(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030274
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20240229BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240229BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240229BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/60
H01L33/62
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133035
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 研志
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA22
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA11
5F142CB01
5F142CB03
5F142CB12
5F142CB13
5F142CD02
5F142CE03
5F142DA13
5F142DA14
5F142DA21
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】正面方向への光取り出し効率を向上できる発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置は、第1面と、第1面の反対側に位置する第2面と、第1側面とを有する透光性部材と、第1面に対向する第3面と、第3面の反対側に位置する第4面と、第2側面とを有する第1半導体構造体と、第2面に対向する第5面と、第6面と、第3側面とを有する第2半導体構造体と、透光性部材の第1側面と、第1半導体構造体の第2側面とを覆う光反射性部材と、第1半導体構造体の第4面側に配置され、第1半導体構造体と電気的に接続された第1電極と、第2半導体構造体の第6面側に配置され、第2半導体構造体と電気的に接続された第2電極と、光反射性部材の上面に配置され、第2電極と電気的に接続された第1配線部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、第1方向において前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する第1側面とを有する透光性部材と、
前記第1面に対向する第3面と、前記第1方向において前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続する第2側面とを有する第1半導体構造体と、
前記第2面に対向する第5面と、前記第1方向において前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面と前記第6面とを接続する第3側面とを有する第2半導体構造体と、
前記透光性部材の前記第1側面と、前記第1半導体構造体の前記第2側面とを覆う光反射性部材と、
前記第1半導体構造体の前記第4面側に配置され、前記第1半導体構造体と電気的に接続された第1電極と、
前記第2半導体構造体の前記第6面側に配置され、前記第2半導体構造体と電気的に接続された第2電極と、
前記光反射性部材の上面に配置され、前記第2電極と電気的に接続された第1配線部と、
を備える、発光装置。
【請求項2】
前記第1半導体構造体は、第1n側層と、第1p側層と、前記第1n側層と前記第1p側層との間に位置する第1活性層とを有し、
前記第1電極は、前記第1n側層と電気的に接続された第1n側電極と、前記第1p側層と電気的に接続された第1p側電極とを有し、
前記第2半導体構造体は、第2n側層と、第2p側層と、前記第2n側層と前記第2p側層との間に位置する第2活性層とを有し、
前記第2p側層上に透光性導電層が配置され、
前記第2電極は、前記第2n側層と電気的に接続された第2n側電極と、前記透光性導電層と電気的に接続された第2p側電極とを有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上面視において、前記第2n側電極及び前記第2p側電極は、前記第1半導体構造体の前記第1活性層の外縁よりも外側に位置している、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
上面視において、前記光反射性部材は、前記透光性部材の周囲及び前記第1半導体構造体の周囲を囲んで配置されている、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に配置され、前記第1電極と電気的に接続された第1導電部と、
前記基板上に配置された第2導電部と、
前記第1配線部と前記第2導電部とを接続する導電性のワイヤと、
をさらに備え、
上面視において、前記ワイヤは、前記第1半導体構造体及び前記第2半導体構造体と重ならない、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
上面視において、前記第1電極と前記第2電極とは重ならない、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光性部材は、蛍光体を含み、
前記第1半導体構造体と前記透光性部材との間に位置する第1誘電体多層膜と、
前記第2半導体構造体と前記透光性部材との間に位置する第1透光性基板と、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記光反射性部材の側面は、前記透光性部材の前記第1側面を覆う第1側面部と、前記第1方向において前記第1側面部と前記上面との間に位置する第2側面部とを有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記光反射性部材の前記第2側面部の一部は、前記第1方向において前記第2電極の上面よりも前記光反射性部材の前記上面側に位置している、請求項8に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、2つのLEDダイの間に1つの蛍光体層を配置した構成を有するLED装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、正面方向への光取り出し効率を向上できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、発光装置は、第1面と、第1方向において前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する第1側面とを有する透光性部材と、前記第1面に対向する第3面と、前記第1方向において前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続する第2側面とを有する第1半導体構造体と、前記第2面に対向する第5面と、前記第1方向において前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面と前記第6面とを接続する第3側面とを有する第2半導体構造体と、前記透光性部材の前記第1側面と、前記第1半導体構造体の前記第2側面とを覆う光反射性部材と、前記第1半導体構造体の前記第4面側に配置され、前記第1半導体構造体と電気的に接続された第1電極と、前記第2半導体構造体の前記第6面側に配置され、前記第2半導体構造体と電気的に接続された第2電極と、前記光反射性部材の上面に配置され、前記第2電極と電気的に接続された第1配線部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る実施形態によれば、正面方向への光取り出し効率を向上できる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2のIII-III線における発光部の模式断面図である。
【
図4A】実施形態の第1発光素子の模式断面図である。
【
図4B】実施形態の第2発光素子の模式断面図である。
【
図5】実施形態の第1変形例による発光部の模式断面図である。
【
図6】実施形態の第2変形例による発光部の一部の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態の発光装置について説明する。実施形態に記載されている構成部の寸法、材料、形状、相対的配置などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0009】
以下の説明において、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上(又は下)」と表現する位置関係は、例えば、2つの部材があると仮定した場合に、2つの部材が接している場合と、2つの部材が接しておらず一方の部材が他方の部材の上方(又は下方)に位置している場合を含む。また、本明細書において「平行」とは、2つの直線、辺、面等が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線、辺、面等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、本明細書において、部材が被覆対象を覆うとは、部材が被覆対象に接して被覆対象を直接覆う場合と、部材が被覆対象に非接触で被覆対象を間接的に覆う場合を含む。
【0010】
以下に示す図でX軸、Y軸、及びZ軸により方向を示す場合がある。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。例えば、本明細書において、Z軸に沿う方向を第1方向Z、X軸に沿う方向を第2方向X、Y軸に沿う方向を第3方向Yとする。実施形態の発光装置の発光面はXY平面に平行であり、Z軸は発光装置の発光面に直交する。また、Z軸のプラス方向を相対的に上方、マイナス方向を相対的に下方とする。また、本明細書において、発光装置の正面方向とは、Z軸のプラス方向を表す。また、本明細書において、面方向とは、XY平面に平行な方向を表す。
【0011】
図1は、実施形態の発光装置1の模式断面図である。
図1に示すように、実施形態の発光装置1は、発光部101を備える。
図2は発光部101の模式上面図であり、
図3は
図2のIII-III線における発光部101の模式断面図である。
【0012】
発光部101は、透光性部材30と、第1発光素子10と、第2発光素子20と、光反射性部材60と、第1配線部71とを有する。
【0013】
<透光性部材>
図3に示すように、透光性部材30は、第1面30aと、第1方向Zにおいて第1面30aの反対側に位置する第2面30bと、第1面30aと第2面30bとを接続する第1側面30cとを有する。透光性部材30の上面視の形状は特に限定されない。透光性部材30の上面視の形状は、例えば、正方形、長方形等の四角形状とすることができる。
図2に示す例では、透光性部材30は、正方形状を有している。透光性部材30の第1側面30cは、第2方向Xに対して垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。透光性部材30は、第1発光素子10と第2発光素子20を支持する。透光性部材30は、第1方向Zにおいて、第1発光素子10と、第2発光素子20と、の間に位置している。
【0014】
透光性部材30は、第1発光素子10が発する光及び第2発光素子20が発する光に対して高い透光性を有する。透光性部材30が高い透光性を有するとは、発光素子が発する光の発光ピーク波長に対して、50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上の透光率を有することである。透光性部材30として、例えば、透光性樹脂、ガラス、セラミックス等を用いることできる。透光性樹脂の材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂を用いることができる。
【0015】
また、透光性部材30は、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含むことができる。蛍光体として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3 ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、又はカルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を用いることができる。透光性部材30は、単一種の蛍光体を含んでいてもよいし、複数の種類の蛍光体を含んでいてもよい。
【0016】
蛍光体を含有する透光性部材30としては、透光性樹脂、ガラス、セラミックス等の成形体である透光層の表面に蛍光体を含有する樹脂層等の蛍光体含有層を配置させたものでもよい。また、蛍光体の焼結体や、透光性樹脂、ガラス、セラミックス等に蛍光体粉末を含有させたものでもよい。蛍光体を含有する透光性部材30は、例えば、蛍光体と酸化アルミニウム等の透光性材料とを焼結させたものを用いてもよい。透光性材料を用いずに蛍光体の粉末を焼結させることにより形成される実質的に蛍光体のみかなるものを用いてもよい。蛍光体を含有する透光性部材30は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットの焼結体であることが好ましい。
【0017】
<第1発光素子>
図4Aに示すように、第1発光素子10は、第1半導体構造体11を有する。第1半導体構造体11は、第3面11aと、第1方向Zにおいて第3面11aの反対側に位置する第4面11bと、第3面11aと第4面11bとを接続する第2側面11cとを有する。第1半導体構造体11は、第2透光性基板42上に配置されている。
図3に示すように、第3面11aは、透光性部材30の第1面30aに対向する。
図3に示す例では、第3面11aは、第2透光性基板42を介して、透光性部材30の第1面30aに対向している。第2方向Xにおいて、第2透光性基板42の外形の大きさは、透光性部材30の外形の大きさと同一、または、透光性部材30の外形の大きさよりも小さい。第1方向Zにおいて、第1半導体構造体11の第2側面11cは、透光性部材30の第1側面30cと、同一平面上に位置していてもよい。第1半導体構造体11において、第3面11aが光の主な取り出し面として機能する。
【0018】
第2透光性基板42は、例えば、サファイア基板を用いることができる。第2透光性基板42の第1方向Zにおける厚さは、透光性部材30の第1方向Zにおける厚さよりも薄い。透光性部材30の第1方向Zにおける厚さは、100μm以上200μm以下である。第2透光性基板42の第1方向Zにおける厚さは、10μm以上50μm以下である。例えば、透光性部材30の第1方向Zにおける厚さは、180μmであり、第2透光性基板42の第1方向Zにおける厚さは30μmである。
【0019】
第2透光性基板42と透光性部材30とは、直接接合されている。直接接合には、例えば、表面活性化接合法を用いることができる。例えば、第2透光性基板42がサファイア基板であり、透光性部材30が酸化アルミニウムを含む部材からなる場合、第2透光性基板42と透光性部材30との接合は、実質的に同質材料同士の接合となり、第2透光性基板42と透光性部材30との接合強度を高くできる。なお、第1半導体構造体11の第3面11aと透光性部材30の第1面30aとを、第2透光性基板42を介さずに、接合してもよい。この場合、発光部101の第1方向Zの高さを、第2透光性基板42を介している場合よりも低減できる。
【0020】
図4Aに示すように、第1半導体構造体11は、第1n側層12と、第1p側層14と、第1方向Zにおいて第1n側層12と第1p側層14との間に位置する第1活性層13とを有する。第3面11aは、第1n側層12の上面である。第4面11bは、第1領域11b1と、第2領域11b2と、第3領域11b3とを有する。第1領域11b1は、第1p側層14の下面である。第2領域11b2及び第3領域11b3は、第1活性層13及び第1p側層14から露出する第1n側層12の下面である。第3領域11b3は、上面視において第1半導体構造体11の外周部に位置する。なお、第1活性層13の厚さは第1n側層12及び第1p側層14の厚さに比べて薄いため、各図において、第1活性層13は線で表している。
【0021】
第1発光素子10は、第1電極51をさらに有する。第1電極51は、第1半導体構造体11の第4面11b側に配置され、第1半導体構造体11と電気的に接続されている。第1電極51を通じて、第1半導体構造体11に電流が供給される。第1電極51は、第1n側層12と電気的に接続された第1n側電極51nと、第1p側層14と電気的に接続された第1p側電極51pとを有する。
【0022】
図4Aに示すように、第1n側電極51nと、第1p側電極51pとは、第2透光性基板42の外縁よりも、第2透光性基板42の中心に近い位置に配置されている。
図2に示すように、上面視において、第2n側電極52n及び第2p側電極52pは、第1半導体構造体11の第1活性層13の外縁13aよりも外側に位置することが好ましい。これにより、第1活性層13からの光が、第2n側電極52n及び第2p側電極52pによって遮られにくくなり、正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0023】
第1電極51の材料として、例えば、銅、金、ニッケルを用いることができる。第1電極51は、上記の金属材料の単層としてもよいし、複数の金属層を有する積層構造としてもよい。
【0024】
例えば、第1n側電極51nは、第1n側配線層19を介して、第1n側層12と電気的に接続されている。第1n側配線層19は、第2領域11b2において第1n側層12と電気的に接続されている。第1n側配線層19は、第3領域11b3において第1n側層12と電気的に接続されてもよい。第1n側電極51nは、第1領域11b1の下方において第1n側配線層19に接している。
【0025】
第1n側配線層19の材料として、例えば、銀、アルミニウム、ニッケル、ロジウム、金、銅、チタン、プラチナ、パラジウム、モリブデン、クロム、タングステン、またはそれらの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。また、第1n側配線層19は、上記の金属材料の単層としてもよいし、複数の金属層を有する積層構造としてもよい。
【0026】
例えば、第1p側電極51pは、第1p側配線層18及び光反射性導電層15を介して、第1p側層14と電気的に接続されている。光反射性導電層15は、第1領域11b1において第1p側層14の下面に配置され、第1p側層14と電気的に接続されている。第1p側配線層18は、第1方向Zにおいて光反射性導電層15と第1p側電極51pとの間に位置し、光反射性導電層15及び第1p側電極51pに接している。第1p側電極51pは、第1領域11b1の下方において第1p側配線層18に接している。
【0027】
光反射性導電層15は、第1発光素子10が発する光及び第2発光素子20が発する光に対して高い反射性を有する。ここで、光反射性導電層15が高い反射性を有するとは、発光素子が発する光の発光ピーク波長に対して、50%以上、好ましくは60%以上の反射率を有することである。光反射性導電層15は、例えば、銀またはアルミニウムを含む金属層を用いることができる。第1p側配線層18は、例えば、第1n側配線層19の材料と同じ材料を用いることができる。
【0028】
第1絶縁膜17は、例えば、第1方向Zにおいて、第1半導体構造体11の第4面11bと第1p側配線層18との間、第1半導体構造体11の第4面11bと第1n側配線層19との間、光反射性導電層15と第1p側配線層18との間、及び光反射性導電層15と第1n側配線層19との間に配置されている。また、第1絶縁膜17は、第2方向Xにおいて、第1p側配線層18と第1n側配線層19との間、及び光反射性導電層15と第1n側配線層19との間に配置されている。第1絶縁膜17として、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。第1絶縁膜17は、単層膜としてもよいし、複数の絶縁膜を有する積層膜としてもよい。
【0029】
また、第4面11b側に、第1p側配線層18及び第1n側配線層19を覆う保護樹脂91が配置される。保護樹脂91は、第1活性層13が発する光の発光ピーク波長に対して高い反射性を有することが好ましい。ここで、保護樹脂91が高い反射性を有するとは、発光素子が発する光の発光ピーク波長に対して、50%以上、好ましくは60%以上の反射率を有することである。第1p側電極51pの下面及び第1n側電極51nの下面は、保護樹脂91から露出する。保護樹脂91は、単層としてもよいし、積層構造でもよい。保護樹脂91は、例えば、誘電体多層膜、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。誘電体多層膜は、例えば、分布ブラッグ反射膜(DBR(Distributed Bragg Reflector))を用いることができる。具体的には屈折率の異なる2種以上の誘電体膜を、波長/4n(nは屈折率)の厚みで交互に積層した膜であり、所定の波長の光を高効率に反射できる。誘電体膜としては、酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等が挙げられる。誘電体多層膜は、例えば、酸化ケイ素膜と酸化ニオブ膜とを交互に積層したものが挙げられる。例えば、低屈折率層及び高屈折率層の膜厚や材料を変えることによって、反射率及び/又は透過率を制御することができる。
【0030】
<第2発光素子>
図4Bに示すように、第2発光素子20は、第2半導体構造体21を有する。第2半導体構造体21は、第5面21aと、第1方向Zにおいて第5面21aの反対側に位置する第6面21bと、第5面21aと第6面21bとを接続する第3側面21cとを有する。
図3に示すように、第5面21aは、透光性部材30の第2面30bに対向する。第2半導体構造体21は、第1透光性基板41上に配置されている。
図3に示す例では、第5面21aは、第1透光性基板41を介して、透光性部材30の第2面30bに対向している。第2方向Xにおいて、第1透光性基板41の外形の大きさは、透光性部材30の外形の大きさと同一、または、透光性部材30の外形の大きさよりも小さい。第1方向Zにおいて、第2発光素子20の第3側面21cは、透光性部材30の第1側面30cとは、同一平面上に位置していてもよい。後述する光反射性部材の配置し易さの観点から、第1透光性基板41の外形と、透光性部材30の外形とは、同じ大きさであることが好ましい。また、第1透光性基板41の外形と、透光性部材30の外形と、第2透光性基板42の外形とは、同じ大きさであることがさらに好ましい。第2半導体構造体21において第6面21bが光の主な取り出し面として機能する。
【0031】
また、例えば、第1透光性基板41は、例えば、サファイア基板を用いることができる。第1透光性基板41の第1方向Zにおける厚さは、透光性部材30の第1方向Zにおける厚さよりも薄い。第1透光性基板41の第1方向Zにおける厚さは、10μm以上50μm以下である。例えば、第1透光性基板41の第1方向Zにおける厚さは、30μmである。
【0032】
第1透光性基板41と透光性部材30とは、直接接合されている。例えば、第1透光性基板41がサファイア基板であり、透光性部材30が酸化アルミニウムを含む部材からなる場合、第1透光性基板41と透光性部材30との接合は、実質的に同質材料同士の接合となり、第1透光性基板41と透光性部材30との接合強度を高くできる。なお、第2半導体構造体21の第5面21aと透光性部材30の第2面30bとを、第1透光性基板41を介さずに、接合してもよい。この場合、発光部101の第1方向Zの高さを低減できる。
【0033】
図4Bに示すように、第2半導体構造体21は、第2n側層22と、第2p側層24と、第1方向Zにおいて第2n側層22と第2p側層24との間に位置する第2活性層23とを有する。第5面21aは、第2n側層22の下面である。第6面21bは、第4領域21b1と第5領域21b2とを有する。第4領域21b1は、第2p側層24の上面である。第5領域21b2は、第2活性層23及び第2p側層24から露出する第2n側層22の上面である。なお、第2活性層23の厚さは第2n側層22及び第2p側層24の厚さに比べて薄いため、第1活性層13と同様に、各図において、第2活性層23は線で表している。
【0034】
第2発光素子20は、第2電極52をさらに有する。第2電極52は、第2半導体構造体21の第6面21b側に配置され、第2半導体構造体21と電気的に接続されている。第2電極52は、第2n側層22と電気的に接続された第2n側電極52nと、第2p側層24と電気的に接続された第2p側電極52pとを有する。第2n側電極52nは、第5領域21b2において、第2n側層22と電気的に接続されている。
【0035】
図4Bに示すように、第2n側電極52nと、第2p側電極52pとは、第1透光性基板41の中心よりも、第1透光性基板41の外縁に近い位置に配置されている。
図2に示すように、上面視において、第1発光素子10の第1電極51と、第2発光素子20の第2電極52とは重ならないことが好ましい。これにより、第1半導体構造体11において強発光しやすい第1電極51が配置された領域からの光が、第2電極52によって遮られにくくなり、正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0036】
第2電極52の材料として、例えば、第1電極51と同じ材料を用いることができる。
【0037】
第2発光素子20は、第2p側層24上に配置された透光性導電層25をさらに有する。透光性導電層25は、第4領域21b1において第2p側層24に接している。第2p側電極52pは、透光性導電層25の一部25aに接している。したがって、第2p側電極52pは、透光性導電層25を介して、第2p側層24と電気的に接続されている。
【0038】
透光性導電層25は、第2p側電極52pを通じて供給される電流を、第2半導体構造体21の面方向に広げる電流拡散の機能を有する。透光性導電層25は、第1発光素子10からの光及び第2発光素子20からの光に対する透光性を有する。
【0039】
透光性導電層25は、導電性を有する金属酸化物から形成されることが好ましい。透光性導電層25の材料として、例えば、亜鉛、インジウム、スズ、ガリウム及びチタンからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物を用いることができる。例えば、透光性導電層25は、酸化インジウムスズや酸化亜鉛を用いることができる。酸化インジウムスズや酸化亜鉛は、可視光に対して高い透光性を有し、導電率の高い材料であることから、第2p側層24の上面の略全面を覆うのに好適な材料である。
【0040】
第2p側電極52pが接する透光性導電層25の一部25aと、第2p側層24の上面との間には第2絶縁膜26が配置され、透光性導電層25の一部25aは第2p側層24の上面に接していない。これにより、第2p側電極52pの下方の領域において、電流が流れにくくなり、第2p側電極52pの下方の領域において第2活性層23が発光しにくくなるため、第2p側電極52pによる光の吸収を低減することができる。よって、発光装置1の光取り出し効率を向上することができる。第2絶縁膜26として、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。
【0041】
透光性導電層25の上面、及び第2半導体構造体21の第6面21bは、保護膜27に覆われている。保護膜27として、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いることができる。
【0042】
第1半導体構造体11及び第2半導体構造体21は、窒化物半導体からなる。本明細書において「窒化物半導体」とは、例えば、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。また、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むものも「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0043】
第1活性層13及び第2活性層23は、光を発する発光層である。第1活性層13及び第2活性層23は、例えば複数の障壁層と、複数の井戸層を含むMQW(Multiple Quantum well)構造を有する。第1活性層13の発光ピーク波長と、第2活性層23の発光ピーク波長とは、同じでも、異なっていてもよい。第1n側層12及び第2n側層22は、n型不純物を含む半導体層を有する。第1p側層14及び第2p側層24は、p型不純物を含む半導体層を有する。
【0044】
<光反射性部材>
光反射性部材60は、少なくとも、透光性部材30の第1側面30cと、第1半導体構造体11の第2側面11cとを覆う。これにより、第1側面30cと、第2側面11cとに向かう光を光反射性部材60により反射させ、正面方向への光取り出し効率を向上できる。また、透光性部材30が蛍光体を含む場合、透光性部材30の周囲(断面視では、透光性部材30の第1側面30c)に向かう光を光反射性部材60によって正面方向に反射させることで、色むらを低減することができる。光反射性部材60によって第1側面30cが覆われていない場合、蛍光体によって波長変換された光が第1側面30cから出射されやすくなり、透光性部材30の周囲において、色むらが生じやすい。光反射性部材60によって第1側面30cを覆うことで、正面方向に波長変換された光を反射させ、色むらを低減することができる。光反射性部材60は、透光性部材30の第1側面30cを直接または間接的に覆う。光反射性部材60は、第1半導体構造体11の第2側面11cを直接または間接的に覆う。例えば、第1半導体構造体11の第2側面11cに保護樹脂91の一部が位置し、光反射性部材60は、第2側面11cを、保護樹脂91を介して間接的に覆ってもよい。また、保護樹脂91の代わりに、光反射性部材60を第1半導体構造体11の第4面11b側に配置してもよい。また、光反射性部材60は、第2透光性基板42の側面を覆っている。これにより、第2透光性基板42の周囲(断面視では、第2透光性基板42の側面)へ向かう光を光反射性部材60で反射させ、正面方向への光取り出し効率をより向上できる。
【0045】
光反射性部材60は、第1発光素子10が発する光及び第2発光素子20が発する光に対して高い反射性を有する。光反射性部材60が高い反射性を有するとは、発光素子が発する光の発光ピーク波長に対して60%以上の反射率を有することを意味し、70%以上、さらに好ましくは80%以上の反射率を有することがより好ましい。また、透光性部材30が蛍光体を含む場合には、光反射性部材60は蛍光体が発する光に対する反射性を有する。
【0046】
図2に示すように、上面視において、光反射性部材60の外縁60A~60Dが、発光部101の外縁を構成する。光反射性部材60は、上面視において、第2方向Xに延びる第1外縁60Aと、第1外縁60Aと第3方向Yにおいて離れて位置し、第2方向Xに延びる第2外縁60Bと、第3方向Yに延びる第3外縁60Cと、第3外縁60Cと第2方向Xにおいて離れて位置し、第3方向Yに延びる第4外縁60Dとを有する。
【0047】
上面視において、
図2に示すように、光反射性部材60は、第2半導体構造体21と接するように配置されている。上面視において、第2半導体構造体21は、第2方向Xに延びる第1素子外縁21Aと、第1素子外縁21Aと第3方向Yにおいて離れて位置し、第2方向Xに延びる第2素子外縁21Bと、第3方向Yに延びる第3素子外縁21Cと、第3素子外縁21Cと第2方向Xにおいて離れて位置し、第3方向Yに延びる第4素子外縁21Dとを有する。なお、上面視において、光反射性部材60と、第2半導体構造体21とは、離隔していてもよい。
【0048】
上面視において、光反射性部材60の上面60aは、光反射性部材60の外縁60A~60Dと、第2半導体構造体21の素子外縁21A~21Dとの間に位置する。光反射性部材60の上面60aは、第2方向Xに対して平行であってもよいし、傾斜していてもよい。後述する第1配線部を配置しやすくするという観点から、光反射性部材60の上面60aは、平坦に近い面であることが好ましい。第1方向Zにおいて、光反射性部材60の上面60aの高さは、透光性部材30の第1側面30cの上端の高さと同一、または、高いことが好ましい。
【0049】
図3に示すように、光反射性部材60は、第2半導体構造体21の第3側面21cを覆うことが好ましい。すなわち、光反射性部材60の側面(内側の側面)は、透光性部材30の第1側面30cを覆う第1側面部60bと、第1方向Zにおいて第1側面部60bと上面60aとの間に位置する第2側面部60cとを有する。第2側面部60cが、第2半導体構造体21の第3側面21cを直接または間接的に覆う。これにより、第2半導体構造体21の周囲(断面視では、第2半導体構造体21の第3側面21c)へ向かう光を光反射性部材60で反射させ、正面方向への光取り出し効率をより向上できる。
【0050】
第2半導体構造体21と透光性部材30との間に第1透光性基板41を配置する場合には、光反射性部材60は、第1透光性基板41の側面も覆うことが好ましい。これにより、第1透光性基板41の周囲(断面視では、第1透光性基板41の側面)へ向かう光を光反射性部材60で反射させ、正面方向への光取り出し効率をより向上できる。
【0051】
光反射性部材60は、母材の樹脂と、樹脂中に含まれる光反射性物質の粒子とを含む。樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂が挙げられる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。光反射性物質の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下が挙げられる。光反射性部材60は、顔料、カーボンブラック等の光吸収材、蛍光体等の波長変換部材をさらに含んでいてもよい。光反射性部材60において、光反射性物質の粒子は、部分的に又は全体として偏在して配置されていてもよいが、分散して配置されていることが好ましい。光反射性部材60における光反射性物質の含有量は、得ようとする発光装置の特性等によって適宜調整することができる。例えば、光反射性物質の含有量を30wt%以上とすることが好ましい。光反射性部材60は、放熱性に優れる材料を用いてもよい。例えば、光反射性部材60の熱伝導率は0.2W/m・K以上が好ましく、1W/m・K以上がより好ましい。光反射性部材60の熱伝導率を高く設定することにより発光部101の放熱性を向上させることができる。
【0052】
<第1配線部>
第1配線部71は、光反射性部材60の上面60aに配置され、第2電極52と電気的に接続されている。第1配線部71は、第2電極52を通じて、第2半導体構造体21に電流を供給する。第1配線部71は、第2p側電極52pと電気的に接続された第1p側配線部71pと、第2n側電極52nと電気的に接続された第1n側配線部71nとを有する。
【0053】
図2に示すように、上面視において、第1p側配線部71pは、第2半導体構造体21の第1素子外縁21Aと第3素子外縁21Cとが形成する第1角部21Eの近くに位置する。第1n側配線部71nは、第2半導体構造体21の第2素子外縁21Bと第4素子外縁21Dとが形成する第2角部21Fの近くに位置する。第1p側配線部71pと第1n側配線部71nは、上面視において四角形状の第2半導体構造体21の対角位置に配置されている。これにより、第1角部21Eまたは第2角部21Fの一方に近い領域に、第1p側配線部71pと第1n側配線部71nとが配置されている場合と比べて、第2半導体構造体21の面方向の電流密度の分布偏りを低減できる。
【0054】
例えば、第1配線部71は、第2配線部72を介して、第2電極52と電気的に接続される。第2配線部72は、上面視において、第2電極52と重なるように配置され、第1配線部71に接続されている。上面視において、第1配線部71と、第2配線部72と、は、隣り合って配置されている。第2配線部72は、第2p側配線部72pと第2n側配線部72nとを有する。第1p側配線部71pは、第2p側配線部72pを介して、第2p側電極52pと電気的に接続され、第1n側配線部71nは、第2n側配線部72nを介して、第2n側電極52nと電気的に接続される。
図3に示すように、第2p側配線部72pは第2p側電極52pの上面に接し、第2n側配線部72nは第2n側電極52nの上面に接する。
【0055】
例えば、
図2に示すように、上面視において、第2p側電極52pは第1角部21Eの近くの位置から第2方向X及び第3方向Yに延びている。上面視において、第2p側配線部72pは、第1p側配線部71pから、第2p側電極52p上を第2方向X及び第3方向Yに延びている。上面視において、第2n側電極52nは第2角部21Fの近くの位置から第2方向X及び第3方向Yに延びている。上面視において、第2n側配線部72nは、第1n側配線部71nから、第2n側電極52n上を第2方向X及び第3方向Yに延びている。
【0056】
第1配線部71及び第2配線部72の材料として、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステン、チタン、プラチナ、ニッケル、パラジウム、鉄、錫等の金属又はそれらの少なくとも一種を含む合金等を用いることができる。第1配線部71及び第2配線部72は、上記の金属材料の単層としてもよいし、複数の金属層を有する積層構造としてもよい。第1配線部71及び第2配線部72は、部分的に異なる材料で構成されていてもよい。また、例えば、第2p側配線部72pは、第1p側配線部71pと同じ材料で一体に形成され、第2n側配線部72nは、第1n側配線部71nと同じ材料で一体に形成されていてもよい。
【0057】
第1電極51及び第1配線部71を通じて、発光部101に電力が供給される。
図1は、発光部101に電力を供給するための構成の一例を示す。この例によれば、発光装置1は、基板200と、基板200上に配置され、第1電極51と電気的に接続された第1導電部201と、基板200上に配置された第2導電部202と、第1配線部71と第2導電部202とを接続する導電性のワイヤ81、82とをさらに備える。ワイヤ81、82は、例えば、金、アルミニウム、銅、銀等の金属材料を用いることができる。また、基板200は、例えば、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材、シリコンなどの半導体部材、銅などの導電性部材等を用いることができる。
【0058】
第1導電部201は、第1p側電極51pと接合された第1p側導電部201pと、第1n側電極51nと接合された第1n側導電部201nとを有する。
【0059】
第2導電部202は、第2p側導電部202pと、第2n側導電部202nとを有する。第1p側配線部71pと第2p側導電部202pとは、ワイヤ81を介して電気的に接続されている。ワイヤ81の第1端部81aが、光反射性部材60の上面60aにおいて第1p側配線部71pに接合している。ワイヤ81の第2端部81bが、第2p側導電部202pに接合している。第1n側配線部71nと第2n側導電部202nとは、ワイヤ82を介して電気的に接続されている。ワイヤ82の第3端部82aが、光反射性部材60の上面60aにおいて第1n側配線部71nに接合している。ワイヤ82の第4端部82bが、第2n側導電部202nに接合している。
【0060】
発光装置1は、第1活性層13を含む第1半導体構造体11と、第2活性層23を含む第2半導体構造体21とを、透光性部材30を介して、第1方向Zに積層した構成を有する。そして、第1活性層13と第2活性層23の両方を発光させた場合には、発光装置1の単位面積当たりの正面方向(プラスZ方向)への光取り出し効率を向上できる。
【0061】
また、第1活性層13と第2活性層23は、それぞれ独立して発光制御可能である。例えば、第1活性層13と第2活性層23の両方を発光させる第1駆動モード、第1活性層13を発光させ、第2活性層23を発光させない第2駆動モード、第2活性層23を発光させ、第1活性層13を発光させない第3駆動モードの3つの駆動モードを選択可能である。そして、第1活性層13の発光ピーク波長と第2活性層23の発光ピーク波長とを異ならせた場合には、駆動モードの選択により、発光装置1の色調を制御できる。また、第1駆動モードにおいて、第1活性層13と第2活性層23のそれぞれに供給する電力を制御することで、発光装置1の色調を制御できる。第1活性層13と、第2活性層23とは、可視光、紫外光を発することができる。第1活性層13と、第2活性層23とは、例えば、610nm以上700nm以下の範囲の発光ピーク波長の光、430nm以上490nm以下の範囲の発光ピーク波長の光、495nm以上565nm以下の範囲の発光ピーク波長の光を発することができる。第1活性層13及び第2活性層23の発光ピーク波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。第1活性層13の発光ピーク波長と第2活性層23との発光ピーク波長とが異なる場合、第2活性層23の発光ピーク波長は、第1活性層13の発光ピーク波長より短いことが好ましい。これにより、第1活性層13が発する光が、第2活性層23により吸収されることを低減することができる。例えば、第1活性層13は、495nm以上565nm以下の範囲の発光ピーク波長の光を発し、第2活性層23は、430nm以上490nm以下の範囲の発光ピーク波長の光を発する。
【0062】
図1に示すように、第1半導体構造体11は、第1p側層14の表面を下方の基板200側に向けた状態で配置されている。第1半導体構造体11の第1活性層13から上方に向かった光は、透光性部材30及び第2発光素子20を透過して、発光装置1の正面方向に取り出される。光反射性導電層15及び保護樹脂91によって、第1活性層13から下方に向かった光を上方に反射させることができ、発光装置1の正面方向への光取り出し効率を向上できる。光反射性部材60によって、第1活性層13から光反射性部材60に向かった光を上方に反射させることができ、発光装置1の正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0063】
第2半導体構造体21は、第2p側層24の表面を上方(発光装置1の正面方向)に向けた状態で配置されている。第2半導体構造体21の第2活性層23から上方に向かった光は、透光性導電層25及び保護膜27を透過して、発光装置1の正面方向に取り出される。また、光反射性部材60、光反射性導電層15、及び保護樹脂91によって、第2活性層23から下方(光反射性部材60に向かう斜め下方も含む)に向かった光を上方に反射させることができ、発光装置1の正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0064】
図2に示す発光部101の上面視において、第1半導体構造体11、第2半導体構造体21、及び透光性部材30が位置する領域300(網掛けがなされた領域)が、発光する領域である。金属材料からなる第1配線部71、第2配線部72、及び第2電極52は、発光装置1の正面方向への光取り出し効率を低下させる遮光体となる。そのため、発光部101からの光は、領域300における第2配線部72及び第2電極52が配置されていない領域から、正面方向(プラスZ方向)に主に取り出される。
【0065】
上面視において、光反射性部材60は、領域300の周囲を囲んで配置されることが好ましい。すなわち、上面視において、光反射性部材60は、透光性部材30の周囲及び第1半導体構造体11の周囲を囲んで配置される。これにより、透光性部材30の周囲及び第1半導体構造体11の周囲へ向かう光を光反射性部材60で上方に反射でき、正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0066】
本実施形態によれば、第1配線部71を光反射性部材60の上面60aに配置している。これにより、上面視において、領域300と第1配線部71とが重ならず、第1配線部71により光が遮られにくくなるため、発光装置1の正面方向への光取り出し効率を向上させることができる。また、光反射性部材60の上面60aに第1配線部71を配置しているので、遮光体となるワイヤ81の第1端部81a、ワイヤ82の第3端部82aも、光反射性部材60の上面60aに配置される。すなわち、上面視において、発光装置1の発光面側に位置する電力供給部が、光反射性部材60の上面60aに位置し、領域300の外側に位置する。これにより、発光面側の電力供給部が領域300からの光の取り出しの妨げにならず、正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0067】
図2に示すように、上面視において、ワイヤ81は、第1p側配線部71pに接合された第1端部81aから、光反射性部材60の外縁60A~60Dの外側に延び、第1半導体構造体11及び第2半導体構造体21が配置された領域300と重ならないことが好ましい。ワイヤ82も、上面視において、第1n側配線部71nに接合された第3端部82aから、光反射性部材60の外縁60A~60Dの外側に延び、第1半導体構造体11及び第2半導体構造体21が配置された領域300と重ならないことが好ましい。これにより、ワイヤ81、82が領域300からの光の取り出しの妨げにならず、正面方向への光取り出し効率を向上できる。
【0068】
第1透光性基板41の屈折率と第2透光性基板42の屈折率とが異なる場合、第1透光性基板41と第2透光性基板42とを直接接合すると、第1透光性基板41と第2透光性基板42との界面で反射しやすくなる。第1透光性基板41の屈折率と第2透光性基板42の屈折率とが異なる場合には、第1透光性基板41と第2透光性基板42との間に、第1透光性基板41の屈折率と第2透光性基板42の屈折率との間の屈折率を有する透光性部材30を配置することが好ましい。これにより、透光性部材30を反射防止膜として機能させ、正面方向への光取り出し効率を向上させることができる。
【0069】
第1活性層13の発光ピーク波長と第2活性層23の発光ピーク波長とが異なる場合、以下に示すような特性を持つ透光性部材30を配置することが好ましい。透光性部材30に、例えば、第1活性層13の発光波長域の光は透過させやすく、第2活性層23の発光波長域の光は反射しやすい特性を持たせる。このような特性を持つことで、正面方向への光取り出し効率を向上させることができる。例えば、第1活性層13の発光ピーク波長が、第2活性層23の発光ピーク波長よりも長いと、第1活性層13は第2活性層23の発光波長域の光を吸収しやすい。この場合に、上記特性の透光性部材30を配置することで、第2活性層23から第1活性層13に向かう光を透光性部材30により反射させ、第1活性層13による第2活性層23の光の吸収を低減できるため、正面方向への光取り出し効率を向上させることができる。
【0070】
図5は、実施形態の第1変形例による発光部の模式断面図である。第1変形例は、第1半導体構造体11と透光性部材30との間に、第2透光性基板42ではなく第1誘電体多層膜43が配置されている点で、
図1に示す実施形態の発光装置1と異なっている。その他の点に関して、第1変形例は、
図1に示す実施形態の発光装置1と基本的に同じ構造を有する。
【0071】
図5に示す例では、第1誘電体多層膜43は、第1半導体構造体11の第3面11aに配置されている。または、第1誘電体多層膜43は、第2透光性基板42と透光性部材30との間に配置されていてもよい。
【0072】
第1変形例の透光性部材30は、蛍光体を含んでいる。第1誘電体多層膜43は、第1活性層13からの光に対しては低反射で、透光性部材30からの光に対しては高反射である。すなわち、第1誘電体多層膜43は、透光性部材30からの光に対しては、第1活性層13からの光に対する反射率よりも高い反射率を有する。換言すると、第1誘電体多層膜43は、第1活性層13からの光に対しては、透光性部材30からの光に対する透過率よりも高い透過率を有する。したがって、第1活性層13からの光は第1誘電体多層膜43を透過して透光性部材30に含まれる蛍光体を励起させやすくなるとともに、透光性部材30の発する光(波長変換光)は第1誘電体多層膜43によって正面方向に反射されやすくなる。これにより、波長変換光が透光性部材30内で内部散乱や内部吸収により損失する割合を低減でき、波長変換光の外部への取り出し効率を向上できる。
【0073】
第1誘電体多層膜43は、上述した保護樹脂91として誘電体多層膜を配置する場合と同様の材料を用いることができる。
【0074】
なお、第1活性層13の発光ピーク波長と第2活性層23の発光ピーク波長とが異なる場合、第1誘電体多層膜43は、第1活性層13からの光は透過し、第2活性層23からの光は反射する機能を有することが好ましい。
【0075】
図6は、実施形態の第2変形例による発光部の一部の模式断面図である。第2変形例は、第1方向Zにおいて、光反射性部材60の第2側面部60cの一部が第2p側電極52pの上面52aよりも光反射性部材60の上面60a側に位置している点で、
図1に示す実施形態の発光装置1と異なっている。その他の点に関して、第1変形例は、
図1に示す実施形態の発光装置1と基本的に同じ構造を有する。この場合、第2活性層23から第2p側電極52p側に向かった光を、光反射性部材60の第2側面部60cで正面方向に反射しやすくなり、正面方向への光取り出し効率をより向上できる。
【0076】
図6に示すように、第1方向Zにおいて第2p側電極52pの上面52aよりも光反射性部材60の上面60a側に位置する光反射性部材60の第2側面部60cの一部に、第1p側配線部71pを配置してよい。
【0077】
本開示の実施形態は、以下の発光装置を含む。
【0078】
[項1]
第1面と、第1方向において前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する第1側面とを有する透光性部材と、
前記第1面に対向する第3面と、前記第1方向において前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面と前記第4面とを接続する第2側面とを有する第1半導体構造体と、
前記第2面に対向する第5面と、前記第1方向において前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面と前記第6面とを接続する第3側面とを有する第2半導体構造体と、
前記透光性部材の前記第1側面と、前記第1半導体構造体の前記第2側面とを覆う光反射性部材と、
前記第1半導体構造体の前記第4面側に配置され、前記第1半導体構造体と電気的に接続された第1電極と、
前記第2半導体構造体の前記第6面側に配置され、前記第2半導体構造体と電気的に接続された第2電極と、
前記光反射性部材の上面に配置され、前記第2電極と電気的に接続された第1配線部と、
を備える、発光装置。
[項2]
前記第1半導体構造体は、第1n側層と、第1p側層と、前記第1n側層と前記第1p側層との間に位置する第1活性層とを有し、
前記第1電極は、前記第1n側層と電気的に接続された第1n側電極と、前記第1p側層と電気的に接続された第1p側電極とを有し、
前記第2半導体構造体は、第2n側層と、第2p側層と、前記第2n側層と前記第2p側層との間に位置する第2活性層とを有し、
前記第2p側層上に透光性導電層が配置され、
前記第2電極は、前記第2n側層と電気的に接続された第2n側電極と、前記透光性導電層と電気的に接続された第2p側電極とを有する、項1に記載の発光装置。
[項3]
上面視において、前記第2n側電極及び前記第2p側電極は、前記第1半導体構造体の前記第1活性層の外縁よりも外側に位置している、項2に記載の発光装置。
[項4]
上面視において、前記光反射性部材は、前記透光性部材の周囲及び前記第1半導体構造体の周囲を囲んで配置されている、項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
[項5]
基板と、
前記基板上に配置され、前記第1電極と電気的に接続された第1導電部と、
前記基板上に配置された第2導電部と、
前記第1配線部と前記第2導電部とを接続する導電性のワイヤと、
をさらに備え、
上面視において、前記ワイヤは、前記第1半導体構造体及び前記第2半導体構造体と重ならない、項1~4のいずれか1つに記載の発光装置。
[項6]
上面視において、前記第1電極と前記第2電極とは重ならない、項1~5のいずれか1つに記載の発光装置。
[項7]
前記透光性部材は、蛍光体を含み、
前記第1半導体構造体と前記透光性部材との間に位置する第1誘電体多層膜と、
前記第2半導体構造体と前記透光性部材との間に位置する第1透光性基板と、
をさらに備える、項1~6のいずれか1つに記載の発光装置。
[項8]
前記光反射性部材の側面は、前記透光性部材の前記第1側面を覆う第1側面部と、前記第1方向において前記第1側面部と前記上面との間に位置する第2側面部とを有する、項1~7のいずれか1つに記載の発光装置。
[項9]
前記光反射性部材の前記第2側面部の一部は、前記第1方向において前記第2電極の上面よりも前記光反射性部材の前記上面側に位置している、項8に記載の発光装置。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ、本開示の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0080】
1…発光装置、10…第1発光素子、11…第1半導体構造体、11a…第3面、11b…第4面、11c…第2側面、12…第1n側層、13…第1活性層、14…第1p側層、20…第2発光素子、21…第2半導体構造体、21a…第5面、21b…第6面、21c…第3側面、22…第2n側層、23…第2活性層、24…第2p側層、25…透光性導電層、30…透光性部材、30a…第1面、30b…第2面、30c…第1側面、41…第1透光性基板、42…第2透光性基板、43…第1誘電体多層膜、51…第1電極、51n…第1n側電極、51p…第1p側電極、52…第2電極、52n…第2n側電極、52p…第2p側電極、60…光反射性部材、60a…上面、60b…第1側面部、60c…第2側面部、71…第1配線部、71n…第1n側配線部、71p…第1p側配線部、72…第2配線部、72n…第2n側配線部、72p…第2p側配線部、81~82…ワイヤ、91…保護樹脂、101…発光部、200…基板、201…第1導電部、202…第2導電部、300…領域