(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035174
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】透過型構成を利用する電磁誘導式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139275
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】17/900,633
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA25
2F077AA41
2F077AA46
2F077CC02
2F077NN05
2F077NN16
2F077PP21
(57)【要約】
【課題】スケール、検出器部分、及び信号プロセッサを含む電磁誘導式エンコーダを提供する。
【解決手段】一態様によれば、検出器部分の磁場発生素子とセンシング素子とは、スケールの少なくとも一部が磁場発生素子とセンシング素子との間にあるように、スケールの両側に設けられている(透過型構成)。別の態様によれば、スケールは、エンコーダの所与のx方向変位に対して対応するy方向変位があるように、エンコーダの測定軸方向と平行ではなく、かつ測定軸方向に対してスケール角度で傾斜しているスケール方向に沿って配列されている信号変調素子を含む周期的スケールパターンを含む。本開示のこれらの態様により、スケールに沿った絶対位置を示すことができるものを含む、非常にコンパクトな電磁誘導式エンコーダを設計することが可能になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に沿って検出器部分とスケールとの相対位置を測定するように構成された電子エンコーダであって、
前記測定軸方向に沿って延在しているスケールであって、第1のスケール方向及び第1の横スケール方向に沿って配列された同様の導電性プレート又は同様の導電性ループを含む信号変調素子を含む第1の周期的スケールパターンを含む、スケールと、
前記第1の周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、前記測定軸方向に沿って前記第1の周期的スケールパターンに対して移動するように構成された検出器部分であって、
前記第1の横スケール方向に沿って配置された磁場発生素子の第1のセットであって、磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されている、磁場発生素子の第1のセットと、
前記測定軸方向に沿って配置されたセンシング素子の第1のセットであって、センシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、センシング素子の前記第1のセットは、前記第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されている、センシング素子の第1のセットと、を含む、検出器部分と、
前記駆動信号を提供するために前記検出器部分に動作可能に接続され、かつ前記検出器部分から入力された検出器信号に基づいて前記検出器部分と前記第1の周期的スケールパターンとの相対位置を決定するように構成されている信号処理構成と、
を備え、
磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとは、前記測定軸方向に垂直な方向に沿って、前記第1の周期的スケールパターンの両側にあり、前記第1の周期的スケールパターンの少なくとも一部が、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとの間にある、電子エンコーダ。
【請求項2】
磁場発生素子の前記第1のセットは、第1の磁場発生素子空間波長に従って、前記第1の横スケール方向に沿って配列されており、
センシング素子の前記第1のセットは、第1のセンシング素子空間波長に従って、前記測定軸方向に沿って配列されており、
前記第1の磁場発生素子空間波長は、前記第1のセンシング素子空間波長の整数倍であり、前記整数倍は少なくとも1倍である、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項3】
磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループを含み、磁場発生素子の前記第1のセットの隣接する導電性ループは反対の巻線極性を有し、各ループは、前記第1の横スケール方向に沿って、名目上、前記第1の磁場発生素子空間波長の1/2に等しい最大幅を有し、
センシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループを含み、センシング素子の前記第1のセットの隣接する導電性ループは反対の巻線極性を有し、各ループは、前記測定軸方向に沿って、名目上、前記第1のセンシング素子空間波長の1/2に等しい最大幅を有する、請求項2に記載の電子エンコーダ。
【請求項4】
前記第1の周期的スケールパターンにおいて、前記信号変調素子は、前記第1のスケール方向に沿って各々延在しているスケール列に配列され、
第1のスケール空間波長に従って間隔をあけた前記信号変調素子を有する各スケール列は、前記第1のスケール方向における前記信号変調素子の空間位相を有し、
前記第1の周期的スケールパターンの隣接するスケール列では、各スケール列の前記空間位相は、隣接するスケール列の前記空間位相から、前記第1のスケール空間波長の1/2だけオフセットされている、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項5】
前記スケールは更に、磁場発生素子の前記第1のセット又はセンシング素子の前記第1のセットのうちの少なくとも一方の導体のための貫通穴から少なくとも部分的にもたらされ得る、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとの間の結合を抑制するように構成されたスケールシールド領域を含む、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項6】
前記検出器部分は更に、
磁場発生素子の前記第1のセットの導体のための第1の複数の磁場発生素子貫通穴と、
センシング素子の前記第1のセットの導体のための第1の複数のセンシング素子貫通穴と、
を含み、
前記第1の複数の磁場発生素子貫通穴は、第1の磁場発生素子貫通穴方向に沿って配置されており、前記第1の複数のセンシング素子貫通穴は、前記第1の磁場発生素子貫通穴方向に垂直な第1のセンシング素子貫通穴方向に沿って配置されている、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項7】
前記検出器部分は更に、
前記第1の横スケール方向に沿って配置されたオフセット磁場発生素子の第1のセットであって、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されており、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットは、磁場発生素子の前記第1のセットに対して、磁場発生素子空間位相オフセットだけオフセットされており、磁場発生素子の前記第1のセットは、第1の磁場発生素子空間位相に対応しており、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットは、第1のオフセット磁場発生素子空間位相に対応している、オフセット磁場発生素子の第1のセットと、
前記測定軸方向に沿って配置されたオフセットセンシング素子の第1のセットであって、オフセットセンシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、前記第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される前記磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されており、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、センシング素子の前記第1のセットに対して、センシング素子空間位相オフセットだけオフセットされており、センシング素子の前記第1のセットは、第1のセンシング素子空間位相に対応し、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、第1のオフセットセンシング素子空間位相に対応している、オフセットセンシング素子の第1のセットと、
を含む、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項8】
前記検出器部分は更に、センシング素子の前記第1のセットが固定されている平面センシング素子基板と、磁場発生素子の前記第1のセットが固定されている平面磁場発生素子基板と、を含み、
前記駆動信号を前記検出器信号と同期させる前記信号処理構成の少なくとも一部は、前記平面センシング素子基板に固定されており、電子コネクタが、前記平面センシング素子基板と前記平面磁場発生素子基板との間に延在し、かつ磁場発生素子の前記第1のセットを前記信号処理構成の少なくとも一部に電子的に結合する、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項9】
前記第1の周期的スケールパターンは、センシング素子の前記第1のセットよりも磁場発生素子の前記第1のセットに近い、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項10】
前記検出器部分は更に、センシング素子の前記第1のセットが固定されている平面センシング素子基板と、磁場発生素子の前記第1のセットが固定されている平面磁場発生素子基板と、を含み、
前記平面センシング素子基板は、センシング素子の前記第1のセットと磁場発生素子の前記第1のセットとの間の名目上の検出器ギャップを有して、前記平面磁場発生素子基板と名目上平行であり、
前記第1の周期的スケールパターンに対する前記検出器部分の移動は、前記第1の周期的スケールパターンの少なくとも一部が、センシング素子の前記第1のセットと磁場発生素子の前記第1のセットとの間の前記名目上の検出器ギャップ内にある状態で、前記平面センシング素子基板及び前記平面磁場発生素子基板が前記第1の周期的スケールパターンに対して移動することに対応している、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項11】
前記信号変調素子は、同様の導電性プレートを含む、請求項1に記載の電子エンコーダ。
【請求項12】
測定軸方向に沿って検出器部分とスケールとの相対位置を測定するように構成された電子エンコーダを操作する方法であって、
前記電子エンコーダは、
前記測定軸方向に沿って延在しているスケールであって、第1のスケール方向及び第1の横スケール方向に沿って配列された同様の導電性プレート又は同様の導電性ループを含む信号変調素子を含む第1の周期的スケールパターンを含む、スケールと、
前記第1の周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、前記測定軸方向に沿って前記第1の周期的スケールパターンに対して移動するように構成された検出器部分であって、
前記第1の横スケール方向に沿って配置された磁場発生素子の第1のセットであって、磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されている、磁場発生素子の第1のセットと、
前記測定軸方向に沿って配置されたセンシング素子の第1のセットであって、センシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、センシング素子の前記第1のセットは、検出器信号を提供するように構成されている、センシング素子の第1のセットと、を含む、検出器部分と、を備え、
前記方法は、
磁場発生素子の前記第1のセットに前記磁束の変化を発生させるように駆動信号を提供することであって、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとは、前記測定軸方向に垂直な方向に沿って、前記第1の周期的スケールパターンの両側にあり、前記第1の周期的スケールパターンの少なくとも一部が、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとの間にある、提供することと、
センシング素子の前記第1のセットから検出器信号を受信することであって、前記検出器信号は、前記第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答するものである、受信することと、
前記検出器部分からの前記検出器信号に少なくとも部分的に基づいて、前記検出器部分と前記第1の周期的スケールパターンとの相対位置を決定することと、
を含む、方法。
【請求項13】
磁場発生素子の前記第1のセットは、第1の磁場発生素子空間波長に従って、前記第1の横スケール方向に沿って配列されており、
センシング素子の前記第1のセットは、第1のセンシング素子空間波長に従って、前記測定軸方向に沿って配列されており、
前記第1の磁場発生素子空間波長は、前記第1のセンシング素子空間波長の整数倍であり、前記整数倍は少なくとも1倍である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループを含み、磁場発生素子の前記第1のセットの隣接する導電性ループは反対の巻線極性を有し、各ループは、前記第1の横スケール方向に沿って、名目上、前記第1の磁場発生素子空間波長の1/2に等しい最大幅を有し、
センシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループを含み、センシング素子の前記第1のセットの隣接する導電性ループは反対の巻線極性を有し、各ループは、前記測定軸方向に沿って、名目上、前記第1のセンシング素子空間波長の1/2に等しい最大幅を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スケールは更に、磁場発生素子の前記第1のセット又はセンシング素子の前記第1のセットのうちの少なくとも一方の導体のための貫通穴から少なくとも部分的にもたらされ得る、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとの間の結合を抑制するように構成されたスケールシールド領域を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記検出器部分は更に、
磁場発生素子の前記第1のセットの導体のための第1の複数の磁場発生素子貫通穴と、
センシング素子の前記第1のセットの導体のための第1の複数のセンシング素子貫通穴と、
を含み、
前記第1の複数の磁場発生素子貫通穴は、第1の磁場発生素子貫通穴方向に沿って配置されており、前記第1の複数のセンシング素子貫通穴は、前記第1の磁場発生素子貫通穴方向に垂直な第1のセンシング素子貫通穴方向に沿って配置されている、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記検出器部分は更に、
前記第1の横スケール方向に沿って配置されたオフセット磁場発生素子の第1のセットであって、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されており、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットは、磁場発生素子の前記第1のセットに対して、磁場発生素子空間位相オフセットだけオフセットされており、磁場発生素子の前記第1のセットは、第1の磁場発生素子空間位相に対応しており、オフセット磁場発生素子の前記第1のセットは、第1のオフセット磁場発生素子空間位相に対応している、オフセット磁場発生素子の第1のセットと、
前記測定軸方向に沿って配置されたオフセットセンシング素子の第1のセットであって、オフセットセンシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、前記第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される前記磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されており、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、センシング素子の前記第1のセットに対して、センシング素子空間位相オフセットだけオフセットされており、センシング素子の前記第1のセットは、第1のセンシング素子空間位相に対応し、オフセットセンシング素子の前記第1のセットは、第1のオフセットセンシング素子空間位相に対応している、オフセットセンシング素子の第1のセットと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記検出器部分は更に、センシング素子の前記第1のセットが固定されている平面センシング素子基板と、磁場発生素子の前記第1のセットが固定されている平面磁場発生素子基板と、を含み、
前記駆動信号を前記検出器信号と同期させる信号処理構成の少なくとも一部は、前記平面センシング素子基板に固定されており、電子コネクタが、前記平面センシング素子基板と前記平面磁場発生素子基板との間に延在し、かつ磁場発生素子の前記第1のセットを前記信号処理構成の少なくとも一部に電子的に結合する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の周期的スケールパターンは、センシング素子の前記第1のセットよりも磁場発生素子の前記第1のセットに近い、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
測定軸方向に沿って検出器部分とスケールとの相対位置を測定するように構成されたシステムであって、
前記測定軸方向に沿って延在しているスケールであって、第1のスケール方向及び第1の横スケール方向に沿って配列された同様の導電性プレート又は同様の導電性ループを含む信号変調素子を含む第1の周期的スケールパターンを含む、スケールと、
前記第1の周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、前記測定軸方向に沿って前記第1の周期的スケールパターンに対して移動するように構成された検出器部分であって、
前記第1の横スケール方向に沿って配置された磁場発生素子の第1のセットであって、磁場発生素子の前記第1のセットの構成要素は導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されている、磁場発生素子の第1のセットと、
前記測定軸方向に沿って配置されたセンシング素子の第1のセットであって、センシング素子の前記第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、センシング素子の前記第1のセットは、検出器信号を提供するように構成されている、センシング素子の第1のセットと、を含む、検出器部分と、
を備え、
磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとは、前記測定軸方向に垂直な方向に沿って、前記第1の周期的スケールパターンの両側にあり、前記第1の周期的スケールパターンの少なくとも一部が、磁場発生素子の前記第1のセットとセンシング素子の前記第1のセットとの間にあり、
前記システムは、
磁場発生素子の前記第1のセットに前記磁束の変化を発生させるように駆動信号を提供し、
センシング素子の前記第1のセットから検出器信号を受信するように構成されており、前記検出器信号は、前記第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答するものである、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測学に関し、より具体的には、精密計測システムで利用可能な電磁誘導式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動、及び/又は位置トランスデューサが含まれ得る。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器及び受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。
【0003】
米国特許第6,011,389号(第389号特許)及び第6,124,708号(第708号特許)は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明している。米国特許第5,973,494号(第494号特許)及び第6,002,250号(第250号特許)は、信号生成回路及び処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギス及びリニアスケールについて説明している。米国特許第5,886,519号(第519号特許)、第5,841,274号(第274号特許)、及び第5,894,678号(第678号特許)は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギス及び電子式巻き尺について説明している。米国特許第10,520,335号(第335号特許)、第10,612,943号(第943号特許)、及び第10,775,199号(第199号特許)は、電磁誘導式エンコーダの精度、堅牢性、及びアライメントの容易さを向上させるのに有用である巻線構成の改良点を開示している。上記の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの特許に説明されているように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造することができ、ほとんど汚染に影響されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなシステムは、コンパクトサイズ、高分解能、精度、低コスト、汚染に対する堅牢性などの組み合わせといった、ユーザが希望する特徴の特定の組み合わせを提供する能力に制限がある場合がある。このような特徴の改良された組み合わせを提供するエンコーダの構成が望まれている。
【0005】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する際の助けとして使用されることも意図していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
測定軸方向に沿って検出器部分とスケールとの相対位置を測定するように構成された電子エンコーダが提供される。この電子エンコーダは、
測定軸方向に沿って延在しているスケールであって、第1のスケール方向及び第1の横スケール方向に沿って配列された同様の導電性プレート又は同様の導電性ループを含む信号変調素子を含む第1の周期的スケールパターンを含む、スケールと、
第1の周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、(例えば、エンコーダ全範囲にわたって)測定軸方向に沿って第1の周期的スケールパターンに対して移動するように構成された検出器部分であって、
第1の横スケール方向に沿って配置された磁場発生素子の第1のセットであって、磁場発生素子の第1のセットの構成要素は導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、かつ駆動信号に応答して磁束の変化を発生させるように構成されている、磁場発生素子の第1のセットと、
測定軸方向に沿って配置されたセンシング素子の第1のセットであって、センシング素子の第1のセットの構成要素は、導電性ループ又は導電性ループ部分を含み、センシング素子の前記第1のセットは、第1の周期的スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されている、センシング素子の第1のセットと、を含む、検出器部分と、
駆動信号を提供するために検出器部分に動作可能に接続され、かつ検出器部分から入力された検出器信号に基づいて検出器部分と第1の周期的スケールパターンとの相対位置を決定するように構成されている信号処理構成と、
を含む。
【0007】
様々な実装形態では、電子エンコーダは、透過型構成に従って、及び/又は傾斜したスケールパターンを利用して実現され得る。
【0008】
透過型構成を利用する実装形態では、磁場発生素子の第1のセットとセンシング素子の第1のセットとは、測定軸方向に垂直な方向に沿って、第1の周期的スケールパターンの両側にあり、第1の周期的スケールパターンの少なくとも一部が、磁場発生素子の第1のセットとセンシング素子の第1のセットとの間にある。
【0009】
傾斜したスケールパターンを利用する実装形態では、
第1のスケール方向は、測定軸方向に平行ではなく、測定軸方向に対して第1のスケール角度で傾斜しており、
第1の周期的スケールパターンの信号変調素子の有効側方オフセットは、第1のスケール角度に従って測定軸方向に沿った位置に応じて変化し、
検出器部分から入力された検出器信号は、測定軸方向に沿って検出器部分と第1の周期的スケールパターンとの相対位置が変更する際に、検出器部分に近接する信号変調素子の有効側方オフセットに少なくとも部分的に基づいて変化する(例えば、様々な実装形態では、これにより、検出器部分からの対応する検出器信号を処理することに基づいて、スケールに対する検出器部分の絶対位置を決定することができる)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】検出器部分及びスケールを備えたトランスデューサを含む電磁誘導式電子エンコーダの図である。
【
図2】
図1のエンコーダで利用可能な、スケール及び検出器部分を含むトランスデューサの第1の実装形態の図である。
【
図3】
図2の検出器部分のセンシング部分を示す図である。
【
図4】
図2の検出器部分の磁場発生部分を示す図である。
【
図6】基板上にある、
図2のトランスデューサのコンポーネントを示す端面図である。
【
図8】測定軸方向に対してスケール角度で傾斜したスケールパターンの側方オフセットを示す図である。
【
図9】測定軸方向に対してスケール角度で傾斜したスケールパターンのアブソリュート範囲にわたる側方オフセットを示す図である。
【
図10】
図1のエンコーダで利用可能な、スケール及び検出器部分を含むトランスデューサの第2の実装形態の図である。
【
図11】
図10の検出器部分のセンシング部分を示す図である。
【
図15】測定軸方向に対して対称的なスケール角度で傾斜した第1及び第2のスケールパターンの側方オフセットを示す図である。
【
図16】
図1のエンコーダで利用可能な、スケール及び検出器部分を含むトランスデューサの第3の実装形態の図である。
【
図17】スケールの両側にある磁場発生素子及びセンシング素子を有するエンコーダを操作する方法を説明するフロー図である。
【
図18】測定軸方向に対してスケール角度で傾斜したスケールパターンを有するエンコーダを操作する方法を説明するフロー図である。
【
図19】本明細書に開示される様々な原理に関連する背景情報として提示される、代表的な先行技術の電磁誘導式電子エンコーダの特定の特徴を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、アブソリュート型電子エンコーダ101を含む計測システム100の例示的なコンポーネントのブロック図である。様々な実装形態において、アブソリュート型電子エンコーダ101には、スケール170と検出器部分167とが含まれ、これらが組み合わされてトランスデューサTDRが形成される。アブソリュート型電子エンコーダ101には、ディスプレイ138や、ユーザが操作できる制御素子136(スイッチ、ボタンなど)などの適切なユーザインターフェース特徴が含まれている。いくつかの実装形態では、アブソリュート型電子エンコーダ101は、エンコーダ101がディスプレイを含むことなく(例えば、システム100が、Bluetooth(登録商標)又は他の接続などを介して、電話機、タブレットなどの一部としてなど、対応するリモートディスプレイを含む場合など)、ワイヤレス専用デバイス又は他の構成の一部として使用することができる。エンコーダ101には更に、電源165が含まれている場合がある。エンコーダ101のこれらの要素は全て、信号処理構成166(例えば、1つ以上の信号プロセッサを含む)に結合されており、様々な実装形態では、集積回路(IC)チップ内の信号処理及び表示電子回路として具体化されていてもよい。信号処理構成166は、検出器部分167から検出器信号を受信し、検出器信号を処理して、スケール170に沿った検出器部分167の絶対位置を決定する。信号処理構成166は、信号処理と物理回路との任意の組み合わせを含み得ることが理解されるであろう。様々な実装形態では、信号処理構成166及び検出器部分167を、電子アセンブリ160の一部として含めることができる(基板上に配置されているなど)。
【0012】
図19は、本明細書の他の場所に開示される様々な原理に関連する背景情報として提示される、前述の第389号特許に示されている代表的な先行技術の電磁誘導式電子エンコーダの特定の特徴を概略的に示す平面図である。
図19には更に、本明細書に含まれる他の図における同等の素子を指定するために使用される同等の参照番号又は記号を示すために参照番号注釈が含まれている。第389号特許の開示に基づく以下の簡略説明では、本開示の他の図における同等の参照番号のいくつかを、第389号特許の元の参照番号の後に括弧で示している。
図19の先行技術に関する詳細な説明は、第389号特許に見出すことができるだろう。したがって、ここには簡略説明のみが含まれている(例えば、第389号特許のうちの本開示に関連する特定の教示が含まれている)。
【0013】
第389号特許に開示されているように、
図19に示すようなトランスデューサには、ワイヤ又は巻線の実質的に同一平面内の少なくとも2つの経路が含まれている。送信巻線102(PRTFGE’’’’)は、大きな平面ループを形成する。この例では、送信巻線102は、磁場発生部分PRTFGE’’’’全体を形成し、いくつかの実装形態では、(例えば、以下でより詳細に説明するように、本発明の特定の傾斜された磁場発生素子部分と対照して)非傾斜磁場発生素子部分UFGEP’’’’として参照されることがある。受信巻線104(PRTSEN’’’’、SETSEN’’’’)は、送信巻線102と実質的に同じ平面内にあり、ジグザグ又は正弦波パターンの矢印で示されているように一方向に広げられ、その後、矢印で示されているように逆方向に広げられているため、巻線はそれ自身を越えて、図に示すように互いの間に置かれる交互ループ106(SEN+’’’’)及び108(SEN-’’’’)が形成される。その結果、受信巻線104(PRTSEN’’’’、SETSEN’’’’)の交互ループ106(SEN+’’’’)及び108(SEN-’’’’)の各々は、隣接するループとは異なる巻線方向を有する。送信巻線102(PRTFGE’’’’)に交流(変化)電流を印加することにより、送信巻線は、受信巻線104(PRTSEN’’’’、SETSEN’’’’)のループ106(SEN+’’’’)及び108(SEN-’’’’)を通って延在する時変磁場を生成する。様々な実装形態では、ループ106(SEN+’’’’)及び108(SEN-’’’’)は、センシング部分(PRTSEN’’’’)のセンシング素子(SETSEN’’’’)のセットとして指定することができる。
【0014】
導電性物体(例えば、導電性プレート114(SME’’’’)、そのうちのいくつかは、
図19のスケールパターン112上に短破線で示している)を含む、スケール(170’’’’)又はスケールパターン112(180’’’’)(そのうちの一部は、
図19に交互にされている長破線と短破線を示すエッジによって示されている)が、検出器部分(167’’’’)の近くに移動する場合、送信巻線102(PRTFGE’’’’)によって生成される変動磁場によって、導電性物体内に渦電流が誘導され、これは、ひいては、変動する送信磁場に対抗する磁場を導電性物体から発生させる。その結果、受信巻線104(PRTSEN’’’’)が受け取る磁束は変化又は妨害され、受信巻線104は、その出力端子V+及びV-において非ゼロEMF信号(電圧)を出力する。これは、導電性物体が「+」ループ106(SEN+’’’’)と「-」ループ108(SEN-’’’’)との間を移動する際に、極性を変化させる。いくつかの実装形態では、信号変調素子(SME’’’’)は、非傾斜信号変調素子(USME’’’’)として、また、周期的スケールパターン(180’’’’)は、非傾斜周期的スケールパターン(UPSP’’’’)として参照されることがある。
【0015】
同じ極性の2つのループの場所間(例えば、ループ106(SEN+’’’’)の場所と次のループ106(SEN+’’’’)の場所との間)の距離は、センシング素子(SETSEN’’’’)のセットのピッチ又は波長110(WSEN’’’’)として定義され、スケールパターン(180’’’’)及びスケール(170’’’’)のピッチ又は波長110(WSME’’’’)に等しい場合がある。したがって、各ループ106(SEN+’’’’)及び/又は108(SEN-’’’’)は、測定軸方向(MA’’’’)に沿って長さ又は最大寸法0.5*(WSEN’’’’)を有することがわかるであろう。上記の導電性物体(導電性プレート114(SME’’’’など)が受信巻線104(PRTSEN’’’’)に近接しており、測定軸300(MA’’’’)に沿って位置が連続的に変化している場合、受信巻線(PRTSEN’’’’)から出力される信号のAC振幅は、ループ106(SEN+’’’’)及び108(SEN-’’’’)の周期的な変化と導電性物体(導電性プレート114(SME’’’’など)によって引き起こされる送信された磁場の局所的な妨害により、波長110(WSME’’’’)とともに連続的かつ周期的に変化する。
【0016】
図19に示され、上で説明された送信巻線102(PRTFGE’’’’)及び受信巻線104(PRTSEN’’’’)は、検出器部分(167’’’’)として指定される素子の先行技術の実装形態の一例であることが理解されるであろう。スケール(170’’’’)又はスケールパターン112(180’’’’)は、スケールパターンとして指定される先行技術の実装形態の一例である。
【0017】
図2は、本明細書に開示される原理に従って形成されたトランスデューサTDRの図である。トランスデューサTDRは、
図1のエンコーダ101で利用可能なスケール170と、検出器部分167とを含む。本明細書に説明される検出器部分(例えば、検出器部分167など)の磁場発生素子及びセンシング素子の特定の特徴は、
図19に関して上述した原理に少なくとも部分的に基づいて動作し、理解され得ることが理解されるであろう。
図2の実装形態では、スケール170、検出器部分167、及び(例えば
図1の)信号処理構成166が協調して動作して、測定軸方向MAに沿って、2つの素子間(例えば、検出器部分167とスケール170及び/又はそれに取り付けられている素子との間)の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式電子エンコーダ101を提供する。
【0018】
様々な実装形態では、スケール170は、測定軸方向MA(例えば、x軸方向に対応する)に沿って延在し、周期的スケールパターン180を含む。周期的スケールパターンは、(例えば、既知のプリント回路製造方法を使用して)スケール基板(例えば、
図6に示すスケール基板SUBSC)上に製造された信号変調素子SMEを含む。本明細書に示す様々な実装形態では、周期的スケールパターン180は信号変調パターン180と呼ぶ場合もある。
【0019】
検出器部分167とスケール170との相対的な動きは、(例えば、第1及び第2の物体間の相対位置を決定するための第1及び第2の物体、又は物体の寸法を測定するために物体を間に配置することができる第1及び第2のジョー又は他の測定素子など、検出器部分167又はスケール170に結合され得る物理的な素子との関連で)相対位置や測定値を示し得る。測定された相対位置又は寸法は、ディスプレイ138(デジタルディスプレイなど)に表示され得る。様々な実装形態では、オン/オフスイッチや、他のオプションの制御ボタンなどの制御素子136が含まれていてもよい。エンコーダ101はまた、スケール170に対する検出器部分167の移動(摺動など)をガイドするように構成された様々な既知の素子(例えば、物理的な台やモーション素子など)を含んでいてもよい。
【0020】
図2に示すように、検出器部分167は、測定軸方向MAに沿って配置された磁場発生部分PRTFGEと、センシング部分PRTSENとを含み得る(
図3及び
図4に関して以下でより詳細に説明する)。1つの特定の例示的な例では、検出器部分167の磁場発生部分PRTFGE及びセンシング部分PRTSENの各々は、スケール170と平行に、かつそれに面して(例えば、スケール170の両側に)配置され、スケール170に面する磁場発生部分PRTFGEの前面は、Z軸方向に沿った検出器ギャップGAPDETによって、スケール170の反対側に面するセンシング部分PRTSENの前面から離すことができる(例えば、
図6に関して以下でより詳細に説明する)。したがって、対応するスケールパターン180を有するスケール170の少なくとも一部は、透過型構成では、磁場発生部分PRTFGE(
図2の背面側、破線の矢印で示されている)とセンシング部分PRTSENとの間にある(例えば、前述の第389号特許に関連して
図19に示したようなより伝統的な片面構成と対比され得る。これは、反射型構成の1タイプとして特徴付けられ得る)。様々な実装形態では、磁場発生部分PRTFGE及び/又はセンシング部分PRTSEN(例えば、それぞれの構成導体を含む)の前面を絶縁コーティングで覆うことができる。
【0021】
図2にも示されているように(例えば、
図4に関して以下でより詳細に説明されるように)、磁界発生部分PRTFGEは、第1の複数の磁界発生素子貫通穴THR1FGE-Aを通過する第1の磁界発生素子導体CON1FGE-Aに接続される。また、磁界発生部分PRTFGEは、第1の複数のオフセット磁界発生素子貫通穴THR1FGE-Bを通過する第1のオフセット磁界発生素子導体CON1FGE-Bに接続される。これらは
図2の裏側に位置するため、破線で示されている。センシング部分PRTSENは、第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-Aを貫通する第1のセンシング素子導体CON1SEN-Aに接続され、また、第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bを通過する第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-Bに接続されている(ここで、例えば、貫通穴とは基板内の穴であり得、導体はこの穴を通って異なる層上にあり得る素子に接続する)。1つの特定の例示的な例では、2つのスケールシールド領域SCSAが、全体的に測定軸方向MAに沿って延在し、スケールパターン180の両側に位置する2つのストリップとして設けられている。様々な実装形態では、スケールシールド領域SCSAは、磁場発生部分PRTFGEの磁場発生素子のセットSETFGEと、センシング部分PRTSENのセンシング素子のセットSETSENとの間の結合を抑制するように構成されている。結合は、様々な貫通穴THRによって生じる寄生FGE-SEN(例えば、送信器(Tx)-受信器(Rx))相互インダクタンスから少なくとも部分的にもたらされ得る。
【0022】
スケールパターン180の図示される部分には、第1のタイプの信号変調素子SMEが含まれており、これらはスケール列SR1~SR6に配置されている。信号変調素子SMEは、第1のスケール方向SD1に平行な傾斜した上部エッジ/下部エッジと、y軸方向に延在する垂直エッジとを有する長方形や平行四辺形など、様々な形状で構成することができる(例えば、
図9~
図11の例においてより明確に示す)。
図2に示すように、周期的スケールパターン180は、第1のスケール空間波長W1SMEと、第1の横スケール空間波長TW1SMEとを有し、信号変調素子SMEは、第1のスケール方向SD1と、図示する例では、y軸方向に相当する第1の横スケール方向TSD1とに沿って配列されている。
【0023】
信号変調素子SMEの第1のスケール空間波長W1SMEは、センシング部分PRTSENの第1のセンシング素子空間波長(又はピッチ)W1SENに対応することができる(例えば、等しくてもよい)(例えば、
図3に関して以下でより詳細に説明する)。信号変調素子SMEの第1の横スケール空間波長TW1SMEは、磁場発生部分PRTFGEの第1の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W1FGEの1/2に対応することができる(例えば、等しくてもよい)(例えば、
図4に関して以下でより詳細に説明する)。
【0024】
様々な実装形態では、第1の磁場発生素子空間波長(ピッチ)W1FGEは、第1のセンシング素子空間波長(ピッチ)W1SENの整数倍になるように構成されており、この整数倍は少なくとも1倍である(例えば、
図2では、整数倍数である1倍であり、W1FGE=W1SENである)。これには、センシング素子ギャップGAPSENと磁場発生素子ギャップGAPFGEとのずれ(
図6参照)など、動的なスケールギャップやピッチのずれに対して、結果として得られるトランスデューサTDR/エンコーダの感度があまり高くないように(例えば、比較的鈍感に)するという技術的な利点があり得る。
【0025】
特定の例示的な例では、スケール列SR1~SR6における第1のタイプの信号変調素子SMEが傾斜している。つまり、上部エッジ/下部エッジは第1のスケール方向SD1と平行な状態で、測定軸方向MAに対して第1のスケール角度SA1に配置されている。以下の
図8~
図16を参照してより詳細に説明する。
【0026】
図示する実装形態では、信号変調素子SMEは、同様の導電性プレート(例えば、プリント回路基板上に作製された領域によって形成されたり、導電性基板から延在する隆起領域によって形成されたりする)を含む。しかし、他の実装形態では、同様の導電性ループ(例えば、プリント回路基板上のトレースによって形成される)を含んでいてもよい。スケールパターン180は、全体的にスケール170上に実装される。スケールパターン180は、動作中に検出器部分167に対して相対的に移動することが理解されるであろう。様々な実装形態では、スケールパターン180は、パターンが位置に応じて変化する空間特性を有し、これにより、検出器部分167のセンシング部分PRTSENのセンシング素子SEN(
図3参照)で発生する位置依存検出信号が提供される限り、代替の信号変調素子構成を含む様々な代替の空間変調パターンを含むことができる。
【0027】
様々な実装形態では、検出器部分167は、スケールパターン180に近接して取り付けられ、スケールパターン180に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成されている。様々な実装形態では、検出器部分167の磁場発生部分PRTFGE及びセンシング部分PRTSENは、当業者には理解されるように、様々な対応する信号処理方式と組み合わせて使用する様々な代替構成に従って形成することができる。
【0028】
図2に示すトランスデューサTDRは、コンパクトサイズ、低電力動作(例えば、バッテリ寿命を長くする)、高分解能及び高精度測定、低コスト、汚染に対する堅牢性などの比較的最適化された組み合わせを提供するために、長年にわたって進化してきた電子エンコーダを典型的に実現する様々な構成のうちの1つであることが理解されるであろう。これらの構成のいずれにおいても、これらの因子のいずれかをわずかにでも向上させることは非常に望ましいが、特に、様々な用途において商業的な成功を収めるために課される設計上の制約を考慮すると、実現することは困難である。本明細書に開示され、特許請求される原理は、様々な用途のために、これらの因子のうちの多くを向上させる。
【0029】
以下の説明及び組み込まれた参考文献に基づいて当業者には明らかであるように、必要に応じて、様々な動作ギャップや絶縁層を提供するために、様々な素子が、z軸方向に沿って異なる平面に位置する異なる作製層に存在し得ることが理解されるであろう。本開示の図全体を通して、1つ以上の素子の図に示すx軸、y軸、及び/又はz軸の寸法は、明確にするために拡大表示されている場合があるが、これらは、本明細書に開示され、特許請求される様々な設計原理及び関係に矛盾することを意図していないことが理解されることが理解されるであろう。
【0030】
図3は、
図2の検出器部分167のセンシング部分PRTSENを更に示す図である。
図3に示すように、センシング部分PRTSENは、センシング素子の第1のセットSET1SEN-A(即ち、12個のセンシング素子SEN-A1~SEN-A12を含む)と、オフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B(即ち、12個のセンシング素子SEN-B1~SEN-B12を含む)とを含む。図を簡単にするために、
図3には、各セットの最初の2つのセンシング素子(即ち、A1~A2及びB1~B2)と最後の2つのセンシング素子(A11~A12及びB11~B12)のみにラベルが付けられているが、センシング素子(即ち、A3~A10及びB3~B10)は、同様に、図に示す残りのセンシング素子に対応すると理解されるものとする。センシング素子SENのこれらのセットの第1のセンシング素子空間波長W1SENは、空間変調素子SMEの第1のスケール空間波長W1SMEに対応する(例えば、等しい)。この実装形態では、センシング素子SENは、センシングループ素子(或いは、センシングコイル素子又はセンシング巻線素子とも呼ばれる)を含む。これらは直列に接続され、測定軸方向MAに対して名目上垂直である。本明細書で使用される場合、「名目上」という用語は、許容範囲に収まる1つ以上のパラメータの変動を包含する。例として、一実装形態では、「名目上」などの用語は、指定された値からの最小の差異(例えば、許容範囲に従って、5%未満、2%未満、又は1%未満の差異など)に相当し得る。
【0031】
図示する実装形態では、各セット内の隣接するループ素子は、反対の巻線極性を有するように(例えば、各セット内のセンシング素子はSEN+とSEN-との間で交互にされる)、既知の方法に従って、PCBの様々な層上の導体の構成によって接続されている(例えば、貫通穴を通過する導体を含み得るフィードスルーで接続されている)。つまり、第1のループが磁場の変化に正の極性の検出器信号寄与で応答する場合、隣接するループは負の極性の検出器信号寄与で応答する。正の極性の検出器信号寄与を有するループは、本明細書ではSEN+センシング素子として指定することができ、負の極性の検出器信号寄与を有するループは、本明細書における様々な文脈でSEN-センシング素子として指定することができる。例示的な実装形態では、各センシングループ素子は測定軸方向MA(
図2参照)に沿って最大幅LWを有し得、これは、名目上、第1のセンシング素子空間波長W1SENの1/2に等しい。様々な実装形態では、各セット内のセンシング素子は、それらの検出器信号又は信号寄与がセットごとに合計されるように直列に接続され、「合計」された検出器信号は、検出器信号出力接続部(例えば、第1のセンシング素子導体CON1SEN-A及び第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-Bにおける)で(例えば、
図1の)信号処理構成166に出力される。
【0032】
センシング素子の第1のセットSET1SEN-Aは、第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-Aを通過する第1のセンシング素子導体CON1SEN-Aに接続されている。第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-Aは、第1のセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-Aに沿って延在するように配置されている。オフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-Bは、第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bを通過する第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-Bに接続されている。第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bは、第1のセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-Aと平行な第1のオフセットセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-Bに沿って延在するように配置されている。
【0033】
様々な実装形態では、当業者には理解されるように、(例えば、直交信号を提供する又はそうでなければ直交信号に対応するように)異なる空間位相位置に、センシング素子の2つ以上のセット(及び/又は、本明細書に開示されているように、磁場発生素子の2つ以上のセット)を提供するように検出器を構成することが有利であることが理解されるであろう。したがって、センシング素子の第1のセットSET1SEN-Aと、オフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-Bとは異なる空間位相位置にあり、第1のセンシング素子空間位相PH1SEN-Aと、第1のオフセットセンシング素子空間位相PH1SEN-Bとの間のセンシング素子空間位相オフセットOFFSETSENによって離されている(例えば、特定の実装形態では、OFFSETSENは1/4W1SENに等しくてもよい)。同様に、以下で
図4に説明されている磁場発生部分PRTFGEの磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A及びオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Bも異なる空間位相位置にある。ただし、本明細書で説明するセンシング素子及び磁場発生素子の構成は、例示にすぎないことを意図しており、限定的ではないことを理解されたい。一例として、いくつかの実装形態では、個々のセンシング素子ループは、例えば、米国特許第9,958,294号に開示されているように、対応する信号処理構成に個々の信号を出力することができる。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。より一般的には、様々な実装形態では、様々な既知のセンシング素子構成及び/又は磁場発生素子コンバージョンを、様々な既知のスケールパターン及び信号処理方式と組み合わせて使用するために、本明細書に開示され、特許請求される原理と組み合わせて使用することができる。
【0034】
様々な実装形態では、周期的スケールパターン180の信号変調素子SMEは、サブセットA(いくつかのスケール列Aを有する)とサブセットB(いくつかのスケール列Bを有する)のような2つ以上のサブセットにグループ化することができる。周期的スケールパターン180では、図示するように、スケール列SRはAとBとで交互にされ得る。これは、
図4に関して以下でより詳細に説明するように、交互の磁場発生素子FGE-A及びFGE-Bと同様である。上記のように、周期的スケールパターン180では、信号変調素子SMEは、スケール方向SD1に沿って各々延在しているスケール列SR(例えば、交互のスケール列A及びスケール列Bが含まれ得る)に配列されている。第1のスケール空間波長W1SMEに従って間隔をあけた信号変調素子SMEを有する各スケール列は、第1のスケール方向SD1に信号変調素子SMEの空間位相を有し得る。周期的スケールパターン180の隣接するスケール列では、各スケール列の空間位相は、隣接するスケール列の空間位相から、第1のスケール空間波長W1SMEの1/2だけオフセットされ得る。例えば、
図3に示すように、隣接して交互にされたスケール列A及びBは、異なる空間位相位置にあり、第1の信号変調素子空間位相PH1SME-Aと、第1のオフセット信号変調素子空間位相PH1SME-Bとの間の信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSMEによって離されている。この例では、信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSMEは、第1のスケール空間波長W1SMEの1/2(例えば、隣接するスケール列間の180度の空間位相シフト/差に相当し得る)に等しい。
【0035】
図3の例では、空間位相PH1SME-A及びPH1SME-Bは、対応する2つの下部のスケール列内の特定の場所に対応するものとして示されている。各スケール列内の各場所は、周期的スケール列の特定の位相値に対応する。例えば、空間位相PH1SME-Aの図示された場所が周期的スケール列Aの0度の空間位相場所に対応する場合、空間位相PH1SME-Bの図示された場所も同様に、周期的スケール列Bの0度の空間位相場所に対応することができる。様々な実装形態では、スケール列A及びBの任意の対応する同じ度数の空間位相場所を、空間位相PH1SME-A及びPH1SME-Bの指標として選択することができ、その2つの空間差が、信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSMEを対応して示す。このような原理は、本明細書に説明される(例えば、
図11に関して以下でより詳細に説明される)他の空間位相やオフセットなどに適用されることに留意されたい。
【0036】
図4は、
図2の検出器部分167の磁場発生部分PRTFGEを示す図である。磁場発生部分PRTFGEは、磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A(即ち、8つの磁場発生素子FGE-A1~FGE-A8を含む)と、オフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B(即ち、8つの磁場発生素子FGE-B1~FGE-B8を含む)とを含む。図を簡単にするために、
図4には、各セットの最初の2つの磁場発生素子(即ち、A1~A2及びB1~B2)と最後の2つの磁場発生素子(A7~A8及びB7~B8)のみにラベルが付けられているが、磁場発生素子(即ち、A3~A6及びB3~B6)は、同様に、図に示す残りの磁場発生素子に対応すると理解されるものとする。磁場発生素子FGEの第1の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W1FGEは、第1の横スケール空間波長TW1SMEの2倍に対応する(
図2を参照、ここでは、TW1SMEは名目上、W1FGEの1/2に等しい)。特定の例示的な例では、磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Aと、オフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Bとは異なる空間位相位置にあり、第1の磁場発生素子空間位相PH1FGE-Aと、第1のオフセット磁場発生素子空間位相PH1FGE-Bとの間の磁場発生素子空間位相オフセットOFFSETFGEによって離されている(例えば、特定の実装形態では、OFFSETFGEは1/4W1FGEに等しくてもよい)。磁場発生素子FGEは、直列に接続された磁場発生ループ素子を含む。例示的な実装形態では、各磁場発生ループ素子は、第1の横スケール方向TSD1(
図2参照)に沿って最大幅TLWを有し、これは、名目上、磁場発生素子空間波長W1FGEの1/2に等しい。
【0037】
磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Aは、第1の複数の磁場発生素子貫通穴THR1FGE-Aを通過する第1の磁場発生素子導体CON1FGE-Aに接続されている。第1の複数の磁場発生素子貫通穴THR1FGE-Aは、第1の磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-Aに沿って延在するように配置されている。オフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Bは、第1の複数のオフセット磁場発生素子貫通穴THR1FGE-Bを通過する第1のオフセット磁場発生素子導体CON1FGE-Bに接続されている。第1の複数のオフセット磁場発生素子貫通穴THR1FGE-Bは、図示する例では、第1の磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-Aと同一線上にある第1のオフセット磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-Bに沿って延在するように配置されている。第1の磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-A及び第1のオフセット磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-Bを、第1のセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-A及び第1のオフセットセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-Bに対して、名目上、90°(例えば、垂直)に配置する(及び、様々な実装形態では、好ましくは、第1のセンシング素子貫通穴THR1SEN-A及び第1のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bに対して中心に置く)ことは、様々な貫通穴THRによって生じ得るFGE-SEN(例えば、送信器(Tx)-受信器(Rx))相互インダクタンスを最小限に抑えるのに有利である場合がある。
【0038】
図5は、
図2のトランスデューサTDRの側面図を示す図である。センシング部分PRTSEN及び磁場発生部分PRTFGEは、スケール170の両側に配置されて、集合的に検出器部分167を構成している。センシング部分PRTSENから接続される第1のセンシング素子導体CON1SEN-A及び第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-Bは、それぞれ、第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-A及び第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bを通過する。磁場発生部分PRTFGEから接続された第1の磁場発生素子導体CON1FGE-A及び第1のオフセット磁場発生素子導体CON1FGE-Bは、それぞれ、第1の複数の磁場発生素子貫通穴THR1FGE-A及び第1の複数のオフセット磁場発生素子貫通穴THR1FGE-Bを通過する。
【0039】
図6は、基板上にある、
図2のトランスデューサTDRのコンポーネントの断面端面図を示す図である。特定の例示的な例では、第1の周期的スケールパターン180を含むスケール170がスケール基板SUBSC上に形成されている。センシング部分PRTSENは、第1の周期的スケールパターン180の上方に配置され、そこから、z軸方向に沿って検出素子ギャップGAPSENによって離されている。磁場発生部分PRTFGEは、第1の周期的スケールパターン180の下方に配置され、そこから、z軸方向に沿って磁場発生素子ギャップGAPFGEによって離されている。スケール170に面するセンシング部分PRTSENの下面(例えば、前面)は、スケール170に面する磁場発生部分PRTFGEの上面(例えば、前面)から、検出器ギャップGAPDETによって離されている。例示的な実装形態では、第1の周期的スケールパターン180は、センシング素子部分PRTSENの第1のセンシング素子のセットSET1SEN-Aの少なくとも一部(例えば、その最も近い部分)よりも、磁場発生部分PRTFGEの磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Aの少なくとも一部(例えば、その最も近い部分)に近い場合がある(例えば、
図6に示すように、GAPFGEは、GAPSENよりも小さい)。特定の実装形態では、この関係が逆になってもよい(例えば、GAPSENがGAPFGEよりも小さい)。
【0040】
平面センシング素子基板SUBSENは、4つの層L1~L4を含む。層L1は、信号処理部分166-SENを含む電子機器を含む。信号処理部分166-SENは、信号処理構成166(
図1)の一部であり得、駆動信号を(例えば、センシング素子SENのセットからの)検出器信号と同期させる。層L2は接地接続(GND)を含む。層L3及び層L4は、全てのセンシング素子SEN(例えば、センシング素子の全てのセットSETSENを含む)を含み、異なる層L3及び層L4に異なるトレースがある(例えば、クロスオーバー部分で電子的に分離するために)。上記のように、センシング素子部分PRTSENは、全てのセンシング素子SEN(例えば、センシング素子の全てのセットSETSENを含む)を含む。
【0041】
平板磁場発生素子基板SUBFGEは、4つの層L1~L4を含む。層L1は、信号処理部分166-FGEを含む電子機器を含む。信号処理部分166-FGEは、信号処理構成166(
図1)の一部であり得る。層L2は接地接続(GND)を含む。層L3及び層L4は、全ての磁場発生素子FGE(例えば、磁場発生素子の全てのセットSETFGEを含む)を含み、異なる層L3及び層L4に異なるトレースがある(例えば、クロスオーバー部分で電子的に分離するために)。上記のように、磁場発生素子部分PRTFGEは、全ての磁場発生素子FGE(例えば、磁場発生素子の全てのセットSETFGEを含む)を含む。
【0042】
様々な実装形態では、駆動信号を検出器信号と同期させる信号処理部分166-SENの少なくとも一部は、平面センシング素子基板SUBSENに固定される。そのために、電子コネクタECON(フレックスケーブルなど)が、平面センシング素子基板SUBSENと平面磁場発生素子基板SUBFGEとの間に延在している。電子コネクタECONは、平面センシング素子基板SUBSEN上の信号処理部分166-SENを、平面磁場発生素子基板SUBFGE上の信号処理部分166-FGE又は磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Aのうちの少なくとも一方(例えば、更に、様々な実装形態では、オフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B)に電気的に結合する。特定の例示的な例では、電子コネクタECONは、センシング部分PRTSEN及び磁場発生部分PRTFGEを含む検出器部分167の一部として、センシング部分PRTSENの電子機器層L1を磁場発生部分PRTFGEの電子機器層L1に接続する。そして、検出器部分167及びスケール170が、トランスデューサTDRを形成する。動作中、第1の周期的スケールパターン180に対する測定軸方向MA(例えば、MAは、
図6のページに直交するx軸と平行である)に沿った検出器部分167の移動は、第1の周期的スケールパターン180の少なくとも一部が第1のセンシング素子のセットSET1SEN-A(例えば、センシング素子基板SUBSENの層L4に少なくとも部分的に含まれている)と磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A(例えば、磁場発生素子基板SUBFGEの層L4に少なくとも部分的に含まれている)との間の名目上の検出器ギャップGAPDETの間隔内にある状態で、平面センシング素子基板SUBSEN及び平面磁場発生素子基板SUBFGEが、第1の周期的スケールパターン180に対して移動することに対応している。なお、
図6に示す、検出器部分167を形成するために基板を使用する例は、
図10の例示的な構成など、後の図に示す他の構成を形成するために利用可能である。
【0043】
図7は、
図2のトランスデューサTDRの上面斜視図を示す図である。トランスデューサTDRは、スケールパターン180を有する(例えば、更に、スケールシールド領域SCSAを含む)スケール170と、検出器部分167とを含む。検出器部分167は、スケール170の上方にあるように図示されているセンシング部分PRTSENと、スケール170の下方にあるように図示されている磁場発生部分PRTFGEとを含む。上面斜視図に従って、
図7はまた、それぞれ、第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-A及び第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-Bを通過する第1のセンシング素子導体CON1SEN-A及び第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-Bも示している(例えば、これらはスケールシールド領域SCSAの1つに近接している)。
【0044】
図1~
図7に示した構成に関連して、動作中、磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A及びオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-Bは、各々、(例えば、信号処理構成166から提供される)コイル駆動信号に応答して、磁束を変化させる。図示する実装形態では、第1の磁場発生素子導体CON1FGE-A及び第1のオフセット磁場発生素子導体CON1FGE-Bを使用して、信号処理構成(例えば、
図1の信号処理構成166)からコイル駆動信号を、磁場発生素子のそれぞれのセットSET1FGE-A及びSET1FGE-Bに接続することができる。
【0045】
センシング素子の第1のセットSET1SEN-A及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-Bの構成要素は、周期的スケールパターン180の隣接する信号変調素子SME(例えば、1つ以上の信号変調素子SME)によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されている。信号処理構成(例えば、
図1の信号処理構成166)は、検出器部分167から入力された検出器信号に基づいて、スケールパターン180に対するセンシング部分PRTSEN(例えば、センシング素子の全てのセットSETSENを含む)の位置を決定するように構成することができる。例えば、第1の信号はセンシング素子の第1のセットSET1SEN-Aによってもたらされ、第2の信号はオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-Bからもたらされ得る。第1の信号及び第2の信号は、それぞれ、導体CON1SEN-A及び導体CON1SEN-Bにおいて信号処理構成166に入力され、スケール170に対する検出器部分167の測定/位置を決定するために利用され得る。一般的に、センシング素子及び/又は磁場発生素子などのセットは、例えば参考文献に説明されたもの及び
図19に関連して上述したものといった、(例えば、電磁誘導式エンコーダの)既知の原理に従って少なくとも部分的に動作することができる。
【0046】
様々な実装形態では、検出器部分167は、様々なタイプの測定機器や位置決定構成(例えば、リニアスケール)に含まれ得る。例えば、検出器部分167はスライド構成要素に固定され得、スケールパターン180はx軸方向と一致する測定軸を持つビーム又はスパー構成要素に固定され得る(例えば、様々な実装形態では、スケールパターン180を含むスケール170は、それが取り付けられているビーム又はスパー構成要素から延在するか突出しており、検出器部分167のセンシング素子基板SUBSEN及び磁場発生素子基板SUBFGEはスケール170の両側に取り付けられている)。このような構成では、検出器部分167及びスケール170は、x軸方向及びy軸方向に沿って延在する平面(z軸方向は平面に直交する)において、測定軸方向MAに沿って互いに相対的に移動することができる。
【0047】
図8は、測定軸方向MAに対してスケール角度SA1に傾斜した周期的スケールパターン180(例えば、
図2のトランスデューサTDRのスケールパターン180と同様)の側方オフセットLO
FERを示す図である。例示的なスケール角度SA1は、様々な例示的な実装形態では、例えば、5度又は2度未満と比較的小さいか、及び/又は少なくとも1度であり得る。傾斜構成を使用すると、エンコーダの所与のx方向変位に対応するy方向変位がある。これにより、以下でより詳細に説明するように、非常にコンパクトなアブソリュート型電磁誘電式エンコーダを設計することができる。
図8、
図9、
図15、及び
図16の例において、図示するスケール角度SAは、より明確に特定の概念を説明するために拡大表示されていることが理解されるであろう。
【0048】
図8では、スケール170のスケールパターン180は、第1のスケール方向SD1と第1の横スケール方向TSD1とに沿って配置された複数の信号変調素子SME(例えば
図2参照)を含む。様々な例示的な実施形態では、スケールパターン180は、測定軸方向MAに対してスケール角度SA1(=θ
ABS1)で傾斜している場合がある。MP
FERとは、スケールパターン180の中央位置を指し、これは、エンコーダ全範囲FERの右端にある右位置RPと左端にある左位置LPとの間にあるスケールパターン180のエンコーダ全範囲FERの中心にある。側方オフセットLOは、測定軸方向MAに沿った特定の選択されたx軸位置におけるy軸方向のオフセット量である。LO
FERとは、エンコーダ全範囲FERにわたる側方オフセットLOを指し、スケールパターン180(即ち、エンコーダ全範囲FER)の右位置RPに対する左位置LPにおけるオフセット量である。LO
FERはまた、左位置LPにおける有効側方オフセットELO(即ち、ELO
LP)とも呼ばれる。中央位置MPにおける有効側方オフセットELO(即ち、ELO
MP)は、スケールパターン180の右位置RP(即ち、エンコーダ全範囲FERの1/2(即ち、1/2FER))に対する中央位置MPでのオフセット量であり、1/2LO
FERに等しい。スケールパターン180の側エッジに挿入された破断線BLは、y軸方向のスケールパターンの寸法が更に延在可能であることを示している。
【0049】
様々な例示的な実装形態では、エンコーダは、エンコーダ全範囲FERにわたる第1の周期的スケールパターンの合計有効側方オフセットが、名目上、第1の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W1FGE(
図2)の少なくとも1/10に等しくなるように構成することができる。様々な例示的な実装形態では、エンコーダ全範囲にわたる第1の周期的スケールパターンの合計有効側方オフセットは、名目上、第1の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W1FGEの少なくとも1/5、少なくとも1/4、又は少なくとも1/2に等しい。
図4に示すように、様々な実装形態では、傾斜したスケールパターンと相互作用する磁場発生部分PRTFGEは、同じスケール角度SA1(=θ
ABS1)で同様に傾斜することができる。更なる実装形態では、センシング素子部分PRTSENが更に(例えば、センシング素子SENが第1のスケール方向SD1に垂直に傾斜するように第1のスケール方向SD1に垂直になるように)傾斜していてもよい。
【0050】
図9は、測定軸方向MAに対してスケール角度SA1(=θ
ABS1)で傾斜した周期的スケールパターン180のアブソリュート範囲にわたる側方オフセットLO
ABSを示す図である。
図9の例では、周期的スケールパターン180は、少なくとも4つのスケール列SR1~SR4を含み、各々が複数の信号変調素子SMEを含む(例えば、
図2参照)。様々な実装形態では、信号変調素子SMEを、スケール列SR1(A)及びSR3(A)を含むサブセットA、スケール列SR2(B)及びSR4(B)を含むサブセットBなど、2つ以上のサブセットにグループ化することが有利であることが理解されるであろう。スケール列は、図示するように、前述の交互にされた磁場発生素子FGE-A及びFGE-B(例えば、
図4参照)と同様に、AとBとで交互にされてもよい。
図9では、サブセットAのスケール列SR1(A)内の位置P1及びP2における2つの代表的な信号変調素子SMEを、P1SR1及びP2SR1として代表的に示している。同様に、同じサブセットAのスケール列SR3(A)内の位置P1及びP2における2つの代表的な信号変調素子SMEを、PASR3及びP2SR3として代表的に示している。図を簡単にするために、
図9には代表的な信号変調素子SME(即ち、P1SR1、P2SR1、P1SR3、及びP2SR3を含む)のみを示しているが、各スケール列SRには、周期的スケールパターン180の一部として、(例えば、
図2、
図10などに示すスケールパターンと同様に)信号変調素子SMEの間隔が狭いシーケンスが含まれていることが理解されるであろう。
【0051】
アブソリュート範囲(λABS)は、所与のy軸位置でパターン変化の部分が繰り返される前(例えば、サブセットAのスケール列内の傾斜した周期的スケールパターン180が同じサブセットの次のスケール列で繰り返される前)のx軸に沿った距離として定義される。このような範囲内では、x軸方向に沿って移動するときの各信号変調素子の側方オフセット(例えば、y軸オフセット)から生じる特定の相対信号は、x軸方向に沿った各位置で相対的に一意になる。アブソリュート範囲の終わりで、次のアブソリュート範囲に移動が続くと、x軸方向に沿って移動するときの各信号変調素子の側方オフセット(例えば、y軸オフセット)から生じる特定の相対信号が繰り返される。x軸に沿った各位置で一意の(例えば、絶対)位置信号を有することを意図したエンコーダの構成では、様々な実装形態では、スケールは、(例えば、エンコーダの所与の構成に対するエンコーダ全範囲に対応するものとして)最大1つのアブソリュート範囲(又はその一部分のみ)をカバーするように構成することができる。
【0052】
図9では、アブソリュート範囲λ
ABSは、スケール列SR1(A)内の信号変調素子SME(P1SR1)及びスケール列SR3(A)の信号変調素子SME(P1SR3)があるx軸に沿った位置P1から開始して、スケール列SR1(A)内の信号変調素子SME(P2SR1)及びスケール列SR3(A)内の信号変調素子SME(P2SR3)があるx軸に沿った位置P2まで延在する。周期的スケールパターン180(即ち、スケール列SR1(A)及びSR3(A)を含む)は、x軸(測定軸方向MA)に対してスケール角度SA1(=θ
ABS1)で傾斜しているため、周期的スケールパターン180の相対的な部分は、x軸方向に沿った一定量の移動の後、所与のy軸位置で繰り返して現れる。例えば、信号変調素子SME(P2SR1)のy軸位置は、信号変調素子SME(P1SR3)のy軸位置と同じであることが示されており、x軸方向に沿って移動するときの各信号変調素子の側方オフセット(例えば、y軸オフセット)から生じる特定の相対信号は、その点から繰り返される。
【0053】
より具体的には、左から右へのx軸に沿った移動では、位置P1での信号変調素子SME(P1SR3)のy軸/側方位置は、位置P2での信号変調素子SME(P2SR3)のy軸位置に対して側方にオフセットされ、かつ周期的スケールパターンが、信号変調素子SME(P2SR1)でSR1(A)の次のスケール列で繰り返し現れる同じy軸位置にある。つまり、スケール列SR3(A)内の信号変調素子SME(P1SR3)のy軸位置は、次のスケール列SR1(A)内の信号変調素子SME(P2SR1)のy軸位置と同じである。したがって、アブソリュート範囲λABSは、傾斜した周期的スケールパターン180が、周期的スケールパターンが(例えば、同じサブセットの)次のスケール列で繰り返し現れるy軸/側方位置を得るためにx軸方向に横断する距離と考えることができる。
【0054】
アブソリュート範囲にわたる側方オフセットLO
ABSは、x軸方向のアブソリュート範囲λ
ABSにわたるy軸方向の側方オフセットである。エンコーダの所与のx軸方向変位に対して対応するy軸方向変位があるように、スケールパターンをSA1(=θ
ABS1)で傾斜すると、アブソリュート範囲内の各位置には、その絶対位置を検出することを可能にする信号の一意の組み合わせがあり、これにより、非常にコンパクトなアブソリュート型(ABS)電磁誘導式エンコーダの設計(例えば、8mm×8mm、
図10)が可能になることが理解されるであろう。つまり、より一般的には、検出器部分167から入力される検出器信号は、検出器部分167に近接する信号変調素子SMEの有効側方オフセットELOに少なくとも部分的に基づいて、スケールパターン180の少なくとも一部分に沿った絶対位置を示すことができる。
【0055】
本明細書の他の場所に示すスケールパターンの特定の実装形態(例えば、いくつかの実装形態では、単一の絶対波長内の「絶対」構成を表す場合がある)とは異なり、特定の原理を説明する目的で、
図9のスケールパターンは、単一のアブソリュート範囲を超えて延在している(例えば、更に、特定の構成のエンコーダ全範囲を超えて対応して延在していてもよい)ものとして示されていることが理解されるであろう。より具体的には、
図9のスケールパターン180は、単一の絶対(ABS)波長/スケール距離λ
ABSを超えて延在しているものとして示されており、これは、どのようにしてそのような絶対(ABS)波長/スケール距離λ
ABSが少なくとも部分的に定義され得るかを説明するのに役立つ。
【0056】
図10は、
図1のエンコーダ101で利用可能な、スケール170’及び検出器部分167’を含むトランスデューサTDR’の第2の実装形態の図である。図示するように、トランスデューサTDR’では、特定の部分が、中心軸CTA’を中心に鏡面対称構成に配置されている。上記の構成と同様に、検出器部分167’は、スケール170’に近接して取り付けられ、エンコーダ全範囲にわたって、スケール170’に対して測定軸方向MA’に沿って移動するように構成されている。
【0057】
具体的には、スケール170’は、第1の周期的スケールパターン180’と、第2の周期的スケールパターン180’’とを含むパターン部分PRTPAT’を含む。様々な実装形態では、第2の周期的スケールパターン180’’の特定の寸法及び/又は他の特徴は、全体的に、測定軸方向MA’と平行であるスケール170’の中心軸CTA’を中心に第1の周期的スケールパターン180’の対応する寸法及び/又は特徴と少なくとも部分的に対称であり得る。第1の周期的スケールパターン180’は、第1のスケール列SR1’~SR3’に配置された複数の第1の信号変調素子SME’を含み、第2の周期的スケールパターン180’’は、第2のスケール列SR1’’~SR3’’に配置された複数の第2の信号変調素子SME’’を含む。
【0058】
第1の周期的スケールパターン180’は、第1のスケール空間波長W1SME’と、第1の横スケール空間波長TW1SME’とを有し、第1の信号変調素子SME’は、第1のスケール方向SD1’と、第1の横スケール方向TSD1’とに沿って配列されている。第2の周期的スケールパターン180’’は、第2のスケール空間波長W2SME’’と、第2の横スケール空間波長TW2SME’’とを有し、第2の信号変調素子SME’’は、第2のスケール方向SD2’’と、第2の横スケール方向TSD2’’とに沿って配列されている。第1のスケール方向SD1’は、スケール170’の中心軸CTA’を中心として、第2のスケール方向SD2’’と対称である。第1の周期的スケールパターン180’は、中心軸CTA’に対して第1のスケール角度SA1’(=θABS1)で傾斜している。第2の周期的スケールパターン180’’は、中心軸CTA’に対して、中心軸CTA’を中心として第1のスケール角度SA1’(=θABS1)と対称である第2のスケール角度SA2’’(=θABS2)で傾斜している。
【0059】
特定の例示的な例では、第1のスケール列SR1’~SR3’内に配置された複数の第1の信号変調素子SME’は傾斜している。即ち、測定軸方向MA’に対して第1のスケール角度SA1’に配置されている。また、第2のスケール列SR1’’~SR3’’内に配置された複数の第2の信号変調素子SME’’も傾斜している。即ち、測定軸方向MA’に対して第2のスケール角度SA2’’に配置されている。信号変調素子SME’及びSME’’は平行四辺形に構成されていることに留意されたい。各々が垂直エッジ(例えば、y軸と平行である)を有し、また、傾斜した上部エッジ及び上部エッジを有している。より具体的には、
図10の図では、信号変調素子SME’は、第1のスケール方向SD1’と平行な傾斜した上部エッジ及び下部エッジと、第1の横スケール方向TSD1’(例えば、y軸と平行であるものとして示されている)と平行な垂直エッジとを有している。信号変調素子SME’’は、第2のスケール方向SD2’’と平行な傾斜した上部エッジ及び下部エッジと、第2の横スケール方向TSD2’’(例えば、y軸と平行であるものとして示されている)と平行な垂直エッジとを有している。
【0060】
検出器部分167’は、センシング部分PRTSEN’と、磁場発生部分PRTFGE’とを含む。
図13を追加的に参照して、1つの特定の例示的な例では、上記の
図5の構成と同様に、センシング部分PRTSEN’及び磁場発生部PRTFGE’の各々は、スケール170’と平行に、かつそれに面して(例えば、スケール170’の両側に)配置され得る。したがって、スケール170’及び対応するスケールパターン180’及び180’’の少なくとも一部は、センシング素子部分PRTSEN’と磁場発生部分PRTFGE’(
図10の背面側にあり、破線及び破線矢印で示されている)との間にある。
【0061】
図11を追加的に参照して
図10に示すように、センシング部分PRTSEN’には、センシング素子の全てのセットSETSEN’が含まれている。様々な例示的な実装形態では、センシング素子の第1のセットSET1SEN-A’とオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’とは異なる空間位相位置にあり、第1のセンシング素子空間位相PH1SEN-A’と第1のオフセットセンシング素子空間位相PH1SEN-B’との間のセンシング素子空間位相オフセットOFFSETSEN’によって離されている。センシング部分PRTSEN’の第1のセンシング素子空間波長(又はピッチ)W1SEN’(例えば、センシング素子のセットSET1SEN-A’及びSET1SEN-B’の各々の)は、第1の周期的スケールパターン180の第1のスケール空間波長W1SME’に対応し(例えば、等しく)、また、第2の周期的スケールパターン180’’の第2のスケール空間波長W2SME’’にも対応している(例えば、等しい)場合がある。センシング素子の第1のセットSET1SEN-A’は、第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-A’を通過する第1のセンシング素子導体CON1SEN-A’に接続されている。第1の複数のセンシング素子貫通穴THR1SEN-A’は、第1のセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-A’に沿って延在するように配置されている。オフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’は、第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-B’を通過する第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-B’に接続されている。第1の複数のオフセットセンシング素子貫通穴THR1SEN-B’は、第1のセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-A’と平行な第1のオフセットセンシング素子貫通穴方向THD1SEN-B’に沿って延在するように配置されている。
【0062】
図示する特定の例のセンシング部分PRTSEN’には、第1の周期的スケールパターン180’及び第2の周期的スケールパターン180’’の両方をカバーするようにy軸方向に延在しているセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A’とオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’とが含まれているが、センシング部分PRTSEN’の他の構成も可能である。例えば、センシング部分PRTSEN’には、第1の周期的スケールパターン180’をカバーするためのセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A’及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’が含まれ、追加的に、第2の周期的スケールパターン180’’をカバーするためのセンシング素子の第2のセットSET2SEN-A’’及びオフセットセンシング素子の第2のセットSET2SEN-B’’が含まれていてもよく、これらについて、信号処理を使用して、所望の測定値/位置を決定するために信号を組み合わせることができる。
【0063】
様々な実装形態では、信号変調素子SME及びSME’’は、各々、サブセットA(いくつかのスケール列Aを有する)やサブセットB(いくつかのスケール列Bを有する)といった2つ以上のサブセットにグループ化することができる。これらについて、スケール列は(例えば、
図3に関して上述した構成及び説明と同様に)AとBとで交互にされてもよい。上記のように、周期的スケールパターン180’及び180’’では、信号変調素子SME’及びSME’’は、それぞれスケール方向SD1’及びスケール方向SD2’’に沿って各々が延在するスケール列SR(例えば、交互にされたスケール列Aとスケール列Bとを含み得る)に配列されている。
【0064】
周期的スケールパターン180’では、第1のスケール空間波長W1SME’に従って間隔をあけた信号変調素子SME’を有する各スケール列は、第1のスケール方向SD1’に信号変調素子SME’の空間位相を有し得る。周期的スケールパターン180’の隣接するスケール列では、各スケール列の空間位相は、隣接するスケール列の空間位相から、第1のスケール空間波長W1SME’の1/2だけオフセットされ得る。例えば、
図11に示すように、隣接して交互にされたスケール列(例えば、A及びB)は、異なる空間位相位置にあり、第1の信号変調素子空間位相PH1SME-A’と第1のオフセット信号変調素子空間位相PH1SME-B’との間の信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSME’によって離されている。この例では、信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSME’は、第1のスケール空間波長W1SME’の1/2(例えば、隣接するスケール列間の180度の空間位相シフト/差に相当し得る)に等しい。
【0065】
周期的スケールパターン180’’では、第2のスケール空間波長W2SME’’に従って間隔をあけた信号変調素子SME’’を有する各スケール列は、第2のスケール方向SD2’’に信号変調素子SME’’の空間位相を有し得る。周期的スケールパターン180’’の隣接するスケール列では、各スケール列の空間位相は、隣接するスケール列の空間位相から、第2のスケール空間波長W2SME’’の1/2だけオフセットされ得る。例えば、
図11に示すように、隣接して交互にされたスケール列(例えば、A及びB)は、異なる空間位相位置にあり、第2の信号変調素子空間位相PH2SME-A’’と第2のオフセット信号変調素子空間位相PH2SME-B’との間の信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSME’’によって離されている。この例では、信号変調素子空間位相オフセットOFFSETSME’’は、第2のスケール空間波長W2SME’’の1/2(例えば、隣接するスケール列間の180度の空間位相シフト/差に相当し得る)に等しい。周期的スケールパターン180’’の特定の特徴が周期的スケールパターン180’’と対称である(例えば、
図11に示すような)実装形態では、それぞれのパターンの様々な対応する寸法及び/又は特徴(例えば、対応するオフセット及び空間位相を含む)は、同様であるか又は同等であり得る(例えば、OFFSETSME’’=OFFSETSME’)。様々な実装形態では、第2のスケール空間波長W2SME’’は、第1のセンシング素子空間波長W1SEN’に等しくてもよい第1のスケール空間波長W1SME’と等しくてもよい。第2の横スケール空間波長TW2SME’’は、第1の横スケール空間波長TW1SME’に等しくてもよい。
【0066】
図10を再び参照し、また、
図12を追加的に参照して、磁場発生部分PRTFGE’には、磁場発生素子の全てのセットSETFGE’及びSETFGE’’が含まれている。様々な例示的な実装形態では、磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’とオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’とは異なる空間位相位置にあり、第1の磁場発生素子空間位相PH1FGE-A’と第1のオフセット磁場発生素子空間位相PH1FGE-B’との間の磁場発生素子空間位相オフセットOFFSETFGE’によって離されている。様々な実装形態では、磁場発生部分PRTFGE’(例えば、
図12の上部を含む)の磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’及びオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’は、第1の周期的スケールパターン180’と相互作用する(例えば、動作中に近接する)ように構成することができる。磁場発生部分PRTFGE’の磁場発生素子のセットSET1FGE-A’及びSET1FGE-B’の第1の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W1FGE’は、第1の周期的スケールパターン180’の第1の横スケール空間波長TW1SME’の2倍に対応する場合がある(例えば、等しい場合がある)(例えば、特定の実装形態では、OFFSETFGE’’は1/4W1FGE’に等しい場合がある)。
【0067】
磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-A’’とオフセット磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-B’’とは異なる空間位相位置にあり、第2の磁場発生素子空間位相PH1FGE-A’’と第2のオフセット磁場発生素子空間位相PH1FGE-B’’との間の磁場発生素子空間位相オフセットOFFSETFGE’’によって離されている。様々な実装形態では、磁場発生部分PRTFGE’(例えば、
図12の下部を含む)の磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-A’’及びオフセット磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-B’’は、第2の周期的スケールパターン180’’と相互作用する(例えば、動作中に近接する)ように構成することができる。磁場発生部分PRTFGE’’の磁場発生素子のセットSET2FGE-A’’及びSET2FGE-B’’の第2の磁場発生素子空間波長(又はピッチ)W2FGE’’は、第2の周期的スケールパターン180’’の第2の横スケール空間波長TW2SME’’の2倍に対応する場合がある(例えば、等しい場合がある)(例えば、特定の実装形態では、OFFSETFGE’’は1/4W2FGE’’に等しい場合がある)。磁場発生部分PRTFGE’が(例えば、
図12に示すように)対称構成にある様々な実装形態では、(例えば、対応するオフセットなどを含む)上部部分及び下部部分の様々な対応する寸法及び/又は特徴は同等であり得る(例えば、OFFSETFGE’’=OFFSETFGE’など)。様々な実装形態では、第2の磁場発生素子空間波長W2FGE’’は、第1の磁場発生素子空間波長W1FGE’に等しい場合がある。
【0068】
直列に接続されている磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’及び第2のセットSET2FGE-A’’は、第1の複数の磁場発生素子貫通穴THR1FGE-A'を通過する第1の磁場発生素子導体CON1FGE-A’に接続されている。第1の複数の磁場発生素子貫通穴THR1FGE-A’は、第1の磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-A’に沿って延在するように配置されている。直列に接続されているオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’及び第2のセットSET2FGE-B’’は、第1の複数のオフセット磁場発生素子貫通穴THR1FGE-B’を通過する第1のオフセット磁場発生素子導体CON1FGE-B’に接続されている。第1の複数のオフセット磁場発生素子貫通穴THR1FGE-B’は、図示する例では、第1の磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-A’と同一線上にある第1のオフセット磁場発生素子貫通穴方向THD1FGE-B’に沿って延在するように配置されている。図示されていないが、
図2のSCSAと同様のスケールシールド領域SCSA’を追加して、検出器部分167’の磁場発生部分PRTFGE’及びセンシング部分PRTSEN’を支援して、(例えば、様々な貫通穴THRによって生じ得る寄生FGE-SEN相互インダクタンスに起因する)様々な貫通穴THR結合によって生じ得る直接FGE-SEN(例えば、送信器(Tx)-受信器(Rx))相互インダクタンスを抑制(例えば低減)することができる。
【0069】
図10は、x軸方向に第1の寸法DM1’を、y軸方向に第2の寸法DM2’を有する検出器部分167’を示している。特定の例示的な例では、DM1=DM2=8mmである。これにより、従来のトランスデューサと比べてサイズが小さい非常にコンパクトなトランスデューサTDR’を設計することができる(特定の実装形態では、4倍小さくなる)。
図2に関して例示及び示したように、単一スケールパターン180を有する検出器部分167を用いる実装形態では、更にコンパクトなトランスデューサTDRを実現することができる。
【0070】
図14は、
図10のトランスデューサTDR’の上面斜視図を示す図である。このトランスデューサTDR’は、第1のスケールパターン180’及び第2のスケールパターン180’’を有するスケール170’と、検出器部分167’とを含む。検出器部分167’は、スケール170’の上方にあるように図示されているセンシング部分PRTSEN’と、スケール170’の下方にあるように図示されている磁場発生部分PRTFGE’とを含む。この上面斜視図に従って、
図14はまた、第1のセンシング素子導体CON1SEN-A’と第1のオフセットセンシング素子導体CON1SEN-B’(例えば、センシング部分PRTSEN’に接続されている)を示している。これらは、対応する複数のセンシング素子貫通穴を通過する。また、磁場発生部分PRTFGE’に接続され、対応する複数の磁場発生素子貫通穴を通過する第1の磁場発生素子導体CON1FGE-A’及び第1のオフセット磁場発生素子導体CON1FGE-B’の底部も示されている。
【0071】
図10~
図14に示す構成に関連して、動作中、磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’及び第2のセットSET2FGE-A’’、並びにオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’及び第2のセットSET2FGE-B’’は、各々、信号処理構成(例えば、
図1の信号処理構成166)からのコイル駆動信号に応答して、磁束を変化させる。センシング素子の第1のセットSET1SEN-A’及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’の構成要素は、第1及び第2の周期的スケールパターン180’及び180’’の隣接する信号変調素子SME(例えば、1つ以上の信号変調素子SME)によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答する検出器信号を提供するように構成されている。信号処理構成(例えば、
図1の信号処理構成166)は、検出器部分167’から入力された検出器信号に基づいて、第1のスケールパターン180’及び第2のスケールパターン180’’に対するセンシング部分PRTSEN’(例えば、センシング素子の全てのセットSETSEN’を含む)の位置を決定するように構成することができる。検出器部分167’は鏡面対称構成であるため、第1のスケールパターン180’及び第2のスケールパターン180’’から生じる可能性のある位置ずれによるエラーが相殺されて、従来のトランスデューサと比べて、スケール170’の位置ずれや他の欠陥に対してあまり敏感ではないトランスデューサTDR’を実現することができる。いくつかの実装形態では、第1及び第2のスケールパターン180’及び180’’の各々が、偶数のスケール列ではなく奇数のスケール列SRを含んで、信号処理に応じて、少なくとも一部の信号オフセットが互いに加算されるのではなく減算されるようにすることが有利な場合がある。
【0072】
図15は、(例えば、相対的に対称構成にある)測定軸方向MAに対して第1のスケール角度SA1’(=θ
ABS1)及び第2のスケール角度SA2’’(=θ
ABS2)で傾斜した第1のスケールパターン180’及び第2のスケールパターン180’’(例えば、
図10のものと同様)の側方オフセットを示す図である。
図8を参照して上述した原理に従い、スケール170’の第1のスケールパターン180’の信号変調素子は、第1のスケール方向SD1’及び第1の横スケール方向TSD1’に沿って配置されている。MP
FERとは、第1のスケールパターン180’の中央位置を指し、これは、第1のスケールパターン180’のエンコーダ全範囲FERの中心にある。LO
FERとは、x軸方向のエンコーダ全範囲FERにわたるy軸方向の側方オフセットLOを指す。中央位置MP
FERでの側方オフセットは、エンコーダ全範囲の側方オフセットLO
FERの1/2(即ち、1/2LO
FER)である。スケール170’の第2のスケールパターン180’’の信号変調素子は、第2のスケール方向SD2’’及び第2の横スケール方向TSD2’’に沿って配置されている。第2のスケールパターン180’’の特定の特徴は、スケール170’の中心軸CTA’を中心として第1のスケールパターン180’と相対的に対称である。MP
FERとは、第2のスケールパターン180’’の中央位置を指し、これは、第2のスケールパターン180’’のエンコーダ全範囲FERの中心にある。LO
FERとは、x軸方向における第2のスケールパターン180’’のエンコーダ全範囲FERにわたるy軸方向の側方オフセットLOを指す。中央位置MP
FERでの側方オフセットは、エンコーダ全範囲の側方オフセットLO
FERの1/2(即ち、1/2LO
FER)である。
【0073】
図16は、
図1のエンコーダで利用可能な検出器部分167’’’を含むトランスデューサTDR’’’の第3の実装形態の素子を示す図である。このトランスデューサTDR’’’は、上記の
図10及び
図15に関して説明したトランスデューサTDR’のものと同様の第1及び第2のスケールパターン180’及び180’’を含むパターン部分PRTPAT’’’を含む。パターン部分PRTPAT’’’は更に、上記の
図19の先行技術の非傾斜周期的スケールパターンUPSP’’’’と同様の非傾斜周期的スケールパターンUPSP’’’を含む。非傾斜周期的スケールパターンUPSP’’’は、測定軸方向MAに沿って配置され、スケール170’’’の中心軸CTA’’’を中心にして配置されている。この中心軸を中心にして、第1のスケールパターン180’の特定の特徴が、第2のスケールパターン180’’と相対的に対称になっている。
【0074】
トランスデューサTDR’’’は、検出器部分167’’’を含む。この部分は、検出器部分の中央位置MP
DPを中心にして配置されている磁場発生部分PRTFGE’’’及びセンサ部分PRTSEN’’’を含む。センシング部分PRTSEN’’’は、センシング素子の全てのセットSETSENを含む。磁場発生部分PRTFGE’’’は、磁場発生素子の全てのセットSETFGEを含み、これには、第1のスケールパターン180’と相互作用する(例えば、動作中に近接する)磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’及びオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’、並びに第2のスケールパターン180’’と相互作用する(例えば、動作中に近接する)磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-A’’及びオフセット磁場発生素子の第2のセットSET2FGE-B’’が含まれる。磁場発生部分PRTFGE’’’はまた、上記の
図19の先行技術の非傾斜磁場発生素子部分UFGEP’’’’と同様の非傾斜磁場発生素子部分UFGEP’’’も含む。非傾斜磁場発生素子部分UFGEP’’’は、測定軸方向MAに沿って配列されており、測定軸方向MAに対して傾斜しておらず、駆動信号に応答して磁束の変化を生成し、非傾斜周期的スケールパターンUPSP’’’と連動して動作する(例えば、動作中に近接する)ように構成されている。したがって、トランスデューサTDR’’’の検出器部分167’’’は、
図10の傾斜した鏡面対称の検出器部分167’と
図19の非傾斜検出器部分167’’’’とを組み合わせて、両方の構成の技術的な利点を実現する。
【0075】
図17は、スケールの両側にある磁場発生素子及びセンシング素子を有するエンコーダを操作する方法1700を説明するフロー図である。上記のトランスデューサ(TDR、TDR’、TDR’’’)のいずれか又はその変形を使用して、エンコーダを構成することができる。ブロック1710では、磁場発生素子の第1のセット(例えば、SET1FGE-A)に磁束の変化を発生させるように、エンコーダ(101)が駆動信号を提供する。磁場発生素子の第1のセット(SET1FGE-A)とセンシング素子の第1のセット(例えば、SET1SEN-A)は、検出器部分(例えば、167)の一部であり、測定軸方向(例えば、MA)に垂直な方向に沿って、第1の周期的スケールパターン(例えば、180)の両側にある。第1の周期的スケールパターン(180)の少なくとも一部が、磁場発生素子の第1のセット(SET1FGE-A)とセンシング素子の第1のセット(SET1SEN-A)との間にある。
【0076】
ブロック1720では、エンコーダ(101)はセンシング素子の第1のセット(SET1SEN-A)から検出器信号を受信する。この検出器信号は、第1の周期的スケールパターン(180)の隣接する信号変調素子(SME)によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答するものである。ブロック1730では、エンコーダ(101)は、検出器部分からの検出器信号に少なくとも部分的に基づいて、検出器部分(例えば167)と第1の周期的スケールパターン(180)との相対位置を決定する。
【0077】
図18は、測定軸方向に対してスケール角度で傾斜したスケールパターンを有するエンコーダを操作する方法1800を説明するフロー図である。上記のトランスデューサ(TDR、TDR’、TDR’’’)のいずれか又はその変形を使用して、エンコーダを構成することができる。ブロック1810では、磁場発生素子の第1のセット(例えばSET1FGE-A)に磁束の変化を発生させるように、エンコーダ(101)が駆動信号を提供する。
【0078】
ブロック1820では、エンコーダ(101)は、検出器部分(例えば、167)のセンシング素子の第1のセット(例えば、SET1SEN-A)から検出器信号を受信する。この検出器信号は、第1の周期的スケールパターン(例えば、180)の隣接する信号変調素子(SME)によって提供される磁束の変化に対する局所的な影響に応答するものである。第1のスケール方向(例えば、SD1)は、測定軸方向(例えば、MA)に平行ではなく、測定軸方向(MA)に対して第1のスケール角度(例えば、SA1(=θABS1))で傾斜している。第1のタイプの第1の周期的スケールパターン(180)の信号変調素子(SME)の有効側方オフセット(ELO)は、第1のスケール角度(SA1)に従って測定軸方向(MA)に沿った位置に応じて変化する。検出器部分(167)から受信した検出器信号は、測定軸方向(MA)に沿って検出器部分(167)と第1の周期的スケールパターン(180)との相対位置が変更する際に、検出器部分(167)に近接する第1のタイプの信号変調素子(SME)の有効側方オフセット(ELO)に少なくとも部分的に基づいて変化する(例えば、更に、周期的スケールパターン180の少なくとも一部に沿った絶対位置を示す)。ブロック1830では、エンコーダ(101)は、検出器部分からの検出器信号に少なくとも部分的に基づいて、検出器部分(167)と第1の周期的スケールパターン(180)との相対位置を決定する。
【0079】
検出器部分からの検出器信号に少なくとも部分的に基づいて検出器部分(167)と第1の周期的スケールパターン(180)との相対位置を決定するためのブロック1730及び1830での操作に関連して、(例えば、当業者によって理解されるように、また、組み込まれた参考文献における教示内容に少なくとも部分的に従って)様々な処理及び/又は信号合成技術が利用可能である。簡単に述べると、様々な実装形態では、検出器部分からの信号を生成及び処理するために2つの駆動操作が利用可能である。
【0080】
より具体的には、第1の駆動操作の一部として、磁場発生素子FGE-Aを(例えば、信号処理構成166からの対応する駆動信号を用いて)駆動することができる。本明細書に説明する様々な例では、磁場発生素子FGE-Aは、磁場発生素子のセット(例えば、
図4の磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A、又は、
図12若しくは
図16の磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-A’及び第2のセットSET2FGE-A’’)の一部であるか、又はそのセットを含んでいてもよい。磁場発生素子FGE-Aが駆動されると、検出器部分のセンシング素子SEN-A及びSEN-Bからの対応する信号を読み取る(例えば、受信する、処理する)ことができる。本明細書に説明する様々な例では、センシング素子SEN-A及びSEN-Bは、センシング素子のセット(例えば、
図3のセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B、又は、
図12若しくは
図16のセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A’及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’)の一部であるか、又はそのセットを含んでいてもよい。
【0081】
第2の駆動操作の一部として、磁場発生素子FGE-Bを(例えば、信号処理構成166からの対応する駆動信号を用いて)駆動することができる。本明細書に説明する様々な例では、磁場発生素子FGE-Bは、磁場発生素子のセット(例えば、
図4のオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B、又は、
図12若しくは
図16のオフセット磁場発生素子の第1のセットSET1FGE-B’及び第2のセットSET2FGE-B’’)の一部であるか、又はそのセットを含むことができる。磁場発生素子FGE-Bが駆動されると、検出器部分のセンシング素子SEN-A及びSEN-Bからの対応する信号を読み取る(例えば、受信する、処理する)ことができる。本明細書に説明する様々な例では、センシング素子SEN-A及びSEN-Bは、センシング素子のセット(例えば、
図3のセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B、又は、
図12若しくは
図16のセンシング素子の第1のセットSET1SEN-A’及びオフセットセンシング素子の第1のセットSET1SEN-B’)の一部であるか、又はそのセットを含んでいてもよい。
【0082】
様々な実装形態では、検出器部分と周期的スケールパターンとの所与の相対位置(例えば、信号変調素子SMEの側方オフセットLOが異なる相対位置で異なる)について、第1の駆動操作中(即ち、磁場発生素子FGE-Aが駆動されるとき)に生成される信号振幅は、第2の駆動操作中(即ち、磁場発生素子FGE-Bが駆動されるとき)に生成される対応する信号振幅とは異なる変調を行う。一般的に、相対位置に応じて、第1の駆動操作中に磁場発生素子FGE-Aの駆動から生じる相対的な最小信号がある場合、第2の駆動操作中に、磁場発生素子FGE-Bの駆動から生じる相対的な最大信号が存在する場合がある。また、その逆も同様である。
【0083】
第1及び第2の駆動操作中に生成されたセンシング信号(即ち、検出器部分からのセンシング信号)を利用して、検出器部分と第1の周期的スケールパターンとの相対位置(例えば、相対位置での信号変調素子SMEの固有の相対的な側方オフセットに少なくとも部分的に対応する絶対位置)を決定することができる。様々な実装形態では、センシング信号には、第1の駆動操作中のセンシング素子SEN-Aからの信号及びセンシング素子SEN-Bからの信号や、第2の駆動操作中のセンシング素子SEN-Aからの信号及びセンシング素子SEN-Bからの信号など、相対位置を決定するために利用可能な4つの信号が含まれ得る。
【0084】
本明細書に開示され、特許請求される原理は、組み込まれた参考文献に開示されている様々な特徴と容易かつ望ましく組み合わせることができることが理解されるであろう。上記の様々な実装形態を組み合わせることで、更なる実装形態を提供することができる。本明細書で言及されている米国特許及び米国特許出願は全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。実装形態の態様は、必要に応じて、様々な特許及び出願の概念を採用して、更なる実装形態を提供するために修正することができる。これらの変更及び他の変更は、上記の詳細な説明を踏まえて実装形態に加えることができる。一般的に、次の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実装形態に限定するように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に与えられる均等物の完全な範囲とともにあらゆる可能な実装形態を含むと解釈されるべきである。
【外国語明細書】