(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030469
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04J 3/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H04J3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133395
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】秋山 良太
(72)【発明者】
【氏名】小泉 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雅
【テーマコード(参考)】
5K028
【Fターム(参考)】
5K028AA03
5K028AA11
5K028EE03
5K028LL13
(57)【要約】
【課題】送信側のジッタ量の増大を抑制し受信側の映像破綻を防止してIPパケット形式のコンテンツをバルク伝送可能とする送信装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】本発明の送信装置11は、複数の放送伝送路を経てIPパケット形式のコンテンツをバルク伝送する際、その複数のコンテンツデータの種別について各宛先IPアドレスを基に判別し振り分けるコンテンツ分配部111、その種別毎にTLVパケット列に変換しTLVストリームを構成するTLV信号生成部112、当該TLVストリームにおける所定のTLVパケットのパケットタイプフィールドに、受信側で識別可能な伝送路切り替えを指定するフラグを付加するフラグ付加部113、及び所定の分割フレームを基準に当該TLVストリームをバルク伝送制御する分割フレーム生成部114を備える。本発明の送信装置17は、当該フラグを検出して当該TLVストリームを再構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送伝送路を利用してTLV(Type Length Value)パケット形式でIPパケット形式のコンテンツをバルク伝送する送信装置であって、
所定のコンテンツストリーマーから入力されたIPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを入力し、各宛先IPアドレスを識別して前記複数のコンテンツデータの種別を判別し振り分けを行うコンテンツ分配手段と、
前記コンテンツデータの種別に応じて振り分けられたIPパケット形式の信号を、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換し、一つのTLVストリームを構成するTLV信号生成手段と、
前記TLVストリームに対して、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するためにコンテンツデータの種別毎の連続するTLVパケット列を判別して、前記TLVストリームにおける所定のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに、受信側で識別可能な伝送路切り替えを指定するフラグを付加するフラグ付加手段と、
当該バルク伝送に用いる伝送路の種別及び数を少なくとも識別可能とするように事前に定められた識別情報を基に、当該バルク伝送に用いる複数の放送伝送路に対して共通する伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定め、前記TLVストリームの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路の最大伝送レート内に収まるときは当該複数の放送伝送路に応じた数の基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更にIPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成し、該分割フレームを基準に前記TLVストリームをコンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するように制御する分割フレーム生成手段と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記フラグ付加手段は、前記フラグを、伝送路が切り替わる直前のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに対し、少なくとも付加するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記フラグ付加手段は、前記フラグを、当該バルク伝送に用いる伝送路の本数分で、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに対し、未定義領域の範囲内の所定値からインクリメント又はデクリメントしながら付加するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送信装置によってバルク伝送された前記IPパケット形式のコンテンツを受信する受信装置であって、
事前に定められた当該識別情報を基に分割フレームの構造を識別して所定数の基本分割スロットを定め、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送された前記TLVストリームを構成する放送伝送路経由で受信したTLVパケット形式の信号、更にIPネットワークの通信伝送路経由で伝送されたIPベースのパケットがあるときはIPデカプセル化を施して当該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づき信号順序を整列した後に抽出したTLVパケット形式の信号について、各伝送路に対応する基本分割スロットに対して受信した順に順次TLVパケット列を割り当て当該送信装置で生成した分割フレームを再構成する分割フレーム再構成手段と、
当該再構成した分割フレームの各基本分割スロット内のTLVパケット列から、前記フラグを検出するフラグ検出手段と、
当該検出した分割フレーム上のフラグの位置とフラグの値を基に、各基本分割スロット内のTLVパケット列を連結させTLVストレームを復元する出力信号生成手段と、
当該復元したTLVストリームから、それぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを構成するIPパケット形式のデータを抽出し、前記IPパケット形式のコンテンツを構成する各コンテンツデータを再構成して各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するコンテンツ再分配手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
前記TLV信号生成手段が、前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを除去して、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成されている際に、
前記コンテンツ再分配手段は、当該復元したTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出し、抽出したTLVパケットペイロードをIPパケットペイロードとし、送受間で既知とする前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したIPパケット形式の信号を改めて生成し、各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記TLV信号生成手段が、前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したまま、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成されている際に、
前記コンテンツ再分配手段は、当該復元したTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出することにより前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータを復元し、各コンテンツデータに割り当てられた各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送及び地上放送並びに固定通信及び移動通信の技術分野に関するものであり、特に、デジタルデータの時分割多重伝送に係る送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル伝送方式では、各サービスで利用可能な周波数帯域幅において、より多くの情報が伝送可能なよう、多値変調方式がよく用いられる。周波数利用効率を高めるには、変調信号1シンボル当たりに割り当てるビット数(変調次数)を高めるのが有効であるが、周波数1Hzあたりに伝送可能な情報速度の上限値と信号対雑音比の関係はシャノン限界で制限される。衛星伝送路を用いた情報の伝送形態の一例として、衛星デジタル放送が挙げられる。
【0003】
現在利用されている衛星デジタル放送では、誤り訂正符号を用いた受信装置における情報訂正が行われている。パリティビットと呼ばれる冗長信号を送るべき情報に付加することで信号の冗長度(符号化率)を制御し、雑音に対する耐性を上げることが可能である。誤り訂正符号と変調方式は密接に関わっており、信号対雑音比に対する周波数利用効率の理論的な上限値はシャノン限界と呼ばれる。シャノン限界に迫る性能を有する強力な誤り訂正符号の一つとしてLDPC(Low Density Parity Check)符号が1962年にギャラガーによって提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
LDPC符号は、非常に疎な検査行列H(検査行列の要素が0と1からなり、且つ1の数が非常に少ない)により定義される線形符号である。LDPC符号は符号長を大きくし、適切な検査行列を用いることによりシャノン限界に迫る伝送特性が得られる強力な誤り訂正符号であり、現在又は次世代の放送サービスである4K・8Kスーパーハイビジョン衛星放送の伝送方式を規定するARIB STD-B44(以下、高度衛星放送方式(ISDB-S3)と呼ぶ。)においてもLDPC符号が採用されている(例えば、非特許文献2参照)。多値変調とLDPC符号をはじめとする強力な誤り訂正符号を組み合わせることで、より高い周波数利用効率の伝送が可能となってきている。
【0005】
ところで、昨今、AR(Augmented Reality)・VR(Virtual Reality)をはじめとした3次元コンテンツなど、4K・8Kサービスを超える次世代コンテンツの伝送技術確立が期待されている。しかしながら、衛星放送で使用される12GHz帯に着目すると、利用可能な周波数はひっ迫しており、4K・8Kサービスを超える次世代コンテンツの伝送にむけては十分な周波数帯域幅を確保することが困難な状況にある。そこで、十分な帯域幅が確保できない状況において、大容量伝送を帯域毎に分割して伝送するバルク伝送という技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、IPをベースとした通信伝送路に対して親和性の高いものとし、複数の放送伝送路を利用してTLVパケット形式で所定のデータを分割してバルク伝送する伝送システムについても開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-260408号公報
【特許文献2】特開2020-123763号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】R. G Gallager, “Low Density Parity Check Codes,” in Research Monograph series Cambridge, MIT Press, 1963
【非特許文献2】“高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(ISDB-S3) 標準規格 ARIB STD-B44 2.1版”、[online]、平成28年3月25日改定、ARIB、[令和4年6月6日検索]、インターネット〈URL:https://www.arib.or.jp/kikaku/kikaku_hoso/std-b44.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、大容量伝送を帯域毎に分割して伝送するバルク伝送という技術が知られている一方、特許文献1,2で示されるバルク伝送の課題として、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータの種別毎に伝送路を指定して伝送する機能がないことが挙げられる。また、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータの種別毎に伝送路を指定して伝送する場合、分割して伝送した各伝送路の信号を受信側で結合して出力する際に、バルク伝送する前の信号出力順序/間隔とは異なる順序/間隔で出力されることによるジッタ量の増大が想定され、それにより受信装置後段のデコーダなどでメモリのオーバーフローなどにより伝送したコンテンツにおける映像破断が生じる可能性がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、送信側のジッタ量の増大を抑制し受信側の映像破綻を防止してIPパケット形式のコンテンツをバルク伝送可能とする送信装置及び受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の送信装置は、複数の放送伝送路を利用してTLV(Type Length Value)パケット形式でIPパケット形式のコンテンツをバルク伝送する送信装置であって、所定のコンテンツストリーマーから入力されたIPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを入力し、各宛先IPアドレスを識別して前記複数のコンテンツデータの種別を判別し振り分けを行うコンテンツ分配手段と、前記コンテンツデータの種別に応じて振り分けられたIPパケット形式の信号を、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換し、一つのTLVストリームを構成するTLV信号生成手段と、前記TLVストリームに対して、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するためにコンテンツデータの種別毎の連続するTLVパケット列を判別して、前記TLVストリームにおける所定のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに、受信側で識別可能な伝送路切り替えを指定するフラグを付加するフラグ付加手段と、当該バルク伝送に用いる伝送路の種別及び数を少なくとも識別可能とするように事前に定められた識別情報を基に、当該バルク伝送に用いる複数の放送伝送路に対して共通する伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定め、前記TLVストリームの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路の最大伝送レート内に収まるときは当該複数の放送伝送路に応じた数の基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更にIPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成し、該分割フレームを基準に前記TLVストリームをコンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するように制御する分割フレーム生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の送信装置において、前記フラグ付加手段は、前記フラグを、伝送路が切り替わる直前のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに対し、少なくとも付加するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の送信装置において、前記フラグ付加手段は、前記フラグを、当該バルク伝送に用いる伝送路の本数分で、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに対し、未定義領域の範囲内の所定値からインクリメント又はデクリメントしながら付加するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の受信装置は、本発明の送信装置によってバルク伝送された前記IPパケット形式のコンテンツを受信する受信装置であって、事前に定められた当該識別情報を基に分割フレームの構造を識別して所定数の基本分割スロットを定め、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送された前記TLVストリームを構成する放送伝送路経由で受信したTLVパケット形式の信号、更にIPネットワークの通信伝送路経由で伝送されたIPベースのパケットがあるときはIPデカプセル化を施して当該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づき信号順序を整列した後に抽出したTLVパケット形式の信号について、各伝送路に対応する基本分割スロットに対して受信した順に順次TLVパケット列を割り当て当該送信装置で生成した分割フレームを再構成する分割フレーム再構成手段と、当該再構成した分割フレームの各基本分割スロット内のTLVパケット列から、前記フラグを検出するフラグ検出手段と、当該検出した分割フレーム上のフラグの位置とフラグの値を基に、各基本分割スロット内のTLVパケット列を連結させTLVストレームを復元する出力信号生成手段と、当該復元したTLVストリームから、それぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを構成するIPパケット形式のデータを抽出し、前記IPパケット形式のコンテンツを構成する各コンテンツデータを再構成して各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するコンテンツ再分配手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の受信装置において、前記TLV信号生成手段が、前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを除去して、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成されている際に、前記コンテンツ再分配手段は、当該復元したTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出し、抽出したTLVパケットペイロードをIPパケットペイロードとし、送受間で既知とする前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したIPパケット形式の信号を改めて生成し、各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の受信装置において、前記TLV信号生成手段が、前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したまま、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成されている際に、前記コンテンツ再分配手段は、当該復元したTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出することにより前記IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータを復元し、各コンテンツデータに割り当てられた各宛先IPアドレスに対応する宛先機器へと出力するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放送伝送路の周波数がひっ迫する環境においても大容量伝送が可能となるバルク伝送方式の伝送システムにおいて、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータの種別毎に伝送路を指定してバルク伝送することで、その際生じうる送信装置出力の信号ジッタを軽減することが可能となり、受信装置後段のデコーダなどのメモリのオーバーフローなどによる映像破断を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による一実施形態の送信装置及び受信装置を備える伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明による一実施例の送信装置及び受信装置を備える伝送システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】本発明による一実施例の送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明による一実施例の送信装置におけるTLV信号生成部によってTLVパケット形式の信号を生成する例を示す図である。
【
図5】(a)は、本発明による一実施例の送信装置におけるTLV信号生成部によって生成したコンテンツデータ毎のTLVパケットが1本に連なるTLV信号の例を示しており、(b)は、本発明による一実施例の送信装置におけるフラグ付加部によってTLVパケットの伝送路切り替えを指定するフラグを付加した例を示す図である。
【
図6】本発明による一実施例の送信装置におけるコンテンツデータ毎のTLVパケットが1本に連なるTLV信号についてバルク伝送する際の伝送路切り替え例を示す図である。
【
図7】本発明による一実施例の送信装置で用いる分割フレームの構成図である。
【
図8】本発明による一実施例の受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明による一実施例の受信装置におけるフラグ検出部及び出力信号生成部によってTLVストレームを復元した例を示す図である。
【
図10】(a)は、本発明による一実施例の送信装置におけるTLV信号生成部によって生成したコンテンツデータ毎のTLVパケットが1本に連なるTLV信号の例を示しており、(b)は、本発明による変形例の送信装置におけるフラグ付加部によってTLVパケットの伝送路切り替えを指定するフラグを付加した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態の送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1を詳細に説明する。
【0020】
(伝送システム)
図1は、本発明による一実施形態の送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す伝送システム1の例では、信号源装置10、送信装置11、m(m>1)台の送信機12‐1,12‐2,…,12‐m(以下、総括して「送信機12」とも称する。)、m台の送信アンテナ13‐1,13‐2,…,13‐m(以下、総括して「送信アンテナ13」とも称する。)、放送衛星14、本例では1台の受信アンテナ15、m台の受信機16‐1,16‐2,…,16‐m(以下、総括して「受信機16」とも称する。)、受信装置17、表示装置18、及びIPネットワーク19を備えるように構成される。
【0021】
本実施例に係る伝送システム1におけるm台の送信機12、及びこれにそれぞれ対応するm台の受信機16の各々は、高度衛星放送方式(ISDB-S3)に準拠した装置であり、ISDB-S3でサポートされる符号化変調方式(LDPC符号、及び現行規格上で最大多値変調32APSK)でデータ伝送可能としている。つまり、送信機12‐mは、伝送するデータに対し所定のLDPC符号化率に従うLDPC符号化処理を施し(BCH符号を付加することもある。)、所定の変調方式に従うマッピングを施した変調信号を生成し、放送衛星14に向けてアップリンクする。放送衛星14は、当該変調信号を受信アンテナ15に向けてダウンリンクする。受信機16‐mは受信アンテナ15を介して当該変調信号を受信して送信機12‐mの符号化変調方式に対応する復調・復号処理を施し、送信機12‐mから伝送される当該データを復元する。尚、m台の受信機16の機能を有する1台の受信機としてもよい。
【0022】
つまり、m台の送信機12、m台の送信アンテナ13、放送衛星14、受信アンテナ15、及びm台の受信機16は、所謂、Multi-Input Multi-Output(MIMO)又はMulti-Input Single-Output(MISO)の放送伝送システムと同様に、複数(m個)の放送伝送路を構成している。IPネットワーク19は、IPをベースとした通信伝送方式における通信伝送路を構成している。例えば、IPネットワーク19は、IPv4又はIPv6等のインターネットプロトコルで構成された一般的な通信伝送路とすることができる。尚、本例では、放送伝送路として、複数の衛星伝送路を用いる例を説明するが、これに限定するものではなく、次世代の複数の地上伝送路を用いたものとしてもよい。
【0023】
そして、送信装置11は、複数の放送伝送路(本例では、衛星伝送路)と、必要であればIPネットワーク19による通信伝送路を利用して、信号源装置10から取得する大容量データのコンテンツを受信装置17に向けてバルク伝送するよう、m台の送信機12を制御する。
【0024】
図1に示す信号源装置10は、本伝送システム1で伝送するデータを送信装置11に対して送出する装置であり、送信装置11がIPネットワーク19による通信伝送路をも利用できるようになっていることから、m台の送信機12で伝送可能な最大伝送レートよりも高い伝送レートであっても送信装置11に対してデータを送出することができるようになっている。
【0025】
例えば、送信装置11は、信号源装置10からm台の送信機12で伝送可能な最大伝送レートを超えるI
allの情報ビットレートのデータを入力し、m台の送信機12及びIPネットワーク19に対して、
図7を参照して一実施例として後述する分割フレームに基づいて当該データを分配して出力する。具体的には、送信装置11は、送信機12‐1に対しては情報ビットレートI
1で、送信機12‐2に対しては情報ビットレートI
2で、送信機12‐mに対しては情報ビットレートI
mで分配し、m台の送信機12で伝送可能な最大伝送レートを超える残りのデータに関して、IPネットワーク19に対しては情報ビットレートI
nで、信号源装置10から取得する大容量データのコンテンツを分配して出力する。
【0026】
信号源装置10から取得する大容量データの情報ビットレートがIallの場合、そのIallと送信装置11による分配後の情報ビットレートI1,I2,…,Inとの間には、情報ビットレートの計測範囲を送信すべき映像、音声等の実データ(ヘッダを除くペイロード)に限定した場合、以下の式(1)が成立する。
【0027】
【0028】
ここで、送信装置11は、信号源装置10から取得する大容量データを伝送するにあたり、衛星伝送路として利用するm台の送信機12を予め決定しており、m台の送信機12の各々で設定される変調方式及びLDPC符号化率によって伝送可能な最大値が定まるため、m台の送信機12の各々から、当該変調方式及びLDPC符号化率を指定するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報(TMCC1,TMCC2,…,TMCCm)を取得することで、当該情報ビットレートI1,I2,…,Imを定めることができる。尚、m台の送信機12が固定の符号化変調方式を用いるものとして予め定めているときは、TMCC情報によらず、当該情報ビットレートI1,I2,…,Imを定めることができる。
【0029】
そして、送信装置11は、IPネットワーク19を経て送出する分配後の一部データ(情報ビットレートI
nのデータ)があるときは、そのデータについても、後述する
図7に例示する分割フレームを構成する。ただし、信号源装置10から取得する大容量データのコンテンツの情報ビットレートI
allがIPネットワーク19を利用することなくm台の送信機12のみで伝送可能である時、そのm台の送信機12の範囲内で当該大容量データを分配するように構成してもよい。
【0030】
m台の送信機12は、それぞれに分配された当該情報ビットレートI1,I2,…,Imの各データに関してそれぞれの符号化変調方式に基づく変調信号を生成して、それぞれの送信アンテナ13を介して放送衛星14にアップリンクする。
【0031】
放送衛星14にアップリンクされたm台の送信機12からの各変調信号は、当該放送衛星14がカバーするサービスエリアにおける受信アンテナ15に向けて、一斉にダウンリンクする。
【0032】
m台の受信機16は、それぞれ受信アンテナ15を介してm台の送信機12からの対応する変調信号を受信して、m台の送信機12の各々における符号化変調方式に対応する復調・復号処理を施し、m台の送信機12から伝送される各データを復元し、TMCC情報(TMCC1,TMCC2,…,TMCCm)とともに受信装置17に送出する。
【0033】
受信装置17は、本例ではm台の受信機16から得られるTMCC情報(TMCC
1,TMCC
2,…,TMCC
m)を基に、当該m台の送信機12から伝送される当該情報ビットレートI
1,I
2,…,I
mの各データについて
図7を参照して後述する分割フレームを再構成する。また、受信装置17は、送信装置11からIPネットワーク19を経て送出される分配後の一部データ(情報ビットレートI
nのデータ)があるときは、そのデータをも受信して、後述する
図7に例示する分割フレームを再構成する。
【0034】
そして、受信装置17は、m台の受信機16及びIPネットワーク19を経由して伝送された分割データ(情報ビットレートI1,I2,…,Inのデータ)の全てを受信し、再構成した当該分割フレームにおける各基本分割スロットの有効データについて連結し、信号源装置10から送出されたものと同じ信号形式の大容量データ(情報ビットレートIallで伝送されたものとしたときと等価なデータ)のコンテンツを復元し、表示装置18に適した出力信号を生成して表示装置18に出力する。
【0035】
表示装置18は、受信装置17を介して、信号源装置10から送出された大容量データを再生する。尚、表示装置18の代わりに、大容量データを記録媒体に記録する記録装置としてもよい。
【0036】
また、送信装置11と信号源装置10との間、及び送信装置11とm台の送信機12との間の接続は、専用線による直接的な通信形態としてもよいし、IPベースのローカルエリアネットワークを介した接続としてもよい。同様に、受信装置17と表示装置18との間、及び受信装置17とm台の受信機16との間の接続は、専用線による直接的な通信形態としてもよいし、IPベースのローカルエリアネットワークを介した接続としてもよい。
【0037】
ところで、
図1に示す一実施形態の伝送システム1について、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータをバルク伝送するように構成した場合、送信装置11出力の信号ジッタを軽減し、受信装置17後段の表示装置18におけるデコーダなどのメモリのオーバーフローなどによる映像破断を確実に防ぎつつ伝送する技法が求められる。そこで、
図1に示す一実施形態の伝送システム1について、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータをバルク伝送するように構成した場合、その一実施例の伝送システム1aは、
図2に示すように構成される。
図2は、本発明による一実施例の送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1aの構成を概略的に示すブロック図である。
【0038】
図2に示す一実施例の伝送システム1aでは、
図1に示すものと比較して、
図1に示す信号源装置10の一実施例としてコンテンツストリーマー10aで構成されている点、及び表示装置18には、一実施例として4K映像信号に関する復号器として構成される4Kデコーダ18‐1とAR映像信号に関する復号器として構成されるARデコーダ18‐2とを有している点で相違している。
【0039】
コンテンツストリーマー10aは、IPパケット形式のコンテンツ(本例では3次元コンテンツ)の信号を本実施例の送信装置11に送出する。この3次元コンテンツの信号は、本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類のコンテンツデータのIPパケット形式の信号からなり、4K映像信号の4Kデコーダ18‐1向けには簡易的に示すX、AR映像信号のARデコーダ18‐2向けには簡易的に示すY、とするIPパケット形式の宛先IPアドレスが予め割り当てられているとして説明する。
【0040】
そこで、
図2に示す一実施例の送信装置11は、コンテンツストリーマー10aから入力されたIPパケット形式のコンテンツ(本例では3次元コンテンツ)の信号について、宛先IPアドレスX及びYに従うコンテンツデータの種別(本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類)に応じて受信装置17向けにバルク伝送する。特に、本実施例の送信装置11は、4K映像信号については第1~第mの衛星伝送路を用い、AR映像信号についてはIP回線(上述したIPネットワーク19経由の通信伝送路)を用いてバルク伝送するために、まずコンテンツデータの種別に応じて振り分けられたTLVパケット列に変換しTLV信号を構成するTLVストリームを生成する。更に、本実施例の送信装置11は、コンテンツデータの種別に応じた伝送路を指定し、この伝送路切り替えを指定するフラグ(即ち、切り替え後の伝送路を受信装置17側で識別するための情報として送信装置11及び受信装置17間で管理されたフラグであって、結果的に送信装置11からのTLVパケットの出力順を識別させるためのフラグ)を設け、TLVストリームにおける所定のTLVパケットのTLVヘッダ内に付加した上で、各伝送路を経由して、本実施例の受信装置17に向けて当該3次元コンテンツに関するバルク伝送を行う。
【0041】
本実施例の受信装置17は、送信装置11から複数の伝送路を経由して伝送されたTLVパケット列を受信し、上記のフラグを参照してTLV信号を構成する当該TLVストリームを復元する。更に、本実施例の受信装置17は、上述したIPパケット形式の宛先IPアドレスに従うコンテンツデータの種別(本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類)に応じた信号分配を行って、それぞれの宛先IPアドレスに対応する表示装置18における宛先機器(4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2)に出力する。4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2の各々は、表示装置18上において、4K映像信号とAR映像信号の合成により当該3次元コンテンツを表示するのに必要な復号処理を行う(図示略)。
【0042】
以下、より具体的に、本発明に係る一実施例の送信装置11及び受信装置17について順に説明する。
【0043】
(送信装置)
図3は、本発明による一実施例の送信装置11の概略構成を示すブロック図である。本実施例の送信装置11は、コンテンツ分配部111、TLV信号生成部112、フラグ付加部113、分割フレーム生成部114、及びIPカプセル化部115、を備える。
【0044】
コンテンツ分配部111は、コンテンツストリーマー10aから情報ビットレートIallの大容量データ(映像及び音声等を含む)として入力されたIPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを入力し、各宛先IPアドレスを識別して当該複数のコンテンツデータの種別を判別し振り分けを行いながらTLV信号生成部112に出力する。本実施例では、コンテンツ分配部111は、コンテンツストリーマー10aから入力されたIPパケット形式の3次元コンテンツを構成するそれぞれに宛先IPアドレスX,Yが割り当てられた二種類のコンテンツデータを入力し、各宛先IPアドレスを識別して当該二種類のコンテンツデータの種別を判別し振り分けを行う。
【0045】
TLV信号生成部112は、コンテンツ分配部111から、コンテンツデータの種別(本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類)に応じて振り分けられたIPパケット形式の信号(以下、「IP信号」とも称する。)を入力し、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号(例えば、ARIB STD-B32,第3分冊,P.20,3.5,TLVパケット参照)に変換(格納)してフラグ付加部113に出力する。
【0046】
より具体的に、TLV信号生成部112は、コンテンツデータの種別(本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類)毎のIPパケット形式の信号について、それぞれそのIPパケットのパケット長を判別し、TLVパケット形式の信号に準拠した4バイト長のTLVヘッダを生成し、TLVパケットペイロードの部分に付与する。
図4には、本発明による一実施例の送信装置11におけるTLV信号生成部112によってTLVパケット形式の信号を生成する例を示している。通常、TLVヘッダは、パケットタイプフィールド(“0x7F”を示す1バイトと、タイプ(Type)を示す1バイト)と、パケット長さフィールド(length)を示す2バイトから構成される。そして、パケットタイプフィールドは、現行のTLVパケット形式では、“0x04~0xFD”の未定義領域を構成するものとなっており、このパケットタイプフィールドは、後述する本発明に係る「伝送路切り替えを指定するフラグ」の付加領域として活用される。
【0047】
また、コンテンツストリーマー10aから情報ビットレートIallの大容量データ(映像及び音声等を含む)として入力されたIPパケット形式の3次元コンテンツは、IPパケットの形式の信号で構成され、そのIPパケット内には、IPヘッダ及びIPパケットペイロードで構成される。尚、IPパケットペイロード内では、他のヘッダ情報(例えばUDP(User Datagram Protocol)ヘッダ等)が付与されたものでもよく(図示略)、更にそのIPパケットペイロード内では、MMTPヘッダとMMTPパケットペイロードからなるMMTPパケットを構成するMMT信号を構成するものとしてもよい。
【0048】
本実施例では、コンテンツストリーマー10aから伝送する3次元コンテンツは、MMTPパケットを構成するIPパケット形式の信号の集合として、元より4K映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスXの第1のIPデータフローと、AR映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスYの第2のIPデータフローとからなるように構成されている。また、宛先IPアドレスXの第1のIPデータフローを構成するIPパケット列の各IPヘッダにはその信号順序を示す第1の信号源シーケンス番号が付与されており、宛先IPアドレスYの第2のIPデータフローを構成するIPパケット列の各IPヘッダにはその信号順序を示す第2の信号源シーケンス番号が付与されている。そこで、
図4に示す例では、TLV信号生成部112は、第1のIPデータフローについては、第1の信号源シーケンス番号の順番に、その1以上のIPパケットに対しIPパケットペイロードを抽出してTLVパケットペイロードに格納し、1つのTLVパケットを構成する。同様に、TLV信号生成部112は、第2のIPデータフローについては、第2の信号源シーケンス番号の順番に、その1以上のIPパケットに対しIPパケットペイロードを抽出してTLVパケットペイロードに格納し、1つのTLVパケットを構成する。
【0049】
ただし、
図4に示す例に対する変形例として、TLV信号生成部112は、第1のIPデータフローについては、第1の信号源シーケンス番号の順番に、その1以上のIPパケットに対しそのまま(IPヘッダ及びIPパケットペイロードを含む。)、TLVパケットペイロードに格納し、1つのTLVパケットを構成してもよい。同様に、TLV信号生成部112は、第2のIPデータフローについては、第2の信号源シーケンス番号の順番に、その1以上のIPパケットに対しそのまま(IPヘッダ及びIPパケットペイロードを含む。)、TLVパケットペイロードに格納し、1つのTLVパケットを構成してもよい。更に、応用例として、IPパケットペイロード内でMMT信号が構成される場合には、そのMMT信号には、第1のIPデータフローと第2のIPデータフローとを関連付けるパッケージ情報を記述することもできる。
【0050】
このようにして、TLV信号生成部112は、コンテンツデータの種別毎に順次生成したTLVパケット形式の信号(即ち、TLVパケット列の信号)について、一つのTLVストリームとするTLV信号を構成し、フラグ付加部113に出力する。
【0051】
フラグ付加部113は、TLV信号生成部112から当該TLVストリームを入力し、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するためにコンテンツデータの種別毎の連続するTLVパケット列(本願明細書中、「TLVパケットフロー」と称している。)を判別して、当該TLVストリームにおける所定のTLVパケット(以下、適宜、「TLVP」と略す。)におけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに、受信装置17で識別可能な伝送路切り替えを指定するフラグを付加した上で、分割フレーム生成部114に出力する。
【0052】
ここで、
図5及び
図6を参照して、具体的な例として、コンテンツデータ(4K映像信号とAR映像信号)毎のTLVパケット(TLVP)が1本に連なるTLV信号(一つのTLVストリーム)と、伝送路切り替えを指定するフラグを付加した例について説明する。
図5(a)は、本発明による一実施例の送信装置11におけるTLV信号生成部112によって生成したコンテンツデータ(4K映像信号とAR映像信号の二種類)毎のTLVパケット(TLVP)が1本に連なるTLV信号(一つのTLVストリーム)の例を示している。また、
図5(b)は、本発明による一実施例の送信装置11におけるフラグ付加部113によってTLVパケット(TLVP)の出力先伝送路(m=2とする2つの衛星伝送路及びIP回線のうちいずれか)を示すように伝送路切り替えを指定するフラグを付加した例を示している。また、
図6は、本発明による一実施例の送信装置11におけるコンテンツデータ(4K映像信号とAR映像信号)毎のTLVパケット(TLVP)が1本に連なるTLV信号(一つのTLVストリーム)についてバルク伝送する際の伝送路切り替え例を示す図である。
【0053】
まず、
図5(a)に示すように、TLV信号生成部112は、コンテンツデータの種別毎に順次生成したTLVパケット(TLVP)について、一つのTLVストリームとするTLV信号を構成する。ここで、
図5(a)に示す一つのTLVストリームは、4K映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケットについては情報ビットレートとしてm=2とする2つの衛星伝送路を用いて約25Mbps(変調方式QPSK、LDPC符号化率7/9)で伝送し、AR映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケットについては情報ビットレートとしてIP回線を用いて約125Mbpsで伝送することが可能な信号例を示している。また、TLV信号生成部112は、4K映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケット及びその信号順序(図中、第1の信号源シーケンス番号のIP信号順序を維持するTLVパケット4K_♯1,4K_♯2,4K_♯3,…)と、AR映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケット及びその信号順序(図中、第2の信号源シーケンス番号のIP信号順序を維持するTLVパケットIP_♯1,IP_♯2,IP_♯3,…)とを識別可能とする態様で、一つのTLVストリームとするTLV信号を構成し、フラグ付加部113に出力する。尚、IPパケット形式の3次元コンテンツを構成するコンテンツデータは、上述したように、本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類としており、4K映像信号の4Kデコーダ18‐1向けには簡易的に示すX、AR映像信号のARデコーダ18‐2向けには簡易的に示すY、とするIPパケット形式の宛先IPアドレスが予め割り当てられている。
【0054】
そして、
図5(b)に示すように、本実施例では、フラグ付加部113は、伝送路切り替えを指定するフラグを、伝送路が切り替わる直前のTLVP(即ち、出力先とする伝送路毎のTLVパケットフロー先頭のTLVPの直前のTLVP)におけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに付加する。例えば、
図5(b)に示す本実施例では、4K映像信号のコンテンツデータを示すTLVPが1以上連続するTLVパケットフロー(本例では、1つずつのTLVP)についてはm=2とする2つの衛星伝送路に分けて伝送し、AR映像信号のコンテンツデータを示すTLVPが1以上連続するTLVパケットフロー(本例では、5つずつのTLVP列)については、IP回線を用いて伝送するものとして、伝送路切り替えを指定するフラグを、伝送路が切り替わる直前のTLVP(即ち、出力先とする伝送路毎のTLVパケットフロー先頭のTLVPの直前のTLVP)におけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに付加する。
【0055】
また、
図5(b)に示すように、伝送路切り替えを指定するフラグは、受信装置17側でのそのフラグ検出に基づくTLVストリームの復元を高精度化するために、当該バルク伝送に用いる伝送路の本数分(本例では、2つの衛星伝送路及びIP回線の3本分)で、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに対し、未定義領域(本例では“0x04~0xFD”)の範囲内の所定値からインクリメント(又はデクリメント)しながら付加するのが好適である。例えばIP回線出力を示すフラグは対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x04を、第1の衛星伝送路出力を示すフラグは対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x05を、第2の衛星伝送路出力を示すフラグは対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x06を付加する。尚、本実施例では、後続するTLVパケットが伝送路の切り替えが生じない場合、その直前のTLVパケットのパケットタイプフィールドに対しては、伝送路切り替えを指定するフラグとして用いない予め定めた値(例えば、Type=0xFD)を付加するようにしている。
【0056】
従って、フラグ付加部113は、
図5(b)に示すように伝送路切り替えを指定するフラグを付加した上で、各TLVパケットフローにおけるTLVパケット及びその信号順序を識別可能とする態様で、一つのTLVストリームとして分割フレーム生成部114に出力する。
【0057】
図3に示す分割フレーム生成部114は、まず当該バルク伝送に用いる伝送路の種別及び数を少なくとも識別可能とするように事前に定められた識別情報(本例では、m台の送信機12の各々から得られるTMCC情報としている。)を基に、当該バルク伝送に用いる複数の放送伝送路に対して共通する伝送方式(本実施例ではISDB-3)に準拠したフレーム長の分割フレームを定める。そして、分割フレーム生成部114は、当該TLVストリームの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路の最大伝送レート内に収まるときは当該複数の放送伝送路に応じた数の基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更にIPネットワーク19の通信伝送路(IP回線)経由で伝送するための所定数の基本分割スロット(本例では1つの基本分割スロット)を加えて当該分割フレームを構成する。そして、分割フレーム生成部114は、該分割フレームを基準に当該TLVストリームをコンテンツデータの種別に応じてバルク伝送するよう、当該複数の放送伝送路における各送信機12、並びにIPネットワーク19の当該通信伝送路への接続を制御する。
【0058】
特に、
図5に係る本実施例では、分割フレーム生成部114は、
図6に示すように、4K映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケット列(TLVパケット4K_♯1,4K_♯2,4K_♯3,4K_♯4,4K_♯5,…)について、第1の衛星伝送路を用いて伝送するTLVパケット列(TLVパケット4K_♯1,4K_♯3,4K_♯5,4K_♯7,4K_♯9,…)と、第2の衛星伝送路を用いて伝送するTLVパケット列(4K_♯2,4K_♯4,4K_♯6,4K_♯8,4K_♯10,…)とに分配するように識別できる。また、分割フレーム生成部114は、IP回線を用いて伝送するTLVパケット列についてはAR映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケット列(TLVパケットIP_♯1,IP_♯2,IP_♯3,IP_♯4,IP_♯5,…)として、識別できる。
【0059】
また、本例では、第1のIPデータフローに係るそれぞれの衛星伝送路における各送信機12から得られるTMCC情報には、当該識別情報として、後述する
図7に例示する分割フレームを構成するためのスロット分割数及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号の情報が記述され、予めスケジューリングされている。ただし、当該バルク伝送に用いる伝送路を識別する識別情報は、本例では、m台の送信機12の各々から得られるTMCC情報とするが、送信装置11及び受信装置17間で既知とするように予め定めたもの、或いはMMT信号を用いるか又は通信伝送路経由で別途伝送する形態でもよい。
【0060】
そこで、分割フレーム生成部114は、フラグ付加部113によって付された伝送路切り替えを指定するフラグと、m台の送信機12から得られるTMCC情報を基に、フラグ付加部113から入力された当該TLVストリームについて、m台の送信機12経由の衛星伝送路及びIPネットワーク19経由のIP回線への分配に係る情報ビットレートを調整するための分割フレーム(
図7参照)を構成して、この分割フレームに基づきバルク伝送するようにコンテンツデータの種別に応じて分配する。
【0061】
図7は、本発明による一実施例の送信装置11で用いる分割フレームの構成図である。
図7に示すように、分割フレーム生成部114によって生成される分割フレームは、本例ではm=2とし、横幅がフレーム長、縦幅が分割スロット数に相当し、この分割フレームは複数の基本分割スロットから構成される。各基本分割スロットは、そのフレーム長が放送伝送路の伝送方式(本例ではISDB-S3)の伝送フレーム長(ISDB-S3の120スロット分)に対応したものとなっており、放送伝送路の伝送方式と容易に同期が取れ(ISDB-S3の伝送フレーム120スロットと同期が取れ)、且つ放送伝送路の伝送方式(本例ではISDB-S3)がサポートする符号化変調方式(例えば、変調方式QPSK、LDPC符号化率7/9)のデータを収容可能とする設定となっている。
【0062】
例えば、分割フレーム生成部114に入力されたTLV信号を構成する一つのTLVストリームは、
図6に示すTLVパケットが順次、該当する伝送路向けに、基本分割スロット#1から昇順に基本分割スロット#nまで収容される。各基本分割スロット内の後方でヌル(又はヌルTLVパケット)を挿入して分割フレームのフレーム長が揃うように調整される。ここで、基本分割スロット#1内のTLVパケット列は送信機12‐1を経由する第1の衛星伝送路で、基本分割スロット#2内のTLVパケット列は送信機12‐2を経由する第2の衛星伝送路で、基本分割スロット#n内のTLVパケット列はIPネットワーク19経由の通信伝送路(IP回線)で伝送するためのものである。
【0063】
尚、各伝送路間(本例では2つの衛星伝送路及びIP回線)の遅延差が受信装置17側で信号順序の入れ替えエラーが生じないほど十分小さいという条件を満たすものとし、分割フレーム生成部114は、各基本分割スロットに対して該当する伝送路毎のTLVパケットを最大数、又は送信装置11及び受信装置17間で予め定めた固定数で格納する。一方、各伝送路間の遅延差が大きい伝送システム1aを構成する場合、分割フレーム生成部114は、基本分割スロット#1~#mの各先頭に位置するTLVパケットのTLVヘッダにおけるタイプフィールドに、当該伝送路切り替えを指定するフラグとは区別可能な数値で分割フレーム番号をインクリメント(又はデクリメント)して割り当てるようにする。このような分割フレーム番号を参照することで遅延差を修正することができる。この場合も、本実施例では各分割フレームにおける先頭TLVヘッダ以外に当該伝送路切り替えを指定するフラグを付加しているため、受信装置17側でのフラグ検出により信号順序が一致するように修正される。
【0064】
また、TLVパケット内に、
図4に示すコンテンツストリーマー10aからのコンテンツデータの種別ごとのIP信号を構成するIPパケットに対しそのまま(IPヘッダ及びIPパケットペイロードを含む。)、TLVパケットペイロードに格納する場合では、受信装置17側でのフラグ検出とともに、信号順序が一致するように修正することができる。即ち、3次元コンテンツは、宛先IPアドレスXの第1のIPデータフロー及び宛先IPアドレスYの第2のIPデータフローにおける各IPパケット列にはそれぞれの信号順序を示す第1及び第2の信号源シーケンス番号が付与されており、更にはMMT信号が構成されているときに第1のIPデータフローと第2のIPデータフローとを関連付けるパッケージ情報が記述されている場合では特に、これらを利用して、受信装置17側でのフラグ検出とともに、信号順序が一致するように修正することができる。
【0065】
また、各伝送路間の遅延差が大きい伝送システム1aを構成する場合でも確実に、受信装置17側で信号順序を一致した分割フレームを再構成させるには、分割フレーム生成部114は、各基本分割スロットに格納されるTLVパケットを特定する情報(いずれの分割フレームにおけるいずれの基本分割スロットに、いずれの第1及び第2の信号源シーケンス番号で識別可能とするTLVパケットが格納されているかを示す情報)を、m台の送信機12から得られるTMCC情報の空き領域に埋め込んだTMCC情報を生成し、m台の送信機12に対して更新通知して伝送させるようにしてもよい。
【0066】
また、その変形例として、TLVストリームは、TLVストリームIDで識別されるTLVパケットの系列であることから、各TLVパケットフローに対する関連付けが可能な各IPデータフローの物理的構成を示すTLV伝送制御信号を格納したTLVパケットを適宜生成し、各伝送路上で挿入するものとしてもよい。例えば、図示説明を省略するが、TLV伝送制御信号を格納したTLVパケット列のみからなる基本分割スロットを構成し、
図7に示す基本分割スロット#1~#m(本例ではm=2)のいずれか又は全部を利用して定期的に伝送するものとしてもよいし、
図7に例示する基本分割スロット#1~#mの各先頭に位置するTLVパケットとして、当該TLV伝送制御信号を格納したTLVパケットを挿入する構成としてもよい。
【0067】
このようにして、分割フレーム生成部114は、TMCC情報に基づき適時、m台の送信機12への分配に係る情報ビットレートを調整するための分割フレーム(
図7参照)を構成する。そして、分割フレーム生成部114は、この分割フレームに基づき、フラグ付加部113から入力されたTLV信号を構成する一つのTLVストリームについて、TLV信号生成部112から入力されるTLV信号を後続するm台の送信機12、及びIPネットワーク19へ分割して分配する。
【0068】
そして、分割フレーム生成部114は、コンテンツストリーマー10aからの大容量データを分割フレーム単位で、m台の送信機12及びIPネットワーク19へ分配するよう動作するため、クロック同期で分配動作させる際に安定化するとともに、m台の送信機12の各々における伝送フレーム(本例ではISDB-S3の伝送フレーム)で収容可能なペイロードサイズが基本分割スロットのペイロードサイズと一致するため、容易にm台の送信機12に対し接続可能となる。
【0069】
また、m台の送信機12の各々における符号化変調方式が個々に異なり、可変とする場合でも、分割フレーム生成部114は、m台の送信機12の各々から取得したTMCC情報に基づき、対応する各基本分割スロットのペイロードサイズを設定することができるため、m台の送信機12の各々に対する情報ビットレートが一定となるよう制御することができる。換言すると、m台の送信機12の各々のTMCC情報に基づき、基本分割スロットの情報ビットレートが定まることになる。
【0070】
尚、分割フレーム生成部114は、m台の送信機12及びIPネットワーク19へのデータの分配数をTMCC情報に応じて可変とするとき(即ち、1分割フレームを構成する基本分割スロットの総数を可変とするとき)には、スロット分割数(本例ではn)及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1~m)の情報について、m台の送信機12の各々に通知して、m台の送信機12の各々におけるTMCC情報(TMCC1,TMCC2,…,TMCCm)を用いてm台の送信機12から受信装置17に向けて伝送させるよう構成するのが好適である。これにより、詳細に後述する受信装置17が1分割フレームを容易に再構成することができるようになる。
【0071】
つまり、利用するm台の送信機12の全てに通知するスロット分割数の情報は、
図7に示す分割フレームにおける基本分割スロットの総数(n)の情報に相当する。m台の送信機12の各々に通知する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1~m)は、
図7に示す各基本分割スロットを識別する固有番号に相当する。
【0072】
そこで、m台の送信機12及びIPネットワーク19へのデータの分配数をTMCC情報に応じて可変とするとき(即ち、1分割フレームを構成する基本分割スロットの総数を可変とするとき)には、分割フレーム生成部114は、スロット分割数(本例ではn)及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1~m)の情報を示す識別情報を、m台の送信機12の各々から取得したTMCC情報の拡張領域に埋め込んで返信することで通知する。ISDB-S3ではTMCC情報の拡張領域として3614ビット利用可能であり、スロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を独立して送信するために十分な空き領域を有する。ただし、これらのスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を示す識別情報はローカルエリアネットワーク経由で分割フレーム生成部114からm台の送信機12の各々に通知する形態でもよいし、各基本分割スロット内に埋め込んでもよい。
【0073】
また、
図4に示すようにTLVパケットペイロード内にMMT信号形式でデータを伝送するよう定めているときは、MMTPヘッダ内にスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を示す識別情報を埋め込んでもよい。MMTの場合、MMTPヘッダ内に拡張領域が確保されており、それらを利用してスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を通知することも可能である。このように、MMTなど、固有のヘッダ情報を有する信号形式を格納するよう定めているときは、当該ヘッダ情報の空き領域を利用して通知する。また、スロット分割数を頻繁に変更することは想定しにくいため、各送信機12の周波数割り当てなど固有の情報について伝送時刻でスケジューリングしたスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を送受(送信装置11及び受信装置17)間で予め定めて既知としておくか、又は当該大容量データの伝送前に送信装置11から受信装置17へ事前通知することも可能である。
【0074】
図3に示すIPカプセル化部115は、情報ビットレートI
nで、コンテンツストリーマー10aから取得するIP回線で伝送するコンテンツデータ(本例では、AR映像信号の第2のIPデータフロー)を格納したTLVパケット列(
図7に示す基本分割スロット♯nにおけるTLVパケット列)についてIPv4又はIPv6等のインターネットプロトコルに従うヘッダ情報を付加しIPカプセル化を施してIPベースの信号(IPパケットやイーサネット(登録商標)フレーム等)を形成してIPネットワーク19に出力し、IPネットワーク19経由で受信装置17向けに伝送する。
【0075】
特に、IPカプセル化部115は、基本分割スロット♯nのTLVパケット列について、当該IPネットワーク19と整合するIPベースのパケットに分割し、且つ分割した各IPベースのパケットに対しパケットの信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号を付与して、受信装置17向けに伝送する手段を有している。
【0076】
受信装置17では、当該ヘッダ情報を基に受信したIPベースの信号を順番に並び替えた後、当該
図7に示す基本分割スロット♯nにおけるTLVパケット列を抽出することになる。ただし、送信装置11は、コンテンツストリーマー10aからm台の送信機12で伝送可能な最大伝送レートを超える情報ビットレートI
allのデータを受信装置17に向けて伝送するときにのみIPネットワーク19への伝送を利用するものとしてもよい。尚、
図7に示す基本分割スロット♯nは、1スロット分に限らず複数スロットとしてもよいが、本実施例では主として伝送時刻の安定性の高い放送伝送路を用いる構成としているため、1スロット分としている。また、送信装置11から放送伝送路(本例では衛星伝送路)と通信伝送路(IP回線)を用いて大容量データを受信装置17へ分割伝送する上では、受信装置17側での当該分割スロットの再構成(各基本分割スロット内のTLVパケットの連結)の容易性の観点から、m台の送信機12で伝送するための基本分割スロットのサイズと整合する同サイズとしている。
【0077】
このように、本発明による伝送システム1aにおける一実施例の送信装置11では、コンテンツストリーマー10aから入力されたIPパケット型式の大容量データのコンテンツ(本例では3次元コンテンツ)について、そのIP信号を構成するIPパケットのIPヘッダに付加された宛先IPアドレスに対応するコンテンツデータを基に、指定した複数の伝送路へと振り分けるようにした。また、本実施例の送信装置11では、振り分けた各IPパケット列をTLVパケット列の信号に変換しTLVストリームを構成した後、所定のTLVパケットのTLVヘッダにおけるパケットタイプフィールドに、受信装置17で識別可能な伝送路切り替えを指定するフラグを付加してバルク伝送し、受信装置17にてバルク伝送されたTLVストリームの復元に利用させるようにした。
【0078】
(受信装置)
以下、
図3に示す送信装置11に対応する本発明に係る一実施例の受信装置17について詳細に説明する。
【0079】
図8は、本発明による一実施例の受信装置17の概略構成を示すブロック図である。この受信装置17は、分割フレーム再構成部171、IPデカプセル化部172、フラグ検出部173、出力信号生成部174、及びコンテンツ再分配部175を備える。
【0080】
まず、IPデカプセル化部172は、送信装置11からIPネットワーク19を経て送出される信号(情報ビットレートI
nの信号)があるときは、IPデカプセル化を施し、該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づいて信号順序を整列した後、
図7に示す基本分割スロット♯nにおけるTLVパケット列を抽出して、分割フレーム再構成部171に出力する。
【0081】
分割フレーム再構成部171は、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送された当該TLVストリームを受信する際に、まず、事前に定められた当該識別情報(本例では、m台の送信機12にそれぞれ対応するm台の受信機16から得られるTMCC情報(TMCC1,TMCC2,…,TMCCm)を基に分割フレームの構造(基本分割スロットのスロット分割数等)を識別して所定数の基本分割スロットを定める。そして、分割フレーム再構成部171は、コンテンツデータの種別に応じてバルク伝送された当該TLVストリームを構成する放送伝送路経由で受信したTLVパケット形式の信号、更にIPネットワークの通信伝送路経由で伝送されたIPベースのパケットがあるときはIPデカプセル化を施して当該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づき信号順序を整列した後に抽出したTLVパケット形式の信号について、各伝送路に対応する基本分割スロットに対して受信した順に順次TLVパケット列を割り当て当該送信装置11で生成した分割フレームを再構成する。
【0082】
例えば、分割フレーム再構成部171は、各放送伝送路(本例では第1及び第2の衛星伝送路)に対応する基本分割スロットに対し、受信した順に順次TLVパケット列を割り当て、当該m台の送信機12から伝送される当該情報ビットレートI
1,I
2,…,I
mの各データについて各基本分割スロット内の後方でヌル(又はヌルTLVパケット)を挿入して
図7に例示した分割フレームを再構成する。また、分割フレーム再構成部171は、IPネットワーク19を経て得られたTLVパケット列に関してはIPデカプセル化部172から受信した順に順次、基本分割スロット♯nに割り当て、情報ビットレートI
nのデータとして後方でヌル(又はヌルTLVパケット)を挿入して
図7に例示した分割フレームを再構成する。
【0083】
本例では、
図7に示す分割フレームを再構成するためのスロット分割数及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号の情報が、当該バルク伝送に用いる伝送路の種別及び数を少なくとも識別可能とする識別情報として、TMCC情報(TMCC
1,TMCC
2,…,TMCC
m)を用いて伝送されている。ただし、複数の放送伝送路で用いられる符号化変調方式が予め既知である場合、且つm台の送信機12及びIPネットワーク19へのデータの分配数が可変でなく固定の場合や、MMT信号を利用して識別情報が伝送されている場合、或いは送信装置11及び受信装置17間で予め既知であるようにスケジューリング又は事前通知されているときは、分割フレーム再構成部171は、当該TMCC情報(TMCC
1,TMCC
2,…,TMCC
m)によらず、予め固定フレーム長である分割フレームを再構成することができる。
【0084】
つまり、分割フレーム再構成部171は、事前に定められた当該識別情報を基に、
図7に示す分割フレームにおける放送伝送路(本実施例では2つの衛星伝送路)用の基本分割スロット、及びIP回線経由のTLVパケット列の信号があるときはIP回線用の基本分割スロットを定めて、分割フレームを再構成する。これにより、実際には放送伝送路及び通信伝送路では伝送されないヌル(又はヌルTLVパケット)を用いて分割フレームを正確に復元することで、各分割フレームにおける各基本分割スロット間の処理速度を一定に保ち処理を安定化させることが可能となり、放送伝送路及び通信伝送路における伝送遅延を補償することが可能となり、放送伝送路及び通信伝送路のいずれに対しても親和性の高い態様で、バルク伝送が可能となる。
【0085】
このようにして、分割フレーム再構成部171は、
図7を参照して上述した当該分割フレームを再構成する。
【0086】
ここで、分割フレーム再構成部171は、各伝送路間(本例では2つの衛星伝送路及びIP回線)の遅延差が受信装置17側で信号順序の入れ替えエラーが生じないほど十分小さいという条件を満たすものとし、各基本分割スロットに対して該当する伝送路毎のTLVパケットを最大数又は送信装置11及び受信装置17間で予め定めた固定数で格納するように割り当てる。一方、各伝送路間の遅延差が大きい伝送システム1aを構成する場合、分割フレーム再構成部171は、送信装置11側で割り当てられている分割フレーム番号を示すTLVパケットを検出し、このTLVパケットを基本分割スロット#1,#mの各先頭に位置するTLVパケットとして該当する伝送路毎のTLVパケットを最大数又は送信装置11及び受信装置17間で予め定めた固定数で格納するように割り当てる。このような分割フレーム番号を参照することで遅延差を修正することができる。
【0087】
また、各基本分割スロットに格納されるTLVパケットを特定する情報(いずれの分割フレームにおけるいずれの基本分割スロットに、いずれの第1及び第2の信号源シーケンス番号で識別可能とするTLVパケットが格納されているかを示す情報)が、m台の送信機12から得られるTMCC情報の空き領域に埋め込まれているときは、分割フレーム再構成部171は、各TMCC情報に従って、各基本分割スロットに対して該当する伝送路毎のTLVパケットを格納することで分割スロットを再構成する。また、変形例として、分割フレーム再構成部171は、各TLVパケットフローに対する関連付けが可能な各IPデータフローの物理的構成を示すTLV伝送制御信号を格納したTLVパケットが伝送されているときは、受信したそのTLV伝送制御信号を基に、分割フレームを再構成する構成としてもよい。
【0088】
フラグ検出部173は、分割フレーム再構成部171によって再構成した分割フレームの各基本分割スロット内のTLVパケット(TLVP)列から、送信装置11側で付加した伝送路切り替えを指定するフラグを検出し、そのフラグを持つTLVパケットの分割フレーム上の位置とフラグの値を出力信号生成部174に出力する。
【0089】
出力信号生成部174は、フラグ検出部173によって検出した分割フレーム上のフラグの位置とフラグの値を基に、各基本分割スロット内のTLVパケット(TLVP)列を連結させTLVストレームを復元し、コンテンツ再分配部175に出力する。
【0090】
図9は、本発明による一実施例の受信装置17におけるフラグ検出部173及び出力信号生成部174によってTLVストレームを復元した例を示す図であり、上述した
図5(b)に示す送信装置11の実施例に対応している。
図9に示すように、フラグ検出部173は、伝送路切り替えを指定するフラグを検出し参照することで、出力信号生成部174によってm=2とした2つの衛星伝送路を用いて伝送された4K映像信号のコンテンツデータを示す第1及び第2の衛星伝送路経由の各TLVパケットフロー(図中、TLVパケット4K_♯1,4K_♯2,4K_♯3,…)と、IP回線を用いて伝送されたAR映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケットフロー(図中、TLVパケットIP_♯1,IP_♯2,IP_♯3,…)の並びを識別することができ、コンテンツデータ(本例では4K映像信号とAR映像信号の二種類)を識別可能とする態様で、上述した
図5(a)に示す一つのTLVストリームを復元することができる。
【0091】
特に、本実施例の受信装置17は、出力信号生成部174によってTLVストレームを復元する際、送信装置11側で付加した伝送路切り替えを指定するフラグをフラグ検出部173によって検出し、次のフラグが検出されるまで出力信号生成部174はフラグにより指定された伝送路からTLVパケット列を読み出して出力順序を整理する。本例では、フラグ検出部173は始めにIP回線出力を示すフラグ(Type=0x04)を検出し、次のフラグを検出するまで出力信号生成部174はIP回線経由で伝送されたTLVパケットフロー(本例では、5つずつのTLVP列)を読み出す。続いて、フラグ検出部173はその次のフラグとして第2の衛星伝送路出力を示すフラグ(Type=0x06)を検出すると、次のフラグを検出するまで出力信号生成部174は第2の衛星伝送路経由で伝送されたTLVパケットフロー(本例では、1つずつのTLVP)を読み出す。続いて、フラグ検出部173はその次のフラグとしてIP回線出力を示すフラグ(Type=0x04)を検出し、次のフラグを検出するまで出力信号生成部174はIP回線経由で伝送されたTLVパケットフローを読み出す。このような動作を繰り返すことにより、出力信号生成部174は
図9に対応する
図5(a)に示すコンテンツデータを識別可能とする態様で、TLVストレームを復元することができる。
【0092】
コンテンツ再分配部175は、復元したTLVストリームからそれぞれに宛先IPアドレスが割り当てられた複数のコンテンツデータを構成するIPパケット形式のデータを抽出し、IPパケット形式のコンテンツを再構成して各宛先IPアドレスに対応する宛先である表示装置18における4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2へと出力する。
【0093】
より具体的に、本実施例では、送信装置11におけるTLV信号生成部112が、IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを除去してIPパケットペイロード部分を抽出し、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成されている。そこで、コンテンツ再分配部175は、出力信号生成部174から得られる復元したTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出する。続いて、コンテンツ再分配部175は、抽出したTLVパケットペイロードをIPパケットペイロードとし、送信装置11及び受信装置17間で既知とする4K映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスXと、AR映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスYとを用いて、それぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したIPパケット形式の信号を改めて生成する。そして、コンテンツ再分配部175は、それぞれの宛先IPアドレスに対応する表示装置18における宛先機器(4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2)に出力する。尚、表示装置18の代わりに、大容量データを記録媒体に記録する記録装置としてもよい。
【0094】
このようにして、コンテンツ再分配部175は、出力信号生成部174から得られるTLVストリームについて、コンテンツストリーマー10aからの3次元コンテンツに対応する4K映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスXの第1のIPデータフローと、AR映像信号のコンテンツデータを示す宛先IPアドレスYの第2のIPデータフローとに変換し、それぞれの宛先IPアドレスに対応する表示装置18における4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2に分配出力する。4Kデコーダ18‐1及びARデコーダ18‐2の各々は、表示装置18上において、4K映像信号とAR映像信号の合成により当該3次元コンテンツを表示するのに必要な復号処理を行う(図示略)。
【0095】
尚、送信装置11におけるTLV信号生成部112は、IPパケット形式のコンテンツを構成するそれぞれのコンテンツデータに対応する宛先IPアドレスを示すIPヘッダを付加したまま、コンテンツデータの種別毎のTLVパケット形式の信号に変換するように構成することができる。このように、TLVパケット内に、コンテンツストリーマー10aからのコンテンツデータの種別ごとのIP信号を構成するIPパケットに対しそのまま(IPヘッダ及びIPパケットペイロードを含む。)、TLVパケットペイロードに格納されている場合では、コンテンツ再分配部175は、出力信号生成部174から得られるTLVストリームの各TLVパケットからコンテンツデータ毎のTLVパケットペイロードを抽出することで、コンテンツストリーマー10aから送出されたものと同じ信号形式の3次元コンテンツの信号(情報ビットレートIallで伝送されたものとしたときと等価な信号)を復元することができる。
【0096】
この場合のコンテンツ再分配部175は、各コンテンツデータの信号順序を検証し、仮にその信号順にずれがあれば正しい信号順となるように並び替える機能を有するのが好適である。即ち、3次元コンテンツは、宛先IPアドレスXの第1のIPデータフロー及び宛先IPアドレスYの第2のIPデータフローにおける各IPパケット列にはそれぞれの信号順序を示す第1及び第2の信号源シーケンス番号が付与されており、更にはMMT信号が構成されているときは、第1のIPデータフローと第2のIPデータフローとを関連付けるパッケージ情報が記述されていることから、これらを利用して、信号順序を検証し、仮にその信号順にずれがあれば正しい信号順となるように並び替える構成とすることができる。
【0097】
(フラグに関する変形例)
図10(a)は、本発明による一実施例の送信装置11におけるTLV信号生成部112によって生成したコンテンツデータ毎のTLVパケットが1本に連なるTLV信号の例を示しており、
図10(b)は、本発明による変形例の送信装置11におけるフラグ付加部113によってTLVパケットの伝送路切り替えを指定するフラグを付加した例を示す図である。尚、
図10(a)は、
図5(a)と同図であり、TLV信号生成部112は、
図5(a)に例示した実施例と同様に、コンテンツデータの種別毎に順次生成したTLVパケット(TLVP)について、一つのTLVストリームとするTLV信号を構成する。
【0098】
そして、
図10(b)に示す本変形例では、フラグ付加部113は、
図5(b)に示す実施例とは異なり、全てのTLVパケットを対象に、伝送路切り替えを指定するフラグを、出力先とする伝送路毎のTLVパケットの直前のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに付加する。例えば、
図10(b)に示す本変形例では、4K映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケット(TLVP)が1以上連続するTLVパケットフロー(本例では、1つずつのTLVP)についてはm=2とする2つの衛星伝送路に分けて伝送し、AR映像信号のコンテンツデータを示すTLVパケットが1以上連続するTLVパケットフロー(本例では、5つずつのTLVP列)については、IP回線を用いて伝送するものとして、全てのTLVパケットを対象に、伝送路切り替えを指定するフラグを、出力先とする伝送路毎のTLVパケットの直前のTLVパケットにおけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに付加する。
【0099】
また、
図10(b)に示す変形例においても、伝送路切り替えを指定するフラグは、受信装置17側でのそのフラグ検出に基づくTLVストリームの復元を高精度化するために、伝送路の本数分(本例では、2つの衛星伝送路及びIP回線の3本分)で、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに対し、未定義領域(本例では“0x04~0xFD”)の範囲内の所定値からインクリメント(又はデクリメント)しながら付加するのが好適である。例えばIP回線出力を示すフラグは、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x04を、第1の衛星伝送路出力を示すフラグは、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x05を、第2の衛星伝送路出力を示すフラグは、対象とするTLVパケットのパケットタイプフィールドに付加するものとしてType=0x06を付加する。
【0100】
従って、
図5(b)に示した実施例、及び
図10(b)に示す変形例について、いずれも、送信装置11におけるフラグ付加部113は、伝送路切り替えを指定するフラグを、伝送路が切り替わる直前のTLVP(即ち、出力先とする伝送路毎のTLVパケットフロー先頭のTLVPの直前のTLVP)におけるTLVヘッダのパケットタイプフィールドに対し、少なくとも付加する。これにより、
図5(b)に示した実施例、及び
図10(b)に示す変形例については、いずれも受信装置17が実質的に同様に動作する。
【0101】
ただし、
図10(b)に示す変形例では、全てのTLVパケットを対象に伝送路切り替えを指定するフラグが付加されるため、
図5(b)に示した実施例のような「伝送路切り替えを指定するフラグとして用いない予め定めた値(例えば、Type=0xFD)の付加」が不要となることから、利用できる伝送路本数が実質的に1本増えることになる。また、本変形例では、受信装置17側で、全てのTLVパケットのTLVヘッダからフラグ検出を行って、「伝送路切り替えを示すフラグ」が「伝送路維持の識別」にも利用できるようになり、効率よくTLVストリームを復元することができる。
【0102】
以上のように構成した一実施例(変形例を含む。)の送信装置11及び受信装置17によれば、バルク伝送方式の伝送システム1aについて、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータ毎にバルク伝送することが可能となる。また、その際生じる送信装置11出力の信号ジッタを軽減することが可能となり、受信装置17後段のデコーダなどのメモリのオーバーフローなどによる映像破断を防ぐことが可能となる。
【0103】
上述した実施例(変形例を含む。)に関して、送信装置11又は受信装置17として機能するコンピュータを構成させ、送信装置11又は受信装置17の各手段を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。具体的には、各手段を制御するための制御部をコンピュータ内の中央演算処理装置(CPU)で構成でき、且つ、各手段を動作させるのに必要となるプログラムを適宜記憶する記憶部を少なくとも1つのメモリで構成させることができる。即ち、そのようなコンピュータに、CPUによって該プログラムを実行させることにより、上述した各手段の有する機能を実現させることができる。更に、各手段の有する機能を実現させるためのプログラムを、前述の記憶部(メモリ)の所定の領域に格納させることができる。そのような記憶部は、装置内部のRAM又はROMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。また、そのようなプログラムは、コンピュータで利用されるOS上のソフトウェア(ROM又は外部記憶装置に格納される)の一部で構成させることができる。更に、そのようなコンピュータに、各手段として機能させるためのプログラムは、コンピュータが読取り可能な記録媒体に記録することができる。また、上述した各手段をハードウェア又はソフトウェアの一部として構成させ、各々を組み合わせて実現させることもできる。
【0104】
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、上述した実施例では、ISDB-S3方式の伝送方式の衛星伝送路を放送伝送路として利用する形態を説明したが、例えばISDB-S3方式と伝送フレーム構成がほぼ同様とすることが予定されている次世代の4K・8K等の地上伝送路を放送伝送路として利用する形態とすることも可能である。また、上述した実施例では、送信装置11と、m台の送信機12とを別個に備える形態を説明したが、送信装置11内にm台の送信機12を包含するよう設けたものであってもよい。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、1つのコンテンツを構成する複数種のコンテンツデータの種別毎に伝送路を指定して、送信側の信号ジッタを軽減し受信側の映像破断を確実に防ぎつつ効率のよいバルク伝送が可能となるので、3次元コンテンツなどの大容量データの伝送を伝送路毎に分割して伝送するバルク伝送方式の伝送しシステムの用途に有用である。
【符号の説明】
【0106】
1,1a 伝送システム
10 信号源装置
10a コンテンツストリーマー
11 送信装置
12,12‐1,12‐2,…,12‐m 送信機
13,13‐1,13‐2,…,13‐m 送信アンテナ
14 放送衛星
15 受信アンテナ
16,16‐1,16‐2,…,16‐m 受信機
17 受信装置
18 表示装置
18‐1 4Kデコーダ
18‐2 ARデコーダ
19 IPネットワーク
111 コンテンツ分配部
112 TLV信号生成部
113 フラグ付加部
114 分割フレーム生成部
115 IPカプセル化部
171 分割フレーム再構成部
172 IPデカプセル化部
173 フラグ検出部
174 出力信号生成部
175 コンテンツ再分配部