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特開2024-33021感光性樹脂組成物中の金属不純物を除去する金属除去フィルターを用いた金属除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033021
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物中の金属不純物を除去する金属除去フィルターを用いた金属除去方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/14 20060101AFI20240306BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240306BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240306BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B01D61/14 500
G03F7/004
C08G73/10
B01D71/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021004376
(22)【出願日】2021-01-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博昭
(72)【発明者】
【氏名】孫 軍
【テーマコード(参考)】
2H225
4D006
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AC21
2H225AC66
2H225AD06
2H225AN02P
2H225AN23P
2H225AN33P
2H225AN42P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225CA11
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
2H225EA02P
4D006GA06
4D006GA07
4D006MA04
4D006MA10
4D006MA21
4D006MB14
4D006MC11
4D006MC18
4D006MC22
4D006MC23
4D006MC24
4D006MC28
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC33
4D006MC37
4D006MC54
4D006MC55
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006PA01
4D006PB13
4J043PA01
4J043PA02
4J043PC086
4J043QB31
4J043RA34
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA12
4J043TA14
4J043TA32
4J043TA71
4J043TB01
4J043UA132
4J043UA151
4J043VA021
4J043XA16
4J043XB27
4J043YA01
4J043ZB22
(57)【要約】
【課題】本発明はポリアミック酸エステルの変性無く、感光性樹脂組成物が高い粘性を維持したまま、半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性樹脂組成物中の金属不純物を除去し、高純度化された精製材料組成物を得ることである。
【解決手段】感光性樹脂組成物中の金属不純物を、超高分子量のポリエチレン製の多孔性膜と、多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有する金属除去フィルターを用いた濾過により除去する金属除去方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂組成物中の金属不純物を、超高分子量ポリエチレン製の多孔性膜と、該多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有する金属除去フィルターを用いた濾過により除去する金属除去方法。
【請求項2】
前記感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸エステルを含有することを特徴とし、該ポリアミック酸エステルは下記一般式(1)からなる構造単位を有する化合物である請求項1に記載の金属除去方法。
【化1】
[式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基である。]
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物が有機溶剤を含有する溶液である請求項1または請求項2に記載の金属除去方法。
【請求項4】
前記金属除去フィルターを用いたろ過により除去する金属不純物が国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の金属除去方法。
【請求項5】
下記一般式(1)からなる構造単位を有する化合物を含む有機溶液中の金属不純物を、超高分子量ポリエチレン製の多孔性膜と、該多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有する金属除去フィルターを用いた濾過により除去する金属除去方法。
【化2】
[式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基である。]
【請求項6】
前記金属除去フィルターを用いたろ過により除去する金属不純物が国際純正応用化学連
合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である、請求項5に記載の金属除去方法。
【請求項7】
前記請求項1乃至請求項4に記載される金属除去方法を用いて得られた感光性樹脂組成物中に、国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union
of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質が100乃至1000ppt含まれる、精製された感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記請求項5または請求項6に記載される金属除去方法を用いて得られた有機溶液中に、国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of
Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質が100乃至1000ppt含まれる、精製された有機溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物またはポリアミック酸エステル溶液中の金属不純物を除去する金属除去フィルターを用いた金属除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造には多くの化学物質が用いられる。例えば、半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性絶縁膜としてポリアミック酸エステルが用いられる。このポリアミック酸エステル中に金属イオンや、金属若しくは金属酸化物に由来する帯電性コロイド物質が残存した場合、最終製品や、その製造工程中で予想外の悪影響を及ぼすことがある。
【0003】
上記金属不純物は原料由来の不純物であったり、有機反応時に用いられる金属触媒が残存したものであったり、ポリマー合成時に使用した反応釜由来の不純物であったりする。
一般的に、アルカリ金属、アルカリ土類金属であればイオン交換樹脂により多くは除去が可能である。しかし、多価金属イオンやそれら金属の帯電性金属酸化物コロイド粒子は、イオン交換樹脂では容易に吸着除去することが難しく、これらの除去の目的でキレート樹脂が用いられている(特許文献1、特許文献2を参照。)。一方で、金属イオンや帯電性金属酸化物コロイド粒子は、イオン強度やイオン半径や粒子径が多種多様であり、またキレート樹脂も官能基の種類により金属種の形態にフィットせずに十分な金属吸着能を発揮しない場合があり、対象となる樹脂中の金属不純物を数種除去するためにはキレート樹脂を組み合わせて用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開パンフレットWO2015-146307号公報
【特許文献2】特表2008-502470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属不純物の除去にはスチレン、ジビニルベンゼンの共重合体から成るマイクロポーラス型の担持体を有する、スルホ基含有カチオン性イオン交換樹脂を用いることが一般的である。しかし、スルホ基含有カチオン性イオン交換樹脂を用いた金属除去方法は、半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性絶縁膜としてポリアミック酸エステルが使用される場合は、ポリアミック酸エステルが変性するため、好ましくない。一方で、ポリアミック酸エステル溶液の変性無く金属を除去するためにはキレート樹脂処理を用いた金属除去方法が挙げられるが、キレート樹脂で処理する際は、キレート樹脂とポリアミック酸エステル溶液が効率良く接触できるよう、希薄な溶液状態で処理する必要がある。半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性絶縁膜の膜厚は数十μm程度と厚く、固形分濃度が比較的高いため、粘性が高くなる。このためキレート樹脂を用いた金属除去処理にあっては、効果的にキレート樹脂と感光性絶縁膜組成物を接触させることが難しく、上記の用途においてはキレート樹脂を用いた金属除去処理は適さない。
【0006】
本発明は半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性樹脂組成物中の金属不純物を特定の金属除去フィルターを用いてろ過することで、被精製材料が溶解した組成物中から除去し、高純度化された精製材料組成物(精製された感光性樹脂組成物と
もいえる)を得ようとするものである。
また本発明は、通常の有機溶液における金属不純物を特定の金属除去フィルターを用いてろ過することで、高純度化された精製有機溶液(精製された有機溶液ともいえる)を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は第1観点として、感光性樹脂組成物中の金属不純物を、該超高分子量ポリエチレン製の多孔性膜と、多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有する金属除去フィルターを用いた濾過により除去する金属除去方法に関する、
第2観点として、前記感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸エステルを含有することを特徴とし、該ポリアミック酸エステルは下記一般式(1)からなる構造単位を有する化合物である第1観点に記載の金属除去方法に関する。
【化1】
[式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基である。]
第3観点として、前記感光性樹脂組成物が有機溶剤を含有する溶液である第1観点または第2観点に記載の金属除去方法に関する。
第4観点として、前記金属除去フィルターを用いたろ過により除去する金属不純物が国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の金属除去方法に関する。
第5観点として、下記一般式(1)からなる構造単位を有する化合物を含む有機溶液中の金属不純物を、超高分子量ポリエチレン製の多孔性膜と、該多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有する金属除去フィルターを用いた濾過により除去する金属除去方法に関する、
【化2】
[式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基である。]
第6観点として、前記金属除去フィルターを用いたろ過により除去する金属不純物が国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of P
ure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である、第5観点に記載の金属除去方法に関する。
第7観点として、前記第1観点乃至第4観点に記載される金属除去方法を用いて得られた感光性樹脂組成物中に、国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質が100乃至1000ppt含まれる、精製された感光性樹脂組成物に関する。
第8観点として、前記第5観点または第6観点に記載される金属除去方法を用いて得られた有機溶液中に、国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う第2周期乃至第6周期で第1族乃至第14族の金属、その多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質が100乃至1000ppt含まれる、精製された有機溶液に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、金属除去フィルターを用いて感光性樹脂組成物溶液中の金属不純物を除去する金属除去方法が提供される。
本発明は半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性樹脂組成物中の金属不純物を特定の金属除去フィルターを用いてろ過することで、ポリアミック酸エステルの変性無く、感光性樹脂組成物が高い粘性を維持したまま、効果的に高純度化され、精製材料組成物を得ることが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、金属除去フィルターを用いて溶液中の金属不純物を除去する金属除去方法であって、溶液は、主にポリアミック酸エステルを含有した感光性樹脂組成物溶液である。本発明の被精製溶液の成分として用いる感光性樹脂組成物は、(A)ポリアミック酸エステル、所望により(B)カルボン酸化合物又はその無水物、(C)イソシアネート化合物、(P)前記ポリアミック酸エステル(A)以外の高分子化合物、その他の成分から成る。
【0010】
[(A)ポリアミック酸エステル]
ポリアミック酸エステルは、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、下記一般式(1)で表される単位構造を有する。
【0011】
【化3】
[式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基である。]
【0012】
上記一般式(1)中、Xは、4価の有機基であれば特に限定されないが、耐熱性と感光特性とを両立するという観点で、好ましくは、炭素原子数6~40の4価の有機基であり、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。また、Xで表される4価の有機基は、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基であることがより好ましい。
【0013】
さらに好ましくは、Xは、下記式(5)又は下記式(5-1)~(5-7)で表される4価の有機基である。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0018】
上記一般式(1)中、Yは、炭素原子数6~40の2価の有機基であれば限定されないが、耐熱性と感光特性とを両立するという観点で、置換されていてもよい芳香族環又は脂肪族環を1~4個有する環状有機基、又は環状構造を持たない脂肪族基又はシロキサン基であることが好ましい。より好ましくは、Yは、下記一般式(6)、下記一般式(7)又は下記式(8)で表される構造である。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、Aは、それぞれ独立に、メチル基(-CH)、エチル基(-C)、プロピル基(-C)又はブチル基(-C)を表す。}
【0022】
【化9】
【0023】
また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0024】
上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、1価の有機基であれば特に限定されない。例えば、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1~30、又は炭素原子数5~22の1価の脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とが結合した基、若しくはそれらの基がハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、アセトキシ基などで置換された基とすることができる。ハロゲン原子としては、F、Cl、Br、Iが典型的である。
【0025】
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立に、下記一般式(2):
【0026】
【化10】
【0027】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3の1価の有機基であり、そしてmは、1~10の整数である。*は、一般式(1)のポリアミド酸主鎖に存在するカルボン酸との結合部位である。)
で表されることが好ましい。
【0028】
及びRは、それぞれ独立に、下記一般式(3):
【化11】
【0029】
(式中、Rは、炭素原子数1~30のアルキル基から選択される1価の基である。*は上記と同一である。)
で表される1価の有機基が含まれていてもよい。
【0030】
上記一般式(1)におけるR及びRは、各々1種又は2種以上の組み合わせでもよいが、好ましくは3種以下の組み合わせであり、好ましくは2種の組み合わせであり、最も好ましくは1種である。
【0031】
上記一般式(1)において、感光性樹脂組成物の感光特性及び機械特性の観点から、R及びRの全てに対する上記一般式(2)で表される1価の有機基と上記一般式(3)で表される1価の有機基の合計の割合は、好ましくは80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上であり、好ましくは100モル%である。
【0032】
上記一般式(1)において、感光性樹脂組成物の感光特性及び機械特性の観点から、R及びRの全てに対する上記一般式(2)で表される1価の有機基の合計の割合は、好ましくは80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上であり、好ましくは100モル%である。
【0033】
上記一般式(2)中のRは、水素原子又は炭素原子数1~3の1価の有機基であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性の観点で、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0034】
上記一般式(2)中のR及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3の1価の有機基であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。
【0035】
上記一般式(2)中のmは、1以上10以下の整数であり、感光特性の観点から好ましくは2以上4以下の整数である。
【0036】
上記一般式(3)におけるRは、炭素原子数1~30のアルキル基から選択される1価の有機基であれば限定されない。炭素原子数が5~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数が8~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数が9~30のアルキル基が好まし
く、炭素原子数が10~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数が11~30のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数が17~30のアルキル基がさらに好ましい。直鎖構造のみならず、分岐構造、環状構造を有していてもよい。
【0037】
前記Rは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基(アミル基)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(ミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(パルミチル基)、ヘプタデシル基(マルガリル基)、オクタデシル基(ステアリル基)、ノナデシル基、イコシル基(アラキル基)、ヘンイコシル基、ドコシル基(ベヘニル基)、トリコシル基、テトラコシル基(リグノセリル基)、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、sec-イソアミル基、イソヘキシル基、ネオへキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-エチルペンチル基、ヘプタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、4-メチルヘキサン-2-イル基、3-メチルヘキサン-3-イル基、2,3-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、6-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクタン-2-イル基、6-メチルヘプタン-2-イル基、6-メチルオクチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、ノナン-4-イル基、2,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3-エチルヘプタン-3-イル基、3,7-ジメチルオクチル基、8-メチルノニル基、3-メチルノナン-3-イル基、4-エチルオクタン-4-イル基、9-メチルデシル基、ウンデカン-5-イル基、3-エチルノナン-3-イル基、5-エチルノナン-5-イル基、2,2,4,5,5-ペンタメチルヘキサン-4-イル基、10-メチルウンデシル基、11-メチルドデシル基、トリデカン-6-イル基、トリデカン-7-イル基、7-エチルウンデカン-2-イル基、3-エチルウンデカン-3-イル基、5-エチルウンデカン-5-イル基、12-メチルトリデシル基、13-メチルテトラデシル基、ペンタデカン-7-イル基、ペンタデカン-8-イル基、14-メチルペンタデシル基、15-メチルヘキサデシル基、ヘプタデカン-8-イル基、ヘプタデカン-9-イル基、3,13-ジメチルペンタデカン-7-イル基、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-イル基、16-メチルヘプタデシル基、17-メチルオクタデシル基、ノナデカン-9-イル基、ノナデカン-10-イル基、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、18-メチルノナデシル基、19-メチルイコシル基、ヘンイコサン-10-イル基、20-メチルヘンイコシル基、21-メチルドコシル基、トリコサン-11-イル基、22-メチルトリコシル基、23-メチルテトラコシル基、ペンタコサン-12-イル基、ペンタコサン-13-イル基、2,22-ジメチルトリコサン-11-イル基、3,21-ジメチルトリコサン-11-イル基、9,15-ジメチルトリコサン-11-イル基、24-メチルペンタコシル基、25-メチルヘキサコシル基、ヘプタコサン-13-イル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、1,6-ジメチルシクロヘキシル基、メンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4-イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基、シクロドデシル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
【0038】
好ましくは、前記Rが、下記式(4):
【0039】
【化12】
【0040】
(Zは水素、又は炭素原子数1~14のアルキル基であり、
は炭素原子数1~14のアルキル基であり、
は炭素原子数1~14のアルキル基であり、
但し、Z、Z及びZは相互に同じでも異なってもよく、
、Z及びZの炭素原子数の合計が4以上である。)で表されるものであることが好ましい。
【0041】
が水素であることが好ましい。
、Z及びZは炭素原子数2~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数2~10のアルキル基であることが好ましい。
、Z及びZの炭素原子数の合計は5以上であることが好ましく、6以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、12以上であることが好ましく、14以上であることが好ましく、15以上であることが好ましく、16以上であることが好ましい。
、Z及びZの炭素原子数の合計は6以上20以下であることが好ましい。
、Z及びZの炭素原子数の合計の上限は28であることが好ましい。
【0042】
また、前記Rが、以下の式(3-1)~式(3-7)から選ばれるものであってもよい。
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
前記Rは、上記式(3-1)~式(3-7)から選ばれることが好ましい。
【0046】
[ポリアミック酸エステルの調製方法]
本実施形態における上記一般式(1)で表されるポリアミック酸エステルは、例えば、前述の炭素数6~40の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、(a)上記一般式(2)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類、及び(b)上記一般式(3)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製し、続いて前述の炭素数6~40の2価の有機基Yを含むジアミン類と重縮合させることにより得られる。
【0047】
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態において、炭素数6~40の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(=4,4’-オキシジフタル酸二無水物)、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。
【0048】
また、下記式(5-1-a)~式(5-7-a)で表されるテトラカルボン酸二無水物も例示される。
【0049】
【化15】
【0050】
これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して、使用されることができる。
【0051】
本実施形態において、(a)上記一般式(2)で表される構造を有するアルコール類としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアルコール、1-アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアルコール、1-メタクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0052】
(b)上記一般式(3)で表される構造を有する炭素原子数1~30の脂肪族アルコール類として、例えば、上記炭素原子数1~30のアルキル基の水素原子をヒドロキシ基で置換したアルコール類等を挙げることができる。
【0053】
また上記式(3-1)~式(3-6)の構造を有するアルコール類を使用してもよい。以下の市販品を使用してもよい。
式(3-1)の構造を含むアルコール類:ファインオキソコール(登録商標)180(日産化学株式会社製)、
式(3-2)の構造を含むアルコール類:ファインオキソコール(登録商標)2000(日産化学株式会社製)、
式(3-3)の構造を含むアルコール類:ファインオキソコール(登録商標)180N(日産化学株式会社製)、
式(3-4)又は式(3-5)の構造を含むアルコール類:ファインオキソコール(登録商標)180T(日産化学株式会社製)、
式(3-6)の構造を含むアルコール類:ファインオキソコール(登録商標)1600K(日産化学株式会社製)。
これらのアルコール類として、上記式(3-1)~式(3-6)の構造を有するアルコール類を使用することが好ましい。
【0054】
感光性樹脂組成物中の上記(a)成分と(b)成分の合計した含有量は、上記一般式(1)におけるR及びRの全ての含有量に対し、80モル%以上が好ましく、低誘電率化及び低誘電正接化のために、(b)成分の含有量はR及びRの全ての含有量に対し、1モル%~90モル%が好ましい。
【0055】
上記のテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、反応溶媒中、反応温度0~100℃で10~40時間に亘って撹拌、溶解及び混合することにより、酸二無水物のハーフエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
【0056】
上記反応溶媒としては、該アシッド/エステル体、及び該アシッド/エステル体とジアミン類との重縮合生成物であるポリアミック酸エステルを溶解するものが好ましく、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0057】
(ポリアミック酸エステルの調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、既知の脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、炭素数6~40の2価の有機基Yを含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより、実施の形態で用いることができるポリアミック酸エステルを得ることができる。
【0058】
炭素数6~40の2価の有機基Yを含むジアミン類としては、例えば、p-フェニレ
ンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、及びその混合物等が挙げられる。
また、下記式(8-1)で表されるジアミン類も挙げられる。
【0059】
【化16】
【0060】
本願に使用されるジアミン類は、これらに限定されるものではない。
【0061】
実施の形態では、感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される感光性樹脂層と各種の基板との密着性を向上させるために、ポリアミック酸エステルの調製時に、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
【0062】
上記重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、反応液に投入して重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、実施の形態で用いることのできるポリアミック酸
エステルを単離する。
【0063】
ポリアミック酸エステルの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、5,000~150,000であることが好ましく、7,000~50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000以上である場合には、機械物性が良好であるため好ましく、一方で、150,000以下である場合には、現像液への分散性及びレリーフパターンの解像性能が良好であるため好ましい。
【0064】
[(B)カルボン酸化合物又はその無水物]
本発明の感光性樹脂組成物は、下記一般式(30)で表される(B)カルボン酸化合物又はその無水物を含む。
【0065】
【化17】
[式中、Z及びZは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、シアノ基、ホルミル基、ハロホルミル基、スルホ基、ニトロ基、ニトロソ基、オキソ基、チオキシ基、
置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキル基、アルコキシ基、もしくはアルキルスルファニル基、
置換されていてもよい炭素原子数2~10のアルケニル基、アルキニル基、もしくはアルコキシカルボニル基、又は
置換されていてもよいアミノ基、イミノ基、もしくはカルバモイル基を表し、
及びZは、相互に結合して、ヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有していてもよく、縮合していてもよい環を形成してもよく、当該環が芳香族環であるとき、
【化18】
はHOOCがCOOHに対してオルト位にある共役二重結合を示し、当該環が芳香族環であるとき以外の場合、
【化19】
はHOOCとCOOHについてのシス型二重結合を示す。]
【0066】
好ましくは、前記カルボン酸化合物又はその無水物(B)は、下記一般式(31)で表されるカルボン酸化合物又はその無水物である。
【0067】
【化20】
[式中、R33~R36は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、シアノ基、ホルミル基、ハロホルミル基、
スルホ基、ニトロ基、ニトロソ基、オキソ基、チオキシ基、
置換されていてもよい炭素原子数1~6のアルキル基、アルコキシ基、もしくはアルキルスルファニル基、
置換されていてもよい炭素原子数2~6のアルケニル基、アルキニル基、もしくはアルコキシカルボニル基、又は
置換されていてもよいアミノ基、イミノ基、もしくはカルバモイル基を表し、
33とR34、R34とR35、もしくはR35とR36は、相互に結合して、ヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有していてもよく、縮合していてもよい環を形成してもよい。]
【0068】
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基(アミル基)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、sec-イソアミル基、イソヘキシル基、ネオへキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-エチルペンチル基、ヘプタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、4-メチルヘキサン-2-イル基、3-メチルヘキサン-3-イル基、2,3-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、6-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクタン-2-イル基、6-メチルヘプタン-2-イル基、6-メチルオクチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、ノナン-4-イル基、2,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3-エチルヘプタン-3-イル基、3,7-ジメチルオクチル基、8-メチルノニル基、3-メチルノナン-3-イル基、4-エチルオクタン-4-イル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、1,6-ジメチルシクロヘキシル基、メンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4-イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
【0069】
アルコキシ基、もしくはアルキルスルファニル基、アルコキシカルボニル基の具体例としては、上記アルキル基にそれぞれ-O-、-S-、-COO-が結合した基が挙げられる。
【0070】
アルケニル基としては、具体的には、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル
基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、5-オクテニル基が挙げられる。
【0071】
アルキニル基としては、具体的には、アセチレニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンテチル基、2-ペンテチル基、3-ペンテチル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、2-ヘプチニル基、5-ヘプチニル基、1-オクチニル基、3-オクチニル基、5-オクチニル基が挙げられる。
【0072】
及びZが相互に結合して、ヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有していてもよく、縮合していてもよい環を形成する場合の環の具体例、及びR33とR34、R34とR35、もしくはR35とR36が相互に結合して、ヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有していてもよく、縮合していてもよい環を形成する場合の環の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピロール、フラン、チオフェン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ジオキサン、モルホリン、チアジン、トリアゾール、ジオキソラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、クロメン、イソクロメン、アクリジン、キサンテン、カルバゾール等が挙げられる。
【0073】
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、シアノ基、ホルミル基、ハロホルミル基、スルホ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、オキソ基、チオキシ基、炭素原子数1~10のアルキル基もしくはハロアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基もしくはハロアルコキシ基等が挙げられる。
【0074】
好ましくは、前記一般式(30)のZ及びZは、水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1~10のアルキル基である。
【0075】
好適なカルボン酸化合物又はその無水物(B)の若干を示すと、以下のとおりである。
【0076】
【化21】
【化22】
上に例示したカルボン酸化合物は、酸無水物であってもよい。
【0077】
本発明に係る感光性樹脂組成物中のカルボン酸化合物又はその無水物(B)の量は、前記ポリアミック酸エステル(A)100質量部に対し、通常0.1質量部~10重量部である。
【0078】
カルボン酸化合物又はその無水物(B)はZ又はZを介してポリアミック酸エステル(A)及び/又はポリアミック酸エステル(A)以外の高分子化合物(P)(後述)に化学結合していてもよい。
【0079】
[(C)イソシアネート化合物]
実施の形態では、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマー(イソシアネート化合物)を任意に感光性樹脂組成物に配合することができる。このようなイソシアネート化合物としては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
【0080】
イソシアネート化合物の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し
、好ましくは1質量部~50質量部であり、より好ましくは0.5質量部~30質量部である。
【0081】
また、より低誘電率かつ低誘電正接の硬化体を得るため、イソシアネート化合物として下記一般式(20)で表される(C’)イソシアネート化合物を用いることが好ましい。
【0082】
【化23】
[式中、R23は水素原子又はメチル基を表し、R24は、置換基を有してもよく、酸素原子によって中断されていてもよい炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、R25は、イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を表す。]
【0083】
24は、置換基を有してもよく、酸素原子によって中断されていてもよい炭素原子数1乃至5のアルキレン基であれば特に限定されない。炭素原子数1乃至5のアルキレン基としては、例えば、置換又は無置換のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。酸素原子によって中断されたアルキレン基としては、例えば、-CH2-O-CH-、-C-O-CH-、-CH-O-C-等が挙げられる。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アクリロイル基、メタクリロイル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、アセトキシ基等が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
【0084】
25は、イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を表す。イソシアネート基とは-NCOで表される基をいい、ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基が熱脱離可能な保護基によりブロックされた基、すなわち、イソシアネート基にイソシアネートブロック用化合物(ブロック剤)を反応させた基をいう。
【0085】
イソシアネート基のブロック剤とは、一般に、イソシアネート基と反応して、室温では他の分子中の官能基(例えば、酸官能基など)との反応を防ぐが、高温では脱離して、イソシアネート基を再生させ、その後の(例えば酸官能基との)反応を可能にするものをいう。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-エトキシヘキサノール、2-N,N-ジメチルアミノエタノール、2-エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、フェノール、o-ニトロフェノール、p-クロロフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のフェノール類、ε-カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、アミン類、アミド類、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール等の窒素含有ヘテロアリール化合物、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル、マロン酸ジニトリル、アセチルアセトン、メチレンジスルホン、ジベンゾイルメタン、ジピバロイルメタン、アセトンジカルボン酸ジエステル等の活性メチレン化合物類、ヒドロキサム酸エステル等が挙げられる。
ブロック剤は揮発性を有し、脱離後に組成物から蒸発するものが有利である。
【0086】
ブロックイソシアネート基は、例えば、
【化24】
[式中、Aは、アルコール、アミン、アミド、活性メチレン化合物、窒素含有ヘテロアリール化合物、オキシム、ケトオキシム、及びヒドロキサム酸エステルからなる群より選択されるイソシアネートブロック用化合物の残基を表す。]
で表される。
【0087】
前記一般式(20)で表されるイソシアネート化合物の具体例としては、2-イソシアネートエチルメタクリレート、2-イソシアネートエチルアクリレート等のイソシアネート含有(メタ)アクリレート、及びこれらにメチルエチルケトンオキシム、ε-カプロラクタム、3,5-ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチル等のブロック剤を付加した化合物が挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0088】
(C’)イソシアネート化合物は、公知の方法により合成できるほか、下記の市販品を使用することができる。
カレンズAOI(昭和電工株式会社製2-イソシアナトエチルアクリラート、登録商標)、
カレンズAOI-VM(昭和電工株式会社製2-イソシアナトエチルアクリラート、登録商標)、
カレンズMOI(昭和電工株式会社製2-イソシアナトエチルメタクリレート、登録商標)、
カレンズMOI-BM(昭和電工株式会社製メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、登録商標)、
カレンズMOI-BP(昭和電工株式会社製2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、登録商標)、
カレンズMOI-EG(昭和電工株式会社製、登録商標)、
カレンズBEI(昭和電工株式会社製1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、登録商標)、
カレンズAOI-BM(昭和電工株式会社製2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルアクリレート、登録商標)。
これらの中でも、2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルアクリレート(例えば、上記カレンズAOI-BM)及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(例えば、上記カレンズBEI)を用いることが好ましい。
【0089】
また、下記の構造を有するブロックイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を使用することができる。
【化25】
【化26】
【0090】
本発明に係る感光性樹脂組成物中の(C’)イソシアネート化合物の量は、前記ポリアミック酸エステル(A)100質量部に対し、通常1質量部~50質量部である。
【0091】
[(P)前記ポリアミック酸エステル(A)以外の高分子化合物]
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、前記(A)ポリアミック酸エステル以外の樹脂成分をさらに含有してもよい。感光性樹脂組成物に含有させることができる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂成分の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~20質量部の範囲である。
【0092】
[その他の成分]
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(C)、(P)成分以外の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、溶剤、増感剤、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、フィラーなどが挙げられる。
【0093】
熱架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3-テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3-テトラキス(メトキシメチル)尿素などが挙げられる。
フィラーとしては、例えば無機フィラーが挙げられ、具体的にはシリカ、窒化アルミ二ウム、窒化ボロン、ジルコニア、アルミナなどのゾルが挙げられる。
【0094】
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことができる。その光重合開始剤として、光硬化時に使用する光源に吸収をもつ化合物であれば特に限定されないが、例えば、tert-ブチルペルオキシ-iso-ブチレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4-ビス[α-(tert-ブチルジオキシ)-iso-プロポキシ]ベンゼン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α-(iso-プロピルフェニル)-iso-プロピルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)-4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物;9,10-アントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}-フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等のアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
上記光重合開始剤は、市販品として入手が可能であり、例えば、IRGACURE[登録商標]651、同184、同2959、同127、同907、同369、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、同1173、同MBF、同TPO、同4265、同TPO(以上、BASF社製)、KAYACURE[登録商標]DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE-10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン-PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマーN-1717、同N-1414、同N-1606(以上、株式会社ADEKA製)が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、通常0.1質量部~20質量部であり、光感度特性の観点から好ましくは0.5質量部~15質量部である。光重合開始剤を(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し0.1質
量部以上配合した場合には感光性樹脂組成物の光感度が向上しやすく、一方で、20質量部以下配合した場合には感光性樹脂組成物の厚膜硬化性が改善しやすい。
【0095】
溶剤としては、(A)ポリアミック酸エステルに対する溶解性の点から、有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、乳酸エチル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
【0096】
上記溶剤は、感光性樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、例えば、30質量部~1500質量部の範囲、好ましくは100質量部~1000質量部の範囲で用いることができる。
【0097】
実施の形態では、感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は複数の組合せで用いることができる。
【0098】
増感剤の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、0.1質量部~25質量部であることが好ましい。
【0099】
実施の形態では、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性を向上させるために、接着助剤を任意に感光性樹脂組成物に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-〔3-(トリエ
トキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
【0100】
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。接着助剤の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、0.5質量部~25質量部の範囲が好ましい。
【0101】
実施の形態では、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルフォプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
【0102】
熱重合禁止剤の配合量としては、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、0.005質量部~12質量部の範囲が好ましい。
【0103】
例えば、銅又は銅合金から成る基板を用いる場合には、基板変色を抑制するためにアゾール化合物を任意に感光性樹脂組成物に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いてもよい。
【0104】
アゾール化合物の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、0.
1質量部~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5質量部~5質量部であることがより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合には、感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成したときに、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には、光感度に優れるため好ましい。
【0105】
実施の形態では、銅上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に感光性樹脂組成物に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2
,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンが特に好ましい。
【0106】
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対し、0.1質量部~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5質量部~10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリアミック酸エステル100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れるため好ましい。
【0107】
[金属除去フィルター]
本発明は、金属除去フィルターを用いて感光性樹脂組成物溶液中の金属不純物を除去する金属除去方法であって、金属除去フィルターは、超高分子量のポリエチレン製の多孔性膜と、多孔性膜の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層とを有し、樹脂層に含まれる樹脂は、中性基又はイオン交換基を有する。
超高分子量ポリエチレンとしては特に制限されず、公知の超高分子量ポリエチレンが使用できる。超高分子量とは、重量平均分子量が、1.0×10以上であることを意味し、超高分子量ポリエチレンの分子量としては特に制限されないが、一般に、1.0×10~7.0×10が好ましく、1.0×10~7.0×10がより好ましい。なお、本発明において、超高分子量ポリエチレンの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定したものを意味する。
【0108】
金属除去フィルターは多孔性膜の表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂層を有する。樹脂層は樹脂を含有し、樹脂としては6-ナイロン、及び6,6-ナイロン等のポリアミド;ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリ(メタ)アクリレート;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニル等のポリフルオロカーボン;ポリビニルアルコール;ポリスチレン;セルロース;セルロースアセテート;ポリスチレン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
【0109】
また、樹脂層中の樹脂は多孔性膜に結合していてもよい。すなわち樹脂層中の樹脂は、多孔性膜に化学的に結合していても良く、樹脂層はグラフト鎖を有していても良い。
樹脂層は、多孔性膜の少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは100%を覆うように配置されていることが好ましい。
【0110】
グラフト鎖を有するとは、幹ポリマーの超高分子量ポリエチレンとは異なる分子が、多孔性膜の少なくとも一部の表面(好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上)において化学的に結合された状態を意味する。多孔性膜の表面には、孔の表面も含まれる。
【0111】
このような金属除去フィルターとしては例えば日本インテグリス社PurasolTM
SP溶剤用ピューリファイヤー、日本インテグリス社PurasolTM SN溶剤用ピューリファイヤーなどが挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0112】
溶液中の除去される金属不純物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属以外の金属が主な対象であるが限定されない。例えば多価金属元素、そのイオン、その水酸化物コロ
イド、その酸化物コロイドが吸着除去される対象である。それらは金属が第2周期乃至第6周期であり、且つ第1族乃至第14族の多価金属元素、多価金属イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である。多価金属元素は触媒として0価金属を用い、それがイオン化することなく、生成物中に金属として残存する場合がある。
これらの金属不純物はイオン性のものと微粒子状のものが存在し、イオン性の金属不純物はイオン交換樹脂で除去しやすいが、微粒子状のものは残存し、微粒子状の金属不純物はフィルターで除去しやすいがその際イオン性の不純物が残存しやすい傾向がある。本発明の金属不純物除去方法においては、理由は定かではないが、特定のフィルターを用いることで、イオン性、微粒子状両方の金属不純物を効率的に除去することができる。
【0113】
[金属不純物が低減された精製材料溶液の製造方法]
本発明は、精製すべき被精製材料を液体に溶解した被精製材料溶液を準備する工程、上記の金属除去フィルターを用いた濾過装置に上記被精製材料溶液を充填する工程、被精製材料を濾過し金属を除去する工程から成る。
金属除去フィルターを用いた濾過装置の送液方法としては、加圧式、ポンプ、モーターを用いることができる。また、濾過機内の接液部材としては、メタル溶出の無いPTFE、PFA、テフロンコーティングされた容器が好ましい。
【0114】
精製すべき被精製材料とは、原材料として用いる物質に天然物として本来含まれている金属不純物、高純度化処理を行ったが、なおも残存する金属不純物、その原材料を合成する時に触媒として用いた金属不純物などを含む材料が挙げられる。
特に、本発明の被精製材料にはポリアミック酸エステルが含まれるため、一般的な金属除去法として、マイクロポーラス型のスルホン酸イオン交換樹脂を使用して不純物除去する方法が考えられるが、ポリアミック酸エステルの変性を引き起こす為、適用が困難であり、本発明の方法が特に有効である。このポリアミック酸エステルは不純物としてNa、K、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、Pb等の金属、その金属イオン、金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイドを含んでいて、これら金属不純物を本発明の金属除去方法で除去し、不純物を低減させることができる。
【0115】
精製すべき被精製材料を液体に溶解した被精製材料溶液には、被精製材料に由来する金属不純物がその溶液中に数ppm乃至数百ppm含有されており、本発明の金属除去方法を適用することで、その溶液中の金属不純物を数ppb乃至1000ppb以下、好ましくは数ppb乃至数百ppb以下、より好ましくは数ppb乃至数十ppb以下に低減されるまで適用することができる。
【0116】
本発明では精製すべき被処理材料を溶解する液体(有機溶剤)が、予め精製された液体(又は前処理液体と称する)とすることができる。前処理液体を用いることで被精製材料溶液(精製前の組成物溶液)とした場合に、より効率的に高度に不純物が低減された精製材料溶液(精製後の組成物溶液)が得られる。
【0117】
不純物が低減された精製材料溶液は、その精製材料溶液から溶媒を除去し不純物が低減された材料を得ることが可能である。また、不純物が低減された精製材料溶液をそのまま材料が含有された組成物溶液とすることもできる。
【0118】
本発明で用いるフィルターの材質としては、PEもしくはPTFEが好ましく。PTFEが最も好ましいが、膜種を限定するものではない。
フィルターの孔径としてはより小さいほうが金属不純物を除去する効率が高いため好ましいが、小さすぎる場合はろ過不良となるため、被精製材料溶液の粘度を考慮すると10μm~0.2μmが好ましく、1μm~0.2μmがより好ましい。
【0119】
前記、被精製材料溶液が、有機溶剤を含用する溶液であるとき、精製すべき被精製材料を溶解する液体(すなわち溶剤)としては、例えば水;n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、i-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンセン、i-プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i-ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール、メチルイソブチルカルビノール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i-プロピルエーテル、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のアセテート系溶媒;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3-プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。上述した溶媒の中でも特に4-メチル-2-ペンタノール、メチルイソブチルカルビノール等のものアルコール系溶媒;プロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、アセト酢酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート等のエステル系溶媒;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン等のケトン系溶媒;N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の含窒素系溶媒が好ましい。
【0120】
さらに、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンが最も好ましい。
【0121】
本発明における金属除去フィルターを用いた濾過による金属除去方法は、前記ポリアミック酸エステル溶液の段階で、すなわち前記ポリアミック酸を前述した有機溶媒に溶解した段階で適用することもでき、各種添加材を添加し、感光性樹脂組成物溶液とした段階において適用することもできる。また、両方の段階において併用して行うこともできる。
【実施例0122】
下記、合成手順にてポリアミック酸エステルを合成した。本明細書の下記合成例に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)を用い、測定条件等は次のとおりである。
GPCカラム:KD-803,KD-805(Shodex製)
カラム温度:50℃
溶媒:N,N-ジメチルホルムアミド(関東化学,特級),臭化リチウム一水和物(関東化学,鹿特級)(30mM)/リン酸(Aldrich)(30mM)/テトラヒドロフラン(関東化学,特級)(1%)
流量:1.0mL/分
標準試料:ポリスチレン(ジーエルサイエンス製)
【0123】
本明細書の下記実施例に示すNMRスペクトルの測定は、1H-NMRスペクトルは、JNM-ECX500(500 MHz,日本電子株式会社製)により測定した。
【0124】
<製造例1> ジカルボン酸ジエステル(1)の合成
4,4’-ビフタル酸二無水物(東京化成工業株式会社)200.00g(0.68mol)を2リットル容量の四口フラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich)176.92g(1.366mol)とヒドロキノン(東京化成工業株式会社)0.74g(0.007mol)とγ―ブチロラクトン(関東化学,鹿特級)600gを入れて23℃で攪拌し、ピリジン(関東化学,脱水)108.63g(1.36mol)を加えた後に50℃まで昇温し、50℃で2時間撹拌することで、下記式(9)で表されるジカルボン酸ジエステル(1)を含む溶液を得た。
【化27】
【0125】
<製造例2> ポリアミック酸エステルとしてのポリマー(2)の合成
製造例1で調製した溶液82.46gとγ―ブチロラクトン19.45gを500ミリリットル容量の四口フラスコに入れ、約5℃において、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC,東京化成工業株式会社)13.13gをγ-ブチロラクトン30gに溶解した溶液を攪拌しながら0.5時間かけて反応液に滴下し、滴下後、0.5時間撹拌した。続いて2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(東京化成工業株式会社)19.68gをN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学,鹿特級)30gに溶解したものを攪拌しながら2時間かけて滴下した。その後、約25℃に昇温し、6時間攪拌した後、エタノール(関東化学,特級)4.5gを加えて1時間攪拌した
【0126】
得られた反応混合物を1500gのメタノール(関東化学,特級)に加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。上澄み液をデカンテーションして粗ポリマーを分離し、N-メチル-2-ピロリジノン150.0gに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を2250gの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、メタノール600gで二回洗浄し、真空乾燥して粉状のポリマー(2)を得た。ポリマー(2)の分子量をGPC(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は8,016であった。収率は73.6%であった。この反応生成物ポリマー(2)は、下記式(10)で表される繰り返し単位構造を有する。
【化28】
【0127】
<実施例>感光性樹脂組成物溶液の作成
製造例2で得られたポリマー(2)28.5714g、IRGACURE[登録商標]OXE01(BASF社製、光重合開始剤)1.71g、AOI-BM(昭和電工株式会社製、2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルアクリレート)8.57g、KBM-5103(信越化学工業株式会社製、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)0.43g、IRGANOX[登録商標]3114(BASF社製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.43g、及びフタル酸(東京化成工業
株式会社製)0.28gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ、組成物を調製した。その後、孔径10μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0128】
<実施例1>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物を日本インテグリス社PurasolTM SP溶剤用ピューリファイヤーカプセルフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0129】
<実施例2>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物を日本インテグリス社PurasolTM SN溶剤用ピューリファイヤーカプセルフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0130】
<実施例3>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をAdbantec社製孔径0.2μmのPTFEカプセルフィルターでろ過後、日本インテグリス社PurasolTM SP溶剤用ピューリファイヤーカプセルフィルターを用いてろ過し、次いで、日本インテグリス社PurasolTM SN溶剤用ピューリファイヤーカプセルフィルターを用いてろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0131】
<比較例1>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をロキテクノ社 孔径10μmPPメンブレンフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0132】
<比較例2>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をロキテクノ社 孔径5μmPPメンブレンフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0133】
<比較例3>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をロキテクノ社 孔径10μmPTFEメンブレンフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0134】
<比較例4>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をロキテクノ社 孔径3μmPTFEメンブレンフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0135】
<比較例5>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をAdbantec社 孔径1μmPTFEメンブレンフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0136】
<比較例6>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物をAdbantec社 孔径0.2μmPTFEカプセルフィルターでろ過を行った。ろ過時の圧力はそれぞれ0.3MPasとした。100gろ過した時点での精製溶液中のメタル含有量をICP-MS7500を用いて測定し、固形分換算したメタル分析値を算出した。
【0137】
<比較例7>ろ過によるメタル除去工程
前記作製した被精製溶液 ネガ型感光性樹脂組成物を日本インテグリス社 孔径3nm
PEカプセルフィルターでろ過を行った。ろ過不良により精製液のメタル含有量を算出できなかった。
【0138】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性樹脂組成物中のポリアミック酸エステルにある金属不純物を特定の金属除去フィルターを用いて除去し、高純度化された感光性樹脂組成物を得ることが可能となった。