(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030003
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】冷媒排出方法
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20240229BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F25B45/00 Z
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132519
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390002233
【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 史
(72)【発明者】
【氏名】坂口 学
(72)【発明者】
【氏名】相馬 啓
(72)【発明者】
【氏名】塩屋 祐太
(72)【発明者】
【氏名】福岡 美則
(57)【要約】
【課題】冷媒循環系統からの冷媒の排出時に冷媒循環系統内における冷媒の固化を抑制する。
【解決手段】一実施形態に係る冷媒排出方法は、冷媒循環系統内を加圧するステップと、加圧するステップで冷媒循環系統内を加圧しながら冷媒循環系統内の冷媒を冷媒循環系統の外部に排出するステップと、を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒循環系統内を加圧するステップと、
前記加圧するステップで前記冷媒循環系統内を加圧しながら前記冷媒循環系統内の冷媒を前記冷媒循環系統の外部に排出するステップと、
を備える、
冷媒排出方法。
【請求項2】
前記加圧するステップでは、前記冷媒循環系統内の圧力が前記冷媒の三重点以上の圧力を保つように前記冷媒循環系統内を加圧する、
請求項1に記載の冷媒排出方法。
【請求項3】
前記冷媒は、二次冷媒であり、
前記冷媒循環系統は、二次冷媒循環系統である、
請求項1又は2に記載の冷媒排出方法。
【請求項4】
前記加圧するステップでは、前記二次冷媒循環系統内で前記冷媒を循環させるためのポンプによって前記二次冷媒循環系統内を加圧すること、又は、前記二次冷媒循環系統内に前記二次冷媒循環系統の外部から気体を供給することで前記二次冷媒循環系統内を加圧すること、の少なくとも何れか一方を実施することで前記二次冷媒循環系統内を加圧する、
請求項3に記載の冷媒排出方法。
【請求項5】
前記加圧するステップでは、
前記排出するステップの第1期間において、前記ポンプによって前記二次冷媒循環系統内を加圧し、
前記第1期間よりも後の、前記排出するステップの第2期間において、前記二次冷媒循環系統内に前記二次冷媒循環系統の外部から気体を供給することで前記二次冷媒循環系統内を加圧する、
請求項4に記載の冷媒排出方法。
【請求項6】
前記二次冷媒循環系統は、熱交換器を介して一次冷媒循環系統と接続され、
前記第1期間は、前記熱交換器からの前記冷媒を受け入れることができる、前記二次冷媒循環系統に設けられたレシーバタンク内の液相の前記冷媒の量が規定量以上である期間であり、
前記第2期間は、液相の前記冷媒の量が前記規定量未満である期間である、
請求項5に記載の冷媒排出方法。
【請求項7】
前記加圧するステップでは、前記第1期間において、前記一次冷媒循環系統を備える冷凍機を運転しながら前記ポンプによって前記二次冷媒循環系統内を加圧する、
請求項6に記載の冷媒排出方法。
【請求項8】
前記冷媒は、CO2冷媒である、
請求項1又は2に記載の冷媒排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば冷媒にCO2を用いた冷凍サイクル装置において、メンテナンス時や設備の撤去時にCO2冷媒を外部に排出することができるように構成された冷凍サイクル装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
このような冷凍サイクル装置において、メンテナンス時のように冷媒循環系統からCO2冷媒を排出させようとすると、冷媒循環系統内でCO2冷媒が固化してしまうおそれがある。比較的大型の装置では、冷媒循環系統内でCO2冷媒が固化してしまうと、冷媒循環系統のメンテナンスに支障をきたすおそれがあったり、固化したCO2冷媒が溶解又は気化するまで作業を止めることになり排出に時間が掛かったりしてしまうおそれがある。
【0003】
そこで、CO2冷媒を外部に排出する際の固化を防止するために、補助熱交換器にて外気とCO2冷媒との間で熱交換を行いながらCO2冷媒を外部に排出するように構成された冷凍サイクル装置が存在する(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-299981号公報
【特許文献2】特許第5693247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば特許文献2に記載の冷凍サイクル装置では、冬季のように外気温が低い環境下では補助熱交換器にて外気とCO2冷媒との間で十分な熱交換ができず、CO2冷媒を外部に排出する際にCO2冷媒が固化するおそれがある。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、冷媒循環系統からの冷媒の排出時に冷媒循環系統内における冷媒の固化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷媒排出方法は、
冷媒循環系統内を加圧するステップと、
前記加圧するステップで前記冷媒循環系統内を加圧しながら前記冷媒循環系統内の冷媒を前記冷媒循環系統の外部に排出するステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、冷媒循環系統からの冷媒の排出時に冷媒循環系統内における冷媒の固化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法が適用される冷凍サイクル装置の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
【
図1B】幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法が適用される冷凍サイクル装置の他の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
【
図2A】幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法の実施に際し、制御装置において実施される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図2B】幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法の実施に際し、制御装置において実施される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
図1Aは、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法が適用される冷凍サイクル装置の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
図1Bは、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法が適用される冷凍サイクル装置の他の一例としての土壌凍結装置の全体構成図である。
幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1は、一次冷媒循環系統3を有する冷凍機5と、一次冷媒循環系統3と熱交換器7を介して接続される二次冷媒循環系統10とを備えている。
【0012】
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10は、二次冷媒循環系統10の冷媒循環路21に、熱交換器7からの冷媒を受け入れることができるレシーバタンク11と、レシーバタンク11内の冷媒を二次冷媒循環系統で循環させるためのポンプ13と、土壌30を凍結させるために土壌に埋設された複数の凍結管15とが設けられている。幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10は、冷媒循環路21に、複数の凍結管15に液相の冷媒を分配するための液ヘッダ17と、複数の凍結管15から気相の冷媒を集めるためのガスヘッダ19とが設けられている。
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10では、冷媒(二次冷媒)は、例えばCO2冷媒である。
【0013】
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10は、ガスヘッダ19とレシーバタンク11とを接続する冷媒流路23に後述する制御装置50によって制御される電磁弁31が設けられている。
冷媒流路23には、ガスヘッダ19と電磁弁31との間にパージ流路25が接続されている。パージ流路25には、パージ弁33が設けられている。パージ弁33は、例えば後述する制御装置50によって制御される電磁弁である。
パージ流路25の出口には、後述するように二次冷媒循環系統10の外部に二次冷媒を排出する際の消音のためのサイレンサ27が設けられていてもよい。
【0014】
図1Aに示す二次冷媒循環系統10は、後述するように二次冷媒循環系統10に気体(窒素)を供給するための気体の供給源(窒素源)としての窒素ボンベ41が接続可能に構成されている。すなわち、
図1Aに示す二次冷媒循環系統10では、窒素ボンベ41からの窒素ガスを二次冷媒循環系統10に供給するための供給流路29が冷媒流路23内の電磁弁31とレシーバタンク11との間に接続されている。
図1Bに示す二次冷媒循環系統10には、後述するように二次冷媒循環系統10に気体(圧縮空気)を供給するための気体の供給源(圧縮空気源)としてのエアコンプレッサ43と、エアコンプレッサ43からの圧縮空気を除湿するためのエアドライヤ45とが接続されている。すなわち、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10では、エアコンプレッサ43からの圧縮空気を二次冷媒循環系統10に供給するための供給流路29が冷媒流路23内の電磁弁31とレシーバタンク11との間に接続されている。
なお、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10では、エアコンプレッサ43に代えて、PSA式(圧力スイング吸着:Pressure Swing Adsorption)や、膜式の窒素ガス発生装置を用いてもよい。
供給流路29には、供給弁35が設けられている。供給弁35は、例えば後述する制御装置50によって制御される電磁弁である。
【0015】
図1Aに示す二次冷媒循環系統10によれば、比較的高い圧力の気体を容易に得られることや、気体を供給するための動力源が不要であり、装置構成を簡素化できる等の利点がある。
図1Bに示す二次冷媒循環系統10によれば、気体を供給するためのボンベが不要であり、ボンベ交換等の手間を省くことができることや、パージ流量が多くなった場合にボンベ内の気体によってパージする場合と比べてコストを抑制できる等の利点がある。
なお、
図1Aに示す二次冷媒循環系統10において、窒素ボンベ41は、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10内から外部に排出する場合にだけ用意することとしてもよい。
また、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10において、エアコンプレッサ43やエアドライヤ45は、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10内から外部に排出する場合にだけ用意することとしてもよい。
【0016】
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10には、レシーバタンク11内の圧力を検出するための圧力センサ61と、レシーバタンク11内の二次冷媒の液面レベルを検出するためのレベルセンサ62とが設けられている。
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10には、パージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力及び二次冷媒の濃度を検出するための圧力センサ65及び濃度センサ66が設けられている。なお、濃度センサ66は、パージ弁33の下流に設けられていてもよい。濃度センサ66は、常設されていてもよいし、簡易式(ハンディタイプ)のものであってもよい。
幾つかの実施形態に係る二次冷媒循環系統10には、供給流路29における気体の供給圧力を検出するための圧力センサ67が設けられている。
【0017】
幾つかの実施形態に係る土壌凍結装置1は、土壌凍結装置1の各部を制御するための制御装置50を備えている。
幾つかの実施形態に係る制御装置50は、各種演算処理を実行するプロセッサ51と、プロセッサ51によって処理される各種データを非一時的または一時的に記憶するメモリ53とを備える。プロセッサ51は、CPU、GPU、MPU、DSP、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせなどによって実現される。メモリ53は、ROM、RAM、フラシュメモリ、またはこれらの組み合わせなどによって実現される。
以下の説明では、制御装置50の制御内容について、主に二次冷媒循環系統10における二次冷媒の排出に関して説明する。なお、制御装置50の制御内容については、後で詳述する。
【0018】
このように構成される土壌凍結装置1では、熱交換器7を介して冷凍機5で冷却された二次冷媒は、ポンプ13によって液ヘッダ17に供給され、液ヘッダ17から複数の凍結管15に供給される。
複数の凍結管15に供給された二次冷媒は、複数の凍結管15内で蒸発する際に複数の凍結管15の周囲の土壌から熱を奪う。これにより、複数の凍結管15の周囲の土壌は凍結する。
【0019】
複数の凍結管15内で蒸発した気相の二次冷媒は、ガスヘッダ19で集められてレシーバタンク11に戻る。
レシーバタンク内の気相の二次冷媒は、熱交換器7で冷却されて液化し、液相の二次冷媒としてレシーバタンク11に戻る。
【0020】
このように構成される土壌凍結装置1において、例えば二次冷媒循環系統10のメンテナンスを行う場合や、凍結管15を撤去する場合等には、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10内から外部に排出する必要がある。
しかし、二次冷媒の排出に際し、二次冷媒循環系統10内の圧力が三重点(CO2冷媒:0.417MPa)以下の圧力まで低下すると、二次冷媒循環系統10内で二次冷媒が固化するおそれがある。
二次冷媒循環系統10内で二次冷媒が固化してしまうと、固化した二次冷媒が気化又は液化するまで不図示のストレーナの交換等のメンテナンスや凍結管の撤去等を実施できない。また、二次冷媒循環系統10内で二次冷媒が固化してしまうと、固化した二次冷媒が気化又は液化するまでポンプ13を運転できなくなる。
そこで、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際の固化を防止するため、例えばヒータで二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を加熱する方法が考えられる。しかし、この方法では、二次冷媒の固化の防止に加熱に必要な熱量が比較的多くなるため、ヒータによる加熱が二次冷媒の排出に追い付かず、二次冷媒が固化するおそれがある。また、ヒータでの加熱による二次冷媒の圧力の急上昇を検知することが難しい等の技術的な課題もある。
【0021】
そこで、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、二次冷媒循環系統10内を加圧しながら二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出するようにした。
すなわち、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法は、後述する、二次冷媒循環系統10内を加圧するステップS100と、後述する、加圧するステップS100で二次冷媒循環系統10内を加圧しながら二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出するステップS200と、を備える。
これにより、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する過程で二次冷媒循環系統10内の圧力低下を抑制できるので、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を抑制できる。
【0022】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、加圧するステップS100では、後述するように二次冷媒循環系統10内の圧力が二次冷媒の三重点以上の圧力を保つように二次冷媒循環系統10内を加圧する。
これにより、二次冷媒循環系統10内の圧力を二次冷媒の三重点以上の圧力に保つことで二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を防止できる。
【0023】
図2A及び
図2Bは、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法の実施に際し、制御装置50において実施される処理の流れを示すフローチャートである。
図2A及び
図2Bのフローチャートに示す処理を実行するためのプログラムは、二次冷媒の排出処理の開始信号をプロセッサ51が受信すると、プロセッサ51がメモリ53から読み込んで実行する。
【0024】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法は、加圧するステップS100と、排出するステップS200と、を備える。
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、加圧するステップS100には、後述するステップS1、ステップS3、ステップS5、ステップS15、及び、ステップS17が含まれる。
なお、以下の説明では、特に言及しない限り、
図1A及び
図1Bに示す二次冷媒循環系統10の何れについても当てはまるものである。
【0025】
図2Aに示すように、ステップS1では、プロセッサ51は、冷凍機5の運転開始と、ポンプ13の運転開始と、パージ弁33の開動作をするための制御信号を出力する。
これにより、冷凍機5で冷却された二次冷媒の二次冷媒循環系統10内での循環が開始される。すなわち、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内が加圧(昇圧)されることで、加熱によらず、二次冷媒循環系統10内が加圧(昇圧)される。
また、ステップS1が実施されることで、二次冷媒循環系統10内を循環する二次冷媒の一部がパージ流路25を介して二次冷媒循環系統10の外部に排出される。
なお、ステップS1が実施される時点では、電磁弁31は開であり、供給弁35は閉である。また、ステップS1が実施される時点では、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10では、エアコンプレッサ43及びエアドライヤ45は停止中であるが、運転していてもよい。
【0026】
ステップS3では、プロセッサ51は、圧力センサ61で検出されるレシーバタンク11内の圧力Prが規定圧力P1以下となるまで待機する。プロセッサ51は、レシーバタンク11内の圧力Prが規定圧力P1以下となったと判断すると、ステップS5へ進み、レベルセンサ62で検出されるレシーバタンク11内の二次冷媒の液面レベルLrが下限L1以下となるまで待機する。プロセッサ51は、レシーバタンク11内の二次冷媒の液面レベルが下限L1以下となったと判断すると、ステップS7へ進み、ポンプ13を停止するための制御信号を出力する。これにより、ポンプ13が停止する。
ここで、規定圧力P1は、二次冷媒が三重点に達しないまでの任意の圧力であり、液面レベルLrの下限L1は、ポンプ13の吸込み揚程が確保され、かつ適正な運転が継続できる任意の液面レベルである。
【0027】
ステップS9では、プロセッサ51は、圧力センサ65で検出されるパージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.5MPa以下となるまで待機する。プロセッサ51は、パージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.5MPa以下となったと判断すると、ステップS11へ進み、電磁弁31の閉動作をするための制御信号を出力する。これにより、電磁弁31が閉じられる。電磁弁31を閉じることにより、この後に実施するステップS15において窒素ボンベ41からの窒素ガスの供給が行われる際、又は、エアコンプレッサ43からの圧縮空気の供給が行われる際に、窒素ガス又は圧縮空気が電磁弁31を介してパージ流路25に流入することを防止できる。
【0028】
図2Bに示すように、ステップS13では、プロセッサ51は、圧力センサ65で検出されるパージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.5MPa以下となるまで待機する。プロセッサ51は、パージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.5MPa以下となったと判断すると、ステップS15へ進み、供給弁35の開動作をするための制御信号を出力する。なお、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10では、ステップS15、又はステップS15に至る前の時点において、プロセッサ51は、エアコンプレッサ43及びエアドライヤ45の運転を開始する制御信号をエアコンプレッサ43及びエアドライヤ45に出力するとよい。
これにより、供給弁35が開かれて、二次冷媒循環系統10内に窒素ガス又は圧縮空気が供給されることで加熱によらず二次冷媒循環系統10内が加圧(昇圧)される。
【0029】
ステップS17では、プロセッサ51は、圧力センサ65で検出されるパージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.55MPa以上となるまで待機する。プロセッサ51は、パージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが0.55MPa以上となったと判断すると、ステップS19へ進み、供給弁35の閉動作をするための制御信号を出力する。これにより、供給弁35が閉じられて、二次冷媒循環系統10内への窒素ガス又は圧縮空気の供給が停止する。なお、
図1Bに示す二次冷媒循環系統10では、ステップS19において、プロセッサ51は、エアコンプレッサ43及びエアドライヤ45を停止する制御信号をエアコンプレッサ43及びエアドライヤ45に出力してもよい。
【0030】
ステップS21では、プロセッサ51は濃度センサ66にてパージ流路25から排出される二次冷媒の濃度Cpを検知し、該濃度Cpが基準値C1以下であるか否かを判断する。
ステップS21では、プロセッサ51は、該濃度Cpが基準値C1を超えていると判断すると、ステップS13に戻る。
ステップS21では、プロセッサ52は、該濃度Cpが基準値C1以下であると判断すると、ステップS23に進む。
なお、上記基準値C1は、例えば二次冷媒がCO2冷媒であれば、該濃度Cpがパージ作業を行う前の周囲におけるCO2の濃度と同等と見なせるような値としてもよい。
上記によれば、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒がすべて排出され内部が窒素ガス又は空気に置換された、すなわちCO2固化のおそれがないと容易に判断することができる。
【0031】
ステップS23では、プロセッサ51は、圧力センサ61で検出されるレシーバタンク11内の圧力Pr、及び、圧力センサ65で検出されるパージ流路25におけるパージ弁33の上流の圧力Ppが大気圧Pa以下になるまで待機する。
プロセッサ51は、これらの圧力Pr、及び圧力Ppが大気圧Pa以下となったと判断すると、本プログラムによる処理を終了する。
【0032】
このように、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、加圧するステップS100では、排出するステップS200の第1期間Per1において、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。加圧するステップS100では、第1期間Per1よりも後の排出するステップS200の第2期間Per2において、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から窒素ガス又は圧縮空気を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
【0033】
これにより、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒量が比較的多い第1期間Per1においてポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するようにすれば、第1期間Per1及び第2期間Per2において二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から窒素ガス又は圧縮空気を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧する場合と比べて、窒素ガス又は圧縮空気の供給量(窒素ガスの消費量又はエアコンプレッサ43における電力消費量)を低減できる。
また、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法によれば、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒量が比較的少ない第2期間Per2において液相の二次冷媒が少なくなってポンプ13による二次冷媒循環系統10内の加圧が難しくなっても、窒素ガス又は圧縮空気によって二次冷媒循環系統10内を加圧できる。
【0034】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、第1期間Per1は、レシーバタンク11内の液相の二次冷媒の量が規定量より多い、すなわち液面レベルLrが下限L1以上である期間であるとよい。第2期間Per2は、液相の二次冷媒の量が規定量以下、すなわち液面レベルLrが下限L1以下である期間であるとよい。
これにより、上記規定量、すなわち下限L1を適切に設定することで、窒素ガス又は圧縮空気の供給量を効果的に抑制できる。また、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法によれば、上記規定量を適切に設定することで、ポンプ13が気相の二次冷媒を吸引することで生じるキャビテーションを抑制でき、ポンプ13の破損を防止できる。
【0035】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、加圧するステップS100では、第1期間Per1において、一次冷媒循環系統3を備える冷凍機5を運転しながらポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
これにより、冷凍機5を運転することで、レシーバタンク11内の気相の二次冷媒を液相の二次冷媒とすることができ、第1期間Per1を長くすることができる。すなわち、冷凍機5を運転することで、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧しながら二次冷媒循環系統10の外部に排出する二次冷媒の量を増やすことができる。これにより、窒素ガス又は圧縮空気の消費量を抑制できる。
【0036】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、排出の対象となる冷媒は、二次冷媒であってもよく、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法が適用される冷媒循環系統は、二次冷媒循環系統10であってもよい。
これにより、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際に、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を抑制できる。
【0037】
上述した幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法において、加圧するステップS100では、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧すること、及び、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体(窒素ガス又は圧縮空気)を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧すること、の双方を実施した。
しかし、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法において、加圧するステップS100では、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧すること、又は、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧すること、の何れか一方だけを実施してもよい。
すなわち、加圧するステップS100では、ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧すること、又は、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧すること、の少なくとも何れか一方を実施することで二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
これにより、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際の、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を、比較的容易に抑制できる。
【0038】
幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、排出の対象となる冷媒は、CO2冷媒であってもよい。
これにより、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際に、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化が比較的生じ易いCO2冷媒であっても、二次冷媒循環系統10内におけるCO2冷媒の固化を抑制できる。
【0039】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法は、直膨方式の冷凍装置に適用してもよい。
また、幾つかの実施形態に係る冷媒排出方法では、上述した
図2A及び
図2Bのフローチャート上のステップS1からステップS27までの少なくとも一部のステップを作業員が実施するようにしてもよい。
【0040】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷媒排出方法は、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内を加圧するステップS100と、加圧するステップS100で冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内を加圧しながら冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の冷媒を冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)の外部に排出するステップS200と、を備える。
【0041】
上記(1)の方法によれば、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の冷媒(二次冷媒)を冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)の外部に排出する過程で冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の圧力低下を抑制できるので、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内における冷媒の固化を抑制できる。
【0042】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、加圧するステップS100では、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の圧力が冷媒(二次冷媒)の三重点以上の圧力を保つように冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内を加圧するとよい。
【0043】
上記(2)の方法によれば、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の圧力を冷媒(二次冷媒)の三重点以上の圧力に保つことで冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内における冷媒(二次冷媒)の固化を防止できる。
【0044】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、冷媒は、二次冷媒であってもよく、冷媒循環系統は、二次冷媒循環系統10であってもよい。
【0045】
上記(3)の方法によれば、二次冷媒循環系統10内の冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際に、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を抑制できる。
【0046】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の方法において、加圧するステップS100では、二次冷媒循環系統10内で冷媒を循環させるためのポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧すること、又は、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体(窒素ガス又は圧縮空気)を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧すること、の少なくとも何れか一方を実施することで二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
【0047】
上記(4)の方法によれば、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒を二次冷媒循環系統10の外部に排出する際の、二次冷媒循環系統10内における二次冷媒の固化を、比較的容易に抑制できる。
【0048】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の方法において、加圧するステップS100では、排出するステップS200の第1期間Per1において、上記ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。加圧するステップS100では、第1期間Per1よりも後の、排出するステップS200の第2期間Per2において、二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体(窒素ガス又は圧縮空気)を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
【0049】
上記(5)の方法によれば、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒量が比較的多い第1期間Per1においてポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するようにすれば、第1期間Per1及び第2期間Per2において二次冷媒循環系統10内に二次冷媒循環系統10の外部から気体(窒素ガス又は圧縮空気)を供給することで二次冷媒循環系統10内を加圧する場合と比べて、気体の供給量(気体の消費量)を低減できる。
また、二次冷媒循環系統10内の二次冷媒量が比較的少ない第2期間Per2において液相の二次冷媒が少なくなってポンプ13による二次冷媒循環系統10内の加圧が難しくなっても、二次冷媒循環系統10内に気体(窒素ガス又は圧縮空気)を供給することによって加圧できる。
【0050】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の方法において、二次冷媒循環系統10は、熱交換器7を介して一次冷媒循環系統3と接続されていてもよい。第1期間Per1は、上記熱交換器7からの二次冷媒を受け入れることができる、二次冷媒循環系統10に設けられたレシーバタンク11内の液相の二次冷媒の量が規定量より多い期間であるとよい。第2期間Per2は、液相の二次冷媒の量が規定量以下である期間であるとよい。
【0051】
上記(6)の方法によれば、上記規定量を適切に設定することで、気体(窒素ガス又は圧縮空気)の供給量を効果的に抑制できる。また、上記(6)の方法によれば、上記規定量を適切に設定することで、ポンプ13が気相の二次冷媒を吸引することで生じるキャビテーションを抑制でき、ポンプ13の破損を防止できる。
【0052】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の方法において、加圧するステップS100では、第1期間Per1において、一次冷媒循環系統3を備える冷凍機5を運転しながら上記ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧するとよい。
【0053】
上記(7)の方法によれば、冷凍機5を運転することで、レシーバタンク11内の気相の二次冷媒を液相の二次冷媒とすることができ、第1期間Per1を長くすることができる。すなわち、冷凍機5を運転することで、上記ポンプ13によって二次冷媒循環系統10内を加圧しながら二次冷媒循環系統10の外部に排出する二次冷媒の量を増やすことができる。これにより、気体(窒素ガス又は圧縮空気)の消費量を抑制できる。
【0054】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの方法において、冷媒(二次冷媒)は、CO2冷媒であってもよい。
【0055】
上記(8)の方法によれば、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内の冷媒(二次冷媒)を冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)の外部に排出する際に、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内における冷媒(二次冷媒)の固化が比較的生じ易いCO2冷媒であっても、冷媒循環系統(二次冷媒循環系統10)内におけるCO2冷媒の固化を抑制できる。
【符号の説明】
【0056】
1 土壌凍結装置
3 一次冷媒循環系統
5 冷凍機
7 熱交換器
10 二次冷媒循環系統
11 レシーバタンク
13 ポンプ