(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003211
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】組換えヒト副甲状腺ホルモンの安定性を向上させるための製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/29 20060101AFI20231228BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231228BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231228BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20231228BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20231228BHJP
A61P 5/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K38/29
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/10
A61P19/08
A61P19/10
A61P5/18
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194827
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2021503531の分割
【原出願日】2019-07-12
(31)【優先権主張番号】62/711,767
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】ニティン ディクシット
(72)【発明者】
【氏名】ヴィン グェン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール スイヤック
(72)【発明者】
【氏名】スチット バス
(57)【要約】
【課題】改善されたPTH製剤を提供する。
【解決手段】本発明は、全長組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84))を含む医薬組成物および製剤に関する。本発明はさらに、物理的および化学的ストレスに応答したタンパク質分解を受けにくい、使用中の安定性が向上した新規および/または改善されたPTH組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
(a)治療有効量の組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)増量剤;
(c)凍結保護剤、および
(d)薬学的に許容されるバッファー
を含み、該医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、再構成後少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【請求項2】
前記増量剤がマンニトールである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記凍結保護剤がスクロースである、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記薬学的に許容されるバッファーが、酢酸バッファー、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、またはコハク酸バッファーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記薬学的に許容されるバッファーがL-ヒスチジンバッファーである、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
約5.5のpHを有する、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記薬学的に許容されるバッファーがコハク酸バッファーである、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項8】
約4~約4.5の間のpHを有する、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
抗酸化剤および/または界面活性剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記抗酸化剤がメチオニンであり、前記界面活性剤がポロキサマー188である、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
医薬製剤であって、
(a)約0.02~約2.0mg/mLの組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)約0.3~約30w/v%の増量剤;
(c)約0.2~約20w/v%の凍結保護剤、および
(d)約5mM~約50mMの薬学的に許容されるバッファー
を含み、該医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、再構成後少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【請求項12】
少なくとも72時間物理的に安定である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
少なくとも96時間物理的に安定である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
少なくとも7日間物理的に安定である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
少なくとも14日間物理的に安定である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
少なくとも21日間物理的に安定である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む第1の容器と、前記医薬製剤を再構成するための滅菌水を含む第2の容器と、それらから再構成された製剤を調製することを指示するシートとを含む、キット。
【請求項18】
再構成されたrhPTH(1-84)溶液を注射するためのデバイスをさらに含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
rhPTH(1-84)を必要とする対象に皮下、静脈内、または筋肉内注射により投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項20】
滅菌水で再構成されて、rhPTH(1-84)を必要とする対象に皮下、静脈内、または筋肉内注射により投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記注射が、注射器、自動注射器、注射ペン、またはそれらの組み合わせを用いて行われる、請求項19または20に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中の安定性(in-use stability)が向上した組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84))を含む新規かつ改善された医薬組成物および剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
副甲状腺ホルモン(PTH)は、哺乳類の副甲状腺から分泌される84アミノ酸産物であり、骨を含むさまざまな組織への作用を介して血清カルシウムレベルを制御する。特定の形態のPTHを用いたヒトでの試験は、骨に対する同化作用を示しており、骨粗鬆症および関連する骨障害の処置のためのその使用への関心を多いに高めた。
【0003】
うまく製剤化されている他のタンパク質とは異なり、PTHは特にさまざまな形の分解を受けやすい。うまく製剤化されている他のタンパク質とは異なり、PTHは特に酸化を受けやすく、さらに、生物活性を維持するためにはそのN末端配列が無傷のままである必要がある。例えば、酸化は8位と18位のメチオニン残基で起こる可能性があり、酸化されたPTH種ox-M(8)-PTHおよびox-M(18)-PTHを生じさせるが、一方、脱アミド化は16位のアスパラギンで起こる可能性があり、d16-PTHを生じさせる。ポリペプチド鎖は、N末端とC末端の両方でのペプチド結合の切断によって短縮型になる。さらに、PTHはまた、表面に吸着したり、非特異的な凝集体を形成したり、および/または沈殿したりして、薬物の利用可能な濃度が低下する可能性がある。これら全ての分解反応、およびそれらの組み合わせは、PTH生物活性の部分的または完全な喪失につながる。
【0004】
副甲状腺ホルモンの商業的利用は、保存安定性および使用中の安定性(in-use stability)、ならびに調製および再構成の容易さにおいて、許容可能な製剤を必要とする。副甲状腺ホルモンはタンパク質であり、従来の低分子量薬よりもはるかに不安定であるため、副甲状腺ホルモンの製剤は、製薬業界で通常は直面しない課題を提示する。
【0005】
全長rhPTH(1-84)は、副甲状腺機能低下症の安全かつ効果的な治療薬として最近承認された(Shire PharmaceuticalsによりNATPARA(登録商標)/NATPAR(登録商標)のブランド名で販売されている)。これは副甲状腺機能低下症の最初の特異的なホルモン補充療法であり、カルシウムおよびビタミンDによる治療の補助療法として服用する1日1回の皮下注射製剤である。NATPARA(登録商標)は現在、さまざまな用量強度で無菌の凍結乾燥粉末および希釈剤を含む複数回投与用のデュアルチャンバーガラスカートリッジとして供給されている。無菌凍結乾燥粉末は、用量強度に応じて、0.40mg、0.80mg、1.21mg、または1.61mgの副甲状腺ホルモン、ならびに4.5mgの塩化ナトリウム、30mgのマンニトール、および1.26mgのクエン酸一水和物を含む。滅菌希釈剤の重量は1.13gであり、希釈剤は、m-クレゾールの3.2mg/mL水溶液を含む。再構成すると、各用量は、pH5~6のrhPTH(1-84)の溶液で構成される。
【0006】
使い捨てのNATPARA(登録商標)薬物カートリッジは、製品の再構成のための再利用可能な混合器、および薬物送達のための再利用可能なQ-Cliqペンを用いて使用するように設計されている。Q-Cliqペンは、71.4μLの固定体積用量を供給する。Q-Cliqペンを使用して、各NATPARA(登録商標)デュアルチャンバーカートリッジは、14回分のNATPARA(登録商標)を供給する。
【0007】
特定の状況下では、再構成されたNATPARA(登録商標)溶液が使用中期間(in-use period)の間にタンパク質粒子を形成する場合があることが観察されている。したがって、通常の処理条件、製品の有効期間および使用中寿命(in-use life)の間に直面する物理的および化学的ストレスに対するNATPARA(登録商標)製剤のより高い堅牢性が望まれる。
【0008】
したがって、全長rhPTH(1-84)を含む改善されたPTH製剤、特に、PTHの物理的および化学的分解を防止し、改善された使用中の安定性を有し、さらには調製、再構成および使用が容易である製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のさまざまな非限定的な態様および実施形態を以下に説明する。
【0010】
一態様では、組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84))を含む安定な液体医薬製剤が提供される。この製剤は、粉末を再構成するステップなしで、注射用液剤として直接使用するために設計されている。一実施形態では、医薬製剤は、
(a)治療有効量の組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)界面活性剤;
(c)等張化剤;
(d)抗酸化剤;
(e)防腐剤;
(f)薬学的に許容されるバッファー;および
(g)水
を含み、前記医薬製剤は、注射用液剤として製剤化され、その製剤は、少なくとも48時間、物理的および化学的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0011】
一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも72時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも96時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも7日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも14日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも21日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0012】
一実施形態では、界面活性剤はポロキサマーである。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。一実施形態では、界面活性剤は、製剤の約0.03~約3w/v%で存在するポロキサマー188である。
【0013】
一実施形態では、等張化剤は、塩化ナトリウム、スクロース、およびグリセロール、あるいはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、等張化剤は、製剤の約0.2~約20w/v%で存在する塩化ナトリウムである。一実施形態では、等張化剤は、製剤の約0.2~約20w/v%で存在するスクロースである。一実施形態では、等張化剤は、製剤の約0.2~約20w/v%で存在するグリセロールである。
【0014】
一実施形態では、防腐剤は、製剤の約0.03~約3w/v%で存在するm-クレゾールである。一実施形態では、防腐剤は、製剤の約0.3w/v%で存在するm-クレゾールである。
【0015】
一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーは、酢酸バッファー、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、またはコハク酸バッファーである。一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーは、約5mM~約50mM、または約20mMの濃度で存在する。
【0016】
一実施形態では、抗酸化剤はメチオニンであり、それは、製剤の約0.015~約1.50w/v%の濃度で存在する。一実施形態では、抗酸化剤は、約0.15w/v%または10mMで存在するメチオニンである。
【0017】
一実施形態では、医薬製剤は、約3.8~約6.2、または約5.5のpHを有する。
【0018】
一実施形態では、医薬製剤は、単回投与用バイアル、複数回投与用バイアル、カートリッジ、プレフィルドシリンジ、自動注射器、または注射ペン内にある。
【0019】
一実施形態では、医薬製剤は、
(a)約0.2~約2.0mg/mLの組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)約0.03~約3.0w/v%の界面活性剤;
(c)約0.2~約20w/v%の等張化剤;
(d)約0.015~約1.50w/v%の抗酸化剤;
(e)約0.03~約3%の防腐剤;
(f)約5mM~約50mMの薬学的に許容されるバッファー、および
(g)水、
を含み、前記医薬製剤は、注射用液剤として製剤化され、その製剤は、少なくとも48時間、物理的および化学的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0020】
一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも72時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも96時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも7日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも14日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも21日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0021】
別の態様では、組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84))を含む医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として提供される。一実施形態では、医薬製剤は、
(a)治療有効量の組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)増量剤(bulking agent);
(c)凍結保護剤(cryoprotectant);および
(d)薬学的に許容されるバッファー
を含み、前記医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、その製剤は、再構成後少なくとも48時間、物理的および化学的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0022】
一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも72時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも96時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも7日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも14日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも21日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0023】
一実施形態では、増量剤はマンニトールである。一実施形態では、増量剤は、製剤の約0.3~約30w/v%で存在するマンニトールである。
【0024】
一実施形態では、凍結保護剤はスクロースである。一実施形態では、凍結保護剤は、製剤の約0.2~約20w/v%で存在するスクロースである。
【0025】
一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーは、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、またはコハク酸バッファーである。一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーは、約5mM~約50mM、または約20mMの濃度で存在する。一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーは、L-ヒスチジンバッファーである。一実施形態では、薬学的に許容されるバッファーはコハク酸バッファーである。
【0026】
一実施形態では、医薬製剤は、抗酸化剤をさらに含む。一実施形態では、抗酸化剤はメチオニンである。一実施形態では、抗酸化剤はメチオニンであり、それは、製剤の約0.015~約1.50w/v%の濃度で存在する。一実施形態では、抗酸化剤は、約0.15w/v%または10mMで存在するメチオニンである。
【0027】
一実施形態では、医薬製剤は、界面活性剤をさらに含む。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマーである。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。一実施形態では、界面活性剤は、製剤の約0.03~約3w/v%で存在するポロキサマー188である。
【0028】
一実施形態では、医薬製剤は、約3.8~約6.2、または約4.3、または約5.5のpHを有する。
【0029】
一実施形態では、医薬製剤は、
(a)約0.02~約2.0mg/mLの組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)約0.3~約30w/v%の増量剤;
(c)約0.2~約20w/v%の凍結保護剤;および
(d)約5mM~約50mMの薬学的に許容されるバッファー
を含み、前記医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、その製剤は、再構成後少なくとも48時間、物理的および化学的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0030】
一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも72時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも96時間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも7日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも14日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。一実施形態では、医薬製剤は、少なくとも21日間、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0031】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の特許請求の範囲を含めて、本発明の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者に明らかになるであろう。
【0032】
特許または出願ファイルは、少なくとも1枚のカラーで作成した図面を含む。カラー図面を含むこの特許または特許出願の公報のコピーは、申請および必要な料金の支払いによって官庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】参照懸濁液(RS)の乳白光(opalescence)の比較を示す。
【
図2】周囲条件で2Rガラスバイアル内において攪拌(220回転/分(rpm)、オービタル振とう)した際の、さまざまなバッファー中に配合されたrhPTHの外観を示す。
【
図3A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図3B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図3C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図4A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図4B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図4C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図5A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図5B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図5C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図6A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのIsoAsp33 rhPTHのRP-HPLCデータを示す。
【
図6B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのIsoAsp33 rhPTHのRP-HPLCデータを示す。
【
図6C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのIsoAsp33 rhPTHのRP-HPLCデータを示す。
【
図7A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH((1-30)+(1-33))不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図7B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH((1-30)+(1-33))不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図7C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH((1-30)+(1-33))不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図8A】40℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH(1-45)フラグメント不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図8B】25℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH(1-45)フラグメント不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図8C】5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTH(1-45)フラグメント不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図9A】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを40℃で保管したときのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図9B】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを25℃で保管したときのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図9C】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを5℃で保管したときのrhPTHのメインピークのRP-HPLCデータを示す。
【
図10A】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを40℃で保管したときの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図10B】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを25℃で保管したときの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図10C】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを5℃で保管したときの酸化Met8 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図11A】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを40℃で保管したときの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図11B】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを25℃で保管したときの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図11C】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを5℃で保管したときの酸化Met18 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図12A】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを40℃で保管したときのIsoAsp33 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図12B】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを25℃で保管したときのIsoAsp33 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図12C】さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合されたサンプルを5℃で保管したときのIsoAsp33 rhPTH不純物のRP-HPLCデータを示す。
【
図13】本開示のさまざまな実施形態によるrhPTH製剤の凍結乾燥ケーキの外観を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている;しかしながら、開示される実施形態は、さまざまな形態で具体化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。さらに、本発明のさまざまな実施形態に関連して与えられた実施例のそれぞれは、例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されている。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に本発明をさまざまに使用することを当業者に教示すための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0035】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0036】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1つまたは複数の方法、および/または本明細書に記載のおよび/または本開示を読むと当業者に明らかになるであろうタイプのステップを含む。
【0037】
この出願使用される場合、「約」および「おおよそ」という用語は同等のものとして使用される。本出願で使用される任意の数字は、約/おおよその有無にかかわらず、関連技術の当業者によって認められる通常の変動をカバーすることが意図されている。本明細書で使用される「おおよそ」または「約」という用語は、1つまたは複数の目的値に適用される場合、記載された参照値と同様の値を指す。ある実施形態では、「おおよそ」または「約」という用語は、そうでないことが明記されていない限り、または文脈からそうでないことが明らかでない限り、記載された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以下のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)の範囲内にある数値範囲を指す(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0038】
本明細書で使用される場合、「担体」および「希釈剤」という用語は、医薬製剤の調製に有用な薬学的に許容される(例えば、ヒトへの投与に対して安全かつ無毒の)担体または希釈物質を指す。例示的な希釈剤には、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌生理食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液が含まれる。
【0039】
状況、障害または状態を「処置する(treat)」または「処置(treatment)」という用語には、(1)状況、障害または状態に罹患しているかまたは罹患しやすい可能性があるが、その状況、障害または状態の臨床症状または無症候性症状をまだ経験または表していない対象において、進行している状況、障害または状態の少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状の発生および/または出現の可能性を防止、遅延または低減すること;(2)状況、障害または状態を抑制すること、すなわち、疾患またはその再発、あるいはそれらの少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状の進行を阻止、低減または遅延させること;および(3)疾患を緩和すること、すなわち、状況、障害または状態、あるいは少なくとも1つのその臨床症状または無症候性症状の退行を引き起こすこと;が含まれる。処置される対象への利益は、統計的に有意であるか、あるいは少なくとも対象または臨床医に感じられるかのいずれかである。
【0040】
本明細書で使用される「対象」または「患者」または「個体」または「動物」は、ヒト、獣医動物(例えば、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタなど)、および疾患の実験動物モデル(例えば、マウス、ラット)を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0041】
本明細書で使用される場合、用量または量に適用される「有効」という用語は、それを必要とする対象に投与したときに所望の活性をもたらすのに十分な化合物または医薬組成物の量を指す。有効成分の組み合わせが投与される場合、組み合わせの有効量は、個別に投与された場合に有効である各成分の量を含む場合も含まない場合もあることに留意されたい。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重症度、使用される特定の薬物、投与方法などに応じて、対象ごとに異なる。
【0042】
本発明の組成物に関連して使用される「薬学的に許容される」という句は、生理学的に許容可能であり、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されたときに通常は有害な反応を生じないそのような組成物の分子実体および他の成分を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳動物、特にヒトで使用するために、米国連邦政府または州政府の規制機関によって承認されているか、あるいは米国薬局方または他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。
【0043】
本発明による組成物は、市販のrhPTH(1-84)製剤と比較して、rhPTH(1-84)の使用中の安定性が向上している。本明細書で使用される「使用中(in-use)」という用語は、複数回投与用容器が開封された後、許容される仕様内の品質を維持しながら、複数回投与製剤(multidose formulation)を使用できる期間を指す。したがって、「使用中の安定性」とは、使用中期間(in-use period)の間の複数回投与製剤の安定性を指す。本発明のいくつかの実施形態では、使用中期間は7日である。本発明のいくつかの実施形態では、使用中期間は14日である。本発明のいくつかの実施形態では、使用中期間は21日である。本発明のいくつかの実施形態では、使用中期間は1ヶ月である。
【0044】
rhPTH(1-84)
本明細書に開示される組成物は、組換え的に、ペプチド合成によって、またはヒトの体液からの抽出によって得られた、全長84アミノ酸形態のヒト副甲状腺ホルモンを有効成分として組み込む。本明細書では、組換えヒト型PTHは、rhPTH(1-84)と略され、これは、Kimura et al, Biochem Biophys Res Comm, 114 (2):493により報告されたアミノ酸配列を有する。
【0045】
全長ヒト型PTHの代替として、本発明の組成物は、Kimmel et al, Endocrinology, 1993, 32(4):1577(参照により本明細書に組み込まれる)によって報告された骨粗鬆症の卵巣摘出ラットモデルにおいて特定されたようにヒトPTH活性を有する、ヒトPTHの相同体(ホモログ)、フラグメント、または変異体を組み込むことができる。
【0046】
一態様では、本発明の副甲状腺ホルモン組成物は、再構成、希釈または混合のいずれも必要としない注射用の水性ホルモン溶液として、単一単位または複数単位の液体剤形(液剤)で提供される。
【0047】
一態様では、本発明の副甲状腺ホルモン組成物は、3重量%以下の水を含む凍結乾燥粉末剤形で提供され、それは、選択された副甲状腺ホルモン、不揮発性緩衝剤、および賦形剤を混合することによって調製される無菌の水性ホルモン溶液の凍結乾燥によりもたらされる。
【0048】
本発明のPTH組成物は、治療有効量でPTHを組み込んでおり、この用語「治療有効量」は、治療的にまたは医学的診断において有用な量に関して使用される。調製物に組み込まれる副甲状腺ホルモンの特定量は、選択されたPTHのタイプおよび調製物の意図された最終用途に基づいて事前に決定することができる。一態様では、組成物は、治療目的、特に骨粗鬆症および関連する骨障害、ならびに副甲状腺機能低下症の処置のために利用される。一態様では、そのような治療は、指定された処置レジメンを反映する単位用量での注射(例えば皮下注射)による、液体および/または再構成された凍結乾燥組成物の投与を伴う。一実施形態では、処置レジメンは、例えば、約0.3mL~約2.3mL、または約0.5mL~約2mL、または約1mL~約1.75mL、または約1.2mL、または約1.3mL、または約1.4mL、または約1.5mL、または約1.6mL、または約1.7mLの注射容量で、患者あたり約0.01mg PTH/mLの注射溶液から5mg PTH/mLの注射溶液の範囲内で組換えヒトPTH(1-84)を投与することを含んでいてよい。したがって、一実施形態では、精製および滅菌濾過されたPTHを、緩衝剤および賦形剤とともに組み込んで、0.01mg/mL~5mg/mL、または約0.02mg/mL~約2.5mg/mL、または約0.025mg/mL~約1mg/mL、または約0.025mg/mL~約0.5mg/mL、または約0.025mg/mL~約0.25mg/mLの濃度範囲でPTHを含む水溶液を形成する。一実施形態では、PTHを緩衝剤および賦形剤とともに組み込んで、ある濃度範囲で、あるいは約0.025mg/mL、または約0.05mg/mL、または約0.075mg/mL、または約0.1mg/mLのPTHを含む水溶液を形成する。
【0049】
必要に応じて、PTH(1-84)の変異体およびフラグメントなどの、PTHの実質的に等効力形態のモル当量を、ヒトPTH(1-84)の代わりに同様に組み込むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤および/または担体をさらに含む。適切な賦形剤の例は、Pramanick, S. et al, Excipient Selection in Parenteral Formulation Development, Pharma Times, 2013, 45, 3, 65-77に提供されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切な賦形剤の非限定的な例を以下に示す。
【0051】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製剤は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)、ポリエチレングリコール、セチルヒドロキシエチルセルロース、疎水的に修飾されたヒドロキシエチルセルロース、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80)、コカミドモノエタノールアミン(MEA)、コカミドジエタノールアミン(DEA)、ドデシルジメチルアミンオキシド、またはそれらの任意の組み合わせから選択され得る。一実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート80、およびポリエチレングリコール、ならびにそれらの組み合わせから選択される。
【0052】
一実施形態では、界面活性剤はポロキサマーである。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。
【0053】
界面活性剤は、約0.01重量%~約20重量%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4%、約0.03%~約3%、約0.03%~約1%、約0.05%~約0.5%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約20%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2.5%、0.1%~約1%、または約0.1%~約0.7%、または約0.1%、または約0.2%、または約0.3%、または約0.4%、または約0.5%の濃度で存在し得る。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188であり、それは組成物の約0.3w/v%で存在する。
【0054】
等張化剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、等張化剤をさらに含む。張度は、半透膜で分離された2つの溶液の有効浸透圧勾配(2つの溶液の水ポテンシャルによって定義される)の尺度である。張度は、外部溶液に浸された細胞の反応を説明するときに一般的に使用される。言い換えれば、張度は、拡散の方向と程度を決定する溶液の相対濃度である。体液は通常、0.9%塩化ナトリウム溶液の浸透圧に相当する浸透圧を有する。組成物(例えば、溶液またはゲル)は、その張度が0.9%塩化ナトリウム溶液の張度(すなわち、290mOsm/kg)とほぼ等しい場合に等張であると見なされる。塩の大きさ(magnitude)が組成物と生理的溶液とで等しい場合、組成物は体液溶液と等張である。生理的溶液では、水は膜を横切って移動するが塩は元の溶液にとどまることによって、張度平衡に達する。細胞が溶液と接触しているときに、細胞での水の正味の増減や細胞内の他の変化がない場合、その溶液は生細胞と等張である。
【0055】
ある実施形態において、本明細書に開示される組成物で使用される等張化剤は、電解質、単糖または二糖、無機塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム)、ポリオール、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、等張化剤は、グルコース、スクロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、デキストロース、マンニトール、グリセロール、またはそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、等張化剤は、塩化ナトリウム、スクロース、およびグリセロール、あるいはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、等張化剤はスクロースである。一実施形態では、等張化剤は塩化ナトリウムである。一実施形態では、等張化剤はグリセロールである。
【0056】
等張化剤は、等張条件を達成するために必要な任意の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、等張化剤は、組成物の約0.01%~約50%、約0.01%~約40%、約0.01%~約30%、約0.01%~約20%、約0.02%~約20%、約0.03%~約20%、約0.05%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約9%、約0.2%~約10%、0.5%~約10%、または約1%~約10%、または約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約9%(w/v)の濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤はスクロースであり、それは、組成物の約0.2%~約20%、または組成物の約8.5%(w/v)で存在する。一実施形態では、等張化剤はグリセロールであり、それは、組成物の約0.2%~約20%、または組成物の約2.3%(w/v)で存在する。一実施形態では、等張化剤は塩化ナトリウムであり、それは、組成物の約0.2%~約20%、または組成物の約0.8%(w/v)で存在する。
【0057】
防腐剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は無菌であり、防腐剤を含まない。他の実施形態では、本開示の組成物は、任意選択で防腐剤を含む。ある実施形態では、防腐剤はパラベンフリーの(パラベンを含まない)防腐剤である。パラベンは、一連のパラヒドロキシ安息香酸塩またはパラヒドロキシ安息香酸のエステルであり、サイトカインの放出および刺激を引き起こし、またいくつかの種類のがんに関連していることが知られている。パラベンの例には、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ヘプチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ベンジルパラベン、およびそれらのナトリウム塩が含まれる。
【0058】
例示的なパラベンフリーの防腐剤には、3-メチルフェノール(メタクレゾールまたはm-クレゾール)などのメチルフェノール(クレゾール)、フェノール、フェネチルアルコール、カプリリルグリコール、フェノキシエタノール、ソルビン酸塩、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸、アセマンナン、オレウロペイン、カルバクロール、クランベリー抽出物、グルコノラクトン、緑茶抽出物、ヒマワリ種子油(Helianthus annuus seed oil)、乳酸桿菌発酵液(Lactobacillus ferment)、ウスニアバルバタエキス(Usnea barbata extract)、ポリアミノプロピルビグアニド、パルミチン酸ポリグリセリル-3、カプリル酸ポリグリセリル-6、ザクロ抽出物、アメリカヤマナラシ樹皮エキス(Populus tremuloides bark extract)、レスベラトロール、ローズマリー葉エキス(Rosmarinus officinalis leaf extract)、ベンジルアルコール、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0059】
一実施形態では、防腐剤は、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、およびプロピルパラベン、ならびにそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、防腐剤はm-クレゾールを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、組成物の約0.005重量%~約10重量%、約0.005%~約5%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4%、約0.03%~約3%、約0.05%~約2%、約0.1%~約1%、約0.2%~約0.5%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2.5%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.1%、または約0.2%、または約0.3%、または約0.4%、または約0.5%(w/v)の濃度で防腐剤を含み得る。一実施形態では、防腐剤は、組成物の約0.03%~約3%で存在するm-クレゾールである。一実施形態では、m-クレゾールは、組成物の0.3%で存在する。
【0061】
薬学的に許容されるバッファー
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、緩衝剤を組み込むことによって、薬学的に許容されるバッファーを含み得る。一実施形態では、本組成物に組み込まれる緩衝剤は、生理学的に許容される範囲内のpHに調製物を緩衝することができるものから選択される。生理学的に許容されるpHは、製剤が投与されたときに患者の不快感を全く生じさせないまたは最小限に抑えるものであり、したがって、投与方法に応じて変化し得る。ストック注入溶液への溶解などによって投与前に希釈される調製物の場合、調製物自体のpHは、例えば、約pH3~約pH9まで大きく変動し得る。再構成の直後に調製物を投与すべき場合、PTH調製物は3.5~7.5のpH範囲内に緩衝される。したがって、適切なバッファーは、調製物のpHを目的pH範囲内に緩衝することができる薬学的に許容される薬剤であり、酢酸バッファー、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、コハク酸バッファーが含まれる。
【0062】
薬学的に許容される任意のバッファーが本発明による製剤に適している可能性があるが、驚くべきことに、緩衝剤の性質がrhPTH溶液の安定性に大きな影響を及ぼすことが見出された。
【0063】
例えば、現在NATPARA(登録商標)で使用されているクエン酸バッファーは、周囲条件でわずか24時間の攪拌でrhPTHタンパク質粒子の形成をもたらす。しかしながら、酢酸バッファー、リン酸バッファー、およびL-ヒスチジンバッファーで調製したrhPTH溶液は、24時間攪拌しても、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである。
【0064】
本発明による使用中安定な副甲状腺ホルモンの製剤を提供するために、選択された緩衝剤を組み込んで3.5~6.5の範囲内の最終pHをもたらし、バッファーは約5mM~約50mMの濃度で存在する。本発明のいくつかの実施形態では、緩衝剤によってもたらされるpHは3.8~6.2の範囲であり、バッファー濃度は約10mM~約30mMである。一実施形態では、製剤のpHは5.5である。一実施形態では、製剤のpHは4.3である。一実施形態では、バッファーは、約20mMの濃度で存在する酢酸バッファーである。一実施形態では、バッファーは、約20mMの濃度で存在するL-ヒスチジンバッファーである。一実施形態では、バッファーは、約20mMの濃度で存在するコハク酸バッファーである。
【0065】
抗酸化剤
いくつかの実施形態において、本発明の製剤はさらに、使用中期間の間rhPTHタンパク質に酸化的安定性を提供するために、1つまたは複数の抗酸化剤を含み得る。適切な抗酸化剤には、アセトン亜硫酸水素ナトリウム付加物(acetone sodium bisulfite)、アルゴン、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸(塩/酸)、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、システイン/システイナート(cysteinate)HCl、亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトNa、スルホキシル酸Na)、ゲンチジン酸、ゲンチジン酸エタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、グルタチオン、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム(ピロ亜硫酸カリウム)、メチオニン、モノチオグリセロール(チオグリセロール)、窒素、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、アルファ(α)-トコフェロール、α-トコフェロールコハク酸エステル(alpha tocopherol hydrogen succinate)、チオグリコール酸ナトリウム、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗酸化剤はメチオニンであり得る。
【0066】
抗酸化剤は、製剤の酸化安定性を達成するために必要な任意の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、約0.0001重量%~約20重量%、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.02%~約2%、約0.03%~約2%、約0.05%~約1.5%、約0.1%~約1%(w/v)の濃度で存在し得る。一実施形態では、抗酸化剤は、組成物の約0.015%~約1.5%の量で存在するメチオニンである。一実施形態では、抗酸化剤は、組成物の約0.15w/v%の量で存在するメチオニンである。
【0067】
新規な凍結乾燥製剤
一態様では、本発明の副甲状腺ホルモン組成物は、3重量%以下の水を含む凍結乾燥粉末形態で提供され、これは、選択された副甲状腺ホルモン、不揮発性緩衝剤、および賦形剤を混合することによって調製された滅菌ホルモン水溶液の凍結乾燥によりもたらされる。
【0068】
本発明の一実施形態では、凍結乾燥組成物は、約1~1.5mL(0.7~1.8mL)の再構成ビヒクル中に再構成したときに約0.05mg/mL~約0.15mg/mLの組換えヒトPTH(1-84)の単位用量をもたらす形態で提供され、したがって、バイアルには、その後の凍結乾燥のために、約1~1.5mLの水性PTH調製物が充填される。
【0069】
本発明の一実施形態では、凍結乾燥に供されるPTH調製物は、25~250μg/mLのヒトPTH(1-84)、約0.3~約30w/v%の増量剤、約0.2~約20w/v%の等張化剤、および滅菌水中に再構成したときに調製物を3.5~6.5の範囲内のpHに緩衝することができる量の生理学的に許容される緩衝剤を含む。本発明のある実施形態では、緩衝剤は、pHを5.5±0.3、または4.3±0.3に緩衝するのに十分な量で組み込まれる。
【0070】
増量剤
いくつかの実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、最適なケーキ構造および外観のための1つまたは複数の増量剤をさらに含み得る。適切となり得る増量剤には、適合性のある炭水化物、ポリペプチド、アミノ酸またはそれらの組み合わせが含まれる。適切な炭水化物には、ガラクトース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、トレハロースなどの二糖類;2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;ラフィノース、マルトデキストリン、デキストランなどの多糖類;およびマンニトール、キシリトールなどのアルジトールが含まれる。適切なポリペプチドには、アスパルテームが含まれる。アミノ酸には、アラニンおよびグリシンが含まれる。一実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、マンニトール、グリシン、ポリ(エチレングリコール)、硫酸アンモニウム、スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数の増量剤を含み得る。一実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、マンニトールを含み得る。
【0071】
増量剤は、凍結乾燥粉末の最適な構造および外観を達成するために必要な任意の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、増量剤は、組成物の約0.01重量%~約50重量%、約0.01%~約40%、約0.01%~約30%、約0.01%~約20%、約0.02%~約20%、約0.03%~約20%、約0.05%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約9%、約0.2%~約10%、0.5%~約10%、または約1%~約10%、または約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約9%(w/v)の濃度で存在し得る。一実施形態では、増量剤はマンニトールであり、それは、組成物の約0.2%~約20%、または組成物の約2%~約8%、または組成物の約3%、または組成の約4%(w/v)で存在する。
【0072】
凍結保護剤
いくつかの実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、凍結乾燥プロセスおよび製品の保管中にrhPTHタンパク質に安定性を提供するために、1つまたは複数の凍結保護剤をさらに含み得る。適切となり得る凍結保護剤には、糖およびポリオールなどの適合性のある炭水化物が含まれる。適切な炭水化物には、グルコース、スクロース、トレハロース、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタグリコール、およびグリセロールが含まれ得る。一実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、スクロース、グリシン、マンニトール、二糖類、ポリ(エチレングリコール)およびそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数の凍結保護剤を含み得る。一実施形態では、新規な凍結乾燥製剤は、スクロースを含み得る。
【0073】
凍結保護剤は、凍結乾燥粉末の安定性を達成するために必要な任意の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、組成物の約0.01重量%~約50重量%、約0.01%~約40%、約0.01%~約30%、約0.01%~約20%、約0.02%~約20%、約0.03%~約20%、約0.05%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約9%、約0.2%~約10%、0.5%~約10%、または約1%~約10%、または約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約9%(w/v)の濃度で存在し得る。一実施形態では、凍結保護剤はスクロースであり、それは、組成物の約0.2%~約20%、または組成物の約1%~約8%、または組成物の約2%、または組成の約3%(w/v)で存在する。
【0074】
剤形
組成物は、例えばペンの形態で、単回用量または複数回用量の注射可能形態で提供され得る。組成物は、すでに述べたように、活性成分と担体(1つまたは複数の追加の成分からなり得る)を接触させるステップを含む任意の適切な製薬方法によって調製することができる。
【0075】
ある実施形態において、医薬組成物は、適用のためのデバイスと共に(例えば、注射器、注射ペン、または自動注射器、例えばQ-cliqペンと共に)提供され得る。そのようなデバイスは、医薬組成物と別個に提供してよく、あるいは医薬組成物を事前に充填してもよい。
【実施例0076】
以下の例は、この記載の具体的な態様を示す。これらの例は、単に実施形態およびそれらのさまざまな態様の具体的な理解および実施を提供するものであるから、限定的であると解釈されるべきではない。
【0077】
製剤は、以下の方法で調製した:当業者に一般に知られている透析法を使用して、rhPTH(1-84)原薬(医薬品有効成分)をそれぞれのベース製剤バッファーに交換した。必要に応じて、酸性または塩基性ストック溶液を使用して、溶液のpH調整をさらに行った。賦形剤のストック溶液は、ベースバッファーで別個に調製し、透析したペプチド溶液と混合して、所望のペプチドおよび賦形剤濃度を有する最終製剤を作成した。製剤を滅菌濾過し、ガラスバイアルまたはガラスカートリッジのいずれかに充填した。液体製剤を封栓およびクリンプした後、保管した。凍結乾燥用の製剤に、凍結、アニーリング、一次乾燥および二次乾燥ステップとそれに続く封栓およびクリンプからなる、事前にプログラムされた凍結乾燥サイクルを施した。
【0078】
実施例1:rhPTHの新規液体製剤の組成
以下の表1は、本発明によるrhPTHの新規液体製剤の例示的な実施形態を要約する。表1に示されるように、液体製剤#1~3は以下の組成を有する。
【0079】
液体製剤#1
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM 酢酸バッファー;
10mM メチオニン;
130mM 塩化ナトリウム;
0.3w/v% ポロキサマー188、および
0.3w/v% m-クレゾール。
【0080】
液体製剤#2
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM 酢酸バッファー;
10mM メチオニン;
8.5w/v% スクロース;
0.3w/v% ポロキサマー188、および
0.3w/v% m-クレゾール。
【0081】
液体製剤#3
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM 酢酸バッファー;
10mM メチオニン;
2.3v/v% グリセロール;
0.3w/v% ポロキサマー188、および
0.3w/v% m-クレゾール。
【0082】
製剤#1~#3のpHは5.5である。
【0083】
【0084】
実施例2:rhPTHの新規凍結乾燥粉末製剤の組成
以下の表2は、本発明によるrhPTHの新規凍結乾燥粉末製剤の例示的な実施形態を要約する。表2に示されるように、凍結乾燥製剤#1~#3は以下の組成を有する。
【0085】
凍結乾燥製剤#1
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM L-ヒスチジンバッファー;
4w/v% マンニトール、および
2% スクロース。
【0086】
凍結乾燥製剤#2
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM L-ヒスチジンバッファー;
10mM メチオニン;
4w/v% マンニトール;
2w/v% スクロース、および
0.3w/v% ポロキサマー188。
【0087】
凍結乾燥製剤#3
水中、
0.35~1.40mg/mL rhPTH;
20mM コハク酸バッファー;
10mM メチオニン;
3w/v% マンニトール、および
3w/v% スクロース。
【0088】
凍結乾燥製剤#1および#2のpHは5.5である。凍結乾燥製剤#3のpHは4.3である。
【0089】
【0090】
実施例3:さまざまなバッファー中に配合されたrhPTHの攪拌試験
実際の医薬品の保管容器/クロージャーあるいは小規模の代表的な一次容器での攪拌(振とう)は、タンパク質医薬品の開発において適用されることが多く、現実のプロセスでも生じる物理的ストレス条件下での安定性の試験としての役割を果たす。これらの「過酷試験(stress test)」の全体的な目的は、そうしないとはるかに遅い速度で生じ得るタンパク質の分解/凝集を加速させ、それによって実験スループットを高めて安定性の重要なプロセスパラメータの決定をスピードアップすることである。結果は、製剤開発の重要なパラメータを決定するのに役立つ。
【0091】
以下の表3、および
図2は、さまざまなバッファーを用いて配合されたrhPTHの攪拌試験からの外観データを示す。2Rガラスバイアルにおいて、塩化ナトリウム(140mM)を含むさまざまなバッファー(10mM)中にrhPTHを配合した。攪拌試験は、220rpmでオービタルシェーカーを使用して、バイアルを水平位置に置き、周囲条件で少なくとも48時間実施した。一定の攪拌間隔で、攪拌されたサンプルの外観を、例えば欧州薬局方(European Parmacopoeia 5.0,2.2.1 「Clarity and Degree of Opalescence in Liquids」)に概説されている標準的な手順に従って、参照懸濁液(RS I~IV)および乳白光標準(Standard of Opalescence)(SOP)と比較した。
図1は、参照懸濁液RS I~IVおよびSOPの乳白光を示す。水(Water)を比較のためにおいた。
図2は、さまざまなバッファー中に配合されたrhPTHの懸濁液の外観を示す。
【0092】
【0093】
表3および
図2に示されるように、酢酸バッファーは、攪拌によって誘発されるrhPTHの粒子形成に対して最も優れた安定性を示し、続いてリン酸バッファー、その次がL-ヒスチジンバッファーである。3つのバッファーは全て、現在NATPARA(登録商標)製剤で使用されているクエン酸バッファーよりも優れた安定性を示す。
【0094】
実施例4:新規液体製剤におけるrhPTHの攪拌試験
以下の表4は、本発明によるrhPTHのさまざまな液体製剤の攪拌試験からの外観データを示す。液体製剤#1~#3をデュアルチャンバーカートリッジ内で配合し、周囲条件で攪拌試験(220rpm、オービタル振とう)を実施した。一定の攪拌間隔で、標準的な手順に従って、攪拌されたサンプルの外観を参照懸濁液(RS I~IV)および乳白光標準(SOP)と比較した。市販のNATPARA(登録商標)製剤のデータも比較のために提供する。さまざまな時点での乳白光を表4に要約する。
【0095】
【0096】
表4に示されるように、3つの新規液体製剤#1~#3は全て、少なくとも72時間、透明で目に見える粒子がないままであった。対照的に、現在の市販の製剤は、わずか5時間の攪拌期間で早くもかなりの粒子の存在およびより高い乳白光を示した。
【0097】
実施例5:新規凍結乾燥製剤におけるrhPTHの攪拌試験
以下の表5は、本発明によるrhPTHのさまざまな再構成された凍結乾燥製剤の攪拌試験からの外観データを示す。凍結乾燥製剤#1~#3をデュアルチャンバーカートリッジ内で配合し、周囲条件で攪拌試験(220rpm、オービタル振とう)を実施した。次に、一定の攪拌間隔で、標準的な手順に従って、攪拌されたサンプルの外観を参照懸濁液(RS I~IV)および乳白光標準(SOP)と比較した。市販のNATPARA(登録商標)製剤のデータも比較のために提供する。さまざまな時点での乳白光を表5に要約する。
【0098】
【0099】
上記の実施例が示すように、新規凍結乾燥製剤は、rhPTHの物理的安定性を著しく向上させることが観察できる。上に示したように、rhPTHの新規製剤は、少なくとも24時間、および/または少なくとも48時間、および/または少なくとも72時間、および/または少なくとも90時間、無色透明であり、かつ目に見える粒子がないままである。
【0100】
実施例6:液体および凍結乾燥製剤の使用中の安定性試験
以下の表6は、液体製剤#2によって例示される本発明の実施形態による液体製剤、および凍結乾燥製剤#2によって例示される本発明の実施形態によるrhPTHの再構成された凍結乾燥製剤の使用中試験からの外観データを示す。
【0101】
【0102】
上記の表6が示すように、液体製剤#2および凍結乾燥製剤#2によって例示されるrhPTHの新規な液体および凍結乾燥製剤は、少なくとも1日、または少なくとも7日、または少なくとも14日、または少なくとも21日の使用中期間の間、無色透明であり、かつ目に見える粒子がないままである。
【0103】
実施例7:最適な物理化学的安定性のためのrhPTHの溶液pHスクリーニング
0.5pH単位の間隔で3.5~7.5の溶液pH範囲の140mM 塩化ナトリウムを含む10mMクエン酸バッファー中に、組換えヒト副甲状腺ホルモンを配合した。サンプルを2mLのタイプIホウケイ酸ガラスバイアルに分注し、5±3℃(5℃)、25±2℃(25℃)、および40±2℃(40℃)の温度条件で安定に置いた。予め定めた間隔で、サンプルを取り出し、外観を観察し、いくつかの変更を加えたクロマトグラフィーアッセイ(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC))を適切に使用してrhPTHの安定性を分析した。
【0104】
供給された原薬を解凍し、2kDaの分子量カットオフ(MWCO)透析カセットにおいてそれぞれのpHバッファー溶液に対して透析した。透析は5±3℃で行われ、約24時間にわたり少なくとも3サイクルのバッファー交換が含まれた。透析後、サンプルのpHを検査し、必要に応じて0.2N水酸化ナトリウムで調整した。A280測定を実施し、0.584(mL.mg)-1cm-1の吸光係数を使用してrhPTHの濃度を計算した。最終溶液の調製は層流フード内で無菌的に行った。各溶液pHについて、それぞれのバッファーを希釈媒体として使用することによりrhPTHを1.0mg/mLの濃度で調製した。調製したサンプルを0.22μmのPVDFフィルターでろ過し、2mLのタイプIホウケイ酸ガラスバイアルに1.5mLの容量で充填した後、封栓/クリンプを行った。
【0105】
ライトボックスにおいて溶液の外観について各バイアルを観察した。ベースラインサンプルを分けて、ポリプロピレンチューブに分注し、-80℃で保存した。残りのバイアルは、5℃、25℃、および40℃でインキュベートした。予め定めた間隔で、サンプルバイアルを各インキュベーション条件から引き出し、外観を観察し、ポリプロピレンチューブに分注し、分析まで-80℃で保存した。注入量と注入順序にいくつかの変更を加えたSECおよびRP-HPLCを含めて、Natpara(登録商標)で検証されたアッセイを使用して、サンプルを物理的および化学的変化について試験した。
【0106】
物理的安定性を示すために、表7と8に、それぞれ40℃と25℃で6か月間保管したrhPTH安定性サンプルの外観結果を示す。測定された場合、参照懸濁液と比較した乳白光が記録される。粒子のような白い凝集物(flocculant)が、40℃での保管2週間以内にpH7.0および7.5のサンプルで見られた。この粒子形成は、時間とともに溶液のpHの塩基性側から酸性側に進行するように見えた。3か月までに、40℃で保管されたサンプルのほとんどが粒子を有していた。25℃で保管したサンプルは、40℃で観察されたのと同様の粒子形成の傾向を示したが、反応速度は遅かった。また、溶液のpHによって粒子の大きさが異なることが分かった。6.5~7.5のpH範囲で配合されたサンプルは凝集物を有していたが、それより低いpHのサンプルは微粒子を有していた。5℃で保管したサンプルでは、無色透明で目に見える粒子がない最初の外観が6か月間変化しなかった。
【0107】
【0108】
【0109】
化学的安定性を実証するために、表9は、それぞれ40℃および25℃で保管した安定性サンプルのタンパク質濃度データを提供する。サンプルを完全に遠心分離し(17,000gで5分間)、上清をA280測定に使用した。適切な光散乱補正(A320減算)を行った。40℃でのタンパク質濃度の低下は、保管中に粒子を形成するサンプルの傾向と大まかに相関していた。25℃(表9)および5℃で保管したサンプルでは、タンパク質濃度の経時変化は観察されなかった。
【0110】
【0111】
化学的安定性をさらに実証するために、
図3~8は、40℃、25℃、および5℃で最大6か月間保管したpHスクリーニングサンプルのrhPTHおよび関連する不純物のRP-HPLCデータを示す。40℃の保管条件では、サンプルがその後劣化しすぎてピーク積分を実行できなかったため、1か月までのデータのみを表示する。
【0112】
メインピーク:
図3A~3Cに示されるように、メインピークのベル型の傾向が全ての保管温度で観察され、pH約5.0~6.0付近で最大ピーク回収率が見られた。
【0113】
酸化Met8:Met8の酸化も、ベル型の傾向に従うことが観察された(メインピークと同様)。40℃および25℃で保管すると、最大のMet8の酸化が約4.0~5.5のpH範囲で見られた。
図4A~4Cに示されるように、5℃では、6か月までの保管で傾向は見られなかった。
【0114】
酸化Met18:Met18の酸化速度は、塩基性の溶液pH範囲に向かって最大になり、溶液のpHが酸性になるにつれて徐々に低下することが分かった。
図5A~5Cに示されるように、この傾向は主に40℃と25℃の両方の保管条件で見られた。
【0115】
IsoAsp33:アスパラギン33からのイソアスパラギン酸の形成は、製剤のpHが酸性側にいくにつれ最小になることが観察され、また溶液のpHが約5.5を超えると著しく増加することが観察された。
図6A~6Cに示されるように、この傾向は全ての保管温度で明らかであった。
【0116】
rhPTH((1-30)+(1-33)):これらのrhPTH不純物は、pH5.0より低いおよびpH6.0より高いpHに配合されたサンプルの保管で著しく増加した。ただし、6.0より高いpHでの不純物の増加は、低いpH値で観察されたものよりもかなり少ない程度で生じた。
図7A~7Cに示されるように、この不純物の増加は、5.0~6.0のpH範囲で最小であることが観察された。
【0117】
rhPTH(1-45):このフラグメント関連不純物は、pH5.0より低いpHに配合されたサンプルで著しく増加することが観察され、pH5.0と7.5の間のサンプルでは大きくは変化しなかった。
図8A~8Cに示されるように、この傾向は全ての保管温度で見られた。
【0118】
この例は、3.5~7.5のpH範囲に配合され、熱ストレス(thermal stress)に曝された場合のrhPTHの物理化学的安定性に対する溶液pHの影響を示す。外観(目に見える粒子形成)およびSEC(凝集体およびフラグメント形成)を使用して観察した物理的安定性特性、およびRP-HPLC(酸化、脱アミド化、およびフラグメント化(断片化))を使用して観察した化学的安定性特性は、溶液の5.0~6.0のpH範囲がrhPTHの物理的および化学的安定性に最適であることを示唆する。
【0119】
実施例8:最適な物理化学的安定性のためのrhPTHの賦形剤スクリーニング
組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH)を、50mMの塩化ナトリウム(NaCl)とともに20mMの酢酸ナトリウムバッファーを含むpH5.5の溶液中に配合した。この基本製剤に賦形剤ストックを加えて、所与の賦形剤の所望の目標レベルを達成した。サンプルは、5±3℃(5℃)、25±2℃(25℃)、および40±2℃(40℃)の温度条件で安定に置いた。予め定めた間隔で、サンプルを取り出し、外観を観察し、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用してrhPTHの安定性を分析した。ベースライン(時間0(t0))サンプルにも別個に複数回の凍結融解サイクルおよびオービタル攪拌(orbital agitation)を施し、溶液の外観を観察した。
【0120】
静止保存での熱ストレス、凍結融解ストレス、および攪拌ストレスからの外観データは、アルギニンおよび高レベル(≧150mM)のNaClの存在が、他の賦形剤と比較して有意なレベルの目に見える粒子形成をもたらすことを示した。RP-HPLC安定性データは、全てのインキュベーション温度で、グリシン、リジン、またはアルギニンを含むサンプルにおいて、酸化されたMet8およびMet18のレベルが著しく高いことを示した。一方、メチオニンを含むサンプルは、著しく低減されたrhPTHの酸化速度を示した。攪拌試験の結果は、界面活性剤であるポロキサマー188の存在が、振とうに際して目に見える粒子の形成を防止したことを示した。
【0121】
供給された原薬を解凍し、2kDa MWCO透析カセットにおいてベースバッファー溶液に対して透析した。透析は5±3℃で行われ、約30時間にわたり少なくとも3サイクルのバッファー交換が含まれた。透析後、サンプルのpHを検査し、必要に応じて0.2Nの水酸化ナトリウムで調整した。A280測定を行い、0.584(mL.mg)-1cm-1の吸光係数に基づいてrhPTHの濃度を計算した。最終溶液の調製は、層流フード内で無菌的に行った。各賦形剤について、希釈媒体としてベースバッファーを使用し、賦形剤ストックを加えて目的の賦形剤濃度を達成することにより、rhPTHを1.0mg/mLの濃度で調製した。さらに、各製剤にm-クレゾールを0.3%(v/v)のレベルで添加した。
【0122】
表10に、賦形剤スクリーニング試験で使用したさまざまな製剤の説明を提供する。調製したサンプルを0.22μmのPVDFフィルターでろ過し、2RタイプIガラスバイアルに1.5mLの容量で充填した後、封栓/クリンプを行った。ライトボックスにおいて溶液の外観について各バイアルを観察した。ベースラインサンプルをポリプロピレンチューブに分注し、-80℃で保管した。残りのバイアルを5℃、25℃、および40℃でインキュベートした。予め定めた間隔で、サンプルバイアルを各インキュベーション条件から引き出し、外観を観察し、ポリプロピレンチューブに分注し、さらに分析するまで-80℃で保管した。注入量および注入順序にいくつかの変更を加えたSECおよびRP-HPLCを含めて、Natparaで検証されたアッセイを使用して、物理的および化学的変化についてサンプルを試験した。
【0123】
ベースラインサンプルに繰り返し凍結/解凍サイクル(-80℃で5~12時間凍結し、室温で解凍する)を施し、ライトボックスにおいて溶液の外観を観察した。バイアル内のベースラインサンプルの異なるセットを、220rpmでオービタルシェーカーを使用して周囲温度条件下で水平に攪拌し、ライトボックスにおいて一定の間隔で溶液の外観を観察した。攪拌試験の予備結果を使用して、2Rバイアルおよびデュアルチャンバーカートリッジでのオービタル攪拌を行う追加の製剤を選択した。
【0124】
【0125】
以下の表11~13は、それぞれ40℃、25℃、および5℃で最大6か月間保管したrhPTH安定性サンプルの外観結果を示す。測定された場合、参照懸濁液と比較した乳白光が記録される。40℃で保管した場合、アルギニン(150mM)を含むサンプルは、2週間で出現して時間の経過とともに増加するタンパク質性粒子のかなりの存在を示した。他の賦形剤を含むサンプルは、40℃で保管した場合、3か月までベースラインに匹敵する外観を示した。40℃での6か月の保管の終わりまでに、ほとんどのサンプルが、さまざまな色を呈する目に見える粒子および乳白光を有していた。同様に、25℃で保管したサンプルの場合、アルギニン(150mM)を含む溶液が最初に粒子形成を示したサンプルであったがそれは6か月の保管まで出現せず、他の全てのサンプルはベースラインの外観を維持した。5℃で保管したサンプルは、3か月の保管の終わりにベースラインに似た外観を示したが、25℃での結果とは異なり、6か月の終わりまでに、多くのサンプル(特に、NaCl、グリセロール、グリシン、リジン、およびアルギニン)が目に見える粒子を有していた。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
化学的安定性を実証するために、
図9~12は、さまざまな賦形剤と共に50mM NaClを含有するpH5.5の酢酸バッファー中に配合され、40℃、25℃、および5℃で保管されたサンプルのrhPTHおよび関連不純物のRP-HPLCデータを示す。報告された相対保持時間をシフトすることなく妥当なピーク積分が可能であったサンプルの結果を示す。
【0130】
メインピーク:グリシン、リジン、およびアルギニンを含むサンプルは、40℃および25℃の両方での保管で、他の賦形剤と比較して、メインピークの著しく速い減少を示した。同様の傾向が5℃での保管でも観察された。
図9A~9Cを参照されたい。
【0131】
酸化されたMet8およびMet18:他の賦形剤と比較して、グリシン、リジン、およびアルギニンのサンプルは、全ての保管温度で著しく高いレベルの酸化されたMet8およびMet18を示した。メチオニンを含むサンプルは、全ての保管温度で、時間の経過に伴うMet8およびMet18の酸化の変化が最小であった。
図10A~10C(Met8)および
図11A~11C(Met18)を参照されたい。
【0132】
IsoAsp33:25℃および40℃で保管すると、150mMおよび300mMのNaClを含むサンプルはわずかに低いIsoAsp33の形成速度を示したが、賦形剤間で有意差は見られなかった(グリシン、リジン、およびアルギニンのサンプルで観察された著しく低い矛盾するIsoAsp33レベルは、これらのサンプルのクロマトグラムにおける行方不明のピーク/わずかに保持時間がシフトしたピークを統合する際の問題に起因する可能性がある)。
図12A~12Cを参照されたい。
【0133】
凍結融解(F/T)試験
表14は、2Rバイアル内で繰り返し凍結融解を行ったときのさまざまな製剤の溶液の外観を示す。目に見える粒子は、観察される場合、乳白光と一緒に報告される。150mM以上のNaClのサンプルは、繰り返しF/Tによる影響を大きく受け、白い繊維状タンパク様粒子を含むことがわかった。0.02%のPS20を含むサンプルは、最初から砂のような(非タンパク性)粒子のせいで顆粒状の外観を示した。8%グリセロールを含む溶液は、目に見える粒子の形成なしに、各F/Tサイクル後に乳白光の悪化を示した。
【0134】
【0135】
攪拌試験
表15は、周囲条件下において220rpmで水平位置の3つの2Rバイアルで実施した攪拌試験からの外観結果を示す。砂様の粒子が存在するPS20を除いて、全てのサンプルは、ベースラインにおいて、無色透明で、かつ目に見える粒子は存在しなかった。NaClを含むサンプルが粒子形成の最も早い兆候を示し、その速度は、NaCl含有量の増加とともに高まった。24時間までに、150mM NaClを含むサンプルおよびPS20を含むサンプルは、濁った外観になった。ポロキサマー188(P-188)を含むサンプルを除く全てのサンプルが、48時間の終わりまでに濁った外観を示した。P-188を含むサンプルは、試験が終了するまで(72時間)、ベースラインの外観を維持した。
【0136】
【0137】
上記の保存安定性、凍結融解、および攪拌試験からの予備的結果に基づいて、製剤を絞り込み、それぞれ酸化を低減するためおよび複数回投与製剤をサポートするためのメチオニンおよびm-クレゾールと共に、NaCl、マンニトール、スクロース、およびグリセロールをそれらの安定化/等張性能力により賦形剤として特定した。
【0138】
表16は、NaClをベース製剤から除去して、2Rバイアルで周囲条件下において220rpmで行われた水平攪拌試験の結果を示す。m-クレゾールの存在は、m-クレゾールを含まない製剤よりもかなり早く乳白光形成をもたらした。ベース製剤から50mM NaClを除去したにもかかわらず、ポロキサマー188を含むものを除いて、全ての溶液が48時間の振とうの終わりまでに依然として濁った外観をもたらした。これらの製剤を、現在市販のNatpara(登録商標)に使用されている容器/クロージャー(1.1mLの製剤充填量を使用し、シリコーン処理された中間および末端のゴム栓およびアルミニウムシールを備えた1mLのシリコーン処理カートリッジ)でも振とうに曝した。2Rバイアルでの振とうで得られた結果(表15)と同様の外観結果が観察され、ポロキサマー188は粒子形成を有意に防止し/遅延させた。
【0139】
【0140】
表16の試験した全ての製剤は、2~8℃で振とうを行った場合には、72時間(2Rバイアル)または48時間(1mLカートリッジ)の終わりにそれらのベースライン(透明)の外観を維持した。
【0141】
実施例が実証するように、塩化ナトリウム、スクロース、マンニトール、およびグリセロールは、rhPTHに安定性をもたらすのに適した賦形剤である。メチオニンは、ペプチドの酸化を有意に阻害する高い可能性を示す。ポロキサマー188は、攪拌したときに目に見える粒子の形成を防ぐのに重要であることがわかっている。
【0142】
実施例9:液体剤形を狙ったrhPTHの製剤最適化試験
組換えヒト副甲状腺ホルモンを、20mMの酢酸バッファーおよび0.3w/v%のm-クレゾールを含むpH5.5の溶液中に配合した。この基本製剤を、初期の製剤スクリーニング中にrhPTHの安定性に重要であると特定された賦形剤である(実施例7を参照)、さまざまなレベルのメチオニン(抗酸化剤)およびポロキサマー188(界面活性剤)を含めて調製した。製剤を等張にし、さらに製剤の安定性を向上させるために、塩化ナトリウム、スクロース、グリセロール、およびマンニトールを評価した。賦形剤をスクリーニングし、それらの濃度を最適化するために、サンプルを熱および攪拌ストレスに曝した。熱ストレスについては、5±3℃(5℃)、25±2℃(25℃)、および40±2℃(40℃)で、2RタイプIガラスバイアル内のサンプルを安定に置き、予め定めた間隔で、サンプルを取り出し、外観を観察し、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用してrhPTHの安定性を分析した。攪拌ストレスについては、2RタイプIガラスバイアルおよび1mLシリコーン処理デュアルチャンバーカートリッジ内のベースラインサンプルに別々にオービタル攪拌を施し、溶液の外観を経時的に観察した。
【0143】
熱ストレスでは、50mM、25mM、および10mMのメチオニン含有製剤間でrhPTHの酸化プロファイルの違いは見られなかった。攪拌でのrhPTH溶液における目に見える粒子の形成は、ポロキサマー188の濃度に依存することは観察されなかった。NaCl、スクロース、およびグリセロールの形の安定剤/等張化剤が、予備的な賦形剤スクリーニング中に実施された熱および攪拌ストレスで観察された分子の化学的および物理的変化の組み合わせから選択された(実施例7を参照)。安定剤/等張化剤の濃度は、等張液にするように選択された。全体として、液体剤形を狙った3つの製剤マトリックスが特定された:
a)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、130mM 塩化ナトリウム、0.3w/v% m-クレゾール
b)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、8.5w/v% スクロース、0.3w/v% m-クレゾール
c)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、2.3v/v% グリセロール、0.3w/v% m-クレゾール
【0144】
供給された原薬を解凍し、2kDa MWCO透析カセットにおいてバッファーに対して透析した。透析は5±3℃で行われ、約24~48時間にわたり少なくとも3サイクルのバッファー交換が含まれた。透析後、サンプルのpHを検査し、必要に応じて0.2N水酸化ナトリウムでpHを調整した。A280測定を行い、0.584(mL.mg)-1cm-1の吸光係数に基づいてrhPTHの濃度を計算した。最終溶液の調製は、層流フード内で無菌的に行った。希釈媒体としてベースバッファーを使用し、賦形剤ストックを加えて目的の賦形剤濃度を達成することにより、rhPTHを1.0mg/mLの濃度で調製した。さらに、各製剤にm-クレゾールを0.3w/v%のレベルで添加した。
【0145】
メチオニンおよびポロキサマー188の濃度の最適化:表17に、メチオニンおよびP-188の濃度の最適化試験に使用したさまざまな製剤の説明を提供する。
【0146】
【0147】
安定剤/等張化剤の最適化:表18は、rhPTHの安定性に対する安定剤/等張化剤の影響を評価するために使用したさまざまな製剤の説明を提供する。
【0148】
【0149】
サンプルを0.22μmのPVDFフィルターでろ過し、2RタイプIガラスバイアル(攪拌用)に1.5mL容量、または2RタイプIガラスバイアル(保存安定性用)に1mL容量で充填した後、封栓/クリンプを行った。ライトボックスにおいて溶液の外観について各バイアルを観察した。表17および表18の全てのベースラインサンプルに、220rpmでオービタルシェーカーを使用して周囲温度条件下で水平攪拌を施し、ライトボックスにおいて一定の間隔で溶液の外観を観察した。
【0150】
0mM、10mM、25mM、および50mMのメチオニンと共に0.3%ポロキサマー188を含む表17のサンプル、ならびに表18のサンプルも保管安定に置いた。ベースラインサンプルを分けて、ポリプロピレンチューブに分注し、-80℃で保管した。残りのバイアルは、5℃、25℃、および40℃でインキュベートした。予め定められた間隔で、サンプルバイアルを各インキュベーション条件から取り出し、外観を観察し、ポリプロピレンチューブに分注し、分析まで-80℃で保管した。注入量および注入順序にいくつかの変更を加えたSECおよびRP-HPLCを含めて、Natparaで検証されたアッセイを使用して、物理的および化学的変化についてサンプルを試験した。
【0151】
外観:表19は、40℃、25℃、および5℃で最大6か月間保管した場合の、さまざまなレベルのメチオニン濃度を有するrhPTH安定性サンプルの外観の結果を示す。試験期間中、全てのサンプルが、無色透明であり、かつ目に見える粒子がないままであった。
【0152】
【0153】
さまざまなメチオニン濃度で配合されたrhPTHの保存安定性期間中のRP-HPLCデータは、メチオニンが製剤の一部として含まれる場合にペプチド酸化の著しい減少を示す。ただし、アッセイのばらつきの範囲内で、調べたさまざまなメチオニン濃度間でMet8およびMet18の酸化のピーク、またはメインピークの割合に有意差は見られなかった。
【0154】
ポロキサマー188の濃度の最適化
ポロキサマー188の濃度を最適化するために攪拌試験を使用した。表20~22は、周囲条件下において220rpmで水平オービタル攪拌を行った、2Rバイアル内のさまざまな濃度のポロキサマー188を含有する(さまざまなメチオニン含有量で配合した-表17)サンプルの外観結果を示す。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
安定剤/等張化剤の選択
塩化ナトリウム(NaCl)、スクロース、グリセロール、およびマンニトールが、rhPTH賦形剤スクリーニング試験中に適切な賦形剤として選択された(実施例8)。将来の製剤で使用される濃度は、250~350mOsm/kgのオスモル濃度の目標に基づいて選択された。
【0159】
全てのサンプルは、目に見える粒子が存在することなく、試験期間にわたって透明~最小限の乳白光を示した(表23)。
【0160】
【0161】
40℃、25℃、および5℃で保管したときの、さまざまな安定剤/等張化剤と共に25mMのメチオニン、0.3%のP-188、および0.3%のm-クレゾールを含む20mMの酢酸バッファー中に配合されたrhPTHのRP-HPLCデータは、いずれのインキュベーション温度でも、使用されたさまざまな賦形剤間で酸化Met8および酸化Met18のレベルに有意な変化がないことを示す。同じ傾向が5℃の保管で観察された。IsoAsp33の形成速度は、含まれるIsoAsp33の量が著しく少なかったNaClを除いて、検討した全ての賦形剤で同様であった。NaCl製剤において、正体不明のテーリングピークの形成が著しく少ないことに加えて、IsoAsp33のレベルが低いことにより、他の賦形剤と比較した場合に、NaClでメインピークの回収率が最も高かった。
【0162】
攪拌試験:さまざまな安定剤を含む製剤(表18)に、2Rバイアルおよびシリコーン処理カートリッジ内で周囲条件下において220rpmでオービタル攪拌を施した。表24に、2Rバイアルでの複数の複製を有する1つの例示的な試験日からの外観結果を示す。個々のバイアルの3つの複製が、攪拌中に同じ外観プロファイルを示さなかった場合もある:最悪の外観観察が報告されている。
【0163】
これらの製剤は全て、シリコーン処理されたカートリッジ内で周囲条件下において220rpmで水平に攪拌された場合、72時間の終わりに透明で目に見える粒子がないままであった。
【0164】
【0165】
試験した製剤の中で、対照サンプル、ならびにスクロースおよびグリセロールを含むサンプルが、攪拌したときに最も優れた視覚的外観プロファイルを示した。
【0166】
結論として、熱ストレスでは、50mM、25mM、および10mMのメチオニン含有製剤間でrhPTHの酸化プロファイルの違いは見られなかった。攪拌でのrhPTH溶液における目に見える粒子の形成は、ポロキサマー188の濃度に依存することは観察されなかった。NaCl、スクロース、およびグリセロールの形の安定剤/等張化剤が、予備的な賦形剤スクリーニング中に行われた熱および攪拌ストレスで観察された分子の化学的および物理的変化の組み合わせから選択された(実施例7を参照)。安定剤/等張化剤の濃度は、等張液にするように選択された。熱および攪拌ストレスからの全体的なデータに基づいて、液体剤形を狙った上位3つの製剤マトリックスが特定された:
a)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、130mM 塩化ナトリウム、0.3w/v% m-クレゾール
b)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、8.5w/v% スクロース、0.3w/v% m-クレゾール
c)pH5.5、20mM 酢酸バッファー、10mM メチオニン、0.3w/v% ポロキサマー188、2.3v/v% グリセロール、0.3w/v% m-クレゾール
【0167】
これらの製剤中のrhPTHの目標濃度は、0.35mg/mL~1.4mg/mLの範囲である。
【0168】
実施例10:皮下送達のための複数回投与凍結乾燥rhPTH医薬品の開発
凍結乾燥rhPTH(1-84)の化学的および物理的安定性に対する、pH、バッファー、界面活性剤、安定剤/増量剤の影響を理解するために、処方変更(reformation)検討を実施した。rhPTH(1-84)の化学的安定性は、溶液のpHに大きく影響され、5.0~6.5のpH範囲で最適な安定性が見られる。より低いpH(4.0~4.5)は、rhPTH(1-84)のフラグメント化(断片化)を著しく増加させたが、振とうによって誘発される粒子形成に対する安定性を向上させた。より高いpH(6.5超)では、rhPTH(1-84)の再構成された凍結乾燥製剤は、ますます粒子形成を起こしやすくなった。
【0169】
最適溶液pHの5.5において、L-ヒスチジンバッファーおよびリン酸バッファーを含む製剤は、クエン酸バッファーを含む製剤と比較して、2Rバイアルおよびシリコーン処理カートリッジ内で振とうした場合に、目に見える粒子形成に対して著しい改善を示した。pH5.5のL-ヒスチジン製剤へのポロキサマー188の添加は、振とうによって誘発される粒子形成に対するrhPTH(1-84)の安定性をさらに向上させた。
【0170】
pH4.0~4.3のコハク酸バッファーも、pH5.5の他のバッファーと比較すると化学的安定性は劣るが、振とうによって誘発される粒子形成に対する完全な保護を提供すると思われるため、別のバッファー候補として特定された。
【0171】
全体として、これらのスクリーニング試験の結果は、現在の市販のデュアルチャンバーカートリッジでさらに評価するための3つの主要な凍結乾燥rhPTH(1-84)製剤候補を特定するのに役立った。これら製剤の選択は、主に、リアルタイム、加速、および過酷保存安定性試験、ならびに0.3v/v%のm-クレゾール水溶液での再構成後の振とう誘発ストレス試験の結果に基づいてなされた。3つの凍結乾燥製剤候補は次のものから構成され、これらは使用前に0.3w/v%のm-クレゾールを含むWFIで再構成する必要がある:
(1) 4%(w/v)マンニトールおよび2%(w/v)スクロースを含むpH5.5の20mM L-ヒスチジン中の1mg/mL rhPTH(1-84)
(2) 4%(w/v)マンニトール、2%(w/v)スクロース、および0.3%(w/v)ポロキサマー188を含むpH5.5の20mM L-ヒスチジン中の1mg/mL rhPTH(1-84)
(3) 3%(w/v)マンニトールおよび3%(w/v)スクロースを含むpH4.3の20mM コハク酸塩中の1mg/mL rhPTH(1-84)
【0172】
rhPTH(1-84)の化学的安定性をモニタリングするために、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して、酸化、脱アミド化、フラグメント化、およびその他の分解経路に関連する不純物を定量した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、主要なrhPTH(1-84)分子に加えて、あらゆる高分子量種および低分子量種を定量した。
【0173】
rhPTH(1-84)の物理的ストレスを評価するために、オービタル振とうによる攪拌を使用し、外観を用いて結果を評価した。全ての製剤を0.3%(v/v)のm-クレゾール水溶液で再構成し、220rpmに設定したオービタルシェーカーを使用して水平位置において室温で振とうした。
【0174】
カールフィッシャー法を使用して測定した含水量を表25に要約する。100mMの塩化ナトリウムおよび5%のスクロースを含む製剤を除いて、全ての製剤の含水量は2%未満であった。2%未満の含水量は、市販の医薬品の含水量の仕様よりも有意に低いため、rhPTH(1-84)で安定性の問題を引き起こさない。
【0175】
【0176】
集合的な結果に基づいて、30mMの塩化ナトリウム、および約-39℃のTg’を有する5%(w/v)スクロースから構成される製剤が、低含水量で優れたケーキ外観をもたらしたため、最初の凍結乾燥研究に選択された。
【0177】
凍結乾燥rhPTH(1-84)の処方変更検討により、rhPTH(1-84)の化学的分解が最小である5.0~6.0の最適pH範囲が確認された。rhPTH(1-84)は、より低いpH条件において25℃および40℃の高められた温度ではかなり速く分解したが、検討により、4.0~4.3のpHのrhPTH(1-84)製剤が、5℃の保管条件では、最大6か月のあいだ化学的安定性を維持し、さらには振とうにより誘発される粒子形成を著しく減らしたため、依然として可能であり得ることも確認された。rhPTH(1-84)の同時の液体製剤開発を加味して、広範な凍結乾燥製剤のスクリーニング試験の結果、rhPTH(1-84)の3つの主要な凍結乾燥製剤が、現在の市販のシリコーン処理デュアルチャンバーカートリッジでの評価のために選択された。選択された製剤は、それぞれ25℃および40℃の加速条件および過酷条件での3か月の安定性、ならびに0.3%(v/v)のm-クレゾール水溶液での再構成後の振とうにより誘発される粒子形成に対するrhPTH(1-84)の安定性への影響に基づく。選択された3つの製剤は:
【0178】
追加の最適化検討は、10mMのメチオニンの添加が、製剤2におけるMet8およびMet18残基の酸化に対して、および上記の製剤3における凝集に対して、rhPTH(1-84)の安定性を著しく向上させることを示した。
【0179】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、上記の主題にさまざまな変更を加えることができるため、上記の説明に含まれる、または添付の特許請求の範囲に記載される全ての主題は、本発明の説明および例示であると解釈されることが意図される。上記の教示を考慮して、本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲内にあるそのような全ての代替、修正、および変更を包含することが意図される。
【0180】
本明細書で引用される全ての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、および他の資料は、本明細書に物理的に存在するかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
【0181】
[実施態様1]
医薬製剤であって、
(a)治療有効量の組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)界面活性剤;
(c)等張化剤;
(d)抗酸化剤;
(e)防腐剤;
(f)生理学的に許容されるバッファー、および
(g)水
を含み、該医薬製剤は、注射用液剤として製剤化され、少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明で目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【0182】
[実施態様2]
少なくとも72時間物理的に安定である、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0183】
[実施態様3]
少なくとも96時間物理的に安定である、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0184】
[実施態様4]
少なくとも7日間物理的に安定である、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0185】
[実施態様5]
少なくとも14日間物理的に安定である、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0186】
[実施態様6]
少なくとも21日間物理的に安定である、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0187】
[実施態様7]
前記界面活性剤が、ポロキサマー188、およびポリエチレングリコール、ならびにそれらの組み合わせから選択される、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0188】
[実施態様8]
前記等張化剤が、塩化ナトリウム、スクロース、およびグリセロール、ならびにそれらの組み合わせから選択される、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0189】
[実施態様9]
前記防腐剤が、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、プロピルパラベン、またはそれらの組み合わせである、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0190】
[実施態様10]
前記生理学的に許容されるバッファーが、酢酸バッファー、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、またはコハク酸バッファーである、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0191】
[実施態様11]
抗酸化剤をさらに含む、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0192】
[実施態様12]
前記抗酸化剤が、メチオニン、N-アセチル-メチオニン、チオ硫酸塩、N-アセチルトリプトファン、またはそれらの組み合わせである、実施態様11に記載の医薬製剤。
【0193】
[実施態様13]
約4~約6のpHを有する、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0194】
[実施態様14]
約5.5のpHを有する、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0195】
[実施態様15]
前記製剤が、単回投与用バイアル、複数回投与用バイアル、カートリッジ、プレフィルドシリンジ、または注射ペン内にある、実施態様1に記載の医薬製剤。
【0196】
[実施態様16]
医薬製剤であって、
(a)約0.2~約2.0mg/mLの組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)約0.03~約3.0w/v%の界面活性剤;
(c)約0.2~約20w/v%の等張化剤;
(d)約0.015~約1.50w/v%の抗酸化剤;
(e)約0.03~約3%の防腐剤;
(f)約5mM~約50mMの生理学的に許容されるバッファー、および
(g)水
を含み、該医薬製剤は、注射用液剤として製剤化され、少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【0197】
[実施態様17]
少なくとも72時間物理的に安定である、実施態様16に記載の医薬製剤。
【0198】
[実施態様18]
少なくとも96時間物理的に安定である、実施態様16に記載の医薬製剤。
【0199】
[実施態様19]
少なくとも7日間物理的に安定である、実施態様16に記載の医薬製剤。
【0200】
[実施態様20]
少なくとも14日間物理的に安定である、実施態様16に記載の医薬製剤。
【0201】
[実施態様21]
少なくとも21日間物理的に安定である、実施態様16に記載の医薬製剤。
【0202】
[実施態様22]
医薬製剤であって、
(a)治療有効量の組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)増量剤;
(c)凍結保護剤、および
(d)薬学的に許容されるバッファー
を含み、該医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、再構成後少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【0203】
[実施態様23]
少なくとも72時間物理的に安定である、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0204】
[実施態様24]
少なくとも96時間物理的に安定である、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0205】
[実施態様25]
少なくとも7日間物理的に安定である、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0206】
[実施態様26]
少なくとも14日間物理的に安定である、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0207】
[実施態様27]
少なくとも21日間物理的に安定である、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0208】
[実施態様28]
前記増量剤がマンニトールである、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0209】
[実施態様29]
前記凍結保護剤がスクロースである、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0210】
[実施態様30]
前記薬学的に許容されるバッファーが、酢酸バッファー、リン酸バッファー、L-ヒスチジンバッファー、またはコハク酸バッファーである、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0211】
[実施態様31]
前記薬学的に許容されるバッファーがL-ヒスチジンバッファーである、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0212】
[実施態様32]
約5.5のpHを有する、実施態様31に記載の医薬製剤。
【0213】
[実施態様33]
前記薬学的に許容されるバッファーがコハク酸バッファーである、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0214】
[実施態様34]
約4~約4.5の間のpHを有する、実施態様33に記載の医薬製剤。
【0215】
[実施態様35]
抗酸化剤および/または界面活性剤をさらに含む、実施態様22に記載の医薬製剤。
【0216】
[実施態様36]
前記抗酸化剤がメチオニンであり、前記界面活性剤がポロキサマー188である、実施態様35に記載の医薬製剤。
【0217】
[実施態様37]
医薬製剤であって、
(a)約0.02~約2.0mg/mLの組換えヒト副甲状腺ホルモン(rhPTH(1-84));
(b)約0.3~約30w/v%の増量剤;
(c)約0.2~約20w/v%の凍結保護剤、および
(d)約5mM~約50mMの薬学的に許容されるバッファー
を含み、該医薬製剤は、注射前に再構成される凍結乾燥粉末として製剤化され、再構成後少なくとも48時間、物理的に安定であり、無色透明でかつ目に見える粒子がないままである、医薬製剤。
【0218】
[実施態様38]
少なくとも72時間物理的に安定である、実施態様37に記載の医薬製剤。
【0219】
[実施態様39]
少なくとも96時間物理的に安定である、実施態様37に記載の医薬製剤。
【0220】
[実施態様40]
少なくとも7日間物理的に安定である、実施態様37に記載の医薬製剤。
【0221】
[実施態様41]
少なくとも14日間物理的に安定である、実施態様37に記載の医薬製剤。
【0222】
[実施態様42]
少なくとも21日間物理的に安定である、実施態様37に記載の医薬製剤。
【0223】
[実施態様43]
実施態様22~42のいずれかに記載の医薬製剤を含む第1の容器と、前記医薬製剤を再構成するための滅菌水を含む第2の容器と、該製剤から再構成された製剤を調製することを指示するシートとを含む、キット。
【0224】
[実施態様44]
再構成されたrhPTH(1-84)溶液を注射するためのデバイスをさらに含む、実施態様43に記載のキット。
【0225】
[実施態様45]
治療有効量のrhPTH(1-84)をそれを必要とする対象に投与する方法であって、実施態様1~21のいずれかの医薬製剤を対象に皮下、静脈内、または筋肉内注射することを含む、方法。
【0226】
[実施態様46]
前記注射が、注射器、自動注射器、注射ペン、またはそれらの組み合わせを用いて行われる、実施態様45に記載の方法。
【0227】
[実施態様47]
治療有効量のrhPTH(1-84)をそれを必要とする対象に投与する方法であって、
(i)実施態様22~42のいずれかの医薬製剤を滅菌水で再構成すること、および
(ii)再構成された製剤を対象に皮下、静脈内、または筋肉内注射すること
を含む、方法。
【0228】
[実施態様48]
前記注射が、注射器、自動注射器、注射ペン、またはそれらの組み合わせを用いて行われる、実施態様47に記載の方法。