(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034818
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置、ログ管理方法、及びログ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G06F11/34 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139326
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智広
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042KK20
5B042MA08
5B042MA16
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】省電力状態において、動作クロックを低下させることなく、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得すること。
【解決手段】装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置であって、前記サブシステムは、前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶する記憶部と、記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除する管理部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置であって、
前記サブシステムは、
前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶する記憶部と、
記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除する管理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記管理部は、装置が有する機能ごとに前記機能が出力する前記ログを記憶するか否かを設定し、
前記記憶部は、前記管理部が記憶すると設定した前記機能が出力する前記ログのみを前記メモリに記憶する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記重要度は、装置が有する前記機能ごとに設定される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記重要度は、装置の動作状況に応じて動的に設定される、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記管理部は、装置の動作状況に応じて前記ログの一部を前記メモリから削除するタイミングを制御する、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載された前記情報処理装置は、記憶媒体に画像を形成する画像形成装置である。
【請求項7】
装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置が実行するログ管理方法であって、
前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶するステップと、
記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除するステップと、
を有するログ管理方法。
【請求項8】
装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置に、
前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶するステップ、
記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除するステップ、
を実行させるログ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、ログ管理方法、及びログ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの電子機器及び情報処理装置において、発生した障害について解析を行う等のためにログを取得する技術が知られている。特許文献1には、省電力状態において、ログを一時的に格納するメモリを監視して、メモリのオーバフローを防ぐために、動作クロックレートを減少させてログの書き込み速度を低下させる、又は省電力状態を終了させる技術が公開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、省電力状態において、ログを格納するメモリのオーバフローを防ぐために、動作クロックを低下させると、処理性能を低下する問題があり、又、省電力状態を終了させると、電力消費量が増加する問題があった。
【0004】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑み、省電力状態において、動作クロックを低下させることなく、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置であって、前記サブシステムは、前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶する記憶部と、記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除する管理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、省電力状態において、動作クロックを低下させる、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るログ管理処理を示すフローチャートの一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るログ種別の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るログの調整処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る機能とレベルの関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、画像形成装置、ログ管理方法、及びログ管理プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム概要>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷アプリケーション等が実行中である稼働状態(画像形成装置1a)とアプリケーション実行の待機中であり、一部の機能のみ動作させることで消費電力を節約する省電力状態(画像形成装置1a)を有する。省電力状態において、一時的なデータを記憶する揮発性メモリは利用可能であるが、ディスク駆動等による消費電力が大きいハードディスク等の記憶装置は機能が停止される。しかしながら、揮発性メモリは、ハードディスク等の記憶装置に比べて、記憶可能な容量が小さいことから、省電力状態が長時間続いた場合、ログを記憶するための記憶領域が不足して、メモリのオーバフローが発生する。また、記憶領域の不足を防ぐために、動作クロックを低下させると、処理性能を低下する問題が生じ、又、省電力状態を終了させると、電力消費量が増加する問題が生じる。そこで、画像形成装置1は、次の手順により、省電力状態において、記憶領域の不足を防ぎ、且つ、必要なログを取得することを可能とする。まず、ステップS2で、省電力状態における画像形成装置1bは、省電力状態の経過時間、又は記憶されたログのサイズ等に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいて、メモリに記憶するログの調整を行う。次に、ステップS3で、画像形成装置1bは、ステップS2で調整した内容に基づいて、ログをメモリに記憶する。ここで、使用するメモリは、一時的なデータを記憶するための揮発性メモリであり、且つ、省電力状態と稼働状態の両方の状態において、共通に読み書き可能である。省電力状態から稼働状態に移行した後、ステップS4で、稼働状態における画像形成装置1aは、省電力状態において書き込まれたログをメモリから読み込む。最後に、ステップS5で、画像形成装置1aは、ステップS4でメモリから読み込んだログをハードディスク等の記憶装置に記憶する。或いは、画像形成装置1aは、ネットワークを介して接続された外部装置に読み込んだログを送信してもよい。以上の処理により、画像形成装置1は、省電力状態において、動作クロックを低下させることなく、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得することが可能である。
【0010】
なお、
図1に示す概略図は一例である。
図1の画像形成装置1は、例えば、ノートパソコン等の省電力状態においてログを記憶する電子機器又は情報処理装置などであってよい。
【0011】
<ハードウェア構成例>
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、画像形成装置1はコンピュータによって構築されており、コントローラ101、メインシステム10、サブシステム20、画像形成手段105、及びオペレーションパネル107を備える。
【0012】
コントローラ101は、電源制御手段102を備える。電源制御手段102は、メインシステム10とサブシステム20への電源供給を制御する。例えば、電源制御手段102は、稼働状態では、メインシステム10とサブシステム20の両方に電源を供給し、省電力状態では、サブシステム20のみに電力を供給する。
【0013】
メインシステム10は、CPU110、ASIC111、ROM112、RAM113、HDD114、NAND115、FCU116、及び画像処理部106を備える。CPU110は、OS(Operating System)や制御プログラムを実行することで、画像形成装置1の動作を制御する。ASIC111は、画像処理に必要な機能を実現する画像処理用途向けの集積回路である。ROM112は、CPU110が実行するプログラムが格納される不揮発性メモリであり、プログラムは、RAM113上に展開されてCPU110により実行される。RAM113は、CPU110の作業用領域として使用される揮発性メモリである。HDD114は、画像データ、文書データ、及びプログラムを動作させるためのプログラムコード、フォントデータ、システム情報、ユーザ情報等を含む各種のデータを蓄積する大容量の記憶装置である。NAND115は、HDD114よりも高速な情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS、ファームウェア等のプログラム、各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。FCU116は、ファックスを制御するユニットであり、例えば、画像形成装置1の電源がオフのときに受信したファクシミリデータを一時的に格納する。画像処理部106は、印刷する画像データをプロッタ116に送信し、スキャンされた画像データをスキャナ117から受信する。
【0014】
サブシステム20は、サブCPU117、USB118、NIC119、サブROM120、サブRAM122、及び共有RAM123を備える。
サブCPU117は、省電力状態において、CPU110の代わりに、OSや制御プログラムを実行する。USB118は、USBケーブルで接続されているクライアント端末等の他の装置とのデータ送受信の制御を行うコントローラである。NIC119は、LAN等の通信ネットワーク126を介して接続されているクライアント端末等の外部装置127との通信制御を行うコントローラである。サブROM120は、サブCPU117が実行するプログラムが格納される不揮発性メモリである。サブRAM120は、サブCPU117の作業用領域として使用される揮発性メモリである。共有RAM123は、CPU110とサブCPU117の両方から参照可能なメモリ領域として,メインシステム10とサブシステム20間のデータ送受信に利用する。本発明においては、省電力状態のサブシステム20における動作ログを記憶する領域としても使用する。
【0015】
画像形成手段105は、プロッタ116とスキャナ117を備える。プロッタ116は、画像処理部106から受信した画像データに基づき画像を印刷する。スキャナ117は、紙等の媒体に記録された画像をスキャンし、スキャンした画像データを画像処理部106に転送する。
【0016】
オペレーションパネル107は、LCD124と操作部125を備える。LCD124は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部125は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等のユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0017】
<ソフトウェア構成例>
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、画像形成装置1は、メインシステムソフトウェア群201とサブシステムソフトウェア群202で構成され、それぞれOS230、231及びBIOS(Basic Input Output System)240、241で動作するモジュール又はアプリケーションを備える。
【0018】
メインシステムソフトウェア群201は、第1制御モジュール210、第1ログ管理モジュール211、及び第1状態監視モジュール212のモジュールとコピーアプリ213、スキャナアプリ214、及びファックスアプリ215等のアプリケーションを備える。第1制御モジュール210は、メインシステムソフトウェア群201におけるモジュールとアプリケーションの実行を制御する。第1ログ管理モジュール211は、稼働状態において、共有RAM123に書き込まれたログを管理し、例えば、定期的にHDD114にログを記憶する、又は通信ネットワーク126を介して外部装置127にログを送信する。ログには画像形成装置1に異常が発生したときの解析に使用するためのソフトウェアの動作に関する情報や、ハードウェアへのアクセス成否などの異常個所の特定に必要な情報が含まれる。第1状態監視モジュール212は、画像形成装置1の状態を監視するために、稼働状態と省電力状態の状態が移行する際に、サブシステムソフトウェア群202の第2状態監視モジュール222との間で状態移行要求を送受信する。また、コピーアプリ213、スキャナアプリ214、及びファックスアプリ215等のアプリケーションは、OS230において並列に実行される。
【0019】
サブシステムソフトウェア群202は、第2制御モジュール220、第2ログ管理モジュール221、第2状態監視モジュール222、及びネットワーク制御モジュール223を備える。第2制御モジュール220は、サブシステムソフトウェア群202におけるモジュールの実行を制御する。第2ログ管理モジュール221は、省電力状態において、共有RAM123に書き込むログを管理し、例えば、省電力状態の経過時間、又は記憶したログのサイズ等に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいて、共有RAM123に記憶するログの調整を行う。また、第2ログ管理モジュール221は、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)をログに付与する。第2状態監視モジュール222は、画像形成装置1の状態を監視するために、稼働状態と省電力状態の状態が移行する際に、サブシステムソフトウェア群202の第1状態監視モジュール212との間で状態移行要求を送受信する。ネットワーク制御モジュール223は、稼働状態において、第1制御モジュール210からの要求に応じて、通信ネットワーク126を介して外部装置127にログを送信する。
【0020】
<機能について>
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。画像形成装置1のメインシステム10は、第1制御部11、第1管理部12、第1監視部13、表示制御部14、及び操作受付部15を有する。これら各部は、画像形成装置1にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU110が実行することで実現される機能又は手段である。第1記憶部16は、例えば、画像形成装置1が有するHDD114などの記憶装置によって実現可能である。第2記憶部17は、メインシステム10とサブシステム20の両方から読み書き可能な記憶装置であり、例えば、画像形成装置1が有する共有RAM123などの記憶装置によって実現可能である。
【0021】
第1制御部11は、メインシステム10で動作するモジュール、プログラム、アプリケーション等の実行や停止等の制御を行う。
【0022】
第1管理部12は、稼働状態のメインシステム10において、ログの管理を実行する。例えば、第1管理部12は、定期的に共有RAM123に記憶されたログを削除し、画像形成装置1のHDD114に記憶することを第1記憶部16に要求する。
【0023】
第1監視部13は、稼働状態のメインシステム10において、省電力状態に移行するか否かの監視を実行する。
【0024】
表示制御部14は、ログに関する設定を行うための設定画面等を画像形成装置1のLCD123に表示する。
【0025】
操作受付部15は、ログに関する設定を行うための、画像形成装置1の管理者又はユーザによるキーボード、マウス、及びタッチパネルを用いた操作を受け付ける。
【0026】
第1記憶部16は、第1管理部12の要求に基づいて、共有RAM123に記憶されたログをHDD114に記憶する。
【0027】
第2記憶部17は、稼働状態では第1管理部12の要求、省電力状態では第2管理部22の要求に基づいて、起動中のモジュール、プログラム、及びアプリケーションが出力するログを画像形成装置1の共有RAM123に記憶する。また、第2記憶部17は、ログの重要度(優先度)をログの先頭に付与してログを記憶してもよい。
【0028】
画像形成装置1のサブシステム20は、第2制御部21、第2管理部22、第2監視部23、及び通信部24を有する。これら各部は、画像形成装置1にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をサブCPU117が実行することで実現される機能又は手段である。
【0029】
第2制御部21は、サブシステム20で動作するモジュールやプログラム等の実行や停止等の制御を行う。
【0030】
第2管理部22は、省電力状態のサブシステム20において、ログの管理及び削除を実行する。例えば、第2管理部22は、省電力状態の経過時間、又は記憶したログのサイズ等に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいて、共有RAM123に記憶されたログの一部を削除する。また、第2管理部22は、画像形成装置1が有する機能(又はタスク)ごとに、ログを記憶するか否かを設定してもよい。更に、第2管理部22は、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)をログに付与する。
【0031】
第2監視部23は、省電力状態のサブシステム20において、稼働状態に移行するか否かの監視を実行する。
【0032】
通信部24は、画像形成装置1が有する通信機能であり、例えば、通信ネットワーク126を介して外部装置127などにログ等の情報を送信する。
【0033】
<ログ管理処理>
図5は、本発明の実施形態に係るログ管理処理を示すフローチャートの一例を示す図である。本フローチャートでは、画像形成装置1は、稼働状態と省電力状態を遷移する間において、ログの管理を実行し、省電力状態において、省電力状態の経過時間に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいたメモリに記憶するログの調整を行う。なお、稼働状態では、メインシステム10とサブシステム20の両方が稼働し、省電力状態では、サブシステム20のみが稼働する。以下、
図5の各ステップの処理について説明する。
【0034】
ステップS30:画像形成装置1のシステムが起動して稼働状態になった後、画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、ログを管理するログ管理モジュールを起動する。
【0035】
ステップS31:画像形成装置1のメインシステム10の第1管理部12は、ログの管理を実行する。画像形成装置1の第2記憶部17は、稼働状態において、起動中のモジュール、プログラム、及びアプリケーションが出力するログを画像形成装置1の共有RAM123に記憶する。第1管理部12は、定期的に共有RAM123に記憶されたログを画像形成装置1のHDD114に記憶させる。即ち、第1記憶部16は、第1管理部12の要求に基づいて、共有RAM123に記憶されたログをHDD114に記憶する。更に、第1管理部12は、定期的に通信ネットワーク126を介してログを外部装置127に送信させてもよい。即ち、画像形成装置1のサブシステム20の通信部24は、第1管理部12の要求に基づいて、ログを外部装置127に送信する。
【0036】
ステップS32:画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、稼働状態における通常動作の実行として、通常動作するモジュール、プログラム、及びアプリケーション等の実行や停止の制御を行う。
【0037】
ステップS33:画像形成装置1のメインシステム10の第1監視部13は、例えば、ユーザによる操作が一定時間以上行われていないこと等に基づいて、省電力状態に移行するか否かの監視を実行する。第1監視部13は、省電力状態に移行すると判断したならば、処理をステップS34に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS32に遷移させる。
【0038】
ステップS34:画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、画像形成装置1のメインシステム10の第1管理部12にログ管理の停止を要求する。第1管理部12は、第1制御部11の要求に基づいて、ログの管理を停止する。
【0039】
ステップS35:画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、省電力状態に移行するための準備として、例えば、起動しているモジュール、プログラム、及びアプリケーション等を停止する。
【0040】
ステップS36:画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、画像形成装置1のサブシステム20の第2制御部21に省電力状態への移行を要求する。
【0041】
ステップS37:画像形成装置1のサブシステム20の第2制御部21は、省電力状態における通常動作の実行として、通常の動作するモジュール及びプログラム等の実行や停止等の制御を行う。
【0042】
ステップS38:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、サブシステム20において動作するモジュール及びプログラム等が出力するログを画像形成装置1の第2記憶部17に記憶させる。第2記憶部17は、第2管理部22の要求に基づいて、ログを共有RAM123に記憶する。また、第2管理部22は、例えば、省電力状態の経過時間に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいた共有RAM123に記憶するログの調整を行う。
図6は、本発明の実施形態に係るログ種別の一例を示す図である。
図6のログ種別40は、レベル41、名称42、及び経過時間43の項目を有する。
【0043】
レベル41は、ログの重要度(優先度)を示す。即ち、レベルの値が小さい種別のログほど、重要度(優先度)が高いログであることを示し、記憶容量が不足している場合において、間引かれる(削除される)ことなく、優先的に記憶される。
【0044】
名称42は、ログの種別(種類)を示す名称である。「Fatal error」は、致命的なエラー発生時に出力するログである。「Recoverable error」は、復旧可能(一部機能は継続動作可能)なエラー発生時に出力するログである。「Warning」は、異常経路などを通過した場合などに出力する警告ログである。「Normal print」は、通常稼働時に出力するログである。「Dbg print」は、デバッグ時に出力するログである。
【0045】
経過時間43は、省電力状態が開始してから経過した時間、即ち、省電力状態が継続している時間を示し、経過時間43を超えた場合、レベル41未満のログを記憶しないように調整される。時間の単位は分である。
【0046】
画像形成装置1の管理者又はユーザは、ログ種別40等のログに関する設定を行うことが可能である。例えば、画像形成装置1の表示制御部14は、ログ種別40に関する設定を行うための設定画面をLCD124に表示する。画像形成装置1の操作受付部15は、管理者又はユーザによるログ種別40に関する設定を行う操作を受け付ける。
【0047】
図7は、本発明の実施形態に係るログの調整処理に関するフローチャートの一例を示す図である。本フローチャートでは、画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、
図6のログ種別40におけるレベル41と経過時間43に基づいて、メモリに記憶するログの調整を行う。以下、
図7の各ステップの処理について説明する。
【0048】
ステップS50:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、省電力状態の経過時間が30分を経過したか否かを検知し、経過したならば、処理をステップS51に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS59に遷移させる。
【0049】
ステップS51:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、メモリに記憶するログのレベルを0に設定する。
【0050】
ステップS52:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、省電力状態の経過時間が20分を経過したか否かを検知し、経過したならば、処理をステップS53に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS59に遷移させる。
【0051】
ステップS53:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、メモリに記憶するログのレベルを1に設定する。
【0052】
ステップS54:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、省電力状態の経過時間が10分を経過したか否かを検知し、経過したならば、処理をステップS55に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS59に遷移させる。
【0053】
ステップS55:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、メモリに記憶するログのレベルを2に設定する。
【0054】
ステップS56:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、省電力状態の経過時間が5分を経過したか否かを検知し、経過したならば、処理をステップS57に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS59に遷移させる。
【0055】
ステップS57:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、メモリに記憶するログのレベルを3に設定する。
【0056】
ステップS58:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、メモリに記憶するログのレベルを4に設定する。
【0057】
ステップS59:画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、設定したレベルが示す重要度(優先度)よりも低い重要度(優先度)を示すレベルのログをメモリから間引く(削除する)ことにより、ログの調整を行う。レベルの値が小さいほど、重要度(優先度)が高いログであることから、例えば、第2管理部22は、設定したレベルの値が1である場合、レベルの値が1よりも大きいログをメモリから削除する。ここで、第2管理部22がログをメモリから間引くために、ログを出力する各機能(タスク)は、例えば、ログを出力する際にログの先頭にレベルを示す情報を付与する。また、ログのレベルを付与するために、プログラム内でログを出力する関数マクロをレベル毎に定義してもよい。例えば、通常のログ(レベル3)は、PRNTF関数を使用し、致命的なエラーのログ(レベル0)は、EPRINTF関数を使用する。
図5に戻って説明する。
【0058】
ステップS39:画像形成装置1のサブシステム20の第2監視部23は、例えば、ユーザによる操作が行われたこと等に基づいて、稼働状態に移行するか否かの監視を実行する。第2監視部23は、稼働状態に移行すると判断したならば、処理をステップS39に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS37に遷移させる。
【0059】
ステップS40:画像形成装置1のサブシステム20の第2制御部21は、稼働状態に移行するための準備を行う。
【0060】
ステップS41:画像形成装置1のサブシステム20の第2制御部21は、画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11に稼働状態への移行を要求する。
【0061】
ステップS42:画像形成装置1のメインシステム10の第1制御部11は、ログを管理するログ管理モジュールを起動する。
【0062】
ステップS43:画像形成装置1のメインシステム10の第1管理部12は、省電力状態において共有RAM123に記憶されたログを画像形成装置1のHDD114に記憶させる。即ち、第1記憶部16は、第1管理部12の要求に基づいて、共有RAM123に記憶されたログをHDD114に記憶する。更に、第1管理部12は、定期的に通信ネットワーク126を介してログを外部装置127に送信させてもよい。即ち、画像形成装置1のサブシステム20の通信部24は、第1管理部12の要求に基づいて、ログを外部装置127に送信する。以降、ステップS31の処理とそれ以降のステップの処理を繰り返して実行する。
【0063】
以上の処理により、画像形成装置1は、省電力状態において、動作クロックを低下させることなく、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得することが可能である。この理由は、省電力状態の経過時間に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいたメモリに記憶するログの調整を行うからである。
【0064】
<ログ管理処理の第1の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第1の変形例について説明する。第1の変形例では、
図5のフローチャートで示したステップS38の処理において、画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、記憶されたログのサイズに応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいた共有RAM123に記憶するログの調整を行う。具体的には、例えば、
図7のフローチャートで示した手順と同様に、第2管理部22は、記憶されたログのサイズが3Mバイトを超えるならばログのレベルを0に設定する。同様にして、第2管理部22は、サイズが3Mバイト以下で2Mバイトを超えるならばレベルを1、サイズが2Mバイト以下で1Mバイトを超えるならばレベルを2、サイズが1Mバイト以下で0.5Mバイトを超えるならばレベルを3、サイズが0.5Mバイト以下であればレベルを4に設定する。このように設定したレベルに従って、第2管理部22は、設定したレベルが示す重要度(優先度)よりも低い重要度(優先度)を示すレベルのログをメモリから間引く(一部のログを削除する)ことにより、ログの調整を行う。或いは、第2管理部22は、省電力状態の経過時間と記憶されたログのサイズを組み合わせた条件に応じて、ログの種別(種類)に応じた重要度(優先度)に基づいた共有RAM123に記憶するログの調整を行なってもよい。
【0065】
以上の処理により、画像形成装置1は、省電力状態において、動作クロックを低下させることなく、又は省電力状態を終了させることなく、メモリのオーバフローを防いでログを取得することが可能である。
【0066】
<ログ管理処理の第2の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第2の変形例について説明する。第2の変形例では、画像形成装置1の第2管理部22は、画像形成装置1が有する機能(又はタスク)ごとに、機能(又はタスク)が出力するログを記憶するか否かを予め設定し、記憶すると設定されたログのみをメモリに記憶させる。画像形成装置1の第2記憶部17は、予め設定された機能に対応するログのみをメモリに記憶する。或いは、第2記憶部17は、全てのログをメモリに記憶するが、第2管理部22が、定期的に設定されたログ以外のログをメモリから削除するようにログの調整を実行してもよい。これにより、画像形成装置1は、重点的にログを取得したい機能(又はタスク)を指定できることから、障害解析や再現試験等の効率を向上させることが可能である。
【0067】
<ログ管理処理の第3の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第3の変形例について説明する。第3の変形例では、画像形成装置1の第2管理部22は、画像形成装置1が有する機能(又はタスク)ごとに、ログのレベルを指定する。
図8は、本発明の実施形態に係る機能とレベルの関係の一例を示す図である。
図8の関係
図60は、機能61とレベル62の項目を有する。機能61は、画像形成装置1が有する機能(又はタスク)を示す。レベル62は、機能61が示す機能(又はタスク)に関するログに設定されるレベルを示す。これにより、画像形成装置1は、重点的にログを取得したい機能のログに高いレベルを設定することにより、障害解析や再現試験等の効率を向上させることが可能である。ここで、レベルは、ログの重要度(又は優先度)を示し、レベルの値が小さい種別のログほど、重要度(優先度)が高いログである。
【0068】
<ログ管理処理の第4の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第4の変形例について説明する。第4の変形例では、画像形成装置1の第2管理部22は、
図6で設定するログのレベルのように、ログに固定のレベルを設定するのではなく、画像形成装置1が有する機能(又はタスク)の動作状況に応じて、動的にログのレベル(重要度、又は優先度)を設定する。これにより、画像形成装置1は、障害が発生しやすいと考えられる、頻繁に動作している機能(又はタスク)のログを重点的に取得することが可能である。
【0069】
<ログ管理処理の第5の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第5の変形例について説明する。第5の変形例では、
図5のフローチャートで示したステップS38の処理において、画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、共有RAM123に記憶するログの調整を行うタイミングを制御する。即ち、第2管理部22は、省電力状態において、ネットワークにおけるパケット処理や省電力状態から稼働状態に復帰する処理などを実行している間は、ログの調整を行わないように、ログの調整を行うタイミングを制御する。制御する方法として、例えば、ログ調整の抑制を示すフラグを用意して、前述の処理実行中であるためログの調整を行わない間は、フラグの情報をオン(例えば値を1に設定)にして、処理の終了後にフラグの情報をオフ(例えば値を0に設定)にする。第2管理部22は、フラグの情報がオンの場合はログの調整を行なわず、オフになった時にログの調整を行なう。これにより、画像形成装置1の本来の処理である、ネットワークにおけるパケット処理や省電力状態から稼働状態に復帰する処理などに影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0070】
<ログ管理処理の第6の変形例>
本発明の実施形態に係るログ管理処理の第6の変形例について説明する。第6の変形例では、
図5のフローチャートで示したステップS38の処理において、画像形成装置1のサブシステム20の第2管理部22は、共有RAM123に記憶するログの領域を調整する。例えば、第2管理部22は、必ず記憶したいログ(例えば、重要度又は優先度が高いログ)の記憶領域(バッファ)とそれ以外のログの記憶領域(バッファ)を別々に用意する。或いは、第2管理部22は、省電力状態に遷移中に出力されるログの記憶領域(バッファ)と省電力状態中に出力されるログの記憶領域(バッファ)を別々に用意する。これにより、ログが記憶された領域で、ログの重要度や記憶された状態を区別できることが可能となる。
【0071】
以上、本発明を実施するための幾つかの形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0072】
例えば、
図4の機能ブロックの構成図の一例は、画像形成装置1による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置1における処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0073】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0074】
また、記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、画像形成装置1は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0075】
また、第1制御部11、第1管理部12、第1監視部13、第1記憶部16、第2記憶部17、第2制御部21、第2管理部22、及び第2監視部23のおける「第1」「第2」の表示は、区別が可能であれば「第1」「第2」の順序を入れ替えてもよいし、区別が不要であれば「第1」「第2」を付与しなくてもよい。
【0076】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>装置全体を制御するメインシステム、省電力状態において装置の一部を制御するサブシステム、及び前記メインシステムと前記サブシステムの両方から参照可能なメモリとを有する情報処理装置であって、前記サブシステムは、前記省電力状態において、重要度に関する情報を付与してログを前記メモリに記憶する記憶部と、記憶された前記ログのサイズ、又は前記省電力状態の経過時間に応じて、前記重要度に基づいて、前記ログの一部を前記メモリから削除する調整を行う管理部と、を有する情報処理装置である。
<2>前記管理部は、装置が有する機能ごとに前記機能が出力する前記ログを記憶するか否かを設定し、前記記憶部は、前記管理部が記憶すると設定した前記機能が出力する前記ログのみを前記メモリに記憶する、前記<1>に記載の情報処理装置である。
<3>前記重要度は、装置が有する前記機能ごとに設定される、前記<2>に記載の情報処理装置である。
<4>前記重要度は、装置の動作状況に応じて動的に設定される、前記<1>から<3>のいずれかに記載の情報処理装置である。
<5>前記管理部は、装置の動作状況に応じて前記ログの一部を前記メモリから削除するタイミングを制御する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の情報処理装置である。
<6>前記<1>から<5>のいずれかに記載の前記情報処理装置は、記憶媒体に画像を形成する画像形成装置である。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b 画像形成装置
10 メインシステム
11 第1制御部
12 第1管理部
13 第1監視部
14 表示制御部
15 操作受付部
16 第1記憶部
17 第2記憶部
20 サブシステム
21 第2制御部
22 第2管理部
23 第2監視部
24 通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】