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  • 特開-バルブプラグおよび弁装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034734
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】バルブプラグおよび弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/36 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
F16K1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139195
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 里菜
(72)【発明者】
【氏名】桑原 孝徳
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA22
3H052CA02
3H052CA16
3H052EA05
(57)【要約】
【課題】高い耐摩耗性および耐衝撃性を有するバルブプラグを提供する。
【解決手段】バルブプラグ30は、全閉時にバルブシートと接触する円環状の接触面32sを端部に有する基部32と、接触面32sと接続した外周面33sを有する挿入部33と、外周面33sと接続した先端面34sを有する円錐台形の先端部34とを有する。バルブプラグ30は全体がセラミックスで成形されている。バルブプラグ30は全体がセラミックスで成形されているため、耐摩耗性が高い。先端部32が円錐台形であり尖った部分がないので、耐衝撃性が高い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁装置の内部においてバルブシートと相対して配置されるバルブプラグであって、
全閉時に前記バルブシートと接触する円環状の接触面を端部に有する円柱形または円錐台形の基部と、
前記基部の端部に連接し、前記接触面と接続した外周面を有する円柱形または円錐台形の挿入部と、
前記挿入部の端部に連接し、前記外周面と接続した先端面を有する円錐台形の先端部と、を備え、
全体がセラミックスで成形されている
ことを特徴とするバルブプラグ。
【請求項2】
前記先端部の頂面の直径が、底面の直径の0.3~0.5倍である
ことを特徴とする請求項1記載のバルブプラグ。
【請求項3】
前記挿入部の前記外周面と前記先端部の前記先端面とが断面円弧状に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のバルブプラグ。
【請求項4】
前記先端部の頂角が130~160°である
ことを特徴とする請求項1記載のバルブプラグ。
【請求項5】
前記先端部の高さが、底面の直径の0.08~0.12倍である
ことを特徴とする請求項1記載のバルブプラグ。
【請求項6】
全体が酸化アルミニウムの一体物として成形されている
ことを特徴とする請求項1記載のバルブプラグ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のバルブプラグを備える
ことを特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブプラグおよび弁装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、弁装置に用いられるバルブプラグ、およびバルブプラグをバルブシートに接近、離隔させることにより流体を制御する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧蒸気を排出する圧力調節弁の内部では蒸気が高速で流れるため、弁装置の内部が摩耗しやすい。また、高圧蒸気の減圧により急激な膨張が起こるため、これによる衝突が引き起こされる。さらに、高圧水を含んだフラッシュ蒸気が発生するため、これによる衝突も引き起こされる。このように、圧力調節弁の内部は、摩耗に加えて、体積変化による衝突を受けるため、非常に損傷しやすい。そのため、圧力調節弁には高い耐摩耗性および耐衝撃性が要求される。特許文献1には、高い耐摩耗性を実現するために、セラミックスで成形されたバルブシートを採用した弁装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、バルブシートと相対するバルブプラグの先端部が、母線が内側に湾曲した略円錐形の形状を有することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-29867号公報
【特許文献2】特開2010-54019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルブプラグの先端部を特許文献2に示されたような尖った形状にすることにより、体積変化により生じる衝撃を受け流すことができる。また、このような形状のバルブプラグをセラミックス製にすれば、高い耐摩耗性を実現できるとも考えられる。
【0006】
しかし、セラミックスは尖った部分が衝撃に弱いという性質を有する。そのため、尖った形状のバルブプラグをそのままセラミックス製にすると突先部が欠損しやすい。しかも、セラミックスは一部が欠損して内部が露出すると、耐衝撃性、耐摩耗性が低下し、欠損部を起点として、摩耗、欠損、剥離が拡大する傾向がある。バルブプラグが欠損すると、精密な流量制御ができなくなり、ひどい場合には全閉にしても漏れが生じる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、高い耐摩耗性および耐衝撃性を有するバルブプラグ、およびそのバルブプラグを有する弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のバルブプラグは、弁装置の内部においてバルブシートと相対して配置されるバルブプラグであって、全閉時に前記バルブシートと接触する円環状の接触面を端部に有する円柱形または円錐台形の基部と、前記基部の端部に連接し、前記接触面と接続した外周面を有する円柱形または円錐台形の挿入部と、前記挿入部の端部に連接し、前記外周面と接続した先端面を有する円錐台形の先端部と、を備え、全体がセラミックスで成形されていることを特徴とする。
第2発明のバルブプラグは、第1発明において、前記先端部の頂面の直径が、底面の直径の0.3~0.5倍であることを特徴とする。
第3発明のバルブプラグは、第1発明において、前記挿入部の前記外周面と前記先端部の前記先端面とが断面円弧状に接続されていることを特徴とする。
第4発明のバルブプラグは、第1発明において、前記先端部の頂角が130~160°であることを特徴とする。
第5発明のバルブプラグは、第1発明において、前記先端部の高さが、底面の直径の0.08~0.12倍であることを特徴とする。
第6発明のバルブプラグは、第1発明において、全体が酸化アルミニウムの一体物として成形されていることを特徴とする。
第7発明の弁装置は、請求項1~6のいずれかに記載のバルブプラグを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のバルブプラグによれば、全体がセラミックスで成形されているため、耐摩耗性が高い。しかも、先端部が円錐台形であり尖った部分がないので、耐衝撃性が高い。
本発明の弁装置によれば、バルブプラグが高い耐摩耗性および耐衝撃性を有するので、バルブプラグの交換頻度を低減でき、プラント設備の操業効率を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る弁装置の縦断面図である。
図2】バルブプラグの正面図である。
図3】全閉状態のバルブプラグとバルブシートとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(弁装置)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る弁装置1はボディ10を有する。ボディ10は流体の入口11と出口12とを接続する流路13を有する。また、ボディ10の上部開口はボンネット14で閉塞されている。
【0012】
図示の例では、入口11がボディ10の側部に開口し、出口12がボディ10の底部に開口し、流路13が略L字形である。流体は横方向から流入して、下方向に流出する(図中の矢印参照)。すなわち、図示のボディ10はアングル形である。ただし、ボディ10はアングル形に限定されず、入口11および出口12の両方が側部に開口した玉形(グローブ形)など、種々の形式を採用できる。
【0013】
出口12側の流路13には円筒形のバルブシート20が固定されている。バルブシート20の素材は特に限定されないが、耐摩耗性を高めるという観点からはセラミックスが好ましい。
【0014】
バルブシート20と相対する位置にバルブプラグ30が配置されている。バルブプラグ30はステム41の頭部42に固定されている。具体的には、バルブプラグ30の上部およびステム41の頭部42は円筒形のポスト43の内部に挿入され、ポスト43により互いに連結されている。なお、バルブプラグ30はステム41に連結されていればよく、連結を実現する構成は特に限定されない。ステム41はボンネット14に形成された貫通孔を通って外部に延び、図示しない駆動部に連結している。
【0015】
ポスト43は円筒形のガイド44の内部に挿入され、ガイド44に対して上下に摺動可能となっている。ガイド44は上端にフランジを有する。ボディ10とボンネット14との接合部にフランジが挟持されることにより、ガイド44がボディ10に固定されている。
【0016】
駆動部によりステム41を上下動させると、バルブプラグ30をバルブシート20に接近、離隔させることができる。バルブプラグ30をバルブシート20から離隔すると流体を通すことができる。バルブプラグ30をバルブシート20に接触させると流体を止めることができる。また、バルブプラグ30とバルブシート20との間の距離により流体の流量を制御できる。
【0017】
(バルブプラグ)
つぎに、バルブプラグ30を説明する。
図2に示すように、バルブプラグ30は、保持部31、基部32、挿入部33および先端部34を有する。保持部31、基部32、挿入部33および先端部34は、それぞれ円柱形または円錐台形であり、中心軸Oを共通としてこの順に連接している。バルブプラグ30は中心軸Oに対して垂直な面における断面形状が円形であり、保持部31から先端部34に向かって段階的に半径が小さくなっている。したがって、バルブプラグ30は、全体として、先端部34に向かって段階的に細くなるテーパ形である。
【0018】
耐摩耗性を高めるために、バルブプラグ30は全体が一体物としてセラミックスで成形されている。工業的に使用されることが多いファインセラミックスとしては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、フェライトなどが挙げられる。高温酸性および酸化性雰囲気での耐摩耗性を高めるには、酸化アルミニウムが好ましい。
【0019】
保持部31は略円柱形である。保持部31の下端部に基部32が連接している。保持部31は基部32よりも直径が大きい。この直径の差異により、保持部31は下端部に肩を有する。図3に示すように、バルブプラグ30は保持部31のみがポスト43の内部に挿入される。保持部31の肩はポスト43の下端に形成されたテーパ部に係止し、バルブプラグ30がポスト43から下方に抜け出るのを防止している。
【0020】
図2に示すように、基部32は円柱形または円錐台形である。基部32を円錐台形とする場合、保持部31側から挿入部33側に向かって細くなる形状とする。また、基部32を円錐台形とする場合、円錐台の頂角は0~80°が好ましい。そうすれば、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。なお、本明細書において「円錐台の頂角」とは、円錐台の母線の延長線と中心軸とのなす角の2倍をいう。また、頂角0°は円柱を意味する。
【0021】
基部32の下端部に挿入部33が連接している。基部32は挿入部33よりも直径が大きい。この直径の差異により、基部32は下端部に円環状の接触面32sを有する。図3に示すように、バルブプラグ30をバルブシート20に最接近させた全閉時に、接触面32sがバルブシート20の上端縁と接触する。これにより、バルブプラグ30とバルブシート20とが密着し、流体の流れを止めることができる。
【0022】
接触面32sは、中心軸Oに対して垂直な面でもよいが、先端部34に向かって細くなるテーパ面であることが好ましい。接触面32sをテーパ面とすることにより、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。また、バルブプラグ30とバルブシート20とを隙間無く密着させることができるので、確実にバルブを閉止することができる。
【0023】
図2に示すように、挿入部33は円柱形または円錐台形である。挿入部33を円錐台形とする場合、保持部31側から挿入部33側に向かって細くなる形状とすることが好ましい。また、挿入部33を円錐台形とする場合、円錐台の頂角は0~20°が好ましく、10~20°がより好ましい。そうすれば、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。
【0024】
挿入部33は外周面33sを有する。外周面33sの上縁は円環状の接触面32sの内周縁と接続している。図3に示すように、全閉時に、挿入部33はバルブシート20の内部に挿入される。
【0025】
図2に示すように、挿入部33の下端部に先端部34が連接している。先端部34は円錐台形である。よって、先端部34は円錐台の底面が挿入部33に連接している。すなわち、先端部34は挿入部33側から下方に向かって細くなる形状である。
【0026】
先端部34は、頂面の直径D1が、底面の直径D2の0.3~0.5倍であることが好ましい。D1/D2が0.3以上であれば、バルブプラグ30の先端部34に尖った部分がなく、バルブプラグ30に衝撃が加わっても先端部34が欠損することを抑制できる。また、D1/D2が0.5以下であれば、先端部34が球面に近い形状となり、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。
【0027】
また、先端部34は、頂角θが130~160°であることが好ましい。そうすれば、先端部34が球面に近い形状となり、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。
【0028】
また、先端部34は、高さHが、底面の直径D2の0.08~0.12倍であることが好ましい。そうすれば、先端部34が球面に近い形状となり、バルブプラグ30の周囲の流体がスムーズに流れるので、流量制御を的確かつ精緻に行いやすい。
【0029】
先端部34は先端面34sを有する。先端面34sの外周縁は挿入部33の外周面33sの下縁と接続している。ここで、外周面33sと先端面34sとは断面円弧状に接続されていることが好ましい。すなわち、外周面33sと先端面34sとを接続する稜線がR面取りされていることが好ましい。このようにすることで、挿入部33と先端部34との接続部にも尖った部分がなくなり、衝撃が加わってもバルブプラグ30が欠損することをより抑制できる。
【0030】
以上のように、バルブプラグ30は全体がセラミックスで成形されているため、耐摩耗性が高い。しかも、先端部34が円錐台形であり尖った部分がないので、耐衝撃性が高い。バルブプラグ30が高い耐摩耗性および耐衝撃性を有するので、例えば高圧蒸気を排出する場合であってもバルブプラグ30の損傷を抑制でき、交換頻度を低減できる。その結果、弁装置1を採用したプラント設備の操業効率を高くできる。
【0031】
(弁装置1が用いられる製造プロセス)
本実施形態の弁装置1は、ニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物を含んだスラリーを加圧浸出するためのオートクレーブに設けられ、オートクレーブ内の圧力調節に用いることができる。弁装置1の損傷を抑制できるので、プラント設備の稼働率および生産性を向上させることができる。以下、ニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物を含んだスラリーをオートクレーブによって加圧浸出するプロセスの一例として、硫酸ニッケルの製造プロセスについて説明する。
【0032】
硫酸ニッケルの原料としてニッケルおよびコバルトを含む混合硫化物(MS:Mixed sulfide)が用いられる。このニッケル・コバルト混合硫化物は低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)し、加圧酸浸出液から鉄などの不純物を除去した後、ニッケルイオンおよびコバルトイオンを含む浸出液に硫化水素ガスを吹き込む湿式硫化反応などによって得られたものである。ニッケル・コバルト混合硫化物の主成分はNiSなどの硫化物である。
【0033】
つぎに、ニッケル・コバルト混合硫化物に対して、レパルプ工程が実施される。このレパルプ工程において、ニッケル・コバルト混合硫化物は水などによりレパルプされスラリーとなる。レパルプ工程では、固体粉末状のニッケル・コバルト混合硫化物をレパルプ槽に投入し、水とともに混合、撹拌してスラリーを製造する。スラリーはオートクレーブに装入され加圧浸出に供される。
【0034】
つぎに、加圧浸出工程が実施される。この加圧浸工程では、オートクレーブによって混合硫化物に含まれるニッケルおよびコバルトが高圧空気により浸出される。例えば、オートクレーブに装入されるスラリーの固形分濃度は200~300g/L、流量は50~100L/分である。オートクレーブ内の温度は150~220℃、圧力はゲージ圧で1.7~2.3MPaである。
【0035】
オートクレーブからは硫酸ニッケルと硫酸コバルトとの混合水溶液である加圧浸出液が排出される。加圧浸出液は降圧、冷却された後に次工程に供給され、硫酸ニッケルの製造に用いられる。このオートクレーブの圧力調節弁として、本実施形態の弁装置1が好適に用いられる。
【0036】
オートクレーブの圧力調節弁は、オートクレーブの気相部から高圧蒸気を排出することで、オートクレーブ内の圧力を制御している。ゲージ圧で約2MPaの高圧蒸気が最終的に大気圧(ゲージ圧で0MPa)下まで減圧されて放出されるため、圧力調節弁の内部では蒸気が高速で流れる。また、高圧蒸気の減圧により急激な膨張が起こるため、これによる衝突が引き起こされる。さらに、高圧水を含んだフラッシュ蒸気が発生するため、これによる衝突も引き起こされる。このような条件下で使用される場合であってもバルブプラグ30の損傷を抑制できる。
【0037】
また、本実施形態の弁装置1は、オートクレーブから浸出後のスラリーを抜取って、降圧装置(フラッシュタンク)に移送するための抜取弁としても好適に用いられる。浸出後のスラリーは高温高圧であるのみならず、固いニッケル・コバルト混合硫化物の浸出残渣を含んだスラリーである。そのため、抜取弁の内部は固体粒子による機械的な摩耗が生じやすい。また、弁装置の内部において、減圧により高圧水を含んだフラッシュ蒸気が発生するため、これによる衝突が引き起こされる。このような条件下で使用される場合であってもバルブプラグ30の損傷を抑制できる。
【実施例0038】
(実施例1)
図2に示す形状のバルブプラグを有する弁装置を、硫酸ニッケルの製造プロセスにおけるオートクレーブの圧力調節弁として用いた。バルブプラグはセラミックス製である。その結果、1年以上操業を継続しても、バルブプラグに損傷は見られなかった。
【0039】
(比較例1)
バルブプラグの先端部を母線が内側に湾曲した略円錐形の形状とした。また、バルブプラグをセラミックス製とした。その他の条件は実施例1と同様である。その結果、半年間の操業後、流量制御を的確かつ精緻に行うことが困難になった。具体的には、同じ制御信号(MV値)に対する圧力変位が変わり、大きくバラツクこととなった。操業を停止してバルブを点検すると、バルブプラグに著しい損傷がみられたため、交換を要した。
【0040】
比較例1のバルブプラグは、先端の尖った部分を起点にして先端面に著しい欠損が確認された。特に、先端の尖った部分の欠損が大きかった。このことから、バルブプラグの損傷は先端の突先部に原因があると考えられる。セラミックス製品は表面にガラス質の耐食、耐摩耗層(トップコート層)を有する。まず、突先部のトップコート層が割れて剥離し、耐摩耗性が低下した突先部から摩耗、欠損、剥離が拡大したと推定できた。また、先端が尖った形状であると、セラミックス製品の製造時にトップコート剤が流れやすいため、先端部のトップコート層が薄くなる。そのため、より先端部が欠損しやすいと考えられる。
【0041】
一方、実施例1のバルブプラグであれば、尖った部分がないので、損傷を抑制できたと考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1 弁装置
20 バルブシート
30 バルブプラグ
31 保持部
32 基部
32s 接触面
33 挿入部
33s 外周面
34 先端部
34s 先端面
図1
図2
図3