(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034077
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】成形体の製造方法、熱成形体、及びその利用
(51)【国際特許分類】
C08J 5/00 20060101AFI20240306BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20240306BHJP
A23L 5/30 20160101ALN20240306BHJP
【FI】
C08J5/00 CEP
A23L5/00 M
A23L5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138084
(22)【出願日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 取材日(公開日) 令和3年10月28日 取材(公開)場所 国立大学法人 東京大学 生産技術研究所 構内(東京都目黒区駒場4-6-1) (2) 放送日 令和4年1月26日(取材日:令和4年1月22日) 放送番組 ワイドショー・情報番組 『羽鳥慎一 モーニングショー』
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】522346969
【氏名又は名称】fabula株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄也
(72)【発明者】
【氏名】町田 紘太
【テーマコード(参考)】
4B035
4F071
【Fターム(参考)】
4B035LE06
4B035LG15
4B035LG34
4B035LG42
4B035LP01
4B035LP31
4B035LP55
4F071AA70
4F071AH03
4F071AH05
4F071BA01
4F071BB03
4F071BC11
(57)【要約】
【課題】タンパク質を含む材料を有効に利用できる成形体の製造方法、熱圧縮成形体、及びその利用を提供する。
【解決手段】本開示に係る方法は、タンパク質を含む成形体の製造方法であって、タンパク質を含む乾燥材料を所定温度に加熱した状態で加圧することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を含む成形体の製造方法であって、
タンパク質を含む乾燥材料を所定温度に加熱した状態で成形することを含む、方法。
【請求項2】
前記成形は、前記乾燥材料を加熱した状態で加圧することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質が加圧中に変性する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥材料を加圧する圧力は、0.5kPa以上100MPa以下である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥材料は、天然タンパク質、人工タンパク質、食品、食品廃棄物、畜産副産物、皮革、動物の体の一部、及び排泄物からなる群から選択された1以上の材料を原料とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質は、繊維状タンパク質、植物由来のタンパク質、及び動物由来のタンパク質からなる群から選択された1以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定温度は、70℃以上300℃以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定温度は、前記タンパク質の変性温度以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記成形体の3点曲げ強度が3MPa以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記乾燥材料は、少なくとも部分的に廃棄材料を原料とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
タンパク質を含む、非食用の熱成形体。
【請求項12】
3点曲げ強度が3MPa以上である、
請求項11に記載の熱成形体。
【請求項13】
密度が0.5g/cm3以上である、
請求項11又は12に記載の熱成形体。
【請求項14】
前記熱成形体を水に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の質量の増加分を浸漬後の質量で割った値が100%以下である、
請求項11又は12に記載の熱成形体。
【請求項15】
タンパク質を含む熱成形体を含む、建材、建築物、家具、敷物、容器、インテリア雑貨、食器、又は装飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、成形体の製造方法、熱成形体、及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を含む廃棄物は、畜産副産物、使用後の皮革製品、羊毛、家畜糞尿など多岐にわたる。これらの廃棄物は、年間約8300万トン発生する家畜糞尿をはじめとして飼料としての再利用といった活用が試みられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうしたタンパク質材料にさらなる付加価値を付けつつ活用する、新たな方法が求められている。
【0005】
そこで本発明は、タンパク質を含む材料を有効に利用できる成形体の製造方法、熱成形体、及びその利用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]タンパク質を含む成形体の製造方法であって、タンパク質を含む乾燥材料を所定温度に加熱した状態で成形することを含む、方法。
[2]前記成形は、前記乾燥材料を加熱した状態で加圧することを含む、[1]に記載の方法。
[3]前記タンパク質が加圧中に変性する、[2]に記載の方法。
[4]前記乾燥材料を加圧する圧力は、0.5kPa以上100MPa以下である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]前記乾燥材料は、天然タンパク質、人工タンパク質、食品、食品廃棄物、畜産副産物、皮革、動物の体の一部、及び排泄物からなる群から選択された1以上の材料を原料とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]前記タンパク質は、繊維状タンパク質、植物由来のタンパク質、及び動物由来のタンパク質からなる群から選択された1以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]前記所定温度は、70℃以上300℃以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]前記所定温度は、前記タンパク質の変性温度以上である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]前記成形体の3点曲げ強度が3MPa以上である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]前記乾燥材料は、少なくとも部分的に廃棄材料を原料とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]タンパク質を含む、非食用の熱成形体。
[12]3点曲げ強度が3MPa以上である、[11]に記載の熱成形体。
[13]密度が0.5g/cm3以上である、[11]又は[12]に記載の熱成形体。
[14]前記熱成形体を水に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の質量の増加分を浸漬後の質量で割った値が100%以下である、[11]又は[12]に記載の熱成形体。[15]タンパク質を含む熱成形体を含む、建材、建築物、家具、敷物、容器、インテリア雑貨、食器、又は装飾品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、タンパク質を含む材料を有効に利用できる成形体の製造方法、熱成形体、及びその利用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】小麦タンパクから得られた成形体の写真である。
【
図5】いわし煮干しから得られた成形体の写真である。
【
図6】顆粒ゼラチンから得られた成形体の写真である。
【
図7】ささみパウダーから得られた成形体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る成形体の製造方法、熱成形体、及びその利用について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
<成形体の製造方法>
一実施形態では、タンパク質を含む成形体の製造方法であって、タンパク質を含む乾燥材料を所定温度に加熱した状態で成形することを含む方法が提供される。
【0011】
(乾燥材料)
本明細書において「乾燥材料」とは、水分含有量が5重量%以下の材料を意味する。成形体は、例えば、水分含有量が5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下の乾燥材料から形成される。なお、成形体は、2種類以上の乾燥材料から形成されてもよい。
【0012】
乾燥材料は、タンパク質を含むものであれば特に限定されない。例えば、乾燥材料は、天然タンパク質、人工タンパク質、食品、食品廃棄物、畜産副産物、皮革、動物の体の一部、及び排泄物からなる群から選択された1以上の材料を原料とするものであってよい。乾燥材料は、これらの材料自体であってもよく、これらの材料に任意の処理(例えば粉砕処理)を施したものであってもよい。また、乾燥材料は、これらの材料を少なくとも部分的に原料とする製品や加工品であってもよく、そのような製品や加工品に任意の処理(例えば粉砕処理)を施したものであってもよい。
【0013】
例えば、乾燥材料は、タンパク質の乾燥粉末であってよい。タンパク質は、天然タンパク質を抽出したものであってもよく、人工的に合成されたタンパク質であってもよい。
【0014】
タンパク質を含む食品の例としては、動物性食品、植物性食品などが挙げられるが、特に限定されない。タンパク質を含む動物性食品の例として、肉、卵、乳製品、魚介類などが挙げられる。肉の例として、牛肉、豚肉、鶏肉、鹿肉、馬肉などが挙げられる。卵の例として、鶏卵などが挙げられる。乳製品の例として、チーズ、バター、ヨーグルトなどが挙げられる。魚介類の例として、魚、貝、エビ、カニ、タコ、イカなどが挙げられる。タンパク質を含む植物性食品の例として、小麦、米、大豆、小豆、エンドウ豆、トウモロコシ、アーモンド、カシューナッツなどが挙げられる。例えば、乾燥材料は、これらの食品又はその加工品であってよい。
【0015】
本明細書において「食品廃棄物」とは、食品が食用に供された後に廃棄されたもの、若しくは食用に供されなかったもの、又は食品の製造、加工若しくは調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないものを意味する。タンパク質を含む食品廃棄物の例としては、廃棄されたタンパク質含有食品、家畜の臓器や骨などが挙げられるが、特に限定されない。なお、本明細書では、家畜は家禽を含む。例えば、乾燥材料は、これらの食品廃棄物又はその加工品であってよい。
【0016】
本明細書において「畜産副産物」とは、生体から枝肉を生産した後に残る部位を意味する。タンパク質を含む畜産副産物の例としては、皮、毛(羽毛を含む)、臓器、骨、頭、角、舌、尾、横隔膜、足、血液などが挙げられるが、特に限定されない。例えば、乾燥材料は、これらの畜産副産物又はその加工品であってよい。
【0017】
タンパク質を含む皮革の例としては、生皮、なめした革、製品革、毛皮などが挙げられる。例えば、乾燥材料は、これらの皮革又はその加工品(例えば皮革製品)であってよい。
【0018】
タンパク質を含む動物の体の一部の例としては、肉、皮、毛、臓器、骨、頭、角、舌、尾、横隔膜、足、血液などが挙げられるが、特に限定されない。動物は、家畜に限定されない。例えば、乾燥材料は、これらの動物の体の一部又はその加工品であってよい。
【0019】
タンパク質を含む排泄物の例としては、糞尿などが挙げられるが、特に限定されない。例えば、乾燥材料は、これらの排泄物又はその加工品であってよい。
【0020】
好ましくは、乾燥材料は、少なくとも部分的に廃棄材料を原料とする。廃棄材料の例としては、上記のような食品廃棄物、廃棄された製品、使用済みの製品、排泄物などが挙げられる。このような廃棄材料を成形体の原料として再利用することにより、限られた環境資源をより有効に活用することができる。
【0021】
(タンパク質)
タンパク質の種類は特に限定されない。例えば、乾燥材料は、球状タンパク質及び繊維状タンパク質のうち1以上を含んでよい。球状タンパク質は、分子が球に近い形状を持つタンパク質である。球状タンパク質の例として、ヘモグロビン、ミオグロビン、アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲン、カゼインなどが挙げられる。繊維状タンパク質は、分子が繊維状の形状を持つタンパク質である。繊維状タンパク質の例として、コラーゲン、ケラチン、ミオシン、フィブリン、エラスチン、フィブロインなどが挙げられる。
【0022】
乾燥材料は、単純タンパク質及び複合タンパク質のうち1以上を含んでよい。単純タンパク質は、アミノ酸のみで構成されるタンパク質である。複合タンパク質は、アミノ酸以外の成分(例えば、核酸、糖、脂質、リン、色素、金属イオンなどの有機物質や補欠分子族)を含むタンパク質である。
【0023】
乾燥材料は、動物由来の動物性タンパク質及び植物由来の植物性タンパク質のうち1以上を含んでよい。動物性タンパク質の例として、卵由来タンパク質、乳由来タンパク質(ホエイタンパク質など)、畜肉(例えば、鶏肉、牛肉、豚肉など)由来タンパク質、魚介類由来タンパク質などが挙げられる。植物性タンパク質の例として、小麦由来タンパク質(グルテンなど)、豆類由来タンパク質、種子由来タンパク質などが挙げられる。
【0024】
乾燥材料は、天然に存在する天然タンパク質及び人工的に合成された合成タンパク質のうち1以上を含んでよい。乾燥材料は、複数のタンパク質を含んでもよく、タンパク質の誘導体を含んでもよい。
【0025】
好ましくは、タンパク質は、繊維状タンパク質、植物由来のタンパク質、及び動物由来のタンパク質からなる群から選択された1以上であってよい。
【0026】
上記方法は、乾燥材料を用意するステップと、乾燥材料の熱成形を行うステップと、を含み得る。乾燥材料を用意するステップは、原料を乾燥させる乾燥ステップと、乾燥した原料を粉砕して乾燥粉末を調製する粉砕ステップと、を含み得る。
【0027】
(乾燥ステップ)
乾燥ステップでは、原料が任意の手段により乾燥させられる。乾燥方法の例としては、減圧乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥(すなわちフリーズドライ)などが挙げられるが、特に限定されない。なお、乾燥ステップの前に原料を細かく刻んだり砕いたり潰したりすることにより、効率的な乾燥が可能である。
【0028】
(粉砕ステップ)
粉砕ステップでは、乾燥した状態の原料が、任意の手段により細かく(例えば粉末状に)粉砕される。例えば、粉砕ステップは、一般的な調理用のブレンダやミキサなどにより材料を粉砕する工程を含んでもよく、ディスクミル、ボールミル、ジェットミルなどの任意の粉砕機により材料を粉砕する工程を含んでもよい。
【0029】
乾燥材料は、乾燥した粉末の形態であることが好ましい。乾燥材料の大きさは、特に限定されない。例えば、乾燥材料の平均粒径は、1μm以上、10μm以上、50μm以上、又は100μm以上である、例えば、乾燥材料の平均粒径は、10cm以下、5cm以下、1cm以下、500μm以下、又は200μm以下である。
【0030】
(混合ステップ)
上記方法は、材料を加熱した状態で加圧する熱成形ステップの前に、乾燥材料を他の材料と混合する混合ステップをさらに含んでもよい。
【0031】
混合ステップでは、乾燥材料が任意の手段により他の材料と混合される。例えば、混合ステップは、箸やスプーンなどの調理道具を用いて各材料を手動で混合する工程を含んでもよく、ブレンダやミキサなどにより各材料を混合する工程を含んでもよい。
【0032】
乾燥材料と混合される他の材料は、特に限定されない。他の材料の例として、強度を向上させるための補強材料、成形体を色付けするための顔料などが挙げられる。より具体的には、他の材料の例として、プラスチック材料、金属材料、セラミックス材料、繊維材料、木材、木くず、草、紙、布、ガラス、砂、土、粘土、砂利、石、セメント、コンクリート、塗料、接着剤などが挙げられる。プラスチック材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。例えば、成形体の構成成分として紙粉や紙くず、プラスチック材料などを添加することにより、耐水性が向上した成形体を提供することができる。
【0033】
その他、成形体に求められる用途や特性などに応じて、任意の材料を添加することができる。例えば、成形体の原料として使用した材料とは別の食品、食品廃棄物(例えば食品の不可食部)、海藻などが乾燥材料と混合されてもよい。食品の例として、植物性食品、動物性食品などが挙げられる。植物性食品の例として、野菜、果物、穀物、芋類、茸類、可食性の海藻などが挙げられる。野菜の例として、カボチャ、キャベツ、レタス、玉ねぎ、人参、大根、ゴボウ、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜、トマト、スイカ、メロン、ピーマン、パプリカ、キュウリ、タケノコ、茶葉などが挙げられる。果物の例として、オレンジ、蜜柑、伊予柑、イチゴ、バナナ、カシス、林檎、柿、梨、サクランボ、パイナップル、ブドウ、ブルーベリー、桃などが挙げられる。穀物の例として、米、麦、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエ、枝豆、大豆、小豆、エンドウ豆、コーヒー豆などが挙げられる。芋類の例として、ジャガイモ、サツマイモ、むらさき芋、サトイモ、長芋、山芋などが挙げられる。茸類の例として、椎茸、舞茸、エノキ茸、シメジ、ナメコ、マッシュルームなどが挙げられる。可食性の海藻として、アオサ、ワカメ、コンブ、メカブ、ヒジキ、ノリなどが挙げられる。動物性食品の例として、上記のような肉、卵、乳製品、魚介類などが挙げられる。食品の不可食部の例として、野菜、果物、芋類であれば皮、種、茎など、穀物であれば殻、皮など、茸類であれば茎、菌床、石づきなど、肉であれば骨など、卵であれば殻など、魚介類の骨や鱗、甲殻など(例えば、魚の皮、エビやカニの殻、貝殻)が挙げられる。
【0034】
なお、他の材料との混合を行うタイミングは、上記例に限定されない。例えば、混合ステップは、乾燥ステップの前に実行されてもよく、粉砕ステップの前に実行されてもよく、粉砕ステップに組み込まれてもよい。
【0035】
(熱成形ステップ)
熱成形ステップでは、乾燥材料の熱成形が行われることにより、成形体が形成される。本明細書において「熱成形」とは、対象物を加熱しながら所望の形状に成形することを意味する。例えば、対象物を金型内に封入して加熱することにより、対象物の熱成形を行うことができる。好ましくは、熱成形ステップは、乾燥材料を加熱した状態で加圧することを含む。この場合、対象物の熱圧縮成形によって成形体が形成される。本明細書において「熱圧縮成形」とは、対象物を加熱しながら圧力を加えることにより所望の形状に成形することを意味する。熱成形ステップでは、例えば、所定の成形温度において所定の成形時間だけ所定の成形圧力が材料に印加される。好ましくは、乾燥材料の全体に、実質的に均一な圧力が印加される。ただし、熱成形ステップにおいて必ずしも原料を加圧する必要はない。例えば、原料を金型内に封入して、別段の加圧を行わず、原料の上側に位置する型枠の重みのみで熱成形を行ってもよい。また、大気中に開放された金型中で一切の加圧なく成形を行ってもよい。
【0036】
成形温度は、用途に応じて適宜決定され得る。成形温度は、例えば、70℃以上、75℃以上、80℃以上、85℃以上、90℃以上、95℃以上、又は100℃以上である。成形温度は、例えば、500℃以下、400℃以下、300℃以下、250℃以下、200℃以下、180℃以下、又は160℃以下である。成形温度は、例えば、70℃以上300℃以下である。
【0037】
成形温度は、好ましくは、乾燥材料中のタンパク質の変性温度以上である。本発明を理論によって限定するものではないが、タンパク質の熱成形によって高い強度の成形体が得られる理由として、以下のようなメカニズムが考えられる。すなわち、加熱された乾燥材料中のタンパク質が、変性温度以上の温度で変性し、硬化することにより、成形体全体の強度が向上する。また、熱圧縮成形では、タンパク質が圧縮された状態で変性によって硬化するので、内部の空隙が少ない成形体が形成され得る。
【0038】
乾燥材料に加わる成形圧力は、用途に応じて適宜決定され得る。成形圧力は、例えば、0.5kPa以上、1kPa以上、10kPa以上、0.1MPa以上、1MPa以上、2MPa以上、3MPa以上、4MPa以上、5MPa以上、10MPa以上、15MPa以上、又は20MPa以上である。成形圧力は、例えば、100MPa以下、90MPa以下、80MPa以下、70MPa以下、60MPa以下、50MPa以下、40MPa以下、又は30MPa以下である。成形圧力は、例えば、1MPa以上100MPa以下であり、好ましくは2MPa以上30MPa以下である。
【0039】
成形時間は、成形体の大きさや用途に応じて適宜決定され得る。成形時間は、例えば、10秒以上、20秒以上、30秒以上、40秒以上、50秒以上、1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、5分以上、又は10分以上である。成形時間は、例えば、6時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、50分以下、40分以下、30分以下、25分以下、又は20分以下である。
【0040】
<成形体>
一実施形態では、タンパク質を含む成形体が提供される。好ましくは、成形体は、非食用の熱成形体である。好ましくは、熱成形体は、熱圧縮成形体である。
【0041】
例えば、熱成形体は、タンパク質を含む材料(例えば乾燥材料)の熱成形体である。熱成形体は、タンパク質(例えば、変性したタンパク質)を含む。
【0042】
好ましくは、熱成形体の質量耐水性は、100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、又は30%以下であり、0%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、又は25%以上である。本明細書において、「質量耐水性」とは、製造した成形体を初めて水に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の質量の増加分を浸漬後の質量で割った値を意味する。
【0043】
好ましくは、熱成形体の厚さ耐水性は、100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、又は25%以下であり、0%以上、5%以上、10%以上、15%以上、又は20%以上である。本明細書において、「厚さ耐水性」とは、製造した成形体を初めて水に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の厚さの増加分を浸漬後の厚さで割った値を意味する。
【0044】
成形体中のタンパク質の含有量は、例えば、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上である。成形体中のタンパク質以外の成分の含有量は、例えば、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下である。成形体中のプラスチック材料の含有量は、例えば、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下である。
【0045】
成形体は、用途に応じて任意の大きさ、形状、構造、密度、及び重量を有するように成形される。例えば、成形体の大きさは、1mm以上、1cm以上、10cm以上、50cm以上、1m以上、又は10m以上であってよく、100m以下、50m以下、又は20m以下であってよい。例えば、成形体の形状は、実質的に直方体状、角柱状、円柱状、球状、又はブロック状であってよい。例えば、成形体の密度は、0.5g/cm3以上、0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上、0.8g/cm3以上、0.9g/cm3以上、1.0g/cm3以上、1.1g/cm3以上、又は1.2g/cm3以上であってよい。成形体の密度の上限は特に限定されないが、例えば、5.0g/cm3以下、4.0g/cm3以下、又は3.0g/cm3以下であってよい。
【0046】
成形体は、用途に応じた強度、剛性、硬度、耐水性、耐熱性などの各種特性を有するように成形される。成形体は、例えば、建築用途に適した特性を有する。成形体は、好ましくは、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPa以上の3点曲げ強度を有する。成形体は、より好ましくは、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPa以上の3点曲げ強度を有する。成形体は、より好ましくは、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの車道用舗装の曲げ強度の基準である5MPa以上の曲げ強度を有する。成形体は、好ましくは、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の圧縮強度の基準である17MPa以上の圧縮強度を有する。成形体は、より好ましくは、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの車道用舗装の圧縮強度の基準である32MPa以上の圧縮強度を有する。
【0047】
<成形体の利用>
一実施形態では、タンパク質を含む熱成形体を含む、建材、建築物、家具、敷物、容器、インテリア雑貨、食器、又は装飾品(以下、まとめて「建材等」ともいう。)が提供される。好ましくは、これらの建材等に含まれる熱成形体は、熱圧縮成形体である。
【0048】
これらの建材等は、熱成形体のみから成るものに限定されず、熱成形体に加えて別の部品や部材を含んでもよい。熱成形体は、建材等として使用後、肥料として使用されてもよい。その他、熱成形体は、任意の用途に使用可能である。
【実施例0049】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施例について説明する。これらの例は、本発明を限定するものではない。
【0050】
[1.基本条件での成形]
まず、成形温度100℃、成形圧力20MPa、成形時間5分を基本条件として、成形を行った。原料としては、小麦タンパク、顆粒ゼラチン、羊の角、及びチキンカツを使用した。
【0051】
(実験例1)
熱圧縮成形機(H300-15、アズワン社製)を用いて、市販の小麦タンパク(株式会社富澤商店製「国産小麦たんぱく」)の乾燥粉末の熱圧縮を行った。まずホットプレート上に成形用型枠を載置して100℃まで加熱した。次いで、加熱した型枠内に乾燥粉末を投入した。手動油圧ポンプのレバーを操作して20MPaの圧力を乾燥粉末に印加した。5分間の圧力印加後、圧力を解放し、熱圧縮された乾燥粉末を脱型することにより、小麦タンパクを原料とする成形体を得た。得られた成形体の写真を
図1に示す。得られた成形体は不透明であった。成形体の密度は、1.30g/cm
3であった。ここで、成形体の密度は、直方体状の成形体の長さ、幅、及び厚さの積である成形体の体積を成形体の質量で割って算出した値である。
【0052】
作製した成形体に対して、3点曲げ試験を行い、各成形体の曲げ強度を求めた。3点曲げ試験は、直径約10mmの金属製支持ロッド及び直径10mmの金属製加圧ロッドを有する相対指示誤差2.0%以下の圧縮試験機を使用して、成形体を2本の支持ロッドで支え、中央に毎秒1±0.2N/mm2の速さで荷重をかけ、成形体が破壊されたときの最大荷重及び破断した試料の破断面の最も薄いと思われる箇所の厚さを測定することにより行った(JIS A 1509-4:2014も参照)。
【0053】
成形体を水に24時間浸漬し、浸漬前後の質量及び厚さを測定した。浸漬前後の質量の増加分を浸漬後の質量で割った値である「質量耐水性」と、浸漬前後の厚さの増加分を浸漬後の厚さで割った値である「厚さ耐水性」とを算出した。成形体の吸水性能を示すこれらの値を、成形体の耐水性の評価値として用いた。
(実験例2)
小麦タンパクに代えて市販の顆粒ゼラチンを原料として使用したことを除き、実験例1と同様にして、顆粒ゼラチンを原料とする成形体を得た。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。成形体の密度は、1.23g/cm3であった。原料中のタンパク質の含有量は、92%であった。
【0054】
(実験例3)
小麦タンパクに代えて、市販の羊の角(株式会社アラタ製「羊の角」)を家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したことを除き、実験例1と同様にして、羊の角を原料とする成形体を得た。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。得られた成形体の写真を
図2に示す。得られた成形体は透明であった。成形体の密度は、1.08g/cm
3であった。原料中のタンパク質の含有量は、89.5%であった。
【0055】
(実験例4)
小麦タンパクに代えて、市販の牛皮を家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したことを除き、実験例1と同様にして、牛皮を原料とする成形体を得た。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。得られた成形体の写真を
図3に示す。得られた成形体は不透明であった。成形体の密度は、1.06g/cm
3であった。
【0056】
(実験例5)
小麦タンパクに代えて、市販の牛糞(グリーンプラン株式会社製「熟成牛ふん」)を家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したこと、及び含水率の評価を省略したことを除き、実験例1と同様にして、牛糞を原料とする成形体を得た。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。得られた成形体の写真を
図4に示す。得られた成形体は不透明であった。成形体の密度は、0.85g/cm
3であった。
【0057】
(実験例6)
小麦タンパクに代えて、市販のいわし煮干しを家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したことを除き、実験例1と同様にして、いわし煮干しを原料とする成形体を得た。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。得られた成形体の写真を
図5に示す。得られた成形体は不透明であった。成形体の密度は、1.26g/cm
3であった。原料中のタンパク質の含有量は、70%であった。
【0058】
実験例1~6で得られた各成形体の製造条件及び評価結果を、以下の表1にまとめる。
【表1】
【0059】
タンパク質を含む6種類の原料から作製した成形体の曲げ強度は、いずれもJIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPaを上回った。耐水性については、いずれの成形体も、24時間の水浸漬後の質量増加は65%以下であり、24時間の水浸漬後の厚さ増加は50%以下であった。特に、羊の角を原料とする成形体は、質量基準の耐水性に優れ、いわし煮干しを原料とする成形体は、厚さ基準の耐水性に優れ、小麦タンパクを原料とする成形体は、質量基準の耐水性及び厚さ基準の耐水性の両方に優れていた。
【0060】
このように、小麦由来のグルテンのような植物由来のタンパク質、ゼラチンの主成分であるコラーゲンのような繊維状タンパク質、羊の角や牛皮、いわし煮干しのような動物由来のタンパク質、牛糞などの廃棄物由来のタンパク質など、様々なタンパク質について、熱圧縮成形により十分な曲げ強度が得られることが確認された。また、これらの成形体が十分な耐水性を有していることも確認された。
【0061】
[2.様々な成形温度での成形]
次いで、上記の基本条件から成形温度を変化させて成形を試みた。具体的には、成形温度を60℃、80℃、120℃、140℃、及び160℃に変更して、成形を行った。
【0062】
(実験例7、8)
成形温度を60℃及び80℃に変更したことを除き、実験例1と同様にして、小麦タンパクを原料とする成形体を得た。
【0063】
(実験例9、10)
成形温度を60℃及び80℃に変更したことを除き、実験例2と同様にして、顆粒ゼラチンを原料とする成形体を得た。成形温度80℃で得られた成形体の写真を
図6に示す。得られた成形体は透明であった。
【0064】
(実験例11~14)
成形温度を80℃、120℃、140℃、及び160℃に変更したことを除き、実験例3と同様にして、羊の角を原料とする成形体を得た。
【0065】
(実験例15~17)
成形温度を120℃、140℃、及び160℃に変更したことを除き、実験例4と同様にして、牛皮を原料とする成形体を得た。
【0066】
(実験例18~20)
成形温度を120℃、140℃、及び160℃に変更したことを除き、実験例5と同様にして、牛糞を原料とする成形体を得た。
【0067】
(実験例21、22)
成形温度を80℃及び120℃に変更したことを除き、実験例6と同様にして、いわし煮干しを原料とする成形体を得た。得られた成形体の写真を
図5に示す。得られた成形体は不透明であった。
【0068】
(実験例23、24)
小麦タンパクに代えて、市販のささみパウダー(九州オーガニックメイド株式会社製「九州産まるごとささみ」)を家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したこと、及び成形温度を変更したことを除き、実験例1と同様にして、ささみパウダーを原料とする成形体を得た。成形温度は、実験例23では140℃に設定し、実験例24では160℃に設定した。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。耐水性評価は、実験例24のみについて行った。成形温度160℃で得られた成形体の写真を
図7に示す。得られた成形体は不透明であった。成形温度160℃で得られた成形体の密度は、1.24g/cm
3であった。原料中のタンパク質の含有量は、94.3%であった。
【0069】
(実験例25、26)
小麦タンパクに代えて、市販の鶏レバー(九州オーガニックメイド株式会社製「九州産まるごと鶏レバー」)を家庭用ブレンダで粉砕したものを原料として使用したこと、及び成形温度を変更したことを除き、実験例1と同様にして、鶏レバーを原料とする成形体を得た。成形温度は、実験例25では140℃に設定し、実験例26では160℃に設定した。実験例1と同様に、成形体の評価を行った。耐水性評価は、実験例26のみについて行った。成形温度140℃で得られた成形体の写真を
図8に示す。得られた成形体は不透明であった。成形温度160℃で得られた成形体の密度は、1.11g/cm
3であった。原料中のタンパク質の含有量は、75.6%であった。
【0070】
実験例7~26で得られた各成形体の製造条件及び評価結果を、以下の表2にまとめる。
【表2】
【0071】
60℃以上の成形温度で作製した成形体の曲げ強度は、いずれもJIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPaを上回った。耐水性については、鶏レバーを原料とする成形体は、質量基準の耐水性に優れ、ささみパウダーを原料とする成形体は、厚さ基準の耐水性に優れていた。
【0072】
このように、様々なタンパク質について、熱成形を行うことにより、十分な強度を有する成形体が得られることが確認された。特に、80℃以上の成形温度で熱成形を行うと、60℃以下の成形温度で熱形成を行う場合に比べて、格段に曲げ強度が増加することが確認された。また、これらの成形体が十分な耐水性を有していることも確認された。
【0073】
[3.様々な成形圧力での成形]
次いで、基本条件から成形圧力を変化させて成形を試みた。具体的には、成形圧力を2MPa及び10MPaに変更し、成形温度100℃、120℃、140℃、及び160℃として、成形を行った。
【0074】
(実験例27~31)
成形圧力を2MPaに変更し、成形温度をそれぞれ80℃、100℃、120℃、140℃、及び160℃に設定したことを除き、実験例1と同様にして、小麦タンパクを原料とする成形体を得た。
【0075】
(実験例32~36)
成形圧力を10MPaに変更し、成形温度をそれぞれ80℃、100℃、120℃、140℃、及び160℃に設定したことを除き、実験例1と同様にして、小麦タンパクを原料とする成形体を得た。
【0076】
(実験例37、38)
成形圧力を2MPaに変更し、成形温度をそれぞれ80℃及び100℃に設定したことを除き、実験例2と同様にして、顆粒ゼラチンを原料とする成形体を得た。
【0077】
(実験例39、40)
成形圧力を10MPaに変更し、成形温度をそれぞれ80℃及び100℃に設定したことを除き、実験例2と同様にして、顆粒ゼラチンを原料とする成形体を得た。
【0078】
(実験例41)
加熱した型枠内に乾燥粉末を投入した後、油圧ポンプによる圧力を印加しなかったことを除き、実験例2と同様にして、顆粒ゼラチンを原料とする成形体を得た。
【0079】
実験例27~41で得られた各成形体の製造条件及び評価結果を、以下の表3にまとめる。
【表3】
【0080】
2MPa及び10MPaの成形圧力で作製した成形体の曲げ強度も、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPaを上回った。また、成形圧力を加えず、単に加熱して冷ますことにより作製した成形体の曲げ強度も、3MPaを上回った。
【0081】
[4.別の材料を添加することの影響]
次いで、追加の材料を添加することによる影響を調べた。具体的には、ゼラチンの実験例及び小麦タンパクの実験例において、原料として白菜又は紙粉を添加し、成形を行った。
【0082】
(実験例42)
小麦タンパクと白菜とを質量比1:1で混合したものを原料として使用し、成形圧力を10MPaに変更し、成形温度を90℃に設定したことを除き、実験例1と同様にして、小麦タンパクと白菜との混合物を原料とする成形体を得た。
【0083】
(実験例43)
顆粒ゼラチンと白菜とを質量比1:1で混合したものを原料として使用し、成形圧力を10MPaに変更し、成形温度を90℃に設定したことを除き、実験例1と同様にして、顆粒ゼラチンと白菜との混合物を原料とする成形体を得た。
【0084】
(実験例44)
小麦タンパクに対して10質量%の紙粉を混合したものを原料として使用したことを除き、実験例1と同様にして、小麦タンパクと紙粉との混合物を原料とする成形体を得た。
【0085】
実験例42~44で得られた各成形体の製造条件及び評価結果を、以下の表4にまとめる。
【表4】
【0086】
白菜を添加して作製した成形体の曲げ強度も、JIS A 5371:2016に規定されるインターロッキングブロックの歩道用舗装の曲げ強度の基準である3MPaを上回った。
【0087】
紙粉を添加して作製した成形体の曲げ強度は、紙粉を添加していない実施例1よりも大きかった。