IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図1
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図2
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図3
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図4
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図5
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図6
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図7
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図8
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図9
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図10
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図11
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図12
  • 特開-投写用光学系および投写型表示装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033600
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】投写用光学系および投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/16 20060101AFI20240306BHJP
   G02B 15/06 20060101ALI20240306BHJP
   G02B 15/20 20060101ALI20240306BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240306BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240306BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240306BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
G02B13/16
G02B15/06
G02B15/20
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
H04N5/74 A
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137266
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永利 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】古林 琢
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA01
2H087LA27
2H087LA30
2H087PA07
2H087PA09
2H087PA10
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA17
2H087PA18
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB08
2H087PB09
2H087PB11
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087PB17
2H087PB18
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA17
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA33
2H087QA37
2H087QA38
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA36
2H087SA23
2H087SA26
2H087SA29
2H087SA32
2H087SA43
2H087SA46
2H087SA47
2H087SA49
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA56
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SA76
2H087SA83
2H087SB01
2H087SB03
2H087SB04
2H087SB12
2H087SB14
2H087SB21
2H087SB25
2H087SB26
2H087SB32
2H087SB33
2H087SB42
2H087SB43
2K203GC06
2K203GC20
2K203HA55
2K203HB22
2K203HB25
2K203HB26
2K203HB28
2K203MA02
2K203MA04
5C058EA02
5C058EA12
5C058EA26
5C058EA27
(57)【要約】
【課題】中間像を形成するタイプの投写用光学系において、明るさ、およびコントラスト比を良好に調整可能な投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供する。
【解決手段】縮小側の画像表示面に表示される画像を拡大側に投写する投写用光学系であって、投写用光学系の内部に少なくとも1つの中間像が形成され、最も縮小側の中間像より縮小側に、開口径が可変である第1の絞りを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小側の画像表示面に表示される画像を拡大側に投写する投写用光学系であって、
前記投写用光学系の内部に少なくとも1つの中間像が形成され、
最も縮小側の前記中間像より縮小側に、開口径が可変である第1の絞りを含む投写用光学系。
【請求項2】
前記第1の絞りより拡大側に、交換可能な光学系を含む請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項3】
前記交換可能な光学系は開口径が可変である第2の絞りを含み、
前記投写用光学系のFナンバーは前記第1の絞りにより決定される請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項4】
前記交換可能な光学系とは異なる部分に、変倍の際に隣り合う群との間隔を変化させて移動する群を含む請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項5】
拡大側のレンズ面が最も縮小側の前記中間像より縮小側に位置するレンズのうち最も拡大側のレンズから、前記投写用光学系の最も縮小側のレンズまでの合成横倍率をβとし、
βは、拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の値とし、
前記投写用光学系が変倍光学系を含む場合はβは広角端における値とした場合、
0.25<|β|<2 (1)
で表される条件式(1)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項6】
0.4<|β|<1.5 (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する請求項5に記載の投写用光学系。
【請求項7】
前記第1の絞りが含む絞り羽根は金属製である請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項8】
前記第1の絞りが含む絞り羽根は耐熱性樹脂製である請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項9】
前記画像を出力するライトバルブと、
請求項1から8のいずれか1項に記載の投写用光学系とを備えた投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、投写用光学系、および投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、投写型表示装置に使用可能なレトロフォーカス型レンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2981497号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、リレー光学系を含み、中間像を形成するタイプの投写用光学系が増加している。リレー光学系は、中間像より縮小側に配置されて、像のリレーを行う。このタイプの投写用光学系は、投写型表示装置において求められる長いバックフォーカスの確保に有利であり、かつ、超広角のレンズであってもレンズの大径化を抑制できるという長所を有する。さらに、このタイプの投写用光学系であれば、バックフォーカスおよび/又は光学系の瞳の条件がプロジェクターエンジンと適合しない結像レンズを、交換レンズとして使用可能にできるという利点もある。
【0005】
一方、投写型表示装置では、明るさ、およびコントラスト比を調整したいという要望がある。この要望に応えるために開口径が可変の絞りを設けることが考えられるが、中間像より拡大側にこのような絞りを配置することは、コントラスト比の改善に効果的ではない。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みなされたものであり、中間像を形成するタイプの投写用光学系において、明るさ、およびコントラスト比を良好に調整可能な投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、縮小側の画像表示面に表示される画像を拡大側に投写する投写用光学系であって、投写用光学系の内部に少なくとも1つの中間像が形成され、最も縮小側の中間像より縮小側に、開口径が可変である第1の絞りを含む投写用光学系である。
【0008】
上記態様において、第1の絞りより拡大側に、交換可能な光学系を含むことが好ましい。その場合、交換可能な光学系は開口径が可変である第2の絞りを含み、投写用光学系のFナンバーは第1の絞りにより決定されることが好ましい。また、交換可能な光学系とは異なる部分に、変倍の際に隣り合う群との間隔を変化させて移動する群を含むことが好ましい。
【0009】
また、拡大側のレンズ面が最も縮小側の中間像より縮小側に位置するレンズのうち最も拡大側のレンズから、投写用光学系の最も縮小側のレンズまでの合成横倍率をβとし、βは、拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の値とし、投写用光学系が変倍光学系を含む場合はβは広角端における値とした場合、投写用光学系は、下記条件式(1)を満足することが好ましく、条件式(1-1)を満足することがさらに好ましい。
0.25<|β|<2 (1)
0.4<|β|<1.5 (1-1)
【0010】
上記態様において、第1の絞りが含む絞り羽根は金属製であるように構成してもよい。もしくは、第1の絞りが含む絞り羽根は耐熱性樹脂製であるように構成してもよい。
【0011】

本開示の別の態様は、画像を出力するライトバルブと、上記態様の投写用光学系とを備えた投写型表示装置である。
【0012】
なお、本明細書の「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、並びに、絞り、マスク、フィルタ、カバーガラス、平面ミラー、およびプリズム等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。また、「レンズ群」は、レンズ以外に、絞り、マスク、フィルタ、カバーガラス、平面ミラー、およびプリズム等のレンズ以外の光学要素を含んでもよい。「~レンズ群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。
【0013】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、および「F線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)として扱う。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、中間像を形成するタイプの投写用光学系において、明るさ、およびコントラスト比を良好に調整可能な投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図2】開口径が可変の絞りの一例を示す図である。
図3】実施例2の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図4】実施例3の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図5】実施例4の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図6】実施例5の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図7】実施例5の変形例の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図8】実施例6の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図9】実施例7の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図10】実施例8の投写用光学系の構成と光束を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図12】別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図13】さらに別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0017】
図1に、本開示の一実施形態に係る投写用光学系の構成および光束の断面図を示す。図1では、光束として、軸上光束、および最大画角の光束を示す。図1に示す例は後述の実施例1の投写用光学系に対応している。図1では、左側が拡大側、右側が縮小側である。
【0018】
図1では、投写用光学系が投写型表示装置に搭載されることを想定して、投写用光学系の縮小側に光学部材PP、およびライトバルブの画像表示面5aを配置した例を示す。光学部材PPは、フィルタ、カバーガラス、および色合成プリズム等を想定した部材である。光学部材PPはパワー(屈折力)を有しない部材であり、光学部材PPを省略した構成も可能である。ライトバルブとしては、例えば、液晶表示素子、又はDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:登録商標)等の画像表示素子を用いることができる。ライトバルブは光学像を出力し、この光学像は画像表示面5aに画像として表示される。
【0019】
投写用光学系は、例えば、投写型表示装置に搭載されて、縮小側の画像表示面5aに表示される画像を拡大側に投写する。投写型表示装置においては、画像表示面5aで画像情報を与えられた光束が投写用光学系に入射され、投写用光学系により拡大側の不図示のスクリーン上に投写される。画像表示面5aに表示される画像と、投写用光学系によってスクリーン上に形成される投写像とは光学的に共役の関係にある。なお、本明細書において「スクリーン」は、投写用光学系が形成する投写像が投写される対象物を意味する。スクリーンとしては、専用のスクリーンの他、部屋の壁面、床面、天井、および建物の外壁等でもよい。
【0020】
また、本明細書において、「拡大側」は光路上でのスクリーン側を意味し、「縮小側」は光路上での画像表示面5a側を意味する。本明細書では、「拡大側」および「縮小側」は、光路に沿って決められるものであり、この点は折り曲げられた光路を形成する光学系の場合も同様である。以下では、説明が冗長になるのを避けるため、「拡大側から縮小側へ光路に沿って順に」を「拡大側から縮小側へ順に」と記すことがある。
【0021】
本開示の投写用光学系は、リレー光学系を含み、投写用光学系の内部に少なくとも1つの中間像MIが形成される。本開示では、中間像MIより縮小側に配置されて像のリレーを行う光学系を「リレー光学系」と呼んでいる。図1では、中間像MIを簡略的に点線で示す。図1の中間像MIは、位置を示しており、必ずしも正確な形状を示すものではない。
【0022】
一例として、図1の投写用光学系は、光軸AX1に沿って、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2とからなり、第2光学系U2がリレー光学系に対応し、第1光学系U1と第2光学系U2との間に中間像MIが形成されている。このような中間像MIを形成する光学系では、第2光学系U2の縮小側に光学部材PPを配置できるだけの十分な長さのバックフォーカスを確保しながら、第1光学系U1の拡大側のレンズ径を小さくすることができるという長所を有する。
【0023】
本開示の投写用光学系は、最も縮小側の中間像MIより縮小側に、開口径が可変である絞りStAを含む。以下では、開口径が可変である絞りを「可変絞り」という。図1の例では、リレー光学系である第2光学系U2が可変絞りである絞りStAを含む。絞りStAは、本開示の技術の「第1の絞り」に対応する。絞りStAの開口径を変化させることによって、明るさ、およびコントラスト比の調整が可能である。コントラスト比の改善は、不要な光線がレンズ面又は部品枠等に当たることを極力抑えるため、光源に近い側で光線を遮光することが有効である。このため、本開示では、図1に示すように、第1光学系U1ではなく、第2光学系U2の内部に絞りStAが配置されている。
【0024】
また、中間像MIを形成するタイプの光学系において、中間像MIより縮小側に可変絞りを含むことによって、下記事情による利点も得ることができる。可変絞りを用いて光量を調整する際は、投写像全体の明るさが均一になることが望ましい。特に、可変絞りを絞った状態で、投写像における周辺光量比が極力均一であることが望ましい。一般に、中間像MIを形成するタイプの光学系では、リレー光学系の瞳位置で瞳収差が良好に補正されているため、リレー光学系内に可変絞りを配置して、このリレー光学系内の可変絞りを絞った状態で周辺光量比を均一にすることに適している。これに対して、中間像MIより拡大側の瞳位置では、瞳収差が大きいことが多い。従って、仮に、中間像MIより拡大側に可変絞りが配置されていて、この可変絞り以外で光線が遮光されていることが無いとしても、この中間像MIより拡大側に配置された可変絞りを絞った状態で周辺光量比を一定にすることは難しい。
【0025】
本開示の投写用光学系は、絞りStAより拡大側に、交換可能な光学系を含むことが好ましい。この構成によれば、様々な状態に対応する場合に、全体を取り替えるのではなく、投写用光学系の一部のみを交換し、他部を共通とする交換方式が可能となる。特に、開口径を変化させる駆動部と連結されている絞りStAを含む部分を共通とすることによって、交換される部分の構造を簡素化できる。
【0026】
例えば、図1の例では、第1光学系U1として、デジタルカメラ用の交換レンズのような一般的な市販レンズを用い、第1光学系U1を交換可能な光学系としてもよい。上記のような市販レンズは、様々な仕様のものがあり、安価であり、入手性が良いという長所を有する。
【0027】
投写用光学系が、絞りStAより拡大側に交換可能な光学系を含む場合は、この交換可能な光学系と、投写用光学系内のその他の光学系とは互いに異なる鏡筒に収納されていることが好ましい。このようにした場合は、その他の光学系は固定されたまま、交換可能な光学系のみを簡便に交換することができる。図1の例においては、第1光学系U1と第2光学系U2とが互いに異なる鏡筒(不図示)に収納されていてもよい。例えば、第1光学系U1がレンズを含む場合は、第1光学系U1用の鏡筒の内部に鏡枠が設けられ、第1光学系U1の各レンズ又は各レンズ群はこの鏡枠内に配置される。第1光学系U1の各レンズ又は各レンズ群が複数存在する場合は、その数の分だけ鏡枠も複数存在する。第1光学系U1用の鏡筒は、これらの鏡枠を一括して収納し、第1光学系U1全体を保持する。第2光学系U2についても同様に、第2光学系U2用の鏡筒が鏡枠を一括して収納し、第2光学系U2全体を保持する。第1光学系U1用の鏡筒と第2光学系U2用の鏡筒とは互いに異なる別個の部材である。第1光学系U1用の鏡筒および第2光学系U2用の鏡筒はそれぞれ、個々の光学系を収納する部材である。なお、第1光学系U1用の鏡筒および第2光学系U2用の鏡筒が各レンズ又は各レンズ群を直接保持するように構成することによって、各鏡枠を省略することも可能である。
【0028】
上記の交換可能な光学系は開口径が可変である絞りStBを含んでいてもよく、交換可能な光学系が絞りStBを含む場合、投写用光学系のFナンバーは絞りStAにより決定されることが好ましい。絞りStBは、本開示の技術の「第2の絞り」に対応する。投写型表示装置では、外光又は明るい照明光がある環境でも鮮明な投写像が得られるように、投写光の強度を強くしたり、高輝度光源を用いたりしているものが多い。一般的な市販レンズは内部に絞りを有するが、この絞りは通常、投写型表示装置の強い光が当たっても問題が無いような耐熱性を確保していないため、投写型表示装置の強い光が当たると不具合が生じる虞がある。そこで、投写型表示装置の強い光が当たっても問題が無いように絞りStAの耐熱性を確保しておき、絞りStBではなく、絞りStAによってFナンバーを決定するように絞りStAで光線を遮光すれば、上記不具合を回避でき、一般的な市販レンズを交換可能な光学系として用いることができる。
【0029】
例えば、絞りStAは、一例として図2に示すように、光軸AX1を中心とした円周上に間隔をもって配置された複数の絞り羽根8を有し、全体として円環状の遮光部を形成するように構成することができる。この遮光部より径方向内側の部分が開口部であり、光が通る部分である。開口部は略円形であり、この円形の直径が開口径9である。複数の絞り羽根8を開閉方向に移動させることにより、図2に示すように開口径9が変化する。なお、図2の絞りStAは8枚の絞り羽根8を有するが、図の煩雑化を避けるため、図2では1つの絞り羽根8にのみ参照符号を付している。絞りStBも絞りStAと同様の構成とすることができる。
【0030】
上記の耐熱性の観点から、絞りStAが含む絞り羽根8は金属製であることが好ましい。金属としては、例えばアルミを用いることができる。絞り羽根8を金属製とすることによって、投写型表示装置の強い光が当たっても問題が無いような耐熱性を確保することができる。もしくは、絞りStAが含む絞り羽根8は耐熱性樹脂製であるように構成してもよい。このようにした場合は、耐熱性を確保しつつ、コストを抑えることができる。耐熱性樹脂製としては、例えば、ソマブラックフィルム(ソマール株式会社製、登録商標)を用いることができる。上記の絞り羽根8の材料に関する構成は、絞りStBについても同様である。
【0031】
本開示の投写用光学系は、交換可能な光学系とは異なる部分に、変倍の際に隣り合う群との間隔を変化させて移動する群を含むように構成してもよい。このようにした場合は、交換可能な光学系が固定焦点光学系であっても、投写像のサイズ変更が容易となり、利便性の高い装置を提供することができる。
【0032】
例えば、図1の例では、第2光学系U2は変倍光学系である。図1の第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5の5つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1は画像表示面5aに対して固定されており、その他の4つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。図1では、変倍の際に固定されているレンズ群の下には接地記号を示し、変倍の際に移動するレンズ群の下には広角端から望遠端へ変倍する際の各レンズの移動方向を概略的に矢印で示す。
【0033】
本開示の投写用光学系は、拡大側のレンズ面が最も縮小側の中間像MIより縮小側に位置するレンズのうち最も拡大側のレンズから、投写用光学系の最も縮小側のレンズまでの合成横倍率をβとした場合、下記条件式(1)を満足することが好ましい。βは拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の値である。また、投写用光学系が変倍光学系を含む場合は、βは広角端における値とする。例えば、図1の例では、拡大側のレンズ面が中間像MIより縮小側に位置するレンズのうち最も拡大側のレンズは、第1レンズ群G1の最も拡大側のレンズである。条件式(1)の対応値が下限以下とならないようにすることによって、小型化に有利となる。条件式(1)の対応値が上限以上とならないようにすることによって、中間像MIより拡大側の光学系に求められる屈折力が強くなり過ぎるのを抑えることができ、また、中間像MIより拡大側の光学系に求められるFナンバーが小さくなり過ぎないため、良好な性能の確保に有利となる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(1-1)を満足することがより好ましい。
0.25<|β|<2 (1)
0.4<|β|<1.5 (1-1)
【0034】
条件式に関する構成も含め上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。なお、本開示の投写用光学系が満足することが好ましい条件式は、式の形式で記載された条件式に限定されず、好ましい、およびより好ましいとされた条件式の中から下限と上限とを任意に組み合わせて得られる全ての条件式を含む。
【0035】
次に、本開示の投写用光学系の実施例について図面を参照して説明する。各実施例および変形例の断面図に付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。従って、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0036】
[実施例1]
実施例1の投写用光学系の構成と光束の断面図は図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2とからなる。第1光学系U1と第2光学系U2との間に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はリレー光学系に対応する。
【0037】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStBと、8枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、10枚のレンズと、絞りStAと、3枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。第2光学系U2は変倍光学系である。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5の5つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1は画像表示面5aに対して固定されており、その他の4つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0038】
実施例1の投写用光学系について、基本レンズデータを表1Aおよび表1Bに、諸元と可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。ここでは、1つの表の長大化を避けるため基本レンズデータを表1Aおよび表1Bの2つの表に分けて示している。
【0039】
基本レンズデータの表は以下のように記載されている。Snの列には、最も拡大側の面を第1面とし縮小側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。Rの列には、各面の曲率半径を示す。Dの列には、各面とその縮小側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。Ndの列には、各構成要素のd線に対する屈折率を示す。νdの列には、各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。最も右の欄には投写用光学系を構成する各光学系の符号を示す。例えば、U1と示された欄は第1光学系U1に対応し、U2と示された欄は第2光学系U2に対応する。
【0040】
基本レンズデータでは、拡大側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、縮小側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負としている。絞りStAに相当する面の面番号の欄には面番号と(StA)という語句を記載している。絞りStBに相当する面の面番号の欄には面番号と(StB)という語句を記載している。基本レンズデータには、光学部材PPも示している。表1BのDの最下欄の値は表中の最も縮小側の面と画像表示面5aとの間隔である。基本レンズデータの表では、可変面間隔についてはDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の拡大側の面番号を付してDの欄に記入している。
【0041】
表2に、変倍比Zr、焦点距離の絶対値|f|、FナンバーFNo.、最大全画角2ω、および変倍の際の可変面間隔をd線基準で示す。2ωの欄の[°]は単位が度であることを示す。表2では、広角端状態および望遠端状態における各値をそれぞれ、「wide」および「tele」の列に示す。
【0042】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表3において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAmの行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。なお、Amのmは3以上の整数であり、面により異なる。例えば実施例1の第20面ではm=3、4、5、・・・、14である。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h/{1+(1-KA×C×h1/2}+ΣAm×h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0043】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0044】
【表1A】
【0045】
【表1B】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0049】
[実施例2]
実施例2の投写用光学系の構成と光束の断面図を図3に示す。実施例2の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、および第2光学系U2とからなる。第1光学系U1と第2光学系U2との間に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はリレー光学系に対応する。
【0050】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStBと、8枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、9枚のレンズと、絞りStAと、4枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。第2光学系U2は、変倍光学系である。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および第4レンズ群G4の4つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1は画像表示面5aに対して固定されており、その他の3つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0051】
実施例2の投写用光学系について、基本レンズデータを表4Aおよび表4Bに、諸元と可変面間隔を表5に、非球面係数を表6に示す。
【0052】
【表4A】
【0053】
【表4B】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
[実施例3]
実施例3の投写用光学系の構成と光束の断面図を図4に示す。実施例3の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2と、第3光学系U3とからなる。第2光学系U2の内部に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はフィールドレンズの機能を有する。第3光学系U3はリレー光学系に対応する。
【0057】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStBと、8枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、5枚のレンズからなる。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、9枚のレンズと、絞りStAと、3枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。第3光学系U3は、変倍光学系である。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5の5つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1および第5レンズ群G5は画像表示面5aに対して固定されており、その他の3つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0058】
実施例3の投写用光学系について、基本レンズデータを表7Aおよび表7Bに、諸元と可変面間隔を表8に、非球面係数を表9に示す。
【0059】
【表7A】
【0060】
【表7B】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
[実施例4]
実施例4の投写用光学系の構成と光束の断面図を図5に示す。実施例4の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2と、第3光学系U3とからなる。第2光学系U2の内部に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はフィールドレンズの機能を有する。第3光学系U3はリレー光学系に対応する。
【0064】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStBと、8枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、6枚のレンズからなる。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStAと、7枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。第3光学系U3は、変倍光学系である。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5の5つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1および第5レンズ群G5は画像表示面5aに対して固定されており、その他の3つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0065】
実施例4の投写用光学系について、基本レンズデータを表10Aおよび表10Bに、諸元と可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に示す。
【0066】
【表10A】
【0067】
【表10B】
【0068】
【表11】
【0069】
【表12】
【0070】
[実施例5]
実施例5の投写用光学系の構成と光束の断面図を図6に示す。実施例5の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2と、第3光学系U3とからなる。第2光学系U2の内部に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はフィールドレンズの機能を有する。第3光学系U3はリレー光学系に対応する。
【0071】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、6枚のレンズと、絞りStBと、7枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、5枚のレンズからなる。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、5枚のレンズと、絞りStAと、6枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。
【0072】
実施例5の投写用光学系について、基本レンズデータを表13Aおよび表13Bに、諸元を表14に、非球面係数を表15に示す。
【0073】
【表13A】
【0074】
【表13B】
【0075】
【表14】
【0076】
【表15】
【0077】
[実施例5の変形例]
図7に、実施例5の変形例に係る投写用光学系の構成と光束を示す。図7の変形例の第3光学系U3は、光路折り曲げ部材であるミラーMrを含み、ミラーMrによって光路を折り曲げている点が実施例5の投写用光学系の第3光学系U3と異なる。図7の投写用光学系のその他の構成は、実施例5の投写用光学系と同様である。第41面とミラーMrとの光軸上の間隔は40mm(ミリメートル)である。光路を折り曲げることによって、コンパクトな構成が可能になる。
【0078】
[実施例6]
実施例6の投写用光学系の構成と光束の断面図を図8に示す。実施例6の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2と、第3光学系U3とからなる。第2光学系U2の内部に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はフィールドレンズの機能を有する。第3光学系U3はリレー光学系に対応する。
【0079】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、7枚のレンズと、絞りStBと、8枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、6枚のレンズからなる。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、5枚のレンズと、絞りStAと、7枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径および絞りStBの開口径は可変である。第3光学系U3は、変倍光学系である。第3光学系U3は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および第4レンズ群G4の4つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1は画像表示面5aに対して固定されており、その他の3つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0080】
実施例6の投写用光学系について、基本レンズデータを表16Aおよび表16Bに、諸元と可変面間隔を表17に、非球面係数を表18に示す。
【0081】
【表16A】
【0082】
【表16B】
【0083】
【表17】
【0084】
【表18】
【0085】
[実施例7]
実施例7の投写用光学系の構成と光束の断面図を図9に示す。実施例7の投写用光学系は、光学系として、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2とからなる。第1光学系U1と第2光学系U2との間に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はリレー光学系に対応する。
【0086】
第1光学系U1は、11枚のレンズからなる。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、4枚のレンズと、絞りStAと、4枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径は可変である。
【0087】
実施例7の投写用光学系について、基本レンズデータを表19Aおよび表19Bに、諸元を表20に、非球面係数を表21に示す。実施例7のこれらのデータは、焦点距離の絶対値が1となるように正規化した場合のものである。
【0088】
【表19A】
【0089】
【表19B】
【0090】
【表20】
【0091】
【表21】
【0092】
[実施例8]
実施例8の投写用光学系の構成と光束の断面図を図10に示す。実施例8の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ順に、第1光学系U1と、第2光学系U2とからなる。第1光学系U1と第2光学系U2との間に中間像MIが形成される。第1光学系U1は交換可能である。第2光学系U2はリレー光学系に対応する。
【0093】
第1光学系U1は、拡大側から縮小側へ順に、8枚のレンズと、ミラーMrと、6枚のレンズとからなる。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、ミラーMrと、5枚のレンズと、絞りStAと、4枚のレンズとからなる。絞りStAの開口径は可変である。第2光学系U2は、変倍光学系である。第2光学系U2は、拡大側から縮小側へ順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および第4レンズ群G4の4つのレンズ群からなる。変倍の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は画像表示面5aに対して固定されており、その他の2つのレンズ群は隣り合う群との間隔を変化させて移動する。
【0094】
実施例8の投写用光学系について、基本レンズデータを表22Aおよび表22Bに、諸元と可変面間隔を表23に、非球面係数を表24に示す。基本レンズデータでは、ミラーMrに相当する面の面番号の欄にMrという語句を記載している。実施例8のこれらのデータは、焦点距離の絶対値が1となるように正規化した場合のものである。
【0095】
【表22A】
【0096】
【表22B】
【0097】
【表23】
【0098】
【表24】
【0099】
表25に、d線を基準とした場合の実施例1~8の条件式(1)の対応値を示す。表25に示す実施例の対応値を条件式の上限又は下限として用いて、条件式の好ましい範囲を設定してもよい。
【0100】
【表25】
【0101】
次に、本開示の実施形態に係る投写型表示装置について説明する。図11は、本開示の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。図11に示す投写型表示装置100は、本開示の実施形態に係る投写用光学系10と、光源15と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしての透過型表示素子11a~11cとを有する。また、投写型表示装置100は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14と、コンデンサレンズ16a~16cと、光路を偏向するための全反射ミラー18a~18cとを有する。なお、図11では、投写用光学系10は概略的に図示している。また、光源15とダイクロイックミラー12の間にはインテグレーターが配されているが、図11ではその図示を省略している。
【0102】
光源15からの白色光は、ダイクロイックミラー12、13で3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に分解された後、それぞれコンデンサレンズ16a~16cを経て各色光光束にそれぞれ対応する透過型表示素子11a~11cに入射して変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成された後、投写用光学系10に入射する。投写用光学系10は、透過型表示素子11a~11cにより変調された変調光に基づく光学像をスクリーン105上に投写する。
【0103】
図12は、本開示の別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。図12に示す投写型表示装置200は、本開示の実施形態に係る投写用光学系210と、光源215と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしてのDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)素子21a~21cとを有する。また、投写型表示装置200は、色分解および色合成のためのTIR(Total Internal Reflection)プリズム24a~24cと、照明光と投写光を分離する偏光分離プリズム25とを有する。なお、図12では投写用光学系210を概略的に図示している。また、光源215と偏光分離プリズム25の間にはインテグレーターが配されているが、図12ではその図示を省略している。
【0104】
光源215からの白色光は、偏光分離プリズム25内部の反射面で反射された後、TIRプリズム24a~24cにより3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ対応するDMD素子21a~21cに入射して変調され、再びTIRプリズム24a~24cを逆向きに進行して色合成された後、偏光分離プリズム25を透過して、投写用光学系210に入射する。投写用光学系210は、DMD素子21a~21cにより変調された変調光に基づく光学像をスクリーン205上に投写する。
【0105】
図13は、本開示のさらに別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。図13に示す投写型表示装置300は、本開示の実施形態に係る投写用光学系310と、光源315と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしての反射型表示素子31a~31cとを有する。また、投写型表示装置300は、色分離のためのダイクロイックミラー32、33と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム34と、光路偏向のための全反射ミラー38と、偏光分離プリズム35a~35cとを有する。なお、図13では、投写用光学系310は概略的に図示している。また、光源315とダイクロイックミラー32の間にはインテグレーターが配されているが、図13ではその図示を省略している。
【0106】
光源315からの白色光はダイクロイックミラー32、33により3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ偏光分離プリズム35a~35cを経て、各色光光束それぞれに対応する反射型表示素子31a~31cに入射して変調され、クロスダイクロイックプリズム34により色合成された後、投写用光学系310に入射する。投写用光学系310は、反射型表示素子31a~31cにより変調された変調光に基づく光学像をスクリーン305上に投写する。
【0107】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術について説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、各光学系が含むレンズの枚数、変倍光学系が含むレンズ群の数、各レンズ群が含むレンズの枚数は上記例と異なる数にしてもよい。また、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0108】
また、本開示の技術に係る投写型表示装置も、上記構成のものに限定されず、例えば、光束分離又は光束合成に用いられる光学部材、およびライトバルブは、種々の態様の変更が可能である。ライトバルブは、光源からの光を画像表示素子により空間変調して、画像データに基づく光学像として出力する態様に限定されず、自発光型の画像表示素子から出力された光自体を、画像データに基づく光学像として出力する態様であってもよい。自発光型の画像表示素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)又はOLED(Organic Light Emitting Diode)等の発光素子が2次元配列された画像表示素子が挙げられる。
【0109】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
縮小側の画像表示面に表示される画像を拡大側に投写する投写用光学系であって、
前記投写用光学系の内部に少なくとも1つの中間像が形成され、
最も縮小側の前記中間像より縮小側に、開口径が可変である第1の絞りを含む投写用光学系。
[付記項2]
前記第1の絞りより拡大側に、交換可能な光学系を含む請求項1に記載の投写用光学系。
[付記項3]
前記交換可能な光学系は開口径が可変である第2の絞りを含み、
前記投写用光学系のFナンバーは前記第1の絞りにより決定される請求項2に記載の投写用光学系。
[付記項4]
前記交換可能な光学系とは異なる部分に、変倍の際に隣り合う群との間隔を変化させて移動する群を含む請求項2又は3に記載の投写用光学系。
[付記項5]
拡大側のレンズ面が最も縮小側の前記中間像より縮小側に位置するレンズのうち最も拡大側のレンズから、前記投写用光学系の最も縮小側のレンズまでの合成横倍率をβとし、
βは、拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の値とし、
前記投写用光学系が変倍光学系を含む場合はβは広角端における値とした場合、
0.25<|β|<2 (1)
で表される条件式(1)を満足する請求項1から4のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項6]
0.4<|β|<1.5 (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する請求項5に記載の投写用光学系。
[付記項7]
前記第1の絞りが含む絞り羽根は金属製である請求項1から6のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項8]
前記第1の絞りが含む絞り羽根は耐熱性樹脂製である請求項1から6のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項9]
前記画像を出力するライトバルブと、
請求項1から8のいずれか1項に記載の投写用光学系とを備えた投写型表示装置。
【符号の説明】
【0110】
5a 画像表示面
8 絞り羽根
9 開口径
10 投写用光学系
11a~11c 透過型表示素子
12 ダイクロイックミラー
13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
15 光源
16a~16c コンデンサレンズ
18a~18c 全反射ミラー
21a~21c DMD素子
24a~24c TIRプリズム
25 偏光分離プリズム
31a~31c 反射型表示素子
32 ダイクロイックミラー
33 ダイクロイックミラー
34 クロスダイクロイックプリズム
35a~35c 偏光分離プリズム
38 全反射ミラー
100 投写型表示装置
105 スクリーン
200 投写型表示装置
205 スクリーン
210 投写用光学系
215 光源
300 投写型表示装置
305 スクリーン
310 投写用光学系
315 光源
AX1 光軸
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
MI 中間像
Mr ミラー
PP 光学部材
StA 絞り
StB 絞り
U1 第1光学系
U2 第2光学系
U3 第3光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13