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特開2024-32406接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032406
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/11 20060101AFI20240305BHJP
   H01R 13/187 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01R11/11 G
H01R13/187 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136044
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島貫 斉史
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智明
(57)【要約】
【課題】電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保できるメス型端子100、コネクタ、端子付き電線4及びワイヤーハーネス1を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の板厚を有する導電性の板材で成形されたメス型端子100であって、電線3の導体3aを固定する電線固定部13と、電線固定部13に対して前後方向Xに沿って並置されるとともに、上方から下方へ向けてオス型端子200が接続される端子接続部11とが備えられ、電線固定部13が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが固定される主面を有する形状に形成され、端子接続部11が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部13の主面に交差する向きの主面を有する形状に形成されたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の板厚を有する導電性の板材で成形された接続端子であって、
電線の導体を固定する電線固定部と、
該電線固定部に対して所定の直列方向に沿って並置されるとともに、前記直列方向に直交する接続方向へ向けて別の接続端子が接続される端子接続部とが備えられ、
前記電線固定部が、
前記直列方向または前記接続方向に長手方向を略一致させた前記電線の導体が固定される主面を有する形状に形成され、
前記端子接続部が、
前記電線の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、前記電線固定部の主面に交差する向きの主面を有する形状に形成された
接続端子。
【請求項2】
前記端子接続部から前記直列方向に向けて延設されるとともに、前記端子接続部の主面に平行な主面を有する板状の延設部が設けられ、
前記電線固定部が、
前記延設部における前記接続方向の一端から前記延設部の板厚方向に向けて延設された
請求項1に記載の接続端子。
【請求項3】
前記端子接続部から前記直列方向に向けて延設されるとともに、前記端子接続部の主面に平行な主面を有する板状の延設部が設けられ、
前記電線固定部が、
前記延設部における前記接続方向とは逆側の一端から前記延設部の板厚方向に向けて延設された
請求項1に記載の接続端子。
【請求項4】
前記端子接続部が、
底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、前記壁部の主面に平行で前記断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型であり、
前記電線固定部が、
前記接続方向を板厚方向として、前記底部から前記直列方向に向けて延設した構成であり、
前記端子接続部の前記壁部と前記電線固定部の前記主面とを連結する補強部が備えられた
請求項1に記載の接続端子。
【請求項5】
前記端子接続部が、
底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、前記壁部の主面に平行で前記断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型であり、
前記端子接続部の前記壁部を反力として前記オス型端子の一部を弾性支持するとともに、前記オス型端子と前記端子接続部とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材が備えられた
請求項1に記載の接続端子。
【請求項6】
前記バネ部材における前記オス型端子との接点が、
前記壁部の板厚方向から見て前記接続方向とは逆側へ向けて突出した略円弧状の仮想線上に設けられた
請求項5に記載の接続端子。
【請求項7】
前記バネ部材が、
前記直列方向に沿って複数配置され、前記接続方向に沿って延びるとともに、前記オス型端子に接触するアーム状のアームバネを有し、
該アームバネの基部が、
前記壁部の板厚方向から見て前記接点を結ぶ仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上に設けられた
請求項6に記載の接続端子。
【請求項8】
請求項1に記載の接続端子と、
該接続端子を収容するコネクタハウジングとが設けられ、
該コネクタハウジングに、
前記接続端子に固定した電線を保持可能な保持部と、
ベンドアップまたはベンドダウンした前記接続端子を収容可能な収容空間とが設けられた
コネクタ。
【請求項9】
請求項2に記載の接続端子である第1接続端子と、
請求項3に記載の接続端子である第2接続端子と、
壁部の板厚方向に並置されるとともに、前記接続方向に電線固定部を対向させた前記第1接続端子及び前記第2接続端子を少なくとも一組収容可能なコネクタハウジングとが設けられた
コネクタ。
【請求項10】
前記コネクタハウジングは、
前記第1接続端子の端子接続部、及び前記第2接続端子の端子接続部を前記直列方向に略平行な状態で収容保持する構成である
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
請求項1に記載の接続端子と、
該接続端子の電線固定部に導体を接続した電線とが設けられた
端子付き電線。
【請求項12】
請求項11に記載の端子付き電線と、
ベンドアップまたはベンドダウンした前記端子付き電線の接続端子を収容したコネクタハウジングとが備えられた
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば大電流用の電線の先端に装着されるような接続端子及びコネクタ、並びに電線の先端に接続端子を装着した端子付き電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載されている電装機器は、電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、電源または別の電装機器に電気的に接続されている。このため、電線の先端には、電源または電気機器に接続するための接続端子が設けられている。
【0003】
ところで、このようなワイヤーハーネスでは、電線の導体を接続端子に固定する際、接続端子及び導体に加わった荷重によって、接続端子または/および電線が変形することが知られている。
【0004】
例えば特許文献1では、オス型端子が接続される端子接続部と、電線の導体が固定される電線固定部とを有するメス型端子において、導体を固定する際の荷重によって、端子接続部が電線固定部に対してベンドアップ方向やツイスト方向に変形するとされている。
【0005】
このように導体の固定に伴う変形が接続端子または/および電線に生じると、コネクタハウジングの内部において、所定の接続方向に向けて接続されるオス型端子に対して、メス型端子の端子接続部が傾いた状態となるため、オス型端子を接続方向に沿って挿し込み難いだけでなく、接触不良の要因になり易い。
【0006】
この場合、接続端子または/および電線の変形箇所を、例えばコネクタハウジングへの接続端子の収容に伴って矯正することが考えられる。
しかしながら、例えば大電流用の電線及び接続端子のように、電線及び接続端子の剛性が高い場合、変形箇所の矯正に必要な荷重も高くなるため、変形箇所を十分に矯正できない、あるいは電線や接続端子からの反力によってコネクタハウジングに意図しない不具合が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、特許文献1では、コネクタハウジングの内部に収容する前に、導体の固定に伴って変形した接続端子の形状を矯正している。
ところが、特許文献1のように、変形したメス型端子の形状を矯正する場合、メス型端子の変形箇所が伸長することで、変形箇所の抵抗値の増加や耐久信頼性の低下が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-258085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保できる接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された接続端子であって、電線の導体を固定する電線固定部と、該電線固定部に対して所定の直列方向に沿って並置されるとともに、前記直列方向に直交する接続方向へ向けて別の接続端子が接続される端子接続部とが備えられ、前記電線固定部が、前記直列方向または前記接続方向に長手方向を略一致させた前記電線の導体が固定される主面を有する形状に形成され、前記端子接続部が、前記電線の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、前記電線固定部の主面に交差する向きの主面を有する形状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
またこの発明は、上述の接続端子と、該接続端子を収容するコネクタハウジングとが設けられ、該コネクタハウジングに、前記接続端子に固定した電線を保持可能な保持部と、ベンドアップまたはベンドダウンした前記接続端子を収容可能な収容空間とが設けられたコネクタであることを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、上述の接続端子と、該接続端子の電線固定部に導体を接続した電線とが設けられた端子付き電線であることを特徴とする。
またこの発明は、上述の端子付き電線と、ベンドアップまたはベンドダウンした前記端子付き電線の接続端子を収容したコネクタハウジングとが備えられたワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0013】
上記接続端子は、オス型の接続端子が接続されるメス型端子、あるいはメス型の接続端子が接続されるオス型端子のことをいう。
上記導体を固定するとは、加締めなどの圧着、あるいは超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定されることをいう。
上記端子接続部の主面は、接続方向に略平行で、別の接続端子に対面する面などのことをいう。
【0014】
この発明によれば、電線の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部の主面に交差する向きの主面を有する端子接続部により、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0015】
具体的には、電線固定部の板厚方向を上下方向とするベンドアップまたはベンドダウンが導体の固定に伴って生じた場合、電線固定部及び端子接続部が一体でベンドアップ方向またはベンドダウン方向へ回動する。
【0016】
この際、端子接続部の主面が電線の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部の主面に交差する向き、例えば電線固定部の主面に略直交する向きのため、接続端子は、導体の固定に伴う回動方向に対して、電線固定部の主面が交差し、端子接続部の主面が略平行となる。
【0017】
このため、ベンドアップまたはベンドダウン後の端子接続部の主面は、ベンドアップまたはベンドダウン前の端子接続部の主面の向きと略同じ向きとなる。
これにより、電線固定部の板厚方向を上下方向とするベンドアップまたはベンドダウンが生じた場合であっても、接続端子は、接続方向に向けて接続される別の接続端子に対する端子接続部の位置ズレを抑えて略平行にすることができる。
【0018】
したがって、接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスは、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保することができる。
加えて、コネクタハウジングが、ベンドアップまたはベンドダウンした接続端子を収容保持できるため、コネクタ及びワイヤーハーネスを容易に構成することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記端子接続部から前記直列方向に向けて延設されるとともに、前記端子接続部の主面に平行な主面を有する板状の延設部が設けられ、前記電線固定部が、前記延設部における前記接続方向の一端から前記延設部の板厚方向に向けて延設されてもよい。
【0020】
またこの発明の態様として、前記端子接続部から前記直列方向に向けて延設されるとともに、前記端子接続部の主面に平行な主面を有する板状の延設部が設けられ、前記電線固定部が、前記延設部における前記接続方向とは逆側の一端から前記延設部の板厚方向に向けて延設されてもよい。
【0021】
この構成によれば、端子接続部から延設した延設部の板厚方向に向けて電線固定部が形成されているため、主面の向きが異なる電線固定部と端子接続部とを、導電性の板材を捩じることなく容易に形成することができる。
【0022】
さらに、端子接続部と電線固定部とが板状の延設部を介して連結されるため、板状の延設部は、端子接続部と電線固定部との間における曲げ剛性及び捩れ剛性を向上することができる。
【0023】
このため、接続端子は、導体の固定に伴って、延設部が意図せず変形することを防止できる。
よって、接続端子は、接続方向に向けて接続される別の接続端子に対して端子接続部を確実に略平行にできるため、別の接続端子との接続をさらに容易にすることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記端子接続部が、底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、前記壁部の主面に平行で前記断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型であり、前記電線固定部が、前記接続方向を板厚方向として、前記底部から前記直列方向に向けて延設した構成であり、前記端子接続部の前記壁部と前記電線固定部の前記主面とを連結する補強部が備えられてもよい。
【0025】
上記断面略U字状とは、湾曲した断面形状の底部を有する断面略U字状、あるいは底部と壁部との境界に角部を有する断面略U字状などのことをいう。
この構成によれば、断面略U字状の端子接続部における底部から延設された電線固定部が、接続方向を板厚方向とする形状に形成されているため、主面の向きが異なる電線固定部と端子接続部とを、導電性の板材を捩じることなく容易に形成することができる。
【0026】
さらに、端子接続部の壁部と電線固定部の主面とが補強部を介して連結されるため、補強部は、端子接続部と電線固定部との間における曲げ剛性及び捩れ剛性を向上することができる。
【0027】
このため、接続端子は、導体の固定に伴って、延設部が意図せず変形することを防止できる。
よって、接続端子は、接続方向に向けて接続される別の接続端子に対して略平行な状態を確実に維持できるため、別の接続端子との接続をさらに容易にすることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記端子接続部が、底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、前記壁部の主面に平行で前記断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型であり、前記端子接続部の前記壁部を反力として前記オス型端子の一部を弾性支持するとともに、前記オス型端子と前記端子接続部とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材が備えられてもよい。
【0029】
この構成によれば、端子接続部の壁部を反力としてバネ部材がオス型端子の一部を弾性支持するため、端子接続部がオス型端子の一部に直接的に接触する場合に比べて、オス型端子との密着性を向上することができる。
よって、接続端子は、導体の固定に伴うベンドアップまたはベンドダウンが生じても、端子接続部とオス型端子との導通性をより確実に確保することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記バネ部材における前記オス型端子との接点が、前記壁部の板厚方向から見て前記接続方向とは逆側へ向けて突出した略円弧状の仮想線上に設けられてもよい。
【0031】
この構成によれば、バネ部材におけるオス型端子との接点が略円弧状の仮想線上に設けられているため、接続端子がベンドアップまたはベンドダウンした状態において、バネ部材の接点とオス型端子との接触箇所を、直列方向に略平行な仮想線上に接点が位置する場合に比べて確保し易くなる。
【0032】
これにより、接続端子は、導体の固定に伴うベンドアップまたはベンドダウンが生じた状態であっても、オス型端子との導通性を確実に確保することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記バネ部材が、前記直列方向に沿って複数配置され、前記接続方向に沿って延びるとともに、前記オス型端子に接触するアーム状のアームバネを有し、該アームバネの基部が、前記壁部の板厚方向から見て前記接点を結ぶ仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上に設けられてもよい。
【0034】
この構成によれば、アームバネの基部が接点を結ぶ仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上に設けられているため、基部から接点に至る接続方向の長さをアームバネごとに同じにすることができる。
【0035】
これにより、オス型端子への付勢力や節度感をアームバネごとに均一できるため、接続端子は、オス型端子の接続状態の管理を容易にすることができる。
よって、接続端子は、オス型端子の接続不良を防止して、オス型端子との導通性を確実に確保することができる。
【0036】
またこの発明は、前記延設部における前記接続方向の一端から前記延設部の板厚方向に延設された前記電線固定部を有する上述の接続端子である第1接続端子と、前記延設部における前記接続方向とは逆側の一端から前記延設部の板厚方向に延設された前記電線固定部を有する上述の接続端子である第2接続端子と、壁部の板厚方向に並置されるとともに、前記接続方向に電線固定部を対向させた前記第1接続端子及び前記第2接続端子を少なくとも一組収容可能なコネクタハウジングとが設けられたコネクタであることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、延設部の板厚方向において、第1接続端子の電線固定部と第2接続端子の電線固定部とが略同位置に位置するため、例えば一組の第1接続端子を延設部の板厚方向に並置した場合に比べて、延設部の板厚方向における長さを短くすることができる。
これにより、コネクタハウジングを延設部の板厚方向にコンパクトにできるため、コネクタは、その大きさの大型化を抑えることができる。
【0038】
この発明の態様として、前記コネクタハウジングは、前記第1接続端子の端子接続部、及び前記第2接続端子の端子接続部を、前記直列方向に略平行な状態で収容保持する構成であってもよい。
【0039】
この構成によれば、コネクタハウジングが端子接続部を直列方向に略平行な状態で保持するため、例えばベンドアップした第1接続端子の端子接続部と、ベンドダウンした第2接続端子の端子接続部とが、接続方向に段違いの状態で収容されることを防止できる。
【0040】
このため、オス型コネクタが接続された際、コネクタは、第1接続端子とオス型端子との接続状態、及び第2接続端子とオス型端子との接続状態を略同等にすることができる。
よって、コネクタは、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、複数のオス型端子との導通性を安定して確保することができる。
【0041】
加えて、コネクタハウジングが第1接続端子及び第2接続端子を保持するため、コネクタハウジングは、外部に導出される電線の保持を不要にできる。このため、コネクタハウジングは、外部に導出された電線を例えば粘着テープで束ねることを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保できる接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】ワイヤーハーネスの末端部の概略を説明する説明図。
図2】平面視でのワイヤーハーネスの末端部の外観を示す平面図。
図3図2中のA-A矢視断面図。
図4】メス型端子の概略を説明する説明図。
図5図2中のB-B矢視でのメス型端子の断面を示す断面図。
図6】バネ部材の概略を説明する説明図。
図7】導体の固定に伴う端子付き電線の変形を説明する説明図。
図8】実施例2におけるワイヤーハーネスの末端部の外観を示す平面図。
図9】幅方向に離間した状態での3つの端子付き電線の外観を示す外観斜視図。
図10】第2メス型端子及び第3メス型端子の概略を説明する説明図。
図11図8中のC-C矢視でのメス型端子の断面を示す断面図。
図12】第1端子付き電線及び第2端子付き電線を説明する説明図。
図13】導体の固定に伴う第3端子付き電線の変形を説明する説明図。
図14】端子付き電線の収容状態を前後方向に離間させた状態で説明する説明図。
図15】実施例3におけるメス型端子の外観を示す外観斜視図。
図16】端子付き電線を説明する説明図。
図17】実施例4におけるメス型端子の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0045】
実施例1では、電線3の先端にメス型端子100及びコネクタハウジング2を装着したワイヤーハーネス1について、図1から図7を用いて説明する。
なお、図1はワイヤーハーネス1の末端部の概略を説明する説明図であり、図1(a)はワイヤーハーネス1の末端部の外観斜視図を示し、図1(b)はコネクタハウジング2を透過状態で図示したワイヤーハーネス1の末端部の外観斜視図を示している。
【0046】
さらに、図2はワイヤーハーネス1の末端部の平面図を示し、図3図2中のA-A矢視断面図を示し、図4はメス型端子100の概略を説明する説明図であり、図4(a)はメス型端子100の外観斜視図を示し、図4(b)はメス型端子100の分解斜視図を示している。
【0047】
さらにまた、図5図2中のB-B矢視でのメス型端子100の断面図を示し、図6はバネ部材20の概略を説明する説明図であり、図6(a)は一部を透過状態で図示したバネ部材20の断面斜視図を示し、図6(b)はアームバネ25の側面図を示している。
【0048】
加えて、図7は導体3aの固定に伴う端子付き電線4の変形を説明する説明図であり、図7(a)は導体固定前のメス型端子100及び電線3の側面図を示し、図7(b)は電線固定後のメス型端子100及び電線3の側面図を示している。
【0049】
また、図1中の上側を上方とし、図1中の下側を下方として、図中の矢印Xは前後方向(以下、前後方向Xと呼ぶ)を示し、図中の矢印Yは前後方向Xに対して平面視略直交する方向(以下、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0050】
実施例1のワイヤーハーネス1は、図1から図3に示すように、上方が開口したコネクタハウジング2と、コネクタハウジング2とでコネクタ(符号省略)をなすメス型端子100が電線3の先端に接続された2本の端子付き電線4とを備えている。
【0051】
そして、ワイヤーハーネス1は、電線3の長手方向を前後方向Xに略一致させた状態で幅方向Yに並置した2本の端子付き電線4のメス型端子100を、コネクタハウジング2の内部に収容している。
【0052】
詳述すると、コネクタハウジング2は、図1(a)及び図3に示すように、上方が開口した略ボックス状の端子収容部2aと、端子収容部2aの下部から前後方向Xの一方側に延びる略筒状の電線収容部2bとで、内部中空形状に形成されている。
【0053】
このコネクタハウジング2には、図3に示すように、側面視において、端子付き電線4の電線3が、前後方向Xに対して略平行な状態で電線収容部2bに収容保持され、端子付き電線4のメス型端子100が、前後方向Xに対して上方へ傾倒した状態で端子収容部2aに収容されている。
【0054】
なお、端子収容部2aの内部における底面は、図3に示すように、前後方向Xに対して上方へ傾倒したメス型端子100の下端に略平行な傾斜面に形成されている。
また、電線収容部2bの内部には、図3に示すように、2本の電線3が挿通されるとともに、挿通された2本の電線3を保持する保持部材2cが嵌合によって装着されている。
【0055】
この保持部材2cは、図3に示すように、電線収容部2bの内面に外周面が接触することで、挿通された2本の電線3を電線収容部2bと協働で保持するとともに、コネクタハウジング2の内部への粉塵や水分の侵入を阻止している。
【0056】
また、端子付き電線4は、図1(b)から図3に示すように、大電流または高電圧に対応した大径で、細径の丸電線に比べて剛性の高い丸電線である電線3と、電線3の一端に導通可能に固定したメス型端子100とを備えている。
【0057】
詳述すると、電線3は、導電性を有する導体と、導体を覆う絶縁被覆とで構成されている。この電線3は、導体の先端部分を絶縁被覆から露出させるとともに、絶縁被覆から露出した導体の先端部分を、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって後述するメス型端子100の電線固定部13に固定している。
【0058】
この際、絶縁被覆から露出した導体の先端部分は、メス型端子100の電線固定部13への固定に伴って断面略円形から断面略板状に変形し、断面略板状の状態で電線固定部13に固定されている。
なお、以降の説明を容易にするため、電線3において、絶縁被覆から露出した導体の先端部分を、導体3aと符号を付して説明する。
【0059】
また、メス型端子100は、後ほど詳述するが、図2及び図3に示すように、前後方向Xの一方側に電線3の導体3aが固定される電線固定部13を備え、前後方向Xの他方側にオス型端子200の接続ブレード201が接続される端子接続部11を備えている。
このような端子付き電線4は、図3に示すように、電線3を電線固定部13に固定する際に加わる荷重によって、導体3aの基端が上下方向に折れ曲がり変形している。
【0060】
引き続き、上述した実施例1のメス型端子100について詳述する。メス型端子100は、図3及び図4に示すように、上述した端子接続部11及び電線固定部13を有する端子本体10と、端子接続部11に接続されるオス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0061】
具体的には、メス型端子100の端子本体10は、例えば銅や銅合金などの導電性を有するとともに、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成され、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体10は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0062】
この端子本体10は、図3及び図4に示すように、オス型端子200の接続ブレード201が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部11と、端子接続部11から前後方向Xの一方側に延設した延設部12と、延設部12から幅方向Yに延設され、電線3の導体3aが固定される電線固定部13とで構成されている。
【0063】
さらに、端子本体10は、電線固定部13の主面が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aを固定する面として形成され、端子接続部11の主面が、電線3の長手方向(前後方向X)を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部13の主面に略直交する向きに形成されている。
【0064】
より詳しくは、端子本体10の端子接続部11は、図4(b)及び図5に示すように、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部11aと、壁部11aの下端同士を幅方向Yに連結する底部11bとで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
【0065】
そして、端子接続部11は、図3及び図5に示すように、断面略U字状の開口から下方へ向けて挿入されたオス型端子200の接続ブレード201に、後述するバネ部材20を介して電気的に接続可能に構成されている。
【0066】
具体的には、端子接続部11の一対の壁部11aは、図5に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、オス型端子200の接続ブレード201の板厚よりも幅広な間隔を隔てて幅方向Yに対向配置されている。
この壁部11aは、他方の壁部11aに対向する主面が上下方向及び前後方向Xに対して略平行、かつ幅方向Yに直交するように配置されている。
【0067】
一方、端子接続部11の底部11bは、図5に示すように、上下方向を板厚方向とする板状であって、一方の主面である上面が前後方向X及び幅方向Yに略平行、かつ上下方向に直交するように配置されている。
【0068】
また、端子本体10の延設部12は、図3及び図4(b)に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、端子接続部11における一方の壁部11aを前後方向Xの一方側へ向けて延設して形成されている。このため、延設部12の主面は、壁部11aの主面に略平行に形成されている。
【0069】
また、端子本体10の電線固定部13は、図3及び図4に示すように、上下方向を板厚方向とする前後方向Xに長い平面視略矩形の平板状であって、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが上下方向に沿って固定可能に形成されている。
【0070】
具体的には、電線固定部13は、図3及び図4に示すように、端子接続部11に対して前後方向Xの一方側に所定間隔を隔てた位置において、延設部12の下端から他方の壁部11aへ向かう幅方向Yへ延設して形成されている。
【0071】
さらに、電線固定部13は、図5に示すように、その主面が、端子接続部11における底部11bの主面に略同じ上下方向の位置、かつ底部11bの主面に略平行となるように形成されている。
【0072】
換言すると、電線固定部13は、図4及び図5に示すように、端子接続部11における壁部11aの主面に対して、前後方向Xを回転軸として略90度回転した主面を有する形状に形成されている。
【0073】
そして、実施例1では、図4(a)に示すように、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが、上下方向を板厚方向とする電線固定部13における一方の主面である上面に固定されている。
【0074】
また、メス型端子100のバネ部材20は、弾性及び導電性を有するとともに、端子本体10に比べて薄肉の金属板で構成され、所望される展開形状に打ち抜いた金属板を折り曲げ加工することで、端子本体10における端子接続部11の外形に沿った形状に形成されている。
【0075】
さらに、バネ部材20は、端子本体10の壁部11aの間に挿入されたオス型端子200の接続ブレード201に対して接触するとともに、一方の壁部11aを反力として、他方の壁部11aへ向けた付勢力がオス型端子200の接続ブレード201に作用するように構成されている。
なお、バネ部材20は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されている。
【0076】
より詳しくは、バネ部材20は、図5に示すように、壁部11aの上端面に載置固定される一対の固定面部21と、固定面部21の幅方向Yの両端からそれぞれ下方へ垂設された一対の外面部22及び一対の内面部23とを備えている。
【0077】
さらに、バネ部材20は、図5に示すように、内面部23の下端を連結する底面部24と、内面部23の上部から斜め下方へ向けて延びる複数のアームバネ25とを備えている。
【0078】
具体的には、バネ部材20の固定面部21は、図4(a)及び図5に示すように、端子接続部11よりも短い前後方向Xの長さと、端子接続部11における壁部11aの板厚に略同じ幅方向Yの長さを有する平面視略矩形の平板状に形成されている。
この固定面部21は、端子接続部11の壁部11aにレーザー溶接などの溶接によって固定され、端子本体10と電気的に接続される部分として設けられている。
【0079】
また、バネ部材20の外面部22は、図5に示すように、内面部23とで壁部11aを挟持するように、固定面部21における幅方向Yの外側の端部から、壁部11aの主面に沿って垂設されている。なお、外面部22は、壁部11aの上端から上下方向の略中央の位置に至る上下方向の長さで延設されている。
【0080】
また、バネ部材20の内面部23は、図5に示すように、外面部22とで壁部11aを挟持するように、固定面部21における幅方向Yの内側から壁部11aの主面に沿って垂設されている。なお、内面部23は、壁部11aの上端から壁部11aの下部に至る上下方向の長さで延設されている。
【0081】
この内面部23は、図6に示すように、上下方向の略中央かつ前後方向Xの略中央を側面視略矩形にくり抜いて形成した開口部分23aによって、側面視略矩形の枠状に形成されている。
なお、開口部分23aの上端縁は、図6(b)に示すように、上方へ向けて突出した側面視略円弧状に形成されている。
【0082】
また、バネ部材20の底面部24は、図5に示すように、端子接続部11における底部11bの上面よりも僅かに上方の位置で、内面部23の下端を幅方向Yに連結している。
【0083】
また、バネ部材20のアームバネ25は、図5及び図6(a)に示すように、内面部23における開口部分23aの上端縁から下方に延設された片持ちの弾性片であって、前後方向Xに所定間隔を隔てて複数並置されている。
【0084】
このアームバネ25の基部25aは、開口部分23aの上端縁が側面視略円弧状に形成されているため、図6(b)に示すように、側面視において、上方へ向けて突出した略円弧状の仮想線上(図示省略)に位置している。
【0085】
さらに詳述すると、アームバネ25は、図5に示すように、開口部分23aの上端縁から下方かつ他方の壁部11aへ向けて延びたのち、その先端を頂部として、頂部から開口部分23aの下端縁へ向けて折り返した形状に形成されている。
【0086】
このアームバネ25は、幅方向Yで対向する頂部の間隔が、オス型端子200の接続ブレード201の板厚よりも幅狭な間隔となるように形成されている。このため、アームバネ25の頂部は、オス型端子200の接続ブレード201に接触する接点25bとして機能する。
【0087】
このような複数のアームバネ25は、図6(b)に示すように、側面視において、基部25aから接点25bに至る上下方向の長さが同じに形成されている。このため、アームバネ25の接点25bは、側面視において、基部25aを結ぶ略円弧状の仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上(図示省略)に位置している。
【0088】
次に、メス型端子100の電線固定部13への電線3の導体3aの固定に伴って、導体3aの基端が上下方向に折れ曲がり変形する過程について図7を用いて説明する。
まず、作業者または組付け装置は、図7(a)に示すように、バネ部材20が端子接続部11に固定されたメス型端子100の電線固定部13の上面に、電線3の導体3aを上方から載置する。
この際、作業者または組付け装置は、電線固定部13の上面における幅方向Yの中央と、電線3の中心軸とが平面視で略一致するように、電線固定部13の上面に電線3の導体3aを載置する。
【0089】
その後、作業者または組付け装置は、端子接続部11が適宜の治具で保持されたメス型端子100の電線固定部13に対して、絶縁被覆が適宜の治具で保持された電線3の導体3aを、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定して端子付き電線4を構成する。
【0090】
この際、メス型端子100及び導体3aに加わる溶接時の荷重により、電線3の導体3aが押し潰されて断面略円形から断面略板状に変形するとともに、導体3aの基端が上下方向へ折れ曲がり変形することで、電線3が上下方向に谷折り変形する(図7(b)参照)。
【0091】
より詳しくは、メス型端子100の電線固定部13の板厚方向を上下方向とすると、端子付き電線4は、図7(b)に示すように、電線3の導体3a及びメス型端子100が電線3の中心軸Tに対してベンドアップするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形する。
【0092】
その後、作業者または組付け装置は、端子付き電線4をコネクタハウジング2の内部に収容してワイヤーハーネス1を構成する。
この際、端子付き電線4のメス型端子100は、図2に示すように、コネクタハウジング2の内部において、電線3の中心を通る前後方向Xに沿った仮想直線(図示省略)に対して、端子接続部11の幅方向Yの略中央が平面視で略一致し、かつ壁部11aの主面が略平行な状態で収容される。
【0093】
以上のように、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された実施例1のメス型端子100は、電線3の導体3aを固定する電線固定部13と、電線固定部13に対して前後方向Xに沿って並置されるとともに、上方から下方へ向けてオス型端子200が接続される端子接続部11とが備えられている。
【0094】
さらに、メス型端子100は、電線固定部13が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが固定される主面を有する形状に形成され、端子接続部11が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部13の主面に略直交する向きの主面を有する形状に形成されている。
【0095】
また、実施例1のコネクタは、上述のメス型端子100と、メス型端子100を収容するコネクタハウジング2とが設けられている。そして、実施例1のコネクタハウジング2は、メス型端子100に固定した電線3を保持可能な保持部材2cと、ベンドアップしたメス型端子100を収容可能な収容空間とが設けられている。
【0096】
また、実施例1の端子付き電線4は、上述のメス型端子100と、メス型端子100の電線固定部13に導体3aを接続した電線3とが設けられている。
また、実施例1のワイヤーハーネス1は、上述の端子付き電線4と、ベンドアップした端子付き電線4のメス型端子100を収容したコネクタハウジング2とが備えられている。
【0097】
この構成によれば、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部13の主面に略直交する向きの主面を有する端子接続部11により、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0098】
具体的には、電線固定部13の板厚方向を上下方向とするベンドアップまたはベンドダウンが導体3aの固定に伴って生じた場合、電線固定部13及び端子接続部11が一体でベンドアップ方向またはベンドダウン方向へ回動する。
【0099】
この際、端子接続部11の主面が電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部13の主面に略直交する向きのため、メス型端子100は、導体3aの固定に伴う回動方向に対して、電線固定部13の主面が交差し、端子接続部11の主面が略平行となる。
【0100】
このため、ベンドアップまたはベンドダウン後の端子接続部11の主面は、ベンドアップまたはベンドダウン前の端子接続部11の主面の向きと略同じ向きとなる。
これにより、電線固定部13の板厚方向を上下方向とするベンドアップまたはベンドダウンが生じた場合であっても、メス型端子100は、上方から下方に向けて接続されるオス型端子200に対する端子接続部11の位置ズレを抑えて略平行にすることができる。
【0101】
したがって、メス型端子100、コネクタ、端子付き電線4及びワイヤーハーネス1は、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保することができる。
加えて、コネクタハウジング2が、ベンドアップしたメス型端子100を収容保持できるため、コネクタ及びワイヤーハーネス1を容易に構成することができる。
【0102】
また、メス型端子100は、端子接続部11から前後方向Xの一方側に向けて延設されるとともに、端子接続部11の主面に平行な主面を有する板状の延設部12が設けられている。そして、電線固定部13が、延設部12の下端から延設部12の板厚方向に向けて延設されている。
【0103】
この構成によれば、端子接続部11から延設した延設部12の板厚方向に向けて電線固定部13が形成されているため、主面の向きが異なる電線固定部13と端子接続部11とを、導電性の板材を捩じることなく容易に形成することができる。
【0104】
さらに、端子接続部11と電線固定部13とが板状の延設部12を介して連結されるため、板状の延設部12は、端子接続部11と電線固定部13との間における曲げ剛性及び捩れ剛性を向上することができる。
【0105】
このため、メス型端子100は、導体3aの固定に伴って、延設部12が意図せず変形することを防止できる。
よって、メス型端子100は、下方向に向けて接続されるオス型端子200に対して端子接続部11を確実に略平行にできるため、オス型端子200との接続をさらに容易にすることができる。
【0106】
また、メス型端子100の端子接続部11は、底部11b及び対向する一対の壁部11aを有する断面略U字状で、壁部11aの主面に平行で断面略U字状の開口から底部11bへ向かう下方にオス型端子200の接続ブレード201が接続されるメス型である。
【0107】
そして、メス型端子100は、端子接続部11の壁部11aを反力としてオス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するとともに、オス型端子200と端子接続部11とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材20が備えられている。
【0108】
この構成によれば、端子接続部11の壁部11aを反力としてバネ部材20がオス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するため、端子接続部11がオス型端子200の接続ブレード201に直接的に接触する場合に比べて、オス型端子200との密着性を向上することができる。
よって、メス型端子100は、導体3aの固定に伴うベンドアップが生じても、端子接続部11とオス型端子200との導通性をより確実に確保することができる。
【0109】
また、バネ部材20におけるオス型端子200との接点25bが、壁部11aの板厚方向から見て、上方へ向けて突出した略円弧状の仮想線上に設けられているため、メス型端子100は、ベンドアップした状態において、バネ部材20の接点25bとオス型端子200との接触箇所を、前後方向Xに略平行な仮想線上に接点が位置する場合に比べて確保し易くなる。
これにより、メス型端子100は、導体3aの固定に伴うベンドアップが生じた状態であっても、オス型端子200との導通性を確実に確保することができる。
【0110】
また、バネ部材20が、前後方向Xに沿って複数配置され、上下方向に沿って延びるとともに、オス型端子200に接触するアーム状のアームバネ25を有している。さらに、アームバネ25の基部25aが、壁部11aの板厚方向から見て接点25bを結ぶ仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上に設けられている。
【0111】
この構成によれば、アームバネ25の基部25aが接点25bを結ぶ仮想線に略相似する略円弧状の仮想線上に設けられているため、基部25aから接点25bに至る上下方向の長さをアームバネ25ごとに同じにすることができる。
【0112】
これにより、オス型端子200への付勢力や節度感をアームバネ25ごとに均一できるため、メス型端子100は、オス型端子の接続状態の管理を容易にすることができる。
よって、メス型端子100は、オス型端子の接続不良を防止して、オス型端子200との導通性を確実に確保することができる。
【実施例0113】
実施例2では、3本の電線3にそれぞれ異なる形状のメス型端子が接続されたワイヤーハーネス5について、図8から図14を用いて説明する。
なお、図8は実施例2におけるワイヤーハーネス5の末端部の平面図を示し、図9は幅方向Yに離間した状態での3つの端子付き電線の外観斜視図を示している。
【0114】
さらに、図10は第2メス型端子110及び第3メス型端子120の概略を説明する説明図であり、図10(a)は第2メス型端子110の外観斜視図を示し、図10(b)は第3メス型端子120の外観斜視図を示している。
【0115】
さらにまた、図11図8中のC-C矢視でのメス型端子の断面図を示し、図12は第1端子付き電線4及び第2端子付き電線7を説明する説明図であり、図12(a)は第1端子付き電線4の側面図を示し、図12(b)は第2端子付き電線7の側面図を示している。
【0116】
また、図13は導体3aの固定に伴う第3端子付き電線8の変形を説明する説明図であり、図13(a)は導体固定前の第3メス型端子120及び電線3の平面図を示し、図13(b)は導体固定後の第3メス型端子120及び電線3の平面図を示し、図13(c)は導体固定後の第3メス型端子120及び電線3の側面図を示している。
【0117】
加えて、図14は端子付き電線の収容状態を前後方向Xに離間させた状態で説明する説明図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0118】
実施例2のワイヤーハーネス5は、図8に示すように、上方が開口したコネクタハウジング6と、実施例1の端子付き電線4(以降、第1端子付き電線4とする)と、第1端子付き電線4に対して幅方向Yに並置された第2端子付き電線7及び第3端子付き電線8とを備えている。
【0119】
そして、ワイヤーハーネス5は、3つの端子付き電線(第1端子付き電線4、第2端子付き電線7及び第3端子付き電線8)を、コネクタハウジング6の内部に収容している。
【0120】
さらに、ワイヤーハーネス5は、コネクタハウジング6から導出された3本の電線3を、コネクタハウジング6から前後方向Xの一方側に離間した位置で粘着テープ9を用いて束ねている。
なお、3つの端子付き電線の電線3には、コネクタハウジング6とでコネクタ(符号省略)を構成するメス型端子が接続されている。
【0121】
詳述すると、コネクタハウジング6は、上述した実施例1のコネクタハウジング2と同様に、上方が開口した端子収容部6aと、端子収容部6aの下部から前後方向Xの一方へ延びる略筒状の電線収容部6bとで構成されている。
このコネクタハウジング6には、後述する端子付き電線のメス型端子が前後方向Xに対して略平行な状態で端子収容部6aに収容保持され、端子付き電線の電線3が電線収容部6bに収容されている。
【0122】
なお、詳細な図示を省略するが、コネクタハウジング6の端子収容部6aは、端子付き電線のメス型端子における前後方向X、幅方向Y、及び上下方向の位置を規制することで、端子付き電線を保持している。
【0123】
また、3つの端子付き電線(第1端子付き電線4、第2端子付き電線7及び第3端子付き電線8)は、図8及び図9に示すように、コネクタハウジング6の内部において、幅方向Yの一方側から幅方向Yの他方側へ向けて、第2端子付き電線7、第1端子付き電線4、第3端子付き電線8の順に配置されている。
【0124】
第1端子付き電線4は、図8及び図9に示すように、上述した実施例1のメス型端子100と、メス型端子100に導体3aが溶接によって固定された電線3とで構成されている。
なお、実施例2では、以降の説明を容易にするために、実施例1のメス型端子100を第1メス型端子100として説明する。
【0125】
さらに、第1端子付き電線4は、実施例1と同様に、導体3aの固定に伴って、導体3aの基端が上下方向に谷折り変形している(図12(a)参照)。
より詳しくは、第1メス型端子100の電線固定部13の板厚方向を上下方向とすると、第1端子付き電線4は、電線3の導体3a及び第1メス型端子100が電線3の中心軸Tに対してベンドアップするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形している。
【0126】
また、第2端子付き電線7は、図8及び図9に示すように、第1メス型端子100とは形状が異なる第2メス型端子110と、第2メス型端子110に導体3aが溶接によって固定された電線3とで構成されている。
さらに、第2端子付き電線7は、導体3aの固定に伴って、導体3aの基端が上下方向に山折り変形している(図12(b)参照)。
【0127】
ここで、第2メス型端子110について詳述すると、第2メス型端子110は、図9及び図10(a)に示すように、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成された端子本体30と、オス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0128】
具体的には、第2メス型端子110の端子本体30は、例えば銅や銅合金などの導電性を有する金属製の板材であって、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体30は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0129】
この端子本体30は、図10(a)に示すように、オス型端子200の接続ブレード201が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部31と、端子接続部31から前後方向Xの一方側に延設した延設部32と、延設部32から幅方向Yに延設され、電線3の導体3aが固定される電線固定部33とで構成されている。
【0130】
さらに、端子本体30は、電線固定部33の主面が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aを固定する面として形成され、端子接続部31の主面が、電線3の長手方向(前後方向X)を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部33の主面に略直交する向きに形成されている。
【0131】
より詳しくは、端子本体30の端子接続部31は、図10(a)及び図11に示すように、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部31aと、壁部31aの下端同士を幅方向Yに連結する底部31bとで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
この端子接続部31は、第1メス型端子100の端子接続部11と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0132】
また、端子本体30の延設部32は、図10(a)に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、端子接続部11における一方の壁部11aを前後方向Xの一方側へ向けて延設して形成されている。このため、延設部12の主面は、壁部11aの主面に略平行に形成されている。
【0133】
具体的には、第1メス型端子100の延設部12が幅方向Yの一方側の壁部11aに一体的に設けられているのに対して、第2メス型端子110の延設部32は、幅方向Yの他方側の壁部31aに一体的に設けられている。
【0134】
また、端子本体30の電線固定部33は、図10(a)及び図11に示すように、上下方向を板厚方向とする前後方向Xに長い平面視略矩形の平板状であって、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが上下方向に沿って固定可能に形成されている。
【0135】
具体的には、電線固定部33は、図10(a)及び図11に示すように、端子接続部31に対して前後方向Xの一方側に所定間隔を隔てた位置において、延設部32の上端から他方の壁部31aへ向かう幅方向Yへ延設して形成されている。
【0136】
さらに、電線固定部33は、図11に示すように、その主面が、端子接続部11における底部11bの主面に略平行となるように形成されている。
換言すると、電線固定部33は、図10及び図11に示すように、端子接続部31における壁部31aの主面に対して、前後方向Xを回転軸として略90度回転した主面を有する形状に形成されている。
【0137】
そして、実施例2では、図9に示すように、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが、上下方向を板厚方向とする電線固定部33における一方の主面である下面に固定されている。
【0138】
このような構成の第2メス型端子110が電線3に接続された第2端子付き電線7は、図12(b)に示すように、導体3aの固定に伴って、導体3aの基端が上下方向に山折り変形している。
より詳しくは、第2メス型端子110の電線固定部33の板厚方向を上下方向とすると、第2端子付き電線7は、電線3の導体3a及び第2メス型端子110が、電線3の中心軸Tに対してベンドダウンするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形している。
【0139】
また、第3端子付き電線8は、図8及び図9に示すように、第1メス型端子100とは形状が異なる第3メス型端子120と、第3メス型端子120に導体3aが溶接によって固定された電線3とで構成されている。
【0140】
さらに、第3端子付き電線8は、導体3aの固定に伴って、後述する電線固定部42と端子接続部41との間が幅方向Yに山折り変形するとともに、導体3aの基端が幅方向Yに谷折り変形している(図13(b)参照)。
【0141】
ここで、第3メス型端子120について詳述すると、第3メス型端子120は、図9及び図10(a)に示すように、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成された端子本体40と、端子接続部41に接続されるオス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0142】
具体的には、第3メス型端子120の端子本体40は、例えば銅や銅合金などの導電性を有する金属製の板材であって、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体40は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0143】
この端子本体40は、図10(b)に示すように、オス型端子200の接続ブレード201が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部41と、電線3の導体3aが固定される電線固定部42と、前後方向Xに沿って並置した端子接続部41及び電線固定部42を連結する連結部43とで構成されている。
【0144】
より詳しくは、端子本体40の端子接続部41は、図10(b)及び図11に示すように、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部41aと、壁部41aの下端同士を幅方向Yに連結する底部41bとで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
この端子接続部41は、第1メス型端子100の端子接続部11と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0145】
また、端子本体40の電線固定部42は、図10(b)及び図11に示すように、前後方向Xに長い側面視略矩形の平板状であって、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが幅方向Yに沿って固定可能に形成されている。
【0146】
具体的には、電線固定部42は、図10(b)に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、主面が端子接続部41における壁部41aの主面に略平行、かつ同じ幅方向Yの位置に位置するように配置されている。
【0147】
この電線固定部42は、上下方向の中央部分が、第1端子付き電線4へ向かう幅方向Yの他方側の壁部41aに、後述する連結部43を介して連結されている。
このような構成のため、実施例2では、図9に示すように、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが、幅方向Yを板厚方向とする電線固定部42の主面に固定されている。
【0148】
また、端子本体40の連結部43は、図10(b)に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置された幅方向Yの他方側の壁部41aと、電線固定部42の上下方向の略中央とを前後方向Xに連結している。この連結部43は、端子接続部41及び電線固定部42に比べて幅方向Y(電線固定部42の板厚方向)に変形容易な形状に形成されている。
【0149】
具体的には、連結部43は、幅方向Yを板厚方向とする板状であって、一方の壁部41aの端面と電線固定部42の端面とを前後方向Xに連結している。このため、連結部43の主面は、一方の壁部41aの主面及び電線固定部42の主面に略平行、かつ同じ幅方向Yの位置に位置している。
【0150】
さらに、連結部43は、図10(b)に示すように、上下方向の長さを端子接続部41における上下方向の長さ、及び電線固定部42における上下方向の長さよりも短くすることで、端子接続部41及び電線固定部42に対して幅方向Yに変形し易い部位を構成している。
【0151】
このような構成の第3端子付き電線8は、上述したように、第3メス型端子120の連結部43が幅方向Yに山折り変形するとともに、電線3の導体3aが幅方向Yに谷折り変形している。
【0152】
ここで、第3端子付き電線8において、第3メス型端子120及び電線3が折れ曲がり変形する過程について図13を用いて説明する。
まず、作業者または組付け装置は、図13(a)に示すように、バネ部材20が端子接続部41に固定された第3メス型端子120の電線固定部42の主面に、電線3の導体3aを幅方向Yから当接する。
この際、作業者または組付け装置は、電線固定部42の主面における上下方向の中央と、電線3の中心軸とが側面視で略一致するように、電線固定部42の主面に電線3の導体3aを当接する。
【0153】
その後、作業者または組付け装置は、端子接続部41が適宜の治具で保持された第3メス型端子120の電線固定部42に対して、絶縁被覆が適宜の治具で保持された電線3の導体3aを、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定して第3端子付き電線8を構成する。
【0154】
この際、第3メス型端子120及び導体3aに加わる溶接時の荷重により、電線3の導体3aが、押し潰されて断面略円形から断面略板状に変形する。
さらに、幅方向Yに変形し易い連結部43が幅方向Yに変形することで、第3メス型端子120が幅方向Yに山折り変形するとともに、第3メス型端子120の変形に伴って、導体3aの基端が幅方向Yに変形することで、電線3が幅方向Yに谷折り変形する(図13(b)参照)。
【0155】
このため、第3端子付き電線8は、図13(b)に示すように、第3メス型端子120の端子接続部41が、電線3の中心軸Tよりも僅かに幅方向Yの一方側へ平行移動した平面視略クランク状に変形する。
【0156】
より詳しくは、第3メス型端子120の電線固定部42の板厚方向を上下方向とすると、第3端子付き電線8は、電線3の導体3a及び第3メス型端子120が電線3の中心軸Tに対してベンドアップし、第3メス型端子120の端子接続部41が電線固定部42に対してベンドダウンすることで、平面視略クランク状に変形している。
【0157】
この際、端子接続部41は、図13(c)に示すように、電線3の中心を通る前後方向Xに沿った仮想直線(中心軸T)に対して、上端が側面視略平行となるように変形している。
【0158】
次に、上述した構成の第1端子付き電線4、第2端子付き電線7及び第3端子付き電線8をコネクタハウジング6に収容した状態についてさらに詳述する。
まず、コネクタハウジング6の内部において、幅方向Yの中央に配置された第1端子付き電線4は、図8及び図14に示すように、第1メス型端子100における端子接続部11が前後方向Xに対して略平行となるように配置されている。
このため、第1端子付き電線4の電線3は、第1メス型端子100の電線固定部13から斜め下方へ向けてコネクタハウジング6の外部に導出されている。
【0159】
また、上述した第2端子付き電線7は、図8及び図11に示すように、コネクタハウジング6の内部において、延設部12が設けられていない第1メス型端子100の壁部11aに、幅方向Yに所定間隔を隔てて端子接続部31が近接するように配置されている。
【0160】
具体的には、第2端子付き電線7は、図11に示すように、第2メス型端子110の電線固定部33が、第1メス型端子100の電線固定部13に上下方向で対向する幅方向Yの位置に配置されている。
【0161】
さらに、第2端子付き電線7は、図8及び図14に示すように、第2メス型端子110における端子接続部31が前後方向Xに対して略平行となるように配置されている。
このため、第2端子付き電線7の電線3は、第2メス型端子110の電線固定部33から斜め上方へ向けてコネクタハウジング6の外部へ導出されている。
【0162】
また、上述した第3端子付き電線8は、図8及び図11に示すように、コネクタハウジング6の内部において、延設部12が設けられた第1メス型端子100の壁部11aに、幅方向Yに所定間隔を隔てて端子接続部41が近接するように配置されている。
【0163】
具体的には、第3端子付き電線8は、図11に示すように、第3メス型端子120の電線固定部42が、第1メス型端子100の延設部12に幅方向Yで近接する位置に配置されている。
【0164】
さらに、第3端子付き電線8は、図8及び図14に示すように、第3メス型端子120における端子接続部41が前後方向Xに対して略平行となるように配置されている。
このため、第3端子付き電線8の電線3は、第3メス型端子120の電線固定部42から前後方向Xに沿うようにコネクタハウジング6の外部へ導出されている。
【0165】
そして、コネクタハウジング6は、第1端子付き電線4、第2端子付き電線7及び第3端子付き電線8がそれぞれ上述した位置関係となるように、第1メス型端子100、第2メス型端子110及び第3メス型端子120の位置を規制することで収容保持している。
【0166】
これにより、コネクタハウジング6の外部に導出された3本の電線3は、図14に示すように、上下方向の略同じ位置へ向けて配設されることになる。そこで、実施例2では、コネクタハウジング6の外部に導出された3本の電線3が近接する位置で、3本の電線3を粘着テープ9で束ねてワイヤーハーネス5を構成している。
【0167】
以上のように、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された実施例2の第2メス型端子110は、電線3の導体3aを固定する電線固定部33と、電線固定部33に対して前後方向Xに沿って並置されるとともに、上方から下方へ向けてオス型端子200が接続される端子接続部31とが備えられている。
【0168】
さらに、第2メス型端子110は、電線固定部33が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが固定される主面を有する形状に形成され、端子接続部31が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部33の主面に略直交する向きの主面を有する形状に形成されている。
【0169】
この構成によれば、実施例1のメス型端子100(第1メス型端子100)と同様に、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部33の主面に略直交する向きの主面を有する端子接続部により、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0170】
さらに、第2メス型端子110は、端子接続部31から前後方向Xの一方側に向けて延設されるとともに、端子接続部31の主面に平行な主面を有する板状の延設部32が設けられている。そして、電線固定部33が、延設部32の上端から延設部32の板厚方向に向けて延設されている。
【0171】
この構成によれば、端子接続部31から延設した延設部32の板厚方向に向けて電線固定部33が形成されているため、主面の向きが異なる電線固定部33と端子接続部31とを、導電性の板材を捩じることなく容易に形成することができる。
【0172】
さらに、端子接続部31と電線固定部33とが板状の延設部32を介して連結されるため、板状の延設部32は、端子接続部31と電線固定部33との間における曲げ剛性及び捩れ剛性を向上することができる。
【0173】
このため、第2メス型端子110は、導体3aの固定に伴って、延設部12が意図せず変形することを防止できる。
よって、第2メス型端子110は、下方向に向けて接続されるオス型端子200に対して端子接続部31を確実に略平行にできるため、オス型端子200との接続をさらに容易にすることができる。
【0174】
また、実施例2のコネクタは、第1メス型端子100と、第2メス型端子110と、幅方向Yに並置されるとともに、上下方向に電線固定部13,33を対向させた第1メス型端子100及び第2メス型端子110を少なくとも一組収容可能なコネクタハウジング6とが設けられている。
【0175】
この構成によれば、幅方向Yにおいて、第1メス型端子100の電線固定部13と第2メス型端子110の電線固定部13とが略同位置に位置するため、例えば一組の第1メス型端子100を幅方向Yに並置した場合に比べて、壁部11aの板厚方向における長さを短くすることができる。
これにより、コネクタハウジング6を幅方向Yにコンパクトにできるため、コネクタは、その大きさの大型化を抑えることができる。
【0176】
また、コネクタハウジング6が、第1メス型端子100の端子接続部11、及び第2メス型端子110の端子接続部31を、前後方向Xに略平行な状態で収容保持するため、ベンドアップした第1メス型端子100の端子接続部11と、ベンドダウンした第2メス型端子110の端子接続部31とが、上下方向に段違いの状態で収容されることを防止できる。
【0177】
このため、オス型コネクタが接続された際、コネクタは、第1メス型端子100とオス型端子200との接続状態、及び第2メス型端子110とオス型端子200との接続状態を略同等にすることができる。
よって、コネクタは、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、複数のオス型端子との導通性を安定して確保することができる。
【0178】
加えて、コネクタハウジング6が第1メス型端子100及び第2メス型端子110を保持するため、コネクタハウジング6は、外部に導出される電線3の保持を不要にできる。このため、コネクタハウジング6は、外部に導出された電線3を例えば粘着テープ9で束ねることを容易にすることができる。
【実施例0179】
実施例3では、上述した実施例1のメス型端子100とは異なる形状のメス型端子130について、図15及び図16を用いて説明する。
なお、図15は実施例3におけるメス型端子130の外観斜視図を示し、図16は端子付き電線4Aを説明する説明図であり、図16(a)は端子付き電線4Aの平面図を示し、図16(b)は端子付き電線4Aの側面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0180】
実施例3のメス型端子130は、図15に示すように、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成された端子本体50と、オス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0181】
具体的には、メス型端子130の端子本体50は、例えば銅や銅合金などの導電性を有する金属製の板材であって、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体50は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0182】
この端子本体50は、図15に示すように、オス型端子200の接続ブレード201が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部51と、端子接続部51から前後方向Xの一方側に延設した延設部52(図16(a)参照)とを備えている。
【0183】
さらに、端子本体50は、図15及び図16(a)に示すように、延設部52から前後方向Xの一方側に延設され、電線3の導体3aが固定される電線固定部53と、端子接続部51から電線固定部53に向けて延設された一対の補強部54とを備えている。
【0184】
そして、端子本体50は、電線固定部53の主面が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aを固定する面として形成され、端子接続部51の主面が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部53の主面に略直交する向きに形成されている。
【0185】
より詳しくは、端子本体50の端子接続部51は、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部51a(図15参照)と、壁部51aの下端同士を幅方向Yに連結する底部51b(図16(a)参照)とで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
この端子接続部51は、実施例1におけるメス型端子100の端子接続部11と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0186】
また、端子本体50の延設部52は、図16(a)に示すように、端子接続部51の底部51bと、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置された電線固定部53の幅方向Yの略中央を前後方向Xに連結している。
【0187】
具体的には、延設部52は、上下方向を板厚方向とする平板状であって、端子接続部51の底部51bから前後方向Xの一方側へ向けて延設して形成されている。このため、延設部52の主面は、底部51bの主面に略平行に形成されている。
なお、延設部52は、端子接続部51における幅方向Yの長さ、及び電線固定部53における幅方向Yの長さよりも短い幅方向Yの長さに形成されている。
【0188】
また、端子本体50の電線固定部53は、図15及び図16(a)に示すように、前後方向Xに長い平面視略矩形の平板状であって、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが上下方向に沿って固定可能に形成されている。
【0189】
具体的には、電線固定部53は、図15に示すように、上下方向を板厚方向とする平板状であって、幅方向Yの中央部分が、延設部52を介して端子接続部51の底部51bに連結されている。
【0190】
この電線固定部53は、主面が端子接続部51における底部51bの主面に略平行、かつ同じ上下方向の位置に位置するように配置されている。
換言すると、電線固定部53は、図15に示すように、端子接続部51における壁部51aの主面に対して、前後方向Xを回転軸として略90度回転した主面を有する形状に形成されている。
【0191】
また、端子本体50の一対の補強部54は、端子接続部51と電線固定部53とを連結する幅狭な延設部52を補強するために設けられている。
具体的には、一対の補強部54は、図15に示すように、端子接続部51の壁部51aから前後方向Xの一方側へ延設された側面視略台形の板状に形成されている。この補強部54の下端は、導体3aが固定される電線固定部13の上面に溶接などによって接合されている。
【0192】
このような構成のメス型端子130に電線3を接続した端子付き電線4Aは、図16(b)に示すように、導体3aの固定に伴って加わる荷重によって、導体3aの基端が上下方向に折れ曲がり変形している。
【0193】
例えばメス型端子130の電線固定部53の板厚方向を上下方向とすると、端子付き電線4Aは、図16(b)に示すように、導体3aの固定に伴う荷重が加わった際、電線3の導体3a及びメス型端子130が、電線3の中心軸Tに対してベンドアップするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形している。
【0194】
このため、端子付き電線4Aは、図16(a)に示すように、電線3の中心を通る前後方向Xに沿った仮想直線(中心軸T)に対して、端子接続部51の幅方向Yの略中央が略一致し、かつ壁部51aの主面が平面視略平行な状態で、図示を省略したコネクタハウジングの内部に収容される。
【0195】
以上のように、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された実施例3のメス型端子130は、電線3の導体3aを固定する電線固定部53と、電線固定部53に対して前後方向Xに沿って並置されるとともに、上方から下方へ向けてオス型端子200が接続される端子接続部51とが備えられている。
【0196】
さらに、メス型端子130は、電線固定部53が、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線3の導体3aが固定される主面を有する形状に形成され、端子接続部51が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部53の主面に略直交する向きの主面を有する形状に形成されている。
【0197】
この構成によれば、実施例1のメス型端子100と同様に、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部53の主面に略直交する向きの主面を有する端子接続部51により、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0198】
さらに、メス型端子130の端子接続部51は、底部51b及び対向する一対の壁部51aを有する断面略U字状で、壁部51aの主面に平行で断面略U字状の開口から底部51bへ向かう下方にオス型端子200の接続ブレード201が接続されるメス型である。
【0199】
加えて、電線固定部53が、上下方向を板厚方向として、底部51bから前後方向Xの一方側に向けて延設した構成である。
そして、メス型端子130は、端子接続部51の壁部51aと電線固定部53の主面とを連結する補強部54が備えられている。
【0200】
この構成によれば、断面略U字状の端子接続部51における底部51bから延設された電線固定部53が、上下方向を板厚方向とする形状に形成されているため、主面の向きが異なる電線固定部53と端子接続部51とを、導電性の板材を捩じることなく容易に形成することができる。
【0201】
さらに、端子接続部51の壁部51aと電線固定部53の主面とが補強部54を介して連結されるため、補強部54は、端子接続部51と電線固定部53との間における曲げ剛性及び捩れ剛性を向上することができる。
【0202】
このため、メス型端子130は、導体3aの固定に伴って、延設部52が意図せず変形することを防止できる。
よって、メス型端子130は、上下方向に向けて接続されるオス型端子200に対して略平行な状態を確実に維持できるため、オス型端子200との接続をさらに容易にすることができる。
【実施例0203】
実施例4では、上述した実施例1のメス型端子100とは異なる形状のメス型端子140について図17を用いて説明する。
なお、図17は実施例4におけるメス型端子140の概略を説明する説明図であり、図17(a)はメス型端子140の外観斜視図を示し、図17(b)は端子付き電線4Bの側面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0204】
実施例4のメス型端子140は、図17(a)に示すように、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成された端子本体60と、オス型端子200の接続ブレード201を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0205】
具体的には、メス型端子140の端子本体60は、例えば銅や銅合金などの導電性を有する金属製の板材であって、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体60は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0206】
この端子本体60は、図17(a)に示すように、オス型端子200の接続ブレード201が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部61と、端子接続部61から前後方向Xの一方側に延設した延設部62と、延設部62から幅方向Yに延設され、電線3の導体3aが固定される電線固定部63とで構成されている。
【0207】
さらに、端子本体60は、電線固定部63の主面が、上下方向に長手方向を略一致させた電線3の導体3aを固定する面として形成され、端子接続部61の主面が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部63の主面に略直交する向きに形成されている。
【0208】
より詳しくは、端子本体60の端子接続部61は、図17(a)に示すように、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部61aと、壁部61aの下端同士を幅方向Yに連結する底部(符号省略)とで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
【0209】
この端子接続部61は、実施例1のメス型端子100の端子接続部11と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0210】
また、端子本体60の延設部62は、図17(a)に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、端子接続部61における一方の壁部61aを前後方向Xの一方側へ向けて延設して形成されている。このため、延設部62の主面は、壁部61aの主面に略平行に形成されている。
【0211】
また、端子本体60の電線固定部63は、図17(a)に示すように、前後方向Xを板厚方向とする略矩形の平板状であって、上下方向に長手方向を略一致させた電線3の導体3aが前後方向Xに沿って固定可能に形成されている。
【0212】
具体的には、電線固定部63は、図17(a)に示すように、端子接続部61に対して前後方向Xの一方側に所定間隔を隔てた位置において、延設部62における前後方向Xの一端から他方の壁部61aへ向かう幅方向Yへ延設して形成されている。
【0213】
さらに、電線固定部63は、その主面が、上下方向及び幅方向Yに対して略平行、かつ前後方向Xに直交するように形成されている。
換言すると、端子接続部61における壁部61aの主面が幅方向Yに直交するため、電線固定部63は、図17(a)に示すように、端子接続部61における壁部61aの主面に対して、上下方向を回転軸として略90度回転した主面を有する形状に形成されている。
【0214】
そして、実施例4では、図17(a)に示すように、上下方向に長手方向を略一致させた電線3の導体3aが、前後方向Xを板厚方向とする電線固定部63における一方の主面に固定されている。
【0215】
このような構成のメス型端子140に電線3を接続した端子付き電線4Bは、図176(b)に示すように、導体3aの固定に伴って加わる荷重によって、導体3aの基端が折れ曲がり変形している。
【0216】
例えばメス型端子140の電線固定部63の板厚方向を上下方向とすると、端子付き電線4Bは、図17(b)に示すように、電線3の導体3a及びメス型端子140が、電線3の中心軸に対してベンドダウンするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形している。
【0217】
このため、端子付き電線4Bは、電線3の中心を通る前後方向Xに沿った仮想直線(図示省略)に対して、端子接続部61の幅方向Yの略中央が略一致し、かつ壁部61aの主面が略平行な状態で、コネクタハウジングの内部に収容される。
【0218】
以上のように、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された実施例4のメス型端子140は、電線3の導体3aを固定する電線固定部63と、電線固定部63に対して前後方向Xに沿って並置されるとともに、上方から下方へ向けてオス型端子200が接続される端子接続部61とが備えられている。
【0219】
さらに、メス型端子140は、電線固定部63が、上下方向に長手方向を略一致させた電線3の導体3aが固定される主面を有する形状に形成され、端子接続部61が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部63の主面に略直交する向きの主面を有する形状に形成されている。
【0220】
この構成によれば、実施例1のメス型端子100と同様に、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部63の主面に略直交する向きの主面を有する端子接続部61により、電線3の導体3aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子200との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0221】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の接続端子は、実施形態のメス型端子100,130,140、第1メス型端子100、及び第2メス型端子110に対応し、
以下同様に、
直列方向は、前後方向Xに対応し、
接続方向は、上下方向に対応し、
別の接続端子は、オス型端子200に対応し、
オス型端子の一部は、接続ブレード201に対応し、
保持部は、保持部材2cに対応し、
第1接続端子は、第1メス型端子100に対応し、
第2接続端子は、第2メス型端子110に対応し、
端子付き電線は、端子付き電線4,4A,4B、第1端子付き電線4、及び第2端子付き電線7に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0222】
具体的には、上述した実施形態において、オス型端子200の接続ブレード201が接続されるメス型端子100を用いて説明したが、これに限定せず、接続ブレード201を備えたオス型端子が電線3に接続される構成であってもよい。
【0223】
また、メッキ処理が施されていない端子本体10,30,40,50,60としたが、これに限定せず、例えば電線固定部がメッキ処理された端子本体などのように、部分的にメッキ処理が施された端子本体であってもよい。
また、メッキ処理が施されたバネ部材20としたが、これに限定せず、例えばアームバネがメッキ処理されたバネ部材などのように、部分的にメッキ処理が施されたバネ部材であってもよい。
【0224】
また、メス型端子100,110,120,130,140の電線固定部13,33,42,53,63に電線3の導体3aが溶接によって固定された構成としたが、これに限定せず、例えば電線固定部をオープンバレル形状とし、電線固定部に電線3の導体3aを加締めなどの圧着によって固定する構成であってもよい。
【0225】
また、電線固定部13,33,42,53,63の一方の主面に電線3の導体3aを固定したが、これに限定せず、電線固定部13,33,42,53,63の他方の主面に導体3aを固定してもよい。
また、電線固定部13,33,42,53,63は、上述した形状に限定せず、端子接続部の主面に対して略90度回転した主面を有する形状であれば、適宜の形状のメス型端子であってもよい。
【0226】
また、電線固定部13,33,42,53,63の主面と、端子接続部11,31,41,51,61の主面とが略直交する向きとしたが、これに限定せず、端子接続部の主面が、電線3の長手方向を軸中心とする回転方向を向くとともに、電線固定部の主面に交差する向きであれば、適宜の形状のメス型端子であってもよい。例えば電線固定部の主面に対して端子接続部の主面が45度以上135度以下の範囲で交差するメス型端子であってもよい。
【0227】
また、メス型端子100,110,120,130,140の端子接続部11,31,41,51,61にバネ部材20を備えた構成としたが、これに限定せず、バネ部材20を備えていないメス型端子であってもよい。
【0228】
また、バネ部材20におけるアームバネ25の基部25a及び接点25bを、上方に突出した側面視略円弧状の仮想線上に設けたが、これに限定せず、アームバネ25の基部25a及び接点25bが、前後方向Xに側面視略平行な仮想線上に設けられたバネ部材20であってもよい。
【0229】
また、実施例1において、幅方向Yに2つ並置したメス型端子100がコネクタハウジング2に収容された構成としたが、これに限定せず、1つのメス型端子、または3つ以上のメス型端子がコネクタハウジングに収容された構成であってよい。
【0230】
また、実施例1において、メス型端子100の電線固定部13を延設部12の下端に設けたが、これに限定せず、電線固定部13を延設部12の上端から他方の壁部11aへ向かう幅方向Yに延設して形成してもよい。
また、実施例2において、第2メス型端子110の電線固定部33を延設部32の上端に設けたが、これに限定せず、電線固定部33を延設部32の下端から他方の壁部11aへ向かう幅方向Yに延設してもよい。
【0231】
また、実施例2において、第1端子付き電線4の第1メス型端子100と第2端子付き電線7の第2メス型端子110とをコネクタハウジング6に収容保持したが、これに限定せず、第1メス型端子100及び第2メス型端子110を一組として、二組以上の第1メス型端子100及び第2メス型端子110をコネクタハウジングに収容保持した構成であってもよい。
【0232】
また、実施例1の端子付き電線4において、導体3aの基端が谷折り変形しているとしたが、これに限定にしない。
例えばメス型端子100の電線固定部13の板厚方向を上下方向として、電線3の導体3a及びメス型端子100が、電線3の中心軸Tに対してベンドダウンするように、導体3aの基端が折れ曲がり変形してもよい。
【0233】
同様に、実施例2の第2端子付き電線7、実施例3の端子付き電線4A及び実施例4の端子付き電線4Bにおいて、導体3aの基端の変形が上述した実施例とは逆方向であってよい。
この場合であっても、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0234】
1,5…ワイヤーハーネス
2,6…コネクタハウジング
2c…保持部材
3…電線
3a…導体
4…端子付き電線,第1端子付き電線
4A,4B…端子付き電線
7…第2端子付き電線
11,31,51,61…端子接続部
11a,31a,51a,61a…壁部
11b,31b,51b…底部
12,32,52,62…延設部
13,33,53,63…電線固定部
20…バネ部材
25…アームバネ
25a…基部
25b…接点
54…補強部
100…メス型端子,第1メス型端子
110…第2メス型端子
130,140…メス型端子
200…オス型端子
201…接続ブレード
X…前後方向
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