(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035791
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】消臭剤組成物、及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20240307BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240307BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240307BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A61L9/01 K
A61L9/01 B
A61K8/40
A61K8/27
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099799
(22)【出願日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2022139824
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022208163
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023060100
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】木佐貫 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】山口 健太
【テーマコード(参考)】
4C083
4C180
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB311
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC521
4C083AC522
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD071
4C083AD072
4C083BB42
4C083BB43
4C083CC17
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4C083EE07
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4C180EA23Y
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4C180EB15Y
4C180EB16Y
4C180EB21Y
4C180GG17
4C180MM06
4C180MM07
(57)【要約】
【課題】 アルデヒド類、アミン類、脂肪酸類、及び硫化水素に由来する複合的な臭気に対し優れた消臭効果を発揮する消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンと、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物とを含む消臭剤組成物を用いる。
【化1】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンと、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物とを含む消臭剤組成物。
【化1】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数である、請求項1に記載の消臭剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸である、請求項1に記載の消臭剤組成物。
【請求項4】
さらに水及び/又は有機溶媒を含む、請求項1に記載の消臭剤組成物。
【請求項5】
さらに無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の消臭剤組成物。
【請求項6】
前記の無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物が、ポリエチレンイミン、塩基性アミノ酸、クエン酸、及びクエン酸塩の群から選ばれる一つ又は二つ以上の化合物である、請求項5に記載の消臭剤組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の消臭剤組成物が、基材に担持されている、消臭性構造物。
【請求項8】
前記の基材が、繊維状物、シート状物、ビーズ状物、スポンジ状物、又はボード状物である、請求項7に記載の消臭性構造物。
【請求項9】
請求項1に記載の消臭剤組成物を、アルデヒド、アミン、カルボン酸、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体と接触させることを特徴とする、臭気物質の除去方法。
【請求項10】
請求項7に記載の消臭剤構造物を、アルデヒド、アミン、カルボン酸、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体と接触させることを特徴とする、臭気物質の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤組成物、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
生活空間における臭気は、ヒト又は動物の排泄物臭(硫化水素、アンモニア等)、汗臭(イソ吉草酸等)、加齢臭(2-ノネナール等)、生ゴミ臭(トリメチルアミン、メチルメルカプタン等)、及びタバコ臭(アセトアルデヒド等)等が混ざり合った複合的な臭気により構成されている。このように、生活空間における臭気は複数の原因物質の組み合わせにより構成されることから、単一の消臭成分のみでは十分な消臭効果を得ることが難しい。例えば、アルカリ剤は硫化水素や低級脂肪酸に対する消臭効果が高いが、アンモニアやトリメチルアミン等のアミン類にはほとんど効果がないことが知られている。一方、有機酸やその塩はアミン類等のアルカリ性物質に対する消臭効果は優れているものの、硫化水素や低級脂肪酸に対する消臭効果はほとんど認められない。そこで、複数の消臭剤を組み合わせた消臭剤が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、カルボキシ基含有O-置換モノヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩、及び重金属塩を含む消臭剤が開示されている。
【0004】
特許文献2では、炭酸亜鉛及び/又は酸化亜鉛と特定のアミノ酸を含む消臭剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-45470号公報
【特許文献2】特開2006-26156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら特許文献に記載の方法は、消臭効率が必ずしも十分ではなく、複合的な臭気に対して優れた消臭効果を発揮する消臭剤が求められていた。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、アルデヒド類、アミン類、脂肪酸類、及び硫化水素に由来する複合的な臭気に対し優れた消臭効果を発揮する消臭剤組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記に示す本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
【0010】
[1]
下記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンと、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物とを含む消臭剤組成物。
【0011】
【0012】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
[2]
前記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数である、[1]に記載の消臭剤組成物。
【0013】
[3]
前記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸である、[1]に記載の消臭剤組成物。
【0014】
[4]
さらに水及び/又は有機溶媒を含む、[1]乃至[3]のいずれかに記載の消臭剤組成物。
【0015】
[5]
さらに無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物を含む、[1]乃至[4]のいずれかに記載の消臭剤組成物。
【0016】
[6]
前記の無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物が、ポリエチレンイミン、塩基性アミノ酸、クエン酸、及びクエン酸塩の群から選ばれる一つ又は二つ以上の化合物である、[5]に記載の消臭剤組成物。
【0017】
[7]
[1]乃至[6]のいずれかに記載の消臭剤組成物が、基材に担持されている、消臭性構造物。
【0018】
[8]
前記の基材が、繊維状物、シート状物、ビーズ状物、スポンジ状物、又はボード状物である、[7]に記載の消臭性構造物。
【0019】
[9]
[1]乃至[6]のいずれかに記載の消臭剤組成物を、アルデヒド、アミン、カルボン酸、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体と接触させることを特徴とする、臭気物質の除去方法。
【0020】
[10]
[7]に記載の消臭剤構造物を、アルデヒド、アミン、カルボン酸、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体と接触させることを特徴とする、臭気物質の除去方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の消臭剤組成物、又はこれが基材に担持された消臭性構造物は、アルデヒド類、アミン類、カルボン酸類、及び硫化水素に対し優れた消臭効果を発揮する。その結果、不快臭の低減に有効であり、生活環境改善の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその両端の数値を含む以上以下の数値範囲を意味する。
【0023】
本発明の消臭剤組成物、又はこれが基材に担持された消臭性構造物は、上述の通り、アルデヒド類、アミン類、カルボン酸類、及び硫化水素に対し優れた消臭効果を発揮する。その結果、不快臭の低減に有効であり、生活環境改善の効果を奏する。
【0024】
また、本発明の消臭剤組成物、又はこれが基材に担持された消臭性構造物は、従来公知のアルデヒド捕捉剤に比べて、高温曝露後もアルデヒド捕捉効果の低下が少ないという、顕著異質な効果を奏するものである。すなわち、本発明の消臭剤組成物、又はこれが基材に担持された消臭性構造物は、例えば、夏季に高温化する自動車内における消臭剤として、従来剤にない消臭持続性(アルデヒド捕捉持続性)を発揮する点で極めて有用である。
【0025】
本発明の消臭剤組成物は、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンと、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物とを含むことを特徴とする。
【0026】
上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンにおいて、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
【0027】
当該炭素数1~4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基等を例示することができる。
【0028】
上記一般式(1)において、nは、1~6の整数を表す。
【0029】
複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、Rは、水素原子であることが好ましく、nは、1~4の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0030】
また、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンについては、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、アミノオキシ酢酸であることが好ましい。
【0031】
上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンについては、分子内にカルボキシ基を有するため、当該カルボキシ基が分子内のアミノ基と分子内塩を形成していてもよい。また、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンについては、そのカルボキシ基とそのアミノ基が分子間で塩を形成していてもよい。
【0032】
本発明の消臭剤組成物に含まれる酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、化粧品原料や医薬品原料として使用される粉末状のものが挙げられる。なお、炭酸亜鉛は、亜鉛の炭酸塩であり、化学式はZnCO3であるが、工業的には塩基性炭酸亜鉛として流通している。また、天然物としては菱亜鉛鉱が前記の炭酸亜鉛に包含される。
【0033】
本発明の消臭剤組成物に含まれる前記の亜鉛化合物の含有量としては、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミン 100質量部に対して、1~300質量部であることが好ましく、5~200質量部であることがより好ましく、10~100質量部であることがさらに好ましい。
【0034】
尚、2種以上の亜鉛化合物を併用する場合、それらの質量比は目的に応じて任意に調節可能である。
【0035】
本発明の消臭剤組成物については、更に、無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物(上記のO-置換モノヒドロキシルアミン、及び亜鉛化合物を含まない)を含んでいてもよく、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、含んでいることが好ましい。
【0036】
前記の無機酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、ケイ酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、硫酸、硝酸、又はリン酸等が挙げられる。
【0037】
前記の有機酸としては、特に限定するものではないが、例えば、クエン酸、酢酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、フマル酸、マレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、又はp-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0038】
前記の無機塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、又は炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0039】
前記の有機塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレンイミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラエタノール、1,4-ピペラジンジエタノール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、ピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、又は塩基性アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、又はリジン)等が挙げられる。
【0040】
なお、前記のポリエチレンイミンについては、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、その分子量が1,000~100万のものが好ましく、1万~10万のものがより好ましい。
【0041】
また、前記の塩基性アミノ酸の性状については、特に限定されるものではないが、例えば、食品添加物として使用される粉末状のものが挙げられる。
【0042】
本発明の消臭剤組成物において、前記の無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物については、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、ポリエチレンイミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラエタノール、1,4-ピペラジンジエタノール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、2-ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、塩基性アミノ酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、クエン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、及びグルコン酸塩からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物であることが好ましく、ポリエチレンイミン、塩基性アミノ酸、クエン酸、及びクエン酸塩からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物であることがより好ましく、ポリエチレンイミン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、及びクエン酸三ナトリウムからなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物であることがより好ましい。
【0043】
本発明の消臭剤組成物が上記の無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物を含有する場合、その含有量については、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミン 100質量部に対して、10~600質量部であることが好ましく、20~500量部であることがより好ましく、30~400質量部であることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の消臭剤組成物が、前記の無機酸又は有機酸を含む場合、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンは、前記の無機酸又は有機酸が添加されることによって、そのアミノ基の一部又は全てが、アンモニウム塩を形成していてもよい。
【0045】
前記のアンモニウム塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、塩酸アンモニウム塩、臭化水素酸アンモニウム塩、過塩素酸アンモニウム塩、ケイ酸アンモニウム塩、テトラフルオロホウ酸アンモニウム塩、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、又はリン酸アンモニウム塩等の無機酸アンモニウム塩、酢酸アンモニウム塩、コハク酸アンモニウム塩、アジピン酸アンモニウム塩、グルコン酸アンモニウム塩、フマル酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム塩、トリフルオロ酢酸アンモニウム塩、安息香酸アンモニウム塩、又はp-トルエンスルホン酸アンモニウム塩等の有機酸アンモニウム塩が挙げられる。
【0046】
本発明の消臭剤組成物が、前記の無機塩基又は有機塩基を含む場合、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミンについては、前記の無機塩基又は有機塩基が添加されることによって、そのカルボキシ基の一部又は全てがカルボン酸塩となっていてもよい。
【0047】
前記のカルボン酸塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸リチウム塩、カルボン酸ナトリウム塩、カルボン酸カリウム塩、カルボン酸セシウム塩等のカルボン酸アルカリ金属塩、又はカルボン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
【0048】
本発明の消臭剤組成物については、さらに溶媒として、水及び/又は有機溶媒を含有していてもよい。
【0049】
本発明の消臭剤組成物が含有してもよい水としては、特に限定されないが、例えば、脱イオン水や、水道水等が挙げられる。
【0050】
本発明の消臭剤組成物が含有してもよい有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ブタントリオール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、又は3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。これらのうち、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、エタノールが好ましい。
【0051】
前記の溶媒については、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。尚、2種以上の溶媒を混合して用いる場合、それらの質量比は目的に応じて任意に調節可能である。
【0052】
本発明の消臭剤組成物が前記溶媒を含有する場合、当該溶媒の含有量としては、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、例えば、本発明の消臭剤組成物全量に対して、30~99.9質量%とすることができ、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、40~99.9質量%であることが好ましく、50~99.9質量%であることがより好ましく、60~99.9質量%であることがより好ましく、70~99.9質量%であることがより好ましく、80~99.9質量%であることがより好ましく、85~99.9質量%であることがさらに好ましい。
【0053】
本発明の消臭剤組成物については、上記で示した成分(O-置換モノヒドロキシルアミン、亜鉛化合物、無機酸、有機酸、無機塩基、及び有機塩基からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の化合物、及び溶媒)以外の成分(以下、「添加物」と称す)を含んでいてもよい。上記の添加物としては、特に限定するものではないが、例えば、バインダー、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、抗菌剤、又は防腐剤等が挙げられる。当該添加剤を含む場合、その含有量としては、特に限定するものではないが、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、上記一般式(1)で表されるO-置換モノヒドロキシルアミン 100質量部に対して、それぞれ、10~500質量部であることが好ましく、20~300質量部であることがより好ましい。
【0054】
本発明の消臭性構造物は、本発明の消臭剤組成物が、基材に担持されているものを表す。
【0055】
本発明の消臭性構造物の基材としては、特に限定されないが、例えば、繊維状物、シート状物、ビーズ状物、スポンジ状物、又はボード状物を挙げることができる。
【0056】
前記の繊維状物としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、フッ素系繊維、アラミド系繊維、サルフォン系繊維、レーヨン、アセテート、木綿、羊毛、絹、麻、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、これらの混合繊維、これらの繊維からなる織物、これらの繊維からなる編物、これらの繊維からなる不織布、これらの繊維からなる糸、これらの繊維からなるロープ、又はこれらの繊維からなる紐等を挙げることができる。
【0057】
前記のシート状物、ビーズ状物、スポンジ状物、又はボード状物としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、天然ゴム、及び合成ゴムからなる群から選ばれる素材からなるシート状物、同ビーズ状物、同スポンジ状物、又は同ボード状物が挙げられる。なお、ボード状物の別の例として、木材、合板、又は石膏ボード等が挙げられる。
【0058】
本発明の消臭性構造物は、目的、用途に応じて任意の用途で使用することができる。用途は特に限定されないが、例えば、衣類用、カーテン用、カーペット用、壁装材用、自動車内装材用、又は家具用等の用途で使用することができる。
【0059】
本発明の消臭性構造物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記した基材へ前記の消臭剤組成物を塗布する方法、又は上記した基材を前記の消臭剤組成物へ浸漬する方法等が挙げられる。なお、前記の塗布又は浸漬の後は、乾燥させてもよい。
【0060】
前記の基材への消臭剤組成物の担持量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、複合臭気に対する消臭効果に優れる点で、0.1~100g/m2の範囲が好ましく、0.5~50g/m2の範囲がさらに好ましい。前記担持量については、湿潤質量であっても、乾燥質量であってもよい。
【0061】
消臭剤組成物を基材に担持した後、必要に応じて得られた消臭性構造物を乾燥させてもよい。乾燥条件は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、例えば、温度として0~200℃の範囲、時間として数分~48時間の範囲である。
【0062】
本発明の消臭剤組成物又は消臭性構造物は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等)、アミン(例えば、アンモニア、トリメチルアミン、又はトリエチルアミン等)、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、又はプロピオン酸等)、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体と接触させることによって、これらの臭気物質を除去・低減することができる。
【0063】
前記の消臭剤組成物を前記の臭気物質を含む気体と接触させる方法としては、特に限定するものではないが、前記の消臭剤組成物を静置して接触させる方法、スプレーして接触させる方法、ミスト形成させて接触させる方法、又は基材に塗布したうえで接触させる方法等が挙げられる。
【0064】
前記の消臭性構造物を前記の臭気物質を含む気体と接触させる方法としては、特に限定するものではないが、前記の消臭性構造物を、アルデヒド、アミン、カルボン酸、及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上の臭気物質を含む気体中に設置する方法を挙げることができる。
【実施例0065】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。なお、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
【0066】
ポリエチレンイミンは、エポミンP-1000(日本触媒社製、分子量7万)を用いた。
(1)消臭剤組成物による臭気物質の除去
実施例1
<消臭剤組成物の調製>
アミノオキシ酢酸 3g、酸化亜鉛 0.6g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 93.4gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、酸化亜鉛 0.6質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 93.4質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例1組成物」と称する)を調製した。
【0067】
<アセトアルデヒド捕捉試験>
5Lのテドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が10ppmの窒素ガス2.5Lを加え、次いで前記の消臭剤組成物 50μLを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フィルム和光純薬社製、プレセップ(登録商標)-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いて定量することによって、テドラーバッグ内の残存アセトアルデヒド濃度を算出した。さらに、アセトアルデヒド捕捉率を下式から算出した。
【0068】
アセトアルデヒド捕捉率[%]=[(アセトアルデヒド初濃度-残存アセトアルデヒド濃度)÷アセトアルデヒド初濃度]×100
<アンモニア捕捉試験>
5Lのテドラーバッグにアンモニア濃度が15ppmの窒素ガス1Lを加え、次いで前記の消臭剤組成物 50μLを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存アンモニア濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、アンモニア捕捉率を下式から算出した。
【0069】
アンモニア捕捉率[%]=[(アンモニア初濃度-残存アンモニア濃度)÷アンモニア初濃度]×100
<酢酸捕捉試験>
5Lのテドラーバッグに酢酸濃度が10ppmの窒素ガス1Lを加え、次いで前記の消臭剤組成物 50μLを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存酢酸濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、酢酸捕捉率を下式から算出した。
【0070】
酢酸捕捉率[%]=[(酢酸初濃度-残存酢酸濃度)÷酢酸初濃度]×100
<硫化水素捕捉試験>
5Lのテドラーバッグに硫化水素濃度が16ppmの窒素ガス1Lを加え、次いで前記の消臭剤組成物 50μLを加えた。室温で16時間静置後、テドラーバック内の残存硫化水素濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、硫化水素捕捉率を下式から算出した。
【0071】
硫化水素捕捉率[%]=[(硫化水素初濃度-残存硫化水素濃度)÷硫化水素初濃度]×100
結果を表1に示した。
【0072】
実施例2
アミノオキシ酢酸 3g、酸化亜鉛 0.8g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 93.2gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、酸化亜鉛 0.8質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 93.2質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例2組成物」と称する)を調製した。
【0073】
実施例1において用いた実施例1組成物を、上記の実施例2組成物に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0074】
実施例3
アミノオキシ酢酸 3g、水酸化亜鉛 0.8g、ヒスチジン 9g、及び水 87.2gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 0.8質量%、ヒスチジン 9質量%、及び水 87.2質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例3組成物」と称する)を調製した。
【0075】
実施例1において用いた実施例1組成物を、上記の実施例3組成物に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0076】
実施例4
アミノオキシ酢酸 3g、水酸化亜鉛 0.8g、クエン酸三ナトリウム二水和物 3g、及び水 93.2gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 0.8質量%、クエン酸三ナトリウム二水和物 3質量%、及び水 93.2質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例4組成物」と称する)を調製した。
【0077】
実施例1において用いた実施例1組成物を、上記の実施例4組成物に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0078】
実施例5
アミノオキシ酢酸 3g、水酸化亜鉛 2g、クエン酸三ナトリウム二水和物 10g、及び水 85gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 2質量%、クエン酸三ナトリウム二水和物 10質量%、及び水 85質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例5組成物」と称する)を調製した。
【0079】
実施例1において用いた実施例1組成物を、上記の実施例5組成物に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0080】
比較例1~2
実施例1において用いた実施例1組成物を、表1に示す組成物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示した。
【0081】
表1から明らかなように、本発明の消臭剤組成物は、既存の消臭剤組成物と比較して優れた消臭性能を示した。
【0082】
【0083】
実施例6
<複合臭気物質の捕捉試験>
5Lのテドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が10ppm、アンモニア濃度が15ppm、酢酸濃度が10ppm、及び硫化水素濃度が16ppmの窒素ガス1Lを加え、次いで実施例1で調製したものと同じ実施例1組成物 50μLを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のアルデヒド、アンモニア、酢酸、及び硫化水素の残存濃度を、各々前記の方法で定量した。さらに、アルデヒド、アンモニア、酢酸、及び硫化水素の捕捉率を、各々前記の式から算出した。結果を表2に示した。
【0084】
実施例7
実施例6において用いた実施例1組成物を、実施例2で調製したものと同じ実施例2組成物に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0085】
比較例3~4
実施例6において用いた実施例1組成物を表2に示す組成物に変更したこと以外は、実施例6と同様にして実施した。結果を表2に示した。
【0086】
表2から明らかなように、本発明の消臭剤組成物は、既存の消臭剤組成物と比較して優れた消臭性能を示した。
【0087】
【0088】
実施例8
<消臭剤組成物の調製>
アミノオキシ酢酸 3g、水酸化亜鉛 0.7g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 93.3gを混合し、この混合液0.9gにエタノール2.1gを加え、アミノオキシ酢酸 0.9質量%、水酸化亜鉛 0.21質量%、ポリエチレンイミン 0.9質量%、水27.99質量%、及びエタノール 70質量%からなる消臭剤組成物(以下、「実施例8組成物」と称する)を調製した。調製後の外観を目視で観察し、表3に示した。
【0089】
<複合臭気物質の捕捉試験>
2Lのテドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が2ppm、アンモニア濃度が5ppm、酢酸濃度が3ppm、及び硫化水素濃度が6ppmの窒素ガス1Lを加え、次いで実施例8組成物 50μLを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のアルデヒド、アンモニア、酢酸、及び硫化水素の残存濃度を、各々前記の方法で定量した。さらに、アルデヒド、アンモニア、酢酸、及び硫化水素の捕捉率を、各々前記の式から算出した。結果を表3に示した。
【0090】
比較例5
実施例8において用いた実施例8組成物を、表3に示す組成物に変更した以外は、実施例8と同様の操作を行った。結果を表3に示した。
【0091】
【0092】
(2)消臭性構造物による臭気物質の除去
実施例9
<消臭剤組成物、及び消臭性構造物の調製>
上記の実施例1で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、酸化亜鉛 0.6質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 93.4質量%からなる実施例1組成物 0.05gを、縦5cm横5cmの綿100%の繊維に塗布し、熱風式乾燥機(アドバンテック社製、DRJ433DA)を用いて、60℃で1時間乾燥することにより、アミノオキシ酢酸 100質量部、酸化亜鉛 20質量部、及びポリエチレンイミン 100質量部からなる消臭剤組成物が担持された消臭性構造物を得た。
【0093】
<アセトアルデヒド捕捉試験>
前記の消臭性構造物を5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が10ppmの窒素ガス2.5Lを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フィルム和光純薬社製、プレセップ-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いて定量することによって、テドラーバッグ内の残存アセトアルデヒド濃度を算出した。さらに、アセトアルデヒド捕捉率を下式から算出した。
【0094】
アセトアルデヒド捕捉率[%]=[(アセトアルデヒド初濃度-残存アセトアルデヒド濃度)÷アセトアルデヒド初濃度]×100
<アンモニア捕捉試験>
前記の消臭性構造物を5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグにアンモニア濃度が15ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存アンモニア濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、アンモニア捕捉率を下式から算出した。
【0095】
アンモニア捕捉率[%]=[(アンモニア初濃度-残存アンモニア濃度)÷アンモニア初濃度]×100
<酢酸捕捉試験>
前記の消臭性構造物を5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグに酢酸濃度が10ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存酢酸濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、酢酸捕捉率を下式から算出した。
【0096】
酢酸捕捉率[%]=[(酢酸初濃度-残存酢酸濃度)÷酢酸初濃度]×100
<硫化水素捕捉試験>
前記の消臭性構造物を5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグに硫化水素濃度が16ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で16時間静置後、テドラーバック内の残存硫化水素濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、硫化水素捕捉率を下式から算出した。
【0097】
硫化水素捕捉率[%]=[(硫化水素初濃度-残存硫化水素濃度)÷硫化水素初濃度]×100
上記の結果を表4に示した。
【0098】
実施例10
実施例9において用いた実施例1組成物を、実施例2で調製したものと同じ実施例2組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0099】
比較例6
アミノオキシ酢酸 3g、及び水 97gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、及び水 97質量%からなる消臭剤組成物を調製した。
【0100】
実施例9において用いた実施例1組成物を、上記の消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0101】
比較例7
アミノオキシ酢酸 3g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 94gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 94質量%からなる消臭剤組成物を調製した。
【0102】
実施例9において用いた実施例1組成物を、上記の消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0103】
比較例8
アミノオキシ酢酸 3g、グリシン亜鉛 1.5g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 92.5gを、混合し、アミノオキシ酢酸 3質量%、グリシン亜鉛 1.5質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 92.5質量%からなる消臭剤組成物を調製した。
【0104】
実施例9において用いた実施例1組成物を、上記の消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0105】
比較例9
実施例9において用いた実施例1組成物を、比較例1で調製したものと同じ消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0106】
比較例10
酸化亜鉛 0.6g、ポリエチレンイミン 3g、及び水 96.4gを、混合し、酸化亜鉛 0.6質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 96.4質量%からなる消臭剤組成物を調製した。
【0107】
実施例9において用いた実施例1組成物を、上記の消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0108】
比較例11
実施例9において用いた実施例1組成物を、比較例2で調製したものと同じ消臭剤組成物に変更した以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表4に示した。
【0109】
表4から明らかなように、本発明の消臭剤組成物が担持された消臭性構造物は、既存の消臭剤組成物が担持された消臭性構造物と比較して優れた消臭性能を示した。
【0110】
【0111】
実施例11
<消臭性組成物、消臭性構造物の調製>
上記の実施例3で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 0.8質量%、ヒスチジン 9質量%、及び水 87.2質量%からなる実施例3組成物 1.0gと、水 49gを混合し、この混合液を吸水性樹脂(球状ポリアクリル酸ナトリウム、吸液前の質量0.5g、吸液前の平均直径2mm)に吸液させ、アミノオキシ酢酸 100質量部、水酸化亜鉛 27質量部、及びヒスチジン 300質量部からなる消臭剤組成物が担持された消臭性構造物を得た。
【0112】
<アセトアルデヒド捕捉試験>
前記の消臭性構造物30gを10Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が10ppmの窒素ガス5Lを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フィルム和光純薬社製、プレセップ-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いて定量することによって、テドラーバッグ内の残存アセトアルデヒド濃度を算出した。さらに、アセトアルデヒド捕捉率を下式から算出した。
【0113】
アセトアルデヒド捕捉率[%]=[(アセトアルデヒド初濃度-残存アセトアルデヒド濃度)÷アセトアルデヒド初濃度]×100
<アンモニア捕捉試験>
前記の消臭性構造物30gを5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグにアンモニア濃度が15ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存アンモニア濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、アンモニア捕捉率を下式から算出した。
【0114】
アンモニア捕捉率[%]=[(アンモニア初濃度-残存アンモニア濃度)÷アンモニア初濃度]×100
<酢酸捕捉試験>
前記の消臭性構造物30gを5Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグに酢酸濃度が10ppmの窒素ガス1Lを加えた。室温で1時間静置後、テドラーバック内の残存酢酸濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、酢酸捕捉率を下式から算出した。
【0115】
酢酸捕捉率[%]=[(酢酸初濃度-残存酢酸濃度)÷酢酸初濃度]×100
<硫化水素捕捉試験>
前記の消臭性構造物30gを10Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグに硫化水素濃度が60ppmの窒素ガス5Lを加えた。室温で16時間静置後、テドラーバック内の残存硫化水素濃度をガス検知管(ガステック社製)で定量した。さらに、硫化水素捕捉率を下式から算出した。
【0116】
硫化水素捕捉率[%]=[(硫化水素初濃度-残存硫化水素濃度)÷硫化水素初濃度]×100
上記の結果を表5に示した。
【0117】
実施例12
<消臭性組成物、消臭性構造物の調製>
実施例11において用いた実施例3組成物を、上記の実施例4で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 0.8質量%、クエン酸三ナトリウム二水和物 3質量%、及び水 93.2質量%からなる実施例4組成物に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
【0118】
実施例13
<消臭性組成物、消臭性構造物の調製>
実施例11において用いた実施例3組成物を、上記の実施例5で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 2質量%、クエン酸三ナトリウム二水和物 10質量%、及び水 85質量%からなる実施例5組成物に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
【0119】
比較例12
実施例11において用いた実施例3組成物を、上記の比較例6で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、及び水 97質量%からなる消臭剤組成物に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
【0120】
【0121】
実施例14
<消臭性組成物、及び消臭性構造物の調製>
上記の実施例2で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、水酸化亜鉛 0.8質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 93.2質量%からなる実施例2組成物 0.1gを、綿100%の繊維(縦5cm×横10cm)に塗布し、熱風式乾燥機(アドバンテック社製、DRJ433DA)を用いて60℃で30分間乾燥することにより、アミノオキシ酢酸 100質量部、酸化亜鉛 27質量部、及びポリエチレンイミン 100質量部からなる消臭剤組成物が担持された消臭性構造物を得た。この消臭性構造物を「加熱前試験布」と称する。一方、加熱前試験布を、上記の熱風式乾燥機を用いて100℃で24時間加熱することで、加熱処理を施した消臭性構造物を得た。この消臭性構造物を「加熱後試験布」と称する。
【0122】
<アセトアルデヒド捕捉試験及び速度定数の算出>
前記の各消臭性構造物を、それぞれ別々の10Lのテドラーバッグに封入し、次いで前記テドラーバッグにアセトアルデヒド濃度が10ppmの窒素ガス5Lを加えた。室温で2時間静置後、テドラーバック内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フィルム和光純薬社製、プレセップ-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いて定量することによって、テドラーバッグ内に残存した全アセトアルデヒド量を定量し、前記定量値を5Lの容量で除することによって、残存アセトアルデヒド濃度を算出した。さらに、次に示す式を用いて、アセトアルデヒド捕捉率を算出した。
【0123】
アセトアルデヒド捕捉率[%]=[(アセトアルデヒド初濃度-残存アセトアルデヒド濃度)÷アセトアルデヒド初濃度]×100
また、上記のアセトアルデヒド捕捉試験の方法に従って、別途、残存アセトアルデヒド濃度の経時変化を測定し、残存アセトアルデヒド濃度の自然対数値を経過時間に対してプロットし、近似直線の傾きから速度定数を算出した。
【0124】
上記の結果を表6に示した。
【0125】
比較例13
実施例14において用いた実施例2組成物を、上記の比較例6で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、及び水 97質量%からなる消臭剤組成物に変更した以外は、実施例14と同様の操作を行った。結果を表6に示した。
【0126】
比較例14
実施例14において用いた実施例2組成物を、上記の比較例7で調製した、アミノオキシ酢酸 3質量%、ポリエチレンイミン 3質量%、及び水 94質量%からなる消臭剤組成物に変更した以外は、実施例14と同様の操作を行った。結果を表6に示した。
【0127】
表6から明らかなように、本発明の消臭剤組成物が担持された消臭性構造物は、既存の消臭剤組成物が担持された消臭性構造物と比較して、高温暴露後においても優れた消臭性能(アルデヒド捕捉性能)を示した。
【0128】
本発明の消臭剤組成物、又はこれを担持した消臭性構造物は、アルデヒド類、アミン類、カルボン酸類、及び硫化水素に対し優れた消臭効果を発揮する。その結果、不快臭の低減に有効であり、生活環境改善の効果を奏する。
また、本発明の消臭剤組成物、又はこれが基材に担持された消臭性構造物は、高温曝露後もアルデヒド捕捉効果の低下が少ないという、従来にない消臭持続性(アルデヒド捕捉持続性)を発揮する。