IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

<>
  • 特開-送信装置及びプログラム 図1
  • 特開-送信装置及びプログラム 図2
  • 特開-送信装置及びプログラム 図3
  • 特開-送信装置及びプログラム 図4
  • 特開-送信装置及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035737
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】送信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/19 20060101AFI20240307BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20240307BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20240307BHJP
   H04W 4/90 20180101ALI20240307BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20240307BHJP
   H04N 21/2383 20110101ALI20240307BHJP
【FI】
H03M13/19
H04L27/26 113
H04W28/06 110
H04W4/90
H04W28/04
H04N21/2383
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140391
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】平林 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】神原 浩平
【テーマコード(参考)】
5C164
5J065
5K067
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164SB23P
5C164SB41S
5C164YA21
5J065AC02
5J065AD07
5J065AH01
5K067AA21
5K067DD28
5K067EE71
5K067HH26
(57)【要約】
【課題】LLchのさらなる低遅延化を実現する。
【解決手段】送信装置1は、データパケットが入力されない場合には、ペイロードをヌル埋めしたヌルパケットを生成するヌル挿入部17と、データパケット及びヌルパケットに対してLDPC符号化を行い、固定長のブロックを生成するLDPC符号化部18と、ブロックを低遅延チャンネルキャリアに割り当て、所定の変調方式で変調してOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部19と、を備える。ヌルパケットのサイズは、データパケットよりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低遅延チャンネルのデータパケットを符号化して送信する送信装置であって、
前記データパケットが入力されない場合には、ペイロードをヌル埋めしたヌルパケットを生成するヌル挿入部と、
前記データパケット及び前記ヌルパケットに対してLDPC符号化を行い、固定長のブロックを生成するLDPC符号化部と、
前記ブロックを低遅延チャンネルキャリアに割り当て、所定の変調方式で変調してOFDMフレームを構成するOFDMフレーム構成部と、を備え、
前記ヌルパケットのサイズは、前記データパケットよりも短い、送信装置。
【請求項2】
前記ヌルパケットのサイズは、nを2以上の整数とすると、前記データパケットのサイズのn分の1であり、且つ前記データパケットのヘッダーのサイズ以上である、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記ブロックのデータ領域のサイズと前記データパケットのサイズは、同じKバイトであり、
前記LDPC符号化部は、前記データパケット及び前記ヌルパケットを入力順に前記ブロックを構成するデータ領域に挿入し、前記ブロックを構成するデータ領域にLバイトのヌルパケットが先に挿入されていた場合には、前記データパケットのうち(K-L)バイトのデータを前記データ領域に挿入し、前記データパケットのうち残りのLバイトのデータを次のブロックを構成するデータ領域の先頭に挿入する、請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1に記載の送信装置として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の地上テレビジョン放送高度化方式(以下、「高度化方式」という。)では、現行のISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)のAC(Auxiliary Channel)と同様に、映像・音声などのデータ伝送に用いない専用のサブキャリアが信号帯域内にランダムに配置される(例えば、非特許文献1参照)。本明細書ではこのサブキャリアをLchと称し、Lchを利用して緊急情報のような情報を低遅延・高耐性に伝送するチャンネルを低遅延チャンネル(LLch:Low-Latency Channel)と称する。LLchでは、キャリア変調には差動BPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)を採用し、また誤り訂正符号のうち内符号であるLDPC(Low Density Parity Check)符号もLLch専用とした低符号化率のものを設定しており、これらにより高耐性を実現している。さらに、LLchでは時間インターリーブを行わないことにより、低遅延を実現している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】朝倉, 外4名, “地上放送の高度化に向けた低遅延高耐性伝送の一検討”, 信学技報, vol. 121, no. 234, RCS2021-167, pp. 124-129, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に緊急情報の伝送は、可能な限り迅速、すなわち低遅延であることが好ましい。例えば、津波のような、避難に一刻を争うような緊急事態では、低遅延であることは非常に有効であると容易に想像できる。しかし、LLchのパケットは不規則な周期で送信装置に流れてくるため、瞬時に符号化処理を行うことができずに遅延が発生することがある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、LLchのさらなる低遅延化を実現することが可能な送信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、一実施形態に係る送信装置は、低遅延チャンネルのデータパケットを符号化して送信する送信装置であって、前記データパケットが入力されない場合には、ペイロードをヌル埋めしたヌルパケットを生成するヌル挿入部と、前記データパケット及び前記ヌルパケットに対してLDPC符号化を行い、固定長のブロックを生成するLDPC符号化部と、前記ブロックを低遅延チャンネルキャリアに割り当て、所定の変調方式で変調してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレームを構成するOFDMフレーム構成部と、を備え、前記ヌルパケットのサイズは、前記データパケットよりも短いことを特徴とする。
【0007】
さらに、一実施形態において、前記ヌルパケットのサイズは、nを2以上の整数とすると、前記データパケットのサイズのn分の1であり、且つ前記データパケットのヘッダーのサイズ以上であってもよい。
【0008】
さらに、一実施形態において、前記ブロックのデータ領域のサイズと前記データパケットのサイズは、同じKバイトであり、前記LDPC符号化部は、前記データパケット及び前記ヌルパケットを入力順に前記ブロックを構成するデータ領域に挿入し、前記ブロックを構成するデータ領域にLバイトのヌルパケットが先に挿入されていた場合には、前記データパケットのうち(K-L)バイトのデータを前記データ領域に挿入し、前記データパケットのうち残りのLバイトのデータを次のブロックを構成するデータ領域の先頭に挿入してもよい。
【0009】
また、一実施形態係るプログラムは、コンピュータを、上記送信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LLchのさらなる低遅延化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る送信装置の構成例を示すブロック図である。
図2】TLVパケット及びFECブロックの構造例を示す図である。
図3】一実施形態に係る送信装置におけるLDPC符号化部の処理手順を示すフローチャートである。
図4】ヌルパケットのサイズが18バイトの場合と6バイトの場合における処理を比較した第1の例を示す図である。
図5】ヌルパケットのサイズが18バイトの場合と6バイトの場合における処理を比較した第2の例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、階層数が3である場合の送信装置の構成例を示すブロック図である。送信装置1は、図示しない再多重化装置からパケットを受信する。受信するパケットの形式は、TLV(Type Length Value)/IP(Internet Protocol)パケット形式であってもよいし、XMI(eXtensibleModulator Interface)/IPパケット形式であってもよいし、地上高度化方式向けのプログラム伝送信号プロトコルであるSTLP(Studio To Transmitter Link Protocol)パケット形式であってもよい。本実施形態では、TLV/IPパケット形式の例で説明する。
【0014】
図1に示す送信装置1は、階層分離部11と、階層処理部12と、階層合成部13と、時間・周波数インターリーブ部14と、パイロット信号生成部15と、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号生成部16と、ヌル挿入部17と、LDPC符号化部18と、OFDMフレーム構成部19と、OFDM変調部20と、を備える。また、階層処理部12は、誤り訂正符号化部121と、ビットインターリーブ部122と、マッピング部123と、を備える。
【0015】
階層分離部11は、TLV/IPパケットを受信し、各階層に属するTLVパケットを分離し、各階層処理部12に振り分ける。また、LLchのTLVパケットを、LDPC符号化部18に出力する。また、階層分離部11は、同期制御情報をパイロット信号生成部15及びTMCC信号生成部16に出力する。
【0016】
誤り訂正符号化部121は、OFDM信号の受信側で伝送誤りを訂正可能とするために、階層分離部11から入力した信号を誤り訂正符号化(例えば、LDPC符号化)し、符号化信号を生成する。そして、誤り訂正符号化部121は、生成した符号化信号をビットインターリーブ部122に出力する。
【0017】
ビットインターリーブ部122は、誤り訂正符号の性能を高めるために、誤り訂正符号化部121から入力した符号化信号をビット単位でインターリーブ処理してビットデータを生成する。そして、ビットインターリーブ部122は、生成したビットデータをマッピング部123に出力する。
【0018】
マッピング部123は、ビットインターリーブ部122から入力したビットデータをIQ平面(複素平面)へマッピングし、変調方式に応じたキャリア変調が施されたキャリアシンボルを生成する。そして、マッピング部123は、生成したキャリアシンボルを階層合成部13に出力する。
【0019】
階層合成部13は、各階層のマッピング部123から入力したキャリアシンボルを合成し、時間・周波数インターリーブ部14に出力する。
【0020】
時間・周波数インターリーブ部14は、階層合成部13から入力したキャリアシンボルの順序を時間方向及び周波数方向に並べ替えてインターリーブ処理されたインターリーブ信号を生成する。そして、時間・周波数インターリーブ部14は、生成したインターリーブ信号をOFDMフレーム構成部19に出力する。
【0021】
パイロット信号生成部15は、階層分離部11から入力した同期制御情報からパイロット信号(SP信号及びCP信号)を生成する。そして、パイロット信号生成部15は、生成したパイロット信号をOFDMフレーム構成部19に出力する。
【0022】
TMCC信号生成部16は、階層分離部11から入力した同期制御情報からTMCC信号を生成し、OFDMフレーム構成部19に出力する。
【0023】
ヌル挿入部17は、LLchを監視し、LLchのTLVパケット(以下、「データパケット」と称する。)が入力されない場合には、ペイロードをヌル埋めしたTLVパケット(以下、「ヌルパケット」と称する。)を生成する。そして、ヌル挿入部17は、生成したヌルパケットをLDPC符号化部18に出力する。
【0024】
ヌル挿入部17が生成するヌルパケットのサイズは、データパケットよりも短い。より好適には、ヌルパケットのサイズは、nを2以上の整数とすると、データパケットのサイズのn分の1であり、且つデータパケットのヘッダー(以下、「TLVヘッダー」という。)のサイズ以上である。これにより、処理を簡便化することが可能となる。
【0025】
図2は、TLVパケット及びFEC(Forward Error Correction)ブロックの構造例を示す図である。TLVヘッダーは、予約領域と、パケットタイプと、データ長と、を含む。パケットタイプは、該TLVパケットがIPv4、IPv6、圧縮IP等のいずれであるかを特定するパケット種別を示す。データ長は、ペイロードに格納されるデータのサイズを示す。予約領域については、例えば全ビットを“1”としてもよい。なお、TLVパケットの仕様については、例えば下記の参考文献を参照されたい。
[参考文献]電波産業会、「デジタル放送における映像符号化,音声符号化及び多重化方式」、ARIB STD-B32 v3.11、2018年7月
【0026】
14バイトのペイロードは、地震情報(緊急地震速報EEW)、災害情報、有事情報などの緊急情報である。緊急情報は、例えば、開始/終了フラグ、更新フラグ、信号識別、現在時刻、ページ種別、都道府県情報(地域コード)、詳細情報、及び誤り検出用パリティビットを含む情報ビットである。入力データがない際は、ペイロードにヌルが挿入される。
【0027】
本実施形態では、図2に示すようにデータパケットのサイズは18バイトで固定である。一方、ヌルパケットのサイズは、データパケットのサイズの3分の1の6バイトとする。なお、ヌルパケットのサイズはこれに限定されず、例えばデータパケットのサイズの2分の1の9バイトとしてもよい。
【0028】
LDPC符号化部18は、階層分離部11から入力したデータパケット、及びヌル挿入部17から入力したヌルパケットに対してLDPC符号化を行い、固定長(図2に示すように符号長が153バイトでデータ長が18バイト)のFECブロックを生成する。そして、LDPC符号化部18は、生成したFECブロックをOFDMフレーム構成部19に出力する。
【0029】
FECブロックのデータ領域のサイズとデータパケットのサイズは、同じKバイト(本実施形態では18バイト)である。LDPC符号化部18は、データパケット及びヌルパケットを入力順にFECブロックを構成するデータ領域に挿入し、データ領域にLバイト(本実施形態では6バイト又は12バイト)のヌルパケットが先に挿入されていた場合には、データパケットのうち(K-L)バイトのデータを該データ領域に挿入し、データパケットのうち残りのLバイトのデータを次のFECブロックを構成するデータ領域の先頭に挿入する。
【0030】
OFDMフレーム構成部19は、時間・周波数インターリーブ部14から入力したインターリーブ信号に、パイロット信号生成部15から入力したパイロット信号、及びTMCC信号生成部16から入力したTMCC信号を挿入する。また、OFDMフレーム構成部19は、LDPC符号化部18から入力したFECブロックをLLch用のサブキャリアであるLchキャリアに割り当て、所定の変調方式(例えば、DBPSK(differential binary phase shift keying))で変調してOFDMフレームを構成する。そして、OFDMフレーム構成部19は、生成したOFDMフレームをOFDM変調部20に出力する。
【0031】
OFDM変調部20は、OFDMフレーム構成部19から入力したOFDMフレームに対してOFDM変調処理を行ってOFDM信号を生成する。より詳細には、OFDM変調部20は、OFDMフレーム構成部19から入力したOFDMフレームのOFDMシンボルに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を行って時間領域の有効シンボル信号を生成する。そして、OFDM変調部20は、有効シンボル信号の先頭にガードインターバルを挿入した後、直交変調処理及びD/A変換処理を行ってOFDM信号を生成する。そして、OFDM変調部20は、生成したOFDM信号を、図示しない受信装置に送信する。
【0032】
次に、LDPC符号化部18の処理について、図3を参照して説明する。図3は、LDPC符号化部18による処理手順を示すフローチャートである。LDPC符号化部18は、「データパケットが入力されているか」の判定を3段階で行い、データパケットが入力されていない場合は、逐次6バイトのヌルパケットを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。データパケットが入力された場合は、6バイトごとの区切りで挿入を始め、18バイト蓄積されたところで、FECブロックを生成する。
【0033】
ステップS101では、データパケットが入力されているか否かを判定する。そして、データパケットが入力されている場合には処理をステップS102に進め、データパケットが入力されていない場合には処理をステップS104に進める。
【0034】
ステップS102では、データパケットのサイズが18バイトであるか否かを判定する。そして、データパケットが18バイトである場合には処理をステップS103に進め、データパケットが18バイトでない場合には処理をステップS106に進める。
【0035】
ステップS103では、データ領域に18バイト蓄積されたので、LDPC符号化を行ってFECブロックを生成し、出力する。そして、処理をステップS101に戻す。
【0036】
ステップS104では、ヌル挿入部17から入力された6バイトのヌルパケットを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。そして、処理をステップS105に進める。
【0037】
ステップS105では、データパケットが入力されているか否かを判定する。そして、データパケットが入力されている場合には処理をステップS103に進め、データパケットが入力されていない場合には処理をステップS108に進める。この時点では、FECブロックを構成するデータ領域(18バイト)にヌルパケットが挿入されているため、次のステップS103では残りの領域にデータパケット(18バイト)の一部(前方)を挿入する。データパケットの超過分は、次のFECブロックを構成するデータ領域に挿入されることとなる。
【0038】
ステップS106では、データパケットのサイズが12バイト又は6バイトであるか否かを判定する。このデータパケットは、一部(前方)が前のFECブロックを構成するデータ領域に挿入済みである。そして、データパケットのサイズが6バイトである場合には処理をステップS107に進め、データパケットのサイズが12バイトである場合には処理をステップS109に進める。
【0039】
ステップS107では、データパケットの一部(後方)の6バイトを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。そして、処理をステップS105に進める。
【0040】
ステップS108では、ヌル挿入部17から入力された6バイトのヌルパケットを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。そして、処理をステップS110に進める。
【0041】
ステップS109では、データパケットの一部(後方)の12バイトを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。そして、処理をステップS110に進める。
【0042】
ステップS110では、データパケットが入力されているか否かを判定する。そして、データパケットが入力されている場合には処理をステップS103に進め、データパケットが入力されていない場合には処理をステップS111に進める。
【0043】
ステップS111では、ヌル挿入部17から入力された6バイトのヌルパケットを、FECブロックを構成するデータ領域に挿入する。そして、処理をステップS103に進める。
【0044】
送信装置1に対して、LLchのデータパケットが一定間隔で流れてくるわけではないため、データの到達時間によってはヌルパケットの伝送時間だけ余分な遅延が発生する可能性がある。この遅延について、図4及び図5を参照して説明する。
【0045】
図4は、ヌルパケットのサイズが18バイトの場合と、ヌルパケットのサイズが6バイトの場合において、LDPC符号化部18が、ヌルパケット、データパケット1、ヌルパケット・・・の順でパケットを取得したときのFECブロックを示す図である。図中の矢印の下に記載された数字はパケットの長さを示しており、単位はバイトである。図4(a)はヌルパケットのサイズがデータパケットと同じ18バイトである場合のFECブロックを示しており、図4(b)はヌルパケットのサイズがデータパケットの1/3の6バイトである場合のFECブロックを示している。LDPC符号化部18は、順次LDPC符号化を行い、FECブロック1、FECブロック2、FECブロック3・・・を生成する。LDPC符号化部18がヌルパケットの直後にデータパケット1を取得した場合、図4(a)ではFECブロック2にデータパケット1が格納され、図4(b)ではFECブロック1にデータパケット1の一部が格納される。
【0046】
図5は、ヌルパケットのサイズが18バイトの場合と、ヌルパケットのサイズが6バイトの場合において、LDPC符号化部18に、ヌルパケット、データパケット1、データパケット2、ヌルパケット・・・の順でパケットを取得したときのFECブロックを示す図である。図中の矢印の下に記載された数字はパケットの長さを示しており、単位はバイトである。図5(a)はヌルパケットのサイズがデータパケットと同じ18バイトである場合のFECブロックを示しており、図5(b)はヌルパケットのサイズがデータパケットの1/3の6バイトである場合のFECブロックを示している。LDPC符号化部18は、順次LDPC符号化を行い、FECブロック1、FECブロック2、FECブロック3・・・を生成する。LDPC符号化部18がヌルパケットの直後にデータパケット1及びデータパケット2を取得した場合、図5(a)ではFECブロック3にデータパケット2が格納され、図5(b)ではFECブロック2にデータパケット2の一部が格納される。
【0047】
次に、本発明の効果について説明する。図4(a)及び図5(a)に示すように、ヌルパケットのサイズがデータパケットのサイズと同じ場合、LDPC符号化部18がヌルパケットの直後にデータパケットを取得すると、1FECブロック分の遅延が発生する。そこで、本発明に係る送信装置1は、ヌル挿入部17により、ヌルパケットのサイズをデータパケットのサイズよりも短くする。こうした18バイトより短いヌルパケットを導入することで、図4(b)及び図5(b)に示すように、FECブロックの生成途中でもデータパケットの一部を挿入することができ、該データパケットの一部については1FECブロック分の遅延発生を防止することが可能となる。すなわち、データパケットが入力されてからFECブロックに変換されるまでの所要時間を短縮することができる。
【0048】
例えば、FFTサイズが16k、ガードインターバル長が126μsである伝送パラメータのOFDMシンボル長(ガードインターバル込み)は2718μsであるから、17個のOFDMシンボルにより伝送されるLLchのFECブロック一つの生成には約46ms要することとなる。6バイトのヌルパケットを導入すると、最大の遅延時間がその1/3である約15msまで短縮することができ、最大約31msの遅延時間を削減可能である。図4(b)及び図5(b)に示す例では、データパケットのうち前方12バイト分について、遅延時間が短縮される。
【0049】
ISDB-TにおけるACでは、先頭から表1に示すようなビット割り当てとなっている。詳細については、例えば下記の参考文献を参照されたい。優先度が高い情報ほど符号の前方にビットアサインされており、例えば起動フラグ(開始/終了フラグ)はB17,B18に該当する。
[参考文献]“地上デジタル放送の伝送方式”, ARIB STD-B31, 2.2版, 一般社団法人電波産業会, 2014
【0050】
【表1】
【0051】
高度化方式においても、表1に示すビット割り当てを踏襲すると考えられるが、優先度が高い情報を符号の前方にビットアサインしたとしても、従来手法ではその情報だけ先に送信することはできなかった。一方、本発明ではデータパケットよりもサイズが短いヌルパケットを使用するため、起動フラグ(有事であることを示す信号)のように優先度が高い情報をデータパケットの前方にビットアサインすることにより、優先度の高い情報を即時に受信装置に送信することが可能となる。受信装置ではその分だけ早く備えることができ、迅速な情報提供に繋げることができる。
【0052】
(プログラム)
なお、上述した送信装置1として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、送信装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0053】
また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM,DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0054】
また、上述した送信装置1は、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、送信装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0055】
このように、本発明では、LLch入力がヌルであるときに挿入されるヌルパケットについて、データパケットが固定長であることを活かし、その1/(整数)となるような、データパケットよりも短いヌルパケットを導入する。これにより、従来と比較して細やかなFECブロック生成制御が可能となり、FECブロック生成時の遅延を低減することが可能となる。
【0056】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形、変更などが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 送信装置
11 階層分離部
12 階層処理部
13 階層合成部
14 時間・周波数インターリーブ部
15 パイロット信号生成部
16 TMCC信号生成部
17 ヌル挿入部
18 LDPC符号化部
19 OFDMフレーム構成部
20 OFDM変調部
121 誤り訂正符号化部
122 ビットインターリーブ部
123 マッピング部
図1
図2
図3
図4
図5