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特開2024-32012共重合体組成物、架橋成形体およびウェザーストリップスポンジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032012
(43)【公開日】2024-03-08
(54)【発明の名称】共重合体組成物、架橋成形体およびウェザーストリップスポンジ
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240301BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240301BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240301BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240301BHJP
   C08F 210/18 20060101ALI20240301BHJP
   C08G 77/442 20060101ALI20240301BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20240301BHJP
   B60R 13/06 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L83/05
C08K5/5415
C08K3/04
C08F210/18
C08G77/442
C08J9/04 CFH
B60R13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023115655
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和輝
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄二
(72)【発明者】
【氏名】桑田 伊織
(72)【発明者】
【氏名】岸本 典久
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 武
【テーマコード(参考)】
3D201
4F074
4J002
4J100
4J246
【Fターム(参考)】
3D201AA37
3D201CA02
3D201CA22
3D201CA35
3D201EA03A
4F074AA91
4F074AA95
4F074AC02
4F074BB10
4F074BB21
4F074CA12
4F074DA39
4J002BB05W
4J002BB05X
4J002BB15W
4J002BB15X
4J002BB17W
4J002BB17X
4J002BK00W
4J002BK00X
4J002BL00W
4J002BL00X
4J002CP04Y
4J002DA038
4J002DA119
4J002DD049
4J002DE209
4J002DE219
4J002DE229
4J002DF019
4J002DF039
4J002EC037
4J002EC047
4J002EP017
4J002EP027
4J002EQ019
4J002EQ029
4J002ES009
4J002ET007
4J002ET009
4J002EU177
4J002EV269
4J002EX036
4J002EZ009
4J002FD018
4J002FD146
4J002FD14Y
4J002FD159
4J002FD329
4J002GG01
4J002GJ02
4J002GM01
4J002GN00
4J002GQ01
4J002GT00
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100AA04Q
4J100AA07Q
4J100AA15Q
4J100AA16Q
4J100AA17Q
4J100AA19Q
4J100AA21Q
4J100AR21R
4J100AR22R
4J100AS11R
4J100AS15R
4J100BC27R
4J100CA05
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA19
4J100HA37
4J100HA53
4J100HB17
4J100HB29
4J100HC79
4J100HE17
4J100HE41
4J100JA28
4J100JA44
4J100JA58
4J246AA11
4J246AB15
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB110
4J246BB112
4J246BB11X
4J246CA010
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246CA390
4J246CA39M
4J246CA39X
4J246EA02
4J246FA221
4J246FA321
4J246FA471
4J246FA601
4J246FC161
4J246FC231
4J246GB12
4J246GB18
4J246GC12
4J246GC60
4J246HA06
(57)【要約】
【課題】加工性に優れると共に、得られる架橋成形体の物性にも優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物を提供する。
【解決手段】エチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、特定の非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有しする共重合体(S)と、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒と反応抑制剤とカーボンブラックとを含み、共重合体(S)は、極限粘度[η](135℃デカリン中)が異なる共重合体(S1)と、共重合体(S2)とからなる共重合体組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体(S1)と共重合体(S2)とからなる共重合体(S)と、
下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、
白金系触媒と、
反応抑制剤と、
カーボンブラックとを含み、
前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とは、いずれもエチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
前記共重合体(S1)は、極限粘度[η](135℃デカリン中)が2.0dL/g以上4.0dL/g未満であり、前記共重合体(S2)は、極限粘度[η](135℃デカリン中)が0.5dL/g以上2.0dL/g未満である、共重合体組成物。
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、当該共重合体を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
【化1】
【化2】
(式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
【請求項2】
前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)の合計質量に占める前記共重合体(S1)の質量割合は、1~99質量%である、請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項3】
前記共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)が0.5dL/gを超え3.0dL/g以下である、請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項4】
前記共重合体(S)全体の100質量部に対して、前記カーボンブラックを5~150質量部含む、請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項5】
前記共重合体(S)全体の100質量部に対して、前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)を0.1~100質量部、前記白金系触媒を0.001~10質量部、前記反応抑制剤を0.05~5質量部含む、請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項6】
前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とが、いずれも下記要件(iii)~(v)のうちの1または2以上の要件を満たす、請求項1に記載の共重合体組成物。
(iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は当該共重合体の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
【請求項7】
前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とが、いずれも前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位として、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構成単位を含む、請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項8】
さらに、発泡剤を含有する請求項1に記載の共重合体組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の共重合体組成物を架橋して得られる架橋成形体。
【請求項10】
請求項8に記載の共重合体組成物を架橋して得られるウェザーストリップスポンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物、並びに前記共重合体組成物を架橋して得られる架橋成形体及びウェザーストリップスポンジに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(以下「EPDM」と称する場合がある。)を架橋して得られるEPDM架橋成形体は、その分子構造の主鎖に二重結合を持たないので、汎用の共役ジエンゴムと比べ耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性に優れている。
中でも、EPDMを架橋と同時に発泡させて得られるEPDM発泡体は、その優れたクッション性や圧縮性等に基づいてクッション材やパッド材、気密や止水などのシール材、断熱材や防音材などとして、家電などの室内用品や自動車などの屋外用品、住宅などの建築物などの各種の分野で広く使用されている。
【0003】
EPDM発泡体の代表的用途の一つである自動車用ウェザーストリップスポンジは、水・音・埃の車室内への侵入防止、ドア開閉時の衝撃緩和、走行中のドア振動の防止を目的に、車体、ドア、トランクなどに組みつけて使用される。
EPDM発泡体等のEPDM架橋成形体では、強度を確保するためカーボンブラック等の補強剤を配合することが行われている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、EPDMの架橋方法として、イオウ加硫や過酸化物架橋等が挙げられているが、近年ヒドロシリル基含有化合物を用いるヒドロシリコーン架橋(特許文献2)が、混練-成形加工する際の50~130℃の比較的低い温度では架橋が起こりにくく、充分なスコーチタイムが得られる一方、架橋温度である150~200℃では、短時間で架橋し得ることから注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-52032号公報
【特許文献2】特開2018-131527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に開示されているような、ヒドロシリコーン架橋によるEPDM架橋成形体は、強度等の物性が充分でなかった。また、強度等を改善しようとしてカーボンブラック等の補強剤を配合すると、未架橋のコンパウンドの粘度が高くなり、コンパウンドの加工性が低下する問題が生じた。
本発明は、上記事情に鑑み、加工性に優れると共に、得られる架橋成形体の物性に優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物、並びにこの共重合体組成物から得られる架橋成形体、特にウェザーストリップスポンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を採用した。
[1]共重合体(S1)と共重合体(S2)とからなる共重合体(S)と、
下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、
白金系触媒と、
反応抑制剤と、
カーボンブラックとを含み、
前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とは、いずれもエチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有すると共に、下記要件(i)及び要件(ii)を満たし、
前記共重合体(S1)は、極限粘度[η](135℃デカリン中)が2.0dL/g以上4.0dL/g未満であり、前記共重合体(S2)は、極限粘度[η](135℃デカリン中)が0.5dL/g以上2.0dL/g未満である、共重合体組成物。
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、当該共重合体を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
(式(a)中、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。)
【0011】
[2]前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)の合計質量に占める前記共重合体(S1)の質量割合は、1~99質量%である、[1]に記載の共重合体組成物。
[3]前記共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)が0.5dL/gを超え3.0dL/g以下である、[1]または[2]に記載の共重合体組成物。
[4]前記共重合体(S)全体の100質量部に対して、前記カーボンブラックを5~150質量部含む、[1]~[3]のいずれかに記載の共重合体組成物。
[5]前記共重合体(S)全体の100質量部に対して、前記ヒドロシリル基含有化合物(Y)を0.1~100質量部、前記白金系触媒を0.001~10質量部、前記反応抑制剤を0.05~5質量部含む、[1]~[4]のいずれかに記載の共重合体組成物。
[6]前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とが、いずれも下記要件(iii)~(v)のうちの1または2以上の要件を満たす、[1]~[5]のいずれかに記載の共重合体組成物。
(iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は当該共重合体の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
【0012】
[7]前記共重合体(S1)と前記共重合体(S2)とが、いずれも前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位として、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来する構成単位を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の共重合体組成物。
[8]さらに、発泡剤を含有する[1]~[7]のいずれかに記載の共重合体組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の共重合体組成物を架橋して得られる架橋成形体。
[10][8]に記載の共重合体組成物を架橋して得られるウェザーストリップスポンジ。
【発明の効果】
【0013】
本発明の共重合体組成物は加工性に優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物である。また、本発明の共重合体組成物を架橋して得られる架橋成形体の物性にも優れる。また、本発明の架橋成形体及びウェザーストリップスポンジは、優れた物性を備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<共重合体組成物>
本発明の1態様に係る共重合体組成物は、共重合体(S)とヒドロシリル基含有化合物(Y)と、白金系触媒と、反応抑制剤と、カーボンブラックを含む。
なお、本明細書および特許請求の範囲における「質量部」は、溶剤を含まない固形分換算の質量部である。
また、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値および上限値とする数値範囲を意味する。
【0015】
[共重合体(S)]
本態様における共重合体(S)は極限粘度[η](135℃デカリン中)が異なる共重合体(S1)と、共重合体(S2)とからなる。
共重合体(S)を構成する共重合体(S1)と共重合体(S2)は、いずれもエチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位とを有する。
【0016】
共重合体(S1)と共重合体(S2)は、各々全構成単位に対するエチレン(A)由来の構成単位と、炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位と、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の合計の質量分率が、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、92質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0017】
炭素数3~20のα-オレフィン(B)(以下、単に「α-オレフィン(B)」という場合がある。)としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素数3~8のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα-オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られる共重合体が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。これらのα-オレフィンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
【0018】
非共役ポリエン(C)は、下記式(I)および下記式(II)から選ばれる少なくとも一種の部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンである。
【0019】
【化3】
【0020】
非共役ポリエン(C)としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリコーン架橋が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから非共役ポリエン(C)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(C)がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン(C)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
【0021】
本態様における共重合体(S1)と共重合体(S2)は、各々本態様の効果を損なわない範囲で、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位(CX)をさらに含んでいてもよい。
このような非共役ポリエン(CX)としては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなどが挙げられる。
【0022】
これらのうちでは、入手容易性が高く、ヒドロシリコーン架橋時の架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン(CX)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本態様における共重合体(S1)と共重合体(S2)は、各々非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位を含む場合、その質量分率は、各々の共重合体を構成する全構成単位に対して、0~20質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0.01~8質量%がさらに好ましい。
【0023】
本態様における共重合体(S1)と共重合体(S2)は、各々前述したエチレン(A)、炭素原子数3~20のα-オレフィン(B)、非共役ポリエン(C)、および非共役ポリエン(CX)から選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構成単位として、バイオマス由来のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0024】
共重合体(S1)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、2.0dL/g以上4.0dL/g未満である。共重合体(S1)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、2.1dL/g以上3.8dL/g未満であることが好ましく、2.2dL/g以上3.6dL/g未満であることがより好ましい。
共重合体(S2)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、0.5dL/g以上2.0dL/g未満である。共重合体(S2)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、0.6L/g以上1.8dL/g未満であることが好ましく、0.7dL/g以上1.6dL/g未満であることがより好ましい。
共重合体(S1)と共重合体(S2)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、各々重合時の水素フィード量により調整することができる。
【0025】
共重合体(S1)と共重合体(S2)の合計質量(共重合体(S)全体の質量に等しい。)に占める共重合体(S1)の質量割合は、1~99質量%であることが好ましく、2~75質量%であることがより好ましく、5~50質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましい。
共重合体(S1)の質量割合が好ましい下限値以上であれば、より優れた物性を得やすい。共重合体(S1)の質量割合が好ましい上限値以下であれば、より優れた加工性を得やすい。
【0026】
共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、0.5dL/gを超え3.0dL/g以下が好ましく、0.6~2.9dL/gがより好ましく、0.7~2.8L/gがさらに好ましい。
共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)が好ましい下限値以上であれば、より優れた物性を得やすい。共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)が好ましい上限値以下であれば、より優れた加工性を得やすい。
【0027】
共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々の極限粘度[η](135℃デカリン中)と、共重合体(S1)と共重合体(S2)の割合により調整できる。
なお、共重合体(S1)、共重合体(S2)、共重合体(S)全体の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、各々135℃のデカリン中で測定される値であり、後述の要件(iv)についての説明で詳述する方法と同様である。
【0028】
共重合体(S1)の重量平均分子量(Mw)は、50,000~700,000が好ましく、70,000~600,000がより好ましく、100,000~500,000がさらに好ましい。
共重合体(S2)の重量平均分子量(Mw)は、10,000~300,000が好ましく、20,000~250,000がより好ましく、30,000~200,000がさらに好ましい。
【0029】
共重合体(S)全体の重量平均分子量(Mw)は、10,000~700,000が好ましく、30,000~600,000がより好ましく、50,000~500,000がさらに好ましい。
共重合体(S)全体の重量平均分子量(Mw)が好ましい下限値以上であれば、より優れた物性を得やすい。共重合体(S)全体の重量平均分子量(Mw)が好ましい上限値以下であれば、より優れた加工性を得やすい。
【0030】
共重合体(S)全体の重量平均分子量(Mw)は、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々の重量平均分子量(Mw)と、共重合体(S1)と共重合体(S2)の割合により調整できる。
なお、共重合体(S1)、共重合体(S2)、共重合体(S)全体の重量平均分子量(Mw)は、各々3D-GPCで測定される重量平均分子量を意味する。
【0031】
本態様における共重合体(S1)と共重合体(S2)とは、各々下記要件(i)、要件(ii)を満たす。また、各々下記要件(i)、要件(ii)に加えて、下記要件(iii)~要件(v)のうちの1または2以上の要件を満たすことが好ましく、下記要件(i)~要件(v)の総てを満たすことが特に好ましい。要件(iii)~要件(v)は、いずれも共重合体における長鎖分岐含有量に関係する指標である。
【0032】
(i)エチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]の炭素数3~20のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、当該共重合体を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%である。
【0033】
(iii)下記式(1)で求められる(nC)が4.5以上80以下である。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は当該共重合体の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
【0034】
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6 ・・・式(2)
【0035】
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ・・・式(3)
【0036】
要件(i)は、共重合体(S1)と共重合体(S2)におけるエチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]のα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]に対する比である[A]/[B]が、40/60~99.9/0.1を満たすことを特定する。
【0037】
[A]/[B]は50/50~90/10が好ましく、55/45~85/15がより好ましく、55/45~78/22がさらに好ましい。共重合体(S1)と共重合体(S2)とが、各々要件(i)を満たすことにより、共重合体(S)をヒドロシリコーン架橋して得られる成形体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
なお、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々におけるエチレン(A)由来の構成単位のモル数[A]とα-オレフィン(B)由来の構成単位のモル数[B]の比[A]/[B]は13C-NMRにより求めることができる。
【0038】
要件(ii)は、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々において、非共役ポリエン(C)由来の構成単位の質量分率が、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々の共重合体を構成する全構成単位に対して0.07~10質量%であることを特定する。
この非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、0.1~8.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%であることがより好ましい。
【0039】
共重合体(S1)と共重合体(S2)は、要件(ii)を満たすことにより、本態様に係る共重合体組成物から得られる架橋成形体が充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなるため好ましい。また、共重合体(S)をヒドロシリコーン架橋すると、早い架橋速度を示すため、効率的に架橋成形体を製造できるので好ましい。
なお、共重合体(S1)と共重合体(S2)の各々における非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、13C-NMRにより求めることができる。
【0040】
非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率は、当該共重合体の重量平均分子量(Mw)と、下記式(4)を満たすことが好ましい。
6-0.45×Ln(Mw)≦(C)の質量分率≦10 ・・・式(4)
【0041】
要件(iii)は、下記式(1)で求められる(nC)の範囲を4.5以上80以下に特定する。
(nC)=(Mw)×{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量 ・・・(1)
但し、式(1)において、(Mw)は当該共重合体の重量平均分子量であり、(C)の質量分率は非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率であり、(C)の分子量は非共役ポリエン(C)の分子量である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、3D-GPCで測定される数値を意味する。
(nC)は4.5以上78以下であることが好ましく、4.5以上75以下であることがより好ましい。
【0042】
上記式(1)で求められる(nC)は、当該共重合体の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数である。
(nC)が下限値以上であることにより、ヒドロシリコーン架橋する際に充分な架橋速度を得やすい。また上限値以下であることにより、過度な架橋が生じにくく、得られる架橋成形体がより優れた機械特性を示す。
【0043】
共重合体(S1)と共重合体(S2)とが要件(iii)を満たす場合、各共重合体の長鎖分岐含有量が適切な範囲となる。その結果、ヒドロシリコーン架橋速度が速く、得られる架橋成形体の機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、後架橋を生じにくく特に耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
【0044】
当該共重合体が構成単位(CX)を含む場合は、下記式(1’)で求められる(nC+cx)が4.5以上80以下であることが好ましく、4.5以上78以下であることがより好ましく、4.5以上75以下であることがさらに好ましい。
(nC+cx)=(Mw)×[{(C)の質量分率/100}/(C)の分子量
+{(CX)の質量分率/100}/(CX)の分子量] ・・・(1’)
上記式(1’)で求められる(nC+cx)は、共重合体の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の数と非共役ポリエン(CX)に由来する構成単位の数の合計数である。
【0045】
要件(iv)は、当該共重合体の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η (ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η (ω=100)(Pa・sec)との比P(η (ω=0.1)/η (ω=100))と、極限粘度[η](135℃デカリン中)と、前記非共役ポリエン(C)に由来する構成単位の質量分率((C)の質量分率:質量%)とが、下記式(2)を満たすことを特定する。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×6・・・式(2)
【0046】
レオメーターとしては、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%で、周波数を変化させて測定を行った。 極限粘度[η](135℃デカリン中)は、135℃のデカリン中で測定される値である。
【0047】
共重合体(S1)と共重合体(S2)は、下記式(2')を満たすことがより好ましい。
P/([η]2.9)≦(C)の質量分率×5.7・・・式(2')
比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)および式(2')の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。
【0048】
一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構成単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本態様における共重合体(S)は、従来公知のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより上記式(2)を満たすことができると考えられる。
【0049】
要件(v)は、当該共重合体の、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たすことを特定する。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw)・・・式(3)
【0050】
上記式(3)により、当該共重合体の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。すなわち、要件(v)をは、当該共重合体の長鎖分岐の割合が少ないことを意味する。
共重合体(S1)と共重合体(S2)は、要件(v)を満たすことにより、ヒドロシリコーン架橋を行う場合の硬化特性に優れる。また、これを用いて得られる架橋成形体は、耐熱老化性に優れたものとなる。
共重合体(S1)と共重合体(S2)は、下記式(3')を満たすことがより好ましい。
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw)・・・式(3')
【0051】
上記式(3)および式(3’)におけるMwと(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めた値である。具体的には、後述の実施例に記載した方法で求めた値である。
【0052】
粘度計より得られた極限粘度(135℃デカリン中)と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg’iを式(v-1)から算出した。
【0053】
【数1】
ここで、[η]=KM;v=0.726の関係式を適用した。
また、g’として各平均値を下記式(v-2)、(v-3)、(v-4)から算出した。なお、短鎖分岐のみを有すると仮定したTrendlineは試料ごとに決定した。
【0054】
【数2】
【0055】
更にg'wを用いて、分子鎖あたりの分岐点数BrNo、炭素1000個あたりの長鎖分岐数LCB1000C、単位分子量あたりの分岐度λを算出した。BrNo算出はZimm-Stockmayerの式(v-5)、また、LCB1000Cとλの算出は式(v-6)、(v-7)を用いた。gは慣性半径Rgから求められる長鎖分岐パラメーターであり、極限粘度(135℃デカリン中)から求められるg'との間に次の単純な相関付けが行われている。式中のεは分子の形に応じて種々の値が提案されている。ここではε=1(すなわちg'=g)と仮定して計算を行った。
【0056】
【数3】
【0057】
λ=BrNo/M …(V-6)
LCB1000C=λ×14000 …(V-7)
式(V-7)中、14000はメチレン(CH)単位で1000個分の分子量を表す。
【0058】
本態様における共重合体(S1)と共重合体(S2)は、下記式(5)で表される要件(vi)を満たすことも好ましい。
(vi) Log{η*(ω=0.01)}/Log{η*(ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 … 式(5)
【0059】
式(5)において、η*(ω=0.01)は、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η*(Pa・sec)である。
また、η*(ω=10)は、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*(Pa・sec)である。
ここで、η*(ω=0.01)およびη*(ω=10)は、要件(iv)における複素粘度η (ω=0.1)および複素粘度η (ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。
【0060】
式(5)において、非共役ポリエン(C)に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
(C)に由来する見かけのヨウ素価=(C)の質量分率×253.81/(C)の分子量
【0061】
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(C)の含有量の指標を表す。
要件(vi)を満たす場合には、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。要件(vi)を満たさないことは、共重合した非共役ポリエン(C)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いことを示す。
【0062】
本態様の共重合体組成物における共重合体(S1)と共重合体(S2)は、各々2種以上の共重合体を含んでいてもよい。例えば、(イ)エチレン/炭素数3~20のα-オレフィンのモル比、(ロ)ヨウ素価が異なる重合体同士を2種以上混合して用いることもできる。
【0063】
本態様において、共重合体(S1)と共重合体(S2)の製造方法に特に限定はないが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。
具体的には、例えば、国際公開第2015/122495号パンフレット記載の方法で製造することができる。
【0064】
[ヒドロシリル基含有化合物(Y)]
本発明におけるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、下記式(a)で示され、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
本態様の共重合体組成物は、2種以上のヒドロシリル基含有化合物(Y)を含んでいてもよい。
【0065】
【化4】
【0066】
式(a)において、nおよびpは、0または正の数であり、mは1~20の範囲の数であり、nとmとpの総和は5~50である。R、Rは各々独立して一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rはアラルキル基であり、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基である。ただし、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子である。
【0067】
このようなヒドロシリル基含有化合物(Y)は、そのシロキサン重合度が比較的小さく、かつ、分子内に少なくとも1つのケイ素原子結合アラルキル基および少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有する、直鎖構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0068】
ヒドロシリル基含有化合物(Y)を共重合体(S)と選択的に併用することで、得られる成型物の耐スコーチ性、成型性、破断時の伸び、圧縮成型ひずみ等の物理的性質に特に優れる成形体を得ることができ、特に、ウェザーストリップスポンジ材等への適用可能性が改善されるものである。
【0069】
式(a)において、mは、ケイ素原子結合アラルキル基を有するジオルガノシロキシ単位の数であり、1~20の範囲の数であり、2~10の範囲の数であってよく、3~6の範囲の数であることが特に好ましい。
【0070】
式(a)において、nは側鎖におけるケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキシ単位の数であり、0または1であってもよいが、n=1の時はRの少なくとも一方が水素原子であり、n=0の時はRの両方が水素原子であり、分子内に少なくとも2のケイ素原子結合水素原子を有する構造となる。
【0071】
なお、nが0または1以外の数であっても、分子鎖両末端のRの一方または両方がケイ素原子結合水素原子であることは妨げられない。さらに、nは0または1以外の数であることが好ましく、かつ、n≧mとなる数であることがより好ましい。より具体的には、nは3~10の範囲の数であってよく、3~9の範囲の数であることが特に好ましい。
【0072】
式(a)において、pは、アラルキル基またはケイ素原子結合水素原子を含まないジオルガノシロキシ単位の数であり、0であってよく、後述するnとmとpの総和の値で表されるジオルガノシロキサン単位の総重合度から、nおよびmの値を除した数の範囲であってよい。例えば、pは0~12の範囲の数でよく、0~10の範囲の数でよく、0~5の範囲の数でよく、0~2であってよく、かつ、好ましい。
【0073】
ヒドロシリル基含有化合物(Y)は、シロキサン重合度が比較的小さく、上記のnとmとpの値の総和が5~50であり、好ましくは5~20であってよく、5~15であってよい。
本発明の架橋剤であるヒドロシリル基含有化合物(Y)は、特に好適には、mが3~6の範囲の数であり、nが3~9の範囲の数であり、かつ、pが0~2の範囲の数である。
【0074】
式(a)において、RはR,R、水素原子、Rから選ばれる基のいずれであってよい。ただし、n=0または1の場合は、Rの両方または一方は水素原子である。
式中のR,Rは一価のアルキル基であり、同一でも異なってもよく、一部の炭素原子結合水素原子がハロゲン原子により置換されていてもよい。このようなアルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であってよく、工業的には、メチル基であってよい。
【0075】
式(a)において、Rはアラルキル基であり、炭素数7~20のアラルキル基、好適には、炭素数7~15のアラルキル基であってよい。このようなアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を例示することができ、特に、フェニル基等のアリール基とケイ素原子間のアルキレン構造中に-CH(CH)-で表される分岐単位を少なくとも一つ含むことが好ましい。本発明において、特に好適には、Rは-CH-CH(CH)-Cで表されるアラルキル基である。
【0076】
当該アラルキル基は、ヒドロシリル基含有化合物(Y)に架橋剤としての有用性を与える特徴的な官能基であり、特に、n、m、pが上記の範囲にある本成分中にアラルキル基がケイ素原子結合水素原子と共に存在することで、得られる成型物の物理的性質が著しく改善されるものである。
【0077】
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対するヒドロシリル基含有化合物(Y)の配合量は、0.1~100質量部が好ましく、0.5~90質量部がより好ましく、1.0~80質量部がさらに好ましい。
【0078】
[白金系触媒]
白金系触媒は、付加反応触媒であり、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。白金系触媒としては、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
【0079】
具体的な白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の白金系触媒を含んでいてもよい。
【0080】
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対する白金系触媒の配合量は、0.001~10質量部が好ましく、0.005~9質量部がより好ましく、0.01~8質量部がさらに好ましい。
【0081】
[反応抑制剤]
本態様の共重合体組成物は反応抑制剤を含むことが好ましい。反応抑制剤は、共重合体(S)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)のヒドロシリル基との架橋反応(アルケンへのヒドロシリル化付加反応)を抑制する機能を有する化合物である。反応抑制剤を配合した場合は、組成物の混練時および成形時での加工性を安定にする点で好ましい。
【0082】
反応抑制剤の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール;1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール類;、アクリロニトリル;N,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’-テトラアリル-p-フタル酸ジアミドなどアミド化合物);その他、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
これら化合物の中でも3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが特に好ましい。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の反応抑制剤を含んでいてもよい。
【0083】
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対する反応抑制剤の配合量は、0.05~5質量部が好ましく、0.08~4質量部がより好ましく、0.1~3質量部がさらに好ましい。
【0084】
[カーボンブラック]
本態様の共重合体組成物はカーボンブラックを含む。カーボンブラックは補強剤として機能し、これを含有することにより、共重合体組成物の加工性が向上し、しかも引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上した共重合体組成物を得ることができる。
【0085】
カーボンブラックとしては、例えば、旭#50HG、旭#55G、旭#60UG(以上、旭カーボン(株)製)、シーストSVH、シーストV、シーストG-SO(以上、東海カーボン(株)製)などの公知のものを使用することができる。これらは、単独で使用することもできるし、併用することもできる。また、シランカップリング剤などで表面処理したものを使用することもできる。
【0086】
本態様の共重合体組成物において、共重合体(S)の100質量部に対するカーボンブラックの配合量は、5~150質量部が好ましく、10~120質量部がより好ましく、20~100質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの配合量が前記範囲内にあれば、動倍率(動的弾性率/静的弾性率)、加工性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
【0087】
本態様の共重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、引張破断点応力、引張破断点伸びなどの物性を向上させるため、カーボンブラック以外の補強剤を含んでいてもよい.
カーボンブラック以外の補強剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸などが挙げられる。カーボンブラック以外の補強剤は、2種以上配合してもよい。
【0088】
[発泡剤]
本態様の共重合体組成物は発泡した架橋成形体を得るため、発泡剤を含んでいてもよい。 発泡剤としては、酸化炭素、窒素、空気、水等の物理型発泡剤;重炭酸ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、OBSH(4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。中でも発泡成形体の低比重化、高架橋密度化が可能であることから無機系発泡剤が好ましく、なかでも重曹が好ましい。
【0089】
また、発泡剤に加えて、必要に応じて発泡助剤を添加してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進または気泡の均一化などの作用を示す。発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸およびクエン酸などの有機酸またはその塩;尿素またはその誘導体などが挙げられる。市販品としては、例えば、セルペーストK5(商品名;永和化成工業社製、尿素)およびFE-507(商品名;永和化成工業社製、重曹)などが挙げられる。発泡助剤の配合量は、共重合体(S)100質量部に対して、通常0.1~5質量部、好ましくは0.5~4質量部である。
【0090】
また、高圧ガスによる物理発泡も可能である。すなわち、例えば樹脂の融点付近の温度で押出する際に、押出機の途中に設けられた圧入孔から揮発性又は無機ガス系発泡剤を圧入して、口金から押し出すことにより発泡体を連続的に得ることができる。物理型発泡剤の具体例としては、フロン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の揮発性発泡剤、窒素、空気、水、炭酸ガス等の無機ガス系発泡剤が挙げられる。また、押出発泡に際し、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム等の気泡核形成剤を添加してもよい。物理型発泡剤の配合割合は、共重合体(S)100質量部に対し、通常5~60質量部、好ましくは10~50質量部である。物理的発泡剤の配合割合が少なすぎると、発泡体の発泡性が低下し、逆に多すぎると、発泡体の強度が低下する。
【0091】
[酸化防止剤]
本態様の共重合体組成物は酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本態様の共重合体組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことにより、さらに、吸水率が高く、圧縮永久歪みが優れる架橋成形体を得ることができる。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0092】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4,6-トリス(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)メシチレン〔((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-330、融点:243~245℃)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-20、融点:220~222℃)、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール) ((株ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-40、融点:210~214℃)、N,N’-ビス{3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン(BASF・ジャパン(株)製、商品名:Irganox MD1024、融点:224~229℃)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン(株)製、商品名:Irganox1010、融点:110~130℃)、ジブチルヒドロキシトルエン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラックNS―7、融点:200℃以上)などが挙げられる。
【0093】
本態様の共重合体組成物が酸化防止剤を含む場合は、共重合体(S)の100質量部に対する酸化防止剤の配合量は、0.001~10質量部が好ましく、0.005~10質量部がより好ましく、0.1~10質量部がさらに好ましく、0.5~8質量部が特に好ましい。
【0094】
[老化防止剤]
本態様の共重合体組成物は老化防止剤を含んでいてもよい。
老化防止剤としては、一般的なゴム組成物に用いられる公知の老化防止剤を用いることができる。具体的には、フェノール系老化防止剤、およびアミン系老化防止剤などが挙げられる。
老化防止剤は、単独で用いてもよいが、高温下で、長時間の耐熱老化性を維持する点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0095】
本態様の共重合体組成物がフェノール系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~5質量部、より好ましくは0.5~4質量部、特に好ましくは0.5~3質量部の範囲で用いることができる。前記範囲でフェノール系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きい。
【0096】
本態様の共重合体組成物がアミン系老化防止剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~4質量部、特に好ましくは0.2~3質量部の範囲で用いられる。前記範囲でアミン系老化防止剤を用いると、耐熱老化性の向上効果が大きい。
【0097】
[軟化剤]
本態様の共重合体組成物は軟化剤を含んでいてもよい。
軟化剤は、ゴム組成物に配合される公知の軟化剤である。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤が好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の軟化剤を含んでいてもよい。
【0098】
本態様の共重合体組成物が軟化剤を含む場合は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは5~150質量部、より好ましくは10~150質量部、特に好ましくは10~120質量部の範囲で用いられる。軟化剤の配合量が前記範囲内にあれば、タックが少なく、加工性、耐熱老化性、機械的性質等に優れた共重合体組成物を得ることができる。
【0099】
[吸湿剤]
本態様の共重合体組成物は吸湿剤を含んでいてもよい。
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらの中では酸化カルシウムが好ましい。吸湿剤の配合量は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1.0~12質量部、さらに好ましくは1.0~10質量部である。
本態様の共重合体組成物は、2種以上の吸湿剤を含んでいてもよい。
【0100】
[有機過酸化物]
本態様の共重合体組成物は有機過酸化物を含んでいてもよい。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドが挙げられる。
【0101】
本態様の共重合体組成物が有機過酸化物を含む場合、共重合体(S)の100質量部に対する有機過酸化物の配合量は、0.2~6質量部が好ましく、0.2~4.8質量部がより好ましく、0.2~4質量部がさらに好ましい。
また、共重合体(S)の100質量部に対するヒドロシリル基含有化合物(Y)と有機過酸化物の合計配合量は、0.01~0.15当量が好ましく、0.01~0.1当量がより好ましく、0.02~0.1がさらに好ましい。
また、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と有機過酸化物(Z)の配合量の当量比[Y/Z]は、23/77~99/1が好ましく、47/53~99/1がより好ましい。
【0102】
[架橋助剤]
本態様の共重合体組成物は架橋助剤を含んでいてもよい。
架橋助剤としては、具体的には、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用するヒドロシリル基含有化合物(Y)1モルに対して好ましくは0.5~2モル、より好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0103】
[充填剤]
本態様の共重合体組成物は、配合コストを下げるため、充填剤を含んでいてもよい。
充填剤としては、例えば、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような充填剤は、共重合体(S)100質量部に対し、好ましくは1~500質量部、より好ましくは1~400質量部、さらに好ましくは1~300質量部の範囲で用いられる。充填剤の配合量が前記範囲内であると、得られる成形体の引張強度、引裂強度、耐摩耗性等の機械的性質を向上させることができる。
【0104】
[加工助剤]
本態様の共重合体組成物は加工助剤を含んでいてもよい。
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0105】
加工助剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下の量で適宜配合することができる。加工助剤の配合量が前記範囲内であると、混練加工性、押出加工性、射出成形性等の加工性に優れる。
【0106】
[活性剤]
本態様の共重合体組成物は活性剤を含んでいてもよい。
活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらの活性剤は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。活性剤は、共重合体(S)100質量部に対して、好ましくは0.2~15質量部、好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは0.5~8質量部の範囲で適宜配合することができる。
【0107】
[その他の配合剤等]
本態様の共重合体組成物は、上記成分に加え、本態様の目的が損なわれない限り、それ自体公知のゴム配合剤、例えば、α,β-不飽和有機酸の金属塩、架橋促進剤、可塑剤、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
【0108】
[その他の樹脂]
本態様の共重合体組成物は、本態様の効果を損なわない範囲で、共重合体(S)以外の樹脂ないしゴムを含んでいてもよい。共重合体(S)以外の樹脂ないしゴムは、共重合体(S)の100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、配合しないことが好ましい。
【0109】
共重合体(S)以外の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用樹脂が挙げられる。
ゴムとしては、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが挙げられる。
【0110】
[共重合体組成物の製造]
本態様の共重合体組成物を得るには、公知の一般的なゴム組成物と同様の方法を採用し得る。具体的には、以下の通りである。
バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、例えば、共重合体(S)ならびに他の成分を80~170℃の温度で3~10分間混練(第一混練)した後、ヒドロシリル基含有化合物(Y)、白金系触媒、必要に応じて、反応抑制剤、補強剤、軟化剤等の他の配合剤や他のゴムや樹脂などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度50~80℃で5~30分間混練(第二混練)した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状の共重合体組成物が得られる。
【0111】
本態様の共重合体組成物を得るには、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、必要に応じてその他の成分を混練(第一混練)した後、得られた混練物に、白金系触媒および反応抑制剤と、必要に応じてその他の成分を加えて混練(第二混練)することも好ましい。
【0112】
具体的には、共重合体(S)と、ヒドロシリル基含有化合物(Y)と、必要に応じてその他の成分を、80~170℃で1~10分間混練、好ましくは110~170℃の温度で3~8分間混練(第一混練)した後、得られた混練物に、白金系触媒および反応抑制剤と、必要に応じてその他の成分を加え、10~100℃で1~10分間混練、好ましくは20~80℃の温度で3~7分間混練(第二混練)する方法が採用できる。
【0113】
カーボンブラックは、第一混練時と第二混練時のいずれで加えてもよいが、第一混練時に加えることが好ましい。カーボンブラック以外の補強剤、軟化剤などを加える場合も同様である。
その他のゴム配合剤、例えば、α,β-不飽和有機酸の金属塩、吸湿剤、老化防止剤、充填剤、加工助剤、活性剤、可塑剤、粘着付与剤等の配合剤を加える場合は、第一混練時に加えることが好ましく、架橋助剤、架橋促進剤および発泡剤は第二混練時に加えることが好ましい。
【0114】
第一混練に用いる混練装置は、高温で処理できる装置であれば、種々公知の混練装置を使用し得る。具体的には、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などが挙げられる。
第二混練に用いる混練装置は、温度制御が容易なロール、ニーダー、押出機が挙げられる。
【0115】
各成分の混練を、第一混練と第二混練に分けて混練すると、全成分を分けずに混練する場合と比べて混練時間の短縮が可能である。かつ、第一混練時に架橋が進行することを抑制できるため第一混練時の温度を上げることができ、より短時間で水分を除去することが可能である。
【0116】
<架橋成形体>
本発明の1態様に係る架橋成形体は、本発明の共重合体組成物を架橋して得られる架橋成形体である。
架橋成形体は、本発明の共重合体組成物を、例えば、押出成形機、カレンダーロール、プレス成形機、射出成形機、トランスファー成形機など種々の成形機を用いた成形法によって所望形状に予備成形後、あるは成形と同時に、成形物を架橋槽内に導入し、加熱して架橋することにより得ることができる。本発明の共重合体組成物が発泡剤を含む場合は、架橋と共に発泡も進行し、発泡した架橋成形体(発泡成形体)が得られる。
【0117】
加熱する方法としては、公知の方法が制限無く用いることができるが、特に、遠赤外線加熱炉、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150~200℃の温度で1~30分間加熱することが好ましい。成形、架橋に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合は、ゴム組成物は通常連続的に成形、架橋される。
【0118】
本態様の共重合体組成物をプレス成形して一次架橋を行い、金型から取り出すことにより一次成形体を得、得られた一次成形体を熱媒体中で二次架橋することも好ましい。
具体的には、本発明の共重合体組成物を、120~200℃で1~20分間、好ましくは150~200℃で10~18分間、プレス成形して一次架橋を行って金型から取り出すことにより一次成形体を得、得られた一次成形体を熱媒体中で120~160℃で10~24時間、好ましくは140~160℃で15~20分間、二次架橋する方法が採用できる。
二次架橋に用いる熱媒体は、空気、水蒸気、パラフィン系プロセスオイルや溶融塩等である。
【0119】
一次架橋をプレス成形で行うと、せん断発熱によって架橋体が高温になることがない。そのため、低分子シロキサンの発生およびポリマーの劣化を抑えることが可能である。
また、密閉状態で架橋するプレス成形では、ある程度発生した低分子シロキサンが架橋体内部に残存するが、その後、熱媒体中で二次架橋を行うことで低分子シロキサンを揮発させ、低分子シロキサン量の少ない架橋体を得ることが可能である。
【0120】
本態様の架橋成形体は、様々な用途に用いることができる。具体的には、タイヤ用ゴム、O-リング、工業用ロール、パッキン(例えばコンデンサーパッキン)、ガスケット、ベルト(例えば、断熱ベルト、複写機ベルト、搬送ベルト)、自動車用ホースなどのホース類(例えば、ウォーターホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホース、エアーホース)、防振ゴム、防振材あるいは制振材(例えば、エンジンマウント、モーターマウント)、マフラーハンガー、スポンジ(例えば、ウェザーストリップスポンジ、断熱スポンジ、プロテクトスポンジ、微発泡スポンジ)、ケーブル(イグニッションケーブル、キャブタイヤケーブル、ハイテンションケーブル)、電線被覆材(高圧電線被覆材、低電圧電線被覆材、舶用電線被覆材)、グラスランチャネル、カラー表皮材、給紙ロール、ルーフィングシート等に好適に用いられる。中でもウェザーストリップスポンジに好適に使用できる。
【0121】
[ウェザーストリップスポンジ]
ウェザーストリップスポンジとしては、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジ等が挙げられる。
本態様のウェザーストリップスポンジは、低比重としても、充分な剛性を有しているので、軽量でかつドア閉まり性に優れている。
本態様のウェザーストリップスポンジの比重は好ましくは0.3~0.5、より好ましくは0.3~0.45であり、低伸張応力(σ25)は好ましくは0.15~0.35MPa、より好ましくは0.15~0.30MPaである。
【実施例0122】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0123】
<測定方法・評価方法>
各例の共重合体、未架橋の共重合体組成物(後述の第二段階の混練を終了した直後の共重合体組成物、以下同じ)および架橋成形体の物性の測定や評価は以下の方法で行った。
【0124】
[共重合体の組成]
共重合体の、各構成単位の質量分率(質量%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C-NMRのスペクトルを測定して得た。
【0125】
[3D-GPCの条件]
共重合体の重量平均分子量(Mw)と1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D-GPCを用いて構造解析法により求めた値である。具体的には、3D-高温GPC装置PL-GPC220型(Polymer Laboratories社製)を用い、絶対分子量分布を求め、同時に粘度計で極限粘度(135℃デカリン中)を求めた。主な測定条件は以下の通りである。
【0126】
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型
(Polymer Laboratories社製)
【0127】
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel
GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.0mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
【0128】
絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定した。
1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、上述の方法により算出した。
【0129】
[共重合体の極限粘度]
共重合体の極限粘度[η]は、(株)離合社製全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
【0130】
[共重合体のP値]
レオメーターとして、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)、および周波数ω=100rad/sでの複素粘度η* (ω=100)(いずれも単位はPa・sec)を測定した。また、得られた結果より、η* (ω=0.1)とη* (ω=100)との複素粘度の比(η*比)である共重合体のP値(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))を算出した。
【0131】
[共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)100℃)]
各例における未架橋の共重合体組成物の100℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)100℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、100℃の条件下で測定した。
【0132】
[硬さ試験(デュロ-A硬度)]
各例における未架橋の共重合体組成物を、プレス成形機を用いて、金型内にて180℃で10分間プレス成形して、厚さ2mmのシート状の架橋成形体を得た。得られた各例の架橋成形体6枚を積みかねて、厚さ12mmの試験片とし、JIS K 6253-3に従い、硬度(Duro-A)を測定した。なお、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
【0133】
[引張試験]
各例における未架橋の共重合体組成物を、プレス成形機を用いて、金型内にて180℃で10分間プレス成形し、厚さ2mmのシート状の架橋成形体を得た。得られた各例の架橋成形体を打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いて同JIS K 6251第3項に規定される方法に従い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力TB(MPa)、引張破断点伸びEB(%)、25%伸張時のモジュラスM25(MPa)、50%伸張時のモジュラスM50(MPa)、および100%伸張時のモジュラスM100(MPa)を測定した。
【0134】
[圧縮永久歪み(CS)]
各例における未架橋の共重合体組成物を、円柱状の金型がセットされたプレス成形機を用いて180℃で15分間架橋して、JIS K 6262に従い、直径29mm、高さ(厚さ)12.5mmの架橋成形体を得、この架橋成形体を試験片とした。荷重をかける前の試験片高さ(12.5mm)に対して25%圧縮し、スペーサーごと70℃のギアオーブン中にセットして22時間熱処理した。次いで試験片を取出し、室温で30分間放置後、試験片の高さを測定し下記の計算式で圧縮永久歪み(%)を算出した。
圧縮永久歪み(%)={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を前記条件で熱処理した後、室温で30分間放置した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
【0135】
<共重合体の製造>
各例で用いた共重合体は以下の製造例の方法で製造した。各製造例で得られた共重合体の要件(i)~要件(v)に関する数値を表1に示す。
【0136】
[製造例1:共重合体(S1-1)の製造]
容積300リットルの重合反応器に、ライン1より脱水精製したヘキサン溶媒を58.3L/hr、ライン2よりトリイソブチルアルミニウム(TiBA)を4.5mmol/hr、(CCB(Cを0.150mmol/hr、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.030mmol/hrで連続的に供給した。
【0137】
同時に前記重合反応器内に、エチレンを6.6kg/hr、プロピレンを9.3kg/hr、水素を18リットル/hr、VNBを340g/hrで、各々別ラインより連続供給し、重合温度87℃、全圧1.6MPaG、滞留時間1.0時間の条件下で共重合を行ない、共重合体(S1-1)を得た。
表1に示すように、共重合体(S1-1)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、2.8dL/gであった。また、共重合体(S1-1)は、要件(i)~(v)を全て満たしていた。
【0138】
[製造例2:共重合体(S2-1)の製造]
容積300リットルの重合反応器に、ライン1より脱水精製したヘキサン溶媒を25.4L/hr、ライン2よりトリイソブチルアルミニウム(TiBA)を20mmol/hr、(CCB(Cを0.075mmol/hr、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.015mmol/hrで連続的に供給した。同時に前記重合反応器内に、エチレンを4.7kg/hr、プロピレンを4.3kg/hr、水素を220リットル/hr、VNBを240g/hrで、各々別ラインより連続供給し、重合温度110℃、全圧1.7MPaG、滞留時間40分の条件下で共重合を行なった。
表1に示すように、共重合体(S2-1)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、1.2dL/gであった。また、共重合体(S2-1)は、要件(i)~(v)を全て満たしていた。
【0139】
【表1】
【0140】
<ヒドロシリル基含有化合物>
[架橋剤(Y-1)]
各例で用いた架橋剤(Y-1)は以下のようにして調製した。
反応器に下記式(a-1-1)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン536gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃まで加温した。
白金-1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.3wt%)を0.4g添加し、α-メチルスチレン265gを反応温度40~90℃に保つように滴下した。
【0141】
【化5】
【0142】
滴下終了後に85℃で攪拌を2時間継続した後、反応液を0.5g採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi-H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積からSi-H基の反応率を計算する)によりSi-H基の反応率が約36%であることを確認した。次に反応液を減圧下で135℃に加熱して2時間低沸分を溜去し、ヒドロシリル基含有化合物である架橋剤(Y-1)を673g得た。
【0143】
得られた架橋剤(Y-1)は、29Si-NMRにより、下記式(a-1)で示される化合物であることを確認した。
得られた架橋剤(Y-1)について、25℃においてウベローデ型粘度管を使用してJIS-Z-8803に沿って粘度を測定したところ、26mm/sであった。
【0144】
【化6】
【0145】
<その他の成分>
各例で用いたその他の成分は下記のとおりである。
カーボンブラック:旭カーボン(株)社製、旭#50HG。
可塑剤:出光興産(株)製、ダイアナ(登録商標)プロセスPW-380、パラフィン系プロセスオイル。
反応抑制剤:日信化学工業(株)製、1-エチニル-1-シクロヘキサノール。
触媒:ダウ・東レ製、SRX212Catalyst、塩化白金酸と1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯塩。
【0146】
<実施例1、2、比較例1、2>
各例の共重合体組成物は、以下のように調製した。
なお、架橋成形体の物性等を発泡状態の影響を排除して確認するため、各例の共重合体組成物に発泡剤は配合しなかった。
【0147】
第一段階として、BB-4型ミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、表2の原料1に示す原料を混練した。混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間を5分間で行い、排出温度140℃で第一段階の配合物を得た。
【0148】
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、8インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm)に巻き付けて、これに、表2の原料2に示す原料を加え、5分間混練して未架橋の共重合体組成物を得た。
【0149】
[評価]
各例の未架橋の共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)100℃)、及び各例の架橋成形体の物性等を測定・評価した。結果を表2に示す。
【0150】
【表2】
【0151】
表2に示すように、極限粘度[η](135℃デカリン中)が2.0dL/g以上の共重合体(S1-1)と2.0dL/gに満たない共重合体(S2-1)を併用した実施例1、2では、未架橋の共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が充分に低く、良好な加工性が得られた。また、実施例1、2の共重合体組成物から得られた架橋成形体は、引張破断点応力が大きく、充分な剛性を備え、圧縮永久歪みも小さかった。
【0152】
これに対して、共重合体(S1-1)のみを使用した比較例1は、未架橋の共重合体組成物のムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が高すぎて加工ができず、架橋成形体を得ることができなかった。
また、共重合体(S2-1)のみを使用した比較例2は、加工性には問題がなかったものの、引張破断点応力が小さく、剛性が不充分で、圧縮永久歪みも大きかった。