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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034822
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】有価金属の回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/00 20060101AFI20240306BHJP
   C22B 1/02 20060101ALI20240306BHJP
   C22B 5/10 20060101ALI20240306BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20240306BHJP
   C22B 7/02 20060101ALI20240306BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C22B7/00 C
C22B1/02
C22B5/10
C22B1/00 601
C22B7/02 A
H01M10/54
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139331
(22)【出願日】2022-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】永倉 俊彦
【テーマコード(参考)】
4K001
5H031
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA16
4K001AA19
4K001AA34
4K001BA14
4K001BA22
4K001CA01
4K001CA02
4K001CA05
4K001CA09
4K001CA15
4K001DA05
4K001DB03
4K001DB26
4K001GA07
4K001HA01
4K001JA01
4K001KA06
5H031HH06
5H031RR02
(57)【要約】
【課題】廃リチウムイオン電池から有価金属を効率的に回収することができる方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程S3と、得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程S4と、を有する。酸化焙焼工程S3にて発生する排ガス中のダストに対して600℃以上1000℃未満の加熱処理を施して回収し、回収した加熱処理後のダストの少なくとも一部を還元工程S4における被処理物に加えることを特徴とする。ダストに対する加熱処理の温度は、900℃以上1000℃未満であることが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、
前記廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程と、
得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程と、を有し、
前記酸化焙焼工程にて発生する排ガス中のダストに対して600℃以上1000℃未満の加熱処理を施して回収し、回収した加熱処理後のダストの少なくとも一部を前記還元工程における被処理物に加える、
有価金属の回収方法。
【請求項2】
前記ダストに対する加熱処理の温度が900℃以上1000℃未満である、
請求項1に記載の有価金属の回収方法。
【請求項3】
前記酸化焙焼工程では、処理対象となる前記原料中の炭素の化学当量の1.5倍以上の酸化剤を導入して、600℃以上900℃以下の範囲で選択される処理温度で前記酸化焙焼処理が行い、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位を1.0質量%未満とする、
請求項1又は2に記載の有価金属の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃リチウムイオン電池に含まれる有価金属の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量で大出力の二次電池としてリチウムイオン電池が普及している。リチウムイオン電池としては、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極集電体に黒鉛等の負極活物質を固着した負極材、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着した正極材、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータ、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む電解液等を封入したものが知られている。
【0003】
リチウムイオン電池の主要な用途の一つに、ハイブリッド自動車や電気自動車があり、自動車のライフサイクルと共に、搭載されたリチウムイオン電池も将来大量に廃棄される見込みとなっている。このような使用済みの電池や、製造中に生じた不良品(以下、「廃リチウムイオン電池」と称する)を資源として再利用する提案が多くなされており、廃リチウムイオン電池の再利用法として、高温炉で廃電池を全量熔解する乾式製錬プロセスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される方法は、銅製錬炉に装入物(銅精鉱)とスラグ形成剤とを投入して焙焼した後の還元工程において、発熱剤及び/又は還元剤の少なくとも一部を、金属鉄、金属アルミニウム、及びカーボンのいずれか1つ以上を含む廃リチウムイオン電池で置き換えて添加するというものである。
【0005】
ところで、市販のリチウムイオン電池の電解質には、上述したように六フッ化リン酸リチウムが用いられている。六フッ化リン酸リチウムは、電解液として多用されているカーボネートへの溶解度やリチウムイオン解離度が高く、安価であるといった理由から広く用いられている。一般的な円筒型リチウムイオン電池である、いわゆる18650型電池が焙焼された廃リチウムイオン電池には約0.2質量%以上の割合で、車載用の角型電池が焙焼された廃リチウムイオン電池には約0.1質量%程度以上の割合で、リン(P)が含まれている。そして、18650型の場合には鉄製外装缶を、角型電池の場合にはアルミニウム製外装缶を取り除いたときにおける、電池内容物中のリン含有量はさらに高まる。
【0006】
銅精錬炉のように、常に合金が存在する高温環境にリンを含む廃リチウムイオン電池を投入すると、リンは合金中へ分配され、最終的にはリンのほぼ全量が粗銅中へ不純物として混入してしまう。粗銅の湿式製錬プロセスによる電解処理では、リンの約7割は電解液中に分配されるため、電解が進むと電解液中のリン濃度が上昇してしまうという問題がある。電解液中のリン濃度を低減させるためには、湿式製錬プロセスにリンを除去するための浄液工程を新たに設ける必要がある。しかしながら、湿式製錬プロセスでは銅のみ採取すればよいわけではなく、他の回収対象元素の回収率への影響がないように工程を追加することは、技術的にもコスト的にも容易ではない。したがって、湿式製錬プロセスの前工程である乾式製錬プロセスにおいて、効果的にリンを除去することが求められている。
【0007】
例えば、特許文献2に開示される方法によれば、廃リチウムイオン電池の内容物を酸化焙焼及び還元を経て熔融させることで得られた合金を部分硫化することによって、高濃度のリンを含有する内容物であっても、リンを残留合金に分配し、リン含有量の低い硫化物として銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を回収することができる。しかしながら、この方法に規定される温度域の下限付近で酸化焙焼処理を行った場合は、処理対象となる廃リチウムイオン電池の品位に起因して、酸化焙焼処理における炭素(C)の酸化除去が不十分となる。その結果、還元熔融処理においてメタルとスラグの分離が妨げられ、有価金属の回収率が低下してしまうことがあった。さらに、鉄やリン等の不純物まで還元されてしまうことに起因し、後工程にて不純物を除去するためのコストが悪化してしまうことがあった。
【0008】
こうした問題が生じることを回避するために、特許文献2に記載の方法に規定される温度域の上限付近で酸化焙焼処理を行うことは有効であるが、熱エネルギーコストがかかるうえ、温度制御が困難になることがある。そしてその結果、酸化焙焼物が焼結してしまうことにより、効率的な焙焼処理ができないことがあった。
【0009】
このように、従来の技術では、酸化焙焼処理物の品位と、酸化焙焼処理の処理効率の両立を図ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許5818798号公報
【特許文献2】特開2018-197385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さて、上述したような有価金属の回収方法においては、例えば、酸化焙焼処理において発生したダストには回収対象の有価金属が含まれている。このようなダストは、従来、炉外に排出し、これを廃棄していた。本発明者らは、このような従来廃棄対象としていたダスト中の有価金属を回収するようにすれば、より安価に有価金属を回収することができると考えた。
【0012】
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、廃リチウムイオン電池から有価金属を効率的に回収することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上述したように、有価金属を含むダストを有効活用することで、回収ロスを低減し、より安価に有価金属を回収できるという知見に基づき、特に、ダストを回収する際に、そのダストに対して特定の温度で加熱処理を施すようにすることで、炭素分を有効に低減したダストになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
(1)本発明の第1の発明は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、前記廃リチウムイオン電池を含む原料に対して酸化焙焼処理を施す酸化焙焼工程と、得られる酸化焙焼物を炭素の存在下で還元する還元工程と、を有し、前記酸化焙焼工程にて発生する排ガス中のダストに対して600℃以上1000℃未満の加熱処理を施して回収し、回収した加熱処理後のダストの少なくとも一部を前記還元工程における被処理物に加える、有価金属の回収方法である。
【0015】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記ダストに対する加熱処理の温度が900℃以上1000℃未満である、有価金属の回収方法である。
【0016】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記酸化焙焼工程では、処理対象となる前記原料中の炭素の化学当量の1.5倍以上の酸化剤を導入して、600℃以上900℃以下の範囲で選択される処理温度で前記酸化焙焼処理が行い、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位を1.0質量%未満とする、有価金属の回収方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、廃リチウムイオン電池から有価金属を効率的に回収することができる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】有価金属の回収方法の流れの一例を示す工程図である。
図2】酸化焙焼処理にて排出されたダストに対して加熱処理を施し、ダスト中の炭素品位がその加熱処理の温度によってどの程度にまで減少するかを検証したときの結果を示すグラフ図である。
図3】ダストに対する加熱処理の温度がダスト中の炭素の除去速度にどの程度影響するか示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
【0020】
≪1.有価金属の回収方法の概要≫
本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、リン(P)を含有する廃リチウムイオン電池に含まれる有価金属を回収する方法である。廃リチウムイオン電池から有価金属を回収するにあたっては、乾式製錬プロセスと、湿式製錬プロセスとが実行される。本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、主として乾式製錬プロセスに係るものである。
【0021】
廃リチウムイオン電池(以下、「廃電池」ともいう)とは、使用済みのリチウムイオン電池や、二次電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、発生屑等のリチウムイオン電池の製造工程内における廃材を含む概念である。そして、廃リチウムイオン電池には、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等の有価金属が含まれている。
【0022】
図1は、有価金属の回収方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、本実施の形態に係る有価金属の回収方法は、廃リチウムイオン電池の電解液及び外装缶を除去する廃電池前処理工程S1と、電池の内容物を粉砕して粉砕物とする粉砕工程S2と、粉砕物を酸化焙焼する酸化焙焼工程S3と、酸化焙焼物を還元して有価金属を合金化する還元工程S4と、を有する。
【0023】
特に、本実施の形態に係る方法では、酸化焙焼工程S3において発生する排ガス中のダストに対して特定の温度で加熱処理を施して回収し、回収したその加熱処理後のダストの少なくとも一部を、還元工程S4における被処理物に加えて処理する、ことを特徴としている。
【0024】
このような方法によれば、廃リチウムイオン電池に含まれる有価金属の回収ロスを低減して、より安価で効率的な操作で有価金属を回収することができる。
【0025】
なお、乾式製錬プロセスを経て得られた、有価金属を含む合金に対して湿式製錬プロセスを実行することで、不純物成分を除去し、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を分離精製して、それぞれを回収することができる。湿式製錬プロセスにおける処理としては、中和処理や溶媒抽出処理等の公知の方法により行うことができる。一例を挙げれば、銅、ニッケル、コバルトからなる合金の場合、硫酸等の酸で有価金属を浸出させた後(浸出工程)、溶媒抽出等により例えば銅を抽出し(抽出工程)、残存したニッケル及びコバルトの含有溶液は、電池製造プロセスにおける正極活物質製造工程に払い出すようにする。
【0026】
≪2.回収方法の各工程について≫
以下、本実施の形態に係る有価金属の回収方法の各工程について具体的に説明する。
【0027】
[廃電池前処理工程]
廃電池前処理工程S1は、廃リチウムイオン電池の爆発防止又は無害化、外装缶除去等を目的として行われる。すなわち、廃リチウムイオン電池は密閉系であり、内部に電解液等を有しているため、そのままの状態で粉砕処理を行うと、爆発の恐れがあり危険である。このため、何らかの方法で放電処理や電解液の除去処理を施す必要がある。また、外装缶は金属のアルミニウム(Al)や鉄(Fe)の場合が多く、こうした金属製の外装缶はそのまま有価金属として比較的容易に回収することができる。このように、廃電池前処理工程S1において電解液及び外装缶を除去することで、安全性を高め、また、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属の回収生産性を高めることができる。
【0028】
廃電池前処理工程S1での処理の具体的な方法は、特に限定されないが、例えば、針状の刃先で廃電池を物理的に開孔することにより、内部の電解液を流し出して除去することができる。また、廃電池をそのまま加熱し、電解液を燃焼して無害化してもよい。
【0029】
廃電池を構成する外装缶に含まれるアルミニウムや鉄を回収する場合には、外装缶を粉砕した後に篩振とう機を用いて篩分けを行うことができる。アルミニウムの場合、軽度の粉砕であっても容易に粉状となり、効率的に回収できる。また、磁力による選別によって、外装缶に含まれている鉄の回収を行うことができる。
【0030】
[粉砕工程]
粉砕工程S2では、廃電池の内容物を粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程S2での処理は、乾式製錬プロセスでの反応効率を高めることを目的として行われる。反応効率を高めることで、銅、ニッケル、コバルトの有価金属の回収率を高めることができる。
【0031】
粉砕工程S2での処理の具体的な粉砕方法は、特に限定されないが、カッターミキサー等の従来公知の粉砕機を用いて粉砕することができる。
【0032】
[酸化焙焼工程]
(酸化焙焼処理について)
酸化焙焼工程S3では、粉砕物を酸化焙焼して酸化焙焼物を得る。酸化焙焼工程S3では、廃電池の内容物中に含まれる炭素(C)を酸化除去し、また、粉砕物中に含まれる、少なくともアルミニウムを酸化することが可能な酸化度で処理する。なお、廃リチウムイオン電池を構成する主要元素は、酸素との親和力の差により一般的に、アルミニウム(Al)>リチウム(Li)>炭素(C)>マンガン(Mn)>リン(P)>鉄(Fe)>コバルト(Co)>ニッケル(Ni)>銅(Cu)、の順に酸化されやすい。
【0033】
このように、酸化焙焼工程S3では、粉砕物を酸化焙焼することで、廃電池の内容物に含まれる炭素を除去することができる。そしてその結果、その後の還元工程S4において局所的に発生する還元有価金属の熔融微粒子が、炭素による物理的な障害なく凝集することが可能となり、一体化した合金として回収することができる。また、還元工程S4において廃電池の内容物に含まれるリンが炭素により還元されることを抑制し、有効にリンを酸化除去して、有価金属の合金中に分配されることを抑制することができる。
【0034】
すなわち、酸化焙焼工程S3では、得られる酸化焙焼物中に含まれる炭素の含有量を1.0質量%未満とする。このように、炭素の含有量がほぼ0質量%となるように炭素を除去することで、リンを有効に酸化除去できるようにするとともに、次の還元工程S4にて有価金属を効率的に還元して合金化するための炭素量の調節を容易にする。
【0035】
仮に、酸化焙焼処理を行わない場合、すなわち、廃電池内容物の粉砕物をそのまま炉に投入して還元熔融処理を行うと、廃電池に含まれる炭素が、その還元熔融処理により生成するメタルとスラグの分離を妨げ、結果として有価金属の回収率を低下させてしまう(あるいはスラグを十分に除去することができない)。また、還元熔融処理において酸化を併せて行うとしても、より厳密な酸化度の調整が困難となり、この点においても有価金属の回収率を低下させる。また、酸化焙焼処理での炭素の除去が不十分になって、ニッケル、コバルト、銅の化学当量以上の炭素が残留すると、粉砕物中に含まれる鉄やリン等の不純物までも還元されることになり、湿式製錬プロセスにおける不純物除去コストの悪化を招くこととなる。
【0036】
ここで、本実施の形態に係る方法では、酸化焙焼処理において、廃リチウムイオン電池を含む原料中の炭素の化学当量(炭素を酸化するのに必要な量)の1.5倍以上の酸化剤を導入することが好ましい。また、酸化剤の導入量は、原料中の炭素の化学当量の2.0倍以上3.0倍以下とすることがより好ましい。酸化剤としては特に限定されないが、取り扱いが容易な点と余剰酸化熱冷却の目的から、空気を用いることが好ましい。
【0037】
このように、酸化剤を上述した条件で導入することで、短時間で酸化焙焼処理を完了させることができるうえ、容易に酸化対象となる廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を酸化除去することができる。
【0038】
さらに、酸化焙焼処理においては、上述した条件で酸化剤を導入するとともに、600℃以上900℃以下の処理温度で酸化焙焼処理を行うことが好ましい。これにより、従来に比べて短時間で効率的にかつ効果的に酸化焙焼処理を完了させることができるうえ、従来のように処理温度を高温に設定しなくても、容易に原料中の炭素を酸化除去することができる。
【0039】
すなわち、上述した条件で酸化剤を導入し、酸化焙焼処理の温度条件を600℃以上とすることで、従来よりも短時間の処理で、廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を有効に酸化除去することができる。さらに、酸化焙焼温度の温度条件を900℃以下とすることで、熱エネルギーコストを抑制でき、また、容易に温度制御を行うことができる。このように、600℃以上900℃以下の処理温度で酸化焙焼処理を行うことで、従来よりも酸化焙焼処理の効率を高めることができる。
【0040】
しかも、酸化焙焼処理を公知のロータリーキルン等を用いて行う場合では、酸化焙焼温度を900℃以下に制御することで、キルンの内壁へのベコの付着を抑制でき、安定的にかつ均一に酸化焙焼処理を施すことができる。
【0041】
また、本実施の形態に係る方法では、得られる前記酸化焙焼物の炭素品位(炭素含有量)が1.0質量%未満となるように、酸化焙焼処理の処理時間を設定することが好ましい。ここで、具体的な処理時間は、酸化焙焼処理における処理時間と、処理温度と、酸化剤の導入量と、得られる酸化焙焼物中に含まれる炭素の含有量との関係を求める試験を実施し、その試験結果に基づいて設定すればよい。例えば、酸化焙焼処理の処理時間を2時間以上に設定することで、得られる酸化焙焼物中の炭素品位が1.0質量%未満となり易くなる。さらに、処理時間を3時間未満に設定することで、必要以上の処理時間をかけて酸化焙焼処理が行われることが防止されるため、処理効率をいっそう高めることが可能となる。
【0042】
酸化焙焼処理の処理温度に関して、処理温度が600℃未満であると、上述した条件で酸化剤を導入しても、炭素が分解せずに残留しやすくなるうえ、アルミニウムの酸化も表面のみに留まり、その後の還元工程S4において合金中にアルミニウムが拡散しやすくなる。また、残留した炭素には、おおむねリンが含まれているため、残留炭素が多くなると比較的還元され易いリンが炭素によって無視できない程度に還元され、その後の還元工程S4においてそのリンが合金中に分配される可能性があり、好ましくない。そして、この一連の工程において有効にリンを除去できなくなるため、合金を回収した後に別途脱リン工程にてその合金からリンを除去する処理を行うことが必要になる。また、酸化焙焼処理の温度条件が600℃未満の場合は、炭素の酸化除去に長時間を要してしまうため、処理時間が長くなりすぎて、操業に支障をきたす懸念がある。
【0043】
一方、酸化焙焼処理の処理温度が900℃より大きいと、酸化焙焼物が焼結しやすくなり、その後の還元工程S4での処理のハンドリングに支障をきたすことがある。また、酸化焙焼処理に公知のロータリーキルン等を用いた場合では、炉内耐火物に焙焼物が付着成長して炉内閉塞を招くことがあり、還元工程S4での処理効率が低下しやすくなる。さらに、その温度を維持するための炉体製造コストや熱エネルギーコストが極めて高くなり、効率的な処理を行うことができない。
【0044】
また、酸化焙焼処理は、例えば公知の焙焼炉を使用して行うことができる。また、還元工程S4における還元熔融処理で使用する熔融炉とは異なる炉(予備炉)を設け、その予備炉内にて行うことが好ましい。焙焼炉としては、粉砕物を焙焼しながら酸素を供給することによってその内部で酸化処理を行うことが可能な、あらゆる形式のキルンを用いることができる。一例として、従来公知のロータリーキルン、トンネルキルン(ハースファーネス)等を好適に用いることができる。
【0045】
このように、好ましくは上述した条件で酸化焙焼処理を行うことで、廃リチウムイオン電池に含まれる炭素を効率的にかつ効果的に酸化除去することができる。そして、その結果、不純物であるリンを除去することが可能となり、安価にかつ効果的に有価金属を回収することができる。なお、リンを有効に除去することができるため、有価金属の回収における乾式製錬プロセス後の湿式製錬プロセスを単純化することができる。具体的には、湿式製錬プロセスでの処理量として、乾式製錬プロセスへ投入する廃リチウムイオン電池の量に比べて質量比で1/4から1/3程度まで少なくすることができ、湿式製錬プロセスを単純化することができる。したがって、乾式製錬プロセス(廃電池前処理工程S1~還元工程S4)を広義の前処理とすることで、不純物(リン)の少ない合金を得るとともに、処理量も大幅に減らすことで、乾式製錬プロセスと湿式製錬プロセスとを組み合わせることが工業的に可能となる。
【0046】
(排ガス中のダストの回収)
さて、本実施の形態に係る方法では、酸化焙焼工程S3での処理を経て発生する排ガス中のダストに対して600℃以上1000℃未満の温度で加熱処理を施し、その加熱処理後のダストを回収する。そして、詳しくは後述するが、回収した加熱処理後のダストの少なくとも一部、あるいは全部を、還元工程S4における被処理物(酸化焙焼物)に加えて還元処理することを特徴としている。
【0047】
酸化焙焼処理において排出される排ガスにはダストが含まれ、従来廃棄の対象となっていた。ところが、その排ガス中のダストには、わずかながらも有価金属が含まれており、廃棄することで有価金属の回収ロスが生じていた。そのため、排ガス中のダストを回収して、次工程の還元工程における被処理物に加え、その被処理物と一緒に還元処理を施すようにすることで、有価金属の回収ロスを抑制することが可能となる。
【0048】
このとき、排ガス中のダストには有価金属のほかに炭素が多く含まれているため、回収したダストをそのまま還元処理の被処理物に加えると、多くの炭素が被処理物に含まれることとなり、好ましくない。そこで、本実施の形態に係る方法では、酸化焙焼処理を経て発生する排ガス中のダストに対して加熱処理を施し、その加熱処理後のダストを回収して、還元工程S4における被処理物に加えるようにしている。このように、排ガス中のダストに対して特定の温度で加熱処理を施し、加熱処理後のダストを還元処理の被処理物に加えるようにすることで、ダスト中の炭素を酸化除去して減少させることができ、添加対象の被処理物に炭素が含まれるようになることを防ぐことができる。
【0049】
ここで、図2は、酸化焙焼処理にて排出された排ガス中のダストに対して加熱処理を施して、ダスト中の炭素品位がその加熱処理の温度によってどの程度にまで減少するかを検証したときの結果を示すグラフ図である。また、図3は、ダストに対する加熱処理の温度がダスト中の炭素の除去速度にどの程度影響するか示すグラフ図である。
【0050】
なお、酸化焙焼処理は、廃リチウムイオン電池の内容物を粉砕して得た粉砕物を、大気中に設置されたロータリーキルンを用いて、処理温度が900℃、処理時間が2時間となる条件で行った。また、下記表1に、酸化焙焼処理にて排出された排ガス中のダスト(図2図3の検証に供したダスト)の組成を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
図2を参照すると、ダストに対する加熱処理の温度が600℃以上1000℃未満の領域においてダスト中の炭素品位が減少し始めることがうかがえる。そして、図3を参照すると、上記と同じ温度領域において、ダスト中の炭素の除去速度が増加することがうかがえる。つまり、酸化焙焼処理にて排出されたダスト中の炭素品位は、そのダストに対して600℃以上1000℃未満の温度で加熱処理を施すことによって、効果的に減少させることができることがわかる。
【0053】
また、ダスト中の炭素品位の減少効果と、炭素品位の減少速度の増加効果は、加熱処理温度900℃以上において最大化できることがわかる。
【0054】
このように、酸化焙焼処理において排出された排ガス中のダストに対して、600℃以上100℃未満、好ましくは900℃以上1000℃未満の温度で加熱処理を施すことによって、ダスト中の炭素を酸化して効果的に減少させることができる。
【0055】
ダストに対する加熱処理の具体的な方法は、特に限定されない。例えば、酸化焙焼処理設備の排ガス煙道にバーナーを設けて行うことができる。また、そのほか、従来公知の燃焼塔を用いて行うようにしてもよい。
【0056】
[還元工程]
還元工程S4では、酸化焙焼工程S3により得られた酸化焙焼物を還元して還元物を得る。還元工程S4は、酸化焙焼処理で酸化したアルミニウム等の不要な酸化物は酸化物のままで、酸化焙焼処理で酸化してしまった銅等の有価金属の酸化物については還元及び熔融させ、還元物を一体化した合金として回収することを目的とする。
【0057】
ここで、還元工程S4では、少なくとも炭素の存在下で還元熔融処理を行う。このような還元熔融処理により、スラグと有価金属を含む合金とを含む熔融物を得る。
【0058】
炭素は、回収対象である有価金属の銅、ニッケル、コバルト等を容易に還元する能力がある還元剤である。例えば、炭素1モルで銅酸化物やニッケル酸化物等の有価金属の酸化物2モルを還元することができる黒鉛等が挙げられる。また、炭素1モルあたり2モル~4モルを還元できる炭化水素等を炭素の供給源として用いることができる。このように、還元剤としての炭素の存在下で還元熔融処理を行うことで、有価金属を効率的に還元して、有価金属を含む合金をより効果的に得ることができる。また、炭素を用いた還元では、例えばアルミニウム等の金属粉を還元剤として還元するテルミット反応を利用する場合と比べて、極めて安全性が高いという利点もある。
【0059】
また、還元剤である炭素としては、人工黒鉛や天然黒鉛のほか、製品や後工程で不純物が許容できる程度であれば、石炭やコークス等を使用することもできる。なお、還元熔融処理では、アンモニアや一酸化炭素を添加するようにしてもよい。
【0060】
このとき、炭素の存在量を適度に調節することが好ましい。炭素の存在量が多すぎると、酸化焙焼物中にリンが含まれている場合に、その炭素によってリンの多くが還元され、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を含む合金中に分配され、有効に除去することができず、リン品位の高い合金となってしまう。一方で、炭素の存在量が少なすぎると、リンは有効に除去されリン品位の低い合金が得られるものの、有価金属が有効に還元されず、有価金属の回収率が低下する。なお、炭素の存在量は、酸化焙焼物に残存したリンの含有量のほか、還元剤として使用する炭素(炭素供給源)の価格と回収する有価金属の価格との差(価格差)等を考慮して増減することができる。
【0061】
具体的に、還元工程S4における還元熔融処理では、好ましくは、処理対象の酸化焙焼物100質量%に対して7.5質量%を超え10質量%以下となる割合、より好ましくは、8.0質量%以上9.0質量%以下となる割合の量の炭素の存在下で処理する。このようにして炭素の存在量をコントロールすることで、有価金属を有効に還元して回収率を向上させる一方で、リンの還元を抑制するとともにリンを有効に分離してリン品位の低い合金を得ることができる。
【0062】
炭素の存在量は、上述したように、還元熔融処理において黒鉛等を添加することによって調節することができる。ここで、厳密には、酸化焙焼工程S3での酸化焙焼処理により酸化除去されなかった炭素の量も含めて調節することが好ましい。すなわち、炭素の存在量とは、還元熔融処理にて添加する炭素の量だけでなく、酸化焙焼物中に残留した炭素の量も含まれる。ただし、上述したように、酸化焙焼工程S3では、特定量の酸化剤を導入し、また特定の温度範囲の条件で酸化焙焼処理を行っていることから、原料に含まれる炭素は有効に除去され、得られる酸化焙焼物にはほとんど炭素が含まれていない。このことから、還元熔融処理における炭素量に関しては、炭素の添加量が実質的に存在量となり、添加する炭素によって自在に調整することができる。
【0063】
さて、本実施の形態に係る方法では、上述したように、酸化焙焼工程S3での処理を経て発生する排ガス中のダストに対して600℃以上1000℃未満の温度で加熱処理を施し、その加熱処理後のダストを回収している。そして、回収した加熱処理後のダストの少なくとも一部、あるいは全部を、還元工程S4における被処理物(酸化焙焼物)に加えて還元処理することを特徴としている。
【0064】
このように、酸化焙焼工程S3にて発生した排ガス中のダストを回収し、還元熔融処理の被処理物に加えて一緒に処理することで、有価金属の回収ロスを低減することができ、より効率的な回収処理を行うことができる。
【0065】
上述したように、排ガスから回収し、還元熔融処理の被処理物に加えられるダストは、600℃以上1000℃未満、好ましくは900℃以上1000℃未満の温度で加熱処理が予め施されている。したがって、そのダストにおいては、炭素が有効に低減されている。ところが、加熱処理後のダストにおいても、一部の炭素が残存することがあり、その炭素は、還元処理において還元剤として作用する。そのことから、還元熔融処理における炭素の存在量は、加熱処理が施されたダスト中に残存する炭素量を考慮して調節するようにする。
【0066】
ここで、被処理物としての酸化焙焼物に、酸化焙焼工程S3にて排出された排ガス中のダストをそのままの状態で、つまり加熱処理を施さないで加えるケースを考えてみる。こうしたケースにおいては、加熱処理を施さないダストには炭素が高濃度に含まれるため、ダスト中の炭素を還元剤として優先的に使用したとしても、そのダストの使用には限界がある。すなわち、還元熔融処理における還元剤の使用量は、被処理物に含まれる有価金属(Ni、Co、Cu等)を熔融還元して合金化でき、また、不純物(P、Fe、Mn、Al等)が還元されない使用量に調整する必要があるため、加熱処理を施さず高濃度の炭素が含まれるダストには、自ずと使用限界が設定されてしまう。
【0067】
これに対して、ダストに対して加熱処理を施して得られる、加熱処理後のダストを日和物(酸化焙焼物)に加えるケースでは、ダスト中の炭素は加熱処理によって減少しているため、上述したケース(加熱処理を施さないダストを被処理物に加えるケース)と比較して、より多くのダストを被処理物に加えることが可能となる。
【0068】
つまり、本実施の形態に係る方法では、ダストを廃棄する従来方法はもとより、ダストを単に還元熔融処理に導入する(ダストを加熱処理せずにそのまま導入する)場合と比較しても、有価金属を含むダストをより多く還元熔融処理に導入することができ、有価金属の回収ロスをより効果的に低減でき、効率的な有価金属の回収を実現することができる。
【0069】
還元熔融処理における温度条件(熔融温度)としては、特に限定されないが、1320℃以上1600℃以下の範囲とすることが好ましく、1450℃以上1550℃以下の範囲とすることがより好ましい。例えば、50質量%以上のコバルトを含む銅合金であれば概ね融点は1380℃以上となり、50質量%以上のニッケルを含む銅合金であれば概ね融点は1320℃以上となる。したがって、1320℃以上での温度で還元熔融することにより、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を合金として回収しやすくなる。また、1450℃以上で還元熔融すると、得られる合金の流動性が非常に良好となり、不純物成分と有価金属との分離効率が向上してより好ましい。一方で、熔融温度が1600℃を超えると、熱エネルギーが無駄に消費され、るつぼや炉壁等の耐火物の消耗も激しくなり、生産性が低下する可能性がある。そのため、熔融温度としては1600℃以下とすることが好ましい。
【0070】
還元熔融処理においては、フラックスを用いることが好ましい。フラックスを用いて還元熔融することで、アルミニウム等の酸化物を含有するスラグをフラックスに溶解させて除去することができる。
【0071】
フラックスとしては、カルシウム(Ca)を主成分として含むものが好ましい。例えば、酸化カルシウムや炭酸カルシウムを用いることができる。リンは酸化すると酸性酸化物になるため、スラグの組成は塩基性であるほどリンをスラグに分配して除去し易くなる。そのため、スラグ中で塩基性酸化物となるカルシウムが多い方がよく、酸性酸化物となる珪素(Si)は少ない方がよい。特に、生成するスラグ中の二酸化珪素(SiO)/酸化カルシウム(CaO)の質量比が0.5以下となるようにフラックスを添加して処理することが好ましい。また、酸化アルミニウム(Al)の割合が大きいとスラグの融点が上昇するため、酸化アルミニウムを熔融するために十分な量のカルシウムが必要であり、特にスラグ中の酸化カルシウム(CaO)/酸化アルミニウム(Al)の質量比が0.3以上2.0以下となるようにフラックスを添加して処理することが好ましい。これにより、スラグが塩基性となり、酸性酸化物を生成するリンを効果的に除去することができる。
【0072】
還元熔融処理においては、粉塵や排ガス等が発生することがあるが、従来公知の排ガス処理を施すことによって無害化することができる。
【0073】
また、還元工程S4での還元熔融処理を経て得られた合金には、回収前に硫黄を添加してもよく、これにより合金を脆くして破砕し易くすることができる。合金を破砕することで比表面積を大きくすることができ、これにより湿式製錬プロセスでの浸出性を向上させることができる。
【0074】
なお、以上においては、酸化焙焼工程S3を経て得られた酸化焙焼物に対して還元及び熔融の処理を実行して、還元物を一体化した合金として回収する方法を説明したが、還元と熔融とを同時に行うことは必須ではなく、夫々の工程を独立して行うこともできる。
【0075】
具体的には、先ず、還元工程として、酸化焙焼工程S3により得られた酸化焙焼物を還元して還元物を得る。この還元工程は、酸化焙焼処理で酸化したアルミニウム等の不要な酸化物は酸化物のままで、酸化焙焼処理で酸化してしまった銅等の有価金属の酸化物については還元し、次の熔融工程において還元物を一体化した合金として回収する。
【0076】
還元工程では、例えば、500℃以上1000℃以下の温度(還元温度)で、かつ、炭素の存在下で酸化焙焼物を加熱還元する。還元温度としては特に限定されないが、500℃以上1000℃以下の範囲とすることで、還元時間を短縮することができ、また熱エネルギーコストを抑制して、還元処理効率を高めることができる。なお、還元温度が500℃未満であると還元反応効率が低くなって処理に長時間を要してしまい、一方で、還元温度が1000℃を超えると酸化焙焼物を還元する前に焼結が起こり易くなる。
【0077】
還元処理は、還元炉を使用して行うことができ、還元炉の内部を所望とする温度にまでバーナー等を用いて加熱し、炉内に装入した酸化焙焼物を加熱還元する。
【0078】
次に、熔融工程において、還元工程を経て得られた還元物を熔融して合金化する。このようにして還元物を熔融することによって、アルミニウム等の酸化物を含有するスラグと、有価金属である銅、ニッケル、コバルト等を含む合金とが含まれる熔融物が得られる。
【0079】
熔融工程において、熔融処理における温度条件(熔融温度)としては、特に限定されないが、1320℃以上1600℃以下の温度とすることが好ましい。また、熔融処理では、酸化カルシウムや炭酸カルシウム等のフラックスを用いることが好ましい。なお、熔融処理では、粉塵や排ガス等が発生することがあるが、従来公知の排ガス処理を施すことによって無害化することができる。
図1
図2
図3