(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030440
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ヘッド調整装置、ヘッド装置及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240229BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 451
B41J2/17 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133349
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】増沢 智成
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB07
2C056EB36
2C056FA02
2C056FA13
2C056HA07
2C056HA11
2C056HA52
2C056HA60
2C056JB05
2C056JB15
2C056JC29
(57)【要約】
【課題】ヘッドからの液漏れへの対策が実現される、ヘッド調整装置、ヘッド装置及び液体吐出装置を提供する。
【解決手段】ヘッド調整装置(100)は、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材を操作する工具部材(106)、工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニット(160)、操作部材の形状を認識する光学センサ(150)、光学センサの検出面(150A)を覆うセンサカバー(132)及び光学センサの検出面を開放する開放位置と検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、センサカバーを移動させ、工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニット(134)を備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のヘッドモジュールを備えたヘッドにおいて、前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置であって、
前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、前記ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、
前記操作部材に対して前記工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、
前記操作部材の形状を認識する光学センサと、
前記光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、
前記光学センサの検出面を開放する開放位置と前記検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、前記センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、前記工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、
を備えたヘッド調整装置。
【請求項2】
前記センサカバーの前記光学センサと対向する面の反対側の液受面へ付着した液体が集められる廃液流路を備えた請求項1に記載のヘッド調整装置。
【請求項3】
前記廃液流路は、前記センサカバーの移動方向と交差する方向における端に配置される請求項2に記載のヘッド調整装置。
【請求項4】
前記センサカバーは、前記液受面が、前記液受面から前記廃液流路へ向けて前記液体が流れる傾斜を有する請求項2に記載のヘッド調整装置。
【請求項5】
前記廃液流路は、外部へ向けて液体が流れる向きに傾斜する構造を有する請求項2に記載のヘッド調整装置。
【請求項6】
前記工具部材の位置に対応する位置に工具開口が形成され、かつ、前記光学センサの前記検出面に対応する位置にセンサ開口が形成される面を有する本体カバーを備えた請求項1に記載のヘッド調整装置。
【請求項7】
前記工具移動ユニットを覆う工具移動ユニットカバーを備えた請求項1に記載のヘッド調整装置。
【請求項8】
前記工具移動ユニットカバーは、前記工具部材が突出する面である上面が、端へ向けて液体が流れる向きに傾斜する構造を有する請求項7に記載のヘッド調整装置。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムが記憶される1つ以上のメモリと、
を備え、
前記1つ以上のプロセッサは、前記プログラムの命令を実行して、
前記センサカバー移動ユニットを動作させて、前記工具部材が前記操作部材へ向かう向きへ移動する場合に、前記遮蔽位置から前記開放位置へ向けて前記センサカバーを移動させ、前記工具部材が前記操作部材から離れる向きへ移動する場合に、前記開放位置から前記遮蔽位置へ前記センサカバーを移動させる請求項1から8のいずれか一項に記載のヘッド調整装置。
【請求項10】
1つ以上のヘッドモジュールを備えたヘッドと、
前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置と、
を備え、
前記ヘッド調整装置は、
前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、前記ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、
前記操作部材に対して前記工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、
前記操作部材の形状を認識する光学センサと、
前記光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、
前記光学センサの検出面を開放する開放位置と前記検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、前記センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、前記工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、
を備えたヘッド装置。
【請求項11】
1つ以上のヘッドモジュールを備えた液体吐出ヘッドと、
前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置と、
を備え、
前記ヘッド調整装置は、
前記ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、前記ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、
前記操作部材に対して前記工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、
前記操作部材の形状を認識する光学センサと、
前記光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、
前記光学センサの検出面を開放する開放位置と前記検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、前記センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、前記工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、
を備えた液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッド調整装置、ヘッド装置及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像の印刷装置としてインクジェット方式の印刷装置が普及している。インクジェット印刷装置に具備されるインクジェットヘッドとして、複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせた構造が知られている。複数のヘッドモジュールをつなぎ合わせたインクジェットヘッドは、各ヘッドモジュールが正確につながれていない場合、印刷された画像はスジ及びムラ等の画像欠陥を生じるおそれがある。そこで、複数のヘッドモジュールの位置を調整する構造が必要となる。なお、ヘッドモジュールを1つだけ備える場合であっても、スジ及びムラ等の画像欠陥の回避を目的として、ヘッドモジュールの位置の調整が実施される。
【0003】
特許文献1は、キャリッジに備えられた印刷ヘッドの位置を自動調整するヘッド調整駆動部が具備される印刷装置が記載される。同文献に記載の印刷ヘッドは、ノズル列が設けられる面と反対側の面を、回転ベースユニット及びスライドベースユニットを用いて固定される。回転ベースユニットは、印刷用紙の平面に対して平行な面内において、印刷ヘッドを回転させる。スライドベースユニットは、印刷用紙の平面に対して平行な面内において、印刷ヘッドをスライド移動させる。
【0004】
特許文献2は、複数のインクジェットヘッドが具備されるインクジェットヘッドユニットを備える印刷装置が記載される。同文献に記載の印刷装置は、インクジェットヘッドユニットの調整に利用される調整ヘッドユニットを備える。調整ヘッドユニットは、インクジェットヘッドのX方向の位置、X方向に対する傾きの少なくともいずれかを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-136555号公報
【特許文献2】特開2009-285899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリントヘッドの位置調整を行う際に操作される調整部品が、ノズル開口が形成される側の面に配置されている場合、プリントヘッドの位置の自動調整を行う調整装置は、プリントヘッドのノズル開口が形成される面と対向する位置へ配置される。そうすると、何らかの理由に起因してプリントヘッドから液漏れが発生した場合、ヘッドから漏れ出した液が調整装置へ垂れる懸念がある。
【0007】
調整装置がプリントヘッドの位置を検出するレーザセンサを備える場合、調整装置はレーザ光の出射面がプリントヘッドへ向く姿勢が採用される。そうすると、プリントヘッドから漏れ出した液がレーザ光の出射面へ付着してしまい、レーザ光が遮光された結果、レーザセンサの機能を損なう恐れがある。
【0008】
特許文献1に記載のヘッド駆動部は、ノズル列が設けられる面と反対側の面の側の位置へ配置されているので、印刷ヘッドから液漏れが発生した場合であっても、印刷ヘッドから漏れ出した液が付着するという課題が存在しない。すなわち、特許文献1は印刷ヘッドからの液漏れを防止するカバーを開示していない。また、特許文献1は印刷ヘッドの位置を検出するセンサに関する開示をするものではない。
【0009】
特許文献2に記載の調整装置は、特許文献1に記載とヘッド調整部と同様に、プリントヘッドからの液漏れに起因する調整装置への液の付着という課題が存在していない。すなわち、特許文献2はプリントヘッドからの液漏れを防止するカバーを開示していない。また、特許文献2はプリントヘッドの位置を検出するセンサに関する開示をするものではない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ヘッドからの液漏れへの対策が実現される、ヘッド調整装置、ヘッド装置及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様に係るヘッド調整装置は、1つ以上のヘッドモジュールを備えたヘッドにおいて、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置であって、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、操作部材に対して工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、操作部材の形状を認識する光学センサと、光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、光学センサの検出面を開放する開放位置と検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、を備えたヘッド調整装置である。
【0012】
第1態様によれば、工具部材の移動に連動して光学センサの検出面をカバーするセンサカバーを移動させる。これにより、工具部材が使用されない場合に光学センサの検出面を遮蔽することができ、ヘッドからの液漏れに対して、光学センサの検出面が保護される。
【0013】
ヘッドはヘッドモジュールを1つだけ備えてもよいし、複数のヘッドモジュールを備えてもよい。複数のヘッドモジュールを備える場合、複数のヘッドモジュールは第1方向に沿って並べられる。
【0014】
第2態様に係るヘッド調整装置は、第1態様のヘッド調整装置において、センサカバーの光学センサと対向する面の反対側の液受面へ付着した液体が集められる廃液流路を備えてもよい。
【0015】
第2態様によれば、センサカバーへ付着した液体を廃液流路へ排出し得る。
【0016】
第3態様に係るヘッド調整装置は、第2態様のヘッド調整装置において、廃液流路は、センサカバーの移動方向と交差する方向における端に配置されてもよい。
【0017】
第3態様によれば、センサカバーへ付着した液体が、センサカバーの移動方向と交差する方向へ向けて流れる。これにより、センサカバーへ付着した液体の光学センサへ向く流れを回避し得る。
【0018】
第4態様に係るヘッド調整装置は、第2態様又は第3態様のヘッド調整装置において、センサカバーは、液受面が、液受面から廃液流路へ向けて液体が流れる傾斜を有してもよい。
【0019】
第4態様によれば、センサカバーへ付着した液体が、廃液流路へ向けて自然落下し得る。
【0020】
第5態様に係るヘッド調整装置は、第2態様から第4態様のいずれか一態様のヘッド調整装置において、廃液流路は、外部へ向けて液体が流れる向きに傾斜する構造を有してもよい。
【0021】
第5態様によれば、廃液流路へ集められた液体が外部へ向けて自然落下し得る。
【0022】
第6態様に係るヘッド調整装置は、第1態様から第5態様のいずれか一態様のヘッド調整装置において、工具部材の位置に対応する位置に工具開口が形成され、かつ、光学センサの検出面に対応する位置にセンサ開口が形成される面を有する本体カバーを備えてもよい。
【0023】
第6態様によれば、ヘッド調整装置の内部に配置される部品を保護し得る。
【0024】
第7態様に係るヘッド調整装置は、第1態様から第6態様のいずれか一態様のヘッド調整装置において、工具移動ユニットを覆う工具移動ユニットカバーを備えてもよい。
【0025】
第7態様によれば、ヘッドから漏れ出した液体の工具移動ユニットへの付着を抑制し得る。
【0026】
第8態様に係るヘッド調整装置は、第7態様のヘッド調整装置において、工具移動ユニットカバーは、工具部材が突出する面である上面が、端へ向けて液体が流れる向きに傾斜する構造を有してもよい。
【0027】
第8態様によれば、工具移動ユニットカバーへ付着した液体を、ヘッド調整装置の端へ流すことができる。
【0028】
第9態様に係るヘッド調整装置は、第1態様から第8態様のいずれか一態様のヘッド調整装置において、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムが記憶される1つ以上のメモリと、を備え、1つ以上のプロセッサは、プログラムの命令を実行して、センサカバー移動ユニットを動作させて、工具部材が操作部材へ向かう向きへ移動する場合に、遮蔽位置から開放位置へ向けてセンサカバーを移動させ、工具部材が操作部材から離れる向きへ移動する場合に、開放位置から遮蔽位置へセンサカバーを移動させてもよい。
【0029】
第9態様によれば、工具部材を用いて操作部材が操作される場合に光学センサの検出面が開放され、光学センサを使用し得る。一方、工具部材を用いて操作部材が操作されない場合に光学センサの検出面が遮蔽され、光学センサを保護し得る。
【0030】
第10態様に係るヘッド装置は、1つ以上のヘッドモジュールを備えたヘッドと、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置と、を備え、ヘッド調整装置は、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、操作部材に対して工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、操作部材の形状を認識する光学センサと、光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、光学センサの検出面を開放する開放位置と検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、を備えたヘッド装置である。
【0031】
第10態様に係るヘッド装置によれば、第1態様に係るヘッド調整装置と同様の効果を得ることができる。
【0032】
第10態様において、第2態様から第9態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、ヘッド調整装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担うヘッド装置の構成要素として把握することができる。
【0033】
第11態様に係る液体吐出装置は、1つ以上のヘッドモジュールを備えた液体吐出ヘッドと、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整するヘッド調整装置と、を備え、ヘッド調整装置は、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材であり、ヘッドモジュールに具備される操作部材を操作する工具部材と、操作部材に対して工具部材を移動自在に支持する工具移動ユニットと、操作部材の形状を認識する光学センサと、光学センサの検出面を覆うセンサカバーと、光学センサの検出面を開放する開放位置と検出面を遮蔽する遮蔽位置との間を、センサカバーを移動させるセンサカバー移動ユニットであり、工具移動ユニットと連結されるセンサカバー移動ユニットと、を備えた液体吐出装置である。
【0034】
第11態様に係る液体吐出装置によれば、第1態様に係るヘッド調整装置と同様の効果を得ることができる。
【0035】
第11態様において、第2態様から第9態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、ヘッド調整装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う印刷装置の構成要素として把握することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、工具部材の移動に連動して光学センサの検出面をカバーするセンサカバーを移動させる。これにより、工具部材が使用されない場合に光学センサの検出面を遮蔽することができ、ヘッドからの液漏れに対して、光学センサの検出面が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1はプリントバーユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2はプリントヘッドの取付け構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4はプリントバーユニットとヘッド調整装置と位置関係を示す斜視図である。
【
図6】
図6はプリントヘッドの調整前後の印刷スジムラの状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は実施形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【
図8】
図8は
図7に示すインクジェット印刷装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は
図8に示すメンテナンス制御部の機能ブロック図である。
【
図10】
図10は
図7に示すインクジェット印刷装置の電気的構成ハードウェア構成の例を概略的に示すブロック図である。
【
図11】
図11は実施形態に係るヘッド調整装置の斜視図である。
【
図12】
図12は
図11に示すヘッド調整装置の内部構造を示す斜視図であり、ヘッド調整装置を正面から見た図である。
【
図13】
図13は
図11に示すヘッド調整装置の内部構造を示す斜視図であり、ヘッド調整装置を側面から見た図である。
【
図14】
図14はヘッド調整装置の構成例を示す模式図である。
【
図15】
図15はプリントヘッド調整方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0039】
[プリントバーユニットの構成例]
図1はプリントバーユニットの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すプリントバーユニット10は、複数のプリントヘッド20を用紙幅方向に繋ぎ合わせた構造を有する。複数のプリントヘッド20は、バーフレーム29を用いて支持され、固定される。複数のプリントヘッド20のそれぞれは、用紙幅方向における配置間隔を調整する位置調整機構を備える。プリントヘッド20間の間隔を調整して、印刷物のスジ及びムラ等が補正される。なお、実施形態に記載のプリントバーユニット10は、1つ以上のヘッドモジュールを備えたヘッドの一例であり、液体吐出ヘッドの一例である。実施形態に記載のプリントヘッド20はヘッドモジュールの一例である。
【0040】
プリントバーユニット10は、複数のプリントヘッド20のそれぞれに供給されるインクが一時的に貯留されるインクマニホールドを備える。インクマニホールド及びインク流路等はカバー31を用いて覆われる。
【0041】
ここで、用紙幅方向は用紙搬送方向と直交する方向であり、用紙の紙面と平行となる方向を示す。以下の説明において、用紙幅方向は符号Xを用いることがある。また、用紙搬送方向は符号Yを用いることがある。鉛直方向は符号Zを用いることがある。
【0042】
なお、本明細書における平行という用語は、二方向が厳密には平行でなくても、平行と同様の作用効果を得ることができる実質的な平行が含まれ得る。また、直交という用語は二方向が厳密には直交していなくても、直交と同様の作用効果を得ることができる実質的な直交が含まれる。
【0043】
図2はプリントヘッドの取付け構造を示す斜視図である。
図2には、
図1に示すプリントバーユニット10をノズル面の側から見た図であり、
図1に示すプリントバーユニット10の一部を拡大した一部拡大図である。
【0044】
プリントヘッド20のノズル面21に対して平行となる面は、プリントヘッド20の用紙幅方向における位置を調整する際に操作される調整ネジが取り付けられる。後述するヘッド調整装置は、調整ネジを回してプリントヘッド20の用紙幅方向の位置を調整する。なお、調整ネジは符号36を用いて
図5に図示する。
【0045】
図3はプリントヘッドの斜視図である。プリントヘッド20は、ブラケット22の下面22Aからノズル面21が露出するようにブラケット22に取り付けられる。ノズル面21は、複数のノズル開口が配置されるノズル配置領域21Aが含まれる。複数のノズル開口の配置は2次元配置が適用される。2次元配置は、2列のジグザグ配置を適用してもよいし、マトリクス配置を適用してもよい。
【0046】
プリントヘッド20は、フレキシブル基板24が取り付けられる。フレキシブル基板24は、ノズルごとの圧力発生素子へ供給される駆動電圧を伝送する配線パターンが形成される。
【0047】
プリントヘッド20は、供給チューブ26及び循環チューブ28が接続される。供給チューブ26は、供給タンクからプリントヘッド20へ供給されるインクの流路である。循環チューブ28は、プリントヘッド20から供給タンクへインクを循環させる際の流路である。なお、
図3では、供給タンクの図示を省略する。また、
図2では、供給チューブ26の一部及び循環チューブ28の一部を図示する。
【0048】
ブラケット22は、クランプアッセンブリ30が取り付けられる。クランプアッセンブリ30は、移動部32及び固定部34を備える。クランプアッセンブリ30は、固定部34に対して移動部32が移動自在に支持される。
【0049】
移動部32は、ブラケット22の背面が接合される構造を有し、ブラケット22の背面が接合される。ブラケット22の背面は、プリントヘッド20が取り付けられる側と反対側の面である。固定部34は、
図1に示すバーフレーム29へ取り付けられる。
【0050】
クランプアッセンブリ30は、用紙幅方向及び鉛直方向についても、固定部34の位置に対する移動部32の相対的な位置を調整する調整機構を備える。クランプアッセンブリ30は、用紙幅方向における固定部34と移動部32との相対移動の距離を検出する変位センサを備える。なお、用紙幅方向の調整機構、鉛直方向の調整機能及び変位センサの図示を省略する。
【0051】
図4はプリントバーユニットとヘッド調整装置と位置関係を示す斜視図である。なお、
図4には、
図1に示すプリントバーユニット10のプリントヘッド20の数を減らして図示する。また、
図4に示すプリントバーユニット10は、
図1に示すカバー31の図示を省略する。
【0052】
ヘッド調整装置100は、プリントバーユニット10が印刷位置とメンテナンス位置との間を移動する際に通過する移動経路の下部に配置される。プリントバーユニット10の移動経路の下部とは、プリントバーユニット10の移動経路のノズル面21が向く側の位置である。
【0053】
プリントバーユニット10は、プリントバー移動装置を用いて移動自在に支持される。プリントバーユニット10の移動方向は、プリントバーユニット10の長手方向に沿う方向である。プリントバーユニット10の長手方向とは、プリントヘッド20が並ぶ方向である。なお、
図4ではプリントバー移動装置の図示を省略する。プリントバー移動装置は、符号354を用いて
図9に図示する。
【0054】
ヘッド調整装置100は、プリントバーユニット10のノズル面21と対向するノズル対向面100Aにセンサ開口102及び工具開口104が形成される。センサ開口102は、ヘッド調整装置100の内部に具備される光学センサの検出面に対応する位置に形成される。工具開口104は、工具部材106の配置位置に対応する位置に形成される。光学センサの検出面は、光学センサに具備される受光素子の受光面及び発光素子の発光面として把握される。
【0055】
図5は
図4の一部拡大図である。なお、
図5では、本体フレーム及びカバーの図示が省略され、内部が視認される状態のヘッド調整装置100が図示される。
図5には、工具部材106であるスクリュードライバーの先端部が、クランプアッセンブリ30に具備される固定部34へ配置される調整ネジ36の溝へ挿入される状態が図示される。スクリュードライバーは、フラットヘッドスクリュードライバーでもよいし、フィリップススクリュードライバーでもよい。
【0056】
調整ネジ36は、固定部34の下面34Aに形成される穴34Bに挿入され、調整ネジ36の頭部に形成される溝が露出する。固定部34の下面34Aは、ノズル面21に対して平行となる面であり、鉛直下向きを向く面である。固定部34の下面34Aは、ヘッド調整装置100のノズル対向面100Aと対向する。なお、実施形態に記載の調整ネジ36は、ヘッドモジュールの第1方向における位置を調整する際に操作される操作部材の一例である。
【0057】
図6はプリントヘッドの調整前後の印刷スジムラの状態を示す説明図である。調整前画像I1は、用紙幅方向におけるプリントヘッド20の位置を調整する前のプリントバーユニット10を用いて印刷された画像である。調整前画像I1は、濃度値が異なる複数の種類のベタパターンを用紙搬送方向について並べた画像である。調整前画像I1では、用紙搬送方向に沿う複数のスジST等の濃度ムラが視認される。
【0058】
調整後画像I2は、用紙幅方向におけるプリントヘッド20の位置が調整されたプリントバーユニット10を用いて印刷された画像である。調整後画像I2では、調整前画像I1において視認されるスジSTが視認されない。
【0059】
[インクジェット印刷装置の構成例]
図7は実施形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。同図に示すインクジェット印刷装置200は、
図1から
図5を用いて説明したプリントバーユニット10及びヘッド調整装置100が具備される。
【0060】
インクジェット印刷装置200は、用紙搬送ユニット202、印刷ユニット204、メンテナンスユニット206及び液温調ユニット208を備える。用紙搬送ユニット202は、用紙搬送方向に沿って、用紙Sを搬送する。
図7には、用紙搬送ユニット202として、搬送ベルト220を用いて用紙Sを支持するベルト搬送方式を例示する。
【0061】
印刷ユニット204は、プリントバーユニット10C、プリントバーユニット10M、プリントバーユニット10Y及びプリントバーユニット10Kを備える。プリントバーユニット10C、プリントバーユニット10M、プリントバーユニット10Y及びプリントバーユニット10Kは、それぞれ、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを吐出させる。
【0062】
プリントバーユニット10C、プリントバーユニット10M、プリントバーユニット10Y及びプリントバーユニット10Kは、用紙搬送方向に沿って、上流側から上記の順に配置される。プリントバーユニット10C、プリントバーユニット10M、プリントバーユニット10Y及びプリントバーユニット10Kは、同一の構成を適用し得る。以下、プリントバーユニット10C等を区別する必要がない場合は、プリントバーユニット10C等を、適宜、プリントバーユニット10と記載する。
【0063】
プリントバーユニット10の吐出方式は、圧電素子のたわみ変形を利用してプリントヘッド20の内部流路のインクへ吐出圧力を付与する圧電方式を適用し得る。プリントバーユニット10の吐出方式は、ヒータ等の発熱素子を用いて内部流路のインクを加熱した際のインクの膜沸騰現象を利用して、プリントヘッド20の内部流路のインクへ吐出圧力を付与するサーマル方式を適用し得る。
【0064】
印刷ユニット204は、ライトイエローなどのプロセスカラーの濃淡インクを吐出させるプリントバーユニット10を備えてもよい。印刷ユニット204は、シアン等のプロセスカラーインクに加えて、ホワイト、クリア、オレンジ、グリーン及びパープル等の特色インクを吐出させるプリントバーユニット10を備えてもよい。
【0065】
印刷ユニット204は、インラインスキャナ224を備える。インラインスキャナ224は、用紙Sへ印刷されるテストパターンを撮影し、テストパターンの撮影データを生成する。インクジェット印刷装置200は、テストパターンの撮影データを解析して、プリントヘッド20に具備されるノズルの吐出状態を検出する。インクジェット印刷装置200は、ノズルごとの吐出状態に応じて、吐出補正を実施する。
【0066】
メンテナンスユニット206は、プリントバーユニット10Cに対応するヘッド調整装置100C、ヘッドクリーナ240C及びキャッピングユニット242Cを備える。メンテナンスユニット206は、プリントバーユニット10Mに対応するヘッド調整装置100M、ヘッドクリーナ240M及びキャッピングユニット242Mを備える。
【0067】
メンテナンスユニット206は、プリントバーユニット10Yに対応するヘッド調整装置100Y、ヘッドクリーナ240Y及びキャッピングユニット242Yを備える。メンテナンスユニット206は、プリントバーユニット10Kに対応するヘッド調整装置100K、ヘッドクリーナ240K及びキャッピングユニット242Kを備える。
【0068】
ヘッド調整装置100C、ヘッド調整装置100M、ヘッド調整装置100Y及びヘッド調整装置100Kは同一の構成が適用される。以下、ヘッド調整装置100C等を区別する必要がない場合は、ヘッド調整装置100C等を総称してヘッド調整装置100と、適宜、記載する。
【0069】
同様に、ヘッドクリーナ240C、ヘッドクリーナ240M、ヘッドクリーナ240Y及びヘッドクリーナ240Kは同一の構成が適用される。以下、ヘッドクリーナ240C等を区別する必要がない場合は、ヘッドクリーナ240C等を総称してヘッドクリーナ240と、適宜、記載する。
【0070】
また、キャッピングユニット242C、キャッピングユニット242M、キャッピングユニット242Y及びキャッピングユニット242Kは同一の構成が適用される。以下、キャッピングユニット242C等を区別する必要がない場合は、キャッピングユニット242C等を総称してキャッピングユニット242と、適宜、記載する。
【0071】
ヘッド調整装置100は、プリントバーユニット10に具備される複数のプリントヘッド20の用紙幅方向における位置を調整する。ヘッド調整装置100についての詳細は後述する。
【0072】
ヘッドクリーナ240は、プリントバーユニット10に具備される複数のプリントヘッド20のノズル面21を払拭する。ヘッドクリーナ240は、自走するウェブに対してプリントバーユニット10を相対移動させ、ノズル面21へウェブを接触させる方式を適用し得る。ウェブに対して洗浄液を含浸させてもよい。
【0073】
キャッピングユニット242は、プリントバーユニット10に具備される複数のプリントヘッド20のノズル面21をキャッピングする。キャッピングユニット242は、各プリントヘッド20の予備吐出及びインクの排出を実施する際のインク受けとして機能する。また、キャッピングユニット242を用いてキャッピングされたノズル面21は、保湿される。
【0074】
インクジェット印刷装置200は、プリントバーユニット10C、プリントバーユニット10M、プリントバーユニット10Y及びプリントバーユニット10Kを移動させるプリントバー移動装置を備える。プリントバー移動装置は、プリントバーユニット10C等の印刷位置と、プリントバーユニット10Cのメンテナンス位置との間について、プリントバーユニット10C等を移動させる。プリントバー移動装置は、プリントバーユニット10C等を一括して移動させてもよいし、プリントバーユニット10C等を個別に移動させてもよい。なお、
図7ではプリントバー移動装置の図示を省略する。プリントバー移動装置は、符号354を用いて
図9に図示する。
【0075】
液温調ユニット208は、インクタンクからプリントバーユニット10へ供給されるインクの温度を、予め設定される温度範囲を適用して調整する。液温調ユニット208は、規定の位置に配置される温度センサの検出信号に基づき、インクに対して加熱処理又は冷却処理を実施する。
【0076】
液温調ユニット208は、プリントバーユニット10Cへ供給されるインクの温度を調整する液温調ユニット208C及びプリントバーユニット10Mへ供給されるインクの温度を調整する液温調ユニット208Mを備える。また、液温調ユニット208は、プリントバーユニット10Yへ供給されるインクの温度を調整する液温調ユニット208Y及びプリントバーユニット10Kへ供給されるインクの温度を調整する液温調ユニット208Kを備える。
【0077】
[インクジェット印刷装置の電気的構成]
図8は
図7に示すインクジェット印刷装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。インクジェット印刷装置200は、システム制御部300を備える。システム制御部300は、インクジェット印刷装置200を統括制御する。システム制御部300は、メモリ302等の記憶装置に対するデータの読み出し及びデータの記憶を制御するメモリコントローラとして機能する。
【0078】
メモリ302は、インクジェット印刷装置200の制御に適用される各種のパラメータ及び各種のデータ等が記憶される。メモリ302は、各種の制御部が参照する各部の動作条件が記憶されてもよい。
【0079】
システム制御部300は、センサ304から送信されるセンサ信号を取得する。システム制御部300は、センサ信号が表す情報に基づき各種の制御部へ指令信号を送信し、各種の制御部を介して各部の動作を制御する。
【0080】
インクジェット印刷装置200は、搬送制御部310を備える。搬送制御部310は、システム制御部300から送信される指令信号に基づき、予め設定される搬送条件を適用して、用紙搬送ユニット202の動作を制御する。
【0081】
インクジェット印刷装置200は、印刷制御部312を備える。印刷制御部312は、システム制御部300から送信される指令信号に基づき、予め設定される印刷条件を適用して、印刷ユニット204の動作を制御する。
【0082】
印刷制御部312は、印刷データから印刷画像のハーフトーン画像を生成する画像処理部を備える。印刷制御部312は、ハーフトーン画像に基づくドットの配置情報及びドットサイズ情報に基づき、プリントヘッド20へ供給される駆動電圧を生成する駆動電圧生成部を備える。印刷制御部312は、プリントヘッド20へ駆動電圧を供給する駆動電圧供給回路を備える。印刷制御部312は、各種の補正処理を実施する補正処理部を備える。
【0083】
インクジェット印刷装置200は、メンテナンス制御部314を備える。メンテナンス制御部314は、システム制御部300から送信される指令信号に基づき、予め設定されるメンテナンス条件を適用して、メンテナンスユニット206の動作を制御する。
【0084】
インクジェット印刷装置200は、スキャナ制御部316を備える。スキャナ制御部316は、システム制御部300から送信される指令信号に基づき、予め設定されるスキャン条件を適用して、インラインスキャナ224の動作を制御する。スキャナ制御部316は、インラインスキャナ224から送信されるテストチャート撮影データを取得する。
【0085】
テストチャートの撮影データは、システム制御部300を介して、撮影データ処理部320へ送信される。撮影データ処理部320は、テストチャートの撮影データからノズルごとの吐出特性を導出する。印刷制御部312は、ノズルごとの吐出特性に応じた補正処理を実施し得る。
【0086】
撮影データ処理部320は、
図6に示す調整前画像I1の撮影データをインラインスキャナ224から取得し、プリントヘッド20ごとの用紙幅方向における位置のデータを生成してもよい。メンテナンス制御部314は、プリントヘッド20ごとの用紙幅方向における位置のデータに基づき、プリントヘッド20ごとの用紙幅方向における位置調整の要否を判定してもよい。撮影データ処理部320は、インクジェット印刷装置200の外部の撮影装置を用いて撮影された調整前画像I1の撮影データを取得してもよい。
【0087】
インクジェット印刷装置200は、液温調制御部318を備える。液温調制御部318は、システム制御部300から送信される指令信号に基づき、予め設定されるインクの温度条件を適用して、液温調ユニット208の動作を制御する。
【0088】
図9は
図8に示すメンテナンス制御部の機能ブロック図である。メンテナンス制御部314は、システム制御部350を備える。
図9に示すシステム制御部350は、
図8に示すシステム制御部300におけるプリントヘッド20のメンテナンスの機能に関連するブロックである。
【0089】
メンテナンス制御部314は、プリントバー移動制御部352を備える。プリントバー移動制御部352は、システム制御部350から送信される指令信号に基づき、予め設定されるプリントバーユニット10の移動条件を適用して、プリントバー移動装置354の動作を制御する。
【0090】
メンテナンス制御部314は、ヘッド調整制御部356を備える。ヘッド調整制御部356は、システム制御部350から送信される指令信号に基づき、予め設定されるヘッド調整条件を適用して、ヘッド調整装置100の動作を制御する。メンテナンス制御部314は、ヘッド情報記憶部358に記憶されるプリントヘッド20ごとの位置情報を参照して、ヘッド調整装置100の動作を制御する。ヘッド情報記憶部358は、プリントヘッド20ごとの位置情報として、最新のプリントヘッド20の位置調整の情報を記憶し得る。
【0091】
ヘッド調整制御部356は、センサ信号取得部356A、工具昇降制御部356B及び工具駆動制御部356Cを備える。センサ信号取得部356Aは、レーザセンサ150から送信される検出信号に基づき、
図5に示す調整ネジ36の形状を認識する。
【0092】
工具昇降制御部356Bは、レーザセンサ150を用いて検出される調整ネジ36の形状に基づき、工具昇降ユニット160の動作を制御して、工具部材106と調整ネジ36との位置合わせを行う。
【0093】
工具駆動制御部356Cは、プリントバーユニット10に具備されるプリントヘッド20ごとの位置を検出するヘッド位置検出センサから送信される検出信号に基づき、工具部材106を駆動する工具駆動ユニット170の動作を制御して、工具部材106を用いて調整ネジ36を回して、プリントヘッド20の用紙幅方向の位置を調整する。
【0094】
メンテナンス制御部314は、クリーナ制御部362を備える。クリーナ制御部362は、システム制御部350から送信される指令信号に基づき、予め設定されるノズル面21の払拭条件を適用して、ヘッドクリーナ240の動作を制御する。
【0095】
メンテナンス制御部314は、キャッピング制御部364を備える。キャッピング制御部364は、システム制御部350から送信される指令信号に基づき、予め設定されるキャッピング条件を適用して、キャッピングユニット242の動作を制御する。
【0096】
図9に示すメモリ366は、メンテナンス制御部314が参照する各種のパラメータ及び各種のデータが記憶される。例えば、メモリ366は、ヘッド調整条件等のメンテナンスユニット206に適用される各種の動作条件が記憶される。なお、
図9に示す各種の処理部のうち、
図8に示す各種の処理部と同一の名称を有する処理部は、適宜、両者を統合してもよい。
【0097】
図10は
図7に示すインクジェット印刷装置の電気的構成ハードウェア構成の例を概略的に示すブロック図である。インクジェット印刷装置200に具備される制御装置400は、プロセッサ402、非一時的な有体物であるコンピュータ可読媒体404、通信インターフェース406及び入出力インターフェース408を備える。
【0098】
制御装置400は、コンピュータが適用される。コンピュータの形態は、サーバであってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよく、ワークステーションであってもよく、また、タブレット端末などであってもよい。
【0099】
プロセッサ402はCPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサ402はGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。プロセッサ402は、バス410を介してコンピュータ可読媒体404、通信インターフェース406及び入出力インターフェース408と接続される。入力装置412及びディスプレイ装置414は入出力インターフェース408を介してバス410に接続される。
【0100】
コンピュータ可読媒体404は、主記憶装置であるメモリ416及び補助記憶装置であるストレージ418を含む。コンピュータ可読媒体404は、半導体メモリ、ハードディスク装置及びソリッドステートドライブ装置等を適用し得る。コンピュータ可読媒体404は、複数のデバイスの任意の組み合わせを適用し得る。
【0101】
なお、ハードディスク装置は、英語表記のHard Disk Driveの省略語であるHDDと称され得る。ソリッドステートドライブ装置は、英語表記のSolid State Driveの省略語であるSSDと称され得る。
【0102】
制御装置400は、通信インターフェース406を介してネットワークへ接続され、外部装置と通信可能に接続される。ネットワークは、LAN(Local Area Network)等を適用し得る。なお、ネットワークの図示を省略する。
【0103】
コンピュータ可読媒体404は、搬送制御プログラム420、印刷制御プログラム422、メンテナンス制御プログラム424、スキャナ制御プログラム426及び液温調制御プログラム428が記憶される。
【0104】
搬送制御プログラム420は、
図8に示す搬送制御部310へ適用され、用紙搬送ユニット202の用紙Sの搬送機能を実現する。印刷制御プログラム422は、印刷制御部312へ適用され、印刷ユニット204の印刷機能を実現する。
【0105】
メンテナンス制御プログラム424は、メンテナンス制御部314へ適用され、メンテナンスユニット206のメンテナンス機能を実現する。メンテナンス制御プログラム424は、プリントバー移動制御プログラム430、ヘッド調整制御プログラム432、クリーナ制御プログラム434及びキャッピング制御プログラム436が含まれる。
【0106】
プリントバー移動制御プログラム430は、
図9に示すプリントバー移動制御部352へ適用され、プリントバー移動装置354のプリントバーユニット10の移動機能を実現する。
【0107】
ヘッド調整制御プログラム432は、ヘッド調整制御部356へ適用され、ヘッド調整装置100のヘッド調整機能を実現する。ヘッド調整制御プログラム432は、工具昇降制御部356Bへ適用される工具昇降制御プログラム及び工具駆動制御部356Cへ適用される工具駆動制御プログラムが含まれる。
【0108】
クリーナ制御プログラム434は、クリーナ制御部362へ適用され、ヘッドクリーナ240のノズル面21の払拭機能を実現する。キャッピング制御プログラム436は、キャッピング制御部364へ適用され、キャッピングユニット242の各種の機能を実現する。
【0109】
スキャナ制御プログラム426は、
図8に示すスキャナ制御部316に適用され、インラインスキャナ224の撮影機能を実現する。液温調制御プログラム428は、液温調制御部318へ適用され、液温調ユニット208のインクの温度調整機能を実現する。
【0110】
コンピュータ可読媒体404へ記憶される各種のプログラムは、1つ以上の命令が含まれる。コンピュータ可読媒体404は、各種のデータ及び各種のパラメータ等が記憶される。なお、
図8に示すメモリ302及び
図9に示すメモリ366は、
図10に示すコンピュータ可読媒体404のメモリ416に含まれ得る。
【0111】
インクジェット印刷装置200は、プロセッサ402がコンピュータ可読媒体404へ記憶される各種のプログラムを実行し、インクジェット印刷装置200における各種の機能を実現する。なお、プログラムという用語はソフトウェアという用語と同義である。
【0112】
制御装置400は、通信インターフェース406を介して外部装置とのデータ通信を実施する。通信インターフェース406は、USB(Universal Serial Bus)などの各種の規格を適用し得る。通信インターフェース406の通信形態は、有線通信及び無線通信のいずれを適用してもよい。
【0113】
制御装置400は、入出力インターフェース408を介して、入力装置412及びディスプレイ装置414が接続される。入力装置412はキーボード及びマウス等の入力デバイスが適用される。ディスプレイ装置414は、制御装置400へ適用される各種の情報が表示される。
【0114】
ディスプレイ装置414は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプロジェクタ等を適用し得る。ディスプレイ装置414は、複数のデバイスの任意の組み合わせを適用し得る。なお、有機ELディスプレイのELは、Electro-Luminescenceの省略語である。
【0115】
ここで、プロセッサ402のハードウェア的な構造例として、CPU、GPU、PLD(Programmable Logic Device)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。CPUは、プログラムを実行して各種の機能部として作用する汎用的なプロセッサである。GPUは、画像処理に特化したプロセッサである。
【0116】
PLDは、デバイスを製造した後に電気回路の構成を変更可能なプロセッサである。PLDの例として、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。ASICは、特定の処理を実行させるために専用に設計された専用電気回路を備えるプロセッサである。
【0117】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。各種のプロセッサの組み合わせの例として、1以上のFPGAと1以上のCPUとの組み合わせ、1以上のFPGAと1以上のGPUとの組み合わせが挙げられる。各種のプロセッサの組み合わせの他の例として、1以上のCPUと1以上のGPUとの組み合わせが挙げられる。
【0118】
1つのプロセッサを用いて、複数の機能部を構成してもよい。1つのプロセッサを用いて、複数の機能部を構成する例として、クライアント又はサーバ等のコンピュータに代表される、SoC(System On a Chip)などの1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せを適用して1つのプロセッサを構成し、このプロセッサを複数の機能部として作用させる態様が挙げられる。
【0119】
1つのプロセッサを用いて、複数の機能部を構成する他の例として、1つのICチップを用いて、複数の機能部を含むシステム全体の機能を実現するプロセッサを使用する態様が挙げられる。なお、ICはIntegrated Circuitの省略語である。
【0120】
このように、各種の機能部は、ハードウェア的な構造として、上記した各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。更に、上記した各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0121】
コンピュータ可読媒体404は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の半導体素子を含み得る。コンピュータ可読媒体404は、ハードディスク等の磁気記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体404は、複数の種類の記憶媒体を具備し得る。
【0122】
[ヘッド調整装置の具体例]
図11は実施形態に係るヘッド調整装置の斜視図である。ヘッド調整装置100は、外挿カバー120を用いて、内部に配置される各種の部品が覆われる。これにより、防塵及び防滴対策がなされている。外挿カバー120は金属材料が適用される。外挿カバー120は、樹脂材料などインクに対する一定の耐性を有する材料を適用し得る。
【0123】
外挿カバー120は、ヘッド調整装置100のノズル対向面100Aとなる面を有する。外挿カバー120のノズル対向面100Aとなる面には、センサ開口102及び工具開口104が形成される。
【0124】
外挿カバー120は、ヘッド調整装置100の本体への外挿カバー120の固定等に使用されるネジが挿入されるネジ穴が形成される。外挿カバー120のノズル対向面100Aとなる面は、工具開口104が形成される側から、工具開口104が形成される側と反対の側へ向かって、ノズル対向面100Aとなる面へ落下したインクが流れる傾斜を有していてもよい。ノズル対向面100Aとなる面へ図示した矢印線は、ノズル対向面100Aとなる面へ落下したインクが流れる方向を示す。なお、実施形態に記載の外挿カバー120は、本体カバーの一例である。
【0125】
[ヘッド調整装置の内部構造]
図12は
図11に示すヘッド調整装置の内部構造を示す斜視図であり、ヘッド調整装置を正面から見た図である。
図12には、
図11に示す外挿カバー120が外されたヘッド調整装置100を図示する。
【0126】
ヘッド調整装置100は、
図1に示すプリントヘッド20の用紙幅方向の位置を調整する際に、
図11に示すセンサ開口102の開閉を切り替えるカバーユニット130を備える。カバーユニット130は、センサカバー132及びカバー移動機構134を備える。
【0127】
センサカバー132は、プリントヘッド20から漏れ出したインク等を受ける液受面132Aを有する。液受面132Aは、カバー移動機構134を用いてセンサカバー132が支持される面と反対側の面である。また、液受面132Aは、ヘッド調整装置100が
図7に示すメンテナンスユニット206へ搭載された状態において、鉛直上向きを向く面である。
【0128】
ヘッド調整装置100は、メンテナンスユニット206へ搭載された状態におけるプリントバーユニット10の移動方向である第1方向と直交する第2方向における一方の端100Bに、廃インク流路140が具備される。
【0129】
廃インク流路140は、液受面132Aの側の面である上面が開放される構造を有し、かつ、第1方向に延びる構造であり、第1方向について傾斜する構造を有する。第2方向における液受面132Aの廃インク流路140の側の端である、第2方向における液受面132Aの一方の端132Bは、廃インク流路140の真上の位置に配置される。真上とは、ヘッド調整装置100がインクジェット印刷装置200へ搭載された状態における鉛直上方向を意味する。廃インク流路140は、金属材料及び樹脂材料など、インクに対する一定の耐性を有する材料が用いられる。
【0130】
なお、実施形態に記載の廃インク流路140は、液受面へ付着した液体が集められる廃液流路の一例である。実施形態に記載の第1方向と直交する第2方向は、センサカバーの移動方向と交差する方向の一例である。
【0131】
センサカバー132の液受面132Aは、第2方向における一方の端132Bが開放される構造を有する。また、センサカバー132の液受面132Aは、第2方向における他方の端132Cから一方の端132Bへ向けて下向きに傾斜する傾斜面とされる。下向きとは、ヘッド調整装置100がインクジェット印刷装置200へ搭載された状態における鉛直下方向の成分を有する向きを意味する。
【0132】
センサカバー132の液受面132Aは、第1方向における両端及び第2方向における他方の端132Cに壁が形成される。これにより、センサカバー132の液受面132Aへ付着したインクは、液受面132Aの第2方向の一方の端132Bへ向かって流れ、廃インク流路140へ流れる。
図12に示す矢印線は、液受面132Aへ落下したインクが流れる方向を模式的に示す。
【0133】
センサカバー132は、カバー移動機構134を用いて移動自在に支持される。カバー移動機構134は、センサカバー132を、センサカバー132を用いてレーザセンサの検出面が覆われる遮蔽位置と、レーザセンサの検出面を開放する開放位置との間を移動させる。なお、レーザセンサは符号150を用いて
図13に図示する。レーザセンサの検出面は、符号150Aを用いて
図13に図示する。
【0134】
カバー移動機構134は、センサカバー132の移動方向に伸びる2本のガイド136及びセンサカバー132へ連結されるワイヤ138を備える。
図12に示すセンサカバー132の移動方向は、第1方向である。ワイヤ138は、工具部材106を鉛直方向に上下動させる工具移動と連結される。なお、実施形態に記載のカバー移動機構134は、センサカバー移動ユニットの一例である。
【0135】
ヘッド調整装置100は、工具昇降ユニットを覆う工具昇降ユニットカバー144を備える。工具昇降ユニットカバー144は金属材料及び樹脂材料など、インクに対する一定の耐性を有する材料が適用される。
【0136】
工具昇降ユニットカバー144の工具部材106が突出する面である上面144Aは、ヘッド調整装置100の第1方向の一方の端100Dへ向けて下向きの傾斜を有する。すなわち、工具昇降ユニットカバー144の上面144Aは、
図12における手前側から奥側へ向けて下向きの傾斜を有する。これにより、工具昇降ユニットカバー144の上面144Aへ付着したインクをヘッド調整装置100の端へ向けて流すことができる。ヘッド調整装置100の第1方向の一方の端100Dに、廃インク流路140と同様の構造を有する第2廃インク流路が具備されてもよい。なお、実施形態に記載の工具昇降ユニットカバー144は、工具移動ユニットを覆う工具移動ユニットカバーの一例である。
【0137】
図13は
図11に示すヘッド調整装置の内部構造を示す斜視図であり、ヘッド調整装置100を第2方向の他方の面の側から見た図である。センサカバー132と連結されるワイヤ138の他方の端は、
図13に示す工具部材106を鉛直方向に上下動させる工具昇降ユニットと連結される。
【0138】
ワイヤ138は、複数のガイドローラ152を用いて支持される。複数のガイドローラ152の少なくとも1つは、ワイヤ138へ規定のテンションを付与するテンションローラを適用してもよい。
図12及び
図13には、センサカバー132がレーザセンサ150の検出面150Aを遮蔽する状態を図示する。
図13に示す矢印線は、センサカバー132の移動方向を示す。
【0139】
図14はヘッド調整装置の構成例を示す模式図である。
図14に示す工具昇降ユニット160は、互いに直交する3方向へ工具部材106及びレーザセンサ150を移動させる。すなわち、工具昇降ユニット160は、ヘッド調整装置100がインクジェット印刷装置200へ搭載された状態において、用紙幅方向、用紙搬送方向及び鉛直方向へ工具部材106及びレーザセンサ150を移動させる。
【0140】
工具昇降ユニット160は、第1方向移動部162、第2方向移動部164及び第3方向移動部166を備える。第1方向移動部162は、第1方向について、工具部材106及びレーザセンサ150を移動させる。第1方向として、用紙幅方向を適用し得る。
【0141】
第1方向移動部162は、工具部材106を回転自在に支持する工具駆動ユニット170が取り付けられる。第1方向移動部162は、レーザセンサ150が搭載される。レーザセンサ150は、検出面150Aが、工具部材106が延びる方向に向けて配置される。
【0142】
第2方向移動部164は、第2方向について、工具部材106及びレーザセンサ150を移動させる。第2方向として、用紙搬送方向を適用し得る。第3方向移動部166は、第3方向について、工具部材106及びレーザセンサ150を移動させる。第3方向として、鉛直方向を適用し得る。
【0143】
第3方向移動部166は、一方の端がセンサカバー132と連結されるワイヤ138の他方の端が連結される。第3方向移動部166の動作に連動して、カバー移動機構134はセンサカバー132を移動させる。
【0144】
具体的には、第3方向移動部166が工具部材106及びレーザセンサ150を上向きに移動させると、カバー移動機構134はセンサカバー132をセンサ開口102が開かれる向きへ移動させる。一方、第3方向移動部166が工具部材106及びレーザセンサ150を下向きに移動させると、カバー移動機構134はセンサカバー132をセンサ開口102が閉じられる向きへ移動させる。なお、実施形態に記載の工具昇降ユニット160は、工具移動ユニットの一例である。また、実施形態に記載の第3方向移動部166は、工具昇降ユニット160の構成要素の一例である。
【0145】
[プリントヘッド調整方法の手順]
図15はプリントヘッド調整方法の手順を示すフローチャートである。プリントヘッド調整指令取得工程S10では、
図9に示すヘッド調整制御部356は、プリントヘッド20の調整を実施する旨のプリントヘッド調整指令を取得したか否かを判定する。
【0146】
プリントヘッド調整指令取得工程S10において、プリントヘッド調整指令が取得されていないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、プリントヘッド調整終了判定工程S24へ進む。
【0147】
一方、プリントヘッド調整指令取得工程S10において、プリントヘッド調整指令が取得されたと判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、調整対象ヘッド情報取得工程S11へ進む。
【0148】
調整対象ヘッド情報取得工程S11では、ヘッド調整制御部356は、プリントヘッド調整指令から調整対象のプリントヘッド20を特定し、
図9に示すヘッド情報記憶部から調整対象のプリントヘッド20の情報を取得する。
【0149】
調整対象のプリントヘッド20の特定は、プリントヘッド20の番号などのプリントヘッド20の識別情報を用いて実施される。調整対象のプリントヘッド20の情報は、調整対象のプリントヘッド20について、用紙幅方向の位置調整が1回以上調整されている場合は、最新のプリントヘッド20の用紙幅方向の位置の情報が含まれる。調整対象ヘッド情報取得工程S11において、調整対象のプリントヘッド20の情報が取得されると、ヘッドバーユニット移動開始工程S12へ進む。
【0150】
ヘッドバーユニット移動開始工程S12では、プリントバー移動制御部352は、プリントバー移動装置354を動作させて、
図7に示すプリントバーユニット10を印刷位置からメンテナンス位置への移動を開始させる。ここでいうメンテナンス位置は、ヘッド調整装置100の調整作業位置である。プリントバーユニット10の移動が開始されると、調整対象位置到着判定工程S14へ進む。
【0151】
調整対象位置到着判定工程S14では、プリントバー移動制御部352は、調整対象のプリントヘッド20がヘッド調整装置100の調整作業位置へ到着したか否かを判定する。調整対象位置到着判定工程S14において、調整対象のプリントヘッド20がヘッド調整装置100の調整作業位置へ到着していないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、調整対象位置到着判定工程S14が継続される。
【0152】
一方、調整対象位置到着判定工程S14において、調整対象のプリントヘッド20がヘッド調整装置100の調整作業位置へ到着したと判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、プリントバーユニット10の移動を停止させ、工具上昇開始工程S16へ進む。
【0153】
工具上昇開始工程S16では、ヘッド調整制御部356は、工具昇降ユニット160の第3方向移動部166を動作させて、工具部材106を待機位置から調整位置への上昇を開始させる。工具上昇開始工程S16において、工具部材106の上昇が開始されると、工具位置合わせ判定工程S18へ進む。
【0154】
工具上昇開始工程S16が実行され、第3方向移動部166を動作させると、工具部材106の上昇に連動して、カバー移動機構134が動作して、
図14に示すセンサ開口が開かれる向きにセンサカバー132が移動する。
【0155】
工具位置合わせ判定工程S18では、ヘッド調整制御部356は、レーザセンサ150の検出信号に基づき、工具部材106の先端部が
図5に示す調整ネジ36の溝へ挿入されたか否かを判定する。すなわち、レーザセンサ150は、調整ネジ36の形状を認識する。ヘッド調整制御部356は、調整ネジ36の形状の認識結果に応じて、調整ネジ36と工具部材106の先端部との位置合わせを行う。
【0156】
工具位置合わせ判定工程S18において、工具部材106の先端部が調整ネジ36の溝へ挿入されていないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、工具位置合わせ判定工程S18が継続される。
【0157】
一方、工具位置合わせ判定工程S18において、工具部材106の先端部が調整ネジ36の溝へ挿入されたと判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、工具駆動開始工程S20へ進む。
【0158】
工具駆動開始工程S20では、ヘッド調整制御部356は、工具駆動ユニット170を動作させて、工具部材106を回転させて調整ネジ36を回転させ、プリントヘッド20の用紙幅方向における位置の調整を開始する。工具駆動開始工程S20において、工具部材106の回転を開始させると、調整完了判定工程S22へ進む。
【0159】
調整完了判定工程S22では、ヘッド調整制御部356は、プリントバーユニット10に具備されるプリントヘッド20の用紙幅方向における位置を検出するヘッド位置検出センサの検出信号に基づき、プリントヘッド20の用紙幅方向の位置が規定の範囲内であるか否かを判定する。
【0160】
調整完了判定工程S22において、プリントヘッド20の用紙幅方向の位置が規定の範囲内でないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、調整完了判定工程S22が継続される。
【0161】
一方、調整完了判定工程S22において、プリントヘッド20の用紙幅方向の位置が規定の範囲内であると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、工具部材106の駆動を停止させ、プリントヘッド調整終了判定工程S24へ進む。
【0162】
プリントヘッド調整終了判定工程S24では、ヘッド調整制御部356は、調整対象のプリントヘッド20が存在せず、プリントヘッド20の調整を終了するか否かを判定する。プリントヘッド調整終了判定工程S24において、調整対象のプリントヘッド20が存在し、プリントヘッド20の調整が継続されると判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、ヘッドバーユニット移動開始工程S12へ進み、プリントヘッド調整終了判定工程S24においてYes判定となるまで、ヘッドバーユニット移動開始工程S12からプリントヘッド調整終了判定工程S24までの各工程を繰り返し実行する。
【0163】
一方、プリントヘッド調整終了判定工程S24において、調整対象のプリントヘッド20が存在せず、プリントヘッド20の調整が終了されると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、規定の終了処理が実行され、プリントヘッド調整方法の手順は終了される。
【0164】
[実施形態の作用効果]
実施形態係るヘッド調整装置100及びインクジェット印刷装置200は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0165】
〔1〕
ヘッド調整装置100は、外挿カバー120が取り付けられ、ヘッド調整装置100の内部の部品が覆われる。これにより、プリントヘッド20から漏れ出したインクのヘッド調整装置100の内部への進入が抑制される。
【0166】
〔2〕
プリントヘッド20の調整を実施する際に、プリントヘッド20のノズル面21と対向するヘッド調整装置100のノズル対向面100Aは、センサ開口102が形成される。センサ開口102は、レーザセンサ150の位置に対応する位置に形成される。これにより、レーザセンサ150を用いて、プリントヘッド20のノズル面21と同じ側を向く面の調整ネジ36を検出し得る。
【0167】
〔3〕
ヘッド調整装置100のノズル対向面100Aは、工具開口104が形成される。工具開口104は、工具部材106の位置に対応する位置に形成される。これにより、工具部材106を用いて、プリントヘッド20のノズル面21と同じ側を向く面のネジを操作し得る。
【0168】
〔4〕
ヘッド調整装置100は、センサ開口102の開閉を切り替えるカバーユニット130を備える。センサカバー132は、カバー移動機構134を用いて移動自在に支持される。カバー移動機構134は、工具部材106の上昇と連動してセンサ開口102が開かれる向きにセンサカバー132を移動させる。カバー移動機構134は、工具部材106の下降と連動してセンサ開口102が閉じられる向きにセンサカバー132を移動させる。これにより、プリントヘッド20の位置調整が実施される場合はセンサ開口102が開かれ、レーザセンサ150の使用が可能となる。また、プリントヘッド20の位置調整が実施されない場合はセンサ開口102が閉じられ、プリントヘッド20から漏れ出したインク等からレーザセンサ150を保護し得る。
【0169】
〔5〕
センサカバー132の液受面132Aは、第2方向の一方の端132Bへ向けて下向きの傾斜を有する。ヘッド調整装置100の第2方向の一方の端100Bには、廃インク流路140が具備される。廃インク流路140は、液受面132Aにおける第2方向の一方の端132Bの真下に配置される。廃インク流路140は、第1方向に延びる形状であり、液受面132Aを向く面が開口する形状を有する。これにより、センサカバー132の液受面132Aへ付着したインクは、液受面132Aにおける第2方向の一方の端132Bを通過して、廃インク流路140へ流れ、レーザセンサ150及び工具部材106へのインクの付着が抑制される。
【0170】
〔6〕
工具昇降ユニット160は、工具昇降ユニットカバー144を用いて覆われる。これにより、工具昇降ユニット160へのインクの付着が抑制される。
【0171】
〔7〕
工具昇降ユニットカバー144の上面144Aは、ヘッド調整装置100における第1方向の一方の端100Dへ向けて下向きの傾斜を有する。これにより、工具昇降ユニットカバー144の上面144Aへ付着したインクは、ヘッド調整装置100における第1方向の一方の端100Dへ向けて流れ、レーザセンサ150及び工具部材106へのインクの付着が抑制される。
【0172】
[ヘッド調整装置及びヘッド装置への適用例]
本実施形態に示すヘッド調整装置100及びヘッド調整制御部356は、インクジェット印刷装置200とは独立したヘッド調整装置として構成し得る。また、プリントバーユニット10とヘッド調整装置100とを組み合わせた構成は、ヘッド装置として構成し得る。
【0173】
[他の装置への適用例]
本実施形態では、インクジェット方式の印刷装置に具備されるヘッド調整装置を例示したが、本実施形態に示すヘッド調整装置は、インクジェット方式の印刷ヘッドから、機能性液体等の液体を吐出させる液体吐出装置へ適用し得る。
【0174】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0175】
10 プリントバーユニット
10C プリントバーユニット
10K プリントバーユニット
10M プリントバーユニット
10Y プリントバーユニット
20 プリントヘッド
21 ノズル面
21A ノズル配置領域
22 ブラケット
22A 第1面
24 フレキシブル基板
26 供給チューブ
28 循環チューブ
29 バーフレーム
30 クランプアッセンブリ
31 カバー
32 移動部
34 固定部
34A 下面
34B 穴
36 ネジ
100 ヘッド調整装置
100A ノズル対向面
100B 第2方向の一方の端
100C ヘッド調整装置
100D 第1方向の一方の端
100K ヘッド調整装置
100M ヘッド調整装置
100Y ヘッド調整装置
102 センサ開口
104 工具開口
106 工具
120 外挿カバー
130 カバーユニット
132 カバー部材
132A 液受面
132B 第2方向における一方の端
132C 第2方向における他方の端
134 カバー移動機構
136 ガイド
138 ワイヤ
140 廃インク流路
144 工具昇降ユニットカバー
144A 上面
150 レーザセンサ
150A 検出面
152 ガイドローラ
160 工具昇降ユニット
162 第1方向移動部
164 第2方向移動部
166 第3方向移動部
170 工具駆動ユニット
200 インクジェット印刷奏し
202 搬送ユニット
204 印刷ユニット
206 メンテナンスユニット
208 液温調ユニット
208C 液温調ユニット
208M 液温調ユニット
208K 液温調ユニット
208Y 液温調ユニット
220 搬送ベルト
224 インラインスキャナ
240 ヘッドクリーナ
240C ヘッドクリーナ
240M ヘッドクリーナ
240K ヘッドクリーナ
240Y ヘッドクリーナ
242 キャッピングユニット
242C キャッピングユニット
242M キャッピングユニット
242K キャッピングユニット
242Y キャッピングユニット
300 システム制御部
302 メモリ
304 センサ
310 搬送制御部
312 印刷制御部
314 メンテナンス制御部
316 スキャナ制御部
318 液温調制御部
320 撮影データ処理部
350 システム制御部
352 プリントバー移動制御部
354 プリントバー移動装置
356 ヘッド調整制御部
356A センサ信号取得部
356B 工具昇降制御部
356C 工具駆動制御部
358 ヘッド情報記憶部
362 クリーナ制御部
364 キャッピング制御部
366 メモリ
400 制御装置
402 プロセッサ
404 コンピュータ可読媒体
406 通信インターフェース
408 入出力インターフェース
410 バス
412 入力装置
414 ディスプレイ装置
416 メモリ
420 搬送制御プログラム
422 印刷制御プログラム
424 メンテナンス制御プログラム
426 スキャナ制御プログラム
428 液温調制御プログラム
430 プリントバー移動制御プログラム
432 ヘッド調整制御プログラム
434 クリーナ制御プログラム
436 キャッピング制御プログラム
I1 調整前画像
I2 調整後画像
S 用紙
S10からS24 ヘッド調整方法の各工程