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特開2024-32486ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、ワークの研磨システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032486
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、ワークの研磨システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20240305BHJP
   G01B 9/02055 20220101ALI20240305BHJP
【FI】
G01B11/02 G
G01B9/02055
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136161
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕司
(72)【発明者】
【氏名】高梨 啓一
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064DD02
2F064DD04
2F064FF07
2F064JJ02
2F065AA30
2F065BB01
2F065CC19
2F065DD03
2F065DD15
2F065FF52
2F065GG24
2F065HH03
2F065HH13
2F065JJ02
2F065JJ09
2F065LL67
2F065MM16
2F065PP24
2F065QQ03
(57)【要約】
【課題】本発明は、分光干渉式センサを用いた場合に、精度良くワークの厚さを測定することができる、ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、及びワークの研磨システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のワークの厚さの測定装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、ワークの厚さを測定する、測定部と、前記筐体内に配置され、前記筐体内の気流を整流する、整流装置と、を備え、前記測定部は、分光干渉式センサを備える。本発明のワークの研磨システムは、上記のワークの厚さの測定装置が、を、ワーク搬入部及びワーク搬出部のそれぞれに設置されている。本発明のワークの厚さの測定方法は、分光干渉式センサを備えた測定部を用いてワークの厚さを測定する方法であって、前記測定部は、筐体内に配置され、前記筐体内に配置された整流装置を用いて、前記筐体内の気流を整流しながら、前記測定部によりワークの厚さを測定する。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、ワークの厚さを測定する、測定部と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の気流を整流する、整流装置と、を備え、
前記測定部は、分光干渉式センサを備えることを特徴とする、ワークの厚さの測定装置。
【請求項2】
機材を格納する格納部をさらに備える、請求項1に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項3】
前記筐体内の上方から、前記整流装置、前記測定部、及び前記格納部の順に配置されており、
前記整流装置と前記測定部との間に第1の仕切り部を有し、
前記測定部と前記格納部との間に第2の仕切り部を有し、
前記第1の仕切り部に、第1の開口部が設けられ、
前記第2の仕切り部に、第2の開口部が設けられている、請求項1又は2に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項4】
前記第2の開口部を有する前記第2の仕切り部は、パンチングプレートである、請求項3に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項5】
前記筐体の、前記格納部を区画する側部に、排気スリットを設けている、請求項2に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項6】
前記筐体の底部は、パンチングプレートで構成されている、請求項1又は2に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項7】
前記筐体の少なくとも内部に、温度センサが配置されている、請求項1又は2に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項8】
前記ワークが、半導体ウェーハである、請求項1又は2に記載のワークの厚さの測定装置。
【請求項9】
ワーク搬入ユニットと、ワーク搬出ユニットとを備え、
請求項1又は2に記載のワークの厚さの測定装置を、前記ワーク搬入ユニット及び前記ワーク搬出ユニットのそれぞれに設置したことを特徴とする、ワークの研磨システム。
【請求項10】
研磨ユニット、洗浄ユニット、及び乾燥ユニットをさらに備えている、請求項9に記載のワークの研磨システム。
【請求項11】
前記ワークが、半導体ウェーハである、請求項9に記載のワークの研磨システム。
【請求項12】
分光干渉式センサを備えた測定部を用いてワークの厚さを測定する、ワークの厚さの測定方法であって、
前記測定部は、筐体内に配置され、
前記筐体内に配置された整流装置を用いて、前記筐体内の気流を整流しながら、前記測定部によりワークの厚さを測定することを特徴とする、ワークの厚さの測定方法。
【請求項13】
前記筐体の少なくとも内部に配置した、温度センサにより、前記筐体の少なくとも内部の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、適したワークの厚さの測定時間を見積もる工程と、
見積もった測定時間で、ワークの厚さを測定する工程と、を含む、請求項12に記載のワークの厚さの測定方法。
【請求項14】
前記筐体の少なくとも内部に配置した、温度センサにより、前記筐体の少なくとも内部の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、測定の精度の合否を判定する工程を含む、請求項12に記載のワークの厚さの測定方法。
【請求項15】
前記ワークが、半導体ウェーハである、請求項12又は13に記載のワークの厚さの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、及びワークの研磨システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のワークの厚さを測定する方法としては大きく2種類ある。1つは、図1に示すような、ワークのおもて側及び裏側にそれぞれ変位センサを設置して測定する方法である。この方法では2つの変位センサの距離からワークおもて面までの距離と裏面までの距離とを引くことにより、ワークの厚みを算出することができる。
【0003】
しかしながら、この方法では、2つの変位センサの軸ずれ、測定駆動部の振動、及び測定機回りの熱膨張等により、nmオーダーでの測定が簡易的な設計では困難である。
【0004】
もう1つは、図2に示すように、分光干渉式センサを用いて測定する方法である(例えば特許文献1)。この方法では、同軸から照射されるレーザーによってワーク表裏面の反射光を計測して厚さを算出することができる。このため、前述する変位計のような軸ずれや、振動に伴う変位のずれが発生せずに済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-294155号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、分光干渉式センサは、透過センサであるため、ワークの物性である屈折率に測定結果が影響してしまう。特に屈折率に影響するのが温度である。ワークの測定中に温度変化が生じていると、測定した厚さの結果に誤差が生じてしまう。図3に示すように、ワークの温度とワークの厚さの測定値との間には正の相関があり、ワークの温度が高くなると、ワークの厚さは測定値としては厚く測定されてしまうことがわかる。
【0007】
このような課題に対し、本発明は、分光干渉式センサを用いた場合に、精度良くワークの厚さを測定することができる、ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、及びワークの研磨システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)筐体と、
前記筐体内に配置され、ワークの厚さを測定する、測定部と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の気流を整流する、整流装置と、を備え、
前記測定部は、分光干渉式センサを備えることを特徴とする、ワークの厚さの測定装置。
【0009】
(2)機材を格納する格納部をさらに備える、上記(1)に記載のワークの厚さの測定装置。
【0010】
(3)前記筐体内の上方から、前記整流装置、前記測定部、及び前記格納部の順に配置されており、
前記整流装置と前記測定部との間に第1の仕切り部を有し、
前記測定部と前記格納部との間に第2の仕切り部を有し、
前記第1の仕切り部に、第1の開口部が設けられ、
前記第2の仕切り部に、第2の開口部が設けられている、上記(1)又は(2)に記載のワークの厚さの測定装置。
【0011】
(4)前記第2の開口部を有する前記第2の仕切り部は、パンチングプレートである、上記(3)に記載のワークの厚さの測定装置。
【0012】
(5)前記筐体の、前記格納部を区画する側部に、排気スリットを設けている、上記(2)又は(3)に記載のワークの厚さの測定装置。
【0013】
(6)前記筐体の底部は、パンチングプレートで構成されている、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のワークの厚さの測定装置。
【0014】
(7)前記筐体の少なくとも内部に、温度センサが配置されている、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載のワークの厚さの測定装置。
【0015】
(8)前記ワークが、半導体ウェーハである、上記(1)~(7)のいずれか1つに記載のワークの厚さの測定装置。
【0016】
(9)ワーク搬入ユニットと、ワーク搬出ユニットとを備え、上記(1)~(8)のいずれか1つに記載のワークの厚さの測定装置を、前記ワーク搬入ユニット及び前記ワーク搬出ユニットのそれぞれに設置したことを特徴とする、ワークの研磨システム。
【0017】
(10)研磨ユニット、洗浄ユニット、及び乾燥ユニットをさらに備えている、上記(9)に記載のワークの研磨システム。
【0018】
(11)前記ワークが、半導体ウェーハである、上記(9)又は(10)に記載のワークの研磨システム。
【0019】
(12)分光干渉式センサを備えた測定部を用いてワークの厚さを測定する、ワークの厚さの測定方法であって、
前記測定部は、筐体内に配置され、
前記筐体内に配置された整流装置を用いて、前記筐体内の気流を整流しながら、前記測定部によりワークの厚さを測定することを特徴とする、ワークの厚さの測定方法。
【0020】
(13)前記筐体の少なくとも内部に配置した、温度センサにより、前記筐体の少なくとも内部の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、適したワークの厚さの測定時間を見積もる工程と、
見積もった測定時間で、ワークの厚さを測定する工程と、を含む、上記(12)に記載のワークの厚さの測定方法。
【0021】
(14)前記筐体の少なくとも内部に配置した、温度センサにより、前記筐体の少なくとも内部の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、測定の精度の合否を判定する工程を含む、上記(12)に記載のワークの厚さの測定方法。
【0022】
(15)前記ワークが、半導体ウェーハである、上記(12)又は(13)に記載のワークの厚さの測定方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、分光干渉式センサを用いた場合に、精度良くワークの厚さを測定することができる、ワークの厚さの測定装置、ワークの厚さの測定方法、及びワークの研磨システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】変位センサによる挟み込みでワークの厚さを測定する場合の模式図である。
図2】分光干渉式センサによりワークの厚さを測定する場合の模式図である。
図3】ワークの温度とワークの厚さの測定値との関係を示す図である。
図4A】本発明の一実施形態にかかるワークの厚さの測定装置の概略斜視図である。
図4B図4Aの装置の筐体内の気流について説明するための図である。
図4C図4Aを透過して見た透過斜視図である。
図5】変形例のワークの厚さの測定装置の概略透過斜視図である。
図6】ワークの厚さの測定時間と環境温度のばらつき(6σ)との関係を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかるワークの研磨システムの上面図及び下面図である。
図8】発明例の場合の筐体の内部及び外部の温度の時間変化を示す図である。
図9図8における10秒前の温度との差を示した図である。
図10】ワークの厚さの測定時間が10秒、30秒、60秒、120秒の場合の筐体の内部の温度変化を示す図である。
図11】発明例のGBIR値の結果と平坦度測定器(WaferSight)でのGBIR値の結果との関係を示す図である。
図12】比較例のGBIR値の結果と平坦度測定器(WaferSight)でのGBIR値の結果との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0026】
<ワークの厚さの測定装置>
図4Aは、本発明の一実施形態にかかるワークの厚さの測定装置の概略斜視図である。図4Bは、図4Aの装置の筐体内の気流について説明するための図である。図4Cは、図4Aを透過して見た透過斜視図である。
【0027】
図4A図4Cに示すように、本実施形態のワークの厚さの測定装置1は、筐体2と、筐体2内に配置され、ワークの厚さを測定する、測定部3と、筐体2内に配置され、筐体2内の気流を整流する、整流装置4と、を備えている。さらに、この装置1は、図示例では、機材8を格納するための格納部5を備えている。
【0028】
図示例では、筐体2内の上方から、整流装置4、測定部3、及び格納部5の順に配置されている。整流装置4と測定部3との間に(図示しない)第1の仕切り部を有し、また、測定部3と格納部5との間に第2の仕切り部6を有している。
【0029】
筐体2は、整流装置4、測定部3、及び機材8を収容するのに十分な大きさを有する箱状のものである。本例では、筐体2は、温度変化の小さい物質で構成することが好ましく、例えばSUS板に断熱材を貼り付けた材料とすることができる。筐体2の測定部3を区画する部分には、厚さ測定の対象となるワーク(本例では、半導体シリコンウェーハ)を搬入可能な搬入口2aが設けられている。また、筐体2の格納部5を区画する側部には、複数の排気スリット2bが設けられている。特に、筐体2の底部は、パンチングプレート7で構成されている。上述した通り、筐体2は、第1の仕切り部と第2の仕切り部6とにより、整流装置4、測定部3、及び格納部5の3つの部分に仕切られているが、本実施形態では、第1の仕切り部には、(複数の)第1の開口部が設けられ(本例では、第1の仕切り部は、パンチングプレートで構成されている)、また、第2の仕切り部6に、(複数の)第2の開口部が設けられ(本例では、第2の仕切り部6は、パンチングプレートで構成されている)ている。これにより、筐体2は、整流装置4、測定部3、及び格納部5の間で、通気が良い状態となっており、さらに、格納部5の側部の排気スリット2b及び底部のパンチングプレート7により、筐体2の外部への排気も十分に行われる状態となっている。
【0030】
測定部3は、分光干渉式センサ3aを備える。分光干渉式センサ3aは、ワークWの径方向に移動可能に構成されている。また、測定部3は、本例では、ワークWを回転可能に載置可能な保持部3bと、保持部3bを回転させることによりワークWを回転させる駆動部(回転モータ)3cと、をさらに備える。ワークWを保持部3bに載置し、駆動部3cにより保持部3bを回転させることでワークWを回転させながら、分光干渉式センサ3aをワークWの径方向に移動させることで、ワークWの平面上の測定点のらせん状の軌道を描きながら効率良くワークWの厚さを測定することができる。分光干渉式センサ3aとしては、既知のものを用いることができる。
【0031】
整流装置4は、筐体2内の気流Sを整流するように構成されている。整流装置4としては、既知のFFU(ファンフィルタユニット)を用いることができる。図4Bに気流Sの流れを示しているように、筐体2の上方に設置された整流装置4から下方に送風すると、上述の通り、筐体2は、整流装置4、測定部3、及び格納部5の間で、通気が良い状態となっているため、気流Sは、整流装置4、測定部3、及び格納部5へと通り抜け、さらに、格納部5の側部の排気スリット2b及び底部のパンチングプレート7の孔により、筐体2の外部への排気がなされる。これにより、筐体2内で空気の滞留が生じない状態となっている。なお、FFUは、特には限定されないが、0.3~1.5m/秒の風速に設定することが好ましい。
【0032】
機材8としては、駆動部3c等に電力を供給する電源や、ワークの厚さの測定結果を記録するコンピュータ、モータ等の制御PLC、ワークの厚さ測定の測定機材(光源や電源)等を例示することができる。筐体2の底部(パンチングプレート7の下面)には、除震機構9が設けられており、筐体2内でのワークの厚さの測定を振動が低減された状態で行うことができる。図示のような小さな円柱状の除震機構9を用いれば、既存の設備に設置しやすい。
【0033】
図5は、変形例のワークの厚さの測定装置の概略透過斜視図である。図5に示すように、筐体2の内部及び外部に、温度センサ(本例では熱電対)10a、10bが配置されていても良い。図示例では、熱電対10aは、筐体2の測定部3を区画する部分の内部に設置されており、熱電対10bは、筐体2の測定部3を区画する部分の外部に設置されている。これにより、筐体2(図示例では測定部3)の内部及び外部のそれぞれの温度をモニターすることができる。
【0034】
以下、本実施形態のワークの厚さの測定装置1の作用効果について説明する。
本実施形態のワークの厚さの測定装置1は、筐体2内に配置され、筐体2内の気流を整流する、整流装置4を備えており、図4Bに示したように、筐体2(特に測定部3)内の気流Sを整流することができ、筐体2(特に測定部3)内で空気の滞留が生じないようにすることができる。これにより、筐体2(特に測定部3)内部での温度変化を、筐体2の外部での温度変化対比で低減することができ、測定環境の温度変化に起因する、分光干渉式センサを用いた場合のワークの厚さの測定値の誤差を低減することができる。
このように、本実施形態のワークの厚さの測定装置1によれば、分光干渉式センサを用いて、精度良くワークの厚さを測定することができる。
【0035】
本実施形態のように、ワークの厚さの測定装置1は、機材8を格納する格納部5を備えることが好ましい。特に、筐体2内の上方から、整流装置4、測定部3、及び格納部5の順に配置されており、整流装置4と測定部3との間に第1の仕切り部を有し、測定部3と格納部5との間に第2の仕切り部6を有し、第1の仕切り部に、第1の開口部が設けられ、第2の仕切り部6に、第2の開口部が設けられていることが好ましく、これにより、図4Bに示したように、測定部3内の気流Sをほぼ上方から下方への流れに整流することができ、測定部3内の温度変化をより一層低減して、より精度の良いワークの厚さの測定が可能となる。このため、第2の開口部を有する第2の仕切り部6は、パンチングプレートで構成することがより好ましい。測定部3から格納部5への通気を良好にすることができるからである。
【0036】
格納部5は、機材8が格納されるため、機材8による熱が発生するが、筐体2の、格納部5を区画する側部に、排気スリット2bを設けることが好ましく、これにより、格納部5に熱がこもるのを抑制しつつ、筐体2内から筐体2の外部への気流Sの流れを確保することができるからである。同様の理由により、筐体2の底部は、パンチングプレートで構成されていることが好ましい。
第1の仕切り部、第2の仕切り部6、及び筐体2の底部をパンチングプレートで構成する場合、特には限定されないが、パンチングプレートの全面積(孔が開いていないと仮定した場合の面積)に対する孔面積の総和の割合を30%以上50%以下とすることが好ましく、孔はパンチングプレートに均一に配置することが好ましい。
また、排気スリット2bは、筐体2の格納部5を区画する側部の全面積(スリットがないと仮定した場合の面積)に対するスリットの孔面積の総和の割合を5%以上30%以下とすることが好ましい。筐体2のサイズにもよるため特には限定されないが、スリットの長さを100~400mm、スリットの幅を5~10mmとすることが好ましい。
【0037】
また、図5に示したように、ワークの厚さの測定装置1は、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)に、温度センサ10a(10b)が配置されていることが好ましい。これにより、温度センサ10aにより、筐体2(図示例では測定部3)の内部の温度をモニターすることができる。図6は、ワークの厚さの測定時間と環境温度のばらつき(6σ)との関係を示す図である。図6に示すように、時間が経過するにつれ、温度のばらつきが大きくなる。ワークの厚さの測定時間は、測定点を多くとる観点からは長い方が好ましいが、温度のばらつきが大きくなることから測定の精度が低下する問題もある。そこで、筐体2(図示例では測定部3)の許容されるばらつきの基準値を予め設けることで、できるだけ長時間の測定を行い、測定点を多くすることでワークの厚さの測定精度をさらに高めることができる。
このように、モニターした温度測定結果に基づいて、適したワークの厚さの測定時間を見積もり、見積もった測定時間で、ワークの厚さを測定することができる。
本例のように、筐体2の外部にも温度センサ10bを設けることにより、内部の温度変化が外部の温度変化に比べてどの程度低減されているかを把握して、整流装置4の出力を適宜調整することもできる。
【0038】
また、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)に配置した、温度センサ10a(10b)により、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、測定の精度の合否を判定することもできる。これにより、精度の低い測定を排除することができる。この合否判定は、内部の温度変化にのみ基づいて行っても良いし、外部の温度変化との相対的関係も考慮して行っても良い。外部の温度変化との相対的関係も考慮する場合、例えば、内部のみが温度変化が大きければ内部要因、内部と外部の両方で温度変化が大きければ外部要因として、温度変化が大きくなる原因を突き止めるのに役立てることもできる。
【0039】
<ワークの研磨システム>
図7は、本発明の一実施形態にかかるワークの研磨システム100の上面図及び下面図である。このシステム100は、慣例に従い、ワーク搬入ユニット101、研磨ユニット102、洗浄ユニット103、乾燥ユニット104、ワーク搬出ユニット105がこの順に配置されている。ワーク搬入ユニット101の前段及びワーク搬出ユニット105の後段には、FOUP(Front-Opening Unified Pod)106が配置されている。ワークW(本例では、半導体シリコンウェーハ)が収容された FOUP106からワークWが取り出される。取り出されたワークWは、ワーク搬入ユニット101にワークを搬入される。その後、ワーク研磨ユニット102にてワークWが研磨され、次いで、ワーク洗浄ユニット103にて研磨後のワークWが洗浄され、次いで、乾燥ユニット104にて洗浄後のワークWが乾燥され、ワーク搬出ユニット105からワークWが搬出される。搬出されたワークWは、再びFOUP106に収容される。各ユニットは、既知の構成とすることができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、ワークの厚さの測定装置1が、ワーク搬入ユニット101及びワーク搬出ユニット105のそれぞれに設置されている。ワークの厚さの測定装置1の構成は、ワークの厚さの測定装置の実施形態において既に説明した通りである。
【0041】
本実施形態のワークの研磨システム100によれば、ワークの厚さの測定装置の実施形態において既に説明したのと同様に、ワークの厚さの測定装置1により精度良くワークの厚さを測定することができる。そして、ワークの厚さの測定装置1が、ワーク搬入ユニット101及びワーク搬出ユニット105のそれぞれに設置されているため、研磨前及び研磨後それぞれのワークの厚さを精度良く測定することができ、これにより例えば、研磨量を精度良く算出することができる。
【0042】
<ワークの厚さの測定方法>
まず、本実施形態のワークの厚さの測定方法は、ワークの厚さの測定装置の実施形態で説明した装置1を用いて実行することができる。
【0043】
本実施形態のワークの厚さの測定方法は、分光干渉式センサを備えた測定部3を用いてワークWの厚さを測定する、ワークの厚さの測定方法であり、測定部3は、筐体2内に配置され、筐体2内に配置された整流装置4を用いて、筐体2内の気流を整流しながら、測定部3によりワークWの厚さを測定するものである。これにより、ワークの厚さの測定装置の実施形態で説明したように、筐体2(特に測定部3)内部での温度変化を、筐体2の外部での温度変化対比で低減しながら測定を行うことができ、測定環境の温度変化に起因する、分光干渉式センサを用いた場合のワークの厚さの測定値の誤差を低減することができる。
このように、本実施形態のワークの厚さの測定方法によれば、分光干渉式センサを用いて、精度良くワークの厚さを測定することができる。
【0044】
ここで、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)に配置した、温度センサ10a(10b)により、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、適したワークWの厚さの測定時間を見積もる工程と、見積もった測定時間で、ワークWの厚さを測定する工程と、を含むことが好ましい。ワークWの厚さの測定装置の実施形態で説明したように、できるだけ測定時間を長くして測定点を多くとることで、より精度の高い測定が可能となるからである。
【0045】
また、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)に配置した、温度センサ10a(10b)により、筐体2の少なくとも内部(本例では内部及び外部のそれぞれ)の温度をモニターし、モニターした温度測定結果に基づいて、測定の精度の合否を判定する工程を含むことも好ましい。これにより、精度の低い測定を排除することができる。
【実施例0046】
本発明の効果を確かめるため、図4A図4Cに示したようなワークの厚さ測定装置を用いた場合(発明例)と、一般的なクリーンルームの場合(比較例)とで、対比実験を行った。
【0047】
図8は、発明例の場合の筐体2の内部及び外部の温度の時間変化を示す図である。なお、整流装置4はオンにした。図8に示すように、筐体2の内部では、外部に対比して温度が時間とともに低下する傾向は共通するものの、短い時間でのばらつきは小さいことがわかる。
【0048】
上記の点をより明確にするために、図9は、図8における10秒前の温度との差を示した図である。筐体2の内部では、外部対比で10秒程度の時間での温度変化は小さいことがわかる。このことから、外部では外乱による気流の変化が温度の変化を発生させている一方で、内部では整流によりそれが抑えられていることが推測される。
【0049】
図10は、ワークの厚さの測定時間が10秒、30秒、60秒、120秒の場合の筐体の内部の温度変化を示す図である。図10に示したように、筐体の内部では、温度変化が抑制されているものの、測定時間が短い方がより抑制効果が発揮できていることがわかる。このことを測定時間と温度変化のばらつき(6σ)との関係で示したのが、先の図6である。これにより、例えば、6σの基準値を0.2と設定すると、測定時間としておよそ90秒を見積もることができる。
【0050】
次に、発明例の場合と、比較例の場合とで、分光干渉式センサを用いてワーク(径300mmの半導体シリコンウェーハ)の厚さを測定した。測定は、ワークを保持部に載置し、駆動部により保持部を回転させることでワークを回転させながら、分光干渉式センサをワークの径方向に移動させることで、らせん状の軌道を描きながらワークの厚さを測定する、スパイラル測定とした。測定は1mmピッチ、回転スピード30rpm、測定時間60秒で行った。別途、平坦度測定器(WaferSight)におる測定を行っておき、この結果を正として、平坦度測定器(WaferSight)での測定と相関が高い方が、ワークの厚さの測定の精度が高いものとした。得られた測定値からGBIR(Global flatness Back reference Ideal Range)値を算出した。
【0051】
図11は、発明例のGBIR値の結果と平坦度測定器(WaferSight)でのGBIR値の結果との関係を示す図であり、図12は、比較例のGBIR値の結果と平坦度測定器(WaferSight)でのGBIR値の結果との関係を示す図である。図11図12において、縦軸及び横軸は、規格化している。図11図12においては、1次近似式の傾きが「1」に近い方が、発明例や比較例と平坦度測定器(WaferSight)との相関が高いことを意味する。
【0052】
図11図12との対比により、発明例では比較例よりもGBIR値を精度良く求められたことがわかる。このことから、発明例では比較例よりもワークの厚さを精度良く測定できたことがわかる。
【符号の説明】
【0053】
1:ワークの厚さの測定装置、
2:筐体、
2a:搬入口、
2b:排気スリット、
3:測定部、
3a:分光干渉式センサ、
3b:保持部、
3c:駆動部、
4:整流装置、
5:格納部、
6:第2の仕切り部、
7:パンチングプレート、
8:機材、
9:除震機構、
10a、10b:温度センサ、
100:ワークの研磨システム、
101:ワーク搬入ユニット、
102:研磨ユニット、
103:洗浄ユニット、
104:乾燥ユニット、
105:ワーク搬出ユニット、
106:FOUP、
S:気流
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12