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特開2024-35810亜鉛及びニッケル含有排水用の処理剤及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035810
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】亜鉛及びニッケル含有排水用の処理剤及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/62 20230101AFI20240307BHJP
   C02F 1/56 20230101ALI20240307BHJP
【FI】
C02F1/62 Z
C02F1/56 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136474
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2022139826
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】羅 中力
(72)【発明者】
【氏名】山本 典正
(72)【発明者】
【氏名】服部 正寛
【テーマコード(参考)】
4D015
4D038
【Fターム(参考)】
4D015BA04
4D015BA06
4D015BB06
4D015BB12
4D015CA17
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA15
4D015DB02
4D015DB12
4D015DB14
4D015EA04
4D015EA10
4D015EA32
4D015EA35
4D015EA39
4D015FA01
4D015FA02
4D015FA11
4D015FA12
4D015FA15
4D015FA19
4D015FA28
4D015FA29
4D038AA08
4D038AB67
4D038AB69
4D038AB80
4D038AB82
4D038AB86
4D038BB17
4D038BB18
4D038BB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カルボン酸化合物が共存している亜鉛、及びニッケルを含有する排水から、亜鉛とニッケルの両方を除去することができる排水処理剤及び排水処理法を提供する。
【解決手段】無機硫化物と、下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンと、を含む排水処理剤であって、前記無機硫化物100重量部に対し、前記ポリジアリルアミンを0.1~300重量部含むことを特徴とする、排水処理剤を用いる。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機硫化物と下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを含む排水処理剤であって、前記無機硫化物 100質量部に対し、前記ポリジアリルアミンを0.1~300質量部含むことを特徴とする、排水処理剤。
【化1】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。)
【請求項2】
無機硫化物が、硫化水素ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、又は多硫化カルシウムである、請求項1に記載の排水処理剤。
【請求項3】
前記のポリジアリルアミンの平均分子量が、1,000~500,000である、請求項1に記載の排水処理剤。
【請求項4】
、R、及びRが、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基である、請求項1に記載の排水処理剤。
【請求項5】
が、水素原子である、請求項4に記載の排水処理剤。
【請求項6】
、及びRが、共にメチル基、又は共にエチル基である、請求項4に記載の排水処理剤。
【請求項7】
が、塩化物イオンである、請求項1に記載の排水処理剤。
【請求項8】
さらに、水を含み、当該水の含有量が、前記無機硫化物 100質量部に対し、100~5000質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の排水処理剤。
【請求項9】
カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水に、請求項1~8のいずれか一項に記載の排水処理剤を添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法。
【請求項10】
前記カルボン酸化合物が、クエン酸、酒石酸、乳酸、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項9に記載の排水処理方法。
【請求項11】
カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水に、無機硫化物と下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法。
【化2】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。)
【請求項12】
前記無機硫化物の添加量が、前記排水中の亜鉛1モルに対し、0.1~20モルである、請求項11に記載の排水処理方法。
【請求項13】
前記ポリジアリルアミンの添加量が、前記無機硫化物の添加量 100質量部に対し、0.1~300質量部である、請求項11又は12に記載の排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛及びニッケルを含有する排水から、亜鉛及びニッケルを除去することを可能にする処理剤、及びそれを用いた排水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
めっき工場などから排出される、亜鉛、及びニッケルを含有した排水は、その毒性に基づいて生態系に影響を与える懸念がある。このため、当該排水については、排水処理設備に送られ、亜鉛、及びニッケルが除去された後、放流される必要がある。
【0003】
排水中の亜鉛、及びニッケル濃度の放流基準は、金属ごとに水質汚濁防止法で定められている。ニッケルは、一律排水基準が設定されていないが、自治体に基準が設定されており、例えば京都府では、2mg/Lが設定されている。
【0004】
一方、亜鉛は、一律排出基準として2mg/Lが設定されている。従来、亜鉛基準は、5mg/Lと定められ、平成18年には2mg/Lに強化されたが、亜鉛を排出する工場・事業場のうち、直ちに一律排水基準を達成することが困難な3業種(金属鉱業、下水道業、電気めっき業)について、令和3年まで暫定排水基準が設定されていた。その3業種のうち2業種(金属鉱業、下水道業)は、令和3年に一律排水基準に移行したが、残る電気めっき業は、一律排水基準の達成が困難なため、令和6年まで暫定基準として4mg/Lが設定されている。このように電気めっき業での亜鉛排水処理は、非常に困難であることが分かる。
【0005】
亜鉛排水基準の達成困難な理由として、亜鉛ニッケルめっき工程で使用されるクエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと略すこともある)などの有機酸、エチレンジアミン、ポリエチレンイミンといったアミン化合物、シアン、アンモニア及びポリ燐酸など、亜鉛と錯形成能力を持つ化合物が排水に含む場合、亜鉛の除去が困難となることが知られている。
【0006】
これに対し、亜鉛、又はニッケルを含む排水中から、薬剤を用いて亜鉛、又はニッケルを除去する方法として、硫化水素ナトリウムといった無機硫化物や、ジチオカルバミン酸塩等の有機キレートを用いる方法が報告されている(例えば、特許文献1~4)。
【0007】
しかしながら、無機硫化物の場合、錯化剤の濃度が高くなると亜鉛と十分反応せず、排水中から亜鉛を十分除去できない場合があった。また、ジチオカルバミン酸塩は、亜鉛とニッケルを両方含む排水の場合、ニッケルと先に反応するため、亜鉛濃度を低減できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-69227
【特許文献2】特開2017-154130
【特許文献3】特開2022-94340
【特許文献4】特開2019-069434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来公知の処理剤では、カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水から亜鉛及びニッケルを除去処理することが困難であるということが判明し、このような排水から亜鉛とニッケルの両方を除去することができる排水処理剤の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
[1]
無機硫化物と下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを含む排水処理剤であって、前記無機硫化物 100質量部に対し、前記ポリジアリルアミンを0.1~300質量部含むことを特徴とする、排水処理剤。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。)
[2]
無機硫化物が、硫化水素ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、又は多硫化カルシウムである、[1]に記載の排水処理剤。
[3]
前記のポリジアリルアミンの平均分子量が、1,000~500,000である、[1]に記載の排水処理剤。
[4]
、R、及びRが、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基である、[1]に記載の排水処理剤。
[5]
が、水素原子である、[4]に記載の排水処理剤。
[6]
、及びRが、共にメチル基、又は共にエチル基である、[4]に記載の排水処理剤。
[7]
が、塩化物イオンである、[1]に記載の排水処理剤。
[8]
さらに、水を含み、当該水の含有量が、前記無機硫化物 100質量部に対し、100~5000質量部であることを特徴とする、[1]に記載の排水処理剤。
[9]
カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水に、[1]~[8]のいずれか一項に記載の排水処理剤を添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法。
[10]
前記カルボン酸化合物が、クエン酸、酒石酸、乳酸、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、[9]に記載の排水処理方法。
[11]
カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水に、無機硫化物と下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法。
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。)
[12]
前記無機硫化物の添加量が、前記排水中の亜鉛1モルに対し、0.1~20モルである、[11]に記載の排水処理方法。
[13]
前記ポリジアリルアミンの添加量が、前記無機硫化物の添加量 100質量部に対し、0.1~300質量部である、[11]又は[12]に記載の排水処理方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の排水処理剤は、亜鉛及びニッケルの同時除去が難しい、カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水から、亜鉛及びニッケルを同時に除去することができるため、産業上極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、具体的に明示する場合を除き、「~」の前後に記載される数値の単位は同じである。
【0018】
本発明の一態様は、無機硫化物と下記一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを含む排水処理剤であって、前記無機硫化物 100質量部に対し、前記ポリジアリルアミンを0.1~300質量部含むことを特徴とする、排水処理剤、に係る。
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。)
前記無機硫化物としては、特に限定するものではないが、例えば、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、硫化カリウム、硫化水素カリウム、多硫化カリウム、硫化カルシウム、硫化水素カルシウム、多硫化カルシウム(石灰硫黄合剤)、硫化水素マグネシウム、又は硫化アンモニウム等が挙げられる。これらのうち、入手容易な点で、硫化水素ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、又は多硫化カルシウムが好ましく、併用するポリジアリルアミンの使用量を削減できる点で、硫化水素ナトリウムがさらに好ましい。
【0021】
前記一般式(1)、及び(2)において、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
【0022】
前記炭素数1~10のアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、炭素数3~10の直鎖状のアルキル基、又は炭素数3~10の分岐状のアルキル基を挙げることができる。
【0023】
前記の炭素数3~10の直鎖状のアルキル基、又は炭素数3~10の分岐状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチル-ブチル基、1,2-ジメチル-ブチル基、1,3-ジメチル-ブチル基、2,2-ジメチル-ブチル基、2,3-ジメチル-ブチル基、1,1-ジメチル-2-メチル-プロピル基、1-ジメチル-2、2-ジメチル-プロピル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、又はデシル基等を挙げることができる。
【0024】
、R、及びRについては、排水処理性能に優れる点で、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
【0025】
、及びRについては、排水処理性能に優れる点で、メチル基、又はエチル基であることがより好ましく、共にメチル基、又は共にエチル基であることが更に好ましく、共にメチル基であることが更により好ましい。
【0026】
については、排水処理性能に優れる点で、水素原子であることがより好ましい。
【0027】
前記一般式(1)において、Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸アニオン、アミド硫酸アニオン、又はエチル硫酸アニオンを表す。当該Xについては、ポリジアリルアミンが合成容易な点で、塩化物イオンであることが好ましい。
【0028】
上記の一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンについては、特に限定するものではないが、例えば、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(メチルジアリルアミン)、ポリ(エチルジアリルアミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルメチルエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムブロマイド)、ポリ(ジアリルジエチルアンモニウムブロマイド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムヨージド)、ポリ(ジアリルジエチルアンモニウムヨージド)、又はポリ(ジアリルジエチルアンモニウムエチルサルフェイト)、ポリ(プロピルジアリルアミン)、ポリ(iso-プロピルジアリルアミン)、ポリ(ブチルジアリルアミン)、ポリ(iso-ブチルジアリルアミン)、ポリ(tert-ブチルジアリルアミン)、ポリ(sec-ブチルジアリルアミン)、ポリ(ペンチルジアリルアミン)、ポリ(イソペンチルジアリルアミン)、ポリ(1-メチルブチルジアリルアミン)、ポリ(1,1-ジメチルプロピルジアリルアミン)、ポリ(2,2-ジメチルプロピルジアリルアミン)、ポリ(ヘキシルジアリルアミン)、ポリ(1-メチルペンチルジアリルアミン)、ポリ(2-メチルペンチルジアリルアミン)、ポリ(3-メチルペンチルジアリルアミン)、ポリ(4-メチルペンチルジアリルアミン)、ポリ(1,1-ジメチル-ブチルジアリルアミン)、ポリ(1,2-ジメチル-ブチルジアリルアミン)、ポリ(1,3-ジメチル-ブチルジアリルアミン)、ポリ(2,2-ジメチル-ブチルジアリルアミン)、ポリ(2,3-ジメチル-ブチルジアリルアミン)、ポリ(1,1-ジメチル-2-メチル-プロピルジアリルアミン)、ポリ(1-ジメチル-2、2-ジメチル-プロピルジアリルアミン)、ポリ(シクロヘキシルジアリルアミン)、ポリ(ヘプチルジアリルアミン)、ポリ(オクチルジアリルアミン)、ポリ(ノニルジアリルアミン)、ポリ(デシルジアリルアミン)、ポリ(ジプロピルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(iso-プロピル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジブチルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(iso-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(tert-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(sec-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジペンチルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(iso-ペンチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1-メチルブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1,1-ジメチルプロピル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(2,2-ジメチルプロピル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジヘキシルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1-メチルペンチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(2-メチルペンチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(3-メチルペンチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(4-メチルペンチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1,1-ジメチル-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1,2-ジメチル-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1,3-ジメチル-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(2,2-ジメチル-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(2,3-ジメチル-ブチル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1,1-ジメチル-2-メチル-プロピル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(bis(1-ジメチル-2、2-ジメチル-プロピル)ジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジシクロヘキシルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジヘプチルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジオクチルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジノニルジアリルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジデシルジアリルアンモニウムクロライド)、アリルアミンジアリルアミン共重合体、アリルアミンジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムサルフェイト二酸化硫黄共重合体、メチルジアリルアミン二酸化硫黄共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合体、ジアリルアミン塩酸塩アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアクリルアミド共重合体、メチルジアリルアミンジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、エピクロロヒドリン付加型3級アミン塩酸塩4級アンモニウム塩共重合体、ジアリルアミン塩酸塩マレイン酸共重合体、メチルジアリルアミンマレイン酸共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイトマレイン酸共重合体、又はジアリルメチルエチルアンモニウムクロライドマレイン酸共重合体、等を挙げることができ、具体的製品として、例えば、ユニセンスFPA100L、PAS-21CL、PAS-21、PAS-M-1L、PAS-M-1、PAS-22SA-40,PAS-M-1A,PAS-H-1L、PAS-H-1LL、PAS-H-5L、PAS-H-10L、PAS-24、PAS-92、PAS-2401、PAS-92A、PAS-2201、PAS-2201CL、PAS-2201A、PAS-A-1、PAS-A-5、PAS-2141CL、PAS-J-81L、PAS-J-81、PAS-J-81LL、PAS-J-41、PAS-J-41H、PAS-2223、PAS-880、PAS-410C、PAS-411C、PAS-410L、PAS-410SA、PAS-2251、PAS-84、PAS-2451、又はPAS-2351等を挙げることができる。
【0029】
前記のポリジアリルアミンについては、排水処理能力に優れる点で、その平均分子量が、1,000~500,000であることが好ましく、5,000~200,000であることがより好ましい。
【0030】
本発明の排水処理剤において、前記ポリジアリルアミンの含有量は、前記無機硫化物 100質量部に対して、0.1~300質量部であることを特徴とし、処理コストに優れる点で、0.5~200質量部であることが好ましく、1~150質量部であることがより好ましい。
【0031】
本発明の排水処理剤については、さらに水を含有していてもよく、水を含む場合の水の含有量については、水を含んだ排水処理剤を100質量%として、50~95質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましい。
【0032】
本発明の別の態様として、カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水に、前記の排水処理剤を添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法が挙げられる。
【0033】
本発明で用いるカルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水(以下、「本排水」と称する)について説明する。
【0034】
プリント基板などのメッキ処理施設では、カルボン酸化合物、亜鉛、及びニッケルを含有する排水が排出される。当該排水については、特に限定するものではないが、亜鉛、及びニッケル以外の金属を含んでいてもよい。亜鉛、及びニッケル以外の金属としては、例えば、カドミウム、クロム、銅、鉄、水銀、鉛、パラジウム、金、銀、白金、コバルト、インジウム、モリブデン、アンチモン、スズ、チタン、ジルコニウム、マンガン、又はタングステン等を挙げることができる。本発明の排水処理剤については、このような亜鉛、及びニッケル以外の金属が含まれる本排水に対しても適用可能であり、効果的に、排水中の亜鉛及びニッケル濃度を低減させることができる。
【0035】
前記の排水処理剤を適用させる本排水中の亜鉛濃度については、特に限定するものではないが、2~1,000mg/Lであることが好ましく、10~700mg/Lであることがより好ましく、20~500mg/Lであることがより好ましい。
【0036】
また、前記の排水処理剤を適用させる本排水中のニッケル濃度については、特に限定するものではないが、2~1,000mg/Lであることが好ましく、10~700mg/Lであることがより好ましく、20~500mg/Lであることがより好ましい。
【0037】
なお、前記亜鉛と前記ニッケルの含有量の比については、亜鉛1モルに対し、ニッケルが0.1~10モル(亜鉛100質量部に対し、ニッケルが9~898質量部)、であることが好ましい。
【0038】
前記カルボン酸化合物としては、特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、EDTA、ニトリロ三酢酸、アクリル酸、グルコン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、グリコール酸、アスコルビン酸、ヒドロキシ酪酸、グルコヘプトン酸、シトラマル酸、エリソルビン酸、グルタミン酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、オルニチン、システイン、グリシン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン、(S、S)-エチレンジアミンコハク酸が挙げられる。特に亜鉛又はニッケルと強固な錯体を形成するカルボン酸化合物として、乳酸、酒石酸、クエン酸、EDTAが挙げられ、これらのカルボン酸化合物を含有する本排水の処理が好ましい。
【0039】
前記の本排水において、前記カルボン酸化合物の濃度は、特に限定するものではないが、10~500mg/Lであることが好ましく、50~200mg/Lであることがより好ましい。
【0040】
前記の本排水において、前記カルボン酸化合物と亜鉛イオンの比率(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、特に限定するものではないが、0.1~2(mol/mol)であることが好ましく、0.2~1(mol/mol)であることがより好ましい。
【0041】
前記の本排水に、前記排水処理剤を添加する際、当該本排水のpHは、無機硫化物の分解に伴う硫化水素ガスの発生を抑制できる点や亜鉛処理性能に優れる点から、6~14であることが好ましく、8~11であることがより好ましい。
【0042】
前記の本排水に、前記排水処理剤を添加する際の添加量については、排水処理性能に優れる点で、前記の本排水1L当たり、10~5,000mgであることが好ましく、50~3,000mgであることがより好ましく、100~2,000mgであることがより好ましい。
【0043】
なお、前記排水処理剤の添加量については、排水処理性能に優れる点で、前記の本排水に含まれる亜鉛イオン 1モルに対して、無機硫化物が0.1~20モルとなるように調節することが好ましく、0.5~15モルとなるように調節することがより好ましく、1~10モルとなるように調節することがより好ましい。
【0044】
前記の本排水に、前記の排水処理剤を添加した後の排水は、撹拌することが好ましいが、当該撹拌時間は、通常、数分~2時間の範囲であることが好ましい。
【0045】
前記の本排水に、前記排水処理剤を添加した後、さらに高分子凝集剤を添加するが、高分子凝集剤を添加することによって、ろ過のしやすいスラリーを形成させることができる。当該スラリーは、前記亜鉛、前記ニッケル、前記無機硫化物、前記ポリジアリルアミン、及び前記高分子凝集剤が反応して析出した固体を含む。
【0046】
以上の排水処理方法を実施することによって、本排水中に溶解していた亜鉛及びニッケルが不溶化するため、当該本排水中から亜鉛及びニッケルを除去することができる。
【0047】
前記高分子凝集剤としては、特に限定するものではないが、例えば、アクリル酸ポリマー、アクリルアミドポリマー、又はジメチルアミノエチルメタアクリレートポリマー等が挙げられる。これらのうち、重金属固形物の凝集性能の点で、アクリル酸ポリマーが好ましい。これらの高分子凝集剤については、市販品をそのまま用いることが好ましい。
【0048】
前記高分子凝集剤の添加量については、特に限定するものではないが、前記本排水に含まれる亜鉛100質量部を基準として、0.1~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。
【0049】
前記高分子凝集剤を添加した後の本排水は、撹拌することが好ましいが、当該撹拌時間は、通常、数分~2時間の範囲から選ばれる。
【0050】
前記の高分子凝集剤を添加することによって、ろ過しやすいスラリーを得ることができるが、ここでさらに、凝集剤を加えることによって、前記スラリーが更にろ過しやすくなる。
【0051】
前記凝集剤としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化第二鉄、若しくは硫酸第一鉄等の鉄化合物、又は硫酸アルミニウム、若しくはポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等を挙げることができる。ただし、このような無機凝集剤の使用は、重金属含有スラッジの量が多くなり、スラッジを埋め立て処分場に運搬する際の運搬コストが上昇するため、使用量についてはできるだけ少ない方が好ましい。
【0052】
前記のスラリーから固体成分を分離する方法としては特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離、又は前記固体成分を沈降させた後、上澄み液と分離する方法(沈降分離)等が挙げられる。
【0053】
本発明の排水処理方法については、本排水の温度、前記排水処理剤を添加する過程の排水の温度、又は高分子凝集剤の添加量を添加する過程の排水の温度が、各々独立に、-10℃~40℃の範囲であることが好ましく、4℃~40℃の範囲であることがより好ましい。
【0054】
前記本排水を酸性又はアルカリ性に調整する場合、pH調整剤を使用しても良い。pH調整剤としては、例えば、酸性に調整する場合は塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等の無機塩及びその水溶液、アルカリ性に調整する場合は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機塩基及びその水溶液等が挙げられる。
【0055】
本発明の排水処理方法は、連続式で実施してもよいし、単一式(バッチ式)で実施してもよい。
【0056】
本発明の別の態様として、前記の本排水に、前記の無機硫化物と、前記の一般式(1)又は(2)で示される繰り返し単位が少なくとも2つ以上繰り返すことを特徴とするポリジアリルアミンとを添加して撹拌し、次いで高分子凝集剤を添加、撹拌してスラリーを形成させ、次いで、前記スラリーから固体成分を分離することを特徴とする、排水処理方法が挙げられる。
【0057】
当該排水処理方法において使用する、本排水、無機硫化物、ポリジアリルアミン、高分子凝集剤については、上記の通りである。また、当該排水処理方法における、添加方法、撹拌方法、分離方法、処理条件などについても上記の通りである。
【0058】
なお、当該排水処理方法において、前記無機硫化物の添加量は 前記の本排水に含まれる亜鉛イオン1モルに対し、0.1~20モルであることが好ましく、0.5~15モルであることがより好ましく、1~10モルであることがより好ましい。
【0059】
また、当該排水処理方法において、前記ポリジアリルアミンの添加量は、前記無機硫化物の添加量 100質量部に対し、0.1~300質量部であることが好ましく、0.5~200質量部であることがより好ましく、1~150質量部であることがより好ましい。
【0060】
当該排水処理方法において、カルボン酸、亜鉛及びニッケル含有排水に、前記無機硫化物と前記ポリジアリルアミンを添加する方法としては、例えば、前記排水にそれぞれの固体物質を別々に添加する方法、前記排水に前記無機硫化物と前記ポリジアリルアミンを混ぜ合わせた固形物を添加する方法、前記排水にそれぞれの水溶液を別々に添加する方法、前記排水に前記無機硫化物と前記ポリジアリルアミンの両方を溶解させた水溶液を添加する方法、を挙げることができるが、操作性に優れる点で、前記排水に前記無機硫化物と前記ポリジアリルアミンの両方を溶解させた水溶液を添加する方法が好ましい。
【実施例0061】
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
【0062】
(分析方法)
水溶液中の重金属イオン濃度は、ICP発光分光分析装置(ICPE-9800、島津製作所社製)で測定した。
【0063】
(硫化物)
硫化物として、硫化水素ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、硫化カリウム(富士フイルム和光純薬社製)、又は多硫化カルシウム(さくら化興社製、石灰硫黄合剤)を使用した。
【0064】
(ジチオカルバミン酸塩)
比較例で使用したピペラジンジチオカルバミン酸カリウム塩(以下、PIP-DTCと略す)は、以下の方法に従って調製した。
【0065】
ピペラジン(東ソー社製)112gと純水386gを混合した後、25℃で、窒素気流中で攪拌しながら48質量%水酸化カリウム306g(キシダ化学社製)と二硫化炭素196g(キシダ化学社製)をそれぞれ4分割して交互に滴下した。1時間攪拌し、PIP-DTCを40質量%含む水溶液を得た。
【0066】
【化4】
【0067】
比較例で使用したテトラエチレンペンタミンのジチオカルバミン酸ナトリウム塩(以下、TEPA-DTCと略す)は、以下の方法に従って調製した。
【0068】
テトラエチレンペンタミン(東ソー社製)159gと純水331gを混合した後、25℃
で、窒素気流中で攪拌しながら48質量%水酸化ナトリウム281g(キシダ化学社製)と
二硫化炭素230g(キシダ化学社製)をそれぞれ4分割して交互に滴下した。1時間攪拌
し、TEPA-DTCを40質量%含む水溶液を得た。
【0069】
【化5】
【0070】
比較例で使用したジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩(以下、DMe-DTCと略す)は、以下の方法に従って調製した。
【0071】
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム二水和物(東京化成工業社製)25.0gと純水25.0gを混合した後、25℃で10分撹拌して、DMe-DTCを40質量%含む水溶液を得た。
【0072】
【化6】
【0073】
比較例で使用したジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩(以下、DEt-DTCと略す)は、以下の方法に従って調製した。
【0074】
N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(富士フイルム和光純薬社製)26.3gと純水23.7gを混合した後、25℃で10分撹拌して、DEt-DTCを40質量%含む水溶液を得た。
【0075】
【化7】
【0076】
(ポリジアリルアミン)
ポリジアリルアミンとして、以下のものを使用した。
ジアリルアミン重合体(平均分子量5,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-21)(以下、PDAA-1と略す)。
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体(平均分子量8,500)(ニットーボーメディカル社製、PAS-H-1L)(以下、PDAA-2と略す)。
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体(平均分子量30,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-H-5L)(以下、PDAA-3と略す)。
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体(平均分子量200,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-H-10L)(以下、PDAA-4と略す)。
ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト重合体(平均分子量37,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-24)(以下、PDAA-5と略す)。
メチルジアリルアミン塩酸塩重合体(平均分子量5,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-M-1L)(以下、PDAA-6と略す)。
メチルジアリルアミン塩酸塩重合体(平均分子量20,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-M-1)(以下、PDAA-7と略す)。
メチルジアリルアミン酢酸塩重合体(平均分子量20,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-M-1A)(以下、PDAA-8と略す)。
メチルジアリルアミンアミド硫酸塩重合体(平均分子量15,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-22SA-40)(以下、PDAA-9と略す)。
メチルジアリルアミンジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体(平均分子量13,000)(ニットーボーメディカル社製、PAS-2223)(以下、PDAA-10と略す)。
【0077】
PDAA-1~10の構造を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
また、比較例にて下記のポリエチレンイミンを使用した。
ポリエチレンイミン(平均分子量1800)(日本触媒社製)(以下、PEI(1800)と略す)。
ポリエチレンイミン(平均分子量75万)(BASF社製)(以下、PEI(75万)と略す)。
【0080】
並びに、比較例にて、下記のアミン化合物を使用した。
ジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド(混合物)(東京化成工業社製)(以下、DADMeと略す)。
アクリルアミド・アクリロニトリル・N(2)-ビニルアクリルアミジン-塩化水素(1/1)・N-ビニルアクリルアミド・ビニルアミン-塩化水素(1/1)・N-ビニルホルムアミド共重合物(分子量300万)(三菱ケミカル社製、ダイヤフロックKP700)(以下、AVVVと略す)。
【0081】
(高分子凝集剤)
高分子凝集剤として、OA-23(オルガノ社製、弱アニオンポリマー)を使用した。
【0082】
実施例1
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン50mg/L、ニッケルイオン50mg/L、及びクエン酸80mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、前記水溶液をpH9に調整した(排水組成物)。前記排水組成物において、カルボン酸化合物と亜鉛イオンのモル比(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、0.54(mol/mol)であった。
【0083】
次いで、前記排水組成物に、硫化水素ナトリウムを、30mg(投入量100mg/Lとなるよう)添加し、及びPDAA-1を、18mg(投入量60mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取し、排水組成物中に残存した亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表2に示した。
【0084】
実施例2~13、比較例1~13
表2に示した硫化物の種類、及び添加量、並びにPDAAの種類、及び添加量で各薬剤を加えた以外、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示した。
【0085】
【表2】
【0086】
実施例1~3は、無機硫化物として硫化水素ナトリウムを、ポリジアリルアミンとしてそれぞれ異なる種類のPDAA1~3を用いて、処理した例であり、亜鉛を排水基準の2mg/L以下に低減できることを示している。
【0087】
実施例4~5は、無機硫化物として、硫化カリウム、多硫化カルシウムを用いて、処理した例であり、亜鉛を排水基準の2mg/L以下に低減できることを示している。
【0088】
実施例6~12は、無機硫化物として硫化水素ナトリウムを、ポリジアリルアミンとしてそれぞれ異なる種類のPDAA4~10を用いて、処理した例であり、亜鉛を低減できることを示している。
【0089】
比較例1~3は、無機硫化物単独で処理した例であり、亜鉛及びニッケルをほとんど低減できないことを示している。
【0090】
比較例4は、PDAA単独で処理した例であり、実施例3と比較し、亜鉛を一律排水基準の2mg/L以下に処理できず、亜鉛の処理性能が不十分であることを示している。
【0091】
比較例5~8は、硫化物として、それぞれ異なる種類のジチオカルバミン酸塩単独を用いて処理した例であり、亜鉛及びニッケルを低減できないことを示している。
【0092】
比較例9は、硫化物としてジチオカルバミン酸塩、及びポリジアリルアミンとしてPDAA-2を用いて処理した例であり、亜鉛及びニッケルを低減できないことを示している。
【0093】
比較例10、11は、それぞれ平均分子量の異なるポリエチレンイミン、及び硫化物として硫化水素ナトリウムと併用した例であり、亜鉛を一律排水基準の2mg/L以下に処理できず、亜鉛の処理性能が不十分であることを示している。
【0094】
比較例12、13は、それぞれ本願発明の一態様であるポリアリルアミンとは異なるアミン化合物、及び硫化物として硫化水素ナトリウムと併用した例であり、亜鉛を一律排水基準の2mg/L以下に処理できず、亜鉛の処理性能が不十分であることを示している。
【0095】
実施例13
200mLビーカーに、15質量%PDAA-1水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Aを100g得た。当該排水処理剤Aの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-1(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0096】
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン50mg/L、ニッケルイオン50mg/L、及びクエン酸80mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で、前記水溶液をpH9に調整した。次いで、前記の排水処理剤Aを、300mg(投入量1000mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取して、亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表4に示した。
【0097】
実施例14
200mLビーカーに、15質量%PDAA-2水溶液を80.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを28.6g加えた後、30分間撹拌し、水 54.3gを留去することで、排水処理剤Bを100g得た。当該排水処理剤Bの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-2(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=20/12/1/67(以上、質量%)である。
【0098】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤B 150mgを用いた(投入量500mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0099】
実施例15
200mLビーカーに、15質量%PDAA-3水溶液を40.0g、水を26.4g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを28.6g加えた後、30分間撹拌し、排水処理剤Cを100g得た。当該排水処理剤Cの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-3(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=20/6/1/73(以上、質量%)である。
【0100】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤C 75mgを用いた(投入量250mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0101】
実施例16
200mLビーカーに、15質量%PDAA-3水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化カリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌し、排水処理剤Dを100g得た。当該排水処理剤Dの組成は、硫化カリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-3(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0102】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤D 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0103】
実施例17
200mLビーカーに、15質量%PDAA-3水溶液を40.0g、水を26.4g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%多硫化カルシウムを28.6g加えた後、30分間撹拌し、排水処理剤Eを100g得た。当該排水処理剤Eの組成は、多硫化カルシウム(無機硫化物に該当)/PDAA-3(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=20/6/1/73(以上、質量%)である。
【0104】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤E 150mgを用いた(投入量500mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0105】
実施例18
200mLビーカーに、15質量%PDAA-4水溶液を8.0g、水を84.1g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを2.9g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Fを100g得た。当該排水処理剤Fの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-4(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=2/1/1/96(以上、質量%)である。
【0106】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤F 1500mgを用いた(投入量5000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0107】
実施例19
200mLビーカーに、15質量%PDAA-5水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Gを100g得た。当該排水処理剤Gの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-5(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0108】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤G 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0109】
実施例20
200mLビーカーに、15質量%PDAA-6水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Hを100g得た。当該排水処理剤Hの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-6(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0110】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤H 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0111】
実施例21
200mLビーカーに、15質量%PDAA-7水溶液を140g、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えて撹拌した。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを50.0g加えた後、30分間撹拌し、水 95gを留去することで、排水処理剤Iを100g得た。当該排水処理剤Iの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-7(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=35/21/1/43(以上、質量%)である。
【0112】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤I 86mgを用いた(投入量286mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0113】
実施例22
200mLビーカーに、15質量%PDAA-8水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Jを100g得た。当該排水処理剤Jの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-8(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0114】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤J 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0115】
実施例23
200mLビーカーに、15質量%PDAA-9水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Kを100g得た。当該排水処理剤Kの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-9(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0116】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤K 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0117】
実施例24
200mLビーカーに、15質量%PDAA-10水溶液を40.0g、水を40.7g加え、撹拌した後、20質量%水酸化ナトリウムを5.0g加えた。次いで、70質量%硫化水素ナトリウムを14.3g加えた後、30分間撹拌することで、排水処理剤Lを100g得た。当該排水処理剤Lの組成は、硫化水素ナトリウム(無機硫化物に該当)/PDAA-10(ポリジアリルアミンに該当)/水酸化ナトリウム/水=10/6/1/83(以上、質量%)である。
【0118】
実施例13において、排水処理剤A 300mgを用いる代わりに、排水処理剤L 300mgを用いた(投入量1000mg/Lとなるように添加)以外は実施例13と同じ操作を行い、評価した。結果を表4に示した。
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
実施例13は、実施例1と同じ量の硫化物、ポリジアリルアミンを事前に混合した水溶液を投入して処理した例である。実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0122】
同様に実施例14~24は、実施例2~12のそれぞれと同じ量の無機硫化物、ポリジアリルアミンを事前に混合した水溶液を投入して処理した例であり、事前に無機硫化物とポリジアリルアミンを混合した水溶液を加えても、亜鉛濃度を低減できた。
【0123】
実施例25~31、比較例14~17
表5に示した硫化物の種類、及び添加量、並びにPDAAの種類、及び添加量で各薬剤を加えた以外、実施例1と同様の操作を行った。結果を表5に示した。
【0124】
【表5】
【0125】
実施例25~31は、PDAAと硫化物の重量比を本願発明の範囲で変量させた例であり、亜鉛濃度を排水基準の2mg/L以下に低減できることを示している。
【0126】
比較例14~17は、PDAAと硫化物の質量比を本願発明の範囲外で処理した例であり、亜鉛を排水基準値の2mg/L以下に処理することはできず、亜鉛の処理が不十分であることを示している。
【0127】
実施例32
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン50mg/L、ニッケルイオン50mg/L、及び酒石酸100mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、前記水溶液をpH9(アルカリ添加後のpH)に調整した(排水組成物)。前記排水組成物において、カルボン酸化合物と亜鉛イオンのモル比(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、0.87(mol/mol)であった。
【0128】
次いで、前記排水組成物に、硫化水素ナトリウムを、30mg(投入量100mg/Lとなるよう)添加し、及びPDAA-1を、9mg(投入量30mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取し、排水組成物中に残存した亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表6に示した。
【0129】
実施例33
実施例32において、酒石酸を用いる代わりに、乳酸を用いた以外は実施例32と同じ操作を行い、評価した。結果を表6に示した。
【0130】
実施例34
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン20mg/L、ニッケルイオン20mg/L、及びクエン酸10mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化カルシウム水溶液を添加して、前記水溶液をpH10(アルカリ添加後のpH)に調整した(排水組成物)。前記排水組成物において、カルボン酸化合物と亜鉛イオンのモル比(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、0.17(mol/mol)であった。
【0131】
次いで、前記排水組成物に、硫化水素ナトリウムを、30mg(投入量100mg/Lとなるよう)添加し、及びPDAA-3を、9mg(投入量30mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取し、排水組成物中に残存した亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表6に示した。
【0132】
実施例35
実施例34で10質量%水酸化カルシウム水溶液を添加した後pH10にする操作(アルカリ添加後のpH)をpH11にした以外は、実施例34と同じ操作を行い、評価した。結果を表6に示した。
【0133】
実施例36
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン500mg/L、ニッケルイオン500mg/L、及び乳酸200mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、前記水溶液をpH10に調整した(排水組成物)。前記排水組成物において、カルボン酸化合物と亜鉛イオンのモル比(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、0.29(mol/mol)であった。
【0134】
次いで、前記排水組成物に、硫化水素ナトリウムを、30mg(投入量100mg/Lとなるよう)添加し、及びPDAA-5を、9mg(投入量30mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取し、排水組成物中に残存した亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表6に示した。
【0135】
実施例37
実施例36で10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後pH10にする操作(アルカリ添加後のpH)をpH11にした以外は、実施例36と同じ操作を行い、評価した。結果を表6に示した。
【0136】
実施例38
ジャーテスターに設置した500mLビーカーに、亜鉛イオン500mg/L、ニッケルイオン500mg/L、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)20mg/Lを含む水溶液を300mL投入した。次いで、150rpmで攪拌しながら、10質量%水酸化カルシウム水溶液を添加して、前記水溶液をpH10に調整した(排水組成物)。前記排水組成物において、カルボン酸化合物と亜鉛イオンのモル比(カルボン酸化合物のモル数÷亜鉛イオンのモル数)は、0.29(mol/mol)であった。
【0137】
次いで、前記排水組成物に、硫化水素ナトリウムを、30mg(投入量100mg/Lとなるよう)、及びPDAA-5を、18mg(投入量60mg/Lとなるよう)添加し、150rpmで5分間撹拌した。次いで高分子凝集剤としてOA-23を、0.6mg(投入量2mg/Lとなるよう)添加し、50rpmで5分間攪拌した。撹拌を停止し、5分間静置した後、上澄みを分取し、排水組成物中に残存した亜鉛及びニッケル濃度を測定した。結果を表6に示した。
【0138】
実施例39
実施例38で10質量%水酸化カルシウム水溶液を添加した後pH10にする操作(アルカリ添加後のpH)をpH11にした以外は、実施例38と同じ操作を行い、評価した。結果を表6に示した。
【0139】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の排水処理剤及び排水処理方法は、めっき工場などから排出される亜鉛及びニッケルを含有する排水の処理方法に利用可能である。