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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032310
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】測定装置及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20240305BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G01B11/30 102G
G01B11/24 D
H01L21/78 C
H01L21/78 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135897
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【テーマコード(参考)】
2F065
5F063
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA12
2F065AA50
2F065AA54
2F065BB02
2F065BB18
2F065CC19
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF10
2F065FF52
2F065GG24
2F065HH04
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065MM04
2F065PP24
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU07
5F063AA48
5F063BA27
5F063CA04
5F063CA06
5F063CB05
5F063CB06
5F063DD06
5F063DD25
5F063DE02
5F063DE12
5F063DE23
5F063DE33
5F063FF01
(57)【要約】
【課題】ワークの表面の形状及び/又は粗さを精度よく測定できる測定装置及び加工装置を提供する。
【解決手段】測定装置1は、ウェーハWが載置されるテーブル10と、テーブル10上のウェーハWの表面を拡大して撮像する第1撮像部100と、テーブル10上のウェーハWの表面を撮像する第2撮像部200であって、ウェーハWの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像からウェーハWの表面の形状及び/又は粗さの測定が可能な第2撮像部200と、第1撮像部100でウェーハWの表面を撮像した画像、及び、第2撮像部200でウェーハWの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、ウェーハWの表面の形状及び/又は粗さを測定する画像処理部310と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸に対し、前記X軸及び前記Y軸を含む平面と平行な載置面を有し、前記載置面上にワークが載置されるテーブルと、
前記テーブル上の前記ワークの表面を撮像する第1撮像部と、
前記テーブル上の前記ワークの表面を撮像する第2撮像部であって、前記ワークの表面を前記Z軸方向に走査して撮像した複数の画像から前記ワークの表面の形状及び/又は粗さの測定が可能な第2撮像部と、
前記テーブルに対し、前記第1撮像部及び前記第2撮像部を前記X軸、前記Y軸及び前記Z軸の方向に沿って相対的に移動させる駆動部と、
前記第1撮像部、前記第2撮像部、及び、前記駆動部を制御して、前記第1撮像部及び前記第2撮像部による前記ワークの撮像を制御する撮像制御部と、
前記第1撮像部で前記ワークの表面を撮像した画像、及び、前記第2撮像部で前記ワークの表面を前記Z軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、前記ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する画像処理部と、
を備えた測定装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、
前記第1撮像部で前記ワークの表面を前記Z軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、前記ワークの表面の前記Z軸方向の位置及び/又はエッジを検出する第1画像処理部と、
前記第2撮像部で前記ワークの表面を前記Z軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、前記ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する第2画像処理部と、
前記第1画像処理部及び前記第2画像処理部の処理結果を統合して、最終的な形状及び/又は粗さを算出する統合処理部と、
を含む、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記統合処理部は、少なくとも前記第1画像処理部による前記ワークの表面の前記Z軸方向の位置及び/又はエッジの検出結果に基づいて、前記ワークの表面の前記Z軸方向の位置及び/又はエッジを特定する、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記撮像制御部は、前記第1画像処理部で検出される前記ワークの表面の前記Z軸方向の位置の情報に基づいて、前記第2撮像部による前記Z軸方向の走査範囲を設定する、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1撮像部は、前記第2撮像部よりも広い視野で前記ワークの表面を撮像し、
前記画像処理部は、前記第1撮像部で撮像された画像に基づいて測定位置を検出する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第1撮像部は、撮像する倍率を切り替える機能を有する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1画像処理部は、前記第1撮像部で前記ワークの表面を前記Z軸方向に走査して撮像した焦点位置の異なる複数の画像を処理して、前記ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項8】
前記統合処理部は、少なくとも前記第1画像処理部による処理結果に基づいて、前記ワークの表面の前記Z軸方向の位置及び/又はエッジを特定する、
請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記ワークの表面が平滑面で構成される領域を含む場合、
前記統合処理部は、前記第2画像処理部による処理結果に基づいて、前記平滑面で構成される領域の形状及び/又は粗さを算出し、前記第1画像処理部による処理結果に基づいて、前記平滑面で構成される領域以外の領域の形状及び/又は粗さを算出する、
請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記第2撮像部は、光干渉方式又は共焦点方式で前記ワークの表面を撮像する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記駆動部は、前記テーブルに対し、少なくとも前記Z軸の方向において、前記第2撮像部及び前記第1撮像部を独立して移動させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記テーブルに対し、少なくとも前記Z軸及び前記Y軸の方向において、前記第2撮像部及び前記第1撮像部を独立して移動させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記駆動部は、更に前記テーブルを回転させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置と、
前記テーブル上の前記ワークを加工する加工部と、
前記加工部による加工を制御する加工制御部と、
を備えた加工装置。
【請求項15】
前記加工制御部は、前記第1撮像部で撮像された画像に基づいて、前記ワークのアライメントを行う、
請求項14に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び加工装置に関し、特に、ワークの表面の形状及び/又は粗さを非接触で測定する測定装置及びその測定装置を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの表面の微細な三次元形状や粗さを非接触で測定する装置として、白色干渉計が知られている(たとえば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011-508241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、白色干渉計による測定では、表面付近でノイズが発生することがあり、このノイズが、本来の形状を抽出する際の不安定要因、誤検出要因となっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ワークの表面の形状及び/又は粗さを精度よく測定できる測定装置及び加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の態様の測定装置は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸に対し、X軸及びY軸を含む平面と平行な載置面を有し、載置面上にワークが載置されるテーブルと、テーブル上のワークの表面を撮像する第1撮像部と、テーブル上のワークの表面を撮像する第2撮像部であって、ワークの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像からワークの表面の形状及び/又は粗さの測定が可能な第2撮像部と、テーブルに対し、第1撮像部及び第2撮像部をX軸、Y軸及びZ軸の方向に沿って相対的に移動させる駆動部と、第1撮像部、第2撮像部、及び、駆動部を制御して、第1撮像部及び第2撮像部によるワークの撮像を制御する撮像制御部と、第1撮像部でワークの表面を撮像した画像、及び、第2撮像部でワークの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する画像処理部と、を備える。
【0007】
第2の態様の測定装置は、第1の態様の測定装置において、画像処理部は、第1撮像部でワークの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、ワークの表面のZ軸方向の位置及び/又はエッジを検出する第1画像処理部と、第2撮像部でワークの表面をZ軸方向に走査して撮像した複数の画像を処理して、ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する第2画像処理部と、第1画像処理部及び第2画像処理部の処理結果を統合して、最終的な形状及び/又は粗さを算出する統合処理部と、を含む。
【0008】
第3の態様の測定装置は、第2の態様の測定装置において、統合処理部は、少なくとも第1画像処理部によるワークの表面のZ軸方向の位置及び/又はエッジの検出結果に基づいて、ワークの表面のZ軸方向の位置及び/又はエッジを特定する。
【0009】
第4の態様の測定装置は、第2の態様の測定装置において、撮像制御部は、第1画像処理部で検出されるワークの表面のZ軸方向の位置の情報に基づいて、第2撮像部によるZ軸方向の走査範囲を設定する。
【0010】
第5の態様の測定装置は、第1の態様の測定装置において、第1撮像部は、第2撮像部よりも広い視野でワークの表面を撮像し、画像処理部は、第1撮像部で撮像された画像に基づいて測定位置を検出する。
【0011】
第6の態様の測定装置は、第1の態様の測定装置において、第1撮像部は、撮像する倍率を切り替える機能を有する。
【0012】
第7の態様の測定装置は、第2の態様の測定装置において、第1画像処理部は、第1撮像部でワークの表面をZ軸方向に走査して撮像した焦点位置の異なる複数の画像を処理して、ワークの表面の形状及び/又は粗さを測定する。
【0013】
第8の態様の測定装置は、第7の態様の測定装置において、統合処理部は、少なくとも第1画像処理部による処理結果に基づいて、ワークの表面のZ軸方向の位置及び/又はエッジを特定する。
【0014】
第9の態様の測定装置は、第8の態様の測定装置において、ワークの表面が平滑面で構成される領域を含む場合、統合処理部は、第2画像処理部による処理結果に基づいて、平滑面で構成される領域の形状及び/又は粗さを算出し、第1画像処理部による処理結果に基づいて、平滑面で構成される領域以外の領域の形状及び/又は粗さを算出する。
【0015】
第10の態様の測定装置は、第1から9のいずれか一の態様の測定装置において、第2撮像部は、光干渉方式又は共焦点方式でワークの表面を撮像する。
【0016】
第11の態様の測定装置は、第1から9のいずれか一の態様の測定装置において、駆動部は、テーブルに対し、少なくともZ軸の方向において、第2撮像部及び第1撮像部を独立して移動させる。
【0017】
第12の態様の測定装置は、第1から9のいずれか一の態様の測定装置において、駆動部は、テーブルに対し、少なくともZ軸及びY軸の方向において、第2撮像部及び第1撮像部を独立して移動させる。
【0018】
第13の態様の測定装置は、第1から9のいずれか一の態様の測定装置において、駆動部は、更にテーブルを回転させる。
【0019】
また、上記課題を解決するために、第1の態様の加工装置は、第1から9のいずれか一の態様の測定装置と、テーブル上のワークを加工する加工部と、加工部による加工を制御する加工制御部と、を備える。
【0020】
第2の態様の加工装置は、第1の態様の加工装置において、加工制御部は、第1撮像部で撮像された画像に基づいて、ワークのアライメントを行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワークの表面の形状及び/又は粗さを精度よく測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、測定装置の第1の実施の形態の概略構成図である。
図2図2は、第1撮像部の概略構成を示す図である。
図3図3は、第2撮像部の概略構成を示す図である。
図4図4は、測定装置の駆動系の概略構成を示す図である。
図5図5は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
図6図6は、測定位置の検出の概念図である。
図7図7は、白色干渉計によるウェーハの切溝の測定結果の一例を示す図である。
図8図8は、測定装置による測定の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
図10図10は、第1撮像部の概略構成を示す図である。
図11図11は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
図12図12は、測定装置による測定の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、ダイシング装置の加工部の概略構成を示す図である。
図14図14は、ダイシング装置の加工部の制御系のブロック図である。
図15図15は、ダイシング装置によるウェーハの加工及び測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
[測定装置]
[第1の実施の形態]
ここでは、ダイシング装置により半導体のウェーハの表面に加工された切溝(カーフ)の形状を測定する場合を例に説明する。
【0025】
[装置構成]
図1は、測定装置の第1の実施の形態の概略構成図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の測定装置1は、ウェーハWが載置されるテーブル10と、テーブル10を回転させるテーブル駆動部20と、テーブル10上のウェーハWを撮像する第1撮像部100と、テーブル10上のウェーハWを撮像する第2撮像部200と、第1撮像部100を移動させる第1駆動部130と、第2撮像部200を移動させる第2駆動部230と、第1撮像部100、第2撮像部200、テーブル駆動部20、第1駆動部130及び第2駆動部230を制御して、第1撮像部100及び第2撮像部200による撮像を制御する撮像制御部310と、第1撮像部100及び第2撮像部200で撮像された画像を処理する画像処理部320と、を備える。図1において、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する軸であり、三次元直交座標系を構成する。
【0027】
上記のように、測定対象とするワークは、ダイシング加工後のウェーハWである。ウェーハWは、ダイシングフレームFにマウントされて加工される。加工後のウェーハWには、ストリートに沿って切溝Cが加工される。
【0028】
[テーブル]
テーブル10は、X軸及びY軸と平行な平面上でウェーハWを保持する。テーブル10は、円盤状の形状を有し、上部にウェーハWが載置される載置面12を有する。載置面12は、X軸及びY軸と平行な平面で構成される。
【0029】
[テーブル駆動部]
テーブル駆動部20は、モータを含み、θ軸を中心として、テーブル10を回転させる。θ軸は、テーブル10の中心を通り、Z軸と平行な軸で構成される。
【0030】
[第1撮像部]
第1撮像部100は、テーブル10上のウェーハWの表面を撮像する。一例として、本実施の形態では、第1撮像部100は、テーブル10上のウェーハWの表面の一部を拡大して撮像する(いわゆる顕微鏡画像を撮像する。)。第1撮像部100は、主として、測定位置(測定対象とする領域の位置)の検出に使用される。第1撮像部100は、テーブル10の上方からZ軸の方向に沿ってウェーハWの表面(切溝Cが加工された面)を撮像する。
【0031】
図2は、第1撮像部の概略構成を示す図である。
【0032】
第1撮像部100は、第1顕微鏡部110及び第1カメラ部120を備える。第1撮像部100は、ウェーハWの表面の一部を第1顕微鏡部110で拡大し、その第1顕微鏡110で拡大された像を第1カメラ部120で撮像する。
【0033】
第1顕微鏡部110は、照明部111、ビームスプリッタ112、対物レンズ113、及び、結像レンズ114等を備える。
【0034】
照明部111は、照明光源111A及び照明用レンズ111Bを有する。照明部111は、照明光源111Aから発せられた光(照明光)を照明用レンズ111Bを介して出射する。照明光源111Aには、たとえば、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、発光ダイオード(light emitting diode:LED)などが用いられる。
【0035】
照明部111から出射された光は、ビームスプリッタ112、対物レンズ113を介して、テーブル10上のウェーハWに照射される。そして、ウェーハWで反射した光が、対物レンズ113、ビームスプリッタ112、結像レンズ114を介して第1カメラ部120に入射する。
【0036】
第1カメラ部120は、撮像素子121を有し、ウェーハWの像を電子的に撮像する。撮像素子121には、たとえば、CMOSイメージセンサ(complementary metal oxide semiconductor image sensor)、CCDイメージセンサ(charge-coupled device image sensor)等のエリアイメージセンサが用いられる。第1カメラ部120で撮像された画像は、画像処理部320に出力される。
【0037】
第1撮像部100をZ軸の方向に沿って移動させながらテーブル10上のウェーハWを撮像することにより、焦点位置の異なる画像を撮像できる。
【0038】
第1撮像部100は、第2撮像部200よりも相対的に広い視野でウェーハWの表面を撮像する。ゆえに、第1顕微鏡部110の対物レンズ113は、第2顕微鏡部210の対物レンズ213よりも相対的に低い倍率(広い視野)を有する。
【0039】
なお、第1の実施の形態では、第1撮像部100が、第2撮像部200よりも相対的に広い視野でウェーハWの表面を撮像するとしたが、これに限らず、同等の視野であってもかまわない。
【0040】
[第2撮像部]
第2撮像部200は、測定用の撮像部である。第2撮像部200は、光干渉方式でウェーハWの表面を撮像する。特に、本実施の形態では、光源に白色光を用いた白色干渉法でウェーハWの表面を撮像する。白色干渉法を利用して、ウェーハWの表面をZ軸方向に走査して撮像することで、ウェーハWの表面の凹凸(形状及び/又は粗さ)を測定できる。白色干渉法でウェーハWの表面を撮像することから、第2撮像部200は、実質的に白色干渉計で構成される。
【0041】
図3は、第2撮像部の概略構成を示す図である。
【0042】
第2撮像部200は、第2顕微鏡部210及び第2カメラ部220を備える。第2撮像部200は、第2顕微鏡部210で観察される画像(干渉画像)を第2カメラ部220で撮像する。第2撮像部200は、テーブル10の上方からZ軸の方向に沿ってウェーハWの表面を撮像する。
【0043】
第2顕微鏡部210は、白色干渉顕微鏡で構成される。本実施の形態では、第2顕微鏡部210が、いわゆるミラウ干渉型の白色干渉顕微鏡で構成される。図3に示すように、第2顕微鏡部210は、照明部211、第1ビームスプリッタ212、対物レンズ213、ガラスプレート214、第2ビームスプリッタ215、及び、結像レンズ216等を備える。ガラスプレート214は、中央部分に参照ミラー214Aを有する。対物レンズ213、ガラスプレート214及び第2ビームスプリッタ215は、干渉光学系を構成する。
【0044】
照明部211は、白色光源211A及び照明用レンズ211Bを有する。照明部211は、白色光源211Aから発せられた白色光を照明用レンズ211Bを介して出射する。白色光源211Aには、たとえば、ハロゲンランプ、LED等を用いることができる。
【0045】
照明部211から出射された白色光は、第1ビームスプリッタ212、対物レンズ213、ガラスプレート214を介して第2ビームスプリッタ215に入射する。第2ビームスプリッタ215に入射した白色光は、第2ビームスプリッタ215によって測定光及び参照光に分離される。
【0046】
測定光は、第2ビームスプリッタ215を透過して、ウェーハWの表面に入射する。そして、ウェーハWの表面で反射した測定光が、第2ビームスプリッタ215、ガラスプレート214、対物レンズ213、第1ビームスプリッタ212、結像レンズ216を介して第2カメラ部220に入射する。
【0047】
参照光は、第2ビームスプリッタ215で反射して、ガラスプレート214に入射する。ガラスプレート214に入射した参照光は、参照ミラー214Aで反射され、再び第2ビームスプリッタ215に入射する。そして、第2ビームスプリッタ215で再度反射され、ガラスプレート214、対物レンズ213、第1ビームスプリッタ212、結像レンズ216を介して第2カメラ部220に入射する。
【0048】
ウェーハWの表面で反射して第2カメラ部220に入射する測定光と、参照ミラー214Aで反射して第2カメラ部220に入射する参照光とが重なることで干渉光が生成される。対物レンズ213、ガラスプレート214及び第2ビームスプリッタ215で構成される干渉光学系は、測定対象に焦点が合った際に、測定光と参照光の光路長が等しくなるように設計される。
【0049】
第2カメラ部220は、撮像素子221を有し、第2顕微鏡部210で生成される画像(干渉画像)を電子的に撮像する。撮像素子221には、たとえば、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等のエリアイメージセンサが用いられる。第2カメラ部220で撮像された画像は、画像処理部320に出力される。
【0050】
第2撮像部200をZ軸の方向に沿って移動させると、ウェーハWの表面で反射する測定光の光路長が変化する。撮像素子221に入射した干渉光は、互いの光路長が一致した場合に、干渉強度が最大となる。よって、画素ごとに干渉強度が最大となるZ軸方向の位置を読み取ることで、ウェーハWの表面の凹凸の位置を測定できる。
【0051】
[第1駆動部]
図4は、測定装置の駆動系の概略構成を示す図である。
【0052】
第1駆動部130及び第2駆動部230は、各々独立して第1撮像部100及び第2撮像部200をX軸、Y軸及びZ軸の方向に沿って移動させる。
【0053】
図4に示すように、第1駆動部130は、第1撮像部100をX軸方向に沿って移動させる第1X軸駆動部130Xと、第1撮像部100をY軸方向に沿って移動させる第1Y軸駆動部130Yと、第1撮像部100をZ軸方向に沿って移動させる第1Z軸駆動部130Zと、を有する。一例として、本実施の形態の測定装置1は、ベースに対し、X軸方向に沿って移動する第1X軸キャリッジと、第1X軸キャリッジに対し、Y軸方向に沿って移動する第1Y軸キャリッジと、第1Y軸キャリッジに対し、Z軸方向に沿って移動する第1Z軸キャリッジと、を備え、第1Z軸キャリッジに第1撮像部100が搭載される。第1X軸駆動部130Xは、第1X軸キャリッジをX軸方向に沿って移動させて、第1撮像部100をX軸方向に移動させる。第1Y軸駆動部130Yは、第1Y軸キャリッジをY軸方向に沿って移動させて、第1撮像部100をY軸方向に移動させる。第1Z軸駆動部130Zは、第1Z軸キャリッジをZ軸方向に沿って移動させて、第1撮像部100をZ軸方向に移動させる。これにより、第1撮像部100をX軸、Y軸及びZ軸方向に移動させることができる。各駆動部は、個別に位置センサを有し、各位置センサによって、各キャリッジの位置(各軸方向の位置)が検出される。すなわち、第1X軸駆動部130Xでは、第1X軸キャリッジのX軸方向の位置が検出される。第1Y軸駆動部130Yでは、第1Y軸キャリッジのY軸方向の位置が検出される。第1Z軸駆動部130Zでは、第1Z軸キャリッジのZ軸方向の位置が検出される。各位置センサによって検出される各キャリッジの位置からテーブル10に対する第1撮像部100の各軸方向の位置が検出される。
【0054】
[第2駆動部]
第2駆動部230の構成は、第1駆動部130と同じである。図4に示すように、第2駆動部230も、第2撮像部200をX軸方向に沿って移動させる第2X軸駆動部230Xと、第2撮像部200をY軸方向に沿って移動させる第2Y軸駆動部230Yと、第2撮像部200をZ軸方向に沿って移動させる第2Z軸駆動部230Zと、を有する。測定装置1は、ベースに対し、X軸方向に沿って移動する第2X軸キャリッジと、第2X軸キャリッジに対し、Y軸方向に沿って移動する第2Y軸キャリッジと、第2Y軸キャリッジに対し、Z軸方向に沿って移動する第2Z軸キャリッジと、を備え、第2Z軸キャリッジに第2撮像部200が搭載される。第2X軸駆動部230Xは、第2X軸キャリッジをX軸方向に沿って移動させて、第2撮像部200をX軸方向に移動させる。第2Y軸駆動部230Yは、第2Y軸キャリッジをY軸方向に沿って移動させて、第2撮像部200をY軸方向に移動させる。第2Z軸駆動部230Zは、第2Z軸キャリッジをZ軸方向に沿って移動させて、第2撮像部200をZ軸方向に移動させる。これにより、第2撮像部200をX軸、Y軸及びZ軸方向に移動させることができる。各駆動部は、個別に位置センサを有し、各位置センサによって、各キャリッジの位置(各軸方向の位置)が検出される。すなわち、第2X軸駆動部230Xでは、第2X軸キャリッジのX軸方向の位置が検出される。第2Y軸駆動部230Yでは、第2Y軸キャリッジのY軸方向の位置が検出される。第2Z軸駆動部230Zでは、第2Z軸キャリッジのZ軸方向の位置が検出される。各位置センサによって検出される各キャリッジの位置からテーブル10に対する第2撮像部200の各軸方向の位置が検出される。
【0055】
[撮像制御部]
撮像制御部310は、第1撮像部100、第2撮像部200、テーブル駆動部20、第1駆動部130及び第2駆動部230を制御して、第1撮像部100及び第2撮像部200による撮像を制御する。
【0056】
撮像制御部310は、たとえば、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータ300で構成される。すなわち、コンピュータ300が、所定のプログラムを実行することで、撮像制御部310として機能する。
【0057】
撮像制御部310は、第1撮像部100に対し、測定位置を検出するための撮像を行わせる。また、撮像制御部310は、第1撮像部100に対し、ウェーハWの表面位置を検出するための撮像を行わせる。また、撮像制御部310は、第2撮像部200に対し、ウェーハWの表面形状を測定するための撮像を行わせる。撮像制御部310による撮像の制御については、後に詳述する。
【0058】
[画像処理部]
画像処理部320は、第1撮像部100及び第2撮像部200で撮像された画像を処理する。撮像制御部310と同様に、画像処理部320はコンピュータ300で構成される。すなわち、コンピュータ300が、所定のプログラムを実行することで、画像処理部320として機能する。
【0059】
図5は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
【0060】
図5に示すように、画像処理部320は、合焦位置検出部320A、表面位置検出部320B、測定位置検出部320C、三次元形状データ生成部320D、及び、統合処理部320E等の機能を有する。
【0061】
合焦位置検出部320Aは、第1撮像部100をZ軸方向に走査して撮像した画像から合焦位置(焦点が合った位置)を検出する。一例として、本実施の形態では、第1撮像部100をZ軸方向に走査して撮像した画像から合焦度の評価値を算出し、その評価値がピークとなる位置を合焦位置として検出する。合焦度とは、焦点が合っている度合いを示す数値である。合焦度には、たとえば、画像のコントラストを採用できる。すなわち、コントラスト方式のオートフォーカスの手法が採用される。
【0062】
表面位置検出部320Bは、ウェーハWの表面に焦点を合わせた際の合焦位置の検出結果に基づいて、Z軸方向におけるウェーハWの表面の位置(高さ位置)を検出する。テーブル10の載置面12と第1撮像部100との位置関係は既知であるので、ウェーハWの表面に焦点を合わせた際の合焦位置の検出結果からウェーハWの表面の位置を検出できる。すなわち、表面位置検出部320Bは、ウェーハWの表面に焦点を合わせた際の第1撮像部100のZ軸方向の位置からウェーハWの表面の位置を検出する。
【0063】
本実施の形態において、合焦位置検出部320A及び表面位置検出部320Bの組み合わせは、第1画像処理部の一例である。
【0064】
測定位置検出部320Cは、第1撮像部100で撮像された画像(いわゆる顕微鏡画像)から測定対象とする領域(測定対象領域)の位置(測定位置)を検出する。
【0065】
図6は、測定位置の検出の概念図である。
【0066】
上記のように、本実施の形態では、ウェーハWの表面に加工された切溝Cを測定対象とする。したがって、切溝Cを含む領域が測定対象領域SAに設定される。図6に示す例では、アライメントマークAMを基準にして、ストリートST上の特定の位置に測定対象領域SAが設定された場合の例を示している。アライメントマークAMは、アライメントのために、ウェーハWの表面に付されるマークである(アライメントターゲットともいう。)。ストリートSTは、ウェーハW上の切削可能な領域である。
【0067】
測定位置検出部320Cは、第1撮像部100で撮像された画像IM1からアライメントマークAMを検出し、測定位置(たとえば、測定対象領域SAの中心の位置)を検出する。すなわち、アライメントマークAMを基準にして定められた測定位置を検出する。
【0068】
三次元形状データ生成部320Dは、第2撮像部200をZ軸方向に走査して撮像した画像から測定対象(本実施の形態では切溝C)の三次元形状データを生成する。上記のように、第2撮像部200は、白色干渉計で構成されるので、測定対象の領域をZ軸方向に走査して撮像することにより、得られた画像(干渉画像)から測定対象の領域の三次元形状を測定できる。本実施の形態において、三次元形状データ生成部320Dは、第2画像処理部の一例である。
【0069】
統合処理部320Eは、三次元形状データ生成部320Dの処理結果と、合焦位置検出部320A及び表面位置検出部320Bの処理結果とを統合して、測定対象の最終的な三次元形状を算出する。すなわち、三次元形状データ生成部320Dで生成された三次元形状データと、表面位置検出部320Bで検出された表面位置の情報とに基づいて、測定対象の最終的な三次元形状を算出する。
【0070】
図7は、白色干渉計によるウェーハの切溝の測定結果の一例を示す図である。同図は、三次元形状データを二次元断面(切溝Cの断面)に投影した図を示している。
【0071】
図7に示すように、白色干渉計による測定では、ウェーハWの表面付近でノイズが発生する場合がある。このノイズが、本来の表面の形状を抽出する際の不安定要因、誤検出要因となっていた。
【0072】
上記のように、本実施の形態の測定装置1では、第1撮像部100による撮像結果からウェーハWの表面位置を検出できる。したがって、この表面位置の情報を利用することで、白色干渉計による測定データ(三次元形状データ)から表面付近のノイズ成分を分離でき、表面位置を正確に特定できる。
【0073】
統合処理部320Eは、三次元形状データ生成部320Dで生成された三次元形状データに対し、ウェーハWの表面位置を表面位置検出部320Bで検出された位置で特定し、最終的な三次元形状の測定結果を算出する。
【0074】
統合処理部320Eで算出された最終的な三次元形状の測定結果の情報は、コンピュータ300に接続された表示装置(図示せず)に出力(表示)される。また、必要に応じて、コンピュータ300に備えられた記憶装置(図示せず)に記録される。
【0075】
[測定手順]
図8は、測定装置による測定の流れを示すフローチャートである。
【0076】
まず、測定対象とするウェーハWが、テーブル10にセットされる(ステップS1)。測定対象とするウェーハWは、ダイシング加工後のウェーハWである。
【0077】
次に、第1撮像部100を用いて、ウェーハWの表面位置及び測定位置の検出が行われる(ステップS2)。ウェーハWの表面位置は、第1撮像部100をZ軸方向に走査し、ウェーハWの表面に焦点を合わせることで検出される。測定位置は、第1撮像部100で撮像された画像からアライメントマークAMを検出することで検出される。撮像制御部310は、必要に応じて第1撮像部100をX軸方向及びY軸方向に移動させて、アライメントマークAMの検出を行う。
【0078】
次に、第2撮像部200を用いて、測定対象領域SAの三次元形状の測定が行われる(ステップS3)。すなわち、測定位置において、第2撮像部200をZ軸方向に走査させて、複数の干渉画像を撮像する。撮像制御部310は、測定位置の検出結果に基づいて、第2撮像部200を測定位置に移動させる。また、必要に応じて、テーブル10を回転させ、ウェーハWの向き(回転角度)を修正する。すなわち、測定対象とする切溝Cが、X軸の方向に沿って配置されるように、ウェーハWの向きを修正する。更に、撮像制御部310は、表面位置の検出結果に基づいて、Z軸方向の走査範囲を設定する。具体的には、ウェーハWの表面位置から所定距離離れた位置を始点として走査範囲を設定する。測定により得られた複数の干渉画像から測定対象領域SAの三次元形状データが生成される。
【0079】
次に、第2撮像部200を用いた三次元形状の測定結果(三次元形状データ)と、第1撮像部100を用いた表面位置の検出結果とが統合され、測定対象の最終的な三次元形状が算出される(ステップS4)。上記のように、最終的な三次元形状は、第2撮像部200を用いた三次元形状の測定結果(三次元形状データ)に対し、ウェーハWの表面位置を第1撮像部100による表面位置の検出結果で特定して算出される。
【0080】
統合された測定結果が、最終的な三次元形状の測定結果として表示装置に出力される(ステップS5)。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態の測定装置1によれば、第1撮像部100から得られる情報(ウェーハWの表面位置の情報)を有効活用して、ウェーハWの溝の形状を高精度に測定できる。また、第1撮像部100から得られる情報(ウェーハWの表面位置の情報)を有効活用して、第2撮像部200の走査範囲を簡単に設定できる。更に、第1撮像部100を利用することで、簡単に測定位置を検出できる。すなわち、第1撮像部100は、第2撮像部200よりも広い視野を有することから、簡単に測定位置を検出できる。
【0082】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態の測定装置1では、第1撮像部100によりウェーハWの表面位置を検出し、その検出結果を第2撮像部200を用いた測定の結果に反映させる構成としている。本実施の形態の測定装置では、更に、切溝Cのエッジを第1撮像部100で検出し、その検出結果を第2撮像部200を用いた測定の結果に反映させる。
【0083】
切溝Cのように、急峻な凹凸を有する表面を白色干渉計で測定すると、図7に示すように、表面のエッジ(ストリートSTと切溝Cの境界)付近に干渉縞の映り込みが発生する場合がある。たとえば、図7に示す例では、表面付近において、エッジから切溝Cの内部(本来なにもない領域)に干渉縞の映り込みが発生している。白色干渉計による測定では、この干渉縞の映り込みが、本来の表面の形状(ここではエッジ)を抽出する際の不安定要因、誤検出要因となっていた。
【0084】
そこで、本実施の形態の測定装置では、第1撮像部100で撮像した画像から切溝Cのエッジを抽出し、その抽出結果を第2撮像部200を用いた測定の結果に反映させる。すなわち、第1撮像部100を用いた測定の結果を利用して、切溝Cのエッジを特定する。
【0085】
なお、装置の基本構成は、上記第1の実施の形態の測定装置1と同じである。したがって、以下においては、相違点(主として画像処理部320の構成)についてのみ説明する。
【0086】
図9は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
【0087】
図9に示すように、本実施の形態の画像処理部320は、エッジ検出部320Fの機能を更に有している。
【0088】
エッジ検出部320Fは、第1撮像部100で撮像された画像からエッジを検出する。切溝Cを測定対象とする場合、切溝CとストリートSTの境界をエッジとして検出する。画像からエッジを検出する方法については、公知の画像処理技術を採用できる。処理対象とする画像は、ウェーハWの表面に焦点を合わせて撮像した画像が採用される。エッジの検出結果は、統合処理部320Eに加えられる。本実施の形態において、エッジ検出部320Fは、第1画像処理部の他の一例である。
【0089】
統合処理部320Eは、三次元形状データ生成部320Dで生成された三次元形状データと、表面位置検出部320Bで検出された表面位置の情報と、エッジ検出部320Fで検出されたエッジの情報とに基づいて、最終的な三次元形状の測定結果を算出する。具体的には、三次元形状データ生成部320Dで生成された三次元形状データに対し、表面位置を表面位置検出部320Bで検出された位置で特定する。更に、エッジ部分をエッジ検出部320Fで検出されたエッジで特定する。これにより、表面付近で発生するノイズ、及び、エッジ付近で発生する切溝Cの内部への干渉縞の映り込みの影響を排除して、高精度に切溝Cの形状を測定できる。
【0090】
[第3の実施の形態]
本実施の形態の測定装置は、第1撮像部100及び第2撮像部200の双方で三次元形状を測定し、両者の測定結果を統合して、最終的な測定結果を算出する。
【0091】
第1撮像部100は、フォーカスバリエーション法(焦点移動法、合焦法ともいう)でウェーハWの表面の三次元形状を測定する。フォーカスバリエーション法は、焦点位置の異なる複数の画像を撮像し、各画素の合焦度合いから測定対象物の三次元形状を測定する。具体的には、得られた各画像から画素ごとに合焦度の評価値を算出し、算出した評価値が最大となる焦点位置を特定することで、各画素に対応する位置での測定対象物の高さ(Z軸方向の位置)を特定し、測定対象物の三次元形状を測定する。
【0092】
第2撮像部200は、上記第1の実施の形態の測定装置1と同様に、白色干渉法でウェーハWの表面の三次元形状を測定する。
【0093】
なお、第1撮像部100で三次元形状を測定する点を除き、装置の基本構成は、上記第1の実施の形態の測定装置1と同じである。したがって、以下においては、相違点(第1撮像部100及び画像処理部320)についてのみ説明する。
【0094】
[第1撮像部]
図10は、第1撮像部の概略構成を示す図である。
【0095】
本実施の形態の第1撮像部100は、倍率の異なる2つの対物レンズ(第1対物レンズ113A及び第2対物レンズ113B)を備える。第1対物レンズ113A及び第2対物レンズ113Bは、電動式のレボルバ115を介して第1顕微鏡部110の鏡胴に取り付けられる。レボルバ115を回転させることにより、使用する対物レンズが切り替えられる。
【0096】
低倍率の第1対物レンズ113Aは、主として、測定位置の検出に使用される。高倍率の第2対物レンズ113Bは、主として、測定に使用される。すなわち、フォーカスバリエーション法による三次元形状の測定に使用される。
【0097】
[画像処理部]
図11は、画像処理部が有する主な機能のブロック図である。
【0098】
図11に示すように、画像処理部320は、第1三次元形状データ生成部320G及び第2三次元形状データ生成部320Hの機能を有する。
【0099】
第1三次元形状データ生成部320Gは、第1撮像部100をZ軸方向に走査して撮像した画像から測定対象の三次元形状データを生成する。具体的には、フォーカスバリエーション法によって、測定対象物の三次元形状データを生成する。上記のように、フォーカスバリエーション法では、Z軸走査によって得られた各画像から画素ごとに合焦度の評価値を算出する。そして、算出した評価値が最大となる焦点位置を特定することで、各画素に対応する位置での測定対象の高さ(Z軸方向の位置)を特定し、三次元形状データを生成する。上記のように、測定は、高倍率の第2対物レンズ113Bを用いて行われる。本実施の形態において、第1三次元形状データ生成部320Gは、第1画像処理部の他の一例である。
【0100】
第2三次元形状データ生成部320Hは、第2撮像部200をZ軸方向に走査して撮像した画像から対象の三次元形状データを生成する。第2三次元形状データ生成部320Hの機能は、上記第1の実施の形態の三次元形状データ生成部320Dと同じである。すなわち、Z軸走査により得られた画像(干渉画像)から測定対象の三次元形状データを生成する。本実施の形態において、第2三次元形状データ生成部320Hは、第2画像処理部の他の一例である。
【0101】
統合処理部320Eは、第1三次元形状データ生成部320G及び第2三次元形状データ生成部320HDで生成された三次元形状データを統合して、測定対象の最終的な三次元形状を算出する。
【0102】
上記ように、白色干渉計では、ウェーハWの表面付近でノイズが発生する場合がある。また、表面のエッジ付近に干渉縞の映り込みが発生する場合がある。
【0103】
そこで、本実施の形態では、エッジを含む表面の形状(ストリートSTの部分の形状)については、第1三次元形状データ生成部320Gで生成された三次元形状データを使用し、切溝Cの内部の形状については、第2三次元形状データ生成部320Hで生成された三次元形状データを使用して、最終的な三次元形状データを算出する。これにより、切溝Cの形状を高精度に測定できる。
【0104】
[測定手順]
図12は、測定装置による測定の流れを示すフローチャートである。
【0105】
まず、測定対象とするウェーハWが、テーブル10にセットされる(ステップS11)。
【0106】
次に、第1撮像部100を用いて、ウェーハWの表面位置及び測定位置の検出が行われる(ステップS12)。この際、低倍率の第1対物レンズ113Aが使用される。すなわち、より視野の広い対物レンズが使用される。これにより、測定位置の検出を容易にできる。
【0107】
次に、第1撮像部100を用いて、測定対象領域SAの三次元形状の測定が行われる(ステップS13)。すなわち、測定位置において、第1撮像部100をZ軸方向に走査させて、複数の画像を撮像する。撮像制御部310は、測定位置の検出結果に基づいて、第1撮像部100を測定位置に移動させる。また、必要に応じて、テーブル10を回転させ、ウェーハWの角度を修正する。更に、撮像制御部310は、表面位置の検出結果に基づいて、Z軸方向の走査範囲を設定する。具体的には、ウェーハWの表面位置から所定距離離れた位置を始点として走査範囲を設定する。測定により得られた複数の画像(焦点位置の異なる複数の画像)から測定対象領域SAの三次元形状データが生成される。
【0108】
次に、第2撮像部200を用いて、測定対象領域SAの三次元形状の測定が行われる(ステップS14)。すなわち、測定位置において、第2撮像部200をZ軸方向に走査させて、複数の干渉画像を撮像する。撮像制御部310は、測定位置の検出結果に基づいて、第2撮像部200を測定位置に移動させる。また、撮像制御部310は、表面位置の検出結果に基づいて、Z軸方向の走査範囲を設定する。測定により得られた複数の干渉画像から測定対象領域SAの三次元形状データが生成される。
【0109】
次に、第1撮像部100を用いた測定の結果(フォーカスバリエーション法による三次元形状データ)と、第2撮像部200を用いた測定の結果(白色干渉法による三次元形状データ)とが統合され、最終的な三次元形状データが算出される(ステップS15)。上記ように、本実施の形態では、表面の形状については、第1撮像部100を用いた測定の結果が採用され、切溝Cの内部の形状については、第2撮像部200を用いた測定の結果が採用される。
【0110】
統合された測定結果が、最終的な三次元形状の測定結果として表示装置に出力される(ステップS16)。
【0111】
以上説明したように、本実施の形態の測定装置では、第1撮像部100及び第2撮像部200の双方を用いて、測定対象の三次元形状を測定し、双方の測定結果を統合して、最終的な三次元形状を算出する。これにより、一方が不得手とする測定を他方で補完でき、高精度な測定を実現できる。
【0112】
[測定結果の統合の変形例]
上記実施の形態では、表面の形状については、第1撮像部100を用いた測定の結果を採用し、切溝Cの内部の形状については、第2撮像部200を用いた測定の結果を採用して、最終的な三次元形状データを算出する構成としている。測定結果を統合する方法については、これに限定されるものではない。以下、測定結果の統合方法の変形例について説明する。
【0113】
測定対象とする領域が、何もない平滑な面(テクスチャのない平滑な面)の場合、フォーカスバリエーション法では、表面の位置を検出できない。すなわち、フォーカスバリエーション法は、画像のコントラストを利用して、焦点位置を特定するアルゴリズムであるため、コントラストのない平滑な面(平滑面)では、その位置を特定することができない。
【0114】
一方、白色干渉法では、表面が平滑面で構成される場合であっても、その位置を高精度に検出できる。
【0115】
そこで、表面が平滑面で構成される場合は、表面を白色干渉法で測定し、他の領域をフォーカスバリエーション法で測定する。すなわち、表面については、第2撮像部200を用いた測定の結果を採用し、他の領域については、第1撮像部100を用いた測定の結果を採用する。これにより、平滑面を含む表面の凹凸形状を高精度に測定できる。
【0116】
なお、本例では、平滑面以外の領域について、第1撮像部100を用いた測定の結果を採用しているが、更に詳細に測定結果を使い分ける構成とすることもできる。たとえば、切溝Cの内部については、第2撮像部200を用いた測定の結果を採用してもよい。この場合、平滑面以外の表面(テクスチャを有する表面)について、第1撮像部100を用いた測定の結果が採用される。
【0117】
また、表面の高さ位置(Z軸方向の位置)については、測定位置の検出の際に検出されるウェーハWの表面位置の情報を利用して求めてもよい。
【0118】
同様に、エッジについても、第1撮像部100で撮像された画像からエッジを抽出し、抽出したエッジの情報を利用しても求めてもよい。
【0119】
[測定装置のその他の実施の形態]
[測定対象]
上記実施の形態では、ウェーハW、特にダイシング加工後のウェーハWを測定する場合を例に説明したが、測定対象とするワークは、これに限定されるものではない。
【0120】
また、上記実施の形態では、ウェーハWの表面の形状、特に、切溝Cの形状を測定する場合を例に説明したが、測定する項目は、これに限定されるものではない。表面の粗さを測定する場合にも、本発明は適用できる。
【0121】
[第1撮像部]
上記第3の実施の形態の測定装置で説明したように、第1撮像部100については、撮像する倍率を切り替えられることが好ましい。上記第3の実施の形態では、レボルバ115により、使用する対物レンズを切り替える構成としているが、撮像する倍率を切り替える手段は、これに限定されるものではない。たとえば、第1カメラ部120に入射する光の光路を切り替えて、使用する対物レンズを切り替える構成とすることもできる。また、倍率の異なる対物レンズを備えた第1撮像部を複数備え、使用する第1撮像部を切り替える構成としてもよい。また、切り替え可能な倍率は、必ずしも2つである必要はなく、3つ以上の倍率を切り替えられる構成としてもよい。
【0122】
[第2撮像部]
上記実施の形態では、第2撮像部200が、光干渉方式、特に白色干渉法でウェーハWの表面を撮像する場合を例に説明したが、第2撮像部200の構成は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、第2撮像部200をレーザ顕微鏡で構成することもできる。レーザ顕微鏡は、照明光源としてレーザ、光学系に共焦点方式を使用した光学系顕微鏡である。レーザ顕微鏡は、白色干渉計と同様に、測定対象物の表面の凹凸(形状及び/又は粗さ)を測定できる。
【0123】
その他、白色干渉法と同様に、光の干渉の原理を使用して、表面の形状及び/又は粗さを測定する方式を採用できる。
【0124】
[駆動部]
上記実施の形態では、テーブル10に対し、第1撮像部100及び第2撮像部200が、各々独立してX軸、Y軸及びZ軸の各方向に移動する構成としているが、第1撮像部100及び第2撮像部200は、テーブル10に対し、相対的にX軸、Y軸及びZ軸の方向に移動できる構成であればよい。たとえば、テーブル10がX軸方向に移動し、第1撮像部100及び第2撮像部200が、各々独立してY軸及びZ軸の各方向に移動する構成としてもよい。また、たとえば、テーブル10がX軸及びY軸の各方向に移動し、第1撮像部100及び第2撮像部200が、各々独立してZ軸の方向に移動する構成としてもよい。更に、第1撮像部100及び第2撮像部200を固定とし、テーブル10がX軸、Y軸及びZ軸の各方向に移動する構成としてもよい。また、上記実施の形態では、テーブル10がθ軸周りに回転する構成としているが、テーブル10が回転しない構成であってもよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、第1撮像部100及び第2撮像部200が、各々独立してX軸、Y軸及びZ軸の各方向に移動できる構成としているが、第1撮像部100及び第2撮像部200を一体的に移動させる構成としてもよい。
【0126】
なお、上記実施の形態のように、テーブル10に対し、第1撮像部100及び第2撮像部200が、各々独立してX軸、Y軸及びZ軸の各方向に移動できる構成とすることにより、第1撮像部100による撮像と第2撮像部200による撮像を分けて行うことができ、対象を効率良く測定できる。たとえば、一つのワークに測定すべき個所が複数存在する場合、第1撮像部100による測定位置の検出と、第2撮像部200による測定を分けて行うことができ、効率よく測定を行うことができる。すなわち、第2撮像部200による測定中に次に測定する位置の検出を第1撮像部100で行うことができるので、効率よく測定を行うことができる。
【0127】
第1撮像部100及び第2撮像部200は、少なくともZ軸方向については、独立して移動できる構成とすることが好ましい。この場合、第1撮像部100と第2撮像部200の駆動の精度を異なるものとしてもよい。たとえば、第2撮像部200を第1撮像部100よりも相対的に高い精度で駆動できるように構成する。第1撮像部100は、主として測定位置の検出に用いられるため、素早く合焦できるように、相対的に精度の低い駆動部で構成する。一方、第2撮像部200は、測定に用いられるため、相対的に精度の高い駆動ができる駆動部で構成する。これにより、測定の高精度化を実現しつつ、測定時間の短縮化を図れる。なお、精度の高い駆動部とは、たとえば、位置決め精度の高い駆動部、移動の平行度の高い駆動部等を意味する。
【0128】
[加工装置]
ここでは、本発明をダイシング装置、特にブレードダイサに適用した場合を例に説明する。ブレードダイサは、高速回転するスピンドルの先端に取り付けられたブレードによってワーク(本実施の形態では、半導体のウェーハW)に切溝Cを加工する装置である。ダイシング装置は、加工装置の一例である。本発明に係る測定装置をダイシング装置に組み込むことにより、たとえば、加工された切溝Cの形状を装置内で測定できる。
【0129】
なお、通常、ダイシング装置には、加工対象のウェーハを供給する供給部、ウェーハを加工する加工部、加工後のウェーハを洗浄する洗浄部、洗浄後のウェーハを回収する回収部等が備えられる。ウェーハWの測定は、加工部で行われるので、以下においては、加工部についてのみ説明する。
【0130】
[加工部]
図13は、ダイシング装置の加工部の概略構成を示す図である。
【0131】
図13に示すダイシング装置500は、2本のスピンドルを備えたダイシング装置であり、2個所を同時に加工できるダイシング装置である。
【0132】
図13に示すように、ダイシング装置500の加工部510は、ベース512上にサドル514及び門型コラム516を有する。
【0133】
サドル514上には、X軸ガイドレール520X上を移動するX軸キャリッジ518Xが備えられる。X軸キャリッジ518Xは、X軸駆動部522Xに駆動されて、X軸ガイドレール520X上をX軸方向に沿って移動する。X軸駆動部522Xは、たとえば、リニアモータで構成される。また、X軸キャリッジ518Xは、図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(X軸方向の位置)が検出される。位置センサは、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0134】
X軸キャリッジ518Xには、ワークテーブル524、及び、そのワークテーブル524を回転させるテーブル駆動部526が備えられる。ワークテーブル524は、円板状の形状を有し、上面部にウェーハWが載置される載置面を有する。載置面は、X軸及びY軸を含む平面(水平面)で構成される。ウェーハWは、たとえば、真空吸着によって載置面上に吸着保持される。テーブル駆動部526は、モータを含み、モータによってワークテーブル524をθ軸周りに回転させる。θ軸は、ワークテーブル524の中心を通り、Z軸と平行な軸である。
【0135】
門型コラム516には、Y軸ガイドレール520Y上を移動する第1Y軸キャリッジ518YA及び第2Y軸キャリッジ518YBが備えられる。第1Y軸キャリッジ518YA及び第2Y軸キャリッジ518YBは、それぞれ第1Y軸駆動部522YA及び第2Y軸駆動部522YBに駆動されて、共通のY軸ガイドレール520Y上をY軸方向に沿って個別に移動する。第1Y軸駆動部522YA及び第2Y軸駆動部522YBは、たとえば、リニアモータで構成される。また、第1Y軸キャリッジ518YA及び第2Y軸キャリッジ518YBは、それぞれ図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(Y軸方向の位置)が個別に検出される。位置センサは、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0136】
第1Y軸キャリッジ518YAには、第1Z軸ガイドレール520ZA上を移動する第1Z軸キャリッジ518ZAが備えられる。また、第2Y軸キャリッジ518YBには、第2Z軸ガイドレール520ZB上を移動する第2Z軸キャリッジ518ZBが備えられる。第1Z軸キャリッジ518ZA及び第2Z軸キャリッジ518ZBは、それぞれ第1Z軸駆動部522ZA及び第2Z軸駆動部522ZBに駆動されて、第1Z軸ガイドレール520ZA及び第2Z軸ガイドレール520ZB上をZ軸方向に沿って移動する。第1Z軸駆動部522ZA及び第2Z軸駆動部522ZBは、たとえば、リニアモータで構成される。また、第1Z軸キャリッジ518ZA及び第2Z軸キャリッジ518ZBは、それぞれ図示しない位置センサによって、その移動軸上での位置(Z軸方向の位置)が検出される。位置センサは、たとえば、リニアスケールで構成される。
【0137】
第1Z軸キャリッジ518ZAには、ワークテーブル524上のウェーハWを加工する第1加工ユニット530Aが備えられる。また、第2Z軸キャリッジ518ZBには、ワークテーブル524上のウェーハWを加工する第2加工ユニット530Bが備えられる。第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530Bは、それぞれ先端にブレード532A、532Bを備えたスピンドル534A、534Bと、スピンドル534A、534Bを回転させるスピンドル駆動部536A、536Bと、切削液を供給する切削液供給部(図示せず)と、を有する。ブレード532A、532Bは、スピンドル534A、534Bの先端に着脱可能に装着される。スピンドル534A、534Bは、Y軸の方向に沿って配置される。スピンドル駆動部536A、536Bは、モータを含み、モータによってスピンドル534A、534Bを回転させる。切削液供給部は、ノズルを含み、ノズルからブレード532A、532BとウェーハWとの接触部に切削液を供給する。
【0138】
第1Z軸キャリッジ518ZAには、第1撮像部100が備えられる。第1撮像部100の構成は、上記測定装置1の第1撮像部100と同じである。第1撮像部100は、ワークテーブル524上のウェーハWを拡大して撮像する。第1撮像部100は、測定に使用される他、加工の際、ウェーハWのアライメントに使用される。
【0139】
第2Z軸キャリッジ518ZBには、第2撮像部200が備えられる。第2撮像部200の構成は、上記測定装置1の第2撮像部200と同じである。すなわち、白色干渉計で構成される。したがって、第2撮像部200をZ軸方向に移動させて、ワークテーブル524上のウェーハWを撮像することにより、ウェーハWの表面の形状を測定できる。
【0140】
以上の構成のダイシング装置500は、X軸駆動部522Xを駆動して、X軸キャリッジ518XをX軸方向に沿って移動させることにより、ワークテーブル524がX軸方向に沿って送られる。これにより、ワークテーブル524が切削送りされる。また、第1Y軸駆動部522YA及び第2Y軸駆動部522YBを駆動して、第1Y軸キャリッジ518YA及び第2Y軸キャリッジ518YBをY軸方向に沿って移動させることにより、第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530BがY軸方向に沿って送られる。これにより、第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530Bが、インデックス送りされる。更に、第1Z軸駆動部522ZA及び第2Z軸駆動部522ZBを駆動して、第1Z軸キャリッジ518ZA及び第2Z軸キャリッジ518ZBをZ軸方向に沿って移動させることにより、第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530Bが、Z軸方向に沿って送られる。これにより、第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530Bが切り込み送りされる。また、テーブル駆動部526を駆動して、ワークテーブル524を回転させることにより、ウェーハWの向き(回転位置)が切り替えられる。ワークテーブル524の切削送り及び回転、並びに、第1加工ユニット530A及び第2加工ユニット530Bのインデクス送り及び切り込み送りを組み合わせることにより、ワークテーブル524上のウェーハWに切溝Cが加工される。
【0141】
また、以上の構成のダイシング装置500は、X軸駆動部522Xを駆動して、ワークテーブル524をX軸方向に沿って移動させると、第1撮像部100及び第2撮像部200で撮像されるX軸方向の位置が切り替えられる。また、第1Y軸駆動部522YA及び第2Y軸駆動部522YBを駆動して、第1Y軸キャリッジ518YA及び第2Y軸キャリッジ518YBをY軸方向に沿って移動させると、第1撮像部100及び第2撮像部200で撮像されるY軸方向の位置が切り替えられる。また、テーブル駆動部526を駆動して、ワークテーブル524を回転させることにより、ウェーハWの向き(回転位置)が切り替えられる。更に、第1Z軸駆動部522ZA及び第2Z軸駆動部522ZBを駆動して、第1Z軸キャリッジ518ZA及び第2Z軸キャリッジ518ZBをZ軸方向に沿って移動させると、第1撮像部100及び第2撮像部200がZ軸方向に沿って走査される。
【0142】
図14は、ダイシング装置の加工部の制御系のブロック図である。
【0143】
ダイシング装置500は、加工部510による加工を制御する加工制御部330と、第1撮像部100及び第2撮像部200による撮像を制御する撮像制御部310と、を備える。
【0144】
加工制御部330は、テーブル駆動部526、X軸駆動部522X、第1Y軸駆動部522YA、第1Z軸駆動部522ZA及び第1加工ユニット530Aを制御して、第1加工ユニット530AによるウェーハWの加工を制御する。また、加工制御部330は、テーブル駆動部526、X軸駆動部522X、第2Y軸駆動部522YB、第2Z軸駆動部522ZB及び第2加工ユニット530Bを制御して、第2加工ユニット530BによるウェーハWの加工を制御する。加工制御部330は、たとえば、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータで構成される。すなわち、コンピュータが所定のプログラムを実行することで、加工制御部330として機能する。
【0145】
撮像制御部310は、テーブル駆動部526、X軸駆動部522X、第1Y軸駆動部522YA、第1Z軸駆動部522ZA及び第1撮像部100を制御して、第1撮像部100によるウェーハWの撮像を制御する。また、撮像制御部310は、テーブル駆動部526、X軸駆動部522X、第2Y軸駆動部522YB、第2Z軸駆動部522ZB及び第2加工ユニット530Bを制御して、第2撮像部200によるウェーハWの撮像を制御する。
【0146】
画像処理部320は、第1撮像部100及び第2撮像部200で撮像された画像を処理して、ウェーハWの表面の形状を測定する。具体的には、加工された切溝Cの形状を測定する。
【0147】
[動作]
図15は、ダイシング装置によるウェーハの加工及び測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0148】
まず、加工対象とするウェーハWが、ワークテーブル524にセットされる(ステップS21)。
【0149】
次に、ウェーハWのアライメントが行われる(ステップS22)。アライメントは、ストリートの位置を割り出す動作である。ストリートSTの位置は、たとえば、アライメントマークAM(図6参照)を基準にして割り出される。アライメントマークAMは、第1撮像部100を用いて検出される。すなわち、第1撮像部100でウェーハWの表面を撮像し、撮像により得られた画像からアライメントマークAMが検出される。検出の過程でウェーハWの表面の高さ位置(Z軸方向の位置)が検出される。すなわち、表面に焦点が合う位置が検出され、その検出結果に基づいて、表面の高さ位置が検出される。
【0150】
次に、加工が行われる(ステップS23)。すなわち、回転するブレード532A、532Bにより、ストリートSTに沿って切溝Cが加工される。
【0151】
加工後、切溝Cの形状が測定される(ステップS24)。測定は、第2撮像部200を用いて行われる。すなわち、第2撮像部200を用いて、切溝Cの三次元形状が測定される。具体的には、切溝Cの位置で第2撮像部200をZ軸方向に走査させて、複数の干渉画像を撮像し、得られ画像を処理して、切溝Cの三次元形状を測定する。
【0152】
ここで、測定位置は、アライメントの結果から既知である。よって、第2撮像部200は、アライメントの結果を利用して、測定位置への移動が行われる。また、ウェーハWの表面の高さ位置もアライメントの結果から既知である。よって、アライメントの結果を利用して、走査範囲が設定される。
【0153】
次に、第2撮像部200による切溝Cの測定が終了すると、測定結果の統合処理が行われる(ステップS25)。ここでは、第2撮像部200による切溝Cの測定結果(切溝Cの三次元形状データ)に対し、アライメントにより得られた表面の高さ位置の情報を用いて、表面の位置(Z軸方向の位置)を特定する処理が行われる。
【0154】
統合された測定結果が、最終的な三次元形状の測定結果としてダイシング装置500に備えられた表示装置に出力される(ステップS26)。
【0155】
以上説明したように、本実施の形態のダイシング装置500によれば、加工後の切溝Cの形状を測定できる。また、その測定の際、アライメントの際に得られる情報(測定位置及び表面の高さ位置の情報)を利用することで、切溝Cの形状を高精度に測定でき、かつ、効率よく測定できる。
【0156】
[変形例]
上記実施の形態では、本発明をブレードダイサに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。その他の加工装置にも適用できる。また、ダイシング装置については、レーザで切溝Cを加工する装置にも適用できる。
【0157】
また、上記実施の形態では、撮像部と加工ユニットとで駆動部を兼用する構成としているが、各々個別に駆動する構成としてもよい。また、加工部とは別に測定部を設け、測定部において、加工後のウェーハWを測定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1…測定装置、10…テーブル、12…載置面、20…テーブル駆動部、100…第1撮像部、110…第1顕微鏡部、111…照明部、111A…照明光源、111B…照明用レンズ、112…ビームスプリッタ、113…対物レンズ、113A…第1対物レンズ、113B…第2対物レンズ、114…結像レンズ、115…レボルバ、120…第1カメラ部、121…撮像素子、130…第1駆動部、130X…第1X軸駆動部、130Y…第1Y軸駆動部、130Z…第1Z軸駆動部、200…第2撮像部、210…第2顕微鏡部、211…照明部、211A…白色光源、211B…照明用レンズ、212…第1ビームスプリッタ、213…対物レンズ、214…ガラスプレート、214A…参照ミラー、215…第2ビームスプリッタ、216…結像レンズ、220…第2カメラ部、221…撮像素子、230…第2駆動部、230X…第2X軸駆動部、230Y…第2Y軸駆動部、230Z…第2Z軸駆動部、300…コンピュータ、310…撮像制御部、320…画像処理部、320A…合焦位置検出部、320B…表面位置検出部、320C…測定位置検出部、320D…三次元形状データ生成部、320E…統合処理部、320F…エッジ検出部、320G…第1三次元形状データ生成部、320H…第2三次元形状データ生成部、330…加工制御部、500…ダイシング装置、510…加工部、512…ベース、514…サドル、516…門型コラム、518X…X軸キャリッジ、518YA…第1Y軸キャリッジ、518YB…第2Y軸キャリッジ、518ZA…第1Z軸キャリッジ、518ZB…第2Z軸キャリッジ、520X…X軸ガイドレール、520Y…Y軸ガイドレール、520ZA…第1Z軸ガイドレール、520ZB…第2Z軸ガイドレール、522X…X軸駆動部、522YA…第1Y軸駆動部、522YB…第2Y軸駆動部、522ZA…第1Z軸駆動部、522ZB…第2Z軸駆動部、524…ワークテーブル、526…テーブル駆動部、530A…第1加工ユニット、530B…第2加工ユニット、532A…ブレード、532B…ブレード、534A…スピンドル、534B…スピンドル、536A…スピンドル駆動部、536B…スピンドル駆動部、AM…アライメントマーク、C…切溝、F…ダイシングフレーム、IM1…画像、S1…ステップ、S11…ステップ、S12…ステップ、S13…ステップ、S14…ステップ、S15…ステップ、S16…ステップ、S2…ステップ、S21…ステップ、S22…ステップ、S23…ステップ、S24…ステップ、S25…ステップ、S26…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ、S5…ステップ、SA…測定対象領域、ST…ストリート、W…ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15