(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036361
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】創傷治療における創傷閉鎖の流体除去管理および制御
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002615
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2019563080の分割
【原出願日】2018-06-12
(31)【優先権主張番号】62/519,781
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/519,787
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジョセフ・ジャクライン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
(57)【要約】
【課題】創傷を被覆し、その創傷に治療を提供するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】陰圧創傷療法システムおよびそのシステムを操作する方法の実施形態が開示されている。一実施形態では、陰圧創傷療法装置が、創傷被覆材と、陰圧源と、コントローラとを含み得る。陰圧源は、流体流路を介して創傷被覆材に陰圧を与えることができる。コントローラは、創傷から流体除去量を監視し、遠隔装置へ流体除去量を無線通信し、流体除去量が閾値を満たす場合に表示を出力し得る。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化構造を含む創傷被覆材に流体流路を介して陰圧を与えるように構成された陰圧源であって、前記安定化構造が創傷に挿入され、前記安定化構造が前記創傷内に位置付けられる場合に、前記創傷に陰圧を印加すると折り畳まれるよう構成された、陰圧源と、
前記流体流路内の圧力を検出するように構成されたセンサと、
コントローラであって、
前記陰圧源が前記流体流路内の前記圧力の大きさを陰圧範囲内に維持しつつ、前記流体流路内の前記圧力から前記安定化構造の折り畳み測定量を判定し、
前記折り畳み測定量に対応して表示を出力するよう構成されたコントローラと、を備える創傷療法装置。
【請求項2】
前記コントローラが、経時的な前記流体流路の前記圧力の前記大きさの変化から、前記折り畳み測定量を判定するよう構成された、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項3】
前記コントローラが、経時的な前記流体流路内の前記圧力の前記大きさの圧力変化パターンとの比較から、前記折り畳み測定量を判定するようにさらに構成された、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項4】
前記圧力変化パターンが、(i)前記安定化構造が完全に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、(ii)前記安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、および、(iii)前記安定化構造が折り畳まれていない場合の前記流体流路内の圧力の大きさのうちの一つまたは複数を示す、請求項3に記載の創傷療法装置。
【請求項5】
前記折り畳み測定量が前記安定化構造の折り畳み量を含む、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項6】
前記コントローラが、縫合部が前記創傷被覆材に近接している場合、前記流体流路内の前記圧力から、前記縫合部が破裂または破損したことを検出するようさらに構成された、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項7】
前記コントローラが、(i)前記陰圧源を作動または作動解除させる、(ii)アラームを作動または作動解除させる、(iii)前記陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させる、または、(iv)前記流体流路内の陰圧を解放するための前記表示を出力するよう構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記陰圧源の作動および作動解除を制御して、前記流体流路内の前記圧力の前記大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、前記安定化構造の折り畳みの標的レベルに従って一定時間、前記陰圧源の作動および作動解除を制御するための前記表示を出力するよう構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項9】
前記時間が、少なくとも1分間である、請求項8に記載の創傷療法装置。
【請求項10】
前記コントローラが、ユーザへの提示、または、メモリ装置への保存のための前記表示を出力するよう構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記表示に関連付けられた装置使用データを、メモリ装置内に保存するようさらに構成され、前記装置使用データは、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間のうちの一つまたは複数を含む、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記流体流路内の前記圧力から前記創傷被覆材が前記安定化構造を含むかどうかを判定するようさらに構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項13】
前記センサが、前記創傷被覆材における前記流体流路内、前記流体流路の一つまたは複数の内腔、または、前記陰圧源の入口における前記圧力を検出するよう構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【請求項14】
前記陰圧源が、前記流体流路内の前記圧力の前記大きさが前記陰圧範囲内に維持される場合、陰圧療法を実施するよう構成される、請求項1に記載の創傷療法装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月14日に出願された米国仮出願第62/519,787号と、2017年6月14日に出願された米国仮出願第62/519,781号の優先権を主張するものであり、両開示はその全体が参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、創傷を被覆し、その創傷に治療を提供するための方法および装置に関する。具体的には、限定するものではないが、本明細書に開示された実施形態は、陰圧療法装置、局所陰圧(TNP)システムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムの使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態において、創傷療法装置が開示されている。創傷療法装置は、創傷に挿入されるように構成された安定化構造と、流体流路を介して創傷被覆材に陰圧を提供するよう構成された陰圧源と、コントローラとを備える創傷被覆材を含む。コントローラは、創傷からの流体除去量を監視し、遠隔装置へ流体除去量を無線通信し、流体除去量が閾値を満たす場合に表示を出力するように構成される。
【0004】
上記の段落に記載の創傷療法装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。コントローラは、流体除去量が閾値を満たす場合、陰圧源が創傷被覆材に供給される陰圧レベルを調整するよう、さらに構成される。コントローラは、創傷から吸引された流体の重量から流体除去量を監視するようにさらに構成される。コントローラは、創傷から吸引された流体の重量およびキャニスタ内に貯蔵された流体の重量を監視するようにさらに構成される。創傷療法装置はさらに、流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を監視するように構成された圧力センサを含むことができ、コントローラは、圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、流体除去量を監視するようにさらに構成される。創傷療法装置はさらに、創傷から除去された流体を貯蔵するように構成されたキャニスタを含むことができ、コントローラは、キャニスタ内の流体レベルから流体除去量を監視するようにさらに構成される。コントローラは、流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、キャニスタ内の流体レベルを監視するようにさらに構成される。コントローラは、陰圧源の作動レベルからキャニスタ内の流体レベルを監視するようにさらに構成される。陰圧源は真空ポンプを備え、陰圧源の作動レベルは真空ポンプの速度に相当する。圧力の一つまたは複数の特徴は、圧力信号の大きさを含み、キャニスタ内の流体レベルが増加するにつれて圧力信号の大きさが増加する。コントローラは、流体除去量を遠隔装置へ無線通信して、遠隔装置に、流体除去量を患者に関連付けられた電子医療記録に保存させるよう、さらに構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、コントローラおよび陰圧源を備える、陰圧創傷療法装置を操作する方法が開示されている。陰圧源は、流体流路を介して創傷被覆材に陰圧を与え、創傷被覆材は、創傷に挿入される安定化構造を備える。この方法は、創傷からの流体除去量を監視することと、遠隔装置へ流体除去量を無線通信することと、流体除去量が閾値を満たす場合に表示を出力することと、を含む。方法はコントローラによって実施される。
【0006】
上記の段落に記載の方法は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。方法は、流体除去量が閾値を満たす場合に、陰圧源によって創傷被覆材に与えられる陰圧レベルを調整することをさらに含む。流体除去量を監視することは、創傷から吸引された流体の重量から流体除去量を監視することを含む。流体除去量を監視することは、創傷から吸収される流体の重量、および、創傷被覆材によって吸収された、または、キャニスタ内に貯蔵された流体の重量を監視することを含む。方法はさらに、流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を監視することを含み、流体除去量を監視することは、圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、流体除去量を監視することを含む。流体除去量を監視することは、創傷から除去された流体を貯蔵するキャニスタ内の流体レベルから流体除去量を監視することを含む。流体除去量を監視することは、流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、キャニスタ内の流体レベルを監視することを含む。流体除去量を監視することは、陰圧源の作動レベルからキャニスタ内の流体レベルを監視することを含む。陰圧源は真空ポンプを備え、陰圧源の作動レベルは真空ポンプの速度に相当する。圧力の一つまたは複数の特徴は、圧力信号の大きさを含み、キャニスタ内の流体レベルが増加するにつれて圧力信号の大きさが増加する。流体除去量を無線通信することは、遠隔装置に流体除去量を無線通信して、遠隔装置に、患者に関連付けられた電子医療記録に流体除去量をさせることを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、創傷療法装置が開示されている。創傷療法装置は、安定化構造を備えた創傷被覆材に流体流路を介して陰圧を与えるように構成された陰圧源であって、安定化構造は、創傷に挿入され、安定化構造が創傷内に位置付けられると、創傷に陰圧を印加すると折り畳まれるよう構成された陰圧源と、流体流路内の圧力を検出するように構成されたセンサと、コントローラと、を含む。コントローラは、陰圧源が流体流路内の圧力の大きさを陰圧範囲内に維持する間は、流体流路内の圧力から安定化構造の折り畳み測定量を判定し、折り畳み測定量に対応して表示を出力するよう構成される。
【0008】
上記の段落に記載の創傷療法装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。コントローラは、経時的な流体流路内の圧力の大きさの変化から折り畳み測定量を判定するように構成される。コントローラは、経時的な流体流路内の圧力の大きさを、圧力変化パターンと比較することから、折り畳み測定量を判定するようにさらに構成される。圧力変化パターンは、(i)安定化構造が完全に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、(ii)安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、または(iii)安定化構造が折り畳まれていない場合の流体流路内の圧力の大きさのうちの一つまたは複数を表示する。折り畳み測定量は、安定化構造の折り畳み量を含む。コントローラは、縫合部が創傷被覆材に近接している場合、流体流路内の圧力から縫合部の破裂または破損を検出するようにさらに構成され、コントローラは、(i)陰圧源を作動または作動解除させる、(ii)アラームを作動または作動解除させる、(iii)陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させる、または、(iv)流体流路内の陰圧源を解放するための表示を出力するよう構成される。コントローラは、陰圧源の作動および作動解除を制御して、流体流路内の圧力の大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、安定化構造の折り畳みの標的レベルに従って一定時間、陰圧源の作動および作動解除を制御するための表示を出力するよう構成される。時間は、少なくとも1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、または5時間である。コントローラは、ユーザへの提示、または、メモリ装置への保存のための表示を出力するよう構成される。コントローラは、表示に関連付けられた装置使用データを、メモリ装置内に保存するようさらに構成され、装置使用データは、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間のうちの一つまたは複数を含む。コントローラは、流体流路内の圧力から創傷被覆材が安定化構造を含むかどうかを判定するようさらに構成される。センサは、創傷被覆材における流体流路内、流体流路の一つまたは複数の内腔、または、陰圧源の入口における圧力を検出するよう構成される。陰圧源は、流体流路内の圧力の大きさが陰圧範囲内に維持される場合、陰圧療法を実施するよう構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、コントローラおよび陰圧源を備える創傷療法装置を作動させる方法が開示されている。陰圧源は、創傷被覆材に流体流路を介して陰圧を与えるように構成され、創傷被覆材が安定化構造を含み、安定化構造が創傷被覆材が創傷に挿入されるように構成され、安定化構造が創傷内に位置付けられたとき、陰圧が創傷に印加されるとさらに折り畳まれるよう構成される。方法は、流体流路内の圧力を監視することと、陰圧源が流体流路内の圧力の大きさを陰圧範囲内に維持する間、流体流路内の圧力から安定化構造の折り畳み測定量を判定することと、折り畳み測定量に対応して表示を出力することと、を含む。方法はコントローラによって実施される。
【0010】
上記の段落に記載の方法は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。折り畳み測定量を判定することは、経時的な流体流路内の圧力の大きさの変化から折り畳み測定量を判定することを含む。折り畳み測定量を判定することは、経時的な流体流路内の圧力の大きさを、圧力変化パターンと比較することから、折り畳み測定量を判定することを含む。圧力変化パターンは、(i)安定化構造が完全に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、(ii)安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、または(iii)安定化構造が折り畳まれていない場合の流体流路内の圧力の大きさのうちの一つまたは複数を表示する。折り畳み測定量は、安定化構造の折り畳み量を含む。表示を出力することは、(i)陰圧源を作動または作動解除させる、(ii)アラームを作動または作動解除させる、(iii)陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させる、または、(iv)流体流路内の陰圧源を解放するという表示を出力することを含む。表示を出力することは、陰圧源の作動および作動解除を制御して、圧力の大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、安定化構造の折り畳みの標的レベルに従って一定時間、陰圧源の作動および作動解除を制御するための表示を出力することを含む。時間は、少なくとも1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、または5時間である。表示を出力することは、ユーザへの提示、または、メモリ装置への保存のための表示を出力することを含む。方法は、表示に関連付けられた装置使用データを、メモリ装置内に保存することをさらに含み、装置使用データは、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間のうちの一つまたは複数を含む。方法はさらに、創傷被覆材が、流体流路内の圧力から創傷被覆材が安定化構造を含むかどうかを判定することを含み得る。流体流路内の圧力を監視することは、創傷被覆材における流体流路内、流体流路の一つまたは複数の内腔、または、陰圧源の入口における圧力を監視することを含む。陰圧源は、流体流路内の圧力の大きさが陰圧範囲内に維持される場合、陰圧療法を実施するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特徴および利点は、添付図面と共に下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
【
図1】
図1は、陰圧治療システムの実施形態を図示する。
【
図2】
図2は、陰圧治療システムの実施形態を図示する。
【
図3】
図3は、陰圧治療システムの実施形態を図示する。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による流体除去管理プロセスを図示する。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による折り畳み監視プロセスを図示する。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による圧力信号のグラフを図示する。
【
図6B】
図6Bは、安定化構造の実施形態の複数の図を図示する。
【
図6C】
図6Cは、安定化構造の実施形態の複数の図を図示する。
【
図7】
図7は、開いた腹部創傷の実施形態を図示する。
【
図8】
図8は、創傷を治療する方法の一工程の実施形態を図示する。
【
図9】
図9は、創傷を治療する方法の一工程の実施形態を図示する。
【
図13】
図13は、創傷を治療する方法の工程の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに
本開示は、減圧療法または局所陰圧(TNP)療法、および、印加された圧力によって援助されない陽圧創傷療法または創傷療法などを用いて、創傷を被覆かつ治療するための方法及び装置に関する。具体的には、限定するものではないが、本開示の実施形態は、陰圧療法装置、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムの使用方法に関する。方法及び装置は、以下に説明する特徴の任意の組み合わせを組み込むか、または実装することができる。
【0014】
創傷に重ね、パッキングする材料を含む装置及び構成要素があれば、本明細書では集合的に創傷被覆材として称される場合がある。
【0015】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、電気火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
本セクションまたは本明細書の他の場所で使用される場合、-XmmHgといった減圧または陰圧レベルは、通常、760mmHg(または、1気圧、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当する大気圧よりも低い圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、(760-X)mmHgの圧力といった、大気圧よりもXmmHg低い圧力を表している。さらに、-XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低くなる)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高くなる)。
【0017】
本開示の幾つかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、又は約-10mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。あるいは、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給され得る。いくつかの実施形態では、陰圧範囲は、約-20mmHgまたは約-25mmHgほど小さくてもよく、これは瘻孔を減少させるために有用であり得る。本明細書に記載する創傷閉鎖装置のいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖装置の実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、陰圧は、例えば正弦波、方形波を使用して、又は、一つ又は複数の患者の生理的指標(例えば、心拍)と同期して、経時的に変化させられ得る。
【0018】
前述の記載に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。両方の用途は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した実施形態との併用に関連する教示を含み得るその他の出願には、米国特許第2011/0213287号として公開された、2010年9月20日出願の、「Systems And Methods For Using Negative Pressure Wound Therapy To Manage Open Abdominal Wounds」と題する出願番号第12/886,088号と、米国特許第2011/0282309号として公開された、2011年4月21日出願の、「Wound Dressing And Method Of Use」と題する出願番号第13/092,042号と、米国特許第2012/0209227号として公開された、2012年2月3日出願の、「Negative Pressure Wound Closure Device」と題する出願番号第13/365,615号と、を含み得、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の実施形態との併用に関連する教示を含み得るさらなる出願には、米国特許第2014/0180225号として公開された、2013年7月15日に出願の、「Negative Pressure Wound Closure Device」と題する特許出願番号第13/942,493号と、国際特許第2014/014871A1号として公開された、2013年7月16日に出願の、「Negative Pressure Wound Closure Device」と題するPCT出願番号第PCT/US2013/050619号と、国際特許第2014/014922A1号として公開された、2013年7月16日に出願された、「Negative Pressure Wound Closure Device」と題するPCT出願番号第PCT/US2013/050698号と、国際特許第2013/175309A1号として公開された、2013年5月5日に出願の、「Devices and Methods for Treating and Closing Wounds with Negative Pressure」と題するPCT出願番号第PCT/IB2013/01555号と、国際特許第2014/165275A1号として公開された、2014年3月12日に出願された、「Negative Pressure Wound Closure Device and Systems and Methods of Use in Treating Wounds with Negative Pressure」と題するPCT出願番号第PCT/US2014/025059号、および 国際特許第2014/140578A1号として公開された、2014年3月13日に出願の、「Compressible Wound Fillers and Systems and Methods of Use In Treating Wounds With Negative Pressure」と題するPCT出願番号第PCT/GB2014/050746号と、PCT出願公開第PCT/US2014/061627号として公開された、2014年10月21日出願の「Negative Pressure Wound Closure Device」である。前述の出願の全体は、参照によりそれぞれ本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とみなされるべきである。
【0019】
本明細書全体を通して、いくつかの実施形態では、細長い、細長形状にされた、または縦長の細片が言及されていることが理解されよう。これらの用語は広義に解釈され、いくつかの実施形態では、二つの平行な、または実質的に平行な面を有する細長い材料を指し、断面では、面に垂直に測定される材料の厚さが、面に平行に測定される材料の高さよりも比較的小さいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、細片が個別の材料長さから構成される場合があるが、他の実施形態では、細片は単に、二つの平行な、または実質的に平行な面を有する全体構造の細長い部分を指す場合がある。いくつかの実施形態では、細片は、長方形または略長方形形状の面を有し、その面の長さは面の高さよりも長い。いくつかの実施形態では、面の長さは、面の高さよりも2倍より大きいか、4倍、6倍、8倍、10倍、12倍、またはそれより大きい場合がある。
【0020】
本セクションまたは本明細書のその他の場所で使用される場合、創傷を参照する場合は、「水平方向」という用語は、創傷を囲む皮膚に対して略平行な方向または面を示す。「垂直方向」という用語は、創傷を参照する場合は、水平面に垂直に延在する方向を一般に指す。「長手軸方向」という用語は、創傷を参照する場合は、創傷が最も長く取れる方向に沿った、水平面における方向を指す。「横方向」という用語は、創傷を参照する場合は、長手軸方向に垂直な水平面における方向を一般に指す。「水平方向」、「垂直方向」、「長手方向」、および「横方向」という用語はまた、本明細書全体にわたって記載した安定化構造および創傷閉鎖装置を説明するために使用され得る。これらの構造または装置を説明する場合、これらの用語は、構造または装置を特定の配向で創傷内に配置しなければならないと解釈されるべきではないが、特定の実施形態では、そうすることが好ましい場合がある。
【0021】
本明細書に記載の、一つまたは複数の特徴は、陰圧創傷療法に関連させて考察されてもよいが、一つまたは複数の特徴が、圧力を印加することなく、陽圧創傷療法または従来の創傷療法などのその他の状況に適用されてもよい。
【0022】
概要
TNP装置を使用して患者の創傷を治療している間、TNP装置は、創傷から創傷滲出液を含む流体を除去することができる。創傷からの流体除去が、確実にTNP装置の実施許容制限内、および、患者の健康上または快適さに関する制限内に留まる一助となるよう、TNP装置は、流体除去の総体積、瞬間的な流体除去量、または一定時間毎の流体除去量(例えば、最後の5時間、または最後の1時間にわたって、等)といった、創傷からの流体除去堆積または量を自動的に監視または追跡するコントローラを含み得る。コントローラは、一つまたは複数のセンサを使用して、流体除去の体積または量を監視し、データを別の装置に通信し、TNP装置の動作を制御するか、または、流体除去の体積または量に対応して、TNP装置のユーザに表示を提供することができる。
【0023】
流体除去の体積または量を監視するためにコントローラによって使用される一つまたは複数のセンサは、例えば、スケール、レベルセンサ、圧力センサ、または起動センサを含み得る。スケールは、例えば、創傷からの流体除去を収集し、貯蔵するキャニスタまたは創傷被覆材(本明細書に記載の創傷閉鎖装置のうちのいずれかであってもよく、またはそのいずれかを含んでもよい)を計量することによって、創傷から除去された流体の重量を計測することができる。除去された流体の重量は、流体除去の体積に一般には比例し得るため、コントローラは、流体除去の体積または量を監視するために重量を使用し得る。流体レベルセンサは、創傷から除去された流体を収集し、貯蔵するキャニスタ(または創傷被覆材)における流量のレベルを計測することができる。キャニスタ(または創傷被覆材)における流量のレベルは、除去された流体の体積に一般に比例し得るため、したがって、流体除去の体積または量を監視するためにコントローラによって使用され得る。圧力センサは、TNP装置が創傷に陰圧を与える流体流路内の圧力を計測することができる。そのような実装では、コントローラは、圧力パルスの大きさといった、流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を分析し、流体除去の体積または量を判定および監視することができる。作動センサは、TNP装置の陰圧源アクチュエータ(モニター等)の速度といった、TNP装置の作動レベルを計測することができ、コントローラがその作動レベルを使用して、流体除去の体積または量を判定および監視することができる。
【0024】
コントローラは、さらなる処理のための、経時的な流体除去の体積または量を示す一つまたは複数の値をメモリ装置に保存することができる。一例では、コントローラはさらに、ユーザ入力に対応して手動で、または自動的に、TNP装置のトランスミッタを使用して一つまたは複数の値を遠隔装置に送信してもよい。コントローラは、例えば、無線通信ネットワークを介して、メッセージで一つまたは複数の値を送信し、遠隔装置が受信すると、遠隔装置に、一つまたは複数の値を、TNP装置のユーザ、またはTNP装置を使用するよう規定された個人に関連付けられた電子医療記録に保存させる。別の例では、コントローラは、流体除去の体積または量が、過剰な流体除去または流体除去の突然の増減を示す閾値を満たす場合に通知(アラーム出力等)を提供することができる。さらに別の例では、コントローラは、流体除去の体積または量に従って、TNP装置によって創傷に加えられる陰圧といった、一つまたは複数の動作パラメータを自動的に増減させることができる。
【0025】
コントローラはさらに、流体除去の体積または量と併用して、患者の新陳代謝や生理機能、または、患者のその他の治療からのデータといった、患者についての情報を利用して、データを別の装置に通信し、TNP装置の動作を制御し、または、TNP装置のユーザに表示を提供することができる。一例では、コントローラは、患者に提供され得る流体(点滴の流体、薬、または痛み止めを含み得る)の体積または量についての情報を受信し、患者に提供され得る流体の体積または量を使用して、TNP装置によって作動を引き起こすのに使用される閾値を調節することができる。創傷を治療する最初の数日間は、創傷から除去される流体よりも、患者に与えられる流体を確実に多くすることが特に重要である場合がある。よって、例えば、コントローラは、患者に与えられる流体の体積を、創傷から除去される流体の体積と比較し、流体除去の体積が、患者に提供される流体の体積を満たすか、または超過しているかどうかの通知(アラームを起動される、等)を提供することができる。さらに、またはあるいは、コントローラは、TNP装置によって提供される陰圧のレベルといった、一つまたは複数の動作パラメータを自動的に調節して、創傷からの流体除去量を減少させようとすることができる。別の例では、コントローラは、患者の新陳代謝または生理機能についての情報を受信し、流体除去の体積または量に対応してTNP装置による作動を引き起こすのに使用される閾値を調節することができる。結果として、コントローラは、ある特定の個人に対して、他の個人よりも(例えば、より大きな個人よりもより小さな個人に対して)、または、ある特定の時間には、その他の時間よりも(例えば、患者が安定状態にある場合よりも重篤な状態である場合)、流体除去の体積または量に対してより精密に感知できる。
【0026】
陰圧創傷療法で使用される創傷被覆材は、安定化構造が配置または位置付けられた創傷に陰圧が印加される場合、および、創傷が閉じて治癒される場合に折り畳まれるよう構成された、創傷マトリックスまたは安定化構造を含み得る。安定化構造は剛性、または実質的に剛性であってよい。しかし、一旦安定化構造が創傷内に配置されると、創傷の中、または、安定化構造の上に配置されたドレープ、発泡体、または別の創傷被覆材構成要素を通して、安定化構造を見ることが困難であるため、安定化構造の折り畳みを監視するのが困難な場合がある。
【0027】
TNP装置は、陰圧源と安定化構造を含む創傷被覆材とを接続する流体流路内の圧力を監視するコントローラを含み得る。有利なことに、特定の実施形態では、コントローラは、流体流路内の圧力に基づいて、安定化構造の折り畳み状態を監視することができる。安定化構造は、TNP装置の連続的または断続的な動作モードの間など、陰圧創傷療法の動力を変化させることができ、安定化構造の折り畳み状態は、安定化構造の不均質な圧縮または減圧等によって、圧力変化、騒音、またはアーチファクトを引き起こし得る。こうした圧力アーチファクトは、安定化構造の折り畳み状態を判定するため、検出および分析され得る。例えば、十分な陰圧が印加される(-80mmHg等)と実質的に平面になり、陰圧を増加させてもそれ以上は折り畳まれない発泡体とは異なり、安定化構造は、より広い陰圧範囲にわたって折り畳まれ得る。安定化構造の折り畳みにより、圧力アーチファクトなどの圧力レベルの変動が生じ得る。これは、安定化構造のセルから空気を除去することにより、それによってその折り畳みが引き起こされる。
【0028】
コントローラは、例えば、流体流路内の圧力変化から安定化構造の折り畳み測定量を判定し、折り畳み測定量に対応して表示を出力することができる。圧力変化は、流体流路内の一つまたは複数の圧力センサを使用して検出することができる。折り畳み測定量は、例えば、手法の中でもとりわけ、圧力変化のピーク間の大きさ、統計圧力アルゴリズム、圧力パターンマッチング、圧力信号におけるエンベロープ変化のような圧力マイクロ変化、または圧力頻度変化のうちの一つまたは複数を使用して、判定され得る。折り畳み測定量は、いくつかの例では、安定化構造の折り畳みの程度または量であり得、創傷の閉鎖の程度または量を示し得る。
【0029】
コントローラは、創傷が閉じて治癒されるにつれ、折り畳み測定量から創傷の治癒を監視することができる。創傷が治癒または閉鎖することによって、安定化構造が組み込まれた創傷に特定の陰圧レベルが印加される場合に予測し得る以上に、安定化構造の折り畳みが生じる可能性がある。その結果、コントローラは、陰圧の印加に起因する過剰な折り畳み程度または量における、折り畳み程度または量が、創傷の治癒または閉鎖に起因し得ると判定する場合がある。コントローラによる表示出力は、ユーザへ提示するために出力され得、創傷が部分的に治癒したか、または閉じているため、安定化構造を、創傷により適している可能性のある、より小さな安定化構造で置き換えることを示す。
【0030】
コントローラは、創傷治療の提供、安定化構造の折り畳みの程度または量、創傷のサイズ、創傷から除去された流体量、または折り畳み測定量に基づいた、痛みを受ける量を制御できる。例えば、コントローラは、少なくとも一定時間(30秒間、1分間、2分間、3分間、5分間、または10分間、等)または数多くの圧縮または減圧サイクルの間(2回、3回、5回、10回、20回、または50回の圧縮-減圧サイクル)、折り畳み測定量に従って陰圧源を作動または作動停止できる。さらに、陰圧源を制御して特定の陰圧レベルまたは範囲を狙うことに加え、またはその代わりに、コントローラは、折り畳み測定量に従って陰圧源を作動または作動停止できる。特定の実施形態では、有利なことに、そのような制御によって、療法の提供を特定の創傷、環境、または患者(非直線的、等)に合わせて調整することを可能にし得、それによって、より早く、痛みがより少なく、より効果的な、またはより反応の良い療法を可能にし得る。さらに、例えば、測定された創傷からの流体除去に基づいて、より調整され、カスタマイズされた陰圧療法が適用され得るため、こうした制御によって、コントローラが流体流路内の閉塞に対してより良く反応するか、または閉塞を防止することを可能に得る。例えば、測定された流体除去に基づいて、陰圧のより適切なレベルが連続的に選択され得、これは、除去流体流量に合わせて調整されて陰圧が適用されているため、閉塞のリスクを低下させることになり得る。
【0031】
コントローラは、療法の提供を開始または再開する前に、流体流路内の圧力から創傷被覆材の一つまたは複数の特徴を判定することができる。一つまたは複数の特徴は、創傷被覆材の大きさ、創傷被覆材のタイプ、または、創傷被覆材が安定化構造を含むかどうか、を含み得る。一例では、創傷被覆材が安定化構造を含むと判定することに対応して、コントローラが、折り畳み測定量に基づいて陰圧の印加を制御するよう判定し得、創傷被覆材が安定化構造を含まないと判定することに対応して、コントローラは、圧力設定値の代わりに陰圧の印加を制御するように判定し得る。
【0032】
コントローラは、創傷被覆材の安定化構造の移行による、流体流路内の圧力変動から、患者の移動を検出または特徴付けることができる。患者の移動には、例えば、患者が脚または腕を動かすこと、または、呼吸すること(例えば、安定化構造が腹部の創傷内に配置された場合)が含まれ得る。
【0033】
コントローラは、流体流路内の圧力変動から、縫合部が破裂または破損しているかどうかを判定し得る。縫合は、創傷被覆材の近くの組織を共に保持するために使用され得る。一例では、コントローラは、ピーク間圧力信号などの圧力の変動サイクルを監視し、破裂または破損した縫合部によって創傷の体積変化を示し得る、圧力上昇を検出し得る。
【0034】
減圧療法システム
図1は、創傷101に挿入される創傷パッカー102を含む陰圧治療システム100の実施形態を図示する。創傷パッカー102は、発泡体などの多孔性材料を含んでもよく、いくつかの実施形態では、本セクションまたは本明細書のその他の場所でさらに詳細に説明した創傷閉鎖装置の一つまたは複数の実施形態を含んでもよい。いくつかの実施形態では、創傷101に挿入される任意の創傷閉鎖装置の周辺部または上部も、発泡体またはその他の多孔性材料で覆われてもよい。単一ドレープ104または複数のドレープが創傷101の上に配置されてもよく、流体密封シールを作り出せるよう、創傷101の周辺部において、皮膚に接着または密封されることが好ましい。アパーチャ106は、創傷101から、ポンプを含むTNP装置110などの陰圧源へ流体接続をもたらすように、ドレープ104を通って作製され得、それは、手動で作製されるか、またはドレープ104内に予め形成され得る。アパーチャ106とTNP装置110のポンプとの間の流体接続は、導管108を介して作製されることが好ましい。いくつかの実施形態では、導管108は、Smith&Nephewで製造されたRENASYS(登録商標)Soft Port(商標)を備えてもよい。もちろん、いくつかの実施形態では、ドレープ104は必ずしもアパーチャ106を含まなくてもよく、TNP装置110のポンプへの流体接続は、導管108をドレープの下に配置することによって作られてもよい。いくつかの創傷、特により大きな創傷においては、複数の導管108が使用され、一つまたは複数のアパーチャ106を介して流体接続されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、ドレープ104には、一つまたは複数の波形形状または折り目が提供され得る。波形形状は、創傷の長手軸に沿って整列し、それによって、創傷の長手軸に垂直な方向に優先的に折り畳まれることによって、創傷の閉鎖を支援し得ることが好ましい。こうした波形形状は、創傷表面に平行、且つ、創傷閉鎖の方向に収縮力を印加することを支援し得る。このようなドレープの例は、2010年11月17日に出願された「Vacuum Closure Device」と題する出願番号第12/922,118号(米国特許出願公開第2011/0054365号)に見出され得、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
使用時には、創傷101を準備し、洗浄する。腹部創傷などのいくつかの事例では、露出した任意の内臓の上に、非付着性または最小付着性の器官保護層(図示せず)が適用されてもよい。創傷パッカー102は次に、創傷に挿入され、流体密封シールを形成できるよう、ドレープ104で覆われる。次に、導管108の第一の端が、例えば、アパーチャ106を介して、創傷と流体連通するように配置される。導管108の第二の端は、TNP装置110に接続される。次に、TNP装置110のポンプが、陰圧を創傷101に供給し、創傷101から創傷滲出液を抜くように、作動され得る。陰圧はまた、以下でさらに詳細に、前述の創傷閉鎖装置の実施形態に関連して説明されるように、例えば、反対側の創縁に近似させることにより、創傷101の閉鎖を促進するのを援助し得る。
【0037】
本明細書の本セクションまた本明細書の他の場所において開示される、任意の構造または構成要素は、放射線不透性物質を含んでもよい。有利なことに、放射線不透性物質により、構造から外れて、創傷内で見失ってしまう可能性のある創傷閉鎖装置の破片を、臨床医がより簡単に発見することを可能にする。放射線不透性物質のいくつかの例には、硫酸バリウム、三酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、およびタングステンが含まれる。
【0038】
図2は、いくつかの実施形態による陰圧療法システム10Aを示す。システム10Aは、TNP装置11(TNP装置110および概要セクションのTNP装置と類似していてもよい)と、遠隔データ処理システム13とを含む。TNP装置11は、流体流路を介して、TNP装置11と流体連通する創傷被覆材を使用して、創傷を治療するのに使用され得る。TNP装置11は、コントローラ12A(概要セクションのコントローラと類似してもよい)と、メモリ装置12Bと、陰圧源12Cと、ユーザインターフェース12Dと、電源12Eと、圧力センサ12Fと、トランシーバ12Gと、相互に電気通信するように構成される追加センサ12Hとを含み得る。TNP装置11は、創傷滲出液を含む流体を収集するキャニスタ12Iを含んでもよい。いくつかの実施形態では、創傷滲出液は、さらに、またはあるいは、創傷被覆材によって吸収され得、さらに、キャニスタ12Iは、使用されてもされなくてもよい。
【0039】
コントローラ12Aは、少なくともメモリ装置12Bに保存された命令に従って、TNP装置11の一つまたは複数の他の構成要素の動作を制御することができる。例えば、コントローラ12Aは、陰圧の動作と陰圧の供給とを陰圧源12Cにより制御することができる。陰圧源12Cには、限定されないが、ロータリーダイヤフラムポンプもしくは他のダイヤフラムポンプ、圧電ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ロータリーベーンポンプ、液封式ポンプ、スクロールポンプ、圧電変換器によって動作するダイヤフラムポンプ、ボイスコイルポンプ、または他の任意の好適なポンプもしくはマイクロポンプ、あるいは上記のものの任意の組み合わせなどのポンプが含まれ得る。ユーザインターフェース12Dは、ユーザ入力を受信するか、またはユーザ出力を患者または介護者に提供する一つまたは複数の要素を含み得る。ユーザ入力を受信する一つまたは複数の要素は、ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチスクリーン、マイクロフォン、などを含み得る。ユーザ出力を提供する一つまたは複数の要素は、光、ディスプレイ、スピーカ、等を含み得る。
【0040】
圧力センサ12Fは、(i)
図3に図示するような、陰圧源12Cと創傷被覆材とを接続する流体流路の圧力、(ii)創傷被覆材における、またはその中の圧力、(iii)陰圧源12Cにおける、またはその中の圧力、を監視することなどによって、創傷被覆材の下の圧力を監視するのに使用され得る。いくつかの実装では、圧力センサ12Fは、少なくとも二つの圧力センサを含み得、それらの圧力センサは、流体流路内に位置付けられるか、または流体流路に流体接続されて、創傷または創傷近くの圧力とTNP装置11またはTNP装置11近くの圧力との差異測定といった、圧力の差異測定を可能にする。例えば、第一の圧力センサは、創傷の上流に(例えば、陰圧源12Cの入口に、またはその近くに)位置付けられてもよく、第二の圧力センサは、創傷におけるもしくは創傷の近くの、またはキャニスタにおけるもしくはキャニスタの近くの圧力を検出するように位置付けられてもよい。この構成は、陰圧源12Cを創傷に接続する第一の流体流路を形成する一つまたは複数の内腔に加え、TNP装置11を創傷に接続する一つまたは複数の内腔を含み、第二の圧力センサがそれを通じて創傷におけるもしくは創傷の近くの、またはキャニスタにおけるもしくはキャニスタの近くの圧力を監視することができる、第二の流体流路を組み込むことによって達成され得る。第一および第二の流体流路は、相互に流体的に分離され得る。
【0041】
図3は、いくつかの実施形態による陰圧療法システム10Bを示す。システム10Bは、TNP装置11と、流体流路15と、創傷被覆材16と、創傷17とを含む。TNP装置11は、流体流路15を介して陰圧源12Cと流体連通する創傷被覆材16を使用して創傷17を治療するように使用され得る。流体流路15内の圧力を測定するために、圧力センサ12Fが、例えば、TNP装置11の入口においてまたはその近くにおいて、流体流路15に位置付けられた状態で
図3に示されている。創傷被覆材16は、本明細書に記載の創傷被覆材または創傷閉鎖装置のうちのいずれかを具体化することができる。いくつかの実装では、キャニスタ12Iを使用せず、代わりに、吸収性であり得る創傷被覆材16によって創傷滲出液が収集されてもよい。その他の実装では、キャニスタ12Iおよび創傷被覆材16の両方が使用され得、創傷被覆材16は吸収性であってもよい。
【0042】
図2に戻ると、トランシーバ12Gは、ネットワーク14を介してデータ処理システム13と通信するのに使用され得る。トランシーバ12Gは、例えば、アラーム、流体除去量、測定圧力、またはTNP装置11によって実行された療法プログラムへの変更といった、装置使用データを、データ処理システム13に送信することができる。ネットワーク14は、セルラー方式通信ネットワークのような無線通信ネットワーク、または有線通信ネットワークといった、通信ネットワークであり得る。メモリ装置12Bは、トランシーバ12Gによって送信され得る装置使用データを記憶するように使用され得る。いくつかの実装では、データ処理システム13は、トランシーバ12Gから受信したデータを、TNP装置11を使用した、または、TNP装置11を使用するよう定められた患者に関連付けられた電子医療ファイルへ、自動的に保存することができる。いくつかの例では、トランシーバ12Gは、データを受信するために使用されるレシーバとは別に、データを送信するためのトランスミッタを含むことができる。
【0043】
追加センサ12Hは、例えば、キャニスタ12I内の流体レベルを検出するレベルセンサ、または、キャニスタ12Iまたは創傷被覆材16のような陰圧療法システム10Aおよび10Bのうちの一つまたは複数の構成要素を量るスケールを含むことができる。コントローラ12Aは、創傷17といった創傷からの流体除去量を監視する、追加センサ12Hを使用することができる。
【0044】
圧力療法方法
図4Aは、TNP装置11のコントローラ12AまたはTNP装置110のコントローラなど、装置によって実行可能な流体除去管理プロセス20を図示する。便宜上、流体除去管理プロセス20は、
図2および
図3のTNP装置11に関連させて記載されているが、代わりに、本明細書に記載のその他のシステム、または、示されていないその他の演算システムによって実装されてもよい。特定の実施形態では、有利なことに、流体除去管理プロセス20によって、TNP装置11が創傷17からの流体除去量を監視し、流体除去量を自動的に別の装置に無線通信し、流体除去量が過剰となる場合は表示を出力することができる。
【0045】
ブロック21では、流体除去管理プロセス20は、創傷17からの流体除去量を監視することができる。例えば、流体除去管理プロセス20は、圧力センサ12Fまたは追加センサ12Hなどの一つまたは複数のセンサによって提供される測定量を使用して、流体除去量を監視できる。
【0046】
ブロック22では、流体除去管理プロセス20は、流体除去量をデータ処理システム13へ無線通信することができる。流体除去管理プロセス20は、例えば、トランシーバ12Gを使用して、ネットワーク14を介して流体除去量をデータ処理システム13に通信することができる。いくつかの実装では、流体除去管理プロセス20は、無線通信ではなく、または無線通信に追加して、有線インターフェース上で通信できる。
【0047】
ブロック23では、流体除去管理プロセス20は、流体除去量が閾値を満たすかどうかを判定することができる。閾値は量閾値であってよく、その量閾値の大きさは、TNP装置11を使用した陰圧療法の送達中に、過度に流体量が増加または減少することを示す。
【0048】
流体除去量が閾値を満たす場合、ブロック24では、流体除去管理プロセス20は、TNP装置11を使用した陰圧療法の送達中に、流体除去量の流量が過度に増加または減少したという表示を出力することができる。表示は、例えば、ユーザインターフェース12Dの可視または可聴アラームの作動、または、ユーザインターフェース12Dのディスプレイ上へのテキストでの警告メッセージの表示を含むことができる。
【0049】
一方、流体除去量が閾値を満たさない場合、流体除去管理プロセス20は終了し得る。
【0050】
図4Bは、TNP装置11のコントローラ12AまたはTNP装置110のコントローラといった装置によって実行可能な、折り畳み監視プロセス30を図示する。便宜上、折り畳み監視プロセス30が、
図2および
図3のTNP装置11との関連において説明されるが、代わりに、本明細書に記載の他のシステムで、または示されていない他のコンピューティングシステムによって実行される場合もある。特定の実施形態では、有利なことに、折り畳み監視プロセス30によって、TNP装置11が流体流路15の圧力から、創傷17内に配置された創傷被覆材16の安定化構造を折り畳むのを監視し、TNP装置11の動作を適切に制御することができる。
【0051】
ブロック31では、折り畳み監視プロセス30は、流体流路内の圧力を監視できる。例えば、コントローラ12Aは、圧力センサ12F、または、流体流路15の圧力を検出するように位置付けられた追加センサ12Hを使用して圧力を監視できる。
【0052】
ブロック32では、折り畳み監視プロセス30は、創傷被覆材の安定化構造の折り畳み測定量を判定することができる。例えば、コントローラ12Aは、圧力センサ12Fまたは追加センサ12Hによって検出された、流体流路15の圧力から、創傷被覆材16の安定化構造の折り畳み測定量を判定することができる。折り畳み測定量は、例えば、本明細書に記載されるように、経時的な流体流路内の圧力の大きさまたは頻度の変化から判定され得る。一例では、コントローラは、経時的な大きさを、(i)安定化構造が完全に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、(ii)安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の流体流路内の圧力の大きさ、および、(iii)安定化構造が折り畳まれていない場合の流体流路内の圧力の大きさのうちの一つを示す、一つまたは複数の圧力パターンを比較することができ、コントローラは、経時的な大きさのある程度の類似から、圧力パターンのうちの一つまたは複数への、折り畳み測定量を判定することができる。別の例では、折り畳み測定量は、安定化構造の折り畳みの程度または量であってもよく、または、それに関連してもよい。
【0053】
ブロック33では、折り畳み監視プロセス30は、折り畳み測定量に対応した表示を出力できる。例えば、コントローラ12Aは、折り畳み測定量に従って表示を出力できる。いくつかの実装では、折り畳み監視プロセス30は、陰圧源の作動および作動解除を制御して、圧力の大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、折り畳み測定量に従って一定時間(1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、または5時間といった)陰圧源の作動および作動解除を制御する表示を出力することができる。いくつかの実装では、コントローラは、ユーザへの提示(ユーザインターフェース12Dの可視、可聴、または触覚的アラーム、または、ユーザインターフェース12Dのディスプレイ上のテキストでの警告メッセージの表示を介して、といった)、または、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間といった、装置使用データと関連付けられた保存といった、メモリ装置への保存のための表示を出力することができる。いくつかの実施形態では、ブロック33では、折り畳み監視プロセス30は、陰圧レベル、モード(例えば、連続的または断続的)などの陰圧治療の一つまたは複数のパラメータを調整できる。陰圧治療の制御は、安定化構造の折り畳みの標的レベルの達成または維持に関連付けることができる(例えば、治療開始時は10%、いくらか時間にわたる治療適用後は30%、等)。さらに、またはあるいは、折り畳み監視プロセス30は、陰圧源を作動または作動解除でき、陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させ、または、流体流路内の陰圧を解放することができる。
【0054】
流体検出
流体流路内の滲出液の有無は、圧力センサ12Fといった、一つまたは複数の圧力センサからのデータを処理することによって検出できる。この検出は、送達される真空レベルを増加させる、真空レベルを低下させる、陰圧源を一時停止または停止させる、アクチュエータ(ポンプモータ、等)の速度を変更する、アクチュエータのケイデンスを変更する、といった、陰圧源の一つまたは複数の設定を変更することによって向上させることができる。いくつかの実施形態では、陰圧源が作動するにつれて、流体流路を通して伝播する圧力パルスまたは信号を生成する。いくつかの実施形態によると、圧力信号は、
図5の圧力曲線402に図示されている。領域404に図示されているように、流体流路内の圧力は、システムの通常動作中に特定の圧力設定または設定値408(例えば、ユーザによって選択される)を中心に変化または振れる。領域406は、キャニスタ(または被覆材)が満たされているか、または、キャニスタフィルタが閉塞または詰まっている、といった、陰圧源の遠位に閉塞がある場合の流路内の圧力パルスを図示する。図示されるように、遠位閉塞により、キャニスタ(または被覆材)の上流で体積の減少が見られ、圧力パルスの振幅が増加する。いくつかの実施形態では、圧力信号の頻度が減速または減少する。特定の実施形態では、圧力パルス信号の大きさ(または頻度)におけるこうした変更または「バウンス」は、アクチュエータの速度を変化させることによって、またはパルス幅変調(PWM)制御パラメータ等を調整することによって、といった、アクチュエータのケイデンスを変化させることによって、拡大または向上させることができる。陰圧源動作のこうした調整は必須ではないが、システムの動作が比較的影響を受けないよう、短期間で実施でき、変化も小さくすることができる。いくつかの実施形態では、空気流が許可されている間は、液体流は実質的に塞がれるよう、キャニスタフィルタは疎水性であってもよい。流量検出のさらなる詳細は、米国特許番号第8,843,327号に記載されており、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0055】
キャニスタレスシステムは、創傷から除去された滲出液のための吸収被覆材を使用できる。このような被覆材は、浸出液が陰圧源に吸引されないように、浸出液を収集または保持するための吸収または超吸収材料を含むことができる。キャニスタフィルタと同様に、滲出液が陰圧源に達するのを防止するよう、被覆材フィルタ(疎水性であってよい)を使用し得る。このようなシステムでは、被覆材フル状態または被覆材フィルタの閉塞状態(であり得る)の検出は、キャニスタフル状態の検出と同等であってよい。
【0056】
圧力信号の特徴の変化は、安定化構造の折り畳み、流体除去量、遠位閉塞、キャニスタ(または被覆材)内の滲出液のレベル、キャニスタ(または被覆材)フル状態、等を判定するために使用され得る。特徴は、信号の大きさ、頻度、形状(例えば、封筒形)等を含むことができる。いくつかの実施形態では、経時的な圧力パルスの大きさの変化を監視することによって、流体除去量を検出することができる。例えば、キャニスタ(または被覆材)が創傷滲出液で満たされるにつれ、圧力パルスの大きさは、領域406に示す通り、増加し得る。流体除去量を監視することについてのさらなる詳細は、米国特許第2016/0184496号に開示されており、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0057】
安定化構造および創傷閉鎖装置
図6Aは、平行または準平行に配置された複数の細長片6006を含む安定化構造6000の実施形態の図であり、その長手方向の長さは創傷の長手方向軸と整列することができる。実施形態において、細長片6006はまた、平行でない様式で配置されてもよい。この安定化構造6000内の様々なセルは、様々な形状およびサイズを有してもよい。以下でより詳細に説明する通り、細長片6006、介在部材6010、およびセル6004の長さおよび形状は、安定化構造のより大きな閉鎖を容易にするように設計され得る。特定の実施形態では、細長片と介在部材との間の接合部6900はより薄くなり、安定化構造の回転および閉鎖をより容易にすることができる。いくつかの実施形態では、安定化構造は、構造が創傷の形状に形状付けられるように、引き裂くことができてもよい。本明細書の他の部分に記載されているように、引き裂きは、介在部材と細長片との間の交差部、または、細長片または介在部材に沿った任意の好適な位置において、完了し得る。
【0058】
本明細書の本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した全ての安定化構造は、創傷の任意のサイズに適応するように作られてもよい。ところが、臨床環境のニーズにより良く適応するために、特定の実施形態では、本明細書に記載の安定化構造は、約1.25倍大きい、約1.5倍大きい、約1.75倍大きい、約2倍大きい、約2.5倍大きい、約3倍大きい、約4倍大きい、約5倍大きい、または、約5倍より大きい、一つのより小さい安定化構造と一つのより大きい安定化構造といった、二つのサイズを含むパックで提供され得る。いくつかの実施形態では、パックは、三つのサイズ、四つのサイズ、五つのサイズ、または五つより多いサイズといった、二つより多いサイズを含んでもよい。パック内の安定化構造は、上述の比のように、互いに対して様々なサイズであり得る。
【0059】
特定の実施形態では、安定化構造6000は、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した任意の方法で、陰圧を印加して、または印加することなく、折り畳むことができる。例えば、安定化構造は、陰圧が印加されると、ある平面において、別の平面よりも有意に折り畳まれ得る。いくつかの実施形態では、安定化構造は、水平面に垂直な垂直面よりも、安定化構造の長さおよび幅に平行な水平面において、より多く折り畳まれるように構成される。実施形態では、特定の列が第一の方向に折り畳まれ、別の行は、同一または対向する方向に折り畳まれ得る。特定の実施形態では、安定化構造は、安定化構造の長さに沿って、且つ、垂直方向に比較的剛性でありつつ、安定化構造の幅に沿って折り畳まれ得る。
【0060】
安定化構造は、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載したいずれかの材料から構成されてもよく、シリコン、ポリウレタンといった可撓性プラスチックや、ポリ塩化ビニル、半硬質プラスチック、半可撓性プラスチックといった硬質プラスチック、および、生体適合性材料、複合材料、金属、発泡体を含む。特定の実施形態では、安定化構造は、放射線不透過性材料を含んでもよく、臨床医はそれによって、創傷内の安定化構造の断片をより容易に見つけることを可能にする。
【0061】
図6Aに戻ると、安定化構造6000は、少なくとも部分的に楕円形状を画定する外周を有し得る。上述のように、安定化構造6000は、横並びに提供される複数のセル6004を含み得、各セルは一つまたは複数の壁によって画定され、各セルは上端および下端を有し、開口部がその上端と下端を貫通して延在する。本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に記載の、その他の安定化構造と同様に、安定化構造6000は、一つまたは複数のセル6004を折り畳むことによって折り畳まれるよう構成される。いくつかの実施形態では、セルは全て同一の近似形状およびサイズであるが、その他の実施形態では、セルは異なる形状およびサイズである。いくつかの実施形態では、本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に記載の安定化構造は、ドーム形状であってもよく、その結果、安定化構造の中央部分が上向きに膨張する。例えば、安定化構造の下側部分は凹状であってもよいが、安定化構造の上側部分は凸状である。
【0062】
細長片6006は、本明細書のその他の部分に記載したもののように、単一の材料で作製されてもよく、または、細長片は、複数の材料から作製されてもよい。例えば、細長片6006は、より剛性な材料のセクションと、より可撓性のある材料のセクションとを含み得る。細長片6006は、安定化構造6000の湾曲した外周を促進するように、その長さに沿って湾曲され得る。細長片は、安定化構造6000の中心から外向きの長さ方向に沿って湾曲されてもよい。細長片6006の湾曲の弧は、片6006のいくらかは大きく湾曲している一方で、その他は最小限の湾曲であるか、むしろ直線であり、かなり変化し得る。
【0063】
同様に、安定化構造6000は、細長片6006に接続された複数の介在部材6010をさらに備え得る。介在部材6010はすべて、類似形状およびサイズであってもよく、または、さまざまな形状およびサイズであってもよい。介在部材は、本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に開示されているいずれかの材料から構成されてもよい。さらに、介在部材は、複数の材料から構成され得る。
【0064】
有利なことに、安定化構造6000の楕円形状によって、構造が創傷の形状により適合することができる。ほとんどの創傷は丸みのある形状であるため、楕円形状の安定化構造6000は、創傷により良く嵌合し得る。
【0065】
実施形態では、外周6002は、安定化構造の折り畳みを容易にするよう、低減された縁6012を有してもよい。低減した縁6012にかかる安定化構造の質量を除去することによって、安定化構造は、縁6012でより自在に折り畳まれ得、よって、創傷内でのより良い嵌合を可能にする。さらに、減少した縁6012にかかる質量を減少させることによって、安定化構造6000の折り畳み中、およびその後の、周囲組織の挟み込みが少なくなり得る。
【0066】
本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した安定化構造6000および安定化構造および創傷閉鎖装置はすべて、動的な方法で様々な時間の尺度で折り畳まれ得る。特定の実施形態では、折り畳みの大部分は、陰圧が印加された最初の数分間以内に生じ得る。しかし、初期の折り畳み後、安定化構造または創傷閉鎖装置は、引き続きより遅い速度で折り畳まれ得、長時間にわたり長手軸方向の張力を増加させることを適用し、創傷の縁を近くに引きよせる。経時的に創傷の縁を近くにゆっくりと引きよせることにより、安定化構造または創傷閉鎖装置によって、周囲の治癒組織が装置または安定化構造の閉鎖と相乗的に再形成されるのを可能にする。折り畳み構造または装置が、新たに形成された組織または弱化した組織に急速に圧力をかけることなく、創傷の縁をゆっくりと引き寄せるため、ゆっくりとした動的創傷閉鎖により、周辺組織が加速的に治癒するのを可能にし得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した安定化構造は、一定時間にわたり創傷内に配置され、さらに、除去されるか、または別の安定化構造と置き換えられてもよい。例えば、安定化構造を創傷内に一定時間挿入することができ、縁を近くに引き寄せることによって、創傷の閉鎖を促進させる。一定時間が経過した後、安定化構造は、例えば、より小さなサイズまたは密度が低下した安定化構造といった、異なるサイズまたは折り畳み性を有する安定化構造によって置き換えられ得る。このプロセスを何度も繰り返すことができ、それによって、経時的に創傷の縁を連続的に引き寄せ、周辺組織の修復および再形成の継続を可能にする。特定の実施形態では、安定化構造は創傷内に、少なくとも約1時間未満、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日間、少なくとも約4日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、または3週間より長く、留まるよう構成される。
【0068】
特定の実施形態では、安定化構造または創傷閉鎖装置の折り畳みの最大90%は、陰圧が適用された最初の数分以内に生じ得、折り畳みの残りの10%は、数分、数時間、数日、数週間、または数か月の期間にわたってゆっくりと生じ得る。その他の実施形態では、折り畳みの最大約80%、最大約70%、最大約60%、最大約50%、最大約40%、最大約30%、最大約20%、最大約10%、または折り畳みの約0%が、陰圧が適用された最初の数分以内にすぐに生じ、残りの折り畳みは、数分、数時間、数日、数週間、または数か月の期間にわたって、等、より遅い速度で生じる。その他の実施形態では、安定化構造は可変速度で折り畳まれ得る。いくつかの実施形態では、折り畳み全体が遅い速度で生じるが、その他の実施形態では、折り畳み全体が最初の数分以内にほぼすぐに生じる。さらなる実施形態では、折り畳みは、任意の速度で生じ得、速度は経時的に変化し得る。特定の実施形態では、構造の一部分を追加または除去することによって、または、陰圧の印加および灌注流体を制御することによって、折り畳み量を可変的な方法で変えることができる。
【0069】
図6Aに戻ると、いくつかの実施形態では、安定化構造6000のパターンは、安定化構造の最大閉鎖を促進させるように設計される。最大閉鎖は、細長い部材の長さ方向に垂直な方向で、水平面内であることが好ましい。以下でより詳細に説明する通り、細長片6006の長さ、介在部材6010の長さ、およびセル6004の形状を変化させることによって、より大きな閉鎖を達成することができる。セル6004の形状は、本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に記載のいずれかの形状を含み得る。例えば、
図6Aに示すように、セル6004は、より小さなダイヤモンド形状6020が、より大きなダイヤモンド6022内に位置するダイヤモンド形状または平行六面体であってもよい。こうした構造は、創傷の最大閉鎖を提供するために、安定化装置6000のより大きな全体的閉鎖を提供し得る。さらに、より大きなダイヤモンド6022内に位置するより小さなダイヤモンド形状6020は、マトリクスの下の組織構造に損傷を与える可能性を低減するよう、より大きな範囲にわたって負荷を広げることができる。この構造は、発泡体またはドレープがマトリクス内に引っ張られ、創傷の閉鎖を防止する可能性を低減することもできる。
【0070】
図6Bおよび
図6Cは、
図6Aの安定化構造の実施形態の異なる図を示す。
図6Aに関連して上述した通り、安定化構造は、セル6004と、介在部材6010と、細長片6006とを含むが、ここでは創傷の模擬形状6910も比較のため含まれる。
【0071】
本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に記載の安定化構造のうちのいずれかは、任意の好適な手段から構成され得る。例えば、安定化構造は、成形を介して構成されてもよく、または、3D印刷技術を使用して直接印刷されてもよい。特定の実施形態では、
図6A~
図6Cの安定化構造は、3D印刷を介して単一のポリマーから構成され得る。いくつかの実施形態では、安定化構造は、一つのポリマー、二つのポリマー、三つのポリマー、または四つ以上のポリマーから構成され得る。安定化構造は、本明細書の本セクションまたは本明細書のその他の場所に開示されたいずれかの材料から構成され得る。安定化構造は、構造を材料の固体ブロックから切り出すことによって作製され得る。切断に使用される方法には、例えば、水噴射切断、レーザー切断、または金型切断が含まれ得る。安定化構造は、セル6004の壁に沿ったサイズに切断され得る。例えば、細長片6006の外側面に沿った介在部材は、安定化構造を適切にサイズ決めするよう切断され得る。安定化構造は、壁に沿って、細長片のいずれかの部分に沿って、または介在部材のいずれかの部分に沿って、切断され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、
図6A~
図6Cの安定化構造6000は、装置の一部分が装置の残り部分から分離できるようにする穿孔または着脱可能なセクションを含むように構成され得る。例えば、安定化構造6000内に含まれる様々なセル6004の間の接合部6900に穿孔が組み込まれてもよく、個々の列またはセルを取り除いて安定化構造6000の形状を変化させることができる。
【0073】
本セクションまたは本明細書のその他の場所に記載の安定化構造または創傷閉鎖装置すべてに適用可能であり、安定化構造または創傷閉鎖装置は、安定化構造が創傷の形状に成形され得るように裂くことができる。いくつかの実施形態では、安定化構造は、介在部材と細長片との間の交差部で裂かれてもよく、さらなる実施形態では、細長片または介在部材が、任意の好適な位置で裂かれてもよい。
【0074】
創傷閉鎖および治療方法
本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した安定化構造または創傷閉鎖装置は、創傷の閉鎖のための方法またはシステムと併用され得る。創傷の閉鎖に使用する方法のいくつかの実施形態では、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した実施形態のうちのいずれかの安定化構造または創傷閉鎖装置のうちの、一つまたは複数が、創傷内に配置される。いくつかの実施形態では、安定化構造を配置する前に、器官保護層が創傷内に提供されてもよい。特定の実施形態では、発泡体またはその他の多孔性材料は、安定化構造または創傷閉鎖装置と共に、安定化構造または創傷閉鎖装置の下、その上、またはその周りにおいて、創傷内に配置され得る。発泡体またはその他の多孔性材料は、安定化構造または創傷閉鎖装置の外周を囲んでもよい。安定化構造または創傷閉鎖装置は、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した任意の方法、例えば、特定のサイズおよび形状を有することによって、または、構造体のセル内に特定の体積の発泡体またはその他の多孔性材料を含むことによって、折り畳まれるよう構成されてもよい。安定化構造または創傷閉鎖装置はさらに、創傷の形状により良く適応するように、本セクションまたは本明細書の他の場所に記載した任意の方法で変えられ得る。創傷に配置した後、安定化構造または創傷閉鎖装置を流体密着ドレープによって密封することができる。流体密着ドレープは、陰圧の印加用に構成されたポートを含むことができる。次に、陰圧源はポートに接続されてもよく、陰圧が創傷に印加されてもよい。安定化構造または創傷閉鎖装置は、創傷治癒を最良に促進するのに望ましい、様々な形状およびサイズの安定化構造または創傷閉鎖装置によって、経時的に置き換えられ得る。
【0075】
図7~
図15Eは、本明細書の本セクションおよび本明細書のその他の部分に記載のように、安定化構造を含む創傷閉鎖装置を利用する、創傷の治療方法の実施形態を示す。方法の非限定的な実施形態をより良く図示するために、数字を
図13のステップに追加して、読み手がこうした方法のステップに、より容易に従えるようにした。ただし、ステップは任意の順序で実行することができ、任意の番号付けシステムは明確にするためだけのものである。さらに、いくつかの実施形態では、これらの方法の様々なステップは、除外してもよい。その他の実施形態では、追加ステップは、本明細書の本セクションおよび本明細書のその他の部分に記載の方法に基づいた方法に追加され得る。本セクションに記載の多孔性層および構造は、発泡体など、本明細書のその他の場所に記載される任意の材料または構造であってもよい。
【0076】
図7は、以下でより詳細に記載されるが、創傷閉鎖装置を使用した治療前の、開いた創傷5100の実施形態を示す。
図7の開いた創傷は、特に
図1に関連して、本明細書のその他の場所に記載の創傷と類似している。いくつかの例では、本明細書の他の場所で記載されるように、こうした創傷は、手術切開またはその他の手段を介して作られ得る。
【0077】
図8は、創傷閉鎖装置を使用して開いた創傷5100を治療する方法の初期ステップの実施形態を示す。治療前、
図6A~
図6Cに関連して記載されたもののように、創傷はパッド5180を使用して洗浄され、創傷閉鎖装置を適用できるよう皮膚5190が準備される。
【0078】
図9は、開いた創傷5100の治療方法の早期のステップの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、組織保護層5170を創傷の上に配置して、陰圧創傷治療による問題またはその他の潜在的な危害から、下にある組織を保護し得る。したがって、特定の実施形態では、創傷部位5100の上に配置されるようにサイズ決めされて切断され得る組織保護層5170が提供される。組織保護層5170は、創傷部位または露出した内臓のすぐ近くに接着しない材料であってもよい。こうした組織保護層は、生体適合性ポリマーなどの任意の適切な材料から構成され得る。例えば、Smith&Nephewによって製造され、ブランドRENASYS(登録商標)の下で販売される器官保護層は、組織保護層として作用し、腹腔または創傷床5100の上に配置され、腹膜陥凹の上に押し込まれる。さらなる例では、これらの材料は一般に非接着性であり、外科手術移植片内で使用されるため、フッ素ポリマーポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材料が適用可能である。一実施形態では、組織保護層は透過性である。例えば、組織保護層5170は、穴、スリット、またはチャネルといった開口部と共に提供されて、創傷部位5100からの流体除去、または、創傷部位5100への陰圧の伝達を可能にする。さらなる実施形態では、組織保護層は、脚、腕、肩、または背部などの体の他の領域における、非腹部創傷の上で使用されてもよい。特定の実施形態では、組織保護層は、創傷内およびその周囲の圧力を測定するように構成されたセンサを含み得る。例えば、センサは、創傷に適用される陰圧のレベルを測定するため、または腹部創傷の下にある臓器上の圧力を測定するために使用され得る。
【0079】
図10A~
図10Cは、開いた創傷の治療方法における可能性のある初期工程の実施形態を示す。しかしながら、上述のように、ステップはこの順序で実施する必要はなく、任意の順序で実施され得る。
図10Aでは、発泡体、底部片5102、および上部片5116などの、二片の多孔性材料、創傷5100のサイズに近似するように選択される。いくつかの実施形態では、上部片および底部片は同一の厚さである。しかしながら、特定の実施形態では、上部片5116は、底部片5102の厚さの少なくとも二倍、少なくとも四倍、少なくとも十倍、または十倍より厚くてもよく、またはその逆であってもよい。
図10Bは、開いた創傷の治療方法のさらなるステップの実施形態を図示する。底部片5102は、創傷の形状に切断またはその他の好適な手段を介して形状付けられ、続いて、
図10Cおよび
図11Aの下にさらに示すように、創傷5100内に配置され得る。
【0080】
図11Aおよび
図11Bは、成形後に創傷床5100内に配置される発泡体層5102(例えば、15mmの層の発泡体)を示す。
図12A~
図12Cでは、
図6A~
図6Cに開示される安定化構造と類似した安定化構造5104、または、本明細書の他の場所に記載の任意のその他の安定化構造は、創傷の形状である。安定化構造は、切断またはその他の好適な手段を介して創傷の形状に形成付けられてもよく、または、安定化構造はまず、創傷によって容易に収容されるサイズであってもよい。
図12Bに示すように、安定化構造5104は創傷内に配置され得る。創傷床内へ装置を挿入するのを支援するために、装置は、創傷部位への進入が容易になるよう、わずかに内向き、または、水平方向に変形され得る。いくつかの実施形態では、装置は、挿入中にわずかに圧搾されて、創傷の壁と接触したら解放されてもよい。特定の実施形態では、創傷閉鎖装置5104は、マトリクスの長手方向側が創傷5100の長手方向軸と整列するように配置され得る。
図12Bに続き、別の発泡体層5116(例えば、10mmの発泡体層)は、創傷閉鎖装置5104の上部に配置される。
【0081】
図12Cは、
図12Aおよび
図12Bの安定化構造および発泡体へのポート5122の適用を図示する。発泡体5118のブリッジ部分は、創傷の縁で発泡体層5116と密着して配置され得る。発泡体5118のブリッジ部分は、傷のない皮膚の上に延在してもよく、一片のドレープ5120がそれと傷のない皮膚との間に配置されている。さらに、吸引ポート5122は、ドレープ5120の一セクションを間において、ブリッジ部分5118に接続され得る。代替的な実施形態では、ブリッジ部分5118および吸引ポート5122は、
図11A~
図12Bに図示した様々なステップの間で、創傷上に配置され得る。
【0082】
図13では、ステップ1~4で示すように、装置が一つまたは複数のドレープ5120によって覆われ得る。発泡体のブリッジ部分を覆うドレープに穴が作製されてもよく、吸引ポート5122がその穴の上に配置されてもよい。一つまたは複数のドレープの上面上の保護層5124は、ドレープ5120が適用された後に取り除かれ得る。ドレープ5120が適用され、ポートが所定位置に置かれたら、陰圧が、真空源からドレープを通して創傷に印加され得る。陰圧によって、本明細書の他の部分に記載されているように、安定化構造を水平に折り畳むことができる。多孔性層を通して安定化構造に接着された組織アンカーは、創傷の組織を係合し、創傷の閉鎖を促進させることができる。
【0083】
図14A~
図14Cは、創傷に配置された上部発泡体層5116のさらなる図を提供し、その後に、ブリッジ部分5118を配置し、一つまたは複数のドレープまたは創傷カバー5120を配置する。
図14D~
図14Gは、創傷の治療および閉鎖方法のいくつかのステップの実施形態を図示する。
図14Dに図示するように、吸引ポート5122はリリースライナー5126から分離され、その後、
図11A~
図13に示すように、創傷に適用される。
図14Eは、創傷滲出液の収集準備のため、陰圧創傷療法装置5130に挿入されるキャニスタ5128を図示する。
図14Fは、吸引ポートに接続されたチューブと陰圧創傷療法装置5130に接続されたチューブとの間のスナップ接続を図示する。接続が行われると、陰圧創傷治療が
図14Gに示すように開始され得る。
【0084】
図15A~
図15Eは、
図7~
図14Gの方法にいくらか類似する、創傷を閉鎖する代替方法を図示する。ここでは、発泡体は、筋肉および筋膜の下に配置され、その後、発泡体は創傷から垂直に延在し、折り畳まれる。こうした方法は、可能な限り筋膜レベルではなく、真皮の閉鎖向上をもたらし得る。代替的な実施形態では、こうした構成は、創傷から突出した、折り畳まれた発泡体層5116を提供することによって、本明細書の本セクションまたは本明細書の他の場所で開示されたような安定化構造と組み合わされてもよい。
図15Eは、代替的な方法の断面図である。
【0085】
本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかと組み合され得る、または組み込まれ得る、創傷閉鎖装置、安定化構造、関連装置、使用方法に関するさらなる詳細は、本明細書のその他の場所、および、国際特許出願公開第2014/014922A1号として公開された、2013年7月16日出願の、国際特許出願第PCT/US2013/050698号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
他の変形
本明細書で提供される閾値、限界値、期間などの値は、絶対的なものであることを意図するものではなく、したがっておおよそのものでありうる。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによって、固定されるかまたは変えられうる。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明されうるが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈されうる。
【0087】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及び、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0088】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形態において、様々な省略、置換、及び変形がなされ得る。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGA等のハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴及び特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0089】
本明細書で図示され、説明されるユーザインターフェーススクリーンには、追加の構成要素または代替の構成要素が含まれうる。これらの構成要素には、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダー、チェックボックス、コンボボックス、ステータスバー、ダイアログボックス、ウィンドウなどが含まれうる。ユーザインターフェーススクリーンには、追加の情報、または代替の情報が含まれうる。構成要素は、任意の好適な順番に配置され、グループ化され、標示されうる。
【0090】
本開示には、特定の実施形態、実施例、及び用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形及びその等価物にまで及び、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定されうる。
【0091】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、及び動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0092】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈と共に、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0093】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」及び「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0094】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてまたは本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義されうる。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷に挿入されるように構成された安定化構造を含む創傷被覆材と、
流体流路を介して前記創傷被覆材に陰圧を与えるように構成された陰圧源と、
コントローラであって、
前記創傷から流体除去量を監視し、遠隔装置へ前記流体除去量を無線通信し、
前記流体除去量が閾値を満たす場合に表示を出力するコントローラと、を備える創傷療法装置。
[付記項2]
前記コントローラが、前記流体除去量が前記閾値を満たす場合に、前記陰圧源が前記創傷被覆材に供給される陰圧レベルを調節するようにさらに構成される、付記項1に記載の創傷療法装置。
[付記項3]
前記コントローラが、前記創傷から吸引される流体の重量から前記流体除去量を監視するようにさらに構成される、付記項1および2のうちの一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項4]
前記コントローラが、前記創傷から吸引される前記流体の重量およびキャニスタ内に貯蔵される流体の重量を監視するようさらに構成される、付記項3に記載の創傷療法装置。
[付記項5]
前記流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を監視するように構成された圧力センサをさらに備え、前記コントローラが、前記一つまたは複数の圧力の特徴を使用して、前記流体除去量を監視するようにさらに構成される、付記項1~4のいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項6]
前記創傷から除去された流体を貯蔵するように構成されたキャニスタをさらに備え、前記コントローラが、前記キャニスタ内の流体レベルから前記流体除去量を監視するようにさらに構成された、付記項1~5のいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項7]
前記コントローラが、前記流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、前記キャニスタ内の前記流体レベルを監視するようにさらに構成された、付記項6に記載の創傷療法装置。
[付記項8]
前記コントローラが、前記陰圧源の作動レベルから、前記キャニスタ内の前記流体レベルを監視するようにさらに構成された、付記項7に記載の創傷療法装置。
[付記項9]
前記陰圧源が真空ポンプを備え、前記陰圧源の前記作動レベルが前記真空ポンプの速度に対応する、付記項8に記載の創傷療法装置。
[付記項10]
前記一つまたは複数の圧力の特徴が圧力信号の大きさを備え、前記キャニスタ内の前記流体レベルが増加するにつれて、前記圧力信号の大きさが増加する、付記項3および7~9のいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項11]
前記コントローラが、前記遠隔装置への前記流体除去量を無線通信して、前記遠隔装置が、前記患者に関連付けられた電子医療記録に前記流体除去量を保存する、付記項1~10のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項12]
流体流路を介して創傷被覆材に陰圧を与えるよう構成されたコントローラと陰圧源とを備える陰圧創傷療法装置を操作する方法であって、前記創傷被覆材が、創傷に挿入される安定化構造を備え、前記方法が、
前記創傷からの流体除去量を監視することと、
遠隔装置へ前記流体除去量を無線通信することと、
前記流体除去量が閾値を満たす場合に表示を出力することと、を含み、
前記方法が前記コントローラによって実施される、方法。
[付記項13]
前記流体除去量が前記閾値を満たす場合に、前記陰圧源によって前記創傷被覆材に提供される陰圧レベルを調整することをさらに含む、付記項12に記載の方法。
[付記項14]
前記流体除去量を前記監視することが、前記創傷から吸引された流量の重量からの前記流体除去量を監視することを含む、付記項12および13のいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項15]
前記流体除去量を前記監視することが、前記創傷から吸収された前記流体の重量、および、前記創傷被覆材によって吸収された、または、キャニスタ内に保存された流体の重量を監視することを含む、付記項14に記載の方法。
[付記項16]
前記流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を監視することをさらに含み、前記流体除去量を前記監視することが、前記一つまたは複数の圧力の特徴を使用して、前記流体除去量を監視することを含む、付記項12~15のいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項17]
前記流体除去量を前記監視することが、前記創傷から除去された流体を貯蔵するキャニスタ内の流体レベルから前記流体除去量を監視することを含む、付記項12~16のいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項18]
前記流体除去量を前記監視することが、前記流体流路内の圧力の一つまたは複数の特徴を使用して、前記キャニスタ内の前記流体レベルを監視することを含む、付記項17に記載の方法。
[付記項19]
前記流体除去量を前記監視することが、前記陰圧源の作動レベルから前記キャニスタ内の前記流体レベルを監視することを備える、付記項18に記載の方法。
[付記項20]
前記陰圧源が真空ポンプを備え、前記陰圧源の前記作動レベルが前記真空ポンプの速度に対応する、付記項19に記載の方法。
[付記項21]
前記一つまたは複数の圧力の特徴が圧力信号の大きさを含み、前記キャニスタ内の前記流体レベルが増加するにつれ、圧力信号の前記大きさが増加する、付記項15および18~20のいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項22]
前記流体除去量を前記無線通信することが、前記遠隔装置に前記流体除去量を無線通信して、前記遠隔装置によって、前記患者に関連付けられた電子医療記録に前記流体除去量を保存することを含む、付記項12~21のいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項23]
安定化構造を含む創傷被覆材に流体流路を介して陰圧を与えるように構成された陰圧源であって、前記安定化構造が創傷に挿入され、前記安定化構造が前記創傷内に位置付けられる場合に、前記創傷に陰圧を印加すると折り畳まれるよう構成された、陰圧源と、
前記流体流路内の圧力を検出するように構成されたセンサと、
コントローラであって、
前記陰圧源が前記流体流路内の前記圧力の大きさを陰圧範囲内に維持しつつ、前記流体流路内の前記圧力から前記安定化構造の折り畳み測定量を判定し、
前記折り畳み測定量に対応して表示を出力するよう構成されたコントローラと、を備える創傷療法装置。
[付記項24]
前記コントローラが、経時的な前記流体流路の前記圧力の前記大きさの変化から、前記折り畳み測定量を判定するよう構成された、付記項23に記載の創傷療法装置。
[付記項25]
前記コントローラが、経時的な前記流体流路内の前記圧力の前記大きさの圧力変化パターンとの比較から、前記折り畳み測定量を判定するようにさらに構成された、付記項23および24のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項26]
前記圧力変化パターンが、(i)前記安定化構造が完全に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、(ii)前記安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、および、(iii)前記安定化構造が折り畳まれていない場合の前記流体流路内の圧力の大きさのうちの一つまたは複数を示す、付記項25に記載の創傷療法装置。
[付記項27]
前記折り畳み測定量が前記安定化構造の折り畳み量を含む、付記項23~26のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項28]
前記コントローラが、縫合部が前記創傷被覆材に近接している場合、前記流体流路内の前記圧力から、前記縫合部が破裂または破損したことを検出するようさらに構成された、付記項23~27のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項29]
前記コントローラが、(i)前記陰圧源を作動または作動解除させる、(ii)アラームを作動または作動解除させる、(iii)前記陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させる、または、(iv)前記流体流路内の陰圧を解放するための前記表示
を出力するよう構成される、付記項23~28のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項30]
前記コントローラが、前記陰圧源の作動および作動解除を制御して、前記流体流路内の前記圧力の前記大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、前記安定化構造の折り畳みの標的レベルに従って一定時間、前記陰圧源の作動および作動解除を制御するための前記表示を出力するよう構成される、付記項23~29のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項31]
前記時間が、少なくとも1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、または5時間である、付記項30に記載の創傷療法装置。
[付記項32]
前記コントローラが、ユーザへの提示、または、メモリ装置への保存のための前記表示
を出力するよう構成される、付記項23~31のうちのいずれか一つまたは複数に記載の
創傷療法装置。
[付記項33]
前記コントローラが、前記表示に関連付けられた装置使用データを、メモリ装置内に保存するようさらに構成され、前記装置使用データは、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間のうちの一つまたは複数を含む、付記項23~32のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項34]
前記コントローラが、前記流体流路内の前記圧力から前記創傷被覆材が前記安定化構造を含むかどうかを判定するようさらに構成される、付記項23~33のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項35]
前記センサが、前記創傷被覆材における前記流体流路内、前記流体流路の一つまたは複数の内腔、または、前記陰圧源の入口における前記圧力を検出するよう構成される、付記項23~34のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項36]
前記陰圧源が、前記流体流路内の前記圧力の前記大きさが前記陰圧範囲内に維持される場合、陰圧療法を実施するよう構成される、付記項23~35のうちのいずれか一つまたは複数に記載の創傷療法装置。
[付記項37]
流体流路を介して創傷被覆材に陰圧を与えるように構成されたコントローラと陰圧源とを含む創傷療法装置を操作する方法であって、前記創傷被覆材が安定化構造を含み、前記安定化構造が創傷内に位置付けられるときに陰圧が前記創傷に印加されると、折り畳まれるよう、さらに構成され、前記方法が、
前記流体流路内の圧力を監視することと、
前記陰圧源が前記流体流路内の前記圧力の大きさを陰圧範囲内に維持しつつ、前記流体流路内の前記圧力から前記安定化構造の折り畳み測定量を判定することと、
前記折り畳み測定量に対応して表示を出力するようことと、を含み、
前記方法が前記コントローラによって実施される、方法。
[付記項38]
前記折り畳み測定量を前記判定することが、経時的な前記流体流路内の前記圧力の前記大きさの変化から前記折り畳み測定量を判定することを含む、付記項37に記載の方法。
[付記項39]
前記折り畳み測定量を前記判定することが、経時的な前記流体流路内の前記圧力の前記大きさを、圧力変化パターンと比較することから、前記折り畳み測定量を判定することを含む、付記項37および38のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項40]
前記圧力変化パターンが、(i)前記安定化構造が完全に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、(ii)前記安定化構造が部分的に折り畳まれた場合の前記流体流路内の圧力の大きさ、および、(iii)前記安定化構造が折り畳まれていない場合の前記流体流路内の圧力の大きさのうちの一つまたは複数を示す、付記項39に記載の方法。
[付記項41]
前記折り畳み測定量が前記安定化構造の折り畳み量を含む、付記項37~40のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項42]
前記表示を前記出力することが、(i)前記陰圧源を作動または作動解除させる、(ii)アラームを作動または作動解除させる、(iii)前記陰圧源によって提供される標的陰圧を増加または減少させる、または、(iv)前記流体流路内の陰圧を解放するという前記表示を出力することを含む、付記項37~41のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項43]
前記表示を前記出力することが、前記陰圧源の作動および作動解除を制御して、前記圧力の大きさを調整し、所定の陰圧閾値を狙うのではなく、前記安定化構造の折り畳みの標的レベルに従って一定時間、前記陰圧源の作動および作動解除を制御するための前記表示を出力することを含む、付記項37~42のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項44]
前記時間が、少なくとも1分間、5分間、10分間、30分間、1時間、または5時間である、付記項43に記載の方法。
[付記項45]
前記表示を前記出力することが、ユーザへの提示、または、メモリ装置への保存のための前記表示を出力することを含む、付記項37~44のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項46]
前記表示に関連付けられた装置使用データを、メモリ装置内に保存することをさらに含み、前記装置使用データが、圧力レベル、アラーム、滲出液レベル、イベントログ、および動作使用時間のうちの一つまたは複数を含む、付記項37~45のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項47]
前記流体流路内の前記圧力から前記創傷被覆材が前記安定化構造を含むかどうかを判定することをさらに含む、付記項37~46のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項48]
前記流体流路内の前記圧力を前記監視することが、前記創傷被覆材における前記圧力を、前記流体流路の一つ以上の内腔で、または前記陰圧源の入口で監視することをさらに含む、付記項37~47のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
[付記項49]
前記陰圧源が、前記流体流路内の前記圧力の大きさが前記陰圧範囲内に維持される場合、陰圧療法を実施するよう構成される、付記項37~48のうちのいずれか一つまたは複数に記載の方法。
【外国語明細書】