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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003411
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9062 20060101AFI20240105BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/221 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240105BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240105BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61K36/9062
A61K47/46
A61K31/352
A61K47/22
A61K31/525
A61K31/221
A61K31/197
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61P39/06
A61P3/00
A61P29/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102532
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】中林 孝太
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC21
4C076DD61T
4C076EE58T
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA08
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA41
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4C086MA52
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4C086ZB11
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4C086ZC75
4C088AB81
4C088AC11
4C088BA08
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4C088NA09
4C088ZB11
4C088ZC21
4C088ZC37
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA59
4C206GA05
4C206GA36
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA09
4C206ZB11
4C206ZC21
4C206ZC37
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ブラックジンジャー又はその抽出物を含みながらも、摂取後の不快なおくび臭が低減された経口組成物を提供することである。
【解決手段】(A)ブラックジンジャー及び/又はその抽出物に(B)サラシア属植物及び/又はその抽出物を配合した経口組成物は、摂取後の不快なおくび臭が低減されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ブラックジンジャー及び/又はその抽出物、並びに(B)サラシア属植物及び/又はその抽出物を含有する、経口組成物。
【請求項2】
前記(A)成分1重量部に対して、前記(B)成分を0.05重量部以上含有する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記(A)成分に含まれるポリメトキシフラボン1重量部に対して、前記(B)成分に含まれるサラシノールが0.005重量部以上である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記(A)成分に含まれるポリメトキシフラボン1重量部に対して、前記(B)成分に含まれるネオコタラノールが0.001重量部以上である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
前記(A)成分の含有量が5重量%以上である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項6】
さらに(C)リボフラビン、リボフラビンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるリボフラビン類;パントテン酸、パントテン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるパントテン酸類;並びに/若しくは、カルニチン、カルニチンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるカルニチン類を含む、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項7】
前記(A)成分1重量部に対して、(C)成分を0.03重量部以上含有する、請求項5に記載の経口組成物。
【請求項8】
1回当たりの用量が、前記(A)成分の量で0.03g以上である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項9】
散剤、顆粒剤又は錠剤である、請求項1に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックジンジャー及び/又はその抽出物を含みながらも、摂取後の不快なおくび臭が低減された経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラックジンジャーには、抗酸化作用、抗老化作用、抗炎症作用等の種々の有用な生理作用を有する有効成分が含まれていることが知られており(特許文献1)、健康食品に配合して利用されている。
【0003】
一方、ブラックジンジャーには特有のにおいや非嗜好性の呈味があり、服用性は決して良いとはいえない。このような特有のにおいや非嗜好性の呈味を改善することを目的として、ブラックジンジャー抽出物に、糖、糖アルコール、可食性酸類、及び人工甘味料の少なくともいずれかを配合する方法が試みられている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-51790号公報
【特許文献2】特開2013-192513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の方法では服用性が十分向上したとまではいえない。ブラックジンジャー又はその抽出物は、服用後におけるおくび時の戻り臭が不快であり、このような胃の中から戻ってくる不快なにおいに対しては、単に、服用時又は服用後に口に残る呈味又はにおい等へ対処するためのマスキングを行うだけでは不十分である。
【0006】
そこで、本発明は、ブラックジンジャー又はその抽出物を含みながらも、摂取後の不快なおくび臭が低減された経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、サラシア属植物又はその抽出物に、ブラックジンジャー又はその抽出物を含む経口組成物の摂取後における不快なおくび臭を低減できることを見出した。また、散剤等のように呈味を感じやすい剤型に製剤した場合には、ブラックジンジャー又はその抽出物を含む経口組成物の苦味も低減できることを見出した。サラシア属植物及びその抽出物自体も、服用後における不快なおくび臭が強く且つ苦味も強いことに鑑みると、これらの成分の組み合わせで不快なおくび臭が低減され、さらに苦味まで低減されることは、全く予想外であった。また、本発明者は、ブラックジンジャー又はその抽出物を含む経口組成物に、さらにリボフラビン、カルニチン、又はパントテン酸を含む場合には、おくび臭の不快さ及び苦味が更に強くなるという課題にも直面したが、サラシア属植物又はその抽出物が、このようにさらに強い不快なおくび臭及び苦味に対してさえ効果的に低減できることも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ブラックジンジャー及び/又はその抽出物、並びに(B)サラシア属植物及び/又はその抽出物を含有する、経口組成物。
項2. 前記(A)成分1重量部に対して、前記(B)成分を0.05重量部以上含有する、項1に記載の経口組成物。
項3. 前記(A)成分に含まれるポリメトキシフラボン1重量部に対して、前記(B)成分に含まれるサラシノールが0.005重量部以上である、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 前記(A)成分に含まれるポリメトキシフラボン1重量部に対して、前記(B)成分に含まれるネオコタラノールが0.001重量部以上である、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
項5. 前記(A)成分の含有量が5重量%以上である、項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
項6. さらに(C)リボフラビン、リボフラビンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるリボフラビン類;パントテン酸、パントテン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるパントテン酸類;並びに/若しくは、カルニチン、カルニチンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるカルニチン類を含む、項1~5のいずれかに記載の経口組成物。
項7. 前記(A)成分1重量部に対して、(C)成分を0.03重量部以上含有する、項6に記載の経口組成物。
項8. 1回当たりの用量が、前記(A)成分の量で0.03g以上である、項1~7のいずれか記載の経口組成物。
項9. 散剤、顆粒剤又は錠剤である、項1~8のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラックジンジャー又はその抽出物を含みながらも、摂取後の不快なおくび臭が低減された経口組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口組成物は、(A)ブラックジンジャー及び/又はその抽出物(以下において、「(A)成分」とも記載する)、並びに(B)サラシア属植物及び/又はその抽出物(以下において、「(B)成分」とも記載する)を含有することを特徴とする。さらに、本発明の経口組成物は、(C)リボフラビン、リボフラビンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるリボフラビン類;パントテン酸、パントテン酸の誘導体、及びそれらの塩;並びに/若しくは、カルニチン、カルニチンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択されるカルニチン類からなる群より選択されるパントテン酸類(以下において、「(C)成分」とも記載する)を含むことができる。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0011】
(A)ブラックジンジャー及び/又はその抽出物
ブラックジンジャーとは、黒ショウガとも称されており、ショウガ科バンウコン属の植物(Kaempferia parviflora)である。ブラックジンジャー及びその抽出物は、摂取後における不快なおくび臭が強く、また、呈味を感じやすい剤型の場合は苦味も強く感じさせるが、本発明の経口組成物は、これら不快なおくび臭及び苦味が低減されている。
【0012】
本発明において、(A)成分としては、ブラックジンジャーそのもの(典型的には、ブラックジンジャーの乾燥粉末)であってもよいし、ブラックジンジャーの抽出物であってもよい。いずれの場合も、使用部位について特に制限されないが、好ましくは根茎が挙げられる。これらの中でも、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくはブラックジンジャーの抽出物が挙げられる。
【0013】
ブラックジンジャーの抽出物を得るための抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0014】
溶媒抽出処理で使用される抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは水、低級アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、更に好ましくは水とエタノールの混合溶媒が挙げられる。水と低級アルコールの混合溶媒において、水と低級アルコールの比率については、特に制限されないが、例えば、低級アルコールの含有量が5~90重量%程度、好ましくは20~80重量%程度、更に好ましくは40~80重量%程度であればよい。
【0015】
溶媒抽出処理は、ブラックジンジャーの抽出対象部位(好ましくは根茎)であって、抽出効率を高めるために必要に応じて乾燥、裁断、粉砕等の処理が施されたものを、抽出溶媒中に浸漬させ、さらに必要に応じて撹拌することによって行えばよく、例えば、ブラックジンジャーの抽出対象部位100g当たり抽出溶媒0.3~20L程度、好ましくは0.5~1.5L程度に浸漬させて、例えば0.5~24時間程度行えばよい。溶媒抽出処理の温度条件としては、特に制限されないが、例えば、40~95℃程度であればよい。
【0016】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、ブラックジンジャーの抽出物(抽出液)が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の吸着処理に供して精製処理に供してもよい。また、得られた抽出液は、非濃縮エキスとしてそのまま使用してもよいが、必要に応じて濃縮工程に供して軟エキスとして使用したり、更に乾燥工程に供してエキス末として使用したりしてもよい。
【0017】
(A)成分の典型例においては、ポリメトキシフラボンが含まれる。(A)成分中に含まれるポリメトキシフラボンの含有量としては、(A)成分100重量部(乾燥重量換算量)当たり、例えば1~15重量部、好ましくは5~13重量部、より好ましくは6~10重量部が挙げられる。
【0018】
本発明の経口組成物において、(A)成分の含有量については、経口組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、乾燥重量換算量で、5重量%以上が挙げられる。
【0019】
本発明の経口組成物は不快なおくび臭の低減効果に優れているため、(A)成分の含有量が比較的高くても、効果的に不快なおくび臭を低減することができる。また、(A)成分には服用の障害となりうる苦味も有しているところ、本発明の経口組成物は苦味の低減効果にも優れている。このため、(A)成分の含有量が比較的高くても、効果的に苦味も低減することができる。このような観点から、(A)成分の含有量の好適な例としては、好ましくは10重量%以上、より好ましくは13重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、一層好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは35重量%以上も挙げられる。
【0020】
本発明の経口組成物中の(A)成分の含有量範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、一層好ましくは30重量%以下、より一層好ましくは20重量%以下が挙げられる。
【0021】
本発明の経口組成物において、(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量については、上記(A)成分の含有量と上記(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量とに応じて定まるが、例えば0.4重量%以上が挙げられる。(A)成分中のポリメトキシフラボン含有量の好適な例としては、好ましくは0.8重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは1.6重量%以上、一層好ましくは2.4重量%以上、より一層好ましくは2.8重量%以上も挙げられる。
【0022】
本発明の経口組成物中のポリメトキシフラボンの含有量範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは5.6重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3.2重量%以下、一層好ましくは2.4重量%以下、より一層好ましくは1.6重量%以下が挙げられる。
【0023】
(B)サラシア属植物及び/又はその抽出物
本発明の経口組成物は、(B)成分としてサラシア属植物及び/又はその抽出物を含有する。サラシア属植物及びその抽出物も、それ自体、摂取後における不快なおくび臭が強く、また、呈味を感じやすい剤型の場合は苦味も強く感じさせるが、経口組成物において(A)成分と共に配合されることで、不快なおくび臭及び苦味を低減できる。
【0024】
サラシア属植物の種類については、特に制限されないが、例えば、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macrosperma)等が挙げられる。これらのサラシア属植物の中でも、好ましくはサラシア・キネンシスが挙げられる。
【0025】
本発明において、(B)成分としては、サラシア属植物そのもの(典型的には、サラシア属植物の乾燥粉末)であってもよいし、サラシア属植物の抽出物であってもよい。これらの中でも、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくはサラシア属植物の抽出物が挙げられる。また、いずれの場合も、使用部位については特に制限されないが、例えば、根茎、葉、果実、樹皮等が挙げられ、好ましくは茎、根、樹皮が挙げられ、より好ましくは茎が挙げられる。
【0026】
サラシア属植物の抽出物を得るための抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0027】
溶媒抽出処理で使用される抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは水、1価低級アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水が挙げられる。
【0028】
溶媒抽出処理は、サラシア属植物の抽出対象部位(例えば、根茎、葉、果実、樹皮等;好ましくは茎、根、樹皮;より好ましくは茎)であって、抽出効率を高めるために必要に応じて乾燥、裁断、粉砕等の処理が施されたものを、抽出溶媒中に浸漬させて、必要に応じて撹拌することによって行えばよく、例えば、サラシア属植物の抽出対象部位100g当たり抽出溶媒1~50L程度に浸漬させて、例えば0.5~24時間程度行えばよい。
【0029】
また、溶媒抽出処理は、加熱することによって行えばよく、例えば、60~110℃、好ましくは80~98℃条件下で行うことが好ましい。
【0030】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、サラシア属植物の抽出物(抽出液)が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の吸着処理に供して精製処理に供してもよい。また、得られた抽出液は、非濃縮エキスとしてそのまま使用してもよいが、必要に応じて濃縮工程に供して軟エキスとして使用したり、更に乾燥工程に供してエキス末として使用したりしてもよい。
【0031】
(B)成分の典型例においては、サラシノールが含まれる。(B)成分中に含まれるサラシノールの含有量としては、(B)成分100重量部(乾燥重量換算量)当たり、例えば0.02~10重量部、好ましくは0.05~5重量部、より好ましくは0.1~3重量部、さらに好ましくは0.2~0.8重量部が挙げられる。
【0032】
また、(B)成分の典型例においては、ネオコタラノールが含まれる。(B)成分中に含まれるネオコタラノールの含有量としては、(B)成分100重量部(乾燥重量換算量)当たり、例えば0.05~1重量部、好ましくは0.1~0.7重量部、より好ましくは0.2~0.5重量部が挙げられる。
【0033】
本発明の経口組成物において、(B)成分の含有量については、得るべきおくび臭低減効果に応じて適宜設定することができるが、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)として、例えば0.05重量部以上が挙げられる。不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)としては、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、さらに好ましくは0.3重量部以上、一層好ましくは0.4重量部以上、より一層好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは0.6重量部以上、0.7重量部以上又は0.8重量部以上が挙げられる。
【0034】
(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)の範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下、一層好ましくは1重量部以下、0.8重量部以下又は0.7重量部以下が挙げられる。
【0035】
本発明の経口組成物において、(B)成分に含まれるサラシノールの含有量については、上記(B)成分の含有量と上記(B)成分中のサラシノールの含有量とに応じて定まるが、(A)成分中ポリメトキシフラボン1重量部当たりの(B)成分中のサラシノールの含有量として、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.008重量部以上、さらに好ましくは0.01重量部以上、一層好ましくは0.02重量部以上、より一層好ましくは0.025重量部以上、特に好ましくは0.03重量部以上、最も好ましくは0.04重量部以上が挙げられる。
【0036】
(A)成分中ポリメトキシフラボン1重量部当たりの(B)成分中のサラシノールの含有量範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以下、一層好ましくは0.1重量部以下、0.08重量部以下又は0.07重量部以下が挙げられる。
【0037】
本発明の経口組成物において、(B)成分に含まれるネオコタラノールの含有量については、上記(B)成分の含有量と上記(B)成分中のネオコタラノールの含有量とに応じて定まるが、(A)成分中ポリメトキシフラボン1重量部当たりの(B)成分中のネオコタラノールの含有量として、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.005重量部以上、さらに好ましくは0.01重量部以上、一層好ましくは0.015重量部以上、より一層好ましくは0.018重量部以上、0.025重量部以上、又は0.03重量部以上が挙げられる。
【0038】
(A)成分中ポリメトキシフラボン1重量部当たりの(B)成分中のネオコタラノールの含有量範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは0.1重量部以下、より好ましくは0.07重量部以下、さらに好ましくは0.05重量部以下、一層好ましくは0.04重量部以下又は0.025重量部以下が挙げられる。
【0039】
本発明の経口組成物において、(B)成分の具体的な含有量については、上記(A)成分の含有量及び上記(A)成分と(B)成分との含有量の比率に応じて定まるが、例えば1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、又は30重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物における(B)成分の具体的な含有量範囲の上限についても、上記(A)成分の含有量及び上記(A)成分と(B)成分との含有量の比率に応じて定まるが、例えば50重量%以下、好ましくは40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、又は12重量%以下が挙げられる。
【0040】
本発明の経口組成物において、(B)成分中のサラシノールの具体的な含有量については、上記(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量及び上記(A)成分中のポリメトキシフラボンと(B)成分中のサラシノールとの含有量の比率に応じて定まるが、例えば0.015重量%以上、好ましくは0.02重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上、さらに好ましくは0.04重量%以上、一層好ましくは0.06重量%以上、0.08重量%以上、又は0.12重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物における(B)成分中のサラシノールの具体的な含有量範囲の上限についても、上記(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量及び上記(A)成分中のポリメトキシフラボンと(B)成分中のサラシノールとの含有量の比率に応じて定まるが、例えば0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.18重量%以下、0.16重量%以下、又は0.14重量%以下が挙げられる。
【0041】
本発明の経口組成物において、(B)成分中のネオコタラノールの具体的な含有量については、上記(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量及び上記(A)成分中のポリメトキシフラボンと(B)成分中のネオコタラノールとの含有量の比率に応じて定まるが、例えば0.01重量%以上、好ましくは0.015重量%以上、より好ましくは0.02重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上又は0.1重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物における(B)成分中のネオコタラノールの具体的な含有量範囲の上限についても、上記(A)成分中のポリメトキシフラボンの含有量及び上記(A)成分中のポリメトキシフラボンと(B)成分中のネオコタラノールとの含有量の比率に応じて定まるが、例えば0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.13重量%以下又は0.08重量%以下が挙げられる。
【0042】
(C)リボフラビン類、パントテン酸類、カルニチン類
本発明の経口組成物は、(C)成分として、リボフラビン類、パントテン酸類、及び/又はカルニチン類を含むことができる。これら(C)成分は、(A)成分の摂取後における不快なおくび臭を増強させ、また、呈味を感じやすい剤型の場合は苦味も増強させるが、本発明の経口組成物は、これらの成分を含む場合でも、これら不快なおくび臭及び苦味が低減されている。
【0043】
リボフラビン類は、リボフラビン(ビタミンB2)、リボフラビンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される。リボフラビンの誘導体としては、リボフラビンエステルが挙げられ、より具体的には、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル等が挙げられる。リボフラビンまたはその誘導体の塩としては、アルカリ金属塩が挙げられ、より具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。これらのリボフラビン類は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらのリボフラビン類の中でも好ましくはリボフラビンが挙げられる。
【0044】
パントテン酸類は、パントテン酸(ビタミンB5)、パントテン酸の誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される。パントテン酸の誘導体としては、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等が挙げられる。パントテン酸またはその誘導体の塩としては、カルシウム塩等が挙げられる。これらのパントテン酸類は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。パントテン酸類これらの中でも好ましくはパントテン酸が挙げられる。
【0045】
カルニチン類は、カルニチン、カルニチンの誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される。カルニチンとしては、L-カルニチン、D-カルニチン、及びDL-カルニチンが挙げられる。カルニチンの誘導体としては、カルニチンエステルが挙げられ、より具体的には、アシルカルニチン、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチン、オロチン酸カルニチン等が挙げられる。カルニチンまたはその誘導体の塩としては、無機酸塩及び有機酸塩が挙げられ、具体的には、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。これらのカルニチン類は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらのカルニチン類の中でも好ましくはカルニチンが挙げられ、より好ましくはL-カルニチンが挙げられる。
【0046】
本発明の経口組成物において、(C)成分の含有量については特に限定されないが、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分の含有量(総量)として、例えば0.05重量部以上が挙げられる。本発明の経口組成物は不快なおくび臭の低減効果に優れ、又は呈味を感じやすい剤型の場合は苦味の低減効果にも優れているため、(C)成分の含有量が比較的多くても、効果的にこれらおくび臭及び苦味を低減することができる。このような観点から、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分の含有量(総量)の好適な例としては、0.07重量部以上が挙げられる。また、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分の含有量(総量)範囲の上限としては特に限定されないが、不快なおくび臭の低減効果及び/又は苦味の低減効果をより一層高める観点から、好ましくは3重量部以下が挙げられる。
【0047】
また、同様の観点から、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりのリボフラビン類、パントテン酸類及びカルニチン類、それぞれの含有量の例としては、以下が挙げられる。
リボフラビン類:下限については、0.07重量部以上が挙げられ、上限については、1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.2重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下が挙げられる。
パントテン酸類:下限については、0.1重量部以上、好ましくは0.15重量部以上が挙げられ、上限については、1重量部以下、好ましくは0.6重量部以下、より好ましくは0.4重量部以下が挙げられる。
カルニチン類:下限については、0.1重量部以上、好ましくは0.4重量部以上、より好ましくは0.6重量部以上が挙げられ、上限については、3重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下が挙げられる。
【0048】
本発明の経口組成物において、(C)成分の具体的な含有量については、上記(A)成分の含有量及び(A)成分と(C)成分との比率に応じて定まるが、総量で例えば1重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物における(C)成分の具体的な含有量範囲の上限としては、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下が挙げられる。
【0049】
また、リボフラビン類、パントテン酸類、及びカルニチン類それぞれの具体的な含有量の例としては、以下が挙げられる。
リボフラビン類:下限については、1重量%以上、2重量%以上、又は2.5重量%以上が挙げられ、上限については、8重量%以下、好ましくは6重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下が挙げられる。
パントテン酸類:下限については、1.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以上、4重量%以上、又は6重量%以上が挙げられ、上限については、15重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは6重量%以下、さらに好ましくは4.5重量%以下が挙げられる。
カルニチン類:下限については、5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは9重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、又は25重量%以上が挙げられ、上限については、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下が挙げられる。
【0050】
その他の成分
本発明の経口組成物は、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン(上記(C)成分のリボフラビン類及びパントテン酸類以外)、アミノ酸(上記(C)成分のカルニチン類以外)、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス(上記(A)成分の抽出物、上記(B)成分の抽出物以外)、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する添分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0051】
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、増粘剤、低級アルコール、固形油、高級アルコール、水溶性高分子、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、水等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
剤型・製剤形態
本発明の経口組成物の剤型については、経口摂取が可能であることを限度として特に制限されず、固体状(具体的には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等)、半固体状(具体的には、ペースト剤、ゲル剤等)、又は液体状のいずれであってもよく、該経口組成物の種類や用途に応じて適宜設定すればよい。これらの剤型のうち、安定性等の観点から、固体状であることが好ましい。また、本発明の経口組成物は苦味低減効果にも優れているため、本来的に呈味を感じやすい剤型の場合であっても効果的に苦味低減効果を得ることができる。このような観点から本発明の経口組成物の好ましい剤型として、散剤、顆粒剤、錠剤(錠剤の中でも、特に好ましくは素錠)が挙げられる。
【0053】
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取が可能であることを限度として特に制限されず、食品及び医薬品のいずれであってもよいが、好ましくは食品が挙げられる。
【0054】
本発明の経口組成物を食品の製剤形態にする場合、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分を、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。
【0055】
本発明の経口組成物の1回当たりの用量としては、(A)成分の量で例えば0.03g以上が挙げられる。本発明の経口組成物は、不快なおくび臭の低減効果に優れているため、1回当たりの用量が比較的多くても、効果的におくび臭低減効果を得ることができる。このような観点から、1回当たりの好適な用量としては、(A)成分の量で好ましくは0.04g以上が挙げられる。本発明の経口組成物の1回当たりの用量の上限については特に限定されないが、おくび臭低減効果をより一層高める観点から、(A)成分の量で好ましくは3g以下、より好ましくは1.5g以下、さらに好ましくは1g以下、0.5g以下、0.1g以下、又は0.07g以下が挙げられる。
【実施例0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
なお、以下に示す実施例及び比較例において使用した成分の詳細は、以下の通りである。
(A)ブラックジンジャーの抽出物:「ブラックジンジャー抽出物」、ブラックジンジャーの根茎をエタノール水溶液で抽出処理した抽出物の乾燥粉末、ポリメトキシフラボン含量8重量%
(B)サラシアエキス:「サラシアエキスパウダーK」(日本新薬株式会社製)(サラシア キネンシス(Salacia chinensis)の茎の熱水抽出物の乾燥粉末)、サラシノール含量0.4重量%、ネオコタラノール含量0.3重量%
【0058】
試験例1
表1及び2に示す組成の経口組成物を、ハードカプセル剤又は散剤の形態で調製した。ハードカプセル剤を用いて以下のおくび臭の評価を行い、散剤を用いて以下の苦味の評価を行った。1回当たりの試験量は、いずれも、経口組成物2.5g((A)成分1g)であった。
【0059】
<おくび臭の評価>
訓練されたパネリスト6名に、空腹時に、ぬるま湯を用いてハードカプセル剤を服用させた。服用10分後に、発泡剤を服用させ、げっぷ(おくび)をさせ、戻り臭(おくび臭)の不快感の程度について、6段階VAS評価(6:不快な戻り臭を強く感じる、1:戻り臭が気にならない;3以下の場合、食品として許容できるレベルと評価できる。)にて官能評価を行い、平均スコアを算出した。比較例1のスコアを100とした場合における各経口組成物の相対スコアについて小数点第一位を四捨五入し「評価結果(おくび臭)」として算出した。結果を表1及び2に示す。
【0060】
<苦味評価>
訓練されたパネリスト6名に、水を用いて散剤を服用させた。服用時に感じる苦味について、6段階VAS評価(6:苦みを強く感じる、1:苦味を感じない;3以下の場合、食品として許容できるレベルと評価できる。)にて官能評価を行い、平均スコアを算出した。比較例1のスコアを100とした場合における各経口組成物の相対スコアについて小数点第一位四捨五入し「評価結果(苦味)」として算出した。結果を表1及び2に示す。
【0061】
【表1】
【表2】
【0062】
比較例1の経口組成物は、(A)成分の不快なおくび臭及び苦味が強いものであったが、実施例1~3に示すとおり、(B)成分を配合することで、不快なおくび臭及び苦味のいずれもが顕著に低減した。比較例2に示すように、(B)成分も、それ自体、不快なおくび臭及び苦味が強いものであったにも関わらず、実施例1~3に示すように(A)成分と混合されることで不快なおくび臭及び苦味が顕著に低減されたことは予想外であった。なお、実施例1~3では、(A)成分の不快なおくび臭及び苦味と、(B)成分の不快なおくび臭及び苦味との両方が総合的に低減されていた。また、実施例1~3では、パネリストの全員が、おくび臭及び苦味のいずれについても、食品として許容できるレベルと評価した。
【0063】
さらに、比較例3~5に示すように、(A)成分にさらに(C)成分を組み合わせた場合には、不快なおくび臭及び苦味のいずれもが強くなった。これに対し、実施例4~7に示す通り、(B)成分を配合することで、不快なおくび臭及び苦味のいずれもが顕著に低減した。
【0064】
また、表1及び表2に示す組成の経口組成物について、経口組成物の総重量2.5g((A)成分1g)で5錠となるように素錠をそれぞれ調製し、上述と同様の方法で同量の経口組成物(素錠5錠)についておくび臭の評価をそれぞれ行ったところ、実施例1~3、4~7と同様に不快なおくび臭が顕著に低減されていた。
【0065】
試験例2
表3に示す組成の経口組成物を、ハードカプセル剤又は散剤の形態で調製した。試験例1と同様にして、ハードカプセル剤を用いて以下のおくび臭の評価を行い、散剤を用いて以下の苦味の評価を行った。なお、1回当たりの試験量は、いずれも、経口組成物340mg((A)成分50mg)であった。結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3から明らかな通り、実施例8,9によれば、不快なおくび臭及び苦味のいずれもが顕著に低減していた。
【0068】
また、表3に示す組成の経口組成物について、経口組成物の総重量340mg((A)成分50mg)で1錠となるように素錠をそれぞれ調製し、上述と同様の方法でおくび臭の評価をそれぞれ行ったところ、実施例8,9と同様に不快なおくび臭が顕著に低減されていた。