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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029962
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B42B 5/00 20060101AFI20240229BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132461
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 琢磨
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA54
(57)【要約】
【課題】トレイに支持された複数の媒体を圧着綴じする媒体処理装置において、適切な綴じ強度を得る技術を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された複数の媒体を支持可能なトレイと、トレイに支持された複数の媒体を、一対の綴じ歯で挟持して圧着綴じする圧着処理部と、圧着処理部を、トレイに支持された媒体の表面に沿って搬送方向に直交する主走査方向にスライドさせると共に、搬送方向及び主走査方向に直交する方向に延びる回動軸を中心として回動させる駆動機構と、トレイに支持された複数の媒体を、圧着処理部の回動角度を変更して繰り返し圧着綴じするコントローラとを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、
前記トレイに支持された複数の前記媒体を、一対の綴じ歯で挟持して圧着綴じする圧着処理部と、
前記圧着処理部を、前記トレイに支持された前記媒体の表面に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向にスライドさせると共に、前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する方向に延びる回動軸を中心として回動させる駆動機構と、
前記搬送部、前記圧着処理部、及び前記駆動機構を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記圧着処理部の回動角度を変更して繰り返し圧着綴じすることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記トレイに支持された前記媒体の前記主走査方向に離間した複数の綴じ位置を、前記圧着処理部の回動角度を少なくとも1回変更して圧着綴じすることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記主走査方向に対して前記綴じ歯の長手方向が任意の角度になるように、前記圧着処理部を回動させることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記媒体の端部に予め設定された余白の前記搬送方向の長さに応じて、前記圧着処理部の回動角度を変更することを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の厚みに応じて、複数の綴じ位置の前記主走査方向の間隔及び前記綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記主走査方向の長さに応じて、複数の綴じ位置の前記主走査方向の間隔及び前記綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の同一の綴じ位置を、回動角度を変更した前記圧着処理部に、互いの圧着綴じ痕が重ならないように繰り返し圧着綴じさせることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記圧着処理部は、前記綴じ位置に対して、
一対の前記綴じ歯の長手方向の全域で挟持する第一綴じ処理と、
一対の前記綴じ歯の長手方向の両端部のみで挟持する第二綴じ処理とを実行可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を圧着綴じする請求項1に記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。
【0003】
媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備えるものがある(例えば、特許文献1、2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の媒体処理装置では、綴じ強度を確保するために、一つ用紙束に対して複数箇所に対する圧着綴じを行うことがある。しかしながら、圧着綴じは用紙の繊維を絡ませることで用紙束を綴じるので、用紙に対して同じ向きで圧着綴じを繰り返しても綴じ強度が不足することがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、トレイに支持された複数の媒体を圧着綴じする媒体処理装置において、適切な綴じ強度を得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、一対の綴じ歯で挟持して圧着綴じする圧着処理部と、前記圧着処理部を、前記トレイに支持された前記媒体の表面に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向にスライドさせると共に、前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する方向に延びる回動軸を中心として回動させる駆動機構と、前記搬送部、前記圧着処理部、及び前記駆動機構を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記圧着処理部の回動角度を変更して繰り返し圧着綴じすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トレイに支持された複数の媒体を圧着綴じする媒体処理装置において、適切な綴じ強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
図2】後処理装置の内部構造を示す図。
図3】内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
図4】本実施形態に係る圧着処理部の構成を示す模式図。
図5】後処理装置のハードウェア構成図。
図6】ステープル処理のフローチャート。
図7】ステープル処理における綴じ位置及び綴じ姿勢のバリエーションを示す図。
図8】ステープル処理における綴じ位置のピッチ及び綴じ位置の数のバリエーションを示す図。
図9】主走査方向の長さが短い用紙束の綴じ位置のバリエーションを示す図。
図10】用紙の余白と圧着処理部の綴じ姿勢との関係を示す図。
図11】変形例に係る圧着処理部の構成を示す図。
図12】変形例による圧着綴じのバリエーションを示す図。
図13】変形例に係る圧着綴じの順序の一例を示す図。
図14】変形例に係る圧着綴じの順序の他の例を示す図。
図15】変形例による圧着綴じのバリエーションを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(シート状の媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを主に備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束(以下、「用紙束(媒体束)」と表記する。)を綴じるステープル処理である。より詳細には、本実施形態に係るステープル処理は、用紙束を加圧変形させる所謂「圧着綴じ」と、用紙束に綴じ針を貫通させる所謂「針綴じ」とを含む。また、ステープル処理は、用紙束の端を綴じる端綴じ処理と、用紙束の中央を綴じる中綴じ処理と含む。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0013】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて排出トレイ30に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ36に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサ(図2に▲で示す)を備える。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを支持する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、ステープル処理が施されない用紙Pが排出される。
【0016】
後処理装置3は、内部トレイ22(トレイ)と、叩きコロ23と、戻しコロ24と、エンドフェンス25(搬送方向揃え部)と、サイドフェンス26L、26R(幅方向揃え部)と、圧着処理部27と、針綴じ処理部28と、放出爪29と、排出トレイ30と、フィラー31とを備える。内部トレイ22、叩きコロ23、戻しコロ24、エンドフェンス25、サイドフェンス26L、26R、圧着処理部27、針綴じ処理部28、及び放出爪29は、第二搬送路Ph2を搬送される用紙Pに端綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束が排出される。
【0017】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス25に向かう方向を、「搬送方向」と定義する。また、搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0018】
内部トレイ22は、搬送ローラ対15より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22は、第二搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に支持する。本実施形態に係る内部トレイ22は、搬送方向の下流側に向かって下り傾斜している。叩きコロ23は、内部トレイ22の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ23は、回動アームが回動することによって、内部トレイ22に支持された一番上の用紙Pに接離する。戻しコロ24は、叩きコロ23より搬送方向の下流側において、内部トレイ22の上方に配置されている。
【0019】
叩きコロ23を内部トレイ22から離間させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって搬送方向に搬送された用紙Pが内部トレイ22上に進入する。この状態で、叩きコロ23を内部トレイ22に近接させる向きに回動アームが回動すると、搬送ローラ対15によって内部トレイ22上に搬送された用紙Pに対して叩きコロ23が上方から当接する。叩きコロ23に当接された用紙Pは、搬送ローラ対15から離脱して内部トレイ22に支持される。戻しコロ24は、内部トレイ22に支持された用紙Pの上面に当接して回転することによって、当該用紙Pをエンドフェンス25に向けて案内する。
【0020】
エンドフェンス25は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、そして、エンドフェンス25は、内部トレイ22に支持された用紙束の搬送方向の下流側の端部に当接して、用紙束の搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22の主走査方向の両側に配置されている。サイドフェンス26L、26Rは、主走査方向に移動可能に構成されている。そして、サイドフェンス26L、26Rは、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の両端部に当接して、当該用紙束の主走査方向の位置を揃える。
【0021】
圧着処理部27は、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置を、厚み方向の両側から凹凸状の一対の綴じ歯41、42(図4参照)で挟持する。これにより、用紙束の綴じ位置が加圧変形されて圧着綴じされる。綴じ位置とは、例えば、長方形の圧着綴じの痕(以下、「圧着綴じ痕」と表記する。)の主走査方向の中央の位置である。針綴じ処理部28は、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束を針綴じする。なお、圧着処理部27及び針綴じ処理部28の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。また、針綴じ処理部28は、省略可能である。
【0022】
放出爪29は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。放出爪29は、内部トレイ22に支持された用紙束の搬送方向の下流側の端部に当接して、搬送方向の上流側(すなわち、搬送ローラ対15側)に向かって移動可能に構成されている。搬送方向の上流側に移動する放出爪29は、端綴じ処理が施された用紙束を、内部トレイ22に沿って搬送方向の上流側に移動させる。これにより、端綴じ処理が施された用紙束が内部トレイ22から放出されて、搬送ローラ対15の間に進入する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束を排出トレイ30に排出する。
【0023】
排出トレイ30は、後処理装置3の筐体の外側面に上下動可能に支持されている。フィラー31は、排出トレイ30の上方に回動可能に支持されている。フィラー31の先端は、排出トレイ30に支持された用紙束に当接する。フィラー31は、排出トレイ30に積載された用紙束の高さ(厚さ)が閾値に達したことを検知して、後述するコントローラ100(図5参照)に出力する。コントローラ100は、用紙束の高さが閾値に達したことがフィラー31によって検知されたことに応じて、排出トレイ30を所定量だけ下降させる。
【0024】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス32と、綴じ処理部33と、用紙折りブレード34と、穿孔処理部35と、排出トレイ36とを備える。エンドフェンス32、綴じ処理部33、及び用紙折りブレード34は、第三搬送路Ph3を搬送される用紙Pに中綴じ処理を施す。排出トレイ36には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束が排出される。
【0025】
エンドフェンス32は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス32は、用紙束の中央を、綴じ処理部33に対面させる中綴じ位置と、用紙折りブレード34に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。綴じ処理部33は、中綴じ位置のエンドフェンス32によって揃えられた用紙束の中央を綴じる。用紙折りブレード34は、折り位置のエンドフェンス32に支持された用紙束を半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束を排出トレイ36に排出する。穿孔処理部35は、搬送ローラ対18、19によって搬送される用紙束に貫通孔を穿つ。
【0026】
図3は、内部トレイ22を用紙Pの厚み方向から見た図である。図3に示すように、圧着処理部27は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着処理部27は、内部トレイ22に支持された用紙Pの表面に沿って主走査方向にスライド可能で、且つ内部トレイ22に支持された用紙Pの厚み方向(搬送方向及び主走査方向に直交する方向)に延びる回動軸40を中心として、回動可能に構成されている。なお、針綴じ処理部28の構成も共通する。
【0027】
より詳細には、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール37が主走査方向に延設されている。圧着処理部27は、スライドモータ38(図5参照)の駆動力が伝達されることによって、内部トレイ22に支持された用紙束の表面(換言すれば、ガイドレール37)に沿って、主走査方向にスライドする。さらに、圧着処理部27は、回動モータ39(図5参照)の駆動力が伝達されることによって、内部トレイ22に支持された用紙Pの厚み方向に延びる回動軸40を中心として回動する。ガイドレール37、スライドモータ38、回動モータ39、及び回動軸40は、駆動機構の一例を構成する。
【0028】
圧着処理部27は、図3(A)に示す待機位置と、図3(B)及び図3(C)に示す綴じ位置に対面する位置とにスライドする。待機位置は、内部トレイ22に支持された用紙Pから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置は、内部トレイ22に支持された用紙束上の位置である。但し、綴じ位置の具体的な位置は、図3の例に限定されず、用紙束の搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置でよい。
【0029】
また、圧着処理部27は、図3(A)及び図3(B)に示す平行綴じ姿勢と、図3(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢変化(回動)する。平行綴じ姿勢とは、一対の綴じ歯41、42(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着処理部27の姿勢である。斜め綴じ姿勢とは、一対の綴じ歯41、42(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着処理部27の姿勢である。
【0030】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度(主走査方向に対する一対の綴じ歯41、42の長手方向の角度)は、図3(C)の例に限定されず、内部トレイ22に支持された用紙Pに一対の綴じ歯41、42が対面していれば、任意の角度でよい。また、平行綴じ姿勢の圧着処理部27による圧着綴じを「平行綴じ」と表記し、斜め綴じ姿勢の圧着処理部27による圧着綴じを「斜め綴じ」と表記する。
【0031】
図4は、本実施形態に係る圧着処理部27の構成を示す模式図である。図4に示すように、圧着処理部27は、一対の綴じ歯41、42を備える。一対の綴じ歯41、42は、内部トレイ22に支持された用紙束を挟んで、用紙束の厚み方向に対向して配置されている。一対の綴じ歯41、42の互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯41、42は、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、一対の綴じ歯41、42は、接離モータ43(図5参照)の駆動力によって接離する。
【0032】
用紙束を構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、図4(A)に示すように、一対の綴じ歯41、42は互いに離間している。そして、用紙束を構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に支持されると、図4(B)に示すように、一対の綴じ歯41、42が噛み合って、用紙束を厚み方向から挟持する。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束が加圧変形されて圧着綴じされる。
【0033】
図5は、後処理装置3のハードウェア構成図である。図5に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0034】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0035】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0036】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、スライドモータ38、回動モータ39、接離モータ43、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、叩きコロ23、サイドフェンス26L、26R、放出爪29、スライドモータ38、回動モータ39、及び接離モータ43を動作させる。なお、図5には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0037】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0038】
図6は、ステープル処理のフローチャートである。コントローラ100は、例えば、画像形成装置2からステープル処理の実行指示(以下、「ステープル指示」と表記する。)を取得したタイミングで、図6に示すステープル処理を開始する。ステープル指示は、例えば、用紙束を構成する用紙Pの枚数(以下、「綴じ枚数」と表記する。)の他、用紙束を構成する用紙Pの主走査方向の長さ、用紙Pの余白の搬送方向の長さ、用紙Pの厚さ等を含む。余白とは、用紙Pの外縁部に予め設定された領域であって、画像形成装置2によって画像が形成されないことが保証された領域である。
【0039】
なお、図3(A)に示すように、ステープル処理の開始時点において、圧着処理部27は、待機位置に位置し且つ平行綴じ姿勢であるものとする。また、用紙束を圧着綴じする綴じ位置の主走査方向の位置、数、及び圧着処理部27の姿勢(回動角度)は、予め定められていてもよいし、ステープル指示で指示されてもよいし、図7図9を参照して後述するようにコントローラ100が決定してもよい。
【0040】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S601)。また、コントローラ100は、サイドフェンス26L、26Rを移動させることによって、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)。
【0041】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が、ステープル指示で指示された綴じ枚数に達したか否かを判定する(S602)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が綴じ枚数に達していないと判定した場合に(S602:No)、ステップS601の処理を再び実行する。一方、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が綴じ枚数に達したと判定した場合に(S602:Yes)、HDD104に記憶された変数Nを初期化(=1)する(S603)。変数Nは、次に圧着綴じされる綴じ位置を示す値を保持する変数である。
【0042】
次に、コントローラ100は、一対の綴じ歯41、42を綴じ位置Nに対面させる(S604)。すなわち、コントローラ100は、スライドモータ38を駆動して、一対の綴じ歯41、42が綴じ位置Nに対面するように圧着処理部27をスライドさせる。一方、一対の綴じ歯41、42が既に綴じ位置Nに対面している場合は、ステップS604の処理がスキップされる。
【0043】
次に、コントローラ100は、圧着処理部27の現在の綴じ姿勢と、綴じ位置Nを圧着綴じするときの圧着処理部27の綴じ姿勢とが異なるか否かを判定する(S605)。そして、コントローラ100は、現在の綴じ姿勢と綴じ位置Nの綴じ姿勢とが異なると判定した場合に(S605:Yes)、圧着処理部27を綴じ位置Nとの綴じ姿勢に姿勢変化させる(S606)。すなわち、コントローラ100は、回動モータ39を駆動して、綴じ位置Nの綴じ姿勢になるように圧着処理部27を回動させる。一方、現在の綴じ姿勢と綴じ位置Nの綴じ姿勢とが同一だと判定した場合は(S605:No)、ステップS606の処理がスキップされる。
【0044】
次に、コントローラ100は、圧着処理部27に綴じ位置Nを圧着綴じさせる(S607)。すなわち、コントローラ100は、接離モータ43を駆動して、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置Nを、一対の綴じ歯41、42に挟持させる。これにより、用紙束の綴じ位置Nが加圧変形されて、圧着綴じされる。
【0045】
次に、コントローラ100は、未だ圧着綴じしていない綴じ位置が存在するか否かを判定する(S608)。そして、コントローラ100は、圧着綴じしていない綴じ位置が存在すると判定した場合に(S608:Yes)、変数Nを1だけインクリメントして(S609)、ステップS604以降の処理を再び実行する。換言すれば、コントローラ100は、ステップS604~S609の処理を繰り返すことによって、全ての綴じ位置Nを順番に圧着綴じする。
【0046】
そして、コントローラ100は、全ての綴じ位置Nを圧着綴じしたと判定した場合に(S608:No)、圧着綴じされた用紙束を排出トレイ30に排出する(S610)。より詳細には、コントローラ100は、放出爪29を主走査方向の上流側に移動させることによって、用紙束を搬送ローラ対15に挟持させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、用紙束を排出トレイ30に排出する。さらに、コントローラ100は、図3(A)に示すように、圧着処理部27を待機位置に移動させ且つ平行綴じ姿勢に姿勢変化させる。
【0047】
図7は、ステープル処理における綴じ位置及び綴じ姿勢のバリエーションを示す図である。図7(A)に示すように、主走査方向に隣接する綴じ位置を、圧着処理部27の綴じ姿勢(回動角度)を変更して圧着綴じしてもよい。すなわち、コントローラ100は、ステップS604~S609を繰り返し実行する過程において、圧着処理部27の綴じ姿勢を毎回変化させてもよい。
【0048】
また、図7(B)に示すように、用紙束の中央より主走査方向の一方側の全ての綴じ位置を第1綴じ姿勢で圧着綴じし、用紙束の中央より主走査方向の他方側の全ての綴じ位置を第1綴じ姿勢と異なる第2綴じ姿勢で圧着綴じしてもよい。すなわち、コントローラ100は、コントローラ100は、ステップS604~S609を繰り返し実行する過程において、用紙束の主走査方向の中央を通過する際に、1回だけ圧着処理部27の綴じ姿勢を変化させてもよい。
【0049】
すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙束を、圧着処理部27の回動角度を変更して繰り返し圧着すればよい。より詳細には、コントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向に離間した複数の綴じ位置を、圧着処理部27の回動角度を少なくとも1回変更して圧着綴じすればよい。
【0050】
さらに、図7(C)に示すように、平行綴じ姿勢と斜め綴じ姿勢とを混在させてもよい。すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向に離間した複数の綴じ位置を、平行綴じ姿勢を含む任意の回動角度に変更して、圧着処理部27に圧着綴じさせればよい。
【0051】
図8は、ステープル処理における綴じ位置のピッチ(主走査方向の間隔)及び綴じ位置の数のバリエーションを示す図である。コントローラ100は、例えば、内部トレイ22に支持された用紙束の厚みに応じて、綴じ位置のピッチ及び綴じ位置の数の少なくとも一方を変更してもよい。ここで、「内部トレイ22に支持された用紙束(複数の用紙P)の厚み」とは、1枚の用紙Pの厚みを指してもよいし、用紙束全体の厚み(1枚の用紙Pの厚み×用紙束を構成する用紙Pの枚数)を指してもよい。
【0052】
より詳細には、コントローラ100は、図8(A)に示すように用紙束の厚みが薄いほど、綴じ位置のピッチを広くしてもよいし、綴じ位置の数を少なくしてもよい。一方、コントローラ100は、図8(B)に示すように用紙束の厚みが厚いほど、綴じ位置のピッチを狭くしてもよいし、綴じ位置の数を多くしてもよい。
【0053】
図9は、主走査方向の長さが短い用紙束の綴じ位置のバリエーションを示す図である。コントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の長さに応じて、綴じ位置のピッチ及び綴じ位置の数の少なくとも一方を変更してもよい。用紙束の主走査方向の長さとは、用紙Pのサイズによって特定されてもよいし、用紙Pの向き(長手方向が搬送方向に沿うか、長手方向が主走査方向に沿うか)によって特定されてもよい。
【0054】
より詳細には、コントローラ100は、図7に示すように、用紙束の主走査方向の長さが長いほど、綴じ位置のピッチを広くしてもよいし、綴じ位置の数を多くしてもよい。一方、コントローラ100は、図9に示すように、用紙束の主走査方向の長さが短いほど、綴じ位置のピッチを狭くしてもよいし、綴じ位置の数を少なくしてもよい。
【0055】
図10は、用紙Pの余白と圧着処理部27の綴じ姿勢との関係を示す図である。図10(A)の左図に示すように平行綴じした場合、図10(A)の右図に示すように斜め綴じする場合と比較して、圧着綴じに必要な余白の搬送方向の長さLが短くて済む。一方、図10(A)の左図に示すように平行綴じした場合、図10(A)の右図に示すように斜め綴じする場合と比較して、主走査方向の幅Wの範囲に設定可能な綴じ位置の数が少なくなる(換言すれば、隣接する綴じ位置の間隔が広くなる)。
【0056】
そこで、コントローラ100は、用紙Pの端部に予め設定された余白の搬送方向の長さに応じて、圧着処理部27の回動角度を変更すればよい。より詳細には、コントローラ100は、図10(B)の左図に示すように、用紙Pに設定された余白の搬送方向の長さLが長いほど、主走査方向に対する圧着処理部27の回動角度を大きくすればよい。一方、コントローラ100は、図10(B)の右図に示すように、用紙Pに設定された余白の搬送方向の長さLが短いほど、主走査方向に対する圧着処理部27の回動角度を小さくすればよい。
【0057】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0058】
上記の実施形態によれば、主走査方向に離間した複数の綴じ位置それぞれを圧着処理部27の回動角度を少なくとも1回変更して圧着綴じすることによって、全ての綴じ位置を同じ綴じ姿勢で圧着綴じする場合と比較して、後処理装置3を大型化することなく、適切な綴じ強度を得ることができる。
【0059】
また、図10(A)を参照して説明したように、綴じ位置の少なくとも1つを斜め綴じすることによって、全ての綴じ位置を平行綴じする場合と比較して、隣接する綴じ位置の主走査方向の間隔(ピッチ)を狭くすることができる。その結果、図6のステップS604の移動距離が短くなるので、ステープル処理の効率(生産性)が向上する。
【0060】
また、図10(B)の左図に示すように、用紙Pに予め設定された余白の搬送方向の長さLが長いほど、主走査方向に対する圧着処理部27の回動角度を大きくすることによって、ステープル処理の効率がさらに向上する。一方、図10(B)の右図に示すように、用紙Pに予め設定された余白の搬送方向の長さLが短いほど、主走査方向に対する圧着処理部27の回動角度を小さくすることによって、用紙Pに形成された画像に圧着綴じ痕が重なるのを防止できる。
【0061】
また、上記の実施形態によれば、図8を参照して説明したように、用紙束の厚みに応じて綴じ位置のピッチ及び綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することによって、適切な綴じ強度を得ることができる。さらに、上記の実施形態によれば、図9を参照して説明したように、用紙束の主走査方向の長さに応じて綴じ位置のピッチ及び綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することによって、ステープル処理の効率が向上する。
【0062】
[変形例]
次に、図11図15を参照して、変形例に係る後処理装置3を説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。変形例に係るコントローラ100は、内部トレイ22に支持された用紙束の同一の綴じ位置を、回動角度を変更した圧着処理部44に、互いの圧着綴じ痕が重ならないように繰り返し圧着綴じさせる点で、上記の実施形態と相違する。
【0063】
図11は、変形例に係る圧着処理部44の構成を示す図である。図11(A)に示すように、圧着処理部44は、一対の綴じ歯45、46を備える。また、綴じ歯45は、中央部45Cと、両端部45L、45Rとで構成される。そして、中央部45Cと、両端部45L、45Rとは、互いに独立して綴じ歯46に接離可能に構成されている。
【0064】
そして、図11(B)に示すように、圧着処理部44は、一対の綴じ歯45、46の長手方向の全域で、用紙束の綴じ位置を挟持することができる。換言すれば、圧着処理部44は、綴じ歯45の中央部45C及び両端部45L、45Rの全てを、綴じ歯46と噛み合わせることができる。図11(B)の処理は、第一綴じ処理の一例である。
【0065】
また、図11(C)に示すように、圧着処理部44は、一対の綴じ歯45、46の長手方向の両端部のみで、用紙束の綴じ位置を挟持することができる。換言すれば、圧着処理部44は、中央部45Cを綴じ歯46から離間させたまま、両端部45L、45Rを綴じ歯46と噛み合わせることができる。図11(C)の処理は、第二綴じ処理の一例である。
【0066】
図12は、変形例による圧着綴じのバリエーションを示す図である。変形例に係るコントローラ100は、図12に示すように、内部トレイ22に支持された用紙束の同一の綴じ位置に対して、時計回り及び反時計回りの一方に回動させた圧着処理部44に圧着綴じさせた後に、時計回り及び反時計回りの他方に回動させた圧着処理部44に圧着綴じさせる。すなわち、変形例による圧着綴じ痕は、略X字形状となる。
【0067】
一例として、変形例に係るコントローラ100は、図12(A)に示すように、時計回り回動させた圧着処理部44と、反時計回りに回動させた圧着処理部44とに、第二綴じ処理を実行させてもよい。他の例として、変形例に係るコントローラ100は、図12(B)に示すように、時計回り回動させた圧着処理部44と、反時計回りに回動させた圧着処理部44との一方に第一綴じ処理を実行させ、他方に第二綴じ処理を実行させてもよい。
【0068】
図13は、変形例に係る圧着綴じの順序の一例を示す図である。図13(A)に示すように、変形例に係るコントローラ100は、圧着処理部44を時計回り及び反時計回りの一方に回動させた状態で、主走査方向の一方にスライドさせながら複数の綴じ位置を順番に圧着綴じする。その後、図13(B)に示すように、変形例に係るコントローラ100は、圧着処理部44を時計回り及び反時計回りの他方に回動させた状態で、主走査方向の他方にスライドさせながら複数の綴じ位置を順番に圧着綴じする。これにより、圧着処理部44の姿勢変化の回数を削減することができる。
【0069】
図14は、変形例に係る圧着綴じの順序の他の例を示す図である。図14(A)に示すように、変形例に係るコントローラ100は、同一の綴じ位置に対して、時計回り及び反時計回りの一方に回動させた圧着処理部44に圧着綴じさせた後に、時計回り及び反時計回りの他方に回動させた圧着処理部44に圧着綴じさせる。次に、図14(B)に示すように、変形例に係るコントローラ100は、圧着処理部44を主走査方向に隣接する綴じ位置にスライドさせて、前述する圧着綴じを実行させる。そして、変形例に係るコントローラ100は、この処理を繰り返す。これにより、圧着処理部44の主走査方向へのスライド量を削減することができる。
【0070】
図15は、変形例に係る圧着綴じのバリエーションを示す図である。図15(A)に示すように、同一の綴じ位置に平行綴じ及び斜め綴じを施してもよい。また、回動角度を変更した圧着処理部44に繰り返し圧着綴じさせる綴じ位置は、複数箇所に限定されず、図15(B)に示すように一箇所でもよい。
【0071】
変形例によれば、回動角度を変更した圧着処理部44で同一の綴じ位置を繰り返し圧着綴じすることによって、適切な綴じ強度を得ることができる。但し、圧着綴じ痕を重ねると圧着綴じの綴じ強度が低下するので、互いの圧着綴じ痕が重ならないようにするのが望ましい。なお、圧着綴じ痕が重ならないようにするための圧着処理部44の構成は、図11の例に限定されない。
【0072】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する圧着処理部27のみならず、中綴じ処理を実行する綴じ処理部33にも適用することができる。
【0073】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0074】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0075】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> シート状の媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、
前記トレイに支持された複数の前記媒体を、一対の綴じ歯で挟持して圧着綴じする圧着処理部と、
前記圧着処理部を、前記トレイに支持された前記媒体の表面に沿って前記搬送方向に直交する主走査方向にスライドさせると共に、前記搬送方向及び前記主走査方向に直交する方向に延びる回動軸を中心として回動させる駆動機構と、
前記搬送部、前記圧着処理部、及び前記駆動機構を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体を、前記圧着処理部の回動角度を変更して繰り返し圧着綴じすることを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記コントローラは、前記トレイに支持された前記媒体の前記主走査方向に離間した複数の綴じ位置を、前記圧着処理部の回動角度を少なくとも1回変更して圧着綴じすることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記駆動機構は、前記主走査方向に対して前記綴じ歯の長手方向が任意の角度になるように、前記圧着処理部を回動させることが可能に構成されていることを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記コントローラは、前記媒体の端部に予め設定された余白の前記搬送方向の長さに応じて、前記圧着処理部の回動角度を変更することを特徴とする前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5> 前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の厚みに応じて、複数の綴じ位置の前記主走査方向の間隔及び前記綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することを特徴とする前記<1>1乃至前記<4>のいずれか1項に記載の媒体処理装置である。
<6> 前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の前記主走査方向の長さに応じて、複数の綴じ位置の前記主走査方向の間隔及び前記綴じ位置の数の少なくとも一方を変更することを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれか1項に記載の媒体処理装置である。
<7> 前記コントローラは、前記トレイに支持された複数の前記媒体の同一の綴じ位置を、回動角度を変更した前記圧着処理部に、互いの圧着綴じ痕が重ならないように繰り返し圧着綴じさせることを特徴とする前記<1>乃至前記<6>のいずれか1項に記載の媒体処理装置である。
<8> 前記圧着処理部は、前記綴じ位置に対して、
一対の前記綴じ歯の長手方向の全域で挟持する第一綴じ処理と、
一対の前記綴じ歯の長手方向の両端部のみで挟持する第二綴じ処理とを実行可能に構成されていることを特徴とする前記<7>に記載の媒体処理装置である。
<9> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を圧着綴じする前記<1>乃至前記<8>のいずれか1項に記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0076】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置(媒体処理装置)
10-19 :搬送ローラ対(搬送部)
20 :切替爪
21,30,36 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23 :叩きコロ
24 :戻しコロ
25,32 :エンドフェンス
26L,26R :サイドフェンス
27,44 :圧着処理部
28 :針綴じ処理部
29 :放出爪
31 :フィラー
33 :綴じ処理部
34 :用紙折りブレード
35 :穿孔処理部
37 :ガイドレール
38 :スライドモータ
39 :回動モータ
40 :回動軸
41,42,45,46 :綴じ歯
43 :接離モータ
44 :圧着処理部
45C :中央部
45L,45R :端部
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2019‐163123号公報
【特許文献2】特開2013‐170067号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15