(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003084
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】撮影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20231228BHJP
G03B 7/16 20210101ALI20231228BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20231228BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20231228BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20231228BHJP
H04N 23/74 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B7/16
G03B15/02 V
G03B15/03 X
H04N23/56
H04N23/74
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187903
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2022047053の分割
【原出願日】2013-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶子
(57)【要約】
【課題】レリーズタイムラグの少ない撮影装置を提供する。
【解決手段】撮影装置は、被写体を照明する光を発光する発光部が取り付けられる取り付け部と、前記発光部の発光により照明された前記被写体からの光を測光する測光部と、前記測光部の測光に基づき、前記被写体の撮像に伴う前記発光部の発光量を決定する発光量決定部と、前記発光量決定部で決定した発光量で、第1の撮像における前記発光部の発光を行い、前記第1の撮像の後の第2の撮像の前に、前記第1の撮像における発光量を決定した測光を行った発光量で、前記発光部を発光して測光する制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明する光を発光する発光部が取り付けられる取り付け部と、
前記発光部の発光により照明された前記被写体からの光を測光する測光部と、
前記測光部の測光に基づき、前記被写体の撮像に伴う前記発光部の発光量を決定する発光量決定部と、
前記発光量決定部で決定した発光量で、第1の撮像における前記発光部の発光を行い、前記第1の撮像の後の第2の撮像の前に、前記第1の撮像における発光量を決定した測光を行った発光量で、前記発光部を発光して測光する制御を行う制御部と、
を備える撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明を用いて撮影を行う際に、本撮影の前に行われた予備発光(プリ発光、モニタ発光)の結果を用いて本発光量を算出する撮影装置がある。さらに、1回目の予備発光結果の受光量が所定値以下の場合、1回目よりも発光強度を大きくした2回目の予備発光を指示する撮影装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、連写撮影時など、前回撮影したときと同じような撮影状況にも関わらず、常に複数回の予備発光を行うと、毎回のレリーズタイムラグが伸びてしまうことになる。
【0005】
本発明の課題は、レリーズタイムラグの少ない撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。
【0007】
本発明は、被写体を照明する光を発光する発光部が取り付けられる取り付け部と、前記発光部の発光により照明された前記被写体からの光を測光する測光部と、前記測光部の測光に基づき、前記被写体の撮像に伴う前記発光部の発光量を決定する発光量決定部と、前記発光量決定部で決定した発光量で、第1の撮像における前記発光部の発光を行い、前記第1の撮像の後の第2の撮像の前に、前記第1の撮像における発光量を決定した測光を行った発光量で、前記発光部を発光して測光する制御を行う制御部と、を備える撮影装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レリーズタイムラグの少ない撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるカメラの一実施形態を示した図である。
【
図2】本実施形態における各部の動作タイミングを示した図である。
【
図3】カメラ制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明によるカメラ1の一実施形態を示した図である。以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すカメラ1は、カメラ本体10と、カメラ本体10に着脱されるレンズ鏡筒22とを備える一眼レフデジタルスチルカメラ1である。
【0011】
本実施形態のカメラ1は、カメラ本体10にレンズ鏡筒22が交換可能に装着される。
カメラ本体10は被写体像を撮像して画像を記録するための撮影用撮像素子21を備える。この撮影用撮像素子21はCCDやCMOSなどにより構成することができる。
撮影時にはクイックリターンミラー11およびサブミラー23が実線で示す撮影光路外の位置に退避してレリーズスイッチ20が開放され、レンズ鏡筒22の撮影光学系により撮影用撮像素子21の受光面に被写体像が結像される。
【0012】
カメラ本体10の底部には、レンズ鏡筒22の焦点調節状態を検出するための焦点検出光学系24と測距素子25が設けられている。
焦点検出光学系24は、レンズ鏡筒22を通過した対の焦点検出用光束を測距素子25の受光面へ導き、対の光像を結像させる。
測距素子25は例えば対のCCDラインセンサーを備え、対の光像に応じた焦点検出信号を出力する。
【0013】
撮影前にはクイックリターンミラー11およびサブミラー23が破線で示すような撮影光路内の位置に設定されており、レンズ鏡筒22からの対の焦点検出用光束はクイックリターンミラー11のハーフミラー部を透過し、サブミラー23により反射されて焦点検出光学系24および測距素子25へ導かれる。
【0014】
カメラ本体10の上部にはファインダー光学系が設けられている。撮影前にはクイックリターンミラー11およびサブミラー23が破線で示す位置にあり、レンズ鏡筒22からの被写体光はクイックリターンミラー11に反射されて焦点板12へ導かれ、焦点板12上に被写体像が結像する。
【0015】
液晶表示素子13は、焦点板12上に結像された被写体像に焦点検出エリアマークなどの情報を重畳表示するとともに、被写体像外の位置に露出値などの種々の撮影情報を表示する。焦点板12上の被写体像はペンタダハプリズム14および接眼レンズ15を介して接眼窓16へ導かれ、撮影者が被写体像を視認することができる。
【0016】
また、カメラ本体10上部のファインダー光学系には、(被写体追尾や)測光のために被写体像を撮像する測光センサ19が設けられる。撮影前に焦点板12に結像した被写体像は、ペンタダハプリズム14、プリズム17および結像レンズ18を介して測光センサ19の受光面に再結像される。測光センサ19は被写体像に応じた画像信号を出力する。
【0017】
測光センサ19は比較的高解像な撮像素子であり、RGBの原色フィルターを設けることで、結像画像のRGBの各色情報を得ることが可能となる。
【0018】
カメラ本体10には、カメラ制御部30が設けられている。カメラ制御部30はカメラ1の種々の制御と演算を行う。
【0019】
レリーズスイッチ20の全押しにより撮影が実行される場合にはクイックリターンミラー11が実線で示す位置に回動し、被写体光はレリーズスイッチ20を介して撮影用撮像素子21上に結像する。
【0020】
カメラ本体10には内蔵または外付けの照明装置26が備えられている。
照明装置26は、キセノン管29、反射板27、及び発光制御部28とを備える。発光制御部28は、カメラ制御部30からの指示によりキセノン管29の発光制御を行う。
【0021】
カメラ制御部30は、レリーズスイッチ全押しにより撮影が実行される際に、クイックリターンミラー11が点線位置にある状態にて照明装置26に予備発光を行わせる。
カメラ制御部30は、その予備発光時における被写体からの反射光を測光センサ19によって受光して、その反射光量(予備発光時測光値)に基づいて本発光時の発光量を出する。
【0022】
カメラ制御部30は、算出した本発光量を照明装置26の発光制御部28に通知し、クイックリターンミラー11を実線位置に回動させ、撮影用の露光時のタイミングで、照明装置26に指示した発光量にて本発光を行わせる。
【0023】
次に、
図2、3に基づき、本実施形態における制御を示す。
図2は本実施形態における各部の動作タイミングを示した図である。
図3はカメラ制御部30の動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、カメラ制御部30は、レリーズスイッチ20を介して撮影指示が入力されると(
図2のt1,
図3のステップS01,YES)と、所定の発光量の第1予備発光を照明装置26に指示する。この指示により照明装置26は第1予備発光を行う(
図2のt2,
図3のステップS02)。
【0025】
カメラ制御部30は、第1予備発光のタイミングで、測光センサ19にて露光を行い、第1予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS03)。
【0026】
次いで、第1予備発光による反射光量が本発光の発光量を決定するのに十分であったか、即ち第2予備発光が必要かどうかを判定する(ステップS04)。
第2予備発光が不要な場合(ステップS04,NO)はステップS07へ進み、第2予備発光が必要な場合(ステップS04,YES)はステップS05へ進む。
なお、第2予備発光は、第1予備発光よりも強い発光量で行うものであり、第1予備発光において被写体からの反射光が十分な測光に不十分だった場合に、より強い第2予備発光を行うものである。
【0027】
カメラ制御部30は、第2予備発光が必要であると判断した場合(ステップS04,YES)、照明装置26に第2発光量を指示し、第2予備発光を行わせる(
図2のt3,
図3のステップS05)。
第2予備発光のタイミングで測光センサ19にて露光を行い、第2予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS06)。
そして、第2予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(
図2のt4,
図3のステップS07)することで、1枚目の撮影が終了する。
【0028】
一方、ステップS04において第2予備発光は不要と判断した場合は、第1予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(ステップS07)することで、1枚目の撮影が終了する。
【0029】
ステップS07のあと、所定時間内に次の撮影指示がない場合(ステップS08,NO)、終了する。
ステップS07のあと、所定時間内に次の撮影指示があった場合(ステップS08,YES)、連写中か否かを判定する(ステップS09)。
【0030】
連写中であると判定した場合(ステップS9,YES)は、前回の撮影時に本発光量を決定するのに使用した予備発光が、第1予備発光か第2予備発光のどちらであったかを判断する(ステップS10)。
【0031】
前回、第2予備発光にて本発光量を決定した場合(ステップS10,第2予備発光)、第2予備発光を行うように照明装置26に指示を送る(
図2のt5,
図3のステップS11)。
そして、第2予備発光の発光タイミングにて測光センサ19にて露光を行い、第2予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS12)。
【0032】
次いで、第2予備発光による反射光量が本発光の発光量を決定するのに十分であったか、即ち第1予備発光が必要かどうかを判定する(ステップS13)。
第1予備発光が不要な場合(ステップS13,NO)はステップS16へ進む。
第2予備発光が必要な場合(ステップS13,YES)はステップS14へ進む。
なお、第1予備発光は、第2予備発光よりも弱い発光量で行うものであり、第2予備発光において被写体からの反射光が明るすぎる場合に、弱い第1予備発光を行うものである。
【0033】
カメラ制御部30は、第1予備発光が不要であると判断した場合(ステップS13,NO)、第2予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(
図2のt6,
図3のステップS16)することで、2枚目の撮影が終了する。
【0034】
カメラ制御部30は、第1予備発光が必要であると判断した場合(ステップS13,YES)、照明装置26に第1発光量を指示し、第1予備発光を行わせる(ステップS14)。
第1予備発光のタイミングで、測光センサ19にて露光を行い、第1予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS15)。
そして、第1予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(ステップS16)することで、2枚目の撮影が終了する。
【0035】
ステップS09で連写中でないと判断した場合(ステップS9,NO)、及び前回、第1予備発光にて本発光量を決定した場合(ステップS10,第1予備発光)、1枚目の撮影同様、第1予備発光を照明装置26に指示する(ステップS17)。
【0036】
カメラ制御部30は、第1予備発光のタイミングで、測光センサ19にて露光を行い、第1予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS18)。
次いで、第1予備発光による反射光量が本発光の発光量を決定するのに十分であったか、即ち第2予備発光が必要かどうかを判定する(ステップS19)。
第2予備発光が不要な場合(ステップS19,NO)はステップS22へ進み、第2予備発光が必要な場合(ステップS19,YES)はステップS20へ進む。
【0037】
カメラ制御部30は、第2予備発光が必要であると判断した場合(ステップS20,YES)、照明装置26に第2予備発光用を指示し、第2予備発光を行わせる(ステップS20)。
第2予備発光のタイミングで、測光センサ19にて露光を行い、第2予備発光を行った際の被写体からの反射光量を算出(測光演算)する(ステップS21)。
そして、第2予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(ステップS22)することで、2枚目の撮影が終了する。
【0038】
一方、ステップS19において第2予備発光は不要と判断した場合は、第1予備発光の反射光量から本発光量を決定し、決定した本発光量を照明装置26に通知し、撮影タイミングにて本発光を指示(ステップS22)することで、2枚目の撮影が終了する。
【0039】
ステップS16,22のあと、ステップS08に戻り、所定時間内に次の撮影指示がない場合(ステップS08,NO)、終了する。
ステップS07のあと、所定時間内に次の撮影指示があった場合(ステップS08,YES)、上述のステップS09以降を繰り返す。
図2のt7は3回目の撮影におけるS11,t8はS13,t9はS16の場合に対応している。
【0040】
以上、本実施形態によると、連写撮影時など、前回撮影したときと同じような撮影状況の場合において、前回行った予備発光をまず行い、その結果が良好であれば他の予備発光は行わない。したがって、不要な場合に複数回の予備発光を行うことがなく、レリーズタイムラグの少ない撮影を行うことができる。
【0041】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態では、連写中の場合について説明したが、他にも以下の条件の場合には同様の処理を行うことも可能である。
・前回の撮影から、所定の時間以内に今回の撮影が行われた場合
・AE(自動露出)ロック中
・ブラケット撮影中
・MF(マニュアルフォーカス)中
・シーン認識などにより、前回と同シーンと判断された場合
・被写体検出手段により、被写体位置・サイズが前回撮影時と同じと判断された場合
・前回と撮影距離が同じと判断された場合
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0042】
1:カメラ、10:カメラ本体、11:クイックリターンミラー、19:測光センサ、20:レリーズスイッチ、21:撮影用撮像素子、22:レンズ鏡筒、26:照明装置、30:カメラ制御部