(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034731
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240306BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G03G15/08 220
G03G21/16 176
G03G15/08 348B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139189
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓
(72)【発明者】
【氏名】藤原 香弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 右騎
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD35
2H077AE06
2H077BA03
2H077BA08
2H077CA12
2H077EA03
2H077EA15
2H077GA04
2H171FA02
2H171FA13
2H171GA29
2H171HA19
2H171JA23
2H171JA29
2H171JA45
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB41
2H171QB52
2H171QB55
2H171QC03
2H171RA01
2H171RA05
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合を効率的かつ充分に軽減する。
【解決手段】入口シール26r(可撓性シート部材)を保持するケース部材26s(保持部材)は、感光体ドラム21に対向して入口シール26rが片持ち支持される支持面26s1と、現像領域に対して回転方向の上流側で現像ローラ26aに対向する対向面26s2と、支持面26s1における現像領域に近い側の端部と、対向面26s2における現像領域に近い側の端部と、に繋がり感光体ドラム21に対向する中継面26s3と、が設けられている。そして、少なくとも回転軸方向の両端部Nを除く位置において、現像ローラ26aの回転軸に直交する断面でみたときに、支持面26s1の現像領域に近い側の端部から突き出る入口シール26rの長さH1が、中継面26s3の長さに比べて短くなっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向又は接触して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、
前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、自由端側の先端が前記像担持体に当接する可撓性シート部材と、
前記可撓性シート部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
前記像担持体に対向して前記可撓性シート部材が片持ち支持される支持面と、
前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、前記現像剤担持体に対向する対向面と、
前記支持面における前記現像領域に近い側の端部と、前記対向面における前記現像領域に近い側の端部と、に繋がり、前記像担持体に対向する中継面と、
を具備し、
少なくとも回転軸方向の両端部を除く位置において、前記現像剤担持体の回転軸に直交する断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて短いことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記断面でみたときに、前記中継面と前記対向面とが繋がる部分の位置が、前記可撓性シート部材が前記像担持体に接触する位置よりも回転方向下流側にあることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記保持部材の前記支持面に支持されて、前記現像剤担持体における前記回転軸方向の端部を覆う第2可撓性シート部材と、
前記回転軸方向の端部において、前記保持部材の前記対向面と前記中継面とに跨るように設置された弾性シート部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記可撓性シート部材は、前記回転軸方向の端部において、
前記第2可撓性シート部材との間に挟まれるように前記支持面に支持されるとともに、
前記断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて長いことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記弾性シート部材は、前記中継面において、前記可撓性シート部材と前記第2可撓性シート部材とを介して前記像担持体に圧接可能に設置されたことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2可撓性シート部材は、前記回転軸方向の端部において、前記可撓性シート部材との間に挟まれるように前記支持面に支持され、
前記回転軸方向にわたって、前記断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて短く、
前記保持部材の前記支持面は、前記回転軸方向の端部において、前記第2可撓性シート部材が支持される面が、他の面に比べて前記像担持体から遠ざかるように段状に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1又は請求項2に記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感光体ドラムなどの像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、それを備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、トナー飛散を防止することを目的として、現像領域の上流側に可撓性シート部材(入口シール)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、現像装置には、現像ローラ(現像剤担持体)における現像領域(感光体ドラムに対向する領域である。)の上流側を覆う保持部材(ケーシング部材)が設けられている。そして、その保持部材には、自由端側の先端が感光体ドラムに当接するように可撓性シート部材(入口シール)が貼着されている。このように現像装置に設置された可撓性シート部材によって、現像領域の上流側でトナーが吹き出してしまう不具合(トナー飛散)が軽減されることになる。
【0004】
一方、特許文献1には、入口シール(可撓性シート部材)の表面に現像剤(トナー)が堆積する不具合を軽減することを目的として、現像ローラに対する対向距離が異なるように、2つの入口シールを段状に設置する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、可撓性シート部材(入口シール)の表面に現像剤が滞留してしまっていた。そして、可撓性シート部材に滞留した現像剤が、あるとき現像剤担持体に一気に移動してしまい、トナー落ち画像などの異常画像が発生してしまっていた。
これに対して、特許文献1の技術は、2つの可撓性シート部材(入口シール)を設けているため、上述した不具合を軽減する効果が期待できるものの、2つの可撓性シート部材を組付ける作業に手間が掛ったり、可撓性シート部材を1つ設置する場合に比べて装置が高コスト化してしまったりしていた。
また、このような不具合を解決するために、可撓性シート部材を現像剤担持体から充分に離れた位置に配置するように、可撓性シート部材を保持する保持部材を構成する方策が考えられるが、その場合であっても可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合を充分に軽減する必要がある。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合が効率的かつ充分に軽減される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における現像装置は、像担持体に対向又は接触して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、自由端側の先端が前記像担持体に当接する可撓性シート部材と、前記可撓性シート部材を保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記像担持体に対向して前記可撓性シート部材が片持ち支持される支持面と、前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、前記現像剤担持体に対向する対向面と、前記支持面における前記現像領域に近い側の端部と、前記対向面における前記現像領域に近い側の端部と、に繋がり、前記像担持体に対向する中継面と、を具備し、少なくとも回転軸方向の両端部を除く位置において、前記現像剤担持体の回転軸に直交する断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて短いものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可撓性シート部材の表面に現像剤が滞留する不具合が効率的かつ充分に軽減される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】現像装置を回転軸方向(長手方向)に示す図である。
【
図4】現像装置における、(A)回転軸方向中央部の要部を示す断面図と、(B)回転軸方向端部の要部を示す断面図と、である。
【
図7】現像装置の要部を拡大して示す断面図である。
【
図8】比較例としての、現像装置の要部を示す断面図である。
【
図9】変形例としての、現像装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(
図2参照)が設置されている。
【0012】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
また、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、80はクリーニング装置23(
図2参照)や中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーが廃トナーとして回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0013】
ここで、
図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0014】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(
図2参照)の表面に向けて照射される。
【0015】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、
図1、
図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0016】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0017】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0018】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置23で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0019】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置81の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置81に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
なお、中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
【0020】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0021】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセス(印刷)が完了する。
【0022】
次に、
図2及び
図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0023】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0024】
図2、
図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード26c、等で構成される。
なお、本実施の形態における現像装置26には、現像領域に対して上流側の位置で、自由端側の先端26r1(
図4(A)参照)が感光体ドラムに当接する可撓性シート部材(第1可撓性シート部材)としての入口シール26rが設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0025】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
なお、本実施の形態では、トナーの平均粒径が5.2μm程度に、キャリアの平均粒径が35μm程度に、トナー濃度が7wt%程度に、現像装置26内の現像剤量が250g程度に設定されている
【0026】
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップ(現像ギャップ)をあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、
図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の磁極を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0027】
図2、
図3を参照して、搬送部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を回転軸方向(
図2の紙面垂直方向、
図3の左右方向であって、長手方向である。)に搬送して循環経路(
図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の回転軸方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、
図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、回転軸方向両端部を除く位置に配設されている。
【0028】
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を回転軸方向に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を回転軸方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸にスクリュ部が巻装されたものであって、600rpm程度の回転数で回転駆動される。
【0029】
図2等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1にフィルタ26tが設置されている。
詳しくは、現像装置26の現像上ケース26k(現像ケース)の天井部には、内外に貫通する開口部26k1(通気路)が形成されている。そして、その開口部26k1を塞ぐようにフィルタ26tが設けられている。フィルタ26tは、トナーを捕集して通気するためのものである。
【0030】
なお、
図2を参照して、本実施の形態では、現像装置26のケーシング(筐体)として、上述した現像上ケース26kの他に、現像下ケース26jが設けられている。
現像下ケース26jは、現像装置26のベースとなるケーシングであって、現像ローラ26aや搬送スクリュ26b1、26b2を回転可能に保持するとともに、ドクターブレード26cやケース部材26s(入口シール26rを保持する保持部材である。)を保持している。
これに対して、現像上ケース26k(現像ケース)は、現像ローラ26a(現像剤担持体)の上方を覆うように配置されている。また、現像上ケース26kは、現像ローラ26a、搬送スクリュ26b1、26b2、ドクターブレード26cを保持した状態の現像下ケース26jに対して、パッチン止めやネジ締結などによって着脱可能に構成されている。
【0031】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに説明する。
現像ローラ26aは、所定の回転方向(
図2の矢印方向(反時計方向)である。)に回転している。現像装置26内の現像剤は、
図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら回転軸方向(長手方向)に循環する(
図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである
【0032】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、トナー補給経路(不図示)を経由して補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ(不図示)によって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の回転軸方向(
図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0033】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像装置26(画像形成装置1)の構成・動作について詳しく説明する。
先に
図2、
図3等を用いて説明したように、現像装置26には、現像剤担持体としての現像ローラ26aや、可撓性シート部材としての入口シール26rや、入口シール26rを保持する保持部材としてのケース部材26sが設けられている。
現像剤担持体としての現像ローラ26aは、像担持体としての感光体ドラム21に対向して現像領域を形成して、所定の回転方向(
図2、
図4の反時計方向(矢印方向)である。)に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像するためのものである。
【0034】
ここで、
図2、
図4(A)等を参照して、本実施の形態における現像装置26には、感光体ドラム21(像担持体)に当接する可撓性シート部材としての入口シール26rが、ケース部材26s(保持部材)に保持(片持ち支持)されている。この入口シール26r(可撓性シート部材)は、自由端側の先端26r1(
図4(A)参照)が、現像領域に対して回転方向上流側で感光体ドラム21(像担持体)に当接している(先端26r1を含む部分や先端26r1近傍が腹当りするような状態も含む。)。
詳しくは、保持部材としてのケース部材26sは、現像領域(現像ローラ26aが感光体ドラム21に対向する位置である。)に対して
図4の矢印で示す回転方向の上流側であって、ドクターブレード26cに対して回転方向の下流側で、現像ローラ26aや感光体ドラム21に対向するように、ドクターブレード26cを介して現像下ケースに26jに保持されている。
【0035】
また、
図4(A)等を参照して、保持部材としてのケース部材26sには、支持面26s1(第1面)と対向面26s2(第2面)と中継面26s3(第3面)とが設けられている。
支持面26sは、感光体ドラム21(像担持体)に対向して入口シール26r(可撓性シート部材)が片持ち支持される面とである。具体的に、本実施の形態における支持面26s1は、略鉛直方向下方に延びるように平面状に形成されていて、入口シール26rが両面テープなどを介して貼着されている。そして、入口シール26rは、その先端26r1(ケース部材26sの支持面26s1から突き出した自由端側の先端である。)が感光体ドラム21の表面に摺接することになる。
対向面26s2は、現像領域に対して回転方向上流側(現像ローラ26aの回転方向の上流側である。)で、現像ローラ26a(現像剤担持体)に対向する面である。具体的に、本実施の形態における対向面26s2は、現像ローラ26aの曲率に沿うように(現像ローラ26aとのギャップが略一定になるように)曲面状に形成されている。
中継面26s3は、支持面26s1における現像領域に近い側の端部と、対向面26s2における現像領域に近い側の端部と、に繋がり、感光体ドラム21(像担持体)に対向する面である。具体的に、本実施の形態における中継面26s3は、感光体ドラム21とのギャップが略一定になるように平面状(又は、曲面状)に形成されている。
【0036】
ここで、本実施の形態では、入口シール26r(可撓性シート部材)として、表面摩擦係数が小さくて厚さが0.1mm程度の略矩形のウレタンシートを用いている。
また、入口シール26rは、感光体ドラム21に対して所定の喰い込み量(感光体ドラム21の半径から、
図4(A)において破線で示す入口シール26rの先端から感光体ドラム21の中心までの距離を除した値である。)で喰い込むように構成されている。
なお、
図4(A)(及び、
図4(B))において、入口シール26rについて破線で示す部分は、感光体ドラム21が存在しなかった場合(現像装置26が単体の状態で感光体ドラム21に接触しない場合)における入口シール26rの位置を示すものである。
【0037】
なお、本実施の形態では、ケース部材26sがドクターブレード26cを介して現像下ケース26jに保持されるように構成したが、ケース部材26sの保持方法はこれに限定されることなく、例えば、ケース部材26sが現像下ケース26jに直接的に保持されるように構成したり、ケース部材26sを現像下ケース26j(現像ケース)の一部として構成したりすることもできる。
【0038】
このように、本実施の形態における現像装置26は、現像ローラ26aに対する対向距離が異なるように2つの入口シールを段状に設置するのではなくて、1つの入口シール26rを現像ローラ26aから充分に離れた位置に配置するようにケース部材26sを構成しているため、入口シール26rの表面に現像剤が滞留してしまう不具合を軽減しつつ、入口シール26rの組付けに手間が掛る不具合や、装置が高コスト化する不具合を軽減することができる。
【0039】
ここで、
図4(A)を参照して、本実施の形態における現像装置26は、少なくとも回転軸方向の両端部(
図3における範囲Nである。)を除く位置(
図3における範囲Mである。)において、現像ローラ26a(現像剤担持体)の回転軸に直交する断面でみたときに、ケース部材26sの支持面26s1の現像領域に近い側の端部から突き出る入口シール26r(可撓性シート部材)の長さH1が、中継面26s3の長さ(支持面26s1に繋がる位置から対向面26s2に繋がる位置までの長さ)に比べて短くなるように構成されている。
【0040】
したがって、
図4(A)に示すように、上述した断面でみたときに、中継面26s3と対向面26s2とが繋がる部分Xの位置が、入口シール26r(可撓性シート部材)が感光体ドラム21(像担持体)に接触する位置(先端26r1の位置である。)よりも回転方向下流側(現像ローラ26aの回転方向の下流側である。)にあることになる。
さらに、支持面26s1の端部からケース部材26s(保持部材)の先端の部分Xまでの鉛直方向の高さH2が、支持面26s1の端部から入口シール26rの先端26r1までの高さに比べて高くなっている。すなわち、ケース部材26s(保持部材)の先端の部分Xが、入口シール26rの先端26r1に比べて、現像領域の側に突き出している。
【0041】
このように、本実施の形態では、現像ローラ26aから充分に離れた位置で入口シール26rを保持するケース部材26sの先端部Xが、入口シール26rの先端26r1より突き出るように構成している。そのため、入口シール26rは、現像ローラ26aの側から見たときに、ケース部材26s(中継面26s3)によって隠れた状態になる。したがって、現像ローラ26aから入口シール26rへの現像剤の直接的な移動が生じにくくなって、入口シール26rの表面に現像剤が付着・滞留する不具合がさらに充分に軽減されることになる。
すなわち、比較例として
図8に示す現像装置126のように、現像ローラ26aから充分に離れた位置で入口シール126rを保持するようにケース部材26sを構成しても、入口シール26rの先端126r1がケース部材26sの先端部Xより突き出るように構成してしまうと、入口シール126rは、現像ローラ26aの側から見たときに、ケース部材26s(中継面26s3)から露出した状態になる。したがって、入口シール126rの表面に現像剤が付着・滞留する不具合を充分に軽減することができない。
これに対して、本実施の形態のものは、現像ローラ26aの側から見たときに、入口シール26rがケース部材26sによって露出しない状態になるため、入口シール26rの表面に現像剤が付着・滞留する不具合を充分に軽減することができる。
【0042】
ここで、
図4(B)、
図5等に示すように、本実施の形態における現像装置26は、回転軸方向両端部にそれぞれ、第2可撓性シート部材としてのサイドシール26uと、弾性シート部材としてのスポンジシール26wと、が設けられている。
【0043】
第2可撓性シート部材としてのサイドシール26uは、現像ローラ26a(現像剤担持体)における回転軸方向の端部(
図3における範囲Nである。)を覆うように、その一端側がケース部材26sの支持面26s1に支持(貼着)されている。
換言すると、サイドシール26uは、現像ローラ26aを覆う現像ケース(現像上ケース26k、現像下ケース26j、ケース部材26sである。)と、現像ローラ26aと、の回転軸方向端部の隙間を封止するように形成されている。
このようにサイドシール26uを設けることで、現像装置26の端部(現像ローラ26aと現像ケース26k、26j、26sの側部との隙間)からのトナー飛散が軽減されることになる。
なお、本実施の形態において、サイドシール26uの他端側は、現像下ケース26jとケース部材26sとにかけて、貼着(支持)されている。これに対して、サイドシール26uの他端側を、現像下ケース26jと現像上ケース26kとにかけて貼着したり、現像下ケース26jと現像上ケース26kとケース部材26sとにかけて貼着したりすることもできる。サイドシール26uを現像上ケース26kにも貼着することで、現像ローラ26aとの摩擦力によってサイドシール26uが剥がれる不具合をさらに軽減することができる。
また、本実施の形態では、サイドシール26uとして、表面摩擦係数が小さくて厚さが0.1mm程度の略矩形のウレタンシートを用いている。
【0044】
弾性シート部材としてのスポンジシール26wは、回転軸方向の端部において、ケース部材26s(保持部材)の対向面26s2と中継面26s3とに跨るように設置(貼着)されている。
具体的に、スポンジシール26wは、回転軸方向の端部において、現像ローラ26aの表面に摺接するとともに、サイドシール26u(及び、入口シール26r)を介して感光体ドラム21に対向するように構成されている。また、本実施の形態では、スポンジシール26wとして、弾性変形可能な発泡ポリウレタンなどの弾性材料からなり、その厚さ(弾性変形していない状態の厚さである。)が少なくとも現像ローラ26aと対向面26s2とのギャップよりも厚いものを用いている。
このようにスポンジシール26wを設けることで、回転軸方向端部における現像ローラ26aと対向面26s2との隙間や、サイドシール26u(及び、入口シール26r)との隙間が封止されるため、現像装置26の端部からのトナー飛散が軽減されることになる。
【0045】
ここで、
図4(B)等を参照して、本実施の形態において、入口シール26r(可撓性シート部材)は、回転軸方向の端部において、サイドシール26u(第2可撓性シート部材)との間に挟まれるように支持面26s1に支持(貼着)されている。
したがって、サイドシール26uは、入口シール26rよりも、感光体ドラム21の側に位置することになる。また、スポンジシール26wは、中継面26s3の位置で、入口シール26rとの間に位置することになる。
【0046】
そして、
図4(B)に示すように、入口シール26r(可撓性シート部材)は、回転軸方向の端部において、回転軸(回転軸方向)に直交する断面でみたときに、支持面26s1の現像領域に近い側の端部から突き出る入口シール26r(可撓性シート部材)の長さH´が、中継面26s3の長さに比べて長くなるように構成されている。
すなわち、入口シール26rは、その先端26r1が、回転軸方向中央部(
図3における範囲M)ではケース部材26sの先端部Xから突き出ることなく、回転軸方向両端部(
図3における範囲N)ではケース部材26sの先端部Xから突き出るように構成されている。
したがって、
図6を参照して、入口シール26rは、単体の状態で、両端部の突き出し量H´が中央部の突き出し量Hに比べて突出していて(H´>H)、略コの字状に形成されている。
このように構成することで、両端部において中継面26s3の側で入口シール26rがスポンジシール26wの全域を覆うように配置されることになり、入口シール26rの突き出し量が小さくて入口シール26rがスポンジシール26wの全域を覆うことができないように配置される場合に比べて、サイドシール26u(及び、入口シール26r)との隙間が封止されやすくなるため、現像装置26の端部からのトナー飛散が軽減される効果が発揮されやすくなる。
【0047】
また、
図7(A)に示すように、本実施の形態において、スポンジシール26w(弾性シート部材)は、中継面26s3において、入口シール26r(可撓性シート部材)とサイドシール26u(第2可撓性シート部材)とを介して感光体ドラム21(像担持体)に圧接可能に設置されている。
具体的に、スポンジシール26wは、
図7(A)の白矢印方向に反発力(弾性変形による反発力)が生じるように厚さや形状などが設定されていて、スポンジシール26wと入口シール26rとサイドシール26uと感光体ドラム21とが隙間なく密着するように構成されている。
このように構成することで、
図7(B)に示すように、スポンジシール26wと入口シール26rとの間(又は、サイドシール26uや感光体ドラム21との間)に隙間Aが生じることによるトナー飛散の発生を軽減することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、画像形成装置1に装着された状態のプロセスカートリッジ20に対して、現像装置26が着脱可能に設置される。
そのように現像装置26がプロセスカートリッジ20に対して着脱されるとき(特に、装着時)に、感光体ドラム21との接触による入口シール26rの捲れや折れを生じさせないことを目的として、現像装置26を最終的な設置位置よりも上方で感光体ドラム21に対して離れた位置から近づく位置に装着開始して、入口シール26rが感光体ドラム21に腹当たりしてから、現像装置26を最終的な設置位置まで下げて、入口シール26rを感光体ドラム21の狙いの当接位置に当接させるように、画像形成装置1におけるガイドレール(現像装置26の着脱を案内するガイドレールである。)を構成することが好ましい。
【0049】
<変形例1>
図9に示すように、変形例における現像装置26は、第2可撓性シート部材としてのサイドシール26uが、回転軸方向の端部において、入口シール26r(可撓性シート部材)との間に挟まれるように支持面26s1に支持(貼着)されている。
したがって、変形例における入口シール26rは、
図4(B)に示すものとは異なり、サイドシール26uよりも感光体ドラム21の側に位置することになる。また、スポンジシール26wは、中継面26s3の位置で、サイドシール26uとの間に位置することになる。
そして、
図9に示すように、回転軸方向にわたって断面(回転軸に直交する断面である。)でみたときに、支持面26s1の現像領域に近い側の端部から突き出る入口シール26r(可撓性シート部材)の長さH1が、中継面26s3の長さに比べて短くなるように構成されている。具体的に、変形例における入口シール26rは、
図3における範囲Mだけではなく範囲Nについても、ケース部材26sの先端部Xから突き出ないように構成されている。すなわち、変形例における入口シール26rは、単体の状態で、長手方向にわたって均一な突き出し量Hになるように略矩形状に形成されている。
回転軸方向端部において、入口シール26rがサイドシール26uよりも感光体ドラム21の側に位置する場合には、入口シール26rの突出し量によってサイドシール26uとスポンジシール26wとの隙間の封止の程度が変化することはないため、入口シール26rの突出し量を回転軸方向にわたって均一に設定している。
そして、ケース部材26s(保持部材)の支持面26s1は、回転軸方向の端部において、サイドシール26u(第2可撓性シート部材)が支持される面26s11が、他の面26s10に比べて感光体ドラム21から遠ざかるように(又は、現像ローラ26aに近づくように)、段状に形成されている。
これは、回転軸方向端部において、入口シール26rがサイドシール26uよりも感光体ドラム21の側に位置する場合に、サイドシール26uの貼着面26s11と、入口シール26rの貼着面26s10と、を同一平面に設けてしまうと、入口シール26rの変形によってサイドシール26uの姿勢が変化しやすくなってしまうためである。これに対して、サイドシール26uの貼着面26s11を、入口シール26rの貼着面26s10よりスポンジシール26w側に近づけることで、サイドシール26uの姿勢が変化しにくくなって、サイドシール26uの機能が安定的に発揮されることになる。
そして、変形例のように構成した場合であっても、入口シール26rの表面に現像剤が滞留する不具合を効率的かつ充分に軽減することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、感光体ドラム21(像担持体)に対向(又は、接触)して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら感光体ドラム21の表面に形成される潜像を現像領域で現像する現像ローラ26a(現像剤担持体)が設けられている。また、現像領域に対して回転方向の上流側で自由端側の先端26r1が感光体ドラム21に当接する入口シール26r(可撓性シート部材)と、入口シール26rを保持するケース部材26s(保持部材)と、が設けられている。そして、ケース部材26sは、感光体ドラム21に対向して入口シール26rが片持ち支持される支持面26s1と、現像領域に対して回転方向の上流側で現像ローラ26aに対向する対向面26s2と、支持面26s1における現像領域に近い側の端部と、対向面26s2における現像領域に近い側の端部と、に繋がり感光体ドラム21に対向する中継面26s3と、が設けられている。そして、少なくとも回転軸方向の両端部Nを除く位置において、現像ローラ26aの回転軸に直交する断面でみたときに、支持面26s1の現像領域に近い側の端部から突き出る入口シール26rの長さH1が、中継面26s3の長さに比べて短くなっている。
これにより、入口シール26rの表面に現像剤が滞留する不具合を効率的かつ充分に軽減することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0052】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、感光体ドラム21(像担持体)にギャップをあけて対向して現像領域を形成する2成分現像方式の現像装置26に対して本発明を適用したが、像担持体に接触して現像領域を形成する接触式1成分現像方式の現像装置などに対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
26r 入口シール(可撓性シート部材、第1可撓性シート部材)、
26r1 先端(自由端側の先端)、
26s ケース部材(保持部材)、
26s1 支持面、 26s2 対向面、 26s3 中継面、
26u サイドシール(第2可撓性シート部材)、
26w スポンジシール(弾性シート部材)。
【0055】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~8の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
像担持体に対向又は接触して現像領域を形成して、所定の回転方向に回転しながら前記像担持体の表面に形成される潜像を前記現像領域で現像する現像剤担持体と、
前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、自由端側の先端が前記像担持体に当接する可撓性シート部材と、
前記可撓性シート部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
前記像担持体に対向して前記可撓性シート部材が片持ち支持される支持面と、
前記現像領域に対して前記回転方向の上流側で、前記現像剤担持体に対向する対向面と、
前記支持面における前記現像領域に近い側の端部と、前記対向面における前記現像領域に近い側の端部と、に繋がり、前記像担持体に対向する中継面と、
を具備し、
少なくとも回転軸方向の両端部を除く位置において、前記現像剤担持体の回転軸に直交する断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて短いことを特徴とする現像装置。
(付記2)
前記断面でみたときに、前記中継面と前記対向面とが繋がる部分の位置が、前記可撓性シート部材が前記像担持体に接触する位置よりも回転方向下流側にあることを特徴とする付記1に記載の現像装置。
(付記3)
前記保持部材の前記支持面に支持されて、前記現像剤担持体における前記回転軸方向の端部を覆う第2可撓性シート部材と、
前記回転軸方向の端部において、前記保持部材の前記対向面と前記中継面とに跨るように設置された弾性シート部材と、
を備えたことを特徴とする付記1又は付記2に記載の現像装置。
(付記4)
前記可撓性シート部材は、前記回転軸方向の端部において、
前記第2可撓性シート部材との間に挟まれるように前記支持面に支持されるとともに、
前記断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて長いことを特徴とする付記3に記載の現像装置。
(付記5)
前記弾性シート部材は、前記中継面において、前記可撓性シート部材と前記第2可撓性シート部材とを介して前記像担持体に圧接可能に設置されたことを特徴とする付記4に記載の現像装置。
(付記6)
前記第2可撓性シート部材は、前記回転軸方向の端部において、前記可撓性シート部材との間に挟まれるように前記支持面に支持され、
前記回転軸方向にわたって、前記断面でみたときに、前記支持面の前記現像領域に近い側の端部から突き出る前記可撓性シート部材の長さが、前記中継面の長さに比べて短く、
前記保持部材の前記支持面は、前記回転軸方向の端部において、前記第2可撓性シート部材が支持される面が、他の面に比べて前記像担持体から遠ざかるように段状に形成されたことを特徴とする付記3に記載の現像装置。
(付記7)
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
付記1~付記6のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(付記8)
付記1~付記6のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】