(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036924
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】変調器、変調システム、及び送信モジュール
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240311BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20240311BHJP
【FI】
G02F1/01 B
G02F1/01 C
H04B10/516
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141482
(22)【出願日】2022-09-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)/マルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)高性能化に向けた光源内蔵型光電コパッケージの研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】黒須 隆行
(72)【発明者】
【氏名】須田 悟史
【テーマコード(参考)】
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2K102AA09
2K102AA21
2K102AA28
2K102BA16
2K102BA26
2K102BB02
2K102BC04
2K102BC10
2K102BD02
2K102DA04
2K102DA07
2K102DB02
2K102DB04
2K102DC07
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA18
2K102EA21
2K102EB02
2K102EB04
2K102EB06
2K102EB08
2K102EB12
2K102EB16
2K102EB20
5K102AA15
5K102AB15
5K102AD01
5K102PH15
5K102PH49
(57)【要約】
【課題】光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現するための変調器、変調システム、及び送信モジュールを提供すること。
【解決手段】1又は複数のリング変調器を含む変調ユニットを複数有する変調器。変調器は、各リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路を有している。変調ユニットは、外部から入力される光を1又は複数のリング変調器へ導く振分導波路を有している。各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のリング変調器を含む変調ユニットを複数有すると共に、各リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を1又は複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている、変調器。
【請求項2】
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、
3波長以上の多波長光の増幅時における4光波混合に起因した干渉を避けるように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上の前記リング変調器を含むものである、請求項1に記載の変調器。
【請求項3】
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項1に記載の変調器。
【請求項4】
複数の前記変調ユニットのうちの1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項2に記載の変調器。
【請求項5】
複数の前記変調ユニットは、何れも、
3波長以上の多波長光の増幅時における4光波混合に起因した干渉を避けるように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上の前記リング変調器を含むものである、請求項1に記載の変調器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の変調器を複数有する、変調システム。
【請求項7】
複数の光源に対し直接的または間接的に接続され、入力される光を増幅する複数の増幅器と、
各増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する送信モジュール。
【請求項8】
複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
複数の前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する、送信モジュール。
【請求項9】
複数の光源と、
複数の前記光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
複数の前記光源は、
複数のグループに分けられており、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。
【請求項10】
主光源と予備光源とを含む複数の光源システムと、
複数の前記光源システムに接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
前記光源システムは、
一端が前記主光源に接続された第1導波路と、一端が前記予備光源に接続された第2導波路と、を有する選別部を有し、
前記選別部は、
前記第1導波路及び前記第2導波路に対し光学的に結合された切替部と、
前記第1導波路の他端に接続された監視部と、
前記切替部を制御する冗長処理部と、を有する、送信モジュール。
【請求項11】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源に接続され、カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上のリング変調器を含む変調ユニットを複数有すると共に、各リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
前記変調ユニットにおける3以上の前記リング変調器は、
3波長以上の多波長光の増幅時における4光波混合に起因した干渉を避けるように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整されている、送信モジュール。
【請求項12】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源と、
カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上のリング変調器を含む変調ユニットを複数有すると共に、各リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
複数の前記光源は、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いたデータ通信に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報処理装置の高速大容量化を進めるうえで、データの送受信に関わる帯域や消費電力が制限要因となり始めている。こうした実情を打開するため、同一基板上に電子回路とシリコンフォトニクスによる光回路とを配置し、光を用いてデータの送受信を行うコパッケージの技術開発が進められている。ここで、光回路は、シリコンや化合物半導体などにより形成された基板上に、光源としての半導体レーザ、光導波路、光変調器などの光学素子を集積した回路のことであり、電子回路の直近に配置される。電子回路は、データを表現した電気信号を光回路の光変調器に印加するよう構成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、外部から印加されるデータ信号を固有の周波数をもつ光信号に変換する複数の光電変換部を備えた送信装置が開示されている。送信装置は、各光電変換部から送信された周波数の異なる光信号を合波器により多重化して送出するようになっている。特許文献2には、1本の導波路に複数の異なる波長の光信号を多重化する技術が開示されている。特許文献2の半導体装置は、半導体レーザ素子からの出力光を合波器で合波し、多波長光を生成するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-98166号公報
【特許文献2】特開2015-195271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2のような従来の方式では、多重化前の複数の光信号の数、つまり各光信号それぞれに固有の周波数の数と同数の光源が必要となる。例えば、1つの半導体レーザで送信可能なデータ量の上限が100[GB/s]であると仮定する。すると、容量が10[TB/s]のコパッケージを構築するためには、100台の半導体レーザが必要となる。
【0006】
通信データの大容量化が進む昨今では、コパッケージに要求される容量も増加傾向にあり、従来の方式で容量の増大を図るならば、光源の増加は免れない。そうすると、光源の設置スペースを確保するために、デバイスのサイズが大きくなり、光源個々の故障や寿命に対する処置も必要となる。特に、内部光源方式のコパッケージは、高い動作温度の影響で半導体レーザの故障率が増加するため、信頼性の確保がさらに困難となる。したがって、光源数を増やさなくても通信データの大容量化に対応することができる技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現するための変調器、変調システム、及び送信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る変調器は、1又は複数のリング変調器を含む変調ユニットを複数有すると共に、各リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路を有し、変調ユニットは、外部から入力される光を1又は複数のリング変調器へ導く振分導波路を有し、各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。
【0009】
本発明の一態様に係る変調システムは、上記の変調器を複数有するものである。
本発明の一態様に係る送信モジュールは、複数の光源に対し直接的または間接的に接続され、入力される光を増幅する複数の増幅器と、各増幅器の後段に設けられた上記の変調システムと、を有するものである。
本発明の一態様に係る送信モジュールは、複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、複数の増幅器の後段に設けられた上記の変調システムと、を有するものである。
【0010】
本発明の一態様に係る送信モジュールは、複数の光源と、複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、増幅器の後段に設けられた上記の変調システムと、を有し、複数の光源は、複数のグループに分けられており、3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている。
【0011】
本発明の一態様に係る送信モジュールは、主光源と予備光源とを含む複数の光源システムと、複数の前記光源システムに接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、増幅器の後段に設けられた上記の変調システムと、を有し、光源システムは、一端が前記主光源に接続された第1導波路と、一端が予備光源に接続された第2導波路と、を有する選別部を有し、選別部は、第1導波路及び前記第2導波路に対し光学的に結合された切替部と、第1導波路の他端に接続された監視部と、切替部を制御する冗長処理部と、を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、1又は複数のリング共振器Rを含むリング変調器を複数有し、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。そのため、入力した複数の光(単一波長光あるいは多波長光)から所望の多波長光を生成し出力することができる。よって、これを組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図3】
図2の変調器の構成例として、8つの変調ユニットを有する変調器を例示した説明図である。
【
図4】
図3の変調ユニットの構成例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態1の変形例1Aに係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図6】マイクロリング変調器の伝達関数を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態1の変形例1Aに係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図8】本発明の実施の形態1の変形例1Bに係る光源システムを例示した構成図である。
【
図9】
図8の光源システムを用いた冗長処理方法に関する動作例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態2に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図12】
図11の変調器の構成例として、4つの変調ユニットを有する変調器を例示した説明図である。
【
図13】本発明の実施の形態3に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの一例を示す構成図である。
【
図14】SOAに入力される入力光と、SOAで発生する9本のFWM光の周波数配置を例示した説明図である。
【
図15】非干渉条件を満たす波長配置のうち、占有帯域の狭い例を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図15に示すパターンA~Cの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図17】
図15に示すパターンD及びEの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図18】
図15に示すパターンF及びGの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図19】本発明の実施の形態3に係る変調器60の構成を一般化した説明図である。
【
図20】非線形条件を満たすよう2つにグループ分けされた8つの波長各々に紐付く入力光のモードと、FWM光のモードとを示す説明図である。
【
図21】8波からなるWDM信号を生成する変調器の構成例を示す説明図である。
【
図22】連続する9波からなるWDM信号を生成する変調器の構成例を示す説明図である。
【
図23】周波数が等間隔な3波のレーザ光をSOAで増幅した時の結果を示すグラフである。
【
図24】
図20のグループXの波長配置をとる4波のレーザ光をSOAで増幅したときの結果を示すグラフである。
【
図25】
図20のグループYの波長配置をとる4波のレーザ光をSOAで増幅したときの結果を示すグラフである。
【
図26】3種類のレーザ光それぞれをSOAで増幅した時の出力光強度の時間変化を示す説明図である。
【
図27】本発明の実施の形態3に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図28】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(4✕2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図29】
図28の光源ユニットに光源を1台追加し、
図22に示す9波用のMUX変調器を含む構成を採った変調システム及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図30】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(3✕2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの一例を示す構成図である。
【
図31】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(3✕2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの他の例を示す構成図である。
【
図32】本発明の実施の形態4に係る送信モジュールを構成する外部光源基板を例示した構成図である。
【
図33】本発明の実施の形態4に係る送信モジュールを構成するコパッケージ基板を例示した構成図である。
【
図34】本発明の実施の形態4の変形例4Aに係る送信モジュールを構成する外部光源基板を例示した構成図である。
【
図35】
図34の構成に対応する従来の外部光源基板を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1~
図4を参照して、本発明の実施の形態1における変調器60、変調ユニット50、及び送信モジュール10の構成例について説明する。各図では、煩雑化を避けるため、符号の一部を省略することがある。後述する各図においても同様である。
【0015】
まず、
図1を参照して、本実施の形態1における送信モジュール10の全体的構成とその周辺機器について説明する。
図1に示すように、送信モジュール10は、複数の光源21を含む光源ユニット20と、複数の分波器31を含む分波器ユニット30と、複数の増幅器42を含む増幅処理ユニット40と、複数の変調器60を含む変調システム50と、を有している。
【0016】
本実施の形態1における光源21は、半導体レーザ(LD:Laser Diode)により構成される。そのため、
図1及び
図2では、光源21を示すブロックに「LD」と記載している。後述する各図においても同様である。光源ユニット20は、互いに異なる波長の光を出射する複数の光源21を有している。分波器31は、少なくとも1つの入力端子と2つの出力端子とを有している。本実施の形態1における増幅器42は、入力した光を増幅して出力する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)により構成される。
【0017】
本実施の形態1の送信モジュール10は、大容量化のために波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式を採っており、シリコンフォトニクスによる光集積回路である変調システム50が、電子回路200の近傍に配置されている。変調システム50の各変調器60は、光源21から発せられ、分波器ユニット30及び増幅処理ユニット40を通過した光に情報を乗せるための光変調器であり、データの光電変換(光/電子変換)を行う機能を有する。変調器60は、強度一定の入力光に対し、電気信号に対応する強度変調又は位相変調を加えることで、電気信号を光信号に変換するものである。
【0018】
より具体的に、変調器60は、1又は複数のリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有している。リング変調器Rは、光電変換を担う光素子であり、本実施の形態1では、リング変調器Rとして、小型かつ低消費電力という点からマイクロリング変調器(MRM:Micro-ring modulator)を採用している。変調器60において、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。
【0019】
また、変調器60は、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調システム50は、変調器60ごとに出力導波路62が対応づけられている。出力導波路62は、光ファイバ等の光伝送路Dに接続されている。変調器60から出力導波路62を介して出力される多波長信号光(WDM信号)は、光伝送路Dを通じて受信装置へ送信される。
【0020】
各リング変調器Rには、電子回路200により、送信用のデータを示す電気信号が印加される。電子回路200としては、スイッチIC(Switch Integrated Circuit)、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、LSI(大規模集積回路 / Large-Scale Integration)、SoC(Security Operation Center)などが想定される。
【0021】
次に、
図2を参照して、本実施の形態1に係る変調器60、変調システム50、及び送信モジュール10の具体例について説明する。なお、
図2では、電子回路200からの電気信号を示す破線矢印を1つの変調器60だけに伸ばしているが、電子回路200からの電気信号は、全ての変調器60に印加することができる。後述する各図についても同様である。本実施の形態1では、増幅器42として半導体光増幅器を想定しているため、
図2では、増幅器42を示すブロックに「SOA」と記載している。後述する各図においても同様である。
【0022】
図2に例示する変調システム50は、変調システム50Aと変調システム50Bとにより構成されている。変調システム50A及び50Bは、何れも、複数の変調ユニット70を含む変調器60をr台(rは任意の自然数)有している。したがって、変調システム50A及び50Bの双方からr本の出力導波路62が延びている。
【0023】
送信モジュール10は、複数の光源21の各々に分波器31が接続されており、複数の分波器31それぞれの後段に増幅ユニット41が配置されている。分波器31は、光源21から出力される光を2方向に分波する機能を有している。ここで、t個の入力端子とu個の出力端子とを有する分波器のことを(t✕u)分波器と称することにする。分波器31は、例えば、(1✕2)分波器又は(2✕2)分波器により構成される。分波器31の一方の出力端子は、変調システム50Aに対応づけられた増幅器42に接続され、他方の出力端子は、変調システム50Bに対応づけられた増幅器42に接続されている。
【0024】
各増幅ユニット41において、一方の増幅器42は、変調システム50Aに接続された振分器43に接続され、他方の増幅器42は、変調システム50Bに接続された分波器43に接続されている。振分器43は、(1✕r)分波器により構成されている。振分器43の各出力端子は、それぞれ、対応する変調ユニット70へ延びる入力導波路51に接続されている。振分器43からは、r本の入力導波路51が延びている。
【0025】
波長λK(K=1,2,…,M)の光を出力する光源21は、増幅器42等を介して、共鳴周波数が「c/λK」に設定されたリング共振器Rに対応づけられている。Mは光源21の数に相当する任意の自然数である。変調器60では、各変調ユニット70のそれぞれに入射した複数の異なる波長の光が各リング共振器Rを通過し、出力導波路62で多重化される。そして、変調器60からは、M種の波長(λ1,…,λM)を含む多波長光が出力される。ここで、変調器60から出力される多波長光の波長の数を波長多重数Nとする。本実施の形態1(本編)の送信モジュール10において、波長多重数Nは、光源21の数である光源数Mと同数である。すなわち、送信モジュール10では、2r本の、光源数Mと同数の波長を含むWDM信号(波長分割多重に基づく信号)が生成される。
【0026】
次に、
図3及び
図4を参照して、変調器60及び変調ユニット70の具体的な構成について説明する。
図3は、
図2の変調器60が8つの変調ユニット70を有する場合の構成例である。
図4は、
図3の変調ユニット70の構成例である。
【0027】
図3及び
図4に例示する変調ユニット70は、1つのリング変調器Rと、外部から入力される光をリング変調器Rへ導く振分導波路71と、リング変調器Rを通過した光を出力する共鳴導波路72と、を有している。振分導波路71は、入力導波路51の一部を構成するものである。共鳴導波路72は、出力導波路62の一部を構成するものである。リング変調器Rと、振分導波路71及び共鳴導波路72とは、光学的に結合されている。
【0028】
ところで、変調器60からの戻り光によって増幅器42が発振することを避けるには、入力導波路51の出射端(振分導波路71の出射端)は、低反射率であることが望ましい。そこで、
図3の挿入図(出射端の拡大図)に示すように、各入力導波路51は、出射端の部分が先細りとなるように、該部分に、例えば幅を徐々に狭くする等の加工を施し、出射端からの放射率を高めてもよい。すなわち、各入力導波路51は、出射端の構造変更により、固有モードから放射モードへの変換効率の向上を図るようにしてもよい。また、各入力導波路51は、出射端に回折格子を形成し、又は出射端に光の吸収材を配設する等により、変調器60からの戻り光による増幅器42の発振を抑制するようにしてもよい。
【0029】
変調ユニット70は、1つのリング変調器Rをもつ構成の場合、
図4に示すように、振分導波路71の一端部にリング変調器Rの入射ポートであるポート1が配置され、振分導波路71の他端部にリング変調器Rのスルーポートであるポート2が配置される。また、変調ユニット70は、共鳴導波路72の一端部にリング変調器Rのドロップポートであるポート3が配置され、共鳴導波路72の他端部にリング変調器Rのアドポートであるポート4が配置される。
【0030】
ポート1から入射したレーザ光は、その周波数がリング変調器Rの共鳴周波数と等しくなければポート2から出射され、等しければポート3から出射される。リング変調器Rの共鳴周波数は、周囲温度とバイアス電圧によって調整することができる。すなわち、各リング変調器Rの共鳴周波数は、温度制御及び電圧制御のうちの少なくとも一方により調整することができる。
【0031】
以上のように、本実施の形態1の変調器60は、1つのリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有すると共に、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調ユニット70は、外部から入力される光をリング変調器Rへ導く振分導波路71を有している。そして、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。したがって、変調器60は、入力した複数の光から所望の多波長光を生成し出力することができる。そのため、変調器60を組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。
【0032】
ここで、
図1及び
図2では、送信モジュール10が複数の分波器31(分波器ユニット30)を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、光源21と増幅器42とが1対1で直接接続され、送信モジュール10が変調システム50A及び変調システム50Bのうちの何れか一方を有するように構成すれば、送信モジュール10は、複数の分波器31を設けずに構成することができる。また、送信モジュール10は、複数の光源21を含めずに構成してもよい。
【0033】
すなわち、送信モジュール10は、複数の光源21に対し直接的に、あるいは分波器31を介して接続された複数の増幅器42と、上記の変調器60を複数有し、各増幅器42の後段に、変調器60の数と同数の出力端子をもつ振分器43を介して接続された変調システム50と、を有している。したがって、各光源21から出射される光を増幅して各変調器60へ導くことができるため、安定した複数のWDM信号を生成し出力することができる。送信モジュール10は、増幅器42の前段に配置され、互いに異なる波長の光を出射する複数の光源21を有していてもよい。この場合、光源数Mは、波長多重数Nと同数に抑えることができる。つまり、製品寿命のボトルネックとなる光源21の数を増やさずに、複数の多波長光を生成することができる。
【0034】
ところで、コパッケージの光源方式には、外部光源方式と内部光源方式とがある。外部光源方式では、偏波保持ファイバ(PMF : Polarization Maintaining Fiber)を用いてレーザ光を基板に導入しなければならないが、偏波保持ファイバは高価なため、光通信ではほとんど普及していないのが実情である。そして、装置の組立てや動作検証の容易さなどを考慮すると、全部品が単一基板上に配置される内部光源方式の実現に高い期待が寄せられている。
【0035】
ただし、内部光源方式のコパッケージは、実装部品の動作による温度上昇の影響で、半導体レーザ(LD)の故障率が増加するため、波長多重数と同程度の半導体レーザを用いる構成で高い信頼性を確保するのは難しい。繰り返しになるが、1つの半導体レーザで送信可能なデータ量の上限を100[GB/s]と仮定すると、容量が10[TB/s]のコパッケージを構築するためには100台の半導体レーザが必要となり、このことは、製品の故障率が100倍になることを意味する。具体的に、100台の半導体レーザを内部光源方式のコパッケージに搭載した場合、そのコパッケージの寿命は、2年~3年程度と見積もられ、製品としての信頼性を欠くことになる。
【0036】
この点、本実施の形態1における送信モジュール10は、複数の変調器60を組み合わせた変調システム50を有すると共に、その前段に増幅器42が配設されていることから、使用する光源21の個数低減を実現することができる。そのため、送信モジュール10は、内部光源方式のコパッケージとして構成しても、故障率の低減と長寿命化を図ることができる。さらに、送信モジュール10は、増幅器42の採用により、各光源21の低出力動作の実現も可能となるため、さらなる故障率の低減と長寿命化を図ることができる。
【0037】
<変形例1A>
図5~
図7と共に
図4を参照して、本実施の形態1の変形例1Aに係る送信モジュール10、変調器60、及び変調ユニット70について説明する。前述の本編と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。本変形例1Aの送信モジュール10は、レーザ光に外部変調を施してモード数を2倍に増やすことで、波長多重数N(但しNは偶数)の半数(N/2)の光源21により、波長多重数Nの多波長光を生成し出力することができる。
【0038】
図5に示すように、本変形例1Aの光源ユニット20は、複数の光源21の各々に対応づけた複数の強度変調器22を有している。各強度変調器22は、それぞれ、光源21から出力された波長λ
K(K=1,2,…,M:Mは光源数)の光から、新たな2波長(λ
K
(+),λ
K
(-))の光を合成するよう構成されている。なお、強度変調器22は、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)を行うように構成されているため、
図5及び
図6では、強度変調器22を示すブロックに「AM」と記載している。強度変調器22は、例えばマイクロリング変調器により構成することができる。
【0039】
図6は、マイクロリング変調器の伝達関数を示す説明図である。
図6では、横軸に、レーザ光の周波数をとり、縦軸に、
図4にも例示したポート2からの出力光の強度をとっている。出力が最小になる点を動作点に選び、周波数がΩの正弦波でマイクロリング変調器を駆動すると、周波数が2Ωの強度変調光が出力される。このことは、波長がλ
Kのレーザ光から、2Ωの周波数差を持つ新たな2波長(λ
K
(+),λ
K
(-))の光が合成されることに対応している。なお、本変形例1Aでは、周波数間隔が広くとれるという利点を踏まえ、変調の手法として強度変調を採用している。
【0040】
図7に例示する送信モジュール10では、各強度変調器22が、それぞれ、光源21からの出射光に基づく2波長光を生成し、例えば(1✕2)分波器からなる分波器31に出力される。分波器31で2方向に分岐された2波長光は、それぞれ、増幅器42で増幅された後、(1✕r)分波器からなる振分器43でr本に分岐され、それぞれが対応づけられた変調器60の変調ユニット70へ導かれる。各変調器60では、光源数Mと同数の振分器43の各々から出力される2波長光が、各振分器43に対応づけられた変調ユニット70に導かれ、そこで変調が施されると共に、各変調ユニット70の2つのリング共振器Rを通過した光が出力導波路62において合波される。これにより、送信モジュール10では、2r本の、光源数Mの2倍の波長を含むWDM信号が生成され出力される。他の構成及び代替構成は、前述の本編と同様である。
【0041】
以上のように、本変形例1Aの変調器60は、2つのリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有すると共に、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調ユニット70は、外部から入力される光をリング変調器Rへ導く振分導波路71を有している。そして、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。したがって、変調器60は、入力した複数の光から所望の多波長光を生成し出力することができる。そのため、変調器60を組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。
【0042】
また、本変形例1Aの送信モジュール10は、光源21の後段に設けられた強度変調器22が、光源21から出射される単一波長光から2波長光を合成するよう構成されている。よって、使用する光源21の数を波長多重数の半分に減らすことができるため、さらに故障率を低下させ、製品の長寿命化を図ることができる。なお、強度変調器22としては、マッハツェンダ干渉計や電解吸収変調器(EA変調器)などを採用することもできる。ただし、小型かつ低消費電力という点では、マイクロリング変調器の方が優れている。他の効果等は前述の本編と同様である。
【0043】
<変形例1B>
図8と共に
図2及び
図7を参照して、本実施の形態1の変形例1Bに係る送信モジュール10の付加的構成について説明する。上述の本編及び変形例1Aと同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。本変形例1Bの送信モジュール10は、光源に冗長構成を採用している。すなわち、本変形例1Bにおける送信モジュール10は、単体の光源21の代わりに、2つの光源21を含む光源システム121が搭載されている。
【0044】
図8は、
図2に示す1つの光源21(波長λ
1の光を出射するもの)に対応づけて例示した光源システム121である。光源システム121は、主光源として機能する光源21aと、予備光源として機能する光源21bと、セレクターとして機能する選別部22と、を有している。本変形例1Bにおける選別部22は、2つの入出力導波路を持つリング共振器を有している。
【0045】
より具体的に、選別部22は、一端が光源21aに接続された第1導波路23aと、一端が光源21bに接続された第2導波路23bと、を有している。また、選別部22は、第1導波路23a及び第2導波路23bに対し光学的に結合された切替部24と、第1導波路23aの他端に接続された監視部25と、切替部24を制御する冗長処理部26と、を有している。
【0046】
本変形例1Bにおいて、切替部24は、マイクロリング共振器により構成されている。また、監視部25は、フォトダイオード(PD:Photodiode)により構成されているため、
図8の監視部25を示すブロックには「PD」と記載している。監視部25は、光源21aの出力を常時監視すると共に、光源21aの出力を示す監視データを冗長処理部26へ送信する。冗長処理部26は、監視部25から送信される監視データをもとに、切替部24の共鳴周波数を調整する。第2導波路23bの他端は、後段の分波器31に接続されている。
【0047】
図2のような本編の送信モジュール10に本変形例1Bの構成を適用する場合、全ての光源21の代わりに、
図8に例示するような光源システム121を実装するとよい。本変形例1Bの構成は、変形例1Aの構成にも適用することができ、この場合、
図7のような変形例1Aの送信モジュール10の、全ての光源21の代わりに、
図8に例示するような光源システム121を実装するとよい。
【0048】
通常動作時において、冗長処理部26は、第1導波路23aに接続された光源21aだけをオンにし、光源21bはオフにする。そして、冗長処理部26は、切替部24の共鳴周波数を光源21aの発振周波数に同調させ、光源21aの出力が切替部24を介して分波器31に導かれるようにする。
【0049】
冗長処理部26は、監視部25からの監視データを逐次取得し、取得した監視データに基づいて光源21aの異常を検知する。冗長処理部26は、光源21aの異常を検知すると、光源21aの出力をオフにし、光源21bの出力をオンにする。その際、冗長処理部26は、切替部24の共鳴周波数を光源21bの発信周波数からずらし、光源21bの出力が分波器31に導かれるようにする。
【0050】
冗長処理部26は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの記憶装置と、を含むマイコンなどにより構成される。すなわち、冗長処理部26は、CPUなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記又は下記の各種機能を実現させる冗長処理プログラム(冗長処理部26の動作プログラム)とにより構成することができる。
【0051】
ところで、
図8では、冗長処理部26が光源システム121ごとに設けられる例を示したが、これに限定されない。冗長処理部26は、送信モジュール10が有する複数の光源システム121を統轄的に制御するよう構成してもよい。例えば、
図2又は
図7のような構成の送信モジュール10においては、変調システム50Aの統括制御用の冗長処理部26と、変調システム50Bの統括制御用の冗長処理部26とが設けられてもよく、システム全体を統括制御する1つの冗長処理部26が設けられてもよい。他の構成及び代替構成は、上述した本編及び変形例1Aと同様である。
【0052】
続いて、
図9のフローチャートに基づき、本変形例1Bの冗長処理方法に係る冗長処理部26の動作例について説明する。電源がオンされる等により、送信モジュール10が起動すると、冗長処理部26は、主光源である光源21aの出力をオンにする(ステップS101)。
【0053】
次いで、冗長処理部26は、監視部25から送信される監視データを逐次取得し(ステップS102)、取得した監視データに基づき、光源21aに異常が発生しているか否かを判定する。例えば、監視データの正常範囲の情報を記憶装置等に格納しておき、監視データが正常範囲外に出ることを光源21aの異常発生に紐付けてもよい。もっとも、外的要因による誤判定を避けるべく、正常範囲外のデータ連続数やデータ継続時間の下限閾値などを設けることにより、突発的かつ一時的なデータ変動が異常検知に影響しないようにしてもよい。また、光源の異常時における監視データの変動傾向を示す異常傾向情報を記憶装置等に格納しておき、冗長処理部26が、経時的に取得する監視データと異常傾向情報とを比較することにより、当該判定を行うようにしてもよい。冗長処理部26は、機械学習に基づく推定モデルを用いて当該判定を行うようにしてもよい(ステップS103)。
【0054】
冗長処理部26は、光源21aに異常が発生していると判定するまで、逐次取得する監視データの分析を継続する(ステップS102、ステップS103/No)。冗長処理部26は、光源21aに異常が発生していると判定すると(ステップS103/Yes)、主光源である光源21aの出力をオフにし、予備光源である光源21bの出力をオンにする(ステップS104)。併せて、冗長処理部26は、予備光源である光源21bの出力を後段へ導くよう、切替部24の共鳴周波数を調整する。すなわち、冗長処理部26は、切替部24の共鳴周波数が、光源21bの発信周波数とは異なる周波数となるように調整し、光源21bから出射される光が切替部24へ流れ込まないようにする(ステップS105)。もっとも、冗長処理部26は、ステップS104の処理とステップS105の処理とを並行処理で行ってもよく、これらの処理の順序を入れ替えて実行してもよい。
【0055】
以上のように、本変形例1Bにおける送信モジュール10は、通常時に使用される主光源(光源21a)と、主光源の予備として設けられる予備光源(光源21b)と、を含む光源システム121を有している。光源システム121は、主光源の出力を示す監視データを送信する監視部25と、主光源と予備光源とを切り替えるための切替部24と、を有している。また、光源システム121は、監視部25から送信される監視データから主光源の異常を検知したとき、主光源と予備光源との切替処理を行う冗長処理部26を有している。よって、主光源に異常が発生した場合でも、予備光源によって光の出射を継続することができるため、製品寿命のボトルネックとなる光源の冗長化を実現することができる。したがって、本変形例1Bにおける光源システム121によれば、製品寿命をさらに伸ばすことができる。
【0056】
ところで、本変形例1Bでは、切替部24としてマイクロリング変調器を例示したが、これに限定されない。切替部24としては、マッハツェンダ(Mach-Zender)型干渉器を利用した変調器であるマッハツェンダ変調器など、他の変調器を用いることもできる。ただし、小型化及び低コスト化の観点から、切替部24としては、マイクロリング変調器の方が優れている。送信モジュール10は、本変形例1Bの構成と変形例1Aの構成とを組み合わせて構成することができる。他の効果等は、上述した本編及び変形例1Aと同様である。
【0057】
実施の形態2.
図10~
図12を参照して、本発明の実施の形態2における送信モジュール110、変調器60、及び変調ユニット70について説明する。実施の形態1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略又は簡略化する。
【0058】
まず、
図10を参照して、本実施の形態2における送信モジュール110の全体的構成とその周辺機器について説明する。
図10に示すように、送信モジュール110は、複数の光源21を含む光源ユニット120と、複数の分波器31を含む分波器ユニット30と、複数の増幅器42を含む増幅処理ユニット40と、複数の変調器60を含む変調システム50と、を有している。
【0059】
本実施の形態2の光源ユニット120は、互いに異なる波長の光を出射する複数の光源21を有すると共に、光源21が2台ずつグループ化されている。そして、グループ化された2台の光源21は、共通の分波器31に接続されている。2台の光源21を組み合わせたものを光源グループGと称する。本実施の形態2における変調器60は、2つのリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有している。すなわち、変調ユニット70におけるリング変調器Rの数は、光源グループGを構成する光源21の数と同数となるよう構成されている。
【0060】
次に、
図11を参照して、本実施の形態2に係る変調器60、変調システム50、及び送信モジュール110の具体例について説明する。送信モジュール110は、各光源グループGを構成する2台の光源21が、それぞれ、(2✕2)分波器からなる分波器31に接続されている。分波器31は、2台の光源21の各々から出力される光を合波すると共に2方向に分波する機能を有し、分波器31の2つの出力端子は、それぞれ、異なる増幅器42に接続されている。各増幅器42は、例えば(1✕r)分波器からなる振分器43に接続されている。振分器43の各出力端子は、それぞれ、対応する変調ユニット70へ延びる入力導波路51に接続されている。
【0061】
各光源グループGについて、ある光源グループG内の波長λKの光源21及び波長λK+1の光源21は、該光源グループGに紐付く変調ユニット70内の2つのリング共振器Rに対応づけられている。したがって、各変調器60では、各変調ユニット70のそれぞれに入射した波長λKの光と波長λK+1の光とが2つのリング共振器Rを通過し、出力導波路62で多重化され、M種の波長(λ1,…,λM)を含む多波長光が出力される。本実施の形態2の送信モジュール110では、波長多重数Nと光源数Mとが等しくなる。すなわち、送信モジュール110では、2r本の、光源数Mと同数の波長を含むWDM信号が生成される。
【0062】
次に、
図12を参照して、変調器60及び変調ユニット70の具体例について説明する。
図12は、
図11の変調器60が4つの変調ユニット70を有する場合の構成例である。
図12に例示する変調ユニット70は、2つのリング変調器Rと、外部から入力される光を各リング変調器Rへ導く振分導波路71と、各リング変調器Rを通過した光を出力する共鳴導波路72と、を有している。各入力導波路51(各振分導波路71)は、
図3を用いた説明と同様、出射端の構造変更により、固有モードから放射モードへの変換効率の向上を図るようにしてもよい(挿入図参照)。また、各入力導波路51は、変調器60からの戻り光による増幅器42の発振を抑制するため、出射端に回折格子を形成してもよく、出射端に光の吸収材を配設してもよい。他の構成及び代替構成については、上述した実施の形態1と同様である。
【0063】
以上のように、本実施の形態2の変調器60は、2つのリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有すると共に、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調ユニット70は、外部から入力される光をリング変調器Rへ導く振分導波路71を有している。そして、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。したがって、変調器60は、入力した複数の光から所望の多波長光を生成し出力することができる。そのため、変調器60を組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。他の効果等は、上述した実施の形態1と同様であり、本実施の形態2の構成にも、変形例1A及び変形例1Bの構成を適用することができる。ただし、変形例1Aの構成を適用する場合は、後述する4光波混合の発生に留意する必要がある。
【0064】
実施の形態3.
図13~
図32を参照して、本発明の実施の形態3における送信モジュール210ついて説明する。本実施の形態3における送信モジュール210は、変調器60を構成する変調ユニット70のうちの少なくとも1つが3以上のリング変調器Rを含んでいる点に特徴がある。実施の形態1及び2と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略又は簡略化する。
【0065】
例えば、波長多重数Nが8の多波長光(8波長光)を複数生成する場合、
図13のような構成が考えられる。
図13に例示する送信モジュール210は、複数の光源21を含む光源ユニット20と、複数の分波器31を含む分波器ユニット130と、複数の増幅器42を含む増幅処理ユニット140と、複数の変調器60を含む変調システム50と、を有している。
【0066】
分波器ユニット130は、(2✕2)分波器からなる分波器31がカスケード接続(多段接続)された構成を採っている。例えば、波長多重数Nを、2のべき乗で、すなわちN=2R(Rは2以上の整数)のように表せる3以上の整数に設定した場合、分波器ユニット130は、分波器31をR段カスケードした構成を採ることができる。なお、Rは、波長多重数Nを2のべき乗で表したときの指数である。かかる構成の分波器ユニット130によれば、複数の光源21から出射されるN本のレーザ光を無駄なく同じ比率で混合することができる。
【0067】
つまり、
図13は、波長多重数Nが8(R=3)の場合における、増幅器42を用いたコパッケージの基本構成を例示したものである。
図13に例示する送信モジュール210は、波長多重数Nと同数の光源21及び増幅器42を有している。より具体的に、送信モジュール210は、出射する光の波長が相互に異なる8個の光源21と、3段カスケードされた複数の分波器31を含む分波器ユニット130と、8台の増幅器42を含む増幅処理ユニット140と、を有している。
【0068】
図13では、分波器ユニット130の各分波器31について、3段カスケードの第1段目を分波器31aとし、第2段目を分波器31bとし、第3段目を分波器31cとしている。各分波器31aは、それぞれ、2つの入力端子が異なる光源21に接続されている。各分波器31aは、それぞれ、光源21から出射された異なる波長の光を合波し、生成した2波長光を異なる分波器31bへ出力するよう構成されている。各分波器31bは、それぞれ、2つの分波器31aから出力される異なる2波長光を合波し、生成した4波長光を異なる分波器31cへ出力するよう構成されている。分波器31cは、異なる4波長光が入力されるように、2つの分波器31bが接続されている。かかる構成により、分波器ユニット130は、8本の8波長光を生成することができる。
【0069】
各分波器31cの2つの出力端子は、それぞれ、異なる増幅器42に接続されている。そして、
図13の例では、各増幅器42が、(1✕2)分波器からなる振分器43に接続されており、各振分器43は、複数の変調器60の組み合わせからなる変調システム50に接続されている。すなわち、分波器ユニット130から出力される8本の多波長光は、それぞれ、増幅器42で増幅された後、2本に分岐され、変調システム50を構成する各変調器60に導かれる。
【0070】
複数の変調器60の各々の導波路には、8つのリング共振器Rが設けられており、i番目(iは8以下の任意の自然数)のリング共振器Rは、i番目の光源21の出力にだけ強度変調が加わるように共鳴周波数が設定されている。つまり、光源ユニット20を構成する複数の光源21と、各変調器60それぞれの複数のリング共振器Rとは、1対1で対応づけられている。信号の変調フォーマットに「112Gbit/s-PAM4」用いた場合、8台の光源21だけで14.336TB/s(112 Gbit/s×8波×16本=14.336TB/s)の容量を持つWDM信号を生成することができる。増幅器42からの出力の分岐数を増やせば、つまり振分器43として(1✕z)分波器(zは3以上の整数)を採用すれば、容量をさらに増やすことができる。
【0071】
図13では、分波器ユニット130と振分器43との間に増幅器42が設けられた構成例を示しているが、増幅器42の数及び配置は、この例に限定されない。例えば、変調システム50の損失が大きく、十分な信号光強度が得られない場合は、振分器43の直前ではなく直後に増幅器42を配置し、変調システム50の各導波路で入力光を増幅してもよい。また、合波に用いる分波器31(31a~31c)の損失が大きい場合は、その前又は後(例えば位置P又は位置Q)に増幅器42を配置して損失を補償してもよい。このようにすれば、光源21を高出力動作させる必要がなくなるため、製品寿命を延ばす上で有利になる。もっとも、増幅器42は、振分器43の直前又は直後に設けると共に、位置P又は位置Qに設けてもよい。すなわち、送信モジュール210は、各構成部材の損失などに応じた好適な位置に、必要な数の増幅器42を設けて構成してもよい。
【0072】
次に、
図14~
図26をもとに、本実施の形態3の一態様に係る送信モジュール210の特徴点について説明する。半導体光増幅器(SOA)は、光強度が高くなると非線形光学効果が発生するという問題を抱えている。特に、3以上の波長を含む多波長光をSOAで一括増幅すると、複数の4光波混合(FWM:Four-wave mixing)プロセスが進行し、出力が不安定あるいは高雑音になることが多い。したがって、
図13のように、3以上の波長を含む多波長光を増幅器42で増幅する構成の場合は、4光波混合による干渉が発生しないよう、光源21を低出力で動作させる必要がある。したがって、光源21の出力を補填し、電子回路200からの電気信号を良好に伝達するためには、
図13の例よりも多くの増幅器42を各所に配置する必要が生じ得る。
【0073】
ただし、FWMの影響を抑える方策が取られていれば、増幅器42を最大出力で動作させても問題は生じない。その方策について述べる前に、まず複数のレーザ光をSOAで一括増幅した場合に出力が不安定あるいは高雑音になる理由について述べる。ここでは、周波数間隔の等しい3波のレーザ光(3波長光)を増幅する場合を例にとり説明する。
【0074】
SOAに入射する3波のレーザ光の周波数を、それぞれν1、ν2、ν3とすると、縮退4光波混合(縮退FWM)及び非縮退4光波混合(非縮退FWM)と呼ばれるプロセスによって、次の2つの式で与えられる周波数に新しい光が発生する。
【0075】
(数1)
縮退FWM : ν'=2νi-νj (i,j=1,2,3) …(1)
【0076】
(数2)
非縮退FWM : ν”=2νi+νj-νk (i,j,k=1,2,3) …(2)
【0077】
図14に、SOAに入力される入力光と、SOAで発生する9本のFWM光の周波数配置を示す。すなわち、式(1)で示される縮退FWMが6本発生し、式(2)で示される非縮退FWMが3本発生する。
図14では、入力光を太い実線で示し、FWM光を破線矢印で示している。
【0078】
図14から分かるように、FWM光のうちの幾つかは、入力光と周波数が一致し、周波数が一致する入力光とFWM光との間で干渉が起きる。なお、
図14では、ν
2が本来の値(ν
1とν
3との平均値)よりも僅かに低いケースを例示することで、本来的には重なる2つの光(入力光とFWM光もしくはFWM光同士)の位置が若干ずれるようにし、見やすくしている。
【0079】
ここで、入力光がモード同期レーザ等のいわゆる周波数コム光源の出力であれば、モード間の位相は確定しているため、FWM光の位相も確定し、大きな問題は生じない。しかしながら、独立した3台の光源21からのレーザ光を用いる場合、レーザ光の間の位相は確定していないため、FWM光の位相はランダムに揺らぐ。そのように発生したFWM光が、増幅器42で増幅された入射光と干渉すると、激しい強度変動(ビート)が生み出される。強度変動の大きさは、レーザ光の強度の2乗に比例して増加する。通常はSOAを低出力で動作させることにより強度変動を抑えているが、それでは、必ずしも十分な出力を得られるとは限らない。
【0080】
そこで、本実施の形態3の一態様では、複数の半導体レーザと複数のSOAを用いたシステム構成の送信モジュール210を、下記3つのルールに基づいて構成することにした。これにより、FWMの影響を受けることなく、安定したWDM信号を生成することができる。
【0081】
・ルール1:光源ユニット20を構成する複数の光源21(半導体レーザ)を波長に基づく複数のグループに分割し、各グループにより生成される1又は複数の多波長光を独立したSOAで増幅する。
・ルール2:各グループでは、SOAで発生するFWM光が入力光と重ならないような波長配置を選ぶ。
・ルール3:合分波機能を備えた変調器60を用いて、複数のグループに対し変調と合波(MUX)を同時に行う。
【0082】
ここで、合分波機能とは、入力される複数の多波長光に変調を施して合波しつつFWM成分を除去する機能のことである。各グループは、それぞれ、変調器60内の変調ユニット70に対応づけられている。グループに含まれる1又は複数の光源21によって生成可能な波長の数を要素数とすると、要素数は、該グループに対応する変調ユニット70のリング変調器Rの数に相当する。また、分波器ユニット130から出力される多波長光の波長数は、該多波長光に対応するグループの要素数に相当する。そこで、グループの数をnとし、各グループをG1~Gnの符号により区別して、分波器ユニット130から出力される多波長光における波長の組み合わせを、グループG1~Gnに対応づけて、第1波長群~第n波長群とも表記する。また、グループG1~Gnのそれぞれに対応する各変調ユニット70を、第1MRM群~第nMRM群とも表記する。以下、各ルールについて具体的に説明する。
【0083】
<ルール1について>
波長多重数Nに対し、グループの数をn、第i波長群の要素数(グループの要素数)をm
iとすると、「N=m
1+m
2+ … +m
n」との関係が成立する。nとm
iとは、何れも自然数である。ただし、後述する
図31の構成のように、複数のグループ間で光源21を共有する場合は、共有される光源21の数を調整値として減算する(N=m
1+m
2+ … +m
n-調整値)。
図31の例では、調整値は4(2+2)となる(N=3+3+3+3-(2+2)=6)。
【0084】
<ルール2について>
半導体レーザである光源21の周波数は、次式で与えられる周波数間隔fのWDMグリッド上に載っているものとする。つまり、光源ユニット120を構成する各光源21は、式(3)を満たす周波数νmの光を発振するように調整する。
【0085】
(数3)
νm=ν0+m・f(m:整数) …(3)
【0086】
式(3)において、ν0は、予め設定される基準周波数である。光速をcとすると、波長λm は、周波数νm から次式で与えられる。
【0087】
(数4)
λm=c/νm …(4)
【0088】
ここで、FWM光が入力光と重ならない波長配置の具体例を、グループの要素数に対応づけて説明する。
【0089】
〔要素数が1の場合〕
要素数が1の場合、つまりSOAに単一波長光が入射される構成の場合、光源21は、WDMグリッド上の任意の周波数νmを採ることが許される。1波のレーザ光(単一波長光)がSOAに入射しても、FWM光は発生しないためである。
【0090】
〔要素数が2の場合〕
要素数が2の場合、つまりSOAに2波長光が入射される構成の場合、各光源21は、WDMグリッド上の任意の周波数νmを採ることが許される。2波のレーザ光(2波長光)がSOAに入射した場合、縮退FWMによって2本の光が発生するが、これらの周波数が入射光の周波数と一致することはないためである。
【0091】
〔要素数が3以上の場合〕
要素数が3以上の場合、つまりSOAに3波以上の多波長光が入射される構成の場合、SOAへの入射光の周波数をνi、νj、νkとしたときに、SOAで発生するFWM光の周波数は、式(1)及び式(2)で与えられる。そのため、式(1)及び式(2)に基づいて発生する各FWM光が入力光と重ならない波長配置とするには、「SOAへの入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだとき、異なる波長の組が異なる周波数差を持つ。」という条件(以下、非干渉条件ともいう。)を満たす必要がある。
【0092】
図15は、非干渉条件を満たす波長配置のうち、占有帯域の狭い例を模式的に示したものである。パターンA~Cは、3波の多波長光(要素数が3)に対応し、パターンD~Gは、4波の多波長光(要素数が4)に対応する。これらのパターンA~Gの波長配置が非干渉条件を満たすことは、
図16~
図18から確認できる。
【0093】
すなわち、パターンA~Cにおいては、縮退4光波混合に係るFWM光が6本発生し、非退4光波混合に係るFWM光が3本発生する。ところが、
図16の各演算で示すとおり、各パターンにおける9本のFWM光の周波数は、何れも、実線で示す入射光の周波数とは一致しない。また、パターンD~Gにおいては、縮退4光波混合に係るFWM光が12本発生し、非退4光波混合に係るFWM光が12本発生する。ところが、
図17及び
図18の各演算で示すとおり、各パターンにおける24本のFWM光の周波数は、何れも、実線で示す入射光の周波数とは一致しない。
【0094】
<ルール3について>
本実施の形態3における変調器60を一般化した構成例を
図19に示す。変調器60は、分波機能と合波機能とを併せ持っており、ここでは「MUX変調器」とも呼ぶ。変調器60は、共通の出力導波路62を備えたn個の変調ユニット70を有している。
図19では、各変調ユニット70を順に、第1MRM群、第2MRM群、・・・、第nMRM群と表記している。第iMRM群(iは任意の自然数)は、m
i個のリング共振器Rを有している。特に、変調器60につき、各変調ユニット70(各MRM群)の要素数m
i、つまり各変調ユニット70が有するリング共振器Rの数が全て等しいものを、(m×n)MUX変調器と記載することがある(mは要素数、nは変調ユニット70の数・グループ数に対応)。
【0095】
変調器60において、各変調ユニット70の入力導波路51には、FWM光が入力光と重ならないような波長配置のレーザ光が入力され、共通の出力導波路62からWDM信号が出力される。原則として、第iMRM群(要素数mi)には、第i波長群(要素数mi)のレーザ光が、SOAによって増幅された後に入力される。
【0096】
ここで、
図20及び
図21を参照して、8波のWDM信号を生成する場合の変調器60(MUX変調器)の構成例について説明する。
図20に示すように、8つの波長を2つにグループ分けし、グループXの波長を(λ
2、λ
4、λ
8、λ
9)、グループYの波長を(λ
1、λ
3、λ
6、λ
7)と設定する。グループXは、
図15のパターンFに対応し、グループYは、
図15のパターンDに対応する。なお、波長λ
mは、式(4)に基づき、周波数ν
mに応じて定まる。
【0097】
図20には、グループXおよびグループYの4波長光をSOAで増幅した時の出力スペクトルを示す。
図20では、入力光のモードを実線で、式(1)と式(2)により定まる周波数に発生するFWM光のモードを破線で示している。
図20から分かるように、グループXの光をSOAで増幅すると、多数のFWM光が発生するが、入射光と周波数が重なる位置には、FWM光は発生していない。したがって、グループXの4波長光はSOAで増幅しても4光波混合の影響を受けず、安定した出力を得ることができる。同様に、グループYの4波長光をSOAで増幅した場合も、入射光と重なる位置にFWM光は発生しないため、安定した出力を得ることができる。
【0098】
ただし、グループXのSOA出力とグループYのSOA出力を通常の方法で合波すると、その出力は不安定になってしまう。なぜなら、グループXに含まれるFWM光の一部がグループYの主要光と干渉すると共に、グループYに含まれるFWM光の一部がグループXの主要光と干渉し、ビートが発生するからである。つまり、グループXのSOA出力とグループYのSOA出力をカプラなどで合波するのは適切ではない。
【0099】
そこで、
図21の構成例では、SOAで増幅された2種類の4波長光が(4×2)MUX変調器に導かれ、そこで変調と合波が施されるようになっている。(4×2)MUX変調器は、
図21に示すように、出力導波路62を共有する2つの4要素の変調ユニット70(MRM群)で構成されている。第1MRM群を構成する4つのリング共振器Rは、共鳴周波数がグループXの各レーザ光の周波数に同調されている。グループXに係るSOAの出力は、第1MRM群の振分導波路71に導かれ、各レーザ光は、対応するリング共振器Rから変調を受け、出力導波路62から光信号として出力される。
【0100】
SOAの出力には多数のFWM光が含まれているが、その周波数は、どのリング共振器Rの共鳴周波数とも一致していないので、振分導波路71の出力端から放出される。同様に、グループYに係るSOAの出力は、第2MRM群の振分導波路71に導かれ、各レーザ光は、対応するリング共振器Rから変調を受け、出力導波路62から光信号として出力される。出力導波路62には、グループXに係る光信号とグループYに係る光信号とが共存しており、出力導波路62からは、連続する9波長(λ1~λ9)から中央の1波長(λ5)を除く形式である8波のWDM信号が出力される。このように、MUX変調器は、入力される複数の多波長光に対し、変調を施して合波すると同時に、不必要なFWM成分を除去する機能を併せ持つ。
【0101】
ここで、各入力導波路51(振分導波路71)の出射端は、MUX変調器からの戻り光によりSOAが発振するのを避けるため、低反射率となるように構成するのが望ましい。したがって、
図19の挿入図(出射端の拡大図)に示すように、
図3を用いた説明と同様に出射端の構造変更を行い、固有モードから放射モードへの変換効率の向上を図るようにするとよい。また、各入力導波路51は、変調器60からの戻り光による増幅器42の発振を抑制するため、出射端に回折格子を形成してもよく、出射端に光の吸収材を配設してもよい。
【0102】
式(3)及び式(4)において、ν
0=228.2THz、Δν=800GHzとした場合、
図21に示す(4×2)MUX変調器を用いることにより、以下の8波長からなるWDM信号を生成することができる。
・λ
1=1309.14nm(229.00THz)
・λ
2=1304.58nm(229.80THz)
・λ
3=1300.05nm(230.60THz)
・λ
4=1295.56nm(231.40THz)
・λ
6=1286.66nm(233.00THz)
・λ
7=1282.26nm(233.80THz)
・λ
8=1277.89nm(224.60THz)
・λ
9=1273.55nm(225.40THz)
この波長配置は、1.3um帯光通信に関するIEEE 802.3bs規格(400GbE-LR8)に合致するものである。
【0103】
なお、連続する9波(λ
1~λ
9)からなるWDM信号を生成したい時は、
図22に示す構成のMUX変調器を使えばよい。この構成は、n=3、(m
1,m
2,m
3)=(4,4,1)に相当するものである。
図22では、1つの変調ユニット70として、要素数が1の第3MRM群を用いている。例えば、第3MRM群への入射光(波長:λ
5)にクロック周波数の強度変調を加えるようにすれば、8波のWDM信号に光クロックを付加して送信するという使い方もできる。もっとも、
図21のような変調器60の各変調ユニット70のうちの1つのリング共振器Rをクロック信号の付加用として用いてもよい。
【0104】
ところで、本実施の形態3における記載方法によれば、
図3の各変調器60は、(1×8)MUX変調器となり、
図12の変調器60は、(2×4)MUX変調器となる。これらによっても、上述した通り、連続する8波長(λ
1~λ
8)からなるWDM信号を生成することができる。各変調器60は、要素数の等しい変調ユニット70だけで構成してもよく、要素数の等しい幾つかの変調ユニット70と、それとは異なる要素数の変調ユニット70とを含む構成であってもよく、全ての変調ユニット70の要素数が相互に異なるように構成してもよい。
【0105】
続いて、
図23~
図26を参照し、本実施の形態3に係る変調器60、変調システム50、及び送信モジュール210の実証実験の結果について説明する。本実施実験では、光通信CバンドのSOA(出力=14dBm)を用いて多波長光を増幅し、異なる波長配置での出力を比較した。
図23~
図25は、測定された入出力光のスペクトルを示すグラフである。レーザ周波数の設定は、式(3)に基づき、ν
0=192.2THz、Δν=200GHzとした。ただし、FWM光が入力光に隠れて見えなくなるのを避けるため、レーザ光の周波数の1つを、本来の値から僅かにずらすことにした。
【0106】
図23は、周波数が等間隔な3波のレーザ光を増幅した時の結果である。
図23の出力スペクトルを見ると、入力光の近傍にFWM光が発生していることが分かる。
図24及び
図25は、
図20に対応するグラフであり、グループX及びグループYの波長配置をとる4波のレーザ光を増幅したときの結果を示す。いずれの場合も、出力には多数の4光波混合光が含まれているが、入力光の近傍(丸破線内)にはFWM光が発生していないことを確認できる。
【0107】
図26は、3波もしくは4波のレーザ光をSOAで増幅した時の出力光強度の時間変化を比較したものである。
図26(A)は、周波数が等間隔な場合の測定結果を示すもので、
図23に対応する。
図26(A)には、出力が10%以上変動することが示されている。なお、
図26(A)の出力波形には、強度変動の全くない区間が部分的に見られるが、これは検出器の帯域不足によるものである。
図26(B)は、グループXの波長配置における測定結果を示し、
図26(C)は、グループYの波長配置における測定結果を示す。グループX及びグループYの何れの波長配置でも、安定した出力が得られていることが分かる。
【0108】
次に、
図27~
図31に基づき、FWM光の発生に起因した干渉を防ぐ構成を採った送信モジュール210の具体例について説明する。まず、
図27を参照して、本態様に係る送信モジュール210の全体的構成とその周辺機器について説明する。
【0109】
図27に示すように、送信モジュール210は、複数の光源21を含む光源ユニット220と、複数の分波器31を含む分波器ユニット130と、複数の増幅器42を含む増幅処理ユニット40と、複数の変調器60を含む変調システム50と、を有している。光源ユニット220は、互いに異なる波長の光を出射する複数の光源21を有すると共に、予め設定された要素数と光源数Mに応じて、1台又は複数台の光源21がグループ分けされている。
【0110】
分波器ユニット130は、(2✕2)分波器からなる分波器31がカスケード接続されたものである。変調システム50において、各変調器60を構成する複数の変調ユニット70は、対応するグループの要素数(光源数M)と同数のリング変調器Rを有している。
図27におけるグループG1~Gnとの記載は、便宜上のもので、光源21のグループ数が3以上であることを示すものではなく、光源21のグループ数は2つであってもよい。また、グループを構成する光源21の数は、1台でも2台でも3台以上でもよい。要は3波以上の多波長光をSOAで増幅するルートに、FWM光の発生に起因した干渉を防ぐための構成を採用すればよい。
【0111】
続いて、
図28を参照し、4波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の一例について説明する。
図28の送信モジュール210は、
図21の構成に対応するもので、光源ユニット220が4台の光源21からなる2つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が4つのリング共振器Rを有している。グループG1及びグループG2は、それぞれ、
図20のグループX及びグループYに対応する。なお、
図28では、分波器ユニット130の各分波器31について、2段カスケードの第1段目を分波器31aとし、第2段目を分波器31bとしている。
【0112】
すなわち、グループG1では、各光源21の波長が、それぞれ、λ
2、λ
4、λ
8、λ
9に設定されており、グループG2では、各光源21の波長が、それぞれ、λ
1、λ
3、λ
6、λ
7に設定されている。各グループの光源21からの出力は、それぞれ、2段カスケードされた(2✕2)分波器31からなる分波器ユニット130で混合され、増幅器42で増幅された後、(1×r)分波器からなる振分器43で複数のパスに分岐される。グループG1に係る増幅器42からの出力と、グループG2に係る増幅器42からの出力は、それぞれ、(4×2)MUX変調器である変調器60に導かれて合波されると同時に変調が施され、変調システム50からは、IEEE 802.3bs規格(400GbE-LR8)に準拠した8波のWDM信号が4r本出力される。もっとも、各グループは、非干渉条件を満たす波長配置をとっていればよく、
図28の構成に限定されない。
【0113】
次いで、
図29を参照し、4波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の他の例について説明する。
図29は、光クロック送信機能を備えたコパッケージの構成例である。つまり、
図29の送信モジュール210は、
図29の構成に、光源21を1セット(波長:λ
5)追加し、4r個ある(4×2)MUX変調器のうちの1つを、
図22に示した9波用のMUX変調器に変更したものである。
【0114】
図29の送信モジュール210は、第3MRM群において、データではなくクロック信号をリング変調器Rに印加することで、8波のWDM信号に光クロック(波長:λ
5)を付加するよう構成されている。受信側では、光クロックをフィルタで切り出し、電気信号に変換するだけで、クロックを再生することができる。
【0115】
続いて、
図30を参照し、3波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の一例について説明する。
図30の送信モジュール210は、光源ユニット220が3台の光源21からなる2つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が3つのリング共振器Rを有している。グループG1は、
図15のパターンBに対応する波長配置となっており、グループG2は、
図15のパターンAに対応する波長配置となっている。各グループは、非干渉条件を満たす波長配置をとっていればよく、
図30の構成に限定されない。なお、
図30では、分波器ユニット130の各分波器31について、2段カスケードの第1段目を分波器31aとし、第2段目を分波器31bとしている。
【0116】
次いで、
図31を参照し、3波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の他の例について説明する。
図31の送信モジュール210は、光源ユニット220が3台の光源21からなる4つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が3つのリング共振器Rを有している。グループG1とグループG1’とは、2台の光源21を共有している。同様に、グループG2とグループG2’とは、2台の光源21を共有している。
【0117】
3台の光源21からなるグループの場合、
図30のような構成における各グループに対し、
図31のように1台の光源21を追加すれば、グループ数を倍増することができ、分波器31aの出力の活用と分波器31bの追加により、分波器ユニット130から出力される3波長光の数も倍増することができる。
【0118】
ここで、
図28~
図31のような構成例は、下記のように整理することができる。
すなわち、送信モジュール210は、発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源21と、カスケード接続された複数の分波器31がグループごとに対応づけられた分波器ユニット130と、分波器ユニット130における後段に配置された各分波器31それぞれに接続された増幅器42と、各増幅器42それぞれに接続された振分器43と、異なるグループそれぞれに対応する複数の振分器43に接続された変調器60を複数有する変調システム50と、を備えている。変調器60は、3以上のリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有すると共に、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調ユニット70は、外部から入力される光を複数のリング変調器Rへ導く振分導波路71を有している。変調器60における各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。複数の光源21は、3以上の光源21を含むグループにおいては、増幅器42への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源21それぞれの発振する光の波長が設定されている。
送信モジュール210は、複数の光源21を有しない構成としてもよい。この場合、変調ユニット70における3以上のリング変調器Rは、3波長以上の多波長光の増幅時における4光波混合に起因した干渉を避けるように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整される。
【0119】
以上のように、本実施の形態3の変調器60は、1又は複数のリング変調器Rを含む変調ユニット70を複数有すると共に、各リング変調器Rを通過した光を多重化して出力する出力導波路62を有している。変調ユニット70は、外部から入力される光をリング変調器Rへ導く振分導波路71を有している。そして、各リング変調器Rは、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。したがって、変調器60は、入力した複数の光から所望の多波長光を生成し出力することができる。そのため、変調器60を組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。
【0120】
変調器60は、複数の変調ユニット70のうちの少なくとも1つが、3波長以上の多波長光の増幅時における4光波混合に起因した干渉を避けるように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上のリング変調器Rを含むように構成される。つまり、変調器60は、非干渉条件を満たす波長配置に合わせて共鳴周波数が調整された3以上のリング変調器Rを有する変調ユニット70を有している。そのため、変調器60は、増幅器42を介して入力される、非干渉条件を満たす波長配置の多波長光に有意な変調を施して合波しつつ、FWM成分を除去することができる。そして、変調器60を複数有する変調システム50によれば、光源21の数を増やさなくても、増幅器42との併用により、通信データの大容量化を図ることができる。
【0121】
MUX変調器を利用する最大のメリットは、多波長光をSOAで増幅する際に、SOAを高出力動作させられる点にある。このメリットは、光源内蔵型コパッケージのみならず、外部光源式コパッケージに対しても極めて重要である。変調器60は、複数の変調ユニット70のうちの少なくとも1つが、クロック信号の付加用のリング変調器Rを含んでいてもよい。このようにすれば、変調システム50から、光クロックが付加されたWDM信号を送信することができるため、利便性の向上を図ることができる。他の効果等は、上述した各実施の形態と同様である。
【0122】
送信モジュール210は、複数の増幅器42と、変調システム50と、により構成してもよく、これらに分波器ユニット130を含む構成を採ってもよい。送信モジュール210は、さらに複数の光源21を含んでいてもよい。この場合、複数の光源21は、複数のグループに分けられ、3以上の光源21を含むグループにおいては、増幅器42への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源21それぞれの発振する光の波長を設定するとよい。
【0123】
本実施の形態3の構成にも、変形例1Bの構成を適用することができる。すなわち、複数の光源21の代わりに、主光源(光源21a)と予備光源(光源21b)とを含む複数の光源システム121を採用し、光源の冗長化を図ってもよい。また、本実施の形態3の構成にも、変形例1Aの構成を適用することができる。
【0124】
実施の形態4.
図32及び
図33を参照して、本発明の実施の形態4に係る送信モジュールの構成例について説明する。
図32及び
図33は、MUX変調器を外部光源式コパッケージに適用した場合の構成例である。
【0125】
外部光源基板300には、8個の光源21が搭載されており、その出力はTM偏光としている。光源21は、発振するレーザ光の波長に基づいて2つのグループ(G1とG2)に分けられている。各グループの波長構成は、非干渉条件を満たすように設定され、
図32では、
図28の例と同じ波長構成を採っている(グループG1:λ
2、λ
4、λ
8、λ
9、グループG2:λ
1、λ
3、λ
6、λ
7)。
【0126】
外部光源基板300において、各グループのレーザ出力は、2段に配置された複数の分波器31を用いて混合される。グループG1の出力は偏波回転子(PR:Polarization Rotator)91によってTE光に変換されたのち、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarization Beam Splitter)81によってグループG2の出力と合波され、PMファイバ95に導かれる。
【0127】
PMファイバ95のSlow-axisとFast-axisは、それぞれ、導波路のTE光とTM光の偏光方向に合わされている。PMファイバ95によってコパッケージ基板310に導かれたグループG1とグループG2のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ82によって分離され、グループG1の偏光は偏波回転子92によってTE光からTM光に戻される。分離されたグループG1とグループG2のレーザ光は、それぞれ、4分岐されて増幅器42で増幅される。増幅器42の出力は4分岐され、(4×2)MUX変調器群(変調器60)に導かれ、そこで変調と合波が施される。
【0128】
図32に示す様な(2×2)分波器を用いる合波方式では、全レーザ出力の1/4しか利用しておらず、6dBのロスが発生している。ただし、このロスは、ファイバ端面からの戻り光に対しても強度を1/4に減衰させるので、アイソレータ(アイソレーション=12dB)を挿入したのと同等の効果をもたらす。この効果を考慮すると、合波器のロスは許容できる。複数の(2x2)分波器で構成される分波器ユニットは、アレイ導波路(AWG:arrayed waveguide grating)で代用しても構わない。
【0129】
本実施の形態4の変調器60は、上述した各実施の形態の例と同様に構成されるため、入力した複数の光から所望の多波長光を生成し出力することができる。よって、
図33のように変調器60を組み合わせて使用すれば、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。本実施の形態4の送信モジュールは、外部光源方式を採用しており、コパッケージ基板310は、各実施の形態の構成例と同様、外部の光源から送信される多波長光から有意なWDM信号を生成し、出力することができる。なお、送信モジュールは外部光源基300を含まなくてもよく、この場合、コパッケージ基板310が本実施の形態4の送信モジュールとなる。
【0130】
本実施の形態4の構成にも、変形例1Bの構成を適用することができる。すなわち、複数の光源21の代わりに、主光源(光源21a)と予備光源(光源21b)とを含む複数の光源システム121を採用し、光源の冗長化を図ってもよい。また、本実施の形態4の構成にも、変形例1Aの構成を適用することができる。
【0131】
<変形例4A>
図34及び
図35を参照して、本発明の実施の形態4の変形例4Aに係る構成例について説明する。小型光トランシーバの構成部品の1つに、4波ないし8波のWDM信号を合成する光送信モジュール(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)がある。
図32の外部光源基板200は、データを載せない、すなわち無変調動作のTOSAに置き換えることが可能である。
【0132】
まず、
図35に示す8ch-TOSAの代表的な従来構成について説明する。外部光源基板500は、2つの4ch-WDMモジュール(AとB)で構成されており、モジュールAの出力は1/2波長板で偏光を90°回転させたのち、PBSによってモジュールBの出力と合波される。2つのWDMモジュールは、それぞれ、4台のEML(Electro-absorption Modulator Laser)を搭載しており、その出力は、鏡とWDMフィルタ(バンドパスフィルタ)を用いて合波されている。EMLと対応するWDMフィルタの波長は、IEEE 802.3bs規格(400GbE-LR8)に準拠しており、モジュールAでは短波側の4波長(λ
6、λ
7、λ
8、λ
9)、モジュールBでは長波側の4波長(λ
1、λ
2、λ
3、λ
4)に設定されている。ただし、既に述べたとおり、これらの波長配置は、SOAによる一括増幅には適していない。
【0133】
次に、
図34を参照して、本変形例4Aに係る外部光源基板200Aについて説明する。
図34に示すように、外部光源基板200Aにおいて、波長配置をモジュールAでは、4波長の波長配置が「λ
2、λ
4、λ
8、λ
9」なっており、モジュールBでは、4波長の波長配置が「λ
1、λ
3、λ
6、λ
7」となっており、何れの波長配置も非干渉条件を満たしている。すなわち、複数のEMLで構成されたグループの波長配置が非干渉条件を満たすように変更すれば、3波長以上を含む多波長光を、FWMによる品質劣化をうけることなく、SOAからなる増幅器42によって好適に増幅させることができる。
【0134】
上記のとおり、外部光源からコパッケージ基板にレーザ光を導入する際、従来の構成・手法では、SOAを用いた増幅に適さないため、高価なPMファイバをレーザの数に合わせて多数使用しなければならない。これに対し、本変形例4Aにおける外部光源基板300Aは、複数のモジュールそれぞれの光源グループが非干渉条件を満たす波長配置を採っている。そのため、外部光源基板200Aで合波された多波長光が、例えば
図33に例示するコパッケージ基板310の増幅器42で増幅されても、FWM光の発生に起因した干渉を防ぐことができる。よって、1本のPMファイバから出力される多波長光から、MUX変調器の機能により、複数の安定したWDM信号を生成することができる。また、本変形例4Aの構成の場合、トランシーバの部品として普及しているTOSAを光源としては利用することができる。つまり、MUX変調器を利用することで、外部光源式コパッケージの信頼性向上と低価格化を図ることができる。
【0135】
ここで、上述した各実施の形態は、変調器、変調システム、及び送信モジュールの一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、各実施の形態の送信モジュールにおいて、どの構成部材をコパッケージに含めるかは、適宜選択し、変更することができる。として形成する場合の組み合わせは、適宜選択し、変更することができる。なお、増幅器42としては、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)などの光ファイバ増幅器(OFA:Optical Fiber Amplifier)を採用してもよいが、半導体光増幅器(SOA)の方が小型・集積化に適している。
【0136】
上記の各実施の形態は、光源21が半導体レーザ(LD)である前提で説明したが、これに限定されない。近年、多波長レーザの研究が進んでおり、中でもシリコンフォトニクスを用いたハイブリッドレーザは、コパッケージ用光源として注目を集めている。これまでに報告されたハイブリッドレーザは、発振波長が等間隔で、各発振モード間は位相同期していないため、SOAで増幅した場合には、FWMにより出力が不安定になることが予測される。しかし、ハイブリッドレーザを利用した場合でも、
図28などの例と同様、非干渉条件を満たす波長構成(
図28では、グループG1:λ
2、λ
4、λ
8、λ
9、グループG2:λ
1、λ
3、λ
6、λ
7)を採れば、SOAで増幅し、MUX変調器を用いて安定したWDM信号を生成することができる。したがって、特に実施の形態3及び4の送信モジュールにおいて、光源ユニット220は、各グループを構成する複数の光源21の代わりに、非干渉条件を満たす波長配置を採ったハイブリッドレーザを有するよう構成してもよい。
【0137】
ところで、データの電気信号から光信号への変換において、LDを直接変調する代わりに外部変調器を用いれば、LDを全チャンネル数分用意する必要はなく、最低でも波長多重数だけあれば十分である。SOAはLDと同じ光半導体部品であるが、発振器ではないので故障率はずっと低い。LDの場合、常に単一モード発振し、かつ波長はWDMグリッドに準拠していることが要求される。隣接モードの抑圧比が劣化したり、波長がWDMグリッドからずれたりするだけで、システムは正常動作しなくなる。これに対し、SOAはただの増幅器なので、出力が多少変動してもシステムの動作に支障はきたさない。また、LDより高い出力を得ることもできる。SOAとしては、量子井戸構造が一般的であるが、量子ドット構造のものを使えば、高温・高出力動作においてより優れた特性が期待できる。SOAをシステムに導入するメリットとして、LDを低出力動作させることができ、光学損傷(COD)に起因する故障率を大きく低減することができることがあげられる。LDの端面出力を1/4に低減すると、COD確率は、1/10以下になると推定される。また、LDの数が劇的に減ることで、システムの消費電力低減も同時に果たされる。
【符号の説明】
【0138】
10、110、210 送信モジュール、20、120、220 光源ユニット、21、21a、21b 光源、22 選別部、22 強度変調器、23a 第1導波路、23b 第2導波路、24 切替部、25 監視部、26 冗長処理部、30、130 分波器ユニット、31、31a、31b、31c、分波器、43 振分器、40、140 増幅処理ユニット、41 増幅ユニット、42 増幅器、50、50A、50B 変調システムユニット、51 入力導波路、60 変調器、62 出力導波路、70 変調ユニット、71 振分導波路、72 共鳴導波路、81、82 偏光ビームスプリッタ、91、92 偏波回転子、95 PMファイバ、121 光源システム、200 電子回路、300、300A 外部光源基板、310 コパッケージ基板。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様に係る変調器は、1又は複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光をそれぞれ多重化して出力する出力導波路と、を有するものであり、変調ユニットは、外部から入力される光を1又は複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明は、1又は複数のリング変調器を含む変調ユニットを複数有し、各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。そのため、入力した複数の光(単一波長光あるいは多波長光)から所望の信号光を生成し出力することができる。よって、これを組み合わせて使用することにより、光源数の増加を伴わずに通信データの大容量化を実現することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図3】
図2の変調器の構成例として、8つの変調ユニットを有する変調器を例示した説明図である。
【
図4】
図3の変調ユニットの構成例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態1の変形例1Aに係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図6】マイクロリング変調器の伝達関数を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態1の変形例1Aに係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図8】本発明の実施の形態1の変形例1Bに係る光源システムを例示した構成図である。
【
図9】
図8の光源システムを用いた冗長処理方法に関する動作例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態2に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図12】
図11の変調器の構成例として、4つの変調ユニットを有する変調器を例示した説明図である。
【
図13】本発明の実施の形態3に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールの一例を示す構成図である。
【
図14】SOAに入力される入力光と、SOAで発生する9本のFWM光の周波数配置を例示した説明図である。
【
図15】非干渉条件を満たす波長配置のうち、占有帯域の狭い例を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図15に示すパターンA~Cの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図17】
図15に示すパターンD及びEの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図18】
図15に示すパターンF及びGの各波長配置が非干渉条件を満たすことを示す説明図である。
【
図19】本発明の実施の形態3に係る変調器60の構成を一般化した説明図である。
【
図20】非線形条件を満たすよう2つにグループ分けされた8つの波長各々に紐付く入力光のモードと、FWM光のモードとを示す説明図である。
【
図21】8波からなるWDM信号を生成する変調器の構成例を示す説明図である。
【
図22】連続する9波からなるWDM信号を生成する変調器の構成例を示す説明図である。
【
図23】周波数が等間隔な3波のレーザ光をSOAで増幅した時の結果を示すグラフである。
【
図24】
図20のグループXの波長配置をとる4波のレーザ光をSOAで増幅したときの結果を示すグラフである。
【
図25】
図20のグループYの波長配置をとる4波のレーザ光をSOAで増幅したときの結果を示すグラフである。
【
図26】3種類のレーザ光それぞれをSOAで増幅した時の出力光強度の時間変化を示す説明図である。
【
図27】本発明の実施の形態3に係る変調器、変調システム、及び送信モジュールを概略的に例示した構成図である。
【
図28】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(4
×2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図29】
図28の光源ユニットに光源を1台追加し、
図22に示す9波用のMUX変調器を含む構成を採った変調システム及び送信モジュールの具体例を示す構成図である。
【
図30】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(3
×2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの一例を示す構成図である。
【
図31】本発明の実施の形態3に係り、変調器として(3
×2)MUX変調器を含む変調システム及び送信モジュールの他の例を示す構成図である。
【
図32】本発明の実施の形態4に係る送信モジュールを構成する外部光源基板を例示した構成図である。
【
図33】本発明の実施の形態4に係る送信モジュールを構成するコパッケージ基板を例示した構成図である。
【
図34】本発明の実施の形態4の変形例4Aに係る送信モジュールを構成する外部光源基板を例示した構成図である。
【
図35】
図34の構成に対応する従来の外部光源基板を例示した構成図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
実施の形態1.
図1~
図4を参照して、本発明の実施の形態1における変調器60、変調
システム50、及び送信モジュール10の構成例について説明する。各図では、煩雑化を避けるため、符号の一部を省略することがある。後述する各図においても同様である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
送信モジュール10は、複数の光源21の各々に分波器31が接続されており、複数の分波器31それぞれの後段に増幅ユニット41が配置されている。分波器31は、光源21から出力される光を2方向に分波する機能を有している。ここで、t個の入力端子とu個の出力端子とを有する分波器のことを(t×u)分波器と称することにする。分波器31は、例えば、(1×2)分波器又は(2×2)分波器により構成される。分波器31の一方の出力端子は、変調システム50Aに対応づけられた増幅器42に接続され、他方の出力端子は、変調システム50Bに対応づけられた増幅器42に接続されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
各増幅ユニット41において、一方の増幅器42は、変調システム50Aに接続された振分器43に接続され、他方の増幅器42は、変調システム50Bに接続された分波器43に接続されている。振分器43は、(1×r)分波器により構成されている。振分器43の各出力端子は、それぞれ、対応する変調ユニット70へ延びる入力導波路51に接続されている。振分器43からは、r本の入力導波路51が延びている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
波長λK(K=1,2,…,M)の光を出力する光源21は、増幅器42等を介して、共鳴周波数が「c/λK」に設定されたリング変調器Rに対応づけられている。Mは光源21の数に相当する任意の自然数である。変調器60では、各変調ユニット70のそれぞれに入射した複数の異なる波長の光が各リング変調器Rを通過し、出力導波路62で多重化される。そして、変調器60からは、M種の波長(λ1,…,λM)を含む多波長光が出力される。ここで、変調器60から出力される多波長光の波長の数を波長多重数Nとする。本実施の形態1(本編)の送信モジュール10において、波長多重数Nは、光源21の数である光源数Mと同数である。すなわち、送信モジュール10では、2r本の、光源数Mと同数の波長を含むWDM信号(波長分割多重に基づく信号)が生成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図7に例示する送信モジュール10では、各強度変調器22が、それぞれ、光源21からの出射光に基づく2波長光を生成し、例えば(1
×2)分波器からなる分波器31に出力される。分波器31で2方向に分岐された2波長光は、それぞれ、増幅器42で増幅された後、(1
×r)分波器からなる振分器43でr本に分岐され、それぞれが対応づけられた変調器60の変調ユニット70へ導かれる。各変調器60では、光源数Mと同数の振分器43の各々から出力される2波長光が、各振分器43に対応づけられた変調ユニット70に導かれ、そこで変調が施されると共に、各変調ユニット70の2つのリング
変調器Rを通過した光が出力導波路62において合波される。これにより、送信モジュール10では、2r本の、光源数Mの2倍の波長を含むWDM信号が生成され出力される。他の構成及び代替構成は、前述の本編と同様である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図8は、
図2に示す1つの光源21(波長λ
1の光を出射するもの)に対応づけて例示した光源システム121である。光源システム121は、主光源として機能する光源21aと、予備光源として機能する光源21bと、セレクターとして機能する選別部22と、を有している。本変形例1Bにおける選別部22は、2つの入出力導波路を持つリング
変調器を有している。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
次に、
図11を参照して、本実施の形態2に係る変調器60、変調システム50、及び送信モジュール110の具体例について説明する。送信モジュール110は、各光源グループGを構成する2台の光源21が、それぞれ、(2
×2)分波器からなる分波器31に接続されている。分波器31は、2台の光源21の各々から出力される光を合波すると共に2方向に分波する機能を有し、分波器31の2つの出力端子は、それぞれ、異なる増幅器42に接続されている。各増幅器42は、例えば(1
×r)分波器からなる振分器43に接続されている。振分器43の各出力端子は、それぞれ、対応する変調ユニット70へ延びる入力導波路51に接続されている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
各光源グループGについて、ある光源グループG内の波長λKの光源21及び波長λK+1の光源21は、該光源グループGに紐付く変調ユニット70内の2つのリング変調器Rに対応づけられている。したがって、各変調器60では、各変調ユニット70のそれぞれに入射した波長λKの光と波長λK+1の光とが2つのリング変調器Rを通過し、出力導波路62で多重化され、M種の波長(λ1,…,λM)を含む多波長光が出力される。本実施の形態2の送信モジュール110では、波長多重数Nと光源数Mとが等しくなる。すなわち、送信モジュール110では、2r本の、光源数Mと同数の波長を含むWDM信号が生成される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
分波器ユニット130は、(2×2)分波器からなる分波器31がカスケード接続(多段接続)された構成を採っている。例えば、波長多重数Nを、2のべき乗で、すなわちN=2R(Rは2以上の整数)のように表せる3以上の整数に設定した場合、分波器ユニット130は、分波器31をR段カスケードした構成を採ることができる。なお、Rは、波長多重数Nを2のべき乗で表したときの指数である。かかる構成の分波器ユニット130によれば、複数の光源21から出射されるN本のレーザ光を無駄なく同じ比率で混合することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
各分波器31cの2つの出力端子は、それぞれ、異なる増幅器42に接続されている。そして、
図13の例では、各増幅器42が、(1
×2)分波器からなる振分器43に接続されており、各振分器43は、複数の変調器60の組み合わせからなる変調システム50に接続されている。すなわち、分波器ユニット130から出力される8本の多波長光は、それぞれ、増幅器42で増幅された後、2本に分岐され、変調システム50を構成する各変調器60に導かれる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
複数の変調器60の各々の導波路には、8つのリング変調器Rが設けられており、i番目(iは8以下の任意の自然数)のリング変調器Rは、i番目の光源21の出力にだけ強度変調が加わるように共鳴周波数が設定されている。つまり、光源ユニット20を構成する複数の光源21と、各変調器60それぞれの複数のリング変調器Rとは、1対1で対応づけられている。信号の変調フォーマットに「112Gbit/s-PAM4」用いた場合、8台の光源21だけで14.336TB/s(112 Gbit/s×8波×16本=14.336TB/s)の容量を持つWDM信号を生成することができる。増幅器42からの出力の分岐数を増やせば、つまり振分器43として(1×z)分波器(zは3以上の整数)を採用すれば、容量をさらに増やすことができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
<ルール3について>
本実施の形態3における変調器60を一般化した構成例を
図19に示す。変調器60は、分波機能と合波機能とを併せ持っており、ここでは「MUX変調器」とも呼ぶ。変調器60は、共通の出力導波路62を備えたn個の変調ユニット70を有している。
図19では、各変調ユニット70を順に、第1MRM群、第2MRM群、・・・、第nMRM群と表記している。第iMRM群(iは任意の自然数)は、m
i個のリング
変調器Rを有している。特に、変調器60につき、各変調ユニット70(各MRM群)の要素数m
i、つまり各変調ユニット70が有するリング
変調器Rの数が全て等しいものを、(m×n)MUX変調器と記載することがある(mは要素数、nは変調ユニット70の数・グループ数に対応)。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
そこで、
図21の構成例では、SOAで増幅された2種類の4波長光が(4×2)MUX変調器に導かれ、そこで変調と合波が施されるようになっている。(4×2)MUX変調器は、
図21に示すように、出力導波路62を共有する2つの4要素の変調ユニット70(MRM群)で構成されている。第1MRM群を構成する4つのリング
変調器Rは、共鳴周波数がグループXの各レーザ光の周波数に同調されている。グループXに係るSOAの出力は、第1MRM群の振分導波路71に導かれ、各レーザ光は、対応するリング
変調器Rから変調を受け、出力導波路62から光信号として出力される。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
SOAの出力には多数のFWM光が含まれているが、その周波数は、どのリング変調器Rの共鳴周波数とも一致していないので、振分導波路71の出力端から放出される。同様に、グループYに係るSOAの出力は、第2MRM群の振分導波路71に導かれ、各レーザ光は、対応するリング変調器Rから変調を受け、出力導波路62から光信号として出力される。出力導波路62には、グループXに係る光信号とグループYに係る光信号とが共存しており、出力導波路62からは、連続する9波長(λ1~λ9)から中央の1波長(λ5)を除く形式である8波のWDM信号が出力される。このように、MUX変調器は、入力される複数の多波長光に対し、変調を施して合波すると同時に、不必要なFWM成分を除去する機能を併せ持つ。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
なお、連続する9波(λ
1~λ
9)からなるWDM信号を生成したい時は、
図22に示す構成のMUX変調器を使えばよい。この構成は、n=3、(m
1,m
2,m
3)=(4,4,1)に相当するものである。
図22では、1つの変調ユニット70として、要素数が1の第3MRM群を用いている。例えば、第3MRM群への入射光(波長:λ
5)にクロック周波数の強度変調を加えるようにすれば、8波のWDM信号に光クロックを付加して送信するという使い方もできる。もっとも、
図21のような変調器60の各変調ユニット70のうちの1つのリング
変調器Rをクロック信号の付加用として用いてもよい。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
分波器ユニット130は、(2
×2)分波器からなる分波器31がカスケード接続されたものである。変調システム50において、各変調器60を構成する複数の変調ユニット70は、対応するグループの要素数(光源数M)と同数のリング変調器Rを有している。
図27におけるグループG1~Gnとの記載は、便宜上のもので、光源21のグループ数が3以上であることを示すものではなく、光源21のグループ数は2つであってもよい。また、グループを構成する光源21の数は、1台でも2台でも3台以上でもよい。要は3波以上の多波長光をSOAで増幅するルートに、FWM光の発生に起因した干渉を防ぐための構成を採用すればよい。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
続いて、
図28を参照し、4波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の一例について説明する。
図28の送信モジュール210は、
図21の構成に対応するもので、光源ユニット220が4台の光源21からなる2つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が4つのリング
変調器Rを有している。グループG1及びグループG2は、それぞれ、
図20のグループX及びグループYに対応する。なお、
図28では、分波器ユニット130の各分波器31について、2段カスケードの第1段目を分波器31aとし、第2段目を分波器31bとしている。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
すなわち、グループG1では、各光源21の波長が、それぞれ、λ
2、λ
4、λ
8、λ
9に設定されており、グループG2では、各光源21の波長が、それぞれ、λ
1、λ
3、λ
6、λ
7に設定されている。各グループの光源21からの出力は、それぞれ、2段カスケードされた(2
×2)分波器31からなる分波器ユニット130で混合され、増幅器42で増幅された後、(1×r)分波器からなる振分器43で複数のパスに分岐される。グループG1に係る増幅器42からの出力と、グループG2に係る増幅器42からの出力は、それぞれ、(4×2)MUX変調器である変調器60に導かれて合波されると同時に変調が施され、変調システム50からは、IEEE 802.3bs規格(400GbE-LR8)に準拠した8波のWDM信号が4r本出力される。もっとも、各グループは、非干渉条件を満たす波長配置をとっていればよく、
図28の構成に限定されない。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
続いて、
図30を参照し、3波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の一例について説明する。
図30の送信モジュール210は、光源ユニット220が3台の光源21からなる2つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が3つのリング
変調器Rを有している。グループG1は、
図15のパターンBに対応する波長配置となっており、グループG2は、
図15のパターンAに対応する波長配置となっている。各グループは、非干渉条件を満たす波長配置をとっていればよく、
図30の構成に限定されない。なお、
図30では、分波器ユニット130の各分波器31について、2段カスケードの第1段目を分波器31aとし、第2段目を分波器31bとしている。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0116】
次いで、
図31を参照し、3波長光がSOAで増幅される構成を含む送信モジュール210の他の例について説明する。
図31の送信モジュール210は、光源ユニット220が3台の光源21からなる4つのグループを有すると共に、変調器60を構成する各変調ユニット70が3つのリング
変調器Rを有している。グループG1とグループG1’とは、2台の光源21を共有している。同様に、グループG2とグループG2’とは、2台の光源21を共有している。
【手続補正24】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を1又は複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている、変調器。
【請求項2】
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、
3波長以上の多波長光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだとき、異なる波長の組が異なる周波数差をもつように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上の前記リング変調器を含むものである、請求項1に記載の変調器。
【請求項3】
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項1に記載の変調器。
【請求項4】
複数の前記変調ユニットのうちの1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項2に記載の変調器。
【請求項5】
複数の前記変調ユニットは、何れも、
3波長以上の多波長光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだとき、異なる波長の組が異なる周波数差をもつように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上の前記リング変調器を含むものである、請求項1に記載の変調器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の変調器を複数有する、変調システム。
【請求項7】
複数の光源に対し直接的または間接的に接続され、入力される光を増幅する複数の増幅器と、
各増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する送信モジュール。
【請求項8】
複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
複数の前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する、送信モジュール。
【請求項9】
複数の光源と、
複数の前記光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
複数の前記光源は、
複数のグループに分けられており、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。
【請求項10】
主光源と予備光源とを含む複数の光源システムと、
複数の前記光源システムに接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
前記光源システムは、
一端が前記主光源に接続された第1導波路と、一端が前記予備光源に接続された第2導波路と、を有する選別部を有し、
前記選別部は、
前記第1導波路及び前記第2導波路に対し光学的に結合された切替部と、
前記第1導波路の他端に接続された監視部と、
前記切替部を制御する冗長処理部と、を有する、送信モジュール。
【請求項11】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源に接続され、カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
前記変調ユニットにおける3以上の前記リング変調器は、
3波長以上の多波長光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだとき、異なる波長の組が異なる周波数差をもつように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整されている、送信モジュール。
【請求項12】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源と、
カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光をそれぞれ多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
複数の前記光源は、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長を選んだときに異なる波長の組が異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様に係る変調器は、複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力する出力導波路と、を有するものであり、前記変調ユニットは、外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、複数の前記変調ユニットに含まれる全ての前記リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている。
もしくは本発明の一態様に係る変調器は、1又は複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力する出力導波路と、を有し、前記変調ユニットは、外部から入力される光を1又は複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、複数の前記変調ユニットに含まれる全ての前記リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されており、複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、3波長以上の多波長光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長の組を選んだとき、異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつように設定された3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数に調整された3以上の前記リング変調器を含むものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の一態様に係る送信モジュールは、複数の光源と、複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、増幅器の後段に設けられた上記の変調システムと、を有し、複数の光源は、複数のグループに分けられており、3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長の組を選んだときに異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
複数の前記変調ユニットに含まれる全ての前記リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されている、変調器。
【請求項2】
1又は複数のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を1又は複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
複数の前記変調ユニットに含まれる全ての前記リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるように調整されており、
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、
3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数にそれぞれ調整された3以上の前記リング変調器を含み、
当該3以上の前記リング変調器は、それぞれの共鳴周波数に対応する各波長から2波長の組を任意に選んだとき、異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつよう共鳴周波数が調整されている、変調器。
【請求項3】
複数の前記変調ユニットのうちの少なくとも1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項1に記載の変調器。
【請求項4】
複数の前記変調ユニットのうちの1つは、クロック信号の付加用の前記リング変調器を含む、請求項2に記載の変調器。
【請求項5】
クロック信号の付加用であり、複数の前記変調ユニットに含まれる全ての前記リング変調器の何れとも異なる共鳴周波数に調整された付加リング変調器を含む付加ユニットをさらに有し、
前記付加ユニットは、
外部から入力される光を前記付加リング変調器へ導く付加導波路を有し、
前記出力導波路は、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器及び前記付加リング変調器を通過した光それぞれを多重化して出力するものである、請求項1に記載の変調器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の変調器を複数有する、変調システム。
【請求項7】
複数の光源に対し直接的または間接的に接続され、入力される光を増幅する複数の増幅器と、
各増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する送信モジュール。
【請求項8】
複数の光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
複数の前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有する、送信モジュール。
【請求項9】
複数の光源と、
複数の前記光源に接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
複数の前記光源は、
複数のグループに分けられており、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長の組を選んだときに異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。
【請求項10】
主光源と予備光源とを含む複数の光源システムと、
複数の前記光源システムに接続され、複数の分波器が組み合わされて形成された分波器ユニットと、
前記分波器ユニットから出力される複数の光を個々に増幅する複数の増幅器と、
前記増幅器の後段に設けられた請求項6に記載の変調システムと、を有し、
前記光源システムは、
一端が前記主光源に接続された第1導波路と、一端が前記予備光源に接続された第2導波路と、を有する選別部を有し、
前記選別部は、
前記第1導波路及び前記第2導波路に対し光学的に結合された切替部と、
前記第1導波路の他端に接続された監視部と、
前記切替部を制御する冗長処理部と、を有する、送信モジュール。
【請求項11】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源に接続され、カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上の異なる波長それぞれに対応する共鳴周波数にそれぞれ調整された3以上のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光を多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
前記変調ユニットにおける3以上の前記リング変調器は、
それぞれの共鳴周波数に対応する各波長から2波長の組を任意に選んだとき、異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつよう共鳴周波数が調整されている、送信モジュール。
【請求項12】
発振する光の波長が重複しないようにグループ分けされた複数の光源と、
カスケード接続された複数の分波器が前記グループごとに対応づけられた分波器ユニットと、
前記分波器ユニットにおける後段に配置された各分波器それぞれに接続された増幅器と、
各増幅器それぞれに接続された振分器と、
異なる前記グループそれぞれに対応する複数の前記振分器に接続された変調器を複数有する変調システムと、を備え、
前記変調器は、
3以上のリング変調器を含む複数の変調ユニットと、
複数の前記変調ユニットそれぞれに含まれる前記リング変調器を通過した光をそれぞれ多重化して出力する出力導波路と、を有し、
前記変調ユニットは、
外部から入力される光を複数の前記リング変調器へ導く振分導波路を有し、
前記変調器における各リング変調器は、互いに異なる共鳴周波数となるよう調整されており、
複数の前記光源は、
3以上の前記光源を含む前記グループにおいては、
前記増幅器への入射光に含まれる全ての波長の中から任意の2波長の組を選んだときに異なる当該2波長の組が互いに異なる周波数差をもつ、という非干渉条件を満たすように、該グループ内の各光源それぞれの発振する光の波長が設定されている、送信モジュール。