(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037235
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】混合ガス製造装置及び混合ガス製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G01N1/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141919
(22)【出願日】2022-09-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・令和3年 9月 8日に、日本分析化学会第70年会の講演予稿集にて公開した。 ・令和3年 9月23日に、日本分析化学会第70年会にて、学会発表した。 ・令和3年11月29日に、Pacifichem2021の講演予稿集にて公開した。 ・令和3年12月20日に、Pacifichem2021にて、学会発表した。 ・令和4年 5月 2日に、第82回分析化学討論会の講演予稿集にて公開した。 ・令和4年 5月15日に、第82回分析化学討論会にて、学会発表した。
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「IoT 社会実現のための超微少量センシング技術開発/超微小量センシング信頼性評価技術開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】下坂 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AA39
2G052AB11
2G052AD23
2G052FD01
2G052FD17
2G052HC28
2G052JA08
(57)【要約】
【課題】混合ガスに含まれる水の濃度が目標とする水分濃度に制御された混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置を提供する。
【解決手段】混合ガス製造装置10は、目的化合物の濃度が目標濃度より高い混合ガスを調製する源ガス発生部Y0と、加湿ガスを供給する加湿ガス供給部X0と、目的化合物の濃度が目標濃度より高い第1混合ガスを加湿ガスで希釈する混合ガス希釈部W0と、を備える。加湿ガス供給部X0は、希釈ガスを加湿するための加湿容器HBと加湿容器HBに収容された水の温度を制御する温度制御手段CTWBと加湿容器内HBの圧力を制御する第1の圧力制御手段BPCとを備える加湿手段120と、加湿手段120に供給する希釈ガスの流量を制御する第2の流量制御手段MFC2を備え、混合ガス希釈部W0は、第1混合ガスの流量を制御する第1の流量制御手段MFC1を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的化合物を含み、前記目的化合物の濃度が目標とする濃度より高い混合ガスを調製する源ガス発生部と、
前記混合ガスを加湿する加湿ガスを供給する加湿ガス供給部と、
前記目的化合物の濃度が目標とする濃度より高い第1の濃度である第1混合ガスを前記加湿ガスで希釈する混合ガス希釈部と、を備える混合ガス製造装置であって、
前記加湿ガス供給部は、希釈ガスを加湿するための加湿容器と前記加湿容器に収容された水の温度を制御する温度制御手段と前記加湿容器内の圧力を制御する第1の圧力制御手段とを備える加湿手段と、前記加湿手段に供給する前記希釈ガスの流量を制御する第2の流量制御手段と、を備え、
前記混合ガス希釈部は、前記第1混合ガスの流量を制御する第1の流量制御手段を備えることを特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記第2の流量制御手段は、前記加湿手段の上流側に配置されていること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記加湿ガス供給部は、前記加湿ガスに含まれる水分量を測定する水分量測定手段をさらに備えること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記目的化合物の濃度が前記第1の濃度より高い第2の濃度である第2混合ガスを希釈する前記希釈ガスを供給する予備希釈部を備え、
前記予備希釈部は、前記希釈ガスの流量を制御する第3の流量制御手段を有すること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項5】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記第1の流量制御手段及び前記第2の流量制御手段は、マスフローコントローラーであること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項6】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記加湿容器は、第1の加湿容器と、第2の加湿容器と、を備えること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項7】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記源ガス発生部は、固相又は液相の前記目的化合物が収容された拡散管と、第2の圧力制御手段と、を備えること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項8】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記源ガス発生部は、前記目的化合物を含む気体が収容された高圧容器を備えること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項9】
請求項1に記載の混合ガス製造装置であって、
前記源ガス発生部は、固相、液相又は気相の前記目的化合物が収容されたパーミエーションチューブを備えること、を特徴とする混合ガス製造装置。
【請求項10】
目的化合物の濃度が第1の濃度である第1混合ガスを、単位時間当たりの流量を第1の流量に制御して供給する第1混合ガス供給工程と、
希釈ガスを加湿した加湿ガスを、加湿前の前記希釈ガスの供給量を基準に、単位時間当たりの流量を第2の流量に制御して供給する加湿ガス供給工程と、
前記第1混合ガス供給工程において供給された前記第1混合ガスと、前記加湿ガス供給工程において供給された前記加湿ガスとを混合する混合工程と、を備え、
前記加湿ガス供給工程は、内部の温度及び圧力が制御された加湿容器であって、内部に水が収容された加湿容器内で、前記希釈ガスをバブリングさせることにより前記希釈ガスを加湿すること、を特徴とする、混合ガス製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の混合ガス製造方法であって、
前記加湿ガス供給工程は、前記加湿ガスの露点と圧力を測定し、測定により得られた前記露点及び前記圧力から前記加湿ガスに含まれる水分量を演算する水分量演算工程を有することを特徴とする、混合ガス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合ガス製造装置及び混合ガス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体から放出されるガスには多様な揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下、「VOC」と記す。)が含まれ、それらのVOCを疾患の被験物質(バイオマーカー)として利用するための様々な研究が行われている。生体ガスに含まれる被験物質の濃度は、数nmol/mol若しくはそれ以下の微量であることが多いが、生体ガスは、被験物質に比べて桁違いに多量の水を含んでいる。生体ガスに含まれるVOCの濃度を、GC/MS、VOCセンサー等の測定機器で測定するとき、水は代表的な妨害成分であり、機器検出部に干渉などの影響を及ぼす。また、被験物質以外のVOCも、妨害成分として機器検出部に干渉などの影響を及ぼす。このため、生体ガスと同様な成分を含み、その成分の濃度が生体ガスのものに近い標準ガスを用いて、測定機器の校正を行うことが好ましい。
【0003】
一方、生体ガスと同様な成分を含む標準ガスは、多量の水を含むことになることから、加圧すると水が凝縮してしまうため、高圧容器、いわゆるボンベに充填して供給することができない。高圧容器に充填して標準ガスを供給する場合は、水をほとんど含まない乾燥した標準ガスしか供給できない。
【0004】
水を含む標準ガスが必要である場合は、混合ガス発生装置を用いて用時調製されているが、この従来の混合ガス発生装置においては、加温制御された水に希釈ガスをバブリングすることにより加湿を行っていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Martin Leidinger et al, Meas. Sci. Tecnol., 29, 015901(2018) 上記非特許文献には、マスフローコントローラーを用いて、目的化合物を含むガスと希釈ガスとを混合して混合ガスを製造する、混合ガス製造装置が記載されている。上記非特許文献には、室温よりわずかに低い温度に温度制御された恒温槽(洗瓶)に希釈ガスを通過させることにより、キャリアガスの一部を加湿することができる旨が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術の混合ガス製造装置においては、混合ガス中に含まれる水の濃度を、相対湿度100パーセントのような高い水分濃度の目標濃度にまで高めることができなかった。すなわち、従来技術においては、加温制御された水の中に、キャリアガスをバブリングさせることにより加湿を行っているが、目標の水分濃度が高い場合には、この方法では加湿ガスに含まれる水の濃度を目標濃度に制御することができなかった。このため、目標濃度が高い場合は、混合ガス中に含まれる水の濃度を目標濃度にまで高めた混合ガスを得ることができない、という課題があった。また、キャリアガスの流量を変更すると、加温制御された水の温度が一定であっても加湿ガスに含まれる水の濃度が変化してしまう、という課題があった。また、加湿後の希釈ガスの流量を正確に求めることができない、という課題があった。すなわち、従来技術の混合ガス製造装置で発生した混合ガスに含まれるVOCの濃度及び水分濃度を正確に求めることができない、という課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置を提供すること、若しくは、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる混合ガス製造方法を提供すること、又は、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とするVOCの濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる混合ガス製造方法を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の混合ガス製造装置においては、目的化合物を含み、前記目的化合物の濃度が目標とする濃度より高い混合ガスを調製する源ガス発生部と、前記混合ガスを加湿する加湿ガスを供給する加湿ガス供給部と、前記目的化合物の濃度が目標とする濃度より高い第1の濃度である第1混合ガスを前記加湿ガスで希釈する混合ガス希釈部と、を備える混合ガス製造装置であって、前記加湿ガス供給部は、希釈ガスを加湿するための加湿容器と前記加湿容器に収容された水の温度を制御する温度制御手段と前記加湿容器内の圧力を制御する第1の圧力制御手段とを備える加湿手段と、前記加湿手段に供給する前記希釈ガスの流量を制御する第2の流量制御手段と、を備え、前記混合ガス希釈部は、前記第1混合ガスの流量を制御する第1の流量制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
[2]本発明の混合ガス製造装置においては、前記第2の流量制御手段は、前記加湿手段の上流側に配置されていることが好ましい。
【0010】
[3]本発明の混合ガス製造装置においては、前記加湿ガス供給部は、前記加湿ガスに含まれる水分量を測定する水分量測定手段をさらに備えることが好ましい。
【0011】
[4]本発明の混合ガス製造装置においては、前記目的化合物の濃度が前記第1の濃度より高い第2の濃度である第2混合ガスを希釈する前記希釈ガスを供給する予備希釈部を備え、前記予備希釈部は、前記希釈ガスの流量を制御する第3の流量制御手段を有することが好ましい。
【0012】
[5]本発明の混合ガス製造装置においては、前記第1の流量制御手段及び前記第2の流量制御手段は、マスフローコントローラーであることが好ましい。
【0013】
[6]本発明の混合ガス製造装置においては、前記加湿容器は、第1の加湿容器と、第2の加湿容器と、を備えることが好ましい。
【0014】
[7]本発明の混合ガス製造装置においては、前記源ガス発生部は、固相又は液相の前記目的化合物が収容された拡散管と、第2の圧力制御手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
[8]本発明の混合ガス製造装置においては、前記源ガス発生部は、前記目的化合物を含む気体が収容された高圧容器を備えることが好ましい。
【0016】
[9]本発明の混合ガス製造装置においては、前記源ガス発生部は、固相、液相又は気相の前記目的化合物が収容されたパーミエーションチューブを備えることが好ましい。
【0017】
[10]本発明の混合ガスの製造方法においては、目的化合物の濃度が第1の濃度である第1混合ガスを、単位時間当たりの流量を第1の流量に制御して供給する第1混合ガス供給工程と、希釈ガスを加湿した加湿ガスを、加湿前の前記希釈ガスの供給量を基準に、単位時間当たりの流量を第2の流量に制御して供給する加湿ガス供給工程と、前記第1混合ガス供給工程において供給された前記第1混合ガスと、前記加湿ガス供給工程において供給された前記加湿ガスとを混合する混合工程と、を備え、前記加湿ガス供給工程は、内部の温度及び圧力が制御された加湿容器であって、内部に水が収容された加湿容器内で、前記希釈ガスをバブリングさせることにより前記希釈ガスを加湿させること、を特徴とする。
【0018】
[11]本発明の混合ガスの製造方法においては、前記加湿ガス供給工程は、前記加湿ガスの露点と圧力を測定し、測定により得られた前記露点及び前記圧力から前記加湿ガスに含まれる水分量を演算する水分量演算工程を有すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の混合ガス製造装置によれば、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる。また、本発明の混合ガス製造方法によれば、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる。さらには、本発明の混合ガス製造方法によれば、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とするVOCの濃度に正確に調整された混合ガスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係る混合ガス製造装置10の全体構成を説明するために示す図である。
【
図2】実施形態2に係る混合ガス製造装置20の全体構成を説明するために示す図である。
【
図3】実施形態3に係る混合ガス製造装置30の全体構成を説明するために示す図である。
【
図4】実施形態4に係る混合ガス製造装置40の全体構成を説明するために示す図である。
【
図5】実施形態5に係る混合ガス製造装置50の全体構成を説明するために示す図である。
【
図6】実施形態6に係る混合ガスの製造方法を説明するために示す図である。
【
図7】実施例1において加湿ガスを製造したときの、評価結果を示すための図である。
図7(a)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、加湿容器内の圧力及び温度の変化を示す図である。
図7(b)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、希釈ガスの水の濃度の変化を示す図である。
【
図8】比較例において加湿ガスを製造したときの、評価結果を示すための図である。
図8(a)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、加湿容器内の圧力及び温度の変化を示す図である。
図8(b)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、希釈ガス中の水分濃度の変化を示す図である。
【
図9】実施例2により製造したアセトン混合ガスについて、ガスクロマトグラフにより分析して得られたクロマトグラムの一例を示すための図である。
【
図10】実施例2により製造したアセトン混合ガス、及び、参考例により製造したアセトン混合ガスについて、アセトンの調製濃度(目標濃度)とガスクロマトグラフにより分析したピーク面積値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記す。)について説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。また、各実施形態において説明が重複する場合は、説明を省略することがある。
【0022】
1.混合ガス製造装置(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る混合ガス製造装置10の全体構成を説明するために示す図である。以下、
図1を用いて、実施形態1に係る混合ガス製造装置10について説明する。
【0023】
1-1.全体構成
実施形態1に係る混合ガス製造装置10は、
図1に示すように、源ガス発生部Y0と、予備希釈部Z0と、混合ガス希釈部W0と、加湿ガス供給部X0と、を備える。
【0024】
源ガス発生部Y0は、目的化合物を含む混合ガスを発生する部分である。ここで、「目的化合物」とは、混合ガスに含まれる化合物であって、希釈の対象となる化合物のことをいう。例えば、混合ガスが測定機器を校正するための標準ガスである場合には、目的化合物には、分析対象となる化合物(例えば、アセトン)が該当する。また、「加湿ガス」とは、希釈ガスに水が加えられ、水分濃度が高められたガスのことをいう。
【0025】
源ガス発生部Y0で調製される混合ガスに含まれる目的化合物の濃度は、目標とする濃度より高い第2の濃度である。
【0026】
源ガス発生部Y0は、流路101を備える。流路101には、源ガス発生手段110としての拡散管DTと第2の圧力制御手段APCと、第5の流量制御手段MFC5とを備える。拡散管DTが収められている容器への希釈ガス流量を第5の流量制御手段MFC5で制御し、拡散管DTから目的化合物が単位時間あたり一定量放出されることで、目的化合物を含む混合ガスを発生する。
【0027】
流路101は、第2の圧力制御手段APCと拡散管DTとの間にバルブ81が設けられており、流路101を流れるガスを遮断できるように構成されている。
【0028】
流路101は、第5の流量制御手段MFC5と後述する予備希釈部Z0の第4の流量制御手段MFC4との間の分岐部53において分岐している。分岐した先には、分析機器に混合ガスを導入するための分析機器試料導入口AS1と、排気バルブ91と、が設けられている。
【0029】
なお、第2の圧力制御手段APCの設置場所と、第5の流量制御手段MFC5の設置場所を入れ替えてもよい。この場合、第2の圧力制御手段APCは、背圧制御を行うものを使用する。
【0030】
混合ガス希釈部W0は、混合ガスを調製する部分である。具体的には、まず、源ガス発生部Y0により、目的化合物の濃度が第2の濃度である第2混合ガスを調製する。次いで、予備希釈部Z0により第2混合ガスを希釈することによって、目的化合物の濃度が第1の濃度である第1混合ガスを調製する。さらには、第1混合ガスを、加湿ガス供給部X0から供給された加湿ガスで希釈を行い、目的化合物の濃度が目標濃度に調整された加湿された混合ガスを調製する。
【0031】
予備希釈部Z0は、目的化合物の濃度が第2の濃度である第2混合ガスを希釈し、目的化合物の濃度が第1の濃度である混合ガスを調製する部分である。目的化合物の濃度が第2の濃度である第2混合ガスは、源ガス発生部Y0から供給される。第2混合ガスを、希釈ガス導入部希釈ガスで希釈し、目的化合物の濃度が第1の濃度の混合ガスを調製する。
【0032】
予備希釈部Z0は、二つの流路102、103を備える。流路102は、第4の流量制御手段MFC4を備え、ガスが流れる向きに対して、第4の流路制御手段MFC4の下流側に、流路103との合流部54が設けられている。流路103は、ガスが流れる向きに対して上流側から順に、希釈ガス導入部61、第3の流量制御手段MFC3が配置されている。
【0033】
第4の流量制御手段MFC4の、ガスが流れる向きに対して上流側に、源ガス発生部Y0が設置されている。源ガス発生部Y0から合流部54までの各要素は、流路102により連結されている。希釈ガス導入部61から流路102との合流部54までの各要素は、希釈ガスを流通させるための流路103により連結されている。これにより、流路102を流れてきた第2混合ガスと流路103を流れてきた希釈ガスとを混合することができる。
【0034】
さらに、流路102は、合流部54と混合ガス希釈部W0の第1の流量制御手段MFC1との間の分岐部55において分岐している。分岐した先には、分析機器に混合ガスを導入するための分析機器試料導入口AS2と、排気バルブ92と、が設けられている。
【0035】
流路103は、第3の流量制御手段MFC3と合流部54との間にバルブ82が設けられており、流路103を流れるガスを遮断できるように構成されている。
【0036】
実施形態1に係る混合ガス製造装置10は、予備希釈部Z0を1ライン有する態様の例を示したが、予備希釈部Z0を2ライン以上有してもよい。
【0037】
また、予備希釈部Z0を有することは必須ではない。源ガス発生部Y0により調製される混合ガスに含まれる目的化合物の濃度が目標とする濃度に対して低い場合には、後述する実施形態2の混合ガス製造装置20ように、予備希釈部Z0を備えなくても何ら問題ないことは言うまでもない。この場合、第2混合ガスにおける目的化合物の濃度である第1の濃度と、第2混合ガスにおける目的化合物の濃度である第2の濃度とは、同じということになる。
【0038】
混合ガス希釈部W0は、二つの流路104,106を備える。流路104には、ガスが流れる向きに対して上流側から順に、第1の流量制御手段MFC1、合流部56が設けられている。流路106は、ガスが流れる向きに対して上流側において加湿ガス供給部X0に連結し、合流部56において流路104に連結されている。これにより、流路104を流れてきた第1混合ガスと流路106を流れてきた加湿ガスとを混合することができる。
【0039】
流路104は、合流部56の下流に、分析機器に混合ガスを導入するための分析機器試料導入口AS3を備える。また、流路104は、合流部56と分析機器試料導入口AS3との間の分岐部57において分岐しており、分岐した先には排気バルブ93を備える。
【0040】
加湿ガス供給部X0は、ガスが流れる向きに対して上流側から順に、希釈ガス導入部71、第2の流量制御手段MFC2、及び、加湿手段120が配置されている。加湿手段120は、加湿容器HBと、温度制御手段CTWBと、第1の圧力制御手段BPCと備える。上記した各要素は、希釈ガス又は加湿ガスを流通させるための流路105により連結されている。
【0041】
流路105は、第1の圧力制御手段BPCの下流の分岐部65において分岐している。分岐した先には、混合ガスに含まれる水分量を測定する水分量測定手段130が接続されている。また、流路105の分岐部65と水分量測定手段130との間には、バルブ86が設けられている。
【0042】
流路105における第2の流量制御手段MFC2と加湿手段120との間には、バルブ83が設けられている。
【0043】
流路105は、加湿手段120を経由することなく、希釈ガスを流通させることができるようにするための、加湿手段120をバイパスする流路107を有してもよい。流路105にはバルブ84、85が設けられ、流路107にはバルブ87、88が設けられている。
【0044】
以下に、本実施形態に係る混合ガス製造装置10を構成する各々の構成要素について、詳細に説明する。
【0045】
なお、以下の説明において、第1の流量制御手段MFC1、第2の流量制御手段MFC2、第3の流量制御手段MFC3、第4の流量制御手段MFC4、第5の流量制御手段MFC5を総称して、「流量制御手段MFC」と記すことがある。また、バルブ81、82、83、84、85、86、87、88を総称して、「バルブ80」と記すことがある。さらに、流路101、102、103、104、105、106、107を総称して、「流路100」と記すことがある。
【0046】
1-2.源ガス発生手段
拡散管DTを用いた拡散管法によって、目的化合物を含む混合ガスを調製する。具体的には、拡散管DTの中に目的化合物である有機溶剤など揮発性を有する固体若しくは液体を入れ、目的化合物を一定の温度に保持して拡散管DTの中に目的化合物の蒸気を充満させ、拡散管DTの細管の中を目的化合部の蒸気が拡散して目的化合物が一定速度で拡散管DTから放出される。そこに希釈ガスを一定流速で送り、一定濃度の目的化合物を含むガスを、連続的に発生させる。
【0047】
第2の圧力制御手段APCは、拡散管DTにおけるガスの圧力を一定に制御する機能を有する。第2の圧力制御手段APCとしては、例えば、自動圧力制御器を挙げることができる。第2の圧力制御手段APCを使って、拡散管DTにおけるガスの圧力を一定に制御することにより、拡散管DTから、目的化合物を一定速度で放出させることが可能になる。
【0048】
第2の圧力制御手段APCが無いと、流量制御手段MFCにおいてガスの流量を変化させたとき、外部の気圧が変動したとき、拡散管DTにおけるガスの圧力が変動する。その結果、拡散管DT内のガスが膨張あるいは収縮し、それに伴って目的化合物の蒸気が拡散管DTから放出あるいは希釈ガスが拡散管DTに流れ込み、ガスの濃度が増加あるいは減少してしまう。しかし、源ガス発生手段110が第2の圧力制御手段APCを備えることにより、拡散管DTにおけるガスの圧力を一定に保つことができる。この結果、拡散管DTから供給される第2混合ガスにおける、目的化合物の濃度を一定に保つことが可能になる。
【0049】
実施形態1に係る拡散管DTについて、混合ガスに含まれる目的化合物の濃度の再現精度を実験により検証した。表1に混合ガスの製造条件を、表2に製造された混合ガスに含まれる目的化合物の濃度の測定結果を、それぞれ示す。
【0050】
【0051】
【0052】
表2に示すように、異なる日に実施した10回の濃度の測定において、平均値は1.745μmol/mol、標準偏差は0.014μmol/molという結果が得られた。なお、異なる測定日毎に得られた値には、0.01μmol/mol~0.02μmol/molの標準不確かさがある。
【0053】
1-3.流量制御手段
流量制御手段MFCは、流路100を流れるガスの流量を制御する。
【0054】
流量制御手段MFCは、流路100を流れるガスの流量を制御できるものである限り、特に制限されることなく使用することができるが、マスフローコントローラーであることが好ましい。マスフローコントローラーは、流路100を流れるガスの質量流量を計測して、流路100を流れるガスの流量を自動で増加又は減少させることにより制御する。
【0055】
第1の流量制御手段MFC1は、混合ガス希釈部W0部に配置され、流路104を流れる目的化合物の濃度が第1の濃度である第1混合ガスの流量F1を制御する。第1の流量制御手段MFC1を用いて、流路104を流れる第1混合ガスの流量F1を制御することにより、最終的に得られる、加湿した混合ガスにおける目的化合物の濃度を制御することができる。
【0056】
第2の流量制御手段MFC2は、加湿ガス供給部X0において、流路105に供給される希釈ガスの流量F2を制御する。第2の流量制御手段MFC2により制御された流路105を流れる希釈ガスの流量F2を制御することにより、加湿した混合ガスにおける目的化合物の濃度を制御することができる。
【0057】
なお、第2の流量制御手段MFC2は、ガスが流れる向きに対して、希釈ガス導入部71の下流側であって、加湿手段120の上流側に配置することが好ましい。
【0058】
仮に、流量制御手段MFCを加湿手段120の下流側に配置した場合には、流量制御手段によって制御されるガスの流量は、希釈ガスと加湿手段120により加えられた水(水蒸気)との和になる。このとき、加湿によって加えられた水(水蒸気)の影響により流量制御手段MFCが正しく流量を計測できなくなるため、流量制御手段MFCによってガスの流量を正しく制御することは容易ではない。一方、流量制御手段MFCを加湿手段120の上流側に配置した場合には、加湿手段120により加えられた水の影響を考慮する必要はなくなり、正しい流量の希釈ガスを流路105に供給することが可能になる。
【0059】
第3の流量制御手段MFC3は、予備希釈部Z0において、流路103を流れる希釈ガスの流量F3を制御する。
【0060】
第4の流量制御手段MFC4は、予備希釈部Z0に配置される。第4の流量制御手段MFC4は、流路102を流れる目的化合物の濃度が第2の濃度である第2混合ガスの流量F4を制御する。流路102を流れる第2混合ガスの流量F4と、流路103を流れる希釈ガスの流量F2とを適切に制御することにより、第1混合ガスにおける目的化合物の濃度C1を制御することができる。
【0061】
第5の流量制御手段MFC5は、源ガス発生手段110の拡散管DTの下流側に配置され、拡散管DTを通過するガスの流量FDTを制御する。拡散管DTを通過するガスの流量FDTを一定量に制御することにより、拡散管DTから流れ出る第2混合ガスに含まれる目的化合物の濃度CDTを一定に保つことができる。
【0062】
1-4.加湿手段
加湿手段120は、流路105を通じて供給された希釈ガスを加湿して、加湿ガスを調製する。加湿手段120は、少なくとも、加湿容器HBと温度制御手段CTWBと第1の圧力制御手段BPCとを備える。なお、加湿手段120は、水を収容するための容器を備え、容器に収容した水の温度を一定の温度に制御し、さらに、容器内の圧力を一定の圧力に維持することが可能な構成を備える限りにおいて、以下に説明する構成に限定されない。
【0063】
加湿容器HBは、内部に水を収容し、図示しない配管を通じて供給された希釈ガスを水中においてバブリングさせて、加湿ガスを調製する。加湿容器HBは、水を収容可能な容器部と、容器部に収容された水に希釈ガスをバブリングできるように構成された配管と、を備える。
【0064】
配管は、ガスの流れに対して上流側の配管と下流側の配管とを備える。上流側の配管は、流れてきた希釈ガスを水中でバブリングさせるため、加湿容器HBの内部に対して開口するとともに、配管の先端が少なくとも水面より低い位置、好ましくは配管の先端が容器部の底に近い位置に配置されている。また、下流側の配管は、バブリングにより水面が激しく波打った場合にも配管が液体の水を取り込むことがないように、加湿容器HBにおける水面から遠い、高い位置に配置されている。
【0065】
また、加湿容器HBは、内部空間と外部との間のガスの往来を遮断できるよう、気密構造になっている。これにより、加湿容器HBの内部は、流路105の一部分として外部環境と遮断されるとともに、加湿容器HBの内部の圧力を、後で説明する第1の圧力制御手段BPCにより一定に保つことが可能になる。さらに、加湿容器HBは、内部の圧力を管理するため、内部の圧力を測定できる圧力計(圧力トランスミッタ)P1を備えることが好ましい。
【0066】
加湿容器は、2つの加湿容器(第1の加湿容器HB1、第2の加湿容器HB2)を備えることが好ましい。第1の加湿容器HB1と第2の加湿容器HB2とは、同じ構成であってもよく、異なる構成であってもよい。2つの加湿容器HB1、HB2を備えることにより、希釈ガスを加湿する能力を高めることができる。
【0067】
なお、加湿容器HBを2つ以上有することは必須ではない。加湿容器HBを1つしか有しない場合であっても、十分な加湿能力を有する場合には、加湿容器HBを1つしか備えなくても何ら問題ないことは言うまでもない。
【0068】
温度制御手段CTWBは、加湿容器HBに収容した水が一定の温度になるように、水の温度を制御する。温度制御手段CTWBとして、加湿容器HBを収容する恒温槽や恒温水槽、オーブン、等を例示することができる。さらに、加湿容器HBにヒーターを巻き、さらにその外側を断熱材で覆ったものも、温度制御手段CTWBとして使用することが可能である。温度制御手段CTWBにより、加湿容器HBに収容した水の飽和蒸気圧を一定に保つことができる。
【0069】
第1の圧力制御手段BPCは、加湿容器HB(加湿手段120が2つの加湿容器を備える場合にあっては、下流側に配置した第2の加湿容器HB2)の下流側に配置され、加湿容器HBの内部の圧力を一定の圧力に制御する。第1の圧力制御手段BPCとして、例えば、自動背圧制御器を挙げることができる。加湿容器HBの内部の圧力を一定に保つことにより、加湿ガスに含まれる水の濃度を一定に保つことができる。
【0070】
ここで、実施形態1に係る混合ガス製造装置10の加湿ガス供給部X0を用いて、大気圧下で露点35℃(物質量分率で約0.056mol/mol)の加湿ガスを調製する場合の、加湿容器HBの温度条件、加圧条件を示すと、以下に示すようになる。
【0071】
加湿時の温度Tにおける水の飽和蒸気圧をps,T、加湿時の圧力をpとしたとき、調製した加湿ガスに含まれる水分濃度は、ps,T/pで式(1)により求めることができる。すなわち、35℃における水の飽和蒸気圧は5629.2Pa、大気圧は101.325kPaであるので、
ps,T/p=5629.2/101325≒0.056 …(1)
となる。この関係を満たす、温度及び圧力を求め、それぞれ温度制御手段CTWBの設定温度及び第1の圧力制御手段BPCの設定圧力とする。
【0072】
水分量測定手段130は、加湿手段120において希釈ガスに加えられた水の量を計測する。水分量測定手段130は、加湿ガスに含まれる水の量を測定することができる限りにおいて、測定方式は問わない。例えば、静電容量式、水晶発振式、鏡面冷却式、レーザー吸収分光式などの各種の測定方式の水分計を例示することができる。なかでも、実施形態1の混合ガス製造装置10においては、鏡面冷却式水分計により加湿ガスの水分濃度を測定することが好ましい。
【0073】
実施形態1の混合ガス製造装置10においては、流路105と水分量測定手段130との間にバルブ86が配置されており、流路105を流れる加湿ガスの水分量を計測する時のみ、加湿ガスをサンプリングできるようになっている。また、水分量測定手段130とバルブ86との間に、圧力計P2が配置されている。
【0074】
1-5.流路
流路100を構成する配管としては、例えば、内径1/10インチ~1/2インチの、ステンレス鋼、ガラス、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ふっ素樹脂、等からなる管を使用することができる。上記した管の中でも、内径:1/4インチで、内壁が石英ガラスでコーティングされたステンレス鋼製の管を使用することが好ましい。
【0075】
配管が極性を有する材料からなり、目的化合物も極性を有する場合には、管の内壁に、目的化合物の吸着が発生しやすくなる傾向がある。また、配管の材料が極性を有しない場合であっても、内壁表面に存在する凹凸が吸着しやすいところになり、凹凸に目的化合物が吸着することがある。
【0076】
配管の内壁に目的化合物が吸着すると、流路100に流すガスを切り替えたときのガス濃度のテーリングの原因となり、混合ガスに含まれる目的化合物の濃度が不正確になることがある。目標とする混合ガスの濃度が、nmol/molオーダーの場合には、その影響は重大なものとなる。
【0077】
実施形態1に係る混合ガス製造装置10においては、流路100を構成する配管の全長を極力短くして、ガスが配管に触れる面積を減らすことが好ましい。さらに、上記したように配管の内壁に石英ガラスのコーティングを施すことや、内壁を滑らかにして目的化合物が吸着しにくい構造とすることが好ましい。
【0078】
さらに、流路100を流れるガスの流量を比較的多めに設定することは、配管の内壁への目的化合物の吸脱着が促進され、目的化合物の吸脱着の平衡関係が成立すると考えられる。これにより、混合ガスにおける目的化合物の濃度が安定すると考えられ、好ましい。
【0079】
1-6.混合ガスにおける目的化合物の濃度
1-6-1.予備希釈部による希釈
実施形態1に係る混合ガス製造装置10は、第5の流量制御手段MFC5を介して供給された第2混合ガス(濃度CDT)を希釈することで、1段階目の希釈を行う。1段階目の希釈によって得られた第1混合ガスに含まれる目的化合物の濃度C1は、第4の流量制御手段MFC4の流量F4及び第3の流量制御手段MFC3の流量F3を用いて、以下の式(2)により計算できる。
C1=CDT×F4/(F4+F3) …(2)
【0080】
1-6-2.混合ガス調製部による希釈
混合ガス製造装置10においては、2段階目の希釈として、目的化合物の濃度がC1である混合ガスをさらに希釈する。2段階目の希釈によって得られた混合ガスに含まれる目的化合物の濃度Cは、第1の流量制御手段MFC1における流量F1及び加湿ガス供給部X0から供給された加湿ガスの流量FDILを用いて、以下の式(3)により計算できる。
C=C1×F1/(F1+FDIL) …(3)
【0081】
ここで、加湿ガス供給部X0から供給された加湿ガスの流量FDILは、第2の流量制御手段MFC2の流量F2と加湿によって加えられた水の量FWとの和である。そこで、以下の式(4)が成立する。
FDIL=F2+FW …(4)
【0082】
加湿によって加えられた水の量FWは、加湿後の混合ガスを水分量測定手段130で測定した結果から導出することができる。具体的には、水分量測定手段130を用いて、加湿後の混合ガスの露点TDILを測定する。次いで、JIS Z 8806に記載されている表を用いて、露点TDILにおける飽和水蒸気圧PWを求める。
【0083】
同時に、流路105に配置した圧力計P2により、水分量測定手段130により露点TDILの測定を行った位置での圧力PDILを測定する。加湿した混合ガスに含まれる水の量は、加湿した混合ガスにおける水の分圧と同義であり、以下の式(5)が成り立つ。式(4)を用いて、加湿した混合ガスに含まれる水の量を計算する。
FW/FDIL=FW/(F2+FW)=PW/PDIL …(5)
式(5)によりFWが求まり、加湿した希釈ガスの流量FDILを求めることができる。その結果、式(3)を用いて目的成分の濃度Cを求めることができる。
【0084】
なお、目的化合物を含む混合ガスを希釈するガスとして、加湿手段120を通さない希釈ガスを使用することも可能である。具体的には、バルブ84、85を閉じ、バルブ87、88を開放して、希釈ガスを、流路107を経由して流すことにより、目的化合物を含む混合ガスを、加湿していない希釈ガスにより希釈することができる。
【0085】
この場合、下記式(6)に示すように、
FDIL=F2 ・・・(6)
となる。
【0086】
2.混合ガス製造装置(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る混合ガス製造装置20の全体構成を説明するために示す図である。以下、
図2を用いて、実施形態2に係る混合ガス製造装置20について説明する。
【0087】
実施形態2に係る混合ガス製造装置20の説明においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる点について説明する。また実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じ要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0088】
実施形態2の混合ガス製造装置20においては、予備希釈部Z0を有していないという点において、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる。その他の点においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じである。
【0089】
源ガス発生部Y0で目的化合物を第2の濃度で含む源ガスを発生させ、混合ガス希釈部W0へ供給するものである
【0090】
実施形態2に係る混合ガス製造装置20においても、実施形態1に係る混合ガス製造装置と同様に、水の濃度が目的濃度に制御された混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置を提供することができる。
【0091】
3.混合ガス製造装置(実施形態3)
図3は、実施形態3に係る混合ガス製造装置30の全体構成を説明するために示す図である。以下、
図3を用いて、実施形態2に係る混合ガス製造装置30について説明する。
【0092】
実施形態3に係る混合ガス製造装置30の説明においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる点について説明する。また実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じ要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0093】
実施形態3の混合ガス製造装置30においては、水分量測定手段130及び圧力計P2が、流路105の途中に直接組み込まれているという点において、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる。その他の点においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じである。
【0094】
水分量測定手段130が、流路105の途中に直接組み込まれていることにより、流路105を流れる加湿ガスの水分量を常時計測することが可能になる。この結果、水分量測定手段130により得られた水分量の情報を、加湿手段120を構成する、温度制御手段CTWB、及び、第1の圧力制御手段BPCにフィードバックすることが可能になる。
【0095】
4.混合ガス製造装置(実施形態4)
図4は実施形態4に係る混合ガス製造装置40の全体構成を説明するために示す図である。以下、
図4を用いて、実施形態4に係る混合ガス製造装置40について説明する。
【0096】
以下の、実施形態4に係る混合ガス製造装置40の説明においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる点を中心について説明し、また実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じ要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0097】
実施形態4の混合ガス製造装置40においては、源ガス発生手段110が、目的化合物を含むガスが充填された高圧容器PGCである点において、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる。その他の点においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じである。
【0098】
目的化合物を含むガスが充填された高圧容器PGCは、目的化合物を含むガスが充填されている。ここでいう、目的化合物を含むガスは、実施形態1の源ガス発生手段110において発生させた源ガスに対応するが、目的化合物を含む限りにおいて特に制限はない。すなわち、目的化合物のみからなるガスであってもよく、目的化合物を第2の濃度で含む混合ガスであってもよい。
【0099】
高圧容器PGCに充填された目的化合物を含むガスは、減圧器(レギュレーター)により減圧され、流路101に供給される。さらに、第4の流量制御手段MFC4により流量が制御され、合流部54において、予備希釈部Z0の流路103を流れてきた希釈ガスと混合される。
【0100】
実施形態4に係る混合ガス製造装置40においても、実施形態1に係る混合ガス製造装置と同様に、水の濃度が目的濃度に制御された混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置を提供することができる。
【0101】
5.混合ガス製造装置(実施形態5)
図5は実施形態5に係る混合ガス製造装置50の全体構成を説明するために示す図である。以下、
図5を用いて、実施形態5に係る混合ガス製造装置50について説明する。
【0102】
以下の、実施形態5に係る混合ガス製造装置50の説明においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる点を中心について説明し、また実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じ要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0103】
実施形態5の混合ガス製造装置50においては、源ガス発生手段110が、目的化合物を含む固体若しくは液体又は気体が充填されたパーミエーションチューブPTである点において、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と異なる。その他の点においては、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同じである。
【0104】
パーミエーションチューブPTは、パーミエーションチューブ法によって、目的化合物を第2の濃度で含む第2混合ガスを調製する。具体的には、パーミエーションチューブPTは、ポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエチレンなどのポリマー樹脂製のチューブに、固体若しくは液体又は気体である目的化合物が封入されていて、目的化合物を一定の温度に保持して、目的化合物を一定速度でチューブから浸透、拡散させる。そこに希釈ガスを一定流速で送り、一定濃度の目的化合物を含むガスを、連続的に発生させる。
【0105】
実施形態5に係る混合ガス製造装置50においても、実施形態1に係る混合ガス製造装置10と同様に、水の濃度が目的濃度に制御された混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置50を提供することができる。
【0106】
6.混合ガスの製造方法
次に、実施形態6に係る混合ガスの製造方法について説明する。
図6は、実施形態6に係る混合ガスの製造方法を説明するために示す図である。実施形態6に係る混合ガスの製造方法は、実施形態1等として説明した、混合ガス製造装置10等により、好適に実施することができる。
【0107】
混合ガス製造方法は、第1混合ガス供給工程ST1と、加湿ガス供給工程ST2と、混合工程ST3とを備える。
【0108】
第1混合ガス供給工程ST1は、目的化合物を第1の濃度で含む第1混合ガスを、単位時間当たりの流量が第1の流量で供給する工程である。目的化合物を第1の濃度で含む第1混合ガスは、混合ガス製造装置10等の源ガス発生部Y0を用いて調製することができる。実施形態6に係る混合ガスの製造方法においては、目的化合物を第1の濃度で含む第1混合ガスを、マスフローコントローラー等の流量制御手段を用いて、単位時間当たりの流量が第1の流量となるように制御して供給する。
【0109】
加湿ガス供給工程ST2は、希釈ガスを加湿した加湿ガスを、加湿前の希釈ガスの供給量に基づいて、単位時間当たりの流量が第2の流量で供給する工程である。また、加湿ガス供給工程ST2は、温度及び圧力が制御された加湿容器HBであって、内部に水が収容された加湿容器HB内で、希釈ガスをバブリングさせることにより、希釈ガスを加湿して加湿ガスを調製する。
【0110】
ここで加湿容器HBは、上記したように、希釈ガスを加湿するための水を収容するための容器であり、気密構造になっている。また、加湿容器HBは、第1の圧力制御手段BPCにより、内部の圧力を調整できるように構成されている。加湿時に、加湿容器HBの温度及び圧力を制御し、さらに希釈ガスをバブリングさせることにより、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、水の濃度が目標とする水分濃度に制御された混合ガスを製造することができる。
【0111】
加湿ガス供給工程ST2は、調製した加湿ガスに含まれる水分量を演算する水分量演算工程を備えても良い。具体的には、上記したように、混合ガス製造装置10等が備える水分量測定手段130により、加湿ガスの露点を測定し、飽和水蒸気圧を求める。同時に、流路106に配置した圧力計P2により、加湿ガスの圧力を測定する。加湿ガスに含まれる水分量は、加湿ガスにおける水の分圧に対応することから、加湿ガスの飽和蒸気圧と、流路106における加湿ガスの圧力とから、水分量を演算により求めることができる。
【0112】
混合工程ST3は、第1混合ガス供給工程ST1による第1混合ガスと、加湿ガス供給工程ST2による加湿ガスとを混合する工程である。第1混合ガス及び加湿ガスは、単位時間当たりの流量が、それぞれ第1の流量、第2の流量に制御されている。このため、第1混合ガスと加湿ガスとを混合することにより、水の濃度が目標とする水分濃度に制御され、かつ、目的化合物の濃度が正確に制御された混合ガスを得ることができる。
【0113】
なお、実施形態5に係る混合ガスの製造方法は、加湿前の希釈ガスの流量に基づいて、加湿ガスの流量の制御を行っている。これにより、加湿によって加わった水の影響を受けることなく、加湿ガスの流量を正確に制御することが可能になる。
【0114】
5.実施例
[実施例1]
図1に示す混合ガス製造装置10を用いて、大気圧下で露点35℃(物質量分率で約0.056mol/mol)の加湿ガスの調製を行った。加湿ガスの調製にあたっては、加湿ガス供給部X0を使用し、源ガス発生部Y0及び予備希釈部Z0には希釈ガスを流し、排気バルブ91又は排気バルブ92を介して全量を廃棄した。
【0115】
また、加湿時の温度として温度制御手段CTWBの水温を48℃、加湿用容器内の圧力を絶対圧で201kPaになるように第1の圧力制御手段BPCを動作させた。また、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量F
2を、1~10L/minの範囲で設定した。結果を
図7に示す。
【0116】
図7は、実施例1において加湿ガスを製造したときの、評価結果を示す図である。
図7(a)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、加湿容器内の圧力及び温度の変化を示す図である。
図7(b)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、希釈ガスの水の濃度の変化を示す図である。
【0117】
図7(a)に示すように、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量F
2を、1~10L/minの範囲で変化させても、第2の加湿容器HB2の内部の圧力及び温度は、一定に制御されていることが確認できる。
【0118】
加湿ガスの水分濃度は、
図7(b)に示すように、約0.055mol/molであり、調製を行っている時間内における変動の幅は、約0.001mol/molであることがわかる。
【0119】
[比較例]
図1に示す混合ガス製造装置10において、第1の圧力制御手段BPCを常時全開に、温度制御手段CTWBの温度のみを制御して、加湿ガスを調製した。すなわち、比較例においては、従来の装置が、加湿時の温度のみを制御して加湿を行っていることを考慮し、温度制御手段CTWBの水温を35℃に制御し、大気圧下で、露点35℃(物質量分率で約0.056mol/mol)の加湿ガスの調製を試みた。
【0120】
比較例においても、混合ガス製造装置10の加湿ガス供給部X0を使用し、源ガス発生部Y0及び予備希釈部Z0には希釈ガスを流し、排気バルブ91又は排気バルブ92を介して流したガスの全量を廃棄した。また、加湿時の温度として温度制御手段CTWBの水温は35℃に設定した。結果を
図8に示す。
【0121】
図8は、比較例において加湿ガスを製造したときの、評価結果を示すための図である。
図8(a)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、加湿容器内の圧力及び温度の変化を示す図である。
図8(b)は、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量を変化させたときの、希釈ガス中の水分濃度の変化を示す図である。
【0122】
図8(a)に示すように、第2の流量制御手段MFC2を介して供給する希釈ガスの流量F
2を、1~10L/minの範囲で変化させても、第2の加湿容器HB2の内部の温度は一定に保たれていた。しかし、第2の加湿容器HB2の内部の圧力は、希釈ガスの流量が増加すると高くなった。
【0123】
また、
図8(b)に示すように、加湿ガスの水分濃度は、供給する希釈ガスの流量F
2が増えると、低下した。また、加湿ガスの水分濃度は、供給する希釈ガスの流量が一番小さい条件であっても、約0.04mol/molであり、目的とする水分濃度まで加湿できない結果であった。
【0124】
[実施例2]
実施形態1に係る混合ガス製造装置10を使用して、目的化合物がアセトンである、実施例2のアセトン混合ガス、及び、参考例のアセトン混合ガスを製造した。第1の流量制御手段MFC1~第4の流量制御手段MFC4の設定条件は、表3に示す通りとした。
【0125】
【0126】
実施例2のアセトン混合ガスは、2段階目の希釈ガスとして加湿ガスを使用したものであり、参考例のアセトン混合ガスは、2段階目の希釈ガスとして、加湿しない希釈ガスを使用したものである。
【0127】
高濃度のアセトン混合ガスは、拡散管DTを用いて発生させた。第5の流量制御手段MFC5を500mL/min、第2の圧力制御手段APCを200kPaに設定した。このときの高濃度混合ガスにおけるアセトンの濃度は、1.75μmol/molであった。
【0128】
実施例2における加湿ガスの発生は、加湿ガス供給部X0の加湿手段120において行った。温度制御手段CTWBの水温を48℃に設定し、第1の圧力制御手段BPCにより、加湿容器HBの内部の絶対圧力が201kPaになるように制御した。
【0129】
製造した実施例2のアセトン混合ガス、参考例のアセトン混合ガスは、濃縮装置が組み込まれた水素炎イオン化検出器付きのガスクロマトグラフを用いて分析した。以下に分析に使用した分析機器、分析条件を記す。
ガスクロマトグラフ
装置 :Agilent Technologies社 7890B
カラム :DB-1,60m×0.32mm×1μm
キャリヤーガス:He,2.45mL/min
オーブン温度 :初期温度35℃(4分間保持)→毎分5℃昇温→65℃→毎分20℃昇温→225℃(2分間保持)
検出器 :水素炎イオン化検出器
濃縮装置
装置 :Entech Instruments製7200 Preconcentrator
試料濃縮量 :400mL
濃縮モジュール1設定温度:Trap -40℃、Desorb 10℃
濃縮モジュール2設定温度:Trap -100℃、Desorb 210℃
【0130】
評価に使用した濃縮装置は、ガスクロマトグラフに分析試料が入る前に、濃縮により水が除去するので、加湿を行った実施例2のアセトン混合ガスは、分析の際は乾燥ガスの状態になる。これにより、参考例のアセトン混合ガスと比較することができる。
【0131】
得られた結果を、表4、表5、
図9及び
図10に示す。
【0132】
【0133】
【0134】
図9は、実施例2により製造したアセトン混合ガスについて、ガスクロマトグラフにより分析して得られたクロマトグラムの一例を示すための図である。保持時間5.677分のピークが、アセトンである。
【0135】
図10は、実施例2により製造したアセトン混合ガス、及び、参考例により製造したアセトン混合ガスについて、アセトンの調製濃度(目標濃度)とガスクロマトグラフにより分析したピーク面積値との関係を示す図である。
【0136】
図10より、実施例2により製造したアセトン混合ガス、及び、参考例により製造したアセトン混合ガスとも、アセトン濃度の調製濃度とピーク面積値との関係は、良好な一次の関係であることがわかる。また、実施例2により製造したアセトン混合ガスと参考例により製造したアセトン混合ガスにおける一次直線の傾きはほぼ同じであった。このことより、2段階目の希釈に使用した希釈ガスが、加湿ガスであるか加湿しない希釈ガスであるかに関係なく、2段階の希釈による混合ガスの製造が成功していることを示す結果であると言える。
【0137】
本発明の混合ガス製造装置10は、目的化合物を含む混合ガスを調製する混合ガス希釈部W0と、混合ガスを希釈する希釈ガスを加湿する加湿ガス供給部X0とを備える。混合ガス希釈部W0は、目的化合物の濃度が目標とする濃度より高い第1の濃度である第1混合ガスの流量を制御する第1の流量制御手段MFC1を備える。加湿ガス供給部X0は、加湿手段120と加湿手段120に供給する希釈ガスの流量を制御する第2の流量制御手段MFC2とを備える。加湿手段120は、希釈ガスを加湿するための加湿容器HBと加湿容器HBに収容された水の温度を制御する温度制御手段CTWBと加湿容器HB内の圧力を制御する第1の圧力制御手段BPCとを備える。
【0138】
すなわち、本発明の混合ガス製造装置10は、加湿ガス供給部X0は、加湿容器HBの温度を制御する温度制御手段CTWBと、加湿容器HBの圧力を制御する第1の圧力制御手段BPCとを備える。これにより、希釈ガスの流量に依存することなく、任意の水分濃度の加湿ガスを調製することが可能になる。
【0139】
この結果、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度の混合ガスを製造することができる混合ガス製造装置を提供することができる。
【0140】
本発明の混合ガス製造方法は、第1混合ガス供給工程ST1と、加湿ガス供給工程ST2と、混合工程ST3とを備える。
【0141】
第1混合ガス供給工程ST1は、目的化合物を第1の濃度で含む第1混合ガスを、単位時間当たりの流量を第1の流量に制御して供給する工程である。加湿ガス供給工程ST2は、希釈ガスを加湿した加湿ガスを、加湿前の希釈ガスの供給量に基づいて、単位時間当たりの流量を第2の流量に制御して供給する工程である。混合工程ST3は、第1混合ガス供給工程ST1において供給された第1混合ガスと、加湿ガス供給工程ST2において供給された加湿ガスとを混合する工程である。
【0142】
さらに、加湿ガス供給工程ST2は、温度及び圧力が制御された加湿容器HBであって、内部に水が収容された加湿容器内で、希釈ガスをバブリングさせることにより希釈ガスを加湿する。
【0143】
すなわち、本発明の混合ガス製造方法は、温度及び圧力が制御された加湿容器HBであって、内部に水が収容された加湿容器HBの内部において、希釈ガスをバブリングさせることにより希釈ガスを加湿する加湿ガス供給工程ST2を有する。これにより、任意の水分濃度に調整された加湿ガスを調製することが可能になる。
【0144】
この結果、水分濃度が高い混合ガスを製造する場合においても、目標とする水分濃度の混合ガス製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0145】
10,20,30,40,50…混合ガス製造装置、51,61,71…希釈ガス導入部、53,55,65…分岐部、54,56…合流部、80,81,82,83,84,85,86,87,88…バルブ、91,92,93…排気バルブ、100,101,102,103,104,105,106、107…流路、110…源ガス発生手段、120…加湿手段、130…水分量測定手段、APC…第2の圧力制御手段(自動圧力制御器)、BPC…第1の圧力制御手段(自動背圧制御器)、AS1,AS2,AS3…分析機器試料導入口、CTWB…温度制御手段(恒温槽)、DT…拡散管、HB…加湿容器、HB1…第1の加湿容器、HB2…第2の加湿容器、MFC…流量制御手段(マスフローコントローラー)、MFC1…第1の流量制御手段(マスフローコントローラー1)、MFC2…第2の流量制御手段(マスフローコントローラー2)、MFC3…第3の流量制御手段(マスフローコントローラー3)、MFC4…第4の流量制御手段(マスフローコントローラー4)、MFC5…第5の流量制御手段(マスフローコントローラー5)、P1,P2…圧力計、PT…パーミエーションチューブ、W0…混合ガス希釈部、X0…加湿ガス供給部、Y0…源ガス発生部、Z0…予備希釈部