(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032407
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 11/11 20060101AFI20240305BHJP
H01R 13/187 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01R11/11 G
H01R13/187 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136045
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島貫 斉史
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智明
(57)【要約】
【課題】電線4の導体4aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子90との接続を容易にして導通性を確保できるメス型端子3、コネクタ、端子付き電線5及びワイヤーハーネス1を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の板厚を有する導電性の板材で成形されたメス型端子3であって、下方へ向けてオス型端子90が接続される端子接続部11と、上下方向に対して直交する前後方向Xに長手方向を略一致させた電線4の導体4aが板厚方向に向けて固定される電線固定部12と、前後方向Xに沿って並置した端子接続部11及び電線固定部12を連結するとともに、端子接続部11及び電線固定部12に比べて電線固定部12の板厚方向への変形性が高い連結部13とが設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の板厚を有する導電性の板材で成形された接続端子であって、
所定の接続方向へ向けて別の接続端子が接続される端子接続部と、
前記接続方向に対して直交する直交方向に長手方向を略一致させた電線の導体が板厚方向に向けて固定される電線固定部と、
前記直交方向に沿って並置した前記端子接続部及び前記電線固定部を連結するとともに、前記端子接続部及び前記電線固定部に比べて前記電線固定部の前記板厚方向への変形性が高い連結部とが備えらえた
接続端子。
【請求項2】
前記板厚方向から見て前記直交方向に直交する方向を幅方向として、
前記連結部が、前記電線固定部における前記幅方向の長さよりも短い前記幅方向の長さで形成された
請求項1に記載の接続端子。
【請求項3】
前記板厚方向から見て前記直交方向に直交する方向を幅方向として、
前記電線固定部における前記幅方向の略中央が、前記連結部を介して前記端子接続部に連結された
請求項1に記載の接続端子。
【請求項4】
前記端子接続部が、
底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、該断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型である
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の接続端子。
【請求項5】
前記連結部が、
前記端子接続部の前記底部と前記電線固定部とを連結する構成であり、
前記電線固定部が、
前記接続方向を前記板厚方向とする形状に形成された
請求項4に記載の接続端子。
【請求項6】
前記連結部が、
前記端子接続部の前記壁部と前記電線固定部とを連結する構成であり、
前記電線固定部が、
前記接続方向から見て前記直交方向に直交する方向を前記板厚方向とする形状に形成された
請求項4に記載の接続端子。
【請求項7】
前記端子接続部の前記壁部を反力として前記オス型端子の一部を弾性支持するとともに、前記オス型端子と前記端子接続部とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材が備えられた
請求項4に記載の接続端子。
【請求項8】
請求項1に記載の接続端子と、
電線固定部の板厚方向に変形した前記接続端子を収容保持可能なコネクタハウジングとが備えられた
コネクタ。
【請求項9】
請求項1に記載の接続端子と、
該接続端子の電線固定部に導体を接続した電線とが備えられた
端子付き電線。
【請求項10】
請求項9に記載の端子付き電線と、
電線固定部の板厚方向に接続端子が変形した前記端子付き電線を収容保持したコネクタハウジングとが備えられた
ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば大電流用の電線の先端に装着されるような接続端子及びコネクタ、並びに電線の先端に接続端子を装着した端子付き電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載されている電装機器は、電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、電源または別の電装機器に電気的に接続されている。このため、電線の先端には、電源または電気機器に接続するための接続端子が設けられている。
【0003】
ところで、このようなワイヤーハーネスでは、電線の導体を接続端子に固定する際、接続端子及び導体に加わった荷重によって、接続端子または/および電線が変形することが知られている。
【0004】
例えば特許文献1では、オス型端子が接続される端子接続部と、電線の導体が固定される電線固定部とを有するメス型端子において、導体を固定する際の荷重によって、端子接続部が電線固定部に対してベンドアップ方向やツイスト方向に変形するとされている。
【0005】
このように導体の固定に伴う変形が接続端子または/および電線に生じると、コネクタハウジングの内部において、所定の接続方向に向けて接続されるオス型端子に対して、メス型端子の端子接続部が傾いた状態となるため、オス型端子を接続方向に沿って挿し込み難いだけでなく、接触不良の要因になり易い。
【0006】
この場合、接続端子または/および電線の変形箇所を、例えばコネクタハウジングへの接続端子の収容に伴って矯正することが考えられる。
しかしながら、例えば大電流用の電線及び接続端子のように、電線及び接続端子の剛性が高い場合、変形箇所の矯正に必要な荷重も高くなるため、変形箇所を十分に矯正できない、あるいは電線や接続端子からの反力によってコネクタハウジングに意図しない不具合が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、特許文献1では、コネクタハウジングの内部に収容する前に、導体の固定に伴って変形した接続端子の形状を矯正している。
ところが、特許文献1のように、変形したメス型端子の形状を矯正する場合、メス型端子の変形箇所が伸長することで、変形箇所の抵抗値の増加や耐久信頼性の低下が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保できる接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された接続端子であって、所定の接続方向へ向けて別の接続端子が接続される端子接続部と、前記接続方向に対して直交する直交方向に長手方向を略一致させた電線の導体が板厚方向に向けて固定される電線固定部と、前記直交方向に沿って並置した前記端子接続部及び前記電線固定部を連結するとともに、前記端子接続部及び前記電線固定部に比べて前記電線固定部の前記板厚方向への変形性が高い連結部とが備えらえたことを特徴とする。
【0011】
またこの発明は、上述の接続端子と、電線固定部の板厚方向に変形した前記接続端子を収容保持可能なコネクタハウジングとが備えられたコネクタであることを特徴とする。
またこの発明は、上述の接続端子と、該接続端子の電線固定部に導体を接続した電線とが備えられた端子付き電線であることを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、上述の端子付き電線と、電線固定部の板厚方向に接続端子が変形した前記端子付き電線を収容保持したコネクタハウジングとが備えられたワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0013】
上記接続端子は、オス型の接続端子が接続されるメス型端子、あるいはメス型の接続端子が接続されるオス型端子のことをいう。
上記導体が固定されるとは、加締めなどの圧着、あるいは超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定されることをいう。
上記変形性が高いとは、端子接続部及び電線固定部を電線固定部の板厚方向へ変形させる場合に比べて、小さい荷重で電線固定部の板厚方向へ変形させられることをいう。
【0014】
この発明によれば、端子接続部と電線固定部と連結する連結部によって、導体の固定に伴う変形を制御できるため、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0015】
具体的には、端子接続部及び電線固定部に対して連結部が電線固定部の板厚方向に変形し易いため、導体の固定に伴う荷重が加わった際、接続端子の連結部が、電線固定部の板厚方向へ向けて変形する。
【0016】
このため、板厚方向が別の接続端子の接続方向に略一致するように電線固定部を設けることで、接続端子は、接続方向から見た直交方向に対して端子接続部が交差するように折れ曲がり変形する、あるいは直交方向を回転軸として端子接続部が回転するように捩れ変形することを、電線固定部の板厚方向に変形する連結部によって防止できる。
【0017】
さらに、例えば接続端子の端子接続部、及び電線の絶縁被覆を適宜の治具で保持した状態で、導体を電線固定部に固定することで、電線における絶縁被覆の先端近傍が、連結部の変形に伴って連結部とは逆方向に変形する。
つまり、連結部の変形に伴って電線に変形が生じた場合、端子接続部は、電線固定部の板厚方向へ平行移動するように変形することができる。
【0018】
このため、板厚方向が別の接続端子の接続方向に直交するように電線固定部を設けることで、接続端子は、接続方向から見た直交方向に対して端子接続部が交差するように折れ曲がり変形する、あるいは直交方向を回転軸として端子接続部が回転するように捩れ変形することを、電線固定部の板厚方向に変形する連結部によって防止できる。
【0019】
このように接続端子の連結部は、導体の固定に伴う接続端子の変形を制御して、電線固定部の板厚方向を上下方向とするツイスト方向及びローリング方向への変形を抑えることができる。
【0020】
これにより、接続端子は、例えば別の接続端子の接続方向から見た直交方向に沿った仮想直線に対して略平行に配置された端子接続部を、導体の固定に伴う変形が生じた後であっても、直交方向に沿った仮想直線に対して略平行にすることができる。
【0021】
したがって、接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスは、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保することができる。
加えて、コネクタハウジングが、電線固定部の板厚方向に変形した接続端子を収容保持できるため、コネクタ及びワイヤーハーネスを容易に構成することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記板厚方向から見て前記直交方向に直交する方向を幅方向として、前記連結部が、前記電線固定部における前記幅方向の長さよりも短い前記幅方向の長さで形成されてもよい。
【0023】
この構成によれば、電線固定部の幅方向の長さよりも短い幅方向の長さで連結部が形成されているため、例えば板状に展開した接続端子に設けた幅狭部分で連結部を構成することができる。このため、接続端子は、導体の固定に伴う変形を簡素な構成で制御することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記板厚方向から見て前記直交方向に直交する方向を幅方向として、前記電線固定部における前記幅方向の略中央が、前記連結部を介して前記端子接続部に連結されてもよい。
【0025】
この構成によれば、電線固定部の幅方向の略中央が連結部を介して端子接続部に連結されているため、導体の固定に伴って電線固定部に加わった荷重が、直交方向を回転軸とする回転方向の荷重として連結部に作用することを抑えられる。
【0026】
このため、接続端子は、導体の固定に伴う荷重が加わった際、電線固定部に対して端子接続部が捻じれるように変形することを防止できる。
これにより、接続端子は、電線固定部の板厚方向を上下方向とするローリング方向への変形をさらに抑えることができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記端子接続部が、底部及び対向する一対の壁部を有する断面略U字状で、該断面略U字状の開口から前記底部へ向かう前記接続方向にオス型端子の一部が接続されるメス型であってもよい。
上記断面略U字状とは、湾曲した断面形状の底部を有する断面略U字状、あるいは底部と壁部との境界に角部を有する断面略U字状などのことをいう。
【0028】
この構成によれば、端子接続部が断面略U字状であるため、連結部に比べて端子接続部を高剛性化することができる。このため、接続端子は、導体の固定に伴う荷重が加わった際、連結部を電線固定部の板厚方向へより確実に変形させることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記連結部が、前記端子接続部の前記底部と前記電線固定部とを連結する構成であり、前記電線固定部が、前記接続方向を前記板厚方向とする形状に形成されてもよい。
【0030】
この構成によれば、端子接続部の底部に連結部を介して連結された電線固定部が接続方向を板厚方向とする形状に形成されているため、電線固定部の板厚方向に接続方向を略一致させることができる。
【0031】
これにより、接続端子の端子接続部は、接続方向から見た直交方向に対して交差するように折れ曲がり変形する、あるいは直交方向を回転軸として回転するように捩れ変形することなく、電線固定部の板厚方向へ向けて変形することができる。
【0032】
このため、接続端子は、導体の固定に伴う変形が生じても、端子接続部における断面略U字状の開口を、接続方向から見た直交方向に沿った仮想線上に位置させることができる。
よって、接続端子は、接続方向へ向けて移動するオス型端子に対して、端子接続部を略平行に位置させることができるため、オス型端子の一部との接続を容易にすることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記連結部が、前記端子接続部の前記壁部と前記電線固定部とを連結する構成であり、前記電線固定部が、前記接続方向から見て前記直交方向に直交する方向を前記板厚方向とする形状に形成されてもよい。
【0034】
この構成によれば、端子接続部の壁部に連結部を介して連結された電線固定部が直交方向に直交する方向を板厚方向とする形状に形成されているため、電線固定部の板厚方向と接続方向とが直交することになる。
【0035】
この際、連結部の変形に伴って、絶縁被覆の先端近傍が連結部とは逆方向に変形することで、接続端子の端子接続部は、電線固定部の板厚方向へ平行移動するように変形することができる。
【0036】
このため、接続端子は、導体の固定に伴う変形が生じても、端子接続部における断面略U字状の開口を、接続方向から見た直交方向に沿った仮想線に対して略平行に位置させることができる。
【0037】
よって、接続端子は、接続方向へ向けて移動するオス型端子に対して、端子接続部を略平行に位置させることができるため、オス型端子の一部との接続を容易にすることができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記端子接続部の前記壁部を反力として前記オス型端子の一部を弾性支持するとともに、前記オス型端子と前記端子接続部とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材が備えられてもよい。
【0039】
この構成によれば、端子接続部の壁部を反力としてバネ部材がオス型端子の一部を弾性支持するため、端子接続部がオス型端子に直接接触する場合に比べて、オス型端子との密着性を向上することができる。
よって、接続端子は、電線固定部に対して板厚方向に変形した端子接続部と、オス型端子の一部との導通性をより確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、電線の導体の固定に伴う変形を矯正することなく、別の接続端子との接続を容易にして導通性を確保できる接続端子、コネクタ、端子付き電線及びワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ワイヤーハーネスの末端部の概略を説明する説明図。
【
図2】平面視でのワイヤーハーネスの末端部の外観を示す平面図。
【
図6】端子接続部及びバネ部材の概略を説明する説明図。
【
図7】導体の固定に伴うメス型端子及び電線の変形を説明する説明図。
【
図8】実施例2におけるワイヤーハーネスの末端部の外観を示す平面図。
【
図9】実施例2におけるメス型端子の外観を示す外観斜視図。
【
図10】電線の固定に伴うメス型端子及び導体の変形を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0043】
実施例1では、電線4の先端にメス型端子3及びコネクタハウジング2を装着したワイヤーハーネス1について、
図1から
図7を用いて説明する。
なお、
図1はワイヤーハーネス1の末端部の概略を説明する説明図であり、
図1(a)はワイヤーハーネス1の末端部の外観斜視図を示し、
図1(b)はコネクタハウジング2を透過状態で図示したワイヤーハーネス1の末端部の外観斜視図を示している。
【0044】
さらに、
図2はワイヤーハーネス1の末端部の平面図を示し、
図3は
図2中のA-A矢視断面図を示し、
図4はメス型端子3の概略を説明する説明図であり、
図4(a)はメス型端子3の外観斜視図を示し、
図4(b)はメス型端子3の分解斜視図を示している。
【0045】
さらにまた、
図5はメス型端子3の平面図を示し、
図6は端子接続部11及びバネ部材20の概略を説明する説明図であり、
図6(a)は
図5中のB-B矢視断面図を示し、
図6(b)は一部を透過状態で図示したバネ部材20の断面斜視図を示している。
【0046】
加えて、
図7は導体4aの固定に伴うメス型端子3及び電線4の変形を説明する説明図であり、
図7(a)は電線固定前のメス型端子3及び電線4の側面図を示し、
図7(b)は電線固定後のメス型端子3及び電線4の側面図を示している。
【0047】
また、
図1中の上側を上方とし、
図1中の下側を下方として、図中の矢印Xは前後方向(以下、前後方向Xと呼ぶ)を示し、図中の矢印Yは前後方向Xに対して平面視略直交する方向(以下、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0048】
実施例1のワイヤーハーネス1は、
図1から
図3に示すように、上方が開口したコネクタハウジング2と、コネクタハウジング2とでコネクタ(符号省略)をなすメス型端子3が電線4の先端に接続された2本の端子付き電線5とを備えている。
【0049】
そして、ワイヤーハーネス1は、電線4の長手方向を前後方向Xに略一致させた状態で幅方向Yに並置した2本の端子付き電線5のメス型端子3を、コネクタハウジング2の内部に収容している。
【0050】
詳述すると、コネクタハウジング2は、
図1(a)及び
図3に示すように、上方が開口した略ボックス状の端子収容部2aと、端子収容部2aの下部から前後方向Xの一方に延びる略筒状の電線収容部2bとで、内部中空形状に形成されている。
【0051】
このコネクタハウジング2には、
図3に示すように、端子付き電線5のメス型端子3が端子収容部2aに収容され、端子付き電線5の電線4が電線収容部2bに収容されている。
さらに、電線収容部2bの内部には、
図3に示すように、2本の電線4が挿通されるとともに、挿通された2本の電線4を保持する保持部材2cが嵌合によって装着されている。
【0052】
この保持部材2cは、
図3に示すように、電線収容部2bの内面に外周面が接触することで、挿通された2本の電線4を電線収容部2bと協働で保持するとともに、コネクタハウジング2の内部への粉塵や水分の侵入を阻止している。
【0053】
また、端子付き電線5は、
図1(b)から
図3に示すように、大電流または高電圧に対応した大径で、細径の丸電線に比べて剛性の高い丸電線である電線4と、電線4の一端に導通可能に固定したメス型端子3とを備えている。
【0054】
詳述すると、電線4は、導電性を有する導体と、導体を覆う絶縁被覆とで構成されている。この電線4は、導体の先端部分を絶縁被覆から露出させるとともに、絶縁被覆から露出した導体の先端部分を、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって後述するメス型端子3の電線固定部12に固定している。
【0055】
この際、絶縁被覆から露出した導体の先端部分は、メス型端子3の電線固定部12への固定に伴って断面略円形から断面略板状に変形し、断面略板状の状態で電線固定部12に固定されている。
なお、以降の説明を容易にするため、電線4において、絶縁被覆から露出した導体の先端部分を、導体4aと符号を付して説明する。
【0056】
また、メス型端子3は、後ほど詳述するが、
図2及び
図3に示すように、前後方向Xの一方側に電線4の導体4aが固定される電線固定部12を備え、前後方向Xの他方側にオス型端子90の接続ブレード91が接続される端子接続部11を備えている。
【0057】
このような端子付き電線5は、
図3に示すように、電線4を電線固定部12に固定する際に加わる荷重によって、電線固定部12と端子接続部11との間が折れ曲がり変形するとともに、導体4aの基端が折れ曲がり変形した状態で、コネクタハウジング2の内部に収容されている。
【0058】
引き続き、上述した実施例1のメス型端子3について詳述する。メス型端子3は、
図3から
図5に示すように、上述した端子接続部11及び電線固定部12を有する端子本体10と、端子接続部11に接続されるオス型端子90の接続ブレード91を弾性支持するバネ部材20とを備えている。
【0059】
具体的には、メス型端子3の端子本体10は、例えば銅や銅合金などの導電性を有するとともに、大電流または高電圧に対応する所定の板厚を有する金属製の板材で構成され、所望される展開形状に打ち抜いた板材を折り曲げ加工することで後述する形状に形成されている。
なお、端子本体10は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されていない非メッキ部材である。
【0060】
この端子本体10は、
図3及び
図4に示すように、オス型端子90の接続ブレード91が上方から下方へ向けて挿入される端子接続部11と、電線4の導体4aが固定される電線固定部12と、前後方向Xに沿って並置した端子接続部11及び電線固定部12を連結する連結部13とで構成されている。
なお、電線4を固定する前の端子本体10は、電線固定部12と端子接続部11との間が折れ曲がり変形をしていない状態に形成されている。
【0061】
より詳しくは、端子本体10の端子接続部11は、
図4(b)及び
図6(a)に示すように、幅方向Yで対向する板状の一対の壁部11aと、壁部11aの下端同士を幅方向Yに連結する底部11bとで、上方が開口するとともに、前後方向Xに延びる断面略U字状に形成されている。
【0062】
そして、端子接続部11は、
図3及び
図6(a)に示すように、断面略U字状の開口から下方へ向けて挿入されたオス型端子90の接続ブレード91に、後述するバネ部材20を介して電気的に接続可能に構成されている。
【0063】
具体的には、端子接続部11の一対の壁部11aは、
図6(a)に示すように、幅方向Yを板厚方向とする平板状であって、オス型端子90の接続ブレード91の板厚よりも幅広な間隔を隔てて幅方向Yに対向配置されている。
【0064】
なお、壁部11aは、他方の壁部11aに対向する主面が上下方向に対して略平行、かつ幅方向Yに直交するように配置されている。
一方、端子接続部11の底部11bは、
図6(a)に示すように、上下方向を板厚方向とする板状であって、一方の主面である上面が前後方向Xに略平行、かつ上下方向に直交するように配置されている。
【0065】
また、端子本体10の電線固定部12は、
図4及び
図5に示すように、前後方向Xに長い平面視略矩形の平板状であって、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線4の導体4aが上下方向に沿って固定可能に形成されている。
【0066】
具体的には、電線固定部12は、
図6(a)に示すように、上下方向を板厚方向とする平板状であって、一方の主面である上面が、端子接続部11における底部11bの上面に略平行、かつ同じ上下方向の位置に位置するように配置されている。
【0067】
この電線固定部12は、
図4(b)及び
図5に示すように、幅方向Yの中央部分が、後述する連結部13を介して、端子接続部11の底部11bに連結されている。
このような構成のため、実施例1では、
図4(a)に示すように、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線4の導体4aが、上下方向を板厚方向とする電線固定部12の上面に固定されている。
【0068】
また、端子本体10の連結部13は、
図4及び
図5に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置された端子接続部11の底部11bと、電線固定部12の幅方向Yの略中央とを前後方向Xに連結している。この連結部13は、端子接続部11及び電線固定部12に比べて上下方向(電線固定部12の板厚方向)への変形性が高い形状に形成されている。
【0069】
具体的には、連結部13は、
図4及び
図5に示すように、上下方向を板厚方向とする板状であって、底部11bの端面と電線固定部12の端面とを前後方向Xに連結している。このため、連結部13における一方の主面である上面は、端子接続部11における底部11bの上面及び電線固定部12の上面に略平行、かつ同じ上下方向の位置に位置している。
【0070】
さらに、連結部13は、
図5に示すように、幅方向Yの長さを端子接続部11における幅方向Yの長さ及び電線固定部12における幅方向Yの長さよりも短くすることで、端子接続部11及び電線固定部12に対して上下方向に変形し易い部位を構成している。
【0071】
また、メス型端子3のバネ部材20は、弾性及び導電性を有するとともに、端子本体10に比べて薄肉の金属板で構成され、所望される展開形状に打ち抜いた金属板を折り曲げ加工することで、端子本体10における端子接続部11の外形に沿った形状に形成されている。
【0072】
さらに、バネ部材20は、端子本体10の壁部11aの間に挿入されたオス型端子90の接続ブレード91に対して接触するとともに、一方の壁部11aを反力として、他方の壁部11aへ向けた付勢力がオス型端子90の接続ブレード91に作用するように構成されている。
なお、バネ部材20は、錫メッキなどのように導電性を向上させるためのメッキ処理が表面に施されている。
【0073】
より詳しくは、バネ部材20は、
図6(a)に示すように、壁部11aの上端面に載置固定される一対の固定面部21と、固定面部21の幅方向Yの両端からそれぞれ下方へ垂設された一対の外面部22及び一対の内面部23とを備えている。
【0074】
さらに、バネ部材20は、
図6(a)に示すように、内面部23の下端を連結する底面部24と、内面部23の上部から斜め下方へ向けて延びる複数のアームバネ25とを備えている。
【0075】
具体的には、バネ部材20の固定面部21は、
図5及び
図6(a)に示すように、端子接続部11よりも短い前後方向Xの長さと、端子接続部11における壁部11aの板厚に略同じ幅方向Yの長さを有する平面視略矩形の平板状に形成されている。
この固定面部21は、端子接続部11の壁部11aにレーザー溶接などの溶接によって固定され、端子本体10と電気的に接続される部分として設けられている。
【0076】
また、バネ部材20の外面部22は、
図6(a)に示すように、内面部23とで壁部11aを挟持するように、固定面部21における幅方向Yの外側の端部から、壁部11aの主面に沿って垂設されている。なお、外面部22は、壁部11aの上端から上下方向の略中央の位置に至る上下方向の長さで延設されている。
【0077】
また、バネ部材20の内面部23は、
図6(a)に示すように、外面部22とで壁部11aを挟持するように、固定面部21における幅方向Yの内側から壁部11aの主面に沿って垂設されている。なお、内面部23は、壁部11aの上端から壁部11aの下部に至る上下方向の長さで延設されている。
【0078】
この内面部23は、
図6(b)に示すように、上下方向の略中央かつ前後方向Xの略中央を側面視略矩形にくり抜いて形成した開口部分23aによって、側面視略矩形の枠状に形成されている。
【0079】
また、バネ部材20の底面部24は、
図6(a)に示すように、端子接続部11における底部11bの上面よりも僅かに上方の位置で、内面部23の下端を幅方向Yに連結している。
また、バネ部材20のアームバネ25は、
図6(b)に示すように、内面部23の開口部分23aに、前後方向Xに所定間隔を隔てて複数並置された片持ちの弾性片に形成されている。
【0080】
さらに詳述すると、アームバネ25は、
図6(a)に示すように、内面部23における開口部分23aの上端縁から下方かつ他方の壁部11aへ向けて延びたのち、その先端を頂部として、頂部から開口部分23aの下端縁へ向けて折り返した形状に形成されている。
【0081】
このアームバネ25は、幅方向Yで対向する頂部の間隔が、オス型端子90の接続ブレード91の板厚よりも幅狭な間隔となるように形成されている。このため、アームバネ25の頂部は、オス型端子90の接続ブレード91に接触する接点20aとして機能する。
【0082】
次に、メス型端子3の電線固定部12への電線4の導体4aの固定に伴って、端子接続部11と電線固定部12との間が折れ曲がり変形するとともに、導体4aの基端が折れ曲がり変形する過程について
図7を用いて説明する。
【0083】
まず、作業者または組付け装置は、
図7(a)に示すように、バネ部材20が端子接続部11に固定されたメス型端子3の電線固定部12の上面に、電線4の導体4aを上方から載置する。
この際、作業者または組付け装置は、電線固定部12の上面における幅方向Yの中央と、電線4の中心軸とが平面視で略一致するように、電線固定部12の上面に電線4の導体4aを載置する。
【0084】
その後、作業者または組付け装置は、端子接続部11が適宜の治具で保持されたメス型端子3の電線固定部12に対して、絶縁被覆が適宜の治具で保持された電線4の導体4aを、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定して端子付き電線5を構成する。
【0085】
この際、メス型端子3及び導体4aに加わる溶接時の荷重により、電線4の導体4aが、押し潰されて断面略円形から断面略板状に変形する。
さらに、上下方向に変形し易い連結部13が上下方向に変形することで、メス型端子3が上下方向に谷折り変形するとともに、メス型端子3の変形に伴って、導体4aの基端が上下方向に変形することで、電線4が上下方向に山折り変形する(
図7(b)参照)。
【0086】
このため、端子付き電線5は、
図7(b)に示すように、メス型端子3の端子接続部11が、電線4の中心軸Tよりも僅かに下方の位置に平行移動した側面視略クランク状に変形する。
【0087】
より詳しくは、メス型端子3の電線固定部12の板厚方向を上下方向とすると、端子付き電線5は、電線4の導体4a及びメス型端子3が、電線4の中心軸Tに対してベンドダウンし、メス型端子3の端子接続部11が、電線固定部12に対してベンドアップすることで、側面視略クランク状に変形している。
【0088】
これにより、端子付き電線5は、
図2に示すように、平面視において、電線4の中心を通る前後方向Xに沿った仮想直線(図示省略)に対して、端子接続部11の幅方向Yの略中央が略一致し、かつ壁部11aの主面が略平行な状態を維持している。
その後、作業者または組付け装置は、端子付き電線5をコネクタハウジング2の内部に収容してワイヤーハーネス1を構成する。
【0089】
このようにして、実施例1のメス型端子3及び端子付き電線5は、導体4aの固定に伴うメス型端子3の変形を制御して、電線固定部12の板厚方向を上下方向とするツイスト方向及びローリング方向への端子接続部11の変形を抑えている。
【0090】
以上のように、所定の板厚を有する導電性の板材で成形された実施例1のメス型端子3は、上下方向へ向けてオス型端子90が接続される端子接続部11と、上下方向に対して直交する前後方向Xに長手方向を略一致させた電線4の導体4aが板厚方向に向けて固定される電線固定部12とが備えられている。
【0091】
さらに、メス型端子3は、前後方向Xに沿って並置した端子接続部11及び電線固定部12を連結するとともに、端子接続部11及び電線固定部12に比べて電線固定部12の板厚方向への変形性が高い連結部13が備えられている。
【0092】
また、実施例1のコネクタは、上述したメス型端子3と、電線固定部12の板厚方向に変形したメス型端子3を収容保持可能なコネクタハウジング2とが備えられている。
また、実施例1の端子付き電線5は、上述したメス型端子3と、メス型端子3の電線固定部12に導体4aを接続した電線4とが備えられている。
【0093】
また、実施例1のワイヤーハーネス1は、上述した端子付き電線5と、電線固定部12の板厚方向にメス型端子3が変形した端子付き電線5を収容保持したコネクタハウジング2とが備えられている。
【0094】
この構成によれば、端子接続部11と電線固定部12と連結する連結部13によって、導体4aの固定に伴う変形を制御できるため、電線4の導体4aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子90との接続を容易にして導通性を確保することができる。
【0095】
具体的には、端子接続部11及び電線固定部12に対して連結部13が電線固定部12の板厚方向に変形し易いため、導体4aの固定に伴う荷重が加わった際、メス型端子3の連結部13は、電線固定部12の板厚方向へ向けて変形する。
【0096】
このため、メス型端子3は、上下方向から見た前後方向Xに対して端子接続部11が交差するように折れ曲がり変形する、あるいは前後方向Xを回転軸として端子接続部11が回転するように捩れ変形することを、電線固定部12の板厚方向に変形する連結部13によって防止できる。
【0097】
このようにメス型端子3の連結部13は、導体4aの固定に伴うメス型端子3の変形を制御して、電線固定部12の板厚方向を上下方向とするツイスト方向及びローリング方向への変形を抑えることができる。
【0098】
これにより、導体4aの固定に伴う変形が生じた場合であっても、メス型端子3は、オス型端子90の接続方向から見た端子接続部11を、電線4を固定する前と同様に、前後方向Xに沿った仮想直線に対して略平行にすることができる。
【0099】
したがって、メス型端子3、コネクタ、端子付き電線5及びワイヤーハーネスは、電線4の導体4aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子90との接続を容易にして導通性を確保することができる。
加えて、コネクタハウジング2が、電線固定部12の板厚方向に変形したメス型端子3を収容保持できるため、コネクタ及びワイヤーハーネス1を容易に構成することができる。
【0100】
また、連結部13が電線固定部12における幅方向Yの長さよりも短い幅方向Yの長さで形成されているため、メス型端子3は、例えば板状に展開したメス型端子3に設けた幅狭部分で連結部13を構成することができる。このため、メス型端子3は、導体4aの固定に伴う変形を簡素な構成で制御することができる。
【0101】
また、電線固定部12における幅方向Yの略中央が、連結部13を介して端子接続部11に連結されているため、導体4aの固定に伴って電線固定部12に加わった荷重が、前後方向Xを回転軸とする回転方向の荷重として連結部13に作用することを抑えられる。
【0102】
このため、メス型端子3は、導体4aの固定に伴う荷重が加わった際、電線固定部12に対して端子接続部11が捻じれるように変形することを防止できる。
これにより、メス型端子3は、電線固定部12の板厚方向を上下方向とするローリング方向への変形をさらに抑えることができる。
【0103】
また、端子接続部11が、底部11b及び対向する一対の壁部11aを有する断面略U字状で、断面略U字状の開口から底部11bへ向かう上下方向にオス型端子90の一部が接続されるメス型である。
【0104】
この構成によれば、端子接続部11が断面略U字状であるため、連結部13に比べて端子接続部11を高剛性化することができる。このため、メス型端子3は、導体4aの固定に伴う荷重が加わった際、連結部13を電線固定部12の板厚方向へより確実に変形させることができる。
【0105】
また、連結部13が端子接続部11の底部11bと電線固定部12とを連結する構成であり、電線固定部12が上下方向を板厚方向とする形状に形成されているため、メス型端子3は、電線固定部12の板厚方向にオス型端子90の接続方向を略一致させることができる。
【0106】
これにより、メス型端子3の端子接続部11は、上下方向から見た前後方向Xに対して交差するように折れ曲がり変形する、あるいは前後方向Xを回転軸として回転するように捩れ変形することなく、電線固定部12の板厚方向へ向けて変形することができる。
【0107】
このため、メス型端子3は、導体4aの固定に伴う変形が生じても、端子接続部11における断面略U字状の開口を、上下方向から見た前後方向Xに沿った仮想線上に位置させることができる。
【0108】
よって、メス型端子3は、上方から下方へ向けて移動するオス型端子90に対して、端子接続部11を略平行に位置させることができるため、オス型端子90の一部との接続を容易することができる。
【0109】
また、メス型端子3は、端子接続部11の壁部11aを反力としてオス型端子90の一部を弾性支持するとともに、オス型端子90と端子接続部11とを電気的に接続する導電性を有するバネ部材20が備えられている。
【0110】
この構成によれば、端子接続部11の壁部11aを反力としてバネ部材20がオス型端子90の一部を弾性支持するため、端子接続部11がオス型端子90に直接接触する場合に比べて、オス型端子90との密着性を向上することができる。
よって、メス型端子3は、電線固定部12に対して板厚方向に変形した端子接続部11と、オス型端子90の一部との導通性をより確実に確保することができる。
そして、ワイヤーハーネス6は、電線4の長手方向を前後方向Xに略一致させた状態で幅方向Yに並置した2本の端子付き電線8のメス型端子7を、コネクタハウジング2の内部に収容している。
具体的には、連結部33は、幅方向Yを板厚方向とする板状であって、一方の壁部31aの端面と電線固定部32の端面とを前後方向Xに連結している。このため、連結部33の主面は、一方の壁部31aの主面及び電線固定部32の主面に略平行、かつ同じ幅方向Yの位置に位置している。
その後、作業者または組付け装置は、端子接続部31が適宜の治具で保持されたメス型端子7の電線固定部32に対して、絶縁被覆が適宜の治具で保持された電線4の導体4aを、超音波溶接や抵抗溶接などの溶接によって固定して端子付き電線8を構成する。
より詳しくは、メス型端子7の電線固定部32の板厚方向を上下方向とすると、端子付き電線8は、電線4の導体4a及びメス型端子7が、電線4の中心軸Tに対してベンドアップし、メス型端子7の端子接続部31が、電線固定部32に対してベンドダウンすることで、平面視略クランク状に変形している。
以上のように、実施例2のメス型端子7は、上下方向へ向けてオス型端子90が接続される端子接続部31と、前後方向Xに長手方向を略一致させた電線4の導体4aが板厚方向に向けて固定される電線固定部32とが備えられている。
さらに、メス型端子7は、前後方向Xに沿って並置した端子接続部31及び電線固定部32を連結するとともに、端子接続部31及び電線固定部32に比べて電線固定部32の板厚方向への変形性が高い連結部33が備えられている。
この構成によれば、端子接続部31及び電線固定部32に対して連結部33が電線固定部32の板厚方向に変形し易いため、導体4aの固定に伴う荷重が加わった際、メス型端子7の連結部33が、電線固定部32の板厚方向へ向けて変形する。
さらに、導体4aの基端が、連結部33の変形に伴って連結部33とは逆方向に向けて変形するため、端子接続部31は、電線固定部32の板厚方向へ平行移動するように変形することができる。
このため、メス型端子7は、接続方向から見た前後方向Xに対して端子接続部31が交差するように折れ曲がり変形する、あるいは前後方向Xを回転軸として端子接続部31が回転するように捩れ変形することを、電線固定部32の板厚方向に変形する連結部33によって防止できる。
このようにメス型端子7の連結部33は、導体4aの固定に伴うメス型端子7の変形を制御して、電線固定部32の板厚方向を上下方向とするツイスト方向及びローリング方向への変形を抑えることができる。
これにより、導体4aの固定に伴う変形が生じた場合であっても、メス型端子7は、オス型端子90の接続方向から見た端子接続部31を、電線4を固定する前と同様に、前後方向Xに沿った仮想直線に対して略平行にすることができる。
したがって、メス型端子7は、上述した実施例1と同様に、電線4の導体4aの固定に伴う変形を矯正することなく、オス型端子90との接続を容易にして導通性を確保することができる。
さらに、連結部33が、端子接続部31の壁部31aと電線固定部32とを連結する構成であり、電線固定部32が、上下方向から見て前後方向Xに直交する幅方向Yを板厚方向とする形状に形成されているため、メス型端子7は、電線固定部32の板厚方向とオス型端子90の接続方向とが直交することになる。
この際、連結部33の変形に伴って、導体4aの基端が連結部33とは逆方向に変形することで、メス型端子7の端子接続部31は、電線固定部32の板厚方向へ平行移動するように変形することができる。
このため、メス型端子7は、導体4aの固定に伴う変形が生じても、端子接続部31における断面略U字状の開口を、上下方向から見た前後方向Xに沿った仮想線に対して略平行に位置させることができる。
よって、メス型端子7は、上方から下方へ向けて移動するオス型端子90に対して、端子接続部31を略平行に位置させることができるため、オス型端子90の一部との接続を容易にすることができる。
具体的には、上述した実施形態において、幅方向Yに2つ並置したメス型端子3,7がコネクタハウジング2に収容された構成としたが、これに限定せず、1つのメス型端子、または3つ以上のメス型端子がコネクタハウジングに収容された構成であってよい。
また、オス型端子90の接続ブレード91が接続されるメス型端子3,7を用いて説明したが、これに限定せず、接続ブレード91を備えたオス型端子が電線4に接続された構成であってもよい。
また、メッキ処理が施されていない端子本体10としたが、これに限定せず、例えば電線固定部がメッキ処理された端子本体などのように、部分的にメッキ処理が施された端子本体であってもよい。
また、メッキ処理が施されたバネ部材20としたが、これに限定せず、例えばアームバネがメッキ処理されたバネ部材などのように、部分的にメッキ処理が施されたバネ部材であってもよい。
また、メス型端子3,7の端子接続部11,31にバネ部材20を備えた構成としたが、これに限定せず、バネ部材20を備えていないメス型端子であってもよい。
また、メス型端子3,7の電線固定部12,32に電線4の導体4aが溶接によって固定された構成としたが、これに限定せず、例えば電線固定部をオープンバレル形状とし、電線固定部に電線4の導体4aを加締めなどの圧着によって固定する構成であってもよい。
また、電線固定部12,32の一方の主面に電線4の導体4aを固定したが、これに限定せず、電線固定部12,32の他方の主面に導体4aを固定してもよい。
また、メス型端子3,7の連結部13,33を電線固定部12,32よりも幅狭にすることで、板厚方向に変形し易い連結部を構成したが、これに限定せず、電線固定部12及び端子接続部11に対して板厚方向に変形し易い形状であれば、適宜の形状の連結部であってもよい。
また、実施例2において、端子接続部31における一方の壁部31aに、連結部33を介して電線固定部32を連結したが、これに限定せず、端子接続部31における他方の壁部31aに、連結部33を介して電線固定部32を連結してもよい。
また、実施例1において、メス型端子3の電線固定部12の板厚方向を上下方向として、電線4の導体4a及びメス型端子3が、電線4の中心軸Tに対してベンドダウンし、メス型端子3の端子接続部11が、電線固定部12に対してベンドアップするとしたが、これに限定しない。
同様に、実施例2において、メス型端子7の電線固定部32の板厚方向を上下方向として、電線4の導体4a及びメス型端子7が、電線4の中心軸Tに対してベンドダウンし、メス型端子7の端子接続部31が、電線固定部32に対してベンドアップしてもよい。
この場合であっても、上述の実施例1及び実施例2と同様の効果を奏することができる。
これによれば、バネ部材20の接点20aが略円弧状に設けられているため、メス型端子3がベンドアップまたはベンドダウンした状態において、バネ部材20の接点20aとオス型端子90との接触箇所を、前後方向Xに略平行な仮想線上に接点が位置する場合に比べて確保し易くなる。
加えて、アームバネ25の基部が略円弧状に設けられているため、基部から接点20aに至る上下方向の長さをアームバネ25ごとに同じにすることができる。
これにより、オス型端子90への付勢力や節度感をアームバネ25ごとに均一できるため、メス型端子3は、オス型端子90の接続状態の管理を容易にすることができる。
よって、メス型端子3は、オス型端子90の接続不良を防止して、オス型端子90との導通性を確実に確保することができる。