(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034405
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20240306BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q5/12
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138616
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】堀 芽育
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD282
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD442
4C083AD662
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】本発明は、毛髪のキューティクルCMCを補修し、毛髪強度を向上することができるのみならず、洗髪した毛髪の乾燥時間を早くすることができ、毛髪が濡れた状態を持続することによるダメージや、ドライヤー熱によるダメージを抑制することを提供する。
【解決手段】低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する毛髪化粧料を毛髪に塗布することによって、毛髪の乾燥時間が短縮され、引っ張り強度が向上する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する、毛髪化粧料。
【請求項2】
前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項2に記載の毛髪化粧料。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキ
ル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪のキューティクルCMCを補修するための、毛髪化粧料。
【請求項5】
毛髪のキューティクルCMCを補修する方法であって、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪の乾燥時間を短縮するための、毛髪化粧料。
【請求項7】
毛髪の乾燥時間を短縮する方法であって、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪の引っ張り強度を高めるための、毛髪化粧料。
【請求項9】
毛髪の引っ張り強度を高める方法であって、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のキューティクルCMC(脂質・細胞膜複合体)を補修する毛髪化粧料に関し、より詳細には、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することで、洗浄した毛髪の乾燥時間短縮や、毛髪の引張強度を向上する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は生活環境(太陽光による紫外線や熱)、日常のヘアケア行動(洗髪やブラッシングによる摩擦)、化学処理(カラーリング、パーマ等)によりダメージを受けている。
【0003】
キューティクルは毛髪の最も外側に位置する組織で、本来、毛髪を保護する役目があり、毛髪の内部から栄養素や水分の流出を防いでいるが、ダメージヘアはキューティクルが傷ついているため、キューティクル本来の機能が低下する。傷ついたキューティクルは、無数の小さな空洞を有する状態になることで、スポンジのように水分を多く吸収する状態になり、水分を蒸発させて乾かす際に、時間を要することになる。
【0004】
ここで、毛髪は、メデュラ(毛髄質)という中心部とこれを取り巻く中間部のコルテックス(毛皮質)及び一番外部のキューティクル(毛小皮)の3構造からなることが知られている。この最外部に位置するキューティクル間の接着剤のような働きをするキューティクルCMC(脂質・細胞膜複合体)の部分がスポンジ状になってしまうことがダメージの原因ともいわれており、補修する成分が留まることができれば、ダメージを抑制できることが期待され、また、繰り返し使用することにより、さらにその効果が期待できる。
【0005】
キューティクルを対象にした毛髪化粧料は、種々報告されているが、プール及び水道水中の塩素によって損傷を受けた毛髪のキューティクルを回復させ、髪がぱさぱさ、ごわごわになるのを防ぐことを意図した毛髪保護化粧料(特許文献1)や、水分散バイオセルロース微細繊維ネットワーク分散体によって、ケラチン構造体表面のキューティクルに損傷を与えない効果(特許文献2)が見出されているに過ぎず、キューティクルCMCが修復したことによる、洗浄した毛髪の乾燥時間短縮や、毛髪の引張強度を向上する効果はない。
【0006】
一方、本願発明者らは、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する毛髪化粧料が、毛髪表面に被膜を形成し、毛髪への有効成分の浸透促進を見出している(特許文献3)。この毛髪化粧料は、毛髪の乾燥速度並びに引っ張り強度に関して、なお改良の余地を有するものであった。
本発明は、毛髪に適用すると、キューティクルCMCが修復でき、それによって処理後の毛髪の乾燥速度を向上させ、更にすすぎ時の毛髪に滑らかさを付与できる。また、毛髪の引っ張り強度も向上できる毛髪化粧料に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-19622
【特許文献2】特表2019-507162
【特許文献3】国際公開パンフレットWO2020/004649
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記、キューティクルに関する技術は、いずれもキューティクルの損傷を抑制するか、
損傷したキューティクルを回復させるための技術であり、キューティクルCMCの修復により処理後の毛髪の乾燥速度を向上させるものではない。従って、毛髪のキューティクルCMC層に、毛髪化粧料を留まらせることで、毛髪のダメージを修復できる毛髪化粧料が強く求められていた。
【0009】
本発明の目的は、毛髪の引っ張り張強度を向上するのみならず、洗髪後の毛髪の乾燥時間をより短くすることができ、洗髪後の水分によるダメージやドライヤーの熱によるダメージを防ぐ毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を、毛髪化粧料に配合することで、脂質ペプチドがキューティクルCMCに浸透するとともに、毛髪のキューティクル層に滞留し、毛髪の引っ張り強度を向上するのみならず、洗髪後の毛髪の乾燥時間をより短くすることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、第1観点として、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する、毛髪化粧料である。
本発明は、第2観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、第1観点に記載の毛髪化粧料である。
本発明は、第3観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、第2観点に記載の毛髪化粧料である。
【化1】
(式中、R
1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
2は水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、R
3は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化2】
(式中、R
4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
5乃至R
7はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
【化3】
(式中、R
8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R
9乃至R
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH
2)
n-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH
2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
本発明は、第4観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪のキューティクルCMCを補修するための、毛髪化粧料である。
本発明は、第5観点として、毛髪のキューティクルCMCを補修する方法であって、第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法である。
本発明は、第6観点として、 第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪の乾燥時間を短縮するための、毛髪化粧料。
本発明は、第7観点として、 毛髪の乾燥時間を短縮する方法であって、第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法である。
本発明は、第8観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を含有する、毛髪の引っ張り強度を高めるための、毛髪化粧料である。
本発明は、第9観点として、毛髪の引っ張り強度を高める方法であって、第1観点乃至第3観点のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に塗布することを特徴とする、方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することにより、毛髪の引っ張り強度を向上するのみならず、洗髪後の毛髪の乾燥時間を短くする毛髪化粧料を提供することができる。すなわち、洗髪後の水分によるダメージやドライヤーの熱によるダメージを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は比較例1及び実施例1のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪の、引っ張り強度試験の結果を示すグラフである。
【
図2】
図2は比較例2及び実施例2のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪を洗髪した際の、ドライヤーの乾燥時間を示すグラフである。
【
図3】
図3は比較例2及び実施例3のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪を洗髪した際の、ドライヤーの乾燥時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有させることにより、毛髪のキューティクルCMC(脂質・細胞膜複合体)を補修する毛髪化粧料を提供し、洗浄した毛髪の乾燥時間短縮や、毛髪の引張強度を向上する毛髪化粧料を提供する。
【0015】
上記の脂質ペプチド型化合物としては、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物であることが好ましい。
【0016】
また、上記の脂質ペプチド型化合物としては、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的に使用可能な塩(疎水性部位である脂質部と親水性部位であるペプチド部とを有する低分子化合物)のうちの少なくとも1種からなることがより好ましい。
【化4】
【0017】
上記式(1)において、R1は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R1は不飽和結合を0乃至2個有し得る炭素原子数11乃至23の直鎖状脂肪族基であることが好ましい。
R1及び隣接するカルボニル基で構成される脂質部(アシル基)の具体例としては、ラウロイル基、ドデシルカルボニル基、ミリストイル基、テトラデシルカルボニル基、パルミトイル基、マルガロイル基、オレオイル基、エライドイル基、リノレオイル基、ステアロイル基、バクセノイル基、オクタデシルカルボニル基、アラキドイル基、エイコシルカルボニル基、ベヘノイル基、エルカノイル基、ドコシルカルボニル基、リグノセイル基、ネルボノイル基等を挙げることができ、特に好ましいものとして、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、オレオイル基、エライドイル基及びベヘノイル基が挙げられる。
【0018】
上記式(1)において、ペプチド部に含まれるR2は、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
上記炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至4であり、かつ炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基などが挙げられる。
【0019】
上記R2は好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至3であり、かつ炭素原子数1の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基である。
【0020】
上記式(1)において、R3は-(CH2)n-X基を表す。上記-(CH2)n-X
基において、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。
上記R3を表す-(CH2)n-X基において、Xは好ましくはアミノ基、グアニジノ基、カルバモイル基(-CONH2基)、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基又はインドール基であり、より好ましくはイミダゾール基である。また、上記-(CH2)n-X基において、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
従って、上記-(CH2)n-基は、好ましくはアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-カルバモイルブチル基、2-グアニジノエチル基、3-グアニジノブチル基、ピロールメチル基、4-イミダゾールメチル基、ピラゾールメチル基、又は3-インドールメチル基を表し、より好ましくは4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-グアニジノブチル基、4-イミダゾールメチル基又は3-インドールメチル基を表し、さらに好ましくは4-イミダゾールメチル基である。
【0021】
上記式(1)で表される化合物において、脂質ペプチド型化合物として特に好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。なお、本明細書において、アミノ酸の略称としては、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)を表す。ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Gly-Gln、ラウロイル-Gly-Asn、ラウロイル-Gly-Trp、ラウロイル-Gly-Lys、ラウロイル-Ala-His、ラウロイル-Ala-Gln、ラウロイル-Ala-Asn、ラウロイル-Ala-Trp、ラウロイル-Ala-Lys;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Lys、ミリストイル-Ala-His、ミリストイル-Ala-Gln、ミリストイル-Ala-Asn、ミリストイル-Ala-Trp、ミリストイル-Ala-Lys;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Lys、パルミトイル-Ala-His、パルミトイル-Ala-Gln、パルミトイル-Ala-Asn、パルミトイル-Ala-Trp、パルミトイル-Ala-Lys;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Gly-Gln、ステアロイル-Gly-Asn、ステアロイル-Gly-Trp、ステアロイル-Gly-Lys、ステアロイル-Ala-His、ステアロイル-Ala-Gln、ステアロイル-Ala-Asn、ステアロイル-Ala-Trp、ステアロイル-Ala-Lys。
【0022】
最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Ala-His;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Ala-His;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Ala-His;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Ala-Hisが挙げられる。
【0023】
【0024】
上記式(2)において、R4は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)において、R5乃至R7は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、且つR5乃至R7のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。ここでR5乃至R7の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0025】
上記式(2)で表される化合物において、好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-Ala-His、ミリストイル-Gly-Ala-Gln、ミリストイル-Gly-Ala-Asn、ミリストイル-Gly-Ala-Trp、ミリストイル-Gly-Ala-Lys、ミリストイル-Ala-Gly-His、ミリストイル-Ala-Gly-Gln、ミリストイル-Ala-Gly-Asn、ミリストイル-Ala-Gly-Trp、ミリストイル-Ala-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-His-Gly、ミリストイル-His-Gly-Gly、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-Ala-His、パルミトイル-Gly-Ala-Gln、パルミトイル-Gly-Ala-Asn、パルミトイル-Gly-Ala-Trp、パルミトイル-Gly-Ala-Lys、パルミトイル-Ala-Gly-His、パルミトイル-Ala-Gly-Gln、パルミトイル-Ala-Gly-Asn、パルミトイル-Ala-Gly-Trp、パルミトイル-Ala-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-His。
【0026】
これらのうち、最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Hisが挙げられる。
【化6】
【0027】
上記式(3)において、R8は炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のR1で定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)において、R9乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH2)n-X基を表し、且つR9乃至R12のうち少なくとも一つ以上が-(CH2)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH2基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。ここでR9乃至R12の好ましい具体例としては、前出のR2及びR3で定義したものと同じ基が挙げられる。
【0028】
上記式(3)で表される化合物において、好適な脂質ペプチド型化合物としては、ラウロイル-Gly-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His-Gly、パルミトイル-Gly-His-Gly-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Gly-His等が挙げられる。
【0029】
本発明において、脂質ペプチド型化合物の含有量は、毛髪化粧料の総質量に対して、例えば0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至10質量%、より好ましくは0.03乃至5質量%である。
なお、本発明において、脂質ペプチド型化合物は、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的な使用可能な塩のうちの少なくとも1種を用いることがより好ましく、これら化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本発明の毛髪化粧料は、少なくとも1種の上記脂質ペプチド型化合物の他に、水、アルコール、多価アルコール又はそれらの混合溶液を含むことができる。
【0031】
上記水としては、浄水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及びクラスター水などが挙げられる。
【0032】
上記アルコールとは、1価のアルコールであり、例えば、水に任意の割合で溶解する炭素原子数1乃至6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、2-プロパノール及びi-ブタノール等、並びに高級アルコール、具体的には、オレイルアルコール及びフェノキシアルコールなどが挙げられる。
【0033】
上記多価アルコールとは、2価以上のアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、イソペンチルジオール、エチルヘキサンジオール、エリスルロース、オゾン化グリセリン、カプリリルグリコール、グリコール、(C15-18)グリコール、(C20-30)グ
リコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジグリセリン、ジチアオクタンジオール、DPG、チオグリセリン、1,10-デカンジオール、デシレングリコール、トリエチレングリコール、チリメチルギドロキシメチルシクロヘキサノール、フィタントリオール、フェノキシプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、メンタンジオール、ラウリルグリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0034】
本発明において、多価アルコールを含む場合、その含有量は、毛髪化粧料の総質量に対して、例えば1質量%乃至60質量%、好ましくは、1質量%乃至30質量%とすることができる。
なお、本発明において、多価アルコールを含む場合、多価アルコールは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0035】
本発明の毛髪化粧料には、さらに界面活性剤を配合することができる。使用する界面活性剤として、分子内に親水部と疎水部を有し、かつ該親水部がベタイン構造を有する化合物(以下、ベタイン系化合物とも称する)、エチレングリコールアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、或いはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを好適に用いることができる。
【0036】
上述のようなベタイン系化合物としては、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)等のN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;ラウリルヒドロキシスルホベタイン、アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン等、両性界面活性剤として既知のベタイン系化合物を使用出来る。
また、上記ベタイン系化合物として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)、ホスファチジン酸などのグリセロリン脂質;リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などのリゾグリセロリン脂質;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質;及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらのリン脂質は、大豆、卵黄などの動植物由来のものでもよく、化学的若しくは酵素的方法により合成されたものでもよい。
上記ベタイン系化合物の中でも、好ましくは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルベタイン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸などが挙げられ、さらに好ましくは、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)が挙げられる。
【0037】
上記エチレングリコールアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパルミトイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。またエチレングリコールアルキルエーテルは市販品も使用し得、そのような製品としては、例えば花王(株)のエマルゲン(登録商標)シリーズ及びエマノーン(登録商標)シリーズのうち、エマルゲン102KG、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106
、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン350、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S-70、エマルゲン1135S-70、エマルゲン1150S-60、エマルゲン4085、エマルゲン2020G-HA、エマルゲン2025G、エマノーン1112、エマノーン3199V、エマノーン3299V、エマノーン3299RV、エマノーン4110が挙げられる。より好ましくは、花王(株)のエマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン210P、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン2020G-HA、エマノーン1112、エマノーン4110が挙げられる。さらに好ましくは、花王(株)のエマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン210P、エマルゲン306P、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン2020G-HA、エマノーン1112、エマノーン4110が挙げられる。これの他、日光ケミカルズ(株)のNIKKOL(登録商標)シリーズからも適宜選択し得る。例えば、NIKKOL BT-5、NIKKOL BT-7、NIKKOL BT-9、NIKKOL BT-12が挙げられる。
【0038】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、デカオレイン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、花王(株)のエマルゲン(登録商標)LS-106、エマルゲンLS-110、エマルゲンLS-114、エマルゲンMS-110、及び日光ケミカルズ(株)のNIKKOL(登録商標) PBC-31、NIKKOL PBC-33、NIKKOL PBC-34、NIKKOL
PBC-41、NIKKOL PBC-44、NIKKOL PBN-4612、NIKKOL PBN-4620、NIKKOL PBN-4630が挙げられる。より好ましくは、エマルゲンLS-106、エマルゲンLS-110、エマルゲンLS-114、エマルゲンMS-110が挙げられる。さらに好ましくは、エマルゲンLS-106、エマルゲンLS-110、エマルゲンMS-110が挙げられる。
【0040】
また本発明において使用する界面活性剤として、そのHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が8乃至20であるものを好適に使用することができる。より好ましくは、HLB値が8乃至14である。
このような界面活性剤としては、例えばイソステアリン酸ソルビタン、ステアレス-8、ベヘネス-10、ラウレス-5、セテス-7、オレス-8、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、コレス-10、イソステアリン酸PEG-10BG、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル、トリオレイン酸PEG-30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-30トリメチロールプロパン、ラウリン酸PEG-30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、オクチルドデセス-10、ジラウリン酸PEG-12、テトラオレイン酸ソルベス-40、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-8、イソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油、PPG-2-デセス-7、オレス-10、水添ダイマージリノレス-20、ヤシ脂肪酸ソルビタン、イソステアレス-10、ステアレス-11、トリミリスチン酸PEG-30トリメチロールプロパン、イソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、ラウレス-7、イソセテス-10、セテス-10、イソステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-10グリセリル、オレス-12、デシルテトラデセス-15、コレス-15、ジラウリン酸PEG-16、PEG-30水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-40グリセリル、トリオレイン酸PEG-40グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-40トリメチロールプロパン、ラウリン酸PEG-40水添ヒマシ油、ラウリン酸PEG-12などが挙げられる。
【0041】
本発明において、界面活性剤の配合量は、得られる皮膚外用固形基材の総質量に対して、例えば1乃至20質量%、好ましくは、1乃至10質量%、より好ましくは1乃至5質量%である。
本発明において、界面活性剤の配合量は、得られる水性組成物の総質量に対して、例えば1乃至20質量%、好ましくは、2乃至10質量%である。
なお本発明において用いられる界面活性剤は、上述の界面活性剤群の少なくとも一種であり、これら界面活性剤を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
本発明の毛髪化粧料は、必要に応じて一般に化粧品用添加剤や、医薬部外品用添加剤及び医薬用添加剤として使用可能な添加剤などを含むことができ、例えば、油性基剤、保湿剤、感触向上剤、上記以外の界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、無機塩、紫外線吸収剤、ビタミン類及びその誘導体類、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、消炎剤、抗炎症剤、等が挙げられる。
これらその他添加剤の含有量は、その種類によって種々変化し得るが、毛髪化粧料の総質量に対して、例えば0.001質量%乃至20質量%、あるいは0.01質量%乃至10質量%程度とすることができる。
【0043】
本発明の毛髪化粧料は、例えば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物、水及び所望によりその他の成分を加熱しながら混合、撹拌した後、静置放冷することによって製造され得る。
【0044】
本発明の毛髪化粧料は、その他の毛髪化粧料へ配合して使用することもできる。また、本発明の毛髪化粧料は、毛髪に塗布したのちに、水等で洗浄しても、その効果を発現することができる。
本発明における「毛髪化粧料を毛髪に塗布する」とは、毛髪化粧料を手やブラシに取って毛髪に塗布すること、毛髪化粧料を直接毛髪に塗布することも含まれる。すなわち、毛
髪化粧料が毛髪に接することを意味する。
実施例においてブリーチ毛髪を作製しているが、これは毛髪のキューティクルCMCが損傷した状態を模したものである。また、実施例においてブリーチ毛髪に毛髪化粧料を塗布し毛髪の引っ張り強度を高めることは、同時に毛髪のキューティクルCMCが修復したことを意味する。
【実施例0045】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0046】
○比較例1及び実施例1コンディショナー処理した毛髪の引張強度試験
(1)プレミックスの調製
Pal-GH(N-パルミトイル-グリシン-ヒスチジン、パルミトイルジペプチド―18)、添加剤としてステアリン酸、1,2-ヘキサンジオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製)及び水を、下記の表1に示す割合にて300mLビーカーに加え、液温80℃、200rpmで加熱撹拌を行い、均一溶液とした。撹拌しながら、冷却を行い、液温が60℃になったところで静置放冷を行い、ES-01プレミックスを調製した。
【表1】
【0047】
(2)ブリーチ毛髪の作成
人毛黒髪(BS-B-A、(株)ビューラックス製)50本に対し、EXハイブリーチ((株)マンダム製)を塗布し、1時間室温で放置することで髪の脱色処理を行った。その後、髪を蒸留水で洗浄し、60℃に設定した定温乾燥機(OF-300B、アズワン(株)製)で30分間乾燥させた。上記操作を計三回繰り返した。その後毛髪を、ドデシル硫酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)1質量%を蒸留水に溶解させた水溶液1Lに浸漬させ、蒸留水で洗浄した。ケイドライ(日本製紙クレシア(株)製)で余分な水を取った後、室温で一晩乾燥させることで、ブリーチ毛髪を作製した。
【0048】
(3)コンディショナーの調製
下記の表2に従い、ケラチン1.5質量%(wt%)を配合した比較例1及び実施例1のコンディショナーを調製した。
200mLビーカー(HARIO株式会社製)中でA相を75℃まで加熱撹拌した。B相とC相とを200mLビーカー中で混合し、75℃まで加熱撹拌した。B相とC相との混合相に対してA相を添加し、75℃中でホモミキサー(みづほ工業株式会社製QUICK HOMO MIXER LR-1A)を用いて5000rpmで5分間乳化処理を行った。その後、75℃に加熱したD相を添加し、75℃で5分間加熱撹拌を行い、40℃になるまで撹拌冷却を行った。以上の工程において、撹拌は全て200rpmで行った。
【表2】
【0049】
(4)ブリーチ毛髪のコンディショナー処理
ブリーチ毛髪1束(1.8g)に対し、比較例1及び実施例1のコンディショナー5.0gずつ塗布し、10分間静置後に洗髪し、50℃の恒温槽で1時間乾燥させた。
【0050】
(5)毛髪の引張強度試験
比較例1及び実施例1のコンディショナーを処理したブリーチ毛髪と、未処理のブリーチ毛髪と、健康毛のコントロールとして黒髪の引張強度試験を実施した。試験用毛髪を65-70μmのものを選別し、
図1のようにサンプルを加工した。尚、セロハンテープは
約2cm、綿糸は約17cmの長さとした。毛髪1本の毛元側と毛先側を固定した状態から(初荷重0.005N)、60mm/minで引っ張り、破断した時の荷重を測定した。(N=10)。結果を
図1に示す。実施例1のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪は、コントロールである未処理のブリーチ毛髪及び比較例1のコンディショナーで処理した毛髪と比較して、毛髪の引張強度が向上した。また、健康毛のコントロールである黒髪に近い強度を示すことが確認できた。
本試験において、実施例1はブリーチ髪に比べ引張強度が約0.19N向上した。
【0051】
○比較例2及び実施例2コンディショナー処理した毛髪洗髪後の乾燥時間評価
(1)コンディショナーの調製
下記の表3に従い、比較例2及び実施例2のコンディショナーを調製した。
200mLビーカー(HARIO株式会社製)中でA相を75℃まで加熱撹拌した。B相とC相とを200mLビーカー中で混合し、75℃まで加熱撹拌した。B相とC相との混合相に対してA相を添加し、75℃中でホモミキサー(みづほ工業株式会社製QUICK HOMO MIXER LR-1A)を用いて5000rpmで5分間乳化処理を行った。その後、75℃に加熱したD相を添加し、75℃で5分間加熱撹拌を行い、40℃になるまで撹拌冷却を行った。以上の工程において、撹拌は全て200rpmで行った。
【表3】
【0052】
(2)ブリーチ毛髪のコンディショナー処理
ブリーチ毛髪1束(1.8g)に対し、比較例2及び実施例2のコンディショナー5.0gずつ塗布し、10分間静置後に洗髪し、50℃の恒温槽で1時間乾燥させた。
【0053】
(3)毛髪の乾燥時間評価
比較例2及び実施例2のコンディショナーを処理したブリーチ毛髪と、未処理のブリーチ毛髪を水で濡らし、ドライヤー乾燥時の乾燥時間評価を実施した。300mLトールビーカー(HARIO製)に、重水(東京化成工業(株)製)200mLを加え、各毛髪を
10秒間浸水させた。その後、同条件でタオルドライにより余分な水分をふき取り、ドライヤー(TESCOM製)を20cm離れた距離から各毛髪にあて、乾燥30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分後の重水が乾燥した様子をFT-IR測定(ニコレティ(Nicoleti)S50、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)により評価した。測定法はATR法、分解能:8cm
-1、積算回数:16回、測定波長:4000-400cm
-1にて測定した。なお、本試験は、毛髪に元から存在している水分と、洗髪時に浸水させた水分を切り分ける目的で、重水にて洗髪を実施した。結果を
図2に示す。洗浄(洗髪)前の毛髪をbefore、洗浄直後を0minと記す。コントロールであるブリーチ毛髪や比較例2のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪と比較して、実施例2のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪は、乾燥時間が早いことが確認できた。これは、毛髪が濡れた状態によるダメージや、ドライヤー熱によるダメージを抑制することが期待できる。
図2において洗髪(浸水)による増加した水分量の50%を乾燥させる時間は、ブリーチ毛に比べ実施例2は50%以上早く、比較例2に比べ実施例2は30%以上早くなることがわかった。
【0054】
○比較例2及び実施例3コンディショナー処理した毛髪洗髪後の乾燥時間評価
(1)コンディショナーの調製
下記の表4に従い、比較例2及び実施例3のコンディショナーを調製した。
200mLビーカー(HARIO株式会社製)中でA相を75℃まで加熱撹拌した。B相とC相とを200mLビーカー中で混合し、75℃まで加熱撹拌した。B相とC相との混合相に対してA相を添加し、75℃中でホモミキサー(みづほ工業株式会社製QUICK HOMO MIXER LR-1A)を用いて5000rpmで5分間乳化処理を行った。その後、75℃に加熱したD相を添加し、75℃で5分間加熱撹拌を行い、40℃になるまで撹拌冷却を行った。以上の工程において、撹拌は全て200rpmで行った。
【表4】
【0055】
(2)ブリーチ毛髪のコンディショナー処理
ブリーチ毛髪1束(1.8g)に対し、比較例2及び実施例3のコンディショナー5.0gずつ塗布し、10分間静置後に洗髪し、余分な水分をふき取る目的でタオルドライした。
【0056】
(3)毛髪の乾燥時間評価
比較例2及び実施例3のコンディショナーを処理したブリーチ毛髪と、未処理のブリーチ毛髪をタオルドライ後、ドライヤー(Panasonic製)を10cmの離れた距離から各毛髪にあて、乾燥した。結果を
図3に示す。タオルドライ後を0minとし、1m
in~5min後の水分量を測定した。洗浄前の毛髪重量を、精密天秤により秤量し、各測定時間での秤量値から、元の毛髪重量を引き算した値(水分重量)をグラフ化した。比較例2のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪と比較して、実施例3のコンディショナーで処理したブリーチ毛髪は、乾燥時間が早いことが確認できた。これは、毛髪が濡れた状態によるダメージや、ドライヤー熱によるダメージを抑制することが期待できる。