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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003004
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】含フッ素アニリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/56 20060101AFI20231228BHJP
   C07C 211/61 20060101ALI20231228BHJP
   C07C 211/58 20060101ALI20231228BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20231228BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20231228BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20231228BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
C07C211/56
C07C211/61 CSP
C07C211/58
C07D209/86
H10K50/155
H10K50/17
H10K85/60
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178726
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2019236192の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2018146997
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 圭介
(57)【要約】
【課題】 有機EL素子をはじめとした電子素子用の電荷輸送性薄膜形成用材料として好適に利用できる含フッ素アニリン誘導体を提供すること。
【解決手段】 例えば、下記式(H1)や(H2)で表されるような含フッ素アニリン誘導体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(T1)で表される含フッ素アニリン誘導体(但し、下記式[1]および[2]で表される化合物を除く。)。
【化1】
〔式中、X211は、下記式(A02-1)で表される2価の基であり、
【化2】
(式中、a21およびa23は、芳香環に置換するフッ素原子の数を表し、それぞれ独立して1~4の整数であり、
a22およびa24は、芳香環に置換するZ02の数を表し、それぞれ0である。)
211およびY212は、ともに同一であり、式(B01)~(B21)のいずれかで表される1価の基を表す。
【化3】
【化4】
【化5】
(式中、L11は、-S-、-O-、-CO-、-CH2-、-(CH22-、-C(CH32-、-CF2-、-(CF22-、-C(CF32-、フルオレン-9,9-ジイル基、-NH-または-NZ100-を表し、
12は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
13およびL14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
100は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
101~Z107およびZ109~Z121は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
108は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基もしくは炭素数6~20のアリール基を表すが、異なるベンゼン環上に存在するZ108同士が結合して環を形成していてもよく、
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリール基を表し、
Ar2は、単結合または炭素数6~20のアリーレン基を表す。)〕
【化6】
【請求項2】
前記a21およびa23が、2~4の整数である請求項1記載のフッ素アニリン誘導体。
【請求項3】
前記a21およびa23が、3~4の整数である請求項2記載の含フッ素アニリン誘導体。
【請求項4】
前記X211が、下記式(A02-1-1)で表される2価の基である請求項1記載の含フッ素アニリン誘導体。
【化7】
【請求項5】
前記Y211およびY212が、ともに前記式(B01)、(B02)、(B04)、(B08)および(B18)のいずれかで表される1価の基である請求項1~4のいずれか1項記載の含フッ素アニリン誘導体。
【請求項6】
下記式のいずれかで表される請求項1記載の含フッ素アニリン誘導体。
【化8】
(式中、t-Buは、t-ブチル基を表す。)
【請求項7】
下記式のいずれかで表される請求項1記載の含フッ素アニリン誘導体。
【化9】
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質。
【請求項9】
請求項8記載の電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含む電荷輸送性薄膜形成用組成物。
【請求項10】
ドーパント物質を含む請求項9記載の電荷輸送性薄膜形成用組成物。
【請求項11】
請求項9または10記載の電荷輸送性薄膜形成用組成物から得られる電荷輸送性薄膜。
【請求項12】
請求項11記載の電荷輸送性薄膜を備える電子素子。
【請求項13】
請求項11記載の電荷輸送性薄膜を備える有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である請求項13記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素アニリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウム触媒を用いたアミンとハロゲン化物や擬ハロゲン化物とをクロスカップリングさせてC-N結合を形成させる反応は、芳香族アミンの合成やヘテロ環の形成に有用である。このクロスカップリングは、医薬分野、材料分野等といった多くの分野で重要な技術となっており(非特許文献1)、この反応に用いられる触媒や、反応プロセスについての研究が幅広く展開されている。
【0003】
一方、フッ素は、電気陰性度が全元素中最大であるため、それを分子内に導入することで分子全体の電子状態を大きく変えることができるという特徴だけでなく、その原子半径が水素原子と同程度であるため、水素原子に代えてフッ素原子を分子内に導入したとしても、その他の原子や置換基を導入した場合と比べて、分子サイズの変化を抑えられるという特徴を有している。
このため、フッ化物に関する研究が盛んに行われ、医薬や電子材料用のフッ化物の報告が多数なされている。例えば、電子材料の分野では、分子内にフッ素原子を有するアミン化合物が電荷輸送性物質として好適なことが報告されている(特許文献1)。
【0004】
このような状況の下、アミノ基を有するフルオロアリール化合物の合成法として、酢酸銅を触媒とした芳香族アミンとパーフルオロアリールボロン酸との反応(非特許文献2)、水酸化リチウム存在下でのホルムアニリドとパーフルオロベンゼンとの反応(非特許文献3)、t-BuONa存在下でのアニリンとパーフルオロベンゼンとの反応(非特許文献4)などが報告されているが、これらの反応では、いずれも反応部位であるアミノ基は、カップリング反応に供される2つの原料のうち、フッ素原子を有しない芳香族化合物側に存在している。
【0005】
フッ素原子およびアミノ基を有するフルオロアリールアミン化合物と、ハロアリール化合物とのカップリング反応の報告例は少なく、例えば、非特許文献5には、特殊なパラジウムカルベン錯体を触媒として用い、フルオロアリールアミン化合物とハロアリール化合物とをカップリングさせる手法が報告されているものの、触媒が高価であるうえ、目的物の収率が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/032617号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chem. Rev. 2016, 116, 12564-12649
【非特許文献2】Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 3223
【非特許文献3】Journal of Fluorine Chemistry, 74(2), 177-9; 1995
【非特許文献4】RSC Advances, 5(10), 7035-7048; 2015
【非特許文献5】Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 3223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機EL素子をはじめとした電子素子用の電荷輸送性薄膜形成用材料として好適な含フッ素アニリン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のパラジウム触媒、所定の配位子および塩基の存在下で、フッ化芳香族アミン化合物のアミノ基と、塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素の塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子または擬ハロゲン基とのカップリング反応が効率的に進行し、分子内にフルオロアリール部位を有する第二級アミン化合物が選択的に収率よく得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. 式(T1)で表される含フッ素アニリン誘導体(但し、下記式[1]および[2]で表される化合物を除く。)、
【化1】
〔式中、X211は、下記式(A02-1)で表される2価の基であり、
【化2】
(式中、a21およびa23は、芳香環に置換するフッ素原子の数を表し、それぞれ独立して1~4の整数であり、
a22およびa24は、芳香環に置換するZ02の数を表し、それぞれ0である。)
211およびY212は、ともに同一であり、式(B01)~(B21)のいずれかで表される1価の基を表す。
【化3】
【化4】
【化5】
(式中、L11は、-S-、-O-、-CO-、-CH2-、-(CH22-、-C(CH32-、-CF2-、-(CF22-、-C(CF32-、フルオレン-9,9-ジイル基、-NH-または-NZ100-を表し、
12は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
13およびL14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
100は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
101~Z107およびZ109~Z121は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数6~20のアリール基を表し、
108は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基もしくは炭素数6~20のアリール基を表すが、異なるベンゼン環上に存在するZ108同士が結合して環を形成していてもよく、
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリール基を表し、
Ar2は、単結合または炭素数6~20のアリーレン基を表す。)〕
【化6】
2. 前記a21およびa23が、2~4の整数である1のフッ素アニリン誘導体、
3. 前記a21およびa23が、3~4の整数である2の含フッ素アニリン誘導体、
4. 前記X211が、下記式(A02-1-1)で表される2価の基である1の含フッ素アニリン誘導体、
【化7】
5. 前記Y211およびY212が、ともに前記式(B01)、(B02)、(B04)、(B08)および(B18)のいずれかで表される1価の基である1~4のいずれかの含フッ素アニリン誘導体、
6. 下記式のいずれかで表される1の含フッ素アニリン誘導体、
【化8】
(式中、t-Buは、t-ブチル基を表す。)
7. 下記式のいずれかで表される1の含フッ素アニリン誘導体、
【化9】
8. 1~7のいずれかのアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質、
9. 8の電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含む電荷輸送性薄膜形成用組成物、
10. ドーパント物質を含む9の電荷輸送性薄膜形成用組成物、
11. 9または10の電荷輸送性薄膜形成用組成物から得られる電荷輸送性薄膜、
12. 11の電荷輸送性薄膜を備える電子素子、
13. 11の電荷輸送性薄膜を備える有機エレクトロルミネッセンス素子、
14. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である13の有機エレクトロルミネッセンス素子
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフッ化芳香族第二級アミン化合物の製造方法によれば、市販のパラジウム触媒およびビフェニル骨格を有する配位子を用い、フッ化芳香族アミン化合物と、塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素とから、効率的かつ高収率に、かつ安価に分子内にフルオロアリール部位を有する第二級アミン化合物(含フッ素アニリン誘導体)を製造することができる。
また、この反応において、フッ化芳香族アミン化合物および塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素のいずれも2官能の化合物を用いることで重合反応が進行し、分子内にフルオロアリール部位を有するオリゴアニリン誘導体またはポリアニリン誘導体といった重合体を効率的に製造することができる。
このような本発明の製造方法で得られた含フッ素アニリン誘導体、重合体等の含フッ素アミン化合物は、分子内にフッ素原子を有することから透明性に優れ、また電荷輸送性を示すため、それ単独で、またはその他の電荷輸送性材料やドーパント物質と組み合わせることで、有機EL素子をはじめとした電子素子用の電荷輸送性薄膜形成用材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
[1]フッ化芳香族第二級アミン化合物の製造方法
本発明に係るフッ化芳香族第二級アミン化合物の製造方法は、フッ化芳香族第一級アミン化合物と、塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素とを、触媒、配位子および塩基の存在下で反応させる工程を備えるものである。
【0013】
(1)触媒
本発明で用いる触媒は、ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体を含む。
ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体の具体例としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)等が挙げられるが、これらの中でも、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)が好ましい。
ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体の使用量は、目的とするカップリング反応が進行する量であれば特に制限はないが、フッ化芳香族第一級アミン化合物のアミン部位のNH1molに対し、パラジウム金属として0.0001~0.2molが好ましく、0.005~0.15molがより好ましく、0.01~0.12molがより一層好ましく、0.02~0.1molがさらに好ましい。
【0014】
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体とともに、その他の金属触媒を用いてもよい。
その他の金属触媒としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等の銅触媒;Pd(PPh34(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、Pd(PPh32Cl2(ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム)、Pd(P-t-Bu32(ビス(トリ(t-ブチルホスフィン))パラジウム)、Pd(OAc)2(酢酸パラジウム)等のパラジウム触媒などが挙げられる。
これらその他の金属触媒を使用する場合、その使用量は、一概に規定できないが、ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体に対し、通常100モル%未満である。
【0015】
(2)配位子
本発明で用いる配位子は、下記式(L)で表されるビフェニルホスフィン化合物を含む。
【0016】
【化10】
【0017】
式(L)において、R1は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を表し、R2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基または炭素数1~20のアルコキシ基を表し、R6~R8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはNR9 2基を表し、R9は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基を表す。
【0018】
炭素数1~20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イコシル基等の炭素数1~20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロブチル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル、ビシクロノニル、ビシクロデシル、アダマンチル基等の炭素数3~20の環状アルキル基などが挙げられる。
【0019】
炭素数6~20のアリール基の具体例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、c-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ基等が挙げられる。
【0020】
これらの中でも、再現性よく目的物を得る観点から、R1は、それぞれ独立して、比較的かさ高い基が好適であり、結合手が存在する炭素原子が第2級炭素原子か第3級炭素原子である3~20の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~20の環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基が好ましく、さらに溶媒への溶解性や安定性の観点から、炭素数3~5の分岐鎖状アルキル基、炭素数5~7の環状アルキル基がより好ましく、t-ブチル基、シクロヘキシル基がより一層好ましい。
なお、2つのR1は、合成の容易性の観点から、同一であることが好ましい。
【0021】
また、化合物の安定性の観点や再現性よく目的物を得る観点から、R2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、R2およびR5が、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルコキシ基、R3およびR4が、ともに水素原子の組み合わせがより好ましく、R2~R5が、全て水素原子がより一層好ましい。
【0022】
さらに、化合物の安定性の観点や再現性よく目的物を得る観点から、R6~R8は、水素原子、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、結合手が存在する炭素原子が第1級炭素原子か第2級炭素原子である3~20の分岐鎖状アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基が好ましく、さらに溶媒への溶解性や安定性の観点から、水素原子、炭素数1~5の直鎖状アルキル基、炭素数3~5の分岐鎖状アルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、イソプロポキシ基がより一層好ましい。
【0023】
特に、R6およびR8としては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、水素原子、メチル基、イソプロピル基、メトキシ基、イソプロポキシ基がより好ましい。
7としては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、イソプロピル基がより好ましい。
【0024】
本発明で好適に用いられる配位子としては、下記式(L1)~(L7)で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
【化11】
(式中、Meはメチル基を、i-Prはイソプロピル基を、t-Buはt-ブチル基を、Cyはシクロヘキシル基を意味する。)
【0026】
上記式(L)で表される配位子は、市販品として入手でき、例えば、Buchwaldリガンド等としてAldrich社で市販されている、JohnPhos, CyjohnPhos, DavePhos, XPhos, SPhos, tBuXPhos, RuPhos, Me4tBuXPhos, sSPhos, tBuMePhos, MePhos, tBuDavePhos, PhDavePhos, 2’-Dicyclohexylphosphino-2,4,6-trimethoxybiphenyl, BrettPhos, tBuBrettPhos, AdBrettPhos, Me3(OMe)tBuXPhos, (2-Biphenyl)di-1-adamantylphosphine, RockPhos, CPhos等が挙げられる。
また、上記式(L)で表される配位子は、公知の手法により合成することもできる。
【0027】
式(L)で表される配位子の使用量は、使用する触媒に対し、1~2当量が好ましい。特に、1当量未満の場合、パラジウムブラックが生じる可能性がある。
【0028】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、式(L)で表される配位子とともに、その他の配位子を用いてもよい。
その他の配子位の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ-t-ブチルホスフィン、ジ-t-ブチル(フェニル)ホスフィン、ジ-t-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等の3級ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3級フォスファイトなどが挙げられる。
その他の配位子を用いる場合、その使用量は一概に規定できないが、通常、式(L)で表される配位子に対して、100モル%未満である。
【0029】
(3)フッ化芳香族第一級アミン化合物
本発明の製造方法では、上述した触媒および配位子に特徴があるため、カップリング反応に供される原料であるフッ化芳香族第一級アミン化合物については特に制限はない。
フッ化芳香族第一級アミン化合物は、モノアミン化合物でもジアミン化合物でもよく、例えば、下記式(X1)および(X2)で表されるものが挙げられる。
【0030】
【化12】
(式中、ArF1は、フッ化アリール基を表し、ArF2は、フッ化アリーレン基を表す。)
【0031】
フッ化アリール基は、アリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものであればよいが、2個以上の水素原子がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
フッ化アリーレン基は、アリーレン基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものであればよいが、2個以上の水素原子がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
すなわち、本発明で用いるフッ化芳香族第一級アミン化合物は、分子内にフッ素原子を2個以上有するフッ化芳香族第一級モノアミン化合物またはジアミン化合物が好ましい。
【0032】
アリール基としては、炭素数6~20のアリール基が好ましく、その具体例としては、フェニル基;1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-ナフタセニル、2-ナフタセニル、5-ナフタセニル、2-クリセニル、1-ピレニル、2-ピレニル、ペンタセニル、ベンゾピレニル、トリフェニレニル基等の縮合環芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を一つ取り除いて誘導される基;ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、パラテルフェニル-4-イル、メタテルフェニル-4-イル、オルトテルフェニル-4-イル、1,1’-ビナフチル-2-イル、2,2’-ビナフチル-1-イル基等の環連結炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を一つ取り除いて誘導される基などが挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6~20のアリーレン基が好ましく、その具体例としては、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン基;1,5-ナフタレンジイル、1,8-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイル、2,7-ナフタレンジイル、1,2-アントラセンジイル、1,3-アントラセンジイル、1,4-アントラセンジイル、1,5-アントラセンジイル、1,6-アントラセンジイル、1,7-アントラセンジイル、1,8-アントラセンジイル、2,3-アントラセンジイル、2,6-アントラセンジイル、2,7-アントラセンジイル、2,9-アントラセンジイル、2,10-アントラセンジイル、9,10-アントラセンジイル基等の縮合環芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基;ビフェニル-4,4’-ジイル基、パラテルフェニル-4,4”-ジイル基基等の環連結炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基などが挙げられる。
【0033】
(4)塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素
塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素としては、モノクロロ、モノブロモもしくはモノヨードまたはモノ擬ハロゲン化合物のような、フッ化芳香族第一級アミンのアミノ基と反応する反応部位を1つ有する化合物であっても、ジクロロ、ジブロモもしくはジヨードまたはジ擬ハロゲン化合物のような、フッ化芳香族第一級アミンのアミノ基と反応する反応部位を2つ以上有する化合物であってもよく、例えば、下記式(Y1)および(Y2)で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化13】
(式中、Ar4は、アリール基を表し、Ar5は、アリーレン基を表し、Xは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または擬ハロゲン基を表す。)
【0035】
アリール基およびアリーレン基としては、上記と同様のものが挙げられる。
擬ハロゲン基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等の(フルオロ)アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等の芳香族スルホニルオキシ基などが挙げられる。
Xとしては、反応性という点から、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0036】
特に、本発明で用いる塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素は、モノもしくはジクロロ芳香族炭化水素、モノもしくはジブロモ芳香族炭化水素、またはモノもしくはジヨード芳香族炭化水素が好ましく、モノもしくはジブロモ芳香族炭化水素、またはモノもしくはジヨード芳香族炭化水素がより好ましい。
【0037】
(5)塩基
塩基としても特に限定されるものではなく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、t-ブトキシリチウム、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルコキシアルカリ金属、炭酸アルカリ金属、炭酸水素アルカリ金属;炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ土類金属;n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA),リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(LiTMP),ヘキサメチルジシラザンリチウム(LHMDS)等の有機リチウム;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類などが挙げられるが、LDA、LiTMP、LHMDS等の二級アミンをリチオ化したリチウムアミド試薬やt-ブトキシリチウム等のアルコキシアルカリ金属が好適である。
【0038】
(6)カップリング反応
本発明の製造方法において、フッ化芳香族第一級アミン化合物と、塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素との仕込み比は、フッ化芳香族第一級アミン化合物のNH2基1mol対して、芳香族炭化水素の塩素、臭素もしくはヨウまたは擬ハロゲンである反応部位1.0~1.2mol程度が好適である。
例えば、物質量(mol)比で、式(X1)と式(Y1)との反応では、(X1)1に対して(Y1)1~1.2程度が好適であり、式(X1)と(Y2)との反応では、(X1)1に対して、(Y1)0.5~0.6程度が好適であり、式(X2)と式(Y1)との反応では、(X2)1に対して(Y1)2~2.4程度が好適であり、式(X2)と(Y2)との反応では、(X2)1に対して、(Y2)1~1.2程度が好適である。
【0039】
本発明のカップリング反応は、原料化合物が全て固体である場合あるいは目的とするフッ化芳香族第二級アミン化合物を効率よく得る観点から、溶媒中で行う。
溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない。具体例としては、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、n-デカン、デカリン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、ラクタムおよびラクトン類(N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン等)、尿素類(N,N-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)などが挙げられ、これらの溶媒は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
特に、本発明では、溶媒としてエーテル類を用いることが好ましく、ジオキサンを用いることがより好ましい。
【0040】
反応温度の下限は、反応基質の反応性等に応じて異なるため一概に規定できないが、45℃以上であれば、通常、カップリング反応は良好に進行する。特に、反応性をより向上させることを考慮すると、反応温度は60℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上がより一層好ましく、特に、溶媒の加熱還流下で反応を行うことが好適である。一方、反応温度の上限は、用いる溶媒の沸点に応じて異なるため一概に規定できないが、通常200℃程度以下である。
反応終了後は、常法にしたがって後処理をし、目的とするフッ化芳香族第二級アミン化合物を得ることができる。
【0041】
[2]含フッ素アニリン誘導体
本発明に係る含フッ素アニリン誘導体の1つは、下記式(T1)で表される。
【0042】
【化14】
【0043】
上記式(T1)において、X211は、式(A01-1)~(A09)のいずれかで表される2価の基を表す。
【0044】
【化15】
【0045】
ここで、L01は、-S-、-O-、-CO-、-CH2-、-(CH22-、-C(CH32-、-CF2-、-(CF22-、-C(CF32-、フルオレン-9,9-ジイル基、-NH-または-NZ10-を表す。
02およびL03は、それぞれ独立して、水素原子、Z11で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z11で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ12で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表すが、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~20のアリール基が好ましく、ともに水素原子、メチル基、フェニル基がより好ましい。
上記アルキル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
炭素数2~20のアルケニル基の具体例としては、エテニル、n-1-プロペニル、n-2-プロペニル、1-メチルエテニル、n-1-ブテニル、n-2-ブテニル、n-3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-エチルエテニル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、n-1-ペンテニル、n-1-デセニル、n-1-エイコセニル基等が挙げられる。
【0046】
04は、水素原子、Z11で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z11で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ12で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、L04は、水素原子、フェニル基が好ましい。
Z′は、芳香環の置換基を表し、それぞれ独立して、Z11で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z11で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ12で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0047】
01~Z09は、芳香環の置換基を表し、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、Z11で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z11で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ12で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、Z10は、Z11で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z11で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ12で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、Z11は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基またはZ13で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、Z12は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、Z13で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基またはZ13で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基を表し、Z13は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基またはシアノ基を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
中でも、Z01~Z09が存在する場合は、ニトロ基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましい。また、Z10は、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基が好ましい。
なお、芳香環の置換基Zp(p=′,01~09)が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0048】
a11、a13、a21、a23、a31、a33、a41、a51、a61、a71、a73、a81、a83、a91およびa93は、芳香環に置換するフッ素原子の数を表し、a12、a14、a22、a24、a32、a34、a42、a52、a62、a72、a74、a82、a84、a92およびa94は、芳香環に置換するZ01~Z09の数を表し、a75およびa76は、芳香環に置換するZ′の数を表す。
a11は、2~4の整数であり、a12は、0~2の整数であり、かつ、a11+a12≦4を満たす。
a13は、2~4の整数であり、a14は、0~2の整数であり、かつ、a13+a14≦4を満たす。
a21およびa23は、それぞれ独立して1~4の整数であり、a22およびa24は、それぞれ独立して0~3の整数であり、かつ、a21+a22≦4およびa23+a24≦4を満たす。
a31およびa33は、それぞれ独立して1~4の整数であり、a32およびa34は、それぞれ独立して0~3の整数であり、かつ、a31+a32≦4およびa33+a34≦4を満たす。
a41は、1~6の整数であり、a42は、0~5の整数であり、かつ、a41+a42≦6を満たす。
a51は、1~8の整数であり、a52は、0~7の整数であり、かつ、a51+a52≦8を満たす。
a61は、1~8の整数であり、a62は、0~7の整数であり、かつ、a61+a62≦8を満たす。
a71およびa73は、それぞれ独立して1~3の整数であり、a72およびa74は、それぞれ独立して0~2の整数であり、かつ、a71+a72≦3およびa73+a74≦3を満たし、a75およびa76は、それぞれ独立して0~4の整数である。
a81およびa83は、それぞれ独立して1~3の整数であり、a82およびa84は、それぞれ独立して0~2の整数であり、かつ、a81+a82≦3およびa83+a84≦3を満たす。
a91およびa93は、それぞれ独立して1~3の整数であり、a92およびa94は、それぞれ独立して0~2の整数であり、かつ、a91+a92≦3およびa93+a94≦3を満たす。
特に、a41、a51、a61は、2以上の整数が好ましい。
また、a12、a14、a22、a24、a32、a34、a42、a52、a62、a72、a74、a82、a84、a92およびa94は、0が好ましく、a75およびa76は、0が好ましい。
【0049】
これらの中でも、X211は、式(A02)で表される2価の基が好ましく、下記式(A02-1)で表される2価の基がより好ましく、電荷輸送性物質として用いることを考慮すると、式(A02-1-1)で表されるパーフルオロビフェニレン基がより一層好ましい。
【0050】
【化16】
(式中、a21~a24およびZ02は、上記と同じ意味を表す。)
【0051】
【化17】
【0052】
一方、Y211およびY212は、それぞれ独立して、式(B01)~(B21)のいずれかで表される1価の基を表す。
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
ここで、L11は、-S-、-O-、-CO-、-CH2-、-(CH22-、-C(CH32-、-CF2-、-(CF22-、-C(CF32-、フルオレン-9,9-ジイル基、-NH-または-NZ100-を表す。
12は、水素原子、Z130で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z130で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ131で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、L12は、水素原子、フェニル基が好ましい。
13およびL14は、それぞれ独立して、水素原子、Z130で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z130で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ131で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、L13およびL14としては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~10のアリール基が好ましく、ともに水素原子、メチル基、フェニル基がより好ましい。
【0057】
100は、Z130で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z130で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ131で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表すが、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基が好ましい。
101~Z107およびZ109~Z121は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、Z130で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z130で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基またはZ131で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、Z108は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、Z130で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基、Z130で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基もしくはZ131で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表すが、異なるベンゼン環上に存在するZ108同士が結合して環を形成していてもよく、Z130は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはZ132で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、Z131は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、Z132で置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基またはZ132で置換されていてもよい炭素数2~20のアルケニル基を表し、Z132は、フッ素原子、塩素原子または臭素原子を表し、これらアルキル基、アルケニル基およびアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、Z101~Z107およびZ109~Z121は、水素原子が好ましい。Z108は、水素原子であるか、異なるベンゼン環上において、窒素原子のオルト位に存在する少なくとも1組のZ108同士が結合した単結合が好ましい。なお、Z108同士が単結合を形成した式(B08)としては、例えば下記式(B08’)で示されるものが挙げられる。
なお、Zq(q=101~121)はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0058】
【化21】
【0059】
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリール基を表し、このアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。中でも、Ar1は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
Ar2は、単結合または炭素数6~20のアリーレン基を表す。炭素数6~20のアリーレン基の具体例としては、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,5-ナフタレンジイル、1,8-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイル、2,7-ナフタレンジイル基等が挙げられる。中でも、Ar2は、単結合、1,4-フェニレン基が好ましい。
【0060】
特に、合成の容易性等を考慮すると、Y211およびY212は同一の1価の基であることが好ましく、ともに式(B01)、(B02)、(B04)、(B08)および(B18)のいずれかで表される1価の基であることがより好ましい。
【0061】
また、本発明に係る含フッ素アニリン誘導体の他の1つは、下記式(T2)で表される。
【0062】
【化22】
【0063】
式(T2)において、X221およびX222は、それぞれ独立して、式(C01)~(C09)のいずれかで表される1価の基を表す。
【0064】
【化23】
【0065】
ここで、b11、b21、b23、b31、b33、b41、b51、b61、b71、b73、b81、b83、b91およびb93は、芳香環に置換するフッ素原子の数を表し、b12、b22、b24、b32、b34、b42、b52、b62、b72、b74、b82、b84、b92およびb94は、芳香環に置換するZ01~Z09の数を表し、b75およびb76は、芳香環に置換するZ′の数を表す。
b11は、2~5の整数であり、b12は、0~3の整数であり、かつ、b11+b12≦5を満たす。
b21は、1~4の整数であり、b23は、1~5の整数であり、b22は、0~3の整数であり、b24は、0~4の整数であり、かつ、b21+b22≦4およびb23+b24≦5を満たす。
b31は、1~4の整数であり、b33は、1~5の整数であり、b32は、0~3の整数であり、b34は、0~4の整数であり、かつ、b31+b32≦4およびb33+b34≦5を満たす。
b41は、1~7の整数であり、b42は、0~6の整数であり、かつ、b41+b42≦7を満たす。
b51は、1~9の整数であり、b52は、0~8の整数であり、かつ、b51+b52≦9を満たす。
b61は、1~9の整数であり、b62は、0~8の整数であり、かつ、b61+b62≦9を満たす。
b71は、1~3の整数であり、b73は、1~4の整数であり、b72は、0~2の整数であり、b74は、0~3の整数であり、かつ、b71+b72≦3およびb73+b74≦4を満たし、b75およびb76は、それぞれ独立して、0~4の整数である。
b81は、1~3の整数であり、b83は、1~4の整数であり、b82は、0~2の整数であり、b84は、0~3の整数であり、かつ、b81+b82≦3およびb83+b84≦4を満たす。
b91は、1~3の整数であり、b93は、1~4の整数であり、b92は、0~2の整数であり、b94は、0~3の整数であり、かつ、b91+b92≦3およびb93+b94≦4を満たす。
特に、b41、b51、b61は、2以上の整数が好ましい。
また、b12、b22、b24、b32、b34、b42、b52、b62、b72、b74、b82、b84、b92およびb94は0が好ましく、b75およびb76は、0が好ましい。
なお、L01~L04、Z′およびZ01~Z09は、上記と同じ意味を表す。
【0066】
特に、合成の容易性や電荷輸送性等を考慮すると、X221およびX222は、同一の1価の基が好ましく、ともに式(C01)で表される1価の基がより好ましく、ともに下記式(C01-1)で表される1価の基がより一層好ましい。
【0067】
【化24】
【0068】
一方、Y221は、式(D01-1)~(D21)のいずれかで表される2価の基を表す。
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
【化27】
【0072】
【化28】
【0073】
式中、Ar3は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリーレン基を表し、このアリーレン基の具体例としては上記と同様のものが挙げられる。
また、L11~L14、Z101~Z121、およびAr1は、上記と同じ意味を表す。
【0074】
これらの中でも、Y221は、式(D02)で表される2価の基が好ましく、下記式(D02-1)で表される2価の基がより好ましく、下記式(D02-1-1)で表されるビフェニレン基がより一層好ましい。
【0075】
【化29】
(式中、Z102は、上記と同じ意味を表す。)
【0076】
なお、本発明の含フッ素アニリン誘導体には、下記式[1]~[13]で表される化合物は含まれない。
【0077】
【化30】
【0078】
本発明の含フッ素アニリン誘導体の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
【化31】
(式中、t-Buは、t-ブチル基を表す。)
【0080】
[3]重合体
本発明に係る重合体は、下記式(P1-2)で表される繰り返し単位を含む。
【0081】
【化32】
【0082】
式(P1-2)において、X211は、上記含フッ素アニリン誘導体で例示した基と同様のものが挙げられ、その好適範囲も上記と同様である。
また、Y221は、上記含フッ素アニリン誘導体で例示した基と同様のものが挙げられるが、中でも、式(D02)、(D17)および(D19)のいずれかで表される2価の基が好ましい。
【0083】
本発明の重合体の分子量は特に限定されるものではないが、電荷輸送性物質として用いる場合の導電性および有機溶媒への溶解性等を考慮すると、重量平均分子量1000~100000が好ましく、2000~50000がより好ましく、5000~30000がより一層好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値である。
【0084】
本発明の重合体の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
【化33】
(式中、mは、それぞれ独立して、2以上の整数を表す。)
【0086】
[4]含フッ素アニリン誘導体および重合体の製造法
以上説明した本発明の含フッ素アニリン誘導体および重合体は、既に述べた本発明のフッ化芳香族第二級アミンの製造方法を用いて合成することができる。
例えば、含フッ素アニリン誘導体は、ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体、上記式(L)で表される配位子および塩基の存在下、上記式(X2)で表されるフッ化芳香族第一級ジアミンと、2当量の上記式(Y1)で表される塩素化、臭素化もしくはヨウ素化芳香族炭化水素または擬ハロゲン化芳香族炭化水素とを反応させて、あるいは、上記式(X1)で表されるフッ化芳香族第一級アミンと、0.5当量の上記式(Y2)で表されるジ塩素化、ジ臭素化もしくはジヨウ素化芳香族炭化水素またはジ擬ハロゲン化芳香族炭化水素と、を反応させて得ることができる。
一方、重合体は、ジベンジリデンアセトンのパラジウム0価錯体、上記式(L)で表される配位子および塩基の存在下、上記式(X2)で表されるフッ化芳香族第一級ジアミン化合物と、上記式(Y2)で表されるジ塩素化、ジ臭素化もしくはジヨウ素化芳香族炭化水素またはジ擬ハロゲン化芳香族炭化水素とを反応させて得ることができる。なお、重合体の合成においては、触媒量を増やすことで分子量が増大するため、触媒量を調節することで、得られる重合体の分子量を調節することができる。
【0087】
[5]電荷輸送性物質、電荷輸送性組成物および電荷輸送性薄膜
上述した本発明の含フッ素アニリン誘導体および重合体は、フッ素原子を分子内に有することから透明性に優れるとともに、それ単独でまたはドーパント物質と組み合わせた場合に導電性を示すことから、電荷輸送性物質として好適に用いることができ、本発明の含フッ素アニリン誘導体や重合体を溶媒に溶解させることで、容易に電荷輸送性組成物を調製することができる。
例えば、本発明の電荷輸送性組成物としては、上述した含フッ素アニリン誘導体または重合体からなる電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含むものが挙げられるが、得られる薄膜の用途に応じ、その電荷輸送能の向上等を目的としてドーパント物質を含んでいてもよい。
ドーパント物質は、組成物に使用する少なくとも一種の溶媒に溶解するものであれば、特に限定されない。
【0088】
ドーパント物質の具体例としては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機強酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl3)、四塩化チタン(IV)(TiCl4)、三臭化ホウ素(BBr3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・OEt2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)、五塩化アンチモン(V)(SbCl5)、五フッ化砒素(V)(AsF5)、五フッ化リン(PF5)、トリス(4-ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等のルイス酸;ベンゼンスルホン酸、トシル酸、カンファスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸等のナフタレンジスルホン酸、1,3,5-ナフタレントリスルホン酸,1,3,6-ナフタレントリスルホン酸等のナフタレントリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4-ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号に記載されているナフタレンまたはアントラセンスルホン酸化合物、特開2005-108828号公報に記載されているジノニルナフタレンスルホン酸化合物等のアリールスルホン酸化合物などの有機強酸;7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)、ヨウ素等の有機酸化剤、国際公開第2010/058777号に記載されているリンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸等の無機酸化剤などが挙げられ、それぞれを組み合わせて使用してもよい。
【0089】
これらの中でも、アリールスルホン酸化合物が好ましく、式(H1)または(H2)で表されるアリールスルホン酸化合物が好適である。なお、ドーパント物質として用いるアリールスルホン酸化合物の分子量は、有機溶媒への溶解性を考慮すると、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下である。
【0090】
【化34】
【0091】
1は、OまたはSを表すが、Oが好ましい。
2は、ナフタレン環またはアントラセン環を表すが、ナフタレン環が好ましい。
3は、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、pは、A1とA3との結合数を示し、2≦p≦4を満たす整数であるが、A3がパーフルオロビフェニルジイル基、好ましくはパーフルオロビフェニル-4,4’-ジイル基であり、かつ、pが2であることが好ましい。
qは、A2に結合するスルホン酸基数を表し、1≦q≦4を満たす整数であるが、2が最適である。
【0092】
4~A8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、または炭素数2~20のハロゲン化アルケニル基を表すが、A4~A8のうち少なくとも3つは、ハロゲン原子である。
【0093】
炭素数1~20のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0094】
炭素数2~20のハロゲン化アルケニル基としては、パーフルオロビニル、パーフルオロプロペニル(パーフルオロアリル)、パーフルオロブテニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。
その他、炭素数1~20のアルキル基の例としては上記と同様のものが挙げられる。
【0095】
これらの中でも、A4~A8は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、または炭素数2~10のハロゲン化アルケニル基であり、かつ、A4~A8のうち少なくとも3つは、フッ素原子であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のフッ化アルキル基、または炭素数2~5のフッ化アルケニル基であり、かつ、A4~A8のうち少なくとも3つはフッ素原子であることがより好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、または炭素数1~5のパーフルオロアルケニル基であり、かつ、A4、A5およびA8がフッ素原子であることがより一層好ましい。
なお、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基であり、パーフルオロアルケニル基とは、アルケニル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基である。
【0096】
rは、ナフタレン環に結合するスルホン酸基数を表し、1≦r≦4を満たす整数であるが、2~4が好ましく、2が最適である。
【0097】
以下、好適なアリールスルホン酸化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
【0098】
【化35】
【0099】
有機溶媒としては、電荷輸送性物質およびドーパント物質を溶解または分散可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,3-オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルカルビトール、ジアセトンアルコール、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート、n-ヘキシルアセテート等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0100】
本発明の電荷輸送性組成物の粘度は、通常、25℃で1~50mPa・sであり、表面張力は、通常、25℃で20~50mN/mである。
本発明の電荷輸送性組成物の粘度と表面張力は、用いる塗布方法、所望の膜厚等の各種要素を考慮して、用いる有機溶媒の種類やそれらの比率、固形分濃度等を変更することで調整可能である。
【0101】
また、本発明の電荷輸送性組成物の固形分濃度は、組成物の粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常0.1~15.0質量%程度であり、組成物中の電荷輸送性物質の凝集を抑制する等の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、より一層好ましくは5質量%以下である。
なお、ここでいう固形分濃度の固形分とは、本発明の電荷輸送性組成物に含まれる溶媒以外の成分を意味する。
【0102】
本発明の電荷輸送性組成物は、本発明の電荷輸送性物質と、有機溶媒と、必要に応じて用いられるドーパント物質とを混合することで製造できる。その混合順序は特に限定されるものではない。
組成物を調製する際、成分が分解したり変質したりしない範囲で、適宜、加熱してもよい。
本発明においては、電荷輸送性組成物は、より平坦性の高い薄膜を再現性よく得る観点から、電荷輸送性物質等を有機溶媒に溶解させた後、サブマイクロメートルオーダーのフィルター等を用いてろ過することが望ましい。
【0103】
以上で説明した電荷輸送性組成物を基材上に塗布して焼成することで、基材上に本発明の電荷輸送性薄膜を形成させることができる。
組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられ、塗布方法に応じて組成物の粘度および表面張力を調節することが好ましい。
【0104】
本発明の電荷輸送性組成物を用いる場合、焼成雰囲気も特に限定されるものではなく、大気雰囲気(空気下)だけでなく、窒素等の不活性ガスや真空中でも均一な成膜面および高い電荷輸送性を有する薄膜を得ることができるが、通常空気下である。
また、焼成条件も特に限定されるものではないが、例えばホットプレートを用いて加熱焼成する。通常、所望の電荷輸送性等も考慮して、焼成温度は100~260℃の範囲内で、焼成時間は1分間~1時間の範囲内で適宜決定する。さらに、必要に応じて、異なる2以上の温度で多段階の焼成をしてもよい。
【0105】
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子の機能層として用いる場合、5~300nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、電荷輸送性組成物中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の液量を変化させたりする等の方法がある。
【0106】
本発明の含フッ素アニリン誘導体または重合体は、フッ素原子を含むことから、塗布性の向上、得られる膜の透明性向上、膜表面の濡れ性の調整等の膜物性の調整を主目的として、その他の電荷輸送性物質を含む電荷輸送性組成物に添加する添加剤としても用い得る。
【0107】
[6]有機EL素子
本発明の有機EL素子は、一対の電極を有し、これら電極の間に、上述の本発明の電荷輸送性薄膜を有するものである。
有機EL素子の代表的な構成としては、以下(a)~(f)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。なお、下記構成において、必要に応じて、発光層と陽極の間に電子ブロック層等を、発光層と陰極の間にホール(正孔)ブロック層等を設けることもできる。また、正孔注入層、正孔輸送層あるいは正孔注入輸送層が電子ブロック層等としての機能を兼ね備えていてもよく、電子注入層、電子輸送層あるいは電子注入輸送層がホール(正孔)ブロック層等としての機能を兼ね備えていてもよい。
(a)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(c)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(f)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極
【0108】
「正孔注入層」、「正孔輸送層」および「正孔注入輸送層」とは、発光層と陽極との間に形成される層であって、正孔を陽極から発光層へ輸送する機能を有するものであり、発光層と陽極の間に、正孔輸送性材料の層が1層のみ設けられる場合、それが「正孔注入輸送層」であり、発光層と陽極の間に、正孔輸送性材料の層が2層以上設けられる場合、陽極に近い層が「正孔注入層」であり、それ以外の層が「正孔輸送層」である。特に、正孔注入(輸送)層は、陽極からの正孔受容性だけでなく、正孔輸送(発光)層への正孔注入性にも優れる薄膜が用いられる。
「電子注入層」、「電子輸送層」および「電子注入輸送層」とは、発光層と陰極との間に形成される層であって、電子を陰極から発光層へ輸送する機能を有するものであり、発光層と陰極の間に、電子輸送性材料の層が1層のみ設けられる場合、それが「電子注入輸送層」であり、発光層と陰極の間に、電子輸送性材料の層が2層以上設けられる場合、陰極に近い層が「電子注入層」であり、それ以外の層が「電子輸送層」である。
「発光層」とは、発光機能を有する有機層であって、ドーピングシステムを採用する場合、ホスト材料とドーパント材料を含んでいる。このとき、ホスト材料は、主に電子と正孔の再結合を促し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有し、ドーパント材料は、再結合で得られた励起子を効率的に発光させる機能を有する。燐光素子の場合、ホスト材料は主にドーパントで生成された励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する。
【0109】
本発明の電荷輸送性薄膜は、有機EL素子における陽極と発光層との間に設けられる有機機能膜として好適に用いることができるが、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入輸送層としてより好適に用いることができ、正孔注入層としてより一層好適に用いることができる。
本発明の電荷輸送性組成物を用いて有機EL素子を作製する場合の使用材料や、作製方法としては、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
本発明の電荷輸送性組成物から得られる薄膜からなる正孔注入層を有するOLED素子の作製方法の一例は、以下のとおりである。なお、電極は、電極に悪影響を与えない範囲で、アルコール、純水等による洗浄や、UVオゾン処理、酸素-プラズマ処理等による表面処理を予め行うことが好ましい。
陽極基板上に、上記の方法により、上記電荷輸送性組成物を用いて正孔注入層を形成する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/ホールブロック層、電子注入層、陰極金属を順次蒸着する。あるいは、当該方法において蒸着で正孔輸送層と発光層を形成する代わりに、正孔輸送性高分子を含む正孔輸送層形成用組成物と発光性高分子を含む発光層形成用組成物を用いてウェットプロセスによってこれらの層を形成する。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
【0111】
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、金、銀、銅、インジウムやこれらの合金等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0112】
正孔輸送層を形成する材料としては、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(α-NPD)、4,4’,4”-トリス[3-メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4”-トリス[1-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1-TNATA)等のトリアリールアミン類、5,5”-ビス-{4-[ビス(4-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-2,2’:5’,2”-ターチオフェン(BMA-3T)等のオリゴチオフェン類などが挙げられる。
【0113】
発光層を形成する材料としては、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、ビススチリルベンゼン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体、シロール誘導体等の低分子発光材料;ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾール等の高分子化合物に発光材料と電子移動材料を混合した系等が挙げられる。
また、蒸着で発光層を形成する場合、発光性ドーパントと共蒸着してもよく、発光性ドーパントとしては、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)等の金属錯体や、ルブレン等のナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、ペリレン等の縮合多環芳香族環等が挙げられる。
【0114】
電子輸送層/ホールブロック層を形成する材料としては、オキシジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ピリミジン誘導体等が挙げられる。
【0115】
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)等の金属酸化物、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)の金属フッ化物が挙げられるが、これらに限定されない。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム-銀合金、アルミニウム-リチウム合金等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられる。
【0116】
正孔輸送性高分子としては、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(N,N’-ビス{p-ブチルフェニル}-1,4-ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(N,N’-ビス{p-ブチルフェニル}-1,1’-ビフェニレン-4,4-ジアミン)]、ポリ[(9,9-ビス{1’-ペンテン-5’-イル}フルオレニル-2,7-ジイル)-co-(N,N’-ビス{p-ブチルフェニル}-1,4-ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン]-エンドキャップド ウィズ ポリシルシスキノキサン、ポリ[(9,9-ジジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(p-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
【0117】
発光性高分子としては、ポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2-メトキシ-5-(2’-エチルヘキソキシ)-1,4-フェニレンビニレン)(MEH-PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3-アルキルチオフェン)(PAT)等のポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
【0118】
本発明の有機EL素子は、特性悪化を防ぐため、定法に従い、必要に応じて捕水剤などとともに封止してもよい。
【実施例0119】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0120】
〔装置〕
試料の物性測定は、下記の条件のもとで下記の装置を使用して行った。
(1)液体クロマトグラフィー(反応の追跡)
装置:(株)島津製作所製
UV-VIS検出器:SPD-20A
カラムオーブン:CTO-20A
脱気ユニット:DGU-20A
送液ユニット:LC-20AB
オートサンプラ:SIL-20A
カラム:Poroshell 120 EC-C18(2.7μm、3.0×50mm、Agilent)
カラム温度:40℃
溶媒:アセトニトリル/水 アセトニトリル濃度:40%(0-0.01min)→40%-100%(0.01-5min)→100%(5-15min)(体積比)
検出器:UV
(2)ゲル浸透クロマトグラフィー(重合体の分子量測定)
装置:(株)島津製作所製
UV-VIS検出器:SPD-20A
示差屈折計検出器:RID-20A
カラムオーブン:CTO-20A
脱気ユニット:DGU-20A
送液ユニット:LC-20AD
オートサンプラ:SIL-20A
カラム:Shodex KF-G+KF-804L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV
(3)組成物の塗布:ミカサ(株)製、スピンコーターMS-A100
(4)素子の作製:長州産業(株)製 多機能蒸着装置システムC-E2L1G1-N
(5)素子の電流密度の測定:(有)テック・ワールド製 I-V-L測定システム
(6)ガラス転移温度(Tg)測定装置:Perkin elmer社製 Diamond DSC
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:5℃/分(40~300℃)
(7)5%重量減少温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:空気雰囲気下
昇温速度:10℃/分(40~500℃)
(8)自動カラムクロマトグラフィー装置(目的物の分取):昭光サイエンティフィック株式会社製 2CHパラレル精製装置 Purif-espoir2
(9)NMR:Bruker社製Avance III 500MHz
内部標準
19F-NMR化学シフト補正
Trifluoro toluene=-64ppm
13C-NMR化学シフト補正
Acetone-d6=206.68ppm
Chloroform-d1=77.23ppm
N,N-Dimethylformamide-d7=163.15ppm
Tetrahydrofuran-d8=67.57ppm
【0121】
〔試薬〕
下記の実施例および比較例で使用した試薬は以下のとおりである。
Pd(PPh34[東京化成工業(株)製]
Pd(DBA)2[東京化成工業(株)製]
Pd(dppf)Cl2[東京化成工業(株)製]
t-BuONa[キシダ化学(株)製]
BINAP[東京化成工業(株)製]
炭酸セシウム[純正化学(株)製]
硫酸マグネシウム[キシダ化学(株)製]
酢酸カリウム[純正化学(株)製]
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液[東京化成工業(株)製]
リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)1mol/Lトルエン溶液[Aldrich社製]
RuPhos[Aldrich社製]
t-BuXPhos[Aldrich社製]
SPhos[Aldrich社製]
t-BuMePhos[Aldrich社製]
JhonPhos[Aldrich社製]
CyJhonPhos[Aldrich社製]
N,N-ジメチルホルムアミド[純正化学(株)製]
酢酸エチル[東京化成工業(株)製または純正化学(株)製]
トルエン[純正化学(株)製または関東化学(株)製]
ジオキサン[関東化学(株)製]
ヘキサン[純正化学(株)製]
テトラヒドロフラン[純正化学(株)製]
テトラヒドロフルフリルアルコール[関東化学(株)製]
ペンタフルオロアニリン[東京化成工業(株)製]
フルオロベンゼン[東京化成工業(株)製]
クロロベンゼン[東京化成工業(株)製]
ブロモベンゼン[東京化成工業(株)製]
ヨードベンゼン[東京化成工業(株)製]
ブロモペンタフルオロベンゼン[東京化成工業(株)製]
2-フルオロアニリン[東京化成工業(株)製]
4-ブロモアニソール[東京化成工業(株)製]
4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル[東京化成工業(株)製]
1-ブロモ-4-t-ブチルベンゼン[東京化成工業(株)製]
1-ブロモナフタレン[純正化学(株)製]
2-ブロモナフタレン[東京化成工業(株)製]
4-ブロモトリフェニルアミン[東京化成工業(株)製]
4-ヨードトリフェニルアミン[東京化成工業(株)製]
4-ブロモ-4′-(ジフェニルアミノ)ビフェニル[富士フイルム和光純薬(株)製]
2-ブロモ-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン][東京化成工業(株)製]
4,4′-ジブロモビフェニル[東京化成工業(株)製]
1,4-ジブロモベンゼン[東京化成工業(株)製]
3,6-ジブロモ-9-フェニルカルバゾール[富士フイルム和光純薬(株)製]
2,7-ジブロモ-9,9-ジメチルフルオレン[東京化成工業(株)製]
4-フルオロブロモベンゼン[東京化成工業(株)製]
【0122】
[1]フッ化芳香族第二級アミン化合物の合成
(1)ペンタフルオロアニリンと4-ブロモアニソールとの反応
【化36】
【0123】
[比較例1-1]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(PPh340.05mmol(57.8mg)、t-BuONa1.2mmol(115.3mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0124】
[比較例1-2]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(PPh340.05mmol(57.8mg)、(±)BINAP0.075mmol(46.7mg)、炭酸セシウム1.2mmol(391.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0125】
[比較例1-3]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(PPh340.05mmol(57.8mg)、(±)BINAP0.075mmol(46.7mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、さらにLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0126】
[比較例1-4]
(±)BINAPの代わりに、下記式(L2)で表されるRuPhos0.075mmol(35.0mg)を用いた以外は、比較例1-3と同様にして作業を行ったが、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0127】
【化37】
(式中、i-Prはイソプロピル基を、Cyはシクロヘキシル基を表す。)
【0128】
[比較例1-5]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、さらにLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0129】
[比較例1-6]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、(±)BINAP0.075mmol(46.7mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)、炭酸セシウム1.2mmol(391.0mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0130】
[比較例1-7]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、(±)BINAP0.075mmol(46.7mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、さらにLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)が、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いた液体クロマトグラフィーにおいて、原料に帰属できるピークは確認できたが、目的物に帰属できるピークは確認できなかった。
【0131】
[実施例1-1]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、炭酸セシウム1.2mmol(391.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物67.2mgを得た(収率26%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.76 (s, 3H), 5.14 (brs, 1H), 6.72-6.75 (m, 6H), 6.8 (d, J = 9.0 Hz, 2 H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.8, 114.7, 119.5, 120.1, 135.4, 136.3, 138.5, 140.6, 155.9
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ = -167.6 (t, J = 21.7 Hz, 1F), -164.5 (td, J = 21.7, 5.2 Hz, 2F), -153.3 (brd, 2F); IR (neat)
ν~ = 3314 (w), 3063 (w), 2968 (w), 1694 (s), 1670 (m), 1653 (m), 1609 (m), 1590 (m), 1503 (s), 1460 (m), 1440 (s), 1414 (m), 1295 (m), 1196 (m), 1176 (m), 1138 (w), 1119 (m), 1106 (m), 1073 (w), 1022 (m), 1008 (m), 982 (s), 905 (m), 845 (m), 765 (s), 753 (m), 735 (m), 697 (m)
HRMS (ESI): Calcd for C13H8F5NO (M+H)+ 289.0526, found 290.0589.
【0132】
[実施例1-2]
炭酸セシウムの代わりに、t-BuONa1.2mmol(115.3mg)を用いた以外は、実施例1-1と同様に反応および後処理を行い、目的物286.1mgを得た(収率>99%)。
【0133】
[実施例1-3]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で3時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物287.3mgを得た(収率>99%)。
【0134】
[実施例1-4]
RuPhos0.2mmol(93.3mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物286.0mgを得た(収率>99%)。
【0135】
[実施例1-5]
RuPhosの代わりに、下記式(L4)で表されるt-BuXPhos0.075mmol(31.8mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物243.9mgを得た(収率84%)。
【0136】
【化38】
(式中、i-Prはイソプロピル基を、t-Buはt-ブチル基を表す。)
【0137】
[実施例1-6]
RuPhosの代わりに、下記式(L1)で表されるSPhos0.075mmol(30.8mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物246.0mgを得た(収率85%)。
【0138】
【化39】
(式中、Meはメチル基を、Cyはシクロヘキシル基を表す。)
【0139】
[実施例1-7]
RuPhosの代わりに、下記式(L5)で表されるt-BuMePhos0.075mmol(23.4mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物246.3mgを得た(収率85%)。
【0140】
【化40】
(式中、Meはメチル基を、t-Buはt-ブチル基を表す。)
【0141】
[実施例1-8]
RuPhosの代わりに、下記式(L6)で表されるJhonPhos0.075mmol(22.4mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物268.2mgを得た(収率95%)。
【0142】
【化41】
(式中、t-Buはt-ブチル基を表す。)
【0143】
[実施例1-9]
RuPhosの代わりに、下記式(L7)で表されるCyJhonPhos0.075mmol(26.3mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-3と同様に反応および後処理を行い、目的物208.9mgを得た(収率73%)。
【0144】
【化42】
(式中、Cyはシクロヘキシル基を表す。)
【0145】
上記実施例1-1~1~9および比較例1―1~1-7のまとめを表1に示す。
【0146】
【表1】
(実施例1-4:RuPhos使用量0.2mmol)
【0147】
(2)ペンタフルオロアニリンとハロゲン化アリールとの反応
【化43】
【0148】
[比較例1-8]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、フルオロベンゼン1mmol(96.1mg)を加え、室温で5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内から採取した微量の溶液を用いて液体クロマトグラフィーで反応を追跡したが、原料に帰属できるピークの他に、目的物に帰属できない多数の目立ったピークが確認できた。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、原料を主に含むフラクション以外のフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、固体を得た。しかし、得られた固体の1H-NMRスペクトルにおいて、原料、目的物のいずれにも帰属できない多数のピークが認められた。この混合物は、複数の副生成物が含まれる混合物であり、これから目的物を単離することは困難と判断し、それ以上の精製を試みなかった。
【0149】
[実施例1-10]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mL、クロロベンゼン1mmol(112.6mg)を加え、室温で5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で3時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物195.7mgを得た(収率81%)。
【0150】
[実施例1-11]
クロロベンゼンの代わりに、ブロモベンゼン1mmol(157.0mg)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-10と同様に反応および後処理を行い、目的物256.6mgを得た(収率>99%)。
【0151】
[実施例1-12]
ジオキサンの代わりに、トルエンを用い、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液の代わりに、LHMDS1mol/Lトルエン溶液1.2mL(LHMDS1.2mmol相当)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例1-10と同様に反応および後処理を行い、目的物243.5mgを得た(収率94%)。
【0152】
[実施例1-13]
クロロベンゼンの代わりに、ヨードベンゼン1mmol(204.0mg)を用いた以外は、実施例1-10と同様に反応および後処理を行い、目的物257.4mgを得た(収率>99%)。
【0153】
[実施例1-14]
【化44】
【0154】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、ペンタフルオロアニリン1.2mmol(219.7mg)、4-フルオロブロモベンゼン1mmol(175.0mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mLを加え、5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、50℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物242.9mgを得た(収率88%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 5.39 (brs, 1H), 6.84 (m, 2h), 7.00 (brt, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 116.0, 116.2, 118.9, 119.0,138.3, 157.8, 159.7
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ -165.6 (brt, 1F), -164.0 (brdt, F), 151.8 (brd, 2F), 122.6 (brs, 1 F);
IR (neat)ν~ = 3425.6 (m), 1656.9 (w), 1504.5 (s), 1205.5 (s), 1153.4 (m), 1101.4 (m), 1008.8 (s), 997.9 (s), 827.5 (s), 748.4 (m), 717.5 (m), 702.1 (m), 669.3 (m), 636.5 (m)
【0155】
上記実施例1-10~1-14および比較例1-8のまとめを表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
(3)モノ~テトラフルオロアニリンと4-ブロモアニソールとの反応
【化45】
【0158】
[実施例1-15]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mLを加え、さらに2-フルオロアニリン1.2mmol(133.3mg)、4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、室温で5分間撹拌し、次いでLHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、室温で5分間撹拌した後、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物217.6mgを得た(収率98%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.84 (s, 3H), 5.68 (brs, 1H), 6.77-6.79 (m, 1H), 6.93 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.00 (brt, 1H), 7.07-7.12 (m, 2H); 7.15 (d, J = 9.0 Hz, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.7, 114.9, 115.2, 115.3, 119.1, 123.3, 124.5, 134.1, 134.7, 152.4, 156.1
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ -136.1 (brs); IR (neat)
ν~ = 3382 (m), 3010 (w), 2938 (w), 2906 (w), 2838 (w), 1617 (m), 1585 (w), 1504 (s), 1477 (m), 1464 (m), 1455 (m), 1442 (m), 1332 (m), 1296 (m), 1288 (m), 1255 (m), 1233 (s), 1222 (s), 1180 (s), 1171 (m), 1109 (m), 1095 (s), 1029 (s), 1008 (m), 925 (w), 917 (w), 886 (w), 838 (m), 821 (s), 757 (m), 742 (s), 707 (m), 696 (w)
HRMS (ESI): Calcd for C13H12FNO (M+H)+ 217.0903, found 218.0963.
【0159】
[実施例1-16]
2-フルオロアニリンの代わりに、3-フルオロアニリン1.2mmol(133.3mg)を用いた以外は、実施例1-15と同様に反応および後処理を行い、目的物210.6mgを得た(収率97%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.79 (s, 3H), 5.57 (brs, 1H), 6.47 (ddd, J = 8.3, 2.3, 0.9 Hz, 1H), 6.56 (dt, J = 11.4, 2.3 Hz, 1H), 6.59 (ddd, J = 8.3, 2.2, 0.9 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 8.9, 6.7 Hz, 2H), 7.07 (dd, J = 8.9, 6.7 Hz, 2H), 7.11 (td, J = 8.3, 6.7 Hz, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.7, 101.9, 105.9, 111.0, 1145.0, 123.6, 130.6, 134.8, 147.7, 156.2, 164.2
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ = -113.7 (ms)
IR (neat): ν~ = 3361 (m), 3043 (w), 2966(w), 2915 (w), 2839 (w), 1600 (s), 1584 (m), 1526 (m), 1506 (s), 1490 (s), 1465 (m), 1334 (m), 1290 (m), 1251 (m), 1181 (w), 1174 (w), 1168 (w), 1138 (s), 1109 (s), 1072 (w), 827 (m), 755 (m), 742 (s)
HRMS (ESI): Calcd for C13H12FNO (M+H)+ 217.0903, found 218.0969.
【0160】
[実施例1-17]
2-フルオロアニリンの代わりに、4-フルオロアニリン1.2mmol(133.3mg)を用いた以外は、実施例1-15と同様に反応および後処理を行い、目的物161.7mgを得た(収率74%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.79 (s, 3H), 5.36 (brs, 1H), 6.84-7.25 (m, 8H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.8, 115.0, 116.0, 118.0, 121.4, 136.8, 141.4, 155.3, 157.4
19F NMR (470.45 MHz, CDCl3): δ = -125.6(s)
IR (neat): ν~ = 3392 (w), 3037 (w), 2955 (w), 2934 (w), 2834 (w), 1603 (w), 1590 (w), 1497 (s), 1464 (m), 1442 (m), 1316 (m), 1295 (m), 1245 (m), 1213 (s), 1179 (m), 1154 (w), 1109 (w), 1098 (w), 1034 (m), 818 (s), 773 (m), 696 (w)
HRMS (ESI): Calcd for C13H12FNO (M+H)+ 217.0903, found 218.0965.
【0161】
[実施例1-18]
2-フルオロアニリンの代わりに、2,6-ジフルオロアニリン1.2mmol(154.9mg)を用いた以外は、実施例1-15と同様に反応および後処理を行い、目的物216.2mgを得た(収率92%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.77 (s, 3H), 5.37 (brs, 1H), 6.81 (brs, 4H), 6.91-6.93 (m, 3H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.8, 112.0, 114.6, 118.8, 121.0, 121.9, 137.1, 154.9, 156.1
19F NMR (470.45 MHz, CDCl3): δ = -123.4 (m)
IR (neat): ν~ = 3411 (w), 2935 (w), 2835 (w), 1623 (w), 1598 (w), 1504 (s), 1456 (m), 1406 (w), 1294 (m), 1233 (s), 1179 (m), 1111 (w), 1060 (w), 1033 (m), 999 (s), 818 (m), 778 (w), 758 (m), 728 (w), 707 (w), 695 (w)
HRMS (ESI): Calcd for C13H11F2NO (M+H)+ 235.0809, found 236.0867.
【0162】
[実施例1-19]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.05mmol(28.8mg)、RuPhos0.075mmol(35.0mg)、2,4,6-トリフルオロアニリン1.2mmol(176.5mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン4mLを加え、さらに4-ブロモアニソール1mmol(187.0mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、110℃の浴中で4時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→97/3)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物237.4mgを得た(収率91%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.76 (s, 3H), 5.14 (brs, 1H), 6.72-6.75 (m, 3H), 6.80 (d, J = 9.0 Hz, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.8, 100.9, 114.7, 117.4, 117.9, 137.6, 154.8, 156.7, 157.8
19F NMR (470.45 MHz, CDCl3): δ = -119.8 (brs), -116.9 (brs)
IR (neat): ν~ = 3396 (w), 3083 (w), 2913 (w), 2837 (w), 1636 (w), 1608 (w), 1504 (s), 1442 (m), 1288 (w), 1235 (s), 1173 (m), 1116 (s), 1030 (s), 996 (s), 837 (s), 817 (s)
HRMS (ESI): Calcd for C13H10F3NO (M+H)+ 253.0714, found 254.0772.
【0163】
[実施例1-20]
2,4,6-トリフルオロアニリンの代わりに、2,3,5,6-テトラフルオロアニリン1.2mmol(154.9mg)を用いた以外は、実施例1-19と同様に反応および後処理を行い、目的物243.9mgを得た(収率90%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 3.79 (s, 3H), 5.56 (brs, 1H), 6.63 (tt, J = 10.0, 7.1Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 6.92 (brd, J = 8.9 Hz, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 55.8, 96.8, 114.6, 121.1, 124.6, 134.9, 139.4, 146.8, 156.2
19F NMR (470.45 MHz, CDCl3): δ = -154.00, -154.08 (m, 2F), -141.49, -141.57 (m, 2F); IR (neat): ν~ = 3398 (m), 3083 (w), 2927 (w), 2845 (w), 1646 (m), 1613 (w), 1526 (s), 1507 (s), 1497 (s), 1456 (s), 1409 (m), 1294 (m), 1261 (m), 1241 (s), 1172 (s), 1120 (m), 1112 (m), 1077 (m), 1031 (m), 949 (s), 820 (s), 804 (m), 769 (m), 726 (m), 709 (m), 691 (m)
HRMS (ESI): Calcd for C13H9F4NO (M+H)+ 271.0620, found 272.0694.
【0164】
上記実施例1-15~1-20のまとめを表3に示す。なお、実施例1-3の結果も併せて示す。
【0165】
【表3】
【0166】
[実施例1-21]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.2mmol(115.0mg)、RuPhos0.3mmol(140.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル2.5mmol(656.3mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、さらにブロモベンゼン4.8mmol(753.6mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液3.7mL(LHMDS4.8mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→90/10)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物0.88gを得た(収率92%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 5.45 (brs, 1H), 6.85 (brd, 2H), 7.02 (brt, 1H), 7.30 (brt, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 116.7, 122.2, 129.5, 142.3
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ = -164.9 (brt, 1F), -164.1 (dt, J = 22.1, 5.8 Hz, 2F), -150.7 (brd, 2F), IR (neat): ν~ = 3408.2 (m), 1602.9 (m), 1521.8 (s), 1500.6 (s), 1483.3 (s), 1462.0 (S), 1421.54 (S), 1315.5 (m), 1292.31 (m)
【0167】
[実施例1-22]
ブロモベンゼンの代わりに、1-ブロモ-4-t-ブチルベンゼン4.8mmol(1023.0mg)を用いた以外は、実施例1-21と同様に反応および後処理を行い、目的物1.07gを得た(収率91%)。
1H NMR (500.13 MHz, Acetone): δ = 1.31 (s, 18H), 7.03 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.78 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, Acetone): δ =31.9, 34.8, 98.5, 118.9, 125.9, 126.6, 140.4, 141.2, 146.0
19F NMR (470.45 MHz, Acetone): δ =-152.67 (brd, F), -143.45-(-143.1) (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3406 (w), 3394 (w), 2966 (w), 2909 (w), 2869 (w), 1651 (m), 1610 (m), 1487 (s), 1449 (m), 1403 (w), 1394 (w), 1364 (w), 1291 (w), 1263 (m), 1243 (m), 1191 (w), 1125 (w), 1115 (w), 1082 (m), 996 (m), 976 (s), 829 (m), 821 (s), 728 (m), 723 (s)
HRMS (ESI): Calcd for C32H28F8N2 (M+H)+ 592.2125, found 593.2170.
【0168】
[実施例1-23]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.2mmol(115.0mg)、RuPhos0.3mmol(140.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル2.5mmol(656.3mg)、4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニル4.8mmol(1388.2mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液3.7mL(LHMDS4.8mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→90/10)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物892.6mgを得た(収率60%)。
1H NMR (500.13 MHz, THF): δ = 1.38 (s, 18H), 7.09 (brd, 4H), 7.47 (brd, 4H), 7.56 (brt, 8H), 8.07 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, THF): δ =31.9, 34.8, 98.5, 118.9, 125.9, 126.6, 140.4, 141.2, 146.0
19F NMR (470.45 MHz, THF): δ = -152.14 (brd, F), -143.24, -143.29 (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3421 (w), 3030 (w), 2960 (w), 2902 (w), 2866 (w), 1651 (m), 1608 (m), 1510 (s), 1484 (s), 1457 (s), 1452 (s), 1394 (w), 1366 (w), 1359 (w), 1314 (w), 1293 (w), 1262 (m), 1238 (w), 1198 (w), 1184 (w), 1121 (w), 1114 (w), 1085 (m), 997 (m), 972 (m), 816 (s), 778(w), 746 (w), 739 (w), 721 (s), 667 (w)
HRMS (ESI): Calcd for C44H36F8N2 (M+H)+ 744.2751, found 745.2794.
【0169】
[実施例1-24]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、1-ブロモナフタレン4.8mmol(993.9mg)を用いた以外は、実施例1-23と同様に反応および後処理を行い、目的物617.0mgを得た(収率68%)。
1H NMR (500.13 MHz, DMF): δ = 7.27 (brd, 2H), 7.51 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.59-7.64 (m, 4H), 7.74 (brd, 2H), 8.00-8.03 (m, 2H), 8.47-8.50 (m, 2H), 8.82 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, DMF): δ = 98.3, 116.5, 124.0, 124.6, 126.8, 126.9, 127.4, 127.7, 128.6, 129126.9, 127.4, 127.7, 128.6, 129, 135.6, 141.4, 146.1
19F NMR (470.45 MHz, DMF): δ =-153.18 (brd, J = 13.9 Hz, 4F), -143.45-(-143.35) (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3396 (w), 3373 (w), 3063 (w), 1653 (m), 1595 (m), 1577 (w), 1522 (m), 1496 (s), 1489 (s), 1466 (s), 1430 (m), 1401 (m), 1391 (m), 1274 (m), 1267 (m), 1251 (w), 1241 (w), 1168 (w), 1154 (w), 1131 (w), 1106 (m), 1088 (w), 1075 (w), 1040 (w), 1017 (w), 986 (s), 955 (s), 794 (s), 772 (s), 727 (s)
HRMS (ESI): Calcd for C32H16F8N2 (M+H)+ 580.1186, found 581.1249.
【0170】
[実施例1-25]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、2-ブロモナフタレン4.8mmol(993.9mg)を用いた以外は、実施例1-23と同様に反応および後処理を行い、目的物770.2mgを得た(収率53%)。
1H NMR (500.13 MHz, DMSO): δ = 7.23-7.35 (m, 6H), 7.43 (brt, 2H), 7.77 (brd, 2H), 7.83 (brt, 4H), 9.00 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, DMSO): δ = 98.2, 111.9, 119.9, 124.2, 124.4, 126.9, 127.0, 128.0, 129.0, 129.4, 134.3, 140.3, 140.9, 144.9
19F NMR (470.45 MHz, DMSO): δ =-148.08 (brd, 4F), -140.33 (brd, 4F)
IR (neat): ν~ = 3412 (m), 3054 (w), 1651 (m), 1627 (s), 1602 (m), 1591 (w), 1506 (s), 1484 (s), 1456 (s), 1425 (m), 1290, 1276, 1264, 1225 (s), 1183 (m), 1132 (m), 1091 (s), 999 (s), 967 (s), 846 (s), 823 (s), 746 (s), 732 (s), 708 (m), 641 (m)
HRMS (ESI): Calcd for C32H16F8N2 (M+H)+ 580.1186, found 581.1249.
【0171】
[実施例1-26]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、4-ブロモトリフェニルアミン4.8mmol(1556.2mg)を用いた以外は、実施例1-23と同様に反応および後処理を行い、目的物1417.3mgを得た(収率87%)。
1H NMR (500.13 MHz, Acetone): δ = 6.98 (t, J = 7.3, 4H), 7.05 (m, 16H), 7.26 (dd, J = 8.6, 7.3 Hz, 8H), 8.86 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, Acetone): δ = 99.1, 120.9, 123.7, 124.7, 126.2, 127.3, 130.7, 139.4, 141.7, 143.8, 146.5, 149.6
19F NMR (470.45 MHz, Acetone): δ = -152.72 (brd, J = 13.9 Hz, 4F), -143.27 (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3394 (w), 3023 (w), 1649 (m), 1586 (m), 1485 (s), 1410 (m), 1333 (w), 1319 (w), 1293 (w), 1273 (m), 1260 (m), 1235 (m), 1175 (w), 1156 (w), 1152 (w), 1132 (w), 1118 (w), 1112 (w), 1085 (m), 995 (m), 974 (m), 968 (m), 899 (w), 891 (w), 826 (m), 817 (m), 749 (s), 739 (m), 722 (m), 714 (m), 693 (s)
HRMS (ESI): Calcd for C48H30F8N4 (M+H)+ 814.2343, found 814.2312.
【0172】
[実施例1-27]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、4-ヨードトリフェニルアミン4.8mmol(1781.9mg)を用いた以外は、実施例1-23と同様に反応および後処理を行い、目的物1101.3mgを得た(収率68%)。
【0173】
[実施例1-28]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、4-ブロモ-4′-(ジフェニルアミノ)ビフェニル4.8mmol(1921.5mg)を用いた以外、実施例1-23と同様に反応および後処理行い、目的物1903.1mgを得た(収率99%)。
【0174】
[実施例1-29]
4-ブロモ-4′-t-ブチルビフェニルの代わりに、2-ブロモ-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]4.8mmol(1897.4mg)を用いた以外は、実施例24と同様に反応および後処理を行い、目的物1.88gを得た(収率98%)
1H NMR (500.13 MHz, Acetone): δ = 6.39 (brs, 2H), 6.62 (dd, J = 7.5, 1.0 Hz, 2H), 6.73 (dd, J = 7.5, 1.0 Hz, 4H), 7.05-7.09 (m, 4H), 7.16 (td, J = 7.5, 1.0 Hz, 4 H), 7.36 (td, J = 7.5, 1.0 Hz, 2H), 7.40 (td, J = 7.5, 1.0 Hz, 4 H), 7.82 (s, 2H), 7.89 (brdd, 4 H) 7.97 (brd, J = 7.5, 4 H)
13C NMR (125.77 MHz, Acetone): δ = 66.9, 99.0, 114.6, 118.0, 120.5, 121.1, 121.5, 124.5, 124.8, 125.1, 127.9, 128.6, 128.88, 136.9, 141.2, 142.7, 142.8, 142.9, 145.8, 149.4, 149.9, 151.0
19F NMR (470.45 MHz, Acetone): δ = -152.3 (brd, 4F), -143.2 (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3391 (w), 3063 (w), 3042 (w), 3015 (w), 1653 (m), 1614 (m), 1488 (s), 1446 (s), 1346 (w), 1299 (m), 1290 (m), 1284 (m), 1267 (m), 1215 (m), 1167 (w), 1153 (w), 1120 (m), 1089 (m), 1078 (m), 979 (m), 967 (m), 851 (w), 821 (m), 750 (s), 735 (s), 725 (s), 717 (s), 636 (m)
HRMS (ESI): Calcd for C62H32F8N2 (M+H)+ 956.2438, found 812.4212.
【0175】
[実施例1-30]
【化46】
【0176】
還流塔を取り付けた100mLの反応フラスコに、Pd(dppf)Cl20.45mmol(367.5mg)、酢酸カリウム45mmol(4416.3mg)、3-ブロモ-N-フェニルカルバゾール15mmol(4833.2mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン11mmol(4190.0mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへN,N-ジメチルホルムアミド150mLを加え、5分間撹拌した後、90℃の浴中で3時間加熱撹拌した。なお、系中から採取した微量の反応混合物を用いたクロマトグラフィー(TLC)法によって、反応を追跡した。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物から減圧下で溶媒を取り除き濃縮し、濃縮物をイオン交換水50mLとともに分液漏斗に入れて洗浄し、次いでクロロホルム50mLを入れて抽出を行い、分液漏斗から有機層を回収した。そして、回収した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→96/4)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、N-フェニルカルバゾール-3-イル-ボロン酸ピナコラト4.21gを得た(収率76%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 1.41(s、12H), 7.29 (ddd, J = 7.9, 6.0, 2.0 Hz, 1H), 7.37 (brd, J = 8.2 Hz, 1H), 7.40 (m, 2H), 7.48 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.55 (m, 2H), 7.61 (m, 2H), 8.76 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 2H), 8.18 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.64 (s, 1H)
【0177】
【化47】
【0178】
還流塔を取り付けた50mLの反応フラスコに、Pd(PPh340.09mmol(104.1mg)、水酸化ナトリウム9mmol(359.9mg)、N-フェニルカルバゾール-3-イル-ボロン酸ピナコラト3mmol(1107.8mg)、4-ブロモ-4′-ヨードビフェニル3.3mmol(1184.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへテトラヒドロフランと水の混合溶媒(2/1(v/v))13.5mLを加え、5分間撹拌した後、50℃の浴中で5時間加熱撹拌した。なお、系中から採取した微量の反応混合物を用いたクロマトグラフィー(TLC)法によって、反応を追跡した。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物から減圧下で溶媒を取り除き濃縮し、濃縮物をイオン交換水50mLとともに分液漏斗に入れて洗浄し、次いでテトラヒドロフラン50mLを入れて抽出を行い、分液漏斗から有機層を回収した。そして、回収した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→96/4)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、4-ブロモ-4′-(N-フェニルカルバゾール-3-イル)-ビフェニル810mgを得た(収率57%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 7.30-7.33 (m, 1H), 7.43 (m, 2H), 7.50 (m, 4H), 7.57-7.70 (m, 9H), 7.79 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.20 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.39 (brs, 1H)
【0179】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.5mmol(28.8mg)、RuPhos0.75mmol(35.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル0.5mmol(164.1mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、さらに4-ブロモ-4′-(N-フェニルカルバゾール-3-イル)-ビフェニル1.05mmol(498.1mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(1.2mmol)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→90/10)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物457mgを得た(収率82%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 5.94 (brs、2H), 7.11 (brd, 2H), 7.32(brquin, 1H), 7.43 (brd, 2H), 7.48-7.51 (m, 2H), 7.60-7.66 (m, 6H), 7.70-7.72 (brm, 3H), 7.80-7.82 (m, 3H), 8.21 (brd, 2H), 8.41 (brs, 1H)
【0180】
[実施例1-31]
【化48】
【0181】
還流塔を取り付けた100mLの反応フラスコに、Pd(dppf)Cl20.45mmol(367.5mg)、酢酸カリウム45mmol(4416.3mg)、2-ブロモ-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]15mmol(5929.5mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン16.5mmol(4190.0mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへN,N-ジメチルホルムアミド150mLを加え、5分間撹拌した後、90℃の浴中で3時間加熱撹拌した。なお、系中から採取した微量の反応混合物を用いたクロマトグラフィー(TLC)法によって、反応を追跡した。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物から減圧下で溶媒を取り除き濃縮し、濃縮物をイオン水50mLとともに分液漏斗に入れて洗浄し、次いでクロロホルム50mLを入れて抽出を行い、分液漏斗から有機層を回収した。そして、回収した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→96/4)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル-ボロン酸ピナコラト1.85gを得た(収率28%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (s、12H), 6.68 (brd, J = 7.5 Hz 1H), 6.71 (brd, J = 7.5 Hz, 2H), 7.09 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz 2H), 7.11 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz 1H), 7.18 (brs、1H), 7.35 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz 1H), 7.36 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz 2H), 7.33-7.37 (m, 5H)
【0182】
【化49】
【0183】
還流塔を取り付けた50mLの反応フラスコに、Pd(PPh340.09mmol(104.1mg)、水酸化ナトリウム9mmol(359.9mg)、9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル-ボロン酸ピナコラト3mmol(1327.1mg)、4-ブロモ-4′-ヨードビフェニル3.3mmol(1184.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへテトラヒドロフランと水の混合溶媒(2/1(v/v)13.5mLを加え、5分間撹拌した後、50℃の浴中で5時間加熱撹拌した。なお、系中から採取した微量の反応混合物を用いたクロマトグラフィー(TLC)法によって、反応を追跡した。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物から減圧下で溶媒を取り除き濃縮し、濃縮物をイオン交換水50mLとともに分液漏斗に入れて洗浄し、次いでテトラヒドロフラン50mLを入れて抽出を行い、分液漏斗から有機層を回収した。そして、回収した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液を濃縮し、得られた濃縮物を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→96/4)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、2-(4′-ブロモビフェニル-4-イル)-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]836.4mgを得た(収率51%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 6.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 6.97 (s, 1H), 7.12 (brt, 3H), 7.36-7.42 (m, 5 H), 7.49 (s, 4H), 7.53 (d,2H), 7.66 (dd, J = 7.9, 1.8 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.87 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.92 (d, J = 7.9 Hz, 1H)
【0184】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.5mmol(28.8mg)、RuPhos0.75mmol(35.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル0.5mmol(164.1mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、さらに2-(4′-ブロモビフェニル-4-イル)-9,9′-スピロビ[9H-フルオレン]1.05mmol(574.9mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液0.923mL(LHMDS1.2mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→90/10)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物532mgを得た(収率86%)。
1H NMR (500.13 MHz, CDCl3): δ = 6.78 (brd, 2H), 6.83 (brd, 4H), 7.05 (brm, 6H), 7.15 (brt, 6H), 7.41 (brt, 6H), 7.54 (brm, 12H), 7.70 (brd, 2H), 7.90 (brd, 6H), 7.95 (brd, 2H),
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 118.7, 120.2, 120.3, 120.5, 122.8, 124.3, 124.4, 126.9, 127.1, 127.6, 127.8, 128.0, 128.1, 135.5, 139.4, 139.7, 140.4, 140.6, 141.3, 141.6, 142.0, 18.9, 149.4, 149.8
19F NMR (470.45 MHz, CDCl3): δ =-151.41 (brd, 4F), -140.63 (m, 4F)
IR (neat): ν~ = 3387.0 (w), 3059.1 (w), 3030.2 (w), 2953.0 (w), 2926.0 (w), 2856.6 (w), 1653.0 (m), 1606.7 (m), 1485.2 (s), 1446.6 (s), 1236.4 (m), 1085.9 (m), 975.98 (m), 813.96 (s), 750.31 (s), 727.16 (s)
【0185】
上記実施例1-21~1-31のまとめを表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】
(4)ペンタフルオロアニリンと4,4′-ジブロモビフェニルとの反応
【化50】
【0188】
[実施例1-32]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.1mmol(57.5mg)、RuPhos0.15mmol(69.8mg)、4,4′-ジブロモビフェニル1mmol(312.7mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLとペンタフルオロアニリン2.4mmol(439.3mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液1.84mL(LHMDS2.4mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mL、酢酸エチル30mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル20mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン3mLに溶解させて得られた溶液を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0→90/10)を行い、目的物を含むフラクションを分取した。
最後に、80℃、減圧下で分取したフラクションから溶媒を取り除き、目的物451.7mgを得た(収率58%)。
1H NMR (500.13 MHz, DMSO): δ = 6.86 (brd, J = 8.1 Hz, 4H), 7.45 (brd, J =8.1 Hz, 4H), 8.32 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, DMSO): δ =116.1, 118.1, 126.9, 132.4, 137.0, 138.3, 142.3, 142.7
19F NMR (470.45 MHz, DMSO): δ =-165.04 (brt, 2F), -163.81 (brt, 4F), -148.47 (brd, 4H)
IR (neat): ν~ = 3410 (m), 3029 (w), 1611 (m), 1577 (w), 1517 (s), 1502 (s), 1482 (s) 1446 (s), 1327 (m), 1277 (m), 1238 (m), 1183 (m), 1159 (m), 1136 (m), 977 (s), 817 (s), 779 (m), 727 (m), 710 (m); HRMS (ESI)
【0189】
(5)ペンタフルオロアニリンとブロモベンゼンとの反応:塩基の影響
【化51】
【0190】
[実施例1-33]
ペンタフルオロアニリン(1mmol)、ブロモベンゼン(2.4mmol)、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液1.85mL(LHMDS2.4mmol相当)を用いた以外は、実施例1-11と同様に反応および後処理を行い、目的物179.8mgを得た(収率69%)。
【0191】
[実施例1-34]
ペンタフルオロアニリン(2.4mmol)、ブロモベンゼン(1mmol)、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液1.85mL(LHMDS2.4mmol相当)を用いた以外は、実施例1-11と同様に反応および後処理を行い、目的物193.6mgを得た(収率75%)。
【0192】
実施例1-33および実施例1-34のまとめを表5に示す。これらの結果から、系中に過剰の塩基が存在すると収率が低下する傾向があることがわかる。
【0193】
【表5】
【0194】
(6)重合体の合成
【化52】
【0195】
[実施例2-1]
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.08mmol(46.0mg)、RuPhos0.12mmol(56.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル4.2mmol(1378.3mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mL、1,4-ジブロモベンゼン10mmol(943.6mg)を加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液7.1mL(LHMDS9.2mmol相当))を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル50mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル30mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン10mLに溶解して得られた溶液を、ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2/1(v/v))500mLに滴下し、生じた固体をろ過により回収し、得られたろ物を80℃、減圧下で乾燥し、目的物0.47gを得た。
1H NMR (500.13 MHz, DMSO): δ = 7.08 (brd, J = 7.7 Hz, 4H), 7.56 (brd, J = 7.7 Hz, 4H), 8.68 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, DMSO): δ = 97.2, 117.6, 123.9, 126.1, 127.8, 128.5, 132.9, 140.0, 140.7, 144.2
19F NMR (470.45 MHz, DMSO): δ =-148.76 (d, J = 17.3 Hz, 4F), -140.67 (s, 4F)
IR (neat): ν~ = 3421 (w), 3398 (w), 3030 (w), 1652 (m), 1610 (m), 1575 (w), 1482 (s), 1410 (m), 1394 (m), 1291 (m), 1261 (s), 1234 (s), 1183 (m), 1118 (m), 1085 (s), 995 (s), 973 (s), 938 (m), 812 (s), 721 (s)
【0196】
[実施例2-2]
Pd(DBA)20.4mmol(230.0mg)、RuPhos0.6mmol(280.0mg)を用いた以外は、実施例2-1と同様に反応および後処理を行い、目的物1.60gを得た。
【0197】
実施例2-1および実施例2-2のまとめを表6に示す。表6に示されるように、触媒量を変えることで得られる重合体の分子量を制御できることがわかる。
【0198】
【表6】
【0199】
【化53】
【0200】
[実施例2-3]
【化54】
【0201】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.5mmol(287.5mg)、0.75mmol(350.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル2.5mmol(820.4mg)、4,4′-ジブロモビフェニル2.38mmol(742.9mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液7.1mL(LHMDS9.2mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル50mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル30mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン10mLに溶解して得られた溶液を、ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2/1(v/v))500mLに滴下し、生じた固体をろ過により回収し、得られたろ物を80℃、減圧下で乾燥し、目的物1.01gを得た。得られた重合体は、Mw=32,000、Mn=15,000、Mw/Mn=2.13であり、また、ΔT5が321.6℃でTgは観察されなかった。
【0202】
[実施例2-4]
【化55】
【0203】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.3mmol(172.5mg)、RuPhos0.45mmol(210.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル1.5mmol(492.3mg)、3,6-ジブロモ-9-フェニルカルバゾール1.43mmol(572.3mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液2.54mL(LHMDS3.3mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル50mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル30mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン10mLに溶解して得られる溶液を、ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2/1(v/v))500mLに滴下し、生じた固体をろ過により回収し、得られたろ物を80℃、減圧下で乾燥し、目的物928mgを得た。得られた重合体は、Mw=12,000、Mn=7,000、Mw/Mn=1.71であり、また、ΔT5が340.1℃でTgは観察されなかった。
1H NMR (500.13 MHz, THF): δ = 5.39 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.52 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.62 (brs, H), 5.80 (brs, 4H), 6.07 (d, 2H), 7.62 (brd, J = 8.0 Hz, 2H), 8.06 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, THF): δ = 96.7, 110.8, 113.5, 121.4, 124.6, 126.2, 127.7, 127.8, 128.2, 129.1, 129.8, 130.9, 136.0, 139.1, 139.4, 140.2, 146.3
19F NMR (470.45 MHz, THF): δ =-151.34 (brd, 4F), -145.89 (brd, 4F)
IR (neat): ν~ = 3403 (w), 3029 (w), 2927 (w), 1651 (m), 1597 (w), 1483 (s), 1460 (s), 1364 (w), 1328 (w), 1291 (w), 1282 (w), 1211 (m), 1166 (w), 1121 (w), 1080 (m), 1027 (w), 994 (m), 976 (s), 951 (m), 939 (m), 925 (w), 863 (w), 757 (m), 723 (s)
【0204】
[実施例2-5]
【化56】
【0205】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.4mmol(230.0mg)、RuPhos0.6mmol(280.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル2mmol(656.3mg)、2,7-ジブロモ-9,9-ジメチルフルオレン1.90mmol(670.6mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液3.2mL(LHMDS4.2mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル50mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル30mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン10mLに溶解して得られた溶液を、ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2/1(v/v))500mLに滴下し、生じた固体をろ過により回収し、80℃、減圧下で乾燥し、目的物926mgを得た。得られた重合体は、Mw=20,000、Mn=11,000、Mw/Mn=1.82であり、また、ΔT5が340.1℃でTgは観察されなかった。
1H NMR (500.13 MHz, THF): δ = 1.52 (s, 6H), 7.02 (brd, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (s, 2H), 7.62 (brd, J = 8.0 Hz, 2H), 8.06 (brs, 2H)
13C NMR (125.77 MHz, THF): δ = 26.6, 46.5, 97.1, 113.1, 117.4, 119.3, 125.0, 127.9, 128.7, 133.8, 139.9, 140.7, 145.1, 154.3
19F NMR (470.45 MHz, THF): δ =-151.76 (brd, 4F), -142.20 (brd, 4F)
IR (neat): ν~ = 3423 (w), 2958 (w), 2925 (w), 2859 (w), 1651 (m), 1613 (w), 1587 (w), 1518 (m), 1485 (s), 1464 (s), 1417 (m), 1295 (m), 1259 (w), 1239 (m), 1220 (w), 1195 (w), 1089 (m), 995 (m), 979 (s), 971 (s), 809 (m), 724 (m), 718 (m)
【0206】
[実施例2-6]
【化57】
【0207】
還流塔を取り付けた30mLの反応フラスコに、Pd(DBA)20.3mmol(172.5mg)、RuPhos0.45mmol(210.0mg)、4,4′-ジアミノオクタフルオロビフェニル1.5mmol(492.3mg)、9,10-ジブロモアントラセン1.43mmol(480mg)を量り入れ、系中を窒素置換した。そこへジオキサン8mLを加え、5分間撹拌した後、LHMDS1.3mol/Lテトラヒドロフラン溶液2.54mL(LHMDS3.3mmol相当)を加え、110℃の浴中で5時間加熱撹拌した(内温92℃)。なお、途中、フラスコ内の溶液を微量採取し、液体クロマトグラフィーを用いて反応を追跡した。原料に帰属できるピークの面積の減少に伴い目的物に帰属できるピークの面積が増加した。その際、副生成物に対応するような目立ったピークは確認されなかった。
反応混合物を室温まで冷却した後、冷却した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル50mLとともに分液漏斗に入れて抽出を行い、分液漏斗に有機層を残し、水層を回収した。飽和食塩水50mLを分液漏斗に入れて残った有機層を洗浄し、水層、有機層をそれぞれ回収した。そして、回収した全ての水層を併せて分液漏斗に入れ、そこへ酢酸エチル30mLを入れて抽出を行い、有機層を回収し、回収した全ての有機層を併せ、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾過により除去し、得られたろ液からロータリーエバポレーターにより溶媒を留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン10mLに溶解して得られた溶液を、ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2/1(v/v))500mLに滴下し、生じた固体をろ過により回収し、ろ物を80℃、減圧下で乾燥し、目的物928mgを得た。得られた重合体は、Mw=18,000、Mn=8,100、Mw/Mn=2.22であった。
1H NMR (500.13 MHz, DMSO): δ = 7.60 (brs, 2H), 8.31 (brs, 2H), 9.30 (brs, 1H)
13C NMR (125.77 MHz, CDCl3): δ = 123.9, 126.4, 128.7, 129.3, 131.3, 135.8, 137.7, 143.5, 145.5
19F NMR (470.53 MHz, CDCl3): δ = -160.0 (brs, 4F), -143.2 (brs, 4F)
IR (neat): ν~ = 3361.9 (w), 1651.1 (m), 1485.1 (s), 1435.0 (m), 1377.2 (m), 12771.1 (w), 1178.5 (w), 1134.1 (w), 1111.0 (w), 1045.4 (w), 970.2 (s), 950.9 (m), 763.8 (s), 723.3 (s)
【0208】
[2]電荷輸送性組成物および電荷輸送性薄膜の作製
[実施例3-1]
サンプル瓶(10mL)に実施例1-24で合成した下記式(H1)で表されるナフチル基を有するフッ化アリールアミン化合物35.9mgと下記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物56.2mgを量りとり、テトラヒドロフルフリルアルコール3gを加えて均一になるまで室温で撹拌し、固形分3質量%の溶液を得た。この溶液を、ITO基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、大気下で、80℃で1分間乾燥し、次いで230℃で15分間焼成し、厚さ50nmの薄膜を作製した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚50nmで形成されたガラス基板を用いた。この薄膜の上に、蒸着装置(真空度4.0×10-5Pa)を用いてアルミニウム薄膜を形成して単層素子を得た。蒸着は、蒸着レート0.2nm/秒の条件で行った。アルミニウム薄膜の膜厚は80nmとした。なお、下記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物は、国際公開第2006/025342号に記載の方法に従い合成した。
【0209】
【化58】
【0210】
[実施例3-2]
サンプル瓶(10mL)に実施例1-26で合成した下記式(H2)で表されるトリフェニルアミン基を有するフッ化アリールアミン化合物44mgと上記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物49mgを量りとり、テトラヒドロフルフリルアルコール3gを加えて均一になるまで室温で撹拌し、固形分3質量%の溶液を得た。この溶液を用いた以外は、実施例3-1と同様にして単層素子を作製した。
【0211】
【化59】
【0212】
[実施例3-3]
サンプル瓶(10mL)に実施例2-3で合成した下記式(H3)で表されるビフェニル骨格を有するフッ化アリールアミン共重合体21.6mgと上記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物40mgを量りとり、テトラヒドロフルフリルアルコール3gを加えて均一になるまで室温で撹拌し、固形分2質量%の溶液を得た。この溶液を用いた以外は、実施例3-1と同様にして単層素子を作製した。
【0213】
【化60】
【0214】
[実施例3-4]
サンプル瓶(10mL)に実施例2-4で合成した下記式(H4)で表されるフェニルカルバゾール基を有するフッ化アリールアミン共重合体36mgと、上記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物57mgを量りとり、テトラヒドロフルフリルアルコール3gを加えて均一になるまで室温で撹拌し、固形分3質量%の溶液を得た。この溶液を用いた以外は、実施例3-1と同様にして単層素子を作製した。
【0215】
【化61】
【0216】
[実施例3-5]
サンプル瓶(10mL)に実施例2-5で合成した下記式(H5)で表される9,9-ジメチルフルオレン基を有するフッ化アリールアミン共重合体34mgと、上記式(D2)で表されるアリールスルホン酸化合物59mgを量りとり、テトラヒドロフルフリルアルコール3gを加えて均一になるまで室温で撹拌し、固形分3質量%の溶液を得た。この溶液を用いた以外は、実施例3-1と同様にして単層素子を作製した。
【0217】
【化62】
【0218】
得られた各単層素子について駆動電圧5Vにおける電流密度を測定した。結果を表7に示す。
【0219】
【表7】
【0220】
表7に示されるように、本発明のフッ化アリールアミン化合物または重合体を電荷輸送性物質として含む薄膜は、良好な導電性を示すことがわかる。