(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030404
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】除菌剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/62 20060101AFI20240229BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240229BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20240229BHJP
C11D 3/28 20060101ALI20240229BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240229BHJP
C11D 1/835 20060101ALI20240229BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20240229BHJP
A01N 33/04 20060101ALI20240229BHJP
A01N 47/44 20060101ALI20240229BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C11D1/62
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/28
C11D3/48
C11D1/835
A01N25/30
A01N33/04
A01N47/44
A01P1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133275
(22)【出願日】2022-08-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC15
4H003AD04
4H003AE05
4H003DA05
4H003DA17
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA03
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB12
4H003EB16
4H003EB20
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA28
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA05
4H011BA06
4H011BB04
4H011BB11
4H011BC19
4H011DA15
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】本発明は、一般細菌や真菌、陽イオン界面活性剤抵抗性菌に対して、優れた除菌性を有する除菌剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するため、本発明は、(A)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、(B)成分としてビグアナイド系化合物、(C)成分としてノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される少なくとも一種、(D)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10以上、200以下である、除菌剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、
(B)成分としてビグアナイド系化合物、
(C)成分としてノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される少なくとも一種、並びに、
(D)成分として水
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10以上、200以下である、除菌剤組成物。
【請求項2】
(A)成分がジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネートから選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の除菌剤組成物。
【請求項3】
(B)成分がポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を含有する、請求項1に記載の除菌剤組成物。
【請求項4】
(C)成分が、炭素数8以上、18以下の分岐鎖のアルキル基を有するアルコールアルコキシレートであるノニオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の殺菌剤組成物。
【請求項5】
(C)成分が炭素数8以上、18以下の2級アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られたアルコールアルコキシレートである、請求項4に記載の殺菌剤組成物。
【請求項6】
更に(E)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有する、請求項1に記載の除菌剤組成物。
【請求項7】
除菌剤組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下である、請求項1に記載の除菌剤組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の除菌剤組成物を、有機汚れが存在する被除菌体と接触させることを含む、除菌方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の除菌剤組成物を含む除菌液に、有機汚れが存在する被除菌体を浸漬する工程、及び、浸漬後に被除菌体から除菌液を除去する工程を含む、除菌方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の除菌剤組成物又は該除菌剤組成物を含む除菌液を、有機汚れが存在する被除菌体に噴霧したのち、被除菌体を静置するか、又は擦り洗いする工程と、水ですすぐ工程とを含む、除菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌剤組成物及び除菌方法に関する。具体的に、本発明は、食品工場、厨房、医療施設等の設備、器具の衛生管理に使用される除菌剤組成物に関し、更に詳しくは、有機汚れにおける細菌及び真菌に対して優れた除菌性を有する除菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食中毒のリスク軽減や、食品工場、厨房施設、医療施設等の衛生環境を良好に保つため、除菌剤が使用されている。食品工場、厨房施設、医療施設の除菌には、第四級アンモニウム塩を主成分とした除菌剤が一般的に使用されている。更に、除菌面に付着、残留した汚れから微生物が増殖することを防止するために、洗浄性付与を目的としてノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤、両性界面活性剤を組み合わせた除菌剤組成物が用いられる。
【0003】
しかしながら、第四級アンモニウム塩を主成分とした除菌剤組成物は、被除菌面に、脂質、デンプンなどの多糖類、タンパク質、色素などの有機汚れが多く存在していた場合や、洗浄中に有機汚れが混入した場合には十分な除菌性が発揮されないという問題がある。また、第四級アンモニウム塩には陽イオン界面活性剤抵抗生菌の出現が問題となる場合があり、残存した細菌が食品や器具に混入し、食品腐敗及び衛生環境の悪化を引き起こす問題がある。
【0004】
従来の除菌洗浄剤としては、特許文献1にはカチオン界面活性剤と、1,2-ベンズイソチアゾール-3-オンからなる除菌剤組成物が記載されている。引用文献2にはジアルキルジメチルアンモニウム塩とビグアニド化合物を必須成分とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びアルキルジメチルアミンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも一種の非イオン界面活性剤を含有する殺菌剤組成物が記載されている。引用文献3にはポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、ポリヘキサメチレングアニジンリン酸塩、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩、ポリアミノプロピルビグアナイド塩酸塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物、1種以上のジ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアンモニウムメチル硫酸塩からなる陽イオン界面活性剤と、特定のHLBの組み合わせのポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる非イオン界面活性剤を含有する洗浄除菌剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-050617号公報
【特許文献2】特開平2-184609号公報
【特許文献3】特開2020-033414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から特許文献3に記載の殺菌洗浄剤組成物は、細菌やカビ等に除菌性を示すが、有機汚れを伴う場合には十分な除菌性は示されなかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、被除菌面に汚れが存在する場合においても優れた除菌力を有する除菌剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、(B)成分としてビグアナイド系化合物、(C)成分としてノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される少なくとも一種、(D)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10以上、200以下である除菌剤組成物が従来有していた課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、
(1)(A)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、
(B)成分としてビグアナイド系化合物、
(C)成分としてノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される少なくとも一種、並びに、
(D)成分として水
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10以上、200以下である、除菌剤組成物、
(2)(A)成分がジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネートから選択される少なくとも一種を含有する、(1)の除菌剤組成物、
(3)(B)成分がポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を含有する、(1)の除菌剤組成物、
(4)(C)成分が、炭素数8以上、18以下の分岐鎖のアルキル基を有するアルコールアルコキシレートであるノニオン界面活性剤を含む、(1)の殺菌剤組成物、
(5)(C)成分が炭素数8以上、18以下の2級アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られたアルコールアルコキシレートである、(4)の殺菌剤組成物、
(6)更に(E)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有する、(1)の除菌剤組成物、
(7)除菌剤組成物の25℃におけるpHが6以上、8以下である、(1)の除菌剤組成物、
(8)(1)~(7)のいずれかの除菌剤組成物を、有機汚れが存在する被除菌体と接触させることを含む、除菌方法。
(9)(1)~(7)のいずれの除菌剤組成物を含む除菌液に、有機汚れが存在する被除菌体を浸漬する工程、及び、浸漬後に被除菌体から除菌液を除去する工程を含む、除菌方法、並びに
(10)(1)~(7)のいずれかの除菌剤組成物又は該除菌剤組成物を含む除菌液を、有機汚れが存在する被除菌体に噴霧したのち、被除菌体を静置するか、又は擦り洗いする工程と、水ですすぐ工程とを含む、除菌方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の除菌剤組成物は、被除菌体に有機汚れが存在する場合でも一般細菌、真菌、陽イオン界面活性剤抵抗性菌に対して除菌効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、上記(A)~(D)成分を必須成分として含み、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が10以上、200以下である、除菌剤組成物である。
本発明の除菌組成物は、(A)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する。この(A)成分は主として除菌効果に寄与する。
【0012】
(A)成分として、除菌効果が認められる任意の四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を使用することができる。例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルハイドロキシアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。
【0013】
これらの中でも、4つのアルキル基を有し、その中の1若しくは2が炭素数8以上、16以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、残りが炭素数1又は2のアルキル基である四級アンモニウム塩化合物(i)、又は、2若しくは3のアルキル基を有し、残りがポリオキシアルキレン基であり、少なくとも1のアルキル基が炭素数8以上、16以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、残りのアルキル基が炭素数1又は2のアルキル基である四級アンモニウム化合物塩(ii)が好ましい。前記アルキル基の水素原子の一部が水酸基に置換されていてもよい。
【0014】
四級アンモニウム塩化合物(i)として、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩が挙げられる。又、四級アンモニウム塩化合物(ii)として、アルキルジポリオキシエチルメチルアンモニウム塩及びジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩が挙げられる。ジアルキルジメチルアンモニウム塩として、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられ、具体的に、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のリポカード(商標)210-80E等が市販されている。アルキルトリメチルアンモニウム塩として、ベヘントリモニウムクロリドなどが挙げられ、具体的に、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製のリポカード(商標)22-80等が市販されている。アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩として、具体的に、クラリアントジャパン株式会社製のプレパーゲン(商標)HYなどが市販されている。ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩として、具体的に、アークサーダジャパン株式会社製のバーダップ(商標)26等が市販されている。
【0015】
「炭素数8以上、16以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基」として、炭素数8以上、16以下の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数8以上、14以下の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数8以上、12以下の直鎖アルキル基が更に好ましい。
【0016】
より具体的には、(A)成分として、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩が好ましく、これらのアルキル基が炭素数8~14の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数8~12の直鎖アルキル基であることが更に好ましい。
【0017】
対応する塩として、塩素、臭素、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステル、炭素数1以上12以下の脂肪酸等が挙げられるが、除菌性の点で塩素、プロピオン酸、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステルが好ましい。
【0018】
本発明の除菌組成物は、(B)成分としてビグアナイド系化合物を含有する。この(B)成分は主として除菌効果に寄与する。
(B)成分として、除菌効果が認められる任意のビグアナイド系化合物を使用することができる。例えば、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、ポリアミノプロピルビグアナイド塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩等が挙げられ、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を用いることが好ましい。
【0019】
本発明の除菌組成物は、(C)成分としてノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤より選択される少なくとも一種を含有する。(C)成分は有機汚れが存在する場合の除菌に寄与すると考えられる。
【0020】
(C)成分がノニオン界面活性剤の場合、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸-N-メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド)又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレートなどが挙げられる。これらの中でも有機汚れにおける細菌及び真菌に対する除菌性が良好なことから、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのポリアルキレンオキサイド付加物が好ましく、下記の一般式(1)で表される非イオン界面活性剤がより好ましい:
【0021】
R1-(OC2H4)n-(OC3H6)m-OH (1)
(式中、R1は、炭素数8以上、18以下の脂肪族炭化水素基を表し、nは、1以上、20以下の数を表し、mは、0以上、12以下の数を表す。)
【0022】
一般式(1)のR1は、炭素数8以上、18以下の脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を表し、こうした基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖オクチル基、直鎖又は分岐鎖ノニル基、直鎖又は分岐鎖デシル基、直鎖又は分岐鎖ドデシル基、直鎖又は分岐鎖トリデシル基、直鎖又は分岐鎖イソトリデシル基、直鎖又は分岐鎖テトラデシル基、直鎖又は分岐鎖ペンタデシル基、直鎖又は分岐鎖ヘキサデシル基、直鎖又は分岐鎖ペプタデシル基、直鎖又は分岐鎖オクタデシル基などのアルキル基;直鎖又は分岐鎖デセニル基、直鎖又は分岐鎖ぺンタデセニル基、直鎖又は分岐鎖オクタデセニル基などのアルケニル基が挙げられる。これらの中でも有機汚れにおける細菌及び真菌の除菌性が優れることから、炭素数8以上、18の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数10以上、14の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基がより好ましい。
【0023】
一般式(1)中のnは、1以上、20以下の数であるが、3以上、18以下の数が好ましく、5以上、15以下の数がより好ましい。mは、0以上、12以下の数であるが、1以上、10以下の数が好ましく、3以上、9以下の数がより好ましい。
また、前記nの平均値は、2以上、19以下が好ましく、3以上、18以下がより好ましく、5以上、15以下が更に好ましい。前記mの平均値は、0以上、11以下が好ましく、1以上、10以下がより好ましく、3以上、9以下が更に好ましい。
【0024】
また、(C)成分は、一般式(1)のR1が炭素数8以上、18以下、好ましくは炭素数10以上、16以下、より好ましくは炭素数12以上、14以下の分岐鎖のアルキル基であるアルコールアルコキシレートであってよい。
前記アルコールアルコキシレートは2級アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのいずれか又は両方を付加して得られるため、一般式(1)のR1が炭素数8以上、18以下、好ましくは炭素数10以上、16以下、より好ましくは炭素数12以上、14以下の2級アルコールから水酸基を除いた残基であってもよい。このとき、nは3以上、18以下の数が好ましく、mは3以上、9以下の数が好ましく、nの平均値は3以上、18以下が好ましく、mの平均値は3以上、9以下が好ましい。
【0025】
(C)成分が両性界面活性剤である場合、例えば、アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、スルホベタイン、アルキルアミノ(モノ又はジ)プロピオン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn-(3-アミノプロピル)C10~16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルβアラニン、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ジアミンのオキシエチレン付加型界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましく、炭素数10以上、16以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましく、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが更に好ましい。
【0026】
上記(A)~(C)成分は、それぞれ単一の成分であってもよく、複数の成分を組み合わせてもよい。
【0027】
本発明の除菌剤組成物は、(D)成分として水を含有する。水としては、水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。
本発明の(D)の水は、上記(A)~(C)成分の合計量に対する残部、あるいは(A)成分~(C)成分、及び他の任意成分の合計量に対する残部となる。
【0028】
(A)成分の除菌剤組成物中の濃度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、除菌剤組成物の製品としての経済性、流通性及び貯蔵安定性の観点から、除菌剤組成物全量に対して10質量%以上、50質量%以下が好ましく、15質量%以上、40質量%以下がより好ましく、20質量%以上、38質量%以下が更に好ましい。
【0029】
(B)成分の除菌剤組成物中の濃度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、除菌剤組成物の製品としての経済性、及び貯蔵安定性の観点から、除菌剤組成物全量に対して0.05質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上、2質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上、0.8質量%以下が更に好ましい。
【0030】
(C)成分の除菌剤組成物中の濃度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、除菌剤組成物の製品としての経済性及び貯蔵安定性の観点から、除菌剤組成物全量に対して0.5質量%以上、20質量%以下が好ましく、1質量%以上、10質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上、10質量%以下が更に好ましい。
【0031】
本発明の除菌剤組成物の(A)成分と(B)成分の質量比は、(A)/(B)の値が10以上、200以下でなければならず、好ましくは20以上、180以下、より好ましくは30以上、180以下、更に好ましくは50以上、150以下、最も好ましくは80以上、150以下である。(A)/(B)の値が10未満であると、すすぎ性及び除菌剤組成物の安定性が十分でなく、200より大きいと除菌性が悪くなる場合がある。
【0032】
本発明の除菌剤組成物は、上記の(A)~(D)成分に加えて、(E)成分としてイソチアゾリン系化合物を含有することができる。(E)成分はカチオン性耐性菌に対して優れた抗菌性を示す。
イソチアゾリン系化合物として、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4-クロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。これらの中でも、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが好ましい。
【0033】
(E)成分の除菌剤組成物中の濃度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、除菌剤組成物の製品としての経済性及び流通性の観点から、除菌剤組成物全量に対して0.01質量%以上、10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上、2質量%以下が更に好ましい。
【0034】
本発明の除菌剤組成物には、必要に応じて更に、pH調整剤、グリコール系溶剤及び/又はグリコールエーテル系溶剤、キレート剤、色素、他の除菌剤、消泡剤、香料、腐食抑制剤、天然抽出物、増粘剤、酵素等を配合することができる。
【0035】
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N-ジエチルイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、2-メチルピペラジン、トランス2,5-ジメチルピペラジン、シス-2,6-ジメチルピペラジン等のアルカリ類、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸類が挙げられる。
【0036】
前記グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
【0037】
また、グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、グルタミン酸二酢酸、アスパラギン酸二酢酸、β-アラニン二酢酸、セリン二酢酸、トリポリリン酸や、これらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0039】
色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。他の除菌剤としては、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム、ε-ポリリジン、ポリ-γ-グルタミン酸、ナイシン等が挙げられる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、高級アルコール系消泡剤等が挙げられる。香料としては、例えば、天然香料、合成香料、又はこれらの調合香料等が挙げられる。腐食抑制剤としては、例えば、短鎖のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸などのポリカルボン酸、リン酸エステル、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールもしくはメルカプトベンゾチアゾールなどのトリアゾール類、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸などのようなホスホン酸、アジピン酸、グルタル酸、又はコハク酸等が挙げられる。天然抽出物としては、例えば、アサ科植物、アカネ科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、カキノキ科植物、キク科植物、シソ科植物、ショウガ科植物、ツバキ科植物、ナス科植物、ヒノキ科植物、フトモモ科植物、ブドウ科植物、マメ科植物、ミカン科植物、ユリ科植物等の植物由来の天然抽出物や、リゾチーム、しらこ蛋白抽出物等の動物由来の天然抽出物等が挙げられる。増粘剤としては、例えばカラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン等が挙げられる。酵素としては、例えば、リパーゼ、アルカリアミラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ等が挙げられる。
【0040】
本発明の除菌剤組成物のpHは、金属腐食防止性の観点から4以上、11.5以下であることが好ましく、6以上、8以下がより好ましい。
【0041】
本発明の除菌剤組成物を用いる除菌方法において、上記の除菌剤組成物をそのまま除菌液として用いることもでき、水又はお湯で2倍以上、1000倍以下に希釈した除菌液を調製して使用することも可能である。ここでの水又はお湯は本発明の液体除菌洗浄剤組成物の(D)成分と同じ水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水又は蒸留水を用いることができる。
【0042】
本発明の除菌剤組成物を希釈した除菌液中の(A)成分は、通常、除菌液の全質量に対して、0.01質量%以上、10質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上、1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の除菌剤組成物を希釈した除菌液中の(B)成分は、通常、除菌液の全質量に対して、0.00005質量%以上、1質量%以下であることが好ましく、0.0001質量%以上、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.0003質量%以上、0.03質量%以下であることが特に好ましい。
【0043】
本発明の除菌剤組成物を希釈した除菌液中の(C)成分は、通常、除菌液の全質量に対して、0.0005質量%以上、4質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上、0.4質量%以下であることがより好ましく、0.003質量%以上、0.03質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の液体除菌洗浄剤組成物を希釈した除菌液中の(E)成分は、通常、除菌液の全質量に対して、0.00001質量%以上、2質量%以下であることが好ましく、0.00002質量%以上、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.0003質量%以上、0.06質量%以下であることが特に好ましい。
【0044】
本発明の除菌剤組成物は、食品工場におけるベルトコンベア等の設備、厨房、医療施設等で使用する設備や器具等に直接接触させて使用される。
本発明の除菌剤組成物による除菌方法を行う際の温度は、除菌剤組成物又は除菌剤組成物を含む除菌液を0℃~90℃に調整する。
本発明の除菌方法は、除菌液を被除菌体に発泡洗浄機(スプレーガン)などを用いて噴霧したり、除菌液に被除菌体を浸漬したりする方法を採用することができる。噴霧後又は浸漬後は水ですすぐなどして除菌剤組成物を除去することが好ましい。噴霧時間や浸漬時間は、微生物の種類や量、有機汚れあるいは無機汚れの種類や量、除菌液の濃度等によって適宜選択することができる。
本発明の除菌剤組成物は、有機汚れが存在する被除菌体に対して特に有効である。
【実施例0045】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載がない限り質量%を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。また、アルキル基の表記について、例えば、アルキル(C8~18)と表記されている場合、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有する混合物を表す。
【0046】
(A)成分
A-1:オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド
A-2:ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド
A-3:ジデシルメチルポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネート
A-4:ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート
A-5:ビスアルカノイル(3-アミノプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド
A-6:アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド(クラリアント・
ジャパン社製、製品名「プレパーゲン(商標)HY」)
A-7:アルキル(C8~18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
【0047】
(B)成分
B-1:ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩
B-2:ポリアミノプロピルビグアナイド塩酸塩
B-3:クロルヘキシジングルコン酸塩
【0048】
(C)成分
C-1:ポリオキシエチレンアルキル(C9~11)エーテル(青木油脂工業社製、製品名「セフティカット(商標)LI-3062」)
C-2:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ADEKA社製、製品名「アデカノール(商標)BO-901」)
C-3:2級アルコール(C12~14)のアルキレンオキサイド付加物1(日本触媒社製、製品名「ソフタノール(商標)EP12030」、エチレンオキシドの平均付加モル数12、プロピレンオキシドの平均付加モル数3をブロック重合したもの)
C-4:2級アルコール(C12~14)のアルキレンオキサイド付加物2(日本触媒社製、製品名「ソフタノール(商標)EP7085」、エチレンオキシドの平均付加モル数7、プロピレンオキシドの平均付加モル数8.5をブロック重合したもの)
C-5:ドデシルジメチルアミンオキシド(クラリアント・ジャパン社製、製品名「ゲナミノックス(商標)K-12」)
C-6:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(ADEKA社製、製品名「アデカソール(商
標)COA」)
C-7:ラウリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物(ミヨシ油脂社製、製品名「ペレテックス(商標)PC-2465」)
C-8:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(花王社製、製品名「アンヒトール(商標)24B」)
【0049】
(D)成分
D-1:水道水
【0050】
(E)成分
E-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン
E-2:2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン
E-3:2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン
【0051】
(F)その他成分
F-1:エチレングリコール
F-2:プロピレングリコール
F-3:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩
F-3:塩酸
F-4:水酸化ナトリウム
【0052】
各実施例の組成物は、(D)成分の水を組成物の合計が100質量%となるように混合槽に加え、次いで(A)成分、(B)成分、(C)成分(必要に応じて(E)成分、(F)成分)を混合槽中に配合し、十分に混合撹拌して調製した。
【0053】
実施例1~40、比較例1~6
表1~表5に示す除菌剤組成物を調製した。各除菌剤組成物を用いて、除菌性、金属腐食防止性、すすぎ性、貯蔵安定性を測定した。表1~4に実施例1~40の結果を、表5に比較例1~6の結果をそれぞれ示す。
【0054】
※1:pHの測定方法
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れる。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
各除菌剤組成物を100mLビーカーに充填し、恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、組成物のpHを測定した。
【0055】
※2:除菌性試験(一般細菌:汚れなし)
供試菌株として、大腸菌(Escherichia coli)(NBRC3972)を用いた。
【0056】
2-1:菌株の培養
大腸菌はSCD寒天培地(日水製薬品)に塗抹し、37℃で24時間培養後、コロニーを掻き取り、それぞれ滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
【0057】
2-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0058】
2-3:除菌性試験(一般細菌:汚れなし)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×108(CFU/mL)となるように各菌懸濁液0.1mLを添加し、25℃にて5分間接触させたものを試験液とした。各試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をSCD寒天培地にて混和固化後、37℃で2日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0059】
評価基準:
◎:供試菌のLog reductionが4以上
○:供試菌のLog reductionが2以上、4未満
△:供試菌のLog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のLog reductionが1未満
【0060】
※3:除菌性試験(一般細菌:汚れあり)
供試菌株として、大腸菌(Escherichia coli)(NBRC3972)を用いた。
【0061】
3-1:菌株の培養
大腸菌はSCD寒天培地(日水製薬品)に塗抹し、37℃で24時間培養後、コロニーを掻き取り、汚れとして酵母エキス(塩谷エムエス社製、製品名「粉末酵母エキスD-3H」)を2質量%および大豆油(富士フィルム和光純薬、1級)を2質量%含有した滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
【0062】
3-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0063】
3-3:除菌性試験(一般細菌:汚れあり)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×108(CFU/mL)となるように各菌懸濁液0.1mLを添加し、25℃にて5分間接触させたものを試験液とした。各試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をSCD寒天培地にて混和固化後、37℃で2日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0064】
評価基準:
◎:供試菌のLog reductionが4以上
○:供試菌のLog reductionが2以上、4未満
△:供試菌のLog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のLog reductionが1未満
【0065】
※4:除菌性試験(陽イオン界面活性剤抵抗性菌:汚れなし)
供試菌株として、陽イオン界面活性剤に抵抗性を示すセラチアマルセッセンス(Seratia marcescens)(現場分離菌)を用いた。
【0066】
4-1:菌株の培養
セラチアマルセッセンスは陽イオン界面活性剤を含有した寒天培地に塗抹し、30℃で24時間間培養後、コロニーを掻き取り、それぞれ滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
【0067】
4-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0068】
4-3:除菌性試験(陽イオン界面活性剤抵抗性菌:汚れなし)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×108(CFU/mL)となるように各菌懸濁液0.1mLを添加し、25℃にて24時間接触させたものを試験液とした。各試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をSCD寒天培地(日水製薬品)にて混和固化後、30℃で2日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0069】
評価基準:
◎:供試菌のLog reductionが4以上
○:供試菌のLog reductionが2以上、4未満
△:供試菌のLog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のLog reductionが1未満
【0070】
※5:除菌性試験(陽イオン界面活性剤抵抗性菌:汚れあり)
供試菌株として、陽イオン界面活性剤に抵抗性を示すセラチアマルセッセンス(Seratia marcescens)(現場分離菌)を用いた。
【0071】
5-1:菌株の培養
セラチアマルセッセンスは陽イオン界面活性剤を含有した寒天培地に塗抹し、30℃で24時間間培養後、コロニーを掻き取り、それぞれを汚れとして酵母エキス(塩谷エムエス社製、製品名「粉末酵母エキスD-3H」)を2質量%および大豆油(富士フィルム和光純薬、1級)を2質量%含有した滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
【0072】
5-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0073】
5-3:除菌性試験(陽イオン界面活性剤抵抗性菌:汚れあり)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×108(CFU/mL)となるように各菌懸濁液0.1mLを添加し、25℃にて24時間接触させたものを試験液とした。各試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をSCD寒天培地(日水製薬品)にて混和固化後、30℃で2日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0074】
評価基準:
◎:供試菌のLog reductionが4以上
○:供試菌のLog reductionが2以上、4未満
△:供試菌のLog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のLog reductionが1未満
【0075】
※6:除菌性試験(カビ胞子:汚れなし)
供試菌株として、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)(IFO9455)を用いた。
【0076】
6-1:胞子懸濁液の調整(アスペルギルスニガー)
供試カビをPDA寒天培地(日水製薬品)に塗抹し、25℃で培養し、培養後、顕微鏡観察にて胞子が十分に形成されていることを確認した。平板培地上に滅菌済み0.05%Tween20添加生理食塩水を10mL入れ、コロニーを掻き取り懸濁液を収集した。収集した懸濁液は滅菌済みガーゼを通して不要な菌糸を取り除いた後、10000rpmで、4℃、15分間の条件で遠心洗浄を3回実施し、遠心後、滅菌済み0.05%Tween20添加生理食塩水を適量加え、2.0~9.0×108CFU/mL程度になるように菌数を調製し、胞子懸濁液とした。
【0077】
6-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0078】
6-3:除菌性試験(カビ胞子:汚れなし)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×105(CFU/mL)となるように胞子懸濁液0.1mLを添加し、除菌洗浄液と胞子懸濁液とを25℃にて30分間接触させたものを試験液とした。この試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をPDA寒天培地にて混和固化し、37℃で4日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0079】
評価基準:
◎:供試菌のlog reductionが3以上
○:供試菌のlog reductionが2以上、3未満
△:供試菌のlog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のlog reductionが1未満
【0080】
※7:除菌性試験(カビ胞子:汚れあり)
供試菌株として、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)(IFO9455)を用いた。
【0081】
7-1:胞子懸濁液の調整(アスペルギルスニガー)
供試カビをPDA寒天培地(日水製薬品)に塗抹し、25℃で培養し、培養後、顕微鏡観察にて胞子が十分に形成されていることを確認した。平板培地上に滅菌済み0.05%Tween20添加生理食塩水を10mL入れ、コロニーを掻き取り懸濁液を収集した。収集した懸濁液は滅菌済みガーゼを通して不要な菌糸を取り除いた後、10000rpmで、4℃、15分間の条件で遠心洗浄を3回実施し、遠心後、滅菌済み0.05%Tween20と、汚れとして酵母エキス(塩谷エムエス社製、製品名「粉末酵母エキスD-3H」)を2質量%および大豆油(富士フィルム和光純薬、1級)を2質量%添加した生理食塩水を適量加え、2.0~9.0×108CFU/mL程度になるように菌数を調製し、胞子懸濁液とした。
【0082】
7-2:滅菌中和液の調整
大豆レシチンを10g、Tween80を30g、L-ヒスチジンを1g、チオ硫酸ナトリウムを20g、1Lの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却をおこなった。その後、スクリューキャップ付き試験管に各9mL分注し、高圧殺菌(121℃、20分間)をおこない、滅菌中和溶液とした。
【0083】
7-3:除菌性試験(カビ胞子:汚れあり)
試験方法:
各除菌剤組成物をイオン交換水で0.25質量%に希釈して調製した除菌洗浄液10mLに、終濃度1.5~5.0×105(CFU/mL)となるように胞子懸濁液0.1mLを添加し、除菌洗浄液と胞子懸濁液とを25℃にて30分間接触させたものを試験液とした。この試験液1mLを、滅菌中和溶液に加え、よく攪拌した。混合液をPDA寒天培地にて混和固化し、37℃で4日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で除菌性を評価した。△、○、◎の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0084】
評価基準:
◎:供試菌のlog reductionが3以上
○:供試菌のlog reductionが2以上、3未満
△:供試菌のlog reductionが1以上、2未満
×:供試菌のlog reductionが1未満
【0085】
※8:洗浄性試験
試験方法:
ステンレス板(SUS304、縦75mm×横25mm×厚さ1mm)の片面に油 (牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン酸グリセリド0.25g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mlに溶解したもの)を塗布し、25℃で1~2時間乾燥させたものを試験片として重量を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2゜DH]の硬水で、各除菌剤組成物の3重量%に希釈して調整した水溶液100mLに浸漬し、25℃で5分間放置した後、イオン交換水ですすぎ、自然乾燥させた後、重量を測定した。洗浄前の試験片と、油塗布前のステンレス板との質量差を汚れ付着量とし、洗浄前後の試験片の質量変化から洗浄率を下記式(1)より算出し、以下の評価基準で洗浄性を評価した。
【0086】
洗浄率(%)={(洗浄前試験片質量-洗浄後試験片質量)/(汚れ付着量)}×100・・・(1)
評価基準:
◎:洗浄率80%以上
○:洗浄率60%以上、80%未満
△:洗浄率40%以上、60%未満
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0087】
※9:金属腐食防止性試験(アルミニウム)
試験方法:
試験片[アルミニウム(A5052P)、縦50mm×横30mm×厚さ2mm]は、予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを使用する。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各除菌剤組成物を0.25質量%に希釈した洗浄液60mLを70mL容量の蓋付ガラス瓶に入れ、その中に試験片を浸漬し、25℃の恒温器内で30分間保存した。その後、試験片を取り出し、イオン交換水にてすすぎ、乾燥させて、試験片表面の外観状態を目視により観察し、下記基準で腐食性を判定した。
【0088】
評価基準:
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題はない
×:腐食した
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0089】
※10:すすぎ性試験
試験方法:
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各除菌剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910N PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させ、ステンレス製ボックス[ステンレス(SUS304)]の下部(縦500mm、横幅700mm)に20秒間噴霧し、一分経過後に炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水ですすぎ(シャワーノズル)を行い、ステンレス製ボックス下部中央の排水口(直径50mm、内部に40メッシュのポリエチレン網あり)周辺から泡が消えるまでのすすぎ時間について以下の基準で判定した。
【0090】
評価基準:
〇:240秒未満
△:240秒以上、480秒未満
×:480秒以上
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0091】
※11:貯蔵安定性試験
試験方法:
各除菌剤組成物100gをポリプロピレン製容器に入れ、-5℃、25℃、40℃で1ヶ月静置した後に外観を観察した。
【0092】
評価基準:
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はなく、若干の濁りが見られるが、使用上問題はない
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】