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特開2024-33598医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033598
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61B1/045 622
A61B1/045 618
A61B1/045 614
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137264
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大城 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161HH51
4C161LL02
4C161SS21
4C161WW02
4C161WW10
4C161WW13
4C161WW18
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して、内視鏡を通して観察される観察対象内の複数の部位を把握させ易くすることができる医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】医療支援装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得し、内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得し、
前記内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、前記内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示する
医療支援装置。
【請求項2】
前記複数の画像は、互いに視覚的な情報量が異なる
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項3】
前記情報量は、第1情報量と前記第1情報量よりも少ない第2情報量とに分類され、
前記内視鏡関連情報は、前記内視鏡を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な難度情報を含み、
前記プロセッサは、前記表示装置に表示する前記画像として、前記難度情報に応じて、前記第1情報量の前記画像と前記第2情報量の前記画像とを切り替える
請求項2に記載の医療支援装置。
【請求項4】
前記複数の画像は、簡易な形式の簡易画像と前記簡易画像よりも詳細な形式の詳細画像とに分類される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項5】
前記内視鏡関連情報は、前記内視鏡を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な難度情報を含み、
前記プロセッサは、前記表示装置に表示する前記画像として、前記難度情報に応じて前記簡易画像と前記詳細画像とを切り替える
請求項4に記載の医療支援装置。
【請求項6】
前記観察対象は、管腔臓器であり、
前記複数の画像は、第1模式図、第2模式図、及び第3模式図を含む複数の模式図であり、
前記第1模式図は、前記管腔臓器を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す図であり、
前記第2模式図は、前記管腔臓器を透視した模式的な態様を示す図であり、
前記第3模式図は、前記管腔臓器を模式的に展開した態様を示す図である
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項7】
前記複数の領域は、大分類と前記大分類に含まれる小分類とに分類され、
前記第1模式図、前記第2模式図、及び前記第3模式図のうちの少なくとも1つには、前記大分類、前記小分類、又は、前記大分類と前記小分類との両方が表現されている
請求項6に記載の医療支援装置。
【請求項8】
前記内視鏡関連情報は、前記内視鏡に対応する操作内容を特定可能な情報を含む
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項9】
前記内視鏡関連情報は、前記内視鏡の操作者を特定可能な情報を含む
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項10】
前記内視鏡は、前記観察対象が写っている内視鏡画像を生成し、
前記内視鏡関連情報は、前記内視鏡画像に基づいて生成された情報である
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項11】
前記内視鏡は、前記観察対象が写っている内視鏡画像を生成し、
前記プロセッサは、
前記複数の領域を、前記内視鏡画像に基づいて、前記内視鏡を通して観察された観察済み領域と前記内視鏡を通して観察されていない未観察領域とに分類し、
前記少なくとも1つ以上の画像には、前記観察済み領域と前記未観察領域とが区別可能な状態で表示される
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項12】
前記観察対象は、管腔臓器であり、
前記複数の画像は、前記管腔臓器内での前記内視鏡の位置と前記複数の領域とを対比可能な第1画像と、前記管腔臓器内での前記観察済み領域と前記未観察領域とを区別可能な第2画像と、を含む
請求項11に記載の医療支援装置。
【請求項13】
前記観察対象は、管腔臓器であり、
前記複数の画像は、前記管腔臓器内での前記観察済み領域と前記未観察領域とを区別可能な第3画像と、前記管腔臓器内での前記観察済み領域と前記未観察領域とを前記第3画像よりも詳細に区別可能な少なくとも1つの第4画像と、を含む
請求項11に記載の医療支援装置。
【請求項14】
前記複数の画像は、前記第4画像として、前記管腔臓器を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す第4模式図と、前記管腔臓器を模式的に展開した態様を示す第5模式図と、を含む
請求項13に記載の医療支援装置。
【請求項15】
前記表示装置には、前記第3画像を起点として、前記第3画像と前記少なくとも1つの第4画像とが選択的に表示される
請求項13に記載の医療支援装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
体内に挿入された前記内視鏡の挿入方向の上流側の第1部位から下流側の第2部位を順に認識した場合に、前記挿入方向の上流側から下流側にかけて定められた第1経路に従って、前記複数の領域に、前記内視鏡を通して観察されていない未観察領域が存在していることを特定可能な未観察情報を出力し、
前記挿入方向の下流側の第3部位から上流側の第4部位を順に認識した場合に、前記挿入方向の下流側から上流側にかけて定められた第2経路に従って前記未観察情報を出力する
請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16の何れか一項に記載の医療支援装置と、
前記観察対象が写っている内視鏡画像を取得する画像取得装置と、を備える
内視鏡。
【請求項18】
内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得すること、及び
前記内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、前記内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示すること、を含む
医療支援方法。
【請求項19】
コンピュータに、
内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得すること、及び
前記内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、前記内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示すること、を含む処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被写体像を含む時系列の複数の画像を取得する画像取得部と、画像取得部から得られた画像が認識に不適な画像であるか否かを判定する可否判定部と、画像取得部から得られた2つ以上の画像から動き推定を行う動き推定部と、動き推定部から得られた動き情報を基に、ユーザの所作を判定する所作判定部と、画像取得部から得られた画像を認識して分類処理を行う分類部と、所作判定部から得られた所作情報及び前記分類部から得られた分類結果を基に、報知情報を制御する報知制御部と、を備える医療画像処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、撮像した内視鏡画像を出力する内視鏡システムと接続する医療用画像記録装置であって、メッセージを生成するメッセージ生成手段と、画像撮像装置から入力される内視鏡画像とメッセージ生成手段によって生成されたメッセージを合成する合成手段と、を備える医療用画像記録装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、被検体上の病変可能性部位を検出するスクリーニング時に用いられるスクリーニング用画像を取得するスクリーニング用画像取得手段と、スクリーニング用画像と異なる画像であって病変可能性部位が病変部か否かの識別に用いられる詳細診断用画像を取得する詳細診断用画像取得手段と、被検体上の観察領域との間の距離を示す観察距離を求める観察距離算出手段と、観察距離が一定値以上のときには前記スクリーニング用画像を表示手段に表示させ、観察距離が一定値未満のときには詳細診断用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える内視鏡システムが開示されている。
【0005】
特許文献4には、内視鏡によって撮影された被写体の画像を取得する画像取得部と、少なくとも画像取得部によって取得された画像を含む表示用画像を表示部に出力する表示出力部と、画像取得部によって取得された画像に含まれる注目領域を検出する注目領域検出部と、注目領域検出部における注目領域の検出が途絶したか否かを判定する検出途絶判定部と、検出途絶判定部において注目領域の検出が途絶したと判定された判定結果である途絶判定が得られた場合に、検出が途絶した注目領域が表示部の画面上に復帰するように支援する支援情報を表示部に表示するか否かの判定である表示可否判定を行う表示判定部と、を備え、表示可否判定において支援情報を表示すると判定された場合には、表示出力部は、表示用画像として、支援情報を更に含む画像を表示部に出力し、表示可否判定において支援情報を表示しないと判定された場合には、表示出力部は、表示用画像として、支援情報を含まない画像を表示部に出力する内視鏡画像処理装置が開示されている。
【0006】
特許文献5には、被写体を含む医療画像を取得する画像取得部と、医療画像を第1の表示領域に表示する表示部と、ユーザに報知するための報知情報を表示部において表示する制御、又は報知情報を表示部において非表示にする制御を行う表示制御部と、を有し、表示制御部は、第1の表示領域と異なる第2の表示領域において、報知情報を表示する制御、又は表示中の報知情報を非表示にする制御を行う医療画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/054543号
【特許文献2】特開2004-350793号公報
【特許文献3】特開2012-239815号公報
【特許文献4】国際公開第2019/244255号
【特許文献5】国際公開第2018/221033号
【発明の概要】
【0008】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、ユーザに対して、内視鏡を通して観察される観察対象内の複数の部位を把握させ易くすることができる医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得し、内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示する医療支援装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第2の態様は、複数の画像が、互いに視覚的な情報量が異なる、第1の態様に係る医療支援装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第3の態様は、情報量が、第1情報量と第1情報量よりも少ない第2情報量とに分類され、内視鏡関連情報が、内視鏡を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な難度情報を含み、プロセッサが、表示装置に表示する画像として、難度情報に応じて、第1情報量の画像と第2情報量の画像とを切り替える、第2の態様に係る医療支援装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第4の態様は、複数の画像が、簡易な形式の簡易画像と簡易画像よりも詳細な形式の詳細画像とに分類される、第1の態様から第3の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第5の態様は、内視鏡関連情報が、内視鏡を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な難度情報を含み、プロセッサが、表示装置に表示する画像として、難度情報に応じて簡易画像と詳細画像とを切り替える、第4の態様に係る医療支援装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第6の態様は、観察対象が、管腔臓器であり、複数の画像が、第1模式図、第2模式図、及び第3模式図を含む複数の模式図であり、第1模式図が、管腔臓器を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す図であり、第2模式図が、管腔臓器を透視した模式的な態様を示す図であり、第3模式図が、管腔臓器を模式的に展開した態様を示す図である、第1の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第7の態様は、複数の領域が、大分類と大分類に含まれる小分類とに分類され、第1模式図、第2模式図、及び第3模式図のうちの少なくとも1つには、大分類、小分類、又は、大分類と小分類との両方が表現されている、第6の態様に係る医療支援装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第8の態様は、内視鏡関連情報が、内視鏡に対応する操作内容を特定可能な情報を含む、第1の態様から第7の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第9の態様は、内視鏡関連情報が、内視鏡の操作者を特定可能な情報を含む、第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第10の態様は、内視鏡が、観察対象が写っている内視鏡画像を生成し、内視鏡関連情報が、内視鏡画像に基づいて生成された情報である、第1の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第11の態様は、内視鏡が、観察対象が写っている内視鏡画像を生成し、プロセッサが、複数の領域を、内視鏡画像に基づいて、内視鏡を通して観察された観察済み領域と内視鏡を通して観察されていない未観察領域とに分類し、少なくとも1つ以上の画像には、観察済み領域と未観察領域とが区別可能な状態で表示される、第1の態様から第10の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置である。
【0020】
本開示の技術に係る第12の態様は、観察対象が、管腔臓器であり、複数の画像が、管腔臓器内での内視鏡の位置と複数の領域とを対比可能な第1画像と、管腔臓器内での観察済み領域と未観察領域とを区別可能な第2画像と、を含む、第11の態様に係る医療支援装置である。
【0021】
本開示の技術に係る第13の態様は、観察対象が、管腔臓器であり、複数の画像が、管腔臓器内での観察済み領域と未観察領域とを区別可能な第3画像と、管腔臓器内での観察済み領域と未観察領域とを第3画像よりも詳細に区別可能な少なくとも1つの第4画像と、を含む、第11の態様に係る医療支援装置である。
【0022】
本開示の技術に係る第14の態様は、複数の画像が、第4画像として、管腔臓器を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す第4模式図と、管腔臓器を模式的に展開した態様を示す第5模式図と、を含む、第13の態様に係る医療支援装置である。
【0023】
本開示の技術に係る第15の態様は、表示装置には、第3画像を起点として、第3画像と少なくとも1つの第4画像とが選択的に表示される、第13の態様又は第14の態様に係る医療支援装置である。
【0024】
本開示の技術に係る第16の態様は、プロセッサが、体内に挿入された内視鏡の挿入方向の上流側の第1部位から下流側の第2部位を順に認識した場合に、挿入方向の上流側から下流側にかけて定められた第1経路に従って、複数の領域に、内視鏡を通して観察されていない未観察領域が存在していることを特定可能な未観察情報を出力し、挿入方向の下流側の第3部位から上流側の第4部位を順に認識した場合に、挿入方向の下流側から上流側にかけて定められた第2経路に従って未観察情報を出力する、第1の態様に係る医療支援装置である。
【0025】
本開示の技術に係る第17の態様は、第1の態様から第16の態様の何れか1つの態様に係る医療支援装置と、観察対象が写っている内視鏡画像を取得する画像取得装置と、を備える内視鏡である。
【0026】
本開示の技術に係る第18の態様は、内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得すること、及び内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示すること、を含む医療支援方法である。
【0027】
本開示の技術に係る第19の態様は、コンピュータに、内視鏡に関連する内視鏡関連情報を取得すること、及び内視鏡を通して観察される観察対象が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示すること、を含む処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】内視鏡システムが用いられている態様の一例を示す概念図である。
図2】内視鏡システムの全体構成の一例を示す概念図である。
図3】内視鏡システムの電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】内視鏡に含まれるプロセッサの要部機能の一例を示すブロック図である。
図5】内視鏡スコープ、画像取得部、及び内視鏡認識部の相関の一例を示す概念図である。
図6】内視鏡認識部、制御部、及び表示装置の相関の一例を示す概念図である。
図7】内視鏡スコープ、画像取得部、部位認識部、及びNVMの相関の一例を示す概念図である。
図8】認識部位確認テーブルの構成の一例を示す概念図である。
図9】重要度テーブルの構成の一例を示す概念図である。
図10】表示装置の画面に表示される第1医療支援画像の一例を示す概念図である。
図11】表示装置の画面に表示される第2医療支援画像の一例を示す概念図である。
図12】表示装置の画面に表示される第3医療支援画像の一例を示す概念図である。
図13A】医療支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13B】医療支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】参照画像を起点として、参照画像、第1医療支援画像、第2医療支援画像、及び第3医療支援画像が画面に選択的に表示される態様の一例を示す概念図である。
図15】第3医療支援画像と参照画像とが並べられた状態で画面に表示される態様の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る医療支援装置、内視鏡、医療支援方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0030】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0031】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。AIとは、“Artificial Intelligence”の略称を指す。BLIとは、“Blue Light Imaging”の略称を指す。LCIとは、“Linked Color Imaging”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。FIFOとは、“First In First Out”の略称を指す。IDとは、“identification”の略称を指す。
【0032】
一例として図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡12及び表示装置13を備えている。内視鏡12は、内視鏡検査において医師14によって用いられる。内視鏡12は、通信装置(図示省略)と通信可能に接続されており、内視鏡12によって得られた情報は、通信装置に送信される。通信装置は、内視鏡12から送信された情報を受信し、受信した情報を用いた処理(例えば、電子カルテ等に記録する処理)を実行する。
【0033】
内視鏡12は、内視鏡本体18を備えている。内視鏡12は、内視鏡本体18を用いて被検体20(例えば、患者)の体内に含まれる観察対象21(例えば、上部消化器)に対する診療を行うための装置である。観察対象21は、医師14によって観察される対象である。内視鏡本体18は、被検体20の体内に挿入される。内視鏡12は、被検体20の体内に挿入された内視鏡本体18に対して、被検体20の体内の観察対象21を撮像させ、かつ、必要に応じて観察対象21に対して医療的な各種処置を行う。内視鏡12は、本開示の技術に係る「内視鏡」の一例である。
【0034】
内視鏡12は、被検体20の体内を撮像することで体内の態様を示す画像を取得して出力する。図1に示す例では、内視鏡12の一例として、上部内視鏡が示されている。なお、上部内視鏡は、あくまでも一例に過ぎず、内視鏡12が下部消化管内視鏡又は気管支内視鏡等の他種類の内視鏡であっても本開示の技術は成立する。
【0035】
また、本実施形態において、内視鏡12は、体内で光を照射することにより観察対象21で反射されて得られた反射光を撮像する光学式撮像機能を有する内視鏡である。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、内視鏡12が超音波内視鏡であったとしても本開示の技術は成立する。
【0036】
内視鏡12は、制御装置22及び光源装置24を備えている。制御装置22及び光源装置24は、ワゴン34に設置されている。ワゴン34には、上下方向に沿って複数の台が設けられており、下段側の台から上段側の台にかけて、制御装置22及び光源装置24が設置されている。また、ワゴン34の最上段の台には、表示装置13が設置されている。
【0037】
表示装置13は、画像を含めた各種情報を表示する。表示装置13の一例としては、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等が挙げられる。また、表示装置13に代えて、又は、表示装置13と共に、ディスプレイ付きのタブレット端末を用いてもよい。
【0038】
表示装置13には、複数の画面が並べて表示される。図1に示す例では、画面36及び37が示されている。画面36には、内視鏡12によって得られた内視鏡画像40が表示される。内視鏡画像40は、本開示の技術に係る「内視鏡画像」の一例である。
【0039】
内視鏡画像40には、観察対象21が写っている。内視鏡画像40は、被検体20の体内で内視鏡12によって観察対象21が撮像されることによって生成された画像である。観察対象21としては、上部消化器が挙げられる。以下では、説明の便宜上、上部消化器の一例として、胃を例に挙げて説明する。胃は、本開示の技術に係る「管腔臓器」の一例である。なお、胃は、あくまでも一例に過ぎず、内視鏡12によって撮像可能な領域であればよい。内視鏡12によって撮像可能な領域としては、例えば、大腸、小腸、十二指腸、食道、又は気管支等の管腔臓器が挙げられる。
【0040】
画面36には、複数フレームの内視鏡画像40を含んで構成される動画像が表示される。つまり、画面36には、複数フレームの内視鏡画像40が既定のフレームレート(例えば、数十フレーム/秒)で表示される。
【0041】
画面37には、医療支援画像41が表示される。医療支援画像41は、内視鏡検査中に医師14が参照する画像である。医療支援画像41は、内視鏡検査中に観察されることが予定されている複数の部位の確認等のために医師14によって参照される。また、医療支援画像41には、内視鏡検査中に観察されることが予定されている複数の部位に対して観察漏れがあるか否かの情報も含まれており、医師14によって、医療支援画像41が参照されることで、複数の部位に対する観察漏れの有無が把握される。
【0042】
一例として図2に示すように、内視鏡12は、操作部42及び挿入部44を備えている。挿入部44は、操作部42が操作されることにより部分的に湾曲する。挿入部44は、医師14による操作部42の操作に従って、観察対象21の形状(例えば、胃の形状)に応じて湾曲しながら挿入される。
【0043】
挿入部44の先端部46には、内視鏡スコープ48、照明装置50、及び処置用開口52が設けられている。内視鏡スコープ48は、被検体20の体内を撮像することにより医用画像として内視鏡画像40を取得する装置である。内視鏡スコープ48は、本開示の技術に係る「画像取得装置」の一例である。内視鏡スコープ48の一例としては、CMOSカメラが挙げられる。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、CCDカメラ等の他種のカメラであってもよい。
【0044】
照明装置50は、照明窓50A及び50Bを有する。照明装置50は、照明窓50A及び50Bを介して光を照射する。照明装置50から照射される光の種類としては、例えば、可視光(例えば、白色光等)及び非可視光(例えば、近赤外光等)が挙げられる。また、照明装置50は、照明窓50A及び50Bを介して特殊光を照射する。特殊光としては、例えば、BLI用の光及び/又はLCI用の光が挙げられる。内視鏡スコープ48は、被検体20の体内で照明装置50によって光が照射された状態で、被検体20の体内を光学的手法で撮像する。
【0045】
処置用開口52は、処置具54を先端部46から突出させる処置具突出口、血液及び体内汚物等を吸引する吸引口、及び流体56を送出する送出口として用いられる。
【0046】
処置用開口52からは、医師14の操作に従って、処置具54が突出する。処置具54は、処置具挿入口58から挿入部44内に挿入される。処置具54は、処置具挿入口58を介して挿入部44内を通過して処置用開口52から被検体20の体内に突出する。図2に示す例では、処置具54として、鉗子が処置用開口52から突出している。鉗子は、処置具54の一例に過ぎず、処置具54の他例としては、ワイヤ、メス、及び超音波プローブ等が挙げられる。
【0047】
内視鏡本体18には、吸引ポンプ(図示省略)が接続されており、処置用開口52は、吸引ポンプの吸引力により、観察対象21の血液及び体内汚物等を吸引する。吸引ポンプの吸引力は、医師14から内視鏡12に対して操作部42等を介して与えられた指示に従って制御される。
【0048】
内視鏡本体18には、供給ポンプ(図示省略)が接続されており、供給ポンプによって内視鏡本体18内に流体56(例えば、気体及び/又は液体)が供給される。処置用開口52は、供給ポンプから内視鏡本体18に供給された流体56を送出する。処置用開口52からは、医師14から内視鏡12に対して操作部42等を介して与えられた指示に従って、流体56として、気体(例えば、空気)と液体(例えば、生理食塩水)とが選択的に体内に送出される。流体56の送出量は、医師14から内視鏡12に対して操作部42等を介して与えられた指示に従って制御される。
【0049】
なお、ここでは、処置用開口52が、処置具突出口、吸引口、及び送出口として用いられる形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、先端部46に処置具突出口、吸引口、及び送出口が別々に設けられていてもよいし、先端部46に、処置具突出口と、吸引口及び送出口が兼用の開口とが設けられていてもよい。
【0050】
内視鏡本体18は、ユニバーサルコード60を介して制御装置22及び光源装置24に接続されている。制御装置22には、表示装置13及び受付装置62が接続されている。受付装置62は、ユーザからの指示を受け付け、受け付けた指示を電気信号として出力する。図2に示す例では、受付装置62の一例として、キーボードが挙げられている。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、受付装置62は、マウス、タッチパネル、フットスイッチ、及び/又はマイクロフォン等であってもよい。
【0051】
制御装置22は、内視鏡12の全体を制御する。例えば、制御装置22は、光源装置24を制御したり、内視鏡スコープ48との間で各種信号の授受を行ったり、表示装置13に各種情報を表示したりする。光源装置24は、制御装置22の制御下で発光し、光を照明装置50に供給する。照明装置50には、ライトガイドが内蔵されており、光源装置24から供給された光はライトガイドを経由して照明窓50A及び50Bから照射される。制御装置22は、内視鏡スコープ48に対して撮像を行わせ、内視鏡スコープ48から内視鏡画像40(図1参照)を取得して既定の出力先(例えば、表示装置13)に出力する。
【0052】
一例として図3に示すように、制御装置22は、コンピュータ64を備えている。コンピュータ64は、本開示の技術に係る「医療支援装置」及び「コンピュータ」の一例である。コンピュータ64は、プロセッサ70、RAM72、及びNVM74を備えており、プロセッサ70、RAM72、及びNVM74は電気的に接続されている。プロセッサ70は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0053】
制御装置22は、コンピュータ64、バス66、及び外部I/F68を備えている。コンピュータ64は、プロセッサ70、RAM72、及びNVM74を備えている。プロセッサ70、RAM72、NVM74、及び外部I/F68は、バス66に接続されている。
【0054】
例えば、プロセッサ70は、CPU及びGPUを有しており、制御装置22の全体を制御する。GPUは、CPUの制御下で動作し、グラフィック系の各種処理の実行及びニューラルネットワークを用いた演算等を担う。なお、プロセッサ70は、GPU機能を統合した1つ以上のCPUであってもよいし、GPU機能を統合していない1つ以上のCPUであってもよい。
【0055】
RAM72は、一時的に情報が格納されるメモリであり、プロセッサ70によってワークメモリとして用いられる。NVM74は、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する不揮発性の記憶装置である。NVM74の一例としては、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM及び/又はSSD)が挙げられる。なお、フラッシュメモリは、あくまでも一例に過ぎず、HDD等の他の不揮発性の記憶装置であってもよいし、2種類以上の不揮発性の記憶装置の組み合わせであってもよい。
【0056】
外部I/F68は、制御装置22の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)とプロセッサ70との間の各種情報の授受を司る。外部I/F68の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。
【0057】
外部I/F68には、外部装置の1つとして内視鏡スコープ48が接続されており、外部I/F68は、内視鏡スコープ48とプロセッサ70との間の各種情報の授受を司る。プロセッサ70は、外部I/F68を介して内視鏡スコープ48を制御する。また、プロセッサ70は、内視鏡スコープ48によって被検体20の体内が撮像されることで得られた内視鏡画像40(図1参照)を外部I/F68を介して取得する。
【0058】
外部I/F68には、外部装置の1つとして光源装置24が接続されており、外部I/F68は、光源装置24とプロセッサ70との間の各種情報の授受を司る。光源装置24は、プロセッサ70の制御下で、照明装置50に光を供給する。照明装置50は、光源装置24から供給された光を照射する。
【0059】
外部I/F68には、外部装置の1つとして表示装置13が接続されており、プロセッサ70は、外部I/F68を介して表示装置13を制御することで、表示装置13に対して各種情報を表示させる。
【0060】
外部I/F68には、外部装置の1つとして受付装置62が接続されており、プロセッサ70は、受付装置62によって受け付けられた指示を、外部I/F68を介して取得し、取得した指示に応じた処理を実行する。
【0061】
ところで、一般的に、内視鏡検査では、画像認識処理(例えば、AI方式の画像認識処理)を利用することによって病変が検出され、場合によっては病変を切り取る等の処置が行われる。また、内視鏡検査では、医師14が内視鏡12の挿入部44の操作と病変の鑑別とを同時に行うため、医師14にかかる負担が大きく、病変の見逃しが懸念される。病変の見逃しを無くすためには、観察対象21内で事前に予定されている複数の部位が画像認識処理によって漏れなく認識されることが重要となる。
【0062】
観察対象21内で事前に予定されている複数の部位が画像認識処理によって漏れなく認識されたかどうかを医師14に確認させる方法としては、表示装置13に対して医療支援画像を表示させる方法が考えられる。医療支援画像は、画像認識処理によって認識された部位がどこなのかを医師14に把握させるために用いられる画像であり、内視鏡検査中に医師14によって参照される。しかし、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、医師14によるメンタルローテーションの難度によっては、医師14が、表示装置13に表示されている医療支援画像の内容を十分に把握することができないことが予想される。とは言うものの、表示装置13に医療支援画像が全く表示されないと、観察対象21内で事前に予定されている複数の部位が画像認識処理によって漏れなく認識されたかどうかを医師14に確認させることが困難になる。
【0063】
そこで、このような事情に鑑み、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、医師14によるメンタルローテーションの難度に関わらず、事前に予定されている複数の部位に対する画像認識処理による認識漏れを抑制するために、本実施形態では、制御装置22のプロセッサ70によって医療支援処理が行われる(図4図13A及び図13B参照)。なお、本実施形態において、認識漏れは、上述した観察漏れと同義である。
【0064】
医療支援処理には、内視鏡12に関連する内視鏡関連情報を取得すること、及び、内視鏡12を通して観察される観察対象21が複数の領域に区切られた状態で、かつ、異なる態様で表現された複数の画像のうち、内視鏡関連情報に従って選択された少なくとも1つ以上の画像を表示装置に表示することを含む処理が含まれている。以下、医療支援処理について、より詳細に説明する。
【0065】
一例として図4に示すように、NVM74には、医療支援処理プログラム76が記憶されている。医療支援処理プログラム76は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ70は、NVM74から医療支援処理プログラム76を読み出し、読み出した医療支援処理プログラム76をRAM72上で実行する。医療支援処理は、プロセッサ70がRAM72上で実行する医療支援処理プログラム76に従って画像取得部70A、内視鏡認識部70B、制御部70C、及び部位認識部70Dとして動作することによって実現される。
【0066】
NVM74には、第1学習済みモデル78及び第2学習済みモデル80が記憶されている。本実施形態では、内視鏡認識部70B及び部位認識部70Dによって、物体検出用の画像認識処理として、AI方式の画像認識処理が行われる。内視鏡認識部70BによるAI方式の画像認識処理とは、第1学習済みモデル78を用いた画像認識処理を指す。また、部位認識部70DによるAI方式の画像認識処理とは、第2学習済みモデル80を用いた画像認識処理を指す。以下では、説明の便宜上、第1学習済みモデル78と第2学習済みモデル80とを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「学習済みモデル」とも称する。
【0067】
学習済みモデルは、物体検出用の数理モデルであり、ニューラルネットワークに対して事前に機械学習が行われることによってニューラルネットワークが最適化されることで得られる。以下、学習済みモデルを用いた画像認識処理については、学習済みモデルが主体となって能動的に行う処理として説明する。すなわち、以下では、説明の便宜上、学習済みモデルを、入力された情報に対して処理を行って処理結果を出力する機能と見立てて説明する。
【0068】
NVM74には、認識部位確認テーブル82及び重要度テーブル84が記憶されている。認識部位確認テーブル82及び重要度テーブル84は、何れも、制御部70Cによって用いられる。
【0069】
一例として図5に示すように、画像取得部70Aは、内視鏡スコープ48によって撮像フレームレート(例えば、数十フレーム/秒)に従って撮像されることで生成された内視鏡画像40を内視鏡スコープ48から1フレーム単位で取得する。
【0070】
画像取得部70Aは、時系列画像群89を保持する。時系列画像群89は、観察対象21が写っている時系列の複数の内視鏡画像40である。時系列画像群89には、例えば、一定フレーム数(例えば、数十~数百フレームの範囲内で事前に定められたフレーム数)の内視鏡画像40が含まれている。画像取得部70Aは、内視鏡スコープ48から内視鏡画像40を取得する毎に、FIFO方式で時系列画像群89を更新する。
【0071】
ここでは、画像取得部70Aによって時系列画像群89が保持されて更新される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、時系列画像群89は、RAM72等のように、プロセッサ70に接続されているメモリに保持されて更新されるようにしてもよい。
【0072】
内視鏡認識部70Bは、時系列画像群89に対して、第1学習済みモデル78を用いた画像認識処理を行うことにより内視鏡12の状態等を検出する。第1学習済みモデル78は、ニューラルネットワークに対して第1教師データを用いた機械学習が行われることによって最適化されている。第1教師データとしては、例えば、内視鏡スコープ48によって体内が撮像されることによって時系列で得られた複数の画像を例題データとし、内視鏡12に関連する内視鏡関連情報90を正解データとした教師データが挙げられる。なお、ここでは、1つの第1学習済みモデル78のみが内視鏡認識部70Bによって使用される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、複数の第1学習済みモデル78から選択された第1学習済みモデル78が内視鏡認識部70Bによって用いられるようにしてもよい。この場合、各第1学習済みモデル78は、内視鏡検査の種類別に特化した機械学習が行われることによって作成され、現在行われている内視鏡検査の種類(ここでは、一例として、内視鏡12の種類)に対応する第1学習済みモデル78が選択されて内視鏡認識部70Bによって用いられるようにすればよい。
【0073】
内視鏡認識部70Bは、時系列画像群89を取得し、取得した時系列画像群89に基づいて内視鏡関連情報90を生成する。内視鏡関連情報90を生成するために、内視鏡認識部70Bは、時系列画像群89を第1学習済みモデル78に入力する。これにより、第1学習済みモデル78は、入力された時系列画像群89に対応する内視鏡関連情報90を出力する。内視鏡認識部70Bは、第1学習済みモデル78から出力された内視鏡関連情報90を取得する。内視鏡認識部70Bによって取得された内視鏡関連情報90は、現在使用している内視鏡12に関する情報である。内視鏡関連情報90は、本開示の技術に係る「内視鏡関連情報」の一例である。
【0074】
内視鏡関連情報90には、内視鏡12に対する操作内容を特定可能な情報であり、かつ、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な情報として、処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等が含まれている。処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等は、内視鏡12に対する操作内容を特定可能な情報でもある。処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等は、本開示の技術に係る「難度情報」の一例である。
【0075】
処置具情報90Aは、処置具54(図2参照)に関する情報である。処置具54に関する情報としては、例えば、処置具54を使用中であるか否かを示す情報、及び、使用している処置具54の種類を示す情報が挙げられる。動作速度情報90Bは、内視鏡12の先端部46(図2参照)の動作速度に関する情報(例えば、「ミリメートル/秒」の単位で表現される速度に関する情報)である。
【0076】
位置情報90Cは、内視鏡12の先端部46の位置に関する情報である。内視鏡12の先端部46の位置に関する情報の一例としては、基準位置(例えば、胃の入口の一部)を原点とした場合の観察対象21内での位置を示す3次元座標が挙げられる。形状情報90Dは、内視鏡12の挿入部44の形状に関する情報である。内視鏡12の挿入部44の形状に関する情報の一例としては、挿入部44が湾曲している方向、及び/又は、挿入部44が湾曲している度合い等を示す情報が挙げられる。
【0077】
流体送出情報90Eは、流体56(図2参照)の送出に関する情報である。流体56の送出に関する情報とは、例えば、流体56の単位時間当たりの送出量に関する情報(例えば、「ミリリットル/秒」の単位で表現される送出量に関する情報)を指す。流体送出情報90Eは、送気量情報90E1及び送水量情報90E2を含む。送気量情報90E1は、気体の送出量に関する情報(例えば、気体の単位時間当たりの送出量に関する情報)である。送水量情報90E2は、液体の送出量に関する情報(例えば、液体の単位時間当たりの送出量に関する情報)である。
【0078】
一例として図6に示すように、制御部70Cは、内視鏡認識部70Bから内視鏡関連情報90を取得し、取得した内視鏡関連情報90に基づいて難度92を算出する。難度92とは、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を指す。難度92は、演算式93から算出される。演算式93は、内視鏡関連情報90に含まれる情報を示す数値(例えば、処置具情報90Aを示す数値、動作速度情報90Bを示す数値、位置情報90Cを示す数値、形状情報90Dを示す数値、及び流体送出情報90Eを示す数値等)を独立変数とし、難度92を従属変数とした演算式である。
【0079】
難度92は、例えば、高難度92A、中難度92B、及び低難度92Cの3段階のレベルに大別される。すなわち、制御部70Cは、演算式93から、高難度92A、中難度92B、及び低難度92Cの何れかを算出する。
【0080】
制御部70Cは、医療支援画像41を表示装置13の画面37に表示する。医療支援画像41は、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cに類別される。第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cは、本開示の技術に係る「複数の画像」及び「複数の模式図」の一例である。第1医療支援画像41Aは、本開示の技術に係る「第2模式図」及び「第2画像」の一例である。第2医療支援画像41Bは、本開示の技術に係る「第1模式図」、「第2画像」、及び「第4模式図」の一例である。第3医療支援画像41Cは、本開示の技術に係る「第3模式図」、「第2画像」、及び「第5模式図」の一例である。
【0081】
第1医療支援画像41Aの視覚的な情報量、第2医療支援画像41Bの視覚的な情報量、及び第3医療支援画像41Cの視覚的な情報量は互いに異なる。第1医療支援画像41Aは、第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cよりも情報量が少なく、第2医療支援画像41Bは、第3医療支援画像41Cよりも情報量が少ない。換言すると、第1医療支援画像41Aは、簡易な形式の画像であり、第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cは、第1医療支援画像41Aよりも詳細な形式の画像である。また、第3医療支援画像41Cは、第2医療支援画像41Bよりも詳細な形式の画像である。
【0082】
ここで、第1医療支援画像41Aと第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cとの関係において、第1医療支援画像41Aの情報量は、本開示の技術に係る「第2情報量」の一例であり、第2医療支援画像41Bの情報量及び第3医療支援画像41Cの情報量は、本開示の技術に係る「第1情報量」の一例である。第2医療支援画像41Bと第3医療支援画像41Cとの関係において、第2医療支援画像41Bの情報量は、本開示の技術に係る「第2情報量」の一例であり、第3医療支援画像41Cの情報量は、本開示の技術に係る「第1情報量」の一例である。
【0083】
第1医療支援画像41Aと第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cとの関係において、第1医療支援画像41Aは、本開示の技術に係る「簡易画像」及び「第3画像」の一例であり、第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cは、本開示の技術に係る「詳細画像」及び「少なくとも1つの第4画像」の一例である。第2医療支援画像41Bと第3医療支援画像41Cとの関係において、第2医療支援画像41Bは、本開示の技術に係る「簡易画像」及び「第3画像」の一例であり、第3医療支援画像41Cは、本開示の技術に係る「詳細画像」及び「第4画像」の一例である。
【0084】
制御部70Cは、デフォルトの医療支援画像41として第1医療支援画像41Aを画面37に表示する。そして、制御部70Cは、第1医療支援画像41Aを起点として、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cを選択的に画面37に表示する。
【0085】
第1医療支援画像41Aには、高難度92Aが対応付けられている。第2医療支援画像41Bには、中難度92Bが対応付けられている。第3医療支援画像41Cには、低難度92Cが対応付けられている。
【0086】
制御部70Cは、演算式93から算出された難度92に従って第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cを選択し、選択した医療支援画像41を画面37に表示する。換言すると、制御部70Cは、画面37に表示する医療支援画像41として、内視鏡関連情報90に含まれる情報に基づいて算出された難度92に応じて、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cを切り替える。
【0087】
この場合、例えば、演算式93から高難度92Aが算出された場合、画面37には、第1医療支援画像41Aが表示される。また、演算式93から中難度92Bが算出された場合、画面37には、第2医療支援画像41Bが表示される。また、演算式93から低難度92Cが算出された場合、画面37には、第3医療支援画像41Cが表示される。
【0088】
一例として図7に示すように、部位認識部70Dは、時系列画像群89(すなわち、画像取得部70Aによって保持されている時系列の複数の内視鏡画像40)に対して、第2学習済みモデル80を用いた画像認識処理を行うことにより観察対象21の部位を認識する。換言すると、部位の認識とは、部位の検出とも言える。本実施形態において、部位の認識とは、部位の名称を特定し、かつ、認識された部位が写っている内視鏡画像40と内視鏡画像40に写っている部位の名称とを対応付けた状態でメモリ(例えば、NVM74及び/又は外部の記憶装置等)に記憶させる処理を指す。
【0089】
第2学習済みモデル80は、ニューラルネットワークに対して第2教師データを用いた機械学習が行われることによってニューラルネットワークが最適化されることで得られる。第2教師データとしては、例えば、内視鏡検査の対象となり得る部位(例えば、観察対象21内の部位)が撮像されることによって時系列で得られた複数の画像(例えば、時系列の複数の内視鏡画像40に相当する複数の画像)を例題データとし、内視鏡検査の対象となり得る部位に関する部位情報94を正解データとした教師データが挙げられる。部位は、噴門部、穹窿部、胃体上部の大弯側前壁、胃体上部の大弯側後壁、胃体中部の大弯側前壁、胃体中部の大弯側後壁、胃体下部の大弯側前壁、及び胃体下部の大弯側後壁等のように、複数存在している。ニューラルネットワークに対しては、部位毎に作成された第2教師データを用いた機械学習が行われる。部位情報94には、部位の名称を示す情報、及び観察対象21内での部位の位置を特定可能な座標等が含まれている。
【0090】
なお、ここでは、1つの第2学習済みモデル80のみが部位認識部70Dによって使用される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、複数の第2学習済みモデル80から選択された第2学習済みモデル80が部位認識部70Dによって用いられるようにしてもよい。この場合、各第2学習済みモデル80は、内視鏡検査の種類別に特化した機械学習が行われることによって作成され、現在行われている内視鏡検査の種類に対応する第2学習済みモデル80が選択されて部位認識部70Dによって用いられるようにすればよい。
【0091】
本実施形態では、部位認識部70Dによって用いられる第2学習済みモデル80の一例として、胃に対する内視鏡検査に特化した機械学習が行われることによって作成された学習済みモデルが適用されている。
【0092】
なお、ここで、胃に対する内視鏡検査に特化した機械学習がニューラルネットワークに対して行われることによって第2学習済みモデル80が作成される形態例を挙げて説明しているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。胃以外の管腔臓器に対する内視鏡検査が行われる場合、内視鏡検査が行われる管腔臓器の種類に特化した機械学習がニューラルネットワークに対して行われることによって作成された学習済みモデルが第2学習済みモデル80として用いられるようにすればよい。胃以外の管腔臓器としては、例えば、大腸、小腸、食道、十二指腸、又は気管支等が挙げられる。また、第2学習済みモデル80として、胃、大腸、小腸、食道、十二指腸、又は気管支等の複数の管腔臓器に対する内視鏡検査を想定した機械学習がニューラルネットワークに対して行われることによって作成された学習済みモデルが用いられてもよい。
【0093】
部位認識部70Dは、画像取得部70Aによって取得された時系列画像群89に対して第2学習済みモデル80を用いた画像認識処理を行うことで、胃に含まれる複数の部位(以下、単に「複数の部位」とも称する)を認識する。複数の部位は、大分類と、大分類に含まれる小分類とに分類される。ここで言う「大分類」は、本開示の技術に係る「大分類」の一例である。また、ここで言う「小分類」は本開示の技術に係る「小分類」の一例である。
【0094】
複数の部位は、大分類として、噴門部、穹窿部、胃体上部の大弯、胃体中部の大弯、胃体下部の大弯、胃角部の大弯、前庭部の大弯、球部、幽門輪、前庭部の小弯、胃角部の小弯、胃体下部の小弯、胃体中部の小弯、及び胃体上部の小弯に分類される。
【0095】
胃体上部の大弯は、小分類として、胃体上部の大弯側前壁と胃体上部の大弯側後壁とに分類される。胃体中部の大弯は、小分類として、胃体中部の大弯側前壁と胃体中部の大弯側後壁とに分類される。胃体下部の大弯は、小分類として、胃体下部の大弯側前壁と胃体下部の大弯側後壁とに分類される。胃角部の大弯は、小分類として、胃角部の大弯側前壁と胃角部の大弯側後壁とに分類される。前庭部の大弯は、小分類として、前庭部の大弯側前壁と前庭部の大弯側後壁とに分類される。前庭部の小弯は、小分類として、前庭部の小弯側前壁と前庭部の小弯側後壁とに分類される。胃角部の小弯は、小分類として、胃角部の小弯側前壁と胃角部の小弯側後壁とに分類される。胃体下部の小弯は、小分類として、胃体下部の小弯側前壁と胃体下部の小弯側後壁とに分類される。胃体中部の小弯は、小分類として、胃体中部の小弯側前壁と胃体中部の小弯側後壁とに分類される。胃体上部の小弯は、小分類として、胃体上部小弯側前壁と胃体上部小弯側後壁とに分類される。
【0096】
部位認識部70Dは、画像取得部70Aから時系列画像群89を取得し、取得した時系列画像群89を第2学習済みモデル80に入力する。これにより、第2学習済みモデル80は、入力された時系列画像群89に対応する部位情報94を出力する。部位認識部70Dは、第2学習済みモデル80から出力された部位情報94を取得する。
【0097】
認識部位確認テーブル82は、部位認識部70Dによって認識されることが予定されている部位が認識された否かの確認に用いるテーブルである。認識部位確認テーブル82には、上述した複数の部位と、各部位が部位認識部70Dによって認識されたか否かを示す情報とが対応付けられている。部位情報94から部位の名称が特定されるので、部位認識部70Dは、第2学習済みモデル80から取得した部位情報94に従って、認識部位確認テーブル82を更新する。すなわち、部位認識部70Dは、認識部位確認テーブル82内の各部位に対応する情報(すなわち、部位認識部70Dによって認識されたか否かを示す情報)を更新する。
【0098】
制御部70Cは、画像取得部70Aによって取得された内視鏡画像40を画面36に表示する。制御部70Cは、部位情報94に基づいて検出枠23を生成し、生成した検出枠23を内視鏡画像40に重畳表示する。検出枠23は、部位情報94から特定される部位の位置を特定可能な枠である。例えば、検出枠23は、AI方式の画像認識処理で用いられるバウンディングボックスに基づいて生成される。検出枠23は、連続線からなる矩形枠であってもよいし、矩形枠以外の形状の枠であってもよい。また、例えば、連続線からなる矩形枠に代えて、不連続線(すなわち、間欠線)からなる枠を用いてもよい。また、例えば、検出枠23の4隅に相当する部分を特定する複数のマークが表示されてもよい。また、部位情報94から特定される部位が既定色(例えば、半透明色)で塗り潰されるようにしてもよい。
【0099】
なお、ここでは、AI方式の処理(例えば、内視鏡認識部70Bによる処理及び部位認識部70Dによる処理)が制御装置22によって行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、AI方式の処理は、制御装置22とは別体の装置によって行われるようにしてもよい。この場合、例えば、制御装置22とは別体の装置が、内視鏡画像40と内視鏡12による観察対象21の観察に用いる各種パラメータを取得し、内視鏡画像40に対して検出枠23及び/又は各種マップ(例えば、医療支援画像41等)を重畳させた画像を表示装置13等に出力する。
【0100】
一例として図8に示すように、認識部位確認テーブル82は、部位名96に対して部位フラグ98及び大分類フラグ100が対応付けられたテーブルである。部位名96は、部位の名称である。認識部位確認テーブル82では、複数の部位名96が、認識予定順序102で並べられている。認識予定順序102とは、部位認識部70Dによって認識されることが予定されている部位の順序を指す。
【0101】
部位フラグ98は、部位名96に対応する部位が部位認識部70Dによって認識されたか否かを示すフラグである。部位フラグ98は、オン(例えば、1)とオフ(例えば、0)とに切り替えられる。部位フラグ98は、デフォルトでオフになっている。部位認識部70Dは、部位名96に対応する部位を認識すると、認識した部位を示す部位名96に対応する部位フラグ98をオンする。
【0102】
大分類フラグ100は、大分類に対応する部位が部位認識部70Dによって認識されたか否かを示すフラグである。大分類フラグ100は、オン(例えば、1)とオフ(例えば、0)とに切り替えられる。大分類フラグ100は、デフォルトでオフになっている。部位認識部70Dは、大分類に分類される何らかの部位(例えば、大分類に分類される部位のうちの小分類に分類される何らかの部位)、すなわち、部位名96に対応する部位を認識すると、認識した部位が分類される大分類に対応する大分類フラグ100をオンする。換言すると、大分類フラグ100に対応する何らかの部位フラグ98がオンされると、大分類フラグ100がオンされる。
【0103】
一例として図9に示すように、重要度テーブル84は、部位名96に対して重要度104が対応付けられたテーブルである。すなわち、複数の部位には重要度104が付与されている。
【0104】
重要度テーブル84には、複数の部位名96が、部位認識部70Dによって認識されることが予定されている部位の順序に並べられている。すなわち、重要度テーブル84において、複数の部位名96は、認識予定順序102に沿って並べられている。重要度104は、部位名96から特定される部位の重要度である。重要度104は、“高”、“中”、及び“低”の3段階のレベルの何れかのレベルで規定されている。小分類に分類される部位には、重要度104として“高”又は“中”が付与されており、大分類に分類される部位には、重要度104として“低”が付与されている。
【0105】
図9に示す例では、胃体上部の大弯側後壁、胃体下部の大弯側前壁、胃体下部の小弯側前壁、胃体下部の小弯側後壁、胃体中部の小弯側前壁、胃体中部の小弯側後壁、及び胃体上部の小弯側後壁に対して、重要度104として“高”が付与されている。
【0106】
胃体上部の大弯側後壁、胃体中部の大弯側前壁、胃体下部の大弯側前壁、胃体下部の小弯側前壁、胃体下部の小弯側後壁、胃体中部の小弯側前壁、胃体中部の小弯側後壁、及び胃体上部の小弯側後壁以外の小分類に分類される各部位には、重要度104として“中”が付与されている。すなわち、胃体上部の大弯側前壁、胃体中部の大弯側後壁、胃体下部の大弯側後壁、胃角部の大弯側前壁、胃角部の大弯側後壁、前庭部の大弯側前壁、前庭部の大弯側後壁、前庭部の小弯側前壁、前庭部の小弯側後壁、胃角部の小弯側前壁、胃角部の小弯側後壁、及び胃体上部の小弯側前壁に対して、重要度104として“中”が付与されている。
【0107】
また、図9に示す例では、胃体中部の大弯側前壁、噴門部、穹窿部、胃体上部の大弯、胃体中部の大弯、胃体下部の大弯、胃角部の大弯、前庭部の大弯、球部、幽門輪、前庭部の小弯、胃角部の小弯、胃体下部の小弯、胃体中部の小弯、及び胃体上部の小弯に対して、重要度104として“低”が付与されている。
【0108】
なお、ここでは、説明の便宜上、胃体中部の大弯側前壁に対して、重要度104として“低”が付与されているが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、噴門部、穹窿部、胃体上部の大弯、胃体中部の大弯、胃体下部の大弯、胃角部の大弯、前庭部の大弯、球部、幽門輪、前庭部の小弯、胃角部の小弯、胃体下部の小弯、胃体中部の小弯、及び胃体上部の小弯等の大分類に分類される各部位を、小分類に分類される部位よりも、重要度104を低くしてもよい。換言すると、小分類に分類される部位に対しては、大分類に分類される部位よりも高い重要度104が付与されるようしてもよい。
【0109】
重要度104の“高”、“中”、及び“低”は、内視鏡12に対して外部から与えられた指示に従って定められている。内視鏡12に対して重要度104の指示を与える第1手段としては、受付装置62が挙げられる。また、内視鏡12に対して重要度104の指示を与える第2手段としては、内視鏡12と通信可能に接続された通信装置(例えば、タブレット端末、パーソナル・コンピュータ、及び/又はサーバ等)が挙げられる。
【0110】
また、複数の部位名96に対して対応付けられている重要度104は、複数の部位に対して行われた過去の検査データ(例えば、複数の被検体20から得られた過去の検査データに基づく統計的データ)に従って定められている。
【0111】
例えば、複数の部位のうちの典型的に認識漏れが生じやすい部位として定められた部位に対応する重要度104は、複数の部位のうちの典型的に認識漏れが生じにくい部位として定められた部位に対応する重要度104よりも高く設定される。典型的に認識漏れが生じやすいか否かは、複数の部位に対して行われた過去の検査データから統計的手法等によって導き出される。本実施形態において、重要度104の“高”は、典型的に認識漏れが生じる可能性が高レベルであることを示している。また、重要度104の“中”は、典型的に認識漏れが生じる可能性が中レベルであることを示している。また、重要度104の“低”は、典型的に認識漏れが生じる可能性が低レベルであることを示している。
【0112】
一例として図10に示すように、制御部70Cは、認識部位確認テーブル82及び重要度テーブル84に従って、複数の部位に観察対象21内の未認識部位(すなわち、部位認識部70Dによって認識されていない部位)が存在している場合に未認識情報106を出力する。本実施形態では、複数の部位に観察対象21内の未認識部位(すなわち、未観察の部位)が存在していることが確定された場合に未認識情報106が出力される。未認識情報106は、未認識部位が存在していることを特定可能な情報である。未認識情報106とは、換言すると、複数の部位に未観察部位(すなわち、観察されていない部位)が存在していることを示す情報を指す。未認識情報106は、本開示の技術に係る「未観察情報」の一例である。未認識情報106には、重要度情報108が含まれている。重要度情報108は、重要度テーブル84から得られる重要度104を特定可能な情報である。
【0113】
未認識情報106の出力先は、表示装置13である。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、未認識情報106の出力先は、内視鏡12に通信可能に接続されたタブレット端末、パーソナル・コンピュータ、及び/又はサーバ等であってもよい。
【0114】
制御部70Cによって、上述した要領で、画面37に表示される医療支援画像41として第1医療支援画像41Aが選択された場合、未認識情報106は、第1医療支援画像41Aとして、制御部70Cによって画面37に表示される。未認識情報106に含まれる重要度情報108は、重要度マーク110として、制御部70Cによって第1医療支援画像41A内に表示される。
【0115】
第1医療支援画像41Aは、胃を透視した模式的な態様を示す模式図である。また、第1医療支援画像41Aは、内視鏡12を通して観察される観察対象21の複数の部位に対応する複数の領域109に区切られた状態で、かつ、第2医療支援画像41B及び第3医療支援画像41Cとは異なる態様で表現された画像である。第1医療支援画像41Aは、大分類毎にかつ小分類毎に複数の領域109で区分けされている。図10に示す例において、複数の領域109は、第1医療支援画像41Aにより示される胃の外形線の内側に胃の形状に倣って線状に区分されている。なお、複数の領域109は、大分類のみに分類されていてもよいし、小分類のみに分類されていてもよい。
【0116】
重要度マーク110の表示態様は、重要度情報108に応じて異なる。重要度マーク110は、第1重要度マーク110A、第2重要度マーク110B、及び第3重要度マーク110Cに類別される。第1重要度マーク110Aは、重要度104の“高”を表現したマークである。第2重要度マーク110Bは、重要度104の“中”を表現したマークである。第3重要度マーク110Cは、重要度104の“低”を表現したマークである。すなわち、第1重要度マーク110A、第2重要度マーク110B、及び第3重要度マーク110Cは、重要度の“高”、“中”、及び“低”が区別可能な表示態様で表現されたマークである。第2重要度マーク110Bは、第3重要度マーク110Cよりも強調された状態で表示され、第1重要度マーク110Aは、第2重要度マーク110Bよりも強調された状態で表示される。図10に示す例では、第2重要度マーク110Bの線の太さが第3重要度マーク110Cの線の太さよりも太く、第1重要度マーク110Aの線の太さが第2重要度マーク110Bの線の太さよりも太い。
【0117】
第1医療支援画像41A内において、部位認識部70Dによって認識されていない部位に対応する領域109に対しては、重要度情報108に応じた重要度マーク110が重畳表示される。第1医療支援画像41A内で重要度マーク110が重畳表示されている領域109に対応する部位が部位認識部70Dによって認識されると、認識された部位に対応する領域109上に重畳表示されている重要度マーク110が消去される。これにより、第1医療支援画像41A内において、複数の領域109は、第1観察済み領域と第2未観察領域とに分類される。第1観察済み領域は、本開示の技術に係る「観察済み領域」の一例であり、第1未観察領域は、本開示の技術に係る「未観察領域」の一例である。
【0118】
第1観察済み領域とは、第1医療支援画像41A内において、医師14によって観察された部位に対応する領域、すなわち、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する領域109を指す。第1未観察領域とは、第1医療支援画像41A内において、医師14によって観察されていない部位に対応する領域、すなわち、部位認識部70Dによって認識されていない部位に対応する領域109を指す。
【0119】
第1観察済み領域は、第1医療支援画像41A内で重要度マーク110が重畳表示されている領域109であり、第1未観察領域は、第1医療支援画像41A内で重要度マーク110が重畳表示されていない領域109である。この結果、第1医療支援画像41A内において、第1観察済み領域は、第1未観察領域よりも強調された状態で表示される。よって、医師14は、どの部位に対して認識漏れがあるかを視覚的に把握することが可能となる。
【0120】
制御部70Cは、認識部位確認テーブル82内の大分類フラグ100がオンされると、第1医療支援画像41Aの内容を更新する。第1医療支援画像41Aの内容の更新は、制御部70Cによる未認識情報106の出力によって実現される。
【0121】
制御部70Cは、認識部位確認テーブル82内の大分類フラグ100がオンされると、オンされた大分類フラグ100に対応する領域109を背景色と同色で塗り潰す。また、制御部70Cは、部位フラグ98がオンされると、オンされた部位フラグ98に対応する領域を背景色と同色で塗り潰す。
【0122】
なお、大分類に複数の小分類が含まれている場合、1つの小分類に分類される部位に対応する部位フラグ98がオンされると、これに伴って、部位フラグ98がオンされた小分類に分類される部位に対応する大分類フラグ100がオンされる。
【0123】
一方、制御部70Cは、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった場合、部位認識部70Dによって認識されなかった部位よりも後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている後続部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった部位に対応する領域109に重要度マーク110を重畳表示する。すなわち、制御部70Cは、部位認識部70Dによって認識された順序が認識予定順序102(図8及び図9)から外れたことが確定した場合に、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった部位に対応する領域109に重要度マーク110を重畳表示する。このようにする理由は、部位認識部70Dによる認識漏れが確定したタイミング(例えば、医師14が内視鏡12を操作している過程で観察し忘れた部位が生じた可能性が極めて高くなったタイミング)で、部位認識部70Dによる認識漏れの報知が行われるようにするためである。
【0124】
ここで、部位認識部70Dによって認識されなかった部位よりも後に認識されることが予定されている後続部位の一例としては、部位認識部70Dによって認識されなかった部位が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類に分類される部位が挙げられる。
【0125】
例えば、胃体上部の大弯側後壁が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、胃体上部の大弯側後壁に対応する領域109に対して第2重要度マーク110Bが重畳表示される。ここで、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類とは、胃体上部の大弯を指す。また、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類とは、胃体中部の大弯を指す。
【0126】
一例として図11に示すように、制御部70Cによって、上述した要領で、画面37に表示される医療支援画像41として第2医療支援画像41Bが選択された場合、未認識情報106は、第2医療支援画像41Bとして、制御部70Cによって画面37に表示される。未認識情報106に含まれる重要度情報108は、重要度マーク112として、制御部70Cによって第2医療支援画像41B内に表示される。
【0127】
重要度マーク112の表示態様は、重要度情報108に応じて異なる。重要度マーク112は、第1重要度マーク112A、第2重要度マーク112B、及び第3重要度マーク112Cに類別される。第1重要度マーク112Aは、重要度104の“高”を表現したマークである。第2重要度マーク112Bは、重要度104の“中”を表現したマークである。第3重要度マーク112Cは、重要度104の“低”を表現したマークである。すなわち、第1重要度マーク112A、第2重要度マーク112B、及び第3重要度マーク112Cは、重要度の“高”、“中”、及び“小”が区別可能な表示態様で表現されたマークである。第2重要度マーク112Bは、第3重要度マーク112Cよりも強調された状態で表示され、第1重要度マーク112Aは、第2重要度マーク112Bよりも強調された状態で表示される。
【0128】
図11に示す例では、第1重要度マーク112Aには、複数(ここでは、一例として、2つ)のエクスクラメーションマークが含まれており、第2重要度マーク112B及び第3重要度マーク112Cには、1つのエクスクラメーションマークが含まれている。第3重要度マーク112Cに含まれるエクスクラメーションマークのサイズは、第1重要度マーク112A及び第2重要度マーク112Bに含まれるエクスクラメーションマークのサイズよりも小さい。また、第2重要度マーク112Bは、第3重要度マーク112Cよりも目立つように着色されており、第1重要度マーク112Aは、第2重要度マーク112Bよりも目立つように着色されている。また、第2重要度マーク112Bの輝度は、第3重要度マーク112Cの輝度よりも高く、第1重要度マーク112Aの輝度は、第2重要度マーク112Bの輝度よりも高い。このように、目立つ度合いの関係性として“第1重要度マーク112A>第2重要度マーク112B>第3重要度マーク112C”という関係性が成立している。
【0129】
第2医療支援画像41Bは、内視鏡12を通して観察される観察対象21の複数の部位に対応する複数の領域に区切られた状態で、かつ、第1医療支援画像41A及び第3医療支援画像41Cとは異なる態様で表現された画像である。
【0130】
第2医療支援画像41Bは、胃を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す模式図である。第2医療支援画像41Bには、経路114が含まれている。経路114は、内視鏡12を用いて胃を観察する順序(ここでは、一例として、認識予定順序102(図8及び図9参照))を模式的に表現した経路であり、かつ、観察対象21が複数の部位に対応する複数の領域に区分された模式図である。図11に示す例では、複数の領域の一例として、医療支援画像41内に、噴門部、穹窿部、胃体上部、胃体中部、胃体下部、胃角部、前庭部、幽門輪、及び球部がテキストで表示されており、経路114も、噴門部、穹窿部、胃体上部、胃体中部、胃体下部、胃角部、前庭部、幽門輪、及び球部で区分されている。
【0131】
経路114は、胃の最上流側から下流側にかけて途中で大弯側経路114Aと小弯側経路114Bとに分岐し、再び合流している。経路114上において、大分類に分類される部位に対しては大型の円形マーク116Aが割り当てられており、小分類に分類される部位に対しては小型の円形マーク116Bが割り当てられている。すなわち、第2医療支援画像41Bは、大分類毎に複数の円形マーク116Aで区分けされており、小分類毎に複数の円形マーク116Bで区分けされている。以下、説明の便宜上、円形マーク116A及び116Bを区別して説明する必要がない場合、「円形マーク116」と称する。
【0132】
第2医療支援画像41Bは、経路114に沿って配置された複数の円形マーク116によって区切られている。経路114に沿って配置された複数の円形マーク116は、本開示の技術に係る「複数の領域」の一例である。また、第2医療支援画像41Bが噴門部、穹窿部、胃体上部、胃体中部、胃体下部、胃角部、前庭部、幽門輪、及び球部で区分されて得られた複数の領域も、本開示の技術に係る「複数の領域」の一例である。
【0133】
経路114のうち、胃の最上流側から大弯側経路114Aと小弯側経路114Bとの分岐点の前までは、胃の最上流側から胃の下流側にかけて噴門部に対応する円形マーク116A及び穹窿部に対応する円形マーク116Aが並べられている。
【0134】
大弯側経路114Aには、大分類に分類される部位単位で、大弯に対応する円形マーク116A、前壁に対応する円形マーク116B、及び後壁に対応する円形マーク116Bが配置されている。大弯に対応する円形マーク116Aは、大弯側経路114Aの中央に位置し、前壁に対応する円形マーク116B及び後壁に対応する円形マーク116Bは、大弯に対応する円形マーク116Aの左右に位置する。
【0135】
小弯側経路114Bには、大分類に分類される部位単位で、小弯に対応する円形マーク116A、前壁に対応する円形マーク116B、及び後壁に対応する円形マーク116Bが配置されている。小弯に対応する円形マーク116Aは、小弯側経路114Bの中央に位置し、前壁に対応する円形マーク116B及び後壁に対応する円形マーク116Bは、小弯に対応する円形マーク116Aの左右に位置する。
【0136】
経路114のうち、大弯側経路114Aと小弯側経路114Bとの合流点から胃の最下流側の部位までは、幽門輪に対応する円形マーク116A及び球部に対応する円形マーク116Aが並べられている。
【0137】
円形マーク116内はデフォルトで空白となっている。円形マーク116に対応する部位が部位認識部70Dによって認識された場合、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する円形マーク116内が特定色(例えば、光の三原色及び色の三原色のうちの事前に定められた一色)で塗り潰される。これに対し、円形マーク116に対応する部位が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、部位認識部70Dによって認識されなかった部位に対応する円形マーク116内は塗り潰されない。しかし、部位認識部70Dによって認識されなかった部位に対応する円形マーク116内に、部位認識部70Dによって認識されなかった部位の重要度104に応じた重要度マーク112が表示される。
【0138】
これにより、第2医療支援画像41B内において、複数の円形マーク116が、第2観察済み領域と第2未観察領域とに分類される。第2観察済み領域とは、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する円形マーク116、すなわち、特定色で塗り潰された円形マーク116を指す。第2未観察領域とは、重要度マーク112が表示された円形マーク116を指す。第2観察済み領域は、本開示の技術に係る「観察済み領域」の一例であり、第2未観察領域は、本開示の技術に係る「未観察領域」の一例である。表示装置13には、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する円形マーク116と部位認識部70Dによって認識されなかった部位に対応する円形マーク116とが区別可能な態様で第2医療支援画像41B内に表示される。表示装置13の画面37に表示される第1医療支援画像41Aと第2医療支援画像41Bとを比較すると、第2医療支援画像41Bの第2観察済み領域と第2未観察領域は、第1医療支援画像41Aの第1観察済み領域と第1未観察領域よりも詳細に区別可能に表示される。
【0139】
制御部70Cは、認識部位確認テーブル82内の大分類フラグ100がオンされると、医療支援画像41の内容を更新する。医療支援画像41の内容の更新は、制御部70Cによる未認識情報106の出力によって実現される。
【0140】
制御部70Cは、認識部位確認テーブル82内の大分類フラグ100がオンされると、オンされた大分類フラグ100に対応する部位の円形マーク116Aを特定色で塗り潰す。また、制御部70Cは、部位フラグ98がオンされると、オンされた部位フラグ98に対応する部位の円形マーク116Bを特定色で塗り潰す。
【0141】
一方、制御部70Cは、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった場合、部位認識部70Dによって認識されなかった部位よりも後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている後続部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった部位に対応する円形マーク116内に重要度マーク112を表示する。すなわち、制御部70Cは、部位認識部70Dによって認識された順序が認識予定順序102(図8及び図9)から外れたことが確定した場合に、部位認識部70Dによって部位が認識されなかった部位に対応する円形マーク116内に重要度マーク112を表示する。
【0142】
図11に示す例では、胃体上部の大弯側後壁が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、胃体上部の大弯側後壁に対応する円形マーク116Bに対して第2重要度マーク112Bが重畳表示される。ここで、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類とは、胃体上部の大弯を指す。また、胃体上部の大弯側後壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類とは、胃体中部の大弯を指す。
【0143】
また、図11に示す例において、胃体中部の大弯側前壁が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、胃体中部の大弯側前壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、胃体中部の大弯側前壁に対応する円形マーク116Bに対して第3重要度マーク112Cが重畳表示される。ここで、胃体中部の大弯側前壁が分類される大分類とは、胃体中部の大弯を指す。また、胃体中部の大弯側前壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類とは、胃体下部の大弯を指す。
【0144】
また、図11に示す例において、胃体下部の大弯側前壁が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、胃体下部の大弯側前壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に、胃体下部の大弯側前壁に対応する円形マーク116Bに対して第1重要度マーク112Aが重畳表示される。ここで、胃体下部の大弯側前壁が分類される大分類とは、胃体下部の大弯を指す。また、胃体下部の大弯側前壁が分類される大分類よりも1つ後に認識されることが予定されている大分類とは、胃角部の大弯を指す。
【0145】
本実施形態では、部位認識部70Dによって認識されなかった部位の特定を容易にするために、円形マーク116に対して重要度マーク112が重畳されることによって得られる画像が、円形マーク116が特定色で塗り潰されることによって得られる画像よりも強調された状態で表示される。図11に示す例では、円形マーク116が特定色で塗り潰されることによって得られる画像の輪郭よりも、円形マーク116に対して重要度マーク112が重畳されることによって得られる画像の輪郭が強調された状態で表示されている。輪郭の強調は、例えば、輪郭に対する輝度の調節によって実現される。また、円形マーク116が特定色で塗り潰されることによって得られる画像にはエクスクラメーションマークが含まれていないのに対し、円形マーク116に対して重要度マーク112が重畳されることによって得られる画像にはエクスクラメーションマークが含まれている。そのため、エクスクラメーションマークの有無によって部位認識部70Dによって認識されなかった部位と部位認識部70Dによって認識された部位とが視覚的に特定される。
【0146】
一例として図12に示すように、制御部70Cによって、上述した要領で、画面37に表示される医療支援画像41として第3医療支援画像41Cが選択された場合、未認識情報106は、第3医療支援画像41Cとして、制御部70Cによって画面37に表示される。未認識情報106に含まれる重要度情報108は、重要度マーク120として、制御部70Cによって第3医療支援画像41C内に表示される。第3医療支援画像41Cは、胃を模式的に展開した態様を示す模式図である。第3医療支援画像41Cは、大分類毎にかつ小分類毎に複数の領域122で区分けされている。重要度マーク120は、楕円状のマークであり、第3医療支援画像41C内の複数の領域122に対応する箇所に分布している。なお、複数の領域122は、大分類のみに分類されていてもよいし、小分類のみに分類されていてもよい。
【0147】
重要度マーク120の表示態様は、重要度情報108に応じて異なる。重要度マーク120は、第1重要度マーク120A、第2重要度マーク120B、及び第3重要度マーク120Cに類別される。第1重要度マーク120Aは、重要度104の“高”を表現したマークである。第2重要度マーク120Bは、重要度104の“中”を表現したマークである。第3重要度マーク120Cは、重要度104の“低”を表現したマークである。すなわち、第1重要度マーク120A、第2重要度マーク120B、及び第3重要度マーク120Cは、重要度の“高”、“中”、及び“小”が区別可能な表示態様で表現されたマークである。第2重要度マーク120Bは、第3重要度マーク120Cよりも強調された状態で表示され、第1重要度マーク120Aは、第2重要度マーク120Bよりも強調された状態で表示される。
【0148】
第3医療支援画像41Cは、内視鏡12を通して観察される観察対象21の複数の部位に対応する複数の領域122に区切られた状態で、かつ、第1医療支援画像41A及び第2医療支援画像41Bとは異なる態様で表現された画像である。
【0149】
複数の領域122内はデフォルトで空白となっている。領域122に対応する部位、領域122の一部分に対応する部位、又は、複数の領域122に跨る部分に対応する部位が部位認識部70Dによって認識された場合、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する領域122が背景色と同色で塗り潰される。
【0150】
これに対し、領域122に対応する部位、領域122の一部分に対応する部位、又は、複数の領域122に跨る部分に対応する部位が部位認識部70Dによって認識されなかった場合、部位認識部70Dによって認識されなかった部位に対して、重要度情報108に応じた重要度マーク120が表示される。
【0151】
これにより、第3医療支援画像41C内が第3観察済み領域と第3未観察領域とに分類される。第3観察済み領域とは、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する空白領域(すなわち、背景色と同色で塗り潰された領域)を指す。第3未観察領域とは、部位認識部70Dによって認識されていない部位に対応する重要度マーク120が付された領域を指す。第2観察済み領域は、本開示の技術に係る「観察済み領域」の一例であり、第2未観察領域は、本開示の技術に係る「未観察領域」の一例である。表示装置13には、重要度マーク120が付された領域と重要度マーク120が付されていない領域とで区分けされる。すなわち、第3観察済み領域と第3未観察領域とが区別可能な態様で第3医療支援画像41C内に表示される。表示装置13の画面37に表示される第1医療支援画像41Aと第3医療支援画像41Cとを比較すると、第3医療支援画像41Cの第3観察済み領域と第3未観察領域は、第1医療支援画像41Aの第1観察済み領域と第1未観察領域よりも詳細に区別可能に表示される。また、表示装置13の画面37に表示される第2医療支援画像41Bと第3医療支援画像41Cとを比較すると、第3医療支援画像41Cの第3観察済み領域と第3未観察領域は、第2医療支援画像41Bの第2観察済み領域と第2未観察領域よりも詳細に区別可能に表示される。
【0152】
制御部70Cは、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する重要度マーク120を第3医療支援画像41Cから消去する。この結果、第3医療支援画像41C内で重要度マーク120が表示されている箇所は、第3医療支援画像41C内で重要度マーク120が表示されていない箇所(例えば、重要度マーク120が消去された箇所)よりも強調された状態で表示されることになる。これにより、第3医療支援画像41C内で重要度マーク120が表示されている箇所は、部位認識部70Dによって認識されていない部位に対応する箇所であり、重要度マーク120が表示されていない箇所は、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する箇所であることが医師14によって視覚的に容易に把握される。
【0153】
次に、内視鏡システム10の本開示の技術に係る部分についての作用を、図13A及び図13Bを参照しながら説明する。
【0154】
図13A及び図13Bには、プロセッサ70によって行われる医療支援処理の流れの一例が示されている。図13A及び図13Bに示す医療支援処理の流れは、本開示の技術に係る「医療支援方法」の一例である。
【0155】
図10に示す医療支援処理では、先ず、ステップST10で、制御部70Cは、デフォルトの医療支援画像41として、第1医療支援画像41Aを画面37に表示する。ステップST10の処理が実行された後、医療支援処理はステップST12へ移行する。
【0156】
ステップST12で、画像取得部70Aは、内視鏡スコープ48によって1フレーム分の撮像が行われたか否かを判定する。ステップST12において、内視鏡スコープ48によって1フレーム分の撮像が行われていない場合は、判定が否定されて、ステップST10の判定が再び行われる。ステップST12において、内視鏡スコープ48によって1フレーム分の撮像が行われた場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST14へ移行する。
【0157】
ステップST14で、画像取得部70Aは、内視鏡スコープ48から1フレーム分の内視鏡画像40を取得する。ステップST14の処理が実行された後、医療支援処理はステップST16へ移行する。
【0158】
ステップST16で、画像取得部70Aは、一定フレーム数の内視鏡画像40を保持しているか否かを判定する。ステップST16において、一定フレーム数の内視鏡画像40を保持していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST12へ移行する。ステップST16において、一定フレーム数の内視鏡画像40を保持している場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST18へ移行する。
【0159】
ステップST18で、画像取得部70Aは、ステップST14で取得した内視鏡画像40をFIFO方式で時系列画像群89に加えることにより時系列画像群89を更新する。ステップST18の処理が実行された後、医療支援処理はステップST20へ移行する。
【0160】
ステップST20で、制御部70Cは、内視鏡認識部70B及び部位認識部70Dに対して画像認識処理を開始させる条件(以下、「画像認識開始条件」と称する)を満足したか否かを判定する。画像認識開始条件の一例としては、内視鏡認識部70B及び部位認識部70Dに対して画像認識処理を開始させる指示が受付装置62等によって受け付けられたという条件が挙げられる。内視鏡認識部70B及び部位認識部70Dに対して画像認識処理を開始させる指示の一例としては、内視鏡スコープ48に対して本露光を開始させる指示(例えば、静止画像用又は記録用動画像用の撮像を開始させる指示)が挙げられる。ステップST20において、画像認識開始条件してない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST12へ移行する。ステップST20において、画像認識開始条件を満足した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST22へ移行する。
【0161】
ステップST22で、内視鏡認識部70Bは、ステップST18で更新された時系列画像群89に対して第1学習済みモデル78を用いた画像認識処理を行うことにより内視鏡関連情報90を取得する。ステップST22の処理が実行された後、医療支援処理はステップST24へ移行する。
【0162】
ステップST24で、制御部70Cは、演算式93を用いて、ステップST22で取得された内視鏡関連情報90に応じた難度92を算出する。ステップST24の処理が実行された後、医療支援処理はステップST26へ移行する。
【0163】
ステップST26で、制御部70Cは、ステップST24で算出した難度92に従って選択した医療支援画像41を画面37に表示する。すなわち、制御部70Cは、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cから、難度92に対応する医療支援画像41を選択し、選択した医療支援画像41を画面37に表示する。ステップST26の処理が実行された後、医療支援処理は、図13Bに示すステップST28へ移行する。
【0164】
図13Bに示すステップST28で、部位認識部70Dは、ステップST18で更新された時系列画像群89に対する第2学習済みモデル80を用いた画像認識処理の実行を開始する。ステップST28の処理が実行された後、医療支援処理はステップST30へ移行する。
【0165】
ステップST30で、部位認識部70Dは、観察対象21内の複数の部位のうちの何れかの部位を認識したか否かを判定する。ステップST30において、部位認識部70Dが観察対象21内の複数の部位のうちの何れの部位も認識していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST40へ移行する。ステップST30において、部位認識部70Dが観察対象21内の複数の部位のうちの何れかの部位を認識した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST32へ移行する。
【0166】
ステップST32で、部位認識部70Dは、認識部位確認テーブル82を更新する。すなわち、部位認識部70Dは、認識した部位に対応する部位フラグ98及び大分類フラグ100をオンすることで認識部位確認テーブル82を更新する。ステップST32の処理が実行された後、医療支援処理はステップST34へ移行する。
【0167】
ステップST34で、制御部70Cは、部位認識部70Dによって認識される部位として事前に予定されている部位に対する認識漏れがあるか否かを判定する。認識漏れがあるか否かの判定は、例えば、部位認識部70Dによって認識される部位の順序が認識予定順序102から外れたか否かが判定されることによって実現される。ステップST34において、部位認識部70Dによって認識される部位として事前に予定されている部位に対する認識漏れがある場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST36へ移行する。ステップST34において、部位認識部70Dによって認識される部位として事前に予定されている部位に対する認識漏れがない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST40へ移行する。
【0168】
ステップST34において、画面37に医療支援画像41が表示されていない状態で、判定が否定されると、制御部70Cは、医療支援画像41の内容を更新する。例えば、画面37に第1医療支援画像41Aが表示されている場合、制御部70Cは、第1医療支援画像41A内の複数の領域109のうち、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する領域109を背景色と同色で塗り潰す。また、画面37に第2医療支援画像41Bが表示されている場合、制御部70Cは、第2医療支援画像41B内の複数の円形マーク116のうち、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する円形マーク116を特定色で塗り潰す。また、画面37に第3医療支援画像41Cが表示されている場合、制御部70Cは、複数の領域112のうち、部位認識部70Dによって認識された部位に対応する領域112を背景色と同色で塗り潰す。
【0169】
ステップST36で、制御部70Cは、部位認識部70Dによって認識されなかった部位の後続部位が部位認識部70Dによって認識されているか否かを判定する。部位認識部70Dによって認識されなかった部位の後続部位とは、例えば、部位認識部70Dによって認識されなかった部位が分類される大分類の1つ後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている大分類に分類される部位を指す。ステップST36において、部位認識部70Dによって認識されなかった部位の後続部位が部位認識部70Dによって認識されていない場合は、判定が否定されて、医療支援処理はステップST40へ移行する。ステップST36において、部位認識部70Dによって認識されなかった部位の後続部位が部位認識部70Dによって認識された場合は、判定が肯定されて、医療支援処理はステップST38へ移行する。
【0170】
ステップST38で、制御部70Cは、重要度テーブル84を参照して、認識漏れの部位に対応する領域に重要度104に応じたマークを重畳表示する。例えば、画面37に第1医療支援画像41Aが表示されている場合、制御部70Cは、第1医療支援画像41A内の複数の領域109のうちの認識漏れの部位に対応する領域109に対して重要度104に応じた重要度マーク110を重畳表示する。また、画面37に第2医療支援画像41Bが表示されている場合、制御部70Cは、第2医療支援画像41B内の複数の円形マーク116のうちの認識漏れの部位に対応する円形マーク116に対して重要度104に応じた重要度マーク112を重畳表示する。また、画面37に第3医療支援画像41Cが表示されている場合、制御部70Cは、複数の領域112のうちの第2医療支援画像41B内の認識漏れの部位に対応する領域112に対して重要度104に応じた重要度マーク120を重畳表示する。ステップST38の処理が実行された後、医療支援処理はステップST40へ移行する。
【0171】
ステップST40で、制御部70Cは、内視鏡認識部70B及び部位認識部70Dによる画像認識処理を終了させる。ステップST40の処理が実行された後、医療支援処理はステップST42へ移行する。
【0172】
ステップST42で、制御部70Cは、医療支援処理を終了する条件を満足したか否かを判定する。医療支援処理を終了する条件の一例としては、内視鏡システム10に対して、医療支援処理を終了させる指示が与えられたという条件(例えば、医療支援処理を終了させる指示が受付装置62によって受け付けられたという条件)が挙げられる。
【0173】
ステップST42において、医療支援処理を終了する条件を満足していない場合は、判定が否定されて、医療支援処理は、図13Aに示すステップST10へ移行する。ステップST42において、医療支援処理を終了する条件を満足した場合は、判定が肯定されて、医療支援処理が終了する。
【0174】
以上説明したように、内視鏡システム10では、内視鏡スコープ48によって胃内が撮像されることによって時系列画像群89が得られる。また、時系列画像群89に対してAI方式の画像認識処理が行われることによって内視鏡関連情報90が取得される。表示装置13の画面36には、内視鏡画像40が表示され、表示装置13の画面37には、医療支援画像41が表示される。医療支援画像41は、内視鏡検査中に観察されることが予定されている複数の部位の確認等のために医師14によって参照される。
【0175】
しかし、例えば、医師14が内視鏡12の操作等に集中している場合、医療支援画像41の内容の全てを把握することは困難となる。特に、内視鏡12を用いた手技の難度が高かったり、メンタルローテーションの難度が高かったりすると、医療支援画像41の確認に十分な時間をかけることが困難となる。
【0176】
そこで、内視鏡システム10では、互いに視覚的な情報量が異なる第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが内視鏡関連情報90に従って選択されて画面37に表示される。第2医療支援画像41Bは、第3医療支援画像41Cよりも視覚的な情報量が多く、第1医療支援画像41Aは、第2医療支援画像41Bよりも視覚的な情報量が多い。例えば、医師14が内視鏡12の操作等に対して集中するレベルが高レベルの場合には、第3医療支援画像41Cが画面37に表示される。医師14が内視鏡12の操作等に対して集中するレベルが中レベルの場合には、第2医療支援画像41Bが画面37に表示される。医師14が内視鏡12の操作等に対して集中するレベルが低レベルの場合には、第1医療支援画像41Aが画面37に表示される。
【0177】
これにより、医師14に対して、医療支援画像41を通して、観察対象21内の複数の部位を把握させ易くすることができる。また、医師14が置かれている状況に応じて視覚的に情報量が異なる第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cを選択的に医師14に観察させることができる。すなわち、医師14に観察させる医療支援画像41として、医師14に置かれている状況に応じて簡易な医療支援画像41と詳細な医療支援画像41とを使い分けることができる。
【0178】
また、内視鏡システム10では、内視鏡関連情報90に、処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等が含まれており、これらの情報は、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度を特定可能な情報である。画面37には、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cのうち、処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等に従って選択された医療支援画像41が表示される。従って、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cのうち、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度に合った適切な情報量の医療支援画像41を医師14に観察させることができる。すなわち、医師14に対して観察させる医療支援画像41として、内視鏡12を用いた手技の難度、及び/又は、メンタルローテーションの難度に応じて簡易な医療支援画像41と詳細な医療支援画像41とを使い分けることができる。
【0179】
また、内視鏡関連情報90に含まれる処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等は、内視鏡12に対する操作内容を特定可能な情報である。画面37には、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cのうち、処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90E等に従って選択された医療支援画像41が表示される。従って、医師14は、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cのうち、内視鏡12に対する操作内容に適した医療支援画像41を通して観察対象21を観察することができる。
【0180】
また、内視鏡システム10では、第1医療支援画像41Aとして、胃を透視した模式的な態様を示す模式図が用いられている。また、第2医療支援画像41Bとして、胃を観察する少なくとも1つの経路の模式的な態様を示す模式図が用いられている。更に、第3医療支援画像41Cとして、胃を模式的に展開した態様を示す模式図が用いられている。従って、医師14に対して観察させる医療支援画像41として、医師14に置かれている状況に応じた模式図を医師14に提供することができる。
【0181】
また、内視鏡システム10では、第1医療支援画像41Aに含まれる複数の領域109は、大分類と小分類とに分類されている。また、第2医療支援画像41Bに含まれる複数の円形マーク116も、大分類と小分類とに分類されている。更に、第3医療支援画像41Cに含まれる複数の領域122も、大分類と小分類とに分類されている。従って、医師14は、画面37に表示される医療支援画像41を通して、観察対象21内のどの部位が大分類に分類され、どの部位が小分類に分類されるのかを把握することができる。
【0182】
また、内視鏡システム10では、内視鏡関連情報90が内視鏡認識部70Bによって時系列画像群89に基づいて生成される。つまり、内視鏡12の外部から内視鏡12に対して内視鏡関連情報90を入力する必要がない。従って、少なくとも内視鏡12の外部から内視鏡12に対して内視鏡関連情報90を入力しない分だけ手間をかけずに内視鏡関連情報90に応じた医療支援画像41を画面37に表示することができる。
【0183】
また、内視鏡システム10では、第1医療支援画像41Aには、第1観察済み領域と第1未観察領域とが区別可能な状態で表示される。また、第2医療支援画像41Bには、第2観察済み領域と第2未観察領域とが区別可能な状態で表示される。更に、第3医療支援画像41Cには、第3観察済み領域と第3未観察領域とが区別可能な状態で表示される。従って、画面37に第1医療支援画像41Aが表示されている場合、医師14に対して、第1観察済み領域と第1未観察領域とを容易に把握させることができる。また、画面37に第2医療支援画像41Bが表示されている場合、医師14に対して、第2観察済み領域と第2未観察領域とを容易に把握させることができる。更に、画面37に第3医療支援画像41Cが表示されている場合、医師14に対して、第3観察済み領域と第3未観察領域とを容易に把握させることができる。
【0184】
また、内視鏡システム10では、デフォルトの医療支援画像41として第1医療支援画像41Aが画面37に表示される。そして、第1医療支援画像41Aを起点として、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが選択的に画面37に表示される。従って、医師14は、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cのうち、視覚的な情報が最も少ない第1医療支援画像41Aを主に参照しながら内視鏡検査を行うことができる。
【0185】
なお、上記実施形態では、表示装置13に画面36及び37が対比可能な状態で表示される形態例を挙げて説明したが、これは、あくまでも一例に過ぎず、画面36と画面37とが選択的に表示されるようにしてもよい。また、画面36と画面37とのサイズ比は受付装置62によって受け付けられた指示、及び/又は、内視鏡12の現状(例えば、内視鏡12の操作状況)等に応じて変更されるようにしてもよい。
【0186】
上記実施形態では、部位認識部70DによってAI方式の画像認識処理が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、プロセッサ70によって非AI方式の画像認識処理(例えば、テンプレートマッチング方式)の画像認識処理が行われることによって部位が認識されるようにしてもよい。また、プロセッサ70によってAI方式の画像認識処理及び非AI方式の画像認識処理が併用されることによって部位が認識されるようにしてもよい。なお、内視鏡認識部70Bによって行われる画像認識処理についても同様のことが言える。
【0187】
上記実施形態では、部位認識部70Dが時系列画像群89に対して画像認識処理を行うことにより部位を認識する形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、単一フレームの内視鏡画像40に対して画像認識処理が行われることによって部位が認識されるようにしてもよい。なお、内視鏡認識部70Bによって行われる画像認識処理についても同様のことが言える。
【0188】
上記実施形態では、第1重要度マーク110Aの表示態様、第2重要度マーク110Bの表示態様、及び第3重要度マーク110Cの表示態様が重要度104に応じて異なっているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1重要度マーク110Aの表示態様、第2重要度マーク110Bの表示態様、及び第3重要度マーク110Cの表示態様は、未認識部位の種類に応じて異なっていてもよい。また、重要度マーク110の表示態様を未認識部位の種類に応じて異ならせる場合であっても、上記実施形態と同様に、重要度マーク110について、重要度104に応じた表示態様は、維持されるようにしてもよい。また、未認識部位の種類に応じて重要度104を変更し、変更後の重要度104に応じて第1重要度マーク110A、第2重要度マーク110B、及び第3重要度マーク110Cが選択的に表示されるようにしてもよい。なお、重要度マーク112及び120についても同様のことが言える。
【0189】
上記実施形態では、重要度104が、“高”、“中”、及び“低”の3段階のレベルの何れかのレベルで規定される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、重要度104は、“高”、“中”、及び“低”の何れか1つ又は2つであってもよい。この場合、重要度マーク110も、重要度104のレベル毎に区別可能に定めればよい。例えば、重要度104が“高”及び“中”のみの場合、第1医療支援画像41A内に、第1重要度マーク110A及び第2重要度マーク110Bが重要度104に応じて選択的に表示され、かつ、第1医療支援画像41A内に第3重要度マーク110Cが表示されないようにすればよい。また、重要度104は、4段階以上のレベルに分けられていてもよく、この場合も、重要度マーク110は、重要度104のレベル毎に区別可能に定めればよい。なお、重要度マーク112及び120についても同様のことが言える。
【0190】
上記実施形態では、第1医療支援画像41Aを起点として、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが選択的に画面37に表示される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、参照画像124を起点として、参照画像124、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが選択的に画面37に表示されるようにしてもよい。参照画像124は、本開示の技術に係る「第1画像」の一例である。参照画像124は、観察対象21内の複数の部位に対応する複数の領域126と挿入部画像128とを含む画像である。参照画像124は、複数の領域126で区分されている。参照画像124では、複数の領域126と挿入部画像128とが対比可能に表現されている。挿入部画像128は、挿入部44を模した画像である。挿入部画像128の形状及び位置は、実際の挿入部44の形状及び位置とリンクしている。
【0191】
実際の挿入部44の形状及び位置の特定は、AI方式の画像認識処理が実行されることによって実現される。例えば、制御部70Cは、挿入部44の操作内容及び1フレーム以上の内視鏡画像40に対して学習済みモデルを用いた処理を行うことにより実際の挿入部44の形状及び位置を特定し、特定結果に基づいて挿入部画像128を生成して画面37の参照画像124に対して重畳表示する。
【0192】
なお、ここで、制御部70Cによって用いられる学習済みモデルは、例えば、挿入部44の操作内容及び1フレーム以上の内視鏡画像40に相当する画像等を例題データとし、挿入部44の形状及び位置を正解データとした教師データを用いた機械学習がニューラルネットワークに対して行われることによって得られる。
【0193】
図14に示す例では、参照画像124、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが画面37に選択的に表示される形態例を挙げて説明したが、参照画像124と、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、又は第3医療支援画像41Cとが並べられた状態(すなわち、対比可能な状態)で表示されてもよい。この場合、例えば、参照画像124及び第1医療支援画像41Aを起点として、参照画像124と並べられて表示される医療支援画像41として、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cが選択的に表示されるようにしてもよい。
【0194】
参照画像124と第3医療支援画像41Cとが並べられた状態で画面37に表示される場合、例えば、図15に示すように、穹窿部、胃体上部、胃体中部、胃体下部、胃角部、前庭部、及び幽門輪の位置が特定可能にする情報130(図15に示す例では、テキスト)が画面37に表示されるようにしてもよい。この場合、情報130を、参照画像124に含まれる複数の領域126と第3医療支援画像41Cに含まれる複数の領域122とに対応させて表示させるようにすればよい。
【0195】
参照画像124と少なくとも1つの医療支援画像41は、上記実施形態で説明したのと同じ要領で、内視鏡関連情報90に従って選択され、選択された画像が画面37に表示されるようにしてもよい。これにより、医師14は、観察対象21内の複数の部位を把握し、かつ、観察対象21内での内視鏡12(ここでは、一例として、挿入部44)の位置を把握することができる。
【0196】
上記実施形態では、内視鏡関連情報90に、処置具情報90A、動作速度情報90B、位置情報90C、形状情報90D、及び流体送出情報90Eが含まれる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、内視鏡関連情報90には、内視鏡12の操作者を特定可能な操作者情報が含まれていてもよい。操作者情報の一例としては、個々の医師14を特定可能な識別子、又は、内視鏡12に対する操作の熟練度が一定レベル以上の操作者であるか否かを示す情報等が挙げられる。内視鏡関連情報90に操作者情報を含めることにより、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び第3医療支援画像41Cから、操作者情報に応じた医療支援画像41が選択され、選択された医療支援画像41が画面37に表示される。画面37に表示される医療支援画像41は、操作者に適した画像である。
【0197】
そのため、例えば、内視鏡12の操作に慣れていない医師14が内視鏡12を操作している場合には、画面37に情報量の多い医療支援画像41(例えば、第2医療支援画像41B又は第3医療支援画像41C)が表示される。また、例えば、内視鏡12の操作に慣れている医師14が内視鏡12を操作している場合には、画面37に情報量の少ない医療支援画像41(例えば、第1医療支援画像41C)が表示される。このように、内視鏡関連情報90に操作者情報を含めることで、医師14に適した情報量を含む医療支援画像41を医師14に対して提供することができる。
【0198】
上記実施形態では、内視鏡関連情報90に含まれる情報に基づいて難度92が算出される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、内視鏡関連情報90に含まれる情報と部位情報94とに基づいて演算式93から難度92が算出されるようにしてもよい。この場合、例えば、観察し難い部位(例えば、食道と胃との接合部分にかかる部位)に関する部位情報94に対しては、高難度92Aが算出されるようにしたり、観察し易い部位に関する部位情報94に対しては、低難度92Cが算出されるようにしたりすればよい。
【0199】
上記実施形態では、複数の部位に対して付される重要度104が、複数の部位に対して行われた過去の検査データに従って定められる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、複数の部位に対して付される重要度104は、胃内での未認識部位の位置に従って定められるようにしてもよい。先端部46の位置から空間的に最も遠い部位は、先端部46の位置から空間的に近い部位よりも、部位認識部70Dによる認識漏れが生じる可能性が高い。従って、胃内での未認識部位の位置の一例としては、先端部46の位置から空間的に最も遠い未認識部位の位置が挙げられる。この場合、先端部46の位置次第で先端部46の位置から空間的に最も遠い未認識部位の位置が変化するので、胃内での先端部46の位置と未認識部位の位置とに応じて複数の部位に対して付される重要度104が変化する。このように、複数の部位に対して付される重要度104が胃内での未認識部位の位置に従って定められることで、胃内での未認識部位の位置に従って定められた重要度104の高い部位に対する部位認識部70Dによる認識漏れを抑制することができる。
【0200】
上記実施形態では、複数の部位に対して付される重要度104が、外部から与えられた指示に従って定められる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、複数の部位のうちの指定部位(例えば、事前に定められたチェックポイントに該当する部位)よりも前に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている部位に対応する重要度104が、複数の部位のうちの指定部位以降に認識されることが予定されている部位に対応する重要度104よりも高く設定されてもよい。これにより、指定部位よりも前に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている部位の認識漏れを抑制することができる。
【0201】
上記実施形態では、複数の部位のうちの大分類に分類される部位と小分類に分類される部位とを問わずに未認識部位が設定される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、大分類に分類される部位に対する部位認識部70Dによる認識漏れよりも小分類に分類される部位に対する部位認識部70Dによる認識漏れが生じやすいので、複数の部位のうちの小分類に分類される部位のみを対象にして未認識部位が設定されるようにしてもよい。これにより、大分類に分類される部位と小分類に分類される部位との両方に対する部位認識部70Dによる認識漏れを抑制する場合に比べ、部位認識部70Dによる認識漏れを生じ難くすることができる。
【0202】
上記実施形態では、小分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されなかった場合に、部位認識部70Dによって認識されなかった部位よりも後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている大分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に未認識情報106が出力される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。
【0203】
例えば、小分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されなかった場合に、部位認識部70Dによって認識されなかった部位(すなわち、小分類に分類される部位)よりも後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている小分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に未認識情報106が出力されるようにしてもよい。これにより、観察対象21内の部位(ここでは、一例として、小分類に分類される部位)に対する認識漏れが生じた可能性が高くなった場面で、観察対象21内の部位に対する認識漏れが生じたことを医師14に把握させることができる。
【0204】
また、例えば、小分類に分類される部位が部位認識部70Dによって認識されなかった場合に、部位認識部70Dによって認識されなかった部位(すなわち、小分類に分類される部位)よりも後に部位認識部70Dによって認識されることが予定されている小分類に分類される複数の部位が部位認識部70Dによって認識されたことを条件に未認識情報106が出力されるようにしてもよい。この場合も、観察対象21内の部位(ここでは、一例として、小分類に分類される部位)に対する認識漏れが生じた可能性が高くなった場面で、観察対象21内の部位に対する認識漏れが生じたことを医師14に把握させることができる。
【0205】
上記実施形態では、未認識情報106が制御部70Cから表示装置13に出力される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、未認識情報100は、内視鏡画像40等の各種画像のヘッダ等に保存されるようにしてもよい。例えば、部位認識部70Dによって認識されなかった部位が小分類に分類される部位であるならば、小分類に分類される部位であること、及び/又は、部位を特定可能な情報が内視鏡画像40等の各種画像のヘッダ等に保存されるようにしてもよい。また、例えば、部位認識部70Dによって認識されなかった部位が大分類に分類される部位であるならば、大分類に分類される部位であること、及び/又は、部位を特定可能な情報が内視鏡画像40等の各種画像のヘッダ等に保存されるようにしてもよい。
【0206】
また、大分類及び小分類を含めた認識順序(すなわち、部位認識部70Dによって認識された部位の順序)、及び/又は、最終的に未認識の部位(すなわち、部位認識部70Dによって認識されなかった部位)に関する情報が、内視鏡12に通信可能に接続された検査システムに送信されて検査システムによって検査データとして保存されたり、検査診断レポートに掲載されたりするようにしてもよい。また、複数の部位のうちのチェックポイントの観察結果を示す情報(例えば、未認識情報106又は未認識情報106に基づく情報)と、網羅的な観察結果(大分類に分類される部位及び/又は小分類に分類される部位に関する観察結果)を示す情報とが、検査データ(例えば、検査が行われることによって得られた画像及び/又は検査に関連する情報)と関連付けられて保存されるようにしてもよい。
【0207】
また、観察順(すなわち、観察ルート)を示す情報(例えば、部位認識部70Dによって認識された部位の順序に関する情報)が検査データと関連付けられて保存されるようにしてもよい。また、内視鏡画像40等の各種画像のヘッダ等に、検査IDに加え、観察部位(例えば、部位認識部70Dによって認識された部位)等の情報が記録されるようにしてもよい。
【0208】
また、次回の検査の際に、前回の観察ルート等及び/又は網羅性マップ(例えば、第1医療支援画像41A、第2医療支援画像41B、及び/又は第3医療支援画像41C)が表示装置13等に表示されるようにしてもよい。
【0209】
上記実施形態では、内視鏡スコープ48によって大弯側経路114Aの複数の部位が胃の上流側(すなわち、胃の入口側)から下流側(すなわち、胃の出口側)にかけて順に撮像され、その後、内視鏡スコープ48によって小弯側経路114Bが胃の下流側から上流側にかけて順に撮像される形態例(すなわち、認識予定順序102に沿って部位が撮像される形態例)を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、胃に挿入された挿入部44の挿入方向の上流側の第1部位(例えば、胃体上部の後壁)から下流側の第2部位(例えば、胃体下部の後壁)が部位認識部70Dによって順に認識された場合に、挿入部44の上流側から下流側にかけて定められた第1経路(ここでは、一例として、大弯側経路114A)に従って撮像が行われているとプロセッサ70によって推定され、かつ、第1経路に従って未認識情報106が出力される。また、例えば、胃に挿入された挿入部44の挿入方向の下流側の第3部位(例えば、胃体下部の後壁)から上流側の第4部位(例えば、胃体上部の後壁)が部位認識部70Dによって順に認識された場合に、挿入部44の下流側から上流側にかけて定められた第2経路(ここでは、一例として、小弯側経路114B)に従って撮像が行われているとプロセッサ70によって推定され、かつ、第2経路に従って未認識情報106が出力される。これにより、大弯側経路114A上の部位が部位認識部70Dによって認識されていないのか、小弯側経路114B上の部位が部位認識部70Dによって認識されていないのかを容易に特定することができる。
【0210】
なお、ここでは、第1経路の一例として、大弯側経路114Aを挙げ、第2経路の一例として、小弯側経路114Bを挙げたが、第1経路が小弯側経路114Bであり、第2経路が大弯側経路114Aであってもよい。また、ここで、挿入方向の上流側とは、胃の入口側(すなわち、食道側)を指し、挿入方向の下流側とは、胃の出口側(すなわち、十二指腸側)を指す。
【0211】
上記実施形態では、内視鏡関連情報90が第1学習済みモデル78から得られる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、内視鏡関連情報90は、受付装置62を介して制御装置22に入力されてもよいし、制御装置22に対して通信可能に接続された外部装置(例えば、タブレット端末、パーソナル・コンピュータ、又はサーバ等)を介して制御装置22に入力されてもよい。
【0212】
上記実施形態では、内視鏡12に含まれるコンピュータ64のプロセッサ70によって医療支援処理が行われる形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されず、医療支援処理を行う装置は、内視鏡12の外部に設けられていてもよい。内視鏡12の外部に設けられる装置としては、例えば、内視鏡12と通信可能に接続されている少なくとも1台のサーバ及び/又は少なくとも1台のパーソナル・コンピュータ等が挙げられる。また、医療支援処理は、複数の装置によって分散して行われるようにしてもよい。
【0213】
上記実施形態では、NVM74に医療支援処理プログラム76が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、医療支援処理プログラム76がSSD又はUSBメモリなどの可搬型の非一時的記憶媒体に記憶されていてもよい。非一時的記憶媒体に記憶されている医療支援処理プログラム76は、内視鏡12のコンピュータ64にインストールされる。プロセッサ70は、医療支援処理プログラム76に従って医療支援処理を実行する。
【0214】
また、ネットワークを介して内視鏡12に接続される他のコンピュータ又はサーバ等の記憶装置に医療支援処理プログラム76を記憶させておき、内視鏡12の要求に応じて医療支援処理プログラム76がダウンロードされ、コンピュータ64にインストールされるようにしてもよい。
【0215】
なお、内視鏡12に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置、又はNVM74に医療支援処理プログラム76の全てを記憶させておく必要はなく、医療支援処理プログラム76の一部を記憶させておいてもよい。
【0216】
医療支援処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、医療支援処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで医療支援処理を実行する。
【0217】
医療支援処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、医療支援処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0218】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、医療支援処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、医療支援処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、医療支援処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0219】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の医療支援処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0220】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0221】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0222】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0223】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
13 表示装置
14 医師
18 内視鏡本体
20 被検体
21 観察対象
22 制御装置
23 検出枠
24 光源装置
36,37 画面
40 内視鏡画像
41 医療支援画像
41A 第1医療支援画像
41B 第2医療支援画像
41C 第3医療支援画像
42 操作部
44 挿入部
46 先端部
48 内視鏡スコープ
50 照明装置
50A,50B 照明窓
52 処置用開口
54 処置具
58 処置具挿入口
60 ユニバーサルコード
62 受付装置
64 コンピュータ
66 バス
68 外部I/F
70 プロセッサ
70A 画像取得部
70B 内視鏡認識部
70C 制御部
70D 部位認識部
72 RAM
74 NVM
76 医療支援処理プログラム
78 第1学習済みモデル
80 第2学習済みモデル
82 認識部位確認テーブル
84 重要度テーブル
89 時系列画像群
90 内視鏡関連情報
90A 処置具情報
90B 動作速度情報90B
90C 位置情報
90D 形状情報
90E 流体送出情報
90E1 送気量情報
90E2 送水量情報
92 難度
92A 高難度
92B 中難度
92C 低難度
93 演算式
94 部位情報
96 部位名
98 部位フラグ
100 大分類フラグ
102 認識予定順序
104 重要度
106 未認識情報
108 重要度情報
109,122,126 領域
110,112,120 重要度マーク
110A,112A,120A 第1重要度マーク
110B,112B,120B 第2重要度マーク
110C,112C,120C 第3重要度マーク
114 経路
114A 大弯側経路
114B 小弯側経路
116,116A,116B 円形マーク
124 参照画像
128 挿入部画像
130 情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15