さらに、次のような変形例としてもよい。第1実施形態において、デコーダー11は、差分抽出部13と、アップコンバート部16とに、同じ「高解像度」の画像を渡していた。変形例として、デコーダー11は、差分抽出部13と、アップコンバート部16とに異なる解像度の画像を渡してもよい。その場合にも、本実施形態の画像処理装置1は、最終的に「超高解像度」の画像を生成する。同様に、第2実施形態において、デコーダー11は、差分抽出部13と、アップコンバート部16とに、同じ「高解像度」の画像を渡していた。変形例として、デコーダー11は、差分抽出部13と、アップコンバート部16とに異なる解像度の画像を渡してもよい。その場合にも、本実施形態の画像処理装置2は、最終的に「超高解像度」の画像を生成する。同様に、第3実施形態において、デコーダー31は、差分抽出部33と、アップコンバート部36とに、同じ「高解像度」の画像を渡していた。変形例として、デコーダー31は、差分抽出部33と、アップコンバート部36とに異なる解像度の画像を渡してもよい。その場合にも、本実施形態の画像処理装置3は、最終的に「超高解像度」の画像を生成する。同様に、第4実施形態において、デコーダー31は、差分抽出部43と、アップコンバート部46とに、同じ「高解像度」の画像を渡していた。変形例として、デコーダー31は、差分抽出部43と、アップコンバート部46とに異なる解像度の画像を渡してもよい。その場合にも、本実施形態の画像処理装置4は、最終的に「超高解像度」の画像を生成する。
これらの変形例では、差分抽出部(13,33,43)に渡される画像の解像度と、アップコンバート部(16,36,46)とが異なる。しかしながら、このような場合にも、差分抽出部(13,33,43)は、2つの解像度の画像に基づいて補強信号に相当する情報を生成する。また、アップコンバート部(16,36,46)は、渡された解像度の画像を、最終的に望まれる解像度の画像にアップコンバートする。
【0165】
以上、この発明の実施形態(変形例)について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、例えば、既に取得した品質のコンテンツデータを基に異なる品質のコンテンツデータを生成するために利用することができる。これにより、本発明は、例えば、コンテンツ配信事業(通信や放送等によるもの)に利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0167】
1,2,3,4 画像処理装置
8,9 アップコンバート部
11 デコーダー
12 アップコンバート部
13 差分抽出部(第1差分抽出部)
14 アップコンバート部(第2アップコンバート部)
15 画像処理部(第1画像処理部)
16 アップコンバート部(第1アップコンバート部)
17 加算部
21 画像処理部(第2画像処理部)
22 差分抽出部(第2差分抽出部)
23 比較部(調整部)
27 加算部
31 デコーダー
33 差分抽出部(第1差分抽出部)
34 アップコンバート部(第2アップコンバート部)
35 画像処理部(第1画像処理部)
36 アップコンバート部(第1アップコンバート部)
37 加算部
43 差分抽出部(第1差分抽出部)
44 アップコンバート部(第2アップコンバート部)
45 画像処理部(第1画像処理部)
46 アップコンバート部(第1アップコンバート部)
51 画像処理部(第2画像処理部)
52 差分抽出部(第2差分抽出部)
53 比較部(調整部)
57 加算部
61,62,63,64 画像処理装置
71,72,73,74 アップコンバート部
98,99 アップコンバート部
100 コンテンツ配信システム
101 受信装置
102 配信装置
103 記憶装置
109 伝送路
111 受信部
112 画像処理装置
113 提示部
301 画像処理装置
308 アップコンバート部
312 高解像化成分抽出部
317 合成部
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11