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特開2024-35551照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置
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  • 特開-照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035551
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
G01J1/42 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140079
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直行
(72)【発明者】
【氏名】丸山 悠
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 美希
(72)【発明者】
【氏名】平手 小太郎
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA02
2G065BA05
2G065BC13
2G065BC14
2G065BC35
2G065BD03
(57)【要約】
【課題】照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置を提供する。
【解決手段】まず、照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像83を取得する。次に、第1輝度画像中の複数の座標において、評価値を計算する。そして、算出された評価値に基づいて評価画像84を作成する。評価値は、座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、算出される。この評価値は、人間が感じる明るさと相関をもつ。このため、当該評価値に基づいて作成された評価画像84を用いることにより、照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間を評価する照明空間評価方法であって、
a)前記照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、
b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、
を有し、
前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する、照明空間評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の照明空間評価方法であって、
前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、
前記工程b)では、前記座標毎に、前記対数値を前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する、照明空間評価方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明空間評価方法であって、
前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、
前記工程b)では、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する、照明空間評価方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の照明空間評価方法であって、
c)前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する工程と、
d)前記工程c)において調整された前記評価画像から、前記工程b)の逆算により、第2輝度画像を作成する工程と、
をさらに有する、照明空間評価方法。
【請求項5】
請求項4に記載の照明空間評価方法であって、
e)第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う工程
をさらに有する、照明空間評価方法。
【請求項6】
情報処理装置にインストールされて、前記情報処理装置に、
a)照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、
b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、
を実行させる照明空間評価プログラムであって、
前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する、照明空間評価プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の照明空間評価プログラムであって、
前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、
前記工程b)では、前記座標毎に、前記対数値を前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する、照明空間評価プログラム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の照明空間評価プログラムであって、
前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、
前記工程b)では、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する、照明空間評価プログラム。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載の照明空間評価プログラムであって、
前記情報処理装置に、
c)前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する工程と、
d)前記工程c)において調整された前記評価画像から、前記工程b)の逆算により、第2輝度画像を作成する工程
をさらに実行させる、照明空間評価プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の照明空間評価プログラムであって、
前記情報処理装置に、
e)第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う工程
をさらに実行させる、照明空間評価プログラム。
【請求項11】
情報処理装置を備えた照明空間評価装置であって、
前記情報処理装置にインストールされたプログラムにより、
照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する第1輝度画像取得部と、
前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する評価画像作成部と、
の各機能を実現し、
前記評価画像作成部は、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する、照明空間評価装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明空間評価装置であって、
前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、
前記評価画像作成部は、前記座標毎に、前記対数値を、前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する、照明空間評価装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の照明空間評価装置であって、
前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、
前記評価画像作成部は、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する、照明空間評価装置。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載の照明空間評価装置であって、
前記プログラムにより、
前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する評価値調整部と、
前記評価値調整部により調整された前記評価画像から、前記評価画像作成部の逆算により、第2輝度画像を作成する第2輝度画像作成部と、
の各機能をさらに実現する、照明空間評価装置。
【請求項15】
請求項14に記載の照明空間評価装置であって、
前記プログラムにより、
第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う照明設計部
の機能をさらに実現する、照明空間評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明空間を評価する照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明空間の設計においては、「照度」を用いて明るさを評価することが一般的であった。しかしながら、照度は、受光面の単位面積あたりに入射する光の量を示すものであるため、照度による評価と、照明空間に対して人間が感じる明るさとは、必ずしも一致しない。
【0003】
特に、近年では、LED照明器具の普及により、空間に対する光の照射方法が多様化している。このため、照度だけでは、照明空間の明るさを適切に評価することが難しくなっている。また、照明器具の消費電力を抑えつつ、必要な明るさを確保したいという要求も高まっている。
【0004】
そこで、近年、人間が感じる明るさの指標を用いて、照明空間を評価することが検討されている。例えば、特許文献1には、照明空間から人間が受ける明るさの印象を表した「明るさ感」という指標を用いて、照明空間を評価することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-169607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、照明空間の全体に対して1つの「明るさ感」を算出している。このため、特許文献1の「明るさ感」は、照明空間の一部の領域の明るさを評価することには適していない。例えば、店舗などにおいて、照明空間の特定の領域を効果的に演出したいような場合には、照明空間に含まれる特定の領域と他の領域とが、それぞれ適切な明るさになっているかどうかを評価する必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の観点による発明は、情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間を評価する照明空間評価方法であって、a)前記照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、を有し、前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0009】
また、本願の第2の観点による発明は、情報処理装置にインストールされて、前記情報処理装置に、a)照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、を実行させる照明空間評価プログラムであって、前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0010】
また、本願の第3の観点による発明は、情報処理装置を備えた照明空間評価装置であって、前記情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する第1輝度画像取得部と、前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する評価画像作成部と、の各機能を実現し、前記評価画像作成部は、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を座標毎に計算し、当該評価値に基づいて評価画像を作成する。このため、作成された評価画像を用いることにより、照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】照明空間評価方法を実現するためのシステム構成の例を示した図である。
図2】撮影画像の例を示した図である。
図3】第1輝度画像の例を示した図である。
図4】人間が感じる明るさの分布を表す評価画像の例を示した図である。
図5】評価値と明るさ値の関係を示した図である。
図6】評価値と人間が感じる明るさとの関係を調べた実験結果を示した図である。
図7】第2評価画像の例を示した図である。
図8】照明空間評価方法の実行手順を示したフローチャートである。
図9】人間が感じるまぶしさの分布を表す評価画像の例を示した図である。
図10】評価値と、明るさ値と、まぶしさ値の関係を示した図である。
図11】評価値と人間が感じるまぶしさとの関係を調べた実験結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<1.照明空間評価装置の構成について>
図1は、本発明の一実施形態に係る照明空間評価装置100のシステム構成を示した図である。図1の照明空間評価装置100は、「情報処理装置」の一例であるコンピュータ1を備える。コンピュータ1には、例えば、汎用のパーソナルコンピュータを適用することができる。図1に示すように、コンピュータ1は、コンピュータ本体10と、表示部20と、入力部30とを有する。表示部20および入力部30は、それぞれ、コンピュータ本体10と電気的に接続されている。
【0015】
コンピュータ本体10は、CPU等の演算処理部(図示省略)、RAM等のメモリ(図示省略)、およびハードディスクドライブ等の記憶部11を有する。記憶部11は、図1のように、コンピュータ本体10を構成するハードウエアの一部であってもよく、あるいは、コンピュータ本体10に接続された外付けの記憶装置であってもよい。
【0016】
表示部20は、照明空間評価プログラム9の実行時に、種々の情報を表示するためのデバイスである。表示部20には、例えば、液晶ディスプレイが使用される。入力部30は、コンピュータ本体10に対して種々のコマンドを入力するためのデバイスである。入力部30には、例えば、キーボードやマウスが使用される。ユーザは、表示部20を確認しながら、入力部30を操作して、種々のコマンドをコンピュータ本体10に入力できる。
【0017】
なお、表示部20の機能と、入力部30の機能との双方が、タッチパネル式のディスプレイなどの単一のデバイスにより、実現されていてもよい。
【0018】
照明空間評価プログラム9は、照明空間の設計を補助するためのソフトウエアである。図1に示すように、照明空間評価プログラム9は、CDやDVDなどのコンピュータ1により読み取り可能な記憶媒体90から読み取られて、記憶部11に記憶される。ただし、照明空間評価プログラム9は、ネットワーク経由でコンピュータ本体10にダウンロードされるものであってもよい。また、照明空間評価プログラム9は、記憶部11にプリインストールされていてもよい。
【0019】
照明空間評価プログラム9がコンピュータ本体10にインストールされると、図1中に概念的に示したように、コンピュータ本体10内において、第1輝度画像取得部12、評価画像作成部13、表示出力部14、入力指示部15、評価値調整部16、第2輝度画像作成部17、および照明設計部18の各機能が実現される。コンピュータ本体10は、記憶部11から読み出した照明空間評価プログラム9に従って演算処理を行うことにより、上記の各機能を実行する。
【0020】
第1輝度画像取得部12は、カメラ40により撮影された撮影画像82を、第1輝度画像83に変換する。図2は、撮影画像82の例を示した図である。図3は、第1輝度画像83の例を示した図である。第1輝度画像83は、座標毎に(すなわち画素毎に)輝度値Lが規定された画像である。第1輝度画像83は、撮影位置から見たときの照明空間の輝度分布を示す画像となる。なお、第1輝度画像取得部12は、建築物を設計するための設計ソフトにより作成された照明空間のCADデータ81から、輝度の情報を抽出することにより、第1輝度画像83を生成してもよい。
【0021】
評価画像作成部13は、第1輝度画像83に基づいて第1評価画像84を作成する。図4は、第1評価画像84の例を示した図である。第1評価画像84は、照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した画像である。評価画像作成部13は、第1輝度画像83の各画素の輝度値Lを、次の変換式(1)により、評価値xに変換する。この変換式(1)は、後述する図3の実験結果に基づいて導き出されたものである。
x=(logL)/σ ・・・(1)
【0022】
上記の変換式(1)において、logLは、輝度値Lの常用対数値を表す。また、上記の変換式(1)において、σは、第1輝度画像83におけるlogLの標準偏差を表す。すなわち、評価値xは、輝度値Lの常用対数値logLを、第1輝度画像83における輝度値Lの常用対数値logLの標準偏差σで除算した値となる。評価画像作成部13は、このような評価値xを、座標毎に算出する。
【0023】
また、評価画像作成部13は、算出された評価値xを反映した明るさ値yを、座標毎に算出する。図5は、評価値xと明るさ値yの関係を示した図である。図5に示すように、評価画像作成部13は、評価値xを、予め設定された範囲の値に変換することにより、明るさ値yを算出する。図5の例では、評価値xが、1~7の範囲の値である明るさ値yに変換される。明るさ値yは、7が「とても明るい」、6が「明るい」、5が「やや明るい」、4が「どちらでもない」、3が「やや暗い」、2が「暗い」、1が「とても暗い」と人間が感じることを表す。表示部20に第1評価画像84を表示するときには、図4のように、明るさ値yの階調が凡例として表示される。
【0024】
図6は、上述した評価値xと、人間が感じる明るさとの関係を調べた結果を示した図である。図6の横軸は、評価値xを示している。図6の縦軸は、人間が感じる明るさの程度を示した図である。図6の実験では、20人の被験者に、照明空間の複数の位置について、自身が感じる明るさを申告してもらい、輝度値Lに基づいて算出される評価値xと、被験者が感じる明るさとの関係をプロットした。
【0025】
図6に示した評価値xの範囲では、評価値xと、人間が感じる明るさの程度とは、リニアな相関関係(比例関係)を有している。具体的には、人間が感じる明るさの程度が高い(明るい)箇所ほど、評価値xも高くなっている。したがって、評価値xは、人間が感じる明るさと相関をもつ指標として、使用できることが分かる。本発明者は、様々な変換式について図6と同様の実験を行い、それらの結果から、人間が感じる明るさと強い相関をもつ評価値xを算出可能な変換式(1)を導き出した。
【0026】
評価画像作成部13は、このような評価値xおよび明るさ値yを、座標毎に算出する。そして、評価画像作成部13は、各座標の画素値に明るさ値yを適用することによって、第1評価画像84を作成する。これにより、照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した第1評価画像84を得ることができる。
【0027】
表示出力部14は、表示部20に対して、照明空間評価プログラム9に関連する種々の情報を出力する。上述した第1輝度画像83および第1評価画像84が作成されると、表示出力部14は、作成された第1輝度画像83および第1評価画像84を、表示部20に表示する。また、表示出力部14は、輝度値L、評価値x、明るさ値yなどの情報や、各種コマンドを実行するためのボタン等を、表示部20に表示する。
【0028】
入力指示部15は、入力部30からの入力信号に基づいて、コンピュータ本体10内の各機能に動作指示を与える。第1輝度画像取得部12、評価画像作成部13、表示出力部14、評価値調整部16、第2輝度画像作成部17、および照明設計部18は、上述した照明空間評価プログラム9と、入力指示部15からの動作指示とに従って、各々の機能を実行する。
【0029】
評価値調整部16は、第1評価画像84の全体または一部分の座標の評価値を調整する。具体的には、評価値調整部16は、入力指示部15からの動作指示に基づき、第1評価画像84中の指定された領域の明るさ値yを増加または減少させる。これにより、調整後の評価画像である第2評価画像85が生成される。図7は、第2評価画像85の例を示した図である。また、評価値調整部16は、調整された座標の評価値xを、変更後の明るさ値yに対応する評価値xに変更する。
【0030】
第2輝度画像作成部17は、評価値調整部16により調整された第2評価画像85に基づいて、第2輝度画像86を作成する。第2輝度画像作成部17は、第2評価画像85の各画素の評価値xに基づいて、各画素の輝度値Lを算出する。上述した変換式(1)は、輝度値Lに対して評価値xが一意に決まる可逆計算式である。このため、第2輝度画像作成部17は、変換式(1)の逆算を行うことにより、各画素の輝度値Lを算出することができる。そして、第2輝度画像作成部17は、各座標の画素値に、算出された輝度値Lを適用することによって、第2輝度画像86を作成する。
【0031】
照明設計部18は、第2輝度画像86に基づいて、照明空間の設計の支援を行う。具体的には、照明設計部18は、第1輝度画像83と第2輝度画像86の差分に基づいて、照明空間に配置される照明器具の調光率の調整を行う。例えば、第2輝度画像86のある領域の輝度値Lが、第1輝度画像83の当該領域の輝度値Lよりも大きい場合、当該領域を照らす照明器具の調光率を上げる。反対に、第2輝度画像86のある領域の輝度値Lが、第1輝度画像83の当該領域の輝度値Lよりも小さい場合、当該領域を照らす照明器具の調光率を下げる。
【0032】
また、照明設計部18は、第2輝度画像86に基づいて、照明空間に配置される照明器具の選定を行ってもよい。例えば、照明設計部18は、第2輝度画像86に基づいて、条件を満たす照明器具のスペックや、照明器具の候補を、表示部20に表示してもよい。また、照明設計部18は、予め登録された照明器具のリストから、第2輝度画像82の条件に合致する照明器具を自動的に選択してもよい。
【0033】
<2.照明空間評価方法の実行手順について>
続いて、図1のシステムにおける照明空間評価方法の実行手順について、図8のフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0034】
本実施形態の照明空間評価方法を実行するときには、まず、コンピュータ本体10が、記憶部11に記憶された照明空間評価プログラム9を起動させる(ステップS1)。具体的には、ユーザが、表示部20を参照しながら、入力部30を操作することにより、コンピュータ本体10に、照明空間評価プログラム9の起動指示を与える。照明空間評価プログラム9が起動すると、図1に示した第1輝度画像取得部12、評価画像作成部13、表示出力部14、入力指示部15、評価値調整部16、第2輝度画像作成部17、および照明設計部18の各機能が能動化される。
【0035】
照明空間評価プログラム9の起動後、ユーザが、入力部30において所定の操作を行うと、第1輝度画像取得部12は、第1輝度画像83を取得する(ステップS2)。第1輝度画像83は、評価対象となる照明空間の輝度分布を示す画像である。第1輝度画像取得部12は、カメラ40により撮影された撮影画像82またはCADデータ81に基づいて、第1輝度画像83を生成する。そして、表示出力部14が、生成された第1輝度画像83を、表示部20に表示する。
【0036】
次に、評価画像作成部13が、第1輝度画像83に基づいて、第1評価画像84を作成する(ステップS3)。具体的には、評価画像作成部13は、第1輝度画像83中の各座標の輝度値Lを、上述した変換式(1)に代入することにより、各座標の評価値xを算出する。また、評価画像作成部13は、図5の対応関係に基づいて、座標毎に、算出された評価値xに対応する明るさ値yを決定する。そして、評価画像作成部13は、各座標の画素値に明るさ値yを適用することにより、第1評価画像84を作成する。
【0037】
第1評価画像84が作成されると、表示出力部14は、作成された第1評価画像84を、表示部20に表示する。これにより、ユーザは、照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した第1評価画像84を、視覚的に確認することができる。特に、この第1評価画像84によれば、照明空間全体の明るさだけではなく、第1評価画像84中の各座標の明るさ値yに基づいて、照明空間中の局所的な位置に対して人間が感じる明るさを評価することができる。
【0038】
続いて、ユーザは、表示部20に表示された第1評価画像84により示される明るさの分布が、照明空間の設計上適切であるか否かを判断する(ステップS4)。そして、明るさの分布が適切であると判断した場合(ステップS4:Yes)、照明空間の評価を終了する。
【0039】
一方、明るさの分布が適切でないと判断した場合(ステップS4:No)、ユーザは、入力部30を操作することにより、コンピュータ本体10に、第1評価画像84の調整指示を与える。具体的には、ユーザは、表示部20に表示された第1評価画像84を確認しながら、入力部30を操作して、第1評価画像84の調整すべき領域と、調整値とを指定する。すると、評価値調整部16は、指定された領域の各座標の明るさ値yを、指定された調整値に応じて、変更後の明るさ値yに変更する。これにより、明るさ値yが調整された第2評価画像85が得られる。そして、評価値調整部16は、当該座標の評価値xを、変更後の明るさ値yに対応する評価値xに変更する(ステップS5)。
【0040】
なお、明るさ値yおよび評価値xを調整する領域は、第1評価画像84の一部分であってもよく、第1評価画像84の全体であってもよい。例えば、上述した調整値は、第1評価画像84の全体における明るさ値yの平均値であってもよい。その場合、評価値調整部16は、第1評価画像84の全体の明るさ値yを一律に増加または減少させることにより、第1評価画像84における明るさ値yの平均値を変化させる。また、上述した調整値は、明るさ画像84における視対象となる一部分の明るさ値yであってもよい。その場合、評価値調整部16は、第1評価画像84の視対象となる一部分の明るさ値yを増加または減少させる。図7の例では、評価画像中の一部分Aの明るさ値yのみが変更されている。また、上述した調整値は、第1評価画像84における明るさ値yの標準偏差であってもよい。その場合、評価値調整部16は、明るさ値yのばらつきを変化させることにより、第1評価画像84における明るさ値yの標準偏差を変化させる。
【0041】
続いて、第2輝度画像作成部17は、ステップS5で生成された第2評価画像85に基づいて、第2輝度画像86を作成する(ステップS6)。ここでは、第2輝度画像作成部17が、第2評価画像85の各画素の評価値xを、上述した変換式(1)に代入して逆算を行うことにより、各画素の輝度値Lを算出する。そして、第2輝度画像作成部17は、各座標の画素値に、算出された輝度値Lを適用することによって、第2輝度画像86を作成する。
【0042】
第2輝度画像86が作成されると、表示出力部14は、作成された第2輝度画像86を、表示部20に表示する。上記のように、第2輝度画像86は、明るさ値yが調整された第2評価画像85に基づいて作成される。したがって、第2輝度画像86は、人間が感じる明るさの分布が適正化された照明空間の輝度値Lの画像となる。ユーザは、表示部20に表示された第2輝度画像86を確認することにより、人間にとって適切な明るさの分布をもつ照明空間の設計を行うことができる。
【0043】
その後、照明設計部18が、第2輝度画像86に基づいて、照明空間に配置される照明器具の調光率の調整を行う(ステップS7)。具体的には、照明設計部18は、照明空間の輝度分布が、第1輝度画像83の状態から、第2輝度画像86の状態に近づくように、照明器具の調光率の変更を提案する。そして、表示出力部14は、照明設計部18により提案された調光率を、表示部20に表示する。これにより、ユーザは、表示部20に表示された調光率の提案に基づいて、人間にとって適切な照明空間の設計を、容易に行うことができる。
【0044】
なお、コンピュータ1が、調光可能な照明器具と接続されている場合、照明設計部18は、照明器具の調光率を直接調整してもよい。また、照明設計部18は、第2輝度画像86に基づいて、適切な照明器具を選定し、表示部20に、照明器具の交換、追加、または削除の提案を行ってもよい。その場合、ユーザは、表示部20に表示された照明器具の交換、追加、または削除の提案に基づいて、人間にとって適切な照明空間の設計を、容易に行うことができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の照明空間評価方法では、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値xを座標毎に計算し、当該評価値xに基づいて第1評価画像84を作成する。このため、作成された第1評価画像84を用いることにより、照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる。また、照明空間の各位置において、人間が適切と感じる明るさを知ることができるため、過剰な照明を抑えて、照明器具の消費電力を抑えることができる。
【0046】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
<3-1.第1変形例>
上記の実施形態では、評価画像作成部13が、照明空間において人間が感じる「明るさ」の分布を表す第1評価画像84を作成していた。しかしながら、評価画像作成部13は、照明空間において人間が感じる「まぶしさ」の分布を表す第1評価画像84を作成してもよい。図9は、人間が感じるまぶしさの分布を表す第1評価画像84の例を示した図である。
【0048】
この場合においても、評価画像作成部13は、まず、上述した変換式(1)により、各画素の評価値xを算出する。そして、評価画像作成部13は、算出された評価値xを反映したまぶしさ値zを、座標毎に算出する。
【0049】
図10は、評価値xと、明るさ値yと、まぶしさ値zの関係を示した図である。図10に示すように、評価画像作成部13は、評価値xを、予め設定された範囲の値に変換することにより、まぶしさ値zを算出する。図10の例では、評価値xが、1~4の範囲の値であるまぶしさ値zに変換される。まぶしさ値zは、4が「とてもまぶしい」、3が「まぶしい」、2が「ややまぶしい」、1が「まぶしくない」と人間が感じることを表す。表示部20に第1評価画像84を表示するときには、図9のように、まぶしさ値zの階調が凡例として表示される。
【0050】
図11は、上述した評価値xと、人間が感じるまぶしさとの関係を調べた結果を示した図である。図11の横軸は、評価値xを示している。図11の縦軸は、人間が感じるまぶしさの程度を示した図である。図11の実験では、20人の被験者に、照明空間の複数の位置について、自身が感じるまぶしさを申告してもらい、輝度値Lに基づいて算出される評価値xと、被験者が感じるまぶしさとの関係をプロットした。
【0051】
図11に示した評価値xの範囲では、評価値xと、人間が感じるまぶしさの程度とは、リニアな相関関係(比例関係)を有している。具体的には、人間が感じるまぶしさの程度が高い(まぶしい)箇所ほど、評価値xも高くなっている。したがって、評価値xは、人間が感じるまぶしさと相関をもつ指標として、使用できることが分かる。
【0052】
評価画像作成部13は、このような評価値xおよびまぶしさ値zを、座標毎に算出する。そして、評価画像作成部13は、各座標の画素値にまぶしさ値zを適用することによって、第1評価画像84を作成する。これにより、照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した第1評価画像84を得ることができる。
【0053】
図6および図11の実験から、上述した変換式(1)により算出される評価値xは、人間が感じる「明るさ」と、人間が感じる「まぶしさ」のどちらの指標としても使用できることが分かった。このため、評価画像作成部13は、1種類の評価値xに基づいて、人間が感じる明るさの分布を表す第1評価画像84と、人間が感じるまぶしさの分布を表す第1評価画像84とを、作成することができる。すなわち、評価画像作成部13は、第1評価画像84の種類に応じて異なる種類の評価値を算出する必要がない。これにより、照明空間の評価を効率よく行うことができる。
【0054】
<3-2.第2変形例>
上記の実施形態では、評価画像作成部13は、輝度値Lの常用対数値logLを、輝度値Lの常用対数値logLの標準偏差σで除算することにより、評価値xを算出していた。しかしながら、標準偏差σに代えて、分散σを使用してもよい。すなわち、評価画像作成部13は、次の変換式(2)のように、輝度値Lの常用対数値logLを、輝度値Lの常用対数値logLの分散σで除算することにより、評価値xを算出してもよい。
x=(logL)/σ ・・・(2)
【0055】
ただし、分散σを使用する場合よりも、標準偏差σを使用する方が、図6および図11のように、人間が感じる明るさまたはまぶしさと、リニアな相関関係を有する評価値xを得ることができる。したがって、標準偏差σを使用する方が、人間の感覚により近い第1評価画像84を作成しやすい。
【0056】
<3-3.第3変形例>
評価画像作成部13は、次の変換式(3)~(6)のいずれかにより、評価値xを算出してもよい。
x=(logL)×e^変動係数 ・・・(3)
x=(logL)×e^σ ・・・(4)
x=(logL)×10^変動係数 ・・・(5)
x=(logL)×10^σ ・・・(6)
【0057】
上記の変換式(3)~(6)において、logLは、輝度値Lの常用対数値を表す。また、上記の変換式(3)~(6)において、σは、第1輝度画像83におけるlogLの標準偏差を表す。また、上記の変換式(3)~(6)において、変動係数は、σ/log(平均輝度)である。
【0058】
これらの変換式(3)~(6)を使用すれば、特に、第1輝度画像84の平均輝度が高く、かつ、標準偏差σが小さい場合や、あるいは、第1輝度画像84の平均輝度が低く、かつ、標準偏差σが大きい場合に、適切な評価値xを得ることができる。
【0059】
このように、評価値xは、上述した変換式(1),(2)により算出されるものに限らず、輝度値Lの対数値logLと、標準偏差σまたは分散σのような輝度値Lのばらつきを表す統計値と、に基づいて算出されるものであればよい。当該統計値を算出する範囲は、第1輝度画像83の全体であってもよく、第1輝度画像83の一部分であってもよい。また、logLは、輝度値Lの常用対数値に限らず、輝度値Lの自然対数値であってもよい。
<3-4.他の変形例>
【0060】
上記の実施形態では、明るさ値yが、1~7の範囲の値をとるものであった。しかしながら、明るさ値yは、1~7の範囲に限らず、より狭い範囲の値をとるものであってもよいし、より広い範囲の値をとるものであってもよい。
【0061】
また、上記の第1変形例では、まぶしさ値zが、1~4の範囲の値をとるものであった。しかしながら、まぶしさ値zは、1~4の範囲に限らず、より狭い範囲の値をとるものであってもよいし、より広い範囲の値をとるものであってもよい。
【0062】
上記の実施形態では、「情報処理装置」として、コンピュータ本体10、表示部20、および入力部30を有するコンピュータ1を使用していた。しかしながら、本発明における「情報処理装置」は、スマートフォンやタブレット型PCのような携帯情報端末であってもよい。
【0063】
また、照明空間評価プログラム9は、BIM(Building Information Modeling)ソフトのような建築物の設計ソフトに組み込まれて、当該設計ソフトの機能の一部を構成するものであってもよい。
【0064】
また、照明空間評価プログラム9は、複数の照明器具を制御するための制御機器(ゲートウェイ)において動作するものであってもよい。また、照明空間評価プログラム9は、複数の照明器具を制御するための制御機器(ゲートウェイ)と通信可能なコンピュータまたは携帯情報端末において動作するものであってもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、コンピュータ1の第1輝度画像取得部12が、カメラ40により撮影された撮影画像82を、第1輝度画像83に変換していた。しかしながら、カメラ40自体が第1輝度画像83を出力する機能を有していてもよい。その場合、第1輝度画像取得部12は、撮影画像82を第1輝度画像83に変換する機能を有さず、単にカメラ40から第1輝度画像83を取得するものであってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、任意に組み合わせてもよい。
【0067】
<4.発明の抽出>
上記の実施形態および変形例から抽出される発明として、例えば、以下の発明を挙げることができる。
【0068】
第1発明は、情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間を評価する照明空間評価方法であって、a)前記照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、を有し、前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0069】
第2発明は、第1発明の照明空間評価方法であって、前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、前記工程b)では、前記座標毎に、前記対数値を前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する。
【0070】
第3発明は、第1発明または第2発明の照明空間評価方法であって、前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、前記工程b)では、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する。
【0071】
第4発明は、第1発明または第2発明の照明空間評価方法であって、c)前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する工程と、d)前記工程c)において調整された前記評価画像から、前記工程b)の逆算により、第2輝度画像を作成する工程と、をさらに有する。
【0072】
第5発明は、第4発明の照明空間評価方法であって、e)第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う工程をさらに有する。
【0073】
第6発明は、情報処理装置にインストールされて、前記情報処理装置に、a)照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する工程と、b)前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する工程と、を実行させる照明空間評価プログラムであって、前記工程b)では、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0074】
第7発明は、第6発明の照明空間評価プログラムであって、前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、前記工程b)では、前記座標毎に、前記対数値を前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する。
【0075】
第8発明は、第6発明または第7発明の照明空間評価プログラムであって、前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、前記工程b)では、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する。
【0076】
第9発明は、第6発明または第7発明の照明空間評価プログラムであって、前記情報処理装置に、c)前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する工程と、d)前記工程c)において調整された前記評価画像から、前記工程b)の逆算により、第2輝度画像を作成する工程をさらに実行させる。
【0077】
第10発明は、第9発明の照明空間評価プログラムであって、前記情報処理装置に、e)第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う工程をさらに実行させる。
【0078】
第11発明は、情報処理装置を備えた照明空間評価装置であって、前記情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を取得する第1輝度画像取得部と、前記第1輝度画像中の複数の座標において、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を計算し、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じる明るさの分布を表した評価画像を作成する評価画像作成部と、の各機能を実現し、前記評価画像作成部は、前記座標毎に、輝度値の対数値と、輝度値のばらつきを示す統計値とに基づいて、前記評価値を算出する。
【0079】
第12発明は、第11発明の照明空間評価装置であって、前記統計値は、輝度値の対数値の標準偏差であり、前記評価画像作成部は、前記座標毎に、前記対数値を前記標準偏差で除算することにより、前記評価値を算出する。
【0080】
第13発明は、第11発明または第12発明の照明空間評価装置であって、前記評価値は、人間が感じる明るさおよびまぶしさと相関をもち、前記評価画像作成部は、前記評価値に基づいて、前記照明空間において人間が感じるまぶしさの分布を表した評価画像を作成する。
【0081】
第14発明は、第11発明または第12発明の照明空間評価装置であって、前記プログラムにより、前記評価画像の全体または一部分の座標の評価値を調整する評価値調整部と、前記評価値調整部により調整された前記評価画像から、前記評価画像作成部の逆算により、第2輝度画像を作成する第2輝度画像作成部と、の各機能をさらに実現する。
【0082】
第15発明は、第14発明の照明空間評価装置であって、前記プログラムにより、第2輝度画像に基づいて、前記照明空間に配置される照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を行う照明設計部の機能をさらに実現する。
【0083】
第1発明~第15発明によれば、人間が感じる明るさと相関をもつ評価値を座標毎に計算し、当該評価値に基づいて評価画像を作成する。このため、作成された評価画像を用いることにより、照明空間中の各位置に対して人間が感じる明るさを評価できる。
【0084】
特に、第2発明、第7発明、または第12発明によれば、人間が感じる明るさの分布により近い評価画像を作成できる。
【0085】
特に、第3発明、第8発明、または第13発明によれば、評価画像に基づいて、照明空間中の各位置に対して人間が感じるまぶしさを評価できる。また、人間が感じる明るさと、人間が感じるまぶしさとを、1種類の評価値に基づいて評価できる。
【0086】
特に、第4発明、第9発明、または第14発明によれば、調整後の評価画像から作成される第2輝度画像に基づいて、人間が適切と感じる照明空間の設計を行うことができる。
【0087】
特に、第5発明、第10発明、または第15発明によれば、照明器具の調光率の調整または照明器具の選定を、容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 コンピュータ
9 照明空間評価プログラム
10 コンピュータ本体
11 記憶部
12 第1輝度画像取得部
13 評価画像作成部
14 表示出力部
15 入力指示部
16 評価値調整部
17 第2輝度画像作成部
18 照明設計部
20 表示部
30 入力部
40 カメラ
81 CADデータ
82 撮影画像
83 第1輝度画像
84 第1評価画像
85 第2評価画像
86 第2輝度画像
90 記憶媒体
100 照明空間評価装置
L 輝度値
x 評価値
y 明るさ値
z まぶしさ値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11