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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035300
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】フランジオン化合物およびその製造法
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20240307BHJP
   C07D 307/80 20060101ALI20240307BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20240307BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240307BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20240307BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20240307BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C07D405/04
C07D307/80 CSP
C07D409/04
C07D409/14
C07D407/14
C07F7/08 S
C07F7/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139673
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】山縣 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青柳 圭哉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 祥生
(72)【発明者】
【氏名】平高 遥
(72)【発明者】
【氏名】岩永 宏平
【テーマコード(参考)】
4C063
4H049
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC75
4C063CC76
4C063CC92
4C063CC94
4C063DD04
4C063DD06
4C063DD75
4C063DD76
4C063EE05
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ58
4H049VQ60
4H049VQ62
4H049VR24
4H049VW01
4H049VW02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有機薄膜トランジスタ、色素増感太陽電池、有機光電変換素子及び太陽電池等に用いることできることができるフラノン化合物の前駆体として利用可能なフランジオン化合物、ならびに該フランジオン化合物の製造法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるフランジオン化合物。該化合物は、対応するシリルエノールエーテル化合物とハロゲン化オキサリルとを反応させることによって得る。

(式中、Arは、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどの縮合ヘテロ五員環誘導体または、ピロール誘導体を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるフランジオン化合物。
【化1】
[式中、Arは一般式(2)
【化2】
(式中、Rは炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~18の複素芳香族基、炭素数1~6のアルキルオキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数3~6のトリアルキルシリル基、炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~14のアシルオキシ基、炭素数6~14のアリールカルボニル基又はシアノ基を表す。当該アリール基、複素芳香族基及びアリールオキシ基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。Xは酸素原子、硫黄原子又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。)で表される縮合複素環基又は一般式(3)
【化3】
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表し、当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい。)で表されるピロール-2-イル基を表す。]
【請求項2】
Arが一般式(2)であり、Rが、炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基であり、当該フェニル基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい、請求項1に記載のフランジオン化合物。
【請求項3】
Arが一般式(2)であり、R、R、R及びRが、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリールオキシ基又は炭素数3~6のトリアルキルシリル基である、請求項1に記載のフランジオン化合物。
【請求項4】
Arが一般式(2)であり、XがNRであり、Rが、エチル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、シクロペンチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基又はフェニルメチル基である、請求項1に記載のフランジオン化合物。
【請求項5】
Arが一般式(3)であり、R、R及びRが、水素原子又はメチル基である、請求項1に記載のフランジオン化合物。
【請求項6】
Arが一般式(3)であり、Rが、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基である、請求項1に記載のフランジオン化合物。
【請求項7】
一般式(4)
【化4】
{式中、R10は、同一又は相異なって、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。Arは一般式(2)
【化5】
(式中、Rは炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~18の複素芳香族基、炭素数1~6のアルキルオキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数3~6のトリアルキルシリル基、炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~14のアシルオキシ基、炭素数6~14のアリールカルボニル基又はシアノ基を表す。当該アリール基、複素芳香族基及びアリールオキシ基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。)で表される縮合複素環基、又は一般式(3)
【化6】
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表し、当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい)で表されるピロール-2-イル基を表す。}で示されるシリルエノールエーテル化合物とハロゲン化オキサリルとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化7】
(式中、Arは、前記と同じ意味を表す。)で示されるフランジオン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化オキサリルが塩化オキサリルである、請求項7に記載のフランジオン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジオン化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラノン化合物は、有機薄膜トランジスタ(特許文献1)、色素増感太陽電池(非特許文献2)、有機光電変換素子及び太陽電池(特許文献2)等に用いることできることが知られている。
【0003】
しかしながら、これまでに合成が報告されているフラノン化合物の有する置換基の種類は少なく、フラノン骨格と直接結合したアリール基では、置換フェニル基、単環ヘテロ五員環化合物、及び一部の多環芳香族炭化水素を有するフラノン化合物しか報告されていない(特許文献3,非特許文献1等)。これら以外にフラノン骨格に縮合ヘテロ五員環等が直接結合した化合物も計算化学においては調査されており(非特許文献2)、様々な置換基を有するフラノン化合物を合成できる方法の開発が求められている。
【0004】
フラノン化合物の合成手法としては、一般にアリロイルアクリル酸の環化二量化反応が用いられるが(特許文献3,非特許文献1等)、フランジオン化合物と硫化剤との反応も報告されている(非特許文献3)。この反応において様々な置換基を有するフランジオン化合物を用いることができれば、種々のフラノン化合物を合成できると考えられるが、フランジオン化合物に関しても、芳香族炭化水素基やチエニル基、フリル基等の一部の置換基を有する化合物しか報告されていない(非特許文献4)。
【0005】
フランジオン化合物の合成法としては、例えば非特許文献4、特許文献4ではシリルエノールエーテルと塩化オキサリルとの反応により製造する方法、非特許文献5ではα,γ-ケト酸と塩化アセチルとの反応により製造する方法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8865861号明細書
【特許文献2】特開2012-109365号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/089941号
【特許文献4】中国特許第106083790B号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ACS Omega,2019年,4巻,7614-7627頁
【非特許文献2】Organic&Biomolecuilar Chemistry,2012年,10巻,6682-6692頁
【非特許文献3】Tetrahedron,1996年,52巻,5427-5440頁
【非特許文献4】Chemical Pharmaceutical Bulletin,1996年,44巻,956-966頁
【非特許文献5】Tetrahedron,2016年,72巻,5646-5651頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、様々な置換基を有するフラノン化合物の前駆体となる、縮合ヘテロ五員環あるいはピロールを置換基として有する新規なフランジオン化合物及び該フランジオン化合物を簡便に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フラノン化合物の前駆体となる、シリルエノールエーテル化合物と塩化オキサリルとの反応により効率的に縮合ヘテロ五員環あるいはピロールを置換基として有するフランジオン化合物を合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、下記の実施形態を含む。
【0011】
[1]
一般式(1)で示されるフランジオン化合物。
【0012】
【化1】
【0013】
[式中、Arは一般式(2)
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、Rは炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~18の複素芳香族基、炭素数1~6のアルキルオキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数3~6のトリアルキルシリル基、炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~14のアシルオキシ基、炭素数6~14のアリールカルボニル基又はシアノ基を表す。当該アリール基、複素芳香族基及びアリールオキシ基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。Xは酸素原子、硫黄原子又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。)で表される縮合複素環基又は一般式(3)
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表し、当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい。)で表されるピロール-2-イル基を表す。]。
【0018】
[2]
Arが一般式(2)であり、Rが、炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基であり、当該フェニル基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい、前記[1]に記載のフランジオン化合物。
【0019】
[3]
Arが一般式(2)であり、R、R、R及びRが、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリールオキシ基又は炭素数3~6のトリアルキルシリル基である、前記[1]又は[2]に記載のフランジオン化合物。
【0020】
[4]
Arが一般式(2)であり、XがNRであり、Rが、エチル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、シクロペンチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基又はフェニルメチル基である、前記[1]から[3]のいずれか1項に記載のフランジオン化合物。
【0021】
[5]
Arが一般式(3)であり、R、R及びRが、水素原子又はメチル基である、前記[1]から[4]のいずれか1項に記載のフランジオン化合物。
【0022】
[6]
Arが一般式(3)であり、Rが、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基である、前記[1]から[5]のいずれか1項に記載のフランジオン化合物。
【0023】
[7]
一般式(4)
【0024】
【化4】
【0025】
{式中、R10は、同一又は相異なって、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。Arは一般式(2)
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、Rは炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~18の複素芳香族基、炭素数1~6のアルキルオキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数3~6のトリアルキルシリル基、炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~14のアシルオキシ基、炭素数6~14のアリールカルボニル基又はシアノ基を表す。当該アリール基、複素芳香族基及びアリールオキシ基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。)で表される縮合複素環基又は一般式(3)
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表し、当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい)で表されるピロール-2-イル基を表す。}で示されるシリルエノールエーテル化合物とハロゲン化オキサリルとを反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0030】
【化7】
【0031】
(式中、Arは、前記と同じ意味を表す。)で示されるフランジオン化合物の製造方法。
【0032】
[8]
前記ハロゲン化オキサリルが塩化オキサリルである、前記[7]に記載のフランジオン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明のフランジオン化合物(1)は有機光電変換素子に代表される有機電子材料として適用できるフラノン化合物の前駆体としての利用が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0035】
本発明のフランジオン化合物(1)におけるR、R、R、R、R、R、R、R、R、及びXの定義について説明する。
【0036】
で表される炭素数1~8のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、シクロヘキシルメチル基、エチル基、2-シクロペンチルエチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2-ブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2-ペンチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-ペンチル基、3-エチルペンタン-3-イル基、シクロペンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、3-エチルシクロペンチル基、ヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-ヘキシル基、2-メチルヘキサン-2-イル基、5,5-ジメチルヘキサン-2-イル基、3-ヘキシル基、2,4-ジメチルヘキサン-3-イル基、シクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オクチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、メチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0037】
で表される炭素数1~8のハロアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状ハロアルキル基のいずれでもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、2-クロロエチル基、3-ブロモプロピル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でトリフルオロメチル基又は2,2,2-トリフルオロエチル基が好ましい。
【0038】
で表される炭素数6~14のアリール基としては、特に限定するものではなく、具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、9-アントリル基、2-フェナントレニル基、3-フェナントレニル基、9-フェナントレニル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニル基が好ましい。
【0039】
で表される炭素数6~14のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができる。Rで表される炭素数6~14のアリール基は、フランジオン化合物(1)の合成が容易な点で2,6-ジメチルフェニル基、又は2,4,6-トリメチルフェニル基が好ましい。
【0040】
これらの中でも、Rとしては、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基が、より好ましく、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよいフェニル基が、さらに好ましい。
【0041】
、R、R及びRで表されるハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0042】
、R、R及びRで表される炭素数1~8のアルキル基は、Rで例示した炭素数1~8のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、メチル基が好ましい。
【0043】
、R、R及びRで表される炭素数1~8のハロアルキル基は、Rで例示した炭素数1~8のハロアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でトリフルオロメチル基が好ましい。
【0044】
、R、R及びRで表される炭素数6~14のアリール基は、Rで例示した炭素数6~14のアリール基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニル基が好ましい。
【0045】
、R、R及びRで表される炭素数6~14のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0046】
、R、R及びRで表される炭素数3~18の複素芳香族基としては、特に限定するものではなく、具体的には、2-フラニル基、3-フラニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、1-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンソフラニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンソチエニル基、1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、9-カルバゾイル基、ジベンゾフラン-2-イル基、ジベンゾフラン-3-イル基、ジベンゾフラン-4-イル基、ジベンゾチオフェン-2-イル基、ジベンゾチオフェン-3-イル基、ジベンゾチオフェン-4-イル基、ベンゾベンゾチエノチオフェン-2-イル基、ベンゾベンゾチエノチオフェン-3-イル基、ベンゾベンゾチエノチオフェン-4-イル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で2-フラニル基又は2-チエニル基が好ましい。
【0047】
、R、R及びRで表される炭素数3~18の複素芳香族基は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0048】
、R、R及びRで表される炭素数1~6のアルキルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキルオキシ基のいずれでも良く、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、2,2-ジメチルプロピルオキシ基、3-シクロプロピルプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、2-メチルブチルオキシ基、3-メチルブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1-メチルブチルオキシ基、1,2-ジメチルブチルオキシ基、1-エチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチルオキシ基が好ましい。
【0049】
、R、R及びRで表される炭素数6~14のアリールオキシ基は、特に限定するものではなく、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントレニルオキシ基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニルオキシ基が好ましい。
【0050】
、R、R及びRで表される炭素数6~14のアリールオキシ基は、炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0051】
、R、R及びRで表される炭素数3~6のトリアルキルシリル基は、特に限定するものではなく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でトリメチルシリル基が好ましい。
【0052】
、R、R及びRで表される炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基は、特に限定するものではなく、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でイソプロピルオキシカルボニル基又はtert-ブチルオキシカルボニル基が好ましい。
【0053】
、R、R及びRで表される炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基は、特に限定するものではなく、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、ビフェニルオキシカルボニル基、アントリルオキシカルボニル基等を例示することができる。
【0054】
、R、R及びRで表される炭素数2~14のアシルオキシ基は、特に限定するものではなく、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、アントリルオキシ基等を例示することができる。
【0055】
、R、R及びRで表される炭素数6~14のアリールカルボニル基は、特に限定するものではなく、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントリル基等を例示することができる。
【0056】
これらの中でも、R、R、R及びRとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリールオキシ基又は炭素数3~6のトリアルキルシリル基がより好ましい。
【0057】
、R及びRで表される炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、メチル基が好ましい。
【0058】
、R及びRとしては、フランジオン化合物(1)の合成が容易な点で水素原子又はメチル基が特に好ましい。
【0059】
で表される炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2-ブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-ペンチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、3-ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、シクロヘキシル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、メチル基、エチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0060】
で表される炭素数6~14のアリール基は、Rで例示した炭素数6~14のアリール基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、フェニル基が好ましい。
【0061】
で表される炭素数6~14のアリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rで表される炭素数6~14のアリール基は、フランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、又は2,4,6-トリメチルフェニル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
【0062】
としては、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基が好ましく、特にフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、又は2,4,6-トリメチルフェニル基が好ましい。
【0063】
10で表される炭素数1~8のアルキル基は、Rで例示した炭素数1~8のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、メチル基が好ましい。
【0064】
10で表される炭素数6~14のアリール基は、R、R、R及びRで例示した炭素数6~14のアリール基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、フェニル基が好ましい。
【0065】
Xは酸素原子、硫黄原子又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。
【0066】
で表される炭素数1~8のアルキル基は、Rで例示した炭素数1~8のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、エチル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基又はシクロペンチル基が好ましい。
【0067】
で表される炭素数1~4のハロアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状ハロアルキル基のいずれでもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、2,2,2-トリフルオロエチル基が好ましい。
【0068】
で表される炭素数2~8のアルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルケニル基のいずれでもよく、具体的にはエテニル基、1-プロぺニル基、2-メチル-1-プロぺニル基、アリル基、2-メチル-2-プロぺニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-ペンテニル基、1-シクロペンテニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、1-シクロヘキセニル基、2-ヘプテニル基、1-シクロオクテニル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でアリル基又は3-メチル-2-ブテニル基が好ましい。
【0069】
で表される炭素数6~14のアリール基は、Rで例示した炭素数6~14のアリール基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニル基が好ましい。
【0070】
で表される炭素数6~14のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0071】
で表される炭素数6~14のアリール基としては、フランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、又は2,4,6-トリメチルフェニル基が好ましい。
【0072】
で表される炭素数7~12のアラルキル基は、具体的にはフェニルメチル基、フェニルエチル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフェニルメチル基が好ましい。
【0073】
で表される炭素数3~18の複素芳香族基は、R、R、R及びRで例示した炭素数3~18の複素芳香族基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で2-フラニル基又は2-チエニル基が好ましい。
【0074】
で表される炭素数3~18の複素芳香族基は、炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。当該炭素数1~4のアルキル基としては、Rで例示した1~4のアルキル基と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でメチル基が好ましい。また当該ハロゲン原子としては、Rで例示したハロゲン原子と同様のものを挙げることができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点でフッ素原子が好ましい。
【0075】
で表される炭素数3~18の複素芳香族基としては、フランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、2-メチルフラニル基又は2-メチルチエニル基が好ましい。
【0076】
で表される炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基は、特に限定するものではなく、具体的には、トリメチルシリルメチル基、トリエチルシリルメチル基、ジメチル-tert-ブチルシリルメチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等を例示することができ、その中でもフランジオン化合物(1)の合成が容易な点で、トリメチルシリルメチル基が好ましい。
【0077】
これらの中でも、Xとしては、酸素原子、硫黄原子、又は、Rがエチル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、シクロペンチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、又はフェニルメチル基で表されるNRが特に好ましい。
【0078】
本発明のフランジオン化合物(1)としては、特に限定するものではなく、例えば、下記の1-1から1-81に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0079】
【化8】
【0080】
【化9】
【0081】
【化10】
【0082】
【化11】
【0083】
なお本明細書中、Meはメチル基を表す。
【0084】
1-1から1-81で示される化合物のうち、本発明のフランジオン化合物(1)としては、合成が容易な点で1-1、1-2、1-6、1-11、1-12、1-14、1-17、1-18、1-27、1-29、1-30、1-32、1-34、1-35、1-36、1-37、1-38、1-39、1-45、1-47、1-51,1-52、1-59、1-60、1-62、1-69、1-70、1-71、1-75、1-77、1-78、1-79、1-80又は1-81で示される化合物が好ましく、特に1-1、1-2、1-6、1-11、1-17、1-18、1-27、1-32、1-35、1-36、1-39、1-45、1-52、1-59、1-60、1-62又は1-79で示される化合物が好ましい。
【0085】
次に、本発明のフランジオン化合物(1)の製造方法(以下、本発明の製造方法と称する。)について説明する。
【0086】
本発明のフランジオン化合物(1)は、次の反応式に示される工程1により製造することができる。
【0087】
【化12】
【0088】
{式中、R10は各々独立に炭素数1~8のアルキル基、又は炭素数6~14のアリール基を表す。Zはハロゲン原子を表す。Arは一般式(2)
【0089】
【化13】
【0090】
(式中、Rは炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表す。当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~18の複素芳香族基、炭素数1~6のアルキルオキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数3~6のトリアルキルシリル基、炭素数2~5のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~14のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~14のアシルオキシ基、炭素数6~14のアリールカルボニル基又はシアノ基を表す。当該アリール基、複素芳香族基及びアリールオキシ基は炭素数1~4のアルキル基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基で1つ以上置換されていてもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、又はNRを表す。Nは窒素原子を表し、Rは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~4のハロアルキル基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、炭素数3~18の複素芳香族基又は炭素数4~7のトリアルキルシリルアルキル基を表し、当該アリール基及び複素芳香族基は炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。)で表される縮合複素環基、又は
一般式(3)
【0091】
【化14】
【0092】
(式中、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基を表し、当該アリール基は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい。)で表されるピロール-2-イル基を表す。}
【0093】
工程1はシリルエノールエーテル化合物(4)をハロゲン化オキサリルと反応させ、本発明のフランジオン化合物(1)を製造する工程である。
【0094】
工程1に用いるシリルエノールエーテル化合物(4)における置換基としては、一般式(1)で示されるフランジオン化合物の置換基と同様のものを挙げることができ、その中でも、R,R、R、R、R、R、R、R、R及びXとしては、Rは、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよいフェニル基が好ましく、R、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリールオキシ基又は炭素数3~6のトリアルキルシリル基が好ましく、R、R及びRは、水素原子又はメチル基が好ましく、Rは、炭素数1~4のアルキル基で1つ以上置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基が好ましく、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、Rがエチル基、イソプロピル基、2-メチルプロピル基、シクロペンチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、又はフェニルメチル基で表されるNRが好ましい。
【0095】
工程1に用いるシリルエノールエーテル化合物(4)としては、例えば、下記の4-1から4-81に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0096】
【化15】
【0097】
【化16】
【0098】
【化17】
【0099】
4-1から4-81で示される化合物のうち、合成が容易な点で4-1、4-2、4-6、4-11、4-12、4-14、4-17、4-18、4-27、4-29、4-30、4-32、4-34、4-35、4-36、4-37、4-38、4-39、4-45、4-47、4-51,4-52、4-59、4-60、4-62、4-69、4-70、4-71、4-75、4-77、4-78、4-79、4-80又は4-81で示される化合物が好ましく、特に4-1、4-2、4-6、4-11、4-17、4-18、4-27、4-32、4-35、4-36、4-39、4-45、4-52、4-59、4-60、4-62又は4-79で示される化合物が好ましい。
【0100】
シリルエノールエーテル化合物(4)は、当業者の良く知る汎用的な方法で製造することができ、例えば、Chemical Pharmaceutical Bulletin,1996年,44巻,956-966頁に開示されている方法等に従えば、収率よくシリルエノールエーテル化合物(4)を得ることができる。また、市販品を用いてもよい。
【0101】
工程1に用いるハロゲン化オキサリルとしては、具体的には、塩化オキサリル、臭化オキサリル等を例示することができる。その中でもフランジオン化合物(1)の合成の収率が良い点で、塩化オキサリルが好ましい。ハロゲン化オキサリルは、当業者の良く知る汎用的な方法で製造することができ、市販品を用いてもよい。
【0102】
工程1で用いるシリルエノールエーテル化合物(4)とハロゲン化オキサリルとのモル比に特に制限はなく、収率が良い点でシリルエノールエーテル化合物(4):ハロゲン化オキサリルのモル比が10:1から1:1の範囲にあることが好ましく、反応収率が良い点で3:1から1:1の範囲にあることがさらに好ましい。
【0103】
工程1は溶媒中で実施することができる。用いることのできる溶媒に特に制限はなく、反応を阻害しない溶媒であればよい。このような溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、テトラリン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテルを例示することができ、これらを任意の比で混合して用いてもよい。溶媒の使用量に特に制限はない。これらのうち、本発明のフランジオン化合物(1)の反応収率が良い点でジエチルエーテル、ヘキサンが好ましい。
【0104】
工程1を実施する際の反応温度には特に制限はなく、通常は-80℃から80℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することができ、本発明のフランジオン化合物(1)の反応収率が良い点で-20℃から40℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することが好ましく、0℃から30℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することがさらに好ましい。
【0105】
本発明のフランジオン化合物(1)は、工程1の反応の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、洗浄、再結晶、又は分取HPLC等で精製してもよい。
【実施例0106】
以下、実施例及び参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0107】
シリルエノールエーテル化合物(4)は、Chemical Pharmaceutical Bulletin,1996年,44巻,956-966頁に開示されている方法等により製造したものを用いた。その他の試薬類は市販品を用いた。
【0108】
H-NMR測定]
H-NMRの測定には、Bruker ASCEND 400(400MHz;BRUKER社製)を用いた。H-NMRは、重クロロホルム(CDCl)を測定溶媒とし、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて室温で測定した。
【0109】
実施例-1
【0110】
【化18】
【0111】
トリメチル{[1-(3-メチルベンゾフラン-2-イル)ビニル]オキシ}シラン(4-1)(17g,69mmol)及び塩化オキサリル(3.3mL,38mmol)をジエチルエーテル(70mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-メチルベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-1)を得た(5.2g,60%)。
H-NMR(CDCl):δ7.71(brd,J=8.0Hz,1H)7.57-7.53(m,2H),7.38(ddd,J=8.0,5.8,2.3Hz,1H),6.40(s,1H),2.70(s,3H)。
【0112】
実施例-2
【0113】
【化19】
【0114】
トリメチル(3-メチル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}ベンゾフラン-5-イル)シラン(4-59)(2.4g,7.5mmol)及び塩化オキサリル(0.32mL,3.8mmol)をヘキサン(15mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄することで、5-{3-メチル-5-(トリメチルシリル)ベンゾフラン-2-イル}フラン-2,3-ジオン(1-59)を得た(0.60g,53%)。
H-NMR(CDCl):δ7.83(brs,1H),7.70(dd,J=8.3,1.1Hz,1H),7.54(brd,J=8.3Hz,1H),6.40(s,1H),2.72(s,3H),0.34(s,9H)。
【0115】
実施例-3
【0116】
【化20】
【0117】
トリメチル{[1-(3-メチル-5-フェニルベンゾフラン-2-イル)ビニル]オキシ}シラン(4-52)(14g,42mmol)及び塩化オキサリル(1.8mL,21mmol)をジエチルエーテル(82mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-メチル-5-フェニルベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-52)を得た(4.0g,62%)。
H-NMR(CDCl):δ7.85(brd,J=1.8Hz,1H),7.79(dd,J=8.7,1.8Hz,1H),7.65-7.59(m,3H),7.52-7.46(m,2H),7.40(tt,J=7.3,1.2Hz,1H),6.42(s,1H),2.73(s,3H)。
【0118】
実施例-4
【0119】
【化21】
【0120】
{[1-(3-エチルベンゾフラン-2-イル)ビニル]オキシ}トリメチルシラン(4-2)(16g,60mmol)及び塩化オキサリル(2.9mL,33mmol)をジエチルエーテル(150mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-エチルベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-2)を得た(4.3g,53%)。
H-NMR(CDCl):δ7.76-7.74(m,1H),7.57-7.56(m,2H),7.40-7.36(m,1H),6.42(s,1H),3.17(q,J=7.6Hz,2H),1.38(t,J=7.6Hz,3H)。
【0121】
実施例-5
【0122】
【化22】
【0123】
トリメチル{[1-(3-フェニルベンゾフラン-2-イル)ビニル]オキシ}シラン(4-6)(13g,42mmol)及び塩化オキサリル(1.8mL,21mmol)をジエチルエーテル(82mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-フェニルベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-6)を得た(4.4g,72%)。
H-NMR(CDCl):δ7.67-7.58(m,3H),7.55(brs,5H),7.41-7.36(m,1H),6.35(s,1H)。
【0124】
実施例-6
【0125】
【化23】
【0126】
{[1-(3-エチル-6-メトキシベンゾフラン-2-イル)ビニル]オキシ}トリメチルシラン(4-60)(16g,55mmol)及び塩化オキサリル(2.5mL,30mmol)をジエチルエーテル(100mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-エチル-6-メトキシベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-60)を得た(3.4g,42%)。
H-NMR(CDCl):δ7.60(d,J=8.4Hz,1H),7.01(s,1H),6.99(d,J=8.4Hz,1H),6.32(s,1H),3.92(s,3H),3.12(q,J=7.6Hz,2H),1.36(t,J=7.6Hz,3H)。
【0127】
実施例-7
【0128】
【化24】
【0129】
トリメチル{[1-(3-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-イル)ビニル]オキシ}シラン(4-27)(6.5g,25mmol)及び塩化オキサリル(1.2g,14mmol)をジエチルエーテル(50mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-27)を得た(1.7g,50%)。
H-NMR(CDCl):δ7.90(brd,J=7.8Hz,1H)7.86(brd,J=7.8Hz,1H),7.52(ddd,J=7.8,7.3,1.3Hz,1H),7.47(ddd,J=7.8,7.3,1.3Hz,1H),6.93(s,1H),2.84(s,3H)。
【0130】
実施例-8
【0131】
【化25】
【0132】
1-[N-(3-メチルプロピル)-3-メチルインドリル]-1-トリメチルシリルオキシエチレン(4-36)(1.60g,5.3mmol)をジエチルエーテル(10mL)に溶解させ、塩化オキサリル(0.25mL,2.9mmol)を室温にて滴下し、1時間撹拌した。低沸分を減圧留去した後にヘキサンを加え、生じた沈殿をろ取することで5-[N-(3-メチルプロピル)-3-メチルインドリル]-2,3-ジオキソフランを得た(0.30g,31%)。
H-NMR(CDCl):δ7.70(d,J=8.3Hz,1H),7.44(ddd,J=8.6,6.7,1.0Hz,1H),7.38(d,J=8.3Hz,1H),7.19(ddd,J=8.3,6.7Hz,J=1.0Hz,1H),6.23(s,1H),4.23(d,J=7.3Hz,2H),2.63(s,3H),2.13(m,1H),0.89(d,J=6.7Hz,6H)。
【0133】
実施例-9
【0134】
【化26】
【0135】
1-イソプロピル-3-メチル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-35)(2.7g,9.4mmol)及び塩化オキサリル(0.40mL,4,7mmol)をジエチルエーテル(20mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、をジエチルエーテルで洗浄することで、5-[1-イソプロピル-3-メチル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-35)を得た(0.40g,32%)。
H-NMR(CDCl):δ7.71(brd,J=8.2Hz,1H)7.59(brd,J=8.6Hz,1H),7.39(ddd,J=8.6,7.2,1.1Hz,1H),7.19(ddd,J=8.2,7.2,0.9Hz,1H),6.13(s,1H),4.97(sep,J=7.0Hz,1H),2.57(s,3H),1.68(d,J=7.0Hz,6H)。
【0136】
実施例-10
【0137】
【化27】
【0138】
3-メチル-1-フェニル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-39)(12g,38mmol)及び塩化オキサリル(1.6mL,19mmol)をジエチルエーテル(40mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(3-メチル-1-フェニル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-39)を得た(3.1g,54%)。
H-NMR(CDCl):δH-NMR(CDCl):δ7.79(brd,J=8.2Hz,1H)7.62-7.55(m,3H),7.38(ddd,J=8.5,7.0,1.0Hz,1H),7.36-7.31(m,2H),7.24(ddd,J=8.2,7.0,1.0Hz,1H),7.02(brd,J=8.2,7.0,0.8Hz,1H),5.05(s,1H),2.82(s,3H)。
【0139】
実施例-11
【0140】
【化28】
【0141】
1-エチル-6-フルオロ-3-メチル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-69)(12g,40mmol)及び塩化オキサリル(1.7g,20mmol)をジエチルエーテル(40mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(1-エチル-3-メチル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-69)を得た(2.1g,38%)。
H-NMR(CDCl):δ7.67(dd,J=9.0,5.5Hz,1H)7.03(dd,J=9.6,2.3Hz,1H),6.98(ddd,J=9.0,9.0,2.3Hz,1H),6.20(s,1H),4.38(q,J=7.3Hz,2H),2.61(s,3H),1.44(t,J=7.3Hz,3H)。
【0142】
実施例-12
【0143】
【化29】
【0144】
6-フルオロ-3-メチル-1-フェニル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-45)(8.4g,25mmol)及び塩化オキサリル(1.1mL,13mmol)をジエチルエーテル(25mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-(6-フルオロ-3-メチル-1-フェニル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-45)を得た(2.5g,62%)。
H-NMR(CDCl):δ7.74(dd,J=9.0,5.2Hz,1H)7.62-7.57(m,3H),7.36-7.29(m,2H),7.02(ddd,J=9.0,9.0,2.2Hz,1H),6.68(dd,J=9.3,2.2Hz,1H),5.02(s,1H),2.81(s,3H)。
【0145】
実施例13
【0146】
【化30】
【0147】
3,5-ジメチル-1-フェニル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-ピロール(4-62)(6.5g,31mmol)をヘキサン(150mL)に溶解させ、塩化オキサリル(1.0mL,12mmol)を室温にて滴下し、1時間撹拌した。生じた沈殿をろ取した後、クロロホルムにて抽出した。得られた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過により乾燥剤を除去し、低沸分を減圧留去することで5-(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピロール-2-イル)-2,3-ジオキソフランを得た(2.8g,85%)。
H-NMR(CDCl):δ7.61-7.51(m,3H),7.25-7.21(m,2H),6.20(s,1H),4.55(s,1H),2.52(s,3H),2.08(s,3H)。
【0148】
実施例14
【0149】
【化31】
【0150】
1-シクロペンチル-3-メチル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-11)(8.7g,28mmol)及び塩化オキサリル(1.2mL,14mmol)をジエチルエーテル(30mL)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することで、5-[1-シクロペンチル-3-メチル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-11)を得た(2.2g,54%)。
H-NMR(CDCl):δ7.72(brd,J=8.2Hz,1H),7.47(brd,J=8.5Hz,1H),7.38(ddd,J=8.5,6.9,1.2Hz,1H),7.19(ddd,J=8.2,6.9,0.8Hz,1H),6.13(s,1H),5.08(quint,J=9.1Hz,1H),2.58(s,3H),2.35-2.22(m,2H),2.22-1.96(m,4H),1.87-1.67(m,2H)。
【0151】
実施例-15
【0152】
【化32】
【0153】
1-ベンジル-3-メチル-2-{1-[(トリメチルシリル)オキシ]ビニル}-1H-インドール(4-79)(8.1g,24mmol)及び塩化オキサリル(1.1mL,13mmol)をジエチルエーテル(50mL)に溶解させ、室温で2.5時間撹拌した。析出した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄することで、5-[3-メチル-1-フェニルメチル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-79)を得た(1.7g,41%)。
H-NMR(CDCl):δ7.78-7.75(m,1H),7.47-7.42(m,1H),7.36-7.22(m,5H),7.02-6.99(m,2H),6.02(s,1H),5.59(s,2H),2.69(s,3H)。
【0154】
本発明のフランジオン化合物(1)は様々な置換基を有するフラノン化合物の前駆体として利用することができる。以下、参考例として本発明のフランジオン化合物(1)を用いたフラノン化合物の合成例を示す。
【0155】
参考例-1
【0156】
【化33】
【0157】
アルゴン雰囲気下、5-(3-フェニルベンゾフラン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-6)(4.4g,15mmol)及び2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン 2,4-ジスルフィド(3.0g,7.5mmol)をトルエン(100mL)に懸濁させ、70℃で3時間撹拌した。室温まで放冷後、析出した固体をろ取した。この固体をトルエン、メタノール及びヘキサンで洗浄することで、緑色固体の(E)-5,5’-ビス(3-フェニルベンゾフラン-2-イル)-2H,2’H-[3,3’-ビスフラニリデン]-2,2’-ジオン(5-6)を得た(2.0g,48%)。
H-NMR(CDCl):δ7.61-7.45(m,18H),7.31(m,2H)。
【0158】
参考例-2
【0159】
【化34】
【0160】
アルゴン雰囲気下、5-(3-メチルベンゾ[b]チオフェン-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-27)(1.7g,7.0mmol)及び2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン 2,4-ジスルフィド(1.4g,3.5mmol)をトルエン(30mL)に懸濁させ、70℃で3時間撹拌した。室温まで放冷後、析出した固体をろ取した。この固体をトルエン、メタノール及びヘキサンで洗浄することで、緑色固体の(E)-5,5’-ビス(3-メチルベンゾチオフェン-2-イル)-2H,2’H-[3,3’-ビスフラニリデン]-2,2’-ジオン(5-27)を得た(1.1g,71%)。
H-NMR(CDCl):δ7.60(d,J=7.8Hz,2H),7.60(s,2H),7.50(d,J=8.3Hz,2H),7.43(d,J=8.3,7.4Hz,2H),7.31(dd,J=7.8,7.4Hz,2H),2.63(s,6H)。
【0161】
参考例-3
【0162】
【化35】
【0163】
アルゴン雰囲気下、5-(1-イソブチル-3-メチル-1H-インドール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-36)(0.26g,0.92mmol)及び2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン 2,4-ジスルフィド(0.20mg,0.50mmol)をトルエン(10mL)に懸濁させ、70℃で3時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物にヘキサンを加えて生じた沈殿をろ取し、メタノールとヘキサンにて洗浄することで得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)を用いて精製することで、緑色固体の(E)-5,5’-ビス[1-イソブチル-3-メチル-1H-インドール-2-イル]-2H,2’H-[3,3’-ビフラニリデン]-2,2’-ジオン(5-36)を得た(0.13g,収率42%)。
H-NMR(CDCl):7.64(brd,J=8.1Hz,2H),7.41(s,2H),7.37-7.30(m,4H),7.15(ddd,J=8.1,5.5Hz,J=2.3Hz,2H),4.24(d,J=7.8Hz,4H),2.62(s,6H),2.16(m,2H),0.91(d,J=6.7Hz,12H)。
【0164】
参考例-4
【0165】
【化36】
【0166】
アルゴン雰囲気下、5-(3,5-ジメチル-1-フェニル-1H-ピロール-2-イル)フラン-2,3-ジオン(1-62)(1.9g,7.1mmol)と2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン 2,4-ジスルフィド(1.6g,39mmol)をトルエン(35mL)に溶解させ70℃にて3時間撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン:ヘキサン=1:1)にて精製することで(E)-5,5’-ビス(3,5-ジメチル-1-フェニル-1H-ピロール-2-イル)-2H,2’H-[3,3’-ビフラニリデン]-2,2’-ジオン(5-62)を得た(0.15g,8%)。
H-NMR(CDCl):δ7.47-7.43(m,6H),7.42(s,2H),7.22-7.18(m,4H),6.04(s,2H),2.36(s,6H),2.02(s,6H)。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明のフランジオン化合物(1)は、有機薄膜トランジスタ、色素増感太陽電池、有機光電変換素子及び太陽電池等の部材として有用なフラノン化合物の前駆体として利用することができる。