(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037217
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】水蒸気分圧測定装置
(51)【国際特許分類】
F27D 7/06 20060101AFI20240312BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F27D7/06 C
F27D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141885
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】仲村 仁
(72)【発明者】
【氏名】奥 政行
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 知倫
(72)【発明者】
【氏名】仁科 克一
(72)【発明者】
【氏名】金谷 日出和
(72)【発明者】
【氏名】大迫 千峰一
(72)【発明者】
【氏名】畑田 武宏
【テーマコード(参考)】
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K056AA12
4K056CA10
4K056CA18
4K056FA15
4K063AA06
4K063AA15
4K063BA04
4K063BA12
4K063CA03
4K063DA06
4K063DA17
4K063DA34
(57)【要約】
【課題】焼成炉内の水蒸気分圧を連続的かつ簡便に測定できる水蒸気分圧測定装置を提供する。
【解決手段】焼成炉F内の水蒸気分圧を測定する装置であって、焼成炉F内の気体を外部に排出する排出流路11と、排出流路11に設けられた露点計12と、排出流路11内の気体の流量を測定する流量計13と、排出流路11に設けられた酸素濃度計16と、酸素濃度計16が測定した酸素濃度と、露点計12が測定した露点温度と、流量計13が測定した流量と、に基づいて、気体の水蒸気分圧と酸素分圧を算出する制御部20と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成炉内の水蒸気分圧を測定する装置であって、
焼成炉内の気体を外部に排出する排出流路と、
該排出流路に設けられた露点計と、
前記排出流路内の気体の流量を測定する流量計と、
該排出流路に設けられた酸素濃度計と、
該酸素濃度計が測定した酸素濃度と、前記露点計が測定した露点温度と、前記流量計が測定した流量と、に基づいて、気体の水蒸気分圧を算出する制御部と、を備えている
ことを特徴とする水蒸気分圧測定装置。
【請求項2】
前記排出流路は、
前記排出流路における焼成炉と前記露点計との間に接続された分岐流路を備えており、
該分岐流路に酸素濃度計が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の水蒸気分圧測定装置。
【請求項3】
前記排出流路における焼成炉と前記露点計との間の部分を加熱する加熱手段を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の水蒸気分圧測定装置。
【請求項4】
前記分岐流路において、前記酸素濃度計よりも上流側に、気体に含まれる水分を除去する水分除去部を設けている
ことを特徴とする請求項2記載の水蒸気分圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気分圧測定装置に関する。さらに詳しくは、焼成炉内の水蒸気分圧を測定する水蒸気分圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の原料を反応させて所望の製品を生成する際には、焼成炉が使用される場合がある。例えば、焼成炉内に複数の原料を供給した状態で所定の温度まで加熱すると、原料が反応して所望の製品を得ることができる。
【0003】
ところで、焼成炉において複数の原料から所望の製品を得る場合、酸素分圧や水蒸気分圧が製造される製品の性質に影響を与える。このため、安定した品質の製品を生成するために、焼成炉に供給する気体の酸素分圧や水蒸気分圧を調整して、焼成炉内の酸素分圧や水蒸気分圧を調整している(例えば特許文献1)。
【0004】
焼成炉内では、複数の原料が反応する際に酸素が消費されたり水蒸気が発生したりするので、焼成炉の酸素分圧や水蒸気分圧を調整するためには、焼成炉内の酸素分圧や水蒸気分圧を測定することが必要になる。
【0005】
焼成炉の水蒸気分圧の測定は、例えば、以下の方法で実施している。
まず、焼成炉内の気体を吸い出して、吸い出した気体を塩化カルシウムに通過させる。すると、気体中の水分が塩化カルシウムに吸着されるので、吸着前後の塩化カルシウムの重量から気体に含まれている水分量を測定する。この水分量と吸い出した気体の流量を用いれば、気体の水蒸気分圧、つまり、焼成炉内の水蒸気分圧を推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、従来の方法では、水蒸気分圧の推定に必要な量の水分(例えば0.01~6.00g程度)を塩化カルシウムに吸着させなければならず、また、水分が吸着された塩化カルシウムの重量を測定しなければならない。このため、焼成炉内の水蒸気分圧はバッチ処理で推定することになり、焼成炉内の水蒸気分圧を連続して把握することはできない。しかも、焼成炉内の水蒸気分圧を推定するためには、ある程度の時間(例えば一回の測定あたり20分×7回程度)を要する。水蒸気分圧の推定に時間がかかると、焼成炉内の雰囲気の変化を把握するまでに時間を要することとなるため、その間に生成された製品には不具合が発生する可能性があり、製品をロスすることになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、焼成炉内の水蒸気分圧を連続的かつ簡便に測定できる水蒸気分圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のガス排出機構は、焼成炉内の水蒸気分圧を測定する装置であって、焼成炉内の気体を外部に排出する排出流路と、該排出流路に設けられた露点計と、前記排出流路内の気体の流量を測定する流量計と、該排出流路に設けられた酸素濃度計と、該酸素濃度計が測定した酸素濃度と、前記露点計が測定した露点温度と、前記流量計が測定した流量と、に基づいて、気体の水蒸気分圧を算出する制御部と、を備えていることを特徴とする。
第2発明のガス排出機構は、第1発明において、前記排出流路は、前記排出流路における焼成炉と前記露点計との間に接続された分岐流路を備えており、該分岐流路に酸素濃度計が設けられていることを特徴とする。
第3発明のガス排出機構は、第1または第2発明において、前記排出流路における焼成炉と前記露点計との間の部分を加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする。
第4発明のガス排出機構は、第2または第3発明において、前記分岐流路において、前記酸素濃度計よりも上流側に、気体に含まれる水分を除去する水分除去部を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、焼成炉内の気体を連続して排出しながら、気体の水蒸気分圧を推定できるので、焼成炉内の水蒸気分圧を連続して把握できる。したがって、焼成炉内の水蒸気分圧の変化に起因する製品の品質の変化を防止できる。
第2発明によれば、酸素濃度計による酸素濃度を測定する気体と露点計による露点温度を測定する気体の測定状態を同じ状態にすることができるので、焼成炉内の水蒸気分圧を精度よく把握できる。
第3発明によれば、露点計による露点温度の測定精度を高くできる。
第4発明によれば、酸素濃度計による酸素濃度の測定精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の水蒸気分圧測定装置10の概略説明図である。
【
図3】実験結果を示した図であり、(A)は測定結果の表であり、(B)は測定結果をグラフ化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の水蒸気分圧測定装置は、焼成炉内の気体の水蒸気分圧を測定する装置であって、水蒸気分圧を連続して測定できるようにしたことに特徴を有するものである。
【0013】
本実施形態の水蒸気分圧測定装置を使用して焼成炉内の気体の水蒸気分圧を測定しながら製造される製品は、例えば、酸化物超電導線材,アルミナ多孔体等を挙げることができるが、とくに限定されない。
【0014】
<本実施形態の水蒸気分圧測定装置10>
図1において、符号Fは、本実施形態の水蒸気分圧測定装置10によって内部の気体の水蒸気分圧が測定される焼成炉を示している。この焼成炉Fは、図示しないが、内部に酸素や大気等の気体を供給する気体供給配管と、内部から気体を排気する排気用配管が設けられている。焼成炉Fでは、気体供給配管から供給する気体の流量と排気用配管から排気する気体の流量を調整することによって、焼成炉F内の雰囲気、つまり、製品を製造するための雰囲気を調整できるようになっている。
【0015】
<排出流路11>
図1に示すように、本実施形態の水蒸気分圧測定装置10は、焼成炉Fの排気用配管に連通された排出流路11を備えている。この排出流路11は、排気用配管を介して、焼成炉Fの内部と外部と間を連通する配管である。この排出流路11には、ポンプなどの送気手段11pが設けられており、送気手段11pを作動することによって、排出流路11を通して焼成炉F内の気体を外部に排出できるようになっている。
【0016】
<露点計12>
排出流路11において、焼成炉Fと送気手段11pとの間には、露点計12が設けられている。この露点計12は、排出流路11内の気体の露点温度(相対湿度(RH「%」)と温度とを測定することができるものである。つまり、露点計12は、送気手段11pを作動して焼成炉F内の気体を排出流路11内に流せば、露点計12の位置を通過する気体の露点温度(相対湿度(RH「%」)と温度とを連続して測定することができるものである。この露点計12は、排出流路11内を流れる気体の露点温度(相対湿度(RH「%」)と温度とを連続して測定できるものであればよく、市販されている一般的な露点計を使用することができる。
【0017】
<流量計13>
排出流路11において送気手段11pよりも下流側の部分には流量計13が設けられている。この流量計13は、排出流路11内を流れる気体の流量を測定するものであり、市販されている一般的な流量計13を使用することができる。
【0018】
なお、送気手段11pの作動状態等から排出流路11内を流れる気体の流量が把握できる場合や、送気手段11pが流量計を有している場合には、必ずしも流量計13は設けなくてもよい。この場合、送気手段11pや送気手段11pの流量計が、特許請求の範囲にいう流量計に相当するものとなる。
【0019】
<加熱手段14>
排出流路11において焼成炉Fと露点計12との間の部分には、加熱手段14が設けられている。この加熱手段14は、例えば、ヒータやスチームトレース等であり、焼成炉Fから吸い出された気体を加熱して、排出流路11内で気体中の水分が結露することを防止するために設けられている。この加熱手段14は、以下の目的で設けられる。
【0020】
焼成炉Fから吸い出された気体は非常に高温になっているので、気体が排出流路11内に流入すると冷却されて気体中の水分が結露する可能性がある。気体が露点計12に到達する前に気体中の水分が排出流路11内で結露すれば、露点計12が測定する露点温度が変化してしまう。すると、後述する制御部20で算出される水蒸気分圧の値が焼成炉F内の水蒸気分圧からズレてしまうという問題が生じる。しかし、排出流路11における焼成炉Fと露点計12との間の部分に加熱手段14を設ければ、気体が露点計12に到達する前に気体中の水分が排出流路11内で結露することを防止でき、上記のような問題を防止することができる。
【0021】
なお、焼成炉Fと露点計12との距離が短い場合、つまり、排出流路11において焼成炉Fと露点計12との間の部分の長さが短い場合であって、焼成炉Fと露点計12との間では結露が生じないと考えられる場合には、必ずしも加熱手段14は設けなくてもよい。この場合でも、結露を防止するために、排出流路11において焼成炉Fと露点計12との間の部分に断熱材を設けて保温するようにしておくことが望ましい。
【0022】
<水分除去部11d>
排出流路11において、露点計12と送気手段11pとの間の部分には、水分除去部11dが設けられている。この水分除去部11dは、露点計12を通過した気体から水分を除去する機能を有するものである。水分除去部11dの構造や水分を除去する方法はとくに限定されない。水分除去部11dとして、例えば、排出流路11の途中に排出流路11の配管径よりも広い空間(例えばドレンポット)を設けて、この空間内で気体中の水蒸気を液滴として除去してもよい。
【0023】
なお、水分除去部11dは必ずしも設けなくてもよいが、水分除去部11dを設ければ、水蒸気分圧測定装置10内に溜まった水分を除去するために装置を停止する必要が無くなるので連続測定が可能になるなど、操業やメンテナンスの点で望ましい。
【0024】
<分岐流路15>
図1に示すように、排出流路11において、焼成炉Fと露点計12との間の部分には、分岐流路15の一端が接続されている。この分岐流路15は、排出流路11内を流れる気体の一部を流す流路であり、その他端から気体を外部に排出できるようになっている。
【0025】
なお、
図1の例では、分岐流路15には、ポンプなどの送気手段は設けられていないが、分岐流路15に送気手段を設けてもよい。しかし、分岐流路15は、焼成炉F内の酸素濃度等の安定雰囲気の測定を目的として設けられているものであり、分岐流路15内の気体には流速は必要ないので、排出流路11内の気体を分岐流路15に流すことができればよく、分岐流路15には、ポンプなどの送気手段は設けなくてもよい。
【0026】
<酸素濃度計16>
分岐流路15には、酸素濃度計16が設けられている。この酸素濃度計16は、分岐流路15内の気体の酸素濃度を測定することができるものである。つまり、酸素濃度計16は、排出流路11から分岐されて分岐流路15に流入し酸素濃度計16の位置を通過する気体の酸素濃度を連続して測定することができるものである。この酸素濃度計16は、分岐流路15内を流れる気体の酸素濃度を連続して測定できるものであればよく、市販されている一般的な酸素濃度計を使用することができる。
【0027】
<水分除去部15d>
分岐流路15において、排出流路11と酸素濃度計16との間の部分には、水分除去部15dが設けられている。この水分除去部15dは、酸素濃度計16に供給される気体から水分を除去する機能を有するものである。水分除去部15dの構造や水分を除去する方法はとくに限定されない。水分除去部15dとして、例えば、分岐流路15の途中に分岐流路15の配管径よりも広い空間(例えばドレンポット)を設けて、この空間内で気体中の水蒸気を液滴として除去してもよい。
【0028】
なお、水分除去部15dは必ずしも設けなくてもよい。水分除去部11dを設ければ、酸素濃度計16による酸素濃度の測定値が気体中の水分の影響を受けにくくなるので、酸素濃度の測定精度を高くできる。
【0029】
<分岐流路15の保温について>
分岐流路15において排出流路11と酸素濃度計16との間の部分には、断熱材を設けて保温するようにしておくことが望ましい。断熱材を設けて保温しておけば、結露等の問題が生じることを防止できる。
【0030】
<制御部20>
図1に示すように、上述した送気手段11p、露点計12、流量計13および酸素濃度計16は制御部20に電気的に接続されている。この制御部20は、送気手段11pの作動を制御する機能、つまり、焼成炉F内の気体を吸い出す量やタイミングなどを制御できる機能を有している。
【0031】
また、制御部20は、露点計12、流量計13および酸素濃度計16が測定した測定値を用いて、気体の水蒸気分圧を算出する機能を有している。具体的には、露点計12が測定した気体の露点温度(相対湿度(RH「%」)および温度(T)と、流量計13が測定した流量と、酸素濃度計16が測定した酸素濃度と、に基づいて、以下の式(1)で演算した飽和水蒸気気圧(Pswv(hPa))を用いて、式(2)で気体の水蒸気分圧(PH2O(hPa))を算出する機能を有している。
式(1)Pswv=A×10m×T/(T+Tn)
式(2)PH2O=Pswv×RH/100
なお、A、m、Tnは定数であり、温度範囲+50℃~+100℃において、A=6.004918、m=7.337936、Tn=229.3975である。
【0032】
なお、制御部20は、気体の水蒸気分圧だけでなく、気体の酸素蒸気分圧を算出する機能を有していてもよい。気体の酸素蒸気分圧(PO2)は、1気圧の圧力1013.25(hPa)と前述の水蒸気分圧PH2Oに基づいて、以下の式(3)で算出することができる。
式(3)PO2=1013.25-PH2O
また、制御部20は、気体の水蒸気分圧PH2Oを酸素濃度計16が測定した酸素濃度と流量計13が測定した流量に基づいて推定する機能を有していてもよい。
【0033】
本実施形態の水蒸気分圧測定装置10が以上のような構造を有しているので、送気手段11pによって連続して焼成炉F内の気体を吸い出せば、排出流路11を通過する気体の露点温度および流量を露点計12および流量計13によって測定することができる。また、分岐流路15を通過する気体の酸素濃度を酸素濃度計16によって測定することができる。すると、制御部20が、露点計12が測定した露点温度と、流量計13が測定した流量と、酸素濃度計16が測定した酸素濃度と、に基づいて、気体の水蒸気分圧を算出するので、焼成炉F内の水蒸気分圧を把握できる。
【0034】
しかも、送気手段11pによって連続して焼成炉F内の気体を吸い出して、連続して露点温度等を測定すれば、連続して焼成炉F内の水蒸気分圧を把握できる。把握した焼成炉F内の水蒸気分圧に基づいて気体供給配管から供給する気体の流量と排気用配管から排気する気体の流量を調整すれば、焼成炉F内の水蒸気分圧が変化しすぐに(または短時間で)焼成炉F内の水蒸気分圧を所定の水蒸気分圧(つまり製品の製造に適した水蒸気分圧)に調整することができる。したがって、焼成炉F内で製造される製品の品質の変化を抑えることができる。つまり、焼成炉F内の水蒸気分圧の把握や焼成炉F内の水蒸気分圧の調整が遅れたことに起因する製品の品質の変化や製品のロスを防止できる。
【0035】
なお、制御部20が焼成炉F内の水蒸気分圧だけでなく気体の酸素蒸気分圧を算出する機能を有していれば、焼成炉F内気体の水蒸気分圧だけでなく気体の酸素蒸気分圧も調整できる。つまり、より適切に焼成炉F内の雰囲気を調整できるので、焼成炉F内で製造される製品の品質の変化をより確実に抑えることができる。
【0036】
<酸素濃度計16の設置について>
上記例では、酸素濃度計16を、排出流路11から分岐する分岐流路15に設けた場合を説明したが、分岐流路15を設けずに、酸素濃度計16を排出流路11おける露点計12の上流側または下流側に設けてもよい。しかし、上記のように露点計12の上流側で分岐する分岐流路15を設けて、この分岐流路15に酸素濃度計16を設けることが望ましい。かかる構成とすれば、露点計12が測定する気体と酸素濃度計16が測定する気体の状態をほぼ同じ状態とすることができる。つまり、露点計12が測定する気体と酸素濃度計16が測定する気体をほぼ同じ状態とすることができるので、制御部20によって算出される焼成炉F内の水蒸気分圧の精度を高くできる。
【0037】
なお、露点計12が測定する気体と酸素濃度計16が測定する気体をほぼ同じ状態とする上では、排出流路11と分岐流路15との接続点から露点計12までの距離と、この接続点から酸素濃度計16までの距離が同じであることが望ましいが、両者の距離には若干の差(例えば100mm程度)の差があってもよい。
【0038】
また、分岐流路15を設けかつ分岐流路15に酸素濃度計16を設けた場合において、酸素濃度計16の上流側に水分除去部15dを設けると、露点計12が測定する気体中のン水分量と酸素濃度計16が測定する気体中の水分量が異なる状態となる。このため、露点計12が測定する気体と酸素濃度計16が測定する気体とは必ずしも同じ状態にならない。この場合でも、酸素濃度の測定への影響は無いため、露点計12が測定する気体と酸素濃度計16が測定する気体とをほぼ同じ状態とみなすことができる。
【実施例0039】
本発明の水蒸気分圧測定装置によって算出される水蒸気分圧が適切であることを確認した。
実験では、本発明の水蒸気分圧測定方法で得られる水蒸気分圧と、従来の水蒸気分圧測定装置で得られる水蒸気分圧と、を比較した。
【0040】
実験には、
図2に示す実験機を使用した。つまり、焼却炉内の気体を配管を通して吸引し、吸引した気体を本発明の水蒸気分圧測定装置の露点計および酸素濃度計に通したのち、露点計と酸素濃度計を通過した全ての気体を塩化カルシウム(粉末)を収容した容器を有する装置(従来装置)に通す実験機を使用した。かかる構成の実験機であれば、同じ気体を使用して、本発明の水蒸気分圧測定方法による水蒸気分圧の測定と、従来の水蒸気分圧測定装置による水蒸気分圧の測定と、を実施することができる。
【0041】
なお、上記実験機では、従来装置部分において塩化カルシウム(粉末)に水分を吸着させるため、本発明の水蒸気分圧測定装置部分における排出流路および分岐流路には水分除去部を設けていない。
【0042】
実験結果を
図3に示す。
従来の水蒸気分圧測定方法の実験結果は、1時間毎に水蒸気分圧を測定した結果を示しており、本発明の水蒸気分圧測定装置の実験結果は、従来の測定方法で測定したタイミングと同じタイミングの水蒸気分圧の測定結果を示している。
【0043】
図3に示すように、本発明の水蒸気分圧測定装置の測定結果から得られる水蒸気分圧と、従来の水蒸気分圧測定方法よって得られる水蒸気分圧は、ほぼ同等の値を示しており、最大誤差でも3.7%であった。
【0044】
以上の結果より、本発明の水蒸気分圧測定装置によって、従来の水蒸気分圧測定方法と同等の精度で水蒸気分圧を得ることができることが確認された。