(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032723
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】加工装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240305BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240305BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240305BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/78 B
H01L21/68 N
B23Q11/00 A
B23K26/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221051
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2019183032の分割
【原出願日】2019-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(72)【発明者】
【氏名】一廼穂 直聡
(57)【要約】
【課題】 ワークの加工及び検査を行う場合における加工装置のダウンタイムを短縮し、かつ、振動を抑制することが可能な加工装置及び方法を提供する。
【解決手段】 加工装置(10、10A、10B、10C)は、第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能に構成された複数のステージ(ST)と、第1方向に移動可能に構成された少なくとも1つのカウンターウェイト(CW1~CW4)と、一のステージ又は他のステージの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるカウンターウェイト制御手段(50、58)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能に構成された複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージと、
前記第1方向に移動可能に構成された少なくとも1つのカウンターウェイトと、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように前記少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるカウンターウェイト制御手段とを備え、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージの前記第2ステージが配置される側とは反対側に配置された第1カウンターウェイトと、前記第2ステージの前記第1ステージが配置される側とは反対側に配置された第2カウンターウェイトとを含む、加工装置。
【請求項2】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能に構成された複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージと、
前記第1方向に移動可能に構成された少なくとも1つのカウンターウェイトと、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように前記少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるカウンターウェイト制御手段とを備え、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージと前記第2ステージとの間に配置された第3カウンターウェイトを含む、加工装置。
【請求項3】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能に構成された複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージと、
前記第1方向に移動可能に構成された少なくとも1つのカウンターウェイトと、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように前記少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるカウンターウェイト制御手段とを備え、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージの両側に配置された一対の第1ステージ側カウンターウェイトと、前記第2ステージの両側に配置された一対の第2ステージ側カウンターウェイトとを含む、加工装置。
【請求項4】
前記カウンターウェイト制御手段は、前記第1ステージ又は前記第2ステージの移動方向と逆向きに前記少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項5】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能な複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージを用いる加工方法であって、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるステップを含み、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージの前記第2ステージが配置される側とは反対側に配置された第1カウンターウェイトと、前記第2ステージの前記第1ステージが配置される側とは反対側に配置された第2カウンターウェイトとを含む加工方法。
【請求項6】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能な複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージを用いる加工方法であって、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるステップを含み、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージと前記第2ステージとの間に配置された第3カウンターウェイトを含む加工方法。
【請求項7】
第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能な複数のステージであって、前記第1方向に直交する第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含む複数のステージを用いる加工方法であって、
前記複数のステージのうちの少なくともいずれかの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるステップを含み、
前記少なくとも1つのカウンターウェイトは、前記第1ステージの両側に配置された一対の第1ステージ側カウンターウェイトと、前記第2ステージの両側に配置された一対の第2ステージ側カウンターウェイトとを含む加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工装置及び方法に係り、半導体装置又は電子部品等が形成されたウェーハ等の被加工物(ワーク)のダイシングを行う加工装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン等のウェーハの内部に集光点を合わせてレーザ光を分割予定ラインに沿って照射し、分割予定ラインに沿ってウェーハ内部に切断の起点となるレーザ加工領域を形成するレーザ加工装置(レーザダイシング装置)が知られている(例えば、特許文献1)。レーザ加工領域が形成されたウェーハは、その後、エキスパンド又はブレーキングといった割断プロセスによって分割予定ラインに沿って割断されて個々のチップに分断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-195265号公報
【特許文献2】特開2019-149541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、レーザ加工装置では、ウェーハ1枚ごとに、加工準備(ウェーハのロード及びアライメント)→加工動作→後処理(検査及びアンロード)の順番で処理が行われる。しかしながら、ウェーハ1枚ごとに上記の一連の処理を繰り返し行うとすると、処理に時間がかかり、生産効率が低下するという問題がある。
【0005】
レーザ加工装置の生産効率を向上させるためには、処理全体の実行時間を短縮することが好ましい。処理全体の実行時間を短縮する場合、具体的には、「加工動作時間の短縮」及び「加工以外の処理時間の短縮」を行う。
【0006】
まず、「加工動作時間の短縮」を実現するためには、加工速度及び加速度を上げる必要がある。しかしながら、加工速度及び加速度を上げるためには次の課題がある。
(1)ウェーハ等の相対移動に用いられるモータの大型化
(2)オートフォーカスの高レスポンス化
(3)レーザの高出力化、高繰り返し周波数化
(4)加速度の向上に伴う装置の振動の増加
上記(1)から(4)のうち、(2)のオートフォーカスのレスポンスは、(4)のレーザ加工装置の振動の影響により低下し得る。このため、オートフォーカスのレスポンスの大幅な改善は困難である。
【0007】
次に、「加工以外の処理時間の短縮」を実現するためには、ウェーハ搬送系の高速化、ステージ送り速度の向上、アライメント動作の最適化等が挙げられる。しかしながら、これらの手法では処理時間を劇的に短縮することは難しい。
【0008】
ところで、加工以外の処理(例えば、検査)を行っている間、レーザ加工用光学ユニット(加工装置)は停止する。レーザ加工装置の価格の大部分を占める加工装置のダウンタイムが長くなると、レーザ加工装置の対費用効果が下がってしまう。
【0009】
生産効率が向上し短時間で大量の加工が可能になると、加工不良等の検査が重要になる。多数の製品に対して加工不良等の検査を厳格に行う場合、加工状態の検査(内部亀裂の測定など)に要する時間が長くなることが予想される。
【0010】
レーザ加工装置の生産効率を向上させるため、複数のステージ(ウェーハテーブル)において、加工及び検査をそれぞれ実行可能とした装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0011】
特許文献2に記載のレーザ加工装置(レーザダイシング装置)では、レーザ加工装置の重量に対してステージ及びその駆動装置の重量が締める割合が高い。このため、ステージが移送する場合に振動が生じ、レーザ加工及び検査の精度に影響を与える。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ワークの加工及び検査を行う場合における加工装置のダウンタイムを短縮し、かつ、振動を抑制することが可能な加工装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る加工装置は、第1方向にそれぞれ互いに独立に移動可能に構成された複数のステージと、第1方向に直交する第2方向に移動可能に構成され、複数のステージのうち一のステージに保持された第1のワークを加工する加工手段と、加工手段とは独立して第2方向に移動可能に構成され、複数のステージのうち他のステージに保持された第2のワークを検査する検査手段と、第1方向に移動可能に構成された少なくとも1つのカウンターウェイトと、一のステージ又は他のステージの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるカウンターウェイト制御手段とを備える。
【0014】
本発明の第2の態様に係る加工装置は、第1の態様において、カウンターウェイト制御手段は、一のステージ又は他のステージの移動方向と逆向きに少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る加工装置は、第1の態様において、カウンターウェイト制御手段は、一のステージ又は他のステージのうち加工手段に対向するステージの移動方向と逆向きに少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る加工装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、複数のステージは、第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含み、少なくとも1つのカウンターウェイトは、第1ステージの第2ステージが配置される側とは反対側に配置された第1カウンターウェイトと、第2ステージの第1ステージが配置される側とは反対側に配置された第2カウンターウェイトとを含む。
【0017】
本発明の第5の態様に係る加工装置は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、複数のステージは、第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含み、少なくとも1つのカウンターウェイトは、第1ステージと第2ステージとの間に配置された第3カウンターウェイトを含む。
【0018】
本発明の第6の態様に係る加工装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、複数のステージは、第2方向に並設された第1ステージと第2ステージとを含み、少なくとも1つのカウンターウェイトは、第1ステージの両側に配置された一対の第1ステージ側カウンターウェイトと、第2ステージの両側に配置された一対の第2ステージ側カウンターウェイトとを含む。
【0019】
本発明の第7の態様に係る加工装置は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、加工手段は、ワークをレーザ加工する。
【0020】
本発明の第8の態様に係る加工方法は、複数のステージのうち一のステージに対向する位置に加工手段を移動させるステップと、複数のステージのうち他のステージに対向する位置に検査手段を移動させるステップと、加工手段に対して一のステージを移動させながら、一のステージに保持された第1のワークを加工手段により加工するステップと、検査手段に対して他のステージを移動させながら、他のステージに保持された第2のワークを検査手段により検査するステップと、一のステージ又は他のステージの移動により発生する振動を抑制するように少なくとも1つのカウンターウェイトを移動させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワークの加工及び検査を行う場合における加工装置のダウンタイムを短縮することができ、かつ、振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1及び第2ステージにおいてそれぞれウェーハの加工及び検査を行う場合の平面図である。
【
図6】
図6は、第1及び第2ステージにおいてそれぞれウェーハの検査及び加工を行う場合の平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工の手順を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第4の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図である。
【
図11】
図11は、カウンターウェイトの数とレーザ加工装置の変位の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に係る加工装置及び方法の実施の形態について説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
(加工装置)
図1から
図3は、それぞれ本発明の第1の実施形態に係る加工装置(レーザ加工装置)を示す平面図、正面図及び側面図である。以下の説明では、3次元直交座標系を用いて説明する。
【0025】
図1から
図3に示すように、本実施形態に係るレーザ加工装置10は、第1ステージ14-1、第2ステージ14-2、加工部28及び検査部30を含んでいる。レーザ加工装置10は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2において、ワーク(ウェーハ)の加工及び検査を並行して(例えば、同時進行で)実行可能となっている。
【0026】
レーザ加工装置10は、水平面(XY平面)に平行なベース12上に設けられている。ベース12は、レーザ加工装置10の基準平面を形成する。
【0027】
第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2(以下、Xステージともいう。)は、Y方向(第2方向)に並べて配置(並設)されており、それぞれX方向(第1方向)に伸びるX1軸及びX2軸に沿って移動可能に取り付けられている。ここで、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2を移動させるための機構としては、例えば、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2にそれぞれ設けられたナット及びそのナットに螺合するボールねじを含むボールねじ機構、リニアモータ又はラックアンドピニオン機構等の、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をそれぞれX方向に往復直線運動させることが可能な機構を用いることが可能である。
【0028】
第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2には、それぞれθステージ16-1及び16-2が取り付けられている。θステージ16-1及び16-2には、ウェーハチャックC1及びC2がそれぞれ取り付けられている。θステージ16-1及び16-2は、ウェーハチャックC1及びC2を、それぞれの回転軸(例えば、中心軸)の周り(θ方向)に回転させる。
【0029】
ウェーハチャックC1及びC2の表面には、エアを吸引するための吸引孔が形成されている。ウェーハチャックC1及びC2は、レーザ加工の対象としてレーザ加工装置10内に搬入されたウェーハW1及びW2をそれぞれ吸着保持する。
【0030】
上記の通り、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2は、相互に同様の構成を有している。このため、以下の説明において、第1ステージ14-1側及び第2ステージ14-2側の双方に共通する構成及び動作については、枝番を省略してまとめて説明する場合がある。
【0031】
ベース12の上方には、Yベース18が設けられている。Yベース18は、Y方向に沿う基準平面を形成する。Yベース18は、ベース12からZ方向に伸びる支柱によって支持されている。Yベース18には、それぞれY方向に伸びるY1軸及びY2軸が取りつけられている。
図2及び
図3に示すように、Y1軸は、Y2軸に対して+Z方向及び+X方向にずらして配置されている。
【0032】
Y1軸及びY2軸には、それぞれ加工用Y軸移動ステージ20及び検査用Y軸移動ステージ24(以下、Yステージ20及び24という。)が取り付けられている。
【0033】
Yステージ20には、加工用Z軸移動ステージ(以下、Zステージという。)22を介して加工部28が取り付けられている。加工部(加工手段)28は、Yステージ20及びZステージ22により、それぞれYZ方向に移動可能となっている。Yステージ20及びZステージ22としては、加工部28をそれぞれYZ方向に往復直線運動させることが可能な機構(例えば、ボールねじ機構、リニアモータ又はラックアンドピニオン機構等)を用いることが可能である。
【0034】
Yステージ24には、検査用Z軸移動ステージ(以下、Zステージという。)26を介して検査部30が取り付けられている。検査部(検査手段)30は、Yステージ24及びZステージ26により、それぞれYZ方向に移動可能となっている。Yステージ24及びZステージ26としては、検査部30をそれぞれYZ方向に往復直線運動させることが可能な機構(例えば、ボールねじ機構、リニアモータ又はラックアンドピニオン機構等)を用いることが可能である。
【0035】
加工部28は、レーザ加工用光学ユニット(以下、加工ユニットという。)28A及びアライメント用光学ユニット(以下、光学ユニットという。)28Bを含んでいる。加工ユニット28Aと光学ユニット28Bとは、一体としてYZ方向に移動可能となっている。
【0036】
加工ユニット28Aは、レーザ発振器及び集光レンズを含んでおり(特開2004-111946号公報参照)、レーザ発振器から出力されたレーザ光を、集光レンズによりウェーハW(W1又はW2)の内部に集光させる。これにより、ウェーハWの内部に、ウェーハWの切断の起点となるレーザ加工領域が形成される。
【0037】
光学ユニット28Bは、ウェーハWの画像を撮像する撮像素子(例えば、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)フォトダイオード又はCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ)を含んでいる。制御装置50(
図4参照)は、光学ユニット28Bにより撮像したウェーハWの画像からアライメントパターンの位置を検出し、X駆動部54、θ駆動部56、Y駆動部60及びZ駆動部62を制御して、加工ユニット28AとウェーハWとのアライメントを行う。
【0038】
検査部30は、検査用光学ユニット(以下、検査ユニットという。)30A及びアライメント用光学ユニット(以下、光学ユニットという。)30Bを含んでいる。検査ユニット30Aと光学ユニット30Bとは、一体としてYZ方向に移動可能となっている。
【0039】
検査ユニット30Aは、レーザ加工領域から伸展した亀裂の長さの測定を行う。検査ユニット30Aとしては、例えば、特開2017-133997号公報に記載の亀裂検出装置を適用することが可能である。
【0040】
光学ユニット30Bは、ウェーハWの画像を撮像する撮像素子(例えば、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)フォトダイオード又はCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ)を含んでいる。制御装置50は、光学ユニット30Bにより撮像したウェーハWの画像からアライメントパターンの位置を検出し、X駆動部54、θ駆動部56、Y駆動部64及びZ駆動部66を制御して、検査ユニット30AとウェーハWとのアライメントを行う。
【0041】
なお、本実施形態に係るレーザ加工装置10では、Yステージ20及び24の位置関係から、加工部28が検査部30よりも+X側に配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、検査部30が加工部28よりも+X側に配置されていてもよい。
【0042】
ベース12上には、カウンターウェイトCW1~CW3が配置されている。カウンターウェイトCW1~CW3は、それぞれX方向に伸びるガイドレールG1~G3に沿って移動可能となっている。
【0043】
図1に示すように、ベース12上では、+Y側から、カウンターウェイトCW1、第1ステージ14-1、カウンターウェイトCW3、第2ステージ14-2及びカウンターウェイトCW2の順番で配置されている。カウンターウェイトCW1~CW3及びガイドレールG1~G3は、X1軸及びX2軸に沿って第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2を移動させる場合に発生するレーザ加工装置10の振動を抑制するための制振機構58(
図4から
図7参照)として機能する。
【0044】
ここで、カウンターウェイトCW1~CW3の重量は、X1軸及びX2軸に沿って第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をそれぞれ移動させる場合に発生する回転モーメントを打ち消すことができるように調整されている。第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2に対して外側に配置されたカウンターウェイトCW1及びCW2と、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2に対して内側に配置されたカウンターウェイトCW3の重量は異なっていてもよい。
【0045】
なお、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2を移動させる場合に発生する回転モーメントを打ち消すことができるように、カウンターウェイトCW1~CW3と、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2との間の位置関係(例えば、Y方向の距離又はZ方向の高さ)を調整するようにしてもよい。
【0046】
(レーザ加工装置の制御系)
図4は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置を示すブロック図である。
【0047】
図4に示すように、本実施形態に係るレーザ加工装置10は、制御装置50、入出力部52、X駆動部54-1、54-2、θ駆動部56-1、56-2、制振機構58、Y駆動部60、Z駆動部62、Y駆動部64及びZ駆動部66を含んでいる。
【0048】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、ハードディスク等)等を含んでいる。制御装置50では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、レーザ加工装置10の各部の機能が実現される。
【0049】
入出力部52は、ユーザからの操作入力を受け付けるための操作部材(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)、及びレーザ加工装置10の操作のためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する装置(例えば、液晶ディスプレイ)等を含んでいる。
【0050】
X駆動部54-1及び54-2は、それぞれ、X1軸及びX2軸に取り付けられた第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をX方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。X駆動部54-1及び54-2は、第1の駆動装置の一例である。
【0051】
θ駆動部56-1及び56-2は、それぞれ、θステージ16-1及び16-2に取り付けられたウェーハチャックC1及びC2をθ方向に回転させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。
【0052】
Y駆動部60は、Zステージ22を介してYステージ20に取り付けられた加工部28をY方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。
【0053】
Z駆動部62は、Zステージ22に取り付けられた加工部28をZ方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。
【0054】
Y駆動部64は、Zステージ26を介してYステージ24に取り付けられた検査部30をY方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。
【0055】
Z駆動部66は、Zステージ26に取り付けられた検査部30をY方向に移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。
【0056】
上記のY駆動部60及び64並びにZ駆動部62及び66は、第2の駆動装置の一例である。
【0057】
制振機構58は、カウンターウェイトCW1~CW3を、それぞれガイドレールG1~G3に沿って移動させるための動力源(例えば、モータ)を含んでいる。制振機構58は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動の向き、移動量、移動速度及び移動加速度に応じて、カウンターウェイトCW1~CW3を移動の向き、移動量、移動速度及び移動加速度を制御する。これにより、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2を移動させる場合に発生するレーザ加工装置10の振動を抑制することができる。ここで、カウンターウェイトCW1~CW3は、それぞれ第1から第3カウンターウェイトの一例であり、制御装置50及び制振機構58は、カウンターウェイト制御手段の一例である。
【0058】
(加工方法)
次に、レーザ加工時における制振機構58の制御について、
図5から
図7を参照して説明する。
【0059】
以下の説明では、ウェーハW0,W1,W2,W3,…,W(2i-1),W(2i),…に対して、レーザ加工及び検査を順次実施する例について説明する。なお、i=1,2,3,…である。ウェーハW1,W3,…,W(2i-1),…は第1ステージ14-1において処理され、ウェーハW0,W2,…,W(2i),…は第2ステージ14-2において処理される。すなわち、まず、ウェーハW0及びW1がそれぞれ第2ステージ14-2及び第1ステージ14-1にロードされ、ウェーハW0のレーザ加工が行われる。次に、第2ステージ14-2におけるウェーハW0の検査と、第1ステージ14-1におけるウェーハW1のレーザ加工が並行して行われる。
【0060】
図5は、第1及び第2ステージにおいてそれぞれウェーハの加工及び検査を行う場合の平面図であり、
図6は、第1及び第2ステージにおいてそれぞれウェーハの検査及び加工を行う場合の平面図である。
【0061】
図5に示す例では、第1ステージ14-1において、ウェーハW1に対するレーザ加工を行い、第2ステージ14-2において、レーザ加工後のウェーハW0に対する検査を行う。この場合、まず、制御装置50は、加工部28及び検査部30のY方向の位置をそれぞれ第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2のY方向の位置に応じて移動させる。すなわち、制御装置50は、加工部28及び検査部30をそれぞれ第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2に対向させるように移動させる。
【0062】
さらに、制御装置50は、加工部28及び検査部30のX方向の位置に応じて、第1ステージ14-1を+X側に、第2ステージ14-2を-X側に移動させる。制御装置50は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をX方向に移動させる場合に発生する回転モーメントを打ち消すように、制振機構58を制御してカウンターウェイトCW1~CW3を移動させる。
【0063】
図5に示す例では、第1ステージ14-1が+X側に移動するのに対して、第1ステージ14-1を挟んで配置されたカウンターウェイトCW1及びCW3を逆方向(-X側)に移動させる。そして、加工及び検査時の第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の動作に応じてカウンターウェイトCW1~CW3を動作させて、レーザ加工装置10の回転モーメントを打ち消すことができる。
【0064】
次に、制御装置50は、ウェーハW1に対するレーザ加工と、レーザ加工後のウェーハW0に対する検査とを並行して行う。具体的には、制御装置50は、X駆動部54-1、θ駆動部56-1、Y駆動部60並びにZ駆動部62を制御して、第1ステージ14-1と加工部28とを相対移動させながら、ウェーハW1の分割予定ラインに沿ってレーザ加工を行い、レーザ加工領域を形成する。また、制御装置50は、X駆動部54-2、θ駆動部56-2、Y駆動部64並びにZ駆動部66を制御して、第2ステージ14-2と検査部30とを相対移動させながら、ウェーハW0に形成されたレーザ加工領域の検査(亀裂の長さの測定)を行う。
【0065】
次に、ウェーハW0は、検査が終了すると、不図示のハンドラアームにより、レーザ加工装置10から搬出(アンロード)される。そして、次のウェーハW2が、不図示のハンドラアームによりレーザ加工装置10に搬入(ロード)され、ウェーハチャックC2に載置されて吸着保持される。
【0066】
次に、
図6に示すように、第1ステージ14-1において、レーザ加工後のウェーハW1に対する検査を行い、第2ステージ14-2において、ウェーハW2に対するレーザ加工を行う。この場合、制御装置50は、加工部28及び検査部30のY方向の位置をそれぞれ第2ステージ14-2及び第1ステージ14-1のY方向の位置に応じて移動させる。
【0067】
さらに、制御装置50は、加工部28及び検査部30のX方向の位置に応じて、第1ステージ14-1を-X側に、第2ステージ14-2を+X側に移動させる。制御装置50は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をX方向に移動させる場合に発生する回転モーメントを打ち消すように、制振機構58を制御してカウンターウェイトCW1~CW3を移動させる。
【0068】
図6に示す例では、第2ステージ14-2が+X側に移動するのに対して、第2ステージ14-2を挟んで配置されたカウンターウェイトCW2及びCW3を逆方向(-X側)に移動させる。そして、加工及び検査時の第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の動作に応じてカウンターウェイトCW1~CW3を動作させて、レーザ加工装置10の回転モーメントを打ち消すようにしている。これにより、レーザ加工装置10の回転モーメントを打ち消すことができる。
【0069】
次に、制御装置50は、X駆動部54-1、θ駆動部56-1、Y駆動部64並びにZ駆動部66を制御して、第1ステージ14-1と検査部30とを相対移動させながら、ウェーハW1に形成されたレーザ加工領域の検査を行う。また、制御装置50は、X駆動部54-2、θ駆動部56-2、Y駆動部60並びにZ駆動部62を制御して、第2ステージ14-2と加工部28とを相対移動させながら、ウェーハW2の分割予定ラインに沿ってレーザ加工を行い、レーザ加工領域を形成する。
【0070】
なお、本実施形態では、Xステージ14が-X方向に移動するときに、そのXステージ14を挟むように配置されたカウンターウェイト(CW1~CW3)を移動させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。移動するXステージ14に最も近い1個のカウンターウェイトを移動させるようにしてもよい。
【0071】
また、移動するXステージ14の重量、移動速度又は移動加速度と、カウンターウェイト(CW1~CW3)の重量に応じて、カウンターウェイト(CW1~CW3)の移動速度又は移動加速度を調整するようにしてもよい。例えば、Xステージ14の移動時の運動量に応じて、カウンターウェイト(CW1~CW3)の運動量を調整するようにしてもよい。
【0072】
また、レーザ加工装置10のXY平面における中心又は重心に対して、移動するXステージ14の反対側(例えば、点対称)の位置にあるカウンターウェイト(CW1~CW3)をXステージ14の移動方向と逆方向(例えば、点対称となる方向)に移動可能な構成としてもよい。このとき、Xステージ14の移動時の運動量と、Xステージ14とカウンターウェイト(CW1~CW3)の中心又は重心からの距離に応じて、カウンターウェイト(CW1~CW3)の運動量を調整するようにしてもよい。
【0073】
また、Xステージ14とカウンターウェイト(CW1~CW3)とを同期して移動させるようにしてもよい。すなわち、Xステージ14とカウンターウェイト(CW1~CW3)の移動の開始及び停止タイミングを一致させるようにしてもよい。
【0074】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工の手順を示すタイミングチャートである。
図7において、点線で囲んだ部分は加工部28(加工ユニット28A)を用いるステップを示し、破線で囲んだ部分は検査部30(検査ユニット30A)を用いるステップを示している。また、
図7に示す区間P(i-1)におけるレーザ加工装置10の構成の位置関係は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2においてそれぞれ加工及び検査を行う
図5に対応し、区間P(i)における位置関係は、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2においてそれぞれ検査及び加工を行う
図6に対応している。
【0075】
(第2ステージ14-2における処理:ステップS5~S3)
制御装置50は、ステップS5(2(i-1))において、検査部30を用いて、ウェーハW(2(i-1))に形成されたレーザ加工領域の検査を行う(検査ステップ)。このとき、制御装置50は、検査時の動作(第2ステージ14-2の動作)に応じて、第2ステージ14-2を挟んで配置されたカウンターウェイトCW2及びCW3を移動させて、レーザ加工装置10の振動を抑制する。そして、制御装置50は、ウェーハW(2(i-1))の検査が終了すると、検査の結果を記録し、入出力部52を介して出力する。
【0076】
次に、制御装置50は、ウェーハチャックC2へのウェーハW(2(i-1))の吸着状態を解除し、不図示のハンドラアームにより、ウェーハW(2(i-1))をレーザ加工装置10から搬出(アンロード)する(ステップS6(2(i-1)))。
【0077】
次に、制御装置50は、ウェーハW(2i)に対する加工準備を行う(ステップS1(2i)~S3(2i))。まず、制御装置50は、不図示のハンドラアームにより、ウェーハW(2i)をレーザ加工装置10に搬入(ロード)する(ステップS1(2i))。
【0078】
次に、制御装置50は、Z駆動部66を制御して検査部30のZ方向高さをセットする(ステップS2(2i))。そして、制御装置50は、光学ユニット30BによりウェーハW(2i)の画像を取得し、アライメントパターンの位置を検出して、ウェーハW(2i)の位置を検出し、アライメント(例えば、θ及びY方向の位置合わせ)を行う(ステップS3(2i))。
【0079】
(第1ステージ14-1における処理:ステップS4)
一方、制御装置50は、ステップS5(2(i-1))~S3(2i)と並行して、ステップS4(2i-1)を実施する(加工ステップ)。すなわち、制御装置50は、加工部28を用いて、第1ステージ14-1に吸着保持されたウェーハW(2i-1)に対してレーザ加工を行い、ウェーハW(2i-1)の分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成する。このとき、制御装置50は、加工時の動作(第1ステージ14-1の動作)に応じて、第1ステージ14-1を挟んで配置されたカウンターウェイトCW1及びCW3を移動させて、レーザ加工装置10の振動を抑制する。
【0080】
(加工及び検査の準備:ステップS10)
第1ステージ14-1におけるウェーハW(2i-1)に対する加工と、第2ステージ14-2におけるウェーハW(2i)に対する加工準備(ステップS1(2i)~S3(2i))が終了すると、制御装置50は、ウェーハW(2i-1)の検査及びウェーハW(2i)の加工の準備を行う(ステップS10(i))。すなわち、制御装置50は、Y駆動部60を制御して加工部28を第2ステージ14-2側に移動させ、Y駆動部64を制御して検査部30を第1ステージ14-1側に移動させる。また、制御装置50は、X駆動部54-1及び54-2を制御して、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2をそれぞれ-X方向及び+X方向に移動させる。
【0081】
(第2ステージ14-2における準備:ステップS10)
次に、制御装置50は、Z駆動部62を制御して加工部28のZ方向高さをセットする。そして、制御装置50は、光学ユニット28BによりウェーハW(2i)の画像を取得し、アライメントパターンの位置を検出して、ウェーハW(2i)の位置を検出し、加工ユニット28AとウェーハW(2i)とのアライメント(例えば、X、θ、Y及びZ方向の位置合わせ)を行う。
【0082】
(第1ステージ14-1における準備:ステップS10)
一方、制御装置50は、Z駆動部66を制御して検査部30のZ方向高さをセットする。そして、制御装置50は、光学ユニット30BによりウェーハW(2i-1)の画像を取得し、アライメントパターンの位置を検出して、ウェーハW(2i-1)の位置を検出し、検査ユニット30AとウェーハW(2i-1)とのアライメント(例えば、X、θ、Y及びZ方向の位置合わせ)を行う。
【0083】
(第2ステージ14-2における処理:ステップS4)
次に、制御装置50は、加工部28を用いて、第2ステージ14-2に吸着保持されたウェーハW(2i)に対してレーザ加工を行い、ウェーハW(2i)の分割予定ラインに沿ってレーザ加工領域を形成する(ステップS4(2i))。
【0084】
(第1ステージ14-1における処理:ステップS5~S3)
一方、制御装置50は、検査部30を用いて、ウェーハW(2i-1)に形成されたレーザ加工領域の検査を行う(ステップS5(2i-1))。そして、制御装置50は、ウェーハW(2i-1)の検査が終了すると、検査の結果を記録し、入出力部52を介して出力する。
【0085】
次に、制御装置50は、ウェーハチャックC2へのウェーハW(2i-1)のアンロード(ステップS6(2i-1))、ウェーハW(2i+1)のロード及び加工準備を行う(ステップS1(2i+1)~S3(2i+1))。
【0086】
上記のように、本実施形態では、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2において、ステップS1~S6及びS10を交互に繰り返す。これにより、加工部28及び検査部30のダウンタイムの発生を抑制することができる。そして、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動に応じてカウンターウェイトCW1~CW3を移動させることにより、レーザ加工装置10の振動を抑制することが可能になる。
【0087】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図及び正面図である。以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図8に示すように、本実施形態に係るレーザ加工装置10Aは、第1ステージ14-1と第2ステージ14-2との間に、カウンターウェイトCW3が1個だけ配置されている。すなわち、本実施形態に係るレーザ加工装置10Aでは、+Y側から、第1ステージ14-1、カウンターウェイトCW3(ガイドレールG3)及び第2ステージ14-2の順番の配置となっている。
【0089】
制御装置50は、加工時又は検査時の動作(Xステージ14の動作)により発生するレーザ加工装置10(Xステージ14)の振動を抑制するように、カウンターウェイトCW3を動作させる。具体的には、Xステージ14の移動方向と逆向きにカウンターウェイトCW3を移動させる。例えば、加工ステップと検査ステップを並行して行うときに、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動タイミングをずらせば、1個のカウンターウェイトCW3でも、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2により発生する振動を抑制することが可能になる。
【0090】
本実施形態によれば、カウンターウェイトの数を1個にしたので、第1の実施形態と比較して、レーザ加工装置10Aのサイズを小さくすることができ、かつ、軽量化することができる。さらに、本実施形態によれば、Y方向のストロークを短くすることができる。
【0091】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、
図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図及び正面図である。以下の説明において、上記の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
図9に示すように、本実施形態に係るレーザ加工装置10Bは、第1ステージ14-1と第2ステージ14-2の外側に、2個のカウンターウェイトCW1及びCW2がそれぞれ配置されている。すなわち、本実施形態に係るレーザ加工装置10Bでは、+Y側から、カウンターウェイトCW1(ガイドレールG1)、第1ステージ14-1、第2ステージ14-2及びカウンターウェイトCW2(ガイドレールG2)の順番の配置となっている。
【0093】
制御装置50は、加工時又は検査時の動作(Xステージ14の動作)により発生するレーザ加工装置10(Xステージ14)の振動を抑制するように、カウンターウェイトCW1及びCW2を動作させる。例えば、第1ステージ14-1に最も近いカウンターウェイトCW1を、第1ステージ14-1の移動方向と逆向きに移動させ、第2ステージ14-2に最も近いカウンターウェイトCW2を、第2ステージ14-2の移動方向と逆向きに移動させる。あるいは、レーザ加工装置10の中心又は重心に対して、第1ステージ14-1の反対側のカウンターウェイトCW2を、第1ステージ14-1の移動方向と逆向きに移動させ、第2ステージ14-2の反対側のカウンターウェイトCW1を、第2ステージ14-2の移動方向と逆向きに移動させてもよい。
【0094】
本実施形態によれば、カウンターウェイトの数を2個にしたので、第1の実施形態と比較して、レーザ加工装置10Bのサイズを小さくすることができ、かつ、軽量化することができる。さらに、本実施形態によれば、Y方向のストロークを短くすることができる。
【0095】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態に係るレーザ加工装置を示す平面図及び正面図である。以下の説明において、上記の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
図10に示すように、本実施形態に係るレーザ加工装置10Cは、第1ステージ14-1と第2ステージ14-2の外側に、2個のカウンターウェイトCW1及びCW2がそれぞれ配置されており、第1ステージ14-1と第2ステージ14-2の内側に、2個のカウンターウェイトCW3及びCW4がそれぞれ配置されている。すなわち、本実施形態に係るレーザ加工装置10Cでは、+Y側から、カウンターウェイトCW1(ガイドレールG1)、第1ステージ14-1、カウンターウェイトCW3及びCW4(ガイドレールG3及びG4)、第2ステージ14-2並びにカウンターウェイトCW2(ガイドレールG2)の順番の配置となっている。ここで、カウンターウェイトCW1及びCW3は、第1ステージ14-1の両側に配置された一対の第1ステージ側カウンターウェイトの一例であり、カウンターウェイトCW2及びCW4は、第2ステージ14-2の両側に配置された一対の第2ステージ側カウンターウェイトの一例である。
【0097】
制御装置50は、加工時又は検査時の動作(Xステージ14の動作)により発生するレーザ加工装置10(Xステージ14)の振動を抑制するように、カウンターウェイトCW1からCW4を動作させる。具体的には、第1ステージ14-1を挟むように配置されたカウンターウェイトCW1及びCW3を、第1ステージ14-1の移動方向と逆向きに移動させ、第2ステージ14-2を挟むように配置されたカウンターウェイトCW2及びCW4を、第2ステージ14-2の移動方向と逆向きに移動させる。
【0098】
本実施形態によれば、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2を挟むように2個ずつカウンターウェイトを配置したので、加工部28及び検査部30等の動作により発生するレーザ加工装置10Cの回転モーメントをより効果的に打ち消すことができる。これにより、制振効果を高めることが可能になる。
【0099】
[実施例]
次に、上記の実施形態に係るレーザ加工装置の制振効果について、
図11を参照して説明する。
図11は、カウンターウェイトの数とレーザ加工装置の変位の関係を示すグラフである。
【0100】
図11の(a)は、カウンターウェイトを設けなかった場合のレーザ加工装置(比較例)の動作時の変位を示している。
図11の(b)は、カウンターウェイトを1個設けた場合(第2の実施形態)に、(c)は、カウンターウェイトを2個設けた場合(第3の実施形態)に対応している。
【0101】
なお、
図11では、経過時間及び変位の数値は割愛したが、
図11の(a)~(c)における経過時間及び変位の目盛の大きさは同じである。
【0102】
図11の(a)に示すように、カウンターウェイトを設けなかった場合には、Xステージの移動によりレーザ加工装置に振動が発生し、レーザ加工及び加工不良の検査の精度に影響を与える。
【0103】
これに対して、
図11の(b)及び(c)に示すように、カウンターウェイトを設けた場合には、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動により発生するレーザ加工装置10A及び10Bの振動が抑制される。そして、カウンターウェイトの数が多くなるほど、より制振効果を高めることができる。
【0104】
なお、本実施形態では、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動方向を平行としたが、本発明はこれに限定されない。第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動方向が非平行の場合であっても、第1ステージ14-1及び第2ステージ14-2の移動方向に対して平行に移動可能なカウンターウェイト及びガイドレールを設けることにより、振動の抑制を実現することが可能である。
【0105】
また、本実施形態では、レーザ加工装置がXステージを2個備える場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。3台以上の複数のXステージを備える場合であっても、各Xステージの移動方向に対して平行に移動可能なカウンターウェイト及びガイドレールを設けることにより、振動の抑制を実現することが可能である。
【0106】
また、本実施形態は、複数のXステージを備えるレーザ加工装置において、加工と並行して行う検査として亀裂検出を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば、加工と並行して亀裂検出以外の検査を行う場合にも適用することが可能である。また、本実施形態における検査は、レーザ加工後のワークWに対して行うものであったが、レーザ加工前のワークWに対する検査についても、本実施形態を適用して、加工と並行して行うことが可能である。また、本実施形態における加工は、レーザ加工であったが、レーザ加工以外の加工(例えば、ブレードダイシング)を行う場合にも本実施形態を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0107】
10、10A、10B、10C…レーザ加工装置、12…ベース、14-1…第1ステージ、14-2…第2ステージ、16-1、16-2…θステージ、18…Yベース、20、24…Yステージ、22、26…Zステージ、28…加工部、28A…加工ユニット、28B…光学ユニット、30…検査部、30A…検査ユニット、30B…光学ユニット、50…制御装置、52…入出力部、54-1、54-2…X駆動部、56-1、56-2…θ駆動部、58…制振機構、60、64…Y駆動部、62、66…Z駆動部、C1、C2…ウェーハチャック、CW1~CW4…カウンターウェイト、G1~G4…ガイドレール