(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003674
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】IP/TS変換装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/38 20220101AFI20240105BHJP
【FI】
H04L47/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102977
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆裕
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030HB13
5K030HB18
5K030KA05
5K030LB16
5K030LC01
(57)【要約】
【課題】IP回線を用いた伝送システムにおいて、ユーザの設定に従い、IPデータとTSとの間の変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御する。
【解決手段】IP/TS変換装置1に備えた送信処理部11のIPフロー送信制御部21は、IPデータに含まれる宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスに基づいてIPフローを識別し、ユーザにより予め設定された設定データS1から、IPフローに対応する送信制御情報を抽出し、送信制御情報に基づいて、出力先の設定、IPデータの複製、IPデータの分割等の送信制御を行い、送信制御後のIPデータを出力先のIP→TS変換部22-nに出力する。IP→TS変換部22-nは、IPデータを入力してTSに変換し、ユーザにより予め設定された設定データS2に含まれるレートにて、TSを対応するFPU送信機3-nへ出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPデータを1または複数のTSに変換するIP/TS変換装置において、
IPフロー送信制御部及びN(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部を備え、
前記IPフロー送信制御部は、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、
前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、
前記N個のIP→TS変換部のそれぞれは、
前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力する、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のIP/TS変換装置において、
前記N個のIP→TS変換部のそれぞれは、
予め設定された前記レートであって、他のIP→TS変換部とは異なる前記レートにて前記TSを出力する、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載のIP/TS変換装置において、
前記送信設定データには、
前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローを複製または分割することを示す情報、及び前記複製または分割したときの前記IPデータの複数の出力先である前記IP→TS変換部の識別子からなる前記送信制御情報が含まれる、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項4】
1または複数のTSをIPデータに変換するIP/TS変換装置において、
N(Nは2以上の整数)個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部を備え、
前記N個のTS→IP変換部のそれぞれは、
予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、
前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれは、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、
当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部から通知を入力した場合にのみ前記変換IPデータを前記IPデータとして出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成により、合成後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載のIP/TS変換装置において、
前記N個のTS→IP変換部のそれぞれは、
予め設定された前記レートであって、他のTS→IP変換部とは異なる前記レートにて前記TSを入力し、前記TSを前記IPデータに変換して前記変換IPデータとして出力する、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項6】
請求項4に記載のIP/TS変換装置において、
前記受信設定データには、
前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローを合成することを示す情報、及び当該IPフローを合成するときの前記他の変換IPデータの入力元である前記他のIPフロー受信制御部の識別子からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項7】
請求項4に記載のIP/TS変換装置において、
前記受信設定データには、
前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローが存在するときに当該IPフローを出力することを示す情報、当該IPフローが存在しないときに通知を行うことを示す情報、及び前記通知の出力先である他のIPフロー受信制御部の識別子からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項8】
請求項4に記載のIP/TS変換装置において、
前記受信設定データには、
前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、他のIPフロー受信制御部から通知を入力したときに当該IPフローを出力することを示す情報からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項9】
外部からIPデータを入力し、前記IPデータを1または複数のTSに変換し、前記複数のTSを出力すると共に、外部から1または複数のTSを入力し、前記1または複数のTSをIPデータに変換し、前記IPデータを出力するIP/TS変換装置において、
IPフロー送信制御部、N(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部、N個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部を備え、
前記IPフロー送信制御部は、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、
外部から前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、
前記N個のIP→TS変換部のそれぞれは、
前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力し、
前記N個のTS→IP変換部のそれぞれは、
予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを外部から入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、
前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれは、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、
当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、
前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成または選択により、合成または選択後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とするIP/TS変換装置。
【請求項10】
IPデータを1または複数のTSに変換するIP/TS変換装置を構成するコンピュータを、IPフロー送信制御部及びN(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部として機能させるためのプログラムであって、
前記IPフロー送信制御部は、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、
前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、
前記N個のIP→TS変換部のそれぞれは、
前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力する、ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
1または複数のTSをIPデータに変換するIP/TS変換装置を構成するコンピュータを、N(Nは2以上の整数)個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部として機能させるためのプログラムであって、
前記N個のTS→IP変換部のそれぞれは、
予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、
前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれは、
IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、
当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、
前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部から通知を入力した場合にのみ前記変換IPデータを前記IPデータとして出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成により、合成後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TS(Transport Stream:トランスポートストリーム)を伝送する装置を用いてIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)データを伝送する技術に関し、特に、IPデータとTSとの間で変換処理を行うIP/TS変換装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPデータとTSとを変換する装置を用いて、送信対象のデータを伝送する技術が知られている(例えば非特許文献1を参照)。非特許文献1に記載された技術は、TSを、IP回線を用いて伝送するものである。具体的には、送信側は、TSをIPデータに変換し、IPデータを、IP回線を介して送信する。受信側は、送信側からIPデータを受信し、IPデータをTSに変換する。
【0003】
一方で、IPデータを、TSを送受信する送受信機(例えばFPU(Field Pick-up Unit))を用いて無線回線を介して伝送する技術も知られている(例えば非特許文献2を参照)。具体的には、送信側は、IPデータをTSに変換し、TSを、無線回線を介して送信する。受信側は、送信側からTSを受信し、TSをIPデータに変換する。
【0004】
図13(1)は、片方向通信を行う従来のIP/TS変換装置及びFPUを組み合わせた伝送システムの構成を示す概略図である。この伝送システムは、送信側のIP/TS変換装置100及びFPU送信機101と、受信側のFPU受信機102及びIP/TS変換装置103とを備えて構成される。
【0005】
送信側のIP/TS変換装置100は、IPデータを入力してTSに変換し、FPU送信機101は、TSを、無線回線を介して受信側へ送信する。受信側のFPU受信機102は、送信側のFPU送信機101から無線回線を介してTSを受信し、IP/TS変換装置103は、TSをIPデータに変換してIPデータを出力する。
【0006】
ここで、TSは、188バイトまたは204バイトの固定長の「トランスポートパケット」(Transport Packet:TSパケット)と呼ばれるデータが連続したものである。また、FPUは、番組素材(映像、音声等)を伝送するために用いる無線中継装置であり、入出力はTS形式である。FPUは、免許制の専用周波数帯域を使用するため、モバイル網のような回線輻輳がなく、一定の伝送帯域を確保することができる。
【0007】
このように、1対向のFPUを用いることで、IP/TS変換装置100,103により、片方向通信のIP回線が構築される。
【0008】
図13(2)は、全二重の双方向通信を行う従来のIP/TS変換装置及びFPUを組み合わせた伝送システムの構成を示す概略図である。この伝送システムは、第1の送受信側のIP/TS変換装置104、FPU送信機105及びFPU受信機106と、第2の送受信側のFPU受信機107、FPU送信機108及びIP/TS変換装置109とを備えて構成される。
【0009】
第1の送受信側のIP/TS変換装置104は、外部からIPデータを入力してTSに変換し、FPU送信機105は、TSを、無線回線を介して第2の送受信側へ送信する。第1の送受信側のFPU受信機106は、第2の送受信側から無線回線を介してTSを受信し、IP/TS変換装置104は、TSをIPデータに変換してIPデータを出力する。
【0010】
第2の送受信側のFPU受信機107、FPU送信機108及びIP/TS変換装置109は、第1の送受信側のFPU受信機106、FPU送信機105及びIP/TS変換装置104のそれぞれと同様の処理を行う。
【0011】
このように、2対向のFPUを用いることで、IP/TS変換装置104,109により、全二重の双方向通信のIP回線が構築される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“TS→TS over IP変換ユニット”、[online]、Traffic Sim Co.,Ltd.、[令和4年5月21日検索]、インターネット<URL:https://www.trafficsim.co.jp/products/p773/>
【非特許文献2】“IPリモート制作用無線伝送システムの番組利用”、[online]、日本放送協会、[令和4年5月21日検索]、インターネット<URL:https://www.nhk.or.jp/strl/publica/giken_dayori/199/2.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13(1)及び(2)に示したFPUを用いて構築される無線回線の伝送帯域は、最大で数百Mbpsである。これに対し、例えばダークファイバーの有線回線の伝送帯域は、数十Gbps~400Gbpsであり、また、あるビジネス向けイーサネット(登録商標)サービスの伝送帯域は、最大で1Gbpsである。つまり、FPUを用いて構築される無線回線の伝送帯域は、有線回線と比較して狭い。
【0014】
このため、FPUを用いて構築される無線回線においては、伝送帯域を広くすることにより、一度に多くのIPデータを伝送できることが望ましい。
【0015】
図14は、複数のFPUを用いることで伝送帯域を増やす場合の伝送システムの構成を示す概略図である。
【0016】
図14に示す伝送システムは、
図13(2)に示した伝送システムにおいて、FPUの台数を2倍に増加することで伝送帯域を増やすものである。この伝送システムは、第1の送受信側におけるIP/TS変換装置110、2台のFPU送信機111,112及び2台のFPU受信機113,114と、第2の送受信側における2台のFPU受信機115,116、2台のFPU送信機117,118及びIP/TS変換装置119とを備えて構成される。
【0017】
このように、4対向のFPUを用いることで、IP/TS変換装置110,119により、全二重の双方向通信のIP回線が構築され、
図13(2)に示した伝送システムよりも伝送帯域を広くすることができ、より多くのIPデータを伝送することが可能となる。
【0018】
図15は、偏波MIMO(Multiple Input Multiple Output)を使用することで伝送帯域を増やす場合の伝送システムの構成を示す概略図である。
【0019】
図15に示す伝送システムは、
図13(2)に示した伝送システムと同数のFPUを用いるが、偏波MIMOに対応するFPUを使用することで伝送帯域を増やすものである。この伝送システムは、第1の送受信側におけるIP/TS変換装置120、偏波MIMOに対応するFPU送信機121、及び偏波MIMOに対応していない通常のFPU受信機122と、第2の送受信側における偏波MIMOに対応するFPU受信機123、偏波MIMOに対応していない通常のFPU送信機124、及びIP/TS変換装置125とを備えて構成される。
【0020】
ここで、MIMOは、複数の送受信アンテナを使用することで、複数の無線通信経路を確立し、帯域あたりの伝送帯域を向上させる技術であり、偏波MIMOは、垂直偏波及び水平偏波等の2つの偏波を用いて複数の無線通信経路を確立するMIMO技術である。
【0021】
このように、IP/TS変換装置120,125により、全二重の双方向通信のIP回線が構築される。また、偏波MIMOに対応するFPUを用いることで、
図13(2)に示した伝送システムよりも伝送帯域を広くすることができ、より多くのIPデータを伝送することが可能となる。
【0022】
しかしながら、
図14に示した複数のFPUを用いる伝送システム及び
図15に示した偏波MIMOを使用する伝送システムでは、全てのFPUが同じ機種及び同じ設定であるとは限らず、また、全てのFPUの使用環境が同じ電波伝搬環境であるとは限らない。つまり、全てのFPUのそれぞれについて、遅延時間、伝送帯域及び伝送特性が他と異なる可能性がある。
【0023】
また、IPデータは、そのフロー(IPフロー)毎に、データ量、許容できる遅延時間及び必要となる冗長度が異なる。IPフローは、特定の送信元IPアドレスの装置から特定の宛先IPアドレスの装置への一連のIPパケットの流れを示す。IPデータはIPフローの集合である。
【0024】
このため、IP/TS変換装置100等を使用するユーザは、FPU毎の機種及び使用環境等の違い、並びにIPフロー毎のデータ量等の違いに対応するために、IPデータの伝送をIPフロー毎に自在に制御できることが望ましい。
【0025】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、IP回線を用いた伝送システムにおいて、ユーザの設定に従い、IPデータとTSとの間の変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御するIP/TS変換装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記課題を解決するために、請求項1のIP/TS変換装置は、IPデータを1または複数のTSに変換するIP/TS変換装置において、IPフロー送信制御部及びN(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部を備え、前記IPフロー送信制御部が、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、前記N個のIP→TS変換部のそれぞれが、前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力する、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項2のIP/TS変換装置は、請求項1に記載のIP/TS変換装置において、前記N個のIP→TS変換部のそれぞれが、予め設定された前記レートであって、他のIP→TS変換部とは異なる前記レートにて前記TSを出力する、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項3のIP/TS変換装置は、請求項1に記載のIP/TS変換装置において、前記送信設定データには、前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローを複製または分割することを示す情報、及び前記複製または分割したときの前記IPデータの複数の出力先である前記IP→TS変換部の識別子からなる前記送信制御情報が含まれる、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項4のIP/TS変換装置は、1または複数のTSをIPデータに変換するIP/TS変換装置において、N(Nは2以上の整数)個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部を備え、前記N個のTS→IP変換部のそれぞれが、予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれが、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部から通知を入力した場合にのみ前記変換IPデータを前記IPデータとして出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成により、合成後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項5のIP/TS変換装置は、請求項4に記載のIP/TS変換装置において、前記N個のTS→IP変換部のそれぞれが、予め設定された前記レートであって、他のTS→IP変換部とは異なる前記レートにて前記TSを入力し、前記TSを前記IPデータに変換して前記変換IPデータとして出力する、ことを特徴とする。
【0031】
また、請求項6のIP/TS変換装置は、請求項4に記載のIP/TS変換装置において、前記受信設定データには、前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローを合成することを示す情報、及び当該IPフローを合成するときの前記他の変換IPデータの入力元である前記他のIPフロー受信制御部の識別子からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項7のIP/TS変換装置は、請求項4に記載のIP/TS変換装置において、前記受信設定データには、前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、当該IPフローが存在するときに当該IPフローを出力することを示す情報、当該IPフローが存在しないときに通知を行うことを示す情報、及び前記通知の出力先である他のIPフロー受信制御部の識別子からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項8のIP/TS変換装置は、請求項4に記載のIP/TS変換装置において、前記受信設定データには、前記IPフロー毎に、前記宛先及び送信元IPアドレス、並びに、他のIPフロー受信制御部から通知を入力したときに当該IPフローを出力することを示す情報からなる前記受信制御情報が含まれる、ことを特徴とする。
【0034】
また、請求項9のIP/TS変換装置は、外部からIPデータを入力し、前記IPデータを1または複数のTSに変換し、前記複数のTSを出力すると共に、外部から1または複数のTSを入力し、前記1または複数のTSをIPデータに変換し、前記IPデータを出力するIP/TS変換装置において、IPフロー送信制御部、N(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部、N個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部を備え、前記IPフロー送信制御部が、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、外部から前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、前記N個のIP→TS変換部のそれぞれが、前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力し、前記N個のTS→IP変換部のそれぞれが、予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを外部から入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれが、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成または選択により、合成または選択後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とする。
【0035】
さらに、請求項10のプログラムは、IPデータを1または複数のTSに変換するIP/TS変換装置を構成するコンピュータを、IPフロー送信制御部及びN(Nは2以上の整数)個のIP→TS変換部として機能させるためのプログラムであって、前記IPフロー送信制御部が、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに送信制御に関する送信制御情報を含む予め設定された送信設定データを有し、前記IPデータを入力し、前記IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記送信設定データから、識別した前記IPフローの前記送信制御情報を抽出し、前記送信制御情報に基づいて、p1(p1は1以上N以下の整数)個の出力先を設定し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記p1個の出力先に出力し、前記N個のIP→TS変換部のそれぞれが、前記IPフロー送信制御部により出力された当該IP→TS変換部に対応する前記IPデータまたは前記IPデータの一部を入力し、前記IPデータまたは前記IPデータの一部を前記TSに変換し、予め設定されたレートにて前記TSを出力する、ことを特徴とする。
【0036】
また、請求項11のプログラムは、1または複数のTSをIPデータに変換するIP/TS変換装置を構成するコンピュータを、N(Nは2以上の整数)個のTS→IP変換部及びN個のIPフロー受信制御部として機能させるためのプログラムであって、前記N個のTS→IP変換部のそれぞれが、予め設定されたレートにて当該TS→IP変換部に対応する前記TSを入力し、前記TSをIPデータに変換して変換IPデータとして出力し、前記N個のIPフロー受信制御部のそれぞれが、IPフロー毎の宛先及び送信元IPアドレス並びに受信制御に関する受信制御情報を含む予め設定された受信設定データを有し、当該IPフロー受信制御部に対応する前記TS→IP変換部から前記変換IPデータを入力し、前記変換IPデータに含まれる宛先及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別し、前記受信設定データから、識別した前記IPフローの前記受信制御情報を抽出し、前記受信制御情報に基づいて、前記変換IPデータを前記IPデータとしてそのまま出力するか、または、他のIPフロー受信制御部から通知を入力した場合にのみ前記変換IPデータを前記IPデータとして出力するか、または、他のIPフロー受信制御部により入力された変換IPデータを他の変換IPデータとして入力し、当該IPフロー受信制御部が入力した前記変換IPデータ及び前記他の変換IPデータの合成により、合成後のデータを前記IPデータとして出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明によれば、IP回線を用いた伝送システムにおいて、ユーザの設定に従い、IPデータとTSとの間の変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態によるIP/TS変換装置を含む伝送システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態によるIP/TS変換装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】IPフロー送信制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】IPフロー送信制御部の処理例を示すフローチャートである。
【
図6】IPフロー送信制御の例を説明する図である。
【
図7】IP→TS変換部の処理及び設定データS2を説明する図である。
【
図8】TS→IP変換部の処理及び設定データS3を説明する図である。
【
図9】IPフロー受信制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図10】IPフロー受信制御部の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】IPフロー受信制御の例を説明する図である。
【
図13】(1)は、片方向通信を行う従来のIP/TS変換装置及びFPUを組み合わせた伝送システムの構成を示す概略図である。(2)は、全二重の双方向通信を行う従来のIP/TS変換装置及びFPUを組み合わせた伝送システムの構成を示す概略図である。
【
図14】複数のFPUを用いることで伝送帯域を増やす場合の伝送システムの構成を示す概略図である。
【
図15】偏波MIMOを使用することで伝送帯域を増やす場合の伝送システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、TSを伝送する送受信機を用いてIP回線を構築する伝送システムにおいて、ユーザにより予め設定されたIPフロー毎の制御情報に基づいて、IPデータとTSとの間の変換処理を行うことを特徴とする。
【0040】
〔伝送システム〕
本発明の実施形態によるIP/TS変換装置を含む伝送システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態によるIP/TS変換装置を含む伝送システムの構成例を示す概略図である。
【0041】
この伝送システム10は、TSを伝送する複数の対向のFPU送信機3及びFPU受信機5並びにFPU送信機6及びFPU受信機4を用いて、IPデータの送受信を全二重の双方向通信にて行うためのIP回線が構築されている。
【0042】
伝送システム10は、第1の送受信側であるIP/TS変換装置1、FPU送信機3-1,3-2,・・・,3-N及びFPU受信機4-1,4-2,・・・,4-Nと、第2の送受信側であるIP/TS変換装置2、FPU送信機6-1,6-2,・・・,6-N及びFPU受信機5-1,5-2,・・・,5-Nとを備えて構成される。Nは2以上の整数である。
【0043】
尚、第1の送受信側のFPU送信機3-1,3-2,・・・,3-N及び第2の送受信側のFPU受信機5-1,5-2,・・・,5-Nの数はそれぞれNであり、第2のFPU送信機6-1,6-2,・・・,6-N及び第2の送受信側のFPU受信機4-1,4-2,・・・,4-Nの数もそれぞれNであるが、前者の数と後者の数を異なるようにしてもよい。
【0044】
まず、IP/TS変換装置1が送信側として機能し、IP/TS変換装置2が受信側として機能する場合について説明する。
【0045】
IP/TS変換装置1は、IPデータを入力し、ユーザにより予め設定された送信用の設定データ(送信設定データ)S1.1に従い、IPデータをp1個のTSに変換する。p1は、1以上かつN以下の整数である。そして、IP/TS変換装置1は、ユーザにより予め設定された送信用の設定データS2.1に従うレートにて、p1個のTSのそれぞれを対応するFPU送信機3-1,3-2,・・・,3-Nへ出力する。この場合、p1個のTSのそれぞれは、FPU送信機3-1,・・・,3-p1へ出力される。
【0046】
FPU送信機3-1,3-2,・・・,3-Nは、IP/TS変換装置1から対応するTSを入力し、TSを、無線回線を介して対応するFPU受信機5-1,5-2,・・・,5-Nへ送信する。
【0047】
FPU受信機5-1,5-2,・・・,5-Nは、対応するFPU送信機3-1,3-2,・・・,3-Nから送信されたTSを、無線回線を介して受信し、受信したTSをIP/TS変換装置2へ出力する。
【0048】
IP/TS変換装置2は、FPU受信機5-1,5-2,・・・,5-NからそれぞれのTSを、ユーザにより予め設定された受信側の設定データS3.2に従うレートにて入力する。そして、IP/TS変換装置2は、ユーザにより予め設定された受信側の設定データ(受信設定データ)S4.2に従い、これらのTSをIPデータに変換して出力する。
【0049】
次に、IP/TS変換装置2が送信側として機能し、IP/TS変換装置1が受信側として機能する場合について説明する。IP/TS変換装置2の送信側の処理は、IP/TS変換装置1が送信側として機能する場合の前述の処理と同様である。また、IP/TS変換装置1の受信側の処理は、IP/TS変換装置2が受信側として機能する場合の前述の処理と同様である。
【0050】
IP/TS変換装置2は、IPデータを入力し、予め設定された送信側の設定データS1.2に従い、IPデータをp2個のTSに変換し、予め設定された送信側の設定データS2.2に従うレートにて、p2個のTSのそれぞれを対応するFPU送信機6-1,6-2,・・・,6-Nへ出力する。p2は、1以上かつN以下の整数である。この場合、p2個のTSのそれぞれは、FPU送信機6-1,・・・,6-p2へ出力される。
【0051】
FPU送信機6-1,6-2,・・・,6-Nは、IP/TS変換装置2から対応するTSを入力し、TSを、無線回線を介して対応するFPU受信機4-1,4-2,・・・,4-Nへ送信する。
【0052】
FPU受信機4-1,4-2,・・・,4-Nは、対応するFPU送信機6-1,6-2,・・・,6-Nから送信されたTSを、無線回線を介して受信し、受信したTSをIP/TS変換装置1へ出力する。
【0053】
IP/TS変換装置1は、FPU受信機4-1,4-2,・・・,4-NからそれぞれのTSを、予め設定された受信側の設定データS3.1に従うレートにて入力し、予め設定された受信側の設定データS4.1に従い、これらのTSをIPデータに変換して出力する。
【0054】
これにより、IP回線を用いた伝送システム10において、ユーザにより予め設定されたIP/TS変換装置1の設定データS1.1,S2.1,S3.1,S4.1及びIP/TS変換装置2の設定データS1.2,S2.2,S3.2,S4.2に従い、IPデータとTSとの間の変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御することができる。
【0055】
尚、IP/TS変換装置1の送信側の設定データS1.1,S2.1とIP/TS変換装置2の受信側の設定データS3.2,S4.2とは対応しており、IP/TS変換装置2の送信側の設定データS1.2,S2.2とIP/TS変換装置1の受信側の設定データS3.1,S4.1とは対応している。一方、IP/TS変換装置1の送信側の設定データS1.1,S2.1と受信側の設定データS3.1,S4.1とは対応しておらず、独立して設定される。また、IP/TS変換装置2の送信側の設定データS1.2,S2.2と受信側の設定データS3.2,S4.2とは対応しておらず、独立して設定される。
【0056】
〔IP/TS変換装置1,2〕
次に、
図1に示したIP/TS変換装置1,2について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態によるIP/TS変換装置1,2の構成例を示すブロック図である。このIP/TS変換装置1,2は、送信処理部11及び受信処理部12を備えており、同じ構成をしている。
【0057】
送信処理部11は、IPフロー送信制御部21及びIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nを備えている。また、受信処理部12は、TS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nを備えている。
【0058】
IP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nにおけるそれぞれの構成部をIP→TS変換部22-nとし、TS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-Nにおけるそれぞれの構成部をTS→IP変換部31-nとする。また、IPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nにおけるそれぞれの構成部をIPフロー受信制御部32-nとする。nは、1からNまでの間の整数である。
【0059】
尚、IP→TS変換部22-n、TS→IP変換部31-n及びIPフロー受信制御部32-nは、それぞれN個の構成部としたが、IP→TS変換部22-nの個数N1と、TS→IP変換部31-n及びIPフロー受信制御部32-nのそれぞれの個数N2とが異なるようにしてもよい。この場合、TS→IP変換部31-n及びIPフロー受信制御部32-nのそれぞれは、同一の個数N2である。N1,N2は2以上の整数である。
【0060】
つまり、
図2では、TS出力の数をN個、TS入力の数はN個としたが、TS出力の数とTS入力の数とを異なるようにしてもよい。IP出力の数及びIP入力の数についても同様である。
【0061】
以下、
図1に示した伝送システム10を構成するIP/TS変換装置1,2において、IP/TS変換装置1に備えた送信処理部11、及びIP/TS変換装置2に備えた受信処理部12の各構成部について説明する。
【0062】
〔送信処理部11〕
図2を参照して、IP/TS変換装置1の送信処理部11に備えたIPフロー送信制御部21及びIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nについて説明する。
【0063】
(IPフロー送信制御部21)
IPフロー送信制御部21は、送信対象のIPデータを入力し、IPデータに含まれる宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスに基づいて、そのIPフローを識別する。
【0064】
IPフロー送信制御部21は、ユーザにより予め設定された設定データS1から、識別されたIPフローに対応する送信制御情報を抽出する。そして、IPフロー送信制御部21は、送信制御情報に基づいて、p1個の出力先(の識別子)の設定、IPデータの複製、IPデータの分割等の送信制御を行い、送信制御後のIPデータ(入力したIPデータまたはIPデータの一部)を、p1個の出力先のIP→TS変換部22-nに出力する。
【0065】
図3は、IPフロー送信制御部21の構成例を示すブロック図であり、
図4は、IPフロー送信制御部21の処理例を示すフローチャートである。このIPフロー送信制御部21は、メモリ41、入力部42、IPフロー識別部43及びIPフロー制御部44を備えている。
【0066】
メモリ41には、ユーザにより予め設定された設定データS1が格納されている。
図5は、設定データS1の例を示す図である。この設定データS1は、IPフロー毎に、設定番号、宛先IPアドレス、送信元IPアドレス及び送信制御情報からなる。
【0067】
設定番号は、IPフロー毎に付与された番号であり、1から昇順に付与される正の整数である。宛先IPアドレスは、IPデータが送信される宛先の装置のIPアドレスである。送信元IPアドレスは、IPデータが送信される送信元の装置のIPアドレスである。送信制御情報は、p1個の出力先の設定、IPデータの複製、IPデータの分割等の送信制御に関する情報である。送信制御情報には、IPデータの出力先であるIP→TS変換部22-nの識別子が含まれる。
【0068】
設定番号1のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.10」、送信元IPアドレス「192.168.0.20」、及び送信制御情報「IP出力1から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-1に設定し、当該IPフローのIPデータをそのままIP→TS変換部22-1に出力することを示している。
【0069】
設定番号2のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.10」、送信元IPアドレス「192.168.0.30」、及び送信制御情報「IP出力2から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-2に設定し、当該IPフローのIPデータをそのままIP→TS変換部22-2に出力することを示している。
【0070】
設定番号3のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.40~192.168.0.50」、送信元IPアドレス「192.168.0.60」、及び送信制御情報「複製してIP出力2とIP出力3から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-2,22-3に設定し、当該IPフローのIPデータを複製し、一方のIPデータをIP→TS変換部22-2に出力すると共に、他方のIPデータをIP→TS変換部22-3に出力することを示している。
【0071】
尚、設定番号3のIPフローの設定データは、IPフローを2つのIPフローに複製する場合を示しているが、3つ以上に複製するようにしてもよい。
【0072】
設定番号4のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.70~192.168.0.80」、送信元IPアドレス「192.168.0.90~192.168.0.100」、及び送信制御情報「パケット毎に分割してIP出力1とIP出力4から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-1,22-4に設定し、当該IPフローのIPデータをパケット毎に分割し、分割された一方のIPデータをIP→TS変換部22-1に出力すると共に、分割された他方のIPデータをIP→TS変換部22-4に出力することを示している。
【0073】
尚、設定番号4のIPフローの設定データは、IPフローを2つのIPフローに分割する場合を示しているが、3つ以上に分割するようにしてもよい。
【0074】
設定番号5のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「識別しない」、送信元IPアドレス「192.168.0.110」、及び送信制御情報「IP出力3から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-3に設定し、当該IPフローのIPデータをそのままIP→TS変換部22-3に出力することを示している。
【0075】
設定番号6のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「識別しない」、送信元IPアドレス「識別しない」、及び送信制御情報「IP出力5から出力」からなる。この送信制御情報は、出力先をIP→TS変換部22-5に設定し、当該IPフローのIPデータをそのままIP→TS変換部22-5に出力することを示している。
【0076】
図5に示した設定番号1~6のIPフローは、後述するIPフロー識別部43により、入力されたIPデータにおけるIPフローについて、設定番号1から順番に一致するか否かが判定され、設定番号1~6のうちの1つの設定番号に対応する送信制御情報が抽出される。そして、後述するIPフロー制御部44により、抽出された送信制御情報に従った制御が行われる。
【0077】
図3及び
図4に戻って、入力部42は、送信対象のIPデータを入力し(ステップS401)、IPデータをIPフロー識別部43に出力する。
【0078】
IPフロー識別部43は、入力部42からIPデータを入力し、IPデータから、宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを抽出し、IPフローを識別する(ステップS402)。IPデータから抽出された宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを入力アドレスとする。
【0079】
IPフロー識別部43は、番号mに1を設定する(ステップS403)。そして、IPフロー識別部43は、メモリ41に格納された設定データS1から、設定番号がmの宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを抽出する(ステップS404)。設定データS1における設定番号がmの設定データから抽出された宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを設定アドレスとする。
【0080】
IPフロー識別部43は、ステップS402にてIPデータから抽出された入力アドレスと、ステップS404にて設定データS1における設定番号がmの設定データから抽出された設定アドレスとを比較する(ステップS405)。
【0081】
IPフロー識別部43は、ステップS405において、入力アドレスと設定アドレスとが一致しないと判定した場合(ステップS405:≠)、番号mと最大値(設定データS1に含まれる設定番号の最大値)とを比較する(ステップS406)。
【0082】
IPフロー識別部43は、ステップS406において、番号mと最大値とが一致しない、すなわち番号mが最大値よりも小さいと判定した場合(ステップS406:≠)、番号mに1を加算し(ステップS407)、ステップS404へ移行する。これにより、ステップS405において、入力アドレスと設定アドレスとが一致するまで、ステップS405~S407,S404の処理が繰り返される。
【0083】
一方、IPフロー識別部43は、ステップS406において、番号mと最大値とが一致すると判定した場合(ステップS406:=)、当該処理を終了する。尚、設定データS1の設定番号6の宛先IPアドレスは「識別しない」、送信元IPアドレスは「識別しない」であることから、番号m=6の場合、どのような入力アドレスであったとしても、ステップS405において入力アドレスと設定アドレスとが一致することとなる。このため、少なくとも番号m=6のときには、ステップS406の判定を行うことはなく、ステップS406において、番号mと最大値とが一致することはない。
【0084】
また、IPフロー識別部43は、ステップS405において、入力アドレスと設定アドレスとが一致すると判定した場合(ステップS405:=)、ステップS408へ移行する。
【0085】
例えば入力アドレスが宛先IPアドレス「192.168.0.10」及び送信元IPアドレス「192.168.0.110」であり、設定アドレスが設定番号5(番号m=5)の宛先IPアドレス「識別しない」及び送信元IPアドレス「192.168.0.110」である場合、入力アドレスと設定アドレスとが一致すると判定される。
【0086】
IPフロー識別部43は、ステップS405(=)から移行して、メモリ41に格納された設定データS1から、設定番号がmの送信制御情報を抽出する(ステップS408)。IPフロー識別部43は、IPデータ及び送信制御情報をIPフロー制御部44に出力する。
【0087】
IPフロー制御部44は、送信制御情報に基づいて、ステップS401にて入力したIPデータを処理し(IPデータの送信制御を行い)(ステップS409)、当該処理を終了する。具体的には、IPフロー制御部44は、送信制御情報に基づいて、p1個の出力先の設定、IPデータの複製、IPデータの分割等の送信制御を行い、送信制御後のIPデータ(入力したIPデータまたはIPデータの一部)を、p1個の出力先のIP→TS変換部22-nに出力する。
【0088】
図6は、IPフロー送信制御部21によるIPフロー送信制御の例を説明する図である。IPフローAのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.10」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.20」であり、IPフローBのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.10」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.30」であるとする。
【0089】
また、IPフローCのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.45」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.60」であり、IPフローDのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.73」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.93」であるとする。また、IPフローEのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.70」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.110」であり、IPフローFのIPデータの宛先IPアドレスは「192.168.0.45」であり、送信元IPアドレスは「192.168.0.95」であるとする。
【0090】
<IPフローA>
IPフロー送信制御部21は、IPフローAのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレスである宛先IPアドレス「192.168.0.10」及び送信元IPアドレス「192.168.0.20」(入力アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.20」)と、設定データS1における設定番号1の設定アドレスである宛先IPアドレス「192.168.0.10」及び送信元IPアドレス「192.168.0.20」(設定アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.20」)とが一致すると判定する。
【0091】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号1の送信制御情報「IP出力1から出力」を抽出する。
【0092】
図6におけるIPフローAの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-1に設定し、当該IPフローAのIPデータをそのまま、IP出力1によりIP→TS変換部22-1に出力する。
【0093】
<IPフローB>
IPフロー送信制御部21は、IPフローBのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.30」と、設定データS1における設定番号2の設定アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.30」とが一致すると判定する。
【0094】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号2の送信制御情報「IP出力2から出力」を抽出する。
【0095】
図6におけるIPフローBの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-2に設定し、当該IPフローBのIPデータをそのまま、IP出力2によりIP→TS変換部22-2に出力する。
【0096】
<IPフローC>
IPフロー送信制御部21は、IPフローCのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.60」と、設定データS1における設定番号3の設定アドレス「192.168.0.40~192.168.0.50」「192.168.0.60」とが一致すると判定する。
【0097】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号3の送信制御情報「複製してIP出力2とIP出力3から出力」を抽出する。
【0098】
図6におけるIPフローCの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-2,22-3に設定し、当該IPフローCのIPデータを複製し、一方のIPデータをIP出力2によりIP→TS変換部22-2に出力すると共に、他方のIPデータをIP出力3によりIP→TS変換部22-3に出力する。
【0099】
<IPフローD>
IPフロー送信制御部21は、IPフローDのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.73」「192.168.0.93」と、設定データS1における設定番号4の設定アドレス「192.168.0.70~192.168.0.80」「192.168.0.90~192.168.0.100」とが一致すると判定する。
【0100】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号4の送信制御情報「パケット毎に分割してIP出力1とIP出力4から出力」を抽出する。
【0101】
図6におけるIPフローDの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-1,22-4に設定し、当該IPフローDのIPデータをパケット毎に分割し、分割された一方のIPデータをIP出力1によりIP→TS変換部22-1に出力すると共に、分割された他方のIPデータをIP出力4によりIP→TS変換部22-4に出力する。
【0102】
<IPフローE>
IPフロー送信制御部21は、IPフローEのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.70」「192.168.0.110」と、設定データS1における設定番号5の設定アドレス「識別しない」「192.168.0.110」とが一致すると判定する。
【0103】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号5の送信制御情報「IP出力3から出力」を抽出する。
【0104】
図6におけるIPフローEの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-3に設定し、当該IPフローEのIPデータをそのまま、IP出力3によりIP→TS変換部22-3に出力する。
【0105】
<IPフローF>
IPフロー送信制御部21は、IPフローFのIPデータを入力すると、ステップS405において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.95」と、設定データS1における設定番号6の設定アドレス「識別しない」「識別しない」とが一致すると判定する。
【0106】
そして、IPフロー送信制御部21は、ステップS408において、設定データS1から設定番号6の送信制御情報「IP出力5から出力」を抽出する。
【0107】
図6におけるIPフローFの矢印に示すように、IPフロー送信制御部21は、ステップS409において、出力先をIP→TS変換部22-5に設定し、当該IPフローFのIPデータをそのまま、IP出力5によりIP→TS変換部22-5に出力する。
【0108】
(IP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-N)
図7は、IP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nの処理及び設定データS2を説明する図である。
【0109】
IP→TS変換部22-nは、ユーザにより予め設定された設定データS2に含まれる当該IP→TS変換部22-nが出力するTSのレート(TSレート)を入力し、図示しないメモリに格納する。
【0110】
IP→TS変換部22-nは、IPフロー送信制御部21からIP出力nにより、IPデータを入力し、IPデータをTSに変換する。そして、IP→TS変換部22-nは、メモリに格納されたレートにて、TSをTS出力nにより対応するFPU送信機3-nへ出力する。これにより、TSは、ユーザにより予め設定された設定データS2のレートにて出力される。
【0111】
尚、ユーザは、IP→TS変換部22-nの入力するIPデータをTSに変換して出力し、FPU送信機3-nから送信可能となるようなレートを予め設定し、図示しないメモリに格納しておくものとする。また、IP→TS変換部22-nが入力するIPデータの量は、FPU送信機3-nにて送信可能なレート以下であることを前提とする。また、全てのIP→TS変換部22-nが入力するIPデータの合計量は、全てのFPU送信機3-nにて送信可能なレート以下で運用することを前提とする。
【0112】
また、設定データS2に含まれるレートは、N個のIP→TS変換部22-nに対応した値であるため、IP→TS変換部22-n間で異なる値とすることができる。つまり、IP→TS変換部22-nは、他のIP→TS変換部22-nとは異なるレートにて、TSを出力することができる。
【0113】
以上のように、IP/TS変換装置1に備えた送信処理部11によれば、IPフロー送信制御部21は、送信対象のIPデータを入力し、IPデータに含まれる宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスに基づいて、そのIPフローを識別する。そして、IPフロー送信制御部21は、ユーザにより予め設定された設定データS1から、識別されたIPフローに対応する送信制御情報を抽出し、送信制御情報に基づいて、1または複数の出力先の設定、IPデータの複製、IPデータの分割等の送信制御を行い、送信制御後のIPデータ(入力したIPデータまたはIPデータの一部)を、1または複数の出力先のIP→TS変換部22-nに出力する。
【0114】
IP→TS変換部22-nは、IPフロー送信制御部21から対応するIPデータを入力してTSに変換し、ユーザにより予め設定された設定データS2に含まれるレートにて、TSを対応するFPU送信機3-nへ出力する。
【0115】
これにより、ユーザにより予め設定された設定データS1に従い、IPフローの送信制御が行われ、ユーザにより予め設定された設定データS2のレートにて、TSが出力される。したがって、IP回線を用いた伝送システム10において、ユーザの設定に従い、IPデータからTSへの変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御することができる。
【0116】
例えば、ユーザは、IPフロー毎に、IPデータをTSに変換する際のTSを選択することができる(
図5に示した設定データS1の設定番号1,・・・,6、
図6に示したIPフローA,・・・,F)。また、ユーザは、IPフローを複製して複数のTSを出力するように設定することができる(
図5に示した設定データS1の設定番号3、
図6に示したIPフローC)。また、ユーザは、IPフローを分割して複数のTSを出力するように設定することができる(
図5に示した設定データS1の設定番号4、
図6に示したIPフローD)。
【0117】
尚、説明の便宜上、IP/TS変換装置1の送信処理部11に備えたIPフロー送信制御部21及びIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nについて説明したが、IP/TS変換装置2の送信処理部11に備えたIPフロー送信制御部21及びIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-Nについても同様である。
【0118】
〔受信処理部12〕
次に、
図2において、IP/TS変換装置1に対向するIP/TS変換装置2の受信処理部12に備えたTS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nについて説明する。
【0119】
(TS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N)
図8は、TS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-Nの処理及び設定データS3を説明する図である。
【0120】
TS→IP変換部31-nは、ユーザにより予め設定された設定データS3に含まれる当該TS→IP変換部31-nが入力するTSのレート(TSレート)を入力し、図示しないメモリに格納する。尚、設定データS3は、IP/TS変換装置1の送信処理部11における設定データS2に対応しており、TS→IP変換部31-nに格納されるレートとIP→TS変換部22-nに格納されるレートは同じである。
【0121】
TS→IP変換部31-nは、対応するFPU受信機5-nからTS入力nにより、メモリに格納されたレートにてTSを入力する。そして、TS→IP変換部31-nは、TSをIPデータ(変換IPデータ)に変換し、IPデータを、IP入力nにより対応するIPフロー受信制御部32-nに出力する。これにより、TSは、ユーザにより予め設定された設定データS3のレートにて入力される。
【0122】
尚、ユーザは、IP/TS変換装置2の受信処理部12に備えたTS→IP変換部31-nについて、IP/TS変換装置1の送信処理部11に備えたIP→TS変換部22-nに設定された設定データS2のレートと同じ値の設定データS3のレートを設定する必要がある。つまり、IP/TS変換装置1の送信処理部11に備えたIP→TS変換部22-nにて用いる送信側のレートと、IP/TS変換装置2の受信処理部12に備えたTS→IP変換部31-nにて用いる受信側のレートとが等しくなるように、設定データS2,S3がユーザにより予め設定される。
【0123】
また、設定データS3に含まれるレートは、N個のTS→IP変換部31-nに対応した値であるため、TS→IP変換部31-n間で異なる値とすることができる。つまり、TS→IP変換部31-nは、他のTS→IP変換部31-nとは異なるレートにて、TSを入力することができる。
【0124】
(IPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-N)
図2において、IPフロー受信制御部32-nは、対応するTS→IP変換部31-nからIP入力nにより、IPフローのIPデータを入力し、IPデータに含まれる宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別する。また、IPフロー受信制御部32-nは、他のIPフロー受信制御部32-n’から通知がある場合、当該通知を入力し、他のIPフロー受信制御部32-n”から他のIPデータがある場合、当該他のIPデータを入力する。
【0125】
このように、IPフロー受信制御部32-nは、他のIPフロー受信制御部32-n’との間で、双方向に通知を入出力することができ、他のIPフロー受信制御部32-n”との間で、双方向に他のIPデータを入出力することができる。
【0126】
IPフロー受信制御部32-nは、ユーザにより予め設定された設定データS4(S4-n)から、識別されたIPフローに対応する受信制御情報を抽出する。そして、IPフロー受信制御部32-nは、受信制御情報に基づいて、出力先(の識別子)の設定、通知の生成及び出力、IPデータの合成、IPデータの選択、IPデータの出力等の受信制御を行い、受信制御後のIPデータ及び通知を出力する。尚、設定データS4は、IP/TS変換装置1の送信処理部11における設定データS1に対応している。
【0127】
図9は、IPフロー受信制御部32-nの構成例を示すブロック図であり、
図10は、IPフロー受信制御部32-nの処理例を示すフローチャートである。このIPフロー受信制御部32-nは、メモリ51、入力部52、IPフロー識別部53及びIPフロー制御部54を備えている。
【0128】
メモリ51には、ユーザにより予め設定された設定データS4-nが格納されている。
図11は、設定データS4の例を示す図である。この設定データS4は、設定データS4-1,・・・,S4-5のそれぞれに対応するIP入力nにおいて、IPフロー毎に、設定番号、宛先IPアドレス、送信元IPアドレス及び受信制御情報からなる。
【0129】
設定データS4-1,・・・,S4-5は、対応するIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-5のメモリ51に予め格納されるデータである。
【0130】
設定番号、宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスは、
図5にて説明したとおりである。受信制御情報は、出力先の設定、通知の生成及び出力、IPデータの合成、IPデータの選択、IPデータの出力等の受信制御に関する情報である。受信制御情報には、通知の出力先である他のIPフロー受信制御部32-n’の識別子、IPデータの出力先である他のIPフロー受信制御部32-n”の識別子、IPデータを合成する際の合成対象のIPデータの入力元であるIPフロー受信制御部32-n”の識別子等が含まれる。
【0131】
IP入力1(n=1)における設定番号1のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.73」、送信元IPアドレス「192.168.0.93」、及び受信制御情報「IPフロー受信制御部32-4に出力」からなる。この受信制御情報は、出力先をIPフロー受信制御部32-4に設定し、当該IPフローのIPデータをそのままIPフロー受信制御部32-4に出力することを示している。
【0132】
IP入力1における設定番号2のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「識別しない」、送信元IPアドレス「識別しない」、及び受信制御情報「外部に出力」からなる。この受信制御情報は、出力先を外部に設定し、当該IPフローのIPデータをそのまま外部に出力することを示している。IP入力2(n=2)における設定番号2のIPフロー、IP入力3(n=3)における設定番号2のIPフロー、IP入力4(n=4)における設定番号2のIPフロー、及びIP入力5(n=5)における設定番号1のIPフローについても同様である。
【0133】
IP入力2(n=2)における設定番号1のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.45」、送信元IPアドレス「192.168.0.60」、及び受信制御情報「外部に出力/該当するIPアドレスのIPフローが存在しない場合は、IPフロー受信制御部32-3に通知」からなる。この受信制御情報は、当該IPフローのIPデータが存在する場合(入力した場合)、出力先を外部に設定し、当該IPフローのIPデータをそのまま外部に出力し、または、当該IPフローのIPデータが存在しない場合(入力しない場合)、出力先をIPフロー受信制御部32-3に設定し、当該IPフローが存在しないことを示す通知を生成し、当該通知をIPフロー受信制御部32-3に出力することを示している。
【0134】
IP入力3(n=3)における設定番号1のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.45」、送信元IPアドレス「192.168.0.60」、及び受信制御情報「外部に出力しない/ただし、IPフロー受信制御部32-2から通知(IP入力2に当該IPフローが存在しない)を入力した場合、外部に出力」からなる。この受信制御情報は、出力先を外部に設定し、IPフロー受信制御部32-2から通知(IP入力2に当該IPフローが存在しない)を入力した場合にのみ、当該IPフローのIPデータをそのまま外部に出力することを示している。
【0135】
尚、IP入力2(n=2)における設定番号1のIPフローの設定データ及びIP入力3(n=3)における設定番号1のIPフローの設定データは、2つのIPフローのうちいずれかを選択する場合を示しているが、3つ以上のうちいずれかを選択するようにしてもよい。
【0136】
IP入力4(n=4)における設定番号1のIPフローの設定データは、宛先IPアドレス「192.168.0.73」、送信元IPアドレス「192.168.0.93」、及び受信制御情報「IPフロー受信制御部32-1から入力したIPフローと合成して外部に出力」からなる。この受信制御情報は、出力先を外部に設定し、当該IPフローのIPデータとIPフロー受信制御部32-1から入力したIPフローのIPデータとを合成し、合成したIPデータを外部に出力することを示している。
【0137】
尚、IP入力4(n=4)における設定番号1のIPフローの設定データは、2つのIPフローを合成する場合を示しているが、3つ以上を合成するようにしてもよい。
【0138】
図11に示した設定データS4-1,・・・,S4-5(IP入力1,・・・,5)のそれぞれにおいて、設定番号1,2(設定データS4-5(IP入力5)の場合は設定番号1)のIPフローは、後述するIPフロー識別部53により、入力されたIPデータにおけるIPフローについて、設定番号1から順番に一致するか否かが判定され、1つの設定番号に対応する受信制御情報が抽出される。そして、後述するIPフロー制御部54により、抽出された受信制御情報に従った制御が行われる。
【0139】
図9及び
図10に戻って、入力部52は、TS→IP変換部31-nからIP入力nにより、IPフローのIPデータを入力し(ステップS1001)、IPデータをIPフロー識別部53に出力する。
【0140】
入力部52は、当該TS→IP変換部31-nとは異なる他のTS→IP変換部31-n’から通知の入力があるか否かを判定する(ステップS1002)。入力部52は、ステップS1002において、通知の入力があると判定した場合(ステップS1002:Y)、IPフロー受信制御部32-n’から通知を入力し(ステップS1003)、ステップS1004へ移行する。入力部52は、通知をIPフロー識別部53に出力する。一方、入力部52は、ステップS1002において、通知の入力がないと判定した場合(ステップS1002:N)、ステップS1004へ移行する。
【0141】
入力部52は、当該TS→IP変換部31-nとは異なる他のTS→IP変換部31-n”から他のIPデータの入力があるか否かを判定する(ステップS1004)。
【0142】
入力部52は、ステップS1004において、他のIPデータの入力があると判定した場合(ステップS1004:Y)、IPフロー受信制御部32-n”から他のIPデータを入力し(ステップS1005)、ステップS1006へ移行する。入力部52は、他のIPデータをIPフロー識別部53に出力する。一方、入力部52は、ステップS1004において、他のIPデータの入力がないと判定した場合(ステップS1004:N)、ステップS1006へ移行する。
【0143】
IPフロー識別部53は、入力部52からIPデータ(TS→IP変換部31-nからIP入力nにより入力したIPフローのIPデータ)、通知及び他のIPデータを入力する。そして、IPフロー識別部53は、IP入力nにより入力したIPフローのIPデータから、宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを抽出し、IPフローを識別する(ステップS1006)。IPデータから抽出された宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを入力アドレスとする。
【0144】
IPフロー識別部53は、番号mに1を設定する(ステップS1007)。そして、IPフロー識別部53は、メモリ51に格納された設定データS4-nから、IP入力nの設定番号がmの宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを抽出する(ステップS1008)。IP入力nにおける設定番号がmの設定データから抽出された宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを設定アドレスとする。
【0145】
IPフロー識別部53は、ステップS1006にてIPデータから抽出された入力アドレスと、ステップS1008にてIP入力nにおける設定番号がmの設定データから抽出された設定アドレスとを比較する(ステップS1009)。
【0146】
IPフロー識別部53は、ステップS1009において、入力アドレスと設定アドレスとが一致しないと判定した場合(ステップS1009:≠)、番号mと最大値(設定データS4-nに含まれる設定番号の最大値)とを比較する(ステップS1010)。
【0147】
IPフロー識別部53は、ステップS1010において、番号mと最大値とが一致しない、すなわち番号mが最大値よりも小さいと判定した場合(ステップS1010:≠)、番号mに1を加算し(ステップS1011)、ステップS1008へ移行する。これにより、ステップS1009において、入力アドレスと設定アドレスとが一致するまで、ステップS1009~S1011,S1008の処理が繰り返される。
【0148】
一方、IPフロー識別部53は、ステップS1010において、番号mと最大値とが一致すると判定した場合(ステップS1010:=)、当該処理を終了する。尚、設定データS4-1,・・・,4-4の設定番号2及び設定データS4-5の設定番号1の宛先IPアドレスは「識別しない」、送信元IPアドレスは「識別しない」であることから、n=1,・・・,4及びm=2の場合、またはn=5及びm=1の場合、どのような入力アドレスであったとしても、ステップS1009において入力アドレスと設定アドレスとが一致する。このため、ステップS1010において、番号mと最大値とが一致することはない。
【0149】
また、IPフロー識別部53は、ステップS1009において、入力アドレスと設定アドレスとが一致すると判定した場合(ステップS1009:=)、メモリ51に格納された設定データS4-nから、IP入力nの設定番号がmの受信制御情報を抽出する(ステップS1012)。
【0150】
IPフロー識別部53は、当該IPフローのIPデータ、通知、他のIPデータ及び受信制御情報をIPフロー制御部54に出力する
【0151】
IPフロー制御部54は、受信制御情報に基づいて、ステップS1001にて入力した当該IPフローのIPデータ、及びステップS1005にて入力した他のIPデータを処理し(IPデータの受信制御を行い)(ステップS1013)、当該処理を終了する。具体的には、IPフロー制御部54は、受信制御情報に基づいて、出力先の設定、通知の生成及び出力、IPデータの合成、IPデータの選択、IPデータの出力等の受信制御を行う。そして、IPフロー制御部54は、通知を他のIPフロー受信制御部32-n’に出力し、IPデータを他のIPフロー受信制御部32-n”に出力する。
【0152】
図12は、IPフロー受信制御部32-nによるIPフロー受信制御の例を説明する図である。
図12に示すIPフローA,B,・・・,Fは、
図6に示したIPフローA,B,・・・,Fと同様である。
【0153】
<IP入力1によるIPフローA>
IPフロー受信制御部32-1は、IPフローAのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.20」と、設定データS4-1における設定番号2の設定アドレス「識別しない」「識別しない」とが一致すると判定する。
【0154】
そして、IPフロー受信制御部32-1は、ステップS1013において、設定データS4-1から設定番号2の受信制御情報「外部に出力」を抽出する。
【0155】
図12におけるIP入力1によるIPフローAの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-1は、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフローAのIPデータをそのまま外部に出力する。
【0156】
<IP入力1によるIPフローD>
IPフロー受信制御部32-1は、IPフローDのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.73」「192.168.0.93」と、設定データS4-1における設定番号1の設定アドレス「192.168.0.73」「192.168.0.93」とが一致すると判定する。
【0157】
そして、IPフロー受信制御部32-1は、ステップS1012において、設定データS4-1から設定番号1の受信制御情報「IPフロー受信制御部32-4に出力」を抽出する。
【0158】
図12におけるIP入力1によるIPフローDの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-1は、出力先をIPフロー受信制御部32-4に設定し、当該IPフローDのIPデータをそのままIPフロー受信制御部32-4に出力する。
【0159】
<IP入力2によるIPフローB>
IPフロー受信制御部32-2は、IPフローBのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.10」「192.168.0.30」と、設定データS4-2における設定番号2の設定アドレス「識別しない」「識別しない」とが一致すると判定する。
【0160】
そして、IPフロー受信制御部32-2は、ステップS1012において、設定データS4-2から設定番号2の受信制御情報「外部に出力」を抽出する。
【0161】
図12におけるIP入力2によるIPフローBの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-2は、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフローBのIPデータをそのまま外部に出力する。
【0162】
<IP入力2によるIPフローC>
IPフロー受信制御部32-2は、IPフローCのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.60」と、設定データS4-2における設定番号1の設定アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.60」とが一致すると判定する。
【0163】
そして、IPフロー受信制御部32-2は、ステップS1012において、設定データS4-2から設定番号1の受信制御情報「外部に出力/該当するIPアドレスのIPフローが存在しない場合は、IPフロー受信制御部32-3に通知」を抽出する。
【0164】
図12におけるIP入力2によるIPフローCの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-2は、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフローCのIPデータをそのまま外部に出力する。
【0165】
尚、
図12の例では、IPフローCのIPデータはIPフロー受信制御部32-2に入力されている。このため、IPフロー受信制御部32-2は、IPフローCが存在しないことを示す通知をIPフロー受信制御部32-3に出力しない。
【0166】
<IP入力3によるIPフローC>
IPフロー受信制御部32-3は、IPフローCのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.60」と、設定データS4-3における設定番号1の設定アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.60」とが一致すると判定する。
【0167】
そして、IPフロー受信制御部32-3は、ステップS1012において、設定データS4-3から設定番号1の受信制御情報「外部に出力しない/ただし、IPフロー受信制御部32-2から通知(IP入力2に当該IPフローが存在しない)を入力した場合、外部に出力」を抽出する。
【0168】
図12におけるIP入力3によるIPフローCの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-3は、ステップS1002において、IPフロー受信制御部32-2から通知を入力していないため、ステップS1013において、出力先を設定せず、当該IPフローCのIPデータを外部に出力しない。
【0169】
尚、前述の<IP入力2によるIPフローC>及び<IP入力3によるIPフローC>は、送信側にてIPフローCが2つのIPフローCに複製され、受信側にて2つのIPフローCのうちいずれか一方を選択する場合を示している。
【0170】
以下、送信側にてIPフローCが3つのIPフローに複製され、受信側にて3つのIPフローCのうちいずれかを選択する場合について具体的に説明する。IPフロー受信制御部32-n,32-n’,32-n”のいずれかが、複製された3つのIPフローCのうちいずれかを出力するものとする。
【0171】
IPフロー受信制御部32-nは、前述のIPフロー受信制御部32-2と同様に、IPフローCを入力している場合(IP入力nにIPフローCが存在する場合)、当該IPフローCを外部に出力し、一方、IPフローCを入力していない場合(IP入力nにIPフローCが存在しない場合)、IPフローCが存在しないことを示す通知をIPフロー受信制御部32-n’に出力する。
【0172】
IPフロー受信制御部32-n’は、前述のIPフロー受信制御部32-3と同様に、IPフロー受信制御部32-nから通知を入力し、かつIPフローCを入力している場合(IP入力n’にIPフローCが存在する場合)、当該IPフローCを外部に出力し、一方、当該通知を入力しておらず、かつIPフローCを入力している場合、当該IPフローCを外部に出力しない。また、IPフロー受信制御部32-n’は、当該通知を入力し、かつIPフローCを入力していない場合(IP入力n’にIPフローCが存在しない場合)、IPフローCが存在しないことを示す通知をIPフロー受信制御部32-n”に出力する。
【0173】
IPフロー受信制御部32-n”は、前述のIPフロー受信制御部32-3と同様に、IPフロー受信制御部32-n’から通知を入力し、かつIPフローCを入力している場合(IP入力n”にIPフローCが存在する場合)、当該IPフローCを外部に出力し、一方、当該通知を入力しておらず、かつIPフローCを入力している場合、当該IPフローCを外部に出力しない。
【0174】
<IP入力3によるIPフローE>
図12に戻って、IPフロー受信制御部32-3は、IPフローEのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.70」「192.168.0.110」と、設定データS4-3における設定番号2の設定アドレス「識別しない」「識別しない」とが一致すると判定する。
【0175】
そして、IPフロー受信制御部32-3は、ステップS1012において、設定データS4-3から設定番号2の受信制御情報「外部に出力」を抽出する。
【0176】
図12におけるIP入力3によるIPフローEの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-3は、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフローEのIPデータをそのまま外部に出力する。
【0177】
<IP入力4によるIPフローD>
IPフロー受信制御部32-4は、IPフローDのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.73」「192.168.0.93」と、設定データS4-4における設定番号1の設定アドレス「192.168.0.73」「192.168.0.93」とが一致すると判定する。
【0178】
そして、IPフロー受信制御部32-4は、ステップS1012において、設定データS4-4から設定番号1の受信制御情報「IPフロー受信制御部32-1から入力したIPフローと合成して外部に出力」を抽出する。
【0179】
図12におけるIP入力4によるIPフローDの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-4は、ステップS1005において、IPフロー受信制御部32-1からIPフローDのIPデータを入力し、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフロー受信制御部32-4が入力したIPフローDのIPデータと、IPフロー受信制御部32-1から入力したIPフローDのIPデータとを合成し、合成した1つのIPフローDのIPデータを外部に出力する。
【0180】
<IP入力5によるIPフローF>
IPフロー受信制御部32-5は、IPフローFのIPデータを入力すると、ステップS1009において、当該IPデータの入力アドレス「192.168.0.45」「192.168.0.95」と、設定データS4-5における設定番号1の設定アドレス「識別しない」「識別しない」とが一致すると判定する。
【0181】
そして、IPフロー受信制御部32-5は、ステップS1012において、設定データS4-5から設定番号1の受信制御情報「外部に出力」を抽出する。
【0182】
図12におけるIP入力5によるIPフローFの矢印に示すように、IPフロー受信制御部32-5は、ステップS1013において、出力先を外部に設定し、当該IPフローFのIPデータをそのまま外部に出力する。
【0183】
以上のように、IP/TS変換装置2に備えた受信処理部12によれば、TS→IP変換部31-nは、対応するFPU受信機5-nから、ユーザにより予め設定された設定データS3に含まれるレートにてTSを入力する。そして、TS→IP変換部31-nは、TSをIPデータに変換する。
【0184】
IPフロー受信制御部32-nは、対応するTS→IP変換部31-nからIPデータを入力し、IPデータに含まれる宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスに基づいて、IPフローを識別する。そして、IPフロー受信制御部32-nは、ユーザにより予め設定された設定データS4-nから、識別されたIPフローに対応する受信制御情報を抽出し、受信制御情報に基づいて、出力先の設定、通知の生成及び出力、IPデータの合成、IPデータの選択、IPデータの出力等の受信制御を行い、受信制御後のIPデータ及び通知を出力する。
【0185】
これにより、ユーザにより予め設定された設定データS3のレートにて、TSが入力され、ユーザにより予め設定された設定データS4-nに従い、IPフローの受信制御が行われる。したがって、IP回線を用いた伝送システム10において、ユーザの設定に従い、TSからIPデータへの変換処理の際にIPフロー毎の伝送を制御することができる。
【0186】
例えば、ユーザは、同一のIPフローが複製されて複数のTSにて伝送された場合、複数のTSに対応する複数のIPフローから1つのIPフローを選択するように設定することができる(
図11に示した設定データS4-2の設定番号1及び設定データS4-3の設定番号1、
図12に示したIPフローC)。また、ユーザは、機器障害等により特定の回線が切断してIPフローが消失した場合、別の回線で伝送された同一のIPフローに切り替えて出力するように設定することができる。
【0187】
また、ユーザは、同一のIPフローが分割されて複数のTSにて伝送された場合、複数のTSに対応する複数のIPフローを合成するように、設定することができる(
図11に示した設定データS4-1の設定番号1及び設定データS4-4の設定番号1、
図12に示したIPフローD)。
【0188】
尚、説明の便宜上、IP/TS変換装置2の受信処理部12に備えたTS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nについて説明したが、IP/TS変換装置1の受信処理部12に備えたTS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nについても同様である。
【0189】
図1に示した伝送システム10において、ユーザは、IP/TS変換装置1,2のそれぞれについて、送信の伝送帯域及び受信の伝送帯域が異なるように、TSを出力する際のレートの設定データS2.1,S2.2及びTSを入力する際のレートの設定データS3.1,S3.2を設定することができる。例えばユーザは、IP/TS変換装置1における送信の伝送帯域を400Mbpsとし、受信の伝送帯域を150Mbpsとすることができる。
【0190】
また、
図1に示した伝送システム10において、使用するFPU送信機3-1,3-2,・・・,3-N,6-1,6-2,・・・6-N及びFPU受信機4-1,4-2,・・・,4-N,5-1,5-2,・・・5-Nにより遅延時間、伝送帯域及び伝送特性が異なる場合であったとしても、IPフロー毎に伝送を制御することができ、IPフロー毎に遅延時間及び冗長度を決めることができる。
【0191】
ここで、本発明を既存の装置を組み合わせて実現する場合を想定する。この場合、
図2に示した送信処理部11のIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-N及び受信処理部12のTS→IP変換部31-1,31-2,・・・31-Nの機能を実現するためには、既存のN×2台の変換装置が必要となり、既存の装置では機材量が多くなり、コストが上がってしまう。
【0192】
また、IPフロー送信制御部21及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-Nの代わりに、既存のネットワーク機器(L3スイッチ等)を使用するができるとも考えられる。ネットワーク機器は、IPフロー毎に出力先を設定することができるからである。しかし、ネットワーク機器は、IPフローを複製して伝送し、受信側で片方だけ出力したり、IPフローを複数に分割して伝送したりする等の機能を実現することが困難である。このため、本発明は、既存の装置を組み合わせることで実現できるものではない。
【0193】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0194】
前記実施形態では、
図1に示したように、IP/TS変換装置1,2は、全二重の双方向通信を行う伝送システム10に適用するようにしたが、半二重の双方向通信を行う伝送システムにも適用がある。また、IP/TS変換装置1,2は、片方向通信を行う伝送システムにも適用がある。この場合、送信側のIP/TS変換装置は、送信処理部11のみを備え、受信側のIP/TS変換装置は、受信処理部12のみを備える。
【0195】
また、前記実施形態では、
図1に示したように、TSを伝送する装置としてFPU送信機3,6及びFPU受信機4,5の具体例を挙げて説明したが、IP/TS変換装置1,2は、TSを伝送可能な装置であれば適用がある。本発明に用いる送受信機は、FPUのみを対象とするものではない。
【0196】
本発明の実施形態によるIP/TS変換装置1,2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。IP/TS変換装置1,2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。片方向通信を行うIP/TS変換装置についても同様である。
【0197】
IP/TS変換装置1,2に備えた送信処理部11(IPフロー送信制御部21及びIP→TS変換部22-1,22-2,・・・,22-N)及び受信処理部12(TS→IP変換部31-1,31-2,・・・,31-N及びIPフロー受信制御部32-1,32-2,・・・,32-N)の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0198】
また、片方向通信を行うIP/TS変換装置に備えた送信処理部11の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、片方向通信を行うIP/TS変換装置に備えた受信処理部12の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0199】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0200】
1,2,100,103,104,109,110,119,120,125 IP/TS変換装置
3,6,101,105,108,111,112,117,118,121,124 FPU送信機
4,5,102,106,107,113,114,115,116,122,123 FPU受信機
10 伝送システム
11 送信処理部
12 受信処理部
21 IPフロー送信制御部
22 IP→TS変換部
31 TS→IP変換部
32 IPフロー受信制御部
41,51 メモリ
42,52 入力部
43,53 IPフロー識別部
44,54 IPフロー制御部
S1,S2,S3,S4 設定データ