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特開2024-35507情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
<図1>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035507
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20240307BHJP
   G06F 11/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G06F3/06 305C
G06F3/06 301N
G06F3/06 303Z
G06F11/10 604
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140005
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 豊
(72)【発明者】
【氏名】近藤 理貴
(72)【発明者】
【氏名】増田 優子
(72)【発明者】
【氏名】大塚 美咲
(57)【要約】
【課題】磁気テープに記録される全データの総サイズに占めるパリティデータの総サイズの割合を低減することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置は、磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、複数のデータ及びパリティデータを磁気テープに記録する制御を行う。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備える情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、
前記複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、
総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、前記複数のデータ及び前記パリティデータを磁気テープに記録する制御を行う
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
更に、各グループ間のデータの圧縮率の差が一定の範囲内に収まるように前記複数のデータを前記複数のグループに分類する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記磁気テープへの記録対象のデータは、データ及びそのデータに関するメタデータを含む1つ以上のオブジェクトがまとめられたパックドオブジェクトであり、
前記プロセッサは、
更に、各グループ間のパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数の差が一定の範囲内に収まるように前記複数のデータを前記複数のグループに分類する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
更に、各グループのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数が閾値以下となるように前記複数のデータを前記複数のグループに分類する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
更に、一定の期間内に読み取られる可能性を表す指標値が閾値以上の複数のデータを同じグループに分類する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
更に、各グループのデータの総サイズが閾値以下となるように前記複数のデータを前記複数のグループに分類する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、
前記複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、
総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、前記複数のデータ及び前記パリティデータを磁気テープに記録する制御を行う
処理を情報処理装置が備えるプロセッサが実行する情報処理方法。
【請求項8】
磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、
前記複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、
総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、前記複数のデータ及び前記パリティデータを磁気テープに記録する制御を行う
処理を情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のデータからパリティデータを生成し、複数のデータとパリティデータとを異なる磁気テープに記録する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数のデータからパリティデータを生成する際に、サイズが異なる複数のデータのうち、最大サイズ以外のデータにダミーデータを付加することによって複数のデータを同一サイズとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-117772号公報
【特許文献2】特開2015-143952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のデータとその複数のデータから生成されるパリティデータとを1つのパリティグループとして複数のデータを同一サイズとする場合、そのサイズは、パリティグループ毎に異なる場合が多い。この場合、例えば、データを受信した順に複数のデータを同一サイズにし、同一サイズにした複数のデータと、その複数のデータから生成されたパリティデータとを磁気テープに記録すると、以下の問題が発生する場合がある。すなわち、この場合、磁気テープに記録される全データの総サイズに占めるパリティデータの総サイズの割合が増大してしまう場合がある。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、磁気テープに記録される全データの総サイズに占めるパリティデータの総サイズの割合を低減することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の情報処理装置は、少なくとも一つのプロセッサを備える情報処理装置であって、プロセッサは、磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、複数のデータ及びパリティデータを磁気テープに記録する制御を行う。
【0008】
第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置において、プロセッサは、更に、各グループ間のデータの圧縮率の差が一定の範囲内に収まるように複数のデータを複数のグループに分類する。
【0009】
第3の態様の情報処理装置は、第1の態様又は第2の態様の情報処理装置において、磁気テープへの記録対象のデータは、データ及びそのデータに関するメタデータを含む1つ以上のオブジェクトがまとめられたパックドオブジェクトであり、プロセッサは、更に、各グループ間のパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数の差が一定の範囲内に収まるように複数のデータを複数のグループに分類する。
【0010】
第4の態様の情報処理装置は、第3の態様の情報処理装置において、プロセッサは、更に、各グループのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数が閾値以下となるように複数のデータを複数のグループに分類する。
【0011】
第5の態様の情報処理装置は、第1の態様から第4の態様の何れか1態様の情報処理装置において、プロセッサは、更に、一定の期間内に読み取られる可能性を表す指標値が閾値以上の複数のデータを同じグループに分類する。
【0012】
第6の態様の情報処理装置は、第1の態様から第5の態様の何れか1態様の情報処理装置において、プロセッサは、更に、各グループのデータの総サイズが閾値以下となるように複数のデータを複数のグループに分類する。
【0013】
第7の態様の情報処理方法は、磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、複数のデータ及びパリティデータを磁気テープに記録する制御を行う処理を情報処理装置が備えるプロセッサが実行するものである。
【0014】
第8の態様の情報処理プログラムは、磁気テープへの記録対象の複数のデータを、各グループ間のデータの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類し、複数のグループに分類された複数のデータの総サイズを同一サイズにする処理を実行し、総サイズを同一サイズにした複数のグループそれぞれの複数のデータを用いてパリティデータを生成し、複数のデータ及びパリティデータを磁気テープに記録する制御を行う処理を情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、磁気テープに記録される全データの総サイズに占めるパリティデータの総サイズの割合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】オブジェクトを説明するための図である。
図3】パックドオブジェクトを説明するための図である。
図4】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図6】パックドオブジェクトの分類処理を説明するための図である。
図7】ダミーデータ付加処理を説明するための図である。
図8】パリティデータの生成処理を説明するための図である。
図9】パックドオブジェクト及びパリティデータの磁気テープへの記録処理を説明するための図である。
図10】データ記録処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の構成を説明する。図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置12及びテープライブラリ14を含む。情報処理装置12の例としては、サーバコンピュータ等が挙げられる。
【0019】
テープライブラリ14は、複数のスロット(図示省略)及び複数のテープドライブ18を備え、各スロットには記録媒体の一例としての磁気テープTが格納される。各テープドライブ18は、情報処理装置12に接続される。テープドライブ18は、情報処理装置12による制御によって、磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りを行う。磁気テープTの例としては、LTO(Linear Tape-Open)テープが挙げられる。
【0020】
情報処理装置12により磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りを行う場合、書き込み又は読み取り対象の磁気テープTがスロットから所定のテープドライブ18にロードされる。テープドライブ18にロードされた磁気テープTに対するデータの書き込み又は読み取りが完了すると、磁気テープTは、テープドライブ18から元々格納されていたスロットにアンロードされる。
【0021】
本実施形態では、一例として図2に示すように、磁気テープTに記録するデータを取り扱う単位として、文書データ及び画像データ等のユーザが保存対象とするデータと、そのデータに関するメタデータとを含むオブジェクトを適用した形態例を説明する。図2の例では、メタデータを「メタ」と表記している。なお、このオブジェクトを取り扱うストレージシステムは、オブジェクトストレージシステムと称される。メタデータには、例えば、オブジェクトキー等のオブジェクトの識別情報、オブジェクト名、データのサイズ、及びタイムスタンプ等の属性情報が含まれる。なお、オブジェクトを磁気テープTに記録する際のデータ及びメタデータの記録順は特に限定されず、メタデータ及びデータの順でもよいし、データ及びメタデータの順でもよい。
【0022】
また、本実施形態では、一例として図3に示すように、1つ以上のオブジェクトが予め定められたルール(以下、「パッキングルール」という)に従ってまとめられたオブジェクト(以下、「パックドオブジェクト」という)単位でオブジェクトが磁気テープTに記録される。これは、情報処理装置12が磁気テープTへオブジェクトを記録する際のテープドライブ18への記録指示のコマンド発行によるオーバーヘッドの低減等を目的としている。パックドオブジェクトは、開示の技術に係る磁気テープTへの記録対象のデータの一例である。図3の「Obj」はオブジェクトを表している。なお、図3では、1つのパックドオブジェクトに4つのオブジェクトが含まれる例を示しているが、これに限定されない。1つのパックドオブジェクトに3つ以下のオブジェクトが含まれてもよいし、5つ以上のオブジェクトが含まれてもよい。また、パックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの個数は均一でなくてもよい。
【0023】
パッキングルールの例としては、同じ拡張子のデータを含む複数のオブジェクトを同じパックドオブジェクトにまとめる、又は同時に読み取られる可能性の高い複数のオブジェクトを同じパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、パッキングルールの例としては、1つのパックドオブジェクトのサイズが予め定められた下限値以上上限値未満となるように複数のオブジェクトを1つのパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、パッキングルールの例としては、1つのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの数が予め定められた下限値以上上限値未満となるように複数のオブジェクトを1つのパックドオブジェクトにまとめる、といったルールが挙げられる。また、複数のパッキングルールを組み合わせてもよい。
【0024】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12のハードウェア構成を説明する。図4に示すように、情報処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、情報処理装置12は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23、キーボードとマウス等の入力装置24、ネットワークに接続されるネットワークI/F(InterFace)25、及び各テープドライブ18が接続される外部I/F26を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、ディスプレイ23、入力装置24、ネットワークI/F25、及び外部I/F26は、バス27に接続される。CPU20は、プロセッサの一例である。
【0025】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、情報処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から情報処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した情報処理プログラム30を実行する。
【0026】
ところで、本実施形態に係る情報処理装置12は、ユーザ端末等の外部装置から送信されたデータ及びメタデータを受信する。この外部装置からのデータの送信には、例えば、情報処理システム10から提供されるHTTP(Hypertext Transfer Protocol) API(Application Programming Interface)が使用される。この場合、例えば、ユーザが送信対象とするデータはHTTPのbody部分に含まれ、そのデータに関するメタデータはHTTPのheader部分に含まれる。情報処理装置12は、受信したデータ及びメタデータを対応付けたオブジェクトを記憶部22に格納する。情報処理装置12は、記憶部22に格納された1つ以上のオブジェクトに基づいてパックドオブジェクトを生成し、生成したパックドオブジェクトを記憶部22に格納する。記憶部22には、このように生成されるパックドオブジェクトが順次格納される。
【0027】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の機能的な構成について説明する。図5に示すように、情報処理装置12は、分類部40、実行部42、生成部44、及び制御部46を含む。CPU20が情報処理プログラム30を実行することにより、分類部40、実行部42、生成部44、及び制御部46として機能する。
【0028】
分類部40は、記憶部22に格納された複数のパックドオブジェクトを、各グループ間のパックドオブジェクトの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類する。本実施形態では、このグループの数を、後述するパリティデータの生成に用いられるデータの数(すなわち、1つのパリティグループにおけるデータの数)と同じ数としている。具体的には、例えば、2つのデータから1つのパリティデータを生成する構成(所謂2D+1Pの構成)の場合、分類部40は、複数のパックドオブジェクトを2つのグループに分類する。
【0029】
図6を参照して、分類部40による分類処理の具体例を説明する。ここでは、説明を分かり易くするために、分類部40による分類処理の対象のパックドオブジェクトが4つであり、それぞれのパックドオブジェクトのサイズが1GB、2GB、3GB、4GBである場合を例に説明する。また、ここでは、グループの数が2つである場合を例に説明する。
【0030】
図6に示すように、この例では、分類部40は、1GBのパックドオブジェクトと4GBのパックドオブジェクトとを第1のグループに分類し、2GBのパックドオブジェクトと3GBのパックドオブジェクトとを第2のグループに分類する。これにより、各グループ間のパックドオブジェクトの総サイズの差が一定の範囲内に収まる。図6では、パックドオブジェクトを「PO」と表記し、括弧内の数字がパックドオブジェクトのサイズを表している。分類部40による分類処理は、例えば、各グループにおけるパックドオブジェクトの組合せを組合せ最適化問題として定式化し、定式化した組合せ最適化問題を求解することによって行われる。
【0031】
実行部42は、分類部40により複数のグループに分類された複数のパックドオブジェクトの総サイズを同一サイズにする処理を実行する。本実施形態では、一例として図7に示すように、実行部42は、パックドオブジェクトの総サイズが最大のグループ以外のグループに対してダミーデータを付加することにより各グループのパックドオブジェクトの総サイズを同一サイズにする処理(以下、「ダミーデータ付加処理」という)を実行する。ダミーデータの例としては、0でパディングされたデータ、又は1でパディングされたデータ等が挙げられる。また、ダミーデータは、0と1とが交互に繰り返されるデータ等の特定の規則によって0と1とが並べられたビット列で表されるデータでもよい。図7では、パックドオブジェクトを「PO」と表記し、ダミーデータを「ダミー」と表記している。また、図7では、各矩形の横の長さが、その矩形のデータサイズを表している。これらの表記ルールは、後述する図8及び図9でも同様である。このダミーデータ付加処理は、各グループに分類された複数のパックドオブジェクトを1つの論理的なパックドオブジェクトとして取り扱う処理とも言える。すなわち、このダミーデータ付加処理は、論理的なパックドオブジェクトのサイズが最大のグループ以外のグループの論理的なパックドオブジェクトに対してダミーデータを付加することにより各グループの論理的なパックドオブジェクトのサイズを同一サイズにする処理とも言える。
【0032】
生成部44は、実行部42により総サイズが同一サイズにされた複数のグループそれぞれの複数のパックドオブジェクトを用いてパリティデータを生成する。本実施形態では、一例として図8に示すように、実行部42によるダミーデータ付加処理の実行後の2つのグループの複数のパックドオブジェクトから、2つのグループそれぞれのパックドオブジェクトの総サイズと同一サイズの1つのパリティデータを生成する。本実施形態に係るパリティデータは、2つのグループのパックドオブジェクトのうちの1つのグループのパックドオブジェクトが失われても、その1つのグループのパックドオブジェクトを残りの1つのグループのパックドオブジェクトとパリティデータとから復元可能な冗長符号である。
【0033】
制御部46は、実行部42により総サイズが同一サイズにされた各グループの複数のパックドオブジェクト及びパリティデータを磁気テープTに記録する制御を行う。本実施形態では、一例として図9に示すように、制御部46は、グループの数及びパリティデータの数の合計値と同じ本数の磁気テープTに各グループの複数のパックドオブジェクト及びパリティデータを分散して記録する制御を行う。これにより、1本の磁気テープTが使用不可能になった場合でも、残りの2本の磁気テープTに記録されたパックドオブジェクト及びパリティデータから、使用不可能になった1本の磁気テープTに記録されたパックドオブジェクトを復元することができる。なお、制御部46は、グループの数及びパリティデータの数の合計値を、一度に使用可能なテープドライブ18の数以下に設定することによって、上記制御を並列に行うことも可能である。
【0034】
本実施形態では、制御部46は、上記制御を行う場合、パックドオブジェクト及びそのパックドオブジェクトに付加されたダミーデータのうち、パックドオブジェクトのみを磁気テープTに記録する制御を行う。これにより、磁気テープTにダミーデータが記録されることによる磁気テープTの実効容量の低下を抑制することができる。
【0035】
制御部46は、この制御を行った場合で、かつ2つのグループのパックドオブジェクトのうちの1つのグループのパックドオブジェクトが失われた場合、パリティデータのサイズに一致するように、残りの1つのグループのパックドオブジェクトにダミーデータを付加する。これにより、ダミーデータが付加された1つのグループのパックドオブジェクト及びパリティデータから失われた1つのグループのパックドオブジェクトを復元することができる。
【0036】
なお、制御部46は、上記制御を行う場合、ダミーデータも磁気テープTに記録する制御を行ってもよい。この場合、上記のパックドオブジェクトの復元時のダミーデータの付加処理は不要となる。
【0037】
次に、図10を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の作用を説明する。CPU20が情報処理プログラム30を実行することによって、図10に示すデータ記録処理が実行される。図10に示すデータ記録処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力装置24を介して入力された場合、又は所定数以上のパックドオブジェクトが記憶部22に格納された場合等に実行される。
【0038】
図10のステップS10で、分類部40は、前述したように、記憶部22に格納された複数のパックドオブジェクトを、各グループ間のパックドオブジェクトの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のグループに分類する。ステップS12で、実行部42は、前述したように、ステップS10で複数のグループに分類された複数のパックドオブジェクトに基づいて、ダミーデータ付加処理を実行する。
【0039】
ステップS14で、生成部44は、前述したように、ステップS12で総サイズが同一サイズにされた複数のグループそれぞれの複数のパックドオブジェクトを用いてパリティデータを生成する。ステップS16で、制御部46は、前述したように、ステップS14で総サイズが同一サイズにされた各グループの複数のパックドオブジェクト及びパリティデータを磁気テープTに記録する制御を行う。ステップS16の処理が終了すると、データ記録処理が終了する。
【0040】
ここで比較例として、サイズが1GB、2GB、3GB、4GBの4つのパックドオブジェクトがこの順番に生成され、かつ2つのパックドオブジェクトからパリティデータが生成される場合を例に説明する。
【0041】
この場合に、例えば、パックドオブジェクトが生成された順番に2つのパックドオブジェクトからパリティデータが生成される場合、1GBのパックドオブジェクト及び2GBのパックドオブジェクトからパリティデータが生成される。具体的には、1GBのパックドオブジェクトに1GBのダミーデータが付加されたうえで、2GBのパリティデータが生成される。
【0042】
更に、この場合、3GBのパックドオブジェクト及び4Gのパックドオブジェクトからパリティデータが生成される。具体的には、3GBのパックドオブジェクトに1GBのダミーデータが付加されたうえで、4GBのパリティデータが生成される。すなわち、この例では、磁気テープTに記録されるパリティデータのサイズは6(=2+4)GBとなり、パックドオブジェクトとパリティデータとを合わせた全データの総サイズは、16(=1+2+3+4+6)GBとなる。
【0043】
これに対し、本実施形態では、前述したように、1GBのパックドオブジェクトと4GBのパックドオブジェクトとが第1のグループに分類され、2GBのパックドオブジェクトと3GBのパックドオブジェクトとが第2のグループに分類される。そして、第1のグループのパックドオブジェクトと第2のグループのパックドオブジェクトとからパリティデータが生成される。すなわち、本実施形態では、磁気テープTに記録されるパリティデータのサイズは5GBとなり、パックドオブジェクトとパリティデータとを合わせた全データの総サイズは、15(=1+2+3+4+5)GBとなる。
【0044】
従って、本実施形態によれば、磁気テープTに記録される全データの総サイズに占めるパリティデータの総サイズの割合を低減することができる。
【0045】
なお、上記実施形態において、分類部40は、更に、各グループ間のパックドオブジェクトの圧縮率の差が一定の範囲内に収まるように複数のパックドオブジェクトを複数のグループに分類してもよい。具体的には、分類部40は、各グループ間のパックドオブジェクトの総サイズの差が一定の範囲内に収まるように複数のパックドオブジェクトを複数のグループに分類する組合せが複数組存在する場合、その複数組の中から各グループ間のパックドオブジェクトの圧縮率の差が一定の範囲内に収まる組合せを選択する。磁気テープTに記録されるパックドオブジェクトは、テープドライブ18により圧縮される。従って、この場合、磁気テープTに記録済みのパックドオブジェクトのグループ間のサイズのばらつきを抑制することができる。
【0046】
また、上記実施形態において、分類部40は、更に、各グループ間のパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数の差が一定の範囲内に収まるように複数のパックドオブジェクトを複数のグループに分類してもよい。具体的には、分類部40は、上記組合せが複数組存在する場合、その複数組の中から各グループ間のパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数の差が一定の範囲内に収まる組合せを選択する。
【0047】
また、上記実施形態において、分類部40は、更に、各グループのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数が閾値以下となるように複数のパックドオブジェクトを複数のグループに分類してもよい。具体的には、分類部40は、上記組合せが複数組存在する場合、その複数組の中から各グループのパックドオブジェクトに含まれるオブジェクトの総数が閾値以下となる組合せを選択する。
【0048】
また、上記実施形態において、分類部40は、更に、一定の期間内に読み取られる可能性を表す指標値が閾値以上の複数のパックドオブジェクトを同じグループに分類してもよい。具体的には、分類部40は、アクセスログ等のパックドオブジェクトに対する読み取り履歴のデータを用いて、一定の期間内(例えば、1分以内)に複数のパックドオブジェクトが読み取られた頻度を導出し、導出した頻度をその複数のパックドオブジェクトの上記指標値として用いる。
【0049】
また、上記実施形態において、分類部40は、更に、各グループのパックドオブジェクトの総サイズが閾値以下となるように複数のパックドオブジェクトを複数のグループに分類してもよい。具体的には、分類部40は、上記組合せが複数組存在する場合、その複数組の中から各グループのパックドオブジェクトの総サイズが閾値以下となる組合せを選択する。また、分類部40は、この形態例において、閾値を動的に変更してもよい。この場合、例えば、分類部40は、磁気テープTへの記録対象のデータ及び磁気テープTから読み取られたデータが一時的に格納される記憶領域(例えば、記憶部22)の空き容量が少ないほど、閾値を小さい値に設定する。
【0050】
また、上記実施形態では、開示の技術をオブジェクトストレージシステムに適用した場合について説明したが、これに限定されない。開示の技術を、データをファイル単位で取り扱うファイルストレージシステムに適用する形態としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、例えば、分類部40、実行部42、生成部44、及び制御部46といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0052】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0053】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0054】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0055】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 情報処理システム
12 情報処理装置
14 テープライブラリ
18 テープドライブ
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 ディスプレイ
24 入力装置
25 ネットワークI/F
26 外部I/F
27 バス
30 情報処理プログラム
40 分類部
42 実行部
44 生成部
46 制御部
T 磁気テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10