(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036543
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02345 20210101AFI20240308BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20240308BHJP
H01S 5/02208 20210101ALI20240308BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240308BHJP
【FI】
H01S5/02345
H01S5/40
H01S5/02208
H01S5/02253
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016420
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2019198334の分割
【原出願日】2019-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥野 凌太
(57)【要約】
【課題】主レンズから出る光を目標とする品質の範囲内に収めることが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】本開示の光源装置は、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子と、複数の発光素子を封止するケースであって、複数の発光素子から放射された光を透過する透光領域を有するケースと、透光領域の少なくとも一部を覆う複数の主レンズであって、第1発光素子から放射される光をコリメートまたは収束する第1主レンズ、および、第2発光素子から放射される光をコリメートまたは収束する第2主レンズを含む、複数の主レンズと、ケースの内部に配置された複数の副レンズであって、第1発光素子と第1主レンズとの間の光路上に位置する第1副レンズ、および、第2発光素子と第2主レンズとの間の光路上に位置する第2副レンズを含む複数の副レンズとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ素子である第1発光素子を含む複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が配置される底部と、上面視で前記第1発光素子を囲む枠部と、を含む基部と、
前記枠部の上面に接合される、蓋部と、
前記枠部に形成された開口を塞ぐカバーと、
前記第1発光素子と電気的に接続するワイヤと、
を備え、
前記枠部は、第1外側面と、前記第1外側面の反対側の第2外側面と、前記第1外側面側にある第1内側面と、前記第2外側面側にあり前記第1内側面と対向する第2内側面とを有し、前記第1内側面から前記第1外側面に亘り前記開口が形成され、
前記複数の発光素子は、光出射面から前記開口へと進む方向である第1方向に光を出射し、
前記カバーは、前記第1外側面と対向する第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面とを有し、前記第1側面が前記第1外側面に接合され、
前記枠部には、前記第2内側面に沿って前記第2内側面と交わる段差部が形成され、
前記段差部の上面には前記ワイヤが接合される導電層が設けられる、発光装置。
【請求項2】
前記カバーは透光性であり、
前記蓋部は透光性ではない、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記段差部の上面は、前記開口の下端よりも上方に位置する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基部は、前記第1外側面よりも前記第1方向に側面を有さない、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基部において、前記第1発光素子が配置される前記底部の上面と、前記段差部の上面と、前記開口の下端はそれぞれ、上下方向に異なる高さに位置している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、レーザ素子である第2発光素子をさらに含み、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、上面視で、前記第1方向に垂直な方向に並べて配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2側面と対向する平面と、前記平面の反対側に設けられるレンズ形状とを有し、前記平面が前記第1外側面に接合される、レンズをさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記レンズは、前記カバーの上方に位置する第1部位と、前記カバーの下方に位置する第2部位とで、接合層を介して前記基部に接合される、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記カバーは、前記第1外側面に垂直な方向からみた平面視で、前記開口よりも大きく、かつ、前記第1外側面よりは小さい形状である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の発光素子および複数のレンズを備える発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の半導体レーザ素子およびレンズアレイを備える発光装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、2個の半導体レーザ素子における各発光領域の位置が実装誤差を持つ場合において、レンズアレイの傾き角度を調整することにより、コリメート光の平行性を高めることを開示している。しかし、レンズアレイの傾き角度を調整するだけでは調整精度を充分に高めることは難しい。調整精度をさら高めることが可能な発光装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、一態様において、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を封止するケースであって、前記複数の発光素子から放射された光を透過する透光領域を有するケースと、前記透光領域の少なくとも一部を覆う複数の主レンズであって、前記第1発光素子から放射される光をコリメートまたは収束する第1主レンズ、および、前記第2発光素子から放射される光をコリメートまたは収束する第2主レンズを含む、複数の主レンズと、前記ケースの内部に配置された複数の副レンズであって、前記第1発光素子と前記第1主レンズとの間の光路上に位置する第1副レンズ、および、前記第2発光素子と前記第2主レンズとの間の光路上に位置する第2副レンズを含む複数の副レンズとを備える。
【発明の効果】
【0006】
上述の発光装置によれば、主レンズから出る光を目標とする品質の範囲内に収めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、複数の発光素子と複数のコリメートレンズを備えるが副レンズのない発光装置の構成例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、副レンズのない発光装置が備える複数の発光素子が、それぞれ、異なる拡がり角で光を放射する例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の発光装置の基本的な構成例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の第1の実施形態における発光装置を示す斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、第1の実施形態における発光装置の内部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における発光装置の、(a)Z軸の正方向から見た上面、(b)X軸の正方向から見た側面、および、(c)Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における発光装置を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における発光装置の内部構成を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態における発光装置に用いられ得るレンズアレイの例を示す斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の第2の実施形態における発光装置を示す斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、第2の実施形態における発光装置の内部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態における発光装置の、(a)Z軸の正方向から見た上面、(b)X軸の正方向から見た側面、および、(c)Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態における発光装置を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態における発光装置の内部構成を示す平面図である。
【
図13A】
図13Aは、本開示の第3の実施形態における発光装置を示す斜視図である。
【
図13B】
図13Bは、第3の実施形態における発光装置の内部を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態における発光装置の、(a)Z軸の正方向から見た上面、(b)X軸の正方向から見た側面、および、(c)Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【
図15】
図15は、の第3の実施形態における発光装置を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態における発光装置の内部構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態を説明する前に、本発明者が見出した知見およびその技術背景を説明する。
【0009】
まず、
図1および
図2を参照して、複数の発光素子から放射された光を複数のレンズによってコリメートまたは収束する発光装置に生じ得る幾つかの問題を説明する。
【0010】
図1は、複数のレーザダイオード110と複数のレンズ140を備える発光装置100Pの構成例を模式的に示す図である。発光装置100Pは副レンズを備えておらず、すなわち、レーザダイオード110から放射された光Lが最初に到達するレンズがレンズ140である。この例におけるレンズ140は、レーザダイオード110から放射された光Lをコリメートする光学素子である。この場合、発光装置100Pは、各レンズ140から出た光が、それぞれ、略平行なビームにコリメートされることを意図して設計している。そのため、各レーザダイオード110の設計上の位置および向きは、レーザダイオード110の出射端面における「発光領域」がレンズ140の焦点またはその近傍に一致し、且つ、光Lの中心部がレンズ140の光入射面に対して垂直に入射するように決定される。レーザダイオードの発光領域はエミッタ領域とも呼ばれる。以下、発光領域の設計上の位置を「目標位置(target position)」と呼ぶ場合がある。なお、レーザダイオード110の発光領域の目標位置は、必ずしもレンズ140の焦点に完全に一致する必要はなく、所望の光ビームを形成するように決定され得る。例えばコリメートされた光Lのビーム形状を制御するため、意図的に、焦点から僅かに離れた位置を目標位置に設定し、その目標位置に発光領域を配置させることがあり得る。そのような場合でも、光学設計に基づいて決められた設計位置すなわち目標位置に、レーザダイオード110の発光領域を正確に配置することが求められる。
【0011】
レーザダイオード110を実装するとき、レーザダイオード110の位置が目標位置からずれることがある。このようなずれは、レーザダイオード110の実装時のばらつきに起因して生じ得る。発光領域が目標位置から外れる等、レーザダイオード110が設計上の位置からずれると、レンズ140を透過した光の方向および/または拡がり角が設計範囲から逸脱する可能性がある。
図1の例では、各レーザダイオード110の発光領域が目標位置から外れているため、レンズ140を透過した光ビームが設計どおりにコリメートされず、光ビームの方向および拡がり角が目標から外れている状態が示されている。
【0012】
レーザダイオード110の位置ずれは、個々のレーザダイオード110によって別々に生じ得る。レーザダイオード110を実装した後、発光領域の位置にあわせて個々のレンズ140の位置または向きを調整することができれば、それによって所望のコリメート光が得られるかもしれない。しかし、各レンズ140が共通の部材に固定されていたり、同じ材料から一体的に形成されていたりした場合、そのような個別の調整は実行できない。また、レンズ140をパッケージの透光部材上に固定するような場合は、調整可能なレンズ140の可動範囲が狭くなるため、個々のレンズ140の位置調整だけでは、発光領域の位置ずれを補正できないことがあり得る。
【0013】
図2は、発光装置100Pが備える複数のレーザダイオード110が、それぞれ、異なる拡がり角で光Lを放射する例を模式的に示す図である。
図1と同様に、
図2の発光装置100Pも副レンズを備えていない。レーザダイオード110が放射する光Lの拡がり角が均一でない場合とは、例えば、レーザダイオード110が異なる色の光を放射する場合である。この場合、レーザダイオード110の構造およびサイズが相互に異なり得るため、放射する光の拡がり角が異なり得る。そして、そのような場合、レンズ140を透過した光ビームのビーム径が不均一になり得る。レーザダイオード110の種類に応じてレンズ140の焦点距離を変更することによってコリメート光のビーム径を均一に近付けようとすると、発光装置100Pの光軸方向のサイズを大きくする必要がある。
【0014】
このような課題は、レーザダイオード110に限らず、種々の発光素子とレンズを組み合わせる場合に起こり得る。
【0015】
<基本構成>
以下、本開示の実施形態を説明する。まず、
図3を参照しながら、後述する実施形態に共通する発光装置の基本的な構成の例を説明する。
図3は、発光装置の構成例を模式的に示す図である。これらの図面には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。使用時における発光装置の向きは任意であり、図示されている発光装置の向きによって制限されない。
【0016】
発光装置100は、第1発光素子10Aおよび第2発光素子10Bを含む複数の発光素子10と、複数の発光素子10を封止するケース20とを備えている。ケース20によって発光素子10が気密に封止されていてよい。後述の例に示すように、発光素子10の個数は、2個に限定されず、3個以上であってもよい。発光素子10の例は、端面出射型半導体レーザ素子または垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)などのレーザ素子でありえる。このようなレーザ素子として、半導体層を有するレーザダイオード(LD)を用いることができる。発光素子10は、非コヒーレント光を放射する発光ダイオード(LED)などの発光素子であってもよい。発光素子10はレーザ素子であることが好ましい。レーザ素子が放射するレーザ光は、LEDが放射する光よりも直進性が高く、より多くの割合の光をレンズに照射させることができるからである。発光素子10の発光領域とは、発光素子10の表面のうち光Lが放射される領域である。発光素子10がレーザ素子である場合は、発光素子10の発光領域とは、レーザビームが出射する領域を指す。発光素子10から放射される光は、例えば可視光である。光の波長は、可視光域に限定されず、赤外域または紫外域の範囲にあってもよい。また、複数の発光素子10が、それぞれ、異なる波長域の光を放射してもよく、異なる色の光を放射してもよい。
図3の例において、第1発光素子10Aから放射される光のピーク波長は、第2発光素子10Bから放射される光のピーク波長とは異なっている。
【0017】
ケース20は、複数の発光素子10から放射された光Lを透過する透光領域30を有している。透光領域30は例えばガラスである。ケース20をパッケージと呼んでもよい。ケース20の具体的な構成例は、後述する。
【0018】
発光装置100は、透光領域30の少なくとも一部を覆う複数の主レンズ40を備えている。複数の主レンズ40は、第1発光素子10Aから放射される光Lをコリメートまたは収束する第1主レンズ40Aと、第2発光素子10Bから放射される光Lをコリメートまたは収束する第2主レンズ40Bとを含む。図示される例において、主レンズ40は、コリメートレンズである。
【0019】
さらに、発光装置100は、ケース20の内部に配置された複数の副レンズ50を備えている。複数の副レンズ50は、第1発光素子10Aと第1主レンズ40Aとの間の光路上に位置する第1副レンズ50Aと、第2発光素子10Bと第2主レンズ40Bとの間の光路上に位置する第2副レンズ50Bとを含んでいる。このため、第1発光素子10Aから放射された光は、第1副レンズ50Aを透過した後、第1主レンズ40Aに入射する。第1副レンズ50Aは、第1主レンズ40Aの補助的な機能を発揮し、第1主レンズ40Aおよび第1副レンズ50Aの組み合わせによって、所望のコリメーションまたは収束を実現し得る。同様に、第2発光素子10Bから放射された光は、第2副レンズ50Bを透過した後、第2主レンズ40Bに入射する。第2副レンズ50Bは、第2主レンズ40Bの補助的な機能を発揮し、第2主レンズ40Bおよび第2副レンズ50Bの組み合わせによって、所望のコリメーションまたは収束を実現し得る。従って、主レンズ40のレンズ形状は、副レンズ50を用いない場合のレンズの形状とは異なり得る。
【0020】
図3では、光Lを2本の破線に囲まれた領域によって模式的に表している。レーザビームなどの光Lの強度は、光Lの中心の伝搬方向に直交する平面内において、例えばガウシアン分布によって近似的に表され得る。このような光Lのビームの径は、ビーム中心の光強度に対して例えば1/e
2以上の光強度を持つ領域のサイズによって規定され得る。ここで、eはネイピア数(約2.71)である。ビームの径は、他の基準によって定義されてもよい。
【0021】
複数の副レンズ50のそれぞれは、相互に独立してケース20に実装され得る。このため、個々の副レンズ50の位置および向きは、互いに拘束されることなく調整され得る。なお、
図3では、簡単のため、副レンズ50を支持する部材の記載が省略されている。個々の副レンズ50は、直接または間接的にケース20に固定され得る。
【0022】
第1副レンズ50Aの位置および向きは、第1発光素子10Aをケース20内に実装した後、第1発光素子10Aの位置および向きに応じて決定される。同様に、第2副レンズ50Bの位置および向きは、第2発光素子10Bをケース20内に実装した後、第2発光素子10Bの位置および向きに応じて決定される。複数の副レンズ50は、それぞれは、複数の発光素子10の位置および/または向きのずれを補償する機能を発揮することが可能である。また、複数の発光素子10に実装ずれが生じていない場合であっても、複数の副レンズ50は、それぞれ、複数の発光素子10から放射される光の波長および拡がり角などの特性の違いに基づいて異なり得るビーム径またはビーム収束点位置を調整する機能を発揮することも可能である。これらの機能から、副レンズ50を、補正レンズまたは調整レンズと呼んでもよい。
【0023】
個々の副レンズ50の位置および向きの調整は、発光素子10から光Lを放射させた状態で、副レンズ50を透過した光Lをビームプロファイラなどの装置によって測定しながら実行され得る。例えば、紫外線硬化樹脂によって副レンズ50をケース20に固定する場合、副レンズ50とケース20との間に硬化前の紫外線硬化樹脂を介在させた状態で上記の調整を実行する。そして、副レンズ50の位置および向きを決定した後、治具または保持装置によって副レンズ50の位置および向きを保持したまま紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させればよい。樹脂を用いる代わりに、加熱によって軟化または溶融する金属を含む接合材料を用いてもよい。このように発光素子10から光Lを放射させた状態で副レンズ50を実装することによって発光装置100から出射される光Lの方向および/または拡がり角を調整することを「アクティブアライメント」と呼んでもよい。このようなアクティブアライメントが完了した後、主レンズ40が実装される。
【0024】
主レンズ40には、副レンズ50によって補正された光Lが入射する。このため、主レンズ40から出る光を目標とする品質の範囲内に収めることが可能になる。この品質は、光の進行方向、拡がり角、サイズを含む。「目標とする品質の範囲内に収める」とは、これらのうち1以上が目標の範囲内に収まっていることを指し、それらすべてが目標の範囲内に収まっていることが好ましい。
【0025】
また、複数の主レンズ40が連結されたレンズアレイであっても、レンズアレイとして可能な程度の位置調整により、それぞれが目標とする品質の複数の光ビームを得ることが可能になる。
【0026】
図3では、主レンズ40は、ケース20の外部においてケース20に対して直接または間接的に固定されている。もし主レンズ40がケース20の内部に配置されている場合、主レンズ40によってコリメートまたは収束された光が、透光領域30を透過してケース20の外部に取り出される。その場合、透光領域30で屈折してビーム品質が劣化する可能性が排除できない。このため、
図3に示すように、主レンズ40をケース20の外部に取り付けることが好ましい。これにより、そのようなビーム品質の劣化を避けることができる。一方、副レンズ50は、ケース20の外部ではなく内部に配置している。発光素子10が放射する光Lは、発光領域から離れるにつれて広範囲に拡散する。副レンズ50をケース20の内部に配置することにより、副レンズ50を発光素子10の発光領域に近づけることができるため、ケース20の外部に配置する場合よりも小さなサイズの副レンズ50によって補正効果を得ることが可能になる。したがって、発光装置100の小型化に有利である。
【0027】
<第1の実施形態>
以下、
図4Aから
図8を参照して、第1の実施形態を説明する。
【0028】
まず、
図4A、
図4B、
図5(a)、
図5(b)、および
図5(c)を参照しながら、第1の実施形態における発光装置100の概略構成を説明する。
図4Aは、第1の実施形態における発光装置100の外観を示す斜視図である。
図4Bは、第1の実施形態における発光装置100の内部を示す斜視図である。
図5(a)、
図5(b)、および
図5(c)は、それぞれ、第1の実施形態の発光装置100をZ軸の正方向から見た上面、X軸の正方向から見た側面、および、Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【0029】
第1の実施形態における発光装置100は、第1発光素子10A、第2発光素子10B、および第3発光素子10Cを含む複数の発光素子10と、複数の発光素子10を封止するケース20とを備えている。
【0030】
図4Bの配置例において、各発光素子10A、10B、10Cからは、Y軸の負方向に光が放射される。ケース20の内部には、3個の発光素子10から放射された光をZ軸の正方向に反射する3個のリフレクタRが配置されている。また、
図4Aに示すように、ケース20は、リフレクタRで反射された光を透過する透光領域を含むカバー32を有している。この例において、カバー32の全体が透光性材料から形成されており、透光領域として機能する。カバー32の全体ではなく一部が透光領域として機能してもよい。発光装置100は、カバー32の少なくとも一部を覆う複数の主レンズ40、すなわち、第1主レンズ40A、第2主レンズ40B、および第3主レンズ40Cと、ケース20の内部に配置された複数の副レンズ50、すなわち、第1副レンズ50A、第2副レンズ50B、および第3副レンズ50Cとを備えている。この例において、複数の副レンズ50は、それぞれ、複数の発光素子10とリフレクタRとの間に配置されている。
【0031】
次に、
図6、
図7および
図8を参照して、第1の実施形態における発光装置100の構成を詳しく説明する。
図6は、第1の実施形態における発光装置100を示す断面図である。
図7は、発光装置100の内部構成を示す平面図であり、カバー32および主レンズ40の記載が省略されている。
図8は、発光装置100が備えることができるレンズアレイ400の構成例を示す斜視図である。
【0032】
図6に示されるように、発光装置100のケース20は、発光素子10を支持する基部22と、発光素子10を覆うカバー32とを有している。カバー32は、例えばサファイアなどの透光性材料から形成され得る。カバー32は、例えば、透光性材料からなる板を有する。その板の表面に金属層が設けられていてもよい。基部22は、複数の発光素子10が配列された底部24と、複数の発光素子10を取り囲む枠部26とを含む。主レンズ40を載せたカバー32は枠部26によって支持されている。
【0033】
基部22は、発光素子10を外部電源と電気的に接続するための電極構造を有しており、この電極構造に発光素子10が電気的に接続される。従って、基部22は、発光素子10を外部電源と電気的に接続する役割をも果たす。基部22は、絶縁材料と導電材料の複合体から形成され得る。基部22は、例えば、絶縁性のセラミックの本体と、電極として機能する導電性の金属部とを有する。
【0034】
図6に示される例において、枠部26は、カバー32から底部24に至るまでの間に段差部を有している。発光素子10を外部電源に接続するための電極構造の少なくとも一部は、段差部の面28に形成され得る。電極構造の一部は、基部22を貫通するビア電極であり得る。電極構造と発光素子10とは、例えばワイヤによって電気的に接続され得る。
図6において、ワイヤの記載は省略されている。
図7には、6本のワイヤ60が模式的に記載されている。これらのワイヤ60は、段差の面28に形成された電極構造の一部である導電層と、各発光素子10とを電気的に接続する。
図7において、ワイヤ60は直線的に記載されているが、ワイヤ60は湾曲したり、屈曲したりしていてもよい。
【0035】
図6の例において、各発光素子10はサブマウント12に固定されており、サブマウント12が基部22に固定されている。サブマウント12は、発光装置100の構成から省くことが可能である。サブマウント12は、放熱性を高めるため、熱伝導率が基部22の熱伝導率よりも高い材料から形成され得る。発光素子10の発光領域は、リフレクタRの側にあり、光Lは、発光領域からリフレクタRに向けて放射される。
図6では、光Lの光軸(中心)が矢印直線で模式的に示されている。発光素子10の発光領域とリフレクタRとの間には、副レンズ50が配置されている。副レンズ50の位置は、前述したように、発光素子10の目標位置からのずれを補償するように調整された後、基部22に固定されている。この「補償」とは、主レンズ40と副レンズ50の組み合わせからなるレンズ系の焦点と発光素子10の発光領域とを必ずしも厳密に一致させることを意味しない。この焦点の位置が、副レンズ50が無いときに比べて、発光素子10の発光領域に相対的に接近するように副レンズ50の位置および/または向きを整えることは「補償」に含まれる。
【0036】
副レンズ50のそれぞれの位置および向きは、主レンズ40および副レンズ50の組が規定する焦点を、発光素子10の発光領域に一致させることが好ましい。これにより、副レンズ50をそれぞれ透過した光Lを、より確実に、対応する主レンズ40によってコリメートまたは収束することができる。また、主レンズ40および副レンズ50の少なくともいずれか一方は、複数のレンズが連結されたレンズアレイでなく、複数のレンズがそれぞれ独立した個別のレンズ部品であることが好ましい。これにより、両方がレンズアレイである場合と比較して、主レンズ40および副レンズ50の組が規定する焦点を調整可能な範囲を拡大することができる。したがって、その焦点を発光素子10の発光領域に一致させることが容易になる。
【0037】
リフレクタRは、少なくとも一面に光反射面を有する。光反射面は、リフレクタRの底面に対して傾斜しており、発光素子10からの光Lを透過領域に向けて反射する。リフレクタRは、発光素子10からの放射光を受けるため、熱に強い材料から形成されることが好ましい。光反射面は、反射率の高い材料の層から形成され得る。リフレクタRの本体部分は、石英もしくはBK7(硼珪酸ガラス)などのガラス、アルミニウムなどの金属、または、Siなどから形成され得る。光反射面は、金属層および/または誘電体多層膜から形成され得る。
【0038】
副レンズ50は、基部22に対する接合を可能にする形状、例えば直方体形状を一部に有していることが好ましい。副レンズ50は、レンズ形状の部分として曲面を有する。この曲面は、凸でもよく、凹でもよい。副レンズ50は、例えば、BK7やB270などのガラスから形成され得る。主レンズ40も、例えば、BK7やB270などのガラスから形成され得る。主レンズ40は、
図4Aに示されるように、X軸方向に配列された3つの主レンズ40A、40B、40Cを含んでいる。主レンズ40A、40B、40Cのそれぞれの形状は、光Lが透過する部分において球面または非球面を有するレンズ形状の部分を有していれば、他の部分の形状は任意である。
図4Aにおいて、主レンズ40のレンズ形状の部分は、板状部の部分から上方に突出した凸部である。主レンズ40が有する複数の凸部を密に配置することは発光装置100の小型化に利する。主レンズ40が有する複数の凸部のそれぞれの間の距離は、例えば、1つの凸部のX軸方向における幅よりも小さくすることができる。
【0039】
主レンズ40A、40B、40Cは、個別のレンズ部品としてカバー32に接合されていてもよいし、1個の一体化されたレンズアレイとしてカバー32に固定されていてもよい。
図8は、主レンズ40A、40B、40Cが連結されたレンズアレイ400の構成例を示す斜視図である。レンズアレイ400は、主レンズ40A、40B、40CがX軸方向に密に並んだ構造を有する一体部品(one-piece body)である。第1主レンズ40Aと第2主レンズ40Bとの間、および、第2主レンズ40Bと第3主レンズ40Cと間には、隙間が存在してもよいし、3個の主レンズ40A、40B、40Cが隙間なく連結していてもよい。
【0040】
図6に示されるように、主レンズ40は、接合層34を介してカバー32に固定され得る。接合層34は、例えば紫外線硬化樹脂などから形成され得る。なお、
図8に示されるレンズアレイ400も、同様の接合層を介してカバー32に固定され得る。レンズアレイ400では、主レンズ40A、40B、40Cの相互配置関係が固定された状態にあるため、カバー32に対して主レンズ40A、40B、40Cのそれぞれを別々に固定する必要はない。レンズアレイ400は、一体部品としてハンドリングされるため、実装しやすい利点を有する。
【0041】
複数の発光素子10が放射する光は、それぞれ異なる色の光であってよい。例えば、青色、緑色、および赤色の光をそれぞれ用いることができる。第1の実施形態において、第1発光素子10A、第2発光素子10B、および第3発光素子10Cは、それぞれ、緑色レーザビームを出射する緑色半導体レーザ素子、青色レーザビームを出射する青色半導体レーザ素子、および赤色レーザビームを出射する赤色半導体レーザ素子である。いずれも端面出射型である。
【0042】
青色半導体レーザ素子が出射するレーザビームのピーク波長は430nmから480nmであり、450nmから470nmであってもよい。緑色半導体レーザ素子が出射するレーザビームのピーク波長は500nmから550nmであり、520nmから540nmであってもよい。赤色半導体レーザ素子が出射するレーザビームのピーク波長は620nmから660nmであり、630nmから650nmであってもよい。青色半導体レーザ素子および緑色半導体レーザ素子は、主として窒化物半導体から形成され得る。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、AlGaNが挙げられる。赤色半導体レーザ素子は例えば主としてガリウムヒ素系半導体から形成され得る。発光素子10としてレーザ素子を採用する場合、その光エネルギーが強いほど、光集塵効果によって動作中のレーザ素子の光出射面に雰囲気中の塵埃などが付着しやすくなる。光出射面に塵埃などが付着すると光出力が低下し得る。光エネルギーは、レーザビームの波長が短くなるほど、また、光出力が高くなるほど高くなる。このため、緑色やそれよりも短い波長のレーザビームを出射するレーザ素子を発光素子10として採用する場合は、ケース20によって発光素子10が気密封止されることが好ましい。ケース20によって発光素子10が気密に封止されたパッケージであれば、外部の塵埃のケース20内への侵入を防ぐことができるため、レーザ素子の光出射面に塵埃などが付着する可能性を低減することができる。
【0043】
赤色半導体レーザ素子では青色および緑色半導体レーザ素子よりも特性が温度によって変動しやすい場合がある。また、青色半導体レーザ素子は緑色半導体レーザ素子よりも電力変換効率が良いことから、発熱量は青色半導体レーザ素子の方が緑色半導体レーザ素子よりも小さい。このため、緑色半導体レーザ素子は赤色半導体レーザ素子から離して配置することが望ましい。本実施形態では、
図7に示されるように、赤色半導体レーザ素子(第3発光素子10C)と緑色半導体レーザ素子(第1発光素子10A)との間に青色半導体レーザ素子(第2発光素子10B)を配置している。その結果、赤色半導体レーザ素子(第3発光素子10C)の発光特性が安定する。
【0044】
ケース20の内部には、発光素子10以外の半導体素子が配置されていてもよい。例えば、各発光素子10に印加される逆方向電圧を所定レベル以下に抑えるツェナーダイオードなどの保護回路素子、および/または、光Lの強度をモニタするフォトダイオードなどの光検出素子が配置されていてもよい。
【0045】
第1の実施形態では、発光素子10の発光領域に近い位置に副レンズ50が配置され得るため、発光領域から出た光Lは、大きく拡がる前に副レンズ50に入射する。このため、副レンズ50のサイズを小さくすることが可能である。また、副レンズ50の位置をケース20内で調整することにより、発光領域の位置ずれの補正を行うことができる。副レンズ50の形状およびサイズは、図示されている例に限定されない。また、副レンズ50がなければ主レンズ40の光入射面における複数の発光素子10からの光Lのビームサイズが不均一となる場合に、副レンズ50を用いることで、それぞれの光Lのビームサイズを調整し、均一に近づけることが可能である。
【0046】
<第2の実施形態>
以下、
図9Aから
図12を参照して、第2の実施形態を説明する。
【0047】
まず、
図9A、
図9B、
図10(a)、
図10(b)、および
図10(c)を参照しながら、第2の実施形態における発光装置100の概略構成を説明する。
図9Aは、第2の実施形態における発光装置を示す斜視図である。
図9Bは、第2の実施形態における発光装置の内部を示す斜視図である。
図10(a)、
図10(b)、および
図10(c)は、それぞれ、
図9Aの発光装置をZ軸の正方向から見た上面、X軸の正方向から見た側面、および、Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【0048】
第2の実施形態における発光装置100は、前述の第1の実施形態の発光装置100と同様に、第1発光素子10A、第2発光素子10B、および第3発光素子10Cを含む複数の発光素子10と、複数の発光素子10を封止するケース20とを備えている。第1の実施形態と異なる点は、ケース20の内部に配置された複数の副レンズ50の構成にある。以下、この点を詳細に説明する。
【0049】
図9Bに示すように、第2の実施形態の発光装置100は、第1副レンズ50A、第2副レンズ50B、および第3副レンズ50Cを備えている。第2の実施形態において、複数の副レンズ50は、それぞれ、カバー32とリフレクタRとの間に配置されている。
【0050】
次に、
図11および
図12を参照して、第2の実施形態における発光装置100における副レンズ50の構成を説明する。
図11は、第2の実施形態における発光装置100を示す断面図である。
図12は、第2の実施形態における発光装置100の内部構成を示す平面図であり、カバー32および主レンズ40の記載が省略されている。
【0051】
図11に示されるように、第2の実施形態においても、発光装置100のケース20は、複数の発光素子10を支持する基部22と、基部22に支持されたリフレクタRと、複数の発光素子10を覆うカバー32とを有している。基部22は、複数の発光素子10およびリフレクタRが配列された底部24と、複数の発光素子10を取り囲む枠部26とを含む。主レンズ40を載せたカバー32は枠部26によって支持されている。主レンズ40としては、
図8のレンズアレイ400を採用してもよい。
【0052】
図11に示される例において、枠部26は、カバー32から底部24に至るまでの間に2段の段差部を有している。発光素子10を外部電源に接続するための電極構造の少なくとも一部は、下側の段差部を構成する面のうちの1つである面28Aに形成され得る。第2の実施形態では、複数の副レンズ50のそれぞれは、枠部26の上側の段差部を構成する面のうちの1つである面28Bによって支持されている。
【0053】
図11および
図12では、ワイヤの記載が省略されている。第2の実施形態における発光装置100も、第1の実施形態について説明した電極構造およびワイヤを備えている。ここでは、その説明は繰り返さない。
【0054】
図12に示されているように、副レンズ50A、50B、50Cは、それぞれ、プレート状に拡がる平坦な拡張部52と、レンズ形状の部分として曲面を有する凸部とを有する。凸部があることでレンズとして機能する。副レンズ50A、50B、50Cは、それぞれ、個別の部品であり、例えばガラス材料から形成される。副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれは、平面視において、略長方形の形状を有しており、そのY軸方向のサイズは、枠部26の面28Bにおける左側部分から右側部分に跨る長さを有している。副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれは、枠部26に固定される前であれば、枠部26の面28Bに両端を支えられた状態でX軸方向にスライド可能である。また、その状態で、副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれは、Y軸方向にもスライド可能である。このようなY軸方向のスライドを可能にするため、面28Bの外側の端からZ軸の正方向に伸びる側面のY軸方向の距離L1は、副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれの長さL2よりも長い。距離L1は、面28Bの左側部分の左端から面28Bの右側部分の右端までの距離と言い換えてもよい。また、長さの差であるL1-L2は、副レンズ50A、50B、50CのY軸方向における可動量の上限を規定する。L1-L2は、発光装置100の大きさに依存して適切な範囲に設定され得る。L2は、例えば、L1の0.5倍以上0.95倍以下に設定してよい。L1-L2は、例えば0.02mm~3mm程度に設定され得る。なお、面28Bが副レンズ50A、50B、50Cの両端を支えるため、面28Bの内側の端からZ軸の負方向に伸びる側面のY軸方向の距離L3は、副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれの長さL2よりも短い。距離L3は、面28Bの左側部分の右端から面28Bの右側部分の左端までの距離と言い換えてもよい。L3は、例えば、L2の0.5倍以上0.95倍以下に設定してよい。また、それらの長さの差であるL2-L3は、例えば0.02mm~3mm程度に設定され得る。
【0055】
第2の実施形態では、副レンズ50A、50B、50Cを枠部26に固定するとき、段差部の面28Bに沿って二次元的にスライドさせることができるため、副レンズ50A、50B、50Cの位置を調整することが容易である。
【0056】
副レンズ50A、50B、50CのZ軸方向の位置を調整する場合は、段差部の面28Bと副レンズ50A、50B、50Cの下面との間に設ける接合層の厚さを調整すればよい。
【0057】
第1の実施形態について説明したように、紫外線硬化樹脂によって副レンズ50A、50B、50Cをケース20に固定する場合、副レンズ50A、50B、50Cの下面と段差部の面28Bとの間に硬化前の紫外線硬化樹脂を介在させた状態で調整を実行する。そして、副レンズ50A、50B、50Cのそれぞれの位置および向きを決定した後、治具または保持装置によって各副レンズ50の位置および向きを保持したまま紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させればよい。
【0058】
第2の実施形態の発光装置100では、複数の副レンズ50のそれぞれが、枠部26の段差部によって支持されている。これにより、副レンズ50を発光素子10やリフレクタRよりも上方に配置することができるため、個々の副レンズ50A、50B、50Cのハンドリングが容易になり、XY面内における位置決めがしやすいという利点がある。一方で、光の伝搬方向、すなわち光軸方向に沿って副レンズ50の位置を調整するときの可動距離は、第1の実施形態の方が第2の実施形態よりも大きくすることができる。また、小型化の点からも第1の実施形態の方が有利である。第2の実施形態では、発光素子10の発光領域から、対応する副レンズ50までの距離が相対的に長くなることで、副レンズ50のレンズ機能を有する凸部のサイズが相対的に大きくなるためである。
【0059】
上記の各実施形態では、発光装置100がリフレクタRを備えているが、リフレクタRは不可欠の要素ではない。
【0060】
<実施形態3>
以下、
図13Aから
図16を参照して、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態における発光装置100は、リフレクタRを備えていない。
【0061】
まず、
図13A、
図13B、
図14(a)、
図14(b)、および
図14(c)を参照しながら、第3の実施形態における発光装置100の概略構成を説明する。
図13Aは、第3の実施形態における発光装置を示す斜視図である。
図13Bは、第3の実施形態における発光装置の内部を示す斜視図である。
図14(a)、
図14(b)、および
図14(c)は、それぞれ、第3の実施形態における発光装置をZ軸の正方向から見た上面、X軸の正方向から見た側面、および、Y軸の正方向から見た側面を示す図である。
【0062】
第3の実施形態における発光装置100も、前述の第1および第2の実施形態と同様に、第1発光素子10A、第2発光素子10B、および第3発光素子10Cを含む複数の発光素子10と、複数の発光素子10を封止するケース20とを備えている。しかし、第3の実施形態の発光装置100は、リフレクタRは備えていない。ケース20の内部に配置された複数の発光素子10から出射された光は、ケース20の側面から取り出される。以下、この点を詳細に説明する。ケース20は、枠部26を覆う蓋部70を有している。
図13Bでは、蓋部70および主レンズ40の記載が省略されている。
【0063】
図13Aに示すように、本実施形態の発光装置100は、ケース20の側面に位置するカバー32に固定された第1主レンズ40A、第2主レンズ40B、および第3主レンズ40Cを備えている。また、発光装置100は、ケース20の内部に、第1副レンズ50A、第2副レンズ50B、および第3副レンズ50Cを備えている。第3の実施形態において、第1副レンズ50Aは、第1発光素子10Aと第1主レンズ40Aとの間の光路上に位置している。第2副レンズ50Bは、第2発光素子10Bと第2主レンズ40Bとの間の光路上に位置している。第3副レンズ50Cは、第3発光素子10Cと第3主レンズ40Cとの間の光路上に位置している。
【0064】
次に、
図15および
図16を参照して、第3の実施形態における発光装置100の構成を更に説明する。
図15は、第3の実施形態における発光装置100を示す断面図である。
図16は、発光装置100の内部構成を示す平面図であり、蓋部70の記載が省略されている。
【0065】
図15に示されるように、第3の実施形態では、ケース20の側面に、具体的には、枠部26の一部に開口26Xが形成されている。枠部26の開口26Xは、カバー32によって塞がれている。そして、主レンズ40は、接合層34によって枠部26に固定されている。主レンズ40はカバー32に固定してもよい。
【0066】
各発光素子10A、10B、10Cからは、Y軸の正方向に光Lが放射される。ケース20の内部には、3個の発光素子10から放射された光を透過するように3個の副レンズ50が配置されている。
【0067】
蓋部70は透光性材料を有する必要はないが、カバー32は透光性材料を有する。カバー32のうち少なくとも光Lを通過させる部分は透光性材料からなる。3個の副レンズ50をそれぞれ透過した光Lは、対応する主レンズ40によってコリメートまたは収束される。個々の副レンズ50の調整および固定は、第1の実施形態について説明した方法によって実行され得る。第3の実施形態における発光装置100も、前述した電極構造およびワイヤ60を備えている。
【0068】
第3の実施形態によれば、発光装置100にリフレクタが不要になるため、部品点数が減少し、発光装置100のサイズを小さくすることが可能になる。
【0069】
以上説明した各実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示したものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本開示は特許請求の範囲に示される部材を、各実施形態の部材に特定しない。各実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示の発光装置は、プロジェクタ、車載ヘッドライト、照明装置、通信装置、レーザ加工装置等の光源として使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10・・・発光素子、20・・・ケース、30・・・透光性部材、40・・・主レンズ、50・・・副レンズ、100・・・発光装置