(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030799
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基板固定装置及び基板固定装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240229BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240229BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240229BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/205
H01L21/302 101G
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133942
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】草間 泰彦
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030GA01
5F004BB22
5F004BB26
5F045EK07
5F045EM05
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA03
5F131CA06
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131KA03
5F131KA23
5F131KA47
5F131KA65
5F131KA67
(57)【要約】
【課題】基板載置面における温度の均一性を向上できる基板固定装置を提供する。
【解決手段】基板固定装置10は、第1接着面20Aを有するベースプレート20と、基板Wが載置される基板載置面31Aと、基板載置面31Aと反対側に設けられた第2接着面31Bとを有し、基板Wを吸着保持する静電チャック30と、ベースプレート20の第1接着面20Aと静電チャック30の第2接着面31Bとを接着する接着層50とを有する。静電チャック30は、第2接着面31Bに設けられた凹部35と、凹部35に収容された電子部品34と、凹部35を充填する充填部41と凹部35から突出するとともに先端が第1接着面20Aに接触する突出部42とを有する樹脂層40とを有する。突出部42は、充填部41と連続して一体に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着面を有するベースプレートと、
基板が載置される基板載置面と、前記基板載置面と反対側に設けられた第2接着面とを有し、前記基板を吸着保持する静電チャックと、
前記ベースプレートの前記第1接着面と前記静電チャックの前記第2接着面とを接着する接着層と、を有し、
前記静電チャックは、
前記第2接着面に設けられた凹部と、
前記凹部に収容された電子部品と、
前記凹部を充填する充填部と、前記凹部から突出するとともに先端が前記第1接着面に接触する突出部とを有する樹脂層と、を有し、
前記突出部は、前記充填部と連続して一体に形成されている基板固定装置。
【請求項2】
前記突出部の先端は、平面に形成された先端面を有する請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項3】
前記先端面は、研磨面である請求項2に記載の基板固定装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記充填部よりも平面形状が大きく形成されており、
前記突出部は、前記凹部の周縁に位置する前記第2接着面を被覆するように形成されている請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項5】
前記突出部の側面は、前記第2接着面から前記第1接着面に向かうに連れて、前記突出部の平面中心に近づくように湾曲する曲面に形成されており、
前記接着層は、前記突出部の側面全面を被覆している請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項6】
前記静電チャックは、前記基板を吸着するための電極と、前記基板を加熱するための発熱体とを内蔵しており、
前記電子部品は、前記電極又は前記発熱体と電気的に接続される請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項7】
前記ベースプレートは、冷却媒体が流れる冷却路を有する請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項8】
第1接着面を有するベースプレートを準備する工程と、
基板が載置される基板載置面と、前記基板載置面と反対側に設けられた第2接着面とを有し、前記第2接着面に凹部が形成された基板本体を準備する工程と、
前記凹部に電子部品を収容する工程と、
前記凹部を充填する充填部と、前記充填部と連続して一体に形成されるとともに前記凹部から突出する突出部とを有する樹脂層を形成する工程と、
前記基板本体と前記電子部品と前記樹脂層とを有する静電チャックの前記第2接着面と、前記ベースプレートの前記第1接着面との間に、半硬化状態の接着層と、前記突出部とを配置する工程と、
前記静電チャック及び前記ベースプレートを加熱しながらプレスして、前記突出部の先端を前記第1接着面に接触させた状態で前記接着層を硬化させる工程と、
を有する基板固定装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層を形成する工程の後に、
前記突出部の先端を研磨して、前記突出部の先端に平面をなす先端面を形成する工程を更に有する請求項8に記載の基板固定装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板固定装置及び基板固定装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置を製造する際に使用される成膜装置やプラズマエッチング装置は、シリコンウェハ等の基板を真空の処理室内に精度良く保持するためのステージを有する。このようなステージとしては、例えば、ベースプレートに搭載された静電チャックにより基板を吸着保持する基板固定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
基板固定装置は、金属製のベースプレートと、ベースプレート上に搭載された静電チャックと、ベースプレートと静電チャックとを接着する接着層とを有している。静電チャックは、基板を吸着するための電極と、被吸着物である基板の温度を制御するための発熱体とを内蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した基板固定装置では、基板を吸着する静電チャックの基板載置面において、発熱密度のばらつきが生じる場合がある。このような発熱密度のばらつきは、基板における温度のばらつきを生じさせる。基板温度のばらつきは、例えばプラズマエッチング装置において、エッチングレートのばらつきを生じさせることになるため、半導体素子の歩留まりを低下させる要因となる。そこで、静電チャックの基板載置面における温度の均一性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1接着面を有するベースプレートと、基板が載置される基板載置面と、前記基板載置面と反対側に設けられた第2接着面とを有し、前記基板を吸着保持する静電チャックと、前記ベースプレートの前記第1接着面と前記静電チャックの前記第2接着面とを接着する接着層と、を有し、前記静電チャックは、前記第2接着面に設けられた凹部と、前記凹部に収容された電子部品と、前記凹部を充填する充填部と、前記凹部から突出するとともに先端が前記第1接着面に接触する突出部とを有する樹脂層と、を有し、前記突出部は、前記充填部と連続して一体に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一観点によれば、基板載置面における温度の均一性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の基板固定装置を示す概略断面図である。
【
図2】一実施形態の基板固定装置の一部を示す概略断面図である。
【
図3】一実施形態の基板固定装置の一部を示す概略平面図である。
【
図4】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図5】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図6】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図7】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図8】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図9】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図11】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図12】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【
図13】一実施形態の基板固定装置の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
(基板固定装置10の全体構成)
図1に示すように、基板固定装置10は、ベースプレート20と、静電チャック30と、接着層50とを有している。ベースプレート20は、静電チャック30を搭載するためのベース部材である。静電チャック30は、被吸着物である基板Wを吸着保持する部分である。静電チャック30は、例えば、基板Wの温度を調整する温度調整装置である。なお、基板Wは、例えば、シリコンウェハである。
【0011】
(ベースプレート20の構成)
ベースプレート20は、例えば、円形板状に形成されている。ベースプレート20の平面形状は、例えば、円形とすることができる。ベースプレート20の直径は、例えば、200mm~300mm程度とすることができる。ベースプレート20の厚さは、例えば、20mm~50mm程度とすることができる。
【0012】
ベースプレート20の材料としては、例えば、アルミニウムや超硬合金等の金属材料や、その金属材料とセラミックス材との複合材料等を用いることができる。ベースプレート20は、例えば、プラズマを制御するための電極等として利用することもできる。例えば、ベースプレート20に所定の高周波電力を給電することにより、発生したプラズマ状態にあるイオン等を静電チャック30上に吸着された基板Wに衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。
【0013】
ベースプレート20は、第1接着面20A(ここでは、上面)を有している。第1接着面20Aは、接着層50と接着される面である。第1接着面20Aは、静電チャック30と対向している。ここで、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0014】
ベースプレート20の内部には、例えば、冷却路21が設けられている。冷却路21は、一端に設けられた導入部22と、他端に設けられた排出部23とを有している。冷却路21は、例えば、基板固定装置10の外部に設けられた冷却媒体制御装置(図示略)に接続されている。冷却媒体制御装置は、導入部22から冷却路21に冷却媒体を導入し、排出部23から冷却媒体を排出する。冷却路21に冷却媒体を循環させてベースプレート20を冷却することにより、静電チャック30上に吸着された基板Wを冷却することができる。なお、冷却媒体としては、例えば、水やガルデンを用いることができる。ベースプレート20には、冷却路21の他に、静電チャック30上に吸着された基板Wを冷却する不活性ガスを導入するガス路等を設けてもよい。
【0015】
(静電チャック30の構成)
静電チャック30は、例えば、円形板状に形成されている。静電チャック30の平面形状は、例えば、円形とすることができる。静電チャック30の直径は、例えば、ベースプレート20の直径と等しくてもよいし、ベースプレート20の直径よりも大きくてもよい。本実施形態の静電チャック30の直径は、ベースプレート20の直径と等しい。静電チャック30の直径は、例えば、200mm~300mm程度とすることができる。静電チャック30の厚さは、例えば、1mm~10mm程度とすることができる。
【0016】
静電チャック30は、例えば、基板本体(基体)31と、基板本体31に内蔵された静電電極32及び発熱体33と、基板本体31に内蔵された電子部品34と、樹脂層40とを有している。静電チャック30は、例えば、ジョンセン・ラーベック型静電チャックである。なお、静電チャック30は、クーロン力型静電チャックであってもよい。
【0017】
基板本体31は、基板Wが載置される基板載置面31A(ここでは、上面)と、基板載置面31Aと反対側に設けられた第2接着面31B(ここでは、下面)とを有している。基板載置面31Aと第2接着面31Bとは、基板本体31の厚さ方向(図中上下方向)において、互いに反対側に設けられている。例えば、基板載置面31Aと第2接着面31Bとは、互いに平行に形成されている。
【0018】
基板本体31の材料としては、例えば、絶縁性を有する材料を用いることができる。例えば、基板本体31の材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等のセラミックスや、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機材料を用いることができる。本実施形態では、入手のし易さ、加工のし易さ、プラズマ等に対する耐性が比較的高いなどの点から、基板本体31の材料として、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを採用している。とくに、基板本体31の材料として窒化アルミニウムを使用した場合には、その熱伝導率が15W/mK~250W/mK程度と大きいため、静電チャック30に吸着した基板Wの面内の温度差を小さくする上で好ましい。
【0019】
基板本体31の第2接着面31Bには、複数の凹部35が設けられている。各凹部35は、第2接着面31Bから基板載置面31Aに向かって凹むように形成されている。各凹部35の深さは、例えば、800μm~1000μm程度とすることができる。各凹部35の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。各凹部35の平面形状は、例えば、円形状や楕円形状に形成することができる。
【0020】
静電電極32は、基板Wを吸着するための電極である。静電電極32は、薄膜状に形成された電極である。静電電極32は、基板本体31に内蔵されている。静電電極32は、例えば、基板本体31の厚さ方向において基板載置面31Aの近傍に位置する部分に内蔵されている。静電電極32は、例えば、基板載置面31Aと平行な平面上に配置されている。静電電極32は、基板固定装置10の外部に設けられた吸着用電源(図示略)と電気的に接続される。静電電極32は、吸着用電源から所定の電圧が印加されると、基板載置面31Aに載置された基板Wとの間に静電気による吸着力を発生させる。これにより、基板載置面31A上に基板Wを吸着保持することができる。静電チャック30における吸着保持力は、静電電極32に印加される電圧が高いほど強くなる。静電電極32は、単極形状であってもよいし、双極形状であってもよい。静電電極32の材料としては、例えば、タングステン(W)やモリブデン(Mo)を用いることができる。なお、各図面では、1つの静電電極32として示しているが、実際には同一平面上に配置された複数の電極を含む。
【0021】
複数の発熱体33は、基板Wを加熱するためのものである。複数の発熱体33は、基板本体31に内蔵されている。複数の発熱体33は、例えば、基板本体31の厚さ方向において、静電電極32と第2接着面31Bとの間に内蔵されている。複数の発熱体33は、例えば、基板載置面31Aと平行な平面上に配置されている。各発熱体33は、静電電極32と電気的に絶縁されている。発熱体33の材料としては、例えば、銅(Cu)、タングステン、ニッケル(Ni)、コンスタンタン(Cu/Ni/Mn/Feの合金)等を用いることができる。発熱体33の厚さは、例えば、20μm~100μm程度とすることができる。複数の発熱体33は、例えば、同心円状のパターンとすることができる。
【0022】
複数の発熱体33は、基板固定装置10の外部に設けられた加熱用電源(図示略)と電気的に接続される。複数の発熱体33は、加熱用電源から印加される電圧に応じて発熱する。複数の発熱体33は、基板本体31の基板載置面31Aが所定の温度となるように加熱する。発熱体33は、例えば、基板載置面31Aの温度を250℃~300℃程度まで加熱することができる。
【0023】
電子部品34は、凹部35に収容されている。電子部品34は、凹部35の底面に設けられている。電子部品34は、例えば、静電電極32又は発熱体33と電気的に接続されている。電子部品34は、例えば、基板載置面31Aの温度制御等に利用される電子部品である。電子部品34としては、例えば、ダイオード、キャパシタやサーミスタ等を用いることができる。
【0024】
(樹脂層40の構成)
樹脂層40は、例えば、各凹部35に収容された電子部品34を封止するように形成されている。樹脂層40の材料としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等を用いることができる。樹脂層40の材料としては、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることもできる。
【0025】
図2に示すように、各樹脂層40は、凹部35を充填する充填部41と、凹部35から突出するとともに先端がベースプレート20の第1接着面20Aに接触する突出部42とを有している。各樹脂層40は、充填部41と突出部42とが連続して一体に形成されている。各樹脂層40は、例えば、単一層により構成されている。
【0026】
充填部41は、電子部品34の全体を被覆するように形成されている。充填部41は、例えば、凹部35内に収容された電子部品34を保護する機能と、電子部品34を凹部35内に固定する機能とを有している。充填部41は、例えば、電子部品34の側面全面を被覆するように形成されている。充填部41は、電子部品34の下面全面を被覆するように形成されている。充填部41は、例えば、電子部品34から露出する凹部35全面を被覆するように形成されている。充填部41は、例えば、電子部品34から露出する凹部35の底面全面を被覆するように形成されている。充填部41は、例えば、凹部35の内側面全面を被覆するように形成されている。なお、図示は省略するが、電子部品34は、例えば、上面に電極が設けられている。
【0027】
突出部42は、第2接着面31Bよりもベースプレート20の第1接着面20Aに向かって突出している。突出部42は、第2接着面31Bから下方に突出する柱状に形成されている。突出部42は、第2接着面31Bからベースプレート20の第1接着面20Aまで延びている。突出部42の先端は、ベースプレート20の第1接着面20Aに接触している。突出部42は、例えば、充填部41の平面形状よりも大きく形成されている。突出部42の平面形状は、例えば、充填部41の平面形状よりも一回り大きく形成されている。突出部42は、例えば、充填部41から外側に広がるように形成されている。突出部42は、凹部35の周縁に位置する第2接着面31Bを被覆するように形成されている。突出部42の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。突出部42の平面形状は、例えば、凹部35の平面形状と同様の形状に形成することができる。突出部42の平面形状は、例えば、円形状や楕円形状に形成することができる。
【0028】
突出部42は、例えば、側面42Aと、突出部42の先端に設けられた先端面42Bとを有している。突出部42は、例えば、全体として半球状又は半楕円球状に形成されている。突出部42の側面42Aは、例えば、円弧状に湾曲する曲面に形成されている。突出部42の側面42Aは、例えば凸状の曲面に形成されている。突出部42の側面42Aは、例えば、第2接着面31Bから第1接着面20Aに向かうに連れて、突出部42の平面中心に近づくように湾曲するように形成されている。
【0029】
突出部42の先端面42Bは、例えば、平面に形成されている。突出部42の先端面42Bは、例えば、第2接着面31Bと平行に広がるように形成されている。突出部42の先端面42Bは、例えば、第1接着面20Aと平行に広がるように形成されている。突出部42は、先端面42B全面が第1接着面20Aに接触するように設けられている。
【0030】
突出部42の先端面42Bは、例えば、凹凸が少ない平滑面である。突出部42の先端面42Bは、例えば、研磨面である。突出部42の先端面42Bは、例えば、突出部42の側面42Aよりも表面粗度が小さくなっている。先端面42Bの平面形状は、例えば、凹部35の平面形状と同様の形状に形成することができる。先端面42Bの平面形状は、例えば、円形状や楕円形状に形成することができる。
【0031】
突出部42の厚さ、つまり第2接着面31Bから先端面42Bまでの厚さは、接着層50の厚さの設計値(目標値)に応じて設定されている。突出部42の厚さは、接着層50の厚さの設計値と等しくなるように設定されている。突出部42は、接着層50の厚さが所望の厚さとなるように制御するための凸構造として機能する。突出部42は、例えば、静電チャック30上でベースプレート20を支持する支柱として機能する。突出部42は、例えば、第2接着面31Bと第1接着面20Aとの間の間隔を所望の厚さに維持するためのスペーサとして機能する。突出部42の厚さは、例えば、50μm~2000μm程度にすることができる。
【0032】
図1に示すように、複数の突出部42は、互いに厚さが同一になるように形成されている。このため、複数の突出部42の各々は、先端面42Bがベースプレート20の第1接着面20Aに接触するように形成されている。
【0033】
図3に示すように、複数の突出部42は、例えば、平面視において、互いに離れて設けられている。複数の突出部42は、例えば、第2接着面31B上に分散して設けられている。複数の突出部42は、例えば、基板固定装置10の厚さ方向に垂直な面内において、少なくとも、同一直線上にない3点に設けられている。複数の突出部42は、例えば、第2接着面31Bの四方に分散して設けられている。なお、
図3は、基板固定装置10を下方から見た平面図であり、ベースプレート20及び接着層50が透視的に描かれている。
【0034】
図1に示すように、複数の突出部42は、例えば、ベースプレート20の第1接着面20Aに対して静電チャック30の第2接着面31Bが傾かないように、静電チャック30上にベースプレート20を支持可能なように設けられている。このような突出部42を設けたことにより、接着層50の厚さの面内均一性を向上させることができる。
【0035】
(接着層50の構成)
接着層50は、ベースプレート20上に静電チャック30を接着している。接着層50は、例えば、静電チャック30の熱をベースプレート20に伝導する。すなわち、接着層50は、ベースプレート20と静電チャック30とを接着する接着剤として機能するとともに、熱伝導部材としても機能する。接着層50の材料としては、例えば、熱伝導率の高い材料を用いることができる。接着層50の材料としては、シリコーン系接着剤を用いることができる。接着層50は、1層により形成してもよいし、複数の接着層を積層した積層構造に形成してもよい。例えば、接着層50を、熱伝導率が高い接着剤と弾性率が低い接着剤とを組み合わせた2層構造とすることにより、アルミニウム製のベースプレート20との熱膨張差から生じるストレスを低減させる効果が得られる。
【0036】
接着層50の厚さは、突出部42の厚さと等しい。接着層50の厚さは、例えば、50μm~2000μm程度にすることができる。接着層50は、例えば、突出部42により規定された静電チャック30とベースプレート20との間の隙間を充填するように形成されている。接着層50は、例えば、突出部42の側面42A全面を被覆するように形成されている。
【0037】
(基板固定装置10の製造方法)
次に、基板固定装置10の製造方法について説明する。
まず、
図4に示す工程では、セラミックス材料と有機材料からなるグリーンシート61,62,63,64を準備する。各グリーンシート61,62,63,64は、例えば、アルミナをバインダや溶剤等と混合したシート状のものである。各グリーンシート61,62,63,64の平面形状の大きさは、
図1に示した静電チャック30の平面形状の大きさに対応する。
【0038】
グリーンシート61は、後述する工程において焼成されることにより、
図1に示した基板Wが搭載される部分の基板本体31となるものである。グリーンシート62は、後述する工程において焼成されることにより、
図1に示した静電電極32を形成するためのものであり、静電電極32と発熱体33との間の部分の基板本体31となるものである。グリーンシート63は、後述する工程において焼成されることにより、
図1に示した発熱体33を形成するためのものであり、発熱体33と凹部35との間の部分の基板本体31となるものである。グリーンシート64は、後述する工程において焼成されることにより、接着層50に接着される部分の基板本体31となるものである。グリーンシート64には、グリーンシート64を厚さ方向に貫通する貫通孔64Xが設けられている。貫通孔64Xは、
図1に示した凹部35に対応する位置に設けられている。貫通孔64Xの平面形状の大きさは、
図1に示した凹部35の平面形状の大きさに応じて設定されている。なお、貫通孔64Xは、例えば、レーザ加工法や機械加工法によって形成される。
【0039】
次に、
図5に示す工程では、グリーンシート62の上面に、例えば印刷法(スクリーン印刷)により、導体ペースト(例えば、タングステンペースト)を用いて配線パターン71を形成する。この配線パターン71は、後述する工程において焼成されることにより、
図1に示した静電電極32となるものである。なお、導体ペーストとしては、モリブデン等の金属粒子あるいは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。なお、配線パターン71は、グリーンシート61の下面に形成されてもよい。
【0040】
また、
図5に示す工程では、グリーンシート63の上面に、例えば印刷法(スクリーン印刷)により、導体ペースト(例えば、タングステンペースト)を用いて導体パターン72を形成する。この導体パターン72は、後述する工程において焼成されることにより、
図1に示した発熱体33となるものである。なお、導体ペーストとしては、モリブデン等の金属粒子あるいは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。なお、導体パターン72は、グリーンシート62の下面に形成されてもよい。
【0041】
続いて、
図6に示す工程では、グリーンシート64の上に、導体パターン72が形成された面を上にした状態のグリーンシート63と、配線パターン71が形成された面を上にした状態のグリーンシート62と、グリーンシート61とを順に積層する。グリーンシート61,62,63,64は、例えば、加熱しながら加圧することにより、互いに接着される。本工程により、グリーンシート64の貫通孔64Xの上方側の開口がグリーンシート63により塞がれる。
【0042】
次いで、
図7に示す工程では、
図6に示した構造体を焼成する。これにより、
図6に示したグリーンシート61,62,63,64が焼結されて基板本体31が得られる。焼成する際の温度は、例えば、1500℃~1600℃である。この基板本体31は、
図6に示した配線パターン71が焼結されて得られた静電電極32を内蔵するとともに、
図6に示した導体パターン72が焼結されて得られた発熱体33を内蔵する。
【0043】
次に、基板本体31の上下両面が研磨される。これにより、基板本体31の上面が基板載置面31Aに形成され、基板本体31の下面が第2接着面31Bに形成される。そして、研磨後の基板本体31は、第2接着面31Bに複数の凹部35を有している。
【0044】
続いて、凹部35の底面に電子部品34を搭載する。例えば、凹部35の底面に露出する電極パッド(図示略)に電子部品34の電極を接合する。なお、凹部35の底面に露出する電極パッドは、例えば、静電電極32又は発熱体33と電気的に接続される。
【0045】
次いで、
図8に示す工程では、凹部35を充填する樹脂層40を形成する。樹脂層40は、凹部35を充填する充填部41と、凹部35から突出する突出部42とを有するように形成される。このとき、突出部42は、例えば、半球状又は半楕円球状に形成される。本工程における突出部42の先端は、円弧状に湾曲した曲面に形成される。樹脂層40は、例えば、液状の絶縁樹脂をポッティングにより凹部35内に塗布した後に、上記絶縁樹脂を加熱により硬化させることによって形成できる。なお、
図8において、同図に示す構造体は
図7とは上下反転して描かれている。
【0046】
次に、
図9に示す工程では、突出部42の厚さが所望の厚さになるまで突出部42の先端(図中上端)を研磨する。例えば、突出部42の厚さが
図1に示した接着層50の厚さの設計値になるまで突出部42の先端を研磨する。これにより、複数の突出部42の厚さを互いに等しくすることができる。例えば、
図8に示した工程において複数の突出部42の厚さにばらつきが生じる場合であっても、本工程の研磨により、複数の突出部42の厚さを揃えることができる。また、本工程の研磨により、突出部42の先端に、研磨面となる平面状の先端面42Bが形成される。なお、突出部42の研磨は、例えば、機械研磨や化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により行うことができる。
【0047】
図10に示すように、以上の製造工程により、静電チャック30を製造することができる。なお、
図10において、静電チャック30は
図9とは上下反転して描かれている。
また、
図10に示す工程では、静電チャック30とは別に、予め冷却路21等が形成されたベースプレート20を準備する。
【0048】
続いて、
図11に示す工程では、ベースプレート20の第1接着面20Aに接着層50を半硬化状態(B-ステージ)で形成する。次いで、静電チャック30の第2接着面31Bが接着層50に対向するようにして、静電チャック30を接着層50上に配置する。本工程により、樹脂層40の突出部42が半硬化状態の接着層50の内部に食い込む。例えば、本工程では、突出部42の厚さよりも接着層50の厚さが厚く設定されているため、突出部42の先端面42Bがベースプレート20の第1接着面20Aに接触していない。
【0049】
次に、
図12に示す工程では、
図11に示した構造体を定盤80上に載置する。このとき、
図11に示した構造体を上下反転させ、静電チャック30の基板載置面31Aが定盤80の上面に対向するようにして、
図11に示した構造体を定盤80上に載置する。続いて、ベースプレート20に荷重を印加しながら(図中矢印参照)、オーブン等を用いて、接着層50を硬化温度以上に加熱して硬化させる。すなわち、静電チャック30及びベースプレート20を加熱しながらプレスして接着層50を硬化させる。本工程の加圧により突出部42の先端面42Bがベースプレート20の第1接着面20Aに接触すると、突出部42が静電チャック30とベースプレート20との間のスペーサとして機能する。これにより、静電チャック30及びベースプレート20の積層方向に垂直な面内において、ベースプレート20の第1接着面20Aと静電チャック30の第2接着面31Bとの間の間隔を均一にすることができる。このため、接着層50の厚さの優れた面内均一性を得ることができる。すなわち、静電チャック30及びベースプレート20の積層方向に垂直な面内において、接着層50の厚さを均一に形成することができる。したがって、静電チャック30の基板載置面31Aにおける温度のばらつきを抑制でき、優れた均熱特性を得ることができる。
【0050】
以上の製造工程により、定盤80上に基板固定装置10を製造することができる。
その後、
図13に示すように、
図12に示した定盤80から基板固定装置10を取り外し、その基板固定装置10を上下反転させる。これにより、本実施形態の基板固定装置10を製造することができる。
【0051】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)基板固定装置10は、第1接着面20Aを有するベースプレート20と、基板Wが載置される基板載置面31Aと、基板載置面31Aと反対側に設けられた第2接着面31Bとを有し、基板Wを吸着保持する静電チャック30とを有する。基板固定装置10は、ベースプレート20の第1接着面20Aと静電チャック30の第2接着面31Bとを接着する接着層50を有する。静電チャック30は、第2接着面31Bに設けられた凹部35と、凹部35に収容された電子部品34とを有する。静電チャック30は、凹部35を充填する充填部41と、凹部35から突出するとともに先端が第1接着面20Aに接触する突出部42とを有する樹脂層40を有する。突出部42は、充填部41と連続して一体に形成されている。
【0052】
この構成によれば、樹脂層40の突出部42が、静電チャック30とベースプレート20との間のスペーサとして機能する。これにより、接着層50の厚さの優れた面内均一性を得ることができる。すなわち、静電チャック30及びベースプレート20の積層方向に垂直な面内において、接着層50の厚さを均一に形成することができる。したがって、静電チャック30の基板載置面31Aにおける温度のばらつきを抑制でき、基板載置面31Aにおける温度の均一性を向上させることができる。
【0053】
(2)電子部品34が収容された凹部35を充填する充填部41と、凹部35から突出する突出部42とを有する樹脂層40を形成した後に、突出部42が所望の厚さになるように突出部42を研磨するようにした。ここで、従来の基板固定装置では、突出部42の先端面が静電チャック30の第2接着面31Bと面一になるように研磨されていた。これに対し、本実施形態の基板固定装置10では、突出部42を研磨する量のみを変更することにより、突出部42を意図的に残し、その突出部42を接着層50の厚さを制御する凸構造として機能させるようにした。このため、本実施形態の基板固定装置10の製造方法では、従来の基板固定装置の製造方法から製造工程が増えることを好適に抑制できる。
【0054】
(3)突出部42の先端は、平面に形成された先端面42Bを有する。この構成によれば、突出部42の先端面42Bとベースプレート20の第1接着面20Aとの接触面積を増大させることができる。このため、突出部42によってベースプレート20を安定して支持することができる。
【0055】
(4)突出部42は、充填部41よりも平面形状が大きく形成されている。この構成によれば、突出部42の平面形状が充填部41の平面形状と同じ大きさに形成される場合に比べて、突出部42によってベースプレート20を安定して支持することができる。
【0056】
(5)突出部42の側面42Aは、第2接着面31Bから第1接着面20Aに向かうに連れて、突出部42の平面中心に近づくように湾曲する曲面に形成されている。この構成によれば、突出部42のうち第2接着面31B側の基端部分、つまりベースプレート20を支持する際の土台となる部分の平面形状を大きく形成することができる。このため、突出部42によってベースプレート20を安定して支持することができる。
【0057】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・上記実施形態では、1つの凹部35に1つの電子部品34を収容するようにしたが、これに限定されない。例えば、1つの凹部35に複数の電子部品34を収容するようにしてもよい。このとき、1つの凹部35に収容される複数の電子部品34は、互いに異なる種類の電子部品であってもよい。
【0059】
・上記実施形態における凹部35の数は特に限定されない。例えば、凹部35の数は、3個であってもよいし、5個以上であってもよい。
・上記実施形態における突出部42の数は特に限定されない。例えば、突出部42の数は、3個であってもよいし、5個以上であってもよい。例えば、複数の凹部35の全てに対して突出部42を設ける必要はない。すなわち、複数の樹脂層40には、充填部41のみにより構成される樹脂層40が含まれていてもよい。
【0060】
・上記実施形態における突出部42の先端面42Bは、平面に限定されず、例えば、凸状の曲面であってもよい。
・上記実施形態における突出部42の側面42Aは、曲面に限定されず、例えば、平面であってもよい。
【0061】
・上記実施形態の樹脂層40では、突出部42の平面形状を、充填部41の平面形状よりも大きく形成したが、これに限定されない。例えば、突出部42の平面形状を、充填部41の平面形状と同じ大きさに形成してもよい。例えば、突出部42の平面形状を、充填部41の平面形状よりも小さく形成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
W 基板
10 基板固定装置
20 ベースプレート
20A 第1接着面
21 冷却路
30 静電チャック
31 基板本体
31A 基板載置面
31B 第2接着面
32 静電電極(電極)
33 発熱体
34 電子部品
35 凹部
40 樹脂層
41 充填部
42 突出部
42A 側面
42B 先端面
50 接着層