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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003658
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20240105BHJP
   C08F 277/00 20060101ALI20240105BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F277/00
C08F20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102950
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩島 智幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光裕
【テーマコード(参考)】
4J011
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011BA04
4J011PA75
4J011PC02
4J011PC08
4J026AA64
4J026BA27
4J026BA28
4J026BA30
4J026BB01
4J026DB06
4J026DB36
4J026FA05
4J026FA09
4J026GA07
4J100AL03P
4J100AL08Q
4J100AL66Q
4J100BC12Q
4J100CA04
4J100CA23
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができる組成物を提供すること。
【解決手段】(A)成分と、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上と、を含む組成物である。
(A)成分:下記一般式(a-1)で表される基と、下記一般式(a-2)で表される基を有する化合物
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
【化1】

(式中、Ra1は、水素原子又は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の1価の有機基を表し、Ra2は、水素原子又はメチル基を表し、*は、他の基との結合位置を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上と、を含む組成物。
(A)成分:下記一般式(a-1)で表される基と、下記一般式(a-2)で表される基を有する化合物
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
【化1】

式中、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1以上30以下の1価の有機基を表し、
a2は、水素原子又はメチル基を表し、
*は、他の基との結合位置を表す。
【請求項2】
前記(B)成分が、一分子中に縮合脂環を1個有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が、組成物の固形分100質量部中、1質量部以上90質量部以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
防湿層形成用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示素子や有機薄膜太陽電池等の有機薄膜素子は、外気に曝されると、急激に劣化して寿命が短くなる課題がある。有機EL表示素子、有機薄膜素子等の安定性及び耐久性を高めることを目的として、大気中の水分や酸素から遮断する封止技術の検討が進められている。
例えば、特許文献1には、光硬化性成分として、脂環式単官能(メタ)アクリレートモノマーと、極性基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含む多官能光硬化成分と、光重合開始剤と、を含む組成物が提案されている。
特許文献2には、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子を含む重合性モノマーと、架橋性モノマーと、重合開始剤と、を含む組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7449号公報
【特許文献2】国際公開第2020/149384号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができる組成物は未だ得られていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について鋭意検討した結果、特定の化合物と、特定の脂環構造を有するモノマー又は重合体とを組み合わせた組成物によって上記課題を解決し得ることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上と、を含む組成物を提供する。
【0008】
(A)成分:下記一般式(a-1)で表される基と、下記一般式(a-2)で表される基を有する化合物
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
【0009】
【化1】

式中、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1以上30以下の1価の有機基を表し、
a2は、水素原子又はメチル基を表し、
*は、他の基との結合位置を表す。
【0010】
本発明によれば、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができる。
【0011】
本発明においては、上記(B)成分が、一分子中に縮合脂環を1個有する化合物であることが好ましい。優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0012】
本発明においては、上記(A)成分の含有量が、組成物の固形分100質量部中、1質量部以上90質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0013】
本発明においては、防湿層形成用であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0014】
本発明は、上述の組成物の硬化物を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができる組成物を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、組成物及びその硬化物に関するものである。
以下、本発明の組成物及び硬化物について詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、基の炭素原子数は、基中の水素原子が置換基で置換されている場合、その置換後の基の炭素原子数を規定する。例えば、炭素原子数1以上20以下のアルキル基の水素原子が置換されている場合、炭素原子数1以上20以下とは、水素原子が置換された後の炭素原子数を指し、水素原子が置換される前の炭素原子数を指すのではない。また、本明細書において所定の炭素原子数の基中のメチレン基が二価の基で置き換えられた基に係る炭素原子数の規定は、その置換後の基の炭素原子数を規定するものとする。
【0018】
本明細書において、「組成物の固形分」とは、組成物中の溶剤を除く全成分の含有量を表す。
【0019】
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリロイル基を有する化合物及びメタクリロイル基を有する化合物の少なくとも一方を表す。
【0020】
A.組成物
まず、本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は、下記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上と、を含む。
(A)成分:下記一般式(a-1)で表される基と、下記一般式(a-2)で表される基を有する化合物
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
【0021】
【化2】

式中、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1以上30以下の1価の有機基を表し、
a2は、水素原子又はメチル基を表し、
*は、他の基との結合位置を表す。
【0022】
本発明によれば、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができる。
以下、本発明の組成物を構成する各成分について説明する。
【0023】
A1.(A)成分
本発明の組成物は、(A)成分として、下記一般式(a-1)で表される基と、下記一般式(a-2)で表される基を有する化合物を含む。
【0024】
【化3】
【0025】
式(a-1)中、Ra1は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の1価の有機基を表す。
式(a-2)中、Ra2は水素原子又はメチル基を表す。
【0026】
a1で表される、炭素原子数1以上30以下の1価の有機基としては、炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数2以上30以下の複素環含有基、及び、該脂肪族炭化水素基、該芳香族炭化水素基若しくは該複素環含有基のメチレン基の1つ以上が、-O-、-S-、-CO-、-OCO-、-COO-、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-の群から選択される二価の基(以下、「-O-等」ともいう。)で置換された基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基、該芳香族炭化水素基、該複素環含有基及びこれらのメチレン基が上記-O-等に置換された基の水素原子の1つ以上は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-SOH、-OR、-COOR、-CO-R、-SRで置換されていてもよい。
上記R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の炭化水素基、該炭化水素基中の水素原子の1つ以上が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はヒドロキシ基で置換された炭素原子数1以上20以下の基、若しくはこれらの基中の1つ以上のメチレン基が、酸素原子が隣り合わない条件で上記-O-等に置換された基等が挙げられる。
及びRで表される炭素原子数1以上20以下の炭化水素基としては、上記Ra1で表される炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基又は炭素原子数3以上30以下の複素環含有基として挙げた基においてそれぞれ所定の炭素原子数を有する基が挙げられる。
【0027】
上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基は、芳香族環及び複素環等の環構造を含まない、炭素原子数1以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基、炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0028】
上記炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基は、脂環構造を含まず、炭素-炭素間の不飽和結合を含まない基を表す。上記炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基等が挙げられる。
【0029】
上記炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、sec-アミル基、tert-アミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、sec-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
【0030】
上記炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基は、脂環構造を含まず、炭素-炭素間の不飽和結合を含む基を表す。上記炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルケニル基、炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキニル基等が挙げられる。
【0031】
上記炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルケニル基は、上記炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基が、炭素-炭素間の二重結合を有する構造を持つ、炭素原子数2以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、2-プロペニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、2-メチル-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基等が挙げられる。
【0032】
上記炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキニル基は、上記炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基が、炭素-炭素間の三重結合を有する構造を持つ、炭素原子数2以上30以下の基を表す。上記炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、2-プロピニル基等が挙げられる。
【0033】
上記炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基は、脂環式炭化水素から水素原子を1個引き抜いた基、又は、脂肪族炭化水素基の水素原子の1つ又は2つ以上が、脂環式炭化水素で置換された基であって、炭素原子数3以上30以下の基を表す。上記炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基における脂環式炭化水素は、飽和脂環であってもよく、不飽和脂環であってもよく、単環構造であってもよく、複数の環を有する多環構造であってもよく、2個の環が、環の一部の炭素原子を共有するスピロ構造であってもよく、一つの脂環式炭化水素基に、脂環式炭化水素を1つ又は2つ以上有していてもよい。
上記炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数3以上30以下の飽和脂環式炭化水素基、炭素原子数3以上30以下の不飽和脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素原子数3以上30以下の飽和脂環式炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素を含み、不飽和脂環式炭化水素を含まない、炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基を表す。上記飽和脂環式炭化水素の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等の単環構造を持つシクロアルカン;デカヒドロナフタレン、ノルボルナン、ノルカラン、ハウサン、バスケタン、アイサン、ビシクロウンデカン、アダマンタン、イソボルナン等の多環構造を持つシクロアルカン;スピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ構造を持つシクロアルカン等が挙げられる。なお、多環構造とは、構成する環同士が1つ以上、若しくは、2以上の原子を共有する二環式又は多環式の構造をいう。
上記炭素原子数3以上30以下の飽和脂環式炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数3以上30以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上30以下のシクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
【0035】
上記炭素原子数3以上30以下のシクロアルキル基は、上記飽和脂環式炭化水素から水素原子を1個引き抜いた、炭素原子数3以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数3以上30以下のシクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基、イソボルニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフチル基、ジシクロペンタニル基、ペンタシクロデカニル基、オクタヒドロペンタニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル基、等が挙げられる。
【0036】
上記炭素原子数4以上30以下のシクロアルキルアルキル基は、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された、炭素原子数4以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数4以上30以下のシクロアルキルアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル基、2-シクロブチルエチル基、3-シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシル-メチル基、2-シクロドデシルエチル基、3-アダマンチルプロピル基及びデカヒドロナフチル基等が挙げられる。
【0037】
上記炭素原子数3以上30以下の不飽和脂環式炭化水素基は、不飽和脂環式炭化水素を含む、炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基を表す。上記不飽和脂環式炭化水素基は、不飽和結合の脂環式炭化水素を表す。
上記炭素原子数3以上30以下の不飽和脂環式炭化水素基の具体例としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクタテラエニル基、ジシクロペンテニル基等のシクロアルケン等が挙げられる。
【0038】
また、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基の具体例としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトシキエトキシエチル基、3-メトキシブチル基、エトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基等のアルキル基の一部のメチレン基が上記-O-等で置換された基;シクロペンチルオキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、シクロペンチルオキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基等の飽和脂環式炭化水素と、アルキル基の一部のメチレン基が上記-O-等で置換された基を併せ持つ基;ジシクロペンテニルオキシエチル基等の不飽和脂環式炭化水素と、アルキル基の一部のメチレン基が上記-O-等で置換された基を併せ持つ基等が挙げられる。
【0039】
上記炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基は、芳香族炭化水素環を含み、複素環を含まない炭素原子数6以上30以下の基が挙げられる。上記炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数6以上30以下のアリール基、炭素原子数7以上30以下のアリールアルキル基、炭素原子数8以上30以下のアリールアルケニル基、並びにこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
【0040】
上記炭素原子数6以上30以下のアリール基は、1つの芳香族性を有する環から1個の水素原子を引き抜いた基を表す。上記芳香族性を有する環は、芳香族環及び該芳香族環で形成される縮合環を表す。アリール基の芳香族性を有する環が1つでもよく、2つ以上有していてもよい。アリール基が2つ以上の芳香族性を有する環を含む場合、芳香族性を有する環同士が、直接結合、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、炭素原子数1以上5以下のアルカンジイル基、又は、これらの2以上を組み合わせた基で連結されていてもよく、複数の芳香族性を有する環が同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
上記炭素原子数1以上5以下のアルカンジイル基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルメチレン基等が挙げられる。
上記炭素原子数6以上30以下のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。
【0041】
上記炭素原子数7以上30以下のアリールアルキル基は、アルキル基中の水素原子の1つ又は2つ以上がアリール基で置換された、炭素原子数7以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数7以上50以下のアリールアルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、9-フルオレニルメチル基、α-メチルベンジル基、α,α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルプロピル基等が挙げられる。
【0042】
上記炭素原子数8以上30以下のアリールアルケニル基は、アルケニル基の水素原子が、上述のアリール基で置換された基であって、上記炭素原子数7以上30以下のアリールアルキル基において、少なくとも1つのメチレン基が、-CH=CH-に置き換わった、炭素原子数8以上30以下の基を表す。
上記炭素原子数8以上30以下のアリールアルケニル基の具体例としては、例えば、フェニルビニル基、1-フェニルエテニル基、2,2-ジフェニルエテニル基、2-フェニル-2-ナフチルエテニル基等が挙げられる。
【0043】
また、上記炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基の他の具体例としては、例えば、フェノキシエチル基、フェノキシエトキシエチル基等の芳香族炭化水素基と鎖状エーテル基を併せ持つ基等が挙げられる。
【0044】
なお、本明細書において「炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基」とは、「芳香族炭化水素」ではなく「芳香族炭化水素基」の炭素原子数を規定する。他の炭素原子数の場合も同様である。
【0045】
a1で表される上記炭素原子数2以上30以下の複素環含有基は、複素環から1個の水素原子を引き抜いた基(以下、単に「複素環基」と称する場合がある。)、脂肪族炭化水素基の水素原子の1つ又は2つ以上が複素環基で置換された基等が挙げられる。
上記複素環は、炭素原子と、ヘテロ原子を含む環構造を表す。複素環を構成するヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。
また、本発明において、キノリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環等の、複素環と芳香族炭化水素環との縮合環も、複素環に含まれる。
【0046】
本発明において、エーテル基に2個のカルボニル基が連結した構造を含む環、イミド基に2個のカルボニル基が連結した構造を含む環も、複素環に含むものとする。
【0047】
上記エーテル基に2個のカルボニル基が連結した構造を含む環は、例えば、下記式(4)に示す環等が挙げられる。
【0048】
【化4】
【0049】
上記イミド基に2個のカルボニル基が連結した構造を含む環は、例えば、下記式(5)に示す環等が挙げられる。
【0050】
【化5】
【0051】
複素環含有基に用いられる脂肪族炭化水素基は、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基として例示したものと同様の基が挙げられる。
【0052】
炭素原子数2以上30以下の複素環含有基の具体例としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、β-メチルグリシジル基、β-エチルグリシジル基、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル基、オキセタニル基、2-オキセタンメチル基、3-メチル-3-オキセタンメチル基、3-エチル-3-オキセタンメチル基、オキシラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ジオキサニル基、チオフェン基、メチルチオフェン基、ヘキシルチオフェン基、ベンゾチオフェン基、ピロール基、ピロリジン基、イミダゾール基、イミダゾリジン基、イミダゾリン基、ピラゾール基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロフルフリル基、ジオキサゾラニル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、「炭素原子数2以上30以下の複素環含有基」における「2以上30以下」は、「複素環」ではなく「複素環含有基」の炭素原子数を規定する。
【0053】
本発明においては、(A)成分として、下記一般式(A-1)で表される化合物を含むことが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0054】
【化6】

式中、Ra1は、上記式(a-1)中のRa1と同じものを表し、
a2は、上記式(a-2)中のRa2と同じものを表し、
は、炭素原子数1以上10以下の二価の脂肪族炭化水素基を表す。
【0055】
上記Lで表される炭素原子数1以上10以下の二価の脂肪族炭化水素基としては、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基において、所定の炭素原子数を有するものであって、さらに水素原子を1個引き抜いた基が挙げられる。
上記炭素原子数1以上10以下の二価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数1以上10以下の二価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数2以上10以下の二価の鎖状不飽和炭化水素基、炭素原子数3以上10以下の二価の脂環式炭化水素基、又はこれらの基中の1つ以上のメチレン基が、酸素原子が隣り合わない条件で上記-O-等で置換された基が挙げられる。
【0056】
上記炭素原子数1以上10以下の二価の鎖状飽和炭化水素基は、上記炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基において所定の炭素原子数を有する基から一個の水素原子を引き抜いた基が挙げられる。
上記炭素原子数1以上10以下の二価の鎖状飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピリレン基、イソプロピリレン基、n-ブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基等が挙げられる。
【0057】
上記炭素原子数2以上10以下の二価の鎖状不飽和炭化水素基は、上記炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基において所定の炭素原子数を有する基から1個の水素原子を引き抜いた基が挙げられる。
上記炭素原子数2以上10以下の二価の鎖状不飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、ビニレン基、エテニレン基、2-プロペニレン基、1,1-ジメチル-2-プロペニレン基、2-メチル-ブテニレン基、3-メチル-2-ブテニレン基、3-メチル-3-ブテニレン基、2-メチル-3-ブテニレン基等が挙げられる。
【0058】
上記炭素原子数3以上10以下の二価の脂環式炭化水素基は、上記炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基において所定の炭素原子数を有する基から一個の水素原子を引き抜いた基が挙げられる。
上記炭素原子数3以上10以下の二価の脂環式炭化水素基の具体例としては、例えば、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素原子数3以上10以下のシクロアルキレン基の具体例としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
【0059】
上記炭素原子数1以上10以下の二価の鎖状飽和炭化水素基、上記炭素原子数2以上10以下の鎖状不飽和炭化水素基、上記炭素原子数3以上10以下の二価の脂環式炭化水素基は、これらの基中の1つ以上のメチレン基が、酸素原子が隣り合わない条件で上記-O-等に置き換えられた基であってもよい。
【0060】
本発明においては、上記一般式(A-1)中のLが、炭素原子数1以上10以下の鎖状飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基が、上記-O-等で置き換えられた基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数2以上8以下の鎖状飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基が、上記-O-等で置き換えられた基であることが好ましく、特に、炭素原子数2以上5以下の鎖状飽和炭化水素基中の1つ以上のメチレン基が、上記-O-で置き換えられた基であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有することができるからである。
【0061】
本発明においては、(A)成分が、下記一般式(A-2)で表される化合物であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有することができるからである。
【0062】
【化7】

式中、Ra1は、上記式(a-1)中のRa1と同じものを表し、
a2は、上記式(a-2)中のRa2と同じものを表す。
【0063】
式(A-2)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2013-144798号公報に記載の化合物が挙げられる。本発明の組成物では、(A)成分として1種の化合物であってもよく、2種以上の化合物を任意の比率で組み合わせてもよい。
【0064】
塗工性と接着性の観点から、Ra1で表される1価の有機基が、炭素原子数1以上30以下の炭化水素基であることが好ましく、なかでも炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であることが好ましく、特に、炭素原子数1以上5以下の炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上3以下の炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上2以下の炭化水素基であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0065】
上記炭素原子数1以上30以下の炭化水素基としては、炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基又は炭素原子数3以上30以下の脂環式炭化水素基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基又は炭素原子数2以上30以下の鎖状不飽和炭化水素基であることが好ましく、特に、炭素原子数1以上30以下の鎖状飽和炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上10以下の鎖状飽和炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上5以下の鎖状飽和炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上3以下の鎖状飽和炭化水素基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1以上2以下の鎖状飽和炭化水素基であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0066】
本発明において、Ra2が、水素原子であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0067】
本発明の組成物において、上記(A)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部中、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、なかでも3質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、5質量部以上60質量部以下であることが好ましく、なかでも特に、10質量部以上50質量部以下であることが好ましい。上述の数値範囲にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0068】
本発明の組成物において、上記(A)成分の含有量が、上記組成物の固形分100質量部中、1質量部以上90質量部以下であることが好ましく、なかでも、3質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。上述の数値範囲にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0069】
A2.(B)成分
本発明の組成物は、(B)成分として、縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物を含むことができる。但し、重合体は(B)成分に含まれない。
【0070】
上記「縮合脂環」とは、脂環を構成する2個以上の原子が、同時に別の環の構成原子として共有している環構造を表す。縮合脂環における脂環は飽和脂環であってもよく、芳香族性を有していない二重結合を有する不飽和脂環であってもよい。また、脂環とベンゼン環が、環の構成原子を2個以上共有している場合、縮合脂環に含むものとする。
上記縮合脂環の具体例としては、例えば、ビシクロブタン、ビシクロペンタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘプタン、オクタヒドロペンタレン、オクタヒドロ-1H-インデン、2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロインデン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ビシクロウンデカン、ノルボルナン、ノルボルネン、イソボルナン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、オクタヒドロフェナントレン、テトラシクロシクロドデカン、アダマンタン、ツイスタン、キュバン、バスケタン及びハウサン等の環構造が挙げられる。
【0071】
本発明においては、縮合脂環を構成する脂環が、炭素原子数3以上8以下の脂環であることが好ましく、なかでも、炭素原子数4以上6以下の脂環であることが好ましく、特に炭素原子数5の脂環であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
また、本発明においては、縮合脂環が、2個以上5個以下の脂環を有する環構造であることが好ましく、なかでも、3個以上4個以下の脂環を有する環構造であることが好ましく、特に、3個の脂環を有する環構造であることが好ましく、なかでも特に、テトラヒドロシクロペンタジエン又は5,6-ジヒドロジシクロペンタジエンであることが好ましい。上記組成物は、さらに低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0072】
本発明においては、一分子中の縮合脂環の数は、1個以上5個以下であることが好ましく、なかでも、1個以上3個以下であることが好ましく、特に、1個であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
なお、縮合脂環の数とは、複数の脂環のみで構成される環構造の数である。
複数の脂環のみで構成される環構造と後述する連結基等で連結されている場合、連結された環構造は、それぞれ別個の縮合脂環としてカウントするものとする。
【0073】
本発明においては、縮合脂環と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とが、直接結合した化合物であってもよいが、縮合脂環と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とが、連結基を介して結合する化合物であることが好ましい。上記組成物は、さらに優れた硬化性を示すことができるからである。
【0074】
上記連結基としては、例えば、炭素原子数1以上4以下のアルキレン基、エーテル結合(-O-)、ウレタン結合(-NH-CO-O-)、ウレア結合(-NH-CO-NH-)、エステル結合(-CO-O-)、アミド結合(-NH-CO-)、スルホン酸エステル結合(-SO-O-)、スルホンアミド結合(-SO-NH-)等が挙げられる。
縮合脂環と、アクリロイル基又はメタクリロイル基は、これらの連結基の組み合わせを介して連結されていてもよい。
本発明においては、上記連結基が、酸素原子を含むことが好ましく、なかでも、エーテル結合とアルキレン基との組み合わせからなる基であることが好ましく、特に、エーテル結合と炭素原子2個以上のアルキレン基とが連結した基であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、耐久性に優れた硬化物が得られるからである。
【0075】
本発明においては、一分子におけるアクリロイル基又はメタクリロイル基の数が、1個以上4個以下であることが好ましく、なかでも1個以上3個以下であることが好ましく、特に、1個以上2個以下であることが好ましく、なかでも特に、1個であることが好ましい。上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成しやすくなるからである。
【0076】
本発明においては、上記(B)成分の分子量が、100以上600以下であることが好ましく、なかでも、150以上500以下であることが好ましく、特に、200以上450以下であることが好ましく、なかでも特に、210以上280以下であることが好ましい。上述の数値範囲にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有するからである。
【0077】
上記縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物の具体例としては、例えば、下記(B-1)~(B-14)で表される化合物等が挙げられる。
【0078】
【化8】
【0079】
【化9】
【0080】
【化10】
【0081】
【化11】
【0082】
【化12】
【0083】
【化13】
【0084】
【化14】
【0085】
【化15】
【0086】
【化16】
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
【化19】
【0090】
【化20】
【0091】
【化21】
【0092】
式(B-1)~(B-14)中、RB1及びRB2は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、
B3は縮合脂環の置換基であって、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表し、
kは、縮合脂環でRB3がとり得る数を表す。
1つの化合物における複数のRB3は、同一の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。
【0093】
本発明の組成物は、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上を有するものであるが、(B)成分及び(C)成分のうち、少なくとも(B)成分を含むことが好ましく、なかでも、(B)成分のみ含むことが好ましい。上記組成物は、塗工性に優れると共に、優れた接着性を示す硬化物を形成することができるからである。
【0094】
本発明の組成物において、上記(B)成分の含有量が、上記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分との合計量100質量部中、1質量部以上99質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上98質量部以下であることが好ましく、特に、40質量部以上96質量部以下であることが好ましく、なかでも特に、45質量部以上92質量部以下であることが好ましい。上述の数値範囲にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0095】
本発明の組成物において、上記(B)成分の含有量が、上記組成物の固形分100質量部中、1以上99質量部以下であることが好ましく、なかでも、5質量部以上90質量部以下であることが好ましく、特に、20質量部以上88質量部以下であることが好ましく、なかでも特に、45質量部以上86質量部以下であることが好ましい。上述の数値範囲にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0096】
A3.(C)成分
本発明の組成物は、(C)成分として、脂環式炭化水素系重合体を含むことができる。
上記脂環式炭化水素系重合体としては、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する繰返し単位を有する炭化水素系重合体等が挙げられる。
脂環式炭化水素系重合体における脂環構造としては、例えば、(A)成分における脂環式炭化水素基のシクロアルカン、シクロアルケン、又は(B)成分における縮合脂環等の脂環を含む構造が挙げられる。
【0097】
脂環式炭化水素系重合体の脂環構造を構成する脂環の炭素原子の数は、特に限定されるものではないが、4個以上30個以下であることが好ましく、なかでも、5個以上20個以下であることが好ましく、特に、6個以上12個以下であることが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成しやすくなるからである。
【0098】
上記主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する繰返し単位の具体例としては、例えば、下記式(C-1)~(C-22)で表される繰返し単位が挙げられる。
【0099】
【化22】
【0100】
【化23】
【0101】
【化24】
【0102】
【化25】
【0103】
【化26】
【0104】
【化27】
【0105】
式(C-1)~(C-22)中、RC1~RC11、RC13~RC81、RC83、RC85、及びRC87は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表し、
C1、RC12、RC82、RC84及びRC86は、各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、
t1及びt2は、0~10の整数を表し、
t3は、0~5の整数を表し、
t4及びt5は、0~9の整数を表し、
t6は、0~4の整数を表す。
m1~m6は、各々独立して、1以上30以下の整数を表す。
【0106】
上記脂環式炭化水素系重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する繰返し単位と、その他の重合性モノマーに由来する繰返し単位とを含む共重合体であってもよい。
上記その他の重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー等が挙げられる。その他の重合性モノマーは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0107】
上記脂環式炭化水素系重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、300以上2,000以下であることが好ましく、なかでも、340以上1,500以下であることが好ましく、特に、365以上990以下であることが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、硬化性に優れ、低透湿性の硬化物を形成しやすい組成物が得られやすくなるからである。重量平均分子量は、GPC法(Gel Permeationg Chromatography)によって測定することができる。
【0108】
上記脂環式炭化水素系重合体の数平均分子量(Mn)は、特に限定されるものではないが、400以上2,000以下であることが好ましく、なかでも、450以上1,500以下であることが好ましく、特に、540以上970以下であることが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、硬化性に優れ、低透湿性の硬化物を形成しやすい組成物が得られやすくなるからである。数平均分子量は、GPC法によって測定することができる。
【0109】
上記脂環式炭化水素系重合体の軟化温度(℃)は、特に限定されるものではないが、50℃以上200℃以下であることが好ましく、なかでも、70℃以上170℃以下であることが好ましく、特に、80℃以上150℃以下であることが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、硬化性に優れ、低透湿性の硬化物を形成しやすい組成物が得られやすくなるからである。軟化温度は、環球式軟化点測定法によって測定することができる。
【0110】
上記脂環式炭化水素系重合体のガラス転移点(℃)は、特に限定されるものではないが、30℃以上90℃以下であることが好ましく、なかでも、35℃以上80℃以下であることが好ましく、特に、40℃以上70℃以下であることが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、硬化性に優れ、低透湿性の硬化物を形成しやすい組成物が得られやすくなるからである。ガラス転移点は、示差熱分析法(DTA)によって測定することができる。
【0111】
上記脂環式炭化水素系重合体の具体例としては、例えば、水添石油樹脂、水添テルペン樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0112】
(1)水添石油樹脂
上記水添石油樹脂としては、例えば、C5系水添石油樹脂、C9系水添石油樹脂、C5/C9系水添石油樹脂等が挙げられる。
上記C5系水添石油樹脂は、石油ナフサから得られたC5留分を分離精製した脂肪族樹脂の不飽和二重結合に水素原子を付加したものである。
上記C9系水添石油樹脂は、石油ナフサから得られたC9留分を分離精製した芳香族樹脂の不飽和二重結合に水素原子を付加したものである。
上記C5/C9系水添石油樹脂は、C5留分とC9留分とを分離後混合、共重合した後精製した芳香脂肪族樹脂の不飽和二重結合に水素原子を付加したものである。
【0113】
上記C5系水添石油樹脂の具体例としては、例えば、イーストタックC100、イーストタックC115W(以上、イーストマンケミカル社製)等が挙げられる。
【0114】
上記C9系水添石油樹脂としては、例えば、アルコンP-90、アルコンP-100、アルコンP-125、アルコンP-140、アルコンM-90、アルコンM-115、アルコンM-135(以上、荒川化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0115】
上記C5/C9系水添石油樹脂の具体例としては、例えば、アイマーブS-100、アイマーブS-110、アイマーブP-100、アイマーブP-140(以上、出光興産(株)製)等が挙げられる。
【0116】
なお、水添系石油樹脂の具体例としては、例えば、上記式(C-1)~上記式(C-16)等で表される繰返し単位を有する重合体が挙げられる。
【0117】
(2)水添テルペン樹脂
テルペン樹脂は、2つ以上のイソプレン単位から構成されたテルペンモノマーのみ、又はテルペンモノマーと、石油系成分との共重合により得ることができる樹脂であり、水添テルペン樹脂は、上記テルペン樹脂中の不飽和二重結合に水素原子が付加された樹脂を表す。本発明においては、水添テルペン樹脂は、不飽和二重結合を有しない完全水添の化合物であってもよく、不飽和二重結合の一部が水添された部分水添の化合物であってもよい。
水添テルペン樹脂としては、例えば、上記式(C-17)~上記式(C-22)等で表される繰返し単位を有する重合体が挙げられる。
水添テルペン樹脂の具体例としては、例えば、クリアロンP-105、クリアロンP-125、クリアロンM-105、クリアロンP-115、YSポリスターTH130(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
【0118】
(3)環状オレフィン系樹脂
上記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネンとエチレンをメタロセン触媒にて共重合することで製造することができる。
環状オレフィンとしては、例えば、上記式(C-5)で表される繰返し単位と、エチレンに由来する繰返し単位を含む共重合体が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、Topas(登録商標;Ticona社製)、アートン(登録商標;JSR(株)製)、ZEONOR(登録商標)、ZEONEX(登録商標)(以上、日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
【0119】
(4)(C)成分の含有量
本発明の組成物において、上記(C)成分の含有量が、上記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分との合計量100質量部中、10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0120】
本発明の組成物において、上記(C)成分の含有量が、上記組成物の固形分100質量部以上、10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0121】
A4.重合開始剤
本発明の組成物は、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いると硬化が促進されるので好ましい。重合開始剤は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物に用いることができる重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、又は熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0122】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ビスイミダゾール系化合物、アクリジン系化合物、アシルホスフィン系化合物、オキシムエステル系化合物等が挙げられる。
【0123】
上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p-ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p-アジドベンザルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0124】
上記ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。
【0125】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0126】
上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0127】
上記ビスイミダゾール系化合物としては、例えば、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI、トリアリール-イミダゾールの二量体)を用いることができ、具体的には、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,4,5,2’,4’,5’-ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3-メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ビスイミダゾール、2,5,2’,5’-テトラキス(2-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ニトロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ジ-o-トリル-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-エトキシフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾールおよび2,2’-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、5’-テトラ(p-ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール)、2,2’-ビス(p-メチルチオフェニル)-4,5,4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビイミダゾール、ビス(2,4,5-トリフェニル)-1,1’-ビイミダゾール、5,5’-テトラ(p-クロルナフチル)ビイミダゾール、等や特公昭45-37377号公報に開示される1,2’-、1,4’-、2,4’-で共有結合している互変異性体、国際公開第00/52529号に記載の化合物等が挙げられる。
【0128】
上記アクリジン系化合物としては、アクリジン、9-フェニルアクリジン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(p-エチルフェニル)アクリジン、9-(p-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(p-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-メチキシフェニル)アクリジン、9-(p-エトキシフェニル)アクリジン、9-(p-アセチルフェニル)アクリジン、9-(p-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(p-シアノフェニルフェニル)アクリジン、9-(p-クロルシフェニル)アクリジン、9-(p-ブロモフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-n-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチキシフェニル)アクリジン、9-(m-エトキシフェニル)アクリジン、9-(m-アセチルフェニル)アクリジン、9-(m-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(m-ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9-(シアノフェニル)アクリジン、9-(m-クロルフェニル)アクリジン、9-(m-ブロモフェニル)アクリジン、9-メチルアクリジン、9-エチルアクリジン、9-n-プロピルアクリジン、9-iso-プロピルアクリジン、9-シアノエチルアクリジン、9-ヒドロキシエチルアクリジン、9-クロロエチルアクリジン、9-ブロモアクリジン、9-ヒドロキシアクリジン、9-ニトロアクリジン、9-アミノアクリジン、9-メトキシアクリジン、9-エトキシアクリジン、9-n-プロポキシアクリジン、9-iso-プロポキシアクリジン、9-クロロエトキシアクリジン、4,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、10-酢酸アクリジン、10-メチルアセテートアクリジン、3,6-ジメチルアクリジン、7,13-ジメチルアクリジン、7,13-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、3,6-ジメチル-10-酢酸アクリジン、3,5-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、7,13-ジメチル-10-酢酸アクリジン、7,13-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、2,7-ジベンゾイル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-ヒドロキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-メチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(3,4-ジメチル-ベンゾイル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシ-4-tert-ブチルベンジル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(3,4-ジクロロフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-ベンゾイルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(2-クロロベンゾイル)-9-(2-クロロフェニル)アクリジン、2-(α-ヒドロキシ-3-ブロモベンジル)-6-メチル-9-(3-ブロモフェニル)アクリジン、2,5-ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、1,4-ビス(2,7-ジメチル-9-アクリジニル)ベンゼン、2,7-ビス(α-フェニルアミノカルボニルオキシ-3,4-ジメチルベンジル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジン及び2,7-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-4’-フルオロジフェニルメチル)-9-(4-フルオロフェニル)アクリジン、9,10-ジヒドロアクリジン、1-メチルアクリジン、4-メチルアクリジン、2,3-ジメチルアクリジン、1-フェニルアクリジン、4-フェニルアクリジン、1-ベンジルアクリジン、4-ベンジルアクリジン、1-クロロアクリジン、2,3-ジクロロアクリジン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-プロピル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(9-アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,11-ビス(9-アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン、1,14-ビス(9-アクリジニル)テトラデカン、1,16-ビス(9-アクリジニル)ヘキサデカン、1,18-ビス(9-アクリジニル)オクタデカン、1,20-ビス(9-アクリジニル)エイコサン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタン7-メチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-エチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-プロピル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ブチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-デシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ウンデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ドデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-トリデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-テトラデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキサデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノナデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,1-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)メタン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エタン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ブタン、1,5-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタン、1,6-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)デカン、1,11-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ドデカン、1,13-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)トリデカン、1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,15-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタデカン、1,16-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサデカン、1,17-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタデカン、1,18-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタデカン、1,19-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナデカン、1,20-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エイコサン、7-フェニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(2-クロルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-メチルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-ニトロフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、7-〔1-プロペン-3-イル(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔1-エチルペンチル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔8-ヘプタデセニル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7,8-ジフェニル-1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、1-メチル-1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、7-スチリル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-プロペニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-ペンテニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、9-(2-ピリジル)アクリジン,9-(3-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリミジニル)アクリジン,9-(2-ピラジニル)アクリジン,9(5-メチル-2-ピラジニル)アクリジン,9-(2-キノリニル)アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-エチルアクリジン,9-(3-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(3-ピリジル)-2,4-ジエチル-アクリジン、3,6-ジアミノ-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ビス-(ジメチルアミノ)-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ジアミノ-10-メチル-アクリジニウムクロライド、9-アクリジンカルボン酸等が挙げられる。
【0129】
上記アシルホスフィン系化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Ominirad TPO;IGM RESINS B.V.社製)、イソブチリル-メチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2-エチルヘキサノイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、o-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4-ジメチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、p-三級ブチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、o-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-tert-ブチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、3-ピリジルカルボニル-ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、4-(tert-ブチル)-ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、4-オクチルフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキシルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソブトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Ominirad380;IGM RESINS社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メトキシ-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-クロル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジオクチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソプロポキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジヘキシルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-プロポキシ-4-メチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソペンチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-ビフェニリルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)、6-トリメチルベンゾイル-エチル-フェニル-フォスフィネート(SPEEDCURE TPO-L;Lambson社製)等が挙げられる。
【0130】
上記オキシムエステル系化合物としては、例えば、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)、1-〔9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル-オクタン-1-オンオキシム-o-アセテート、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-o-ベンゾエート、1-〔9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-o-ベンゾエート、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0131】
上記熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
【0132】
本発明においては、重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤が好ましく、なかでもアシルホスフィン系化合物が好ましい。上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成しやすくなるからである。
【0133】
本発明の組成物における重合開始剤の含有量は、重合反応の制御が容易な観点から、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分との合計量100質量部中、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、なかでも、1.0質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0134】
A5.その他の成分
本発明の組成物は、上記(A)成分と、上記(B)成分若しくは上記(C)成分と、重合開始剤とを含むことに加え、さらに必要に応じて、その他の成分を含むことができる。
上記その他の成分としては、上記(A)成分、上記(B)成分及び上記(C)成分を除くその他の重合性化合物、溶剤、硬化促進剤、増感剤;レベリング剤;無機フィラー、有機フィラー等の充填剤;顔料、染料等の着色剤;シランカップリング剤;消泡剤;増粘剤;チクソ剤;界面活性剤、分散剤、難燃剤;可塑剤;酸化防止剤;安定剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;、静電防止剤;流動調整剤;接着促進剤等の各種添加剤が挙げられる。
A6.その他の重合性化合物
本発明の組成物は、諸性能を調整するための硬化性成分として、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の他の重合性化合物を含むことができる。
上記他の重合性化合物としては、例えば、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分とは異なる、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するその他の単量体、不飽和カルボン酸類、不飽和酸無水物、芳香族ビニル化合物、N置換マレイミド、共役ジエン、ビニルエーテル、N-ビニル化合物、不飽和イソシアネート等のラジカル重合性化合物等が挙げられる。
【0135】
上記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するその他の単量体としては、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、複素環含有(メタ)アクリレート等が挙げられるが、本発明の組成物において、脂肪族炭化水素基若しくは複素環含有基又はこれらの基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物、すなわち、脂肪族炭化水素(メタ)アクリレート、複素環含有(メタ)アクリレートが好ましく、なかでも、複素環含有(メタ)アクリレートを有することが好ましい。本発明の組成物の効果が顕著なものとなるからである。
【0136】
(I)脂肪族炭化水素(メタ)アクリレート
上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートは、芳香族炭化水素環及び複素環を含まず、脂肪族炭化水素基、若しくは該脂肪族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。ここでの該脂肪族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基は、脂肪族炭化水素基の鎖状部分のメチレン基が上記-O-等で置換された基とする。
上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートのアクリロイル基及びメタクリロイル基の数が1個の場合、上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートの脂肪族炭化水素基及び当該脂肪族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基の例としては、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基及び当該脂肪族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と同様の内容とすることができる。
【0137】
脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートが、一分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の数が1個の化合物である場合、上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート若しくはこれらの基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基等が挙げられる。
【0138】
上記アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を構造中に含む化合物を表す。上記アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基は、上記炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基と同じ内容とすることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、sec-アミル(メタ)アクリレート、tert-アミル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、sec-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、sec-オクチル(メタ)アクリレート、tert-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
またアルキル基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0139】
上記アルケニル(メタ)アクリレートは、アルケニル基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とが、結合した構造の化合物を表す。上記アルケニル(メタ)アクリレートにおけるアルケニル基は、上記炭素原子数2以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルケニル基と同じ内容とすることができる。
上記アルケニル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0140】
上記シクロアルキル(メタ)アクリレートは、シクロアルキル基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とが、連結した構造の化合物を表す。上記シクロアルキル(メタ)アクリレートにおけるシクロアルキル基は、上記炭素原子数3以上30以下のシクロアルキル基と同じ内容とすることができる。
上記シクロアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0141】
上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートが、一分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の数が2個の化合物である場合、上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、アルカンジイルジ(メタ)アクリレート、シクロアルカンジイルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0142】
上記アルカンジイルジ(メタ)アクリレートは、上記炭素原子数1以上30以下の直鎖又は分岐を有するアルキル基、若しくは該アルキル基中のメチレン基を上記-O-等で置換した基から水素原子を1個引き抜いた基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選択される2個の基が連結した化合物が挙げられる。
上記アルカンジイルジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0143】
上記シクロアルカンジイルジ(メタ)アクリレートは、上記炭素原子数3以上30以下のシクロアルキル基から水素原子を1個引き抜いた基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選択される2個の基が結合した化合物等が挙げられる。
上記シクロアルカンジイルジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0144】
本発明において、上記脂肪族炭化水素(メタ)アクリレートは、下記一般式(E-1)で表される化合物等であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0145】
【化28】

式中、RE1は、水素原子又はメチル基を表し、
E2は、n1価の脂肪族炭化水素基又は該脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が上記-O-等で置換された基を表し、
n1は、1以上5以下の数を表す。
【0146】
式(E-1)中のRE2で表される、上記n1価の脂肪族炭化水素基は、n1が1である場合、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基と同様の基とすることができる。
n1が1ではない場合、上記炭素原子数1以上30以下の脂肪族炭化水素基からn1-1個の水素原子を引き抜いた基とすることができる。
【0147】
(II)複素環含有(メタ)アクリレート
上記複素環含有(メタ)アクリレートは、上記複素環含有基又は複素環含有基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とを有する化合物を表す。複素環及び芳香族炭化水素環を含み、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物は、複素環(メタ)アクリレート化合物に含むものとする。
【0148】
上記複素環含有(メタ)アクリレートの複素環含有基の内容については、上記「A1.一般式(a-1)で表される基と、一般式(a-2)で表される基を有する化合物」の項に記載の複素環含有基と同じ内容とすることができる。
本発明の組成物においては、上記環状エーテル基としての複素環基としては、炭素原子と酸素原子とで形成される環、又は炭素原子、酸素原子及び窒素原子とで形成される環が好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0149】
上記環状エーテル基の具体例としては、例えば、飽和環状エーテル基、不飽和環状エーテル基等が挙げられる。
【0150】
上記飽和環状エーテル基は、飽和複素環の環状エーテル基を表し、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、モルホリニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
上記不飽和環状エーテル基は、不飽和複素環の環状エーテル基を表し、例えば、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラニル基等が挙げられる。
本発明の組成物においては、上記環状エーテル基が、飽和環状エーテル基であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0151】
本発明の組成物において、上記複素環基に含まれる複素環が、3~8員環であることが好ましく、なかでも、3~7員環であることが好ましく、特に、5~6員環であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0152】
上記複素環含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル基含有(メタ)アクリレート、オキセタン含有(メタ)アクリレート、スクシンイミド基含有(メタ)アクリレート、5員環の複素環(メタ)アクリレート、6員環の複素環(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0153】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリレートは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としてグリシジル基を有し、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。上記グリシジル基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、特開2021-024823号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0154】
上記オキセタン含有(メタ)アクリレートは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としてオキセタニル基を有し、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。上記オキセタン含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、特開2000-63371号公報、国際公開WO2011/062070等に記載の化合物が挙げられる。
【0155】
上記スクシンイミド基含有(メタ)アクリレートは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としてスクシンイミド基を有し、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。上記スクシンイミド基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、特開2021-1266号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0156】
上記5員環の複素環(メタ)アクリレートは、5員環の複素環基を有し、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。
上記5員環の複素環(メタ)アクリレートの具体例としては、チオフェニル(メタ)アクリレート、フラニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0157】
上記6員環の複素環(メタ)アクリレートは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基として6員環の複素環基を有し、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。上記6員環の複素環(メタ)アクリレートの具体例としては、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、特開2014-118397号公報に記載のイミダゾール(メタ)アクリレート、4-アクリロイルモルホリン、4-メタクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0158】
本発明において、上記複素環含有(メタ)アクリレート化合物が、下記一般式(E-2)で表される化合物であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0159】
【化29】
式中、RE3は、水素原子又はメチル基を表し、
E4は、複素環含有基又は該複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が上記-O-等で置換された基を表し、
n2は、0又は1の数を表す。
【0160】
式(E-2)中のRE4で表される複素環含有基は、n2が1である場合、上記一般式(a-1)中のRa1で表される炭素原子数2以上30以下の複素環含有基と同様の基とすることができる。
n2が1ではない場合、上記複素環含有基は、上記炭素原子数2以上30以下の複素環含有基から、n2-1個の水素原子を引き抜いた基とすることができる。
【0161】
上記RE4で表される複素環含有基は、複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が上記-O-等で置換された基であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
上記RE4で表される複素環含有基としては、環状エーテル基であることが好ましく、なかでも、飽和環状エーテル基であることが好ましく、特に、複素環の構成原子が炭素原子、酸素原子及び窒素原子、若しくは、複素環の構成原子が炭素原子及び酸素原子であることが好ましく、なかでも特に、複素環の構成原子が炭素原子及び酸素原子である飽和環状エーテル基であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
上記RE4に用いられる複素環含有基は、複素環含有基の複素環が、3~8員環であることが好ましく、なかでも、4~7員環であることが好ましく、特に5~6員環であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0162】
上記複素環含有(メタ)アクリレートは、炭素原子数5以上20以下の化合物であることが好ましく、なかでも、炭素原子数6以上15以下の化合物であることが好ましく、特に、炭素原子数7以上10以下の化合物であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0163】
上記複素環含有(メタ)アクリレートは、分子量60以上500以下の化合物であることが好ましく、なかでも、分子量100以上300以下の化合物であることが好ましく、特に、150以上250以下の化合物であることが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
【0164】
(III)芳香族炭化水素(メタ)アクリレート
上記芳香族炭化水素(メタ)アクリレートは、複素環を含まず、芳香族炭化水素基、若しくは該芳香族炭化水素基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。
アクリロイル基及びメタクリロイル基の数が1個の場合、上記芳香族炭化水素(メタ)アクリレートの芳香族炭化水素基の内容については、上記「A1.一般式(a-1)で表される基と、一般式(a-2)で表される基を有する化合物」の項に記載の芳香族炭化水素基と同様とすることができる。
【0165】
一分子中のアクリロイル基及びメタクリロイル基の数が1個の場合、上記芳香族炭化水素(メタ)アクリレートの具体例としては、アリール(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0166】
上記アリール(メタ)アクリレートは、アリール基、若しくはアリール基中のメチレン基が上記-O-等で置換された基と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有する化合物を表す。上記アリール(メタ)アクリレートにおけるアリール基については、上記「A1.一般式(a-1)で表される基と、一般式(a-2)で表される基を有する化合物」の項に記載のアリール基と同様とすることができる。
上記アリールアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0167】
アクリロイル基及びメタクリロイル基の数が2個の場合、上記芳香族炭化水素(メタ)アクリレートの芳香族炭化水素基は、上記炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基から水素原子を1個引き抜いた基とすることができる。
一分子中のアクリロイル基及びメタクリロイル基の数が2個の場合、上記芳香族炭化水素(メタ)アクリレートの具体例としては、アリールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アリールジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フェニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0168】
本発明において、上記芳香族(メタ)アクリレートが、下記一般式(E-3)で表される化合物であることが好ましい。上記組成物は、優れた硬化性と、低透湿性の硬化物を形成することができるからである。
【0169】
【化30】

式中、RE5は、水素原子又はメチル基を表し、
E6は、芳香族炭化水素基若しくは該芳香族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が上記-O-等で置換された基を表し、
n3は、1以上5以下の数を表す。
【0170】
式(E-3)中のRE6で表されるn3価の芳香族炭化水素基は、n3が1である場合、上記一般式(a-1)中のRa1で表される炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基と同様の基とすることができる。
n3が1ではない場合、上記炭素原子数6以上30以下の芳香族炭化水素基から、n3-1個の水素原子を引き抜いた基とすることができる。
【0171】
上記不飽和カルボン酸類の具体例としては、例えば、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和カルボン酸類は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0172】
上記不飽和酸無水物の具体例としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和酸無水物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0173】
上記芳香族ビニル化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレンなどが挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0174】
上記N置換マレイミドの具体例としては、例えば、メチルマレイミド、エチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのN置換マレイミドは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0175】
上記共役ジエンの具体例としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの共役ジエンは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0176】
上記ビニルエーテルの具体例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエーテルは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0177】
上記N-ビニル化合物の具体例としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのN-ビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0178】
上記不飽和イソシアネートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等が挙げられる。但し、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和イソシアネートは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0179】
本発明の組成物において、上記その他の重合性化合物の含有量は、特に制限されるものではないが、本発明の組成物の固形分100質量部中、50質量部未満であることが好ましく、なかでも、30質量部未満であることが好ましく、特に、含まないことが好ましい。上述の数値範囲内にすることで、上記組成物は、優れた硬化性を有すると共に、低透湿性の硬化物を形成しやすくなるからである。
【0180】
A7.溶剤
本発明の組成物は、重合開始剤等の成分を溶解させるための最低限の溶剤を含むものであってもよい。溶剤は、上記(A)成分、上記(B)成分、上記(C)成分及び重合開始剤の何れにも該当せず、25℃、大気圧下で液状であり、組成物中の各成分を分散、又は溶解可能なものが挙げられる。また、溶剤は、本発明の組成物中のモノマーと反応しないものが、本発明の組成物の硬化物への悪影響が少ないので好ましい。
本発明の組成物における溶剤の含有量の上限が、組成物100質量部中、1質量部以下であることが好ましく、なかでも、0.1質量部以下であることが好ましく、特に、溶剤を含まないことが好ましい。本発明の効果が顕著なものとなるからである。
上記溶剤の具体例としては、例えば、国際公開第WO2019/159953号に記載の溶剤等が挙げられる。また、本発明の組成物では、溶剤を単独で用いてもよく、2種類以上の溶剤を混合した混合溶剤を使用することができる。
【0181】
A8.組成物
本発明の組成物の製造方法としては、上記各成分を所望量含む組成物を形成可能な方法であれば問題はなく、公知の混合手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、本発明の組成物は、ホモディスパー、ホモミキー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、各成分を混合することで製造することができる。
【0182】
本発明の組成物の用途は、硬化性、及び低透湿性に優れる硬化物が要求される用途であることが好ましく、例えば、防湿層形成用であることが好ましい。
本発明の組成物を適用可能な用途としては、例えば、遮光フィルタを含む光学フィルタ;塗料;コーティング剤;ライニング剤;接着剤;印刷版;絶縁ワニス;絶縁シート;積層板;プリント配線基板;半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機エレクトロルミネッセンス(EL)用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤;成形材料;パテ、ガラス繊維含浸剤;目止め剤;半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜;層間絶縁膜;保護膜;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ;プラズマ表示パネル用の電極材料;印刷インク;歯科用組成物;光造形用樹脂;液状及び乾燥膜の双方;微小機械部品;ガラス繊維ケーブルコーティング;ホログラフィ記録用材料の各種の用途を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記防湿層の形成対象が、プリント配線基板、カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料等であることが好ましく、特に、プリント配線基板であることが好ましい。硬化性及び低透湿性に優れるとの本発明の組成物の効果をより効果的に発揮できるからである。
【0183】
B.硬化物
次に、本発明の硬化物について説明する。
本発明の硬化物は、上記組成物の硬化物である。
【0184】
本発明によれば、上述の組成物を用いているため、硬化性に優れ、低透湿性の硬化物を提供することができる。
なお、硬化物の組成については、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記硬化物の形状、厚み等については、上記硬化物の用途等に応じて適宜設定することができる。例えば、上記硬化物をバリアコーティング材として用いる場合、0.05μm以上300μm以下等とすることができる。
本発明の硬化物の用途については、上記「A.組成物」の効果に記載の内容と同様とすることができる。
本発明の硬化物の製造方法としては、本発明の組成物が硬化する方法であればよく、特に限定されるものではないが、後述する「C.硬化物の製造方法」に記載の方法を用いることができる。
【0185】
本発明の硬化物は、低透湿性に優れるものであるが、より具体的には、水蒸気透過性が低いものとすることができる。
このような水蒸気透過性の測定方法としては、一般的な水蒸気透過性測定装置を用いて測定することができ、相対湿度90%、40℃の条件で測定することができる。
より具体的には、硬化物を3.3cm×3.3cmの大きさに切り取り、5cm穴のマスクに設置し、水蒸気透過性測定装置(イリノイ社製、model7002)を用いて、相対湿度90%、40℃の条件で水蒸気透過度を測定する方法を用いることができる。
本発明においては、上記硬化物の水蒸気透過性、が、200g/(m・24時間)未満であることが好ましく、なかでも、150g/(m・24時間)以上200g/(m・24時間)未満であることが好ましく、特に、150g/(m・24時間)未満であることが好ましい。防湿層形成用の用途に、十分な透湿性だからである。
【0186】
C.硬化物の製造方法
上記硬化物の製造方法としては、上述の組成物の硬化物を所望の形状となるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0187】
C1.硬化工程
本工程は、上述の組成物を硬化する工程である。
本工程では、上述の組成物中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の何れか一つ以上を重合可能な方法であればよく、例えば、組成物の塗膜に対して光(エネルギー線)を照射して、本発明の組成物を重合する方法等が挙げられる。
【0188】
上記光エネルギー線の光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストローム以上7000オングストローム以下の波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線等が挙げられる。
本工程においては、上記光源は、波長300以上450nm以下の光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯、発光ダイオード等好ましい。本発明の組成物の重合が容易になるからである。
【0189】
上記エネルギー線の照射量は、特に制限されるものではなく、組成物の組成によって適宜決定することができる。上記照射量は、組成物中の成分の劣化防止の観点から、照射量は365nmにおいて、100mJ/cm以上2,000mJ/cm以下であることが好ましい。
【0190】
本工程において、上記硬化方法が、エネルギー線を照射する方法及び加熱する方法を併用する方法であることが好ましく、より具体的には、エネルギー線を照射する方法及び加熱する方法をこの順で行うことが好ましい。本発明の組成物の硬化を効率的に進めることができるからである。
【0191】
本工程における組成物の塗膜を加熱する方法としては、ホットプレート等の熱板や、大気オーブン、イナートガスオーブン、真空オーブン、熱風循環式オーブン等を用いる方法が挙げられる。
本発明の組成物を加熱する温度は、特に限定されないが、本発明の組成物の重合容易の観点から、70℃以上200℃以下であることが好ましく、なかでも、90℃以上150℃以下であることが好ましい。
塗膜を加熱する時間とは、特に限定されないが、生産性向上の点から、1分以上60分以下であることが好ましく、なかでも、1分以上30分以下であることが好ましい。
【0192】
C2.その他の工程
上記製造方法は、必要に応じてその他の工程を有するものであっても構わない。
その他の工程としては、例えば、上述の硬化工程の前に、本発明の組成物を基材に塗布する工程等を挙げることができる。
組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いることができる。
【0193】
上記基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、特に制限されず、通常用いられるものを使用することができる。
上記基材の具体例としては、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス、軟鋼、めっき鋼等の金属基材、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
また、上記組成物の硬化物が形成される被着体としては、例えば、上記組成物の硬化物が色調整フィルタ等に用いられる場合には、カラーフィルタの画素の上面等であってもよい。
本発明の硬化物は、上記基材上で形成された後、基材から剥離して用いてもよく、基材から他の基材に転写して用いることができる。
【0194】
D.その他
なお、本発明は、下記[1]~[6]の実施形態を含むものとする。
[1] (A)成分と、(B)成分及び(C)成分から選択される少なくとも一種以上と、を含む組成物。
(A)成分:上記一般式(a-1)で表される基と、上記一般式(a-2)で表される基を有する化合物
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方と、を有する化合物
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
[2] 上記(B)成分が、一分子中に縮合脂環を1個有する化合物である、[1]に記載の組成物。
[3] 上記(A)成分の含有量が、組成物の固形分100質量部中、1質量部以上90質量部以下である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 防湿層形成用である、[1]~[3]の何れか一項に記載の組成物。
[5][1]~[4]の何れか一項に記載の組成物の硬化物。
【0195】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例0196】
[実施例1~25及び比較例1~5]
下記表1~4の配合に従って、各成分を配合して組成物を得た。
また、各成分は以下の材料を用いた。
なお、表中の配合量は、各成分の質量部を表すものである。
【0197】
(A)成分:(a-1)及び(a-2)で表される基を有する化合物
A1:下記式(A1)で表される化合物((a-1)及び(a-2)で表される基を有する化合物)。
【0198】
【化31】
【0199】
(B)成分:縮合脂環と、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方と、を有する化合物
B1:A-DCP(新中村化学工業(株)製商品、下記(B1)で表される化合物、分子量304.38)
B2:ファンクリル(登録商標)FA-513AS(昭和電工マテリアルズ(株)製商品、下記(B2)で表される化合物、分子量206.1)
B3:ファンクリル(登録商標)FA-512AS(昭和電工マテリアルズ(株)製商品、下記(B3)で表される化合物、分子量248)
B4:IBXA(大阪有機化学工業(株)製商品、下記(B4)で表される化合物、分子量208.3)
B5:ビームセット(登録商標)101(荒川化学工業(株)製商品、下記(B5)で表される化合物、分子量428.57)
【0200】
【化32】
【0201】
上記(B)成分の比較化合物として、下記(b1)~(b3)の化合物を用いて評価した。
b-1:ビスコート#155,CHA(大阪有機化学工業(株)製商品、下記(b1)で表される化合物)
b-2:ビスコート#196,TMCHACHA(大阪有機化学工業(株)製商品、下記(b2)で表される化合物)
b-3:コーシルマー(登録商標)TBCHA(KJケミカルズ(株)製商品、下記(b3)で表される化合物)
【0202】
【化33】
【0203】
(C)成分:脂環式炭化水素系重合体
C1:YSレジンTO125(ヤスハラケミカル(株)製商品、軟化点125℃、数平均分子量800、重量平均分子量800、ガラス転移点64℃、上記式(C-22)において、RC86がメチル基、RC87がヒドロキシ基、t6が1である繰返し単位を有する脂環式炭化水素系重合体)
C2:YSポリスターUH115(ヤスハラケミカル(株)製商品、軟化点115℃、数平均分子量582、重量平均分子量959、ガラス転移点65℃、上記式(C-17)において、RC79がヒドロキシ基、t1が1である繰返し単位を有する脂環式炭化水素系重合体)
C3:T-REZ(登録商標)HA-125(ENEOS(株)製商品、軟化点125℃、数平均分子量400、重量平均分子量610、上記式(C-3)において、RC21、RC22、RC23及びRC24の全てが水素原子である繰返し単位と、上記式(C-6)において、RC31、RC32、RC33、RC34、RC35及びRC36の全てが水素原子である繰返し単位と、を有する脂環式炭化水素系重合体)
C4:T-REZ(登録商標)HA-103(ENEOS(株)製商品、軟化点104℃、数平均分子量370、重量平均分子量560)上記式(C-3)において、RC21、RC22、RC23及びRC24の全てが水素原子である繰返し単位と、上記式(C-6)において、RC31、RC32、RC33、RC34、RC35及びRC36の全てが水素原子である繰返し単位と、を有する脂環式炭化水素系重合体)
C5:T-REZ(登録商標)HB-125(ENEOS(株)製商品、軟化点125℃、数平均分子量410、重量平均分子量630、上記式(C-4)において、RC25及びRC26が、水素原子である繰返し単位と、上記(C-10)において、RC47、RC48、RC49及びRC50が水素原子である繰返し単位と、を有する脂環式炭化水素系重合体)
C6:T-REZ(登録商標)HB-103(ENEOS(株)製商品、軟化点103℃、数平均分子量460、重量平均分子量720、上記式(C-4)において、RC25及びRC26が、水素原子であるモノマーの繰返し単位と、上記(C-10)において、RC47、RC48、RC49及びRC50が水素原子である繰返し単位と、を有する脂環式炭化水素系重合体)
C7:アイマーブ(登録商標)P-140(出光興産(株)製商品、軟化点140℃、重量平均分子量900、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10、RC11及びRC12が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10及びRC11が全て水素原子であり、RC12がメチル基である繰返し単位と、上記式(C-2)において、RC13、RC14、RC15、RC16、RC17、RC18、RC19及びRC20が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-3)において、RC21、RC22、RC23及びRC24が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-6)において、RC31、RC32、RC33、RC34、RC35及びRC36が全て水素原子である繰返し単位とを有する、脂環式炭化水素系重合体)
C8:アイマーブ(登録商標)S-110(出光興産(株)製商品、軟化点90℃、重量平均分子量760、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10、RC11及びRC12が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10及びRC11が全て水素原子であり、RC12がメチル基である繰返し単位と、上記式(C-2)において、RC13、RC14、RC15、RC16、RC17、RC18、RC19及びRC20が全て水素原子であるモノマーの繰返し単位と、上記式(C-3)において、RC21、RC22、RC23及びRC24が全て水素原子であるモノマーの繰返し単位と、上記式(C-6)において、RC31、RC32、RC33、RC34、RC35及びRC36が全て水素原子である繰返し単位とを有する、脂環式炭化水素系重合体)
C9:アイマーブ(登録商標)M-90(出光興産(株)製商品、軟化点90℃、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10、RC11及びRC12が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10及びRC11が全て水素原子であり、RC12がメチル基である繰返し単位と、上記式(C-2)において、RC13、RC14、RC15、RC16、RC17、RC18、RC19及びRC20が全て水素原子である繰返し単位と、を有する、脂環式炭化水素系重合体)
C10:アイマーブ(登録商標)P-90(出光興産(株)製商品、軟化点90℃、重量平均分子量590、ガラス転移点42℃、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10、RC11及びRC12が全て水素原子である繰返し単位と、上記式(C-1)において、RC1、RC2、RC3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC8、RC9、RC10及びRC11が全て水素原子であり、RC12がメチル基である繰返し単位と、上記式(C-2)において、RC13、RC14、RC15、RC16、RC17、RC18、RC19及びRC20が全て水素原子である繰返し単位と、を有する、脂環式炭化水素系重合体)
C11:シクロオレフィンコポリマー(上記式(C-5)において、RC27、RC28、RC29及びRC30が、全て水素原子である繰返し単位と、エチレンモノマーに由来する繰返し単位と、を有する脂環式炭化水素系重合体)
【0204】
(D)成分:重合開始剤
D1:Ominirad 380(IGM RESINS社製商品)
【0205】
「評価」
得られた各組成物につき、透湿性、硬化性、接着性、塗工性、耐久性1(恒温恒湿試験)、耐久性2(ヒートサイクル試験)を、下記の手順に従って評価した。結果を表1~表5に示す。
【0206】
#1:透湿性
実施例1~19、比較例1~8の組成物を用いて、透湿性を評価した。
コロナ放電処理を施した厚み60μmのTACフィルム上に、得られる硬化物の膜厚が10μmになるように各組成物をバーコート法で塗布することで塗膜を形成し、高圧水銀ランプを用いて、紫外線(365nm)を、100mW、1,000mJの露光条件で照射することで塗膜を硬化させて硬化物を得た。この硬化物を3.3cm×3.3cmの大きさに切り取り、5cm穴のマスクに設置し、水蒸気透過性測定装置(イリノイ社製、model7002)を用いて、相対湿度90%、40℃の条件で水蒸気透過度を測定した。測定した値が小さいほど水蒸気の透過量が小さいことを表す。
<評価基準>
++:150g/(m・24時間)未満
+ :150g/(m・24時間)以上200g/(m・24時間)未満
- :200g/(m・24時間)以上
【0207】
#2:硬化性
上記透湿性試験で作製した硬化物を用いて、硬化性を評価した。
硬化直後の硬化物の表面を触診して、下記の基準で評価した。
<評価基準>
++:タックフリー(べたつき無し)
+ :べたつき有
- :硬化物を形成していなかった。
【0208】
#3.塗工性
各組成物の塗工性を評価した。
各組成物をそれぞれスプレー缶に充填し(スプレー圧0.2MPa)、スプレー缶を噴射したときの状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
<評価基準>
+:組成物を噴射できる。
-:組成物を噴射できない。
【0209】
#4:接着性
JIS K5600-5-6の試験方法に準じて、接着性を評価した。
上記組成物を厚み100μmのPETフィルム(コスモシャイン(登録商標)A4360、東洋紡(株)製)に対して、得られる硬化物の膜厚が10μmとなるようにバーコート法で塗布して塗膜を形成し、高圧水銀ランプを用いて、紫外線(365nm)を、100mW、1,000mJの露光条件で照射することで塗膜が硬化して硬化物を得たTACフィルム上に形成された硬化物をカッターでクロスカットすることで、1mm×1mmの大きさの碁盤目を100個刻み、セロハンテープによるピーリングを実施し、剥離した個数を目視で観察し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
++:剥離した数が、5個未満である。
+ :剥離した数が、5個以上10個未満である。
- :剥離した数が、10個以上である。
【0210】
#5:耐久性1(恒温恒湿試験)
上記透湿性試験で作製した硬化物を用いて、耐久性1(恒温恒湿試験)を評価した。
得られた硬化物を85℃、85%RHの恒温恒湿機に入れ1,000時間静置する恒温恒湿試験を実施した。1,000時間経過後に硬化物を取り出し、23℃50%RHの環境下に一晩静置した。試験後の硬化物について、上記接着性試験と同様の手順で、1mm×1mmの大きさの碁盤目を100個刻み、セロハンテープによるピーリングを実施した。剥離した個数を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0211】
<評価基準>
++:剥離した数が、5個未満である。
+ :剥離した数が、5個以上10個未満である。
- :剥離した数が、10個以上である。
【0212】
#6:耐久性2(ヒートサイクル試験)の評価
上記透湿性試験で作製した硬化物を用いて、耐久性2(ヒートサイクル試験)を評価した。
得られた硬化物を、-40℃で30分間保持後に、125℃で30分間保持することを1サイクルとして、1,000サイクル繰返した。試験後の硬化物について、上記接着性試験と同様の手順で、1mm×1mmの大きさの碁盤目を100個刻み、セロハンテープによるピーリングを実施した。剥離した個数を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0213】
<評価基準>
++:剥離した数が、5個未満である。
+ :剥離した数が、5個以上10個未満である。
- :剥離した数が、10個以上である。
【0214】
【表1】

【0215】
【表2】

【0216】
【表3】
【0217】
【表4】
【0218】
表1~表4の結果より、実施例の組成物は、透湿性及び硬化性に優れることが確認できた。なかでも、実施例1~5より、(A)成分及び(B)成分を含む組成物は、塗工性及び接着性にも優れており、特に、実施例3より、(B)成分が、縮合脂環が3個の脂環を有する環構造であり、縮合脂環と、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくとも一方とが、連結基を介して結合する化合物である場合、さらに硬化性が優れたものとなり、耐久性にも優れることが確認できた。