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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031872
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20240229BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C23C16/44 B
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133074
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/373,319
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20230100621
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スビル・パルイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・クネペン
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピエルー
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・ホーベン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト・テルホルスト
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ジー・エム・オーステルレークン
(72)【発明者】
【氏名】アンゲロス・カラギアニス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA14
4K030BA44
4K030EA04
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA06
4K030JA03
4K030KA05
4K030KA41
4K030LA12
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB32
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC14
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB02
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF20
5F045EK06
(57)【要約】
【課題】基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数の基板上に層を形成するように構成された基板処理装置が開示されている。本明細書に記載の基板処理装置の実施形態は、プロセスチャンバを備える。プロセスチャンバは、複数の基板を保持するために配置された基板ボートを受容するためのプロセス空間を備える。基板処理装置は、少なくとも一つのガスインジェクタを備えるガス送達アセンブリと、二つのガス出口を備えるガス排出アセンブリとをさらに備える。二つのガス出口は、少なくとも一つのガスインジェクタの両側に少し離れて位置付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板上に層を形成するように構成された基板処理装置であって、
長手方向に延在する、かつプロセス空間を備えるプロセスチャンバと、
前記複数の基板を保持するために、かつ前記プロセス空間の中に受容可能であるために配置された基板ボートと、
第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを受容するように、かつ前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを前記プロセス空間に提供するために構築および配置された少なくとも一つのガスインジェクタを備えるガス送達アセンブリと、
前記プロセス空間からガスを除去するための二つのガス出口を備えるガス排出アセンブリであって、前記二つのガス出口が前記少なくとも一つのガスインジェクタの両側に少し離れて位置付けられている、ガス排出アセンブリと、を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記二つのガス出口の各々一つが、前記ガスインジェクタの両側から実質的に等距離に位置付けられている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス送達アセンブリが、前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを前記プロセス空間に提供するための二つのガスインジェクタを備える、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ガスインジェクタが、前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを実質的に同時にまたは交互に受容するように構築および配置されている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記プロセス空間が内側エンクロージャによって画定されていて、前記内側エンクロージャが前記長手方向に延在し、上部で閉じられていて、前記二つのガス出口を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記二つのガス出口の各々が、前記長手方向に同一直線上に配置されている複数の開口部を備える、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記同一直線上に配置された開口部が、前記基板ボートの高さに沿って延在する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ガス出口が、スリットの形態である開口部を備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記スリットが、前記プロセスチャンバの前記長手方向に垂直な方向に細長い、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記スリットが、前記長手方向の前記スリットの高さの1.5~10倍である前記長手方向に垂直な方向の幅を有する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記ガスインジェクタが、前記長手方向に延在する、かつ互いから垂直に間隔を置いた複数のガス注入穴を備えるインジェクタチューブを備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ガスインジェクタが、前記基板ボートの高さに沿って前記長手方向に延在する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記基板ボートが前記プロセス空間内部で回転可能である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記ガスインジェクタが、前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを実質的に同時に受容するように構築および配置されていて、前記基板処理装置が、前記ガス送達アセンブリに、および前記ガス排出アセンブリに動作可能に接続された、かつ、堆積プロセスを実施することによって、前記半導体処理装置が前記複数の基板上に前記層を形成することを引き起こすために、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれる命令を実行するように構成されたコントローラをさらに備え、前記プロセスが、
前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを前記プロセス空間に提供し、それによって前記層を形成することと、
前記第一の前駆体ガスの一部分および前記第二の前駆体ガスの一部分を前記プロセス空間から除去することと、を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記ガスインジェクタが、前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを混合するように構築および配置されている、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項16】
化学気相成長装置である、請求項11または請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記ガスインジェクタが、前記第一の前駆体ガスおよび前記第二の前駆体ガスを交互に受容するように構成および配置されていて、前記基板処理装置が、前記ガス送達アセンブリに、および前記ガス排出アセンブリに動作可能に接続された、かつ、堆積サイクルを逐次的に繰り返すことによって、前記半導体処理装置が前記複数の基板上に前記層を形成することを引き起こすために、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれる命令を実行するために構成されたコントローラをさらに備え、前記サイクルが、
第一のパルス期間の間、前記第一の前駆体ガスを前記プロセス空間に提供することと、
前記第一の前駆体ガスの一部分を前記プロセス空間から除去することと、
第二のパルス期間の間、前記第二の前駆体ガスを前記プロセス空間に提供することと、
前記第二の前駆体ガスの一部分を前記プロセス空間から除去することと、を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項18】
原子層堆積装置である、請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
形成された前記層が誘電材料を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は基板処理装置に関する。より具体的に、本開示は複数の基板上に層を形成するように構成された垂直炉に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体業界において、複数の基板を処理する能力を有する基板処理装置は、個々のプロセスのスループットの改善を提供しうるため、引き続き関心を集め続けている。
【0003】
大量製造では近い将来、これらの装置が処理することが可能でありうるウエハ負荷が増加する可能性がある。この取り組みは、様々な課題を伴って進展する可能性があり、その一つは、複数の基板の各基板上に堆積された層のウエハ面内不均一性(WIWNU)に関する場合がある。これは、基板ボート内に配置された基板間の間隔のピッチの減少に起因して生じうる。WIWNUの増加は、半導体製造プロセスチェーンにおける他のプロセス(例えば膜堆積、酸化、拡散、リソグラフィー、またはエッチング)にとって後続の課題をもたらしうる。
【0004】
ウエハ面内不均一性を改善する必要性がありうる。
【発明の概要】
【0005】
この「発明の概要」は、選択された複数の概念を簡略化した形態で紹介するために提供されている。これらの概念は、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図していなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0006】
複数の基板上に均一な層を形成するための基板処理装置を提供することが、本開示の目的でありうる。
【0007】
本開示は、複数の基板上に層を形成するように構成された基板処理装置に関する。基板処理装置は、長手方向に延在するプロセスチャンバを備えてもよく、プロセス空間を備えてもよい。装置はまた、複数の基板を保持するために、かつプロセス空間の中に受容可能であるために配置された基板ボートを備えてもよい。装置は、ガス送達アセンブリをさらに備えてもよい。ガス送達アセンブリは、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを受容するように、かつ第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスをプロセス空間に提供するために構築および配置された少なくとも一つのガスインジェクタを備えてもよい。装置はまた、ガス排出アセンブリを備えてもよい。ガス排出アセンブリは、プロセス空間からガスを除去するための二つのガス出口を備えてもよい。二つのガス出口は、少なくとも一つのガスインジェクタの両側に少し離れて位置付けられてもよい。
【0008】
本開示の実施形態による基板処理装置は、複数の基板上に形成された層の厚さ不均一性を低減することを可能にしうる。これは、二つのガス出口を備えるガス排出アセンブリの存在のおかげでありうる。
【0009】
プロセス空間にわたるプロセスガスの流れがプロセス中に強化されることでき、それによってプロセス収率を増加させて、前駆体廃棄物を低減することは、実施形態の利点でありうる。
【0010】
さらに、厚さ不均一性の低減のおかげで、半導体製造におけるさらなるプロセスのプロセス収率も改善されうることは、実施形態の利点でありうる。
【0011】
さらに、厚さ均一性を低減させて一度に複数の基板を加工することを可能することができ、それによってプロセススループットを改善することは、実施形態の利点でありうる。
【0012】
未反応プロセスガス、副生成物および/または中間生成物をプロセスチャンバからより迅速に除去するおかげで、基板処理装置の予防保守サイクルの改善を可能にしうることは、実施形態の利点でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0014】
別段の記載のない限り、図面では同様の要素に対して同様の参照番号が使用されることになる。特許請求の範囲の参照符号は、範囲を限定しているとは理解されないものとする。
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態による基板処理装置を概略的に示す。
図2a図2aは、内側エンクロージャによって囲まれたプロセス空間の上面図を概略的に示す。
図2b図2bは、内側エンクロージャによって囲まれたプロセス空間の上面図を概略的に示す。
図2c図2cは、内側エンクロージャによって囲まれたプロセス空間の上面図を概略的に示す。
図3図3は、層の厚さのウエハマップを示し、(a)ボート回転が2rpmの170スロットボート、(b)ボート回転のない170スロットボート、(c)ボート回転が2rpmの120スロットボート、および(d)ボート回転のない120スロットボートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0017】
本明細書に提示された図は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用されている、単に理想化された表現にすぎない。
【0018】
示された、かつ記述された特定の実装は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図していない。実際に、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示された接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことが意図されている。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が実際のシステムにおいて存在してもよく、また/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0019】
数多くの変形が可能であるため、本明細書に記載の構成および/または手法は本質的に例示的であること、およびこれらの特定の実施形態または実施例は限定的な意味で熟考されるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記載の特定のルーチンまたは方法は、任意の数のプロセッシング方策のうちの一つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示された順序で実施されてもよく、または他の順序で実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0020】
本開示の主題は、本明細書で開示された様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ非自明の組み合わせおよび部分的な組み合わせ、ならびにその任意のおよびすべての均等物を含む。
【0021】
本明細書で使用される「備える(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に制限されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。この用語は他の要素や工程を除外するものではない。それ故に、一つ以上の他の工程、構成要素、もしくは特徴、またはそれらの群が存在すること、または追加されることを妨げない。この用語は、記載された特徴、工程、または構成要素の存在を、言及される通りに明示するものとして解釈されるべきである。
【0022】
本明細書全体での様々な所における「実施形態」への言及は必ずしもすべて、同じ実施形態への言及とは限らないが、そうである場合もある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者に明らかであることになるように、一つ以上の実施形態において、任意の好適な様態で組み合わされてもよい。
【0023】
本明細書全体での「一部の実施形態」への言及は、これらの実施形態に関連して記述された特定の構造、特徴工程が、本発明の実施形態の一部の中に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体での様々な所における「一部の実施形態において」などの語句は必ずしも、同じ一連の実施形態への言及とは限らないが、そうである場合もある。
【0024】
本明細書で使用される「均一性」という用語は別段の定めがない限り、複数の基板上の層の厚さのばらつきが低減されていることを指す場合がある。
【0025】
本明細書で使用される「基板の負荷」という用語は別段の定めがない限り、基板ボート内の基板の総数を指す場合がある。
【0026】
本明細書で使用される「ピッチ」という用語は別段の定めがない限り、ガス出口またはガスインジェクタに含まれる開口部間の直径および間隔の和を指す場合がある。
【0027】
「ピッチ」という用語はまた、基板ボート内の隣接する基板間の間隔と、基板のうちの一つの厚さとの和を指す場合がある。
【0028】
「実質的に同時に」という用語は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスが、重複する持続時間中に、かなりの程度で、ガスインジェクタに提供されることを指す場合がある。
【0029】
ここで、本開示の幾つかの実施形態の詳細な記述によって本開示を記述する。本開示の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って、本開示の他の実施形態を構成することができることは明らかである。本開示は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の条件によってのみ制限される。
【0030】
図1は、本開示の実施形態による基板処理装置(100)を概略的に示し、図2は、内側エンクロージャ(120)によって囲まれたプロセス空間(125)の上面図を概略的に示し、基板ボート(130)はプロセス空間(125)の中に受容可能であり、ボートロッド(131)を備える。
【0031】
複数の基板上に層を形成するように構成された基板処理装置(100)は、プロセスチャンバ(115)を備えてもよい。プロセスチャンバ(115)は、縦方向に、言い換えれば、長手方向に延在してもよい。プロセスチャンバ(115)が垂直炉に含まれる時に、プロセスチャンバはその後、垂直方向に延在しうることが理解されるべきである。
【0032】
プロセスチャンバ(115)は、プロセス空間(125)を備えてもよい。プロセス空間(125)は、プロセスチャンバ(115)の下端の開口部を通してアクセス可能であってもよい。基板処理装置(100)は、複数の基板(135)を保持するために配置された基板ボート(130)をさらに備えてもよい。基板ボート(130)は、プロセス空間(125)の中に受容可能であってもよい。基板ボート(130)は、プロセスチャンバ(115)の下端の開口部を通して受容可能であってもよい。プロセスチャンバ(115)は、基板処理装置(100)に含まれうるプロセスチューブ(110)によって囲まれてもよい。基板処理装置(100)は、ガス送達アセンブリ(170)をさらに備えてもよい。ガス送達アセンブリ(170)は、プロセスガスを受容するように、かつプロセスガスをプロセス空間(125)に提供するために構築および配置されうる少なくとも一つのガスインジェクタ(150)を備えてもよい。プロセスガスは、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを含んでもよい。従って、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを受容するように構築および配置された少なくとも一つのガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスをプロセス空間(125)に提供するために好適でありうる。
【0033】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを実質的に同時に受容するように構築および配置されてもよい。言い換えれば、第一の持続時間中に第一の前駆体ガスがガスインジェクタに提供されてもよく、第二の持続時間中に第二の前駆体ガスがガスインジェクタに提供されてもよく、それによって、第一の持続時間および第二の時間持続時間はガスインジェクタにおいて、かなりの程度で重複しうる。それ故に、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスは重複中に、ガスインジェクタ内に存在しうる。これは有利なことに、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスがプロセス空間(125)内に提供される前に、およびそれ故に、層が形成されるべき基板(135)の表面に接触する前に、ガス注入器(150)内に既にある第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを混合することを可能にする。これは、例えばプロセス空間(125)内の前駆体ガスの流れまたは分圧の変動などによる影響を受けうる、または前駆体ガスがプロセス空間(125)の中に同時に提供されるが、異なるガス注入器(150)によって提供される場合、プロセスチャンバ(115)内部の複数のガスインジェクタ(150)の配置による影響を受けうる、混合障害の発生確率を低減するのに役立ちうる。さらに、ガスインジェクタ(150)内に既に混合された前駆体を有する能力は、プロセス空間(125)内部に複数のガスインジェクタを使用する必要性を軽減しうる。
【0034】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを同時に受容するように構築および配置されてもよい。言い換えれば、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスは、ガスインジェクタに同時に提供されてもよい。
【0035】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを部分的に同時に受容するように構築および配置されてもよい。言い換えれば、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスは、異なる時にガスインジェクタに提供されてもよく、それによって、第一の持続時間および第二の持続時間はガスインジェクタにおいて、より少ない程度で重複しうる。
【0036】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを交互に受容するように構築および配置されてもよい。言い換えれば、第一の持続時間中に第一の前駆体ガスがガスインジェクタに提供されてもよく、第二の持続時間中に第二の前駆体ガスがガスインジェクタに提供されてもよく、それによって、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスは、ガスインジェクタ内でのそれらの重複が起こらないように、ガスインジェクタ内に同時に存在しない場合がある。これは、連続的な堆積が不可能でありうるか、または所望の膜特性を得るために有利でない可能性がある場合に、段階的様態で堆積を実施するのに有利でありうる。
【0037】
一部の実施形態において、第一の持続時間および第二の持続時間は、互いに異なってもよい。
【0038】
一部の実施形態において、第一の持続時間および第二の持続時間は、同じであってもよい。
【0039】
基板処理装置(100)は、ガス排出アセンブリ(160)をさらに備えてもよい。ガス排出アセンブリ(160)は、プロセス空間(125)からガスを除去するための二つのガス出口を備えてもよい。プロセスガスが第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを含む時に、二つのガス出口はそれ故に、除去されるガスは、プロセス空間(125)から第一の前駆体ガスの一部分およびの第二の前駆体ガスの一部分を含んでもよい。除去される第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分は、第一の前駆体ガスの未反応部分および第二の前駆体ガスの未反応部分を含んでもよい。除去される第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分は、複数の基板上の層の形成の結果として形成される副生成物および/または中間生成物をさらに含んでもよい。
【0040】
二つのガス出口は、ガスインジェクタ(150)の両側に少し離れて(d、d)位置付けられてもよい。二つのガス出口は、内側エンクロージャ(120)内に提供されてもよい。ガスインジェクタ(150)の両側は、ガスインジェクタ(150)と、プロセスチャンバ(115)および/または内側エンクロージャ(120)の中心とを通る平面の両側として定義されうる。ガス送達アセンブリが、ガスインジェクタ(150)の両側に二つのガスインジェクタを備える場合、二つのガスインジェクタの間の点と、プロセスチャンバ(115)および/または内側エンクロージャ(120)の中心とを通る平面の両側として定義されうる。
【0041】
従って、基板処理装置(100)は有利なことに、プロセスガスの一部分をプロセス空間(125)から、より迅速に除去することを可能にしうる。プロセスガスが第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを含む場合、基板処理装置(100)は有利なことに、第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のより迅速な除去を可能にしうる。それ故に、より迅速な除去は、使用時に、プロセス空間(125)に形成される副生成物および/または中間生成物の滞留時間を低減することを可能にしうる。理論に拘束されることを意図するものではないが、副生成物および/または中間生成物の存在は不都合なことに、層が形成される基板(135)の表面にわたる厚さ不均一性をもたらしうると言われうる。これは、層の成長速度が不都合なことに、副生成物および/または中間生成物の存在による影響を受けるという事実に関係しうる。従って、反応空間(125)からの二つのガス出口による第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のより迅速な除去は有利なことに、副生成物および/または中間生成物の滞留時間を減少させることができ、それによって、基板(135)の表面にわたる厚さ不均一性を低減する。その上、プロセス空間(125)からの二つのガス出口による第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のより迅速な除去は有利なことに、基板ボート内の各基板上の第一の前駆体ガス/生成物の濃度比、または第二の前駆体ガス/生成物の濃度比を均一に保つのに役立ちうる。生成物濃度は、副生成物または中間生成物の濃度を指す場合がある。
【0042】
実施形態において、二つのガス出口は互いに同一であってもよい。これは、プロセス空間(125)からのプロセスガスの一部分のバランスの取れた除去を提供するのに役立ちうる。
【0043】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、ガスインジェクタのセット(図に図示せず)内に含まれてもよい。一部の実施形態において、ガスインジェクタのセットは、二つのガスインジェクタを含んでもよい。それ故に、一部の実施形態において、ガス送達アセンブリ(170)は、プロセス空間(125)に第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを提供するための二つのガスインジェクタ(150)を備えてもよい。二つのガスインジェクタは実施形態において、同一であってもよい。二つのガスインジェクタは、プロセスガスの流れをプロセス空間(125)の中に均等に分配する利点を提供しうる一方で、プロセスガスの総流量を、単一のガスインジェクタの場合と同じに保つ。これは、ガスインジェクタの予防保守サイクルを改善する利点を提供しうる。さらに、二つのガスインジェクタの中へのプロセスガスの均等な分布は、基板ボート内に配置された基板の数が大量製造と同調して増加する時に、プロセス空間(125)におけるプロセスガスの必要性の増大を補いうる。
【0044】
二つのガスインジェクタは、プロセスガスへの複数の基板の各基板の均等な曝露を可能にしうるように、プロセスチャンバ(120)内に配置されてもよい。これはまた、間隔(s)内の複数の基板の各基板の表面をさっと通り抜ける、かつ二つのガス出口に向かって方向付けられている、バランスの取れたプロセスガス流路の構築に寄与しうる。
【0045】
一部の実施形態において、二つのガスインジェクタは、プロセスチャンバ(120)内で互いに対して180度に位置付けられてもよい。これらの実施形態において、二つのガス出口はまた、プロセスチャンバ(120)内で互いに対して180度に位置付けられてもよく、二つのガス出口の各々は、二つのガスインジェクタの各々に対して90度であってもよい。これは、プロセスガスをプロセス空間(125)の中に提供する際に二回対称性を作り出して複数の基板の各基板にわたってプロセスガスの均等な分布を可能にすることと、プロセス空間(125)からプロセスガスを除去することとにおいても有利でありうる。
【0046】
一部の実施形態において、二つのガス出口は、プロセスチャンバ(120)内で互いに対して180度に位置付けられてもよいが、二つのガスインジェクタの各々は、二つのガス出口の各々と90度未満の角度で位置付けられてもよい。言い換えれば、二つのガスインジェクタの各々は、ガス出口のうちの一つの近くに位置付けられてもよい一方で、もう一方のガス出口からさらに離れて位置付けられる。
【0047】
当然のことながら、プロセスガスが第一および第二の前駆ガスを含む場合、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスの総流量は、二つのガスインジェクタの中に均等に分配されてもよく、それによって上述の利点を得ることを可能にする。
【0048】
実施形態において、プロセス空間(125)は、長手方向に延在する、かつ上部(122)で閉じられている内側エンクロージャ(120)によって画定されてもよい。内側エンクロージャ(120)は、二つのガス出口を備えてもよい。二つのガス出口の各々は、長手方向に同一直線上に配置されている複数の開口部(121)を備えてもよい。それ故に、二つのガス出口の各々に含まれる複数の開口部は、プロセス空間(125)の下部セクション付近の第一の端から、プロセス空間(125)の上部セクション付近の第二の端に向かって垂直に延在しうる。
【0049】
言い換えれば、二つのガス出口の各々に含まれる複数の開口部(121)は、内側エンクロージャ(120)の円周方向側面の長手方向に、互いから垂直に離間していてもよいと言うことができる。これは有利なことに、プロセス空間(125)にわたる水平の流れを有することに寄与しうる。これは、プロセス空間(125)にわたる、前駆体濃度と中間生成物濃度の比、または前駆体濃度と副生成物濃度の比を改善することをさらに可能にしうる。複数の開口部(121)の各開口部は、プロセス空間(125)とプロセスチャンバ(115)の間のサブ通路を形成することを可能にするような、穿孔の形態であってもよい。
【0050】
実施形態において、開口部(121)は実質的に円形であってもよい。これは、ガス出口の容易な製造という点で利益を提供しうる。ガス出口は、レーザー切断によって、または機械加工によって製造されてもよい。実施形態において、実質的に円形の開口部の直径およびピッチは、ガス出口の高さに沿って変化してもよい。一部の実施形態において、直径およびピッチは、第一の端から第二の端に向かって増大してもよい。一部の実施形態において、直径およびピッチは、第一の端から第二の端に向かって減少してもよい。開口部の直径およびピッチの変化は、ガス出口の内部に存在しうる圧力差を補うことを可能にしうる。さらに、この変化はまた、生成物形成と対比して前駆体ガス流のより良い分布を得るために、反応の進み具合に対して補うことを可能にしうる。
【0051】
実施形態において、二つのガス出口の各々に含まれる同一直線上に配置された開口部(121)は、基板ボート(130)の高さに沿って延在してもよい。これは、プロセスガスが複数の基板(135)の各基板の表面と反応した後、プロセス空間(125)をより容易かつ迅速に空にすることを可能にしうる。
【0052】
実施形態において、同一直線上に配置された開口部(121)は、基板ボート(130)内に配置されている基板(135)間の間隔(s)と実質的に一致してもよい。これは、ガスインジェクタ(150)からプロセス空間(125)の中に入るプロセスガスが均一な様式で容易かつより迅速にプロセス空間(125)を出ることを可能にする場合があり、その理由は、プロセスガスが実質的に直接、ガスインジェクタから間隔(s)を通って、かつ同一直線上に配置された開口部(121)に至る方向で流路をたどって引き込まれうるからである。実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、内側エンクロージャ(120)の内側の円周方向壁(122)に近接して位置するプロセス空間(125)内に位置付けられてもよい。
【0053】
一部の実施形態において、ガス出口の開口部(121)は、スリットの形態であってもよい。スリットは、伸張配向を有してもよい。スリットの伸張配向は、プロセスチャンバの長手方向に垂直な方向であってもよい。スリットは、長手方向のスリットの高さの1.5倍~10倍、2倍~8倍、または3倍~6倍である、長手方向に垂直な方向の幅を有してもよい。一部の実施形態において、単一のスリットが、ガス出口として適用されてもよい。スリットは、ガスが均一な様式でプロセス空間(125)をより容易かつ迅速に出ることを強化する。
【0054】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)と第一のガス出口の間の距離(d)は、ガスインジェクタ(150)と第二のガス出口の間の距離(d)と異なってもよい(図2a)。
【0055】
一部の実施形態において、二つのガス出口の各々一つは、ガスインジェクタ(150)の両側から実質的に等距離に位置付けられてもよい。それから、ガスインジェクタ(150)と第一のガス出口の間の距離(d)は、ガスインジェクタ(150)と第二のガス出口の間の距離(d)と等しくてもよい(図2b、図2c)。
【0056】
言い換えれば、これらの実施形態において二つのガス出口は、ガスインジェクタ(150)に対して180度未満の角度(α)で位置付けられてもよいと言うことができる。これは、プロセス空間(125)からのプロセスガスの一部分のバランスの取れた除去を可能にしうる。プロセスガスが第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを含む場合、これは、プロセス空間(125)からの、第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のバランスの取れた除去を可能にしうる。
【0057】
さらに、これは、基板(135)の表面にわたる不均一な層形成を克服することによって、基板(135)の表面にわたる層の厚さのプロファイルを平坦化するのに役立ちうる。不均一な層形成は、例えば層の厚さが、その中央領域と比較して基板の表面の円周方向部分の周りでより厚くなる、またはその逆であることなどにつながる場合がある。
【0058】
不均一な層形成は、プロセス空間(125)における副生成物および/または中間生成物の形成の結果でありうる。従って、プロセス空間(125)からの第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のバランスの取れた除去は、副生成物および/または中間生成物の形成の減少につながる場合があり、それ故に基板の表面にわたる不均一な層形成および層の不均一な厚さを適宜に克服する。その上、二つのガス出口による、反応空間(125)からの第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分のバランスの取れた除去はまた有利なことに、基板ボート内の基板の各基板上の第一の前駆体ガス/生成物の濃度比、および第二の前駆体ガス/生成物の濃度比を均一に保つのに役立ちうる。
【0059】
それ故に、この半導体処理装置(100)は、厚さ均一性が改善された層を形成することを有利にし、従って大量製造(HVM)に適したものにする。
【0060】
一部の実施形態において、二つのガス出口の各々は、ガスインジェクタ(150)に対して90度の角度(α)でプロセス空間(125)に位置付けられてもよい(図2b)。二つのガス出口がまたガスインジェクタ(150)から等距離にある場合、これは、二つのガス出口がプロセス空間(125)内で互いに対称的に位置付けられていることを示しうる。
【0061】
一部の実施形態において、二つのガス出口は、ガスインジェクタ(150)に対して90度未満の角度(α)でプロセス空間(125)に位置付けられてもよい(図2c)。二つのガス出口がガスインジェクタ(150)から等距離にある場合、これは、二つのガス出口が、プロセス空間(125)内のプロセスガス流路の終点に向かって位置付けられていて、プロセスガス流路がガスインジェクタ(150)から二つのガス出口に向かって、基板(135)間の間隔(s)を通って延在することを示しうる。
【0062】
排出ガスアセンブリは実施形態において、ポンプに接続されてもよい。ポンプは、プロセスチャンバ(115)内の圧力を制御するように操作されてもよい。
【0063】
半導体処理装置(100)は、長手方向に移動可能である、かつプロセスチャンバ(115)を閉じるために構成されている、かつ基板ボート(130)を支持するように構成されているドア(180)を備えてもよい。ドア(180)は、基板ボート(130)を回転させることを可能にするためにドライブ(190)を備えてもよい。ドライブ(190)および基板ボート(130)は、台座(140)によって分離されてもよい。
【0064】
それ故に、実施形態において基板ボート(130)は、プロセス空間(125)内部で回転可能であってもよい。これは、基板(135)の表面にわたって、層の厚さ不均一性を改善するのに役立ちうる。
【0065】
図3はウエハマップを示し、120スロットボートおよび170スロットボートについて、ボート回転のない場合と比較したボート回転の関数としての厚さの変化を示し、それによって、一つのガス入口と、ガス入口の反対側の一つのガス出口とが使用されていて、ガス入口はガスインジェクタである。ガス出口は、同じ寸法を有する、かつ均等に間隔が置かれている、かつ内側エンクロージャ(121)の高さに沿って垂直に分布されている開口部(121)を内側エンクロージャ(120)が備えているようなガス出口であった。これらの実験において、酸化ケイ素膜は、665℃のプロセス温度および500mTorrの圧力で、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)および酸素ガスをそれぞれ第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスとして使用して、ガスインジェクタを通して提供することによって、堆積されている。TEOSは200sccmの流量で提供されていて、酸素ガスは100sccmの流量で提供されている。Nガスは、プロセスガスの脱気を回避するために、かつその濃度の低下を回避するために、内側エンクロージャ(120)の底部を通してプロセス空間(125)に提供されている。さらに、これは、ラインをきれいに保つことを可能にし、ラインのさらなるクリーニングのためのその後のパージに役立ちうる。ウエハマップは、120スロットボートと170スロットボートの中央に配置されていたウエハから抽出されている。
【0066】
ボートの回転がない場合、両方のボート(図3b、図3d)について、蹄鉄形の厚さの変化の存在が観察される。蹄鉄形の厚さの変化は、層の厚さが、ガスインジェクタを囲み、ガスインジェクタ(150)の近くにある基板の表面上の領域で最も小さい一方で、ガスインジェクタからガス出口に行くプロセスガス流路の方向で増加を示すような厚さの変化である。厚さがプロセスガス流路の方向で大きくなると、厚さプロファイルは横方向に湾曲し、それによって蹄鉄形プロファイルを形成する。
【0067】
その一方で、例えば2rpmなどのボート回転は、実質的に円形となるように厚さプロファイルを改善するのに役立つ。
【0068】
従って、本開示の実施形態によるガス入口および二つのガス出口と組み合わせたボート回転の存在は、基板表面にわたる厚さ均一性をさらに改善するという利点を提供しうる。
【0069】
実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、長手方向に延在するインジェクタチューブを備えてもよく、互いから垂直に離間した複数のガス注入穴を備えてもよい。それ故に、ガスインジェクタチューブは、プロセス空間(125)の下部セクション付近の第一の端から、プロセス空間(125)の上部セクション付近の第二の端に向かって垂直に延在しうる。ガス注入穴は、プロセスガスをプロセス空間(125)の中に分配するのに好適でありうる。プロセスガス注入穴は、ガスインジェクタ(150)の高さに沿って延在してもよい。実施形態において、プロセスガス注入開口部の直径は、実質的に同じであってもよい。一部の実施形態において、プロセスガス注入開口部のピッチは、その第一の端と比較して、その第二の端に向かってより小さくてもよい。これは、ガスインジェクタに沿った圧力降下を補うことを可能にしてもよい。
【0070】
実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、ウエハボート(130)の高さに沿って長手方向に延在してもよい。これは、長手方向にウエハボート(130)に配置された複数の基板(135)に向かって、プロセスガスをプロセス空間(125)の中に平衡させて提供することを可能にしてもよい。実施形態において、インジェクタチューブに含まれるプロセスガス注入開口部は、基板ボート(130)に配置された基竿(135)間の間隔(s)にプロセスガスを注入するために構築および配置されてもよい。
【0071】
実施形態において、形成された層は誘電材料を含んでもよい。誘電材料は実施形態において、酸化物、窒化物、またはカーバイドであってもよい。
【0072】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを同時に受容するように構築および配置されてもよい。これは有利なことに、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスがプロセス空間(125)内に提供される前に、およびそれ故に、層が形成されるべき基板(135)の表面に接触する前に、ガス注入器(150)内に既にある第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを混合することを可能にする。実施形態において、ガスインジェクタ(150)は従って、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを混合するように構築および配置されてもよい。
【0073】
基板処理装置(100)は、ガス送達アセンブリ(170)に、およびガス排出アセンブリ(160)に動作可能に接続されているコントローラ(200)をさらに備えてもよい。コントローラ(200)は、堆積プロセスを実施することによって、半導体処理装置(100)が複数の基板(135)上に層を形成することを引き起こすために、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれる命令を実行するように構成されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体は機械的スイッチを含まないことが言及されるべきである。堆積プロセスは、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスをプロセス空間(125)に提供し、それによって層を形成することを含む。堆積プロセスの最後に、第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分は混合されていないままであってもよい。従って、堆積プロセスは、第一の前駆体ガスの一部分および第二の前駆体ガスの一部分をプロセス空間(125)から除去することをさらに含んでもよい。それ故に、基板処理装置は、堆積サイクルの実施中にプロセス温度を調整および維持するためのヒーター(図に図示せず)をさらに備えてもよい。さらに、堆積サイクルの実施中にプロセス圧力を調整および維持するための圧力コントローラ(図に図示せず)を備えてもよい。ヒーターおよび圧力コントローラは、コントローラ(200)に動作可能に接続されてもよい。
【0074】
実施形態において、基板処理装置(100)は、化学気相成長(CVD)装置であってもよい。一部の実施形態において、CVD装置は、低圧化学気相成長(LPCVD)装置であってもよい。
【0075】
例示的な一実施形態において、LPCVD装置である基板処理装置はそれ故に、基板(135)の表面上に酸化ケイ素層を形成するために使用されうる。第一の前駆体ガスは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよく、第二の前駆体ガスは、酸素ガスであってもよい。酸素ガスは、堆積速度の改善を可能にしうる。提供される酸素ガスの濃度を変化させることによって、形成される酸化ケイ素層の膜特性を適合させてもよい。酸素ガス濃度の変化は、例えば酸化ケイ素層のエッチング速度を調整するのに有利でありうる。酸化ケイ素層の形成中に、中間生成物(例えば、トリエチルシラン(TES)など)は、TEOSが分解するにつれて形成されうる。酸素ガスとのTESの反応に伴い、酸化ケイ素層が形成される。TEOSおよび酸素ガスは、ガスインジェクタ(150)に同時に供給されてもよく、それによって、基板(135)の表面に接触する前に、TEOSおよび酸素ガスを混合することを可能にする。酸化ケイ素層の形成はまた、酸素ガスの提供なしに行われてもよく、それによってTES自体が酸化ケイ素層の形成をもたらしうることが言及されるべきである。
【0076】
TEOSは、75sccm~300sccmの範囲の流量で提供されてもよく、酸素ガスは、TEOSとの1:1の比率で、最大300sccmの流量で提供されてもよい。プロセスチャンバ(120)の温度は、600℃~700℃の範囲であってもよく、プロセスチャンバ(120)の圧力は、200mTorr~2000mTorrの範囲であってもよい。一部の実施形態において、プロセスチャンバ(120)の温度は、650℃~680℃の範囲であってもよく、プロセスチャンバ(120)の圧力は、500mTorr~1000mTorrの範囲であってもよい。
【0077】
それ故に、本開示の実施形態による基板処理装置は、基板の表面上に酸化ケイ素層を形成するための水平の流れを提供するのに有利であり、それによって、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)および酸素ガスが使用されうる。それは、TEOSの一部分および酸素ガスの一部分のより迅速な除去を提供する場合があり、当該部分は、未反応TEOSもしくは未反応酸素ガスに関連するか、または形成されうる副生成物もしくは中間生成物に関連する。TEOSがTESに分解すると、TESは酸素ガスと反応することによって酸化ケイ素に変換される。また、TESは酸素ガスの不在下でも酸化ケイ素に変換されうることも言及されるべきである。従って、より多くのTEOSがプロセス空間(125)に留まるほど、より多くがTESに分解され、それ故にTEOS/TES比が変化し、これは酸化ケイ素の成長率に影響を与えうる。これは結果として、基板の表面にわたる厚さ不均一性につながりうる。
【0078】
基板処理装置は、プロセス空間(125)のTEOS/TES濃度の比を基板の負荷にわたって均一に保つことを有利に提供する場合があり、それ故に基板(135)の表面にわたってバランスの取れた成長速度を保ち、それによって基板(135)の表面にわたって厚さ不均一性を低減するのに役立つ。
【0079】
一部の実施形態において、ガスインジェクタ(150)は、第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスを交互に受容するように構築および配置されてもよい。これは、原子層堆積によって層を形成する時に有利でありうる。それ故に、実施形態において、基板処理装置(100)は、原子層堆積(ALD)装置であってもよい。これは、改善された厚さ制御で基板上に層を形成することを可能にしてもよい。
【0080】
基板処理装置(100)は、ガス送達アセンブリ(170)に、およびガス排出アセンブリ(160)に動作可能に接続されているコントローラ(200)をさらに備えてもよい。コントローラ(200)は、堆積プロセスを逐次的に繰り返すことによって、半導体処理装置(100)が複数の基板(135)上に層を形成することを引き起こすために、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれる命令を実行するように構成されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体は機械的スイッチを含まないことが言及されるべきである。堆積サイクルは、第一のパルス期間の間、第一の前駆体ガスをプロセス空間(125)に提供することと、第一の前駆体ガスの一部分をプロセス空間(125)から除去することとを含んでもよい。堆積サイクルは、第二のパルス期間の間、第二の前駆体ガスをプロセス空間(125)に提供することと、第二の前駆体ガスの一部分をプロセス空間(125)から除去することとをさらに含んでもよい。
【0081】
実施形態において、第一の前駆体ガスの一部分の除去、および第二の前駆体ガスの一部分の除去は、不活性ガスを提供することを含んでもよい。不活性ガスは実施形態において、実質的にNを含んでもよい。
【0082】
一部の実施形態において、不活性ガスは、例えばHe、Ne、Xe、Kr、Arなどの一つ以上の貴ガスから実質的に構成されてもよい。一部の実施形態において、不活性ガスは、Nおよび一つ以上の貴ガスのうちの少なくとも一つから実質的に構成されてもよい。
【0083】
実施形態において、第一の前駆体ガスの一部分の除去は、プロセス空間(120)から第一の前駆体ガスの一部分を除去するための第一の持続時間を有してもよく、その一方で第二の前駆体ガスの一部分の除去は、プロセス空間(120)から第二の前駆体ガスの一部分を除去するための第二の持続時間を有してもよい。
【0084】
実施形態において、第一の前駆体ガスの一部分の除去のために、および第二の前駆体ガスの一部分の除去のために使用されうる不活性ガスの提供も、ガスインジェクタ(150)を通して行われてもよい。これは有利なことに、ガスインジェクタ(150)をクリーニングすることを可能にしてもよく、それによって第一の前駆体ガスおよび第二の前駆体ガスがガスインジェクタから除去される。さらに、ガスインジェクタ(150)のこうしたクリーニングは、ガスインジェクタ(150)で起こる膜堆積の可能性を低減するのに役立つ場合があり、これはガスインジェクタ(150)の内壁が、ガスインジェクタ(150)の内壁に堆積していた可能性のある第一の前駆体ガスの、第二の前駆体ガスとの後続の直接接触に巻き込まれるのを防止するためである。
【0085】
本開示の実施形態は、本明細書に添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって定義されているため、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。互いに異なる本開示の修正は、本明細書に開示されるものに加えて、当業者に明らかになりうる。こうした修正およびそこから由来する実施形態はまた、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
【外国語明細書】