(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031303
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134784
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 佳詞
(57)【要約】
【課題】機械学習の処理を効率化する。
【解決手段】複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、デバイスごとのイベントの状態を表すイベント状態情報を2以上のデバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1取得部と、対象物製造装置による対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2取得部と、第1取得部によって取得された総イベント状態情報ごとに、第2取得部によって取得された時系列の検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された学習モデルに、第1取得部によって取得された総イベント状態情報ごとに第2取得部によって取得された時系列の検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う機械学習処理部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1取得部と、
前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う機械学習処理部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記総イベント状態情報は、前記デバイスごとの前記イベントの動作結果の状態を表すビット値を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記総イベント状態情報は、さらに、前記デバイスごとの前記イベントの動作中の状態を表すビット値を含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記総イベント状態情報に前記イベント状態情報が含まれる前記2以上の前記デバイスは、前記対象物製造装置が有するすべての前記デバイスのうちの一部の前記デバイスである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記機械学習処理部は、前記学習処理または前記判定処理の対象となる時系列の前記検出結果情報の期間を、ロット、基板、キャリア、レシピ、または、処理室のうちのいずれかに基づいて決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
第1取得部が、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得し、
第2取得部が、前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得し、
機械学習処理部が、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピューターに、
複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1機能と、
前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2機能と、
前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う第3機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデバイスの状態を制御して対象物を製造する対象物製造装置が知られている。
例えば、対象物製造装置の一例である半導体製造装置は、複数のデバイスを備え、それぞれのデバイスの状態を制御して、対象物である半導体を製造する。また、半導体製造装置では、半導体の製造過程において、音、画像、振動などの時系列データを取得することが可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、処理対象物に対して所定の処理を施す処理室内で所定の処理環境を形成するために設けられている可動部品と、各可動部品の作動を制御する制御手段とを備えた処理装置の作動監視システムが記載されている。このような作動監視システムでは、可動部材の作動に伴い発生する振動の波形を検出する振動検知手段を有し、可動部品のいずれかを作動すべく制御手段からの制御が行われた場合、制御に応じたイベントデータと、振動検知手段により検知され、そのときに作動している全可動部品の振動の波形とを取得する。そして、当該作動監視システムでは、イベントデータに応じた制御が選択されるごとに、またはイベントデータと同種の他のイベントデータに応じた振動の波形が取得されている場合に、当該波形の変化を監視し、当該波形が所定の範囲を超えて変化していると、処理装置の異常を判断するように構成されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/010688号
【特許文献2】国際公開第2006/137476号
【特許文献3】国際公開第2010/150540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、半導体製造装置における複数のデバイスの状態を表すことが容易でない場合があった。
特に、音、画像、振動などの時系列データについて、機械学習を適用する場合に、複数のデバイスの状態を表すことが容易でないと、機械学習における教師データを選択することなどが困難な場合があった。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、当該対象物製造装置による対象物の製造過程において検出される時系列の検出結果情報に関する機械学習の処理を効率化することができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1取得部と、前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う機械学習処理部と、を備える、情報処理装置である。
【0008】
本開示の一態様は、第1取得部が、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得し、第2取得部が、前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得し、機械学習処理部が、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う、情報処理方法である。
【0009】
本開示の一態様は、コンピューターに、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1機能と、前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2機能と、前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う第3機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムによれば、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、当該対象物製造装置による対象物の製造過程において検出される時系列の検出結果情報に関する機械学習の処理を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る対象物製造装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】(A)および(B)は実施形態に係る対象物製造装置の処理室の構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るイベント情報を記録したログの構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る時系列の検出結果情報を記録する前のログの構成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る時系列の検出結果情報を記録したログの構成の一例を示す図である。
【
図7】(A)は一部のビットを圧縮する前のログの構成の一例を示す図であり、(B)は一部のビットを圧縮した後のログの構成の一例を示す図である。
【
図8】(A)は実施形態に係る調整前の総イベント状態情報の一例を示す図であり、(B)は実施形態に係る調整前の時系列データの一例を示す図であり、(C)は実施形態に係る調整後の総イベント状態情報の一例を示す図であり、(D)は実施形態に係る調整後の時系列データの一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係るイベントビットの繰り返しの一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る検出結果情報を含む画面の一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る検出結果情報の学習の一例を説明するための図である。
【
図12】実施形態に係る検出結果情報を含む画面の他の一例を示す図である。
【
図13】(A)、(B)および(C)は実施形態に係る機械学習の教師データ対象の選択を行うことが可能な画面の例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る正常なモータ電流値のデータおよび異常なモータ電流値のデータの一例を示す図である。
【
図15】実施形態に係るモータ電流値と頻度との関係の一例を示す図である。
【
図16】実施形態に係る主成分分析でクラスタリングした結果の一例を示す図である。
【
図17】実施形態に係るTSNE分析でクラスタリングした結果の一例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る情報処理装置における機械学習時の処理の手順の一例を示す図である。
【
図19】実施形態に係る情報処理装置における判定時の処理の手順の一例を示す図である。
【
図20】(A)、(B)、(C)および(D)は実施形態に係るデータの参照方法のバリエーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0013】
[情報処理システム]
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
情報処理システム1は、対象物製造装置11と、情報処理装置12と、を備える。
【0014】
<情報処理装置>
情報処理装置12は、例えば、コンピューターを用いて構成されている。
情報処理装置12は、入力部111と、出力部112と、通信部113と、記憶部114と、制御部115と、を備える。
入力部111は、操作部131を備える。
出力部112は、表示部132を備える。
制御部115は、第1取得部151と、第2取得部152と、機械学習処理部153と、を備える。
【0015】
入力部111は、情報を入力する。例えば、操作部131は、ユーザーによって行われる操作の内容に応じた情報を受け付けて入力する。
出力部112は、情報を出力する。例えば、表示部132は、表示対象の情報を画面に表示出力する。
通信部113は、外部装置と通信を行う。本実施形態では、当該外部装置は、対象物製造装置11である。
記憶部114は、各種の情報を記憶する。
【0016】
制御部115は、各種の制御および処理を行う。
制御部115は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを備え、当該プロセッサーによって所定のプログラムを実行することで、各種の制御および処理を実行する。当該プログラムは、例えば、記憶部114に記憶されていてもよい。
【0017】
第1取得部151は、総イベント状態情報(Event Status Bit)を取得する。
本実施形態では、総イベント状態情報は、対象物製造装置11が有するデバイスごとのイベントの状態を表すイベント状態情報(イベントごとのビット)を2以上のデバイスについて総合したものである。
【0018】
ここで、本実施形態では、対象物製造装置11は複数のデバイスを有している。そして、本実施形態では、これら複数のデバイスの状態を総イベント状態情報を用いて表す。
このように、第1取得部151は、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置11について、デバイスごとのイベントの状態を表すイベント状態情報を2以上のデバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する。
【0019】
総イベント状態情報は、デバイスごとのイベントの動作結果の状態を表すビット値を含む。
また、総イベント状態情報は、さらに、デバイスごとのイベントの動作中の状態を表すビット値を含んでもよい。
【0020】
また、総イベント状態情報としては、例えば、1以上のデバイスについてイベント状態情報が削除されたものが用いられてもよい。
この場合、総イベント状態情報にイベント状態情報が含まれる2以上のデバイスは、対象物製造装置11が有するすべてのデバイスのうちの一部のデバイスとなる。
【0021】
第2取得部152は、時系列の検出結果情報を取得する。
ここで、対象物製造装置11には、音、画像(光を含む。)、振動などの物理量を検出するセンサーが備えられている。本実施形態では、対象物製造装置11に、複数のセンサーが備えられており、それぞれのセンサーによってそれぞれの物理量の時系列データが検出される。本実施形態では、説明の便宜上、当該時系列データは、検出結果情報とも呼ばれる。
このように、第2取得部152は、対象物製造装置11による対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する。
【0022】
機械学習処理部153は、複数(本実施形態では、N個とする)の学習モデルA1~ANを保持している。
本実施形態では、それぞれの学習モデルA1~ANは、それぞれの総イベント状態情報ごとの学習モデルに相当している。つまり、本実施形態では、総イベント状態情報ごとに、異なる学習モデルを使用して、機械学習の処理を行う。
なお、機械学習が行われる前には、学習モデルA1~ANは保持されていない。機械学習が行われることで、学習モデルA1~ANが生成されて保持される。また、事前に生成済みの学習モデルA1~ANを対象物製造装置11にコピーして(つまり、記憶させて)運用することも可能である。
【0023】
機械学習処理部153は、第1取得部151によって取得された総イベント状態情報ごとに、第2取得部152によって取得された時系列の検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルA1~ANを生成する学習処理を行う機能を有する。
また、機械学習処理部153は、生成された学習モデルA1~ANに、第1取得部151によって取得された総イベント状態情報ごとに第2取得部152によって取得された時系列の検出結果情報を入力して判定を行う判定処理を行う機能を有する。
なお、当該学習処理を行う機能と、当該判定処理を行う機能とは、例えば、別の装置に備えられていてもよい。
【0024】
ここで、機械学習処理部153は、例えば、学習処理または判定処理の対象となる時系列の検出結果情報の期間を、ロット、基板、キャリア、レシピ、または、処理室のうちのいずれかに基づいて決定することが可能である。
【0025】
<実施形態に係る機械学習の概略>
本実施形態では、イベントとは、ログ(イベントログ)に記録されたイベントの瞬間、またはその記録を表す。
また、イベントビット(イベント状態情報)とは、イベントを一定のルールでビット信号に置き換えたものを表す。
また、イベントビットコード(総イベント状態情報)とは、イベントビットを32ビットあるいは64ビットなどに集約したものを表す。
【0026】
ここで、イベントビットコード別の解析によって、ある処理室の全データをPCAで処理する際などに、イベントビットコード別に色分け、マーカー分けして表示することも有用である。
【0027】
自動化を進めるにあたり、機械学習で正常時の装置状態を記録すること、および、正常時の学習内容からの乖離で異常を判断することを考える。ここで、機械学習を成立させる上で、教師データと適切な前処理が重要となる。
装置(本実施形態では、対象物製造装置11)では、様々なイベントが発生する。イベントとしては、例えば、能動的に駆動系を動かすイベント、実際の基板への処理を開始するタイミングを示すイベントなどがある。
【0028】
これらのイベントに番号を付ける。
一例として、32個のイベントである場合、32ビット(bit)のビット信号で状態を表す態様がある。ここで、32ビットが示す値が同じである状態は、同じ状態であると判断される。
このような態様では、各イベントのビットは、動作が確定した状態のみを表す。
【0029】
他の例として、動作イベントについては、動作の途中のフェーズもビットで表すことが可能である。具体例として、リフターアップ(Lifter Up)というイベントの場合、ダウン(Down)状態からアップ(Up)中の状態になりアップ(Up)完了の状態となるといったように、動作の途中のフェーズが存在する。これに対応するために、例えば、1個のイベントに対して2ビットを使用して、00のビットはダウン状態を表し、01のビットはアップ状態を表し、10のビットはダウン状態から他の状態へ変化中であることを表し、11のビットはアップ状態から他の状態へ変化中を表す、といったことが可能である。このように、単に定常状態(動作中ではない状態)を表すビットに対して、追加したビット(例えば、上位のビット)を用いて、動作中である状態を表現することも可能である。この場合、32個のイベントについては、64ビットが割り当てられる。
このような態様では、各イベントのビットは、動作が確定した状態と、動作の変化中の状態と、を表す。
【0030】
本実施形態では、このようなビットの表現を用いて、1個の装置の1個のモジュールでの処理状態をイベントビットの集合(総イベント状態情報)で表現すると、基本的には同じ処理を繰り返すと同じ総イベント状態情報の動作を繰り返す。なお、モジュールとしては、様々な機能単位が用いられてもよい。
情報処理装置12において、その他のデータ(例えば、アナログデータ)である音、画像、振動などの時系列データを総イベント状態情報ごとに収集して、教師データとして総イベント状態情報ごとに学習を行って、機械学習モデル(学習モデルA1~AN)を生成する。なお、教師データが(対象物製造処理が正常に完了した際の処理データなどのように)正常時のデータであることは、例えば人などによって確認済みであることを想定している。
【0031】
一方、情報処理装置12において、機械学習モデルを用いた判定モードでは、例えば、各総イベント状態情報ごとに、教師データと比較して、変化を監視する。
例えば、教師データ内の値のばらつきに対して2倍のばらつきで警告(WARNING)を出力し、教師データ内の値のばらつきに対して10倍のばらつきでエラー(ERROR)を出力するといった設定を行っておき、ある程度運用しながら数値ごとに調整して最適化が行われてもよい。なお、2倍および10倍という数値は一例であり、他の数値が用いられてもよい。
なお、警告あるいはエラーを出力する機能として、例えば、オートエンコーダーの異常検知機能が用いられてもよい。
【0032】
また、情報処理装置12において、イベントビット(イベント状態情報)で検出結果情報の値の変化をもたらさない(または、値の変化が少ない)ビットを判定し、当該ビットを無視する処理が行われてもよく、これにより、イベントステータスビット(総イベント状態情報)のビット数を削減することができる。
このような処理は、例えば、各ビットの変化に応じた検出結果情報の一致度(あるいは、変化度でも同様)に基づいて、プログラムで実現することも可能である。
【0033】
また、本実施形態に係る情報処理装置12では、機械学習を行う期間として、例えば、対象物製造装置11のモジュールのメンテナンスサイクルを1期間(単位の期間)としてもよい。なお、対象となるデータが膨大になる場合は、期間内をランダムにサンプリングして学習するとよい。
また、本実施形態に係る情報処理装置12では、アラームが発生したデータを機械学習に使用しないようにする。
【0034】
機械学習の対象として、最小単位は、例えば、1個の基板、1個のモジュールの1種類のイベントビットの処理に対象を特定した場合が一例であるが、必ずしもこれに限らず、例えば、ロット、キャリア、レシピ、処理室などを指定することで、機械学習の対象の期間(時間)を特定してもよい。また、当該最小単位として、例えば、所定の温度である期間などといったように、検出結果情報のデータの値を基準にして期間(時間)を特定することが行われてもよい。
また、機械学習の対象として、このような最小単位を使用して、複数の最小単位を合わせたものが機械学習の対象とされてもよい。
本実施形態では、情報処理装置12は、機械学習処理部153によって、時系列データから同じ状態数値(総イベント状態情報)の期間のデータを自動的に抽出して、機械学習の処理、または、機械学習結果による判定の処理を行う。
【0035】
<対象物製造装置>
図2は、実施形態に係る対象物製造装置11の構成の一例を示す図である。
なお、
図2に示される構成例は、特許文献2の
図1に示される真空装置の構成の一部に類似した構成例であり、本実施形態では、詳しい説明を省略する。
本実施形態では、対象物製造装置11は、半導体製造装置であり、クラスターツールのスパッタリング装置である。
【0036】
対象物製造装置11は、搬送室211と、複数の処理室221~224と、ロードロック室225と、仕切りバルブ241~245と、を備える。
搬送室211は、真空搬送ロボットである搬送ロボット231を備える。
【0037】
処理室221~224およびロードロック室225は、それぞれ、搬送室211と接続されている。
処理室221~224およびロードロック室225のそれぞれと搬送室211との間には、それぞれ、仕切りバルブ241~245が備えられている。
ロードロック室225は、基板を大気から真空雰囲気に導入するために使用される。
【0038】
図2の例のように、対象物製造装置11では、複数の処理室221~224を接続することが可能である。各処理室221~224と搬送室211との間には仕切りバルブ241~244が設置されており、仕切りバルブ241~244を開いて、他の搬送遮蔽物(基板以外の搬送遮蔽物)を移動させた後に、基板を搬送することが行われる。この移動は、例えば、防着板の昇降、あるいは、ステージの昇降などにより実現される。
【0039】
図3(A)および
図3(B)は、実施形態に係る対象物製造装置11の処理室311の構成の一例を示す図である。
なお、
図3(A)および
図3(B)に示される構成例は、特許文献3の
図1および
図2に示される真空成膜装置の構成と同様な構成例であり、本実施形態では、詳しい説明を省略し、概要を説明する。
なお、
図3(A)および
図3(B)に示される処理室311および仕切りバルブ331は、
図2の例では複数の処理室221~224および仕切りバルブ241~244のうちのいずれかに相当する。
【0040】
図3(A)は、処理室311の側面断面図である。
図3(B)は、処理室311の水平面断面図である。
図3(A)および
図3(B)では、概要として、処理室311に関して、仕切りバルブ331、シャッター板351、シャッター機構352、基板昇降機構の昇降ピン353、防着部材371を示してある。
ここで、シャッター板351は、放電を行うことで処理室311の状態を改善する際にステージを保護するために使用されるカバーの役割を持つユニットである。
【0041】
図3(A)および
図3(B)の例では、仕切りバルブ331側から処理室内へ基板をロード(Load)する際に防着板(シールド)が邪魔になる場合に、シールドの昇降機構を具備する防着部材371が、防着部材371aとして示している位置から、防着部材371bとして示している位置まで下がる。
【0042】
なお、ここでは、対象物製造装置11が有するデバイスの動作の一例を示したが、対象物製造装置11は様々なデバイスを備えてもよく、それぞれのデバイスの動作が適宜制御される。
【0043】
<ログの情報>
ログの前処理について説明する。
【0044】
図4は、実施形態に係るイベント情報を記録したログ1011の構成の一例を示す図である。
図4の例では、ログの情報として、時刻、処理室、タスク名、デバイス、動作のそれぞれを表す情報が横方向に並べられて対応付けられており、これが縦方向に時系列に並べられている。
【0045】
なお、ログで使用される語を説明しておく。なお、本例の構成は一例であり、必ずしもこれに限られない。また、例えば、主排気弁およびガス流量コントローラなどのように、動作が制御される対象のそれぞれが本実施形態におけるデバイスとして用いられる。
MAINVは主排気弁を表す。MFC1 MVCはガス流量コントローラ1を表す。MFC4 MVCはガス流量コントローラ4を表す。GAS1 INLETVはガス1供給側バルブを表す。SHIELDは防着板上下機構の動作を表す。LIFTERは3段基板上下機構の中下段間の動作を表す。MAGNET RESETは磁気リセットを表す。RF1 PSFTは高周波スパッタ電源1の相シフト動作を表す。RF2 PSFTは高周波スパッタ電源2の相シフト動作を表す。MAINV HALFは主排気弁の半分を表す。MFC1 IACはMFC1の自動制御を表す。AMC1 PRESETは高周波スパッタ電源1のマッチングコントローラの指定位置移動動作を表す。AMC2 PRESETは高周波スパッタ電源2のマッチングコントローラの指定位置移動動作を表す。AMC1 AUTO MATCHは高周波スパッタ電源1のマッチングコントローラのマッチング動作を表す。RF1 PSは高周波スパッタ電源1のオン動作を表す。AMC2 AUTO MATCHは高周波スパッタ電源2のマッチングコントローラのマッチング動作を表す。RF2 PSは高周波スパッタ電源2のオン動作を表す。SHTRはシャッター機構のクローズ動作およびオープン動作を表す。LIFTER HIは3段基板上下機構の上段への動作を表す。IG DEGASは真空計のイオンゲージのDegas処理を表す。MAGNETはマグネット回転機構動作を表す。MFC1 INLETVはガス流量コントローラ1の処理室側バルブを表す。MFC2 INLETVはガス流量コントローラ2の処理室側バルブを表す。MFC3 INLETVはガス流量コントローラ3の処理室側バルブを表す。MFC4 INLETVはガス流量コントローラ4の処理室側バルブを表す。SHTR HOMEはシャッターホーム動作を表す。CHAMB WTR INLETVはチャンバー、冷却水、バルブを表す。
【0046】
図5は、実施形態に係る時系列の検出結果情報を記録する前のログ1021の構成の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る時系列の検出結果情報を記録したログ1022の構成の一例を示す図である。
【0047】
図5に示されるログ1021に対して、時系列に並べ替えて、デバイスを示す列にビットを記入したデータの状態変化を記載し、次の状態変化まで状態を維持するように埋める。
また、
図5に示されるログ1021に対して、項目部分1031に示されるように、時系列の検出結果情報(本例では、色データ)を右側の列に項目として追加している。
具体的には、「Red, Green ,Blue」という項目が追加されている。
その時、情報処理装置12は、制御部115(例えば、機械学習処理部153)によって、時刻部1032に示されるように、Timeについては、あらかじめ設計された時間粒度に丸めて追加する。
図5の例では、0.033sec(=30Hz)周期で測定されたカメラの時系列の色データが、0.1sec単位にされて時系列データに加えられている。
【0048】
ここで、
図6の例では、総イベント状態情報の数値(ビット)が全項目埋まっていないため、総イベント状態情報は無効な時間帯である。
総イベント状態情報(ビット)が全項目埋まった時間帯に時系列データが追加されることで有効なデータとなる。
【0049】
図7(A)は、一部のビットを圧縮する前のログ1051の構成の一例を示す図である。
図7(B)は、一部のビットを圧縮した後のログ1052の構成の一例を示す図である。
【0050】
図7(A)の例では、空のデータのある行を削除している。つまり、全種類のデバイスが動作して総イベント状態情報のビットが全て有効になった後であって且つ時系列のアナログデータが入っている行を抜粋している。
図7(B)の例では、
図7(A)に示される部分1061のビットと部分1062のビットとの配置を左右で入れ替えており、部分1061のビットをイベントビットコードの列で圧縮して表現している。本例では、圧縮後は、10進数の値になっており、部分1061aとして示してある。
なお、このような圧縮は、必ずしも行われなくてもよい。
【0051】
ここで、ビットの削減手法の具体例を示す。
例えば、モジュールにおいて、放電中は制御するイベントビットはほぼ同じとなり、製品基板およびダミー基板の基板種のビットが異なる。このような場合、情報処理装置12では、ある1個のビットの項目名とそのビットの変化に対する装置データの変化の寄与率の上位5個を表示する。そして、情報処理装置12では、表示項目と、寄与率、2次元への次元削減によるクラスタと、各次元の寄与率上位3個の項目を確認し、有意差が無い場合、もしくは差分が重要でないと判断した場合に、対象のビットの削減を行う。
【0052】
<ログの調整>
図8(A)は、実施形態に係る調整前の総イベント状態情報(Event Status Bit)の一例を示す図である。
図8(B)は、実施形態に係る調整前の時系列データの一例を示す図である。
図8(C)は、実施形態に係る調整後の総イベント状態情報(Event Status Bit)の一例を示す図である。
図8(D)は、実施形態に係る調整後の時系列データの一例を示す図である。
図8(A)~
図8(D)では、縦軸は上から下へ向かって時刻(時間)を表している。
【0053】
本実施形態では、情報処理装置12は、制御部115(例えば、機械学習処理部153)によって、
図8(A)および
図8(B)のデータを、
図8(C)および
図8(D)のデータへ変換する。
【0054】
図8(A)の例において、イベントは不定期に状態が変化し得るため、本来、状態変化していない時のタイムスタンプのデータは無い。
図8(B)の例において、時系列データは、測定している時間帯しかデータが無いが、測定期間中はデータは定周期で埋まっている。
【0055】
図8(C)の例において、イベントは、状態が変化しない時は、次の状態変化まで同じ状態であるため、中間のデータは同じデータ(直前のデータ)の複写(コピー)で埋める。その際に、時間の周期は自在に設定することが可能である。
図8(D)の例において、時系列データは、イベントの時間と同じ周期に合わせる。例えば、30Hz(=0.033sec)を10Hz(=0.1sec)に変換してもよい。
【0056】
<イベントビットの繰り返しの例>
図9は、実施形態に係るイベントビットの繰り返しの一例を示す図である。
図9には、ログ1111の一例を概略的に示してある。
ログ1111は、時刻(時間)を表すビット部分1121と、総イベント状態情報を表すビット部分1122と、他のビット部分を含む。
【0057】
図9の例では、時刻の経過にしたがって、総イベント状態情報が周期的に変化する場合を示してある。
図9に示されるように、時間の経過にしたがって、周期的な期間(期間B1、B2、B3)ごとに、同じ総イベント状態情報が繰り返されている。つまり、周期的な期間(期間B1、B2、B3)ごとに、各イベントの状態変化の様子が同じになっている。
【0058】
なお、
図9の例は一例であり、必ずしも、総イベント状態情報が周期的に変化する態様が用いられなくてもよい。
【0059】
[検出結果情報を含む画面の例]
図10は、実施形態に係る検出結果情報を含む画面1211の一例を示す図である。
画面1211は、検出結果情報に関するデータを表す領域1231を含み、そのなかで、検出結果情報のグラフを表す領域1232と、検出結果情報に関する総イベント状態情報を表す領域1233と、を含む。
【0060】
検出結果情報のグラフとして、温度のデータ1261、ガス1のデータ1262、別のガス2のデータ1263を含む。
総イベント状態情報のイベントとして、処理期間(Processing)、防着板の動作(Shield)、基板昇降機構(Lifter)、磁気回路動作リセット(MAGNET RESET)、ガス1の弁動作(GAS1 INLETV)、ガス1の流量制御(MFC1 IAC)、スパッタリング電源動作(PRCS1 PS)、ガス2の弁動作(GAS2 INLETV)、ガス2の流量制御(MFC2 IAC)を含む。
検出結果情報の種別としては、チャンバーにおけるガス1の流量(データ1262)、チャンバーにおけるガス2の流量(データ1263)、ヒーターの温度(データ1261)を含む。
【0061】
図10の例では、上側のグラフには時系列で変動するデータが示されており、下側のグラフには装置動作のガントチャートが示されている。
図10の例では、上側のグラフに、検出結果情報を数値化したものが表示される。
図10の例では、検出結果情報は、温度、ガス1の流量、ガス2の流量であるが、他の例として、カメラ画像、振動、などがあり得る。
本実施形態では、ガントチャートの状態をビット化して、ビット別(総イベント状態情報ごと)に学習を行う。
【0062】
図11は、実施形態に係る検出結果情報の学習の一例を説明するための図である。
図11では、
図10に示される画面1211を利用して、機械学習の期間を説明する。
すなわち、本実施形態では、情報処理装置12の機械学習処理部153は、検出結果情報のデータの全体の期間について一括で機械学習を行うのではなく、同じ総イベント状態情報の状態である期間(期間C1~C5)ごとに機械学習を行う。ここで、期間C1~C5は、説明のための例示であり、必ずしもこれに限られない。
なお、同じ総イベント状態情報の状態である期間が離散的に出現する場合には、例えば、総イベント状態情報の状態が同一のもの同士をまとめて機械学習が行われてもよい。
【0063】
例えば、既存の情報である、ロットの識別情報(Lot ID)、基板の識別情報(Wafer ID)、キャリアの識別情報(Career ID)、処理名であるレシピの識別情報(Recipe ID)、処理室の識別情報のうちの1以上について、各処理時刻と対象箇所から、学習する時系列データの時刻と系列を選択する構成が用いられてもよい。
本実施形態では、このような構成において、総イベント状態情報を用いたフィルター条件を付加する。これにより、情報処理装置12の機械学習処理部153は、総イベント状態情報の視点で条件のフィルタリングを行うことが可能であり、例えば、既存の情報(ID)の処理を総イベント状態情報に基づいて自動で細分化して学習を行うことが可能である。
このように、総イベント状態情報は、時系列データを学習する際に使用するフィルターの条件に好適である。
【0064】
図12は、実施形態に係る検出結果情報を含む画面1411の他の一例を示す図である。
画面1411は、検出結果情報に関するデータを表す領域1431を含み、そのなかで、検出結果情報のグラフを表す領域1432と、検出結果情報に関する総イベント状態情報を表す領域1433と、を含む。
【0065】
図12の例について、
図10の例とは相違する箇所について説明する。
図12の例では、検出結果情報として、カメラのマゼンタ色のデータ1461と、カメラのローズ色のデータ1462を含む。
検出結果情報の種別としては、カメラのマゼンタ色(マゼンタ色の光)、カメラのローズ色(ローズ色の光)を含む。
【0066】
図12の例では、総イベント状態情報が一定である範囲を示してある。
そして、カメラのローズ色のデータ1462では、定常状態の後に、異常が発生した場合を示してある。
【0067】
ここで、
図12の例は、半導体製造装置のモジュール内をカメラで撮影し、撮影された画像内の各色の画素数を示したグラフである。本実施形態では、このようなイベントによって様々に変化する値に対して、それぞれの状態に合わせて自動で学習を行うことが可能である。
図12に示されるデータ1461、1462は、シャッター板(
図3(A)、(B)の1例では、シャッター板371)がステージにセットされた後にシャッター板に放電が行われている最中におけるデータである。放電光は、磁気回路の回転によって、周期的に変動する。
図12の例では、異常が発生しているときには、放電の色が変化している。
【0068】
[機械学習の教師データ]
ここで、教師データを登録する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
例えば、情報処理装置12において、ユーザーの操作によって任意の時間帯を指定して、指定された時間帯のデータを教師データに登録する手法が用いられてもよい。時間を取り出す基準としては、例えば、時刻を直接入力する手法が用いられてもよい。
また、例えば、情報処理装置12において、ユーザーの操作によって処理済みのロットに関する様々なID値(Lot ID、Carrier ID、など)を指定して、指定されたID値に対応するデータを教師データに登録する手法が用いられてもよい。
また、例えば、更に細分化して、基板または処理室などのIDを指定して、教師データを絞り込む手法が用いられてもよく、あるいは、複数のIDを指定して、教師データを絞り込む手法が用いられてもよい。
また、例えば、所定のデータベースに記憶されたデータについて、ユーザーの操作によってデータ基準の条件を指定して対象時刻を指定して、指定された対象時刻のデータを教師データに登録する手法が用いられてもよい。当該条件として、例えば、ステージ温度が(200±1)[℃]のとき、などの条件が用いられてもよい。
【0069】
図13(A)、
図13(B)および
図13(C)は、実施形態に係る機械学習の教師データ対象の選択を行うことが可能な画面の例を示す図である。
ここで、本実施形態では、説明の便宜上、
図13(A)、
図13(B)および
図13(C)のそれぞれの画面を別々に説明するが、例えば、これらのうちの任意の2つまたは3つの画面内容が一画面で表示されてもよい。また、これらの画面表示の形式については、任意の表示形式が用いられてもよい。
【0070】
図13(A)は、処理時間でフィルターを掛けることで、処理時間に基づいて教師データ対象の選択を行うことが可能な画面1511aを示している。
図13(A)の例では、処理の開始(Start)の時刻、処理の終了(End)の時刻、または、これらの両方に基づいて、教師データ対象の選択を行うことが可能である。
【0071】
図13(B)は、過去の処理結果(履歴)を選択することで、教師データ対象の選択を行うことが可能な画面1511bを示している。
図13(B)の例では、「No.0004」の検出結果情報のデータおよび「No.0006」の検出結果情報のデータが、機械学習の教師データ対象として選択されている。
図13(B)の例では、それぞれのデータでは、キャリアの識別情報(Career ID)、ロットの識別情報(Lot ID)、コントロールジョブの識別情報(Cjob)、プロセスジョブの識別情報(Pjob)、処理の開始時刻、処理の終了時刻が特定されている。
【0072】
図13(C)は、基板(Wafer)ごとに教師データ対象の選択を行うことが可能な画面1511cを示している。
図13(C)の例では、登録する処理室と基板の選択により、教師データ対象の選択を行っている。具体的には、スロット(Slot)として「1」および「3」が選択されており、モジュール(Module)および連番(SeqNo.)として「A:001」(Module1:SeqNo.)が選択されている。
なお、
図13(C)の例では、他のモジュールを選択することも可能であり、また、フロー(Flow)の情報も表示されている。
【0073】
<デバイス別の判定の例>
本実施形態では、総イベント状態情報の別に時系列データが学習されているため、各デバイス別の劣化判定などが容易である。
例えば、モータ駆動のアイソレーションバルブに異常があると、バルブ動作が不安定になる。バルブ動作が不安定になると、バルブ動作のモータ電流値の変動幅が拡大する。
【0074】
図14は、実施形態に係る正常なモータ電流値のデータ2011および異常なモータ電流値のデータ2012の一例を示す図である。
図14の例では、アイソレーションバルブの動作中の変化点を示してあり、具体的には、アイソレーションバルブのオープン動作中の時間経過とモータ電流値の推移を示してある。
図14に示されるグラフにおいて、横軸は時間経過(時刻)を表しており、縦軸はモータ電流値を表している。
データ2011およびデータ2012は、アイソレーションバルブがオープン動作中の総イベント状態情報のときの時系列データである。
また、
図14の例では、固着状態からの剥離のタイミングD1、剥離後の一瞬電流低下のタイミングD2、アイソレーションバルブがオープン位置に到達して定電流で位置が保持されるタイミングD3を示してある。
【0075】
図15は、実施形態に係るモータ電流値と頻度との関係の一例を示す図である。
図15の例では、
図14に示される期間におけるモータ電流値について統計値を計算した結果を示してある。
図15に示されるグラフにおいて、横軸はモータ電流値を表しており、縦軸は頻度[回]を表している。
図15には、アイソレーションバルブのオープン動作中に0.1sec周期で測定されたモータ電流値のヒストグラムを示してある。
当該ヒストグラムでは、正常時と異常時とで、最大値、尖度、歪度、中央値に変化が発生する。
図15の例では、正常時から異常時になると、中央部分が減少して尖度が低下し、最大値付近が増加して中央値が変化する。
【0076】
[機械学習の結果の例]
図16および
図17を参照して、本実施形態における機械学習の処理の結果の例を示す。
【0077】
図16は、実施形態に係る主成分分析でクラスタリングした結果の一例を示す図である。
図16には、異常放電を含む動画の色データを総イベント状態情報の最頻上位10種類についてabcとラベルを付けて、主成分分析でクラスタリングした結果を示してある。
なお、
図16には模式的な例を示してあるが、実際には、例えば、総イベント状態情報のランキング別に、色およびマーカーの種類が区別されてもよい。
【0078】
図17は、実施形態に係るTSNE分析でクラスタリングした結果の一例を示す図である。
図17には、異常放電を含む動画の色データを総イベント状態情報の最頻上位10種類についてabcとラベルを付けて、TSNE分析でクラスタリングした結果を示してある。
なお、
図17には模式的な例を示してあるが、実際には、例えば、総イベント状態情報のランキング別に、色およびマーカーの種類が区別されてもよい。
【0079】
[情報処理装置12において行われる処理手順の例]
図18は、実施形態に係る情報処理装置12における機械学習時の処理の手順の一例を示す図である。
【0080】
(ステップS1)
情報処理装置12において、第1取得部151は、学習対象の総イベント状態情報を取得する。
そして、情報処理装置12では、ステップS2の処理へ移行する。
【0081】
(ステップS2)
情報処理装置12において、第2取得部152は、教師データとする検出結果情報のデータを取得する。
そして、情報処理装置12では、ステップS3の処理へ移行する。
【0082】
(ステップS3)
情報処理装置12において、機械学習処理部153は、総イベント状態情報ごとに、検出結果情報のデータについて、機械学習を行って、総イベント状態情報ごとの学習モデルA1~ANを生成する。
そして、情報処理装置12では、本フローの処理を終了する。
【0083】
なお、情報処理装置12では、総イベント状態情報ごとの複数の学習モデルA1~ANを、例えば、1つずつ生成してもよく、あるいは、これら複数の学習モデルA1~ANについて並列処理を行って生成してもよい。
また、ステップS1の処理とステップS2の処理とは、例えば、処理の順序が逆であってもよく、あるいは、並列的に処理されてもよい。
【0084】
図19は、実施形態に係る情報処理装置12における判定時の処理の手順の一例を示す図である。
【0085】
(ステップS11)
情報処理装置12において、第1取得部151は、判定対象の総イベント状態情報を取得する。
そして、情報処理装置12では、ステップS12の処理へ移行する。
【0086】
(ステップS12)
情報処理装置12において、第2取得部152は、判定対象の検出結果情報のデータを取得する。
そして、情報処理装置12では、ステップS13の処理へ移行する。
【0087】
(ステップS13)
情報処理装置12において、機械学習処理部153は、総イベント状態情報ごとに対応する学習モデルA1~ANを用いて、判定対象の検出結果情報のデータについて判定を行って、判定結果を取得する。
そして、情報処理装置12では、本フローの処理を終了する。
【0088】
なお、ステップS11の処理とステップS12の処理とは、例えば、処理の順序が逆であってもよく、あるいは、並列的に処理されてもよい。
【0089】
ここで、本実施形態では、総イベント状態情報ごとに機械学習時の処理および判定時の処理が行われるが、例えば、機械学習のモデル、機械学習自体の処理、学習済みモデルを用いた判定自体の処理としては、任意の技術が用いられてもよく、既存の技術が利用されてもよい。
【0090】
[データの参照方法のバリエーションの例]
図20(A)、
図20(B)、
図20(C)および
図20(D)は、実施形態に係るデータの参照方法のバリエーションの例を示す図である。
【0091】
図20(A)~
図20(D)の例では、ロードロック室であるA室、搬送室であるB室、処理室であるC室、D室、E室およびF室があることを想定している。
図20(A)~
図20(D)の例では、時刻および総イベント状態情報と、時刻および時系列データと、が対応付けられる。
【0092】
図20(A)の例では、全データで分類している。
具体的には、時刻および総イベント状態情報と、時刻および時系列データと、の両方について、A室~F室のすべてに関するデータが用いられている。
【0093】
図20(B)の例では、A室だけのデータで分類している。
具体的には、時刻および総イベント状態情報と、時刻および時系列データと、の両方について、A室に関するデータが用いられている。
【0094】
図20(C)の例では、ロードロック室、搬送室、あるいは処理室のいずれか2以上を複合して分類している。なお、2以上の処理室といったように、同種の2以上が用いられてもよい。
図20(C)の例では、具体的には、時刻および総イベント状態情報と、時刻および時系列データと、の両方について、A室とF室に関するデータが用いられている。
【0095】
図20(D)の例では、ロードロック室、搬送室、あるいは処理室のいずれか2以上について一部抜粋して分類している。なお、2以上の処理室といったように、同種の2以上が用いられてもよい。
図20(D)の例では、具体的には、時刻および総イベント状態情報について、A室に関するデータおよびF室の一部抜粋に関するデータが用いられており、また、時刻および時系列データについて、A室に関するデータおよびF室に関するデータが用いられている。
ここで、
図20(D)の例では、F室の一部抜粋以外の部分のデータについて削減された総イベント状態情報が用いられている。
【0096】
このように、データの参照方法としては、様々な態様が用いられてもよい。
例えば、総イベント状態情報のビット数が多い場合には、時間的粒度の拡大が行われてもよく、具体的には、0.1secから1secへ変換することなどが行われてもよい。
また、例えば、特定のモジュールだけに絞り込むなど、適宜高速化を図ることが行われてもよい。
【0097】
<実施の具体例1>
例えば、半導体製造装置の異常検知システムの構築において、時系列データを教師データとする際に、教師データを選別することが困難であるといった問題があった。また、時系列データをイベントに関連付ける作業を行う必要があり、多大な労力になっていた。
そこで、装置内デバイスの状態を2値~4値(1~2ビット)で表現する。さらに、装置内デバイス群の状態を、ビットを積算することで、多ビットの装置状態ビット(本実施形態における総イベント状態情報)で表す。当該多ビットの値を学習条件のタグとして、タグ別に時系列データを学習する。これにより、タグと時系列データとの関連付けは不要となる。
【0098】
ここで、安定時の処理データを教師データとして登録する。
半導体製造装置でワークの処理を実行する単位としては、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格にて、プロセスジョブ(PJ:Process Job)、コントロールジョブ(CJ:Control Job)、およびロットの識別情報(LOT ID)を単位としている。
例えば、製品の歩留まりに問題の無かったPJもしくはCJのワークを処理した期間が時系列データの教師データとして用いられると好適である。情報処理装置12では、半導体製造装置のPJあるいはCJが選択されると、実行記録から時系列データの学習期間を参照して学習が完了する。なお、半導体製造装置には、メンテナンスサイクル、劣化、消耗品がある。このため、教師データの登録は、例えば、一時期に集中させずに、満遍なく登録することが好適である。
スパッタリング装置を例に挙げれば、ターゲットを打ち切る期間が1つのサイクルであると言えるため、量産実行後、スパッタリング装置に異常が発生しなかったメンテナンスの1サイクルのデータを教師データとして登録してもよい。この場合、データが大量となって学習が適切な時間で終了しない可能性があるが、例えば、ターゲットを打ち切る1サイクル内で、広範囲の抜き取りをして教師データを選択して学習させてもよい。
【0099】
<実施の具体例2>
例えば、ビット情報(本実施形態では、総イベント状態情報のビット情報)と時系列データとの間に時間のずれがあると、無駄にばらついたデータが得られてしまうといった問題があった。つまり、ビット変化の最初と最後に時系列データに急峻な変化が発生するような場合、時間のずれが発生すると、時系列データが大きく変化して異常と判断されてしまうことがある。
そこで、時間誤差の範囲をあらかじめ決めておき、情報処理装置12では、学習する際に時間誤差の分だけ時間をシフトして学習する。情報処理装置12では、例えば、時間誤差ありで学習を実行した結果と、時間誤差無しで学習を実行した結果との双方を表示することで、正確な異常判定を可能とすることができる。また、半導体製造装置の動作後の安定な判断を行うために、開始から完了になるまでの当該完了の判定に、適切な遅延時間を設定することが行われてもよい。当該遅延時間としては、特に限定はなく、例えば、0.1sec~0.3secなどが用いられてもよい。
【0100】
<実施の具体例3>
例えば、デバイスの状態を表すビットをデジタル入力(DI:Digital Input)で取得する場合、トップ(Top)からロー(Low)への動作途中に通過点(Middle)のDIがオンして、当該動作途中も状態ビットとして学習されてしまうといった問題があった。
そこで、情報処理装置12では、制御ソフトウェアの能動的な動作入力に対しては、所定の条件が整った後に、動作の完了判断が為される構成とする。このため、情報処理装置12では、動作の開始または完了のイベントを元に、状態ビットを変化させる。つまり、DIをそのまま状態ビットとする場合には、適するものと適さないものがあるため、適さないものはマスクをして、イベント情報で情報処理装置12(または、半導体製造装置などの他の装置)が安定遅延あるいはチャタリングをフィルターした後の情報を状態ビットに採用する。
【0101】
[以上の実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置12では、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置11について、対象物製造装置11による対象物の製造過程において検出される時系列の検出結果情報に関する機械学習の処理を効率化することができる。
【0102】
本実施形態に係る情報処理装置12では、機械学習の装置状態を数値化した総イベント状態情報を、クラスタリングする際のタグにすること、または、教師データの取り込み時のフィルターとして使用すること、が可能である。
【0103】
本実施形態に係る情報処理装置12では、総イベント状態情報ごとに機械学習または機械学習結果により判定を行うことが可能である。
これにより、一般には教師あり学習の学習データの生成は難しい場合があるが、本実施形態に係る情報処理装置12では、教師あり学習の学習データを自動で生成することができ、効率的に生成することができる。
また、本実施形態に係る情報処理装置12では、別の手法で確認した結果で異常データがある場合には、教師データから外すようにラベル変更することができる。
【0104】
本実施形態に係る情報処理装置12では、例えば、ロット、基板、キャリア、レシピ、または、処理室などの情報によって、機械学習に使用するデータの期間、または、判定に使用するデータの期間を決定することができる。
【0105】
本実施形態に係る情報処理装置12では、総イベント状態情報ごとの機械学習を行うことで、装置の状態遷移のデータモデルを小さくすることができる。
これにより、本実施形態に係る情報処理装置12では、保存用のデータの容量を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る情報処理装置12では、一部のデバイスに関する情報を削減することで、総イベント状態情報の情報量を少なくして、効率化を図ることができる。
【0106】
本実施形態に係る情報処理装置12では、信号処理上、カメラ等のセンサーとの同期性能を向上させることができる。例えば、学習時と推論(判定)時の同期精度が向上することで、予測精度が向上する可能性がある。
【0107】
ここで、検出結果情報のデータとしては、例えば、センサーによって検出された時系列のデータの一部または全部がそのまま用いられてもよく、あるいは、センサーによって検出された時系列のデータについて時間的な平均などの演算が行われた結果が用いられてもよい。
また、機械学習の対象とするデータとしては、例えば、音のデータ、画像(光を含む。)のデータ、振動のデータなどといったように、個別のデータが別々に用いられてもよく、あるいは、複数のデータがまとめて機械学習の対象として用いられてもよい。
【0108】
また、本実施形態では、対象物製造装置11として半導体製造装置を例示したが、対象物製造装置11としては、複数のデバイスを有する他の任意の装置が用いられてもよく、例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置などが用いられてもよい。
例えば、対象物製造装置11として、基板などを搬送する機構、真空排気の機構、プラズマ処理の機構のうちの1以上を有する装置が用いられてもよい。
【0109】
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0110】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0111】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0112】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0113】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0114】
[付記]
(構成例1)~(構成例7)を示す。
【0115】
(構成例1)
複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1取得部と、
前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う機械学習処理部と、
を備える、情報処理装置。
【0116】
(構成例2)
前記総イベント状態情報は、前記デバイスごとの前記イベントの動作結果の状態を表すビット値を含む、
(構成例1)に記載の情報処理装置。
【0117】
(構成例3)
前記総イベント状態情報は、さらに、前記デバイスごとの前記イベントの動作中の状態を表すビット値を含む、
(構成例2)に記載の情報処理装置。
【0118】
(構成例4)
前記総イベント状態情報に前記イベント状態情報が含まれる前記2以上の前記デバイスは、前記対象物製造装置が有するすべての前記デバイスのうちの一部の前記デバイスである、
(構成例1)から(構成例3)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0119】
(構成例5)
前記機械学習処理部は、前記学習処理または前記判定処理の対象となる時系列の前記検出結果情報の期間を、ロット、基板、キャリア、レシピ、または、処理室のうちのいずれかに基づいて決定する、
(構成例1)から(構成例4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0120】
以上のように、情報処理装置は、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、所定の処理を行う処理部と、を備える。
このような構成では、例えば、当該所定の処理として、任意の処理に適用されてもよく、実施形態では、機械学習の処理に適用されている。
【0121】
以上のような情報処理装置で行われる処理方法と同様な処理方法を提供することも可能であり、一構成例を示す。
(構成例6)
第1取得部が、複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得し、
第2取得部が、前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得し、
機械学習処理部が、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1取得部によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2取得部によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う、
情報処理方法。
【0122】
以上のような情報処理装置を構成するコンピューターに所定の動作を行わせるプログラムを提供することも可能であり、一構成例を示す。
(構成例7)
コンピューターに、
複数のデバイスのそれぞれをイベントごとに動作させて対象物を製造する対象物製造装置について、前記デバイスごとの前記イベントの状態を表すイベント状態情報を2以上の前記デバイスについて総合した総イベント状態情報を取得する第1機能と、
前記対象物製造装置による前記対象物の製造過程において検出された時系列の検出結果情報を取得する第2機能と、
前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに、前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力とする機械学習を行って学習モデルを生成する学習処理と、生成された前記学習モデルに、前記第1機能によって取得された前記総イベント状態情報ごとに前記第2機能によって取得された時系列の前記検出結果情報を入力して判定を行う判定処理と、の一方または両方を行う第3機能と、
を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0123】
1…情報処理システム、11…対象物製造装置、12…情報処理装置、111…入力部、112…出力部、113…通信部、114…記憶部、115…制御部、131…操作部、132…表示部、151…第1取得部、152…第2取得部、153…機械学習処理部、A1~AN…学習モデル、211…搬送室、221~224、311…処理室、225…ロードロック室、231…搬送ロボット、241~245、331…仕切りバルブ、351…シャッター板、352…シャッター機構、353…昇降ピン、371、371a、371b…防着部材、1011、1021、1022、1051、1052、1111…ログ、1031…項目部分、1032…時刻部、1061、1061a、1062…部分、1121、1122…ビット部分、B1~B3、C1~C5、1211、1411、1511a、1511b、1511c…画面、1231~1233、1431~1433…領域、1261~1263、1461、1462、2011、2012…データ、D1~D3…タイミング