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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033786
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】マイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/09 20060101AFI20240306BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240306BHJP
   H10N 30/60 20230101ALI20240306BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20240306BHJP
   H02N 11/00 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
F04B43/09
H01L41/09
H01L41/087
H01L41/193
H02N11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137615
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】赤井 日出子
(72)【発明者】
【氏名】小川 直記
(72)【発明者】
【氏名】新竹 純
(72)【発明者】
【氏名】本橋 朋樹
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA07
3H077AA08
3H077AA11
3H077CC04
3H077CC08
3H077EE02
3H077EE36
3H077FF06
3H077FF23
(57)【要約】
【課題】アクチュエータ部分が低い電圧で大きな変位を示し、これにより小型で吐出流量を多くすることができるマイクロポンプを提供する。
【解決手段】拡径変形可能な内管2と、該内管と同軸の外管3と、該内管と外管との間に配置されたアクチュエータとを有するマイクロポンプであって、該アクチュエータは、誘電性高分子材料を含み、かつ、凸部を有する形状のゲル層4と、該凸部の頂部に接して配される第一電極5,6と、該第一電極と反対側から該ゲル層を挟持する第二電極7とを備えることを特徴とするマイクロポンプ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡径変形可能な内管と、該内管と同軸の外管と、該内管と外管との間に配置されたアクチュエータとを有するマイクロポンプであって、
該アクチュエータは、誘電性高分子材料を含み、かつ、凸部を有する形状のゲル層と、該凸部の頂部に接して配される第一電極と、該第一電極と反対側から該ゲル層を挟持する第二電極とを備えることを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項2】
凸部を備える誘電性高分子材料を含むゲル層と、前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極とからなる単位構造を備え、電圧印加により前記ゲル層を変形させ、前記第一電極と前記第二電極との間隔を変化させるゲルアクチュエータを、弾性を有する管の少なくとも一部に設けたマイクロポンプ。
【請求項3】
表面に凸部を備えるゲル層を有するゲルアクチュエータのゲル層の変形により、被輸送物を輸送するマイクロポンプ。
【請求項4】
前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極を備え、該電極の該一方の面に重なるベース板と、
前記ゲルアクチュエータは、誘電性高分子材料よりなり、一方の面に前記凸部を有した前記ゲル層と、
該凸部とそれに対向する第2電極との間が流路となっており、
該第一電極と第二電極との間への電圧印加により前記凸部を変形させ、前記流路の断面積を変化させることを特徴とする請求項3のマイクロポンプ。
【請求項5】
前記ゲルアクチュエータは、誘電性高分子材料よりなり、一方の面に前記凸部を有した前記ゲル層と、
前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極とを備え、
電極部と対向した外板部を備え、
該外板部と該電極との間が流路になっており、
該第1電極と第2電極との間への電圧印加により前記凸部を変形させ、前記流路の断面積を変化させることを特徴とする請求項3のマイクロポンプ。
【請求項6】
前記誘電性高分子材料がポリ塩化ビニルを含む、請求項1,2又は5に記載のマイクロポンプ。
【請求項7】
前記誘電性高分子材料がエステル系可塑剤を含む、請求項1,2又は5に記載のマイクロポンプ。
【請求項8】
前記誘電性高分子材料がエステル系可塑剤を含む、請求項6に記載のマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の液体を送液するためのマイクロポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ごく少量の液体を送液するためのマイクロポンプが求められている。例えば医薬品を少量体内に注入する場合などが挙げられる。このような用途に用いられるマイクロポンプとしてインペラを用いたものがあるが、小型化に限界があること、また、インペラによるせん断により、搬送する液体に何らかの構造物、例えば血液中の赤血球などが破壊されるなどの課題があった。
【0003】
少量の液体を送液するためのマイクロポンプとして圧電アクチュエータを利用したものも知られている(特許文献3~5)。
【0004】
また、本発明に用いられるゲルアクチュエータについては、特許文献1,2にあるように、ゲル部分の構造を工夫することにより、従来より低い電圧で大きな変位を得ることが可能になってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-184815号公報
【特許文献2】特開2021-164395号公報
【特許文献3】特開平2-42184号公報
【特許文献4】特開平10-299659号公報
【特許文献5】特開2004-183494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アクチュエータ部分が低い電圧で大きな変位を示し、これにより小型で吐出流量を多くすることができるマイクロポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、次を要旨とする。
【0008】
[1] 拡径変形可能な内管と、該内管と同軸の外管と、該内管と外管との間に配置されたアクチュエータとを有するマイクロポンプであって、
該アクチュエータは、誘電性高分子材料を含み、かつ、凸部を有する形状のゲル層と、該凸部の頂部に接して配される第一電極と、該第一電極と反対側から該ゲル層を挟持する第二電極とを備えることを特徴とするマイクロポンプ。
【0009】
[2] 凸部を備える誘電性高分子材料を含むゲル層と、前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極とからなる単位構造を備え、電圧印加により前記ゲル層を変形させ、前記第一電極と前記第二電極との間隔を変化させるゲルアクチュエータを、弾性を有する管の少なくとも一部に設けたマイクロポンプ。
【0010】
[3] 表面に凸部を備えるゲル層を有するゲルアクチュエータのゲル層の変形により、被輸送物を輸送するマイクロポンプ。
【0011】
[4] 前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極を備え、該電極の該一方の面に重なるベース板と、
前記ゲルアクチュエータは、誘電性高分子材料よりなり、一方の面に前記凸部を有した前記ゲル層と、
該凸部とそれに対向する第2電極との間が流路となっており、
該第1電極と第2電極との間への電圧印加により前記凸部を変形させ、前記流路の断面積を変化させることを特徴とする[3]のマイクロポンプ。
【0012】
[5] 前記ゲルアクチュエータは、誘電性高分子材料よりなり、一方の面に前記凸部を有した前記ゲル層と、
前記ゲル層を厚さ方向に挟む第一電極及び第二電極とを備え、
電極部と対向した外板部を備え、
該外板部と該電極との間が流路になっており、
該第一電極と第二電極との間への電圧印加により前記凸部を変形させ、前記流路の断面積を変化させることを特徴とする[3]のマイクロポンプ。
【0013】
[6] 前記誘電性高分子材料がポリ塩化ビニルを含む、[1]、[2]又は[5]に記載のマイクロポンプ。
【0014】
[7] 前記誘電性高分子材料がエステル系可塑剤を含む、[1]、[2]又は[5]に記載のマイクロポンプ。
【0015】
[8] 前記誘電性高分子材料がエステル系可塑剤を含む、[6]に記載のマイクロポンプ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマイクロポンプで用いているゲルアクチュエータは、低い電圧で大きな変位を示すので、マイクロポンプを小型化したり、吐出流量を多くしたりすることができる。また、本発明のマイクロポンプは、インペラを用いていないので、小型化に限界があること、また、インペラによるせん断により、搬送する液体に何らかの構造物、例えば血液中の赤血球などが破壊されるなどの短所もない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係るマイクロポンプの断面図である。
図2】実施の形態に係るマイクロポンプの断面図である。
図3】実施の形態に係るマイクロポンプの斜視図である。
図4】別の実施の形態に係るマイクロポンプの断面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6図4,5のマイクロポンプの作動を示す断面図である。
図7】ゲル層を形成するためのモールドの一例を示す構成図である。
図8】ゲル層を形成するためのモールドの一例を示す構成図である。
図9】ポンプ特性の測定結果を示すグラフである。
図10】別の実施の形態に係るマイクロポンプの断面図である。
図11】さらに別の実施の形態に係るマイクロポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0019】
[チューブ状マイクロポンプ]
図1~3に第1の実施の形態に係るチューブ状マイクロポンプを示す。図1(a),(b)はチューブ長手方向と直交方向の断面を示しており、(a)は内管が縮径状態にあり、(b)は内管が拡径状態にある。図2(a)は図1(a)のIIa-IIa線断面図であり、図2(b)は図1(b)のIIb-IIb線断面図である。図3は内管の縮径及び拡径の変形を説明する斜視図である。
【0020】
このマイクロポンプ1は、縮径及び拡径方向に弾性変形可能な合成樹脂又はゴム等よりなる内管2と、縮径及び拡径方向には変形しない外管3と、内管2と外管3との間に配置されたアクチュエータとしてのゲル層4と、内管2の外周面に設けられた第二電極7と、外管3の内周面に設けられた第一電極5,6等を有する。
【0021】
電極5,6は外管3の長手方向において交互に配置されている。図3(a)の第1領域Iに電極5が設けられ、第2領域IIに電極6が設けられている。図示の通り、第1領域Iと第2領域IIとは、外管3の長手方向において交互に位置する。
【0022】
電極5,6は外管3の内面を周回するように設けられている。電極5,6間には所定の間隙があいている。この間隙は、通常20mm以下、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上、特に好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは2mm以下程度であることが好ましい。
【0023】
電極5,6の外管3の長手方向の長さは、それぞれ通常1mm以上、好ましくは5mm以上、特に好ましくは10mm以上であり、通常100mm以下、好ましくは50mm以下、特に好ましくは40mm以下程度であることが好ましい。
【0024】
電極7は内管2との外周面の略全体に設けられている。電極7は、内管2の縮径及び拡径変形に追随して変形可能な導電性材料よりなる。
【0025】
ゲル層4は誘電性高分子材料よりなる。この誘電性高分子材料は、後述の通り、特許文献1,2に記載のものが好適である。
【0026】
この実施の形態では、ゲル層4は切頭四角錐形状であり、切頭四角錐の底面部分が電極5又は6に接着剤等により付着しており、先端側が電極7に接着剤等により付着している。なお、四角錐以外の角錐又は円錐形などの錐形であってもよい。また、錐形以外の形状、例えば洗濯板の凹凸のような山脈状であってもよい。
【0027】
内管2の外径は通常10mm以下、好ましくは特に1mm以上、さらに好ましくは2mm以上であり、一方上限は5mm以下が好ましい。内管2の外周面と外管3の内周面との距離は好ましいゲル層の厚さを考慮すると、通常、厚さ0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、上限は好ましくは1mm以下、特に0.7mm以下が好ましい。
【0028】
このマイクロポンプ1では、電極5,6と電極7との間に電圧を印加しない状態にあっては、ゲル層4が非収縮状態にある。
【0029】
電極5又は6と電極7との間に電圧を印加することにより電極5又は6と接するゲル層4が外管3に引き付けられるように変形し、領域I又はIIの内管2が拡径する。
【0030】
電極5と電極7との間に電圧を印加すると、両者間のゲル層4が外管3に引き付けられるように変形し、内管2のうち第1領域Iの部分が図3(b)のように拡径する。電極6と電極7との間に電圧を印加すると、両者間のゲル層4が外管3に引き付けられるように変形し、内管2のうち第2領域IIの部分が図3(c)のように拡径する。
【0031】
従って、内管2の入口側(この実施の形態では図3の左端側)と出口側(この実施の形態では図3の右端側)にそれぞれ入口側から出口側に向う方向の流れのみを許容するチャッキ弁(逆止弁)を設けておき、電極5,7間と電極6,7間とに交互に電圧を印加すると、領域Iと領域IIとが交互に拡径・縮径を繰り返し、入口側から出口側に向って流体が流れる。
【0032】
なお、図1~3では、ゲル層4が内管2と外管3との間において、周回方向の全体に配置されているが、周回方向の一部に配置されてもよい。ゲル層4を周回方向の一部にのみ配置する場合、周回方向の1/4程度でもよいが、1/4以上特に1/2以上にゲル層4を配置することが好ましい。
【0033】
[板状マイクロポンプ]
図4~6に第2の実施の形態に係る板状マイクロポンプ11を示す。図4は送液方向と直交方向におけるマイクロポンプ11の断面図であり、図5図4のV-V線断面図である。図6はゲル層12の変形を示す断面図である。なお、以下の説明において、上下は各図における上下を表わすものであり、ポンプの設置状態を表わすものではない。
【0034】
このマイクロポンプ11は、ベース板13と、ゲルアクチュエータしてのゲル層12と、ゲル層12に設けられた凸部14と、ベース板13のゲル層12側の面に設けられた第一電極15,16と、ゲル層12の上面に設けられた第二電極17等を有する。
【0035】
ベース板13は送液方向に延在する略長方形状であり、1対の長手方向の辺部13a,13a同士の間の上面部13bに電極15,16が配置されている。ゲル層12の凸部14と上面部13bとで囲まれた部分が流路である。なお、この実施の形態では、後述のように、平板状のゲル層12の下面に流路を凹設することにより凸部14が形成されている。
【0036】
電極15,16はマイクロポンプ11の送液方向において交互に配置されている。図5の第1領域Iに電極15が設けられ、第2領域IIに電極16が設けられている。第1領域Iと第2領域IIとは、ポンプ送液方向において交番した位置関係となっており、ポンプ送液方向において電極15,16,15,16(以下、15,16の繰り返し)の順に各電極15,16が配置されている。
【0037】
電極15,16は流路の幅方向の略全体に延在している。電極15,16間には所定の間隙があいている。この間隙は、通常20mm以下、好ましくは2mm以下であり、下限は通常0.01mm以上、好ましくは0.05mm以上、特に好ましくは0.5mm以上、2mm以下であることが好ましい。
【0038】
電極15,16の送液方向の長さは、長くしても支障はないが、マイクロポンプは少量の流体を供給することを目的とすることが多いため、通常100mm以下、好ましくは50mm以下、特に好ましくは20mm以下であり、下限は通常1mm以上、特に好ましくは5mm以上程度が好ましい。
【0039】
図示は省略するが、電極15,16に連なる端子部がゲル層12とベース板13との合わせ面を通ってマイクロポンプ11の側方に延出している。
【0040】
この実施の形態では、ゲル層12はベース板13と略同一大きさの長方形状である。ゲル層12の上面の流路方向及び流路幅方向の略全体にわたって電極17が設けられている。
【0041】
ゲル層12の下面のうち、両側辺部以外の部分に多数の錐形状の凸部14が設けられている。隣接する錐形状の凸部14同士の間は空隙部となっており、この空隙部がポンプ送液方向の一端から他端まで連続することにより、ポンプ流路が構成されている。凸部14の好ましい寸法は後述の通りである。
【0042】
ゲル層12は、凸部14を含めて誘電性高分子材料により一体に形成されている。この誘電性高分子材料は、特許文献1,2に記載のものが好適である。
【0043】
この実施の形態では、凸部14はベース板13に向って細くなる切頭四角錐形状であり、四角錐の先端部分が電極15又は16に接している。ただし、凸部14は四角錐以外の錐形状であってもよく、例えば円錐形などであってもよい。また、凸部14は切頭形ではなく、尖頭形であってもよい。また凸部14は、断面が三角形状の山脈状であってもよい。
【0044】
ゲル層12の下面のうち両側辺部はベース板13の両側辺部13aの上面に設置剤などによって水密的に付着されている。
【0045】
このように構成されたマイクロポンプ11において、電極15と電極17との間に電圧を印加すると、電極15,17間に位置する凸部14が電極15側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第1領域Iの部分が図6(a)のようにベース板13に接近する。これにより、第1領域Iの流路の体積が減少する。
【0046】
電極16と電極17との間に電圧を印加すると、その間の凸部14が電極16側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第2領域IIの部分が図6(b)のようにベース板13に接近する。これにより、第二領域IIの流路の体積が減少する。
【0047】
電極15,17間又は電極16,17間への電圧印加を停止すると、凸部14は元形状に復元する。この凸部14の復元力によってゲル層12はベース板13から離反する方向に押し戻され、元形状となる。これにより、領域I又はIIの体積が元体積にまで増加する。
【0048】
例えば、流路の入口側(この実施の形態では図5の左端側)と出口側(この実施の形態では図5の右端側)にそれぞれ入口側から出口側に向う方向の流れのみを許容するチャッキ弁を設けておき、電極15,17間及び電極16,17間に交互に電圧を印加すると、領域Iと領域IIとが交互にベース板13側への接近・離反を繰り返し、領域I、IIの体積の減少、増加が繰り返し行われる。これにより、入口側から出口側に向って流体が流れる。
【0049】
図4~6の態様の場合、流体(被輸送物)は、絶縁液体又は気体(絶縁性の流体)であることが好ましい。
【0050】
図4~6の実施の形態において、四角錐状の凸部14の底面の一辺の長さは10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、また、通常1mm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、700μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましく、400μm以下であることが特に好ましい。四角錐形以外の錐形の凸部にあっては、底面の面積がこの四角錐形凸部の底面と同程度であることが好ましい。
【0051】
凸部14の高さは20μm以上であり、25μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、また、通常3mm以下であり、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
【0052】
凸部14の頂角は、15°以上であり、30°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましく、また、通常75°以下であり、70°以下であることが好ましく、60°以下であることがより好ましい。
【0053】
[板状マイクロポンプの別の形態]
図10に第3の実施の形態に係る板状マイクロポンプ21を示す。図10は送液方向におけるマイクロポンプ21の断面図であり、図6と同様部分を示している。なお、以下の説明においても、上下は図10における上下を表わすものであり、ポンプの設置状態を表わすものではない。
【0054】
このマイクロポンプ21も、ベース板13と、ゲルアクチュエータしてのゲル層12と、ゲル層12の下面に設けられた凸部14と、ベース板13のゲル層12側の面に設けられた第一電極15,16と、ゲル層12の上面に設けられた第二電極17等を有する。
【0055】
ベース板13は送液方向に延在する略長方形状であり、1対の長手方向の辺部同士の間の上面部に電極15,16が配置されている。ゲル層12の凸部14と上面部13bとで囲まれた部分は流路ではない。
【0056】
電極17と対面するように平板よりなる外板部22が設けられている。外板部22と電極17の間は空間部となっている。この空間部がポンプ送液方向の一端から他端まで連続することにより、ポンプ流路23が構成されている。
【0057】
電極15,16はマイクロポンプ21の送液方向において交互に配置されている。図10の第1領域Iに電極15が設けられ、第2領域IIに電極16が設けられている。第1領域Iと第2領域IIとは、ポンプ送液方向において交番した位置関係となっており、ポンプ送液方向において電極15,16,15,16(以下、15,16の繰り返し)の順に各電極15,16が配置されている。
【0058】
電極15,16は流路の幅方向の略全体に延在している。電極15,16間には所定の間隙があいている。この間隙は、図4~6の場合と同程度であることが好ましい。電極15,16の送液方向の長さは、図4~6の場合と同程度が好ましい。
【0059】
図示は省略するが、電極15,16に連なる端子部がゲル層12とベース板13との合わせ面を通ってマイクロポンプ11の側方に延出している。
【0060】
その他の構成は図4~6の場合と同じである。
【0061】
このように構成されたマイクロポンプ21において、電極15と電極17との間に電圧を印加すると、電極15,17間に位置する凸部14が電極15側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第1領域Iの部分がベース板13に接近し、外板部22から離反する。これにより、第1領域Iの流路23の体積が増加する。
【0062】
電極16と電極17との間に電圧を印加すると、その間の凸部14が電極16側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第2領域IIの部分がベース板13に接近し、外板部22から離反する。これにより、第二領域IIの流路23の体積が増加する。
【0063】
電極15,17間又は電極16,17間への電圧印加を停止すると、凸部14は元形状に復元する。この凸部14の復元力によってゲル層12はベース板13から離反する(外板部22に接近する)方向に押し戻され、元形状となる。これにより、領域I又はIIの流路23の体積が元体積にまで減少する。
【0064】
例えば、流路の入口側(この実施の形態では図10の左端側)と出口側(この実施の形態では図10の右端側)にそれぞれ入口側から出口側に向う方向の流れのみを許容するチャッキ弁を設けておき、電極15,17間及び電極16,17間に交互に電圧を印加すると、領域Iと領域IIとが交互にベース板13側への接近・離反(外板部22への離反・接近)を繰り返し、領域I、IIの流路23の体積の増加、減少が繰り返し行われる。これにより、入口側から出口側に向って流体が流れる。
【0065】
図10の態様の場合も、流体(被輸送物)は、絶縁液体又は気体(絶縁性の流体)であることが好ましい。
【0066】
[板状マイクロポンプのさらに別の形態]
図11に第4の実施の形態に係る板状マイクロポンプ31を示す。図11は送液方向におけるマイクロポンプ31の断面図であり、図10と同様部分を示している。なお、以下の説明においても、上下は図11における上下を表わすものであり、ポンプの設置状態を表わすものではない。
【0067】
このマイクロポンプ31では、外板部22の代わりに、平板よりなる外板部32がベース板13と対面するように設けられている。外板部32とベース板13の間は空間部となっている。この空間部がポンプ送液方向の一端から他端まで連続することにより、ポンプ流路33が構成されている。
【0068】
その他の構成は図10の場合と同じであり、同一符号は同一部分を示している。
【0069】
このように構成されたマイクロポンプ31において、電極15と電極17との間に電圧を印加すると、電極15,17間に位置する凸部14が電極17側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第1領域Iの部分が外板部32から離反する。これにより、第1領域Iの流路33の体積が増加する。
【0070】
電極16と電極17との間に電圧を印加すると、その間の凸部14が電極17側に引き付けられるように変形し、ゲル層12のうち第2領域IIの部分が外板部32から離反する。これにより、第二領域IIの流路33の体積が増加する。
【0071】
電極15,17間又は電極16,17間への電圧印加を停止すると、凸部14は元形状に復元する。この凸部14の復元力によってゲル層12は外板部32に接近する方向に押し戻され、元形状となる。これにより、領域I又はIIの流路33の体積が元体積にまで減少する。
【0072】
例えば、流路の入口側(この実施の形態では図11の左端側)と出口側(この実施の形態では図11の右端側)にそれぞれ入口側から出口側に向う方向の流れのみを許容するチャッキ弁を設けておき、電極15,17間及び電極16,17間に交互に電圧を印加すると、領域Iと領域IIとが交互に外板部32への離反・接近を繰り返し、領域I、IIの流路33の体積の増加、減少が繰り返し行われる。これにより、入口側から出口側に向って流体が流れる。
【0073】
[ゲル層4,12の材料]
ゲル層を構成する誘電性高分子材料としては、特許文献1,2の通り、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン6、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリル、シリコーンゴム等を用いることができる。これらの中でも、ポリ塩化ビニル及びポリビニルブチラールが好ましく、ポリ塩化ビニルが特に好ましい。これらの誘電性高分子材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
【0074】
ゲル層中の誘電性高分子材料の含有量は、通常5重量%以上であり、好ましくは8重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは12重量%以上であり、特に好ましくは15重量%以上であり、また、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは45重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。
【0075】
誘電性高分子材料として、ポリ塩化ビニルを用いる場合、その数平均分子量(Mn)は、特段制限されないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で、7万以上20万以下であるが、好ましくは7.5万以上であり、より好ましくは8万以上であり、さらに好ましくは8.5万以上であり、特に好ましくは9万以上であり、また、好ましくは18万以下であり、より好ましくは16万以下であり、さらに好ましくは14万以下であり、特に好ましくは12万以下である。
【0076】
また、誘電性高分子材料として、ポリビニルブチラールを用いる場合、その数平均分子量(Mn)は、6万以上15万以下であるが、好ましくは7万以上であり、より好ましくは8万以上であり、また、好ましくは14万以下であり、より好ましくは13万以下である。
【0077】
なお、ここでいう数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の値を用いる。
【0078】
ゲル層は、上記の誘電性高分子材料以外の材料を含んでいてもよく、例えば、可塑剤や電荷補足剤等が挙げられる。
【0079】
可塑剤の種類は、特段限定されないが、変形時の発生電位差の大きさや応答速度の観点から、エステル系可塑剤であることが好ましく、例えば、ジオールジエステル、ジカルボン酸ジエステル、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエタノールアミン(DEA)等が挙げられる。ジカルボン酸エステルとしては、例えばアジピン酸ジブチル(DBA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、コハク酸ジエチル(DESuc)、アジピン酸ジメチル(DMA)、セバシン酸ジエチル(DESeb)、セバシン酸ジブチル(DBSeb)、セバシン酸ジオクチル(DOSeb)等が挙げられる。これらの中でも、比較的取扱いやすく安定なゲル物質を得るための観点から、ジオールジエステル及びジカルボン酸ジエステルが好ましく、特に、誘電性高分子としてポリ塩化ビニルを用いた場合にはジオールジエステルやジカルボン酸ジエステルを用いることが好ましく、また、誘電性高分子としてポリビニルブチラールを用いた場合にはジカルボン酸ジエステルを用いることが好ましい。これらの誘電性高分子材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。また、これらの誘電性高分子材料の製法は、特段限定されず、一般に市販されているものを用いることができる。
【0080】
ゲル層中の可塑剤の含有量は、通常55重量%以上であり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは65重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上であり、特に好ましくは75重量%以上であり、また、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは93重量%以下であり、さらに好ましくは90重量%以下であり、特に好ましくは85重量%以下である。
【0081】
電荷補足剤の種類は、特段限定されないが、例えば、テトラシアノキノジメタン、2,4,7-トリニトロフルオレン-9-オンが挙げられる。
【0082】
ゲル層中の電荷補足剤の含有量は、特段制限されないが、良好な変位長の発現の観点から、通常0.01重量%以上であり、好ましくは0.02重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。
【0083】
ゲル層の密度は、通常0.7~1.5g/cmであり、0.8~1.4g/cmであることが好ましく、0.85~1.35g/cmであることがより好ましい。
【0084】
ゲル層の製造方法の一例について次に説明する。
【0085】
まず、次の第一工程~第三工程により誘電性高分子ゲルを製造する。
【0086】
第一工程:誘電性高分子材料を含む組成物を加熱によりゲル化させてゲルを得る。
【0087】
第二工程:該ゲルを型に仕込み、加熱及び加圧することによりゲルシートを得る。
【0088】
第三工程:該ゲルシートを加熱した後、凸部を形成するための凹型の型を該ゲルシートに圧着し、冷却する。
【0089】
第一工程(ゲル化工程)では、誘電性高分子材料を含む組成物を混合し、加熱することにより、該組成物をゲル化してゲルを得る。
【0090】
以下、ポリ塩化ビニル及びエステル系可塑剤を用いたゲル層の製造に好適な条件ついて述べる。これらの材料を用いた場合、材料の乾燥収縮が非常に小さいため、所望の形状が得やすくなる。
【0091】
加熱することで、エステル系可塑剤がポリ塩化ビニルに含浸し、一体化する。加熱温度は、エステル系可塑剤の種類によって異なるが、概ね80℃~200℃の範囲である。80℃より低いと、エステル系可塑剤がポリ塩化ビニルに含浸しにくくなる。また、加熱温度は、200℃より高いとポリ塩化ビニルが熱分解しやすくなり好ましくない。より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。また、より好ましくは190℃以下であり、さらに好ましくは180℃以下である。
【0092】
混合時間は1分~5時間程度である。混合時間が1分より短いと、エステル系可塑剤の含浸が不十分となり、後の工程で、エステル系可塑剤がしみ出る可能性がある。混合時間が5時間より長いとポリ塩化ビニルが熱分解しやすくなり好ましくない。
【0093】
第一工程では、バッチ式の容器にポリ塩化ビニルとエステル系可塑剤を仕込み、混合しながら加熱してもよいし、連続式の混練機等に、定量的にポリ塩化ビニルとエステル系可塑剤投入しながら、加熱混練してもよい。
【0094】
第二工程(シート成型工程)では、第一工程で得られた高分子ゲルを型に仕込み、加熱及び加圧することにより高分子ゲルシートを得る。加熱温度は、エステル系可塑剤の種類によって異なるが、概ね130℃~200℃の範囲である。130℃より低いと、高分子ゲルが可塑化せず、シート状に成形することが困難になる。また、200℃より高いとポリ塩化ビニルが熱分解しやすくなり好ましくない。
【0095】
加圧はエステル系可塑剤の種類によって異なるが、一般的な圧力の範囲でよく、例えば0.1MPa以上であり、20MPa以下である。
【0096】
また、成型に際し、スペーサー等を用い、適当な大きさ、厚みに加工することが可能である。加熱、加圧により適当なシートに成形した後は、冷却により再度ゲル化させる。
【0097】
第三工程(凸部成型工程)では、第二工程で得られた高分子ゲルシートを加熱した後、ゲル層に賦形するための凹部を有したモールドを該高分子ゲルシートに押し付け、冷却することで、高分子ゲルシート表面に錐形の凸部を形成(賦形)する。
【0098】
なお、ゲル層と電極とを組み合わせる方法は、特段制限されず、接着剤を用いずにゲル層を電極で単に挟持する方法でもよく、また、接着剤を用いてゲル層と電極とを接着する方法でもよい。
【0099】
接着剤としては、印加電圧によるゲルの変位を抑制しないものが好ましく、例えば、ポリビニルブチラールを用いることができる。
【0100】
[ゲル層12を賦形するためのモールド]
図7,8に、凸部14を形成するためのモールドの例であるモールド70を示す。なお、図7はモールド70の平面図である。図8図7のモールド70の1個の凹部71の拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B断面図である。図8中の寸法は、後述の実施例における値を示している。なお、ここでは錐状の例を示しているが、後述する実施例で用いた山脈状のものは、錐状の例の一方向が変形していない形状になっている。
【0101】
このモールド70は、切頭四角錐形状の4側面と先端面とに対応する殻形状の凹部71を図7の左右方向及び上下方向に多数連設したものである。モールドの構成材料は特に限定されないが、樹脂が好ましく、例えばアクリル系UV硬化樹脂などが好ましい例として挙げられる。
【実施例0102】
<実施例1>
図4~6に示す構造のマイクロポンプを製造した。
【0103】
[ゲル層12の製造]
セパラブルフラスコにポリ塩化ビニル(新第一塩ビ社製1700Z)20重量部、ジブチルアジぺート(東京化成社製)80重量部を測り取った。このセパラブルフラスコに攪拌翼をセットし、90rpmで攪拌しながら、120℃の油浴中で30分加熱し、高分子ゲルを得た。該高分子ゲルを冷却後に取り出し、100mm角×0.7mmのスペーサー中に約10gの高分子ゲルを仕込み、フェロ板ではさんだ。加熱プレス機を用いて、150℃で、圧力5MPaで加圧し、冷却して高分子(PVC)ゲルシートを得た。
【0104】
モールドとして、図8bに示す設計寸法の凹部71を山脈状に有するアクリル系UV硬化樹脂製のモールド70を準備した。つまり図8aの左右方向には錐の形になっているが上下方向には凹んだ部分が無く連続した形になっている。
【0105】
先に得られた高分子(PVC)ゲルシート上にこのモールド70を当て、真空加熱プレス機にセットし、真空下、135℃、100kPaでプレスを行い、モールドをゲルシートに押し込むことによりゲルシート表面に凸部を形成した。これにより、山脈状の凸部14が賦形されたゲル層12が製造された。
【0106】
[ポンプの製作]
UV硬化レジン式3Dプリンターを用い、25mm×35mmのベース板13(陽極側筐体)を製作した。そこに、0.2mm間隔で5×20mmのアルミプレートよりなる電極15,16を合計3枚はめ込み、それを陽極とした。陽極に連なるリード線は、ベース板13の側面の穴から配線した。
【0107】
上記ゲル層12(25mm×35mm)を、凸部14をベース板13に向けて乗せ、側辺部13aとゲル層12とを、BONDIC社製の紫外線硬化型接着剤により接着して密閉した。陰極(電極17)として厚さ2mmで直径10mmの黄銅円板をゲル層12の上面に配置しポンプとした。
【0108】
このポンプに、除圧のためのリザーバータンクを間に配した外径2.5mm、内径1.5mmのシリコンチューブ(MonotaRO製MGJG-1.5×2.5)を接続し、電極15,17間及び電極16,17間に交互に電圧を印加し、ポンプを動作させた。流体には、絶縁性流体(3M製FC-43)を用いた。800Vの電圧印加を周期10Hzで行ったところ、平均吐出流量は312.77μl/minであった。
【0109】
また印加周期を1から20Hzまで変えて吐出量を測定したところ、図9の通り、吐出量が変化した。10Hz以上にすると吐出量が減少したが、これは液の供給量が粘度等によるため、空隙に十分な量がたまる前に次の収縮が始まってしまったためと考えられ、吐出させる液の粘度に合わせ、最適な周波数を選択することができることが示された。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 マイクロポンプ
2 内管
3 外管
4 ゲル層
5,6 第二電極
7 第一電極
11、21,31 マイクロポンプ
12 ゲル層
13 ベース板
14 凸部
15,16 第一電極
17 第二電極
22,32 外板部
23,33 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11