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特開2024-34527半導体製造装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034527
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240306BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/50 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138803
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠太
(72)【発明者】
【氏名】河野 健太
(72)【発明者】
【氏名】土肥 衛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】長田 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 海人
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047BA21
5F047BB03
5F047BB19
5F047FA02
5F047FA08
5F047FA31
5F047FA72
5F047FA73
5F047FA74
5F047FA79
(57)【要約】
【課題】額縁エリアがより小さくなっても搬送部材が製品エリアに触れないで基板を搬送することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、ダイが搭載される製品エリアと該製品エリアの外側に位置する額縁エリアとを有する基板を搬送する搬送部を備える。前記搬送部は、前記基板が搬送されるときに、前記基板の上下両側の一端部を支持する搬送ブロックおよび前記基板の上下両側の他端部を支持する搬送ブロックを備える。前記搬送ブロックの一端は前記額縁エリアに位置し、他端は前記基板の外側に位置するよう設けられる。前記搬送ブロックは搬送ローラまたは搬送ベルトを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイが搭載される製品エリアと該製品エリアの外側に位置する額縁エリアとを有する基板を搬送する搬送部を備え、
前記搬送部は、前記基板が搬送されるときに、前記基板の上下両側の一端部を支持する搬送ブロックおよび前記基板の上下両側の他端部を支持する搬送ブロックを備え、
前記搬送ブロックの一端は前記額縁エリアに位置し、他端は前記基板の外側に位置するよう設けられ、
前記搬送ブロックは搬送ローラまたは搬送ベルトを含む半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記搬送ローラは前記基板に当接するローラを含み、
前記ローラは、前記基板の上面または下面と当接する第一部分および前記第一部分の径と異なる径を有し、前記基板の上面および下面に当接しない第二部分で構成され、
前記基板の上側および下側に位置する搬送ローラのうちの一方の搬送ローラにおける前記ローラは前記第二部分の径が前記第一部分の径より大きく形成され、他方の搬送ローラにおける前記ローラは前記第二部分の径が前記第一部分の径より小さく形成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2の半導体製造装置において、
前記一方の搬送ローラにおける前記ローラの前記第二部分と前記他方の搬送ローラにおける前記ローラの前記第二部分とは接触しないよう構成され、
前記一方の搬送ローラにおける前記ローラまたは前記他方の搬送ローラにおける前記ローラは上下動作が可能なように構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項3の半導体製造装置において、
前記搬送ブロックは前記基板の上に位置する前記ローラを支持および駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、前記基板の上に位置する前記ローラが前記基板の厚さに応じて上下するよう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項4の半導体製造装置において、
前記駆動部は、前記ローラが前記基板を挟むテンションを調整可能なように構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項2の半導体製造装置において、
前記第一部分は高摩擦率の弾性材質により形成され、前記第二部分は低摩擦率の硬質材により形成される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項1の半導体製造装置において、
さらに、前記基板の両外側の近傍に設けられる一組のガイドを備える半導体製造装置。
【請求項8】
請求項7の半導体製造装置において、
前記搬送ローラは前記基板に当接するローラと前記基板に当接しないローラを含み、
前記ガイドは、前記基板に当接しないローラが配置される位置に配置される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1の半導体製造装置において、
前記搬送ローラは前記基板に当接するローラを含み、
前記ローラを前記基板の搬送方向に対して開くように斜めに配置する半導体製造装置。
【請求項10】
請求項9の半導体製造装置において、
前記ローラは前記基板の幅方向側の外に段差が設けられ、前記基板に当接する接触部より径の大きいエッジ部を球面または面取り状に加工して形成される半導体製造装置。
【請求項11】
請求項10の半導体製造装置において、
前記接触部は高摩擦率の弾性材質により形成され、前記エッジ部は低摩擦率の硬質材により形成される半導体製造装置。
【請求項12】
請求項7の半導体製造装置において、
前記搬送ローラは前記基板に当接するローラを含み、
前記ローラは前記基板の幅方向に平行に設置し、その表面に突起または溝が螺旋状に形成される半導体製造装置。
【請求項13】
請求項1の半導体製造装置において、
前記搬送ブロックは、前記基板の上側に配置される上ブロックと前記基板の下側に配置される下ブロックとを有し、
前記上ブロックおよび前記下ブロックは、それぞれ独立に上下動作可能に構成される半導体製造装置。
【請求項14】
請求項13の半導体製造装置において、
前記搬送ブロックは基板搬送方向に前後動作可能な半導体製造装置。
【請求項15】
請求項14の半導体製造装置において、
さらに、前記搬送ブロックを制御する制御装置を備え、
前記搬送ブロックを複数配置し、
前記制御装置は、
少なくとも、前記基板の搬送方向の両端を除く位置に配置される前記搬送ブロックの前記上ブロックを上方に動かすと共に、前記下ブロックを下方に動かし、
当該搬送ブロックを前記基板の搬送方向とは反対方向に動かし、
当該搬送ブロックの前記上ブロックを下方に動かすと共に、前記下ブロックを上方に動かして前記基板を固定し、
当該搬送ブロックを前記基板の搬送方向に動かすよう構成される半導体製造装置。
【請求項16】
請求項1から15の何れか一項の半導体製造装置において、
前記基板の搬送方向の長さは前基板の幅方向の長さよりも短い半導体製造装置。
【請求項17】
ダイが搭載される製品エリアと該製品エリアの外側に位置する額縁エリアとを有する基板を搬送する搬送部を備え、前記搬送部は、前記基板が搬送されるときに、前記基板の上下両側の一端部を支持する搬送ブロックおよび前記基板の上下両側の他端部を支持する搬送ブロックを備え、前記搬送ブロックの一端は前記額縁エリアに位置し、他端は前記基板の外側に位置するよう設けられ、前記搬送ブロックは搬送ローラまたは搬送ベルトを含む半導体製造装置に基板を搬入する工程と、
前記搬送部により搬送されてくる前記基板にダイをボンドする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば、ダイを実装する基板を搬送するレーンを有するダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダ等の半導体製造装置(実装装置)は、接合材料を用いて、例えば、素子を基板または素子の上にアタッチする(取り付ける)装置である。接合材料は、例えば、液状またはフィルム状の樹脂やはんだ等である。素子は、例えば、半導体チップやMEMS(Micro Electro Mechanical System)、ガラスチップ等のダイである。基板は、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0003】
ダイボンダには、基板を掴み搬送する基板搬送爪と基板が移動する搬送レーン(搬送ガイド、シュート)とを有する搬送部を備えるものがある(例えば、特許文献1)。基板は搬送方向の長さが搬送方向に直交する方向の長さよりも長い構成である。この搬送部は、基板を基板供給部から搬送レーンに沿ってボンド位置まで搬送し、ボンド後、基板搬出部まで搬送して、基板搬出部に基板を渡す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-160948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術では、基板搬送爪が搬送レーンの内側に設けられるので、基板の端部と製品エリアとの距離(額縁エリア)が小さくなると、基板搬送爪(搬送部材)が製品エリアに触れる場合がある。
【0006】
本開示の課題は額縁エリアがより小さくなっても搬送部材が製品エリアに触れないで基板を搬送することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、ダイが搭載される製品エリアと該製品エリアの外側に位置する額縁エリアとを有する基板を搬送する搬送部を備える。前記搬送部は、前記基板が搬送されるときに、前記基板の上下両側の一端部を支持する搬送ブロックおよび前記基板の上下両側の他端部を支持する搬送ブロックを備える。前記搬送ブロックの一端は前記額縁エリアに位置し、他端は前記基板の外側に位置するよう設けられる。前記搬送ブロックは搬送ローラまたは搬送ベルトを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、額縁エリアがより小さくなっても搬送部材が製品エリアに触れないで基板を搬送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。
図2図2図1に示すダイボンダの概略側面図である。
図3図3図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図4図4は搬送部により搬送される基板の上面図である。
図5図5図1に示す搬送部の概略構成を示す図である。
図6図6図5に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
図7図7は比較例および実施形態における搬送部を示す図である。
図8図8は第一変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
図9図9図8に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
図10図10は第二変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
図11図11は第三変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
図12図12図11に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
図13図13は第四変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
図14図14は第五変形例における搬送部の構成を示す上面図である。
図15図15図14に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
図16図16は第六変形例における搬送部の構成を示す上面図である。
図17図17は第七変形例における搬送部の構成を示す上面図である。
図18図18は第八変形例における搬送部の構成および動作を示す図である。
図19図19は基板の向きと基板の搬送方向を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
まず、実施形態のダイボンダの構成について図1および図2を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの概略上面図である。図2図1に示すダイボンダの概略側面図である。
【0012】
ダイボンダ1は、大別して、ダイ供給部10と、ピックアップ部20と、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50と、基板供給部60と、基板搬出部70と、各部の動作を監視し制御する制御部(制御装置)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ダイ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。基板供給部60がダイボンダ1の左側に配置され、基板搬出部70がダイボンダ1の右側に配置される。
【0013】
ダイ供給部10は、ウエハWを保持するウエハ保持台(不図示)と、ウエハWからダイDを剥離する剥離ユニット13と、を有する。ウエハ保持台は図示しない駆動手段によってXY方向に動かされ、ピックアップするダイDが剥離ユニット13の位置に動かされる。剥離ユニット13は図示しない駆動手段によって上下方向に動かされる。ウエハWはダイシングテープDT上に接着されており、複数のダイDに分割されている。ウエハWが貼付されたダイシングテープDTは図示しないウエハリングに保持されている。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルムは加熱することで硬化する。
【0014】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、ウエハ認識カメラ24と、照明装置25と、を有する。ピックアップヘッド21は、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22を有し、ダイ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ウエハ認識カメラ24はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握する。なお、ピックアップ部20は、図示しない、ピックアップヘッド21を昇降、回転、X方向およびY方向に動かす各駆動部を有する。
【0015】
中間ステージ部30は、中間ステージ31と、ステージ認識カメラ34と、照明装置35と、を有する。ステージ認識カメラ34は中間ステージ31の上方に設置され、中間ステージ31上のダイDを撮影する。
【0016】
ステージ認識カメラ34は、例えば、中間ステージ31の直上に設置され、かつ中間ステージ31の中心軸とステージ認識カメラ34の光軸が一致するように垂直下方に視野角を向けて設置される。照明装置35は、中間ステージ31に載置されるダイDをステージ認識カメラ34が撮影可能な明るさにするため、光を照射する。
【0017】
ステージ認識カメラ34は、ダイDの上面から反射された被写体像を撮影する。ステージ認識カメラ34が撮影した画像は、制御部80に出力され、画像処理され、また、表示画面(図示しない)にも表示され得る。
【0018】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41はピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42を有する。基板認識カメラ44は基板Sの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数のパッケージエリアPが形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上方向に動かされ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。なお、ボンディング部40は、図示しない、ボンドヘッド41を昇降、回転、X方向およびY方向に動かす各駆動部を有する。
【0019】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、又は既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0020】
搬送部50は基板Sの端部を上下から挟んで動かす搬送ローラ51,52を基板Sの両側に有する。搬送ローラ51,52は基板供給部60と基板排出部70との間に設けられ、基板SをX軸方向に搬送する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60からボンド位置(実装位置)まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動したり、基板供給部60まで戻ったりする。
【0021】
制御部80は、ダイボンダ1の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)およびデータを格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、入出力装置と、を備える。入出力装置は、画像取込装置、モータ制御装置およびI/O信号制御装置等を有する。画像取込装置は、ウエハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44からの画像データを取り込む。モータ制御装置は、ダイ供給部10の駆動部、ピックアップ部20の駆動部、ボンディング部40の駆動部、搬送部50の駆動部等を制御する。I/O信号制御装置は、種々のセンサ信号を取り込み又は照明装置などのスイッチ等の信号部を制御する。
【0022】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一工程であるボンド工程(製造方法)について図3を用いて説明する。図3図1に示すダイボンダによる半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0023】
(ウエハ搬入工程(工程S1))
ウエハリング(不図示)がダイボンダ1に搬入される。搬入されたウエハリングがダイ供給部10に供給される。ここで、ウエハリングにはウエハWから分割されたダイDが貼付されたダイシングテープDTが保持されている。
【0024】
(基板搬入工程(工程S2))
基板Sが格納された基板搬送治具が基板供給部に供給されてダイボンダ1に搬入される。基板供給部で基板Sが基板搬送治具から取り出されて搬送ローラ51,52に固定される。
【0025】
(ピックアップ工程(工程S3))
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台が動かされる。ウエハ認識カメラ24によりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。
【0026】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0027】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0028】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はダイ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0029】
(ボンド工程(工程S4))
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0030】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。ここで、基板Sの所定箇所は、基板SのパッケージエリアP、または、すでに素子が載置されており、それに加える形で素子をボンドする際の領域、または、積層ボンドする素子のボンド領域である。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。検査されたダイDが不良の場合、ボンドヘッド41によりダイDを捨て置き領域へ搬送される。
【0031】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板Sのすべての所定箇所にダイDがボンドされる。
【0032】
(基板搬出工程(工程S5))
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送ローラ51,52から基板Sが取り出されて基板搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板搬送治具に格納された基板Sが搬出される。
【0033】
上述したように、ダイDは、基板S上にボンドされ、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDがボンドされた基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0034】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDがボンドされた基板Sが格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上にボンドされたダイDの上にダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部40に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0035】
搬送部50について図4から図6を用いて説明する。図4は搬送部により搬送される基板の上面図である。図5図1に示す搬送部の概略構成を示す図である。図6図5に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
【0036】
図4に示すように、基板Sには複数の矩形状のパッケージエリアPがアレイ状に配置されている。複数のパッケージエリアPが配置される領域を製品エリアPAという。図4では、製品エリアPAにはパッケージエリアPがX方向に10個、Y方向に4個配置されている例を示している。製品エリアPAは基板Sの端部まで配置されておらず、製品エリアPAの端部(外周)と基板Sの端部(外周)との間に余白領域がある。本明細書では、この余白領域を額縁エリアFAという。
【0037】
基板供給部60と基板排出部70との間に複数の搬送ブロック50aが設けられて搬送部50が構成される。搬送ブロック50aは、上側の搬送ローラ51と下側の搬送ローラ52と上側の駆動部55と下側の駆動部56とを備える。
【0038】
図6に示すように、搬送ローラ51は、駆動ローラ51aと、当接する他のローラの回転に従って回転する従動ローラ51b,51cと、を有する。図6に示すように、駆動ローラ51aおよび従動ローラ51b,51cはそれぞれの一部分が基板Sの額縁エリアFAの上面に当接する。搬送ローラ51は、さらに、当接する駆動ローラ51aまたは従動ローラ51b,51cの回転に従って回転する送り量同期用ローラ51f,51gを有する。駆動ローラ51aおよび従動ローラ51b,51cは円柱状であり、それらの径は同じである。送り量同期用ローラ51f,51gは円柱状であり、それらの径は同じであり、駆動ローラ51aおよび従動ローラ51b,51cの径よりも小さい。駆動部55により駆動ローラ51aに回転力が与えられると、送り量同期用ローラ51f,51gおよび従動ローラ51b,51cに回転力が伝達される。
【0039】
図6に示すように、搬送ローラ52は、駆動ローラ52aと、当接する他のローラの回転に従って回転する従動ローラ52b,52cと、を有する。図6に示すように、駆動ローラ52aおよび従動ローラ52b,52cはそれぞれの一部分が基板Sの下面に当接する。搬送ローラ52は、さらに、当接する駆動ローラ52aまたは従動ローラ52b,52cの回転に従って回転する送り量同期用ローラ52f,52gを有する。駆動ローラ52aおよび従動ローラ52b,52cは円柱状であり、それらの径は同じである。送り量同期用ローラ52f,52gは円柱状であり、それらの径は同じであり、駆動ローラ52aおよび従動ローラ52b,52cの径よりも小さい。駆動部56により駆動ローラ52aに回転力が与えられると、送り量同期用ローラ52f,52gおよび従動ローラ52b,52cに回転力が伝達される。
【0040】
搬送ローラ51および搬送ローラ52の何れか一方が他方の完全な従動ローラとなっていても良い。この場合、従動ローラは駆動ローラによって動かされる基板Sにより回転する。
【0041】
駆動部55は、搬送ローラ51の各ローラの回転軸を保持すると共に、駆動ローラ51aに回転力を付与する。駆動部56は、搬送ローラ52の各ローラの回転軸を保持すると共に、駆動ローラ52aに回転力を付与する。図6において、駆動部55が駆動ローラ51aを反時計回りに回転させると共に、駆動部56が駆動ローラ52aを時計回りに回転させることにより、基板Sは矢印の方向(右方向)に移動する。
【0042】
駆動部55,56は、少なくとも一方が上下方向に移動することが可能なように構成される。これにより、搬送ローラ51,52の少なくとも一方が上下方向に動かすことが可能になる。
【0043】
また、駆動部55,56は、搬送ローラ51,52の少なくとも一方が基板Sの厚さに追従して上下動するように構成されてもよい。搬送ローラ51,52の各ローラの回転軸は上下方向の移動が制限されておらず、基板Sの厚さに応じて上下動するよう構成されている。これにより、基板の厚さが異なっても同様の位置関係で搬送することができる。また、駆動部55,56は、搬送ローラ51,52の少なくとも一方の基板Sを挟む力を調整可能に構成されてもよい。これにより、基板の厚さが異なっても常に同様のテンション(押圧)で基板を挟んで安定的に搬送することができる。
【0044】
なお、送り量同期用ローラ51f,51g,52f,52gを設ける必要はなく、駆動部55,56において駆動ローラ51a,52aの回転軸にギア等を設けて従動ローラ51b,51c,52b,52cの回転軸に設けたギア等に回転力を伝達するようにしてもよい。
【0045】
本実施形態を効果について図7を用いて説明する。図7は比較例および実施形態における搬送部を示す図である。
【0046】
比較例における搬送部50は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪501と、基板Sが移動する搬送レーン(シュート)502と、を有する。基板Sは、搬送レーン502に設けられた基板搬送爪501の図示しないナットを搬送レーン502に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。シュート502には基板Sがw1(片側)の幅で乗っており、さらに、シュート502からgの隙間を空けた位置に幅がw2の基板搬送爪501が配置されている。よって、シュート502の端からw3(=g+w2)の位置、すなわち、基板Sの端からw4(=w1+w3=w1+g+w2)の位置までを使用して搬送している。
【0047】
基本的に製品エリアPAには基板搬送爪501や後述するクランパが触れない(基板搬送爪501やクランパが額縁エリアFAに位置する)ように設計される。そのため、製品エリアPAの端から基板Sの端までの距離が狭い基板に対応できないことがあり得る。基板SのパッケージエリアPの数を増加させる高密度化により、額縁エリアFAの狭小化が進んでいるので、これに対応できない場合があり得る。なお、一般的に、額縁エリアFAの基板Sの短辺側端部には、基板の判別番号や製造番号を把握するためのバーコードや品種名が入っている。
【0048】
なお、ボンドステージ46に基板Sを搬送する前に基板Sにペーストを塗布したり、基板Sをクリーニングしたりする場合、基板Sを固定するためプリフォームステージが用いられる。プリフォームステージやボンドステージ上では、基板Sを上から押させるため、さらにクランパを用いる場合がある。この場合は図7に示す基板搬送爪501よりさらに基板Sの内側にクランパが触れることになる。なお、基板Sの下方にはプリフォームステージやボンドステージ46のステージが当接され、ステージの幅はパッケージエリアPの幅と同程度である。
【0049】
実施形態における搬送部50では、搬送ローラ51,52が基板Sの端部にw1(片側)の幅で乗っているだけで、基板搬送爪501のスペースであるw3が不要になる。この広がったスペース(w3)の分だけ、基板SにパッケージエリアPを配置できる領域が増える。これにより、額縁エリアFAの狭小化に対応することが可能となる。
【0050】
例えば、比較例において、w1=1mm、g=0.5mm、w2=0.5mmの場合、w4=2mmとなる。この場合、実施形態は比較例よりも片側1mmスペースが広がる。基板Sの端部と製品エリアPAの端部との間(額縁エリアFA)のY方向の長さをw5とすると、比較例では、w5はw4(=2mm)まで小さくすることが可能であるのに対し、実施形態では、w5はw1(=1mm)まで小さくすることが可能になる。パッケージエリアPの大きさによっては、パッケージエリアPの数を増加させることが可能であり、製品エリアPAを高密度化することが可能になる場合がある。
【0051】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0052】
(第一変形例)
第一変形例における搬送部の構成について図8および図9を用いて説明する。図8は第一変形例における搬送部の概略構成を示す図である。図9図8に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
【0053】
第一変形例における搬送部は、実施形態における搬送ローラに代えて搬送ベルトにより基板Sを搬送する。第一変形例における搬送ブロック50aは、上側の搬送ベルト57と下側の搬送ベルト58と搬送ベルト57を駆動する駆動部55と搬送ベルト58を駆動する駆動部56とを備える。
【0054】
搬送ベルト57は基板Sの上面に当接するベルト57aおよびベルト57aに回転力を付与するプーリ57b~57dを有する。搬送ベルト58は基板Sの上面に当接するベルト58aおよびベルト58aに回転力を付与するプーリ58b~58dを備える。
【0055】
プーリ57b~57dの回転軸は、駆動部55により保持されると共に、回転力が付与される。プーリ58b~58dの回転軸は、駆動部56により保持されると共に、回転力が付与される。図9において、駆動部55がベルト57aを反時計回りに回転させると共に、駆動部56がベルト58aを時計回りに回転させることにより、基板Sは矢印の方向(右方向)に移動する。
【0056】
駆動部55,56は、少なくとも一方が上下方向に移動することが可能なように構成される。これにより、搬送ベルト57,58の少なくとも一方が上下方向に動かすことが可能になる。搬送ベルト57,58の少なくとも一方が基板Sの厚さに追従して上下動するように構成されてもよい。駆動部55,56は、搬送ベルト57,58の少なくとも一方の基板Sを挟む力を調整可能に構成されてもよい。
【0057】
(第二変形例)
第二変形例における搬送部の構成について図10を用いて説明する。図10は第二変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
【0058】
第二変形例における搬送ブロック50aは、実施形態における搬送ローラと第一変形例における搬送ベルトとを組み合わせて構成される。第二変形例における搬送ブロック50aは、図10に示すB-RまたはR-Bにおける構成である。B-Rは上側が第一変形例と同様に搬送ベルト57を用い、下側が実施形態と同様に搬送ローラ52を用いる場合である。R-Bは上側が実施形態と同様に上側が搬送ローラ51を用い、下側が第一変形例と同様に搬送ベルト58を用いる場合である。
【0059】
(第三変形例)
第三変形例における搬送部の構成について図11および図12を用いて説明する。図11は第三変形例における搬送部の概略構成を示す図である。図12図11に示す搬送ローラおよび駆動部の概略構成を示す図である。
【0060】
第三変形例における搬送ローラは基板ずれを防止する構成を有する。第三変形例における搬送ローラ51,52は駆動ローラ51a,52a、従動ローラ51b,51c,52b,52cおよび送り量同期用ローラ51f,51g,52f,52gのローラの形状を除いて、実施形態における搬送ブロックと同様の構成である。実施形態におけるローラは径が一様な円柱状であるが、第三変形例における駆動ローラ51a,52aおよび従動ローラ51b,51c,52b,52cは円柱の途中で段差が形成され径が異なる二つの部分で構成されている。駆動ローラ51a,52aおよび従動ローラ51b,51c,52b,52cのローラの形状の変更に伴い、それに従動する送り量同期用ローラ51f,51g,52f,52gも形状が変更になっている。
【0061】
上側の駆動ローラ51aは、基板Sの上面に当接する第一部分51a1と基板Sの外に位置し、基板Sの上面に当接しない第二部分51a2とを有する。第一部分51a1は円柱状である。第二部分51a2は円柱状であり、第一部分51a1の径よりも大きい径である。すなわち、駆動ローラ51aは段差を有する。これにより、基板Sの幅方向(Y方向)側の端部が第二部分51a2に当接することが可能になる。第二部分51a2が基板Sの横方向(X方向)のガイドとして機能する。第二部分51a2の幅(Y方向の長さ)は第一部分51a1の幅(Y方向の長さ)よりも広い(長い)。従動ローラ51b,51cは駆動ローラ51aと同様の構成である。送り量同期用ローラ51fは、第二部分51a2に当接するよう構成される。従動ローラ51b,51cは駆動ローラ51aと同様の構成である。送り量同期用ローラ51gは、送り量同期用ローラ51fと同様の構成である。
【0062】
下側の駆動ローラ52aは、基板Sの下面に当接する第一部分52a1と基板Sの外に位置し、基板Sの下面に当接しない第二部分52a2とを有する。第一部分52a1は円柱状である。第二部分52a2は円柱状であり、第一部分52a1の径よりも小さい径である。すなわち、駆動ローラ52aは段差を有する。第二部分52a2の幅(Y方向の長さ)は第一部分52a1の幅(Y方向の長さ)よりも広い(長い)。駆動ローラ52aの第一部分52a1の幅は駆動ローラ51aの第一部分51a1よりも僅かに狭く、第一部分52a1が第二部分51a2と密着しないように構成される。送り量同期用ローラ52fは、第二部分52a2に当接するよう構成される。従動ローラ52b,52cは駆動ローラ52aと同様の構成である。送り量同期用ローラ52gは、送り量同期用ローラ52fと同様の構成である。
【0063】
駆動ローラ51aの第二部分51a2の下端は基板Sの下面よりも下方に位置することになるが、第二部分51a2と駆動ローラ52aの第二部分52a2の間に隙間を設けて第二部分51a2と第二部分52a2が接触しないように、第二部分51a2および第二部分52a2の径が設定される。
【0064】
第一部分51a1,52a1は高摩擦率の弾性材質により形成される。第二部分51a2は低摩擦率の硬質材により形成される。これにより、基板Sを搬送させる部分(第一部分)は十分な摩擦力で基板Sへの推進力を確保するととともに、ガイド部分(第二部分)は基板Sの接触による摩擦による損傷を最小限にとどめることができる。
【0065】
実施形態における搬送部は、搬送の際に基板Sの幅方向(Y方向)に基板Sがずれる可能性がある。本変形例では、基板Sが幅方向にずれようとするとき、基板Sの端面が駆動ローラ51aの第二部分51a2および従動ローラ51b,51cの第二部分の側面に当接するため、それ以上ずれなくなる。
【0066】
(第四変形例)
第四変形例における搬送部の構成について図13を用いて説明する。図13は第四変形例における搬送部の概略構成を示す図である。
【0067】
第四変形例における搬送ベルトは基板ずれを防止する構成を有する。第四変形例における搬送ブロック50aは搬送ベルト57,58のベルト57a,58aの形状を除いて、第一変形例における搬送ブロックと同様の構成である。第一変形例におけるベルトは厚さが一様であるが、第四変形例における搬送ベルト57,58のベルト57a,58aは途中で段差が形成され厚さが異なる二つの部分で構成されている。
【0068】
上側の搬送ベルト57のベルト57aは、基板Sの上面に当接する第一部分57a1と基板Sの外に位置し、基板Sの上面に当接しない第二部分57a2とを有する。第二部分57a2は、第一部分57a1の厚さよりも厚く形成される。すなわち、ベルト57aは段差を有する。これにより、基板Sの幅方向(Y方向)側の端部が第二部分57a2に当接することが可能になる。第二部分57a2が基板Sの横方向(X方向)のガイドとして機能する。第二部分57a2の幅(Y方向の長さ)は第一部分57a1の幅(Y方向の長さ)よりも広い(長い)。
【0069】
下側の搬送ベルト58のベルト58aは、基板Sの下面に当接する第一部分58a1と基板Sの外に位置し、基板Sの下面に当接しない第二部分58a2とを有する。第二部分58a2は、第一部分58a1の径よりも小さい径である。すなわち、ベルト58aは段差を有する。第二部分58a2の幅(Y方向の長さ)は第一部分58a1の幅(Y方向の長さ)よりも広い(長い)。ベルト58aの第一部分58a1の幅はベルト57aの第一部分57a1よりも僅かに狭く、第一部分58a1が第二部分57a2と密着しないように構成される。
【0070】
ベルト57aの第二部分57a2の下端は基板Sの下面よりも下方に位置することになるが、第二部分57a2とベルト58aの第二部分58a2の間に隙間を設けて第二部分57a2と第二部分58a2が接触しないように、第二部分57a2および第二部分58a2の厚さが設定される。
【0071】
第一部分57a1,58a1は高摩擦率の弾性材質により形成される。第二部分57a2は低摩擦率の硬質材により形成される。これにより、基板Sを搬送させる部分(第一部分)は十分な摩擦力で基板Sへの推進力を確保するととともに、ガイド部分(第二部分)は基板Sの接触による摩擦による損傷を最小限にとどめることができる。
【0072】
本変形例では、基板Sが幅方向にずれようとするとき、基板Sの端面がベルト57aの第二部分57a2の側面に当接するため、それ以上ずれなくなる。
【0073】
(第五変形例)
第五変形例における搬送部の構成について図14および図15を用いて説明する。図14は第五変形例における搬送部の構成を示す上面図である。図15図14に示す搬送部のA-A線における概略断面図である。
【0074】
第五変形例における搬送部は、基板Sの両脇にガイドを備える。第五変形例における搬送部50は実施形態における搬送部に対して、搬送ローラ51,52が配置される個所以外に基板Sの横方向(Y方向)のガイド59を追加する。言い換えると、ガイド59はX方向に沿って間欠的に設けられる。
【0075】
ガイド59のZ方向の長さ(厚さ)は、送り量同期用ローラ51f~51h,52f~52hと当接しない厚さである。ガイド59のX方向の両端部は、基板Sと当接するX方向の長さをできるだけ長くするように、かつ、駆動ローラ51a,52a、従動ローラ51b~51d,52b~52dと当接しないようにするため、斜めに形成される。
【0076】
なお、搬送ローラ51,52の両方を第三変形例における下側の搬送ローラ52と同様に段差を有する構成とする場合、ガイド59は搬送ローラ51,52に当接することがないので、X方向に沿って連続的に設けてもよい。
【0077】
また、図14では、実施形態における搬送ローラ51に対して、さらに、従動ローラ51dおよび送り量同期用ローラ51hを有する例が示されている。しかし、従動ローラおよび量同期用ローラの数はこの例に限定されるものではなく、例えば、実施形態と同じあってもよい。
【0078】
(第六変形例)
第六変形例における搬送部の構成について図16を用いて説明する。図16は第六変形例における搬送部の構成を示す上面図である。
【0079】
第六変形例における搬送部50は実施形態と同様に搬送ローラ51,52が用いられる。ただし、搬送ローラ51の回転軸の延伸方向を基板Sの幅方向に対して搬送方向に傾けて、搬送ローラ51を斜めに取り付ける。傾け角度は、例えば、搬送ローラの径が10mmのときは0度よりも大きく15度以下が好ましい。なお、傾け角度は、搬送ローラの径により最適値が定められる値であり、この範囲に限らない。斜めに取り付けることで摩擦が発生し、搬送方向に対して直交方向に張力がかかる。これにより基板Sの反りや撓みを軽減することが可能となる。なお、下側の搬送ローラ52は図示されていないが、上側の搬送ローラ51と同様の構成である。
【0080】
なお、図16では、実施形態における搬送ローラ51に対して、さらに、従動ローラ51d,51eを有する例が示され、送り量同期用ローラ51f,51gを有さない例が示されている。しかし、従動ローラの数はこの例に限定されるものではなく、例えば、実施形態と同じあってもよいし、第五変形例と同じであってもよい。また、送り量同期用ローラ51f,51gに代えて、送り量を同期する機構を駆動部56の中に設けられている。
【0081】
(第七変形例)
第七変形例における搬送部の構成について図17を用いて説明する。図17は第七変形例における搬送部の構成を示す上面図である。
【0082】
第七変形例における搬送部50は、搬送ローラ51の形状を除いて、第六変形例における搬送部50と同様の構成である。第六変形例における搬送ローラ51は径が一様な円柱状であるが、第七変形例における搬送ローラ51は第三変形例と同様に円柱の途中で段差が形成され径が異なる二つの部分で構成されている。
【0083】
例えば、駆動ローラ51aは、基板Sの上面に当接する第一部分51a1と、基板Sの外に位置し、基板Sの上面に当接しない第二部分51a2と、を有する。第一部分51a1は円柱状である。第二部分51a2は円柱状であり、第一部分51a1の径よりも大きい径である。すなわち、駆動ローラ51aは段差を有する。これにより、基板Sの幅方向(Y方向)側の端部が第二部分51a2に当接することが可能になる。第二部分51a2が基板Sの横方向(X方向)のガイドとして機能する。第二部分51a2の幅(Y方向の長さ)は第一部分51a1の幅(Y方向の長さ)よりも広い(長い)。
【0084】
第一部分51a1は高摩擦率の弾性材質により形成される。第二部分51a2のエッジ部は低摩擦率の硬質材により形成される。このような構成により、ガイド部分となるローラは接触点が常に移動し基板の接触による摩擦による損傷を最小限にとどめることができる。なお、下側の搬送ローラ52は図示されていないが、第三変形例と同様の形状である。
【0085】
(第八変形例)
第八変形例における搬送部について図18を用いて説明する。図18は第八変形例における搬送部の構成および動作を示す図である。
【0086】
搬送ローラまたは搬送ベルトによる搬送は、基板搬送爪による搬送よりも搬送速度が遅くなりやすい。そこで、ボンドステージ付近などの一部のエリアにおいて、第九変形例における搬送ブロック50aは搬送ローラまたは搬送ベルトが基板Sを挟んで移動する動作(ピッチ送り動作)を行う。以下、搬送ブロック50aが搬送ベルトで構成される例を用いてピッチ送り動作について説明する。
【0087】
搬送部50の一部は、例えば、搬送ブロックTB1と、搬送ブロックTB2と、搬送ブロックTB3と、で構成される。搬送ブロックTB1,TB2,TB3のそれぞれは第一変形例における上側の搬送ベルト57、下側の搬送ベルト58、搬送ベルト57を駆動する駆動部55および搬送ベルト58を駆動する駆動部56とで構成される。例えば、搬送ブロックTB1および搬送ブロックTB3は、基板Sの搬送方向においては、固定されて配置され、搬送ブロックTB2は搬送ブロックTB1と搬送ブロックTB3との間に基板Sの搬送方向に沿って移動可能に配置される。以下、ピッチ送り動作について説明する。
【0088】
ステップ0(STP0)
搬送ブロックTB1,TB2により基板Sが搬送されている。このとき、搬送ブロックTB3は搬送されて来る基板Sを受け取るため、上側の搬送ベルト57が上方に移動している。
【0089】
ステップ1(STP1)
搬送ブロックTB2は、矢印(a)で示すように、上側の搬送ベルト57を上方に移動し、下側の搬送ベルト58を下方に移動し、上側の搬送ベルト57および下側の搬送ベルト58を搬送ブロックTB1側に移動する。
【0090】
ステップ2(STP2)
搬送ブロックTB2は、矢印(b)で示すように、上側の搬送ベルト57を下方に移動し、下側の搬送ベルト58を上方に移動して、基板Sに当接する。搬送ブロックTB1は、矢印(c)で示すように、上側の搬送ベルト57を上方に移動する。
【0091】
ステップ3(STP3)
搬送ブロックTB2は、矢印(d)で示すように、基板Sを挟んだで、搬送ブロックTB3側に移動する。すなわち、搬送ブロックTB2は、基板Sをピッチ送りする。搬送ブロックTB3は、矢印(e)で示すように、上側の搬送ベルト57を下方に移動して、基板Sに当接する。
【0092】
本変形例によれば、ボンディング部のように精度を要求する部分において基板を高精度にピッチ送りすることができる。また、配置される搬送ローラまたは搬送ベルトの数を少なくすることが可能である。また、基板Sの搬送速度を向上させることが可能である。
【0093】
(第九変形例)
第九変形例における基板について図19を用いて説明する。図19は基板の向きと基板の搬送方向を示す概略上面図である。
【0094】
基板Sは、平面視において矩形状であり、長さがL1の長辺と長さがL2(<L1)の短辺を有する。上述したように、額縁エリアFAの基板Sの短辺側端部には、基板の判別番号や製造番号を把握するためのバーコードや品種名が入る領域BCがある。
【0095】
実施形態、第一変形例から第九変形例では、図19のH-Sに示すように、基板Sの長辺が延伸方向(X方向)に沿って搬送されるよう配置される。したがって、基板Sを搬送するため、基板Sの長辺の端部は搬送部50と接する領域が必要であり、その領域はパッケージエリアPの外の領域(額縁エリア)である。
【0096】
他方、図19のV-Sに示すように、第十変形例における基板Sは短辺が延伸する方向(X方向)に沿って搬送されるよう配置される。基板Sの長辺の端部は搬送部50と接する領域が不要であり、パッケージエリアPを基板Sの長辺の端部ぎりぎりまで配置することができる。これにより、パッケージエリアPのサイズによっては、パッケージエリアPの数を増やすことが可能である。
【0097】
また、基板Sを搬送するため、基板Sの短辺の端部は搬送部50と接する領域が必要であるが、その領域はパーケージエリアPの外の領域(額縁エリア)であり、領域BCが配置される。領域BCが配置されることにより、パーケージエリアPが配置されることはないので、搬送部50と接する領域を広く確保することが可能である。よって、図7に示す比較例における搬送部50の基板搬送爪501を使用することが可能である。搬送部50としては、実施形態、第一変形例から第九変形例の搬送部50を使用することはもちろん可能である。
【0098】
なお、基板Sの短辺の両端部が搬送部50により支持されるので、基板Sに撓みや生ずることもあり得る。この場合は、第六変形例または第七変形例の搬送部50を使用するのが好ましい。
【0099】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0100】
例えば、実施形態では、送り量同期用ローラの径は駆動ローラ(従動ローラ)よりも小さい例を説明した。送り量同期用ローラの径は駆動ローラ(従動ローラ)よりも大きくてもよい。
【0101】
実施形態や変形例では、基板Sの上面側の搬送ローラ51または搬送ベルト57のうち基板Sに当接する部分の幅(Wuとする。)と基板Sの下面側の搬送ローラ52または搬送ベルト58のうち基板Sに当接する部分の幅(Wdとする。)が同じである例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、WuとWdは異なってもよい。例えば、ボンドステージ46等のステージがある箇所に配置される搬送ローラ51,52または搬送ベルト57,58においては、WuがWdよりも大きくてもよい。ボンドステージ46等のステージがない箇所に配置される搬送ローラ51,52または搬送ベルト57,58においては、WdがWuよりも大きくてもよい。
【0102】
実施形態では、ダイ供給部からダイをピックアップヘッドによりピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドによりピックアップして基板にボンディングするダイボンダについて説明した。ピックアップヘッドがなく、ダイ供給部のダイをボンディングヘッドによりピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドによりピックアップして基板にボンディングするようにしてもよい。
【0103】
実施形態ではウエハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
【0104】
実施形態ではダイの表面を上にしてボンディングされるが、ダイをピックアップ後ダイの表裏を反転させて、ダイの裏面を上にしてボンディングしてもよい。この装置はフリップチップボンダという。
【0105】
実施形態では、ダイ供給部のウエハからダイをピックアップする例を説明したが、トレイからダイをピッアップしてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
40・・・ボンディング部
50・・・搬送部
50a・・・搬送ブロック
51,52・・・搬送ローラ
57,58・・・搬送ベルト
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