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特開2024-37133液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドモジュール、及び液体吐出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037133
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドモジュール、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095261
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2022141558
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 佑
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF34
2C057AG32
2C057AG44
2C057AG91
2C057AG99
2C057AN05
2C057AN06
2C057BA14
2C057DB04
2C057DB06
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることが可能な液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】液体吐出ヘッド10は、液体を吐出するノズルNが形成されたノズル面51を有するノズル基板50と、ノズルNに連通する圧力室Cを形成し、ノズル基板50の板厚方向においてノズル基板50のノズル面51に積層される圧力室形成板61と、圧力室Cの液体の圧力を変化させる駆動素子と、圧力室形成板61の側面61aを覆うように配置され、圧力室形成板61を保持するフレーム30と、を備え、フレーム30は、ノズル基板50の板厚方向において、ノズル面51に接近する方向に突出するリブ40を有し、リブ40は、ノズル基板50の板厚方向に見て、ノズル基板50の長手方向に沿う第1方向におけるノズル基板50の外側、又は、ノズル基板50の短手方向に沿う第2方向におけるノズル基板50の外側、のどちらか一方のみに形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル基板と、
前記ノズルに連通する圧力室を形成し、前記ノズル基板の板厚方向において前記ノズル基板の前記ノズル面とは反対側の面に積層される圧力室形成板と、
前記圧力室の液体の圧力を変化させる駆動素子と、
前記圧力室形成板の側面を覆うように配置され、前記圧力室形成板を保持するフレームと、を備え、
前記フレームは、前記ノズル基板の板厚方向において、前記ノズル面に接近する方向に突出するリブを有し、
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板の長手方向に沿う第1方向における前記ノズル基板の外側、又は、前記ノズル基板の短手方向に沿う第2方向における前記ノズル基板の外側、のどちらか一方のみに形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板に対して、前記第1方向における外側のみに配置され、前記第2方向に沿って連続するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板に対して、前記第2方向における外側のみに配置され、前記第1方向に沿って連続するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記リブは、前記圧力室形成板の板厚方向において、前記ノズル基板に向かって突出し、
前記リブの先端は、前記ノズル面よりも前記圧力室形成板に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記駆動素子と電気的に接続される配線基板を備え、
前記配線基板は、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記リブが形成されていない位置に配置され、前記圧力室形成板の側面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記ノズル基板は、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記圧力室を覆うように配置され、前記圧力室形成板の外形よりも小さい外形を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板と前記リブとの間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドを備え、
複数の前記液体吐出ヘッドを搭載することを特徴とする液体吐出ヘッドモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出ヘッドモジュールと、
前記液体吐出ヘッドモジュールへ記録媒体を搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドモジュール、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体が流れる流路や圧力室を形成する流路基板、及び液体を吐出するためのノズルが形成されたノズル基板を積層して構成された液体吐出ヘッドが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の液体吐出ヘッドは、流路を流れる液体のヘッド外部への放熱を抑制することを目的として、流路基板の下面よりも下方に突出するフレーム部材の外周部を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の液体吐出ヘッドでは、下方に突出する突出部分がノズル基板を囲むように形成されているので、液体吐出ヘッドの外形が大きくなり小型化の妨げとなっていた。
【0004】
本発明は、小型化を図ることが可能な液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル基板と、前記ノズルに連通する圧力室を形成し、前記ノズル基板の板厚方向において前記ノズル基板の前記ノズル面とは反対側の面に積層される圧力室形成板と、前記圧力室の液体の圧力を変化させる駆動素子と、前記圧力室形成板の側面を覆うように配置され、前記圧力室形成板を保持するフレームと、を備え、前記フレームは、前記ノズル基板の板厚方向において、前記ノズル面に接近する方向に突出するリブを有し、前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板の長手方向に沿う第1方向における前記ノズル基板の外側、又は、前記ノズル基板の短手方向に沿う第2方向における前記ノズル基板の外側、のどちらか一方のみに形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、小型化を図ることが可能な液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドを示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの側面図である。
図3】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの底面図である。
図4】液体吐出ヘッドのノズル面を拡大して示す底面図である。
図5】圧力室形成板、ノズル基板、及びリブの先端部の配置を示す拡大側面図である。
図6】液体吐出ヘッドの側面図であり、圧力室形成板の側面を覆う配線基板の一部を示す図である。
図7】第2実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧力室形成板の第2端面とリブとの間の隙間を示す拡大側面図である。
図8】第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの底面図である。
図9】第4実施形態に係る液体吐出ヘッドモジュールの底面図である。
図10】比較例に係る液体吐出ヘッドモジュールの底面図である。
図11】第5実施形態に係る液体吐出装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドモジュール、及び液体吐出装置について説明する。なお、各図において、直交する3方向として、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を記載する場合がある。
【0009】
<第1実施形態に係る液体吐出ヘッド>
図1図6を参照して、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド10について説明する。図1は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドを示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの側面図である。図3は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの底面図である。図4は、液体吐出ヘッドのノズル面を拡大して示す底面図である。図5は、圧力室形成板、ノズル基板、及びリブの先端部の配置を示す拡大側面図である。図6は、液体吐出ヘッドの側面図であり、圧力室形成板の側面を覆う配線基板を示す図である。
【0010】
図1図3に示されるように、吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)10は、ノズル基板50と、圧力室形成板61,62と、フレーム30とを備える。吐出ヘッド10は、液体の一例であるインクを吐出する。
【0011】
<ノズル基板>
ノズル基板50は、図3に示されるように矩形板状を成す。ノズル基板50は、一対の長辺51a及び一対の短辺51bを有する。ノズル基板50の外形52は、一対の長辺51a及び一対の短辺51bを含む。一対の長辺51aは、X軸方向に延在し、Y軸方向に離れている。一対の短辺51bは、Y軸方向に延在し、X軸方向に離れている。
【0012】
図4に示されるように、ノズル面51には、複数のノズルNが形成されている。X軸方向に並ぶ複数のノズルNは、ノズル列NLを構成する。複数のノズル列NLは、Y軸方向に離れて配置されている。ノズル基板50は、例えばシリコンから形成されていてもよい。ノズル基板50は、ステンレス鋼から形成されていてもよく、その他の材質から形成されていてもよい。
【0013】
<圧力室形成板>
図2に示されるように、吐出ヘッド10は、複数の圧力室形成板61,62を備える。圧力室形成板61,62は、ノズル基板50の板厚方向においてノズル基板50のノズル面51とは反対側の面の上に積層されている。圧力室形成板61,62には、インクが流れる流路が形成されている。圧力室形成板61には、流路を形成する開口や溝が形成されている。また、圧力室形成板61,62には、図4に示されるように、複数の圧力室(液室)Cが形成されている。圧力室Cは、ノズルNに連通する。また、吐出ヘッド10は、圧力室Cの一つの面を形成する振動板(振動膜)を有していてもよい。複数の圧力室形成板61,62及びノズル基板50は、例えば接着されている。これらの圧力室形成板61,62及びノズル基板50の板厚方向は、Z軸方向に沿う。圧力室形成板62は、Z軸方向において、圧力室形成板61に対して、ノズル基板50とは反対側に積層されている。
【0014】
圧力室形成板61は、図2及び図3に示されるように、第1端面61a及び第2端面61bを有する。第1端面61aは、XZ面に沿う面であり、第2端面61bは、YZ面に沿う面である。第1端面61aは、ノズル基板50の長辺51aに沿って配置されている。第2端面61bは、ノズル基板50の短辺51bに沿って配置されている。Z軸方向に見て、第1端面61aは、ノズル基板50の長辺51aよりも外側に配置されている。Z軸方向に見て、第2端面61bは、ノズル基板50の短辺51bよりも外側に配置されている。なお、この場合の内側及び外側とは、Z軸方向に見て、ノズル基板50の外縁よりもノズル基板50の中心に近い方を内側とし、ノズル基板50の外縁よりもノズル基板50の中心から遠い方を外側とする。
【0015】
圧力室形成板62は、図2に示されるように、第1端面62a及び第2端面62bを有する。第1端面62aは、XZ面に沿う面であり、第2端面62bは、YZ面に沿う面である。第1端面62aは、ノズル基板50の長辺52aに沿って配置されている。第2端面61bは、ノズル基板50の短辺52bに沿って配置されている。Z軸方向に見て、第1端面62aは、ノズル基板50の長辺52aよりも外側に配置されている。Z軸方向に見て、第2端面62bは、ノズル基板50の短辺52bよりも外側に配置されている。
【0016】
<アクチュエータ>
吐出ヘッド10は、圧力室C内のインクの圧力を変化させる駆動素子の一例としてのアクチュエータを備える。アクチュエータは、例えば圧電素子(ピエゾ素子;Piezoelectric element)を含む。例えば、アクチュエータによる振動は、振動板を介して、圧力室C内のインクに伝達されて、インクの圧力が変動する。吐出ヘッド10は、圧力室C内のインクの圧力を変動させて、ノズルNからインクを吐出することができる。アクチュエータは、圧電素子とは異なる駆動素子を備えるものでもよい。
【0017】
<フレーム>
フレーム30は、図2に示されるように、圧力室形成板61,62を保持する。フレーム30は、複数の圧力室形成板61,62の上に配置された本体31と、本体31から張り出すフランジ32と、本体31から下方に突出するリブ40と、を有する。なお、Z軸方向において、本体31からノズル基板50に向かう方を下とし、ノズル基板50から本体31に向かう方向を上とする。リブ40は、例えば樹脂から形成されている。リブ40は、金属から形成されていてもよい。
【0018】
本体31の内部には、インクが流れる流路が形成されている。本体31の内部の流路は、圧力室形成板61,62の内部の流路に連通する。また、本体31の天面31aには、本体31の内部の流路に連通するインク供給口11が形成されている。インク供給口11から供給されたインクは、本体31の内部の流路を流れて、圧力室形成板61,62の内部の流路を流れて、圧力室Cに供給される。
【0019】
フランジ32は、X軸方向において、本体31から外側に張り出す。フランジ32は、X軸方向において、圧力室形成板61,62及びノズル基板50よりも外側に張り出すように形成されている。
【0020】
<リブ>
一対のリブ40は、フレーム30の一部分であり、Z軸方向において、フレーム30の本体31からノズル基板50のノズル面51に接近する方向に突出する部分である。図3に示されるように、一対のリブ40は、X軸方向(ノズル基板50の長手方向、第1方向)に離れて配置されている。一対のリブ40は、Y軸方向(ノズル基板50の短手方向、第2方向)に沿って配置されている。リブ40は、X軸方向において当該リブ40に近い方の、ノズル基板50の短辺51bから離れている。リブ40と、当該リブ40に近い方の短辺51bとの間には、隙間が形成されている。
【0021】
一対のリブ40は、Z軸方向に見て、ノズル基板50に対して、X軸方向における外側のみに形成されている。ノズル基板50に対して、Y軸方向における外側には、リブ40は形成されていない。
【0022】
リブ40は、圧力室形成板61,62の第2端面61b,62bを覆うように形成されている。リブ40は、X軸方向における外側から第2端面61b,62bを覆う。リブ40は、圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aを覆っていない。
【0023】
<リブの先端部とノズル面との位置関係>
図5に示されるように、リブ40の先端面(先端部)41は、Z軸方向において、ノズル基板50のノズル面51よりも、圧力室形成板61の底面61cに近い方に配置されている。圧力室形成板61の底面61cは、圧力室形成板61の板厚方向に対向する面のうち、ノズル基板50に近い方の面である。Z軸方向において、圧力室形成板61の底面61cからリブ40の先端面41までの長さL1は、底面61cからノズル面51までの長さL2よりも短い。Z軸方向において、リブ40の先端面41は、ノズル面51よりも張り出していない。
【0024】
<ノズル基板の幅>
図4に示されるように、ノズル基板50の幅W1は、圧力室形成板61の幅W2よりも狭い。ノズル基板50の幅W1は、ノズル基板50のY軸方向に沿う長さであり、一対の長辺51a間の長さである。圧力室形成板61の幅W2は、圧力室形成板61のY軸方向に沿う長さであり、一対の第1端面61a間の長さである。ノズル基板50の幅W1は、Y軸方向において、圧力室形成板61のうち圧力室Cが形成されている領域の幅W3よりも大きい。圧力室Cが形成されている領域の幅W3は、Y軸方向において、圧力室Cの外側の端(内壁面)間の長さである。Y軸方向において、幅W3よりも外側には、圧力室Cは形成されていない。
【0025】
<リブの幅>
図3に示されるように、リブ40の幅W4は、ノズル基板50の幅W1よりも大きい。リブ40の幅W4は、リブ40のY軸方向における長さである。リブ40の幅W4は、圧力室形成板61の幅W1と同じである。ここでいう「同じ」とは略同じを含む。略同じは、幅W1の1/5以下程度の差異は許容することを意味する。リブ40の幅W4は、リブ40の先端面41のY軸方向における長さでもよい。リブ40は、Y軸方向において連続するように形成されている。リブ40は、Y軸方向において、ノズル基板50の角50cよりも外側まで連続するように形成されている。ノズル基板50の角50cは、Z軸方向に見て、ノズル面51の長辺51aと短辺51bとが交差する角である。
【0026】
<FPC>
図1及び図6に示されるように、吐出ヘッド10は、フレキシブル配線基板であるFPC(Flexible Printed Circuit)70を備える。FPC70は、アクチュエータ(圧電素子)に電気的に接続されている。FPC70には、アクチュエータを駆動するための駆動ICが搭載されている。駆動ICは、アクチュエータに駆動波形を出力する。
【0027】
FPC70は、圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aを覆うように配置されている。第1端面61a,62aは、リブ40が形成されていない位置に配置された側面である。FPC70は、Y軸方向において、フレーム30の本体31の側面を覆うように配置されている。
【0028】
<第1実施形態の吐出ヘッドの作用効果>
第1実施形態に係る吐出ヘッド10では、フレーム30は、ノズル基板50の板厚方向において、ノズル面51に接近する方向に突出するリブ40を有し、リブ40は、ノズル基板50の板厚方向に見て、ノズル基板50に対して、ノズル基板50の長手方向に沿う第1方向における外側のみに形成されている。
【0029】
このような吐出ヘッド10によれば、リブ40がノズル基板50に対してX軸方向における外側のみに形成され、Y軸方向における外側に形成されていないことにより、吐出ヘッド10のY軸方向に沿う幅を小さくできる。そのため、Y軸方向における外側に、リブが形成されている構成と比較して、吐出ヘッド10では、その外形の小型化が図られている。また、フレーム30は、一対のリブ40を有することにより、フレーム30の剛性が確保されている。そのため、フレーム30は、安定して圧力室形成板61,62及びノズル基板50を保持できる。なお、吐出ヘッド10において、リブ40は、ノズル基板50に対してX軸方向における両側に設けられていてもよく、片側のみに設けられていてもよい。
【0030】
また、吐出ヘッド10では、リブ40は、Z軸方向に見て、ノズル基板50に対して、X軸方向における外側のみに配置され、Y軸方向に沿って連続するよう形成されている。この構成の吐出ヘッド10では、Y軸方向に沿って連続するリブ40により、圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aを覆うことができるので、圧力室形成板61,62を保護することができる。
【0031】
また、吐出ヘッド10では、リブ40は、Y軸方向において、ノズル基板50の角50cよりも外側まで形成されているので、ノズル基板50の角cを保護することができる。吐出ヘッド10の外部の他の物体が、ノズル基板50の角cに当たる可能性が低減される。そのため、ノズル基板50の角50cの損傷が抑制される。ノズル基板50のうち、最も弱い部分である角50cを保護できる。
【0032】
また、吐出ヘッド10では、リブ40は、圧力室形成板61の板厚方向において、ノズル基板50に向かって突出し、リブ40の先端面41は、ノズル面51よりも圧力室形成板61に近い位置に配置されている。この構成の吐出ヘッド10では、Z軸方向において、リブ40の先端面41は、ノズル面51よりも上方に配置され、ノズル面51よりも下方に突出していない。これにより、ノズル面51に対して、ワイピング処理を実行する際に、リブ40が邪魔にならない。そのため、ノズル面51における異物の付着を抑制できる。異物としては、印刷媒体である紙から分離した紙片や、インク滴等が挙げられる。ワイピング処理は、ノズル面51に対してワイパー等を相対的に移動させて、ノズル面51をクリーニングする処理である。
【0033】
また、吐出ヘッド10は、アクチュエータと電気的に接続されるFPC70を備え、FPC70は、ノズル基板50の板厚方向に見て、リブ40が形成されていない位置に配置され、圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aを覆うように配置されている。この構成の吐出ヘッド10によれば、リブ40によって覆われていない圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aに電気系の部品を接続することができる。FPC70は、吐出ヘッド10の小型化の妨げにならない。
【0034】
また、吐出ヘッド10では、ノズル基板50は、ノズル基板50の板厚方向に見て、圧力室Cを覆うように配置され、圧力室形成板61の外形よりも小さい外形52を有する。この構成の吐出ヘッド10では、ノズル基板50が圧力室形成板61よりも外側に張り出さない。
【0035】
<第2実施形態に係る液体吐出ヘッド>
次に、図7を参照して、第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて説明する。図7は、第2実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける圧力室形成板の第2端面とリブとの間の隙間を示す拡大側面図である。第2実施形態に係る吐出ヘッド10Bが、第1実施形態に係る吐出ヘッド10と違う点は、圧力室形成板61,62の第2端面61b,62bとリブ40との間に隙間Gが形成されている点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0036】
吐出ヘッド10Bでは、Y軸方向において、圧力室形成板61,62の第2端面61b,62bと、リブ40との間に隙間Gが形成されている。隙間Gには、例えば接着剤が充填される。隙間Gに充填される接着剤は、例えば熱硬化性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、加熱することにより硬化して、ノズル基板50及び圧力室形成板61,62と、リブ40とを接着することができる。
【0037】
例えば、熱硬化性樹脂を加熱する際に、ノズル基板50、圧力室形成板61,62、及びリブ40間の線膨張差が生じることにより、圧力室形成板61,62の第2端面61b,62bに残留応力が生じるおそれがある。吐出ヘッド10Bでは、隙間Gが形成されているので、圧力室形成板61,62とノズル基板50との間の線膨張差を許容することができ、残留応力の発生を抑制できる。吐出ヘッド10Bでは、圧力室形成板61,62において、残留応力の発生が抑制されるので、ノズル基板50及び圧力室形成板61,62におけるひずみの発生を抑制できる。その結果、吐出ヘッド10では、吐出ヘッド10の変形が抑制されることにより、吐出特性を安定させることができ、品質安定化を図ることができる。
【0038】
<第3実施形態に係る液体吐出ヘッド>
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて説明する。図8は、第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの底面図である。図8に示される第3実施形態に係る吐出ヘッド10Cが、図3に示される第1実施形態の吐出ヘッド10と違う点は、ノズル基板50に対して、X軸方向における外側に配置されたリブ40に代えて、Y軸方向における外側に配置されたリブ40Cを備える点である。なお、第3実施形態の吐出ヘッド10Cの説明において、上記の第1及び第2実施形態の吐出ヘッド10と同様の説明について省略する。
【0039】
吐出ヘッド10Cは、一対のリブ40Cを有するフレーム30Cを備える。一対のリブ40Cは、Y軸方向において互いに離れて配置されている。リブ40Cは、先端面41Cを有する。先端面41Cは、Z軸方向において、ノズル基板50のノズル面51よりも、圧力室形成板61に近い位置に配置されている。先端面41Cは、Z軸方向において、ノズル面51よりも張り出していない。
【0040】
一対のリブ40Cは、Z軸方向に見て、ノズル基板50に対して、Y軸方向における外側のみに配置されている。リブ40Cは、Z軸方向に見て、ノズル基板50に対して、X軸方向における外側に配置されていない。一対のリブ40Cは、X軸方向に沿って連続するように形成されている。リブ40Cは、X軸方向において、ノズル基板50の角50cよりも外側まで連続している。
【0041】
また、吐出ヘッド10Cでは、Z軸方向に見て、リブ40Cが形成されていない位置にFPC70が配置されていてもよい。例えば、FPC70は、圧力室形成板61,62の第2端面61b,62bを覆うように配置されていてもよい。
【0042】
このような第3実施形態に係る吐出ヘッド10Cおいても、上記の第1実施形態に係る吐出ヘッド10と同様の作用効果を奏する。また、吐出ヘッド10Cにおいて、リブ40Cは、ノズル基板50に対してY軸方向における両側に設けられてもよく、片側のみに設けられていてもよい。
【0043】
なお、第3実施形態に係る吐出ヘッド10Cにおいて、圧力室形成板61,62の第1端面61a,62aとリブ40Cとの間に、隙間Gが形成されていてもよい。この隙間Gには、熱硬化性樹脂が充填されていてもよい。
【0044】
<第4実施形態に係る液体吐出ヘッドモジュール>
次に、図9を参照して、第4実施形態に係る液体吐出ヘッドモジュールについて説明する。図9は、第4実施形態に係る液体吐出ヘッドモジュールの底面図である。なお、第4実施形態のヘッドモジュール(液体吐出ヘッドモジュール)20の説明において、上記の第1実施形態の吐出ヘッド10と同様の説明について省略する。
【0045】
ヘッドモジュール20は、複数の吐出ヘッド10を備える。複数の吐出ヘッド10はY軸方向に並んでいる。吐出ヘッド10の長手方向は、X軸方向に沿う。ヘッドモジュール20は、複数の吐出ヘッド10を保持するホルダー21を有する。ホルダー21は、例えば、吐出ヘッド10のフランジ32を保持してもよい。
【0046】
ヘッドモジュール20では、Z軸方向に見てノズル基板50に対してX軸方向の外側のみにリブ40が形成されている。ヘッドモジュール20では、Z軸方向に見てノズル基板50に対してY軸方向の外側にリブ40が形成されていない。そのため、複数の吐出ヘッド10を備えるヘッドモジュール20は、Y軸方向における幅W5が狭い。ヘッドモジュール20では、従来技術に係るヘッドモジュールと比較して、小型化が図られている。
【0047】
なお、ヘッドモジュール20は、複数の吐出ヘッド10に代えて、複数の吐出ヘッド10Bを備える構成でもよく、複数の吐出ヘッド10Cを備える構成でもよい。
【0048】
<比較例に係る液体吐出ヘッドモジュール>
次に、図10を参照して、比較例に係る液体吐出ヘッドモジュールについて説明する。図10は、比較例に係るヘッドモジュールの底面図である。図10に示される比較例に係るヘッドモジュール2は、複数の吐出ヘッド1を備える。ヘッドモジュール2は、複数の吐出ヘッド1を保持するホルダー6を備える。比較例に係る吐出ヘッド1は、Z軸方向に見て、ノズル基板5の全周を囲むようにリブ4が形成されている。リブ4は、ノズル基板5に対して、X軸方向における外側、及びY軸方向における外側に形成されている。
【0049】
比較例に係る吐出ヘッド1では、ノズル基板5の全周を囲むようにリブ4が形成されているので、吐出ヘッド1の小型化を図ることができない。比較例に係るヘッドモジュール2のY軸方向に沿う幅W6は、ヘッドモジュール20の幅W5よりも広い。複数の吐出ヘッド10を備えるヘッドモジュール20は、比較例に係るヘッドモジュール2と比較して小型化が図られている。
【0050】
<第5実施形態に係る液体吐出装置>
次に、図11を参照して、第5実施形態に係る液体吐出装置について説明する。図11は、第5実施形態に係る液体吐出装置を示す概略図である。第5実施形態に係る液体吐出装置200は、上記の第1実施形態に係る複数の吐出ヘッド10を有するヘッドモジュール20を備える。なお、第5実施形態の説明において、上記の第1~第4実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0051】
図11に示す液体吐出装置200は、例えばオンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置でもよい。なお、液体吐出装置200は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能又はスキャナ機能等を有するMFP(Multifunction Peripheral)であってもよい。あるいは、液体吐出装置200は、両面印刷機能を有してもよい。液体吐出装置200は、電子写真方式により画像形成を行うものであってもよい。
【0052】
液体吐出装置200は、記録媒体PPに対してインクを付与して所要の印刷を行う。液体吐出装置200は、ドラム210、ヘッドモジュール20、入口シリンダ234、及び出口シリンダ235を備える。入口シリンダ234は、記録媒体PPをドラム210に供給する。出口シリンダ235は、ドラム210によって搬送された記録媒体PPを排出する。ドラム210は、液体吐出ヘッドモジュールへ記録媒体PPを搬送する搬送部の一例である。
【0053】
ヘッドモジュール20は、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを含む。なお、ヘッドモジュール20A,20B,20C,20D,20Eを区別しない場合には、ヘッドモジュール20と記載する。ヘッドモジュール20は、記録媒体PPに画像を形成する画像形成部である。
【0054】
ヘッドモジュール20Aは、シアン(C)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Bは、マゼンタ(M)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Cは、イエロー(Y)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Dは、ブラック(K)のインクを吐出する。ヘッドモジュール20Eは、その他の特殊なインクを吐出してもよい。特殊なインクとしては、例えば、白色のインク、金色のインク、銀色のインクなどが挙げられる。
【0055】
複数のヘッドモジュール20は、ドラム210の外周面210aに沿って配置されている。ヘッドモジュール20は、ドラム210の径方向において、外周面210aと隙間を空けて配置されている。記録媒体PPは、ドラム210の外周面210a上に配置され、ドラム210の回転に伴ってドラム210の周方向に搬送される。
【0056】
ドラム210の外周面には、記録媒体PPを保持する記録媒体グリッパが設けられている。ドラム210の外周面には、複数の吸引穴が分散して形成されている。ドラム210は、吸引穴からドラム210の内部に向かう吸い込み気流を発生されることにより、記録媒体PPをドラム210の外周面に保持する。ドラム210は、記録媒体PPを保持した状態で、回転することにより、記録媒体PPをヘッドモジュール20に対向する位置へ搬送する。記録媒体PPは、ドラム210の外周面とヘッドモジュール20との間に配置される。
【0057】
ヘッドモジュール20の各々は、記録媒体PPに対してインクを吐出することにより、記録媒体PPの表面に画像を形成する。液体吐出装置200は、画像が形成された後の記録媒体PPを排出する。
【0058】
なお、記録媒体PPは、紙の媒体でもよく、その他の媒体でもよい。記録媒体PPは、シート材でもよく、シート材はカットシート材でもよい。シート材は例えば壁紙などの大判のシート材でもよい。
【0059】
なお、本実施形態の液体吐出装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置でもよい。そのため、ヘッドモジュール20の複数の記録ヘッド23は、記録媒体PPの搬送方向と直交する方向に並べられて設けられている。液体吐出装置200は、ライン走査型インクジェット記録装置への適用に限らず、その他の方式を用いた記録装置にも適用可能である。その他の方式の記録装置として、例えば、記録ヘッドが、主走査方向に移動しながら、記録媒体の表面に画像を形成するシリアル走査型プリンタがある。主走査方向は、例えばX軸方向に沿う。
【0060】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0061】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
【0062】
<1>
液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル基板と、
前記ノズルに連通する圧力室を形成し、前記ノズル基板の板厚方向において前記ノズル基板の前記ノズル面とは反対側の面に積層される圧力室形成板と、
前記圧力室の液体の圧力を変化させる駆動素子と、
前記圧力室形成板の側面を覆うように配置され、前記圧力室形成板を保持するフレームと、を備え、
前記フレーム部は、前記ノズル基板の板厚方向において、前記ノズル面に接近する方向に突出するリブを有し、
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板の長手方向に沿う第1方向における前記ノズル基板の外側、又は、前記ノズル基板の短手方向に沿う第2方向における前記ノズル基板の外側、のどちらか一方のみに形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
<2>
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板に対して、前記第1方向における外側のみに配置され、前記第2方向に沿って連続するよう形成されていることを特徴とする上記の<1>に記載の液体吐出ヘッド。
<3>
前記リブは、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板に対して、前記第2方向における外側のみに配置され、前記第1方向に沿って連続するように形成されていることを特徴とする上記の<1>に記載の液体吐出ヘッド。
<4>
前記リブは、前記圧力室形成板の板厚方向において、前記ノズル基板に向かって突出し、
前記リブの先端は、前記ノズル面よりも前記圧力室形成板に近い位置に配置されていることを特徴とする上記の<1>~<3>の何れか一つに記載の液体吐出ヘッド。
<5>
前記駆動素子と電気的に接続される配線基板を備え、
前記配線基板は、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記リブが形成されていない位置に配置され、前記圧力室形成板の側面を覆うように配置されていることを特徴とする上記の<1>~<4>の何れか一つに記載の液体吐出ヘッド。
<6>
前記ノズル基板は、前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記圧力室を覆うように配置され、前記圧力室形成板の外形よりも小さい外形を有することを特徴とする上記の<1>~<5>の何れか一つに記載の液体吐出ヘッド。
<7>
前記ノズル基板の板厚方向に見て、前記ノズル基板と前記リブとの間には隙間が形成されていることを特徴とする上記の<1>~<6>の何れか一つに記載の液体吐出ヘッド。
<8>
上記の<1>~<7>の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドを備え、
複数の前記液体吐出ヘッドを搭載することを特徴とする液体吐出ヘッドモジュール。
<9>
上記の<8>に記載の液体吐出モジュールと、
前記液体吐出ヘッドモジュールへ記録媒体を搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【符号の説明】
【0063】
200 液体吐出装置
10,10B,10C 吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
11 インク供給口
20 ヘッドモジュール(液体吐出ヘッドモジュール)
30,30C フレーム
40,40C リブ
41,41C 先端面(先端部)
50 ノズル基板
51 ノズル面
52 外形
61,62 圧力室形成板
61a,62a 第1端面(側面)
201 ドラム(搬送部)
C 圧力室
N ノズル
X X軸方向(第1方向、ノズル基板の長手方向)
Y Y軸方向(第2方向、ノズル基板の短手方向)
Z Z軸方向(ノズル基板の板厚方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2020-199685号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11