(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035710
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240307BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20240307BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H04N1/00 002Z
B41J2/52
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140337
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 捷
【テーマコード(参考)】
2C061
2C262
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HK15
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2C262AA24
2C262AB07
2C262AC07
2C262BB03
2C262EA04
2C262FA20
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB22
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】印刷色の色再現を中断することなく制御可能となる情報処理装置、画像形成システム、情報処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記読取画像は、単一のページまたは複数のページの前記読取画像であり、
前記画像検査部は、前記複数のページの前記読取画像の読取中に前記階調特性が補正された場合、前記ページ毎に対応する未反映の前記階調補正量に基づいて、前記ページ毎の前記階調補正量を補償する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像検査部は、前記階調補正量の生成からの経過時間に基づいて前記階調補正量が未反映か否かを判別する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像検査部は、用紙サイズと、片面印刷または両面印刷と、を含むジョブ情報に基づいて、前記階調補正量が未反映か否かを判別する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像検査部は、前記画像形成装置からの補正量反映通知に基づいて、前記階調補正量が未反映か否かを判別する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記階調補正量を断続的に生成する短周期制御モード、および先に生成される前記階調補正量が反映されるまで前記階調補正量を生成しない通常周期制御モードを有し、
前記画像検査部は、前記短周期制御モードに設定された場合に前記階調補正量を断続的に生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記階調補正量と、当該階調補正量が未反映か否かを示す反映情報と、を記憶する記憶部をさらに備え、
前記画像検査部は、前記階調補正量が反映された場合に、前記反映情報を更新し、前記記憶部に記憶される前記階調補正量のうち前記反映情報が未反映であることを示す前記階調補正量に基づいて、前記階調補正量を補償する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記画像検査部は、前記階調補正量の生成を行わず前記階調補正量を前記画像形成装置にフィードバックするフィードバックページと、前記階調補正量を生成する観測ページと、を連続させることで、前記階調補正量を断続的に生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記画像検査部は、
前記印刷画像と前記読取画像との画像差分を算出する画像比較部と、
前記画像差分に基づいて、前記階調補正量を生成する補正量算出部と、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記補正量算出部は、前記階調補正量から未反映の前記階調補正量を差し引いて、前記階調補正量を補償する補正量補償計算部を備える、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
画像データに基づいて印刷画像を印刷する画像形成装置と、
前記印刷画像を読み取る画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部を有する情報処理装置と、
を備える画像形成システム。
【請求項12】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成する工程と、
前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像検査部では、RGBスキャナ(画像読取装置の一例)で観測した印刷画像の観測色と、初期印刷出力時の目標色と、の誤差が最小となる階調補正量を計算(生成)し、画像形成装置の出力階調(印刷色の階調特性)を制御する仕組みを取っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、出力階調の制御開始タイミングは、画像形成装置への階調補正量の反映(補正)後となっており、1度、画像形成装置へ階調補正量を送信すると、当該階調補正量が反映されるまで一定時間制御を実施しない。そのため、その間、紙面上の階調特性変動は観測されることなく、色再現を悪化させる可能性がある。
【0004】
また、上記の制御では、階調補正量の反映された印刷色を観測色として取得しているため、単に、階調補正量の反映前に、誤差を観測して階調補正量の計算を実施するだけでは、適切な階調補正量を計算することが困難である。よって、観測色に未反映分の階調補正量が含まれることを念頭に階調補正量を計算する必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷色の色再現を中断することなく制御可能となる情報処理装置、画像形成システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷色の色再現を中断することなく制御できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像検査部の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する補正量算出部の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する記録部が記憶する補正量反映フラグの管理イメージを示す図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける階調補正量の算出処理の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける階調補正量の算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、画像形成システム、情報処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる画像形成システムは、
図1に示すように、MFP(Multi-Function Peripheral)20と、プリンタサーバ2と、ユーザPC(Personal Computer)1と、を有する。
【0011】
ユーザPC1は、ユーザが利用する端末であり、例えば、画像形成システムに対してユーザが各種操作を入力可能である。プリンタサーバ2は、印刷対象の画像データ等の各種情報を記憶する。
【0012】
MFP20は、プリンタサーバ2に記憶される画像データ、ユーザPC1から送信される画像データ等の印刷対象の画像データを記録媒体(用紙等)に印刷する画像形成装置の一例である。具体的には、MFP20は、画像処理装置3、画像読取装置4、および画像形成装置5を有する。画像処理装置3は、印刷対象の画像データに対して各種の画像処理を実行する。画像読取装置4は、記録媒体に印刷された印刷画像を読み取る画像読取装置の一例である。画像形成装置5は、画像処理装置3により画像処理が実行された画像データを記録媒体に印刷する。
【0013】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像処理装置の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、画像形成システムは、
図2に示すように、1台以上のユーザPC1とプリンタサーバ2とが接続されている。ユーザPC1は、画像形成装置5へ、印刷原稿(印刷対象の画像データ)と印刷要求とを送信する。画像形成装置5で印刷した印刷物6(画像データが印刷された記録媒体)は、画像読取装置4を経て取得される。印刷物6は、画像処理装置3から画像形成装置5に転送される階調補正量により、出力色(印刷色)が一定に制御される。ここで、階調補正量は、印刷対象の画像データの印刷色の階調特性(RGB値等の階調値)の補正量である。
【0014】
具体的には、画像処理装置3は、
図2に示すように、画像処理部7、画像検査部8、および記録部13を有する情報処理装置の一例である。画像処理部7は、ユーザPC1から受信した印刷対象の画像データ(例えば、CMYKの画像データ)に対して各種の画像処理を実行した画像データであるマスタ画像(例えば、RGBの画像データ)を生成し、当該マスタ画像を画像検査部8および画像形成装置5に渡す。
【0015】
画像検査部8は、画像形成装置5によりマスタ画像に基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置4により読み取った読取画像(例えば、RGBの画像データ)に基づいて、印刷画像の印刷色の階調特性(RGB値等の階調値)の補正量(以下、階調補正量という)を断続的に生成する。その際、画像検査部8は、印刷画像の印刷色の階調特性に未反映の階調補正量に基づいて、当該階調補正量を補償(補正)する。これにより、生成(計算)した階調補正量に対して、未反映分の階調補正量を補償する処理を加えることにより、未反映分の階調補正量を考慮し、適切な階調補正量を生成することができるので、印刷色の色再現を中断することなく制御可能となる。
【0016】
ここで、階調補正量を断続的に生成することは、印刷対象の画像データの印刷色の階調特性に対して階調補正量を反映する期間も、階調補正量を生成することである。具体的には、階調補正量を断続的に生成することには、フィードバックページと、観測ページと、を連続させることを含む。また、ここで、フィードバックページは、画像形成装置5において印刷する画像データのページのうち、階調補正量の生成を行わずに、階調補正量を画像形成装置5にフィードバックする期間のページである。また、ここで、観測ページは、画像形成装置5において印刷する画像データのページのうち、階調補正量を生成する期間のページである。これにより、階調補正量の生成を行わず、かつ階調補正量のフィードバックも行わない非観測ページを無くすことができる。
【0017】
また、階調特性の補正に用いる読取画像は、単一のページまたは複数のページの読取画像であっても良い。そして、画像検査部8は、複数のページの読取画像の読取中に階調特性が補正された場合、ページ毎に対応する未反映の階調補正量に基づいて、ページ毎の階調補正量を補償しても良い。
【0018】
また、画像検査部8は、階調補正量の生成からの経過時間に基づいて、階調補正量が未反映か否かを判別しても良い。または、画像検査部8は、記録媒体の用紙サイズと、片面印刷または両面印刷と、を含むジョブ情報に基づいて、階調補正量が未反映か否かを判別しても良い。
【0019】
または、画像検査部8は、画像形成装置5からの補正量反映通知に基づいて、階調補正量が未反映か否かを判別しても良い。ここで、補正量反映通知は、印刷対象の画像データの印刷色の階調特性に階調補正量が反映されたことを通知する。
【0020】
また、MFP20は、階調補正量を断続的に生成する短周期制御モード、および先に生成される階調補正量が反映されるまで新たに階調補正量を生成しない通常周期制御モードを有していても良い。この場合、画像検査部8は、短周期制御モードに設定された場合に、階調補正量を断続的に生成する。
【0021】
記録部13は、画像検査部8により生成される階調補正量を記憶する。具体的には、記録部13は、階調補正量と、反映情報と、を対応付けて記憶する記憶部の一例である。ここで、反映情報は、階調補正量が印刷色(例えば、印刷画像の階調特性)に未反映か否かを示す情報である。言い換えると、反映情報は、階調補正量に基づいて印刷色が補正されたか否かを示す情報である。
【0022】
この場合、画像検査部8は、階調補正量が階調特性に反映された場合に、記録部13に記憶される反映情報を更新し、記録部13に記憶される階調補正量のうち反映情報が未反映であることを示す階調補正量に基づいて、階調補正量を補償しても良い。
【0023】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像検査部の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、画像検査部8は、
図3に示すように、画像比較部9、および補正量算出部11を有する。画像比較部9は、マスタ画像と、読取画像(以下、スキャン画像という)と、の画像差分10を算出する。これにより、画像比較部9は、印刷画像の印刷色の色変動を検知する。補正量算出部11は、画像差分10に基づいて、階調補正量12を生成(算出)する。ここで、画像差分10は、マスタ画像の階調値(例えば、RGB値)と、スキャン画像の階調値(例えば、RGB値)と、の差分であっても良い。
【0024】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する補正量算出部の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、補正量算出部11は、
図4に示すように、補正量計算部16、および補正量補償計算部18を有する。補正量計算部16は、画像差分10に基づいて、暫定補正量17を算出する。ここで、暫定補正量17は、未反映の階調補正量に関わらず、画像差分10に基づいて算出される階調補正量である。補正量補償計算部18は、暫定補正量17から、画像形成装置5において未反映の階調補正量を差し引いた値を階調補正量12(例えば、CMYK値)として算出する。
【0025】
階調補正量12は、画像形成装置5へ送られ、印刷画像の印刷色の補正(反映後色味補正)に用いられる。画像形成装置5では、階調補正量12を反映したタイミングで、画像処理装置3へ、階調補正量を反映したことを通知する補正量反映通知19を送信する。画像処理装置3は、補正量反映通知19を受信し、記録部13に反映情報を記録する。記録部13では、各観測セットで算出した階調補正量12と、その階調補正量12が反映されたか否かを示す反映情報の一例であるフラグ(補正量反映フラグ)と、を対応付けて記憶する。階調補正量12は、各観測セットで当該階調補正量12が算出された際に記録部13に記録される。このときの補正量反映フラグには、階調補正量12が反映されていないことを示す未反映が設定される。また、この補正量反映フラグは、画像処理装置3が補正量反映通知19を受信する度に、階調補正量12が反映されたことを示す反映済に更新される。
【0026】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する記録部が記憶する補正量反映フラグの管理イメージを示す図である。
図6は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける階調補正量の算出処理の一例を説明するための図である。
図6において、縦軸は、印刷色変動(画像差分10)を表し、横軸は、印刷数(観測セット)を表す。ここで、観測セットは、単一のページの読取画像、または複数のページの読取画像である。
【0027】
本実施の形態では、記録部13は、
図5に示すように、観測セットを識別可能とするID(観測画像ID)と、階調補正量12と、補正量反映フラグと、を対応付けて記憶する。
【0028】
補正量補償計算部18は、観測セットSetn-2の階調補正量12を算出する場合、観測セットSetn-2より前の観測セットSetn-3の階調補正量12の補正量反映フラグが反映済みであるため、暫定補正量17を階調補正量12(FBn-2)として算出する。ここで、各観測セットSetnの階調補正量は、画像差分10から、階調補正量の目標値である制御目標値を差し引いた値である。制御目標値は、初期セットの読取画像の階調特性(RGB値等の階調値)であっても良い。また、初期セットは、印刷対象の画像データの印刷前に印刷される基準となる単一または複数のページの画像データであっても良い。
【0029】
また、補正量補償計算部18は、観測セットSetn-1の階調補正量12を算出する場合、観測セットSetn-1より前の観測セットSetn-2の階調補正量12の補正量反映フラグが未反映である。そのため、補正量補償計算部18は、暫定補正量17から未反映の階調補正量12(FBn-2)を差し引いた値を、観測セットSetn-1の階調補正量(FBn-1)として算出する。
【0030】
また、補正量補償計算部18は、観測セットSetnの階調補正量12を算出する場合、観測セットSetnより前の観測セットSetn-2,Setn-1の階調補正量12の補正量反映フラグが未反映である。そのため、補正量補償計算部18は、暫定補正量17から、未反映の階調補正量12(FBn-2,n-1)を差し引いた値を、観測セットSetnの階調補正量(FBn)として算出する。
【0031】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける階調補正量の算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、画像比較部9が、マスタ画像と、スキャン画像と、の画像差分10を算出する(ステップS701)。次いで、補正量計算部16は、画像差分10に基づいて、暫定補正量17(FB
n´)を算出する(ステップS702)。
【0032】
次に、補正量補償計算部18は、記録部13に記憶される各観測セットの補正量反映フラグに基づいて、未反映の階調補正量12(例えば、階調補正量FBn-2,FBn-1)があるか否かを判断する(ステップS703)。未反映の階調補正量12が無い場合(ステップS703:No)、補正量補償計算部18は、暫定補正量17(FBn´)を階調補正量12として算出する(ステップS704)。一方、未反映の階調補正量12が存在する場合(ステップS703:Yes)、補正量補償計算部18は、暫定補正量17から、未反映の階調補正量12(FBn-2,FBn-1)を差し引いた値を、観測セットSetnの階調補正量(FBn)として算出する(ステップS705)。
【0033】
このように、本実施の形態にかかる画像形成システムによれば、生成した階調補正量に対して、未反映分の階調補正量を補償する処理を加えることにより、未反映分の階調補正量を考慮し、適切な階調補正量を生成することができるので、印刷色の色再現を中断することなく制御可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態の画像処理装置3で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像処理装置3で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0035】
さらに、本実施の形態の画像処理装置3で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像処理装置3で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0036】
本実施の形態の画像処理装置3で実行されるプログラムは、上述した各部(画像処理部7、画像検査部8)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像処理部7、画像検査部8が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0037】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置5を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0038】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、
を備える情報処理装置である。
【0039】
<2>前記読取画像は、単一のページまたは複数のページの前記読取画像であり、
前記画像検査部は、前記複数のページの前記読取画像の読取中に前記階調特性が補正された場合、前記ページ毎に対応する未反映の前記階調補正量に基づいて、前記ページ毎の前記階調補正量を補償する、前記<1>に記載の情報処理装置である。
【0040】
<3>前記画像検査部は、前記階調補正量の生成からの経過時間に基づいて前記階調補正量が未反映か否かを判別する、前記<1>または<2>に記載の情報処理装置である。
【0041】
<4>前記画像検査部は、用紙サイズと、片面印刷または両面印刷と、を含むジョブ情報に基づいて、前記階調補正量が未反映か否かを判別する、前記<1>または<2>に記載の情報処理装置である。
【0042】
<5>前記画像検査部は、前記画像形成装置からの補正量反映通知に基づいて、前記階調補正量が未反映か否かを判別する、前記<1>または<2>に記載の情報処理装置である。
【0043】
<6>前記階調補正量を断続的に生成する短周期制御モード、および先に生成される前記階調補正量が反映されるまで前記階調補正量を生成しない通常周期制御モードを有し、
前記画像検査部は、前記短周期制御モードに設定された場合に前記階調補正量を断続的に生成する、前記<1>から<5>のいずれか一に記載の情報処理装置である。
【0044】
<7>前記階調補正量と、当該階調補正量が未反映か否かを示す反映情報と、を記憶する記憶部をさらに備え、
前記画像検査部は、前記階調補正量が反映された場合に、前記反映情報を更新し、前記記憶部に記憶される前記階調補正量のうち前記反映情報が未反映であることを示す前記階調補正量に基づいて、前記階調補正量を補償する、前記<1>から<6>のいずれか一に記載の情報処理装置である。
【0045】
<8>前記画像検査部は、前記階調補正量の生成を行わず前記階調補正量を前記画像形成装置にフィードバックするフィードバックページと、前記階調補正量を生成する観測ページと、を連続させることで、前記階調補正量を断続的に生成する、前記<1>から<7>のいずれか一に記載の情報処理装置である。
【0046】
<9>前記画像検査部は、
前記印刷画像と前記読取画像との画像差分を算出する画像比較部と、
前記画像差分に基づいて、前記階調補正量を生成する補正量算出部と、
を備える前記<1>から<8>のいずれか一に記載の情報処理装置である。
【0047】
<10>前記補正量算出部は、前記階調補正量から未反映の前記階調補正量を差し引いて、前記階調補正量を補償する補正量補償計算部を備える、前記<9>に記載の情報処理装置である。
【0048】
<11>画像データに基づいて印刷画像を印刷する画像形成装置と、
前記印刷画像を読み取る画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部を有する情報処理装置と、
を備える画像形成システムである。
【0049】
<12>情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成する工程と、
前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する工程と、
を含む情報処理方法である。
【0050】
<13>コンピュータを、
画像形成装置により画像データに基づいて印刷された印刷画像を画像読取装置により読み取った読取画像に基づいて、前記印刷画像の印刷色の階調特性の階調補正量を断続的に生成し、前記階調特性に未反映の前記階調補正量に基づいて、生成した前記階調補正量を補償する画像検査部、
して機能させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0051】
1 ユーザPC
2 プリンタサーバ
3 画像処理装置
4 画像読取装置
5 画像形成装置
7 画像処理部
8 画像検査部
9 画像比較部
11 補正量算出部
13 記録部
16 補正量計算部
18 補正量補償計算部
20 MFP
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】