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特開2024-33226プラスチックフィルムを再利用したリキッドインキ組成物及び積層体、並びにプラスチックフィルムの再利用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033226
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】プラスチックフィルムを再利用したリキッドインキ組成物及び積層体、並びにプラスチックフィルムの再利用方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/03 20140101AFI20240306BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C09D11/03
B32B27/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136700
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】中根 浩平
(72)【発明者】
【氏名】茂呂居 直
(72)【発明者】
【氏名】永川 健太郎
【テーマコード(参考)】
4F100
4J039
【Fターム(参考)】
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK03
4F100AK03A
4F100AK07
4F100AK07B
4F100AK41
4F100AK41A
4F100AK42
4F100AK42B
4F100AK51
4F100AK51A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CC00
4F100CC00A
4F100DE01
4F100DE01A
4F100HB31
4F100HB31A
4F100JA06
4F100JA06A
4F100YY00
4F100YY00A
4J039AD04
4J039AE06
4J039EA48
4J039FA02
4J039GA03
(57)【要約】
【課題】 プラスチックフィルムのリサイクル材料を用いて、優れたインキとしての特性を有する、環境配慮型のリキッドインキ組成物、及び該リキッドインキ組成物を用いた印刷物、積層体、並びにプラスチックフィルムのリサイクル再利用方法を提供する。
【解決手段】 バインダー樹脂と、ブロッキング防止剤と、溶媒を少なくとも含有し、ブロッキング防止剤が、プラスチックフィルム由来の樹脂の微粒子であるリキッドインキ組成物に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂と、ブロッキング防止剤と、溶媒を少なくとも含有し、
前記ブロッキング防止剤が、プラスチックフィルム由来の樹脂の微粒子であるリキッドインキ組成物。
【請求項2】
前記プラスチックフィルムが、ポリオレフィン系フィルム又はポリエステル系フィルムである請求項1に記載のリキッドインキ組成物。
【請求項3】
プラスチックフィルム由来の樹脂を平均粒子径が0.5μm~20μmの粒子とする、請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
【請求項4】
前記プラスチックフィルムのメルトフローレートが50g/10分以下である請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物により形成された印刷層を有する積層体。
【請求項7】
プラスチックフィルム由来の樹脂を粒子状にしてリキッドインキ用ブロッキング防止剤に利用する、プラスチックフィルムの再利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルムの再利用が可能なリキッドインキ組成物及び積層体、並びにプラスチックフィルムの再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックごみの分別回収しているリサイクル率は、世界全体でみると製造されたプラスチックの9%である。ゴミとなった91%のプラスチックのうち、焼却処分されたものは12%であり、79%は埋め立て処分されたか、もしくは環境中に漏れ出ている(非特許文献1)。一般社団法人プラスチック循環利用協会及び経済産業省生産動態統計月報(2020年11月版)によると、国内では、850万トン/年の廃プラスチック(100%)のうち、マテリアルリサイクルは186万トン/年(22%)、ケミカルリサイクルとして27万トン/年(3%)がリサイクルされており、エネルギーリカバリーとしては726万トン/年(61%)となっている。また、国内のPETボトルのリサイクル率は、出荷されたPETボトルに対して約89%であり51万トン/年がマテリアルリサイクルされている。
【0003】
しかし、包装用フィルムのリサイクル率は約8.5%の24万トン/年に留まっている。包装用フィルムのリサイクル率が低い状態が続いている理由の一つに、リサイクル用途が限られていることが挙げられる。包装用フィルムの材料としては、薄くても丈夫なことが求められることから、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの分子量が高いポリオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)等が主に用いられている。これらの樹脂は溶融時の流動性が悪く、結果として容器包装リサイクル材の流動性も悪くなることから、このような容器包装リサイクル材の用途はブロック材等の比較的厚みのある成形体に限られている。したがって、包装用フィルムのリサイクル材の新規用途を開発することが、リサイクル率向上のために必要である。
【0004】
一方、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みやCO排出量削減を目指し、インキ材料としてリサイクル材を用いる試みが行われている。例えば、特許文献1では、再生処理した植物油を用いたインキが開示されている。
【0005】
しかし、包装用フィルムのリサイクル率を向上させるための検討は、十分になされていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-311030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、プラスチックフィルムのリサイクル材料を用いて、優れたインキとしての特性を有する、環境配慮型のリキッドインキ組成物、及び該リキッドインキ組成物を用いた印刷物、積層体、並びにプラスチックフィルムのリサイクル再利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バインダー樹脂と、ブロッキング防止剤と、溶媒を少なくとも含有し、ブロッキング防止剤が、プラスチックフィルム由来の樹脂の微粒子であるリキッドインキ組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、上記リキッドインキ組成物を用いた積層体、並びにラスチックフィルムのリサイクル再利用方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プラスチックフィルムのリサイクル材料を用いて、優れたインキとしての特性を有するリキッドインキ組成物、及び該リキッドインキ組成物を用いた印刷物、積層体を得られる。
【0011】
本発明によると、プラスチックフィルムをインキのブロッキング防止剤として再利用することができるので、従来より使用されているシリカ等のブロッキング防止剤を使用する必要がなくなり、有機系のリサイクル材料で代替可能である。そのため、インキのブロッキング防止性に加えて、環境に配慮したインキを得られる。
【0012】
また、本発明は、パッケージ(軟包装材)用のプラスチックフィルムを再利用し、再びパッケージに印刷するインキとして再利用可能であることから、パッケージ内での資源の循環を実現できるため理想的である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ブロッキング防止剤)
本発明のブロッキング防止剤は、プラスチックフィルム由来の樹脂を用いた微粒子である。プラスチックフィルムとしては特に限定はされないが、軟包装材料に一般的に用いられるプラスチックフィルムであることが好ましい。軟包装材料として使用後に回収されたフィルムでもよいし、製造時のテストや廃棄により生じたフィルムでもよい。
【0014】
このような樹脂フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)などのポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム;ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系フィルム;ポリ乳酸などの生分解性フィルム;ポリアクリロニトリル系フィルム;ポリ(メタ)アクリル系フィルム;ポリスチレン系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)系フィルム等が挙げられるが、加工のしやすさ及び原料供給量の観点から、ポリオレフィン系フィルム又はポリエステル系フィルムであることが好ましい。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、これらのコポリマーを使用できる。ポリエチレン系樹脂としては、より具体的には、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)のポリエチレン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられ、単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。
【0016】
前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、たとえばプロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0017】
プラスチックフィルムのメルトフローレート(MFR)は材料や用いられる用途によって異なるが、50g/10分以下であることが好ましく、40g/10分以下であることがより好ましい。なお、MFRは、JIS K7210に準拠して220℃、荷重2.16kgfで測定した値を意味する。
【0018】
より具体的には、ポリエチレン系樹脂を用いる場合、該ポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、21.18N)は2~20g/10分であることが好ましく、3~10g/10分であることがより好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5~30.0g/10分であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0~15.0g/10分のものである。
【0019】
本発明のブロッキング防止剤は、プラスチックフィルム由来の樹脂を平均粒子径が0.1μm~30μmの粒子状にしたものであり、より好ましくは0.5~20μmの粒子状としたものである。粒子形状は特に限定されず、真球状であっても、不定形粒子であっても、非球状であってもよい。非球状としては、高アスペクト比を有するものや、角を有するものがあげられる。中でも、ブロッキング防止性を向上させるために、球状で硬度を有するものが好ましい。また、ブロッキング防止剤が印刷インキ層から剥がれ落ちることを防止するために、楕円状であることが好ましい。
【0020】
プラスチックフィルム由来の樹脂を粒子状にする方法は特に限定されず、公知の微粉砕方法にて粉状(パウダー化)することができる。例えばジェットミル、振動ボールミル、攪拌ミル、遊星ミルなどを用いて粉砕する方法が挙げられる。粉砕物は、分級機により低粒径成分等を除去し、目的の粒度分布を達成できる。なお、プラスチックフィルムを粉砕化する際は、フィルムを0.1mm~10mm程度に破砕してから、粉末化処理を行うことが好ましい。
【0021】
また、プラスチックフィルムを溶剤に溶かして溶融析出による方法やスプレー式の造粒も可能であるし、水への乳化分散法などの造粒方法も可能である。また、プラスチックフィルムを熱分解して微粉末化する方法も可能である。熱分解は、高分子量のオレフィン系重合体を用いることが好ましく、熱分解において例えば不飽和カルボン酸若しくはその無水物等をグラフト反応させて所望の特性に調整してもよい。
【0022】
このようにして得られるフィルム由来の粒子は、インキのブロッキング防止剤として用いられる。インキの印刷様式や材料系は特に限定されないが、グラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキに用いられることが好ましい。以下、リキッドインキ組成物を例に挙げて説明する。
【0023】
(リキッドインキ組成物)
本発明のリキッドインキ組成物は、上述したブロッキング防止剤と、バインダー樹脂と、溶媒を少なくとも含有する。リキッド印刷インキは、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキとして使用され、有機溶剤を主溶媒とする有機溶剤型リキッド印刷インキと、水を主溶媒とする水性リキッド印刷インキとに大別されるが、本発明においてはどちらを使用しても構わない。また、いわゆる表刷りインキと、ラミネートが前提の裏刷りインキとがあるが、本発明においてはどちらを使用しても構わない。
【0024】
本発明に使用するリキッド印刷インキに使用するバインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)やセルロースアセテートブチロネート(CAB)等セルロース系樹脂等の繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂等を挙げることができる。
【0025】
また、バインダー樹脂に硬化剤を併用してもよい。硬化剤としては有機溶剤系のグラビア印刷インキで汎用の硬化剤を使用すればよいが、最もよく使用されるのはイソシアネート系の硬化剤である。
【0026】
イソシアネート化合物の添加量としては、硬化効率の観点からリキッド印刷インキ固形分に対し0.3質量%~10.0質量%の範囲が好ましく、1.0質量%~7.0質量%であればより好ましい。
【0027】
バインダー樹脂(A)は、リキッド印刷インキに対して0.15~50質量%の範囲であることが好ましく、1~40質量%の範囲で使用することが最も好ましい。
【0028】
(溶媒)
本発明に使用するリキッド印刷インキに使用する溶媒としては、特に制限はないが、たとえば水、トルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
【0029】
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
【0030】
(着色剤)
本発明に使用するリキッド印刷インキは着色剤を含み、美粧性等を付与する目的でデザイン印刷等に用いる着色剤を含むリキッド印刷インキとして使用することができる。着色剤としては、一般のインキ、塗料、及び記録剤等に使用されている無機顔料、有機顔料及び染料を挙げることができ、顔料が好ましい。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系等の顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。
【0031】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏等の白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカ及び/又はアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0032】
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末又はペースト状であるが、取扱い性及び安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィング又はノンリーフィングを使用するかは輝度感及び濃度の点から適宜選択される。
【0033】
上記顔料は、リキッドインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちリキッドインキ総質量に対して1~60質量%、リキッド印刷インキ中の固形分重量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
本発明では更に必要に応じて、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
【0035】
本発明では、従来よりブロッキング防止剤として用いられてきたシリカ化合物、脂肪酸アマイド、セルロース系樹脂等に替えて、上述したフィルム由来の樹脂微粒子を用いることができる。そのため、従来より用いられてきたブロッキング防止剤を用いる必要は無いが、本発明のフィルム由来の樹脂微粒子と従来より用いられてきたブロッキング防止剤とを併用してもよい。
【0036】
(バイオマスリキッドインキ)
本発明に使用するリキッドインキにおいて、持続的に発展すべき循環型社会の構築(サステナビリティ)を考慮し、植物由来原料を使用したリキッド印刷インキを使用することが好ましい。
【0037】
植物由来原料としては例えば、セルロースアセテートプロピオネート樹脂や硝化綿等の繊維素系樹脂や、大豆油由来、パーム油由来、米糠油由来等天然油に由来するダイマー酸あるいは重合脂肪酸を使用したポリアミド樹脂や、ポリカルボン酸として、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、グルタル酸、リンゴ酸等、ポリオールとして、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンチレングリコール、1,10-ドデカンジオール、ダイマージオール、イソソルビド等、ポリイソシアネートとして、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ダイマージイソシアネート等の植物由来原料から合成したバイオマスポリウレタンや、ロジン樹脂等が挙げられる。
【0038】
バイオマスリキッドインキとしては市販品を利用することもできる。市販品としては、一般社団法人日本有機資源協会に記載のインキ等が使用できる。
【0039】
以上のようなリキッドインキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をバインダー樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
【0040】
前記顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
【0041】
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0042】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
【0043】
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0044】
(印刷物/積層体)
上述したリキッドインキは、各種の基材に印刷し、印刷物とすることにより、各種の軟包装材料等の用途に利用可能である。
【0045】
基材としては、各種のプラスチックフィルムが用いられる。フィルムとしては、軟包装材料に一般的に用いられるプラスチックフィルムが用いられ、上述した本発明のブロッキング防止剤の原料と同様のプラスチックフィルムが用いられる。
【0046】
また、持続的に発展すべき循環型社会の構築(サステナビリティ)を考慮し、生分解性フィルムを用いることが好ましい。
【0047】
生分解性フィルムとしては、生分解性を有するものであれば特に限定は無いが、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、天然高分子及び/又はその誘導体、から選ばれる少なくとも1種を含有するフィルム、又は紙が挙げられる。
【0048】
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネ-ト(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ3-ヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリブチレンサクシネ-トアジペート(PBSA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリグリコール酸(PGA)等があげられる。
【0049】
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンセバテートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等があげられる。
【0050】
天然高分子及び/又はその誘導体としては、澱粉、セルロース、酢酸セルロースの様な変性セルロース、キチン、キトサン等の多糖類があげられる。セルロースやその誘導体として、セロファン、生分解性を保持する程度までアセチル化したアセチルセルロース等を用いることもできる。
【0051】
中でも、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネ-ト(PBS)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネ-トアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネートを用いたものが生分解性や強度等のフィルムとしての適性の観点から好ましい。
【0052】
これらの材料を用いたフィルムは、単層であっても多層であってもよい。また、フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
【0053】
尚、基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましい。ガスバリア性や、印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティングが施されたり、アルミ、シリカ、アルミナ等が蒸着されているものを用いてもよい。
【0054】
また、基材として紙を用いてもよい。紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等の包材・パッケージ等の印刷に用いられる上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシンペーパー、パーチメント紙、マニラボール、白ボール、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙、ポリエチレンコート紙等の紙、各種合成紙、等が挙げられる。
【0055】
本発明の印刷物は、基材上に、上述したリキッドインキ組成物を表刷り用インキ、裏刷り用インキ、あるいはラミネート用インキとして好ましく使用することができる。表刷り用インキとして使用する場合は、別途オーバープリントワニス層を設けることもできる。一方裏刷り用インキとして使用する場合は、別途アンカーコートワニス層を設けることもできる。
【0056】
また、本発明の印刷物は、1層の印刷層のみならず、基材上に複数の印刷層を有していてもよい。例えば、基材に少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体や、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層と第三の印刷層をこの順に有する積層体を作製することができる。これらの印刷層に、本発明のリキッド印刷インキを用いることができる。より具体的には、例えば着色剤を含有する印刷インキより形成された第一の印刷層と、着色剤として白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の白印刷層とをこの順に有する印刷物とすることができる。第一の印刷層は着色剤による絵柄を形成させる事ができ、白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の印刷層は、絵柄の背景として使用することができる。第二又は第三の印刷層をオーバープリントニスとする場合は、着色剤を含まなくてもよい。
【0057】
更に、複数の基材を貼り合せて積層体の構成として用いてもよい。基材は、接着剤により貼り合わせたり、押出しラミネーションにより積層することができる。
【0058】
具体的な積層体の構成としては、
(1)基材フィルム1/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(2)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着未延伸フィルム
(3)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム
(4)透明蒸着延伸フィルム/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(5)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/シーラントフィルム
(6)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(7)基材フィルム1/印刷層/接着層1/透明蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(8)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/シーラントフィルム
(9)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/金属層/接着層3/シーラントフィルム
(10)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/基材フィルム2/接着層3/シーラントフィルム
等が挙げられるがこれに限定されない。なおここで「印刷層」が本発明のリキッド印刷インキの印刷層である。また、上記構成(1)~(10)では基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設ける構成を記載したが、基材フィルム1の接着層1と反対側の面(表面)に印刷層を設けてもよいし、基材フィルム2に印刷層を設けてもよい。
【0059】
本発明の印刷物や積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
【実施例0060】
以下、本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0061】
尚、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
【0062】
〔ポリウレタン樹脂(A1)の合成〕
(合成実施例1)A-1
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールとセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール100部(水酸基価:108mgKOH/g)とイソホロンジイソシアネート32.3部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率3.08質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル71.2部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.47部、ジ-n-ブチルアミン0.46部、酢酸エチル143部およびイソプロピルアルコール115部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A1-1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A1-1は、樹脂固形分濃度29.9質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は54,000であった。
【0063】
(合成実施例2)A-2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールとアジピン酸を原料とするポリエステルポリオール97部(水酸基価:140mgKOH/g)とポリエチレングリコール3部(水酸基価:160mgKOH/g)とイソホロンジイソシアネート39.7部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率3.23質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル75.2部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.71部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル152部およびイソプロピルアルコール122部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H-2得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H-2は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は25,000であった。
【0064】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液の調整)
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が重量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液(B-1)した。
【0065】
[実施例1~7、比較例1~3]
表に示す実施例1~7、及び比較例1~3に示す組成配合により、インキを作製した。作製したインキについて以下の評価を行った。表に各々の評価結果も併記する。
【0066】
〔評価項目1:耐ブロキング性〕
得られた各リキッドインキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、表に示す各フィルムを用いて印刷物を作製した。
【0067】
作製した印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cmの加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を、次の5段階で目視評価した。
【0068】
(評価基準)
5:非印刷面へのインキの転移量0%で転移が見られない。
4:10%未満の僅かな転移が見られる。
3:10%以上~20%未満の転移が見られる。
2:20%以上~30%未満の転移が見られる。
1:20%以上が転移している。
【0069】
〔評価項目2:印刷適性 耐カスレ性〕
得られたリキッドインキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤で希釈し、25℃にてザーンカップ#3(離合社製)で16秒になるように希釈した。得られたリキッド藍インキを、版深度25μmを有するグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、表に示すPETフィルムに印刷を行った。そして、印刷物の印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を次の3段階で目視評価した。カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで300m/分の印刷速度での評価を行った。
【0070】
(評価基準)
5:カスレ発が全然発生していない(発生率0%)
4:僅かにカスレが発生している(発生率5%未満)
3:少しカスレが発生している(発生率5%以上~10%未満)
2:カスレが発生している(発生率10%以上~20%未満)
1:カスレが多発している(発生率20%以上)
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表中、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-1)は、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムを粉砕法により平均粒径3μmに粉砕した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-2)は、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムを溶融法により平均粒径3μmに造粒した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-3)は、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムを溶融法により平均粒径3μmに造粒した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-4)は、PETフィルムを粉砕法により平均粒径3μmに造粒した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-5)は、LLDPE(ポリエチレン)フィルムを溶融法により平均粒径3μmに造粒した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-6)は、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムを溶融法により平均粒径0.5μmに造粒した微粒子である。
また、フィルム由来ブロッキング防止剤(C-7)は、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムを溶融法により平均粒径25μmに造粒した微粒子である。
【0074】
また、表中のOPPフィルムは、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
また、PETフィルムは厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、コロナ処理面に印刷を行った。
また、Nyフィルムは厚さ15μmのナイロンフィルムである。
【0075】
表より、本発明のフィルム由来の微粒子をインキに用いることにより、シリカ添加と同等のブロッキング防止性が得られる。本発明のブロッキング防止剤により、フィルムを有効にリサイクルすることができ、より環境に配慮したインキを得られ、循環型社会の実現に貢献できる。また、パッケージ用の軟包装フィルムを効果的に再利用でき、軟包装フィルムのリサイクル率向上に貢献できる。