(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030299
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】フライヤー及びフライヤーの制御方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A47J37/12 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133078
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井手 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】生稲 淳一
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059BE01
4B059BE18
4B059BF07
4B059DA01
4B059DA05
4B059DA09
(57)【要約】
【課題】フライ作業中に油補給処理が行われることによる不備を抑制することができる。
【解決手段】フライ油を貯留し、フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽11と、油槽11にフライ油を補給する油補給処理を行う油補給部13と、油補給部13を制御する油補給制御部33と、油槽11におけるフライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定部31と、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定部32と、を備え、油補給制御部33は、油量判定部31によって油量が第1油量以下であると判定され、かつ、フライ作業判定部32によってフライ作業中でないと判定された場合、油補給部13によって油補給処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽と、
油補給処理手段と、を有し、
前記油補給処理手段は、
前記油槽に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部と、
前記油補給部を制御する油補給制御部と、
前記油槽に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定部と、
前記油槽による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定部と、を備え、
前記油補給制御部は、前記油量判定部によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部によって前記油補給処理を行うことを特徴とする、フライヤー。
【請求項2】
廃油処理手段を、更に有し、
前記廃油処理手段は、
前記油槽に貯留された前記フライ油を廃棄する廃油処理を行う廃油部と、
前記廃油部を制御する廃油制御部と、
前記油槽に貯留された前記フライ油の劣化指標が所定の閾値以上であるか否かを判定する劣化判定部と、を備え、
前記廃油制御部は、前記劣化判定部によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定された場合、前記廃油部によって前記廃油処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記廃油制御部は、前記劣化判定部によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記廃油部によって前記廃油処理を行うことを特徴とする、請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
ろ過処理手段を、更に有し、
前記ろ過処理手段は、
前記油槽に貯留された前記フライ油をろ過するろ過処理を行うろ過部と、
前記ろ過部を制御するろ過制御部と、
前記油槽に貯留された前記フライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であるか否かを判定する揚げカス量判定部と、を備え、
前記ろ過制御部は、前記揚げカス量判定部によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定された場合、前記ろ過部によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフライヤー。
【請求項5】
前記ろ過制御部は、前記揚げカス量判定部によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記ろ過部によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする、請求項4に記載のフライヤー。
【請求項6】
前記油量判定部の判定情報、前記フライ作業判定部の判定情報、前記油補給制御部の油補給処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、請求項1に記載のフライヤー。
【請求項7】
前記油量判定部の判定情報、前記フライ作業判定部の判定情報、前記劣化判定部の判定情報、前記油補給制御部の油補給処理情報、前記廃油制御部の廃棄処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、請求項2に記載のフライヤー。
【請求項8】
前記油量判定部の判定情報、前記フライ作業判定部の判定情報、前記揚げカス量判定部の判定情報、前記油補給制御部の油補給処理情報、前記ろ過制御部のろ過処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、請求項4に記載のフライヤー。
【請求項9】
フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽と、
前記油槽に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部と、を備えたフライヤーの制御方法であって、
前記油槽に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定工程と、
前記油槽による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定工程と、
前記油量判定工程によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定工程によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部によって前記油補給処理を行う油補給工程と、を実行することを特徴とする、フライヤーの制御方法。
【請求項10】
前記フライ油の油量は、前記フライ油の重量又は前記フライ油の油面レベルであることを特徴とする、請求項9に記載のフライヤーの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライヤー及びフライヤーの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フライヤーとして、油槽(フライバット)に対し新しいフライ油(調理油)を追加する自動注油システムを備えたものがある(特許文献1参照)。このフライヤーは、フライ油を収容する油槽と、油槽の油面を感知する油面センサと、油容器から油槽にフライ油を給送するポンプと、を含んでいる。そして、このフライヤーでは、油面センサによって油槽の油面が予め定められた分だけ下がったことを感知すると常に、ポンプを作動させてフライ油を油槽に給送する。このように、油槽に対するフライ油の補給を自動的に行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフライヤーでは、油槽でのフライ作業中にフライ油の補給が行われるため、油補給処理に伴って跳ねたフライ油が作業者の腕や顔に付着してしまう危険性や、油補給処理に伴ってフライ油の温度が低下することで揚げ物の調理精度が低下してしまう問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、フライ作業中に油補給処理が行われることによる不備を抑制することができるフライヤー及びフライヤーの制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽と、油補給処理手段と、を有し、前記油補給処理手段は、前記油槽に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部と、前記油補給部を制御する油補給制御部と、前記油槽に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定部と、前記油槽による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定部と、を備え、前記油補給制御部は、前記油量判定部によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部によって前記油補給処理を行うことを特徴とする、フライヤーを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽と、前記油槽に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部と、を備えたフライヤーの制御方法であって、前記油槽に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定工程と、前記油槽による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定工程と、前記油量判定工程によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定工程によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部によって前記油補給処理を行う油補給工程と、を実行することを特徴とする、フライヤーの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るフライヤー及びフライヤーの制御方法は、フライ作業中に油補給処理が行われることによる不備を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーの構成例を示した構成図である。
【
図3】第2実施形態のフライヤーの構成例を示した構成図である。
【
図4】第2実施形態のフライヤーにおける油保守動作を示したフローチャートである。
【
図5】第2実施形態のフライヤーにおける油保守動作の第1変形例を示したフローチャートである。
【
図6】第2実施形態のフライヤーにおける油保守動作の第2変形例を示したフローチャートである。
【
図7】第2実施形態のフライヤーにおける油保守動作の第3変形例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るフライヤー及びフライヤーの制御方法について説明する。このフライヤーは、フライ油によって揚げ物を調理するフライ作業を行う調理装置である。特に、本フライヤーは、油槽へのフライ油の補給を自動的に行う自動油補給機能を備えると共に、自動油補給機能によって生じる危険や調理精度低下を抑止する制御を採用したものである。なお、本実施形態では、揚げ物として、例えば、天ぷらやフライドポテト、コロッケ等を調理することを想定し、フライヤーは、例えば、揚げ物専門店やコンビニ、ファーストフード店等に設置されるものを想定している。
【0011】
[第1実施形態]
(フライヤーの構成)
図1に示すように、フライヤー1は、フライ油を貯留しフライ作業を行う油槽11と、油槽11に貯留されたフライ油を加熱するヒータ12と、油槽11にフライ油を補給する油補給部13と、油槽11に貯留されたフライ油の油面を撮像する撮像部14と、ヒータ12及び油補給部13を制御する制御部15と、を備えている。
【0012】
油槽11は、図外のハウジングの上部に配設され、フライ作業を行うためのフライ油を貯留する。また、油槽11は、必要に応じて、揚げ物が投入されるフライバスケット(図示省略)をセット可能に構成されている。フライヤー1の作業者(オペレータ)が、揚げ物を投入したフライバスケットを油槽11にセットすることで、又は揚げ物を直接油槽11に投入することで、油槽11に貯留されたフライ油に揚げ物が投入され、揚げ物がフライ油に浸漬される。ヒータ12によって加熱されたフライ油に、揚げ物が浸漬されることで、揚げ物を調理する。以下、このフライ油に揚げ物を浸漬させて揚げ物を調理する作業を「フライ作業」と呼称する。
【0013】
ヒータ12は、油槽11に貯留されたフライ油の温度が、設定温度となるようにフライ油を加熱する加熱手段である。なお、ヒータ12は、油槽11の外壁中又は外壁に設置されていてもよい。また、ヒータ12に代えて、例えば、ガスバーナー、電磁誘導加熱等を用いる構成であってもよい。
【0014】
油補給部13は、油槽11に補給するフライ油を収容するフライ油タンク21と、フライ油タンク21に収容されたフライ油を油槽11に供給する補給配管22と、補給配管22に配設された補給ポンプ23及び補給配管開閉弁24と、を有している。補給配管22のノズルは、逆流を防ぐために貯留されたフライ油の油面より上方に配設することが好ましい。また、補給配管22のノズルは、油補給時のフライ油の飛び跳ねを防止するために、油槽11の貯留されたフライ油の油面より数cm以内上方の範囲で設置されることが好ましい。なお、油補給時のフライ油の飛び跳ねのみを考慮するのであれば、補給配管22のノズルをフライ油中に設置してもよい。
【0015】
補給ポンプ23は、フライ油タンク21に収容されたフライ油を油槽11に送液する送液ポンプであり、補給配管開閉弁24は、補給ポンプ23の下流側に配設され、補給配管22を開閉する電磁弁である。油補給部13では、補給配管開閉弁24を開放した状態で、補給ポンプ23を駆動することで、フライ油タンク21に収容されたフライ油を油槽11に供給する。これによって、油槽11にフライ油を補給する油補給処理を行う。なお、本実施形態では、補給ポンプ23の圧力によってフライ油を油槽11に供給する構成であるが、フライ油タンク21を油槽11よりも高い位置に配設し、水頭圧によってフライ油を油槽11に供給する構成であってもよい。
【0016】
撮像部14は、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成されており、油槽11の斜め上方から油槽11の油面を撮像する。詳細は後述するが、撮像部14の撮像結果は、油槽11に貯留されたフライ油の油量の判定に用いられると共に、油槽11によるフライ作業中であるか否かの判定に用いられる。
【0017】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュROM等で構成されており、ヒータ12及び油補給部13(の補給ポンプ23及び補給配管開閉弁24)を制御する。また、制御部15は、所定のプログラムを実行することで、油量判定部31、フライ作業判定部32及び油補給制御部33として機能する。本フライヤー1では、この油量判定部31、フライ作業判定部32及び油補給制御部33と、油補給部13及び撮像部14とによって、フライ作業により揚げ物に吸収された分のフライ油を、油槽11に対し自動的に補給する自動油補給機能(自動差し油機能)を構成している。なお、油補給処理手段は、油補給部13、油量判定部31、フライ作業判定部32及び油補給制御部33によって構成されている。
【0018】
油量判定部31は、撮像部14による撮像結果を解析して、油槽11に貯留されたフライ油の油量が、減液状態にあたる第1油量(所定の油量)以下であるか否かを判定する。すなわち、油量判定部31は、当該油量が第1油量以下であるか否かを判定することで、フライ油が減少した減液状態であるか否かを判定する。具体的には、例えば、撮像部14の撮像結果を解析して、油槽11に貯留されたフライ油の油面レベル(油面の高さ)を取得し、上記第1油量の油面レベルと比較して判定を行う。なお、本実施形態では、撮像部14による撮像結果を解析して、当該油量を判定する構成であるが、これに限るものではない。詳細は後述するが、例えば、重量センサによる検出結果や油面レベル計測器の計測結果、油面センサの検出結果等に基づいて、当該油量を判定する構成であってもよい。すなわち、油量判定部31で判定する「フライ油の油量」は、フライ油の油面レベルに限らず、例えば、フライ油の重量等であってもよい。なお、以下、油槽11に貯留されたフライ油の油量を、単に「油槽11の油量」と呼称する。
【0019】
フライ作業判定部32は、撮像部14による撮像結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する。具体的には、例えば、撮像部14による撮像結果を解析して、揚げ物が投入された状態である否かを判定し、油槽11に貯留されたフライ油に揚げ物が投入された状態の場合、油槽11によるフライ作業中であると判定し、油槽11に貯留されたフライ油に揚げ物が投入されていない状態の場合、油槽11によるフライ作業中でないと判定する。揚げ物が投入された状態である否かを判定は、例えば、揚げ物の投入時点及び揚げ物の取出し時点を取得し、これらに基づいて判定を行う構成であってもよいし、投入された揚げ物から生じる泡の有無に基づいて、判定を行う構成であってもよい。なお、本実施形態では、撮像部14による撮像結果を解析して、フライ作業中であるか否かを判定する構成であるが、これに限るものではない。詳細は後述するが、例えば、重量センサの検出結果や音センサの検出結果、振動センサの検出結果、操作パネルの操作結果、調理スケジュール等に基づいて、フライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0020】
油補給制御部33は、油量判定部31及びフライ作業判定部32の判定結果に基づき、油補給処理を行う。すなわち、油量判定部31によって油槽11の油量が第1油量以下であると判定され、かつ、フライ作業判定部32によって油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合、油補給部13の補給ポンプ23及び補給配管開閉弁24を制御し、油補給部13によって油補給処理を行う。このように、油槽11の油量が第1油量以下まで減少した場合において、フライ作業中ではないときのみ、油補給処理を行うことで、フライ作業中に油補給処理が行われないように制御する。
【0021】
また、油補給処理では、油槽11に貯留されたフライ油の油量が、満液状態にあたる第2油量以上になるまで、フライ油を補給する。すなわち、補給配管開閉弁24を開放しつつ補給ポンプ23を駆動し、撮像部14の撮像結果によって油槽11の油量が第2油量以上になったと判定されるまで、油槽11にフライ油を補給する。第2油量は、第1油量より多い油量である。なお、第1油量と第2油量とを同じ油量にしてもよい。また、油槽11に貯留されたフライ油の油量が第2油量以上になるまで、フライ油を補給するのに代えて、フライ油を一定量補給する構成であってもよい。
【0022】
(油保守動作)
ここで
図2を参照して、制御部15による油保守動作について説明する。この油保守動作は、フライヤー1が起動している状態において、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる動作であり、油槽11に貯留されたフライ油の状態を監視し、当該フライ油の状態を保守する動作である。本実施形態では、油槽11の油量を監視し、油槽11の油量が第1油量以上となるようにしている。なお、油保守動作は、フライヤー1の制御方法の一例である。
【0023】
図2に示すように、油保守動作では、制御部15は、まず、油量判定部31によって、現在の油槽11の油量が第1油量以下であるか否かを判定する(S1)(油量判定工程)。例えば、撮像部14による撮像結果を解析して、油槽11の油量が第1油量以下であるか否かを判定する。判定の結果、油槽11の油量が第1油量以下でないと判定された場合(S1:No)、本油保守動作を終了する。
【0024】
一方、油槽11の油量が第1油量以下であると判定された場合(S1:Yes)、フライ作業判定部32によって、現在、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する(S2)(フライ作業判定工程)。例えば、撮像部14による撮像結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する。判定の結果、油槽11によるフライ作業中であると判定された場合(S2:Yes)、油補給処理を行わずに、本油保守動作を終了する。
【0025】
油槽11の油量が第1油量以下であると判定され(S1:Yes)、かつ、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合(S2:No)、油補給制御部33によって、油補給処理を行う(S3)(油補給工程)。すなわち、油槽11の油量が第2油量になるまで、油槽11にフライ油を補給する。これにより、本油保守動作を終了する。このように、油補給処理が自動的に行われる。これにより、揚げ物に吸収された分のフライ油が自動的に油槽11に補給される。また、油槽11内のフライ油が廃棄され、油槽11が空の状態においても、フライ油が第2油量まで自動的に補給される。また、新しいフライ油が定期的に油槽11に補給されるため、新しいフライ油中のトコフェロールによって、油槽11に貯留されたフライ油の抗酸化機能が強化され、フライ油の劣化が抑制される。
【0026】
[第2実施形態]
次に
図3及び
図4を参照して、第2実施形態のフライヤー1Aについて第1実施形態とは異なる部分のみ説明する。第2実施形態のフライヤー1Aは、自動油補給機能に加え、自動油交換機能及び自動油ろ過機能を有したものである。
【0027】
(第2実施形態のフライヤーの構成)
例えば、
図3に示すように、第2実施形態のフライヤー1Aは、
図1に記載の各部に加え、油槽11に貯留されたフライ油を廃棄する廃油部41と、油槽11に貯留されたフライ油をろ過するろ過部42と、を備えている。
【0028】
廃油部41は、油槽11に貯留されたフライ油を廃油する廃油配管51と、廃油配管51に配設された廃油配管開閉弁52と、を有している。廃油配管開閉弁52は、廃油配管51を開閉する電磁弁である。廃油部41では、廃油配管開閉弁52を開放することで、油槽11に貯留されたフライ油を廃棄する廃油処理を行う。
【0029】
ろ過部42は、フライ油から揚げカスをろ過するろ過フィルタ61と、ろ過フィルタ61を介してフライ油を循環させるろ過配管62と、ろ過配管62に配設されたろ過ポンプ63及びろ過配管開閉弁64と、を有している。ろ過配管62のノズルは、油槽11に貯留されたフライ油の油面の上方に配設されている。
【0030】
ろ過ポンプ63は、ろ過フィルタ61の上流側又は下流側に配設され、油槽11に貯留されたフライ油をろ過フィルタ61に送液すると共に、ろ過フィルタ61を通過したフライ油を油槽11に送液する送液ポンプである。ろ過配管開閉弁64は、ろ過フィルタ61の上流側に配設され、ろ過配管62を開閉する電磁弁である。ろ過部42では、ろ過配管開閉弁64を開放しつつ、ろ過ポンプ63を駆動することで、油槽11に貯留されたフライ油を、ろ過フィルタ61に送液し、ろ過フィルタ61を通過させた後、油槽11に送液する。これによって、フライ油から揚げカスをろ過するろ過処理を行う。なお、ろ過フィルタ61に代えて、ろ過スクリーンを用いてもよい。また、ろ過部42は、ろ過配管62におけるろ過フィルタ61の下流側に配設され、ろ過したフライ油を一時的に貯留するろ過用タンクを、更に有する構成であってもよい。
【0031】
また、第2実施形態のフライヤー1Aにおける制御部15は、ヒータ12及び油補給部13に加え、廃油部41(の廃油配管開閉弁52)及びろ過部42(のろ過ポンプ63及びろ過配管開閉弁64)を制御すると共に、所定のプログラムを実行することで、油量判定部31、フライ作業判定部32及び油補給制御部33に加え、劣化判定部72、廃油制御部73、揚げカス量判定部74及びろ過制御部75として機能する。廃油処理手段は、廃油部41、劣化判定部72及び廃油制御部73によって構成され、ろ過処理手段は、ろ過部42、揚げカス量判定部74及びろ過制御部75によって構成されている。
【0032】
劣化判定部72は、撮像部14の撮像結果を解析して、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が予め設定されている閾値(所定の閾値)以上であるか否かを判定する。具体的には、撮像部14の撮像結果であるフライ油の油面の画像から、フライ油の劣化指標として、フライ油の色やフライ油の泡立ち量(揚げ物量に対するフライ油の泡立ち量等)を判定し、判定したフライ油の色やフライ油の泡立ち量が、所定の閾値(所定の色や泡立ち量)以上であるか否かを判定する。
【0033】
なお、本実施形態は、撮像部14の撮像結果を解析して、劣化指標を取得し、これに基づいて劣化判定を行う構成であるが、フライ油に接触するセンサによって、フライ油の酸価やフライ油の粘度、フライ油の粘度上昇量、フライ油のアニシジン価、フライ油の極性化合物量、フライ油のカルボニル価、フライ油のヨウ素価、フライ油のトコフェロール含量等を判定し、これらを劣化指標として、劣化判定を行う構成であってもよい。また、フライ油から揮発した物質を検出するセンサによって、フライ油の揮発成分量や揮発成分組成を取得し、これらを劣化指標として、劣化判定を行う構成であってもよい。
【0034】
また、ここでは、撮像部14やセンサによって、劣化指標を直接取得する構成を例示したが、撮像部14やセンサによって取得したデータに基づいてフライ油の劣化指標を推定し、推定した劣化指標に基づいて、劣化判定を行う構成であってもよい。かかる場合、撮像部14やセンサによって取得した過去のデータとフライ油の劣化指標との相関関係データを予め記憶しておき、新たに取得したデータと当該相関関係データとに基づいて劣化指標を推定する。また、過去のデータと劣化指標との相関関係データから、データの閾値を設定し、新たに取得したデータが、設定した閾値以上であるか否かを判定して、劣化判定を行う構成であってもよい。なお、劣化判定で用いるフライ油の劣化指標は、例えば、フライ油の酸価、フライ油の色、フライ油の粘度、フライ油の粘度上昇量、フライ油のアニシジン価、フライ油の極性化合物量、フライ油のカルボニル価、フライ油のヨウ素価、フライ油の発煙点、フライ油の揮発成分量、フライ油の揮発成分組成、フライ油の風味、フライ油のトコフェロール含量及びフライ油の屈折率、フライ油の泡立ち量(揚げ物量に対するフライ油の泡立ち量等)の少なくとも1つである。また、フライ油の劣化指標は、例えば、フライ油で調理された揚げ物の風味や当該揚げ物の揮発成分量であってもよい。
【0035】
また、操作パネルの操作結果から得られる調理作業記録、あるいは予め設定された調理スケジュール等に基づいて、フライ油の調理時間や調理履歴(調理した揚げ物の種類及び揚げ個数等)を取得し、フライ油の調理時間や調理履歴に基づいて、フライ油の劣化指標を推定する構成であってもよい。かかる場合には、フライ油の調理時間や調理履歴とフライ油の劣化指標との相関関係データを予め記憶しておき、取得したフライ油の調理時間や調理履歴と、当該相関関係データとに基づいて劣化指標を推定する。また、当該相関関係データから、フライ油の調理時間や調理履歴の閾値を設定し、新たに取得したフライ油の調理時間や調理履歴が、設定した閾値以上であるか否かを判定して、劣化判定を行う構成であってもよい。
【0036】
また、例えば、油槽11に貯留されたフライ油のにおい、発煙点、油槽11の内面の重合物の量、フライ油から揮発した分解物の蓄積量、フライ油から発生した音を検出し、その検出結果に基づいて、フライ油の劣化指標を推定する構成であってもよい。また、フライヤー1の消費電力やフライヤー1の消費ガス量等を取得し、これに基づいて、フライ油の劣化指標を推定する構成であってもよい。
【0037】
廃油制御部73は、劣化判定部72の判定結果に基づき、廃油処理を行う。すなわち、劣化判定部72によってフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定された場合、廃油部41の廃油配管開閉弁52を制御し、廃油部41によって廃油処理を行う。なお、フライ油中に揚げカスがあると、廃油処理に不備が生じるため、廃油制御部73は、廃油処理の前に、ろ過処理を行うことが好ましい。つまり、廃油制御部73は、劣化判定部72によってフライ油の劣化指標が閾値以上であると判定された場合、ろ過部42のろ過ポンプ63及びろ過配管開閉弁64を制御して、ろ過処理を行った後、廃油部41の廃油配管開閉弁52を制御して、廃油処理を行うことが好ましい。なお、この場合、廃油部41は、油槽11に直接接続される構成ではなく、ろ過部42のろ過フィルタ61以降の配管あるいはろ過用タンクに接続される構成が好ましい。
【0038】
揚げカス量判定部74は、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であるか否かを判定する。揚げカス量は、例えば、油槽11下部に設置された撮像部(不図示)によって油槽11の下部を撮影し、撮影画像から沈殿物量を算出する。あるいは、フライ油の調理時間や上記調理履歴を取得し、取得した調理時間や調理履歴に基づいて、揚げカス量を推定する方法等がある。揚げカス量の推定は、調理時間や調理履歴と揚げカス量との相関関係データを予め記憶しておき、この相関関係データを用いて、現在の調理時間や調理履歴に対する揚げカス量を推定する。なお、本実施形態においては、フライ油の調理時間や調理履歴に基づいて、フライ油中の揚げカス量を推定する構成を例示しているが、これに限るものではない。例えば、フライ作業を行った累計調理時間やフライヤー1の消費電力、フライヤー1の消費ガス量等を取得し、これに基づいて、フライ油中の揚げカス量を推定する構成であってもよい。
【0039】
ろ過制御部75は、揚げカス量判定部74の判定結果に基づき、ろ過処理を行う。すなわち、揚げカス量判定部74によってフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であると判定された場合、ろ過部42のろ過ポンプ63及びろ過配管開閉弁64を制御し、ろ過部42によってろ過処理を行う。
【0040】
(第2実施形態の油保守動作)
ここで
図4を参照して、第2実施形態のフライヤー1Aにおける油保守動作について説明する。本油保守動作は、第1実施形態と同様、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる動作である。
図4に示すように、第2実施形態の油保守動作では、制御部15は、まず、油量判定部31によって、現在の油槽11の油量が第1油量以下であるか否かを判定する(S11)(油量判定工程)。判定の結果、油槽11の油量が第1油量以下でないと判定された場合(S11:No)、本油保守動作を終了する。
【0041】
一方、油槽11の油量が第1油量以下であると判定された場合(S11:Yes)、劣化判定部72によって、現在の油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S12)(劣化判定工程)。判定の結果、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定された場合(S12:Yes)、廃油制御部73によって廃油処理を行い(S13)(廃油工程)、本油保守動作を終了する。
【0042】
一方、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値未満であると判定された場合(S12:No)、揚げカス量判定部74によって、現在の油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であるか否かを判定する(S14)(揚げカス量判定工程)。判定の結果、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上である場合(S14:Yes)、ろ過制御部75によってろ過処理を行い(S15)(ろ過工程)、本油保守動作を終了する。
【0043】
一方、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量未満である場合(S14:No)、フライ作業判定部32によって、現在、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する(S16)(フライ作業判定工程)。例えば、撮像部14による撮像結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する。判定の結果、油槽11によるフライ作業中であると判定された場合(S16:Yes)、油補給処理を行わずに、本油保守動作を終了する。
【0044】
一方、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合(S16:No)、油補給制御部33によって、油補給処理を行う(S17)(油補給工程)。すなわち、油槽11の油量が第2油量になるまで、油槽11にフライ油を補給する。これにより、本油保守動作を終了する。このように、油補給処理に加え、廃油処理及びろ過処理が自動的に行われる。廃油処理が行われた場合、油槽11に貯留されたフライ油が第1油量以下となるため、油補給処理が自動的に行われるので、本油保守動作において、フライ油の交換処理が自動的に行われる。
【0045】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記各実施形態の構成によれば、油槽11の油量が第1油量以下であると判定された場合において、フライ作業中ではないと判定されたときのみ、油補給処理を行うため、フライ作業中に油補給処理が行われてしまうのを防止することができる。そのため、油補給処理に伴って跳ねたフライ油が作業者の腕や顔に付着してしまう事態や、油補給処理に伴ってフライ油の温度が低下することで揚げ物の調理精度が低下してしまう事態を避けることができ、フライ作業中に油補給処理が行われることによる不備を抑制することができる。
【0046】
また、上記各実施形態の構成によれば、撮像部14の撮像結果を解析して、油槽11の油量の判定と、フライ作業中であるか否かの判定とを行う構成であるため、当該各判定を行うのに別々の検出手段を設ける必要がなく、これらの当該各判定を簡単な構成で行うことができる。なお、フライヤー1が、撮像部14に代えて、油槽11に貯留されたフライ油の重量を検出する重量センサを備え、重量センサの検出結果を解析して、油槽11の油量の判定と、フライ作業中であるか否かの判定と、を行う構成であってもよい。
【0047】
また、上記第2実施形態の構成によれば、油補給部13、油量判定部31及び油補給制御部33に加え、廃油部41、劣化判定部72、廃油制御部73を備えたことで、フライ油の交換処理を自動的に行うことができる。
【0048】
また、上記第2実施形態の構成によれば、ろ過部42、揚げカス量判定部74、ろ過制御部75を備えたことで、フライ油のろ過処理を自動的に行うことができる。
【0049】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0050】
例えば、上記第1実施形態において、フライヤー1が、油量判定部31の判定情報、フライ作業判定部32の判定情報、油補給制御部33の油補給処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有する構成であってもよい。また、上記第2実施形態において、フライヤー1Aが、油量判定部31の判定情報、フライ作業判定部32の判定情報、劣化判定部72の判定情報、揚げカス量判定部74の判定情報、油補給制御部33の油補給処理情報、廃油制御部73の廃棄処理情報、ろ過制御部75のろ過処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有する構成であってもよい。かかる場合、外部出力された情報を分析することで、フライ油の使用状況が解析され、最適な調理スケジュール、最適なフライ油等を設定することができる。また、複数のフライヤー1、1Aの情報を比較し、異常値のあるフライヤー1、1Aを保守点検することができる。なお、ここにいう「外部出力」とは、上記各情報を他の情報端末に送信することはもちろん、作業者への報知(表示や音声出力等)を含む概念である。なお、外部出力部が、油量判定部31の判定情報、フライ作業判定部32の判定情報、劣化判定部72の判定情報、油補給制御部33の油補給処理情報、廃油制御部73の廃棄処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する構成であってもよいし、外部出力部が、油量判定部31の判定情報、フライ作業判定部32の判定情報、揚げカス量判定部74の判定情報、油補給制御部33の油補給処理情報、ろ過制御部75のろ過処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する構成であってもよい。
【0051】
また、上記各実施形態においては、撮像部14の撮像結果を解析して、油槽11の油量を判定する構成であったが、これに限るものではない。例えば、フライヤー1、1Aが、上記重量センサを備え、重量センサの検出結果を解析して、油槽11の油量を判定する構成であってもよい。また、フロートを用いて油面レベルを計測する油面レベル計測器を備え、当該油面レベル計測器の計測結果を解析して油槽11の油量を判定する構成であってもよいし、レーザー電波(マイクロ波)や超音波等によって油面レベルを検出する油面センサを備え、当該油面センサの検出結果を解析して油槽11の油量を判定する構成であってもよい。
【0052】
また、上記各実施形態においては、撮像部14の撮像結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であったが、これに限るものではない。例えば、フライヤー1、1Aが、上記重量センサを備え、重量センサの検出結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。また、油槽11に貯留されたフライ油の音を検出する音センサを備え、音センサの検出結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。また、油槽11やフライ油の振動を検出する振動センサを備え、振動センサの検出結果を解析して、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。また、操作パネルの操作結果に基づいて、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。また、調理スケジュールに基づいて、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0053】
また、上記各実施形態においては、フライヤー1、1Aが、油槽11を1つのみ備える構成であったが、これに限るものではない。すなわち、フライヤー1、1Aが、油槽11を複数備える構成であってもよい。
【0054】
また、上記第1実施形態においては、油量の判定(S1)を行った後、フライ作業中であるか否かの判定(S2)を行う構成であったが、フライ作業中であるか否かの判定を行った後、油量の判定を行う構成であってもよい。かかる場合、フライ作業中でないと判定された場合のみ、油量の判定を行う構成となる。
【0055】
また、上記第2実施形態においては、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる油保守動作において、油量の判定(S11)を行った後、フライ作業中であるか否かの判定(S16)を行い、油量の判定(S11)とフライ作業中であるか否かの判定(S16)との間で、フライ油の劣化判定(S12)及び揚げカス量の判定(S14)を行う構成であったが、各判定の順番は、これに限るものではない。例えば、
図5に示すように、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる油保守動作において、フライ作業中であるか否かの判定(S16)を行った後、油量の判定(S11)を行い、フライ作業中であるか否かの判定(S16)と油量の判定(S11)との間で、フライ油の劣化判定(S12)及び揚げカス量の判定(S14)を行う構成であってもよい。かかる場合、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定され、かつ、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合、廃油制御部73によって廃油処理を行う構成となる。これにより、フライ作業中に廃油処理が行われるのを防止することができ、フライ作業中に油槽11に貯留されたフライ油の油面レベルが変動する事態や、揚げ物が廃油配管51に詰まってしまう事態を避けることができる。また、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であると判定され、かつ、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合、ろ過制御部75によってろ過処理を行う構成となる。これにより、フライ作業中にろ過処理が行われるのを防止することができ、フライ作業中にろ過処理が行われることで生じる不備を抑制することができる。
【0056】
また、例えば、
図6に示すように、一定時間毎(例えば、1秒毎)に行われる油保守動作において、フライ作業中であるか否かの判定(S16)を、フライ油の劣化判定(S12)、揚げカス量の判定(S14)、油量の判定(S11)の後にそれぞれ行う構成であってもよい。すなわち、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定された場合(S12:Yes)、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であると判定された場合(S14:Yes)、及び、油槽11の油量が第1油量以下であると判定された場合(S11:Yes)に、油槽11によるフライ作業中であるか否かを判定する(S16)。そして、判定の結果、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合(S16:No)、各処理を行う。かかる場合、
図5の油保守動作と同様、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定され、かつ、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合、廃油処理を行い、油槽11に貯留されたフライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であると判定され、かつ、油槽11によるフライ作業中でないと判定された場合、ろ過処理を行う構成となる。そのため、フライ作業中に廃油処理やろ過処理が行われることで生じる不備を抑制することができる。
【0057】
また、
図6に記載された油保守動作において、
図7に示すように、油槽11に貯留されたフライ油の劣化指標が所定の閾値以上であると判定され(S12:Yes)、かつ、油槽11によるフライ作業中であると判定された場合(S16:Yes)、フライ作業終了処理(S21)を行った後、廃油処理(S13)を行う構成であってもよい。フライ作業終了処理は、例えば、作業者に対しフライ作業の終了を報知すると共に、ヒータ12を停止することで、作業者によるフライ作業を終了させる処理である。
【0058】
なお、油補給処理を行った後に、廃油処理やろ過処理を行うと、油補給処理によって油槽11に新たに補給されたフライ油が失われてしまうため、
図4乃至
図7に記載の油保守動作のように、油補給処理(S17)の前に、フライ油の劣化判定(S12)や揚げカス量の判定(S14)を行うことが好ましい。
【0059】
また、制御部15、油量判定部31、フライ作業判定部32、油補給制御部33、劣化判定部72、廃油制御部73、揚げカス量判定部74及びろ過制御部75の全部又は一部は、フライヤー1、1Aに備えられたものである必要はなく、これらの全部又は一部は、フライヤー1、1Aの外部に備えられたものであってもよい。これら制御部15、油量判定部31、フライ作業判定部32、油補給制御部33、劣化判定部72、廃油制御部73、揚げカス量判定部74及びろ過制御部75の全部又は一部が外部に備えられたものである場合、有線、無線、及び/又はネットワークを通じで単一のフライヤー1、1A又は複数のフライヤー1、1Aと接続されている。これらの制御部15、油量判定部31、フライ作業判定部32、油補給制御部33、劣化判定部72、廃油制御部73、揚げカス量判定部74及びろ過制御部75の全部又は一部は、複数のフライヤー1、1Aに接続され、複数のフライヤー1、1Aを制御することもできる。その場合、複数のフライヤー1、1Aの状態を比較し、異常が見いだされた場合、警報を出すことができる。
【0060】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施形態から把握される技術思想について、実施形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、請求の範囲における構成要素を実施形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0061】
《1》フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽(11)と、油補給処理手段(13、31、32、33)と、を有し、前記油補給処理手段(13、31、32、33)は、前記油槽(11)に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部(13)と、前記油補給部(13)を制御する油補給制御部(33)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定部(31)と、前記油槽(11)による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定部(32)と、を備え、前記油補給制御部(33)は、前記油量判定部(31)によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部(13)によって前記油補給処理を行うことを特徴とする、フライヤー(1、1A)。
《2》廃油処理手段(41、72、73)を、更に有し、廃油処理手段(41、72、73)は、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油を廃棄する廃油処理を行う廃油部(41)と、前記廃油部(41)を制御する廃油制御部(73)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油の劣化指標が所定の閾値以上であるか否かを判定する劣化判定部(72)と、を備え、前記廃油制御部(73)は、前記劣化判定部(72)によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定された場合、前記廃油部(41)によって前記廃油処理を行うことを特徴とする、《1》に記載のフライヤー(1A)。
《3》前記廃油制御部(73)は、前記劣化判定部(72)によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記廃油部(41)によって前記廃油処理を行うことを特徴とする、《2》に記載のフライヤー(1A)。
《4》ろ過処理手段(42、74、75)を、更に有し、ろ過処理手段(42、74、75)は、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油をろ過するろ過処理を行うろ過部(42)と、前記ろ過部(42)を制御するろ過制御部(75)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であるか否かを判定する揚げカス量判定部(74)と、を備え、前記ろ過制御部(75)は、前記揚げカス量判定部(74)によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定された場合、前記ろ過部(42)によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする、《1》乃至《3》のいずれか1つに記載のフライヤー(1A)。
《5》前記ろ過制御部(75)は、前記揚げカス量判定部(74)によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記ろ過部(42)によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする、《4》に記載のフライヤー(1A)。
《6》前記油量判定部(31)の判定情報、前記フライ作業判定部(32)の判定情報、前記油補給制御部(33)の油補給処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、《1》乃至《5》のいずれか1つに記載のフライヤー(1、1A)。
《7》前記油量判定部(31)の判定情報、前記フライ作業判定部(32)の判定情報、前記劣化判定部(72)の判定情報、前記油補給制御部(33)の油補給処理情報、前記廃油制御部(73)の廃棄処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、《2》又は《3》に記載のフライヤー(1A)。
《8》前記油量判定部(31)の判定情報、前記フライ作業判定部(32)の判定情報、前記揚げカス量判定部(74)の判定情報、前記油補給制御部(33)の油補給処理情報、前記ろ過制御部(75)のろ過処理情報から選ばれる1種又は2種以上の情報を外部出力する外部出力部を、更に有することを特徴とする、《4》又は《5》に記載のフライヤー(1A)。
《9》フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽(11)と、前記油槽(11)に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部(13)と、前記油補給部(13)を制御する制御部(15)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定部(31)と、前記油槽(11)による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定部(32)と、を備え、前記制御部(15)は、前記油量判定部(31)によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部(13)によって前記油補給処理を行うことを特徴とするフライヤー(1、1A)。
《10》前記油槽(11)に貯留された前記フライ油を廃棄する廃油処理を行う廃油部(41)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油の劣化指標が所定の閾値以上であるか否かを判定する劣化判定部(72)と、を更に備え、前記制御部(15)は、前記廃油部(41)を制御し、前記劣化判定部(72)によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定された場合、前記廃油部(41)によって前記廃油処理を行うことを特徴とする《9》に記載のフライヤー(1A)。
《11》前記制御部(15)は、前記劣化判定部(72)によって前記劣化指標が前記所定の閾値以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記廃油部(41)によって前記廃油処理を行うことを特徴とする《10》に記載のフライヤー(1A)。
《12》前記油槽(11)に貯留された前記フライ油をろ過するろ過処理を行うろ過部(42)と、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油中の揚げカス量が所定の揚げカス量以上であるか否かを判定する揚げカス量判定部(74)と、を更に備え、前記制御部(15)は、前記ろ過部(42)を制御し、前記揚げカス量判定部(74)によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定された場合、前記ろ過部(42)によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする《9》乃至《11》のいずれか1つに記載のフライヤー(1A)。
《13》前記制御部(15)は、前記揚げカス量判定部(74)によって前記揚げカス量が前記所定の揚げカス量以上であると判定され、かつ、前記フライ作業判定部(32)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記ろ過部(42)によって前記ろ過処理を行うことを特徴とする《12》に記載のフライヤー(1A)。
《14》フライ油を貯留し、前記フライ油に揚げ物を浸漬させてフライ作業を行う油槽(11)と、前記油槽(11)に前記フライ油を補給する油補給処理を行う油補給部(13)と、を備えたフライヤー(1、1A)の制御方法であって、前記油槽(11)に貯留された前記フライ油の油量が所定の油量以下であるか否かを判定する油量判定工程(S1)と、前記油槽(11)による前記フライ作業中であるか否かを判定するフライ作業判定工程(S2)と、前記油量判定工程(S1)によって前記油量が前記所定の油量以下であると判定され、かつ、前記フライ作業判定工程(S2)によって前記フライ作業中でないと判定された場合、前記油補給部(13)によって前記油補給処理を行う油補給工程(S3)と、を実行することを特徴とする、フライヤー(1、1A)の制御方法。
《15》前記フライ油の油量は、前記フライ油の重量又は前記フライ油の油面レベルであることを特徴とする、《14》に記載のフライヤー(1、1A)の制御方法。
【符号の説明】
【0062】
1、1A:フライヤー、 11:油槽、 13:油補給部、 31:油量判定部、 32:フライ作業判定部、 33:油補給制御部、 41:廃油部、 42:ろ過部、 72:劣化判定部、 73:廃油制御部、 74:揚げカス量判定部、 75:ろ過制御部